説明

画像形成装置およびカラー画像形成装置

【課題】高コスト化/高消費電力化することなく、基本4色に対して補助色を容易にオプション化できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】走査光学系は、4つの基本色に対応する複数の像担持体の表面をレーザビームで走査する第1のハウジングに収納された第1の部分と、少なくとも1つの補助色に対応する像担持体の表面をレーザビームで走査する第2のハウジングに収納された第2の部分から構成され、光偏向器は第1のハウジングに収納された第1の部分のみに備え、第2のハウジングは、画像形成装置から着脱可能な構成とする。
前記第2のハウジング装着時には、前記少なくとも1つの補助色に対応する像担持体の表面を走査する前記レーザビームは前記光偏向器で偏向された後、前記第1のハウジングに設けた第1の窓部から出射し、前記第2のハウジングに設けた第2の窓部から入射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタ、デジタル複写機、レーザファクシミリ等のレーザ書込み光学系の光走査装置を備えた画像形成装置に関し、更に、多色のカラー画像を形成するカラー画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の進歩に伴って画質に対する要求も高くなり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の基本4色を用いた画像形成装置に対して、色数を増加させた電子写真方式の画像形成装置が提案されている。(例えば、特許文献1〜特許文献4参照)
【0003】
また、基本4色ではないが、黒赤2色の画像形成装置の光走査装置も提案されている。(例えば、特許文献5参照)
【0004】
特許文献1〜特許文献4においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの基本4色のトナーに、淡色のトナー(例えば、ライトシアンやライトイエロー)や、透明度の高いトナー(例えば、透明トナー)、さらには立体(3D)画像用の隆起トナーなどを加えたものである。なお、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色は基本色と呼ばれ、それ以外の色は補助色または特別色と呼ばれている。
【0005】
淡色のトナーは、出力画像の粒状性を低減させて高画質化を図るのに用いられ、透明度の高いトナーは、光沢性を向上させるのに用いられる場合もある。
また、補助色は、イエロー、マゼンタ、シアンの混色では再現が困難な色を形成する場合にも用いられる。
【0006】
特許文献1〜5に本発明に係る従来技術が開示されている。
特許文献1には、6色のトナーを有するプリンタの1つの光学ハウジングの内部に、6ステーション(共通のポリゴンミラーにより2方向の両側走査)を収納した構成が開示されている。
1つの光学ハウジング内部に全ての画像形成ステーションを収納しているため、基本4色に対して補助色を組み入れた構成であり補助色をオプション化することができない。
特許文献2には、1つの光学ハウジングの内部に、5ステーション(共通のポリゴンミラーにより一方向のみの片側走査)を収納した構成が開示されている。
1つの光学ハウジング内部に全ての画像形成ステーションを収納しているため、基本4色に対して補助色組み入れた構成であり、補助色をオプション化することができない。
【0007】
特許文献3には、4つの基本色のトナー像を像担持体上に形成す複数の画像形成部とそれぞれの像担持体上に像露光するための第1光学ユニット(基本色4ステーションユニット)と2つの補助色に対応する第2光学ユニット(補助色2ステーションユニット)の構成が開示されている。第2光学ユニットは、画像形成装置に対して脱着可能(補助色をオプション化)した構成が開示されている。
4つの基本色用の第1光学ユニットだけではなく補助色用の第2光学ユニットにもポリゴンスキャナを装着したので、高コストになる。また、消費電力が増加することにより発熱量が増加するため、光学ユニットの温度が上昇することにより、被走査面上を走査するレーザビームの特性が劣化し、結果として出力画像を劣化させる。
【0008】
特許文献4には、基本4色をLD露光とするマルチビーム光走査画像形成部と、補助色1色を発光点が線状に配設されたLEDアレイで露光するライン走査画像形成部を有する画像形成装置の技術が開示されている。
マルチビーム光走査画像形成部とライン走査画像形成部の駆動/制御系が複雑化するとともに、装置および制御系が高コストになる。
【0009】
特許文献5には、黒赤2色の画像形成装置の、通過光路を異にする黒用と赤用の2つの光ビームを1つの光学箱から出射する光走査装置において、光学箱を線膨張係数の異なる2つの筺体(第1筺体と第2筺体)で構成することにより、温度変化に伴う光学箱の伸縮に起因する色ずれの発生を低減する技術が開示されいる。第1筺体にのみ偏向手段を装着し、偏向手段を装着していない第2筺体を着脱可能とするオプション化可能な構成ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、近年、環境対策の観点から、画像形成装置に対する低消費電力(省エネルギー)化への要求が高まってきた。特許文献3に開示されている画像形成装置では、前記補助色に対応する画像形成ステーションが増設された機器構成となり、増設した装置分、消費電力が増加していた。
一方、上記のような補助色を必要とせず基本4色のみを用いた画像形成装置のニーズも多い。このようなユーザのニーズの多様化に応じるために「基本4色のみの画像形成装置」と「補助色を追加した画像形成装置」を作り分けて商品ラインナップするには、部品コストや設備投資の面で高コストとなりやすい。そのため、基本4色のみの画像形成装置をベース機として、補助色をオプション化する構成が提案されている(特許文献3)。このような構成を採用することにより、部品コストや設備投資を増加させることなく、「基本4色のみの画像形成装置」と「補助色を追加した画像形成装置」を作り分けることが可能となる。また、ユーザが「基本4色のみの画像形成装置」を購入した後に、「補助色」のニーズが顕在化したときに、「補助色」をオプションとして容易に拡張することが可能となる。
【0011】
特許文献1〜4の従来技術の構成においては、補助色用のオプション化できない構造や、オプション化できたとしても、4つの基本色用の第1光学ユニットだけではなく補助色用の第2光学ユニットにもポリゴンスキャナを装着したので、高コストになることや、ポリゴンスキャナの付加による消費電力の増加により光学ユニットの温度が上昇し、被走査面上を走査するレーザビームの特性が劣化し、結果として出力画像を劣化させる。また光走査画像形成部の駆動/制御系が複雑化するという問題がある。
【0012】
また特許文献5の従来技術の構成において、偏向手段を装着していない第2筺体を第1筺体に着脱可能とする構成を有していない。
【0013】
