説明

画像形成装置

【課題】廃トナー検知量から当初予測されるニア満杯時での廃トナー量と実際の画像形成処理に応じた廃トナー量とのずれをなくせることにより、廃トナーが溢れてしまう等の弊害を未然に防止できる構成を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】容器本体に回収された廃トナーの量が予め設定されている満杯時での充填量よりも少ない充填量に達したことを検知する廃トナー量検知手段202と、廃トナー量検知手段202からの検知結果の積算値を記録する記録手段、使用状況積算手段を備え、廃トナー量検知手段202、警報表示部を備えた操作パネル301がそれぞれ入力側に接続され、出力側に満杯警報手段が接続されている制御部300を備え、制御部300は、廃トナー量検知手段202による所定の充填量に達したことを検知すると、検知後における使用トナー量を前記画素算出手段により廃トナー量を算出し、かつ、使用状況に応じて上記廃トナーの算出量を、実際に充填できる滞留可能な廃トナー量に変更することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等を対象として、可視像処理後の廃トナーを回収する収容部を備えた画像形成装置に関し、さらに詳しくは、収容部での堆積状況判別機構に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、画像形成装置においては、潜像担持体として用いられる感光体上で画像に対応した静電潜像が形成されると、この静電潜像が現像装置から供給されるトナーにより可視像処理され、記録紙などに可視像が転写された後に可視像を定着して複写出力を得るようになっている。
【0003】
画像形成装置には、単一色画像だけでなくフルカラー画像を含む複数色の画像を形成する場合もあり、この場合には、複数色の画像を重畳転写する必要がある。
【0004】
一方、画像転写装置には、感光体のクリーニングあるいはフルカラー画像形成に用いられる転写体を対象としたクリーニングによる発生する未転写トナーを回収する廃トナータンクを装備する場合がある。
【0005】
廃トナータンクは、内部に回収されるトナーが満杯状態となるとその交換が必要となる。このため、廃トナータンクの交換時期を正確に把握することが廃トナーの溢れによる装置内部の汚損防止を図るうえで必要となる。そこで、廃トナータンクが満杯に達した時点で装置の強制停止することが考えられるが、このような処置を採ると、画像形成処理作業中での装置の停止、いわゆる、プリント作業の中断という事態を招いてしまう不具合がある。
【0006】
このような不具合を避けるためには、廃トナータンクが満杯状態に達する前に交換時期を知らせることが望ましい。そこで、従来では、満杯状態に近い状態に相当する満杯ニア状態の検知を行い、この状態から満杯に達するまでの間に実行できる画像形成処理回数(印刷枚数)を対象として処理できるようにし、このために、廃トナー量予測を行う方法が提案されている(例えば、特許文献文献1、2)。
【0007】
特許文献1には、満杯検知後コピー禁止状態となるまで可能なコピー枚数を満杯検知後に行われる各コピーモード、記録紙サイズに応じて異なった減算値に基づいて算出し、これを表示する構成が開示されている。
【0008】
特許文献2には、廃トナー満杯検知手段が廃トナー満杯を検知した後、画像印字濃度又は印字モードに応じて廃トナーの蓄積量を算出し、これにより、精度良くクリーニング容器の残存空間の状態を認識し、残存空間を十分に使用することができる構成が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開平04−338993号公報
【特許文献2】特開2000−112304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に開示されている構成においては、記録紙サイズで減算した場合は画像面積による影響が考慮されていないために、画像面積が多い画像が形成された場合には、予測より廃トナーが多く入ってしまうこととなり、結果として、廃トナーが溢れ機械が壊れる可能性がある。
【0011】
特許文献2に開示された構成のように、印字される画像濃度の蓄積量をもとに減算していく方法は、1回のプリント作業を意味する1ジョブでの画像形成(プリント)枚数の影響(1ジョブあたりの枚数が少ないとプリント枚数に対しての空転時間が多くなり廃トナー量も多くなる)等が考慮されていないために、同様な理由で機械が壊れる可能性がある。
【0012】
廃トナー量算出値と実際の廃トナー排出量を完全に一致させるには、次に示す画素情報に基づき算出された廃トナーの排出量に対して実際に装置が使用される状況で排出されるトナーの量とを一致させることが必要となる。
(A)画素情報・・・画像面積率/カラー比率/トナー消費量/トナー補給量/現像剤変化量
(B)使用状況・・・1ジョブあたりの通紙枚数/周辺環境/転写率の経時変化/ユニットの経時劣化(ブレード磨耗等)
しかし、従来では、画素情報に基づく廃トナーの算出量をニア満杯状態の判断基準として用いるだけであることから、装置を実際に使用した場合の状況に即して変化する廃トナーの排出量に関する考慮がなされていないのが現状である。このため、実際の廃トナーの排出量が産出量よりも多くなることもあり、この場合には、収容容器から廃トナーが溢れてしまう虞がある。
