説明

画像形成装置

【課題】 省電力モード中の保守作業からの復帰時あるいは電源投入時に無条件に印刷準備動作を実施しないようにして、画像形成装置の消費電力を抑制し部品の製品寿命を延ばす。
【解決手段】 外部から入力される印刷データに基づいて画像を形成する画像形成部108と、装置200の状態変化を検出する装置状態検出部111と、装置200内における印刷前の印刷データの有無を検出するデータ有無検出部109と、省電力モード中に、装置状態検出部111が装置の状態が変化したことを検出し、データ有無検出部109が印刷データを検出しない場合、装置200の省電力モードを維持する制御を行う制御部110とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、電子写真方式の印刷装置等の画像形成装置において、装置の状態検出および装置制御により省電力モードの期間を増加させて電力消費を低減させる構成および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から印刷装置等の画像形成装置には、省電力機能(省電力モード)を有しているものが知られており、例えば、タイマー等の計時手段と組み合わせて省電力モードを実施する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。省電力機能とは、例えば、電子写真方式の画像形成装置の場合であれば、前の印刷処理を終了した後に印刷データを受信しない等で印刷しない印刷待機状態が所定時間以上連続して発生した場合に、定着器、ドラム、ベルト、操作パネルやLCD等の表示パネルのバックライト等の比較的高電圧、あるいは、大電力を必要とする部分への電力供給を制限あるいは停止させる制御を実施することである。
【0003】
画像形成装置を省電力モードから印刷可能な状態(印刷モード)に復帰させる場合には、上記した高電圧、大電力を必要とする部分への電力供給を再開して印刷準備動作を実施する必要がある。さらに具体的には、印刷準備動作では、定着器の温度を高める必要や、ドラムやベルトを回転させてクリーニングする必要があり、さらに操作パネルやLCD等の表示パネルのバックライトを点灯させ、各部の動作チェックが実施される。また、例えば、定着器の温度を上昇させるためのヒータ(加熱装置)による加熱は、一般的に数分程度の時間が必要である。
【0004】
省電力モードから印刷可能な状態に復帰させる条件としては、例えば、(1)画像形成装置が外部から印刷データを受信して印刷を開始させる場合と、(2)画像形成装置の使用者あるいは保守作業員が、消耗部材補充、部品交換あるいは故障状態から復帰させるためにカバーが開けられる保守作業状態を含む異常状態からカバーを閉じた通常状態に復帰した場合が考えられる。
【0005】
また、電子写真方式の画像形成装置は、電源を投入した場合、すぐに印刷データに基づく印刷が実施されない場合でも、装置が初期化されると共に無条件に印刷準備動作が実施され、上記した高電圧、大電力を必要とする部分に電力が供給される。
【0006】
例えば、上記した特許文献1では、計時手段等を利用して、始業前、昼休みおよび就業時間以降等の一般的に使用されないか使用頻度が少ない時間帯で省電力モードとすることにより画像形成装置の消費電力を抑えている。
【0007】
しかしながら、一般的な事務所等では、通常業務の業務効率を低下させないために、画像形成装置のドラム、トナー、ベルト等の消耗品の交換や補充等の保守作業を、上記した始業前、昼休みおよび就業時間以降等の省電力モードであることが多い時間帯に実施することが多い。
【0008】
【特許文献1】特開平2−129658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
画像形成装置の保守作業を実施する場合には、画像形成装置の使用者または保守作業員等が装置のカバーを開き、保守作業を実施した後に、再びカバーを閉じることになる。その保守作業の際に、例え作業前に画像形成装置が省電力モードであった場合でも、保守作業を終えてカバーが閉じられると、カバーが開かれる前の省電力モードには戻らず、印刷準備動作が実施される。この印刷準備動作が実施されることにより、その後に省電力モードに移行するための所定時間(非印刷時間)が経過するまでは通常時の印刷モードの電力が消費されてしまう。
【0010】
つまり、その場合の画像形成装置には、印刷の予定が無いにもかかわらず、無条件に印刷準備動作が実施され印刷モードになり、上記した高電圧、大電力を必要とする部分に電力が供給され、消費電力を増大させるという問題がある。また、そのような事態が数多く実施されると、定着器、ドラム、ベルト等の製品寿命も短縮されるという問題がある。
【0011】
