説明

画像形成装置及びかぶり解消方法

【課題】簡単かつ安価な構成によりかぶりを的確に検出し、このかぶりを解消する。
【解決手段】帯電手段9、露光手段3、及び、現像手段10により像担持体8に形成したトナー像を記録媒体17に転写させる。像担持体8に付着させるトナー量を規制する規制手段11と、現像手段10でのトナーの付着量を検出するためのトナー付着量検出手段22と、帯電手段9及び現像手段10により、像担持体8に複数回に亘ってトナー像を形成した後、トナー付着量検出手段22の検出値に基づいて、像担持体8でのかぶりの有無を判定するかぶり判定手段6と、かぶり判定手段6によりかぶり有と判定された場合、規制手段11への印加バイアスを調整することによりかぶりを解消するかぶり解消手段21とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びかぶり解消方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を用いた画像形成装置では、環境(主に、湿度)や経時変化等の種々の原因により、現像器内で帯電量の低下した不良帯電トナーの割合が増加することがある。この結果、感光体や中間転写ベルトの表面に形成される画像の背景部(白地部)に不良帯電トナーが付着する、所謂「かぶり」が発生しやすくなる。また、このかぶりは、感光体や帯電器が経時劣化により帯電能力を低下させ、感光体の表面電位が規定電位に到達しない場合にも発生する。そして、かぶりが発生すると、画像品質が低下するのみならず、画像形成装置の内部だけでなく周囲も汚染される恐れがある。さらに、トナーが無駄に消費されるという問題もある。このため、従来から種々の方法によりかぶりを検出し、これに対処するようにしている。
【0003】
最も一般的なかぶりの検出方法は、目視によるものである。これは、かぶりが微量のトナーによって発生するため、既存の光学式検出器での検出が困難だからである。また、かぶりであると判断すれば、マニュアル操作により除去している。
【0004】
このため、自動的にかぶりを検出する構成が切望されており、次に示すような構成も提案されている。
【0005】
例えば、現像手段における現像バイアスや、転写手段における転写バイアスを制御し、記録媒体上に縞模様を顕在化させることにより、かぶりを検出するようにした構成が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、グリッド電圧及び現像バイアス電圧を予め所定の値に設定し、グリッド電圧を所定量ずつ段階的に変化させて感光体ドラム上に形成したテストパターンへのトナー付着量をセンサで光学的に検出することによりかぶりを検出するようにした構成が公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−62858号公報
【特許文献2】特開平11−160930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に記載の構成では、縞模様を形成するために、帯電電位と現像バイアス電位を複雑に組み合わせる必要がある。また、かぶりを検出するために、記録媒体への転写が必要である上、その濃度を検出するセンサを別途設ける必要もある。しかも、このかぶり検出は自動的に行うことができない。
【0009】
前記特許文献2に記載の構成では、トナーの付着量が多い場合にはかぶりを検出できるが、微量であれば検出が困難である。
【0010】
そこで、本発明は、簡単かつ安価な構成によりかぶりを的確に検出し、このかぶりを解消することのできる画像形成装置及びかぶり解消方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
帯電手段、露光手段、及び、現像手段により像担持体に形成したトナー像を記録媒体に転写させるようにした画像形成装置であって、
前記現像手段に付着させるトナー量を規制する規制手段と、
前記像担持体でのトナーの付着量を検出するためのトナー付着量検出手段と、
前記帯電手段及び前記現像手段により、前記像担持体に複数回に亘ってトナー像を形成した後、前記トナー付着量検出手段の検出値に基づいて、前記像担持体でのかぶりの有無を判定するかぶり判定手段と、
前記かぶり判定手段によりかぶり有と判定された場合、前記規制手段への印加バイアスを調整することによりかぶりを解消するかぶり解消手段と、
を備えたものである。
【0012】
