説明

画像形成装置、現像剤画像の濃度補正方法、及び画像形成装置制御用プログラム

【課題】画像形成装置が様々な駆動速度で印刷プロセスを行った場合においても、かかる駆動速度に対応させた濃度補正値を算出することによって、画像品質を向上させる。
【解決手段】画像形成装置1は、濃度検出用パターン及び画像情報に基づく現像剤画像を現像する現像装置25と、濃度検出用パターンを担持する搬送ベルト45と、濃度検出用パターンの現像剤濃度を検出する濃度センサ27と、濃度センサ27の検出結果に基づいて、画像形成条件を変更する印刷制御部7とを備え、現像装置25は、第1駆動速度によって濃度検出用パターンを現像した後、第2駆動速度によって濃度検出用パターンを現像し、濃度センサ27は、2種類の濃度検出用パターンの現像剤濃度を検出し、印刷制御部7は、濃度センサ27の検出結果に基づいて画像形成条件を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、現像剤画像の濃度補正方法、及び画像形成装置制御用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の記録媒体上に現像剤画像を形成する電子写真方式の画像形成装置においては、画像形成装置が備える現像装置が現像する現像剤画像の現像剤濃度を検出する際、現像装置は、画像形成装置が備える転写ベルト上に濃度検出パターンを形成する。そして、画像形成装置は、検出手段によって濃度検出パターンの現像剤濃度を検出し、当該検出結果に基づいて、現像バイアスを変更することによって現像剤画像の濃度調整を行うこととしている。この様な方式を用いて現像剤画像の濃度調整を行う画像形成装置としては、特許文献1に記載された画像形成装置がある。
【0003】
【特許文献1】2004−341100公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の画像形成装置では、濃度調整を行う際の濃度検出パターンは、印刷プロセスを一定の駆動速度で実行することで転写ベルト上に形成される。そして、画像形成装置は、当該駆動速度とは異なる駆動速度で印刷プロセスを行う場合においても、かかる一定の駆動速度から得られた濃度調整値の結果をそのまま使用していた為、濃度補正値に誤差が生じてしまい、画像品質が低下してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこの様な実情に鑑みてなされたものであり、画像形成装置が様々な駆動速度で印刷プロセスを行った場合においても、かかる駆動速度に対応させた濃度補正値を算出することによって、画像品質を向上させることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために画像形成装置は、所定の濃度検出用現像剤画像及び入力された画像情報に基づく現像剤画像を現像する現像装置と、前記現像装置によって現像された前記濃度検出用現像剤画像を担持する画像担持体と、前記画像担持体によって担持された前記濃度検出用現像剤画像の現像剤濃度を検出する濃度検出部と、前記濃度検出部の検出結果に基づいて、前記現像装置が前記画像情報に基づく現像剤画像を現像する際の画像形成条件を変更する画像形成条件変更部とを備え、前記現像装置は、所定の第1駆動速度によって前記濃度検出用現像剤画像を現像した後、前記第1駆動速度とは速度が異なる第2駆動速度によって前記濃度検出用現像剤画像を現像し、前記濃度検出部は、前記第1駆動速度によって現像され前記画像担持体に担持された前記濃度検出用現像剤画像の第1現像剤濃度及び前記第2駆動速度によって現像され前記画像担持体に担持された前記濃度検出用現像剤画像の第2現像剤濃度を検出し、前記画像形成条件変更部は、前記濃度検出部によって検出された前記第1現像剤濃度及び前記第2現像剤濃度に基づいて前記画像形成条件を変更することを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、画像形成装置は、第1駆動速度で印刷された濃度検出用現像剤画像の第1現像剤濃度及び第2駆動速度で印刷された濃度検出用現像剤画像の第2現像剤濃度に基づいて画像形成条件を変更することができるため、画像形成装置が適用可能な駆動速度に応じて画像形成条件を演算することができる。
【発明の効果】
【0008】
この様に、本発明にかかる画像形成装置によれば、様々な駆動速度で印刷プロセスを行った場合においても、かかる駆動速度に対応させた濃度補正値を算出することによって、画像品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
実施の形態にかかる画像形成装置は、タンデム方式の直接印刷を行う画像形成装置である。また、画像形成装置は、記録媒体の種類に応じて、例えば2種類の印刷速度で印刷プロセスを行う。そして画像形成装置は、2種類の印刷速度で用紙等の記録媒体を搬送する搬送ベルトユニット上に濃度検出用パターンを印刷し、該濃度検出用パターンの現像剤濃度を検出し、該検出結果に基づいて現像バイアス、供給バイアス、及び層形成バイアス等の補正値を算出する。そして画像形成装置は、当該算出した補正値に基づいて、印刷プロセス時に、対応する各部に印加される現像バイアス、供給バイアス、及び層形成バイアス画像形成条件を変更する。
【0011】
図1に示す様に、第1の実施の形態にかかる画像形成装置1は、情報処理装置等の上位装置3から送信された画像情報を受信するインターフェイス部5と、画像形成装置1を構成する各部の動作を制御する印刷制御部7と、各種情報を記憶するメモリ9と、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)11と、媒体搬送経路上における用紙の位置を検出する用紙センサ13と、後述する感光体ドラム上に画像情報に基づく潜像画像を露光する露光装置15と、現像剤画像を用紙上に転写する転写ローラ17とを備える。また、画像形成装置1は、感光体ドラム19の表面を一様に帯電させる帯電ローラ21、現像ローラ22、供給ローラ23、及び層形成ブレード24を用いて感光体ドラム19上に、インターフェイス部5において受信した画像情報に基づく現像剤画像を現像する現像装置25を備える。さらに画像形成装置1は、現像装置25に駆動力を供給するモータ群26と、濃度検出用パターンの現像剤濃度を検出する濃度センサ27とを備える。この様な画像形成装置1は、インターフェイス部5において受信した画像情報を、印刷制御部7において例えばビットマップ形式の画像データに変換する。そして、画像形成装置1は、印刷制御部7において変換された画像データに基づく潜像画像を、露光装置15によって感光体ドラム19上に露光する。その後、画像形成装置1は、感光体ドラム19上に露光された現像剤画像を現像し、転写ローラ17によって用紙上に転写することで画像情報に基づく現像剤画像を用紙上に印刷する。
【0012】
