説明

画像形成装置

【課題】 現像剤搬送量の光学検知による測定誤差を補正でき、且つ、現像剤へのストレスを低減できる現像装置を有する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 現像剤層を担持して回転する現像スリーブに対向して、現像剤搬送量を検知する光学センサを有する現像装置を配備した画像形成装置において、前記現像剤層は、前記現像装置内の現像剤供給ローラを介して前記現像スリーブに移行して形成され、前記光学センサによって、現像剤搬送時に検知された測定値Aと、現像剤が前記現像スリーブ上に無い状態で検知された測定値Bとから、前記現像スリーブ上の現像剤搬送量を算出することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ、FAX等の画像形成に係わる現像装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置の一方式として、像担持体である感光体の周辺に帯電手段、像露光手段及び現像手段を配置し、帯電手段による感光体への帯電と像露光手段によって感光体上に潜像を形成し、当該静電潜像を現像手段である現像装置によって接触反転現像によりトナー画像形成を行う画像形成装置が用いられる。
【0003】
近年、高度情報化技術の進展によりデジタル技術に基づく高画質の画像形成装置の必要性が高まっている。これらの要求に応えるためにトナーとキャリアからなる現像剤の小径化が必須である。
【0004】
現像剤の小粒径化に伴い密度が増大し、現像剤同士の間隔が狭くなり、現像剤の流動性が低下しがちとなるため、現像スリーブ上の現像剤搬送量を管理することが重要となる。
【0005】
すなわち、現像剤搬送量が適正値より少なければ十分な現像性が得られず、また同適正値よりも多ければ、キャリア付着や現像領域(ニップ部)で現像剤詰まり(パッキング)が発生する。これは、小粒径のキャリアからなる現像剤の場合は、キャリア付着や現像剤詰まりが発生しやすいので、現像剤搬送量の適正範囲は従来型の大粒径のキャリアに比較して狭くなっている。したがって、より正確な搬送量の管理が必要となる。
【0006】
従来、現像スリーブ上の現像剤搬送量を測定する技術や、測定の結果から適正な現像剤搬送量に調整(以下、制御ともいう。)する次のような技術が提案されている。
【0007】
1例として、現像領域における現像剤と圧電センサとの接触を検知し、この測定値から現像剤搬送量を算出し、適正な搬送量になるように現像スリーブ上の現像剤層を現像剤規制ブレードと現像スリーブとの間隙を調整する方法(例えば、特許文献1参照)が提案されているが、搬送量に応じて出力値がリニアに変化するとは言い難い欠点がある。また、現像スリーブ上の現像剤層からの反射光を検知し、現像剤規制ブレードの厚みを調整する方法(例えば、特許文献2参照)もある。
【特許文献1】特開2002ー258613号公報
【特許文献2】特開2000−267436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、現像スリーブ上の現像剤層を、反射光を検知する光学センサによる方式では、光学センサの設置場所が現像スリーブの対向位置にあるので、現像スリーブからのトナー飛散による光学センサの検知窓の汚れが避けられず、検知窓の汚れによる測定誤差を補正する必要が生じる。また、搬送量を調整する方法に関しては、上記2件の文献によると、両検知方式とも現像剤搬送量調整に現像剤規制ブレードを使用し、簡単な構成で搬送量を調整できる利点があるが、規制部にて現像剤に多大なストレスを与える欠点がある。特に、高画質を追求するために小粒径トナー+小粒径キャリアの現像剤を採用する場合には、ストレスによる現像剤破壊は従来の現像剤に比較して深刻なものとなる。そこで、正確な現像剤搬送量の測定と現像剤ストレスの少ない技術手段が求められている。
【0009】
本発明は、上記のような前記検知窓の汚れによる測定誤差を極力少なくし、現像剤のストレスを極力減少し、現像剤の寿命を延長できる現像装置を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
