説明

画像形成装置、画像形成システム、プログラムおよび記録媒体

【課題】サンプル印刷出力要求に応じて、実行中の印刷ジョブを中断させることなく、所定の排紙先へサンプル印刷出力を行う画像形成装置、画像形成システム、プログラムおよび記録媒体を提供すること。
【解決手段】本発明の画像形成装置100は、排紙先を選択して印刷出力を実行する画像形成装置であって、印刷ジョブを印刷プロセスに分割して、印刷出力を制御する印刷プロセス管理手段72と、サンプル印刷出力要求に応じて、前記印刷プロセス管理手段72に対し、前記印刷ジョブ中の所定の印刷プロセスの複製を排紙先設定を変更して割込ませ、サンプル印刷出力の実行を制御するサンプル印刷出力制御手段70とを含み構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より詳細には、サンプル印刷出力要求に応じて、実行中の印刷ジョブを中断させることなく、所定の排紙先へサンプル印刷出力を行う画像形成装置、画像形成システム、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷物の仕上がり品質を重視する傾向がますます強くなり、特に大容量印刷においては、指定の印刷設定により所望の仕上がりが得られるか否か、さらには印刷物の品質の経時変化についても見極めることが要求されている。一般に、印刷物の最終的な仕上がりは、印刷機の調整状態や使用する用紙の紙種に依存し、コンピュータ上で充分な精度で予測することは困難である。また、印刷機や複写機などの画像形成装置は、印刷処理回数が増大するほど、感光体や給紙用コロや搬送用ローラなどの劣化などに起因して、色ズレや印刷画像の濃度変化を生じさせる。
【0003】
印刷物の仕上がり品質の確認に関連して、従来では、ユーザ指定の印刷設定による仕上がり状態を確認するために、1部数単位の用紙束をサンプル印刷出力する、試し印刷と呼ばれる機能を備える画像形成装置が知られている。この従来技術では、本番の印刷出力を開始する前に、指定の印刷設定による試し印刷を実行し、サンプル印刷出力された印刷物を目視にて確認して、印刷ジョブを開始するか否かの判断を行うことができる。その他、このサンプル印刷出力に関連して、コピー動作中に次の原稿画像の読取りを可能とする拡張予約コピーの際にも試しコピー印刷を行えるように、現在実行中の複写画像の形成工程を中断して、つぎの原稿画像の試しコピー印刷を行わせる試みなども知られている。
【0004】
また、特開2005−234328号公報(特許文献1)は、複写物の画像形成状態やストック状態を表示部上で目視確認することを目的として、複写機から出力された複写物を撮像するためにストック装置に設けられた表面撮像部と、この表面撮像部によって撮像された複写物を表示する表示部とを備えたシステムを開示する。
【0005】
その他、印刷物の仕上がり確認に関連して、両面印刷や集約印刷などの編集機能を用いた印刷出力の際、設定ミスによる無駄な印刷出力を省くために、仕上がり予想状態を表示画面上で確認をできるようにしたものも知られている。
【特許文献1】特開2005−234328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来では、印刷物の仕上がり品質の経時変化を確認する場合に、印刷動作を一時中断して、印刷物を目視にて仕上がり状態の確認を行っていた。しかしながら、印刷動作が中断されるため、生産性を低下させてしまうという問題点があった。また、印刷出力後の印刷物がスタッカなどの後処理装置に搬送される場合には、容易にスタッカ内の排紙状態を見ることができないため、仕上がり状態を確認できないという問題があった。
【0007】
また上記の試し印刷機能は、上述したように、集約数、変倍率、画像濃度や両面印刷指定などユーザ指定の印刷設定によって所望の仕上がりが得られるか否かを判断することを目的としているため、試し印刷は、用紙束1部数単位を対象としており、また経時変化の確認のためには、実行中の印刷動作を中断する必要があった。このため従来の試し印刷では、特に大容量印刷を行う際には、印刷動作の中断が生産性の低下に直結し、著しく損害を生じさせるという問題がった。また、画像濃度などの印刷画像の品質のみを確認する目的の場合には、1部全体をサンプル印刷出力することは必ずしも要せず、1部数中の任意のページについて印刷画像を確認すれば良いという要望もあった。
【0008】
また特許文献1に開示された従来技術では、仕上がりをチェックするためにCCD(Charge Coupled Device)カメラなど撮像手段と、液晶表示装置などの表示手段を備える必要があり、高コストとなるという問題があった。また、撮像画像を介した目視による確認を行えるものの、実際の印刷画像を確認するものではなく、充分な精度で仕上がり品質を確認できないという問題点もあった。
【0009】
本発明は上記問題点の少なくとも1つに鑑みてなされたものであり、実行中の印刷動作を中断させることなく、所定の排紙先へ、転写紙1枚単位または1部数単位といった必要に応じた単位のサンプル印刷出力を行うことを可能とし、生産性を低下させることなく、印刷物の画像品質および後処理品質を確認することを可能とする画像形成装置、画像形成システム、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、印刷ジョブを印刷プロセスに分割して、印刷出力を制御する印刷プロセス管理手段と、サンプル印刷出力要求に応答して、印刷プロセス管理手段に対し、印刷ジョブ中の所定の印刷プロセスの複製を排紙先設定を変更して割込ませ、サンプル印刷出力の実行を制御するサンプル印刷出力制御手段とを備えた画像形成装置との構成を採用する。
【0011】
印刷プロセス管理手段は、転写紙1枚単位や1部数単位で分割された印刷プロセスを管理し、その実行のスケジュールについても管理している。サンプル印刷出力制御手段は、印刷ジョブ中の所定の印刷プロセスについて、サンプル印刷出力のための印刷プロセスとして複製したものをスケジュールに割込ませ、サンプル印刷出力を実現する。またサンプル印刷出力のための印刷プロセスは、サンプル印刷出力要求時に実行中であった印刷プロセスが完了した後に割込ませることができる。
【0012】
上記構成により、実行中の印刷動作を中断させることなく、所定の排紙先へ、転写紙1枚単位または1部数単位といった必要に応じた単位のサンプル印刷出力を行うことが可能となり、もって、生産性を低下させることなく、印刷物の画像品質および後処理品質を確認することが可能となる。
【0013】
すなわち本発明によれば、排紙先を選択して印刷出力を実行する画像形成装置であって、前記画像形成装置は、
印刷ジョブを印刷プロセスに分割して、印刷出力を制御する印刷プロセス管理手段と、
サンプル印刷出力要求に応じて、前記印刷プロセス管理手段に対し、前記印刷ジョブ中の所定の印刷プロセスの複製を排紙先設定を変更して割込ませ、サンプル印刷出力の実行を制御するサンプル印刷出力制御手段とを含む、画像形成装置が提供される。
【0014】
前記所定の印刷プロセスは、前記サンプル印刷出力要求の後、次に開始される予定の印刷プロセス、または前記サンプル印刷出力要求時に実行中の印刷プロセスとすることができる。前記所定の印刷プロセスは、転写紙1枚単位の印刷プロセス、または1部数単位の印刷プロセスとすることができる。また、前記サンプル印刷出力制御手段は、前記所定の印刷プロセスに編集設定が含まれる場合に、前記編集設定を解除するか否かを判定し、前記編集設定は、両面印刷指定または集約印刷指定とすることができる。また、前記サンプル印刷出力制御手段は、前記所定の印刷プロセスに機能紙設定が含まれる場合に、前記所定の印刷プロセスの複製から機能紙設定された印刷プロセスを削除するか否かを判定することができる。
【0015】
さらに、前記サンプル印刷出力制御手段は、前記所定の印刷プロセスの複製に対し、用紙設定をさらに変更し、前記用紙設定は、給紙トレイ指定または紙種の指定とすることができる。前記サンプル印刷出力制御手段は、前記所定の印刷プロセスの複製に対し、印字設定をさらに追加し、前記印字設定は、スタンプ印字指定、ページ番号印字指定または部数番号印字指定とすることができる。さらに前記画像形成装置は、前記サンプル印刷出力が実行された場合に、割込ませた前記所定の印刷プロセスに対応する部数番号およびページ番号またはこれらの少なくとも一方を、ユーザ通知するための手段をさらに含むことができる。
【0016】
