説明

画像形成装置、画像処理方法、及びプログラム

【課題】スキャンされた画像の出力処理に関するセキュリティを適切に確保すること。
【解決手段】原稿より画像データを読み取る画像データ入力手段と、前記画像データより文字データ及び前記文字データに関する前記画像データにおける位置情報を抽出する文字データ抽出手段と、出力を制限する制限文字列を記憶した制限文字列記憶手段と、前記文字データに前記制限文字列が含まれているか否かを判定することにより、前記画像データの加工の要否を判定する加工要否判定手段と、加工が必要であると判定された場合に、前記位置情報に基づいて、前記画像データにおける前記制限文字列の部分を解読不能に加工する加工手段と、加工された画像データを出力する出力手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、機密情報が記載された機密文書等もスキャンの対象とされる。したがって、スキャンされた画像データに関するセキュリティの確保は重要である。特に、スキャンされた画像データがFAX送信又はメール送信等、オフィスの外部に送信される可能性が有る場合、当該画像データの取り扱いには注意を要する。また、スキャンされた画像データが印刷される場合(すなわち、コピーが実行される場合)についても、コピー文書が配布されるのであれば、やはり、コピー文書の取り扱いには注意を要する。
【0003】
そこで、従来、画像形成装置においてスキャンされた画像について、セキュリティを確保するための技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術は、制限された文書に該当すると判定された場合、ジョブの実行が中止されてしまうというものであった。したがって、一部分を隠蔽すれば出力しても支障はない場合、ユーザは、原稿にマーカーを施す等して当該一部分を隠蔽し、ジョブの実行をやり直さなければならないという煩雑さがあった。また、ユーザがマーカー等を施す場合、特に原稿の枚数が多い場合においては、人的ミスが発生する可能性が高くなり、隠蔽すべき箇所に漏れが生じる可能性があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、スキャンされた画像の出力処理に関するセキュリティを適切に確保することのできる画像形成装置、画像処理方法、及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで上記課題を解決するため、本発明は、原稿より画像データを読み取る画像データ入力手段と、前記画像データより文字データ及び前記文字データに関する前記画像データにおける位置情報を抽出する文字データ抽出手段と、出力を制限する制限文字列を記憶した制限文字列記憶手段と、前記文字データに前記制限文字列が含まれているか否かを判定することにより、前記画像データの加工の要否を判定する加工要否判定手段と、加工が必要であると判定された場合に、前記位置情報に基づいて、前記画像データにおける前記制限文字列の部分を解読不能に加工する加工手段と、加工された画像データを出力する出力手段とを有する。
【0007】
このような画像形成装置では、スキャンされた画像の出力処理に関するセキュリティを適切に確保することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スキャンされた画像の出力処理に関するセキュリティを適切に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における画像形成装置の機能構成例を示す図である。
【図3】本実施の形態の画像形成装置による処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図4】制限文字列記憶部の構成例及び具体例を示す図である。
【図5】アドレス帳記憶部の構成例及びアドレス帳記憶部の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。図1において、画像形成装置10は、コントローラ11、スキャナ12、プリンタ13、モデム14、操作パネル15、ネットワークインタフェース16、及びSDカードスロット17等のハードウェアを有する。
【0011】
コントローラ11は、CPU111、RAM112、ROM113、及びHDD114等を有する。ROM113には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記録されている。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD114には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記録される。