この構成により、像担持体に複数回に亘ってトナー像を形成するという強制的な処理を施すことができるので、かぶりが発生しているか否かを、目視によらずトナー付着量検出手段により確実に検出することが可能となる。また、かぶりが発生すれば、規制手段への印加バイアスを制御するという簡単な方法によりかぶりを解消することができ、マニュアル操作が不要となる。
【0013】
前記規制手段は、印加バイアスを調整可能な規制ブレードからなり、
前記かぶり解消手段は、かぶり有と判定することにより、前記規制ブレードへの印加バイアスを増大させるようにすればよい。
【0014】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、
帯電手段、露光手段、及び、現像手段により像担持体に形成したトナー像を記録媒体に転写させるようにした画像形成装置であって、
前記現像手段に付着させるトナー量を規制する規制手段と、
前記像担持体へのかぶりの原因となる耐久トナーの比率の上昇率Gを、次式により算出し、得られた上昇率Gに応じて、前記規制手段への印加バイアスを制御することによりかぶりを解消するかぶり解消手段と、
を備えたものである。
【数1】

【0015】
なお、耐久トナーとは、長期に亘って現像手段で使用されることにより帯電量が低下し、希望する適正範囲から外れたトナーを意味する。また、BW比とは、出力画像に於けるトナーの付着部分の割合を意味する。
【0016】
前記構成により、かぶりが発生する状態を予測して事前に対処することができるので、強制的に像担持体にトナーを付着してかぶりを発生させなくてもよく、画像形成処理を停止させたりする必要がない。
【0017】
湿度検出手段をさらに備え、
前記かぶり解消手段は、前記湿度検出手段によって検出される絶対湿度の変動量に基づいて、前記規制ブレードへの印加バイアスをさらに調整するのが好ましい。
【0018】
この構成により、より一層、かぶりが発生する状態を正確に予測することが可能となる。
【0019】
前記かぶり解消手段は、前記規制手段への印加バイアスを制御することによってもかぶりを解消できない場合、トナー消費処理を実行し、かぶり率に応じた量を新たなトナーに交換するのが好ましい。
【0020】
前記かぶり解消手段は、前記トナー消費処理を実行した後、かぶりが解消されなければ、前記現像手段の交換を指示する交換モードによりかぶり解消処理を実行するのが好ましい。
【0021】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、
帯電手段、露光手段、及び、現像手段により像担持体に形成したトナー像を記録媒体に転写させるようにした画像形成方法であって、
規制手段により前記現像手段に付着させるトナー量を規制するトナー規制ステップと、
前記現像手段でのトナーの付着量を検出するトナー付着量検出ステップと、
前記帯電手段及び前記現像手段により、前記像担持体に複数回に亘ってトナー像を形成するトナー像形成ステップと、
前記トナー付着量検出ステップでの検出値に基づいて、前記像担持体でのかぶりの有無を判定するかぶり判定ステップと、
前記かぶり判定ステップでかぶり有と判定された場合、前記規制手段への印加バイアスを調整することによりかぶりを解消するかぶり解消ステップと、
を含むようにしたものである。
【0022】
前記規制手段は、印加バイアスを調整可能な規制ブレードからなり、
前記かぶり解消ステップでは、かぶり有と判定することにより、前記規制ブレードへの印加バイアスを増大させるようにすればよい。
【0023】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、
帯電手段、露光手段、及び、現像手段により像担持体に形成したトナー像を記録媒体に転写させるようにした画像形成方法であって、
規制手段により前記現像手段に付着させるトナー量を規制するトナー規制ステップと、
前記像担持体へのかぶりの原因となる耐久トナーの比率の上昇率Gを、次式により算出し、得られた上昇率Gに応じて、前記規制ブレードへの印加バイアスを調整することによりかぶりを解消するかぶり解消ステップと、
を含むものである。
【数2】

湿度検出手段をさらに備え、
前記かぶり解消ステップでは、前記湿度検出手段によって検出される絶対湿度の変動量に基づいて、前記規制ブレードへの印加バイアスをさらに調整するのが好ましい。
【0024】
前記かぶり解消ステップでは、前記規制手段への印加バイアスを制御することによってもかぶりを解消できない場合、トナー消費処理を実行し、かぶり率に応じた量を新たなトナーに交換するのが好ましい。
【0025】