本発明は、係る事情の下になされたもので、画像形成装置として高い画像品質を維持しつつ、基本4色に補助色を加えた画像形成装置において、基本4色のみの画像形成装置をベースとして、補助色をオプション化する構成をもって、従来技術のように高コスト化/高消費電力化することなく、基本4色に対して補助色を容易にオプション化できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4つの基本色及び前記4つの基本色以外の少なくとも1つの補助色のそれぞれに対応する複数の像担持体と、前記複数の色に対応し複数のレーザビームを出射する光源と、複数の偏向反射面を回転軸まわりに回転させて前記複数の色に対応する前記複数のレーザビームを偏向する少なくとも1つの光偏向器と、前記光偏向器で偏向されたレーザビームを対応する像担持体上に集光する走査光学系とを備える画像形成装置において、
前記走査光学系は、前記4つの基本色に対応する複数の像担持体の表面をレーザビームで走査する第1のハウジングに収納された第1の部分と、前記少なくとも1つの補助色に対応する像担持体の表面をレーザビームで走査する第2のハウジングに収納された第2の部分と、から構成され、
前記光偏向器は前記第1のハウジングに収納された第1の部分のみに備え、
前記第2のハウジングは、前記画像形成装置から着脱可能な構成とし、
前記第2のハウジング装着時には、前記少なくとも1つの補助色に対応する像担持体の表面を走査する前記レーザビームは前記光偏向器で偏向された後、前記第1のハウジングに設けた第1の窓部から出射し、
前記第2のハウジングに設けた第2の窓部から入射することを特徴とする画像形成装置である。
【0015】
本発明によれば、画像形成装置として高い画像品質を維持しつつ、補助色の画像形成に係るオプション部分を容易に基本装置に取り付け可能で、低コストで、高い画像品質を維持しつつ、また補助色が不要時における装置消費電力を容易に低減させることができる。すなわち基本4色に対して補助色を容易にオプション化できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る光走査装置の実施例1(副走査断面)を示す図である。
【図2】本発明に係る光走査装置の実施例1(図2(a)は、平面図主走査断面)、図2(b)は、側面図)を示す図である。
【図3】本発明に係る光走査装置の実施例1の変形例(ビーム合成手段によるビーム合成)を示す図である。
【図4】本発明の画像形成装置の実施例G1(5ステーション型カラー画像形成装置の例)を示す図である。
【図5】本発明に係る光走査装置の実施例2(図5(a)は、副走査断面、図5(b)は、主走査断面))を示す図である。
【図6】本発明に係る光走査装置の実施例2の変形例(図6(a)は、副走査断面、図6は、(b)主走査断))を示す図である。
【図7】本発明に係る補助画像形成ステーションの装着前の実施例G1の画像形成装置を示す図で、図7(a)は、第2のハウジングの装着前の正面図、図7(b)は左側面図を示す図である。
【図8】本発明に係る補助画像形成ステーション(第2のハウジング)の装着後の実施例G1の画像形成装置を示す図で、図8(a)は、正面図、図8(b)は、左側面図を示す図である。
【図9(a)】本発明の第1のハウジングに対する第2のハウジングの装着方法である実施例H1を示す全体図である。
【図9(b)】本発明の第1のハウジングに対する第2のハウジングの装着方法である実施例H1を示す図で、位置決めピン部拡大図である。
【図9(c)】図9(a)及び(b)の1変形例を示す図である。
【図10(a)】本発明の第1のハウジングに対する第2のハウジングの装着方法の実施例H1の別の変形例を示す全体図である。
【図10(b)】本発明の第1のハウジングに対する第2のハウジングの装着方法の実施例H1の別の変形例を示す補足図である。
【図10(c)】本発明の第1のハウジングに対する第2のハウジングの装着方法の実施例H1の別の変形例を示す図で、位置決めピン部拡大図である。
【図10(d)】本発明の第1のハウジングに対する第2のハウジングの装着方法の実施例H1の別の変形例を示す図で、係止部拡大図を示す図である。
【図11】補助画像ステーシション(第2のハウジング)の装着後の画像形成装置の実施例G2を示す図で、図11(a)は、正面図、図11(b)は左側面図を示す図である。
【図12】本発明の第1のハウジングに対する第2のハウジングの装着方法の実施例H1の別の変形例を示す図で、図12(a)は、分解図、図12(b)は、組立状態を示す図である。
【図13】本発明に係る補助画像形成ステーションにおける折り返しミラーの姿勢の調整の実施例A1を示す図である。
【図14】本発明の実施例A1の折り返しミラーの姿勢の調整(β方向)を行う図で、図14(a)は、調整ねじ側からの分解図、図14(b)は、折り返しミラー側からの調整を示す図である。
【図15】本発明の実施例A1の折り返しミラーの姿勢の調整(α方向)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図1〜図15に基づいて画像形成装置および光走査装置の動作及び構成について説明する。
【0018】
(光走査装置の補助画像形成ステーションのオプション化)
本発明の第1の実施形態1として、本発明に係る光走査装置と補助画像形成ステーションのオプション化について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る光走査装置の実施例1の副走査断面を示す図であり、図2は光走査装置の実施例1の主走査断面の側面図および平面図を示す図である。図1および図2に示すように、光走査装置103は第1のハウジング101Aと第2のハウジング101Bとそれぞれのハウジング内に収納された第1の基本画像形成ステーション102Aと補助画像形成ステーション102Bから構成されている。
【0019】
第1のハウジング101Aには、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面をレーザビーム16Y、16M、16C、16Kで走査する「基本画像形成ステーション102A」が収納されている。添字Y、M、C、Kは、各々イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の基本4色に係る構成を意味する。
基本画像形成ステーション102Aは、基本4色に対応して、4つの画像ステーション(ステーションY、ステーションM、ステーションC、ステーションK)から構成される。例えば、ステーションKは、図2に示す光源部17Kから出射されたレーザビーム16Kが、ポリゴンミラー15の偏向反射面にて反射され、第1走査レンズ(12L)、折り返しミラー14K1、第2走査レンズ13Kを介して、感光体ドラム11K表面を光スポットとして等速走査する。ポリゴンミラー15は図示しないポリゴンモータに装着されてポリゴンスキャナを構成し、ポリゴンモータにより高速回転(数万RPM)駆動される。他のステーションY、ステーションM、ステーションCも同様である。
【0020】
なお、レーザビーム16Y、16M、16C、16Kをそれぞれ出射する光源部17K、17M、17C、17Kは、半導体レーザ等の発光部と、発光部からのレーザビームをカップリングするカップリングレンズと、カップリングされたレーザビームをポリゴンミラーの偏向反射面上に副走査方向に結像した線像に変換するシリンドリカルレンズ等から構成される。半導体レーザは、複数の発光部を有する半導体レーザアレイやVCSEL等でも構わない。シリンドリカルレンズの代替として、入射したレーザビームを少なくとも副走査方向に結像する機能を有するアナモルフィックレンズや回折光学素子でも構わない。