インターフェイス部5は、例えばLAN(Local Area Network)を介して画像形成装置1と上位装置3とを接続する。この様なインターフェイス部5は、例えば画像形成装置1に形成されたUSBポート等によって構成される。そして、インターフェイス部5において受信した画像情報は、印刷制御部7によって取得される。
【0013】
印刷制御部7は、インターフェイス部5において受信した画像情報を、インターフェイス部5から取得する。そして、印刷制御部7は、インターフェイス部5から取得した画像情報を画像形成装置1によって印刷可能な、例えばビットマップ形式の画像データに変換する。その後、印刷制御部7は、露光装置15によって画像データに基づく潜像画像を露光すべく、画像データに基づく画像信号をプロセス制御部28に供給する。また、印刷制御部7は、画像情報を印刷する一連の印刷プロセスを開始した後に、現像電圧制御部29に対して現像バイアスの値を指示し、供給電圧制御部31に対して供給バイアスの値を指示し、層形成電圧制御部33に対して層形成バイアスの値を指示すると共に、モータ制御部35に対して印刷プロセス時に駆動する各部に駆動力を供給するモータ群26の駆動開始を指示する。また、印刷制御部7は、例えば画像形成装置1の電源がオンされた場合等において現像剤画像の画像形成条件を変更する際に、濃度センサ制御部37に対して濃度センサ27の検出結果の取得を指示する。そして、印刷制御部7は、CPU11によって画像形成条件を算出することを可能とすべく、濃度センサ制御部37が濃度センサ27から取得した検出結果をメモリ9に記憶させる。その後、印刷制御部7は、CPU7において算出された画像形成条件に基づいて、現像電圧制御部29に、現像ローラ22に対して印加すべき現像バイアスの設定値を通知する。また、印刷制御部7は、CPU7において算出された画像形成条件に基づいて、供給電圧制御部31に、供給ローラ23に対して印加すべき供給バイアスの電圧値を通知する。また、印刷制御部7は、CPU7において算出された画像形成条件に基づいて、層形成電圧制御部33に、供給ローラ23に対して供給バイアスの電圧値を通知する。
【0014】
メモリ9は、画像形成装置1の各種動作をさせる制御用プログラムを格納するROM(Read Only Memory)39と、CPU11による算出処理時に各種情報を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)41と、濃度検出用現像剤画像の画像データを記憶するパターン記憶部43とを備える。
【0015】
ROM39は、画像形成装置1の製造段階において予め画像形成装置1の制御用プログラムを記憶させられる。そして、ROM39に記憶された画像形成装置1の制御用プログラムは、印刷制御部7が各種制御を行う際、及びCPU11が画像形成条件を算出する際に印刷制御部7及びCPU11によって実行される。また、ROM39は、CPU11が画像形成条件を算出する際に使用する、現像バイアスの設定値、供給バイアスの設定値、及び層形成バイアスの設定値の基準値を記憶する。
【0016】
RAM41は、CPU11が算出処理を行う際に、CPU11によって使用される情報を一時的に記憶する。そして、RAM41に記憶された情報は、画像形成装置1の電源がオフにされると消去される。具体的には、RAM41は、現像バイアス、供給バイアス、及び層形成バイアス等の画像形成条件を変更する為の算出結果及び算出に伴う各種値を記憶する。
【0017】
パターン記憶部43は、例えばROM等の不揮発性メモリによって構成され、画像形成装置1が画像形成条件を変更する際に印刷する濃度検出用現像剤画像の画像データを記憶する。
【0018】
CPU11は、ROM39に記憶された画像形成装置1の制御用プログラムを実行し、印刷制御部7が濃度センサ制御部37を介して濃度センサ27から取得した現像剤画像の現像濃度の検出結果に基づいて画像形成条件を算出する。具体的には、CPU11は、現像剤画像の現像濃度の検出結果に基づいて、現像バイアスの設定値、供給バイアスの設定値、及び帯電バイアスの設定値の少なくとも何れか1個の設定値又は全ての設定値を算出し、算出結果を印刷制御部7に供給する。そして、印刷制御部7は、CPU11から供給された設定値に基づいて、現像電圧制御部29に対して現像バイアスの設定値をCPU11において算出された現像バイアスの設定値に変更する旨の指示を供給する。また、これと同様に印刷制御部7は、供給電圧制御部31に対して供給バイアスの設定値をCPU11において算出された供給バイアスの設定値に変更する旨の指示を供給し、層形成電圧制御部33に対して層形成バイアスの設定値を、CPU11において算出された層形成バイアスの設定値に変更する旨の指示を供給する。すなわち、画像形成装置1では、CPU11、印刷制御部7、並びに現像電圧制御部29、供給電圧制御部31、及び層形成電圧制御部33によって画像形成条件変更部を構成する。
【0019】
用紙センサ13は、図2に示す様に、媒体搬送経路R上に設けられた複数のセンサであり、媒体搬送経路R上における用紙Pの位置を検出する。用紙センサ13の検出結果は、印刷制御部7に供給される。そして、印刷制御部7は、用紙センサ13の検出結果に基づいて印刷作業を行うタイミングを計る。
【0020】
露光装置15は、複数個形成された現像装置25に対応して設けられ、現像装置25が現像する現像剤画像の色に合わせて、各色に対応する潜像画像を露光する。画像形成装置1は、露光装置15を各色に対応させて4個備え、露光装置15Cはシアン色の現像剤画像に対応する潜像画像を、露光装置15Mはマゼンタ色の現像剤画像に対応する潜像画像を、露光装置15Yはイエロ色の現像剤画像に対応する潜像画像を、露光装置15Kはブラック色の現像剤画像に対応する潜像画像を、自身が対応する現像装置25C,25M,25Y,25Kに備えられた感光体ドラム19上に露光する。この様な露光装置15は、例えばLED(Light Emitting Diode)素子を配列したLEDアレイ及びセルフォックスレンズアレイを有し、画像データの1ライン分の画像に応じて発光し、潜像画像を感光体ドラム19上に露光する。
【0021】
帯電ローラ21は、各現像装置25C,25M,25Y,25Kに対応して設けられ、プロセス制御部28によって制御された設定値を印加され、印加されたバイアスを用いて感光体ドラム19の表面を一様に帯電させる。
【0022】
転写ローラ17は、用紙Pを搬送する搬送ベルト45を介して、各現像装置25C,25M,25Y,25Kに対応して形成されている。転写ローラ17は、プロセス制御部28によって制御されたバイアスを印加され、印加されたバイアスを用いて感光体ドラム19に現像された現像剤画像を用紙P上に転写する。また、転写ローラ17は、画像形成装置1が画像条件を変更する一連のプロセスを行う際は、感光体ドラム19上に現像された濃度検出用パターンの現像剤画像を、搬送ベルト45上に転写する。
【0023】