前記かぶり解消ステップでは、前記トナー消費処理を実行した後、かぶりが解消されなければ、前記現像手段の交換を指示する交換モードによりかぶり解消処理を実行するのが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、像担持体に強制的にトナー像を形成した後、像担持体にかぶりが発生しているか否かを検出するようにしているので、かぶりの有無を自動検出することができる。そして、かぶりが発生していると判断すれば、自動的にかぶり解消処理を実行することができるので、従来行っていたマニュアル操作を無くして効率的にかぶりを解消することができる。また、かぶり解消では、従来のように無駄に記録媒体である紙が消費されたり、装置がダメージを受けたりするといったこともなく、規制手段への印加バイアスを制御するだけで、簡単に、かつ、コストを抑えつつ、長期に亘って良好な使用状態を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る、電子写真技術を応用したタンデム式のカラー画像形成装置を示す。この画像形成装置は、大略、画像形成ユニット1、転写ユニット2、露光ユニット3、清掃ユニット4、給紙ユニット5、及び、かぶり検出ユニット6(図3参照)を備える。
【0029】
画像形成ユニット1は、図2に示すように、ケーシング7内の、像担持体である感光体ドラム8の周囲に、帯電手段である帯電チャージャ9、現像手段である現像ローラ10、規制ブレード11、等を備える。また、画像形成ユニット1は、転写ユニット2の中間転写ベルトに沿って4箇所に配置され、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成を行なうことにより、中間転写ベルト13の表面にカラー画像を形成する。
【0030】
感光体ドラム8は、図4を参照すると、帯電チャージャ9により帯電電位を印加されて表面が均一に帯電され(このときの非画像部の電位をV0、画像部の電位をViとする。)、露光ユニット3から照射されるレーザ光で露光されることにより、静電潜像を形成される(このときの露光部である画像背景部の電位をV1とする。)。感光体ドラム8には、ケーシング7内のトナーが現像ローラ10を介して供給され、供給されるトナーは規制ブレード11によって負に帯電される。現像ローラ10から感光体ドラム8へのトナーの供給量は、現像ローラ10と規制ブレード11との間の間隙寸法を変更することにより調整可能となっている。また、感光体ドラム8に供給するトナーの帯電量は、規制ブレード11に印加するバイアス電位を変更し、現像ローラへの印加バイアス(現像バイアス電位Vdc)と規制ブレードへの印加バイアスの電位差Vgapを変化させることにより調整可能となっている。負に帯電されたトナーは感光体ドラム8で顕像化されてトナー像となる。このトナー像は、一次転写ローラ14によって中間転写ベルト13の裏面側に印加される正の電圧(正の転写電位)により、中間転写ベルト13の表面に転写される。
【0031】
なお、ケーシング7内のトナーは、図示しないトナーカートリッジから、適宜、供給可能となっている。また、一次転写後であっても感光体ドラム8の表面に残留しているトナーは、ケーシング7内に設けたクリーニング装置(クリーニングブレード7a)により回収されるようになっている。
【0032】
転写ユニット2は、一対のローラ12に中間転写ベルト13を架け渡し、図示しない駆動手段により中間転写ベルト13を矢印方向に循環移動させるようにしたもので、一次転写部、及び、二次転写部を備える。一次転写部は、前記各画像形成ユニット1の感光体ドラム8に中間転写ベルト13を挟持した状態で対向する一次転写ローラ14を備える。一次転写ローラ14は、中間転写ベルト13の裏面に正の電圧を印加する。二次転写部は、一方のローラに対向する二次転写ローラ15を備え、中間転写ベルト13に転写されたトナー像を記録媒体17(例えば、紙)に転写させる。
【0033】
露光ユニット3は、前記感光体ドラム8に対してレーザ光を照射し、図示しないスキャナで読み取った画像データに対応する静電潜像を形成する。
【0034】
清掃ユニット4は、中間転写ベルト13に接離可能で、接近することにより中間転写ベルト13の表面に残留するトナーを回収することができるようになっている。
【0035】
給紙ユニット5は、カセット16に収容した記録媒体17を、順次、複数の搬送ローラ18を介して二次転写部へと搬送し、トナー像を転写させ、定着ユニット19で転写させたトナー像を定着させた後、排出トレイ20へと搬出する。
【0036】
