説明

画像形成装置

【課題】 本発明は、単純且つ安価な構成で、像担持体(感光体ドラム)を精密に駆動すると共に簡単に着脱出来、且つ組み付け精度を維持すると共に寿命低下を防止し、画像劣化の発生を防止する画像形成装置を提供することを可能にすることを目的としている。
【解決手段】 感光体ドラム6を駆動する駆動伝達手段25に、その周方向を均等に分割した対向する4組の溝部25a1,25a2,25b1,25b2,25c1,25c2,25d1,25d2を形成し、感光体ドラム6のフランジ部27aに前記溝部に嵌合し得るリブ27a1,27a2,27bを設けて構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像形成装置に関するものであり、特に複数の画像形成部を備えたフルカラーの複写機またはプリンタに適用可能な画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図1を参照して従来のフルカラープリンタの概略構成について説明する。図1において、カセット給送部1または手差し給送部2から給送された転写材となる記録用紙Pはレジスト部3において斜行が補正されて2次転写部4に至る。
【0003】図示しない画像処理部により処理された画像データはレーザスキャナ部5によって像担持体となる感光体ドラム6上に静電潜像として記録される。フルカラー画像を形成する場合は、この静電潜像は回転収容部8に内包された複数色を形成する複数の画像形成部となるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色の現像部7C,7M,7Y,7Kを切り替えながら現像され、中間転写体となる中間転写ベルト9上に複数回1次転写される。
【0004】最終色の1次転写が終了した後、2次転写ローラ10が図1の矢印A方向において接触し、中間転写ベルト9上のトナー画像は記録用紙Pに一括転写された後、定着部12で定着され、排出部11に排出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、感光体ドラム6は非常に精密に回転駆動する必要があるため、従来から種々の駆動手段が提案されているが、いずれも複雑な構成であるため部品点数が増えたり、部品そのものが高価である場合が多い。
【0006】また、感光体ドラム6とその他の部品をカートリッジ化した比較的安価な装置においてはユーザがメンテナンスを行うため感光体ドラム6の着脱性も向上させなければならない。
【0007】更には感光体ドラム6を交換した直後に駆動が伝達されるまでの時間が長く、感光体ドラム6と中間転写ベルト9とが摺擦して両者の寿命が低下したり、画像劣化が発生する等の問題があった。
【0008】本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、単純且つ安価な構成で、像担持体(感光体ドラム)を精密に駆動すると共に簡単に着脱出来、且つ組み付け精度を維持すると共に寿命低下を防止し、画像劣化の発生を防止する画像形成装置を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための本発明に係る代表的な画像形成装置は、像担持体と該像担持体を駆動するための駆動部を備えた画像形成装置において、前記像担持体は中空のパイプと、該パイプの両端を閉じるフランジ部から構成され、且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に支持され、前記駆動部は前記像担持体に駆動を伝達するための駆動伝達手段を備え、該駆動伝達手段は、その周方向を均等に分割した対向する2組以上の溝部を備え、前記像担持体の前記フランジ部には前記溝部と嵌合し得るリブを備えたことを特徴とする。
【0010】本発明は、上述の如く構成したので、駆動伝達手段の周方向を均等に分割した対向する2組以上の溝部を該駆動伝達手段に備え、像担持体のフランジ部に前記溝部と嵌合し得るリブを備えたことで、駆動伝達手段の溝部と、像担持体のフランジ部に設けたリブとの嵌合により駆動を伝達することで、単純且つ安価な構成で、像担持体を精密に駆動すると共に簡単に着脱出来、且つ組み付け精度を維持すると共に寿命低下を防止し、画像劣化の発生を防止することが出来る。
【0011】
【発明の実施の形態】図により本発明に係る画像形成装置の一例としてフルカラープリンタに適用した場合の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面説明図、図2は像担持体となる感光体ドラムの駆動部の構成を示す概略斜視図、図3は像担持体となる感光体ドラムの駆動部の構成を示す断面説明図、図4は感光体ドラムのフランジ部の構成を示す斜視図、図5は感光体ドラムの駆動部の構成を示す斜視図、図6は駆動伝達手段に設けられた溝部の構成を示す平面図である。