【0013】
本発明の目的は、上記従来の画像形成装置における問題、特に、廃トナー検知量から当初予測されるニア満杯時での廃トナー量と実際の画像形成処理に応じた廃トナー量とのずれをなくせることにより、廃トナーが溢れてしまう等の弊害を未然に防止できる構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)像担持体と、該像担持体上にトナー画像を形成する画像形成手段とを有し、トナー画像の転写後に行われるクリーニング機構により回収された廃トナーが該クリーニング機構から投入される収容容器本体を備えた画像形成装置において、
前記容器本体に回収された廃トナーの量が予め設定されている満杯時での充填量に達したことを検知する廃トナー量検知手段と、
前記収容容器排出される廃トナー量を算出する廃トナー量算出手段と、
前記廃トナー両検知手段および前記廃トナー算出手段が入力側に接続されて、前記廃トナー量検知手段からの検知結果の積算値を記録する記録手段を備え、前記収容容器内の廃トナーが満杯であることを表示する警報表示部が出力側に接続されている制御部とを備え、
前記制御部は、前記廃トナー検知手段による検知後、前記廃トナー量算出手段により算出された廃トナー量の積算値が前記容器本体内での満杯に近い状態であるニア満杯状態に相当する値に達した場合にニア満杯状態であると判断する一方、前記算出された廃トナー量を、実際に充填できる滞留可能な廃トナーの量に変更することを特徴とする画像形成装置。
(2)前記制御部は、前記滞留可能な量を、画像形成処理に費やした稼働時間に基づいて変更することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
(3)前記制御部は、前記滞留可能な量を、前日を対象とした前記稼働時間に基づいて変更することを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成装置。
(4)前記制御部は、前記滞留可能な量を、一定時間の前記稼働時間に基づき変更することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の画像形成装置。
(5)前記制御部は、前記滞留可能な量を、外部から直接変更可能であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像形成装置。
(6)前記廃トナー算出手段は、トナー画像の画素情報に基づいて廃トナー量を算出することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、制御部において廃トナー検知手段からの検知結果により予め算出されたニア満杯状態に達するまでの滞留可能な量を変更できるようになっているので、予め算出された滞留可能な量を実際の装置の稼働状況に応じたものに適正化することが可能となり、算出された量と実際の量とのずれにより溢れ等の弊害を未然に防止することができる。例えば、ある使用条件にて、実際の廃トナー排出量が算出値の2倍の量だった場合、滞留可能量を100とするとニア満杯と判断した時点の実際の廃トナー排出量は200となり、容器容量に対して100オーバーするために廃トナー溢れが発生し機械が壊れてしまう。そこで本発明では、ニア満杯の判定に用いる滞留可能量を使用状況に基づいて1/2倍に変化(50とする)させることができるので、ニア満杯と判断した時点の実際の廃トナー排出量は100となり廃トナー溢れを防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図に示す実施例により本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0017】
図1に示されている画像形成装置は、複数色の画像形成が可能なカラープリンタを示している。なお、本発明は、画像形成装置としてプリンタに限らず、複写機やファクシミリ装置あるいは印刷機さらにはこれら各機能を複合させた装置を含むものである。
【0018】
図1において、画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体として用いられる感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKを並設したタンデム構造が採用されている。
【0019】
図1に示す構成の画像形成装置100は、上述した感光体ドラムに形成されたトナー像の転写媒体として用いられる、後述する中間転写体11の展張方向に沿って並置された作像部を備えたプリンタエンジンPEと、感光体ドラムに対して画像情報に応じたレーザ光を出射可能な光書込装置8と、転写装置10に装備されている中間転写体11上に重畳転写されたトナー画像を一括転写される転写紙Sなどの記録媒体(以下、記録紙Sという)を収容し、かつ繰り出し可能な給紙装置61と、記録紙Sに担持されているトナー画像を定着する定着装置6と、廃トナー収容容器200とが備えられている。以下、画像形成処理とともに各部の構成を説明すると次の通りである。
