説明

画像形成装置及びその排紙満杯処理方法

【課題】排紙トレイが満杯になる前に運転を停止する等の満杯処理を、レバー式センサを使用することなく高い精度で行う。
【手段】排紙トレイ8の内壁8bのうち、排紙ローラ7と干渉せずにしかもできるだけ用紙排出口19に近い高さに位置に中間高さセンサ20が配置されている。画像形成装置は紙厚センサ17のような紙厚検知手段を有する。中間高さセンサ20がONになったら後続の用紙Pの厚さを積算(合算)していき、積算寸法H3が基準高さH1以降の追加可能寸法H2を超えたら(或いは超える1枚手前になったら)、新たな送り停止等の満杯処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、画像形成装置及びその排紙満杯処理方法に関するものである。ここに画像形成装置には、複写単機能機、ファクシミリ単機能機、プリンター、プロッター、複写機能・ファクシミリ機能・スキャン機能等を併有する複合機など、排紙トレイを有する各種のものが含まれる。
【0002】
複写単機能機や多機能併有複合機のように印刷手段を有する画像形成装置では、画像が印刷された用紙は搬送路を通って排紙トレイに放出され、排紙トレイに積み重ねられていくが、排紙トレイの積層高さには限度があり、限度を超えると排紙不能になって紙詰まり等のトラブルが発生する。
【0003】
そこで、排紙トレイの満杯状態を検知して運転停止等を行うことの必要性が高くなる。特に、複数のパソコンで複合機やプリンターを共用するネットワーク方式の場合は操作者は排紙状態を視認しないことが多いため、満杯状態を検知して自動的に停止することの必要性は高いと言える。
【0004】
このように排紙トレイの満杯状態を検知する手段として特許文献1には、用紙の排出口を跨ぐような状態でレバー式のセンサを設けることが開示されており、他方、特許文献2には、用紙の通過の有無を検出する排紙検出センサと排紙トレイ上の用紙の有無を検知する積載検出センサとを設けて、排紙トレイ上に排出された用紙の枚数をカウントすることにより、満杯か否かを検知する方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平02−270762号公報
【特許文献2】特開2009−139472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の方式は用紙の厚さに関係なく満杯状態を正確に検知できる利点があるが、用紙の排出口を跨ぐように配置されているため、人の手や物が触れて破損し易いという問題や、排出された用紙がセンサに当たって送りが阻害されるおそれがあるという問題がある。すなわち、安全性に問題がある。
【0007】
他方、特許文献2はセンサを装置に内蔵しているため破損・変形の問題はないが、正確性に問題がある。すなわち、使用される用紙には種々の種類があり厚さもまちまちであるため、排紙トレイに排出される用紙の厚さが薄い場合にはまだ集積可能であるにも係わらず動作停止させてしまい、また用紙の厚さが厚い場合には満杯限度を超えて排出してしまって集積不良やジャムを誘発するという問題がある。
【0008】
なお、排紙トレイのうち放出口に寄った端部は内壁になっており、一般に、排出された用紙はこの内壁に当たって姿勢が揃うようになっている。そこで、内壁に満杯検知センサを設ければ良いと考えられるが、用紙の排出ローラが内壁に近接して配置されているため満杯高さ位置にセンサを設け難いという制約がある。このような制約が基にあって、特許文献1,2のような構成に至っていると言える。
【0009】
本願発明はこのような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、画像形成装置とその排紙満杯処理方法とを含んでおり、画像形成装置の構成は請求項1〜7で特定している。このうち請求項1の発明は上位概念を成すもので、用紙搬送路の終端から放出された画像形成済用紙が積み重なっていく排紙トレイと、前記排紙トレイが満杯になると又は満杯になる前に何らかの満杯処理を行う満杯制御手段とが備えられている構成において、前記満杯制御手段は、排紙トレイの満杯高さより低い基準高さにおいて用紙高さを検知する基準高さ検知手段を有しており、前記基準高さ検知手段が排紙トレイの用紙を検知してから排紙トレイに新たに排出される用紙群の厚さ寸法を積算し、この積算値に基づいて前記満杯処理が行われる。