現像剤層を担持して回転する現像スリーブに対向して、現像剤搬送量を検知する光学センサを有する現像装置を配備した画像形成装置において、前記現像剤層は、現像剤が前記現像装置内の現像剤供給ローラを介して前記現像スリーブに移行して形成され、前記光学センサによって、現像剤搬送時に検知された測定値Aと、現像剤が前記現像スリーブ上に無い状態で検知された測定値Bとから、前記現像スリーブ上の現像剤搬送量を算出することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
光学センサの検知窓の汚れによる測定誤差が少なくなり、搬送量を正確に測定でき、且つ、現像剤規制は広い規制ギャップを有する現像剤供給ローラで行うので、現像剤へのストレスは低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態の画像形成装置について説明する。
【0013】
図1は、画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【0014】
図1において、画像形成装置は、両面原稿自動送り装置RADFおよび画像形成装置本体Aからなっている。
【0015】
両面原稿自動送り装置RADFは、画像形成装置本体Aの上部にあり開閉可能となっている。原稿給紙台aの原稿は、給紙ローラb、分離ローラc、レジストローラd、さらに搬送ドラムeに搬送され、原稿が搬送される。
【0016】
次に、画像形成装置本体Aは、画像読み取り装置1、制御手段である制御部2、画像書き込み装置3、画像形成手段4、カセット給紙手段5、搬送手段6、定着装置7、排紙手段8、再搬送手段9等で構成されている。
【0017】
画像読み取り装置1の光学系は、光源と第1ミラーを備える露光ユニット14、第2ミラーと第3ミラーから成るVミラーユニット15、レンズ16、CCDイメージセンサ17により構成されている。両面原稿自動送り装置RADFによる原稿読み取りは、露光ユニット14がスリット露光用ガラス13の下方の初期位置に停止した位置において行われる。原稿台ガラス11上の原稿の読み取りは、露光ユニット14及びVミラーユニット15を移動させながら行われる。
【0018】
画像読み取り装置1において読み取られた原稿画像の画像情報は画像処理手段を含む制御部2により画像処理が行われ、画像データとして信号化され、一旦メモリに格納される。画像書き込み手段3に含まれる図示しない半導体レーザからの出力光が、像担持体である感光体ドラム21に照射され静電潜像を形成する。
【0019】
画像形成手段4においては、感光体である感光体ドラム21に対し、帯電器22により電荷(本実施の形態では負帯電)が付加され、画像書き込み手段3からのレーザ光照射により静電潜像が形成され、本発明に係わる現像装置23により静電潜像が顕像化されてトナー像(本実施の形態では負電荷)となる。なお、当該現像装置の詳細については後述する。次いで、カセット給紙手段5から搬送され、トナー像と同期がとられた転写材である用紙P上に転写器29Aにより転写され、分離器29Bにより用紙Pが剥離される。トナー像が転写された用紙Pは、搬送手段6により搬送され、定着手段7により定着され、排紙手段8により装置外の排紙トレイ81に排出される。一方、クリーニング手段であるクリーニング装置26により転写残のトナーが除去される。
【0020】
なお、両面コピーの場合は、第1面に画像形成された用紙Pは、搬送路切り替え板82により再搬送手段9に送り込まれ、反転され、再び画像形成手段4において第2面に画像形成後、排紙手段8により装置外の排紙トレイ81に排出される。反転排紙の場合は、搬送路切り替え板82により通常の排紙通路から分岐した用紙Pは、反転排紙部83においてスイッチバックして表裏反転された後、排紙手段8により装置外の排紙トレイ81に排出される。
【0021】
次に、本発明に係わる現像剤搬送量(以下、単に搬送量という。)を測定し、最適な搬送量に調整する機構を具備した現像装置について説明する。
【0022】
図2は、現像スリーブ上へ現像剤を供給する供給ローラを具備する現像装置の拡大図を示す。
【0023】
なお、以降の図面において、図1と同一参照符号の部材は同一機能をもつものとする。
【0024】
図2において、現像装置23は、現像スリーブ321、現像剤供給ローラ232、現像剤規制ブレード233、攪拌部材234、光学センサS等から構成されている。
【0025】