【0012】
スキャナ12は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェアである。プリンタは13、印刷データを印刷用紙に印刷するためのハードウェアである。モデム14は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。操作パネル15は、ユーザからの入力の受け付けを行うめのボタン等の入力手段や、液晶パネル等の表示手段を備えたハードウェアである。ネットワークインタフェース16は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット17は、SDカード80に記録されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置10では、ROM113に記録されたプログラムだけでなく、SDカード80に記録されたプログラムもRAM112にロードされ、実行されうる。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態における画像形成装置の機能構成例を示す図である。同図において、画像形成装置10は、指示入力受付部121、画像入力制御部122、文字情報抽出部123、加工要否判定部124、加工部125、画像出力制御部126、制限文字列記憶部127、及びアドレス帳記憶部128等を有する。これら各部は、画像形成装置10のRAM112にロードされたプログラムがCPU111に実行させる処理により実現される。
【0014】
指示入力受付部121は、操作パネル15等を介して、ジョブの実行指示等を受け付ける。本実施の形態において指示されうるジョブとしては、コピージョブ、FAX送信ジョブ、配信ジョブ等が挙げられる。コピージョブは、一般的なコピーに関するジョブである。FAX送信ジョブは、一般的なFAX送信に関するジョブである。配信ジョブは、スキャンされた画像データのネットワーク配信を実行するジョブである。配信に利用される通信プロトコル等は所定のものに限定されない。電子メールであってもよいし、FTP(File Transfer Protocol)、HTTP(HyperText Transfer Protocol)等が利用されてもよい。指示入力受付部121は、ジョブの種類に応じた設定情報(実行条件)の指定も受け付ける。
【0015】
画像入力制御部122は、スキャナ12に原稿の読み取りを実行させ、原稿より読み取られた情報に基づいて所定の形式の画像データ(例えば、2値画像データ)を生成する。画像入力制御部122によって生成される画像データを、以下「スキャン画像50」という。
【0016】
文字情報抽出部123は、公知又は周知のOCR処理(文字認識処理)をスキャン画像50に対して実行し、スキャン画像50より文字データ(テキストデータ)と、文字データに含まれる各文字の位置情報52と等を出力する。抽出された文字データを、以下「抽出文字列51」という。位置情報52とは、スキャン画像50における文字の座標情報である。座標は、例えば、画素単位である。
【0017】
加工要否判定部124は、制限文字列記憶部127に記憶されている情報に基づいてスキャン画像50の加工の要否を判定する。制限文字列記憶部127は、HDD114又はSDカード80において、出力(印刷又は送信等)が制限又は禁止される文字列(以下、「制限文字列」という。)を記憶した記憶領域(例えば、テーブル等)である。したがって、加工要否判定部124は、抽出文字列51に制限文字列が含まれているか否かによってスキャン画像50の加工の要否を判定する。なお、加工要否判定部124は、実行するジョブの種別がFAX送信ジョブ又は配信ジョブである場合は、アドレス帳記憶部128に記憶されたアドレス帳も参照してスキャン画像50の加工の要否を判定する。アドレス帳記憶部128は、HDD114に又はSDカード80においてアドレス帳が記憶された記憶領域である。アドレス帳とは、FAX送信ジョブや配信ジョブにおける宛先の候補(送信先の候補)ごとに、宛先の識別情報(FAX番号又はメールアドレス等)を含む情報である。なお、本実施の形態において、アドレス帳記憶部128は、送信先別制限情報記憶手段の一例に相当する。
【0018】
加工部125は、加工要否判定部124によって加工が必要であると判定された場合に、スキャン画像50に対する加工を実行する。加工とは、スキャン画像50において制限文字列が存在する(位置する)箇所(部分)を少なくとも人間にとって解読不能とする画像処理をいう。スキャン画像50において制限文字列が存在する箇所は、位置情報52に基づいて判定される。なお、加工部125によって加工されたスキャン画像50を加工データ53という。