さらに前記画像形成装置は、前記サンプル印刷出力に対して、前記所定の印刷プロセスの単位の指定、紙種変更の要否の指定、紙種の選択指定、給紙カセット変更の要否の指定、給紙カセットの選択指定、両面印刷解除の要否の指定、集約印刷解除の要否の指定、機能紙に対するサンプル印刷出力解除要否の指定、印字設定追加の要否の指定および印字設定の指定、またはこれらの少なくとも1つの指定を行うためのユーザ・インタフェース手段をさらに含むことができる。
【0017】
また本発明によれば、上記の画像形成装置と、前記画像形成装置により印刷出力された転写部材の排紙先を提供するスタッカ装置またはフィニッシャ装置と含み構成される、画像形成システムが提供される。さらに本発明によれば、画像形成装置を、上記画像形成装置の各手段として機能させるための装置実行可能なプログラムが提供される。またさらに本発明によれば、上記の各手段として、画像形成装置を機能させるための装置実行可能なプログラムを記録した装置可読な記録媒体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明の実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお本実施形態では、画像形成装置の一例として、コピー、ファクシミリ、スキャナ、プリント等の画像を扱う複合機能を有する複合機100を用いた例を説明する。
【0019】
図1は、複合機100の実施形態を示す。本実施形態の複合機100は、自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)101と、コンタクトガラス106と、画像読取ユニット150と、画像形成ユニット157と、転写・定着ユニット130とを含み構成される。ADF101は、原稿台102と、給送ローラ103と、給送ベルト104と、排送ローラ105と、原稿セット検知センサ107とを含み構成され、給送ローラ103、給送ベルト104とおよび排送ローラ105は、モータ駆動されている。ADF101は、原稿台102にセットされた原稿束を、一番上方にセットされた原稿から給送ローラ103および給送ベルト104によってコンタクトガラス106上の所定位置へ搬送し、また、画像読取りされた原稿を給送ベルト104および排送ローラ105により排出する。ADF101は、原稿セット検知センサ107により、セットされた原稿が残されていることを検知し、全ての原稿の画像読取りが完了するまで、順次、原稿の給送および排送を行う。
【0020】
画像読取ユニット150は、露光ランプ151と、第1ミラー152と、第2ミラー155と、第3ミラー156と、レンズ光学系153と、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ154とを含み構成される。画像読取ユニット150は、露光ランプ151から光を放射させ、コンタクトガラス106上の原稿により反射された反射光を、第1ミラー152、第2ミラー155および第3ミラー156より反射させ、レンズ光学系153を経由させて、CCDイメージセンサ154へ導き、画像読取りを行なう。
【0021】
画像形成ユニット157は、レーザ出力ユニット158と、結像レンズ光学系159と、ミラー160と、感光体ドラム115とを含み構成される。画像形成ユニット157は、レーザ出力ユニット158から光ビームを放射させ、放射された光ビームを、結像レンズ光学系159およびミラー160を経由させて、感光体ドラム115へ照射し、感光体ドラム115を像状露光し、静電潜像を形成する。
【0022】
形成された静電潜像は、感光体ドラム115が回動するにつれて現像ユニット127へと搬送される。静電潜像は、現像剤により現像され、感光体ドラム115上に現像剤像が形成され、担持される。現像剤像は、感光体ドラム115の回動につれて、転写・定着ユニット130へと搬送される。転写・定着ユニット130は、給紙カセット108、109、110と、給紙ユニット111、112、113と、縦搬送ユニット114と、搬送ベルト116と、定着ユニット117とを含み構成される。各給紙カセット108〜110に積載された上質紙やプラスチックシートなどの転写部材は、それぞれ各給紙ユニット111〜113により給紙され、縦搬送ユニット114により感光体ドラム115に当接する位置まで搬送される。
【0023】
感光体ドラム115上の現像剤像は、転写バイアス電位の下で搬送ベルト116に静電吸着された転写部材に転写され、転写後、転写部材上に画像が形成される。形成された画像は、定着ユニット117により定着される。定着後の印刷物は、排紙ユニット118により、排紙トレイ119上に排紙される。また、印刷物は、両面印刷を行う場合、分離爪172を上側にセットすることにより、排紙トレイ119上に導かれずに、両面印刷用給紙ユニット171に一旦ストックされる。その後、両面印刷用給紙ユニット171にストックされた印刷物は、裏面に画像を転写するために再給紙される。画像が両面に形成され定着された両面印刷物は、分離爪172を下側にセットすることにより、排紙トレイ119上に排紙される。
【0024】
なお、本実施形態では、排紙ユニット118により排紙トレイ119上に排紙される構成として説明したが、複合機100と、フィニッシャ装置など他装置とが接続される実施形態においては、接続される装置構成に応じた排紙先へと印刷物が搬送されることとなる。また本実施形態では、感光体ドラム115は、単一の構成として説明してきたが、シアン、マゼンダ、イエローなどの感光体ドラムおよび対応する画像形成ユニット157を採用することにより、フルカラー印刷出力が可能な構成とすることもできる。
【0025】
複合機100は、さらに、IEEE1294、USBなどのパラレル・インタフェース(I/F)、シリアルバス・インタフェース(I/F)、またはイーサネット(登録商標)に接続するためのネットワーク・インタフェース(I/F)などを実装し、例えば、ホスト・コンピュータからのPJL(Printer Job Language)などによって記述された印刷制御命令を解釈して、画像形成処理を実行することができる。以下、複合機100を含み構成される画像形成システムの概略を説明する。
【0026】
図2は、複合機100を含み構成される画像形成システム200の実施形態を示した構成図である。図2に示した画像形成システム200は、複合機100と、複合機100と隣接して接続される2段インサータ180と、2段インサータ180と接続されるZ折り装置184と、Z折り装置184とさらに接続されるステープルユニット186と、ステープルユニット186とさらに接続されるパンチユニット188とを含み構成される。2段インサータ180は、挿入用の合紙などをセットするためのトレイ182a、182bとを含み構成され、必要に応じて、印刷出力された転写部材(以下、用紙を例として説明する。)の合間に合紙などを挿入させる。Z折り装置184は、必要に応じて、印刷出力された用紙をZ状に折り込む。ステープルユニット186は、必要に応じて、複合機100により印刷出力された用紙、および2段インサータ180により挿入された合紙からなる用紙束を揃えて、ステープル処理を施す。パンチユニット188は、必要に応じて、搬送されてくる用紙に対して、一枚ごとにパンチ処理を施す。
【0027】
図2に示した画像形成システム200は、さらに、排紙スタッカ190、192と、フィニッシャ194とを含み構成される。排紙スタッカ190、192は、印刷出力された用紙をそのトレイ上に積載し、それぞれ複合機100からの排紙先のひとつとして指定することができる。フィニッシャ194は、移動排紙トレイ196と、ステープルトレイ198とを含み、それぞれ、複合機100からの排紙先のひとつとして指定することができる。複合機100は、ADF101と、給紙カセット108〜110と、表示装置140と、自機の排紙先として排紙トレイ119とを含み構成されている。上記の2段インサータ180、Z折り装置184、ステープルユニット186、パンチユニット188、排紙スタッカ190、192やフィニッシャ194などの各装置は、例えばシリアル接続により複合機100と接続され、複合機100により動作が制御され、連動して画像形成動作および後処理動作を実行する構成とされている。
【0028】
また図2に示した画像形成システム200では、複合機100から印刷出力された用紙の排紙先として、複合機100自身の排紙トレイ119、排紙スタッカ190、排紙スタッカ192、フィニッシャ194の移動排紙トレイ196またはステープルトレイ198を指定可能に構成されている。