【0020】
各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成された可視像が、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対峙しながら矢印A1方向に移動可能な無端ベルトが用いられる中間転写体(以下、転写ベルトという)11に対して1次転写行程を実行してそれぞれの画像が重畳転写され、その後、記録紙S等が用いられる記録媒体に対して2次転写行程を実行することで一括転写されるようになっている。図1に示した転写ベルト11は、樹脂フィルムまたはゴムを基体としてループ状に形成された無端ベルトが用いられている。なお、転写ベルト11は、展張面の一部にテンションローラ74が設けられて弛みを防止されている。
【0021】
各感光体ドラムの周囲には、感光体ドラムの回転に従い画像形成処理するための装置が配置されており、いま、ブラック画像形成を行う感光体ドラム20BKを対象として説明すると、感光体ドラム20BKの回転方向に沿って画像形成処理を行う帯電装置30BK,現像装置40BK、1次転写ローラ12BKおよびクリーニング装置50BKが配置されている。帯電後に行われる書き込みは、後述するように、光書込装置8が用いられる。本実施形態においては、各作像部に配置された感光体ドラムおよびこれに対する画像形成処理を行う装置のうちで、光書き込みを行う光書込装置8以外の装置に相当する帯電装置30,現像装置40,クリーニング装置50が纏めて一つのケース内に収容されることによりプロセスカートリッジを構成している。
【0022】
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成された可視像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対向して配設された1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
【0023】
各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像をそれぞれ形成するための作像部に備えられている。
【0024】
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKの他に、転写ベルト11が掛け回されている駆動ローラ72及び従動ローラ73,テンションローラ74を有しており、各プロセスカートリッジの感光体ドラムと対峙しながら移動することで順次、複数の色画像が重畳転写される。
【0025】
従動ローラ73は、転写ベルト11に対する張力付勢手段としての機能も備えており、このため、従動ローラ73には、バネなどを用いた付勢手段が設けられている。このような転写ベルトユニット10と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKと、2次転写ローラ5と、クリーニング装置13とで転写装置71が構成されている。
【0026】
図1に示されている光書込装置8は、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、ミラーおよび回転多面鏡などを装備しており、各感光体ドラム20Y,20C,20M,20BKに対して色毎に対応した書き込み光を出射して感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkに静電潜像を形成する構成とされている。
【0027】
給紙装置61は、画像形成装置100の本体下部に有する空間部において着脱可能に配設されている給紙カセット61Aを備えており、最上位の記録紙Sの上面に当接する繰り出し手段としての給送ローラ3が配置されている。
【0028】
給送ローラ3は、反時計回り方向に回転駆動されることにより、これと対峙する摩擦分離機と協働して最上位の記録紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
【0029】
定着装置6は、熱源を内部に有する定着ローラ62と、定着ローラ62に圧接された加圧ローラ63とを有しており、トナー像を担持した記録紙Sを定着ローラ62と加圧ローラ63との圧接部である定着部に通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を記録紙Sの表面に定着するようになっている。
【0030】
転写装置71に装備されているクリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。クリーニング装置13はまた転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための図示しない排出手段を有している。なお、図1に示す構成の画像形成装置100では、転写ベルト11に対して各感光体ドラムで形成された画像を順次転写することで色画像が重畳されたものを2次転写ローラ5により記録紙Sに一括転写する方式であるが、これに代えて、転写ベルト11に記録紙Sを担持し、この記録紙Sを各感光体ドラムに対峙させて各色の画像を直接記録紙S上で重畳する方式とすることも可能である。