前記現像スリーブ231の内部には、固定の磁性体を有する磁気発生手段(マグネットロール)N、Sが内設され、現像剤は、不図示の駆動源に係合して反時計方向に回転する現像スリーブ231の回転に伴い、スリーブ表面に付着しながら現像領域Dに搬送される。現像剤供給ローラ232(以下、単に供給ローラという。)は、前記現像スリーブ231のロール面に平行且つ一定の間隔で対向して設けられており、両ロールの対向部においてそれぞれの表面が逆(カウンター)方向に走行するように回転する。また、当該供給ローラ232は、固定の磁性体を有する磁気発生手段(マグネットロール)N、Sが内設され、現像剤とトナーとを混合攪拌する攪拌部Mからの現像剤を汲み上げて、現像スリーブ231上に移行させる役目をもち、不図示の駆動源からの動力で反時計方向に回転する。前記現像材規制ブレード233(以下、単に規制ブレードという。)は、前記供給ローラ232上の現像剤の層を所定の厚さに規制している。供給された現像剤は全て現像スリーブに移行し、現像に使われた後攪拌部Mに戻される。したがって、現像剤が規制を受けるのは、従来のように現像スリーブ231上ではなく、供給ローラ232上である。これは、単に規制場所が異なるだけでなく、供給ローラ232上の搬送量は現像スリーブ231上に比べて多く設定することができるので、規制ブレード233と供給ローラ232との規制ギャップが従来技術における規制ブレードと現像スリーブとの規制ギャップよりも広く設定することができ、現像剤ストレスが低減できることになる。234は現像剤の攪拌部材である。Sは光学センサで、発光素子にLED(発光ダイオード)、受光素子にPD(フォトダイオード)等が使用される。現像スリーブ231上の現像剤の濃度を検出し、その測定値が制御部2に伝達され搬送量が算出される。
【0026】
次に、本発明における現像剤の搬送量の検知方法について説明する。
【0027】
前記光学センサSに関し、当該光学センサSの設置場所に関しては、現像スリーブ231上の現像剤層に対し光学センサSの検知窓口が非接触になるように開口させて設置するのが一般的であり、現像剤を担持していない現像スリーブ231の表面と光学センサSとの検知窓との隙間を1〜10mm程度に設定する場合が多い。また、現像スリーブ231上の供給ローラ232との対向部(現像剤が移行する場所)よりも回転方向下流側に光学センサSを対向させる。現像領域Dよりも現像スリーブ231の回転方向下流側に光学センサSを対向させることもあり得る(この場合、下流側の現像剤溜まりや現像剤剥ぎ取り部よりも上流側で対向させる必要がある)。
【0028】
光学センサSで現像スリーブ231上の搬送量を測定する際の問題点として、前述したが、プリント枚数が進むにつれて、高速で回転する現像スリーブ231からのトナー飛散による光学センサの検知窓の汚れがある。この検知窓の汚れは避けられない問題であり、反射光量の測定に少なからず影響を及ぼす(測定誤差を生む。)。したがって、検知窓の汚れが生じても搬送量を正確に把握できるように、補正する必要がある。
【0029】
以下、補正方法について説明する。測定精度を向上させるために、所定のプリント枚数毎現像剤を担持していない状態の現像スリーブ231の表面(地肌)と現像剤搬送時の現像剤との反射光量比較を行い、光学センサSの校正ができるようにしている。すなわち、現像剤を担持していない状態の現像スリーブ231の表面(地肌)から反射光量を測定する際には、供給ローラ232の回転を停止してしまえば、しばらくの後には現像スリーブ231には現像剤が無い状態となり、現像スリーブ231の地肌からの反射光量を検知できる。言い換えれば、検知窓に汚れの無い時と汚れた時との現像スリーブの地肌からの反射光量の比から、現像スリーブ上の現像剤からの反射光量を校正することができる。
【0030】
制御部2は、前記反射光量に対応した光学センサSからの出力電圧を基に、搬送量を算出する。すなわち、現像剤搬送量が多ければ反射光量は少なくなり、光学センサSの出力電圧は低くなる。搬送量が少なければ反射光量は多くなるので、出力電圧は高くなる。この関係から反射光量から搬送量を求めることができる。
【0031】
いま、現像スリーブ231上に現像剤を担持している状態での反射光量(測定値)をA、供給ローラ232を停止し、現像スリーブ231上に現像剤が無い状態での反射光量(測定値)をBとするとき、A/Bを補正後の反射光量比として用いれば、光学センサSの検知窓の汚れを補正でき、搬送量を算出することができる。当該搬送量が適正値でない場合には、前記現像スリーブ231の周速度αと前記供給ローラ232の周速度をβとの周速比β/αを変えることによって正確な搬送量に制御できることになる(以下に説明する反射光量とは、上記の検知窓汚れの補正後の反射光量を意味する)。