現像装置25は、自身が備える現像剤の色に対応する現像剤画像を現像する。この様な現像装置25は、感光体ドラム19上に担持された潜像画像に現像剤を付着させることで現像剤画像を現像する現像ローラ22と、現像ローラ22に現像剤を供給する供給ローラ23と、供給ローラ23に担持された現像剤を薄膜化して現像剤層を形成する層形成ブレード24を備える。
【0024】
感光体ドラム19は、帯電ローラ21によって表面が一様に帯電される。そして、感光体ドラム19は、帯電した箇所を露光装置15によって照射されて電荷を除去されることによって、表面に潜像画像を担持する。この様な感光体ドラム19は、モータ群26から供給された駆動力に基づいて回転駆動する。
【0025】
現像ローラ22は、現像電圧制御部29によって制御された現像バイアスを印加され、印加された電圧を用いて現像剤を担持する。そして、現像ローラ22は、モータ群26から供給された駆動力に基づいて回転駆動することによって、担持した現像剤を感光体ドラム19に担持された潜像画像に付着させ、感光体ドラム19の表面に現像剤画像を現像する。そして、現像ローラ22によって担持される現像剤の量は、現像バイアスの値に応じて変化する。
【0026】
供給ローラ23は、供給電圧制御部31によって制御された供給バイアスを印加され、印加された電圧を用いて現像剤を自身に付着させる。そして、供給ローラ23に付着した現像剤は、供給ローラ23が回転駆動することによって現像ローラ22に供給される。
【0027】
モータ群26は、複数のモータによって構成され、モータ群26を構成する個々のモータはモータ制御部35の制御のもと個別的に駆動し、それぞれ現像ローラ22、供給ローラ23、感光体ドラム19、及び搬送ベルト45等に駆動力を供給する。この様なモータ群26は、例えばモータ制御部35から供給された信号に基づいて駆動速度が変化する複数個のパルスモータ等によって構成される。
【0028】
濃度センサ27は、濃度センサ制御部37の制御のもと、搬送ベルト45上に転写された濃度検出用パターンの現像剤画像の現像剤濃度を検出する。この様な濃度センサ27は、搬送ベルト45の駆動方向における、現像装置25C,25M,25Y,25Kの下流側に配置され、図示せぬ発光素子及び受光素子によって構成される。濃度センサ27は、発光素子を発光させることによって濃度検出用パターンを照射し、その反射光を受光素子によって受光する。そして、濃度センサ27は、反射光の減衰率等に基づいて濃度検出用パターンの現像剤濃度を検出する。
【0029】
搬送ベルト45は、媒体搬送経路Rの上流から搬送された用紙Pを静電気力によって吸着しながら矢印A方向に駆動し、用紙P上に現像剤画像が転写される際に用紙Pを媒体搬送経路の下流方向に向けて搬送する。また、搬送ベルト45は、画像形成装置1が現像剤画像の濃度検出を行う際は、濃度検出用パターンの現像剤画像を担持する。この様な搬送ベルト45は、表面に光沢を有する黒色の樹脂によって形成され、層形成ブレード24から供給された駆動力に基づいて回転駆動する駆動ローラ45a、及び駆動ローラ45aと略平行に設置されたアイドルローラ45bの間に張設される。そして、搬送ベルト45は、モータ群26から供給された駆動力によって駆動ローラ45aが回転駆動する動作に合わせて矢印A方向に駆動する。
【0030】
また、画像形成装置1は、搬送ベルト45が担持する濃度検出用パターンの現像剤画像を搬送ベルト45から剥がすクリーニングブレード47と、クリーニングブレード47によって剥がされた現像剤を収容する廃現像剤収容体49を備える。クリーニングブレード47は、一端が搬送ベルト45に接触し、他端が廃現像剤収容体49に固定されている。そして、この様なクリーニングブレード47及び廃現像剤収容体49は、搬送ベルト45の駆動方向における、濃度センサ27の下流側に配置される。
【0031】
また、画像形成装置1は、現像装置25C,25M,25Y,25K及び転写ローラ17C,17M,17Y,17Kによって用紙P上に転写された現像剤画像を用紙P上に定着させる定着装置51を備える。定着装置51は、媒体搬送経路Rにおける、現像装置25C,25M,25Y,25K及び転写ローラ17C,17M,17Y,17Kの下流側に配置される。そして、定着装置51は、図示せぬ熱源を内蔵する定着ローラ53及び定着ローラ53に押圧された加圧ローラ55によって用紙Pを挟持搬送することで用紙P上に現像剤画像を定着させる。
【0032】
以下、上述の構成を有する画像形成装置1の動作について詳細な説明をする。
【0033】
まず、画像形成装置1が印刷プロセスを行う際の動作について説明をする。
【0034】
上位装置3から画像形成装置1に画像情報が送信されると、画像形成装置1は、インターフェイス部5において画像情報を受信する。そして、印刷制御部7は、インターフェイス部5において受信した画像情報を取得し、画像情報を画像データに変換する。そして、印刷制御部7は、プロセス制御部28、現像電圧制御部29、供給電圧制御部31、層形成電圧制御部33、及びモータ制御部35に対して印刷プロセスの実行を指示する。また、印刷制御部7は、変換した画像データをプロセス制御部28に供給する。また、印刷制御部7は、RAM41を参照して、後述する画像形成条件の算出処理においてRAM41に記憶された現像バイアスの設定値、供給バイアスの設定値、及び層形成バイアスの設定値を読み出す。そして、印刷制御部7は、読み出した現像バイアスの設定値を現像電圧制御部29に供給し、供給バイアスの設定値を供給電圧制御部31に供給し、層形成バイアスの設定値を層形成電圧制御部33に供給する。
【0035】
プロセス制御部28は、印刷制御部7から供給された画像データを、1ライン毎に露光装置15に供給すると共に、図示せぬ電源から帯電ローラ21に対して電力を供給する。そして、電力を供給された帯電ローラ21は、供給された電力に基づいて感光体ドラム19の表面を一様に帯電させる。また、プロセス制御部28は、図示せぬ電源から転写ローラ17に対して電力を供給し、転写ローラ17を帯電させる。
【0036】
モータ制御部35は、印刷制御部7から印刷プロセスの実行の指示が供給されると、搬送ベルト45を駆動するパルスモータ、及び現像装置25の各部を駆動するパルスモータの駆動を開始させる。このとき、例えば上位装置3から送信された画像情報に含まれる、例えば記録媒体の種類等に応じてモータ制御部35は、印刷制御部7の指示に従って搬送ベルト45、並びに現像ローラ22、供給ローラ23、及び感光体ドラム19を印刷速度10PPM(Paper Per Minute)、又は印刷速度30PPMで駆動する。
【0037】
現像電圧制御部29は、印刷制御部7から供給された現像バイアスの設定値に示された電圧を、図示せぬ電源から現像ローラ22に供給させる。また、供給電圧制御部31及び層形成電圧制御部33も同様に、印刷制御部7から供給された供給バイアスの設定値、及び層形成バイアスの設定値に示された電圧を、図示せぬ電源から供給ローラ23及び層形成ブレード24に供給させる。