かぶり検出ユニット6は、図3に示すように、制御部21、トナー付着量検出センサ22、温湿度検出センサ23、表示部24等を備える。制御部21は、トナー付着量検出センサ22で検出される中間転写ベルト13に付着したトナー量に基づいてかぶりが発生しているか否かを判断し、かぶりが発生していると判断すれば、後述するようにして、前記各ユニットを駆動制御する、かぶり解消処理を実行する。トナー付着量検出センサ22には、発光素子と受光素子を備えた光学式のものを使用することができる。図5は、中間転写ベルト13でのトナーの付着量と、前記トナー付着量検出センサ22で検出された結果の出力との関係を示すグラフである。このトナー付着量検出センサ22によれば、トナーの付着量が増加すれば増加するほど、反射光量が減少し、出力が低下する。ところで、前記トナー付着量検出センサ22は、1箇所だけに設けるようにしてもよいが、中間転写ベルト13の幅方向に複数箇所設けるのが好ましい。複数箇所設けることにより、検出精度を高めることが可能となる。すなわち、各トナー付着量検出センサ22の検出値の全てについて、後述するかぶり判定処理を実行する。そして、検出値に基づいて、いずれか1つでもかぶりが発生している条件を満足すれば、中間転写ベルト13にかぶりが発生していると判断する。これにより、かぶりが中間転写ベルト13の幅方向に偏って発生している場合であっても検出することが可能となる。表示部24には、液晶ディスプレイパネル等を使用することができ、かぶりの発生状態、現在の処理内容、等を表示させることができる。温湿度検出センサ23は、画像形成装置内の適宜位置に設け、内部空間の温度及び湿度を検出する。
【0037】
次に、前記構成からなる画像形成装置のかぶり解消処理について、図6のフローチャート及び図7のタイムチャートに従って説明する。
【0038】
かぶり解消処理では、まず、かぶり検出入力があるか否かを判断する(ステップS1)。かぶり検出入力には、画像形成装置に設けたボタンの操作、ネットワークプロトコルを介しての外部からの操作、画像形成装置の環境設定の変更(又は変化)、規定プリント枚数への到達等に基づく入力信号を使用することができる。
【0039】
かぶり検出入力があると判断すれば、中間転写ベルト13の清掃処理を実行し(ステップS2)、トナー付着量検出のための基準値Sbsを取得する(ステップS3)。清掃処理では、中間転写ベルト13を循環移動させながら、この中間転写ベルト13に清掃ユニット4を接近させて残留トナーの回収を行う。この場合、一次転写ローラ14及び二次転写ローラ15は、中間転写ベルト13から離しておく。なお、基準値Sbsの取得の前に清掃処理を実行したのは、トナー付着量検出センサ22によって、トナーを付着させる前の中間転写ベルト13の表面(ベース面)での反射光量を検出するためである。但し、この反射光量に相当する予め設定した値を基準値Sbsとして使用するようにしてもよい。
【0040】
基準値Sbsが取得されれば、中間転写ベルト13から清掃ユニット4を離し、かぶり検出の対象となる一次転写ローラ14を中間転写ベルト13に圧接させ、トナーの転写を開始する(ステップS4)。この場合、中間転写ベルト13は循環移動させたままとし、現像バイアス電位及び帯電電位は、画像形成する際と同様の値を使用する。また、露光ユニット3では、階調データを0階調とし、中間転写ベルト13に画像の背景部(白地部)が形成されるようにレーザ光を照射させる。中間転写ベルト13へのトナーの転写は、中間転写ベルト13がN回転、すなわち中間転写ベルト13の表面の同じ箇所にN回転写されるまで行う。これにより、1回では微量で検出するのが困難な「かぶり」を検出可能な状態とすることができる。
【0041】
なお、ここでの中間転写ベルト13の回転数Nは、かぶりが形成される条件下で、前記トナー付着量検出センサ22により、トナーの付着であると判断するのに十分な検出値が得られる値とする。すなわち、中間転写ベルト13の表面が汚れていたり、傷が付いていたり等の変動要因によっても、トナー付着量検出センサ22で検出される値が基準値から変動するので、その場合の検出値と、かぶりが発生した場合の検出値とを区別できる値を使用する。ここでは、回転数Nを10回としている。これは、1回ではかぶりが発生したとしても、トナー付着量検出センサ22での検出値が小さく、前記変動要因に基づくものであるか、かぶりによるものであるかの判断ができないため、10回とすることにより、検出値をかぶりが発生していないと判断される4.5Vを十分に下回る4V以下の値とするためである。
【0042】