【0032】
すなわち、前記光学センサによる測定値を介して算出された前記搬送量を目標値になるような周速比β/αを選び、搬送量を調整することができる。
【0033】
いま、本実施の形態における搬送量調整方法について図2を基に説明すると、供給ローラ232と規制ブレード233との規制ギャップは広く設定され、供給ローラ232上の現像剤搬送量は現像スリーブ231上搬送量より多く設定されている(本実施の形態では、2〜5倍程度)。
【0034】
現像スリーブ231上の搬送量を供給ローラ232上よりも少なく設定するには、供給ローラ232の表面移動速度(周速度)を現像スリーブ231の表面移動速度(周速度)よりも遅く設定すればよい(例えば、現像スリーブ231上の搬送量を供給ローラ232上の搬送量の1/3倍にするには、供給ローラ232の表面移動速度を現像スリーブ231の表面移動速度の1/3倍にすればよい。)。
【0035】
前記光学センサSで検知され算出した測定量が目標値よりも少ない場合には、供給ローラ232の回転数を上げる(または、現像スリーブ231の回転数を下げる)ことで搬送量を目標値に調整すればよい。
【0036】
なお、測定した現像剤層からの反射光量(センサ出力電圧)比から現像スリーブ231上の現像剤搬送量を算出するプログラム及び適正な搬送量にする前記周速比のプログラムは、画像形成装置の制御部2に記憶されている。
【0037】
次に、トナー濃度、温湿度による反射光量の変化の傾向について図3を基に説明する。
【0038】
反射光量はトナー濃度、環境(温湿度)条件によって変化することも知られている。そこで、この変化を考慮して搬送量を補正することもできる。
【0039】
図3は、トナー濃度、環境条件の変化に伴う搬送量と反射光量(センサ出力)との関係を示す図である。
【0040】
黒の現像剤を具体例にすると、図3(a)において、搬送量(単位はg/m2またはmg/cm2)が多い場合には、黒の現像剤による現像スリーブ231上の被覆率が増えるため反射光量が小さくなる。また、搬送量が同じでもトナー濃度が低く変化した場合には反射光量は、比重の重いキャリアの割合が増え、現像剤の単位重量当たりの嵩が減って、現像スリーブ231上の黒現像剤による被覆率が減るため、大きくなる。
【0041】
また、図3(b)において、搬送量とトナー濃度が同じでも環境(温度/湿度)条件が変化した場合には反射光量は変化する。高温高湿等で絶対湿度が高い方が反射光量は大きくなる。これは現像剤の帯電量低下による現像剤の単位重量当たりの嵩が減って、現像スリーブ321上の黒現像剤による非覆率が減るためである。
【0042】
以上のトナー濃度、環境条件による反射光量と搬送量の傾向が考慮されて搬送量算出プログラムも作成されている。この変化を考慮して環境データ検知手段である温湿度センサS1、トナー濃度センサS2(図2参照)が設けられ、搬送量制御を行うこともできる。
【0043】
なお、この場合、反射光量から搬送量を算出する際には、トナー濃度や環境データに応じて補正を加えるようにして、搬送量を正確に把握できるようにしている。また、トナー濃度や環境による現像剤の嵩変動が少ない場合には、上記の補正を行わなくても搬送量を正確に把握できる場合がある。また、トナー濃度や環境データが所定の範囲から外れた場合には、上記の補正を行っても搬送量を正確に把握するのが難しいと判断して、搬送量測定と搬送量調整を実施しないようにしてもよい。
【0044】
なお、搬送量測定と調整の実施のタイミングは、画像形成装置のウォーミングアップ中、及び所定のプリント枚数達成毎に実施するのが好ましい。
【0045】
次に、本発明の効果を確認するための確認実験について述べる。
【0046】
・確認実験1(図2参照)
実験条件
画像形成装置: デジタルモノクロ機
コピー速度: A4横送り、75枚/分
プロセス速度: 420mm/秒
画像領域/非画像領域: 62.5/37.5
感光体ドラム直径: 80mm
帯電電圧: −700V
<現像スリーブ関係>
現像装置 図2参照
現像スリーブ電位: −500V
感光体ベタ露光電位: −50V