【0038】
そして、供給ローラ23に供給バイアスが印加されると、現像装置25内部の現像剤は、供給バイアスによって供給ローラ23に引き寄せられ、供給ローラ23の表面に付着する。このとき、供給ローラ23に付着する現像剤の量は、供給バイアスの設定値によって左右される。そして、表面に現像剤を付着させた供給ローラ23が、モータ群26から供給された駆動力によって回転することによって供給ローラ23の表面に付着した現像剤は、層形成ブレード24によって均される。このとき、層形成ブレード24には、層形成バイアスが印加されている為、層形成ブレード24に接触した現像剤には、所定のバイアスが印加される。その後、供給ローラ23がさらに回転すると、現像剤は、供給ローラ23と現像ローラ22の接触部まで搬送される。
【0039】
このとき、現像ローラ22には現像バイアスが印加されており、供給ローラ23に付着している現像剤は、現像ローラ22と供給ローラ23の設定値の差によって、供給ローラ23の表面から現像ローラ22の表面に移動する。そして、このとき現像ローラ22の表面に付着する現像剤の量は、現像バイアスの設定値に左右される。その後、現像ローラ22はさらに回転し、現像ローラ22の表面に付着した現像剤は、露光装置15によって表面に潜像画像を形成された感光体ドラム19に吸着される。そして、感光体ドラム19の表面に現像剤が付着することによって、感光体ドラム19の表面には、潜像画像に基づく現像剤画像が現像される。
【0040】
印刷制御部7は、この様な現像プロセスを、用紙センサ13によって用紙が搬送されるタイミングを検出しながら行う。そして感光体ドラム19に担持された現像剤画像は、用紙Pが各現像装置25C,25M,25Y,25Kの下部に搬送されるタイミングで、感光体ドラム19と転写ローラ17の設定値の差によって用紙P上に転写される。その後、現像剤画像が転写された用紙Pは、定着装置51の方向へ搬送され、定着装置51によって現像剤画像が付着され、画像形成装置1の図示せぬスタッカ上に排出される。
【0041】
次に、画像形成装置1が画像形成条件を変更する方法について図3及び図4を参照しながら詳細な説明を行う。具体的には、画像形成装置1は、異なる印刷速度で印刷された濃度検出用パターンの現像剤画像の濃度を検出し、当該検出結果に基づいて現像バイアス、供給バイアス、及び層形成バイアス等の画像形成条件を変更する。尚、本実施の形態では、画像形成装置1は、2種類の印刷速度で濃度検出用パターンを印刷するものとする。
【0042】
例えば、ユーザが画像形成装置1の電源を投入すると、画像形成装置1は、ROM39に格納された制御用プログラムを実行することによって、一連の画像形成条件の算出処理を実行する。
【0043】
一連の処理が開始すると、ステップS1において画像形成装置1は、濃度検出用パターンを印刷する際の印刷速度の設定をモータ制御部35に変更させる。画像形成装置1は、印刷速度を、予め決定された2種類の印刷速度のうち何れか一方に設定する。具体的には、本実施の形態では、画像形成装置1は、先ず印刷速度10PPMで濃度検出用パターンを印刷した後に、印刷速度30PPMで濃度検出用パターンを印刷する。そして一連の処理が開始した直後における本ステップでは、画像形成装置1は、印刷速度を速度10PPMに設定する。
【0044】
次に、ステップS2において画像形成装置1は、濃度検出用パターンの現像剤画像を印刷する。具体的には、印刷制御部7は、パターン記憶部43から濃度検出用パターンの下画像データを読み出し、当該画像データに基づく画像を印刷速度10PPMで、且つ、現像剤濃度100%で搬送ベルト45上に印刷する。このとき印刷制御部7は、ROM39に記憶された電圧の基準値を読み込んで、時刻t0において、モータの駆動速度を10PPMに立ち上げ、帯電ローラ21に印加される電圧を電圧値−1000Vに立ち下げ、現像ローラ22に印加される現像バイアスを電圧値−200Vに立ち下げ、供給ローラ23に印加される現像バイアス及び層形成ブレード24に印加される層形成バイアスを電圧値−300Vに立ち下げ、転写ローラ17に印加される電圧を電圧値4000Vに立ち上げる。その後、印刷制御部7は、時刻t1において、濃度検出用パターンの画像データに基づいて、露光装置15を駆動して感光体ドラム19上に濃度検出用パターンの潜像画像を形成する。そして、濃度検出用パターンの潜像画像の形成が終了すると、印刷制御部7は、時刻t2において露光装置15の駆動を停止させる。
【0045】
次に、ステップS3において印刷制御部7は、印刷速度を変更する必要があるか否かを判断する。具体的には、印刷制御部7は、現在設定されている印刷速度が印刷速度10PPである場合は印刷速度を変更する必要があると判断し、一方、現在設定されている印刷速度が30PPMである場合は印刷速度を変更する必要がないと判断する。そして、印刷制御部7が、印刷速度を変更する必要があると判断した場合は、再度ステップS1の処理を実行する。そして、ステップS1において印刷制御部7は、濃度検出用パターンの印刷速度を印刷速度30PPMに設定する。そして、印刷制御部7は、時刻t3において搬送ベルト45、並びに現像ローラ22、供給ローラ23、及び感光体ドラム19の駆動速度を印刷速度30PPMに立ち上げ、再度ステップS2の処理を実行する。
【0046】
画像形成装置1によってこれまでの処理が実行されると、搬送ベルト45には図5に示す様に、印刷速度10PPMで印刷された濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10、及び印刷速度30PPMで印刷された濃度検出用パターンPC30,PM30,PY30,PK30が連続的に印刷される。
【0047】
次に、ステップS4において印刷制御部7は、搬送ベルト45に担持された濃度検出用パターンの現像剤濃度を検出する。具体的には、印刷制御部7は、濃度センサ制御部37に対して濃度センサ27を駆動して濃度検出用パターンの現像剤濃度を検出する旨の指示を供給する。そして、かかる指示のもと濃度センサ制御部35は、時刻t4において濃度センサ27を駆動させ、濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10の現像剤濃度を検出させる。印刷制御部7は、かかる動作に合わせて、濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10の現像剤濃度が検出可能となるよう、モータ群26の駆動速度を印刷速度10PPMに立ち下げ、搬送ベルト45の駆動速度を変化させる。そして、印刷制御部7は、一定の時間が経過して搬送ベルト45に担持された濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10が濃度センサ27を通過したと判断すると、時刻t5において印刷制御部7はモータ群26の駆動速度を印刷速度30PPMに立ち上げ、搬送ベルト45の駆動速度を変化させる。そして、搬送ベルト45の駆動速度が変化すると、濃度検出用パターンPC30,PM30,PY30,PK30は、印刷速度30PPMで濃度センサ27を通過し、濃度センサ27によって現像剤濃度が検出される。そして、濃度検出用パターンPC30,PM30,PY30,PK30が濃度センサ27を通過した後、時刻t6において印刷制御部7は、モータ群26の駆動を停止させ、帯電ローラ21に印加されている電圧を電圧値0Vに立ち上げ、現像ローラ22に印加されている現像バイアスを電圧値0Vに立ち上げ、供給ローラ23に印加されている供給バイアス及び層形成ブレード24に印加されている層形成バイアスを電圧値0Vに立ち上げ、転写ローラ17に印加されている電圧を電圧値0Vに立ち下げ、濃度センサ27の駆動を停止させる。
