説明

画像形成装置および表示方法

【課題】電源投入時の表示部に初期画面を表示するまでの時間を短縮することができる画像形成装置および表示方法を提供する。
【解決手段】LCD制御部1211は、電源投入時に主制御部から送出されたリセット信号が主制御部のリセット処理が終了した旨を示すリセット解除状態である場合に、表示データ記憶部1212に格納された表示データを読取るためのアドレスを示すアドレス信号と、表示データを読取るタイミングを示すトリガー信号と、表示データの表示が有効である旨を示す有効期間信号と、表示データを表示するタイミングを示す表示タイミング信号とを送出し、トリガー信号に基づいて、アドレス信号に対応する表示データを表示データ記憶部1212から読取り、LCD122は、有効期間信号と表示タイミング信号とに基づいて、読取られた表示データを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多機能化している画像処理装置では、ユーザインタフェースの向上を図るため、液晶表示器とタッチパネルを組合わせた表示部を備えている。このような画像処理装置では、電源が投入されると主制御部は優先順位の高い初期処理を実行した後に表示部への初期画面の表示処理を実行する。従って、電源投入後初期画面が表示部に表示されるまでに時間を要する場合は、ユーザは画像処理装置が正常に動作しているか否かを判断することができないという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するものとして、主制御部と独立して動作する制御部を備える画像処理装置が開示されている(特許文献1参照)。かかる画像処理装置では、電源投入時に主制御部とは別の制御部で表示部への表示処理を行うことにより、主制御部での初期処理の終了を待たずに初期画面の表示が可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−141501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、主制御部と異なる制御部によって表示部への表示処理を行う場合であっても、電源投入時には主制御部と同様に制御部の初期処理を実行しなければ、表示部への表示を行うことはできず、表示部への表示が開始されるまでに所定の時間がかかってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電源投入時の表示部に初期画面を表示するまでの時間を短縮することができる画像形成装置および表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、表示データを格納する表示データ記憶手段と、電源投入時に主制御部から送出されたリセット信号が主制御部のリセット処理が終了した旨を示すリセット解除状態である場合に、前記表示データ記憶手段に格納された前記表示データを読取るためのアドレスを示すアドレス信号と、前記表示データを読取るタイミングを示すトリガー信号と、前記表示データの表示が有効である旨を示す有効期間信号と、前記表示データを表示するタイミングを示す表示タイミング信号とを送出する表示制御手段と、前記表示制御手段から送出された前記トリガー信号に基づいて、前記アドレス信号に対応する前記表示データを前記表示データ記憶手段から読取る表示データ読取手段と、前記表示制御手段から送出された前記有効期間信号と前記表示タイミング信号とに基づいて、前記表示データ読取手段によって読取られた前記表示データを表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記表示データ読取手段は、前記表示制御手段から送出された前記トリガー信号のレベルが変化するタイミングで、前記アドレス信号に対応する前記表示データを前記表示データ記憶手段から読取ること、を特徴とする。
【0009】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、前記表示手段は、前記有効期間信号が、前記表示データの表示が有効である旨を示す場合に、前記表示タイミング信号のレベルが変化するタイミングで前記表示データを表示すること、を特徴とする。
【0010】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置において、入力端子から入力される論理レベルを判別する判別手段、をさらに備え、前記表示制御手段は、前記判別手段によって判別された論理レベルに従って、前記表示データ記憶手段に格納された表示データを表示するように制御するか前記主制御手段から送出された表示データを表示するように制御するかのいずれかに切替えること、を特徴とする。
【0011】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置において、入力端子から入力される論理レベルを判別する判別手段、をさらに備え、前記表示制御手段は、前記表示データ記憶手段に格納された表示データのうち、前記判別手段によって判別された論理レベルに応じた表示データを読取るように制御すること、を特徴とする。