このようにしてトナーの転写が行われれば、トナー付着量検出センサ22からの検出信号を読み込み(ステップS5)、読み込んだ値をかぶり検出値Snとする。ここで、前記ステップS3で設定した基準値Sbsとかぶり検出値Snとの差(判定値ΔS)が規定値εを超えているか否か(Sbs−Sn>ε)を判断する(ステップS6:かぶり検出手段)。ここでは、規定値εとして、基準値Sbsに比べてかぶり検出値Snが小さく、両者の差がこの値よりも小さければ、「かぶり無し」と判断しても問題のない値を使用している。具体的に、規定値εは実験結果に基づいて決定することができ、例えば、かぶりが発生していない状態での検出値が4.5Vであれば、0.5Vとすればよい。
【0043】
判定値ΔSが規定値εを超えていなければ(ステップS6:NO)、かぶりが発生していないと判断し、かぶり解消処理を終了して印字を許可する。一方、規定値を超えていれば(ステップS6:YES)、かぶりが発生していると判断し、規制ブレード11による帯電状態を変化させる帯電調整処理を実行する(ステップS7)。
【0044】
帯電調整処理では、規制ブレード11に印加するバイアス電位を変更し、現像ローラ10と規制ブレード11との間の電位差Vgapを調整する。この場合、図9に示すように、電位差Vgapを大きくすると、トナー帯電量が大きくなるという関係がある。この関係は予め実験等で求めておくことができるので、その結果を記憶装置に記憶させておく。そして、かぶりが発生していると判定した場合のトナー帯電量を推測し、この値が適正範囲に入るように、規制ブレード11に印加するバイアス電位を決定する。ここに適正範囲とは、図8に斜線で示す範囲を意味する。すなわち、トナーの帯電量が中間転写ベルト13にかぶりを発生させないような値となっている範囲である。トナーが劣化してくると、帯電量が低下し、適正範囲から外れることになる。なお、予めトナー付着量検出センサ22での検出値(トナー付着量)と電位差Vgapの関係を求めておき、トナー付着量の違いに応じて規制ブレード11に印加するバイアス電位を決定するのが好ましい。これにより、より適切にかぶりを解消させることが可能となる。また、電位差Vgapとトナー帯電量との関係は、中間転写ベルト13にかぶりを発生させるような劣化したトナーで行っておくのが好ましい。
【0045】
帯電調整処理が終了すれば、再度、トナー付着量検出センサ22からの検出信号(検出値Sn)を読み込み(ステップS8)、基準値Sbsとの差(判定値ΔS)が規定値εを超えているか否かを判断する(ステップS9)。超えていなければ、前記同様、かぶりが発生していないと判断し、かぶり解消処理を終了する。超えていれば、トナー消費処理を実行する(ステップS10)。
【0046】
トナー消費処理では、図10に示すように、出力画像(ここでは、紙に画像部のみを形成する100%印刷を行った場合、いわゆる「べたパッチ」を意味する。)に於ける印刷部分(トナーが付着している部分)の割合(BW比)が大きくなるに従ってトナー消費量を増大させる。トナー消費量が決定されれば、中間転写ベルト13から二次転写ローラ15を離し、中間ベルトに一次転写ローラ14及び清掃ユニット4を接近させる。これにより、画像形成ユニット1内のトナーが中間転写ベルト13から清掃ユニット4へと回収される。トナー消費量は、例えば、印刷された1枚当たりのBW比と、印刷枚数とから推測すればよい。
【0047】
なお、前記トナー消費処理では、画像形成ユニット1内のトナーを清掃ユニット4へと回収するようにしたが、画像形成ユニット1内に設けたクリーニング装置(図示せず)に回収するようにしてもよい。この場合、一次転写ローラ14、二次転写ローラ15、清掃ユニット4、中間転写ベルト13はいずれも駆動する必要がない。
【0048】
トナー消費処理が終了すれば、再度、トナー付着量検出センサ22からの検出信号(検出値Sn)を読み込み(ステップS11)、判定値ΔSが規定値εを超えているか否かを判断する(ステップS12)。超えていなければ、前記同様、かぶりが発生していないと判断し、かぶり解消処理を終了する。超えていれば、前記トナー攪拌処理や前記トナー消費処理等のプロセス処理によってはトナーの帯電量を回復できないと判断し、画像形成ユニット1の交換を指示する(ステップS13)。すなわち、表示部24に画像形成ユニット1を交換すべき旨(例えば、「画像形成ユニットを交換して下さい」)を表示する。但し、画像形成ユニット1を交換すべき旨は、LED等の表示部を点灯/点滅させたり、ネットワークを介してメール等で通知したりする等、種々の方法で通知するように構成することができる。
【0049】
なお、前記実施形態では、トナー付着量検出センサ22により、かぶり形成処理をN回行った後のトナー付着量を検出するようにしたが、必ずしもN回後でなくても、例えば、1回目から検出するようにしてもよい。この場合、検出されるトナー付着量に基づいて算出される判定値が基準値を超えた時点で「かぶり有り」と判断し、前記かぶり解消処理を実行するようにしてもよい。但し、かぶり形成処理をN回行ってもかぶりが発生していなければ、適切な状態であると判断し、通常通り、画像形成処理を続行する。