【0048】
次に、ステップS5において印刷制御部7は、濃度センサ27によって検出された濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10及び濃度検出用パターンPC30,PM30,PY30,PK30の現像剤濃度の検出結果をRAM41に記憶させる。
【0049】
次に、ステップS6においてCPU11は、ROM39に記憶された制御用プログラムを実行し、RAM41に記憶された濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10及び濃度検出用パターンPC30,PM30,PY30,PK30現像剤濃度に基づいて画像形成条件を算出する。具体的には、CPU11は、濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10及び濃度検出用パターンPC30,PM30,PY30,PK30現像剤濃度に基づいて、印刷プロセス時に現像ローラ22に印加すべき現像バイアスの電圧値、供給ローラ23に印加すべき供給バイアスの電圧値、及び層形成ブレード24に印加すべき層形成バイアスの電圧値を算出する。
【0050】
発明者の実験に因れば、印刷速度30PPM時、及び印刷速度10PPM時における現像剤画像の濃度値(OD値)と現像バイアスの電圧値(V)との関係は、図6に示す様な関係となる。そして、座標軸上にプロットされた各値に基づいて近似直線を求めると、印刷速度30PPM時におけるOD値と現像バイアスの電圧値との関係は、
=−0.003x+0.8 (式1)
によって表される。一方、印刷速度30PPM時におけるOD値と現像バイアスの電圧値との関係は、
=−0.003x+0.9 (式2)
によって表される。すなわち、式1及び式2に因れば印刷速度が10PPMの場合、及び印刷速度が30PPMの場合においては、濃度値(OD値)と現像バイアスの電圧値(V)との関係では、傾きが値−0.003となる。そして、変数x,xは現像バイアスの電圧値を示し、変数y,yは現像剤画像のOD値を示す値である為、目標とするOD値決定すれば、当該OD値を得る為に現像ローラ22に印加すべき現像バイアスの電圧値を導出することが可能となる。
【0051】
具体的には、画像形成装置1のROM39には、
現像バイアスの補正値=(検出されたOD値−目標とすべきOD値)/0.003 (式3)
が記憶されており、CPU11は、式3を用いて現像バイアスの補正値を算出する。この式3では、目標とすべきOD値と現像装置25によって印刷された濃度検出用パターンの現実のOD値との差を補正する為に必要な現像バイアスが算出される。そして例えば、目標とすべきOD値が値1.5であり、検出センサSによって検出されRAM41に記憶されたOD値が値1.6である場合、CPU11は、誤差であるOD値0.1を補正する為に必要な現像バイアスを算出する為に式3にこれらの値を代入し、
現像バイアスの補正値=(1.6−1.5)/0.003=33V (式4)
が導出される。そして、検出センサSによって検出された濃度検出用パターンは、現像バイアスを電圧値−200Vとして印刷され、検出された値である為、CPU11は、式4で算出された現像バイアスの補正値33Vを印刷時の現像バイアスの電圧値−200Vに加算して、現像バイアスの補正後の設定値−167Vを導出する。
【0052】
その後、ステップS7においてCPU11は、この様な算出方法、及びRAM41に記憶された濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10のOD値を参照して、印刷速度10PPMで印刷プロセスを実行する際の現像ローラ22C,22M,22Y,22Kに対して印加すべき現像バイアスの補正後の設定値を算出し、RAM41に記憶させる。また、CPU11は、上述の算出方法、及びRAM41に記憶された濃度検出用パターンPC30,PM30,PY30,PK30のOD値を参照して、印刷速度30PPMで印刷プロセスを実行する際の現像ローラ22C,22M,22Y,22Kに対して印加すべき現像バイアスの補正後の設定値を算出し、RAM41に記憶させる。
【0053】
また、ステップS6においてCPU11は、現像バイアスの補正後の設定値に基づいて供給ローラ23に印加されるべき供給バイアスの設定値、及び層形成ブレード24に印加されるべき層形成バイアスの設定値を算出する。具体的には、CPU11は、ROM39に記憶された算出式に基づいて供給バイアスの設定値及び層形成バイアスの設定値を算出する。例えば、
供給バイアスの設定値=現像バイアスの補正後の設定値−100V (式5)
及び、
層形成バイアスの設定値=供給バイアスの設定値 (式6)
が供給バイアスの設定値及び層形成バイアスの設定値の算出式としてROM39に記憶されていたとすると、CPU11は、ROM39に記憶されたこれらの式を読み出して、供給バイアスの設定値及び層形成バイアスの設定値を算出する。上述の例で説明すると、CPU11は、式5をROM39から読み出し、式5にRAM41に記憶された現像バイアスの補正後の設定値を代入し、供給バイアスの補正後の設定値−267Vを算出する。さらにCPU11は、算出した供給バイアスの補正後の設定値−267V、及び式6に基づいて層形成バイアスの補正後の設定値−267Vを算出する。
【0054】
その後、ステップS7においてCPU11は、算出した供給バイアス及び層形成バイアスをRAM41に記憶させ、一連の処理を終了する。
【0055】
そして、この様にしてRAM41に記憶された現像バイアスの補正後の設定値、並びに供給バイアスの補正後の設定値、及び層形成バイアスの補正後の設定値は、画像形成装置1が印刷プロセスを実行する際に印刷制御部7によって参照され、印刷制御部7の指示のもと現像電圧制御部29、供給電圧制御部31、及び層形成電圧制御部33によって設定値が変更される。
【0056】