【0029】
図3は、本実施形態の複合機100のソフトウェア構成およびハードウェア構成を示した概略図である。図3に示した複合機100は、複数の機能を提供するための各種アプリケーションからなるアプリケーション・モジュール層50と、その下位のサービス・モジュール層48と、各種ハードウェア・リソースを含むハードウェア・リソース層46とを含み構成されている。
【0030】
アプリケーション・モジュール層50は、プリンタ、コピーなどの印刷処理のためのユーザ・サービスに固有の処理を行うソフトウェア群を含み、図3に示した実施形態では、コピー機能を提供するコピー・アプリケーション40と、プリンタ機能を提供するプリンタ・アプリケーション42とを含み構成されている。
【0031】
サービス・モジュール層48は、CPU24やエンジン26などのハードウェア・リソースと、アプリケーション・モジュール層50との間に介在し、オペレーティング・システム(OS)30とともに、各種アプリケーションからの処理要求を解釈して、ハードウェア等の各種リソースの獲得要求を発行するソフトウェア群である各機能部32〜38を含み構成されている。OSとしては例えば、UNIX(登録商標)を採用することができるが、MacOS(商標)、Windows(登録商標)、LINUX(登録商標)、VxWorks(登録商標)またはそれ以外の適切なOSを挙げることができる。サービス・モジュール層48の各機能部としては、図1に示した実施形態では、エンジン制御部32と、出力画像生成部34と、オペレーションパネル制御部36と、ネットワーク制御部38とを含み構成されている。
【0032】
出力画像生成部34は、HDD22に蓄積されている画像データ、エンジン26が読取った画像データやネットワークを介して外部装置から受取った画像データを、上位のアプリケーションなどの指示に従い加工(合成、縮小、拡大、回転など)を行う。オペレーションパネル制御部36は、オペレータと本体制御との間のインタフェースとなる操作パネルなどのユーザ・インタフェースの制御を行い、ユーザ・インタフェースからの各種処理の要求を受付けている。
【0033】
ネットワーク制御部38は、イーサネット(登録商標)などのネットワーク・インタフェース(I/F)28の制御を実行し、各アプリケーションに対して共通に利用可能なサービスを提供する。ネットワーク制御部38は、ネットワーク側から各通信プロトコルによって受信したデータを、各アプリケーションに振り分け、各アプリケーションからのデータをネットワーク側に送信する際の仲介を行い、ネットワークを介して、印刷ジョブや各種設定・管理要求を処理している。
【0034】
エンジン制御部32は、スキャナ・エンジンおよびプロッタ・エンジンを含むエンジン26や、HDD22などのハードウェア・リソースを制御し、画像読取動作や印刷動作などを制御する。また本実施形態のエンジン制御部32は、上位のアプリケーションから受領したジョブを、エンジン26で取扱うために各1枚単位の原稿または転写紙レベルの印刷プロセスに分割して、その印刷プロセスを管理する。後述するサンプル印刷出力では、オペレーションパネルなどのユーザ・インタフェースを介してサンプル印刷出力要求を受領すると、その旨がエンジン制御部32に通知される。通知を受信したエンジン制御部32は、例えば、次にエンジン26に対して印刷出力要求を発行する予定の所定の印刷プロセスについて、実行中のジョブの印刷設定の印刷出力要求をエンジン26に対して発行するとともに、排紙先設定などを変更した印刷出力要求をエンジン26に対して発行することにより、サンプル印刷出力を実現している。
【0035】
またアプリケーション・モジュール層50とサービス・モジュール層48との間には、アプリケーション・プログラム・インタフェース(API)44が設けられていて、サービス・モジュール層48の各機能部は、API44に含まれる予め定義された関数によりアプリケーション・モジュール層50の各アプリケーションからの処理要求を受信している。
【0036】
複合機100のハードウェア・リソース層46は、各種演算を行うCPU24と、各種制御プログラムを記憶する図示しないROMと、CPU24の作業メモリ領域を提供するメモリ20とを含み構成され、上述のソフトウェア構成、および後述のサンプル印刷出力を実行するための各処理手段は、ROMやHDD22やSDカードなどの記憶装置に格納されたプログラム(図示せず)をメモリ20のメモリ領域にロードすることにより実現される。また、複合機100のシステム状態、後述のサンプル印刷出力の設定情報は、図示しないNV−RAMに格納される。
【0037】
なお、複合機100が使用するCPUとしては、具体的にはPENTIUM(登録商標)〜PENTIUM(登録商標)IV、Celelon(登録商標)など、PENTIUM(登録商標)互換CPUなどのCISCアーキテクチャに基づくCPU、またはPOWER PC(登録商標)、MIPSなどのRISCアーキテクチャに基づくCPUを挙げることができる。
【0038】
またアプリケーション・モジュール層50に含まれる各種アプリケーションとしては、種々の組合わせにより構成することができ、特に限定されるものではない。他の実施形態では、例えば、ファクシミリ機能を提供するファックス・アプリケーション、スキャナ機能を提供するスキャナ・アプリケーションやネットワークファイル機能を提供するネットファイル・アプリケーションなどを含む構成とすることもできる。また、上述のサービス・モジュール層48に含まれる各機能部の構成も、特に限定されるものではなく、例えば、アプリケーション・モジュール層50の仕様に応じた構成とすることができる。
【0039】
図4は、本実施形態の複合機100が備えるオペレーションパネルの概略を示す。図4に示したオペレーションパネル60は、印刷開始指示を受領するための「PRINT」ボタン62と、印刷動作を停止させたり、入力をクリアするための「CL/STOP」ボタン64と、サンプル印刷出力の開始指示を受領するための「試し印刷」ボタン66と、数字を入力するためのテンキー68と、表示装置と入力装置が一体となったタッチパネル58とを含み構成される。
【0040】
本実施形態では、オペレータは、タッチパネル58に表示されたグラフィカル・ユーザ・インタフェース(以下、GUIと参照する。)を押下することによって、両面印刷の指定、集約印刷や分割印刷の指定、給紙カセットの選択指定、そのほか濃度調整など、予め印刷設定を行い、続いて「PRINT」ボタン62を押下することによって、ジョブの開始指示を複合機100に対して行うことができる。またオペレータは、ジョブ実行中に「試し印刷」ボタン66を押下することによって、サンプル印刷出力を開始指示を複合機100に対して行うことができる。なお、オペレーションパネル60への操作は、オペレーションパネル制御部36により管理され、エンジン制御部32を含むサービス・モジュール層48の各機能部へ通知される。以下、サンプル印刷出力機能について詳細な説明を行う。
【0041】
図5は、本実施形態の複合機100が有するサンプル印刷出力機能についての主要構成を示したブロック図である。複合機100は、プロッタ・エンジン76と、エンジン制御部32と、オペレーションパネル制御部36と、アプリケーション74とを含み構成される。アプリケーション74は、図3に示したアプリケーション・モジュール層50の各アプリケーションに対応し、印刷出力処理を含むコピー・アプリケーション40またはプリンタ・アプリケーション42とすることができる。アプリケーション74は、オペレーションパネル60、IEEE1294やUSBなどのパラレルまたはシリアルI/FまたはネットワークI/F28などを介したオペレータからのジョブ実行要求を受領して、印刷出力処理を含むジョブ(以下、印刷ジョブとして参照する)を開始し、印刷ジョブスタート要求をエンジン制御部32に対して発行する。なお、印刷ジョブスタート要求には、排紙先設定、両面印刷指定や集約印刷指定などの編集設定、後処理設定、用紙設定、印字設定、リピート部数設定や印刷濃度設定など、種々の印刷出力に関連する印刷パラメータが付属される。
【0042】