【0021】
第1のハウジング101Aの上側は、4つのスリット形状の開口部22Y、22M、22C、22Kが形成されたカバー部材103Aで覆われている。カバー部材103Aは第1のハウジング101Aと一体構成であっても構わない。
レーザビーム16Y、16M、16C、16Kは、上記開口部を通過する。開口部22Y、22M、22C、22Kは、図示しない透明な平行平板ガラスで覆われており、外部から塵埃が侵入することを防ぐことができる。
【0022】
(スリット形状の開口部を平行平板ガラス/遮蔽部材で覆う)
基本4色トナーの他に補助色トナーの合計5色トナーにより記録紙上に画像を形成する画像形成装置の場合には、基本画像ステーション102Aを収納する第1のハウジング101Aの左側に、補助画像形成ステーション102Bを収納する第2のハウジング101Bを配備する。第1のハウジング101Aの左側の側壁には、第2のハウジング101B内にレーザビームを通過させるためのスリット形状の開口部21Aが形成されている。開口部21Aは開口部22Y、22M、22C、22Kと同様に、図示しない透明な平行平板ガラスで覆うことが望ましい。一方、基本4色トナーにより記録紙上に画像を形成する画像形成装置に本基本画像形成ステーション102Aを搭載する場合には、安全性(及び防塵性)を考慮し、開口部21Aを図示しない遮蔽部材で覆う必要がある。
【0023】
一方、第2のハウジング101Bは、第1のハウジング101Aの左側面側に配備されている。第2のハウジング101Bには、感光体ドラム11Sの表面をレーザビーム16Sで走査する「補助画像形成ステーション102B」の一部が収納されている。添字Sは補助色あるいは特別色の構成を意味する。
なお、レーザビーム16S光源部17Sは、上述の17Y、M、C、Kと同様に半導体レーザ等の発光部と、発光部からのレーザビームをカップリングするカップリングレンズと、カップリングされたレーザビームをポリゴンミラーの偏向反射面上に副走査方向に結像した線像に変換するシリンドリカルレンズ等から構成される。半導体レーザは、複数の発光部を有する半導体レーザアレイやVCSEL等でも構わない。光源部17Sから出射されたレーザビーム16Sはポリゴンミラー15の偏向反射面にて反射され、第1走査レンズ(12L)を通過する。第1走査レンズ(12L)を通過したレーザビーム16Sは、第2のハウジング101Bの左側の側壁に形成されたスリット形状の開口部21Bを通過後、第2走査レンズ13S、折り返しミラー14S1を介して、感光体ドラム11S表面を光スポットとして等速走査する。
【0024】
第1のハウジング101Aと同様に、第2のハウジング101Bの上側は、スリット形状の開口部22Sが形成されたカバー部材103Bで覆われ、開口部22Sは図示しない透明な平行平板ガラスで覆われている。カバー部材103Bは、第2のハウジング101Bと一体形成されていても構わない。
なお、第2のハウジング101Bは、後述のように第1のハウジング101Aに装着されることが望ましい。(請求項1)
なお、第2のハウジング101Bは、画像形成装置の本体部に装着されても構わない。
このように、第1のハウジング101Aのカバー部材103Aにおける4つの開口部22Y、22M、22C、22Kの配置面と直交する左側の側壁に開口部21Aを設け、かつ、少なくとも1つの折り返しミラー(本実施例では、14S1)により光路を折り返してレーザビーム16Sを感光体ドラム11Sに導く構成としたので、補助色用の感光体ドラム11Sを、図1のように配列することで、図4に示すように画像形成装置104の転写ベルト31の移動方向に沿って、基本4色の感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに対して直列に配列することが可能となる。
このように配列することができるため、補助画像形成ステーションの取り付け構造の簡素化や光走査装置の薄型化や小型化を図ることができる。
【0025】
(ポリゴンスキャナを第1のハウジングのみに配備するメリット)
図1の光走査装置103では、ポリゴンミラー15等のポリゴンスキャナを備えた第1のハウジング101A(基本画像形成ステーション102A)に、ポリゴンスキャナを備えない第2のハウジング101B(補助画像形成ステーション102B)を装着した。ポリゴンスキャナは光走査装置を構成する構成部品のうちコスト比率が高い部品であるため、2つのポリゴンスキャナを備える特許文献3の従来技術と比較し、低コスト化を図ることが可能である。また、高速回転駆動するポリゴンスキャナは多くの電力を消費し、発熱量も大きい。この発熱の影響により、光走査装置内部の温度が上昇し、ハウジング部材や光学素子が変形することにより、感光体ドラム上のレーザビームの性状(ビームスポット径や走査線形状等)が劣化する。これにより出力画像の品質が劣化する。本願発明の光走査装置103では、特許文献3の従来技術のポリゴンスキャナを2個中1個を省略した構造とすることが可能になるため発熱量を1/2とすることができるので、好ましい構成である。
【0026】
レーザビームの光路について、図1、図2により説明する。
各光源部17Y、17M、17C、17K、17Sから出射された各レーザビーム16Y、16M、16C、16K、16Sは、ポリゴンミラー15の偏向反射面に対して、副走査断面において、基本画像形成ステーション102Aに収納されるステーションY、M、C、K用としては、斜入射、補助画像ステーション102Bに収納されるステーションS用としては、水平入射される。
実施例1の光走査装置103においては、各ステーションにおける光源部17Y、17M、17C、17Kからのレーザビーム16Y、16M、16C、16Kが、ポリゴンミラー15の偏向反射面に対して副走査断面において「斜入射」となるような構成としている。例えば、ステーションK及びCにおいては、図2に示すように光源部17K及び17Cを、図2(a)の平面図では互いに重なり合い、図2(b)の側面図では上下方向にずらして、光源部17Kを上側、17Cを下側に配備している。ステーションY及びMも同様である。
一方、ステーションSにおいては、光源部17Sからのレーザビーム16Sは、ポリゴンミラー15の偏向反射面に対して副走査断面において「水平入射」となるような構成としている。本光走査装置103においては、光源部17Sが光源部17K及び17Cと干渉しないように、主走査断面において光源部17Sを光源部17K及び17Cとずらして配備した。これにより、ポリゴンミラー15の厚さを小さくすることができ、ポリゴンミラー15の低コスト化や高速回転化を達成できる。
【0027】
図3は、実施例1の光走査装置の変形例を示し、ビーム合成手段によるビーム合成の状態を示す図であり、ハーフミラーや偏光ビームスプリッタ等を利用したビーム合成手段18を用いて、レーザビーム16Sをレーザビーム16K及び16Cと合成する構成としても構わない。
【0028】
また、レーザビームが水平入射されるステーションSのレーザビームの光路を、図1および図2に示すように、レーザビームが斜入射されるステーションC及びステーションKの光路の間を通過する構成とした。そのため、第1のハウジング101A及び第2のハウジング101Bの高さ方向(Z軸方向)の寸法を小さくすることができ、光走査装置103の小型化/軽量化、低コスト化を図ることが可能となる。(請求項2)