【0011】
請求項2は請求項1の満杯処理を具体化したもので、この発明の満杯処理は、排紙トレイへの用紙の放出を中止すること、満杯になる旨の警告又は注意をディスプレイに表示すること、印刷部への用紙送りを停止することのうちの少なくとも1つである。請求項3の発明では、請求項1又は2において、前記用紙の搬送路に用紙の厚さ寸法を検知する紙厚センサが配置されている。
【0012】
画像形成装置では、印刷済用紙に綴じ加工又はその他の後処理を施すフィニッシング装置が備えられている場合がある。そこで請求項4野発明では、フィニッシング装置を備えている場合において、前記排紙トレイは後処理済用紙が排出されるように前記フィニッシング装置に設けている。
【0013】
請求項5の発明では基準高さ検知手段の位置を具体化している。すなわちこの発明では、基準高さ検知手段は前記排紙トレイの底部に配置されており、前記基準高さは1枚目の用紙の厚さ寸法になっている。
【0014】
請求項6の発明も基準高さ検知手段の位置を特定したもので、この発明では、前記基準高さ検知手段は前記排紙トレイの底面よりも満杯高さ位置に近い側に配置しており、満杯高さをHO、基準高さをH1とすると、(H0−H1)がH1より小さい値になっている。
【0015】
請求項7の発明は請求項1〜6を好適に具体化したもので、この発明では、前記満杯処理が、前記用紙群の厚さ寸法の積算値に用紙の反りを付加した補正値に基づいて行われる。
【0016】
排紙満杯処理方法は請求項8で特定している。すなわちこの処理方法は、用紙搬送路の終端から放出された画像形成済用紙が積み重なっていく排紙トレイを備えており、前記排紙トレイが満杯になると又は満杯になる前に何らかの満杯処理を行うようになっている画像形成装置において、基準高さ検知手段により、前記排紙トレイの用紙の高さを満杯高さより低い基準高さにおいて検知し、前記基準高さ検知手段が用紙の基準高さを検知してから排紙トレイに新たに排出される用紙群の厚さ寸法を積算し、この積算値に基づいて前記満杯処理を行うものである。
【0017】
なお、本願発明において「用紙」とは画像形成が可能なシート体という意味であり、普通紙やケント紙といったセルロースより成る紙に限定されるものではない。従って、OHPフィルムのような樹脂フィルム、複合素材の積層体、不織布などの各種のものが用紙の概念に含まれる。
【発明の効果】
【0018】
本願発明の画像形成装置及び排紙満杯処理方法は、用紙の厚さで満杯状態を検知する点は特許文献2と共通しているが、排紙トレイに排出された用紙(或いは用紙群)の高さから基準高さを検知し、この基準高さから残り高さ(枚数)を演算するものであるため、用紙群の実際の高さと計算値との乖離を少なくして正確性・精度を向上できる。基準高さ検知手段は排紙トレイの内周部や底部に設ければ足りるため、人の手や物が触れて破損するような問題は現実問題としては生じず、従って安全性・信頼性に優れている。
【0019】
満杯処理の基本動作としては、限度を超えたら用紙が排紙トレイに排出されないように用紙の送りを停止又は運転停止を行うのが好ましい。連続印刷している場合は給紙トレイと排紙トレイとの間の搬送路に用紙が存在しているのが一般的であるので、運転停止を行う場合は、印刷済用紙を排出し尽くした段階で排紙トレイが満杯になるように設定しておくのが好ましい。請求項2において、「排紙トレイが満杯です」「排紙トレイが満杯間近です」「あと3枚で排紙トレイが満杯になります」といったメッセセージをディスプレイに表示するのはユーザーフレンドリーであると言える。請求項に記載していないが、警告音を発することも可能である。なお、パソコンから印刷指令を発するネットワーク方式の場合、ディスプレイはパソコンの画面も含んでいる。
【0020】
給紙トレイに所定厚さの用紙が供給される場合は、紙厚のデータは外部信号として満杯制御手段に入力することができる。この場合は、必ずしも個々の用紙の厚さを検出する必要はないと言える。他方、使用する用紙の厚さがまちまちである場合は個別に搬送路を通っている用紙の厚さを個別に検出する必要がある。この点、請求項3のように搬送路に紙厚センサを設けると、異なる厚さの用紙を任意に使用する場合に好適であり、従って、実際の画像形成装置への適応性は高いと言える。