この様に、画像形成装置1は、画像情報に含まれる記録媒体の種類に応じて印刷速度を変化させることが可能であり、これに合わせて画像形成装置1は、濃度検出用パターンを印刷する際にも印刷速度10PPM及び印刷速度30PPMの2種類の速度で連続的に印刷を行う。そして、画像形成装置1は、これら2種類の速度で印刷された2種類の濃度検出用パターンの現像剤濃度を、印刷時の速度と同一の速度で検出する。これにより画像形成装置1は、2種類の濃度検出用パターンに基づいて検出された現像剤濃度を用いて印刷プロセス時に使用する現像バイアスの設定値、供給バイアスの設定値、又は層形成バイアスの設定値を算出する為、2種類の印刷速度に対応させた画像形成条件を算出することができる。そして、画像形成装置1は、各印刷速度に対応させた画像形成条件を算出し、印刷プロセス時の印刷速度に応じて画像形成条件を変更させることによって、各印刷速度に最適な画像形成条件を算出することが可能となり、従来用いられていた画像形成装置と比較してより高画質な現像剤画像を印刷することが出来る。
【0057】
また、画像形成装置1は、各印刷速度に応じた濃度検出用パターンを連続的に印刷し、濃度検出を行う為、画像形成条件の算出処理を迅速に行うことが出来る。
【0058】
次に、本発明を適用した画像形成装置の第2の実施の形態について詳細な説明をする。尚、第2の実施の形態にかかる画像形成装置は、画像形成装置1と同一の構成を有する箇所がある為、その箇所については詳細な説明を省略し、差異のある箇所についてのみ詳細な説明を行う。
【0059】
図7に示す様に、第2の実施の形態にかかる画像形成装置57は、画像形成装置1の構成に加えて、用紙Pの種類、及び厚さ等に関する情報が入力される入力部59を備える。
【0060】
入力部59は、例えば画像形成装置57に形成された操作パネルであり、ユーザが操作することによって、画像形成装置57に対して印刷プロセス時に使用すべき記録媒体の種類及び記録媒体の厚さに関する情報を入力する。そして、入力部59は、入力された記録媒体の種類及び記録媒体の厚さに関する情報を印刷制御部7に供給する。そして、印刷制御部7に供給された記録媒体の種類及び記録媒体の厚さに関する情報は、RAM41に記憶される。
【0061】
また、画像形成装置57のROM39に記憶された、画像形成装置57の制御用プログラムについても、画像形成装置1のROM39に記憶された制御用のプログラムとは異なる箇所がある。具体的には、画像形成装置57のROM39に記憶された制御用プログラムは、印刷プロセス時に印刷速度を決定する際に、入力部59に入力され、RAM41に記憶された記録媒体の種類及び記録媒体の厚さに関する情報を参照して、印刷速度を決定する。画像形成装置1は、記録媒体の厚さが厚くなるに従って印刷速度が遅くなる様に各部を制御する。
【0062】
以下、画像形成装置57が画像形成条件を変更する方法について図8を参照しながら詳細な説明を行う。具体的には、画像形成装置57は、異なる印刷速度で印刷された濃度検出用パターンの現像剤画像を検出し、当該検出結果に基づいて現像バイアス、供給バイアス、及び層形成バイアス等の画像形成条件を変更する。そして、画像形成装置57は、印刷の際に使用される用紙の種類及び重さに関する情報に基づいて濃度検出用パターンの印刷速度を設定する。
【0063】
一連の処理が開始すると、ステップS10において画像形成装置57は、印刷の際に使用される用紙の種類及び重さを検出する。具体的には、画像形成装置57は、図示せぬ表示部を用いてユーザに対して用紙の種類及び重さに関する情報の入力を要求する。そして、入力部59に用紙の種類及び重さに関する情報が入力されると、画像形成装置57は、用紙の種類及び重さに関する情報をRAM41に記憶させる。
【0064】
次に、ステップS11において画像形成装置57は、RAM41に記憶された用紙の種類及び重さに関する情報に基づいて濃度検出用パターンを印刷する際の印刷速度を設定する。例えば、画像形成装置1は、表1に示す様なテーブルをRAM41に記憶する。そして画像形成装置1は、印刷プロセス時にRAM41を参照して、例えば用紙の連量が55kgから77kgの場合は、印刷速度を30PPMに設定する。
【表1】

【0065】
次に、ステップS12において画像形成装置57は、設定された印刷速度で濃度検出用パターンの現像剤画像を印刷する。具体的には、印刷制御部7は、ステップS11において設定した印刷速度に基づいて各部を制御し、濃度検出用パターンを印刷する。
【0066】
次に、ステップS13において印刷制御部7は、印刷速度を変更する必要があるか否かを判断する。具体的には、印刷制御部7は、印刷に使用する用紙の種類に応じて印刷速度を変更する必要があるか否かを判断する。例えば、ユーザが印刷用に、通常の用紙と、OHP用紙とを用いることを指定した場合、印刷制御部7は、通常の用紙の印刷時に用いる印刷速度と、OHP用紙の印刷時に用いる印刷速度との2種類の印刷速度で印刷することが必要であると判断する。そして、印刷制御部7は、用紙の種類数に応じてステップS11及びステップS12の処理を実行する。
【0067】
次に、ステップS14において印刷制御部7は、搬送ベルト45に担持された濃度検出用パターンの現像剤濃度を検出し、ステップS15において検出結果をRAM41に記憶させる。
【0068】
次に、ステップS16において印刷制御部7は、ROM39に記憶された制御用プログラムを実行し、RAM41に記憶された濃度検出用パターンの現像剤濃度に基づいて画像形成条件を算出し、ステップS17において画像形成条件をRAM41に記憶させ、一連の処理を終了する。
【0069】
その後、画像形成装置57は、画像形成装置1と同様の方法で、画像形成条件に基づいて現像電圧制御部29、供給電圧制御部31、及び層形成電圧制御部33を制御し、印刷データに基づく現像剤画像を用紙上に印刷する。
【0070】
この様に、画像形成装置57によれば、印刷時に使用する媒体の種類に応じて現像剤画像の濃度補正を行うことが可能となる為、効率的に濃度補正を行うことができる。
【0071】
尚、上述の実施の形態においては、搬送ベルト45上に印刷された現像剤画像の現像剤濃度を濃度センサ27を用いて検出する際、印刷制御部7は、モータ群26の駆動速度を、検出する濃度検出用パターンの印刷時の速度に合わせて制御することとしたが、かかる制御を行わず、搬送ベルト45の駆動速度を一定の速度に保った状態で、異なる印刷速度で印刷された濃度検出用パターンの現像剤濃度を検出することも可能である。具体的には、濃度検出用パターンの現像剤濃度を検出する際、画像形成装置1,57は、濃度検出用パターンの、媒体搬送経路R方向の長さを、2種類の印刷速度のうち何れか一方の印刷速度に対応させて変化させる。例えば、画像形成装置1は、印刷速度10PPM及び印刷速度30PPMで濃度検出用パターンを印刷することとしたが、印刷速度30PPMで濃度検出用パターンを印刷した場合における濃度検出用パターンPC30,PM30,PY30,PK30の媒体搬送経路R方向における長さをXとし、濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10の媒体搬送経路R方向における長さを「実際の印刷速度/本来の印刷速度」と長さXとを乗じた値3Xとすることによって、画像形成装置は一定の印刷速度で異なる濃度検出用パターンの印刷、及び該濃度検出用パターンの現像剤濃度の検出処理を行うことが可能となる。