【0029】
図4に本発明の画像形成装置の実施例G1としての、5ステーション型カラー画像形成装置を示す。
上記のような第1のハウジング101Aと基本画像形成ステーション102A及び第2のハウジング101Bと補助画像形成ステーション102Bを備えた光走査装置103を、電子写真プロセスを利用した画像形成装置の露光手段として適用することができる。
図4は、5色トナーでカラー画像を出力可能な5ステーション型カラー画像形成装置の主要部を示すものであるが、基本画像形成ステーション102Aでは、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面にレーザビーム16Y、16M、16C、16Kにて画像情報に基づく静電潜像を形成し、図示しない電子写真プロセスにより基本4色(Y、M、C、K)のトナーで画像を形成する。補助画像形成ステーション102Bでは、感光体ドラム11Sの表面にレーザビーム16Sにて画像情報に基づく静電潜像を形成し、図示しない電子写真プロセスにより補助色のトナーで画像を形成する。補助色には、クリア(透明)トナー、淡色(ライトブラックやライトシアン等)、白色トナー、隆起トナー等が用いられる。これら5色のトナー像を転写ベルト31上で重ね合わせた後、搬送ベルト32により搬送される出力紙(記録紙)33に転写する。出力紙33上に転写された5色のトナー像は定着器34により出力紙33に定着/固定された後、排紙トレイ37上に排紙(出力)される。(請求項8)
【0030】
図4では、第1のハウジング101A(基本画像形成ステーション102A)の左側にのみ第2のハウジング101B(補助画像形成ステーション102B)を配備する構成として5ステーション画像形成装置としたが、左側の第2のハウジング101Bに加えて右側にも図示しない第3のハウジング(第2の補助画像形成ステーション)を加えて両側配備配置として6ステーション画像形成装置とすることにより、基本4色に加えて2色の補助画像をオプション形成することが可能である。
【0031】
(補助色トナーの利用)
有色の出力紙上に印刷する場合、補助色として白色トナーを出力紙上の最下層に定着させることで白地を形成した後、その上に基本4色トナーを重ね合わせることが望ましい。このためには、補助画像形成ステーション102Bを基本画像形成ステーション102Aに対して、転写ベルト31の移動方向(矢印1)の下流側に配置すればよい。
【0032】
写真画像等の光沢を得るために補助色としてクリアトナーを利用する場合には、出力紙上で基本4色トナーの上にクリアトナーを重ね合わせる(クリアトナーが最上層になる)ようにすることが望ましい。また、出力紙上に表面加工をするため、補助色として3D(隆起)トナーを利用する場合も同様である。このような場合には、図4に示すように、補助画像形成ステーション102Bを基本画像形成ステーション102Aに対して、転写ベルト31の移動方向(矢印1)の上流側に配置すればよい。(請求項9)
【0033】
(プリント速度を維持するための構成)
基本4色トナー(基本画像形成ステーション)のみで画像を形成する画像形成装置を利用するユーザにとっては、補助画像形成ステーション102B(第2のハウジング101B)は不要である。第2のハウジング101Bを第1のハウジング101Aの右側、すなわち、転写ベルト31の移動方向の下流側にオプション装着する構成とした場合、転写ベルト31の移動距離が第2のハウジング101Bの幅の分だけ長くなる。その結果としてファーストプリント時間が長くなり、プリント速度が低下するため、好ましくない。この点でも、補助画像形成ステーション102Bを基本画像形成ステーション102Aに対して、転写ベルト31の移動方向(矢印1)の上流側に配置することが望ましい。プリント速度を向上することにより、画像形成装置の稼動時間を短縮化できるので、消費電力を低減することが可能となる。(請求項10)
【0034】
(補助画像形成ステーションにおける第2走査レンズ)
基本画像形成ステーション102Aの各ステーションY、M、C、Kにおいては、折り返しミラー(14Y1、14M1、14C1、14K1等)により光路が折り返されている。この折り返しミラーによる光路の折り返しを展開した場合、4つのステーションY、M、C、Kの各レーザビームの光路は光学的に「等価」な光学系(図1の副走査断面に垂直な平面に平行な平面及び副走査断面に平行な平面に対して、対称形状)である。このような構成を採用することにより、4つの第2走査レンズ13Y、13M、13C、13Kを共通化することが可能となる。
【0035】
一方、補助画像形成ステーション102BのステーションSのレーザビームの光路は、上述のように「水平入射」であり、また、図2に示す構成の場合には光源部17Sからポリゴンミラー15までの光路も基本画像形成ステーション102Aとは異なっている。すなわち、ステーションSは、基本画像形成ステーション102AのステーションY、M、C、Kとは光学的に「等価」ではない。そのため、例えば、中間色を表現したり、色密度を調整するために、補助画像形成ステーション102Bにおける補助画像としてライトブラックやライトシアン等を利用して出力画像の高画質化を図る必要がある場合には、補助画像形成ステーション102B(ステーションS)にて、基本画像形成ステーションと同等の光学性能を得るために、第2走査レンズ13Sを第2走査レンズ13Y、13M、13C、13Kとは別設計(形状)とすればよい。
【0036】
(光学性能の劣化を許容)
クリアトナーや白色トナーの画像の場合には、画像品質の劣化が出力紙上の出力画像全体の品質に及ぼす影響は比較的小さい。そのため、補助画像形成ステーション102Bの補助色としてクリアトナーや白色トナーを利用する場合には、基本4色トナーによるカラー画像と比較して高画質を要求されないことが多い。そこで、感光体ドラム11Sの表面のレーザビームの性状は、基本画像形成ステーション102Aの感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面のレーザビームの性状よりも良好でなくても構わない。このような場合には、第2走査レンズ13Sを第2走査レンズ13Y、13M、13C、13Kとは別設計(形状)として、開口部22Sを覆うための図示しない防塵ガラスの入射面及び/又は出射面に樹脂材料でレンズ形状を形成した「ハイブリッド構成」にて製造し、配置しても構わない。これにより第2走査レンズ13S(及び防塵ガラス)の低コスト化を達成できる。
さらに、補助画像形成ステーション102Bのレーザビーム16Sの光路には第2走査レンズ13Sを配備せず、第2のハウジング101B内部には、折り返しミラー14S1のみを配備する構成としても構わない。このような構成とすることにより、補助画像形成ステーションにおける第2走査レンズの省略による低コストコスト化、部品点数や組立工程削減の効果を生じることができる。
【0037】
本発明の第2の実施形態として、本発明に係る光走査装置と補助画像形成ステーションのオプション化について詳細に説明する。
本発明の実施例2の光走査装置の構成を図5に示す。