【0012】
また、請求項6にかかる発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記判別手段は、前記入力端子から入力される論理レベルに応じた前記表示手段のサイズを判別すること、を特徴とする。
【0013】
また、請求項7にかかる発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記判別手段は、前記入力端子から入力される論理レベルに応じた前記表示手段に表示する表示色を判別すること、を特徴とする。
【0014】
また、請求項8にかかる発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記判別手段は、前記入力端子から入力される論理レベルに応じた前記表示データ記憶手段から前記表示データの読取りを開始するアドレスを判別すること、を特徴とする。
【0015】
また、請求項9にかかる発明は、請求項4〜8のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記入力端子は、1の入力端子が主制御部から制御可能であり、他の入力端子が操作者によって論理レベルを設定可能なメカニカルスイッチであること、を特徴とする。
【0016】
また、請求項10にかかる発明は、請求項1〜9のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記主制御部からの制御により、前記表示データ記憶手段に格納された前記表示データの書換え可能とする切替手段と、前記切替手段によって前記主制御部からの制御によって、前記表示データ記憶手段に格納された前記表示データを書き換える書換手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項11にかかる発明は、請求項1〜10のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記表示データ記憶手段は、着脱可能であること、を特徴とする。
【0018】
また、請求項12にかかる発明は、画像形成装置で実行される表示方法であって、表示制御手段が、電源投入時に主制御部から送出されたリセット信号が主制御部のリセット処理が終了した旨を示すリセット解除状態である場合に、表示データを格納する表示データ記憶手段に格納された前記表示データを読取るためのアドレスを示すアドレス信号と、前記表示データを読取るタイミングを示すトリガー信号と、前記表示データの表示が有効である旨を示す有効期間信号と、前記表示データを表示するタイミングを示す表示タイミング信号とを送出する表示制御ステップと、表示データ読取手段が、前記表示制御ステップから送出された前記トリガー信号に基づいて、前記アドレス信号に対応する前記表示データを前記表示データ記憶手段から読取る表示データ読取ステップと、表示手段が、前記表示制御ステップから送出された前記有効期間信号と前記表示タイミング信号とに基づいて、前記表示データ読取ステップによって読取られた前記表示データを表示する表示ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電源投入時に、主制御部から送出されたリセット信号に応じて、主制御部の初期処理の終了を待つことなく、表示データ記憶部から読取った表示データを表示部に表示するため、電源投入時の表示部に初期画面を表示するまでの時間を短縮することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる画像形成装置および表示方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0021】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態は、画像形成装置として、コピー機能、プリント機能、スキャナ機能及び入力画像(スキャナ機能により読取られた原稿画像や、プリンタあるいはネットワークを介して入力された画像)をネットワークを介して送信する機能等を複合したいわゆる複合機(MFP:Multi Function Peripheral)を適用した例である。
【0022】
まず、本発明が適用される複合機の構成例について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる複合機の構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかる複合機100は、主制御部110と、表示部120と、操作部130と、スキャナ部140と、プリンタ部150とを備えている。
【0023】