また、画像形成装置の電源投入時にも同様に、印刷の予定が無い場合であっても、無条件に印刷準備動作が実施されて印刷モードになり、消費電力を増大させ、部品の製品寿命を短縮させるという問題がある。
【0012】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、省電力モード中の保守作業からの復帰時あるいは電源投入時に無条件に印刷準備動作を実施しないようにして、画像形成装置の消費電力を抑制し部品の製品寿命の延ばすこと目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、外部から入力される印刷データに基づいて画像を形成する画像形成部と、
装置の状態変化を検出する装置状態検出部と、
装置の大電力を消費する部分への電力供給を停止することで、省電力モードに移行させる制御を行う制御部と、
装置内における印刷前の印刷データの有無を検出するデータ有無検出部とを有する画像形成装置であって、
制御部は、省電力モード中に、装置状態検出部が装置の状態が変化したことを検出し、データ有無検出部が印刷データを検出しない場合、画像形成装置の省電力モードを維持する。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、外部から入力される印刷データを受信する受信部と、
受信部で受信した前記印刷データに基づいて画像を形成する画像形成部と、
大電力を消費する部分への電力供給を停止することで、省電力モードに移行させる制御を行う制御部と、
装置内における印刷前の印刷データの有無を検出するデータ有無検出部とを有する画像形成装置であって、
制御部は、電源が投入された場合に、データ有無検出部が印刷データを検出しない場合には、装置を省電力モードにする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成装置では、カバーの開閉を伴う保守作業を実施した場合で、その後の印刷準備動作を実施する前に、印刷データの有無を確認して、印刷データが無い場合には、印刷準備動作を実施せずに省電力モードにすることができるので、不要な電力消費を抑えることができ、部品の製品寿命の短縮を抑制できる。
【0016】
さらに、本発明の他の画像形成装置では、電源を投入した場合に、無条件に印刷準備動作を実施せず、印刷データの有無を確認して、印刷データが無い場合には、印刷準備動作を実施せずに省電力モードにすることができるので、不要な電力消費を抑えることができ、部品の製品寿命の短縮を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0018】
実施の形態1.
図1は、本発明の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【0019】
本実施の形態に係る画像形成装置200は、以下の構成を有している。
(C1)給紙トレイ2から記録媒体3を画像形成部8〜11に給紙させるホッピングローラ1
(C2)その表面上に画像が形成される記録媒体3がセットされる給紙トレイ2
(C3)給紙された記録媒体3を搬送する給紙ローラ4およびベルト6
(C4)画像形成部8〜11への記録媒体3の給紙状態を監視する給紙センサ5
(C5)記録媒体3上に形成された画像に熱および圧力を加えて定着させる定着器7
(C6)ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色毎の画像データに基づく画像を記録媒体3上に形成するための各色毎の画像形成部(ドラムユニット)8〜11
(C7)各ドラムユニット8〜11に搭載されて対応する各色のトナーを内蔵するトナーカートリッジ12〜15
(C8)記録媒体3の画像形成装置からの排出状態を監視する排出センサ16
(C9)画像形成装置から排出された記録媒体3が載置されるスタッカ17
(C10)画像形成装置内部の保守のために開閉可能である装置カバー18
(C11)装置カバーの開閉状態を監視する装置カバーセンサ19
(C12)画像形成装置の状態を表示する表示部と、使用者による入力操作が行われる操作部を有する操作パネル20
(C13)画像形成装置の動作を制御するプログラムが格納された制御装置21。
【0020】
図2は、図1の画像形成装置における本実施の形態のデータ処理および制御に関するブロックを示したブロック図である。
【0021】
以下に、図2を用いて本実施の形態の画像形成装置の処理動作および制御動作を説明する。
【0022】
本実施の形態の画像形成装置200は、データ処理および制御に関するブロックとして以下の構成を有している。
(B1)外部から印刷データ101を受信して受信バッファ121に一時保存する受信部102
(B2)受信部102より受信データ103を取得して印刷に適したデータに編集する編集部106