【0021】
請求項4のように、本願発明はフィニッシング装置を備えた画像形成装置にも対応して有用性を発揮する。フィニッシング装置が綴じ機能を有する場合は、セット単位で残り収容数を演算し、最後のセットが放出された段階で限度になるように設定しておくとユーザーフレンドリーで好適である。
【0022】
請求項5のように基準高さ検知手段を排紙トレイの底部に設けると、平面視で基準高さ検知手段が用紙て完全に隠れるので、基準高さ検知手段として、例えばリミットスイッチのような接触式センサや反射式センサのような非接触式センサなど各種のセンサ類を使用できる利点がある。他方、請求項6の構成を採用すると、基準高さから満杯高さまでの寸法をできる限り小さくできるため、用紙の厚さと実際の高さとの乖離巾を著しく小さくして正確性・精度を格段に向上できる。
【0023】
また、請求項7の構成を採用すると、反りが存在してもその影響を無くして用紙群の高さを検知できるため、正確性・精度をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(A)は本実施形態に係る画像形成装置の概略断面図、(B)は(A)の部分拡大図である。
【図2】機能ブロック図である。
【図3】第1制御態様のフローチャートである。
【図4】第2制御態様のフローチャートである。
【図5】第3制御態様のフローチャートである。
【図6】第4制御態様のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
(1).構造の概略
本実施形態は複写、プリント、スキャニング、ファクシミリの機能を備えた複合機に適用している。図1(A)に示すよう、画像形成装置は本体ケース1を備えており、その内部のうち下部に給紙トレイ2を配置しており、給紙トレイ2に収納した用紙Pは、ピックアップローラ3、一対のタイミングローラ4、二次転写部5、定着部6、一対の排紙ローラ7を経て固定式の(昇降式でない)排紙トレイ8に排出される。本実施形態では用紙Pは下から上に流れている。
【0027】
転写部5は、転写ベルト9が巻き掛けられた二次転写主動ローラ10とこれに用紙Pを押圧する押圧ローラ11とで構成されている。転写ベルト9は二次転写従動ローラ12にも巻き掛けられており、周回する転写ベルトに4つの作像ユニット13からトナーが転写させられる。敢えて述べるまでもないが、4つの作像ユニット13はブラック、イエロー、マゼンタ、シアンに分かれている。定着部6は加熱ローラ14と加圧ローラ15とで構成されている。
【0028】
給紙トレイ2の下面部にはエンプティセンサ16を配置している。また、本実施形態では、一対のタイミングローラ4の間隔を紙厚センサ17で検出することで用紙Pの厚さ寸法を検知するようになっている。従って、タイミングローラ4が紙厚検知手段に兼用されている。言うまでもないが、タイミングローラ4とは別の位置に厚さ検知センサを設けても良い(その場合、厚さ検知センサは二次転写部5よりも給紙トレイ2に近い側に設けるのが好ましい。)。
【0029】
排紙トレイ8は、底板8aと、排紙ローラ7に近接して設けられた内壁8bとを有している。底板8aには排紙検知センサ18を設けることができる。排紙検知センサ18はマイクロスイッチのような接触式センサでも良いし、反射式センサのような被接触式でもよい。排紙トレイ8の内壁8bには用紙搬送路の終端を成す用紙排出口19が空いており、更に、内壁8bのうち用紙排出口19の下方で排紙ローラ7と干渉しない高さ位置に、基準高さ検知手段の一例として中間高さセンサ20を取り付けることができる。中間高さセンサ20の具体例としては、例えば回動式接触子を有する接触式マイクロスイッチ(リミットスイッチ)が挙げられるが、非接触式のセンサ類も使用できる。
【0030】
排紙トレイ8にたまった用紙Pの群が用紙排出口19を塞ぐ状態になると新たに排紙できずにトラブルが発生する。従って、排紙トレイ8に滞積できる用紙Pの満杯高さH0は用紙排出口19よりも若干低い高さになる。また、中間高さセンサ20で検知する基準高さ寸法H1は、満杯高さにH0にできるだけ近づけつつ満杯高さ寸法H0よりは低くなっている。
【0031】