主制御部110は、さらにSoC(System On Chip)111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Randam Access Memory)113と、LAN(Local Area Network)I/F114と、USB(Universal Serial Bus)I/F115とを備えている。
【0024】
SoC111は、複合機100全体を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)コアおよび複合機100に必要な画像処理やモータ制御、プリンタに対する画像制御、PC(Personal Computer)との汎用インタフェースのネットワーク制御などの各種機能を内蔵したものである。SoCを用いない場合は、CPUやMPU(Micro Processing Unit、CPUコアの他に割込コントローラなどの周辺機能を内蔵したもの)とASIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いた構成としてもよい。
【0025】
ROM112は、複合機100の主制御プログラムを格納している。RAM113は、SoC111がプログラムを実行する過程で一時的にデータを蓄積したり、画像処理を行う過程の画像データを蓄積したりする。また、LANI/F114やUSBI/F115によって、PC等とのインタフェースをとる。
【0026】
表示部120と操作部130は、物理的に一体となっている。表示部120は、さらにLCD(Liquid Crystal Display)コントローラ121と、LCD122とを備えている。LCDコントローラ121は、液晶表示制御器であり、LCD122の制御を行う。LCD122は、単純マトリクス型の液晶ディスプレイである。LCDに代えて、TFT(Thin Film Transistor)と呼ばれるアクティブマトリクス型の液晶ディスプレイの液晶表示器を用いてもよい。LCDコントローラ121の詳細な構成および処理については、後述する。
【0027】
操作部130は、さらにキー制御部131と、キー部132とを備えている。キー部132は、ユーザの操作を受付け、キー制御部131は、キー部132を制御し、EIA(Electro. NicIndustries Alliance)−232などの汎用的なシリアル通信インタフェースやUSBなどのインタフェースを用いて、主制御部110のSoC111と接続し、押下されたキーに応じた情報を通知する。
【0028】
LCDコントローラ121とLCD122の構成について、より詳細に説明する。図2は、LCDコントローラおよびLCDの構成を示すブロック図である。
【0029】
LCDコントローラ121は、さらにLCD制御部1211と、表示データ記憶部1212と、リセット入力部1213と、入力端子状態判別部1214と、主制御部I/F1215と、LCDI/F1216と、バッファメモリ1217と、LCD制御データ記憶部1218と、クロック部1219とを備えている。
【0030】
LCD制御部1211は、リセット信号のレベルがリセット解除状態を示す場合に、表示データ記憶部1212から表示データを読込み、読込まれた表示データをLCD122に表示するように制御する。具体的には、LCD122を制御するのは、シーケンサ回路というハードウェアであり、LCDコントローラ1211にシーケンサ回路が組み込まれている。
【0031】
ここで、リセット解除状態とは、主制御部110で電源投入時に実行するリセット処理が終了した旨を示す状態で、リセット信号のレベルはHighである。また、主制御部110でリセット処理中である場合は、リセット有効状態であり、リセット信号のレベルはLowである。また、LCD制御部1211は、主制御部110の初期処理が終了した場合には、主制御部110から送出される制御信号に応じてLCD122に対する制御を行う。
【0032】
表示データ記憶部1212は、複合機100の電源投入時に表示される表示データを格納する。表示データ記憶部1212は、具体的にはEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)のような不揮発性のメモリを用い、LCDコントローラ121とのインタフェースとしては、SPI(Serial Peripheral Interface)やI2C(Inter Integrated Circuit)などのシリアルインタフェースを用いても、アドレスバス、データバスで用いる汎用バスのインタフェースを用いてもよい。また、表示データ記憶部1212は、Flashメモリのようなリードアクセスと同様にライトアクセスにてデータの書き込みが可能な不揮発性のメモリを用いてもよい。
【0033】
リセット入力部1213は、主制御部110から送出されるリセット信号を受信するインタフェースである。リセット入力部1213によって受信されたリセット信号は、LCD制御部1211に入力される。
【0034】