(B3)編集部106で編集された編集データ107を印刷待ちキュー122に格納し、その印刷待ちキュー122から取り出して印刷する印刷部108
(B4)画像形成装置200の内部に印刷するべきデータが存在しているか否かを検出するデータ有無検出部109
(B5)図1の制御装置21に対応して画像形成装置200の全体を制御する制御部110
(B6)図1の装置カバー18の開閉状態を装置カバーセンサ19を利用して監視するカバー開閉検出部111
【0023】
本実施の形態の画像形成装置の操作パネル20に表示されるメニューには、省電力モードのON/OFFや、省電力モードへ移行するまでの所定時間(0分、5分、1時間、2時間等)を設定できる項目を有する。
【0024】
操作パネル20により省電力モードのOFFが選択された場合、本実施の形態の画像形成装置は、省電力モードに移行せず、常に印刷可能状態に保たれる。
【0025】
次に、図1の画像形成装置で画像を形成する場合の概略動作を説明する。
(G1)給紙トレイ2にセットされた記録媒体3は、ホッピングローラ1が回転することにより給紙ローラ4まで搬送される。
(G2)搬送された記録媒体3は、給紙ローラ4が回転することによりベルト6まで搬送される。
(G3)搬送された記録媒体3は、ベルト6により定着器7まで搬送される。
(G4)この時ドラムユニット8、9、10、11は、記録媒体3の表面に画像を形成する。
(G5)定着器7は、記録媒体3を加熱、加圧することにより、形成された画像を記録媒体表面に定着させる。合わせて記録媒体3をスタッカ17まで搬送する。
(G6)給紙給紙センサ5と排出センサ16は、記録媒体3が正常に通過したか否かを監視し、もし異常が有れば、紙詰まりを制御装置21に通知する。
(G7)制御装置21が異常を検出した場合は、直ちに印刷動作を停止させ、操作パネル20に検出した内容を表示し、使用者に異常状態の解除を要求する。
(G8)使用者が紙詰まりを解除する場合は、装置カバー18を開き、内部に詰まった記録媒体3(用紙)を除去後、装置カバー18を閉じる。
(G9)装置カバーの開閉を検出する装置カバーセンサ19は、装置カバー18が開いている状態/閉じられている状態であるか、あるいは、カバー18が開けられた/閉じられたことを検出して制御装置21に通知する。
(G10)装置カバー18は、ドラムユニット8、9、10、11に装着されているトナーカートリッジ12、13、14、15のトナーが無くなったために交換する場合や、ドラムユニット8、9、10、11や定着器6の寿命により交換する場合も同様に開閉される。
【0026】
次に、図2を用いて画像形成装置でデータ入力から画像形成までのデータ処理および制御動作を説明する。
(D1)受信部102は、外部画像形成装置から印刷データ101を受信する。
(D2)受信バッファ121は、受信部102の内部にあり受信したデータを格納する。
(D3)編集部106は、受信部102の受信バッファ121から受信データを取りだして中間形式のデータに編集する。
(D4)印刷部108は、編集部106が編集した編集データ107(中間データ)からビットマップ形式のデータを作成し印刷する。
(D5)印刷待ちキュー122は、印刷部108の中にあり、印刷装置が空くまでデータを待機させる。
(D6)データ有無検出部109は、画像形成装置内の各部に対して印刷すべきデータが存在しているかの確認を要求し、その結果を保持する。それらの結果を基に印刷すべきデータの有無を検出する。
(D7)制御部110は、各部の動作を監視し、受信から印刷までをスムーズに動作させたり、画像形成装置に異常が有れば各部の動作を停止させたり、印刷部108の動作および各部に印刷すべきデータがあるかどうかを常に監視し、印刷すべきデータが無くなってから一定時間経過後に印刷部108を省電力モードにしたり、省電力モードで印刷データを受信すると、省電力モードを解除したりする。
(D8)省電力モードメモリ123は、異常になる前や保守作業を実施する前の供給電力のモードが、省電力モードであったか、あるいは、通常の印刷モードであったかを記憶するメモリである。
(D9)カバー開閉検出部111は、装置カバー18の開閉状態を、装置カバーセンサ19により検出する。
【0027】
図3は、図1および図2により示された本実施の形態の画像形成装置のタスクフロー図である。
次に、図1および図2を参照しつつ、図3のタスクフロー図を用いて、実施の形態1の画像形成装置における省電力モードの設定手順について説明する。
【0028】
図3に示されたタスクフローが実施される画像形成装置では、例えば、ドラムユニット8の使用時間が寿命(印刷画質の品質を維持するために交換するように要求される時間)に達しており、電力供給が省電力モードの状態とする。
【0029】