【0031】
画像形成装置100には、定着装置6によって定着された記録紙Sを画像形成装置100の本体外部に排出する排紙ローラ7と、画像形成装置100の本体上部に配設され排出ローラ7により画像形成装置100の本体外部に排出された記録紙Sを積載する排紙トレイ17と、排紙トレイ17の下側に位置し、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9C、9M、9BKとが備えられている。
【0032】
図2は、画像形成装置100の側壁の一部をなすカバー100Aを開放した状態を示す図であり、同図において、カバー100Aを開放すると、内装されている転写ベルトユニット10および各プロセスカートリッジでの排出パイプ(便宜上、符号P1で示す)および廃トナータンク200が外部に露呈し、これらユニットやプロセスカートリッジおよび廃トナータンク200を交換やメンテナンスを行うことができる。
【0033】
廃トナータンク200は、図3に示すように回収された廃トナーを収容可能な収容容器本体200Aとこの容器本体200Aに接続された回収パイプ200B,200Cとで構成されている。
【0034】
回収パイプ200Bは、各プロセスカートリッジにおけるクリーニング装置からの廃トナーを導入するためのパイプであり、回収パイプ200Cは転写ベルトユニットに設けられているクリーニング装置(図1において符号71で示す部材)からの廃トナーを導入するためのパイプである。
【0035】
各プロセスカートリッジからの廃トナーを回収する回収パイプ200Bには、各プロセスカートリッジから延長された排出パイプP1の接続口200B1が設けられ、そして、回収パイプ200Cには転写ベルトユニット10側のクリーニング装置13からの排出パイプを接続可能な接続口200C1が設けられている。
【0036】
図4は、廃トナータンク200の収容容器本体200Aの内部構造を説明するための透視図であり、収容容器本体200Aの内部には、該容器本体の長手方向に平行する軸線方向を有したスクリューオーガ201が配置されている。
【0037】
スクリューオーガ201は、軸線方向中央を境にして螺旋方向が相対し、軸線方向中央に向けて廃トナーを移動させるリード方向が設定されている螺旋羽根201A、201Bを備えている。
【0038】
スクリューオーガ201は、軸線方向両端側で容器本体200Aに形成されている廃トナー導入口200A1、200A1’から入り込む廃トナーを軸線方向中央に向け移動させるようになっており、軸線方向中央で堆積したトナー同士が押し上げられることでその部分を盛り上がらせるようになっている。廃トナーの導入口を容器本体の長手方向両端にそれぞれ設けることにより、クリーニング装置からの廃トナーを個々に導入することができ、これらクリーンニング装置からの廃トナーを纏めて移送する必要がないので、移送のための構成が大型化することを防止できる。
【0039】
容器本体200Aにおける長手方向中央には、廃トナー量検知手段202が設けられている。
【0040】
廃トナー量検知手段202は、図4の右下において軸線方向に沿った断面図として示すように、容器本体200Aに形成された検知開口200A2内に自由端を進入させたフィラー202Aと、フィラー202Aを回動可能に支持する支軸202Bが支持されているブラケット202Cと、フィラー202Aの自由端に設けてある検出突起202A1の回動軌跡中に透過光学路を有するフォトセンサ202Dと、フィラー202Aを下方に向け押圧する習性を有した可撓性のシール片202Eとで構成されている。可撓性のシール片202Eは、例えば、撓み変形可能なシリコンゴムなどが用いられている。
【0041】
フォトセンサ202Dは、容器本体200A内の長手方向中央で堆積して盛り上がる廃トナーによりシール202Eの習性に抗して上昇する方向にフィラー202Aが回動した場合を検知するために設けてある。このため、盛り上がった廃トナーにより押し上げられたフィラー202Aの検出突起202A1が光路を遮断すると、容器本体200A内に充填されて堆積する廃トナーの充填量が満杯時よりも少ないニア満杯位置に近い、予め設定されている状態であることを検知できるようになっている。換言すれば、フォトセンサ202Dによって排出された廃トナーの充填量が検知されると、その時点からニア満杯状態に達するまでの間、廃トナーの排出ができる状態であるといえる。
【0042】
廃トナー量検知手段202は、図5に示す制御部300に接続されて、容器本体200A内での廃トナーの満杯予測判別に用いられるようになっている。
【0043】
図5において制御部300は、画像形成処理のシーケンス制御に用いられる制御部であり、図示しないI/Oインターフェースを介して本実形態に関係するものとして、入力側には廃トナーの充填量を検知する廃トナー量検知手段202、廃トナー量算出手段203、プリントモードなどの指令部が設けられている操作パネル301が接続され、出力側には、前記操作パネル301に設けられた満杯警報表示部が接続されている。
【0044】
制御部300には、廃トナー量検知手段202からの検知信号の入力履歴を登録可能な記録手段(メモリ)と、画素情報を積算する画素算出手段および装置の使用状態(稼働状態)を判別するための使用状況積算手段が備えられている。
