画像形成装置
【課題】 本発明の目的は、長期の使用においても、高温高湿環境下で発生する画像不良を防止した画像形成装置を適用することである。
【解決手段】 本発明は、回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する第一帯電手段と、前記第一帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されることで前記像担持体に向かって放電可能である第二帯電手段と、を有する画像形成装置において、前記第一帯電手段が前記像担持体を帯電する動作を停止させ、放電を生じさせる電圧値であって、前記極性と逆極性の電圧を前記第二帯電手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有する。
【解決手段】 本発明は、回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する第一帯電手段と、前記第一帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されることで前記像担持体に向かって放電可能である第二帯電手段と、を有する画像形成装置において、前記第一帯電手段が前記像担持体を帯電する動作を停止させ、放電を生じさせる電圧値であって、前記極性と逆極性の電圧を前記第二帯電手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置に用いられる帯電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した画像形成装置では、像担持体の表面を帯電させた後に、像露光を行うことで像担持体に静電潜像を形成する。像担持体の表面を帯電する構成の一例として、コロナ帯電器が広く用いられている。
【0003】
コロナ帯電器は、例えばステンレス鋼(以下SUSと称す)からなる一面を開放した支持筐体としてのシールドケースの両端部に配設された支持ブロック間にタングステン等の線材で構成される帯電線を展張した構成を備えている。コロナ帯電器を用いて像担持体を帯電させる場合、シールドケースの開放面を像担持体に近接状態で対向させ、帯電線に放電電流を供給してコロナ放電を発生させ、像担持体の表面に電荷が付与される。
【0004】
帯電電位の制御は、帯電線と像担持体との間にグリッドを設け、そのグリッドに印加するグリッドバイアスによって像担持体に付与する電荷量を調整することで帯電電位が制御されている。グリッドとしては、主に帯電線と同種の材料、あるいはSUS等により形成されたワイヤ形状のグリッドやエッチング等により多数の孔が形成された板状グリッドを用いたものが知られている。
【0005】
一方、像担待体として有機感光体を用いた画像形成装置が知られている。有機感光体は、図1に示すとおり一般的にアルミニウムを基体としてUCL(Under Coat Layer)、CGL(Carrier Generation Layer)、CTL(Carrier Transport Layer)、OCL(Over Coat Layer)の順に積層された構成となっている。この種の有機感光体では特に高温高湿環境下においてコロナ帯電器による放電で生成されたオゾンや硝酸イオン化合物であるイオン生成物が表面と反応し、一部は感光体表層のOCLを酸化劣化させる。また、イオン生成物が蓄積すると、静電特性或いは画像特性に種々の悪影響を及ぼす。特に高湿環境下では空気中の水分が感光体表面のイオン生成物又はこれと感光体表面の材料と活性反応すると感光体表面の抵抗が下がることで表面電位が低下し、画像が不鮮明となる現象が生じやすいことが知られている。
【0006】
この課題に対して、従来では以下の特許文献に見られる対策により画像品位を維持してきた。特許文献1では、感光体表面温度を上げることにより感光体表面近傍の絶対水分量を少なくすることにより水分吸着を防止している。また、特許文献2では、予め感光体表面にステアリン酸亜鉛等の塗布部材を塗ることによりイオン生成物が発生しても感光体表面内への侵入を防止するものである。また、特許文献3では研磨手段により感光体表層の研磨を行い、感光体表面に付着したイオン生成物を除去するものである。また、特許文献4では感光体材料にフィラーとしてアルミナ、フッ素含有樹脂等を分散させ撥水性を持たせることにより水分吸着を防止するものである。