図5において、第1のハウジング101Aには、ポリゴンミラー15A1を共用する「基本画像形成ステーショ112A1」(ステーションY及びM)と、ポリゴンミラー15A2を共用する「基本画像形成ステーション112A2」(ステーションC及びK)の合計4つのステーションからなる基本画像形成ステーションが収納されている。2つの基本画像形成ステーション112A1及び112A2は同一の光学レイアウトである。ステーションYは光源部17Y、ポリゴンミラー15A1、第1走査レンズ12A2、図示しない折り返しミラー、(及び感光体ドラム11Y)等の光学素子から構成され、全ての光学素子は第1のハウジング101A内部に収納されている。他のステーションM、C、Kも同様である。
【0038】
第2のハウジング101Bには、補助画像形成ステーション112Bが収納されている。補助画像形成ステーション112Bは、補助色ステーション用の光源部17S、第1走査レンズ12B、図示しない折り返しミラー、(及び感光体ドラム11S)等の光学素子から構成されている。また、第2のハウジング101Bと第1のハウジング101Aには、光源部17Sから出射して、ポリゴンミラー15A2に入射するための図示しない窓部が、それぞれ形成されている。すなわち、補助画像形成ステーション101Bにおいては、基本画像形成ステーション112A2とポリゴンミラー15A2を共用している。また、実施例1の場合とは異なり、第1走査レンズ12B、図示しない折り返しミラーだけではなく、光源部17Sも第2のハウジング101B内部に収納されている。
このように、第2のハウジング101B内部に光源部17S、第1走査レンズ12B、図示しない折り返しミラー等の光学素子を収納したので、第1のハウジング101A側に光源部17Sを追加する等の改造をすることなく、補助画像形成ステーション112Bをオプション化する(装着する)ことが可能となる。すなわち、基本4色トナー用の画像形成装置を工場から出荷後に、ユーザ先等で補助色トナー用の補助画像形成ステーションを拡張(オプション)設置したい場合でも、画像形成装置(MFPやプリンタ)本体を大幅に分解することなく、補助画像形成ステーションを画像形成装置に組み込むことが可能となる。(請求項4)
【0039】
光走査装置103の実施例2の変形例を図6に示す。図6(a)は、副走査断面図、図6(b)は、主走査断面図を示す。本変形例は、第1のハウジング101Aを2つのサブハウジング101AS1と101AS2に分割した例である。2つのサブハウジングに分割することにより1つ分のサブハウジングが小型化するので、各サブハウジングにおけるハウジングの側壁と収納部品類との組み付け距離が相対的に縮小して剛性が高まることにより内外部から加えられる振動による誤差発生等を防止するための対振動性を向上することができる。また、樹脂モールド成型等の工法により製造する場合には、小型化に伴う高精度化が容易となる。さらに、同一形状のサブハウジングとすることで量産効果により低コスト化することが可能となる。サブハウジングの左側壁の開口部の有無は、必要に応じて、樹脂モールド成型後の加工により形成するか、遮蔽部材にてカバーすればよい。
【0040】
(第2のハウジング101Bの装着方法)
図1、図2、図5、図6に示したような、第1のハウジング101A(101AS1)内部に収納された基本画像形成ステーション102Aのポリゴンミラー15(15A2)を、補助画像形成ステーション102Bの光学系に共用する構成においては、上記ポリゴンミラー15(15A2)に対する補助画像形成ステーション102B側の光学素子(光源部、シリンドリカルレンズ、第2走査レンズ、折り返しミラー等)の相対的な位置関係を高精度に維持する必要がある。この相対的な位置関係が劣化すると、感光体ドラム表面での走査線傾きが発生したり、ビームスポット径が劣化する等の出力画像品質を低下させる原因になる。
【0041】
この問題を解決するには、
(1)第1のハウジングに対して第2のハウジングを高精度に装着する。
(2)さらに、第1のハウジングに対して第2のハウジングを装着した後、補助画像形成ステーション内部の光学素子の位置/姿勢を調整する。
との対策を講じればよい。
また、組み付け調整時に、被装着側と装着側の装置間の温度差を少なくしてから組み付け調整を行うことも場合により行えばよい。
特許文献3の技術と同様に、補助画像(特別色:ライトシアン、ライトマゼンタ)形成ステーション用の走査式光学装置は、画像形成装置本体側に装着される構成としてもよいが装着時あるいは装着後の組み付け精度の変化に対応すべき事項を考慮する必要がある。
【0042】
第2のハウジング101Bを画像形成装置104の内部に装着する場合、画像形成装置本体(例えば、図7(b)における面板39F、39Rや、ステー部材41等に直接ねじ締結等で固定する方法もある。補助画像形成ステーション102Bのポリゴンミラー15を基本画像形成ステーション102Aのポリゴンミラー15と共用している。従って、光学性能(特に、走査線傾き精度)を維持するためには、第2のハウジング101Bの第1のハウジング101Aに対する位置関係を高精度に維持する必要がある。しかし、このようなポリゴンミラー15を基本画像形成ステーションと補助画像形成ステーション間で共用する構成の場合には、両ステーション間の装着固定位置関係を高精度に維持することが困難であり、出力画像の劣化の原因となる。
【0043】
また、基本画像形成ステーション102A(第1のハウジング101A)だけではなく、補助画像形成ステーション102B(第2のハウジング101B)を備えた画像形成装置の工場出荷後ユーザ先への搬送時や、ユーザ先での画像形成装置本体の設置時に、設置面の「平面度」が良好ではない場合に、画像形成装置本体がゆがみ、結果として基本画像形成ステーション101Aと補助画像形成ステーション101Bの相対位置関係がずれてしまい、出力画像の劣化の原因となる。一方、後述する画像形成装置本体への第2のハウジングのオプション装着方法で、第1のハウジング101Aに対して第2のハウジング101Bを高精度に装着した場合には、補助画像形成ステーション102Bが画像形成装置本体のゆがみの影響を受けないので、出力画像の品質が劣化する恐れがなく、望ましい構成である。
【0044】
(画像形成装置本体への第2のハウジングのオプション装着)
図7は、画像形成装置104に対する補助画像形成ステーション102B(第2のハウジング101B)の装着前の状態を示す図であり、図8は装着後の状態を示す図である。
画像形成装置104への補助画像形成装置101Bの装着方法について、図7及び図8を用いて説明する。図7は基本4色トナーの基本画像形成ステーション102Aを備えた画像形成装置104を工場から出荷した状態であり、図8はユーザが購入した後に、ユーザ先で第2のハウジング101B(補助画像形成ステーション102B)を画像形成装置104にオプション装着した状態を示す。
図7に示すように、実施例G1の画像形成装置104においては、装置本体の操作者側(手前側)にフロントカバー38が備えられている。感光体ドラム11Y、11C、11M、11Kは本体フレーム40に溶接固定された面板39R及びねじ締結固定された39Fに対して、高精度に位置決めされた状態で固定されている。第1のハウジング101Aは、面板39R及び39Fに架橋支持されたステー部材41上に搭置されている。
【0045】
画像形成装置104にオプションとなる補助画像形成ステーション102Bを装着する場合について、図8を参照して説明する。
(1)フロントカバー38を操作者の手前側に開く。
(2)本体フレーム40にねじ締結された面板39Fを取り外す。