エンジン制御部32は、印刷プロセス管理部72と、サンプル印刷出力制御部70とを含み構成される。エンジン制御部32が印刷ジョブスタート要求を受信すると、印刷プロセス管理部72は、印刷ジョブスタート要求に付属された印刷パラメータに応じて、印刷ジョブを転写紙1枚単位の印刷プロセスに分割管理する。また、印刷プロセス管理部72は、上記印刷ジョブについて、転写紙1枚単位および1部数単位で印刷プロセスのスケジュールを管理し、ステープル処理など用紙束単位についても管理する。また印刷プロセス管理部72は、両面印刷指定が含まれる場合には、オモテ面およびウラ面を対応づけ、印刷順序についても管理し、正確な両面印刷を実現する。エンジン制御部32は、印刷プロセス管理部72による管理の下、印刷ジョブの進行に応じて、転写紙1枚単位の印刷プロセスの印刷出力要求をプロッタ・エンジン76に対して順次発行する。印刷出力要求を受信したプロッタ・エンジン76は、要求された転写紙1枚単位の印刷プロセスの印刷動作を実行して1枚単位で印刷出力を実行する。
【0043】
以下、コピー・アプリケーション40によるコピージョブおよびプリンタ・アプリケーション42によるプリント・ジョブを例として、エンジン制御部32の機能について説明を加える。オペレータからのコピージョブの実行指示を受領した場合には、ADF101による原稿の給送が開始され、エンジン制御部32の制御の下、図示しないスキャナ・エンジンにより、原稿の画像読取処理が行われ、ページ数mの原稿1枚単位の読取画像データがHDD22などに一時的に格納される。エンジン制御部32は、電子ソーティング機能を利用して、1部当たりページ数mの印刷要求をリピート部数n回分、プロッタ・エンジン76に対して発行し、所定部数の印刷出力を行わせる。プリント・アプリケーション42によるプリント・ジョブの場合も同様に、ホスト・コンピュータから受取った印刷制御命令から、転写紙1枚単位の印刷画像データが生成され、エンジン制御部32は、ページ数m×リピート部数n回分の印刷要求をプロッタ・エンジン76に対して発行し、所定部数のプリント出力を行わせる。
【0044】
エンジン制御部32のサンプル印刷出力制御部70は、例えば、「試し印刷」ボタン66の押下を検知したオペレーションパネル制御部36からのサンプル印刷出力要求の通知を受領して、印刷プロセス管理部72に対して、サンプル印刷出力のための所定の印刷プロセスを割込ませる。この所定の印刷プロセスとしては、例えば、次にプロッタ・エンジン76に対して印刷出力要求を発行する予定の印刷プロセスの排紙先設定を変更して複製した印刷プロセスとされる。この結果、エンジン制御部32は、予定された印刷プロセスについて、印刷ジョブ開始時に指定された通りの印刷設定で印刷出力要求をプロッタ・エンジン76に対して発行するとともに、排紙先設定が変更された印刷設定の印刷出力要求をエンジン26に対して発行し、異なる排紙先へのサンプル印刷出力を実現する。
【0045】
上記サンプル印刷出力に対応する所定の印刷プロセスとしては、転写紙1枚単位の印刷プロセスとすることができ、または複数の転写紙1枚単位の印刷プロセスからなる1部数単位の印刷プロセスとすることもできる。以下、サンプル印刷出力に対応する印刷プロセスの単位を、サンプル印刷出力単位として参照する。サンプル印刷出力単位は、例えば印刷ジョブが、ステープル処理指定などの部数単位で処理される設定を含む場合には、部数単位とし、後処理を含めたサンプル印刷出力を実行し、後処理後の仕上がりについても確認可能とすることができる。またサンプル印刷出力単位は、印刷ジョブがステープル処理指定などの部数単位の設定を含む場合であっても、転写紙1枚単位とし、1部数の用紙束中の任意のページを抽出し、ステープル処理設定を解除してサンプル印刷出力を行い、1枚の印刷物の画像のみ確認可能とすることができる。
【0046】
サンプル印刷出力単位を部数単位とするか転写紙1枚単位とするかは、印刷ジョブに含まれる印刷設定および目的に応じて、適宜選択することができ、サンプル印刷出力を指示する際にオペレーションパネル60を介して入力設定されたものを使用することができ、または、予めサンプル印刷出力の設定情報としてNV−RAMなどに格納されたものを参照することができる。以下、サンプル印刷出力機能における処理フローを説明する。
【0047】
図6は、本実施形態の複合機100が実行するサンプル印刷出力の処理フローを示すフローチャートである。図6に示した制御は、ステップS100から開始され、ステップS101で、オペレータからの印刷設定を受付け、印刷ジョブを開始するための準備を行う。ステップS102では、例えば「PRINT」ボタン62の押下によるオペレータからの印刷ジョブ実行要求を受領したか否かを判定する。ステップS102で、まだ印刷ジョブ実行要求を受領していないと判定された場合(NO)には、処理を再びステップS102へ分岐させ、印刷ジョブ実行要求を受領するまでループを繰返させる。
【0048】
ステップS102で、印刷ジョブ実行要求を受領したと判定された場合(YES)には、処理をステップS103へ分岐させ、ステップS103では、アプリケーション74からエンジン制御部32に対して印刷ジョブスタート要求が発行され、印刷プロセス管理部72は、印刷ジョブスタート要求に含まれる印刷パラメータに応じて印刷ジョブを転写紙1枚単位の印刷プロセスに分割し、転写紙1枚単位および1部数単位で印刷プロセスのスケジュール管理を行う。なお、印刷ジョブスタート要求に含まれる印刷パラメータは、本実施形態では、排紙先指定およびステープル処理指定の印刷設定を含み、両面印刷指定や集約印刷指定などの他の印刷設定が含まれていない場合を想定している。
【0049】
ステップS104では、予め設定されたサンプル印刷出力の設定情報を参照して、サンプル印刷出力単位を決定する。なお、図6について以下、転写紙1枚単位をサンプル印刷出力単位として決定した場合を例として説明する。ステップS105では、サンプル印刷出力制御部70は、サンプル印刷出力要求の通知を受領したか否かを判定する。ステップS105の判定で、サンプル印刷出力要求の通知を受領していなかった場合(NO)には、処理をステップS106へ分岐させる。ステップS106でエンジン制御部32は、ステップS104で決定された転写紙1枚単位の印刷プロセスの印刷要求を、プロッタ・エンジン76に対して発行する。印刷要求を受信したプロッタ・エンジン76は、印刷動作を実行し、出力された用紙は、ステップS101で設定された排紙先へ搬送されることとなる。ステップS107では、ステップS106の印刷要求によって印刷ジョブが完了したか否か、つまり、印刷ジョブ中の全ての印刷プロセスの印刷要求が完了したか否かを判定し、印刷ジョブが完了していた場合(YES)には、ステップS108へ分岐させ、処理を終了させる。
【0050】
一方、ステップS107の判定で、印刷ジョブが完了していないと判定された場合(NO)には、再びステップS105へ処理を分岐させる。ステップS105の判定は、ステップS106で、サンプル印刷出力単位分の印刷プロセスの印刷要求が発行される毎に行われることとなる。つまり、サンプル印刷出力単位が1部数単位であった場合は、1部数単位の印刷動作が完了する毎に、単位が転写紙1枚単位であった場合は、転写紙1枚単位の印刷動作が完了する毎に、サンプル印刷出力要求が有ったか否かを判定する。また、ステープル処理などの1部数単位の後処理指定が含まれている場合には、ステップS105からステップS107の処理サイクルを繰返して1部数単位の印刷動作が完了する毎に、ステープルユニット186や搬送先のフィニッシャ194のステープルトレイ198により、ステープル処理が行われることとなる。
【0051】
一方、ステップS105でサンプル印刷出力要求を受領したと判定された場合(YES)には、処理をステップS109へ分岐させる。ステップS109でサンプル印刷出力制御部70は、次に予定されている転写紙1枚単位の印刷プロセスの複製を、排紙先設定を変更して、サンプル印刷出力のための印刷プロセスとしてスケジュールに割込ませ、ステップS106でエンジン制御部32は、サンプル印刷出力のための印刷プロセスの印刷要求をエンジンに対して発行し、サンプル印刷出力が実行される。そして、サンプル印刷出力は、予めサンプル印刷出力の設定情報として指定された排紙先に搬送されることとなる。サンプル印刷出力が実行された後は、次のサイクルのステップS106において、サンプル印刷出力のために遅延させられた、当初予定されていた印刷プロセスが実行されることとなる。以下、図6に示した処理フローによって実行される印刷ジョブの実施形態を例示して説明する。
【0052】