【0019】
画像出力制御部126は、加工データ53の出力処理を制御する。出力処理の内容はジョブの種類によって異なる。コピージョブであれば印刷であり、FAXジョブであればFAX送信であり、配信ジョブであれば配信(ネットワークを介した送信又は転送)である。
【0020】
以下、画像形成装置10の処理手順について説明する。図3は、本実施の形態の画像形成装置による処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0021】
ステップS101において、指示入力受付部121は、操作パネル15を介してユーザよりジョブ(コピージョブ、FAX送信ジョブ、又は配信ジョブ)の実行指示を受け付ける。ジョブの実行指示に伴って、ジョブに対する設定情報が指定される。FAX送信ジョブ又は配信ジョブの場合、設定情報には、宛先(送信先)の指定(宛先を示す情報)が含まれる。その他、設定情報には、画像読み取り時の解像度等、一般的なパラメータも含まれる。
【0022】
続いて、画像入力制御部122は、スキャナ12を制御して、原稿の読み取りを実行させ、読み取られた情報に基づいてスキャン画像50をRAM112内に生成する(S102)。続いて、文字情報抽出部123は、スキャン画像50に対してOCR処理を実行し、抽出文字列51及び位置情報52をスキャン画像50より抽出する(S103)。文字情報抽出部123は、抽出された抽出文字列51及び位置情報52をRAM112に記録する。
【0023】
続いて、加工要否判定部124は、制限文字列記憶部127に登録されている制限文字列を抽出文字列51より検索(検出)する(S104)。
【0024】
図4は、制限文字列記憶部の構成例及び具体例を示す図である。同図において(A)は、制限文字列記憶部127の構成例(構造例)を示す。また、(B)は、具体的な値が記録された具体例を示す。
【0025】
(A)に示されるように、制限文字列記憶部127は、制限文字列ごとに、確認要否、加工方法、及び制限レベル等の属性情報を記憶する。確認要否は、制限文字列が検出された場合に、スキャン画像50の加工の要否をユーザに問い合わせる必要があるか否かを示す情報であり、「要」又は「否」のいずれかの値をとる。加工方法は、スキャン画像50において当該制限文字列が存在する箇所に対する加工方法を示す情報である。加工方法としては、例えば、白抜き、べた塗り、キーコード変換等がある。白抜きは、当該箇所を白抜きにする(当該箇所の画素値を「0」にする)処理である。べた塗りは、当該箇所を塗りつぶす(当該箇所の画素値を「1」にする)処理である。キーコード変換は、暗号鍵のようなキーコードによって、当該箇所を復元可能なデータ変換(可逆変換)し、変換後のデータの値を示すQRコード等を当該箇所に合成する処理である。キーコードによる変換対象は、文字列(文字コードによる情報)であってもよいし、当該箇所の画素の配列情報であってもよい。前者の場合、復元時には、文字列が得られ、その文字列がスキャン画像50に合成されることになる。後者の場合、復元時には、当該箇所の画像が得られ、当該画像がスキャン画像50に合成されることになる。制限レベルは、制限文字列に対する制限の強度を示す情報である。制限レベルの値が大きければ大きい程、制限の強度は高い(加工される可能性は高い)。但し、「0」(零)は、最も強度が高いことを示す。
【0026】
例えば、図中(B)における、レコードaは、制限文字列は「aaa」、確認要否は「要」、加工方法は「白抜き」、制限レベルは「0」とされている。
【0027】
抽出文字列51より制限文字列が検索された場合(S105でYes)、加工要否判定部124は、抽出文字列51より検索(検出)された制限文字列の一覧(ここでは、要素が一つの場合も一覧という)をRAM112に記録し、一覧の中の一つの制限文字列を処理対象とする(S106)。以下、処理対象とされた制限文字列を「カレント制限文字列」という。
【0028】
続いて、加工要否判定部124は、カレント制限文字列の属性情報の確認要否を参照して、スキャン画像50の加工についてユーザによる確認の要否を判定する(S107)。加工要否の値が「否」である場合(S107でNo)、加工要否判定部124は、後述されるステップS108及びS109は実行せずに、ステップS110に進む。確認要否の値が「要」である場合(S107でYes)、加工要否判定部124は、加工の要否をユーザに指定させるための画面(加工要否指定画面)を操作パネル15に表示させ、加工要否指定画面を介して加工の要否の指定をユーザより受け付ける(S108)。なお、加工要否指定画面には、カレント制限文字列を表示させ、当該カレント制限文字列の出力を制限する必要があるか否かを問い合わせるメッセージを表示させるとよい。