【0050】
また、前記実施形態では、像担持体を中間転写ベルト13としたタイプの画像形成装置について説明したが、本発明の構成を採用可能な画像形成装置は必ずしもこのタイプに限らない。規制ブレード11を利用してトナーを帯電させる構成を備えた画像形成装置であればよい。例えば、感光体ドラム8を像担持体とした構成の画像形成装置であっても、同様に、前記構成を採用することができる。但し、トナー付着量検出センサ22は、感光体ドラム8の表面でのトナーの付着量を検出するように配置する必要がある。
【0051】
(他の実施形態)
前記実施形態では、トナー付着量検出センサ22での検出信号に基づいて中間転写ベルト13にかぶりが発生しているか否かを判定するようにしたが、次のようにしてトナーの状態を推測し、その推測結果に基づいてかぶり解消処理を実行するようにしてもよい。
【0052】
すなわち、次式に従って画像形成ユニット1内での耐久トナー、すなわち帯電量が低下して所望の画像形成処理が行えないトナーがどの程度の割合となったのかを算出する。
【0053】
【数3】

そして、得られた耐久トナーの割合により、この割合が増大するに従って規制ブレード11に印加するバイアス電位を大きくする。
【0054】
また、前記規制ブレード11への印加電圧の調整を耐久トナーの割合に基づいてのみ行うのではなく、さらに温湿度検出センサ23で検出される絶対湿度の影響を加味して行うようにしてもよい。例えば、表1に示すように、検出される絶対湿度が高くなるに従って規制ブレード11に印加するバイアス電位を大きくすればよい。これは、湿度が高くなると、トナーがその影響を受けて帯電量を低下させる傾向にあるからである。
【0055】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略説明図である。
【図2】図1の画像形成ユニットの拡大図である。
【図3】図1の画像形成装置のブロック図である。
【図4】中間転写ベルトの表面の状態と感光体ドラムの表面電位との関係を示す図である。
【図5】中間転写ベルトの表面でのトナー付着量とトナー付着量検出センサでの出力との関係を示すグラフである。
【図6】かぶり解消処理を示すフローチャートである。
【図7】中間転写ベルトを循環移動させた場合の回転数とトナー付着量検出センサでの出力との関係、及び、中間転写ベルトの周辺の各部材の動作状態を示す図表である。
【図8】画像形成ユニット内に於けるトナーの帯電量の分布と、適正範囲との関係を示すグラフである。
【図9】規制ブレードと現像ローラに印加する電位差を変化させた場合の画像形成ユニット内に於けるトナーの帯電量の分布を示すグラフである。
【図10】出力画像のBW比と、このBW比によって決定するトナー消費量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0057】
1…画像形成ユニット
2…転写ユニット
3…露光ユニット
4…清掃ユニット
5…給紙ユニット
6…かぶり検出ユニット
7…ケーシング
8…感光体ドラム
9…帯電チャージャ
10…現像ローラ
11…規制ブレード
12…ローラ
13…中間転写ベルト
14…一次転写ローラ
15…二次転写ローラ
16…カセット
17…記録媒体
18…搬送ローラ
19…定着ユニット
20…排出トレイ
21…制御部
22…トナー付着量検出センサ
23…温湿度検出センサ
24…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電手段、露光手段、及び、現像手段により像担持体に形成したトナー像を記録媒体に転写させるようにした画像形成装置であって、
前記現像手段に付着させるトナー量を規制する規制手段と、
前記像担持体でのトナーの付着量を検出するためのトナー付着量検出手段と、
前記帯電手段及び前記現像手段により、前記像担持体に複数回に亘ってトナー像を形成した後、前記トナー付着量検出手段の検出値に基づいて、前記像担持体でのかぶりの有無を判定するかぶり判定手段と、
前記かぶり判定手段によりかぶり有と判定された場合、前記規制手段への印加バイアスを調整することによりかぶりを解消するかぶり解消手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記規制手段は、印加バイアスを調整可能な規制ブレードからなり、