現像バイアス交流成分: 1.0kVp-p(矩形波、5kHz)
露光ユニット: 半導体レーザ(波長780nm)
現像スリーブ直径: 30mm(磁極数5極)
現像スリーブ着磁部長さ: 330mm
感光体ドラム〜現像スリーブ隙間: 約0.3mm
現像スリーブ現像剤搬送量: 約250±40g(目標値)
現像スリーブ移動速度/プロセス速度:2.0
<搬送量調整(制御)手段(供給ローラ)関連>
供給ローラ直径: 20mm/磁極数3極
供給ローラ〜現像スリーブ表面隙間: 約1.0mm
供給ローラ〜規制ブレード隙間: 約2.0mm
供給ローラ表面移動速度(周速度): 現像スリーブ表面移動速度(周速度)
との比0.1〜0.5(可変)
(互いにカウンタ方向)
現像スリーブと供給ローラの中心線
を結ぶ直線と水平線となす角度: 30°(供給ローラが下位)
供給ローラ着磁部長さ: 330mm
供給ローラの層形成極: 磁極密度ピーク値=40mT(半値幅
40°)
<光学センサ関連>
発光素子: LED(中心波長680nm)
受光素子: PD(フォトダイオード)
光路: 正反射光型
検知窓〜現像スリーブ隙間: 8.0mm
搬送量検知位置: 現像ローラ軸方向の中央付近、現像極
よりも現像スリーブ回転方向上流側の
隣接極付近
搬送量測定頻度: 反射光量A(現像剤層)は500プリ
ント毎、またはウォームアップ時
反射光量B(スリーブ表面)は100
0プリント毎、またはウォームアップ

プリント中の場合はジョブ終了後
<検知窓汚れ補正>
反射光量A、B双方測定の場合: 「反射光量A/反射光量B」より搬送
量算出
反射光量Aのみ測定の場合: 「反射光量A/過去最後の測定時の反
射光量B」より搬送量算出
<他の搬送量算出の補正機能>
トナー濃度データによる補正: 無し
温湿度データによる補正: 無し
<現像剤関連>
トナー: 体積平均粒径4.5μmの重合トナー
(黒)
キャリア: 体積平均粒径25μm、磁化強度60
emu/g
トナー濃度: 6%
以上の確認実験1の他に、公知の現像剤層形成方式である規制ブレードを使用した2つの比較実験を行った(図4)。
【0047】
図4は公知の搬送量制御方式の例を示す図である。
【0048】
・比較実験1(図4(a))
<光学センサ関連>
発光・受光素子、取付け、検知条件: 確認実験1に同じ、ただし、供給ロー
ラが存在しないため反射光量Bの測定
不可
<搬送量調整手段(規制ブレード)関連>
規制ブレード・現像スリーブ間隔: 0.3〜0.7mm(標準=0.5m
m)搬送量測定の結果により間隔調整
現像スリーブと規制ブレードの中心線
を結ぶ直線と水平線となす角度: 50°(規制ブレードが上位)
・比較実験2(図4(b))
搬送量測定、調整: 無し
搬送量規制: 固定規制ブレード
規制ブレード・現像スリーブ間隔: 0.5mm(一定)
現像スリーブと規制ブレードの中心線
を結ぶ直線と水平線となす角度: 50°(規制ブレードが上位)
上記実験条件の下に確認実験1及び比較実験1、2の下記の実写テストを行い性能を比較した。
【0049】
<テスト内容>
印字パターン: 平均印字率6%のモノクロ画像
印字モード: A4サイズ連続印字(10万プリント)
環境(温度、湿度): 20℃、50%(0〜2万プリント)
30℃、80%(2万〜5万プリント)
10℃、20%(5万〜8万プリント)
20℃、50%(8万〜10万プリント)
ベタ濃度推移の確認: 5000プリント毎にベタ画像透過濃度を
測定し、XーRite濃度計で測定した透
過濃度1.35〜1.45範囲内であれば
合格と判定
かぶり濃度推移の確認: 5000プリント毎に白地部のXーRit
e濃度計で測定した相対反射濃度が0.0
06以下であれば合格と判定
キャリア付着の確認: 5000プリンと毎に縦ラインペアパター
ン部分のキャリア付着レベルを目視評価し
限度見本サンプルよりも程度が軽微ならば
合格と判定
・実験結果
表1に示すような結果が得られた。なお、表中の○は合格、×は不合格を意味する。
【0050】
【表1】

【0051】
表1において、確認実験1の場合には、搬送量測定と搬送量調整を実施しているので搬送量の変動が抑えられ、ベタ濃度が常に適正範囲にあった。また、搬送量過多によるキャリア付着の発生もなかった。搬送量測定の際には、光学センサ検知窓汚れ対策として供給ローラを停止して現像剤を担持しない現像スリーブ表面からの反射光を測定し補正しているので、正確な搬送量測定ができる。さらに、低速回転の供給ローラにて現像剤層の規制を行っているために現像剤に対するストレスが低減でき、トナーの帯電性能の低下が少なく、実験終了までトナーの帯電不足による画像かぶりの発生がなかった。