【0029】
加工要否指定画面においてスキャン画像50の加工が必要である旨が指定された場合(S109でYes)、又はカレント制限文字列の確認要否の値が「否」である場合(S107でNo)、加工要否判定部124は、実行対象のジョブが送信系のジョブ(FAX送信ジョブ又は配信ジョブ)であるか否かを判定する(S110)。実行対象のジョブが送信系のジョブである場合(S110でYes)、加工要否判定部124は、カレント制限文字列の制限レベルの値が「0」であるか否かを判定する(S111)。
【0030】
制限レベルが「0」でない場合(S111でNo)、スキャン画像50の加工の要否(カレント制限文字列の出力の制限の要否)は、宛先に応じて異なる。そこで、加工要否判定部124は、アドレス帳記憶部128に記憶されているアドレス帳より、ジョブの設定情報に指定されている宛先に対応するレコードを検索する(S112)。
【0031】
図5は、アドレス帳記憶部の構成例及びアドレス帳記憶部の具体例を示す図である。同図において(A)は、アドレス帳記憶部128の構成例(構造例)を示す。また、(B)は、具体的な値が記録された具体例を示す。
【0032】
(A)に示されるように、アドレス帳記憶部128は、宛先の候補ごとに、氏名、住所、電話番号、FAX番号、メールアドレス、及び制限文字列許可レベル等の属性情報を記憶する。制限文字列許可レベル以外の属性情報の意味については自明であるため、その説明は省略する。制限文字列許可レベルは、制限文字列について公開又は参照(閲覧)が許可される制限レベルの最大値である。すなわち、制限文字列許可レベル以下の制限レベルに係る制限文字列であれば、当該宛先のユーザについては、当該制限文字列の公開又は参照は許可される。したがって、制限文字列許可レベルは、制限文字列ごとにスキャン画像50における当該制限文字列の部分の加工の要否を示す情報であるといえる。よって、アドレス帳記憶部128は、宛先の候補ごと、かつ、制限文字列ごとに、スキャン画像50における制限文字列の部分の加工の要否を記憶するといえる。なお、制限許可レベルは、例えば、宛先の属性以下のように対応させてもよい。以下の書式は、<制限許可レベル>:<宛先の属性>に従う。
1:一般
2:関連会社
3:自社他事業部
4:自社同事業部
5:制限無し
該当するレコード(以下、「宛先レコード」という。)が検索された場合(S113でYes)、加工要否判定部124は、カレント制限文字列の制限レベルと、宛先レコードの制限文字列許可レベルとを比較する(S114)。制限レベルの方が制限許可レベルより大きい場合(S104でYes)、加工要否判定部124は、スキャン画像50についてカレント制限文字列部分の加工は必要であると判定する。また、送信系のジョブでない場合、すなわち、コピージョブでない場合(S110でNo)、又は制限レベルが「0」である場合(S111でNo)、加工要否判定部124は、制限レベルと制限許可レベルとの比較を行うことなく、スキャン画像50についてカレント制限文字列部分の加工は必要であると判定する。
【0033】
加工要否判定部124によってスキャン画像50の加工は必要であると判定されると、加工部125は、カレント制限文字列の属性情報として設定されている加工方法に基づいて、スキャン画像50におけるカレント制限文字列部分の加工(画像処理)を行う(S115)。その結果、カレント制限文字列部分については解読不可能な状態とされた加工データ53が生成される。
【0034】
一方、制限レベルが制限許可レベル以下である場合(S104でNo)、又は加工要否指定画面において、加工は不要である旨がユーザによって指定された場合(S109でNo)、加工要否判定部124は、スキャン画像50の加工は不要であると判定する。この場合、加工部125による加工は行われない。
【0035】
抽出文字列51より検索された制限文字列の全てについてステップS107以降の処理が実行されていない場合(S116でNo)、次の制限文字列が処理対象とされてステップS107以降が実行される。抽出文字列51より検索された制限文字列の全てについてステップS107以降の処理が実行されると(S116でYes)、画像出力制御部126は、加工データ53又はスキャン画像50の出力処理を実行する(S118)。出力処理の内容は、ジョブの種類に応じて異なる。
【0036】