(3)感光体ドラム11S及び図示しない帯電装置、現像装置、クリーニングユニット等からなる「感光体ユニット」を面板39Rに組み付ける。
(4)本体フレーム40にねじ締結されたインナーカバー42を取り外す。
(5)第2のハウジング101Bを装着する。(その具体的な方法は後述する)
(6)面板39F及びインナーカバー42を本体フレーム40にねじ締結する。
の手順に従う。
このような構成の場合、補助画像形成ステーション102B用の光源部17Sを工場での組立時の時点で第1のハウジング101A側に備えてもよいし、或いは、ユーザ先にて第2のハウジング101Bを装着する際に第1のハウジング101Aを手前側に引き出してから光源部17Sを装着しても構わない。
なお、ユーザのニーズにより、オプションとしての補助画像形成ステーション102Bが不要となった場合には、上記とは逆の手順で第2のハウジング101B及び図示しない「感光体ユニット」を取り外せばよい。
【0046】
第1のハウジング101Aに対して第2のハウジング101Bを高精度に装着する方法の実施例H1を説明する。
図9は、第1のハウジング101Aに対する第2のハウジングの装着方法を示す図であり、図9(a)は全体図、図9(b)は本方法に係る位置決めピン部拡大図、図9(c)は、本方法の実施例H1に係る変形例をそれぞれ示す。図9では、第1のハウジング101Aに対して第2のハウジング101Bを高精度に装着する方法の一例を示す。光源部、第1走査レンズ、第2走査レンズ及び折り返しミラー等は省略した。図8では、画像形成装置104本体のフロントカバーを操作者の手前側すなわち画像形成装置の前側を開いた状態を示しているが、第9図では、操作者の手前側からアクセスして、第2のハウジング101Bを第1のハウジング101Aに装着(ねじ締結)する方法について説明する。
【0047】
本実施例H1にて説明する装着方法は、図1、図2に示す光走査装置だけではなく、図5、図6に示すいずれの光走査装置にも同様に適用できる。
図9において、第2のハウジング101Bの後側壁61Bには2本の位置決めピン51aが上下方向に配列している。この2本の位置決めピン51aを、第1のハウジング101Aの後側壁61Aの左端に突出した突出部58Aに形成された基準穴(丸穴52a、長穴52b)に各々挿入する。位置決めピン51aと基準穴(52a、52b)は高精度に嵌合可能である。
第1のハウジング101Aの前側壁63Aの左方には、2つのねじ穴54が上下方向に配列している。この2つのねじ穴54に対して、2本の締結ねじ51を、第2のハウジング101Bの前側壁63Bの右端に突出した突出部57Bに形成された2つの貫通穴53を貫通させて、ねじ締結する。ねじ締結作業は、画像形成装置本体手前側からアクセスすることが可能であり、作業性は良好である。(請求項5)
このような構成とすることで、第2のハウジング101Bを第1のハウジング101Aに対して、高精度に位置決めして装着することができる。
【0048】
なお、図9(b)に示すように、第1のハウジング101Aの2つのねじ穴54の中間部等に位置決めピン51cを設け、かつ、この位置決めピン51cに対応するように、第2のハウジング101Bの突出部57Bの中央部(2つの貫通穴53の中間部)に基準穴(丸穴)52cを形成し、両者を高精度に嵌合させることで、さらに高精度に位置決めした状態で装着することができる。
【0049】
また、図9(a)及び(b)とは異なり、図9(c)に示すように、第1のハウジング101Aの突出部58Aに位置決めピン51a、51bを設け、第2のハウジング101Bに基準穴52a、52bを形成しても構わない。
また、この位置決めピンは2本ではなく、1本又は3本以上でも構わない。また、この位置決めピンは、第1のハウジング101Aと一体加工されている必要はなく、別体部品を組み付ける構成としても構わない。
【0050】
(手前側のみをねじ締結することのメリット)
図3等に示すように、第1のハウジング101A内部の光源部は、後側壁61A側に配備されている。一方、図8に示す画像形成装置104においては、図9に示す後側壁61A、61B側を位置決めピン及び基準穴で位置決めし、前側壁63A,63B側をねじ締結する構成とした。位置決めピンは基準穴(丸穴52a)に対してはピンの軸方向の相対位置関係は拘束されず、基準穴(長穴52b)に対してはピンの軸方向及び長穴の長手方向の相対位置関係は拘束されない。
このように光源部近傍にはねじ締結部を設けず、位置決めピンと基準穴で拘束する構成としたので、所定の方向については自由に移動可能となる。そのため、第1のハウジング101Aに対して第2のハウジング101Bをねじ締結した場合でも、特に光源部が配備される後側壁61A側の変形が抑制され、光源部が変位する恐れがない。図9に示す光走査装置(第1のハウジング101A)の場合のように、左側壁62Aの形状(矩形形状)が、画像形成装置104奥行方向の寸法が高さ方向の寸法より大きい場合には、特に効果的である。そのため、折り返しミラー等の光学素子の姿勢調整実施を回避すること、又は工数を削減することも可能となる。結果として第1のハウジング101A内部の基本画像形成ステーションの基本4色の出力画像を劣化させない効果が生じる。
また、画像形成装置本体の駆動により装置内部の温度が上昇した場合にも、第1のハウジング101Aの後側壁61A側の変形を抑制できる。特に、第1のハウジング101Aがアルミ製と第2のハウジング101Bが樹脂製(高剛性化のために数十%程度のガラス繊維やカーボン繊維を含有する樹脂も含む)の場合のように、両者の熱膨張量が異なる場合でも、出力画像品質の劣化を抑制できる。(請求項6)
【0051】
(全箇所をねじ締結する場合)
図9(c)に示すように、第2のハウジング101B(補助画像形成ステーション102B)をオプション装着する場合に、全箇所をねじ締結することでもよい。特に第1のハウジング101Aの剛性が十分に確保されている場合や、光源部等の光学素子の取付姿勢がねじ締結の影響を受けにくい場合には、上記のような位置決めピンを利用して所定の方向の移動の自由度を確保することなく、ねじ締結固定により強固に固定しても光学性能に及ぼす影響は発生しない。
また、ユーザ先での補助画像形成ステーション102Bのオプション装着ではなく、組立工場での組立工程内での装着の場合には、画像形成装置本体の手前側からねじ締結作業を行う必要はない。
図9(a)又は(b)に示した構成の後側壁61A,61Bにおいて、第2のハウジング101Bの位置決めピン51a及び51bの中間部にねじ穴54を設け、これに対応するように、第1のハウジング101Aの突出部58Aの基準穴52a及び52bの中間部に貫通穴52dを設ける。この貫通穴52dを介してねじ穴54に対して締結ねじ51でねじ締結することにより、強固に固定することができる。
【0052】
(防塵性の確保)
図9(a)に示すように第1のハウジング101Aに対して第2のハウジング101Bを装着した場合、その接合面(左側壁62A及び右側壁62B)に隙間が生じる。この隙間を介して、スリット形状の開口部21A及び開口部21Bから、各々第1のハウジング101A及び第2のハウジング101B内部に外部から塵埃が侵入する恐れがある。