入力端子状態判別部1214は、主制御部110および入力端子から入力されるLowレベルまたはHighレベルの入力端子状態を判別することにより機能を選択する。選択できる機能としては、データ記憶部1212に格納された表示データをLCD122に表示するか主制御部からの制御で表示データをLCD122に表示するかのいずれかを選択する。また、複数の入力端子を利用することにより、表示データを表示するLCDサイズなどを設定する。入力端子の論理レベルは、物理的に電源レベル(Highレベル)、GND(グランド)レベル(Lowレベル)に固定することによって決定することができる。また、このほか入力端子にメカニカルスイッチを用いることにより、容易に論理レベルを変更することができる。メカニカルスイッチは、例えばスライドスイッチやロータリースイッチなどのスイッチの他、ディップスイッチの様な端子台にショートピンを差し込むようなスイッチでもよい。
【0035】
図3は、入力端子状態に応じて選択する機能の一例を示す説明図である。図3に示すように、入力端子状態がIn1がHighの場合は、LCDコントローラによる表示であり、In1がLowの場合は、主制御部による表示制御が行われる。
【0036】
主制御部I/F1215は、主制御部110から送出された制御信号をLCD制御部1211に入力するためのインタフェースである。主制御部I/F1215は、具体的にはSPI、USBなどのシリアルインタフェースやROMやRAMなどのアドレスバスとデータバスで用いる汎用インタフェースを用いてもよい。また、このインタフェースの距離が長い場合は、ノイズ低減や確実にインタフェースを取るために、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)などのインタフェース変換を行ってもよい。
【0037】
LCDI/F1216は、LDC制御部1211から送出されたLCD制御信号をLCD122に入力するためのインタフェースである。
【0038】
バッファメモリ1217は、LCD122の表示が変わらない場合に再書込みをするために表示データを格納する。バッファメモリ1217は、通常LCD122(液晶表示器)の1画面もしくは2画面分のメモリ容量を有する。LCD122の液晶の駆動(電圧印加)を画面の内容が切り替わらない場合に一定間隔で再書き込みする必要があるため、このようなメモリ容量のディスプレイバッファメモリを内蔵したり、外付けで取り付けられている。なお、LCD122が持つドライバー(LCDを駆動するもの)がメモリ機能を有する場合には、ディスプレイバッファメモリを備えなくてもよい。
【0039】
LCD制御データ記憶部1218は、LCD122を制御するためのデータを格納する。クロック部1219は、クロック信号を発生させる。
【0040】
次に、以上のように構成されている複合機100によるLCD表示処理について説明する。図4は、LCD制御部が行うLCD表示処理手順を示すフローチャートである。
【0041】
まず、複合機100に電源が投入される。LCD制御部1211は、リセット入力部1213を介して主制御部110から送出されたリセット信号がリセット解除状態か否かを判断する(ステップS401)。リセット信号がリセット解除状態でない、すなわちリセット有効状態であると判断した場合は(ステップS401:No)、ステップS401に戻り、リセット信号がリセット解除状態になるまで繰り返す。
【0042】
リセット信号がリセット解除状態であると判断した場合は(ステップS401:Yes)、LCD制御部1211はLCD122を初期設定する(ステップS402)。なお、LCD122(液晶表示器)は、動作させるために初期設定が不要なものもある。本実施の形態の場合は、定められた液晶表示器を制御すればよいため、予めLCDコントローラ121に制御データとなるシーケンサ回路(組み合わせ順序回路)を組込み、主制御部110から制御されることなく、リセット信号がリセット解除状態となるとともに液晶表示器の初期設定制御をLCDコントローラ110自身が行う。
【0043】
次に、LCD制御部1211は、表示データ記憶部1212に格納された表示データを読取り、バッファメモリ1217に蓄積する(ステップS403)。LCD制御部1211は、バッファメモリ1217に蓄積された表示データをLCD122に転送して表示するように制御する(ステップS404)。LCD122には、例えば単色全画面表示や、単色全画面表示の点滅、カーソルが左から右に流れる等を表示する。
【0044】
入力端子状態判別部1214は、入力された入力端子のレベルに応じて選択されている機能が起動時の画面表示(LCDコントローラによる表示)または主制御部制御のいずれかを判断する(ステップS405)。具体的には、入力端子In1にHighレベルが入力されているかLowレベルが入力されているかによって判断する。ここで、複合機100の電源投入後の主制御部110での初期処理が終了していない場合は、Highレベルであり、主制御部110での初期処理が終了した場合は、Lowレベルとなる。
【0045】