図7は、複合機100が実行する印刷ジョブの実施形態を示す図である。図7に示した印刷ジョブ300は、ページ番号を模式的に示しているフィールド300aと、排紙先の指定がエントリされているフィールド300bとを含み構成されている。図7に示すように印刷ジョブ300は、ページ数5の画像をリピート部数2で印刷する場合に対応しており、印刷ジョブ300は、1部数単位の印刷プロセス302a、302bを含み、各1部数単位の印刷プロセス302は、5ページ分の転写紙1枚単位の印刷プロセス304、306、308、310から構成されている。また図7に示した実施形態は、転写紙1枚単位の印刷プロセスをサンプル印刷出力させる場合に対応している。印刷プロセス管理部72は、図7に示すように、印刷ジョブを所定単位の印刷プロセスに分割し、実行のスケジュールを管理している。
【0053】
図7は、印刷ジョブの進捗状況(T)を破線で示し、第1部第1ページ目に対応する印刷プロセス304は、反転表示されて、既に印刷動作が完了していることを示す。図7は、破線で示される進捗状況(T)、つまり第1部第2ページ目の印刷プロセス306に対応する印刷動作中に、サンプル印刷出力要求がなされた場合を例として示している。進捗状況(T)においてサンプル印刷出力要求がなされると、進行中の印刷プロセス306に対応する印刷動作が完了した後、次に予定されていた第1部第3ページ目の印刷プロセス308の排紙先設定が変更されたものに対応する割込み印刷プロセス312が、予定された印刷プロセス308の前に割込み、サンプル印刷出力が行われることとなる。図7に示したフィールド312bは、割込み印刷プロセス312の排紙先が「排紙先1」から「排紙先2」へ変更されていることを示している。
【0054】
図6および図7で示したように、印刷ジョブを転写紙1枚単位および1部数単位の印刷プロセスに分割してスケジュールを管理し、サンプル印刷出力の要求の発生に応答して、予定されていた所定の印刷プロセスの複製を、排紙先設定を変更してスケジュールに割込ませる制御とすることにより、印刷ジョブを中断させること無く、任意の排紙先へサンプル印刷出力することが可能となる。これにより、印刷のスループットを低下させずに、印刷ジョブ中の任意の単位の印刷物の仕上がり品質を確認することができる。また、任意の排紙先「排紙先2」が通常の排紙先「排紙先1」と同等の後処理が可能な構成とされていた場合には、1部数単位のサンプル出力を行うことにより、後処理後の仕上がり品質についても確認することが可能となる。
【0055】
図8は、図6に示した処理フローのステップS104のサンプル印刷出力単位の決定の際に参照する、サンプル印刷出力の設定情報を設定するためのGUIの実施形態を示す。図8に示したGUI400は、オペレーションパネル60のタッチパネル58に表示され、用紙束単位の印刷ジョブに対してサンプル印刷出力を行う際のサンプル印刷設定で有る旨の表示と、「束単位で出力する」ボタン402と、「1枚のみ出力する」ボタン404とを含み構成される。
【0056】
ボタン402、404は、オペレータによる押下による指示を待受け、GUI400が表示されたタッチパネル58上で「束単位で出力する」ボタン402が押下されたことに応答して、1部数単位のサンプル印刷出力を行う設定として、NV−RAMにサンプル印刷出力の設定情報として格納する。また、「1枚のみ出力する」ボタン404が押下されたことに応答して、1束単位の印刷ジョブに対しても、1枚単位でサンプル印刷出力を行う設定として、NV−RAMにサンプル印刷出力の設定情報として格納する。以下、サンプル印刷出力の処理フローの他の実施形態を説明する。
【0057】
図9は、複合機100が実行するサンプル印刷出力の処理フローの他の実施形態を示すフローチャートである。図6に示した処理フローが、次に予定されていた印刷プロセスの複製を、排紙先設定を変更して割込みさせるのに対して、図9に示した処理フローは、印刷動作されて印刷出力済の印刷プロセスの複製を、排紙先設定を変更して割込みさせる制御を行う。これにより、サンプル印刷出力要求が発生した時に実行中の印刷プロセスに対応するサンプル印刷出力が行われる。
【0058】
図9に示した制御は、ステップS200から開始され、ステップS201で、オペレータからの印刷設定を受付ける。ステップS202では、印刷ジョブ実行要求を受領したか否かを判定する。ステップS202の判定で、まだ印刷ジョブ実行要求を受領していないと判定された場合(NO)には、処理を再びステップS202へループさせる。
【0059】
一方ステップS202で、印刷ジョブ実行要求を受領したと判定された場合(YES)には、処理をステップS203へ分岐させ、ステップS203では、エンジン制御部32に対して印刷ジョブスタート要求が発行され、印刷プロセス管理部72は、印刷ジョブスタート要求に含まれる印刷パラメータに応じて印刷ジョブを転写紙1枚単位の印刷プロセスに分割し、転写紙1枚単位および1部数単位で印刷プロセスのスケジュール管理を行う。なお、ここで印刷ジョブスタート要求に含まれる印刷パラメータは、図6の例と同様に、排紙先指定およびステープル処理指定の印刷設定を含み、両面印刷指定や集約印刷指定などの他の印刷設定が含まれていない場合を想定している。
【0060】
ステップS204では、GUI400などを使用して予め設定されたサンプル印刷出力の設定情報を参照して、サンプル印刷出力単位を決定する。なお、図9について以下、1部数単位をサンプル印刷出力単位として決定した場合を例として説明する。ステップS205でエンジン制御部32は、ステップS204で決定された1部数単位の印刷プロセスの印刷要求を、プロッタ・エンジン76に対して発行する。印刷要求を受信したプロッタ・エンジン76は、印刷動作を実行し、出力された用紙は、ステップS201で設定された排紙先へ搬送される。
【0061】
ステップS206では、サンプル印刷出力制御部70は、サンプル印刷出力要求の通知を受領したか否かを判定する。ステップS206の判定で、サンプル印刷出力要求の通知を受領していなかった場合(NO)には、処理をステップS207へ分岐させる。ステップS207では、ステップS205の印刷要求によって印刷ジョブが完了したか否か、つまり、印刷ジョブ中の全ての印刷プロセスの印刷要求が完了したか否かを判定し、印刷ジョブが完了していた場合(YES)には、ステップS208へ分岐させ、処理を終了させる。一方、ステップS207の判定で、印刷ジョブの実行が完了していないと判定された場合(NO)には、再びS205へ処理を分岐させる。
【0062】
一方、ステップS206で、サンプル印刷出力要求を受領したと判定された場合(YES)には、処理をステップS209へ分岐させる。ステップS209でサンプル印刷出力制御部70は、前回のサイクルで印刷出力された1部数単位の印刷プロセスの複製を、排紙先設定を変更して、サンプル印刷出力のための印刷プロセスとしてスケジュールに割込ませ、ステップS205でエンジン制御部32は、サンプル印刷出力のための印刷プロセスの印刷要求をプロッタ・プロッタ・エンジン76に対して発行し、サンプル印刷出力が実行される。そして、サンプル印刷出力は、予めサンプル印刷出力の設定情報として指定された排紙先に搬送されることとなる。以下、図9に示した処理フローによって実行される印刷ジョブの実施形態を例示して説明する。
【0063】
図10は、複合機100が実行する印刷ジョブの他の実施形態を示す図である。図10に示した印刷ジョブ320は、ページ番号を模式的に示しているフィールド320aと、排紙先の指定がエントリされているフィールド320bとを含み構成されている。図10に示した印刷ジョブ320は、ページ数5の画像をリピート部数3で印刷する場合に対応する。印刷ジョブ320は、1部数単位の印刷プロセス322a、322b、324を含み、各1部数単位の印刷プロセス322a、322b、324は、5ページ分の転写紙1枚単位の印刷プロセスから構成されている。また図10に示した実施形態は、1部数単位の印刷プロセスをサンプル印刷出力させる場合に対応している。
【0064】
図10は、印刷ジョブの進捗状況(T)を破線で示し、第1部第2ページ目の印刷プロセスに対応する印刷動作中に、サンプル印刷出力要求が発生した場合を例として示す。進捗状況(T)においてサンプル印刷出力要求がなされると、進行中の1部数単位の印刷プロセス324に対応する印刷動作が完了した後、完了した1部数単位の印刷プロセス324の排紙先設定が変更されたものに対応する割込み印刷プロセス326が、次に予定された印刷プロセス322aの前に割込み、サンプル印刷出力が行われることとなる。
【0065】