寿命は前回交換時から計数した使用時間の累計あるいは印刷枚数の累計により検出することができ、例えば、操作パネル20にドラムユニット8が寿命に達したことよる交換要求(警告)が表示される。使用者は、その表示を見てドラムユニット8が寿命に達していることを認識するが、この警告は即時に交換する必要はない予告であるので、例えば、翌日の始業前、昼休みおよび就業時間以降等の、印刷要求頻度の少ない時間に交換する場合や、警告によりドラムユニット8の新品を発注して到着後に交換する場合がある。
【0030】
省電力モード状態であることは、例えば、図2の制御部110内の省電力モードメモリ123に“1”を格納し、印刷可能状態である通常モード状態の時には省電力モードメモリ123に“0”を格納することで判別することができる。これらの値はモード移行時に設定される。また、操作パネル上の表示部にその旨を表示することにより、使用者にも認識させることができる。
【0031】
(T201):使用者は、ドラムユニット8を交換する場合、装置カバー18を開き、寿命のユニットを新品のユニットに交換し、装置カバー18を閉じる。この時、カバー開閉検出部111は、装置カバーセンサ19を常に監視しているため、装置カバー18が閉じられたことを検出する。
【0032】
(T202):カバー検出部111が制御部110にカバーが閉じられたことを通知する。
(T203):通知を受信した制御部110は、省電力メモリが省電力モード“1”であるとき、画像形成装置内に印刷すべきデータが存在するかをデータ有無判定部109に問い合わせる。省電力メモリが省電力モードではなく“0”である場合、印刷準備動作を開始する。また、省電力メモリが“0”である場合においても、データの有無をチェックすることにより、後述するさらなる場合にも省電力を実現することができる。
【0033】
(T204):データ有無検出部109は、始めに印刷部108に印刷すべきデータが存在するか問い合わせる。
(T205):印刷部108は、印刷待ちキュー122に印刷データが存在するかを確認し、印刷データが存在すれば、印刷すべきデータ待ちが有ると検出し、データ有りとする。
【0034】
(T206):印刷部108は、確認結果をデータ有無検出部109に返信する。
(T207):データ有無検出部109は、次に編集部106に印刷すべきデータが存在するか問い合わせる。
【0035】
(T208):編集部106は、編集中の印刷データが存在するかを確認し、印刷データが存在すれば、印刷すべきデータの編集中であると判断し、データ有りとする。
(T209):編集部106は、確認結果をデータ有無検出部109に返信する。
(T213):データ有無検出部109は、次に受信部102に印刷すべきデータが存在するか問い合わせる。
(T214):受信部102は、受信バッファ121に印刷データが存在すれば、印刷すべきデータを受信中であると判断し、データ有りとする。
(T215):受信部102は、確認結果をデータ有無検出部109に返信する。
【0036】
なお、受信部102で受信する受信データが全て印刷データであるとは限らず、例えば、受信データがプリンタステータスの返信要求コマンドの場合には印刷準備動作は必要ない。受信部102で受信したデータの種別が判明している場合には、データ有無検出部109は、受信部102への問い合わせを実施しない場合も考えられる。
【0037】
(T216):データ有無検出部109は、集めた結果より印刷すべきデータの有無を検出し、各部の少なくとも一つに印刷すべきデータが有れば、データ有りとする。その検出結果を制御部110に返信する。
(T217):制御部110は、その結果を基に次の動作を決定する。
【0038】
(T218):制御部110は、印刷すべきデータ無しの場合は、印刷部108に省電力モードに移行するように指示を出す。印刷すべきデータ有りの場合は、印刷部108に印刷準備動作を開始するように指示を出す。
(T219):制御部110からの省電力モード移行要求を受信した印刷部108は、省電力モードに移行する。
【0039】
このように本実施の形態の画像形成装置では、装置カバー18の開閉を伴う保守作業を実施した場合には、その後の印刷準備動作を実施する前に、印刷データの有無と、その作業以前の画像形成装置における電力供給モードを確認して、印刷データが無く、作業以前が省電力モードであった場合には、印刷準備動作を実施せずに省電力モードにすることができるので、不要な電力消費を抑えることができ、部品の製品寿命の短縮を抑制できる。
【0040】
本実施の形態の画像形成装置は、上記した保守作業を実施した場合の他に、例えば、パネルスイッチが押下された場合や、用紙トレイが抜き差しされた場合や、読み取り原稿が入れられた場合等に上記したデータの有無をチェックするようにしてもよい。また、本実施の形態の画像形成装置がFAX装置である場合には、例えば、着信したデータが親展指定であった場合には、上記した省電力モードを継続させるようにしてもよい。
【0041】
実施の形態2.