すなわち、主制御部110のSoC111は、リセット解除後、SoC111としての基本的な立ち上げ動作となるベクタデータリード、ベクタアドレスで指定されたデータリード(命令フェッチ)、命令の解析、命令の実行、実行結果のライトバック(SoC111のレジスタやRAMに書き込む)といった処理を繰り返し、必要な初期化をプログラムに従って行う。よって、その処理が終了するまでは、ステップS405の判断により起動時の画面表示が繰り返し行われることとなる。
【0046】
入力端子のレベルが起動時の画面表示(Highレベル)であると判断した場合は(ステップS405:起動時の画面表示)、ステップS404に戻り、起動時の画面を表示する。入力端子のレベルが主制御部制御(Lowレベル)であると判断した場合は(ステップS405:主制御部制御)、主制御部110から表示データを受付ける(ステップS406)。具体的には、主制御部110から送出された表示データを主制御部I/F1215を介してLCD制御部1211が受付ける。
【0047】
LCD制御部1211は、受付けた表示データをバッファメモリ1217に蓄積する(ステップS407)。LCD制御部1211は、バッファメモリ1217に蓄積された表示データをLCD122に転送して表示するように制御する(ステップS408)。なお、バッファメモリを用いず、直接表示データメモリのデータを用いてもよい。
【0048】
このように、主制御部110のリセット処理が終了した後に、さらに主制御部110での初期処理が終了までの時間を待つことなく、また主制御部110から制御によらず、表示データをLCD122に表示することができるため、電源投入時のLCD122の初期画面を表示するまでの時間を短縮することができる。
【0049】
また、LCD122に表示データを表示するための制御を行うLCDコントローラ121が、ハードウェアなので、高速で表示データを表示することができる。また、表示部として専用のCPUおよび周辺回路を必要としないので、コストダウンを図ることができる。
【0050】
次に、図4で説明したフローチャートに対応する各部の処理のタイミングについて説明する。図5は、電源投入時からLCDに表示データが表示されるまでのタイムチャートの一例を示す説明図である。
【0051】
まず、フェーズ0は複合機100に電源が投入される前であり、電源もリセット信号のLowレベルで、主制御部110もLCDコントローラ121も動作していない。次に、フェーズ1で、電源が投入される。これにより、電源のレベルがLowからHighに移行する。リセット信号はLowレベルで、主制御部110もLCDコントローラ121もまだ通常動作していない。
【0052】
フェーズ2は、主制御部110のリセット期間である。フェーズ1では、電源がHighレベルで安定した状態となる。リセット信号は、フェーズ2が終了する時点でHighレベルとなり、リセット期間が終了したリセット解除状態を示す。このフェーズ2において初期化が行われる。LCDコントローラ121は、LCDコントローラ121の内部レジスタ(一般的にフリップフロップと呼ばれる電気的レベルを保持するもの)を初期化することや、LCDコントローラ121の動作クロックとなるクロックの発振が安定するのを待つために用いられる。また、LCDコントローラ121の入力端子のレベルは、入力端子が電源もしくはGND(グランド、接地)に接続されているので、この時点で確定している。なお、LCDコントローラ121は、LCDコントローラ121自身のリセットが終了した場合は、主制御部110のリセット処理の終了を待たず、主制御部110と異なるタイミングでリセット信号を送出してもよい。
【0053】
フェーズ3は、主制御部110の初期処理期間である。フェーズ3では、電源も、リセット信号もHighレベルである。主制御部110は、初期処理を実行する。LCDコントローラ121は、リセット信号がリセット解除状態を示すHighレベルであるので、初期画面表示処理を実行する。これにより、主制御部110の初期処理の終了を待たずにLCD122に初期画面を表示することができる。
【0054】
フェーズ4は、主制御部110の動作期間である。フェーズ4では、電源、リセット信号ともにHighレベルである。主制御部110は、正常動作が可能であり、LCDコントローラ121に対しても、制御信号を送出して制御する。LCDコントローラ121は、主制御部110からの制御信号によって制御される。
【0055】
従来は、主制御部110のリセット処理(フェーズ2)と初期処理(フェーズ3)が終了した後でなければ、LCD122に初期画面を表示する処理を開始することはできなかった。しかしながら、本実施の形態では、LCDコントローラ121が主制御部110の制御によらず初期画面を表示するため、主制御部110の初期処理(フェーズ3)の期間を待つことなく初期画面を表示することができ、初期画面を表示するまでの時間を短縮することができる。
【0056】