なお、配信ジョブによって加工データ53自体を受信した宛先ユーザは、キーコード変換が適用された部分については、キーコードを入手することによって復元することができる。したがって、例えば、当該宛先ユーザより制限文字列の参照を要求された場合、当該宛先ユーザの正当性が確認できたときは、当該宛先ユーザにキーコードを送信してもよい。そうすることにより、制限文字列部分が加工されていなスキャン画像50を改めてスキャンし、送信する場合に比べて、作業負担を著しく低減させることができる。
【0037】
上述したように、本実施の形態の画像形成装置10によれば、制限文字列記憶部127やアドレス帳記憶部128等に記憶された情報に基づいて、スキャン画像50において隠蔽すべき部分(制限文字列が位置する部分)を自動的に判定し、当該部分を解読不可能に加工して出力処理を実行することができる。したがって、ユーザは、予め原稿に対してマーカー等を施す必要はない。その結果、ユーザの作業負担が軽減されるだけでなく、人的ミスによるチェック漏れ等を防止することができる。よって、スキャンされた画像の出力処理に関するセキュリティを適切に確保することができる。
【0038】
また、原稿にマーカー等を施す必要はないため、原稿をそのまま他の目的等に流用することができる。
【0039】
また、加工要否指定画面によってユーザに確認を行うことにより、制限文字列として指定されている文字列であっても、文脈に応じて隠蔽する必要のない文字列等、ユーザでなければ判断できない点について、適切に処理を行うことができる。
【0040】
また、同一の制限文字列について、宛先ごとに隠蔽の要否が判定される。したがって、原稿にマーカーを施した場合には、実現できない処理を実行することができる。すなわち、原稿にマーカーを施した場合は、全ての宛先に対して同じ内容が送信されてしまう。それを避けるためには、宛先ごとに異なる原稿を用意し、それぞれについてマーカーを施す必要がある。本実施の形態の画像形成装置10によれば、そのような不都合又は煩雑さを解消することができる。
【0041】
また、宛先と、制限文字列との組み合わせによって制限文字列の隠蔽の要否が判定される。したがって、宛先により適した隠蔽を施すことができる。
【0042】
なお、加工部125は、宛先ごとに、加工を施した部分を示す情報(加工位置情報)をHDD114に記録しておいてもよい。そうすることにより、宛先から加工が施されていないスキャン画像50の送付を要求され、斯かる送付が支障のない場合であれば、加工位置情報に基づいて、加工が施されたページのみを再送信することができる。その結果、再送信の際の作業負担を軽減することができる。
【0043】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 画像形成装置
11 コントローラ
12 スキャナ
13 プリンタ
14 モデム
15 操作パネル
16 ネットワークインタフェース
17 SDカードスロット
80 SDカード
111 CPU
112 RAM
113 ROM
114 HDD
121 指示入力受付部
122 画像入力制御部
123 文字情報抽出部
124 加工要否判定部
125 加工部
126 画像出力制御部
127 制限文字列記憶部
128 アドレス帳記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開2006−279545号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿より画像データを読み取る画像データ入力手段と、
前記画像データより文字データ及び前記文字データに関する前記画像データにおける位置情報を抽出する文字データ抽出手段と、
出力を制限する制限文字列を記憶した制限文字列記憶手段と、
前記文字データに前記制限文字列が含まれているか否かを判定することにより、前記画像データの加工の要否を判定する加工要否判定手段と、
加工が必要であると判定された場合に、前記位置情報に基づいて、前記画像データにおける前記制限文字列の部分を解読不能に加工する加工手段と、
加工された画像データを出力する出力手段とを有する画像形成装置。
【請求項2】
前記加工要否判定手段は、前記文字データに前記制限文字列が含まれている場合に、前記画像データの加工の要否をユーザに選択させるための画面を表示手段に表示させ、該画面に対する入力に応じて前記画像データの加工の要否を判定する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像データの送信先の指定を受け付ける入力受付手段と、
前記画像形成装置において読み取られる画像データの送信先の候補ごとに、前記画像データにおける前記制限文字列の部分の加工の要否を記憶した送信先別制限情報記憶手段とを有し、