【0072】
この場合、画像形成装置1は、ROM39に記憶された制御用プログラムを実行し、先ず印刷速度10PPMで、濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10を搬送ベルト45上に印刷する。そして、全ての濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10の印刷が終了した後、から濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10の現像剤濃度の検出が開始するまでの間に印刷速度を30PPMに切り替える。そして、画像形成装置1は、印刷速度を印刷速度30PPMに切り替えた後に、濃度検出用パターンPC30,PM30,PY30,PK30の潜像画像の露光を開始する。このとき図9に示す様に、画像形成装置1は、印刷速度を印刷速度30PPMに切り替える前に濃度検出処理が開始してしまうことを防止する為に、濃度検出用パターンPK10の矢印A方向における先端部から、濃度検出用パターンPC10の矢印A方向における後端部までの距離D1を、最下流にある現像装置25Cの感光体ドラム19Cと転写ローラ17Cとのニップ部から、濃度センサの検出開始位置SSまでの距離D2よりも短くなる様に、濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10を印刷する。
【0073】
この様な濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10を印刷する場合、図10に示す様に画像形成装置1は、ROM39に記憶された制御用プログラムに基づいて、時刻t10においてモータの駆動速度を10PPMに立ち上げる。そして、画像形成装置1は、時刻t11において露光装置15Kの駆動を立ち上げ、感光体ドラム19Kに潜像画像を形成する。そして、画像形成装置1は、長さ3Xに相当する濃度検出用パターンPK10を感光体ドラム19K上に形成した後、時刻t12において露光装置15Kの駆動を立ち下げる。そして、画像形成装置1は、濃度検出用パターンPY10を印刷すべきタイミングを計測して、時刻t13において露光装置15Yを立ち上げ、時刻t14において露光装置15Yを立ち下げることにより濃度検出用パターンPY10を印刷する。さらに画像形成装置1は、時刻t15から時刻t18までの間に同様の動作を繰り返し、濃度検出用パターンPM10,PC10を搬送ベルト45上に印刷する。
【0074】
次に、画像形成装置1は、時刻t19においてモータの駆動速度を30PPMに立ち上げると共に、露光装置15Kの駆動を立ち上げ、濃度センサ27の駆動を立ち上げる。この時刻t19のタイミングは、時刻t18において感光体ドラム19C上に形成された濃度検出用パターンPC10の現像剤画像が完全に搬送ベルト45上に転写された後である。そして画像形成装置1は、モータの駆動速度を30PPMに維持した状態で、時刻20において露光装置15Kの駆動を立ち下げることにより、感光体ドラム19K上に濃度検出用パターンPK30の潜像画像を形成する。尚、このとき時刻t19から時刻t20までの時間は、時刻t11から時刻t12までの時間の略1/3に相当する。そして、画像形成装置1は、時刻t21から時刻t26までの間に同様の動作を繰り返し、濃度検出用パターンPY30,PM30,PC30を搬送ベルト45上に印刷する。
【0075】
尚、時刻t19において露光装置15K及び濃度センサ27を立ち上げる必要はなく、このタイミングでは、少なくともモータの駆動速度が30PPMになっていれば良い。そして露光装置15及び濃度センサ27の駆動を立ち上げるタイミングは、時刻t19以降であれば良い。
【0076】
これにより、画像形成装置1は、濃度検出用パターンPC30,PM30,PY30,PK30の印刷プロセスを実行しながら、濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10の濃度検出処理を行うことができる。そして、この様に濃度検出用パターンPC30,PM30,PY30,PK30の印刷プロセスと、濃度検出用パターンPC10,PM10,PY10,PK10の濃度検出処理とを同時に行うことによって、画像形成装置1は、無駄な動作を行うことなく、画像形成条件の変更処理を高速化することができる。
【0077】
また、上記説明では、濃度検出用パターンの長さを印刷速度に応じて変化させることとしたが、濃度検出用パターンの長さを同じにし、濃度センサ27の検出の周期を印刷速度に応じて変化させることによっても同様の効果を得ることができる。
【0078】
また、上述の実施の形態では、濃度検出用パターンを、媒体搬送経路R方向の上流側からシアン色の濃度検出用パターンPC10,PC30、マゼンタ色の濃度検出用パターンPM10,PM30、イエロ色の濃度検出用パターンPY10,PY30、及びブラック色の濃度検出用パターンPK10,PK30を順次印刷することとしたが、かかる順番を逆にすることも可能である。この場合、濃度検出用パターンは、媒体搬送経路R方向の上流側から、ブラック色の濃度検出用パターンPK10,PK30、イエロ色の濃度検出用パターンPY10,PY30、マゼンタ色の濃度検出用パターンPM10,PM30、及びシアン色の濃度検出用パターンPC10,PC30の準で搬送ベルト45上に印刷される。
【0079】
また、上述の実施の形態においては、タンデム式の画像形成装置を用いて詳細な説明を行ったが、本発明は、中間転写式の画像形成装置、MFP(Multi Function Peripherals)、ファックス、及び複写機等についても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1の実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同画像形成装置の構造の概略を示す立面図である。
【図3】同画像形成装置の動作を示すフロー図である。
【図4】同画像形成装置の各部の動作の遷移を示すグラフである。
【図5】同画像形成装置によって印刷される濃度検出用パターンの例を示す図である。
【図6】本願発明者の実験による濃度値とバイアス電圧値との関係を示すグラフである。
【図7】第2の実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図8】同画像形成装置の動作を示すフロー図である。
【図9】変形例としての画像形成装置の構造の概略を示す立面図である。
【図10】同画像形成装置の各部の動作の遷移を示すグラフである。
【符号の説明】
【0081】
1,57 画像形成装置