次に、さらに具体的なLCD制御部1211と表示データ記憶部1212とLCD122との間の信号の流れおよび各信号の命令のタイミングについて説明する。図6は、LCD制御部と表示データ記憶部とLCDでの信号の流れの一例を示す説明図である。図7は、各信号のタイミングを模式的に示す説明図である。
【0057】
図6に示すように、LCD制御部1211には、クロック部1219から送出されるクロック信号(ck)と、主制御部110から送出されるリセット信号(reset)が入力される。図7の71で示すように、リセット信号がHighレベルとなったタイミングで、LCD制御部1211は、表示データ記憶部1212にROMアドレス信号(rom-ad)とROM読出トリガー信号(rom-ck)を送出する。
【0058】
LCD制御部1211がROM読出トリガー信号の立ち上がりのタイミングで表示データ記憶部1212に記憶されている、ROMアドレス信号が示すアドレスの表示データをLCD122に送出する。
【0059】
LCD制御部1211では、リセット信号がHighレベルとなったタイミングで、表示データを表示するタイミングを示すLCD表示信号(lcd-ck)と、表示データの有効期間を示す有効期間信号(lcd-cs)をLCD122に送出する。LCD122は、有効期間信号が有効(Lowレベル)の間に、受信した表示データをLCD表示信号の立ち上がりタイミングで表示する。
【0060】
次に、他の実施の形態について説明する。上述した実施の形態では、入力端子状態判別部1214に入力される入力端子の論理レベルを、主制御部110によって表示制御を行うかLCDコントローラによって表示するかを判別するためにのみ用いていたが、3つの入力端子のレベルの組合せによってさらに様々な機能を選択することができる。
【0061】
選択できる機能としては、表示データを表示するLCDサイズや、LCD表示色、メモリ呼び出しアドレス等が設定できる。図8は、入力端子状態により選択できるLCDサイズの一例を示す説明図である。図8に示すように、例えば入力端子状態In1、In2、In3のいずれもHighの場合は、LCDサイズとして320*240が選択される。
【0062】
このように、入力端子状態のレベルの組合せに応じて、LCDコントローラ121がLCD122のサイズに対応した制御をすることができるため、異なる種類のLCD122を搭載した複数の複合機への機種展開を容易に行うことができる。
【0063】
次に、LCD122に表示する色の切替えについて説明する。図9は、入力端子状態により選択できるLCDの表示色の一例を示す説明図である。図9に示すように、例えば入力端子状態In1、In2、In3のいずれもHighの場合は、LCD表示色として青が選択される。
【0064】
このように、入力端子状態のレベルの組合せに応じて、LCDコントローラ121がLCD122に表示色を制御することができるため、表示色を変更が容易に行え、表示色を変更するためのプログラムの書換え作業等を削減することができる。
【0065】
次に、LCD122に表示する表示データの切替えについて説明する。図10は、入力端子状態により選択できるLCDの表示データのアドレスの一例を示す説明図である。図10に示すように、例えば入力端子状態In1、In2、In3のいずれもHighの場合は、表示データとして初期画面メモリ1000番地から読出しが選択される。この場合、読み出すアドレスごとに異なる文言の表示データや、異なる言語による表示データを格納することにより、自由度の高い初期画面を表示することができる。
【0066】
このように、入力端子状態のレベルの組合せに応じて、LCDコントローラ121がメモリの読み取りアドレスを変更することで、LCD122に表示する表示データを変更することができるため、例えば表示する言語を変更することで複合機100の仕向地展開を容易に行うことができる。
【0067】
なお、上述した実施の形態では、3つの入力端子の状態によって、様々な機能を選択したが、入力端子の数は3つに限る必要はなく、1つや2つ、4つ以上であってもよい。
【0068】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本発明が適用されるLCDコントローラの構成例について、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第1の実施の形態と同様であるので、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。図11は、第2の実施の形態にかかるLCDコントローラおよびLCDの構成を示すブロック図である。
【0069】
本実施の形態にかかるLCDコントローラ221は、さらにLCD制御部1211と、表示データ記憶部2212と、リセット入力部1213と、入力端子状態判別部1214と、主制御部I/F1215と、LCDI/F1216と、バッファメモリ1217と、LCD制御データ記憶部1218と、クロック部1219と、バス切替部2211と、メモリI/F2213とを備えている。