【0045】
記録手段(メモリ)には、前記入力履歴だけなく、トナー排出量を算出する際に用いられる画素情報としての画像面積率、カラー比率、トナー消費量、トナー補給量、現像剤変化量および、装置の使用状況を判別するための1ジョブあたりの印刷枚数、廃トナーの流動性などに影響する温湿度などの周辺環境情報、廃トナーの排出率に影響する転写率の経時変化、廃トナーの回収率に影響するクリーニングブレードの摩耗などを割り出すためのユニットの経時劣化等がマップとして登録されている。
【0046】
マップには、上述した装置の使用状況に対応して検知後に充填可能な廃トナーの量、つまり滞留可能な量を求めるための制御係数が上述した使用状況を判別するためのパラメータと関係づけて登録されている。
【0047】
制御部300では、廃トナー量検知手段202からの検知信号が入力されると、入力履歴を参酌し、入力履歴がない場合には、廃トナー排出量が所定値にないとしてそのまま画像形成処理を継続させることができる。
【0048】
一方、制御部300において廃トナー量検知手段202からの入力履歴がある場合には、検知信号の入力後におけるトナー排出量、つまり、検知された後で容器本体内に排出可能な廃トナーの滞留可能な量が算出される。
【0049】
上述した廃トナーの滞留可能な量とは、容器本体内での総容量から、前記廃トナー検知手段による検知時点での充填量を差し引いた値(容器本体全容量−検知された時点での充填量)を意味している。
【0050】
本実施形態では、上述した手順により廃トナー検知手段202による充填量の検知が行われたことを基準にその後に充填できる量であるトナーの滞留可能な量を算出し、算出値を基にしてニア満杯状態の判断を行うが、画素情報から得られる廃トナーの排出量を基にした検知後での充填量、つまり、滞留可能な量の算出値よりも実際に排出される廃トナーの方が多い場合に容器本体から廃トナーが溢れてしまうのを未然に防止するようになっている。
【0051】
つまり、実際に排出される廃トナーの量、つまり検知後に容器本体内に充填可能な余裕量に相当する滞留可能な量は、装置の使用状況によって決まるため、算出値に基づくニア満杯状態の判断を行うと、使用状況によって廃トナーの量が算出値よりも多い場合には、算出値に一致するまで廃トナーの排出が継続されてしまうことになり、これによって、廃トナーが容器本体から溢れることになる。
【0052】
そこで、本実施形態では、ユーザが画像形成装置を使用する状況に対応して上述した算出値を変更できるようにしている。
【0053】
このための方法としては、廃トナー検知手段による充填量の検知後に画素情報に基づき求められる廃トナーの排出量の積算値と容器本体の総容量との差による滞留可能な量の算出値に対して後述する使用状況に基づき、算出値を変更できる制御係数nを割り出し、次の式1により算出値に対する滞留可能量を変更するようになっている。
【0054】
E=n×A−T・・・(式1)
ただし、E:容器本体内での残り空き容量
T:廃トナー算出値
A:検知後に充填できる滞留可能量
E=0の場合は、ニア満杯状態として判断する。
【0055】
上述した使用状況には、1ジョブあたりの通紙枚数/周辺環境/転写率の経時変化/ユニットの経時劣化(ブレード磨耗等)等が挙げられる。
【0056】
この場合の係数nは、上述した使用状況に基づき、実際の廃トナー排出量が算出値よりも多くなる場合には滞留可能量を少なくするように、また実際の廃トナー排出量が算出値よりも少なくなる場合には滞留可能量を多くするように機能している。具体的には、標準的な使用状況の時にn=1とした場合、1ジョブあたりでの通紙枚数が少ない場合には実際の廃トナーの排出量が算出値よりも多くなるので、nの値を1以下とする。
【0057】
また、使用状況に関しては、前日の使用状況を参考にしたり、あるいは2日以上などの一定期間の間の使用状況を参考情報として用いることもできる。このような情報の取り込みは、滞留可能な量の算出に際しての計算頻度に影響し、例えば、一定期間の間の使用状況を取り込む場合にはそれだけ計算頻度を少なくすることができ処理が簡易化できることになる。
【0058】
さらに、滞留可能量の算出に際しては、例えば、カスタマーエンジニアにより外部から直接変更できるようにすることもでき、この場合には、実測値の取り込みよりも簡単に変更制御ができることになる。
【0059】
本実施形態は以上のような構成であるから、図6に示すフローチャートにより制御部300の作用を説明すると次の通りである。
【0060】
装置本体の電源投入時、又はカバーのオープン/クローズ時等の信号により所定のイニシャル動作がおこなわれる(ST0)。
【0061】
イニシャル動作中に、制御部300では、本体の記録手段内の記録内容(画素積算情報)を確認する(ST1)。
【0062】
廃トナー量検知手段202により、廃トナー充填量が予め定めた量に達したことを検知したかどうかが判別され(ST2)、検知した場合には、その時点までの画素情報が確認され、また、検知しない場合には、通常の画像形成動作が行われる。
【0063】