【特許文献1】特開平11−143294
【特許文献2】特開2001−051571
【特許文献3】特開2000−081820
【特許文献4】特開平05−011480
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、感光体表面におけるイオン生成物は、感光体表層の凹凸部の凹部に侵入したものもある。そのため、微細な部分に侵入したイオン生成物に関しては、上記のような構成による除去は難しい。そのため、長期に渡る使用において除去しきれなくなったイオン生成物が蓄積していき、画像劣化の現象が生ずるのが早まり、結果として、感光体の寿命が低寿命化する。
【0008】
本発明の目的は、像担持体表面の微細な部分に侵入したイオン生成物の除去を可能とする画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する第一帯電手段と、前記第一帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されることで前記像担持体に向かって放電可能である第二帯電手段と、を有する画像形成装置において、前記第一帯電手段が前記像担持体を帯電する動作を停止させ、前記第一帯電手段が前記像担持体を帯電する前記所定の極性と逆極性の放電を生じさせる電圧を前記第二帯電手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有することを特徴とする。
【0010】
また、回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されることで前記像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する転写手段と、を有する画像形成装置において、前記帯電手段が前記像担持体を帯電する動作を停止させ、前記所定の極性と逆極性の放電を生じさせる電圧を前記転写手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有することを特徴とする。
【0011】
また、回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、を有する画像形成装置において、前記所定の極性と逆極性の放電を生じさせる電圧を前記帯電手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、像担持体表面の微細な凹部分に侵入したイオン生成物の除去を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図2に本実施例の画像形成装置の概略構成を示す。画像形成装置は、矢印方向に回転する像担持体である感光ドラム1を有する。そして、帯電手段である帯電器2は、感光ドラム1の表面を所定の極性の予め設定された電位になるように一様に帯電する。そして、像露光装置3は画像情報に応じて帯電された帯電面を露光することで感光ドラム1上に静電潜像を形成する。そして、現像手段である現像装置4は、静電潜像をトナーにより現像し、トナー像を形成する。そして、転写手段である転写装置5は、感光ドラム1上に形成されたトナー像を転写材に転写する。本実施例では、転写材は、トナー像を担持する中間転写体であるが、記録材である構成であってもいい。そして、定着装置11は、記録材上に転写されたトナー像を熱と圧により記録材上に定着する。一方、クリーニング装置6は、転写後に感光ドラム1の表面に残留したトナーを除去、回収する。クリーニング装置は、感光ドラム1に当接したクリーニングブレード7やファーブラシ6aを有し、これらが感光ドラム1上からトナーを掻き落とし、回収トナー容器6bにトナーを回収する。また、画像形成装置は、感光ドラム1の表面上に残存している電荷を除電する為の除電装置8、9を備えている。以下に各構成要素について述べる。