【0070】
ここで、LCD制御部1211と、リセット入力部1213と、入力端子状態判別部1214と、主制御部I/F1215と、LCDI/F1216と、バッファメモリ1217と、LCD制御データ記憶部1218と、クロック部1219の構成、機能は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0071】
表示データ記憶部2212は、第1の実施の形態で説明した表示データ記憶部1212と同様の機能、構成を備えるが、LCDコントローラ221の外部に設置されている。
【0072】
メモリI/F2213は、表示データ記憶部2212とのインタフェースをとる。メモリI/F2213は、I2CやSPIなどのシリアルインタフェースの他、汎用インタフェースであってもよい。表示データ記憶部2212には、LCDコントローラ221が起動時の表示データをLCD122に表示するために主制御部110からの制御と無関係にアクセスする。
【0073】
バス切替部2211は、LCDコントローラ221のあるレジスタにアクセスすることで、主制御部110から表示データ記憶部2212にアクセスするためのバス切替器が切り替わり、表示データ記憶部2212への制御線が主制御部110からの制御信号で制御可能となる。
【0074】
このように、バス切替部2211による表示データ記憶部2212への制御が主制御部110からの制御可能となることにより、製造工程などで、主制御部110を経由した液晶表示用データの書換えに活用することができる。また、表示データ記憶部2212は、ICソケットに搭載することにより、液晶表示データを格納するメモリを差し替えれば、起動時の液晶表示器の表示データを容易に変更することができる。
【0075】
以上、本発明を第1の実施の形態、第2の実施の形態および変形例を用いて説明してきたが、上述した実施の形態には、多様な変更または改良を加えることができる。なお、上述した第1の実施の形態、第2の実施の形態および変形例において説明した構成や機能は、自由に組み合わせることができる。
【0076】
なお、上述した実施の形態では、複合機を一例として説明したが、本発明は複合機に限る必要はなく、コピー機、ファクシミリ、プリンタ等の初期画面表示処理を行う装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1の実施の形態にかかる複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】LCDコントローラおよびLCDの構成を示すブロック図である。
【図3】入力端子状態に応じて選択する機能の一例を示す説明図である。
【図4】LCD制御部が行うLCD表示処理手順を示すフローチャートである。
【図5】電源投入時からLCDに表示データが表示されるまでのタイムチャートの一例を示す説明図である。
【図6】LCD制御部と表示データ記憶部とLCDでの信号の流れの一例を示す説明図である。
【図7】各信号のタイミングを模式的に示す説明図である。
【図8】入力端子状態により選択できるLCDサイズの一例を示す説明図である。
【図9】入力端子状態により選択できるLCDの表示色の一例を示す説明図である。
【図10】入力端子状態により選択できるLCDの表示データのアドレスの一例を示す説明図である。
【図11】第2の実施の形態にかかるLCDコントローラおよびLCDの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0078】
100 複合機
110 主制御部
111 SoC
112 ROM
113 RAM
114 LAN I/F
115 USB I/F
120 表示部
121 221 LCDコントローラ
122 LCD
130 操作部
131 キー制御部
132 キー部
140 スキャナ部
150 プリンタ部
1211 LCD制御部
1212 2212 表示データ記憶部
1213 リセット入力部
1214 入力端子状態判別部
1215 主制御部I/F
1216 LCD I/F
1217 バッファメモリ
1218 LCD制御データ記憶部
1219 クロック部
2211 バス切替部
2213 メモリI/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示データを格納する表示データ記憶手段と、
電源投入時に主制御部から送出されたリセット信号が主制御部のリセット処理が終了した旨を示すリセット解除状態である場合に、前記表示データ記憶手段に格納された前記表示データを読取るためのアドレスを示すアドレス信号と、前記表示データを読取るタイミングを示すトリガー信号と、前記表示データの表示が有効である旨を示す有効期間信号と、前記表示データを表示するタイミングを示す表示タイミング信号とを送出する表示制御手段と、
前記表示制御手段から送出された前記トリガー信号に基づいて、前記アドレス信号に対応する前記表示データを前記表示データ記憶手段から読取る表示データ読取手段と、