本願発明では、排紙検知センサ18を基準高さ検知センサに使用してこれのみを使用する態様と、中間高さセンサ20のみを使用する態様、中間高さセンサ20を基準高さ検知センサに使用しつつ排紙検知センサ18も補助的に使用する態様、の3つの態様をとることができる。一般には、排紙検知センサ18と中間高さセンサ20とのいずれか一方のみを使用すれば足りるが、便宜的に図面(図1,2)では両方を表示している。
【0032】
図2では機能ブロックを示している。満杯制御手段は、演算・指令を司る中枢機能部としてCPU(中央演算装置)やプログラムメモリー等が組み込まれた制御モジュール21を有しており、制御モジュール21に、既述のセンサ16,17,18,20、テンキーやタッチパネル等の入力手段22が入力系統として接続されている。また、制御モジュール21には、出力系統として、液晶式等のディスプレイ23、ピックアップローラ駆動モータ24、タイミングローラ駆動モータ25、二次転写部駆動モータ26、作像ユニット駆動モータ群27、定着部駆動モータ28、排紙ローラ駆動モータ29が接続されている。
【0033】
印刷指令は人が入力手段で指示することで行われるが、満杯処理はセンサ16,17,18,20等からの信号に基づいてモータ群を停止させたりディスプレイ23にメッセージを表示したりすることで行われる。画像形成装置がパソコンのような外部装置とネットワーク接続されている場合は、入力手段22とディスプレイ23とは外部装置の入力装置(キーボードやマウス)や表示装置(モニター)が兼用する場合もある。
【0034】
(2).制御の基本態様
排紙検知センサ18を基準高さ検知センサとして使用する場合は、排紙トレイ8に放出された1枚の用紙Pの厚さを基準高さとして、これに後続の用紙Pの厚さを積算していき、全体の積算寸法が満杯高さH0を超える前に搬送路への用紙Pの送りを停止する。
【0035】
具体的には、用紙Pを放出した後はタイミングローラ4より前に用紙Pが1枚しか滞留していないと仮定すると、排紙トレイ8に滞積している用紙Pの厚さの合算寸法と滞留している用紙Pの厚さtとを合算し、[満杯高さ寸法H0−(合算寸法+滞留用紙Pの厚さ寸法t)]がtよりも小さくなった時点でタイミングローラ4による新たな送りやピックアップローラ3による新たな送りを停止する。これにより、排紙トレイ8は満杯でタイミングローラ4の下流には用紙Pが残っていない状態になる。
【0036】
他方、中間高さセンサ20を基準高さ検知センサとして使用する場合は、排紙トレイ8に集積された用紙Pの群の高さが基準高さH1に至ると中間高さセンサ20がONになる。そして、中間高さセンサ20がONになってから更に積み重ねできる残り高さ寸法H2は定まっているので、後続の用紙Pの厚さ寸法を順次積算していき、残り高さ寸法H2から積算寸法H3を減じた寸法が0か最後の紙厚より小さくなった時点で、タイミングローラ4の回転を無効とする。
【0037】
より正確に述べると、仮に用紙Pが排紙トレイ8に放出された時点で搬送経路に1枚しか用紙Pが残っていないと仮定すると、H0を超えてからの積算寸法H3と搬送路に残っている用紙Pの厚さtとを合算して、1枚ずつ送るごとに残り寸法E=[H2−(H3+t)を演算し、Eがtよりも小さくなったらピックアップローラ駆動モータ24の回転指令を無効にして新たな紙送りを停止する。これにより、搬送路の用紙Pが排紙トレイ8に放出され切った状態で排紙トレイ8は満杯になる。
【0038】
(3).第1制御態様A
次に、制御の具体的な態様をフローチャートに基づいて説明する。まず、図3の第1制御態様Aを説明する。この第1制御態様は排紙検知センサ18を基準高さ検知センサとして使用している。従って、中間高さセンサ20は機能していない。この制御態様では、運転開始されて給紙トレイ2から用紙Pが送られるごとに紙厚センサ17で厚さが検出されていく。
【0039】
そして、紙厚センサ17による用紙Pの厚さの検出(ステップA1)、印刷処理(ステップA2)、排紙ローラ7による排出(ステップA3)、排紙トレイ8に用紙Pがあるか否かの確認(ステップA4)がルーティンとして行われる。1枚目の印刷である場合や、印刷された用紙Pを人が順次抜き取っていく場合は排紙トレイ8には用紙Pは残っていないので、この場合はA4からA1にリターンする。
【0040】