【0012】先ず、図1を用いて本発明に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図1において、カセット給送部1または手差し給送部2から給送された転写材となる記録用紙Pはレジスト部3において斜行が補正されて2次転写部4に至る。
【0013】一方、図示しない画像処理部により処理された画像データはレーザスキャナ部5によって像担持体となる感光体ドラム6上に静電潜像として記録される。フルカラー画像を形成する場合は、この静電潜像は回転収容部8に内包された複数色を形成する複数の画像形成部となるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色の現像部7C,7M,7Y,7Kを切り替えながら現像され、感光体ドラム6上に形成された可視画像であるトナー画像が中間転写体となる中間転写ベルト9上に複数回1次転写される。
【0014】中間転写ベルト9への最終色の1次転写が終了した後、該中間転写ベルト9上に作成された複数色の可視画像を記録用紙P上に2次転写するための2次転写部4において2次転写ローラ10が記録用紙Pを介在させて図1の矢印A方向において中間転写ベルト9に接触し、該中間転写ベルト9上のトナー画像が記録用紙Pに一括転写された後、定着部12で定着され、排出部11に排出される。
【0015】像担持体となる感光体ドラム6を備えた図示しないプロセスカートリッジは画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されている。
【0016】また、像担持体となる感光体ドラム6は、図2〜図4に示すように、中空のパイプ6aと該パイプ6aの両端を閉じるフランジ部27a,27bから構成されており、該感光体ドラム6は画像形成装置本体に対して着脱可能に支持されている。
【0017】感光体ドラム6の駆動部は、図2及び図5に示すように、駆動源となる駆動モータ23の回転駆動力がギアトレイン22を介して駆動軸24に伝達される。駆動軸24には駆動伝達手段25が嵌装して取り付けられており、該駆動伝達手段25は駆動軸24に嵌装された加圧ばね26によって感光体ドラム6のフランジ部27aの方向に付勢される。
【0018】感光体ドラム6の駆動部側のフランジ部27aの回転中心部には、図4に示すように、駆動軸24の先端部が嵌入されて該駆動軸24の位置決めを行なう位置決め穴27cが設けられており、該位置決め穴27cの両側には該フランジ部27aの径方向に対向する1組みのリブ27a1,27a2が設けられている。
【0019】一方、図5及び図6に示すように、駆動伝達手段25には、該駆動伝達手段25の周方向を均等に分割した対向する4組の溝部25a1,25a2,25b1,25b2,25c1,25c2,25d1,25d2が45度おきに設けられており、該溝部25a1,25a2,25b1,25b2,25c1,25c2,25d1,25d2の何れかの組みに、感光体ドラム6の駆動部側のフランジ部27aに設けられたリブ27a1,27a2が嵌合し得るようになっている。
【0020】尚、本実施形態では、駆動伝達手段25に設けられる溝部25a1,25a2,25b1,25b2,25c1,25c2,25d1,25d2は45度おきに4組設けた場合の一例について説明するが、溝部は2組以上あれば好ましく、90度おきに2組設けても良いし、60度おきに3組設けても良い。
【0021】感光体ドラム6が画像形成装置本体に装着される際には、先ず感光体ドラム6のフランジ部27aの回転中心に設けた位置決め穴27cが駆動部の駆動軸24に嵌合して精密に位置決めされる。
【0022】更に感光体ドラム6を挿入すると感光体ドラム6のフランジ部27aに設けたリブ27a1,27a2が駆動伝達手段25の端部周壁25eに突き当たる。駆動伝達手段25は感光体ドラム6が正規の位置に位置決めされるまで、駆動軸24上を図3の矢印B方向にスラスト移動可能である。
【0023】駆動モータ23が回転すると感光体ドラム6のフランジ部27aに設けたリブ27a1,27a2が駆動伝達手段25に設けた4組の溝部25a1,25a2,25b1,25b2,25c1,25c2,25d1,25d2のうち回転方向で一番近い溝部に入り込み、加圧ばね26によって駆動伝達手段25がフランジ部27a方向に押し込まれてリブ27a1,27a2がその溝部に確実に嵌合し、感光体ドラム6は精密に駆動される。
【0024】従来の駆動伝達手段の多くは感光体ドラムを挿入した後、回転させて連結する等、2つ以上の動作が必要であったが、本実施形態においては画像形成装置本体に感光体ドラム6を挿入するだけで良く、例えば、感光体ドラム6をプロセスカートリッジに含めた構造で、ユーザによりプロセスカートリッジ毎交換を行う場合でも操作性が良い。
【0025】また、本実施形態の構成は非常に単純であり、精密駆動を実現し、且つコストダウンを達成出来る。