【0014】
(感光ドラム1)
本実施例では、像担持体として回転ドラム型の電子写真感光体(感光ドラム)を備えている。この感光ドラム1は負帯電特性のOPC(有機光半導体)で形成された感光層を有している。感光ドラム1は直径84mmに形成されていて、中心支軸(不図示)を中心に285mm/secのプロセススピード(周速度)をもってドラム駆動部(モータ)40の駆動力により矢印方向に回転駆動される。
【0015】
(帯電器)
本実施例では、図2に示すように第一帯電手段としてコロナ帯電器2が設けられている。
【0016】
帯電ワイヤ2aには外部電源が接続され、バイアスが印加されることでコロナ放電を発生させ、感光ドラム1を帯電する。本実施例では、コロナ帯電器2により感光ドラム表面は、―600Vに帯電される。帯電ワイヤ2aにはステンレススチール、ニッケル、タングステンを用いるのが良い。本実施例においては金属の中で非常に安定性の高いタングステンを帯電ワイヤに使用した。タングステンを帯電ワイヤに使用することで、加熱、オゾン環境下という苛酷な条件下で、安定したコロナ放電を行う事ができ、長期間に亘り安定性を確保することができる。
【0017】
帯電ワイヤ2aは、電気的なシールド作用の役目を有するステンレス鋼(以下SUSと称す)から成る支持筐体に一体的に設けられた絶縁材料から成る保持部材2cによって一定の張力で保持される。そして、保持部材2cによって帯電ワイヤと支持筐体2cは電気的に絶縁性が保たれている。帯電ワイヤ2aは、高圧電源30に接続されている。帯電ワイヤ2aは直径40μm〜100μmにすることが好ましい。帯電ワイヤ2aの直径が小さすぎると放電によるイオンの衝突で切断してしまう。逆に、帯電ワイヤ2aの直径が大きすぎると安定したコロナ放電を得る為に帯電ワイヤ2aに印加する電圧が高くなってしまう。印加電圧が高いと、オゾンが発生しやすいだけでなく、更に、電源コストが上昇してしまう。本実施例においては、帯電ワイヤ2aの直径は60μmのタングステンワイヤを起用した。帯電ワイヤ2aによりコロナ放電を発生させた電荷に対して高圧電源30に接続された板状グリッド2bのバイアス制御により整流効果を発生させ、感光ドラム1に付与される電荷量を調整し帯電電位が制御される。板状グリッド2bは、感光ドラム1と面する側と、帯電ワイヤ2aと面する側とを貫通する複数の開孔が形成された多孔質形状をしている。板状グリッド2bは、支持筐体2cの開放面に取り付けられ、感光ドラム1の外周面に近接して配置される。以下板状グリッドといった場合、特に説明がない場合でも、上述のようにメッシュ状にグリッドを貫通する複数の開孔が形成されたものを示す。
【0018】
なお、本実施例では、帯電ワイヤ2aに付着した放電生成物等を除去する為のワイヤ清掃部材を配設している。ワイヤ清掃部材が帯電ワイヤ2aと接する部位は帯電ワイヤ2aに押され凹状になっている。ワイヤ清掃部材の形状は矩形に限らず帯電ワイヤ2aの外周形状と同様な円弧状の切込みを入れ帯電ワイヤ2aから抵抗を軽減させてもよい。本実施例では、スポンジを基材表層にゴム層を設けその表層に研磨粒子であるアルミナを塗布し、樹脂結着させた清掃部材を適用した。
【0019】
(露光装置)
帯電処理された感光ドラム1表面に静電潜像を形成する像露光装置3を備えている。像露光装置3は本実施例では、半導体レーザを用いたレーザビームスキャナを用いたが、これに限定されるわけではなくLEDによる露光方式を採用してもなんら問題はない。本実施例では、帯電面を露光信号に応じて露光する。露光部は―150Vの電位となり、静電潜像が形成される。
【0020】
(現像装置)