上述したように本実施形態の複合機100は、サンプル印刷出力の要求の発生に応答して、次に予定されている所定の印刷プロセスまたは完了済の所定の印刷プロセスの複製を、排紙先設定を変更してスケジュールに割込ませることができる。これら所定の印刷プロセスは、転写紙1枚単位の印刷プロセスまたは1部数単位の印刷プロセスとすることができ、任意に選択することができる。また所定の印刷プロセスとしては、上述のものに限定されるものではなく、他の実施形態では、例えば、転写紙1枚単位の印刷プロセスをサンプル印刷出力として割込ませる場合には、要求が発生した時に実行中の1部数単位の印刷プロセスの中から任意に転写紙1単位の印刷プロセスを抽出し、割込ませる制御とすることもできる。また、1部数単位の印刷プロセスの中からユーザ指定により、転写紙1単位の印刷プロセスを抽出し、割込ませる制御とすることもできる。また割込みのタイミングとしては、実行中の所定の印刷プロセスが完了した後、実行中の所定の印刷プロセスをペンディングさせて割込ませる制御とすることもできる。
【0066】
以下、サンプル印刷出力の各種設定について説明する。本実施形態の複合機100は、サンプル印刷出力の際に、排紙先設定の変更以外にも、サンプル印刷出力のための所定の印刷プロセスに対して設定変更を加えることができる。図11は、各種設定を行うためのGUIの実施形態を示す。
【0067】
図11(A)は、所定の印刷プロセスが両面印刷指定を含む場合に、サンプル印刷出力を実行する際に両面印刷指定を解除する必要が有るか否かを設定するためのGUIを示す。図11(A)に示したGUI410は、サンプル印刷出力の両面印刷指定時の動作の設定である旨の表示と、「そのまま印刷」ボタン412と、「両面印刷を解除」ボタン414とを含んでいる。
【0068】
ボタン412およびボタン414は、オペレータによる押下による指示を待受け、「そのまま印刷」ボタン412が押下されたことに応答して、サンプル印刷出力時の両面印刷解除を「不要」として設定する。一方、「両面印刷を解除」ボタン414が押下されたことに応答して、サンプル印刷出力時の両面印刷解除を「要」として設定する。サンプル印刷出力時の両面印刷解除が不要として設定された場合には、サンプル印刷出力の印刷プロセスに両面印刷指定が含まれた場合であっても、そのまま両面印刷される形態でサンプル印刷出力がなされることとなる。一方、両面印刷解除が要として設定された場合には、両面印刷が含まれる場合には、両面印刷指定を解除して、サンプル印刷出力が行われることとなる。両面印刷解除の要否は、サンプル印刷出力の設定情報としてNV−RAMに格納される。また、図11(A)と同様のGUIによって、サンプル印刷出力時の集約印刷指定や分割印刷指定の解除の要否についても設定することもできる。
【0069】
図11(B)は、サンプル印刷出力の際に給紙設定を変更するか否か、また変更する場合にはその紙種指定を設定するためのGUIを示す。図11(B)に示したGUI420は、サンプル印刷出力の際の紙種指定である旨の表示と、「設定を変更しない」ボタン422と、「普通紙指定」ボタン424と、「色紙指定」ボタン426と、「再生紙指定」ボタン428とを含んでいる。
【0070】
ボタン422〜ボタン428は、オペレータによる押下による指示を待受け、「設定を変更しない」ボタン422が押下されたことに応答して、サンプル印刷出力時の紙種変更を「不要」として設定する。一方、「普通紙指定」ボタン424、「色紙指定」ボタン426、「再生紙指定」ボタン428が押下されたことに応答して、紙種変更を「要」として設定すると同時に、それぞれ、普通紙、色紙、再生紙の指定を行う旨で設定する。
【0071】
紙種変更が不要として設定された場合には、サンプル印刷出力の際には、印刷ジョブにより指定された紙種設定のまま印刷出力されることとなる。一方、紙種変更が要として設定され、紙種が指定された場合には、指定した紙種へ設定変更を行った上でサンプル印刷出力が行われることとなる。なお、複合機100は、予め給紙カセット108〜110と、当該給紙カセットに積載された転写部材の紙種との対応関係を設定情報として保持しており、紙種を指定してサンプル印刷出力を行った際には、適切な給紙カセットを給紙元として設定して印刷出力が行われる。また図11(B)と同様のGUIを用いて、紙種ではなく直接給紙トレイの指定ついても設定することもできる。
【0072】
図11(C)は、章区切り用紙や表紙や合紙などの機能紙をサンプル印刷出力の対象とするか否かを設定するためのGUIを示す。図11(C)に示したGUI430は、「そのまま印刷」ボタン432と、「機能紙の印刷解除」ボタン434とを含んでいる。ボタン432およびボタン434は、オペレータによる押下による指示を待受け、「そのまま印刷」ボタン432が押下されたことに応答して、機能紙に対するサンプル印刷出力解除を「不要」として設定する。一方、「機能紙の印刷解除」ボタン434が押下されたことに応答して、機能紙に対するサンプル印刷出力解除を「要」として設定する。
【0073】
機能紙に対するサンプル印刷出力解除が不要として設定された場合には、サンプル印刷出力の印刷プロセスに機能紙設定された印刷プロセスが含まれる場合であっても、そのままサンプル印刷出力がなされることとなる。一方、機能紙に対するサンプル印刷出力解除が「要」として設定された場合には、サンプル印刷出力の対象が機能紙であった場合には、サンプル印刷出力が解除され、サンプル印刷出力の対象の一部に機能紙が含まれる場合には、その機能紙設定された印刷プロセスをサンプル印刷出力の対象から排除し、残りの印刷プロセスをサンプル印刷出力させることとなる。
【0074】
図12は、各種設定を行うためのGUIのさらに他の実施形態を示す。図12(A)は、サンプル印刷出力の際に印字設定を追加するか否か、また追加する場合にはその印字設定の指定を行うためのGUIを示す。図12(A)に示したGUI440は、サンプル印刷出力の印字設定である旨の表示と、「印字設定を追加しない」ボタン442と、「スタンプ印字」ボタン444と、「ページ番号印字」ボタン446と、「部数番号印字」ボタン448とを含んでいる。
【0075】
ボタン442〜ボタン448は、オペレータによる押下による指示を待受け、「印字設定を追加しない」ボタン442が押下されたことに応答して、サンプル印刷出力時の印字設定の追加を「不要」として設定する。一方、「スタンプ印字」ボタン444、「ページ番号印字」ボタン446、「部数番号印字」ボタン448が押下されたことに応答して、サンプル印刷出力時の印字設定の追加を「要」として設定すると同時に、それぞれ、スタンプ印字指定、ページ番号印字指定、部数番号印字指定が設定される。印字設定の追加が不要として設定された場合には、印字設定が追加されないまま、サンプル印刷出力が行われることとなる。一方、印字設定の追加が要として設定され、印字指定がなされた場合、それぞれの印字指定定がなされてサンプル印刷出力がなされることとなる。本実施形態では、「スタンプ印字」ボタン444が押下された場合には、さらに図12(B)に示すスタンプを選択するためのGUIが表示される。
【0076】
図12(B)に示したGUI450は、スタンプ印字の設定である旨の表示と、「サンプルプリント専用スタンプ」ボタン452と、「ユーザ登録スタンプ」ボタン454とを含み構成されている。ボタン452およびボタン454は、オペレータによる押下による指示を待受け、「サンプルプリント専用スタンプ」ボタン452が押下されたことに応答して、予め用意されたスタンプ画像の一覧が表示されて、スタンプ画像を選択可能とされる。同様に、「ユーザ登録スタンプ」ボタン454が押下されたことに応答して、ユーザ登録スタンプの一覧が表示され、ユーザ登録されたスタンプ画像が選択可能とされる。図12(B)に示したGUI450によりオペレータは、予め用意されたサンプル印刷出力用のスタンプまたは、HDD22などのユーザ領域に格納しているユーザ登録されたスタンプを使用して、スタンプ印字指定を行うことができる。上述までの各種設定は、サンプル印刷出力の設定情報として、NV−RAMなどに格納され、サンプル印刷出力を行う際に参照される。
【0077】
以下、図11および図12に示したGUIにより設定された、サンプル印刷出力の設定情報に応じて、所定の印刷プロセスの印刷設定を変更してサンプル印刷出力させる処理の詳細について説明する。図13は、サンプル印刷出力単位の印刷プロセスを割込ませるための処理ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【0078】