3 上位装置
5 インターフェイス部
7 印刷制御部
9 メモリ
11 CPU
13 用紙センサ
15 露光装置
15C、15M、15Y、15K 露光装置
17C、17M、17Y、17K 転写ローラ
19C,19M,19Y,19K 感光体ドラム
21C,21M,21Y,21K 帯電ローラ
22C,22M,22Y,22K 現像ローラ
23C、23M、23Y、23K 供給ローラ
24C,24M,24Y,24K 層形成ブレード
25C,25M,25Y,25K 現像装置
26 モータ群
27 濃度センサ
28 プロセス制御部
29 現像電圧制御部
31 供給電圧制御部
33 層形成電圧制御部
35 モータ制御部
37 濃度センサ制御部
43 パターン記憶部
45 搬送ベルト
47 クリーニングブレード
49 廃現像剤収容体
51 定着装置
53 定着ローラ
55 加圧ローラ
57 画像形成装置
59 入力部
PC10,PM10,PY10,PK10 濃度検出用パターン
PC30,PM30,PY30,PK30 濃度検出用パターン
S 検出センサ
R 媒体搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の濃度検出用現像剤画像及び入力された画像情報に基づく現像剤画像を現像する現像装置と、
前記現像装置によって現像された前記濃度検出用現像剤画像を担持する画像担持体と、
前記画像担持体によって担持された前記濃度検出用現像剤画像の現像剤濃度を検出する濃度検出部と、
前記濃度検出部の検出結果に基づいて、前記現像装置が前記画像情報に基づく現像剤画像を現像する際の画像形成条件を変更する画像形成条件変更部とを備え、
前記現像装置は、
所定の第1駆動速度によって前記濃度検出用現像剤画像を現像した後、前記第1駆動速度とは速度が異なる第2駆動速度によって前記濃度検出用現像剤画像を現像し、
前記濃度検出部は、前記第1駆動速度によって現像され前記画像担持体に担持された前記濃度検出用現像剤画像の第1現像剤濃度及び前記第2駆動速度によって現像され前記画像担持体に担持された前記濃度検出用現像剤画像の第2現像剤濃度を検出し、
前記画像形成条件変更部は、前記濃度検出部によって検出された前記第1現像剤濃度及び前記第2現像剤濃度に基づいて前記画像形成条件を変更すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像装置は、前記第1駆動速度又は前記第2駆動速度の何れかの駆動速度に合わせて前記濃度検出用現像剤画像の前記画像担持体の駆動方向における長さを変化させ、
前記濃度検出部は、前記現像装置が変化させた前記濃度検出用画像の長さに応じて前記第1駆動速度又は前記第2駆動速度の何れかの駆動速度に合わせて前記濃度検出用画像の前記第1現像剤濃度及び前記第2現像剤濃度を検出すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像装置は、前記第1駆動速度によって前記濃度検出用現像剤画像を前記画像担持体に担持させた後、且つ当該画像担持体に担持された前記第1駆動速度によって現像された前記濃度検出用現像剤画像が前記濃度検出部によって検出することが可能な位置に到達する前に、駆動速度を前記第2駆動速度に切り替えること、
を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1駆動速度によって前記画像担持体に担持された前記濃度検出用現像剤画像の前記駆動速度における長さは、前記画像担持体の周長方向における前記現像装置から前記濃度検出部までの距離よりも短いこと、
を特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像装置は、
印加された現像バイアスを用いて現像剤を吸着する現像剤担持体と、
印加された供給バイアスを用いて現像剤を吸着し当該吸着した現像剤を前記現像剤担持体に供給する現像剤供給体と、
印加された帯電バイアスを用いて現像剤を帯電させると共に、前記現像剤供給体に吸着された前記現像剤を薄膜化させて前記現像剤供給体表面に現像剤層を形成する層形成部材を備え、
前記画像形成条件変更部は、前記濃度検出部によって検出された前記第1現像剤濃度及び前記第2現像剤濃度に基づいて前記現像剤担持体に印加される現像バイアスの、前記現像剤供給体に印加される供給バイアスの値、及び/又は前記層形成部材に印加される帯電バイアスを変更すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
所定の濃度検出用現像剤画像及び入力された画像情報に基づく現像剤画像を現像する現像装置を所定の第1駆動速度で駆動させて、前記濃度検出用現像剤画像を担持する画像担持体に、前記濃度検出用現像剤画像を担持させる第1画像担持工程と、
前記第1駆動速度とは速度が異なる第2駆動速度で前記現像装置を駆動させて前記画像担持体に前記濃度検出用現像剤画像を担持させる第2画像担持工程と、
前記第1画像担持工程及び前記第2画像担持工程において前記画像担持体に担持された2種類の前記濃度検出用現像剤画像の現像剤濃度を検出する検出工程と、
前記検出工程における検出結果に基づいて前記現像装置が前記画像情報に基づく現像剤画像を現像する際の画像形成条件を変更する画像形成条件変更工程と、
を備えることを特徴とする現像剤画像の濃度補正方法。
【請求項7】
現像剤画像を形成する画像形成装置に実行可能な画像形成装置制御用プログラムであって、
前記画像形成装置に、
所定の第1駆動速度で現像剤画像を現像する現像装置に第1濃度検出用現像剤画像を現像させる第1現像制御手段、
前記第1駆動速度で現像された前記第1濃度検出用現像剤画像を現像剤画像を担持する画像担持体に担持させる第1画像担持制御手段、
前記第1駆動速度とは速度が異なる第2駆動速度で前記現像装置に第2濃度検出用現像剤画像を現像させる第2現像制御手段、
前記第2駆動速度で現像された前記第2濃度検出用現像剤画像を前記画像担持体に担持させる第2画像担持制御手段、
前記画像担持体に担持された前記第1濃度検出用現像剤画像の現像剤濃度、及び前記第2濃度検出用現像剤画像の現像剤濃度を現像剤画像の現像濃度を検出する濃度検出部に検出させる濃度検出制御手段、並びに
前記第1濃度検出用現像剤画像の現像剤濃度及び前記第2濃度検出用現像剤画像の現像剤濃度に基づいて画像形成条件を変更させる画像形成条件変更部に、前記画像形成条件を変更させる画像形成条件変更制御手段として機能させること、
を特徴とする画像形成装置制御用プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−83548(P2008−83548A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265245(P2006−265245)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】