トナー像形成手段(現像手段)となる現像装置(現像器)4は、感光ドラム1上の静電潜像をトナー像として可視化する。本実施例では、現像装置4として二成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置を用いた。現像装置4は、現像容器4a、現像スリーブ4bを有している。現像容器4a内にはトナーと磁性キャリアとの混合物である二成分現像剤が収容されている。本実施例では磁性キャリアの抵抗は約5×108Ω・cm、平均粒径は35μmとした。トナーは磁性キャリアとの摺擦により負極性に摩擦帯電される。現像スリーブ4bは、感光ドラム1との最近接距離(S−Dギャップ)を約250μmに保持した状態で、感光ドラム1に近接するように対向配置されている。この感光ドラム1と現像スリーブ4bとの対向部が現像部となる。
【0021】
現像スリーブ4bはその表面が、現像部の感光ドラム1表面の移動方向とは逆方向に回転する。つまり、現像スリーブ4bは感光ドラム1の矢印方向の回転に対して順方向に回転する。現像スリーブ4bは、内側にマグネットローラを備え、その磁力により二成分現像剤が現像スリーブの回転に伴って現像部に回転搬送される。磁気ブラシ層は、コーティングブレードにより所定の薄層に整層され、現像スリーブ4bには高圧電源30から所定の現像バイアスが印加される。本実施例では、現像スリーブ4bに印加される現像バイアスは、直流電流(Vdc)と交流電圧(Vac)を重畳した振動電圧で、直流電圧を−650v、交流電圧をVpp1800vとした。この現像バイアスによる電界によって感光ドラム1上の静電潜像に対応して二成分現像剤中のトナーが選択的に付着する。これにより、静電潜像が現像される。このとき、感光ドラム1上に現像されたトナーの帯電量は約−30μC/gであった。現像部を通過した現像スリーブ上の現像剤は現像スリーブ4bの回転に伴い現像容器内の現像剤溜り部に戻される。
【0022】
(転写装置)
転写手段として転写装置5を示す。本実施例では、中間転写体である中間転写ベルト5aと、一次転写部材である一次転写ローラ5bと、二次転写手段である二次転写内ローラ5cと二次転写外ローラ5dと、を用いた転写装置である。一次転写ローラ5bは感光ドラム1表面に所定の押圧力を持って圧接しており、そのニップ部が転写部Tとなる。中間転写ベルト5aは感光ドラム1と一次転写ローラ5bとの間に挟持されて搬送される。高圧電源30からトナーの正規帯電極性である負極性とは逆極性である正極性の転写バイアス(本実施例は+1.6kv)が一次転写ローラ5bに印加されることで、中間転写ベルト5a表面に感光ドラム1上のトナー像が順次に静電転写されていく。本実施例では一次転写ローラ5bへの印加電圧は、ATVC(Active Transfer Voltage Control)制御によって決定された電圧値を印加する。ATVC制御は、予め決められた2点の電圧値に対する電圧―電流特性より2点補間による演算処理から所望の電流値に対する電圧値を決定する制御である。中間転写ベルト5a上のトナー像は次に二次転写内ローラ5cと二次転写外ローラ5dにより形成される二次転写部にて搬送されてきた記録材Pに転写される。
【0023】
(クリーニング装置)
本実施例の清掃手段であるクリーニング装置は、回転可能なファーブラシ6aとクリーニングブレード7を有する構成である。クリーニング装置はファーブラシ6aとクリーニングブレード7により除去されたトナーを収容する回収トナー容器6bを有する。転写工程後に感光ドラム1上に残留したトナーはファーブラシ6aの回転により回収トナー容器6bに回収される。本実施例ではクリーニングブレード7はウレタンゴムの弾性体からなり、感光ドラム1表面に所定の押圧力をもって圧接し、ファーブラシ6aで回収できなかった転写残トナーを除去し、トナーを回収トナー容器6bに回収する。
【0024】
(除電装置)
本実施例では、画像形成装置には、第1の除電手段である帯電前露光器(前露光ランプ)8と、第2の除電手段であるクリーニング前露光器(クリーニング前露光ランプ)9とからなる除電装置が配置されている。この除電装置により1次転写工程後の感光ドラム1表面上の電位をリセットする。本実施例では、帯電前露光器8及びクリーニング前露光器9として中心波長660nmのスタンレー社製のLEDチップ(発光部)をアレイ状に加工したものを使用した。帯電前露光器8及びクリーニング前露光器9は、それぞれの駆動制御部としての帯電前露光器駆動回路、クリーニング前露光器駆動回路に接続されている。帯電前露光器駆動回路及びクリーニング前露光器駆動回路はそれぞれ、後述する図3の制御部100によって、光照射のON/OFFタイミング、出力値(光量)等の条件が制御される。