例えば、一般的な事務所で使用されるような、ネットワークに接続され多くの使用者により使用される印刷画像形成装置は、始業時の朝に印刷画像形成装置の電源が投入され、その日の最後の使用者が退出するまで電源が入れたままで利用されることが多い。
【0042】
このような状況で使用される印刷画像形成装置は、例えば、印刷画像形成装置の利用頻度があまり高くない場合、朝に電源が投入されると、その後一旦印刷準備動作が実施されるが、実際の印刷は実行されず、省電力モードに移行するための所定時間が経過すると直ちに省電力モードに移行することになる。そして、その後、最初の印刷データを受信した場合、省電力モードから通常の印刷モードにするために、再度、印刷準備動作が実施される。
【0043】
この場合、電源投入時に実施された印刷準備動作は無駄であり、その際に消費される電力も無駄であり、無駄な動作により使用された部品の寿命を短くするという問題がある。以下に記載する本発明の実施の形態2の画像形成装置では、この問題を解決するための構成および方法を説明している。
【0044】
本実施の形態の画像形成装置の構成は、図1に示した実施の形態1と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0045】
図4は、図1の画像形成装置における本実施の形態のデータ処理および制御に関するブロックを示したブロック図である。
【0046】
図4を用いて画像形成装置でデータ入力から画像形成までのデータ処理および制御動作を説明する。外部から印刷データ101を受信して印刷部108で印刷するまでの動作は、図2に示した実施の形態1と同様であるので重複する説明を省略する。
【0047】
(D1)の受信部102、(D2)の受信バッファ121、(D3)の編集部106、(D4)の印刷部108、(D5)の印刷待ちキュー122、(D6)のデータ有無検出部109については、図2の実施の形態1と同様である。
(D7)の制御部110は、概略動作については実施の形態1中の説明と同様であるが、本実施の形態では内部の(D8)省電力モードメモリ123と、(D9)カバー開閉検出部111が省略されている。
(D10)電源投入時初期化処理部112は、画像形成装置への電源投入時に、他の部位よりも先に立ち上がり、画像形成装置内部のRAMおよびROM等の各記憶手段をチェックし、その後、制御部110、受信部102等を含む他の各部位を立ち上げ、その各部位の初期化を開始する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0048】
図5は、図1および図4により示された本実施の形態の画像形成装置のタスクフロー図である。
【0049】
次に、図1および図4を参照しつつ、図5のタスクフロー図を用いて、実施の形態2の画像形成装置における省電力モードの設定手順について説明する。
(T301):画像形成装置の電源が投入されると、最初に電源投入時初期化処理部112が動作を開始する。電源投入時初期化処理部112は、画像形成装置内部のROMおよびRAMのチェック等のシステムが動作できるようにするための初期化処理を実施する。
(T302):受信部102等の他の部位の動作を立ち上げ、初期化を指示する。
【0050】
(T303):受信部1020、受信バッファ121、編集部106、印刷部108、データ有無判別部109、制御部110、電源投入時初期化処理部112の各々で初期化処理を実施する。
(T304):受信部102は、初期化が終了し、受信可能状態になったときに、受信可能となったことを制御部110に通知する。
【0051】
(T203a):通知を受信した制御部110は、画像形成装置内に印刷すべきデータが存在するかをデータ有無判定部109に問い合わせる。
(T204):データ有無検出部109は、始めに印刷部108に印刷すべきデータが存在するか問い合わせる。
【0052】
(T205):印刷部108は、印刷待ちキュー122に印刷データが存在するかを確認し、印刷データが存在すれば、印刷すべきデータ待ちが有ると判断し、データ有りとする。
(T206):印刷部108は、確認結果をデータ有無検出部109に返信する。
【0053】
(T207):データ有無検出部109は、次に編集部106に印刷すべきデータが存在するか問い合わせる。
(T208):編集部106は、編集中の印刷データが存在するかを確認し、印刷データが存在すれば、印刷すべきデータの編集中であると判断し、データ有りとする。
【0054】
(T209):編集部106は、確認結果をデータ有無検出部109に返信する。
(T213):データ有無検出部109は、次に受信部102に印刷すべきデータが存在するか問い合わせる。
【0055】
(T214):受信部102は、受信バッファ121に印刷データが存在すれば、印刷すべきデータを受信中であると判断し、データ有りとする。
(T215):受信部102は、確認結果をデータ有無検出部109に返信する。
【0056】
なお、電源投入時は、装置構成上から編集部106や印刷部108に印刷データが存在しえない場合があり、その場合には、受信部102のみに印刷データの存在を問い合わせるようにしても良い。
【0057】
(T216):データ有無検出部109は、集めた結果より印刷すべきデータの有無を検出し、各部の少なくとも一つに印刷すべきデータが有れば、データ有りとする。その検出結果を制御部110に返信する。