【0026】更に図1に示すような中間転写ベルト9等の中間転写体を採用したカラープリンタにおいて、感光体ドラム6を交換した場合、予備動作が行われ、全ての作像部を駆動させる。その際、感光体ドラム6のフランジ部27aに設けたリブ27a1,27a2と駆動伝達手段25の溝部25a1,25a2,25b1,25b2,25c1,25c2,25d1,25d2のうちの何れかの組みの溝部が噛み合うまで中間転写ベルト9は回転するが感光体ドラム6は回転しない。
【0027】このとき、中間転写ベルト9と感光体ドラム6とが摺擦してしまうが、図6に示すように溝部が3組から4組あれば比較的短時間でリブ27a1,27a2と溝部25a1,25a2,25b1,25b2,25c1,25c2,25d1,25d2のうちの何れかの組みの溝部とが噛み合うため中間転写ベルト9と感光体ドラム6とが摺擦する時間を短縮することが出来る。
【0028】当然、溝部25a1,25a2,25b1,25b2,25c1,25c2,25d1,25d2は多ければ多いほど中間転写ベルト9と感光体ドラム6とが摺擦する時間は短縮出来るが、駆動伝達手段25の強度を考えると、溝部は3組から4組程度が好ましい。
【0029】
【発明の効果】本発明は、上述の如き構成と作用とを有するので、単純且つ安価な構成で、像担持体(感光体ドラム)を精密に駆動すると共に画像形成装置本体に簡単に着脱出来、且つ組み付け精度を維持すると共に寿命低下を防止すると共に画像の劣化の発生を防止する画像形成装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面説明図である。
【図2】像担持体となる感光体ドラムの駆動部の構成を示す概略斜視図である。
【図3】像担持体となる感光体ドラムの駆動部の構成を示す断面説明図である。
【図4】感光体ドラムのフランジ部の構成を示す斜視図である。
【図5】感光体ドラムの駆動部の構成を示す斜視図である。
【図6】駆動伝達手段に設けられた溝部の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
P…記録用紙、1…カセット給送部、2…手差し給送部、3…レジスト部、4…2次転写部、5…レーザスキャナ部、6…感光体ドラム、6a…パイプ、7C,7M,7Y,7K…現像部、8…回転収容部、9…中間転写ベルト、10…2次転写ローラ、11…排出部、12…定着部、22…ギアトレイン、23…駆動モータ、24…駆動軸、25…駆動伝達手段、25a1,25a2,25b1,25b2,25c1,25c2,25d1,25d2…溝部、25e…端部周壁、26…加圧ばね、27a,27b…フランジ部、27a1,27a2…リブ、27c…位置決め穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】 像担持体と該像担持体を駆動するための駆動部を備えた画像形成装置において、前記像担持体は中空のパイプと、該パイプの両端を閉じるフランジ部から構成され、且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に支持され、前記駆動部は前記像担持体に駆動を伝達するための駆動伝達手段を備え、該駆動伝達手段は、その周方向を均等に分割した対向する2組以上の溝部を備え、前記像担持体の前記フランジ部には前記溝部と嵌合し得るリブを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】 複数色を形成する複数の画像形成部と、像担持体としての感光体ドラムと、該感光体ドラム上に形成された可視画像が1次転写される中間転写体と、該中間転写体に作成された複数色の可視画像を転写材上に2次転写するための2次転写部を備えた画像形成装置において、前記像担持体は中空のパイプと、該パイプの両端を閉じるフランジ部から構成され、且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に支持され、前記駆動部は前記像担持体に駆動を伝達するための駆動伝達手段を備え、該駆動伝達手段は、その周方向を均等に分割した対向する2組以上の溝部を備え、前記像担持体の前記フランジ部には前記溝部と嵌合し得るリブを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】 前記像担持体を備えたプロセスカートリッジが画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】 前記駆動伝達手段に設けられた溝部は3組または4組の溝部で構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2003−302869(P2003−302869A)
【公開日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−107513(P2002−107513)
【出願日】平成14年4月10日(2002.4.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】