他方、排紙トレイ8に1枚の用紙Pが存在する場合は、1枚目の用紙Pの厚さに2枚目以降の用紙Pの厚さが順次積算されていく(ステップA5)。より正確には、排紙トレイ8に溜まっている用紙Pの全体の積算寸法と、搬送路に滞留している用紙Pの厚さtとが積算されていき、この積算値H4を満杯高さ寸法H0から減じた値が滞留用紙Pの厚さt
よりも小さいか否が比較回路によって演算されることにより、継続印刷可能か否かが判断される(ステップA6)。継続印刷可能である場合はタイミングローラ4による送りが継続してA1に戻り、継続印刷不能である場合は満杯処理に移行する(ステップA7)。
【0041】
満杯処理としては、既述のとおりタイミングローラ4による新たな送りの停止、メッセージの表示等が行われる。満杯状態のときにたまたまタイミングローラ4の手前にも給紙トレイ2にも用紙Pが存在しない場合がある。そこで、満杯処理の後に又は満杯処理と同時に後続の用紙Pの有無が確認される(ステップA8)。継続用紙Pが存在する場合は満杯処理にリターンし、継続用紙Pが存在しない場合はシステムはエンドになってリセットされる。
【0042】
(4).第2制御態様B
次に、図4に基づいて第2制御態様Bを説明する。この制御態様Bでは中間高さセンサ20を基準高さ検知センサとして使用しており、従って排紙検知センサ18は機能してない(設けていない。)。この制御態様Bでも、用紙Pの厚さ検出は1枚ずつ行われて印刷・排出される(ステップB1〜B3)。そして、用紙Pが排紙トレイ8に放出されるごとに中間高さセンサ20がONか否かが判断され(ステップB4)、OFFの場合はステップB1に戻り、ONの場合は、用紙の厚さの積算が開始される(ステップB5)。積算するに当たっては、中間高さセンサ20をONにした用紙Pを1枚目としてこれに順次足していくのが好ましい。
【0043】
積算寸法H3は排紙枚数の増大と共に大きくなるが、H3がH2に近づいて残り許容枚数がある程度になったら満杯近辺処理を開始する(ステップB6)。この満杯近辺処理の具体例としては、例えば、ディスプレイ22に「もうすぐ排紙トレイ8が満杯です。排出準備をしてください。」というメッセージを表示することが挙げられる。
【0044】
満杯近辺処理の後に(或いはこれと並行して)、追加可能高さH2から(H3+t)を減じた寸法がtよりも小さいか否かが判断される(ステップB7)。すなわち、タイミングローラ4を駆動して送られた用紙Pを排紙トレイ8に集積できるか否かが判断される。後の処理は制御態様Aと同じである。
【0045】
なお、満杯高さH0を用紙排出口19よりも若干低めにしておくことにより、排紙トレイ8の用紙Pの合算寸法がH0を超えても1〜2枚程度は排出可能となるように余裕を設けておくことも可能である。この場合は、滞留している用紙Pを考慮せず、排紙トレイ8に溜まった用紙Pの追加積算寸法H3が追加可能寸法H2を超えた時点を満杯として処理したら足りる。この方が制御動作は単純になる。
【0046】
(5).第3制御態様C
次に、第3制御態様Cを説明する。この第3制御態様Cは第2制御態様Bの変形例であり、中間高さセンサ20を基準高さ検知センサとして使用している。他方、第2制御態様との相違点として、搬送路の紙厚センサ17を制御系に組み込んでいない点が挙げられる。
【0047】
つまり、紙厚センサ17は本願とは異なる用途に使用するために必要な場合はあるが、本実施形態では紙厚センサ17を満杯処理制御の要素としては使用しないのであり、用紙Pの厚さ寸法tは、印刷情報として印刷ジョブに予め記憶されているものを使用する。従って、用紙Pの厚さtは図2に示すプログラムメモリーに記憶されている。この場合、用紙Pの厚さtの厚さが数値として直接に入力されている必要はないのであり、ジョブ情報として秤量から演算して厚さtを取り出してこれをプログラムメモリーに記憶させておくことも可能である。
【0048】
この制御態様Cは、用紙Pの厚さ信号の引き出し先が制御態様Bと相違するのみであり、ステップC1において紙厚読出処理が行われる。他のフローの流れは制御態様Bと同じである。この制御態様は同じ厚さの用紙Pを多数枚連続印刷する場合に有益である。制御態様Cは制御態様Aの変形例として具体化することも可能である。
【0049】
(6).第4制御態様D
印刷済の用紙Pはトナーの付着による収縮作用を受けてカールする(反る)ことが多い。このため、印刷済の用紙Pを積み重ねると、実際の高さ寸法は紙厚の積算寸法よりも大きくなることが多い。そこで図6の制御態様Dは、用紙Pのカールを見込んで積算寸法を補正するように配慮している。