図13に示した制御は、図6のステップS109の処理または図9のステップS209の処理によって呼出され、ステップS300から開始する。ステップS301では、サンプル印刷出力のための印刷プロセスの排紙先設定を変更する。なお、サンプル印刷出力の際の排紙先は、予め設定されたものを使用することができる。ステップS302では、両面印刷解除の要否の設定を参照して、両面印刷指定の場合に両面印刷指定解除を行う必要があるか否かの判定が行われる。ステップS302の判定で、両面印刷解除の必要が有ると判定された場合(YES)には、処理をステップS303へ分岐させる。ステップS303では、サンプル印刷出力のための印刷プロセスに両面印刷指定が含まれる場合には、両面印刷設定を解除し、ステップS304へ処理を進める。なお両面印刷指定の解除にともなって、印刷順序の変更やウラ面用の印刷プロセスの実行解除など、必要な調整が行われる。
【0079】
一方ステップS302の判定で、両面印刷指定の解除が不要であると判定された場合(NO)には、処理をステップS304へ直接分岐させる。ステップS304では、機能紙に対するサンプル印刷出力の解除の要否が判定される。機能紙の印刷解除が「要」として設定されていた場合は、つまり機能紙に対するサンプル印刷出力を解除する必要が有る場合(YES)には、処理をステップS305へ分岐させる。ステップS305では、機能紙に対するサンプル印刷出力を解除するために、サンプル印刷出力のための印刷プロセスから、機能紙が設定されている転写紙1枚単位の印刷プロセスを削除し、ステップS306へ処理を分岐させる。
【0080】
一方、ステップS304の判定で、機能紙に対するサンプル印刷出力の解除が不要であると判定された場合(NO)には、処理はステップS306へ分岐させられる。ステップS306では、紙種の変更の必要であるか否かが判定され、紙種の変更が必要であると判定された場合(YES)には、処理をステップS307へ分岐させる。ステップS307では、サンプル印刷出力のための印刷プロセスの給紙設定を変更して、ステップS308へ処理を進める。ステップS306の判定で、紙種の変更の必要が無いと判定された場合には、処理をステップS308へ分岐させる。
【0081】
ステップS308では、さらに印字設定の追加の要否が判定される。ステップS308の判定で、印字設定の追加が必要であると判定された場合(YES)には、処理をステップS309へ分岐させる。ステップS309では、サンプル出力印刷のための印刷プロセスに印字設定を追加し、ステップS310へ処理を進める。ステップS308の判定で、印字設定を追加する必要が無いと判定された場合(NO)には、処理をステップS310へ分岐させる。ステップS310では、ステップS300からステップS309までの制御による印刷設定を反映させた印刷プロセスを割込ませ、ステップS311で処理ルーチンを終了させる。なお、印刷ジョブ開始時に予め設定されていた印刷設定のなかで、指定の排紙先で処理が不可能な印刷設定が含まれる場合については、ステップS310で、割込ませる前に解除することができる。指定の排紙先で処理が可能な印刷設定については、解除せずにサンプル印刷出力を行うことにより、最終的な仕上がりに近い形態でサンプル印刷出力を行うことができる。
【0082】
上述のユーザ・インタフェースおよび処理ルーチンにより、サンプル印刷出力に対して、紙種変更の要否の指定、紙種の選択指定、給紙カセット変更の要否の指定、給紙カセットの選択指定、両面印刷解除の要否の指定、集約印刷解除の要否の指定、機能紙に対するサンプル印刷出力解除要否の指定、印字設定追加の要否の指定および印字設定の指定またはこれらの少なくとも1つの指定を行うことが可能となり、柔軟な設定によってサンプル印刷出力を実行することが可能となる。
【0083】
図14は、複合機100が実行する印刷ジョブの他の実施形態を示す図である。図14に示した印刷ジョブ330は、ページ番号を模式的に示しているフィールド330aと、給紙元の指定がエントリされているフィールド330bと、排紙先の指定がエントリされているフィールド330cとを含み構成されている。印刷ジョブ330は、両面印刷指定で、ページ数6の画像をリピート部数2で印刷する場合に対応する。印刷ジョブ330は、1部数単位の印刷プロセス332、334を含み、各1部数単位の印刷プロセス332、334は、6ページ分の転写紙1枚単位の印刷プロセスから構成されている。また図14に示した実施形態は、転写紙1枚単位の印刷プロセスをサンプル印刷出力させる場合に対応している。
【0084】
図14は、印刷ジョブの進捗状況(T)を破線で示し、第1部第2ページ目の印刷プロセスに対応する印刷動作中にサンプル印刷出力要求が発生した場合を例として示す。進捗状況(T)においてサンプル印刷出力要求がなされると、進行中の1部数単位の印刷プロセスに対応する印刷動作が完了した後、サンプル印刷出力要求時に進行中であった転写紙1枚単位の印刷プロセス335の排紙先設定が変更されたものに対応する割込み印刷プロセスが、次に予定された印刷プロセス334の前に割込み、サンプル印刷出力が行われることとなる。サンプル印刷出力時の両面印刷解除が「要」として設定されていた場合には、両面印刷指定が解除された印刷プロセス336が割込むこととなり、サンプル印刷出力時の両面印刷解除が「不要」として設定されていた場合には、印刷プロセス335のウラ面に対応する印刷プロセスも含む両面印刷の印刷プロセス338が割込み、両面印刷されたサンプル印刷出力が行われる。
【0085】
以下、機能紙に対するサンプル印刷出力解除の例を説明する。図15は、複合機100が実行する印刷ジョブの他の実施形態を示す図である。図15に示した印刷ジョブ340は、ページ番号を模式的に示しているフィールド340aと、排紙先の指定がエントリされているフィールド340bと、機能紙設定がエントリされているフィールド340cとを含み構成されている。印刷ジョブ340は、ページ数9の画像をリピート部数1で印刷する場合に対応し、ページ1およびページ7が、それぞれ、表紙および章区切り用紙として設定されていることが示されている。
【0086】
図15は、印刷ジョブの進捗状況(T)および進捗状況(T)を破線で示し、それらのタイミングでサンプル印刷出力要求が発生した場合を例として示す。進捗状況(T)においてサンプル印刷出力要求が発生した場合には、第2ページの機能紙設定が通常の中紙に設定されているため、通常通りサンプル印刷出力が行われることとなる。一方、進捗状況(T)においてサンプル印刷出力要求が発生し、機能紙の印刷出力解除が「要」として設定されていた場合には、第6ページが章区切り用紙の機能紙が設定されているため、サンプル印刷出力が解除されることとなる。
【0087】
図16は、サンプル印刷出力が実行された場合に、オペレーションパネル60の表示画面に表示されるユーザ通知画面の実施形態を示す。ユーザ通知画面460は、サンプル印刷出力させた所定の印刷プロセスに対応する部数番号およびページ番号をユーザに通知するためのメッセージ表示462を含んで構成さている。なお、ユーザ通知画面460は、オペレーションパネル制御部36により、サンプル印刷出力が完了したことを受けて表示させ制御とすることができるが、特に限定されるものではない。例えば、他の実施形態では、複合機100のオペレーションパネル60以外にも、所定のインタフェースを解して、ホスト・コンピュータのディスプレイ上に表示させることもできる。さらに他の実施形態では、サンプル印刷出力させた排紙先またはその他の排紙先に、サービスプリントとして印刷出力させることもできる。サンプル印刷出力させた所定の印刷プロセスに対応する部数番号およびページ番号をユーザに通知することにより、ユーザは、当該サンプル印刷出力が、何時行われたかを把握することが可能となり、効率的に印刷物の仕上がり品質を管理することが可能となる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態によれば、実行中の印刷動作を中断させることなく、所定の排紙先へ、転写紙1枚単位または1部数単位といった必要に応じた単位のサンプル印刷出力を行うことを可能とし、生産性を低下させることなく、印刷物の画像品質および後処理品質を確認することを可能とする画像形成装置、画像形成システム、プログラムおよび記録媒体を提供することが可能となる。
【0089】
なお上述では、画像形成装置の一実施形態として、複数機能を備えた複合機を例に説明してきた。しかしながら本発明の実施形態では、画像形成装置は、複写機、印刷機、プリンタなどの他の画像形成装置として構成することもできる。
【0090】