前記加工要否判定手段は、前記文字データに前記制限文字列が含まれているか否かを判定し、かつ、指定された前記送信先に対する前記画像データの加工の要否を前記送信先別制限情報記憶手段を用いて判定することにより、前記画像データの加工の要否を判定する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記送信先別制限情報記憶手段は、前記送信先の候補ごと、かつ、前記制限文字列ごとに、前記画像データにおける当該制限文字列の部分の加工の要否を記憶する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制限文字列記憶手段は、前記制限文字列ごとに加工方法を示す加工方法情報を記憶し、
前記加工手段は、前記加工方法情報が示す加工方法により前記画像データを加工する請求項1乃至4いずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記加工方法には、復元可能な方法が含まれる請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置が実行する画像処理方法であって、
原稿より画像データを読み取る画像データ入力手順と、
前記画像データより文字データ及び前記文字データに関する前記画像データにおける位置情報を抽出する文字データ抽出手順と、
前記文字データに、制限文字列記憶手段に記憶された制限文字列が含まれているか否かを判定することにより、前記画像データの加工の要否を判定する加工要否判定手順と、
加工が必要であると判定された場合に、前記位置情報に基づいて、前記画像データにおける前記制限文字列の部分を解読不能に加工する加工手順と、
加工された画像データを出力する出力手順とを有する画像処理方法。
【請求項8】
前記加工要否判定手順は、前記文字データに前記制限文字列が含まれている場合に、前記画像データの加工の要否をユーザに選択させるための画面を表示手段に表示させ、該画面に対する入力に応じて前記画像データの加工の要否を判定する請求項7記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記画像データの送信先の指定を受け付ける入力受付手順を有し、
前記加工要否判定手順は、前記文字データに前記制限文字列が含まれているか否かを判定し、かつ、指定された前記送信先に対する前記画像データの加工の要否を、前記画像形成装置において読み取られる画像データの送信先の候補ごとに、前記画像データにおける前記制限文字列の部分の加工の要否を記憶した送信先別制限情報記憶手段を用いて判定することにより、前記画像データの加工の要否を判定する請求項7又は8記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記送信先別制限情報記憶手段は、前記送信先の候補ごと、かつ、前記制限文字列ごとに、前記画像データにおける当該制限文字列の部分の加工の要否を記憶する請求項9記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記制限文字列記憶手段は、前記制限文字列ごとに加工方法を示す加工方法情報を記憶し、
前記加工手順は、前記加工方法情報が示す加工方法により前記画像データを加工する請求項7乃至10いずれか一項記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記加工方法には、復元可能な方法が含まれる請求項11記載の画像処理方法。
【請求項13】
画像形成装置に、
原稿より画像データを読み取る画像データ入力手順と、
前記画像データより文字データ及び前記文字データに関する前記画像データにおける位置情報を抽出する文字データ抽出手順と、
前記文字データに、制限文字列記憶手段に記憶された制限文字列が含まれているか否かを判定することにより、前記画像データの加工の要否を判定する加工要否判定手順と、
加工が必要であると判定された場合に、前記位置情報に基づいて、前記画像データにおける前記制限文字列の部分を解読不能に加工する加工手順と、
加工された画像データを出力する出力手順とを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−18284(P2011−18284A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164029(P2009−164029)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】