【0050】
紙厚とカール量との関係とは経験的に把握されているので、仮想平面に対してどの程度の寸法だけカールしているかという数値を予めメプログラムメモリーに記憶させている。そして、紙厚を検出するステップD1に続いてカール量読出のステップD2があり、この紙厚とカール量との合算値が1枚の用紙Pの見かけの厚さに設定されて、これが合算される。後続のフローは従前の制御態様と同様である。
【0051】
積層枚数が増えると下に位置した用紙Pのカールは矯正されるので、用紙Pの厚さと積層枚数とカールの残り状態とをプログラムメモリに記憶しておき、積層枚数に応じて合算高さを補正することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本願発明は複合機等の画像形成装置に適用してその有用性を発揮できる。従って産業上利用できる。
【符号の説明】
【0053】
2 給紙トレイ
4 タイミングローラ
5 二次転写部
6 定着部
7 排紙ローラ
8 排紙トレイ
8a 底板
8b 内壁
13 作像ユニット
16 エンプティセンサ
17 紙厚センサ
18 排紙検知センサ
19 用紙排出口
20 中間高さセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙搬送路の終端から放出された画像形成済用紙が積み重なっていく排紙トレイと、前記排紙トレイが満杯になると又は満杯になる前に何らかの満杯処理を行う満杯制御手段とが備えられており、
前記満杯制御手段は、排紙トレイの満杯高さより低い基準高さにおいて用紙高さを検知する基準高さ検知手段を有しており、前記基準高さ検知手段が排紙トレイの用紙を検知してから排紙トレイに新たに排出される用紙群の厚さ寸法を積算し、この積算値に基づいて前記満杯処理が行われる、
画像形成装置。
【請求項2】
前記満杯処理は、排紙トレイへの用紙の放出を中止すること、満杯になる旨の警告又は注意をディスプレイに表示すること、印刷部への用紙送りを停止することのうちの少なくとも1つである、
請求項1に記載した画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙の搬送路に用紙の厚さ寸法を検知する紙厚センサが配置されている、
請求項1又は2に記載した画像形成装置。
【請求項4】
印刷済用紙に綴じ加工又はその他の後処理を施すフィニッシング装置が備えられており、前記排紙トレイは後処理済用紙が排出されるように前記フィニッシング装置に設けている、
請求項1〜3のうちのいずれかに記載した画像形成装置。
【請求項5】
前記基準高さ検知手段は前記排紙トレイの底部に配置されており、前記基準高さは1枚目の用紙の厚さ寸法になっている、
請求項1〜4のうちのいずれかに記載した画像形成装置。
【請求項6】
前記基準高さ検知手段は前記排紙トレイの底面よりも満杯高さ位置に近い側に配置しており、満杯高さをHO、基準高さをH1とすると、(H0−H1)がH1より小さい値になっている、
請求項1〜4のうちのいずれかに記載した画像形成装置。
【請求項7】
前記満杯処理が、前記用紙群の厚さ寸法の積算値に用紙の反りを付加した補正値に基づいて行われる、
請求項1〜6のうちのいずれかに記載した画像形成装置。
【請求項8】
用紙搬送路の終端から放出された画像形成済用紙が積み重なっていく排紙トレイを備えており、前記排紙トレイが満杯になると又は満杯になる前に何らかの満杯処理を行うようになっている画像形成装置において、
基準高さ検知手段により、前記排紙トレイの用紙の高さを満杯高さより低い基準高さにおいて検知し、前記基準高さ検知手段が用紙の基準高さを検知してから排紙トレイに新たに排出される用紙群の厚さ寸法を積算し、この積算値に基づいて前記満杯処理を行う、
画像形成装置の排紙満杯処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−121663(P2011−121663A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278809(P2009−278809)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】