また上記機能は、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)、などのレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語などで記述されたコンピュータ実行可能なプログラムにより実現でき、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−RW、DVD、SDカード、MOなど装置可読な記録媒体に格納して頒布することができる。
【0091】
これまで本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】複合機の実施形態を示す図。
【図2】複合機を含み構成される画像形成システムの実施形態を示す構成図。
【図3】本実施形態の複合機のソフトウェア構成およびハードウェア構成の概略図。
【図4】本実施形態の複合機が備えるオペレーションパネルの概略を示す図。
【図5】本実施形態の複合機が有するサンプル印刷出力機能についての主要構成を示したブロック図。
【図6】本実施形態の複合機が実行するサンプル印刷出力の処理フローを示すフローチャート。
【図7】複合機が実行する印刷ジョブの実施形態を示す図。
【図8】サンプル印刷出力単位の設定情報を設定するためのGUIの実施形態を示す図。
【図9】複合機が実行するサンプル印刷出力の処理フローの他の実施形態を示すフローチャート。
【図10】複合機が実行する印刷ジョブの他の実施形態を示す図。
【図11】各種設定を行うためのGUIの実施形態を示す図。
【図12】各種設定を行うためのGUIのさらに他の実施形態を示す図。
【図13】サンプル印刷出力のための印刷プロセスを割込ませるための処理ルーチンの詳細を示すフローチャート。
【図14】複合機が実行する印刷ジョブのさらに他の実施形態を示す図。
【図15】複合機が実行する印刷ジョブのさらに他の実施形態を示す図。
【図16】サンプル印刷出力が実行された場合に表示されるユーザ通知画面の実施形態を示す。
【符号の説明】
【0093】
20…メモリ、22…HDD、24…CPU、26…エンジン、28…ネットワーク・インタフェース(I/F)、30…OS、32…エンジン制御部、34…出力画像生成部、36…オペレーションパネル制御部、38…ネットワーク制御部、40…コピー・アプリケーション、42…プリンタ・アプリケーション、44…API、46…ハードウェア・リソース層、48…サービス・モジュール層、50…アプリケーション・モジュール層、58…タッチパネル、60…オペレーションパネル、62…「PRINT」ボタン、64…「CL/STOP」ボタン、66…「試し印刷」ボタン、68…テンキー、70…サンプル印刷出力制御部、72…印刷プロセス管理部、74…アプリケーション、76…プロッタ・エンジン、100…複合機、101…ADF、102…原稿台、103…給送ローラ、104…給送ベルト、105…排送ローラ、106…コンタクトガラス、107…原稿セット検知センサ、108〜110…給紙カセット、111〜113…給紙ユニット、114…縦搬送ユニット、115…感光体ドラム、116…搬送ベルト、117…定着ユニット、118…排紙ユニット、119…排紙トレイ、127…現像ユニット、130…転写・定着ユニット、140…表示装置、150…画像読取ユニット、151…露光ランプ、152…第1ミラー、153…レンズ光学系、154…CCDイメージセンサ、155…第2ミラー、156…第3ミラー、157…画像形成ユニット、158…レーザ出力ユニット、159…結像レンズ光学系、160…ミラー、171…両面印刷用給紙ユニット、172…分離爪、180…2段インサータ、182…トレイ、184…Z折り装置、186…ステープルユニット、188…パンチユニット、190、192…排紙スタッカ、194…フィニッシャ、196…移動排紙トレイ、198…ステープルトレイ、200…画像形成システム、300,320,330,340…印刷ジョブ、302,322,324,334,332…1部数単位の印刷プロセス、304〜310,335…1枚単位の印刷プロセス、312,326,336,338…割込み印刷プロセス、400,410,420,430,440,450…GUI、402,404,412,414,422〜428,432,434,442〜448,452,454…ボタン、460…ユーザ通知画面、462…メッセージ表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排紙先を選択して印刷出力を実行する画像形成装置であって、前記画像形成装置は、
印刷ジョブを印刷プロセスに分割して、印刷出力を制御する印刷プロセス管理手段と、
サンプル印刷出力要求に応じて、前記印刷プロセス管理手段に対し、前記印刷ジョブ中の所定の印刷プロセスの複製を排紙先設定を変更して割込ませ、サンプル印刷出力の実行を制御するサンプル印刷出力制御手段と
を含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記所定の印刷プロセスは、前記サンプル印刷出力要求の後、次に開始される予定の印刷プロセス、または前記サンプル印刷出力要求時に実行中の印刷プロセスである、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定の印刷プロセスは、転写紙1枚単位の印刷プロセス、または1部数単位の印刷プロセスである、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記サンプル印刷出力制御手段は、前記所定の印刷プロセスに編集設定が含まれる場合に、前記編集設定を解除するか否かを判定し、前記編集設定は、両面印刷指定または集約印刷指定である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記サンプル印刷出力制御手段は、前記所定の印刷プロセスに機能紙設定が含まれる場合に、前記所定の印刷プロセスの複製から機能紙設定された印刷プロセスを削除するか否かを判定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記サンプル印刷出力制御手段は、前記所定の印刷プロセスの複製に対し、用紙設定をさらに変更し、前記用紙設定は、給紙トレイ指定または紙種の指定である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記サンプル印刷出力制御手段は、前記所定の印刷プロセスの複製に対し、印字設定をさらに追加し、前記印字設定は、スタンプ印字指定、ページ番号印字指定または部数番号印字指定である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成装置は、前記サンプル印刷出力が実行された場合に、割込ませた前記所定の印刷プロセスに対応する部数番号およびページ番号またはこれらの少なくとも一方を、ユーザ通知するための手段をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成装置は、前記サンプル印刷出力に対して、前記所定の印刷プロセスの単位の指定、紙種変更の要否の指定、紙種の選択指定、給紙カセット変更の要否の指定、給紙カセットの選択指定、両面印刷解除の要否の指定、集約印刷解除の要否の指定、機能紙に対するサンプル印刷出力解除要否の指定、印字設定追加の要否の指定および印字設定の指定、またはこれらの少なくとも1つの指定を行うためのユーザ・インタフェース手段をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置と、前記画像形成装置により印刷出力された転写部材の排紙先を提供するスタッカ装置またはフィニッシャ装置と含み構成される、画像形成システム。
【請求項11】
画像形成装置を、請求項1〜9のいずれか1項に記載の各手段として機能させるための装置実行可能なプログラム。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の各手段として、画像形成装置を機能させるための装置実行可能なプログラムを記録した装置可読な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−229935(P2008−229935A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69949(P2007−69949)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】