前記かぶり解消手段は、かぶり有と判定することにより、前記規制ブレードへの印加バイアスを増大させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
帯電手段、露光手段、及び、現像手段により像担持体に形成したトナー像を記録媒体に転写させるようにした画像形成装置であって、
前記現像手段に付着させるトナー量を規制する規制手段と、
前記像担持体へのかぶりの原因となる耐久トナーの比率の上昇率Gを、次式により算出し、得られた上昇率Gに応じて、前記規制手段への印加バイアスを制御することによりかぶりを解消するかぶり解消手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【数1】

【請求項4】
湿度検出手段をさらに備え、
前記かぶり解消手段は、前記湿度検出手段によって検出される絶対湿度の変動量に基づいて、前記規制手段への印加バイアスをさらに調整することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記かぶり解消手段は、前記規制手段への印加バイアスを制御することによってもかぶりを解消できない場合、トナー消費処理を実行し、かぶり率に応じた量を新たなトナーに交換することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記かぶり解消手段は、前記トナー消費処理を実行した後、かぶりが解消されなければ、前記現像手段の交換を指示する交換モードによりかぶり解消処理を実行することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
帯電手段、露光手段、及び、現像手段により像担持体に形成したトナー像を記録媒体に転写させるようにした画像形成方法であって、
規制手段により前記現像手段に付着させるトナー量を規制するトナー規制ステップと、
前記像担持体でのトナーの付着量を検出するトナー付着量検出ステップと、
前記帯電手段及び前記現像手段により、前記像担持体に複数回に亘ってトナー像を形成するトナー像形成ステップと、
前記トナー付着量検出ステップでの検出値に基づいて、前記像担持体でのかぶりの有無を判定するかぶり判定ステップと、
前記かぶり判定ステップでかぶり有と判定された場合、前記規制手段への印加バイアスを調整することによりかぶりを解消するかぶり解消ステップと、
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
前記規制手段は、印加バイアスを調整可能な規制ブレードからなり、
前記かぶり解消ステップでは、かぶり有と判定することにより、前記規制ブレードへの印加バイアスを増大させることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項9】
帯電手段、露光手段、及び、現像手段により像担持体に形成したトナー像を記録媒体に転写させるようにした画像形成方法であって、
規制手段により前記現像手段に付着させるトナー量を規制するトナー規制ステップと、
前記像担持体へのかぶりの原因となる耐久トナーの比率の上昇率Gを、次式により算出し、得られた上昇率Gに応じて、前記規制手段への印加バイアスを調整することによりかぶりを解消するかぶり解消ステップと、
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【数2】

【請求項10】
湿度検出手段をさらに備え、
前記かぶり解消ステップでは、前記湿度検出手段によって検出される絶対湿度の変動量に基づいて、前記規制手段への印加バイアスをさらに調整することを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記かぶり解消ステップでは、前記規制手段への印加バイアスを制御することによってもかぶりを解消できない場合、トナー消費処理を実行し、かぶり率に応じた量を新たなトナーに交換することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記かぶり解消ステップでは、前記トナー消費処理を実行した後、かぶりが解消されなければ、前記現像手段の交換を指示する交換モードによりかぶり解消処理を実行することを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−48070(P2009−48070A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215842(P2007−215842)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】