上述の[スリット形状の開口部を平行平板ガラス/遮蔽部材で覆う]のようにスリット形状の開口部を防塵ガラスで覆うことにより、塵埃の侵入を回避することができる。或いは、防塵ガラスに替えて、上記接合面の隙間に、ポリウレタン製やポリエチレン製の発泡スポンジ等の防塵部材を配備してもよい。防塵ガラスより低コスト化可能である。
【0053】
(第1のハウジングに対して第2のハウジングを高精度に装着する方法2)
図10(a)、(b)、(c)、(d)は、第1のハウジングに対する第2のハウジングの装着方法の実施例H1の変形例を示す図であり、高精度に第2のハウジングを第1のハウジングに装着するものである。(請求項5)
図10(a)、(b)において、図10(a)は全体図、図10(b)は補足図であり、画像形成装置本体の左側から第2のハウジング101Bを装着する構成の例である。この場合、図7(b)に示す「フロントカバー38」だけではなく、図7(a)の画像形成装置104本体の左側面に図示しない「サイドカバー」を設けることにより、第2のハウジング101Bのねじ締結作業の作業性を向上することができる。
図10(a)の第2のハウジング101Bの後側壁61Bの最右端部に上下方向に配列した2つの係止部55が形成されている。第1のハウジング101Aの後側壁61Aの左端部の突出部58Aには、係止部55と対応する2つの位置決め穴56が形成されている。2つの係止部55を2つの位置決め穴56に嵌合させた状態で、2本の締結ねじ51を、第2のハウジング101Bの突出部57Bの2つの貫通穴53を貫通させて、第1のハウジング101Aの2つのねじ穴54にねじ締結する。
【0054】
また、図10(c)に示すような位置決めピン51cと基準穴(丸穴)52cを高精度に嵌合させることにより、さらに、第1のハウジングに対して第2のハウジングを高精度に装着することが可能となる。
また、図10(d)に示すように、位置決め穴56を矩形形状ではなく鍵穴状(例えば凸形穴を90度回転した形状)とし、板ばね64等のスプリング部材により、係止部55を第1のハウジング101Aへ押圧する構成とすることで、第1のハウジング101Aと第2のハウジング101Bの側壁同士の密着性を向上することができ、両者の位置決め精度を向上することが可能となる。
このような構成を採用することにより、上記実施例2に示したような第1のハウジング101Aの変形(特に、光源部)に影響を及ぼすことなく、第2のハウジング101Bを装着することが可能となる。
なお、両ハウジングの変形が小さい場合には、両ハウジングの画像形成装置における奥側も手前側と同様にねじ締結固定としても構わない。
【0055】
(第1のハウジング101Aに対して第2のハウジング101Bを高精度に装着する方法の別の実施例)
図11は、画像形成装置の実施例G2を示す図、画像形成装置104において第2のハウジング101B(補助画像形成ステーション102B)の第1のハウジング101A(基本画像形成ステーション102A)の装置後の状態を示した図であり、図12は工場での組立を示す分解図(a)、組立状態を示す図である。
図11の画像形成装置104は、図4の画像形成装置104とは異なり、光走査装置(第1のハウジング101A及び第2のハウジング101B)が、感光体ドラム11S等の5つの感光体の上側に配備されている。このような構成の画像形成装置の場合、図11(b)に示すように、上カバー38bを上方に開くことにより、第1のハウジング101Aと第2のハウジング101B内の光走査装置に上方からアクセスすることができる。 (請求項5)
【0056】
このような画像形成装置104内に収納された第1のハウジング101Aに、第2のハウジング101Bを装着する方法の実施例H2を図12を用いて説明する。画像形成装置104の奥側においては、図10(a)と同様の構成の係止部と位置決め穴により、第1のハウジングと第2のハウジングが高精度に位置決めされる。画像形成装置104の手前側においては、位置決めピン51を基準穴52cと高精度に嵌合させることにより、両ハウジングを高精度に位置決めする。この状態で、2本の締結ねじによりねじ締結固定する。
【0057】
また、上記のように、ねじ締結作業を画像形成装置104の上方向からアクセスする構成とすることにより、工場での組立時にも、自動機或いは作業者による作業性が向上し、好ましい形態である。
【0058】
なお、両ハウジングの変形が小さい場合には、上記の通り、画像形成装置104の奥側も手前側と同様にねじ締結固定としても構わない。
【0059】
(第2のハウジング(補助画像形成ステーション)内部の光学素子の調整)
補助画像形成ステーション102Bにおける折り返しミラー14S1の姿勢の調整の実施例A1を図13〜図15により説明する。図13は、補助画像形成ステーション102Bにおける折り返しミラー14S1の姿勢の調整を示す図である。
上記の第1のハウジング101A、第2のハウジング101Bの構成を採用することにより、第1のハウジング101Aに対して第2のハウジング101Bを高精度にオプション装着することができる。
しかし、第2のハウジング101Bの加工誤差等の影響により、第1のハウジング101A内部に収納されたポリゴンミラー15に対する補助画像形成ステーション側の光学素子(光源部、シリンドリカルレンズ、第2走査レンズ、折り返しミラー等)の相対的な位置関係が、良好ではなくなる恐れがある。特に、折り返しミラーの姿勢が変化すると、出力画像においてトナー像が高精度に重なり合わない「色ずれ」のような画像劣化が発生する。
そこで、第2のハウジング101B内部の折り返しミラー14S1の姿勢を調整するための調整機構を備えることが望ましい。
【0060】
この調整機構は、
(1)ステッピングモータ等のアクチュエータ手段を利用する。
(2)調整ねじ等を調整用スクリュドライバにて手動調整する。
等の方法を採用すればよい。第2のハウジング101Bを画像形成装置(第1のハウジング101A)に装着した後に、調整作業を実施する。
図13に示すように、感光体ドラム11S上の走査線の位置(感光体ドラムの円周方向の位置)を補正する場合には折り返しミラー14S1を図中の矢印βの方向に回転し、走査線の傾きを補正するには折り返しミラー14S1を図中の矢印αの方向に回転すればよい。(請求項7)
【0061】
上記調整機構(2)の手動調整の場合には、調整作業を容易にするため、調整用スクリュドライバのアクセス方向を考慮する必要がある。例えば、図9に示す構成の場合には、締結ねじ51の締結作業と同様に画像形成装置104本体の手前側からアクセス可能とし、図10に示す構成の場合には、画像形成装置104本体の左側からアクセス可能とすることが望ましい。
【0062】
図14は、補助画像ステーション102Bにおける折り返しミラー14S1の姿勢の調整を図13に示すβ方向に回転調整する構成の一例を示す図で、14図(a)は調整ねじ73側からの図、14図(b)は折り返しミラー14S1へのレーザビーム入射側からの図である。図1に示す光走査装置103に適用した場合の例である。
14図において、第2のハウジング101Bの底面の手前側及び奥側に支持部71a及び71bを設け、中央部に調整ねじ73をねじ合わせさせるための保持部72を設ける。 支持部71a、72b及び調整ねじ73の3ポイントにて折り返しミラー14S1の受部74a、74b、74cを支持する。図14(b)の矢印で示すように、第2のハウジング101Bの左側壁75の中央部に形成された貫通穴76を通して、調整用スクリュドライバ等の工具を用いて、調整ねじ72を引き抜く/押し込むことにより、折り返しミラー14S1のβ方向の回転角度を調整することができる。