【0052】
一方、供給ローラが存在せず光学センサ検知窓汚れ補正が実施できない比較実験1の場合には、現像スリーブ上の規制ブレードと現像スリーブの隙間を調整して搬送量の変動を抑えているので搬送量は一応目標値付近を推移するが、現像スリーブからのトナー飛散による光学センサ検知窓汚れで搬送量誤検知がしばしば発生し、搬送量変動につながる。したがって、テスト後半ではセンサ検知窓汚れが発生して反射光量の受光量が減り、搬送量が多いと検知してしまうので搬送量を少なくする制御が働き、ベタ濃度は低めに制御する(特に低温低湿環境)。また、搬送量過多によるキャリア付着の発生は無かったが、高速回転の現像スリーブ上で現像剤を規制することによって現像剤にストレスが加えられるため、トナーの帯電性能低下が起こり、実験後半ではトナーの帯電不足による画像かぶりが発生した。さらに、搬送量測定と搬送量調整を実施しない比較実験2の場合には、高温高湿環境下で搬送量増加によるベタ濃度過多とキャリア付着が発生し、低温低湿環境下では搬送量減少によるベタ濃度不足が発生した。また、高速回転の現像スリーブ上で現像剤を規制することによって現像剤にストレスが加えられ、トナーの帯電性能の低下が起こり、実験後半ではトナーの帯電不足による画像かぶりが発生した。
【0053】
以上から、確認実験1に適応された本発明の効果が確認された。
【0054】
なお、確認実験1では、トナー濃度及び環境(温湿度)の各条件による搬送量の補正は行われていないが、この補正を付加すれば更に精度の良い搬送量制御が可能となることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】現像スリーブ上へ現像剤を供給する供給ローラを具備する現像装置の拡大図を示す。
【図3】トナー濃度、環境条件の変化に伴う搬送量と反射光量(センサ出力)との関係を示す図である。
【図4】公知の搬送量制御方式の例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 画像読み取り装置
2 制御部
21 感光体ドラム
23 現像装置
231 現像スリーブ
232 現像剤供給ローラ
233 現像剤規制ブレード
234 撹拌部材
S 光学センサ
S1 トナー濃度センサ
S2 温湿度センサ
D 現像領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤層を担持して回転する現像スリーブに対向して、現像剤搬送量を検知する光学センサを有する現像装置を配備した画像形成装置において、前記現像剤層は、現像剤が前記現像装置内の現像剤供給ローラを介して前記現像スリーブに移行して形成され、前記光学センサによって、現像剤搬送時に検知された測定値Aと、現像剤が前記現像スリーブ上に無い状態で検知された測定値Bとから、前記現像スリーブ上の現像剤搬送量を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像スリーブもしくは前記現像剤供給ローラは回転速度を可変とし、前記現像スリーブの周速度をα、前記現像剤供給ローラの周速度をβとするとき、β/αの値を変化させて、前記光学センサによる測定値を介して算出された前記現像剤搬送量を目標値に調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像剤搬送量を算出の際、現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と、少なくとも湿度を含む稼働環境を検知する環境データ検知手段とで測定された測定値に基づいて現像剤搬送量を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−10721(P2007−10721A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187948(P2005−187948)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】