【0025】
(第二帯電器)
本実施例では、高圧電源30から負極性のバイアスが印加されることで、感光ドラム1上に形成されたトナー像を帯電するための放電可能である第二帯電手段である第二帯電器10を有する。この第二帯電器10は、感光ドラム1上に形成されたトナー像を乱すことを防止するために、感光ドラム1に対して非接触であるコロナ帯電器を用いている。
【0026】
(定着装置)
本実施例では、記録材上のトナー像を記録材に定着するための定着手段としての定着装置11を有する。定着装置11は、ヒータ11cを有する定着部材(定着ローラ)11aと定着部材に圧接し、記録材を挟持搬送するニップ部を形成する加圧部材(加圧ローラ)11bを有する。記録材上のトナー像は、熱と圧により記録材に定着される。
【実施例1】
【0027】
(イオン生成物の除去について)
画像形成装置で画像形成を行う際に感光ドラムを帯電するためのコロナ帯電器2と感光ドラム1との間にスコロトロンあるいはコロトロン放電を生じさせると、空気中の酸素O2は、
以下の反応式により
3O2→2O3 (式1)
オゾンO3が生成される。
【0028】
放電空間内において、オゾンO3は自然分解反応及び放電による化学反応により水酸化物イオンOH−や酸素イオンO2−等に変化する。そして、放電中において空気中の窒素N2との光分解反応及び吸着反応により酸化窒素NOが生成される。この酸化窒素NOが酸化反応により、二酸化窒素NO2が生成される。生成された二酸化窒素NO2は、遊離している酸素イオンO2−と吸着反応し、
NO2+O2−→NO3− (式2)
により硝酸イオンNO3−が生成される。硝酸イオンNO3−は、空気中の炭化水素類CnHnと吸着反応することで硝酸HNO3が生成される。
【0029】
また同時に二酸化窒素NO2の状態においてもヒドロキシイオンOH−との吸着反応により、
NO2+OH−→HNO3 (式3)
により硝酸HNO3が生成される。さらに硝酸イオンNO3−は二酸化窒素NO2との吸着反応により、
NO3−+NO2→N2O5 (式4)
により五酸化二窒素N2O5のイオン結晶を生成させる。五酸化二窒素N2O5はエアロゾルとの吸着等により硝酸HNO3が生成される。生成された硝酸HNO3が感光ドラム1表面上に付着、堆積することにより表層との酸化反応によりイオン生成物が生成され、本課題の一因である硝酸イオン物質が生成されることになる。
【0030】
本実施形態の画像形成装置は、画像を形成しないタイミングである非画像形成時に、上記イオン生成物を除去する除去制御を実行するものである。
【0031】
本発明における実施形態に関する第二帯電手段である第二帯電器10を用いた除去制御について説明する。第二帯電器10は感光ドラム1に対して非接触に配置され、高圧電源30より所望の電圧値が印加されることにより放電により感光ドラム1を正極性に帯電する。本実施例では、非接触方式のコロナ帯電器であるが、接触帯電器であってもいい。
【0032】
正コロナ放電は空気中における自由電子がコロナ放電対象内にて酸素や窒素分子と衝突し電子と正イオンの対を生成する。この正イオンは負の電極(本実施例では感光体側)に向かって運動し、電子はまた他の分子にぶつかって電子と正イオンの対を作るか、正の電極に向かって動く。電極(この場合感光体側)は電子を受け取る側であるので、本除去制御実行により、感光体表層及び近傍に付着、蓄積したイオン生成物が第二の帯電手段により正の放電を受けることにより電子を受け取る。特に硝酸イオン化合物に対して電荷を与えることにより還元反応を活性化させ、
NO3+H2O+2e−→NO2+2OH (式5)
の反応により、硝酸イオンを還元し、また放電により発生する紫外線により硝酸イオンを亜硝酸イオンに分解することにより表層及び近傍中の硝酸イオンの自然分解を促進する。さらに正の放電雰囲気中における高濃度のNOx環境により亜硝酸イオンを触媒とする自己酸化還元反応により、より硝酸イオンの還元反応を活性化させている(出典:Journal of Molecular Catalysis、154〜203頁(2000年)、東工大クロニクルNo.410(2006)、化学工業統計月報、化学工学量論、化学量論)。