前記表示制御手段から送出された前記有効期間信号と前記表示タイミング信号とに基づいて、前記表示データ読取手段によって読取られた前記表示データを表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記表示データ読取手段は、前記表示制御手段から送出された前記トリガー信号のレベルが変化するタイミングで、前記アドレス信号に対応する前記表示データを前記表示データ記憶手段から読取ること、を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記有効期間信号が、前記表示データの表示が有効である旨を示す場合に、前記表示タイミング信号のレベルが変化するタイミングで前記表示データを表示すること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
入力端子から入力される論理レベルを判別する判別手段、をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記判別手段によって判別された論理レベルに従って、前記表示データ記憶手段に格納された表示データを表示するように制御するか前記主制御手段から送出された表示データを表示するように制御するかのいずれかに切替えること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
入力端子から入力される論理レベルを判別する判別手段、をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記表示データ記憶手段に格納された表示データのうち、前記判別手段によって判別された論理レベルに応じた表示データを読取るように制御すること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判別手段は、前記入力端子から入力される論理レベルに応じた前記表示手段のサイズを判別すること、を特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記判別手段は、前記入力端子から入力される論理レベルに応じた前記表示手段に表示する表示色を判別すること、を特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記判別手段は、前記入力端子から入力される論理レベルに応じた前記表示データ記憶手段から前記表示データの読取りを開始するアドレスを判別すること、を特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記入力端子は、1の入力端子が主制御部から制御可能であり、他の入力端子が操作者によって論理レベルを設定可能なメカニカルスイッチであること、を特徴とする請求項4〜8のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記主制御部からの制御により、前記表示データ記憶手段に格納された前記表示データの書換え可能とする切替手段と、
前記切替手段によって前記主制御部からの制御によって、前記表示データ記憶手段に格納された前記表示データを書き換える書換手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記表示データ記憶手段は、着脱可能であること、を特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項12】
画像形成装置で実行される表示方法であって、
表示制御手段が、電源投入時に主制御部から送出されたリセット信号が主制御部のリセット処理が終了した旨を示すリセット解除状態である場合に、表示データを格納する表示データ記憶手段に格納された前記表示データを読取るためのアドレスを示すアドレス信号と、前記表示データを読取るタイミングを示すトリガー信号と、前記表示データの表示が有効である旨を示す有効期間信号と、前記表示データを表示するタイミングを示す表示タイミング信号とを送出する表示制御ステップと、
表示データ読取手段が、前記表示制御ステップから送出された前記トリガー信号に基づいて、前記アドレス信号に対応する前記表示データを前記表示データ記憶手段から読取る表示データ読取ステップと、
表示手段が、前記表示制御ステップから送出された前記有効期間信号と前記表示タイミング信号とに基づいて、前記表示データ読取ステップによって読取られた前記表示データを表示する表示ステップと、
を有することを特徴とする表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−89366(P2009−89366A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216981(P2008−216981)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】