画像動作が行われると、画像形成毎に画素情報が積算され(ST3)、その結果が記録手段に保存される(ST4)。画素情報に基づき廃トナー量が算出される(ST5)。
【0064】
一方、画像動作が行われると、画像形成毎に装置の使用状況情報が積算され
(ST6)、この積算結果が記録手段に保存される(ST4)。
【0065】
ステップST3における画素情報に基づく廃トナー算出量と、ステップST6における使用状況情報に基づく制御係数nの割り出しが行われると、上述した式1に基づき滞留可能量(A)が算出される(ST7)。
【0066】
上記各ステップにおいて求められた廃トナー算出量と対流可能量とが対比される(ST8)。この対比においては、式1から、E=0の場合がニア満杯状態であるので、この結果よりも廃トナーの算出量が多くなると、容器本体から溢れる程の廃トナーの排出を許可することになるので、廃トナー量の算出量が対流可能量よりも多い場合には、操作パネル301を用いてニア満杯状態であることを警報表示する(ST9)。これにより、容器本体から廃トナーが溢れてしまうのを未然に防止することができる。
【0067】
以上のように本実施形態においては、廃トナー検知手段による検知後に排出可能な廃トナーの量として、画素情報に基づき算出された廃トナーの排出可能な量を用いる場合に、装置の使用状況に応じてその排出可能な量を変更できるので、算出量に対して実際の使用状況による排出量が多くなった場合でも容器本体から溢れるようなことがなく、装置の汚染や溢れた廃トナーによる装置の故障を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明による画像形成装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置における本体の一部をなすカバーを開放した状態を示す外観図である。
【図3】本発明による画像形成装置に用いられる廃トナータンクへの廃トナーの回収経路を説明するための図である。
【図4】図3に示した廃トナータンク内部の構成を説明するための図である。
【図5】本発明による画像形成装置に用いられる制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【図6】図5に示した制御部の一態様を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
100 画像形成装置
200 廃トナータンク
200A 収容容器本体
201 スクリューオーガ
201A、201B 螺旋羽根
202 廃トナー量検知手段
300 使用状況積算手段を備えた制御部
301 表示部を備えた操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、該像担持体上にトナー画像を形成する画像形成手段とを有し、トナー画像の転写後に行われるクリーニング機構により回収された廃トナーが該クリーニング機構から投入される収容容器本体を備えた画像形成装置において、
前記容器本体に回収された廃トナーの量が予め設定されている充填量に達したことを検知する廃トナー量検知手段と、
前記収容容器に排出される廃トナー量を算出する廃トナー量算出手段と、
前記廃トナー量検知手段および前記廃トナー算出手段が入力側に接続され、前記廃トナー量算出手段により算出された廃トナー量の積算値を記録する記録手段を備え、前記収容容器内の廃トナーがニア満杯状態であることを判断した場合に警報表示する警報表示部が出力側に接続されている制御部とを備え、
前記制御部は、前記廃トナー検知手段による検知後、前記廃トナー量算出手段により算出された廃トナー量の積算値が前記容器本体内での満杯に近い状態であるニア満杯状態に相当する値に達した場合にニア満杯状態であると判断する一方、前記算出された廃トナー量を、実際に充填できる滞留可能な廃トナーの量に変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記滞留可能な量を、画像形成処理に費やした稼働時間に基づいて変更することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記滞留可能な量を、前日を対象とした前記稼働時間に基づいて変更することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記滞留可能な量を、一定時間の前記稼働時間に基づき変更することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記滞留可能な量を、外部から直接変更可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記廃トナー算出手段は、トナー画像の画素情報に基づいて廃トナー量を算出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−127989(P2010−127989A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299675(P2008−299675)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】