【0033】
(制御部)
本発明における実施形態に関するブロック図、除去制御フロー及びシーケンスについて説明する。図3は本実施形態における、画像形成装置内の制御系を示すブロック図である。図3を基に本実施例で動作させる制御に関する制御フローを述べる。
【0034】
まず、本発明に関する制御系のブロック図について説明する。制御部(CPU)100は、記憶部101と間で情報の交換が可能である。また、制御部100は画像形成装置のドラム駆動部40の動作を制御する。また、環境検知部である温度検知部20と湿度検知部21の出力が制御部100に入力される。また、画像形成装置を操作する操作部200からの信号が制御部100に入力される。また、制御部100は、高圧電源30の動作を制御する。即ち、制御部100は、高圧電源30から帯電器2と現像装置4と転写装置5と第二帯電器10へのバイアス印加を制御する。また、制御部100は、放電を生じさせる電圧値であって、帯電器2が画像形成時に印加する電圧の極性と逆極性の電圧を第二帯電器10に印加した状態でドラム駆動部40の動作を実行する機能を有する。
【0035】
次に、本実施例における感光ドラム1上のイオン生成物を除去する除去制御について説明する。図6は実施例1における除去制御の動作シーケンス図であり、ドラム駆動部40であるドラムモーターにより感光ドラムが回転を開始する。感光ドラム1の回転中に、第二帯電器10に高圧が所定の時間印加される。そして、第二帯電器10へのバイアス印加終了後、ドラム回転が終了し、除去制御が終了する。ここで、第二帯電器10に印加する電圧は+1.6KVであり、放電を生じさせる電圧値である。除去制御動作時間内では、帯電器2への帯電バイアス、露光装置による露光、現像バイアス、転写バイアス、前露光(帯電前露光器、クリーニング前露光器を含む)はOFFとする。本実施例では、帯電バイアスをOFFとしたが、帯電が行われない程度のバイアスなら、バイアスが印加されていても構わない。
【0036】
なお、本実施例の除去制御時に第二帯電器10に印加する電圧の値は画像形成装置における通常画像形成時において転写部材5bに印加する電圧値であり、本実施例では+1.6kvを印加している。また、印加時間は5分とした。印加時間及び電圧値に関しては本実施例の値に限定されるわけではない。ただし、除去制御動作中は、少なくとも感光ドラム1が1回転以上回転することが望ましい。
【0037】
なお、本実施例では、帯電器2と転写部材5bへのバイアスをOFFとする構成であったが、それぞれ、或いは、一方に画像形成時の感光ドラム1が帯電する極性と逆極性の電圧であって、放電を生じさせる電圧を印加する構成であっても構わない。
【0038】
除去制御動作が行われているときは、ファーブラシ6aの回転を停止させたり、クリーニング部材であるクリーニングブレード7を離間する構成であってもいい。
【0039】
しかし、本実施例では、ファーブラシ6aの回転を感光ドラム1の回転に連動させる構成とすることで、ファーブラシ6aを回転させながらクリーニングブレード7を感光ドラム1に当接させて(クリーニング動作の実行)、除去制御が行われるものとする。
【0040】
その理由は、制御実行時において少なくとも放電により感光ドラムを帯電させるために発生してしまうオゾンや窒素酸化物等のイオン生成物が感光ドラム1に付着する虞がある。しかし、クリーニング動作の実行を行うことで感光ドラム表層上のイオン生成物を除去可能である。その結果、より除去制御の効果を高めることができる。
【0041】
ここで、ドラムクリーニングを動作させる効果について検証する。図7はクリーニング動作を行わないときの動作間隔枚数に対する印加時間(除去制御動作時間)を画像にて評価を実施した結果である。画像評価により○を異常無し、△を軽微に発生、×を発生とし分類したものである。図8はクリーニング動作を行ったときの動作間隔枚数に対する印加時間(除去制御動作時間)を画像にて評価を実施した結果である。図7と図8を比較すると、除去制御動作の実行時にクリーニング動作を行うと、よりイオン生成物の除去効果を高められることがわかる。