(T217):制御部110は、その結果を基に次の動作を決定する。
【0058】
(T218):制御部110は、印刷すべきデータ無しの場合は、印刷部108に省電力モードに移行するように指示を出す。印刷すべきデータ有りの場合は、印刷部108に印刷準備動作を開始するように指示を出す。
(T219):制御部110からの省電力モード移行要求を受信した印刷部108は、省電力モードに移行する。このため、本実施の形態では、電源投入時に印刷すべきデータが無ければ印刷準備動作は実行されない。
【0059】
このように本実施の形態の画像形成装置では、電源を投入した場合に、無条件に印刷準備動作を実施せず、印刷データの有無を確認して、印刷データが無い場合には、印刷準備動作を実施せずに省電力モードにすることができるので、不要な電力消費を抑えることができ、部品の製品寿命の短縮を抑制できる。
【0060】
なお、上記実施の形態1および実施の形態2は、各々単独で示されているが、本発明は、各実施の形態を単独で実施するだけでなく、両実施の形態を組み合わせて実施しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1の画像形成装置における実施の形態1のデータ処理および制御に関するブロックを示したブロック図である。
【図3】図1および図2により示された実施の形態1の画像形成装置のタスクフロー図である。
【図4】図1の画像形成装置における実施の形態2のデータ処理および制御に関するブロックを示したブロック図である。
【図5】図1および図4により示された実施の形態2の画像形成装置のタスクフロー図である。
【符号の説明】
【0062】
1 ホッピングローラ、 2 給紙トレイ、 3 記録媒体、 4 給紙ローラ、 5 給紙センサ、 6 ベルト、 7 定着器、 8〜11 画像形成部(ドラムユニット)、 12〜15 トナーカートリッジ、 16 排出センサ、 17 スタッカ、 18 装置カバー、 19 装置カバーセンサ、 20 操作パネル、 21 制御装置、 101 印刷データ、 102 受信部、 103 受信データ、 106 編集部、 107 編集データ、 108 印刷部、 109 データ有無検出部、 110 制御部、 111 カバー開閉検出部、 112 電源投入時初期化処理部、 121 受信バッファ、 122 印刷待ちキュー、 200 画像形成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される印刷データに基づいて画像を形成する画像形成部と、
装置の状態変化を検出する装置状態検出部と、
装置の大電力を消費する部分への電力供給を停止することで、省電力モードに移行させる制御を行う制御部と、
装置内における印刷前の印刷データの有無を検出するデータ有無検出部と
を有する画像形成装置であって、
前記制御部は、省電力モード中に、前記装置状態検出部が装置の状態が変化したことを検出し、前記データ有無検出部が印刷データを検出しない場合、画像形成装置の省電力モードを維持する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記データ有無検出部は、印刷前の印刷データとして、
外部から印刷データを受信する受信部の受信バッファに格納されているデータ、
前記受信バッファからのデータを印刷用に編集する編集部で編集中のデータ、
前記編集部で編集された印刷データから画像形成して記録媒体上に転写する印刷部の印刷待ちキューに格納されているデータ
の内から少なくとも一つの有無を確認する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、画像形成装置が省電力モードであることを示すデータを格納する省電力モードメモリを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装置状態検出部は、画像形成装置の保守作業を実施する際に解放されるカバーの開閉状態を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
外部から入力される印刷データを受信する受信部と、
前記受信部で受信した前記印刷データに基づいて画像を形成する画像形成部と、
大電力を消費する部分への電力供給を停止することで、省電力モードに移行させる制御を行う制御部と、
装置内における印刷前の印刷データの有無を検出するデータ有無検出部と
を有する画像形成装置であって、
前記制御部は、電源が投入された場合に、前記データ有無検出部が印刷データを検出しない場合には、装置を省電力モードにする
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記データ有無検出部は、前記受信部が受信可能状態になった後に印刷データの有無を検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−7695(P2006−7695A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191049(P2004−191049)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】