【0063】
図15は、折り返しミラー14S1のα方向を同様に、図15に示すように、受部74a、74bを図示しない第2のハウジングに形成された支持部71a、72bで支持し、受部72cを図示しない調整ねじで支持する構成とすることにより、折り返しミラー14S1を図13のα方向に回転調整することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明の画像形成装置およびカラー画像形成装置によれば、高い画像品質を維持しつつ、消費電力を低減させるのに適している。
【符号の説明】
【0065】
101A…第1のハウジング、101B…第2のハウジング、102A、112A1、112A2…基本画像形成ステーション、102B、112B…補助画像形成ステーション、103…光走査装置、104…画像形成装置、11Y、11M、11C、11K、11S…感光体ドラム、12L、12R…第1走査レンズ、13Y、13M、13C、13K、13S…第2走査レンズ、14Y1、14M1、14C1、14K1、14S1…折り返しミラー、15、15A1、15A2…ポロゴンミラー、16Y、16M、16C、16K、16S…レーザビーム、17Y、17M、17C、17K、17S…光源部、18…ビーム合成手段、21A,21B…開口部、22Y、22M、22C、22K、22S…開口部、31…中間転写ベルト、32…搬送ベルト、33…出力紙(記録紙)、34…定着器、35…転写ベルトクリーニング装置、36…給紙トレイ、37…排紙トレイ、38…フロントカバー、39F、39R…面板、40…本体フレーム(外装カバー)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特開2005−104045号公報
【特許文献2】特開2007−144746号公報
【特許文献3】特開2007−171498号公報
【特許文献4】特開2007−171493号公報
【特許文献5】特開2005−17601号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4つの基本色及び前記4つの基本色以外の少なくとも1つの補助色のそれぞれに対応する複数の像担持体と、前記複数の像担持体に対応し複数のレーザービームを出射する光源と、複数の偏向反射面を回転軸まわりに回転させて前記複数の像担持体に対応する前記複数のレーザビームを偏向する少なくとも1つの光偏向器と、前記光偏向器で偏向されたレーザビームを対応する像担持体上に集光する走査光学系とを備える画像形成装置において、
前記走査光学系は、前記4つの基本色に対応する複数の像担持体の表面をレーザビームで走査する第1のハウジングに収納された第1の部分と、前記少なくとも1つの補助色に対応する像担持体の表面をレーザビームで走査する第2のハウジングに収納された第2の部分と、から構成され、
前記光偏向器は前記第1のハウジングに収納された第1の部分のみに備え、
前記第2のハウジングは、前記画像形成装置から着脱可能な構成とし、
前記第2のハウジング装着時には、前記少なくとも1つの補助色に対応する像担持体の表面を走査する前記レーザビームは前記光偏向器で偏向された後、前記第1のハウジングに設けた第1の窓部から出射し、
前記第2のハウジングに設けた第2の窓部から入射することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記補助色に対応する光源を出射したレーザビームは、副走査断面において、前記光偏向器の回転軸に垂直な平面に平行な状態で、前記光偏向器の偏向反射面に対して入射すること、を特徴とする画像形成装置
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記光源は前記第1のハウジングのみに備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記4つの基本色に対応する光源は前記第1のハウジングに備え、前記補助色に対応する光源は前記第2のハウジングに備え、該補助色に対応する光源から出射したレーザビームが、前記第1のハウジングに備えた光偏向器の偏向反射面に入射するための、前記第2のハウジングに設けた第3の窓部と該第3の窓部に対向する第4の窓部を該第1のハウジングに設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記第2のハウジングは、画像形成装置の本体の手前側又は左側又は右側又は上側に設けたカバーからアクセスして、前記第1のハウジングに設けられた第1の係合部に対して、装着作業が実施可能な第2の係合部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記光源は、前記画像形成装置本体における副走査方向の奥側に配備され、
前記第1の係合部は、前記第1のハウジングの奥側の壁面付近に形成された第1の位置決め基準部を備え、前記第2の係合部は、前記第1の位置決め基準部に対応する第2のハウジングに形成された第2の位置決め基準部と、を備え、
前記画像形成装置本体手前側で、前記第1のハウジングと第2のハウジングをねじ締結固定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記第2のハウジングに保持された折り返しミラーの姿勢を調整することにより、前記補助色に対応する前記像担持体上の走査線の位置及び傾きを補正可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記4つの基本色トナー像を前記像担持体上に形成し、
前記像担持体上に形成されたトナー像を転写ベルト上で重ね合わせた後に、出力媒体上に転写して出力することを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置において、
前記補助色のトナーは透明なクリアトナーであり、
前記クリアトナーが出力媒体上で重なり合う複数のトナー像の最上層になること、
を特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項10】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記補助色のトナーに対応する像担持体は、前記転写ベルトの移動方向における最上流側
に配備されること、
を特徴とするカラー画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図9(c)】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図10(c)】
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【図10(d)】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−57804(P2013−57804A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196063(P2011−196063)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】