【0042】
本実施例では、図7及び図8の評価結果より、調整制御枚数を考慮し、印加時間5分、動作タイミングを500枚とした。尚、本設定は是に限定されず、例えば調整制御枚数に達したとき以外にも画像形成動作が終了した後の後回転、電源ON後の非画像形成時(像担持体上に画像信号に基づくトナー像が形成していないとき)に除去制御を行ってもいい。
【0043】
本実施例での除去制御は、
〔1〕操作部200からの除去制御実行指示による実行
〔2〕画像形成枚数が500枚毎に実行(画像形成枚数とは、記録材の一面に画像を形成すると1枚とカウントされるものである)
とした。
〔1〕による動作は、画像形成装置の操作部に実行指示ボタンが設けられており、ユーザがこのボタンを押すと、5分間、第二帯電器10に+1.6kVの電圧が印加されるものである。この間は、画像形成動作は行われない。
【0044】
次に、〔2〕による動作について説明する。
【0045】
本実施例では、〔2〕による動作の動作タイミングである500枚は記憶部102に記憶されている閾値Φとして設定し動作させた。なお、制御部100は、感光ドラム1に形成された画像形成枚回数を積算する積算部の機能を有するものとする。
【0046】
図4に基づいて、〔2〕による動作の制御のフローチャートを説明する。先ず、画像形成装置は、画像形成開始信号が入力されることを待機する待機(スタンバイ)状態にある。この待機状態中にてユーザから画像を形成する命令(JOB)の信号が入力されると、制御フローがスタートする。そして、画像形成動作が開始される(S01)。JOB開始判断フラグにより画像形成が開始した場合、制御部100は除去制御用のカウンタ情報を取得する(S02)。この除去制御用カウンタは、前回の除去制御の実行からの画像形成枚数を積算するものである。そして、JOBの画像形成動作が終了したか否かの判断が行われる(S03)。画像形成が終了した場合に、制御部100は、画像形成枚数を積算したカウンタ値Nが、閾値Φと同値になったか判断する(S04)。同値になった場合には、後回転にて除去制御を実行し(S05)、実行後カウンタ値Nをクリアし(S06)、待機状態に移行し(S08)、終了となる。次に、S04でJOBの実行を継続する場合には、S09に移行する。そして、N=φになったかの判断が行われる(S09)。Nがφに達していない場合には、カウンタ情報の取得が継続される。しかし、Nがφに達すると、画像形成動作を一時停止し、割り込みにて除去制御が開始される(S10)。そして、カウンタをクリアし(S11)、画像動作が再開される。
【0047】
本実施例では、カウンタ値Nを像担持体上に形成された画像を累積した累積画像形成枚数とし閾値Φを動作実行回数とした。尚、本実施例では累積画像形成枚数を実行値として定義したがこれに限定されない。他の方法として、カウンタ値Nを像担持体上に形成された画像の形成画素数を累積した累積形成画素数に基づく値とし、それに応じた閾値Φを設定してもなんら問題は無い。あるいはカウンタ値Nを、帯電手段による帯電時間を累積する累積部の機能を有する制御部により累積された累積時間に基づく値として定義し、それに応じた閾値Φを設定してもなんら問題は無い。
【0048】
本実施例では、像担持体表面を負極性に一様帯電し、且負帯電性トナーを用いるいわゆる反転現像方式を採用した。しかし、正極性トナーを用いる反転現像方式や、負又は正極性トナーを用いる正規現像方式でも、本発明の適用が可能である。また、本発明はトナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いたものに限らず、一成分現像剤を用いたものであっても適用可能である。
【0049】
このように、本実施例により、像担持体表面の微細な凹部分に侵入したイオン生成物の除去を行うことができる。
【実施例2】
【0050】
他の実施例について説明する。本実施例では、画像形成装置の構成及び除去制御の動作は実施例1の構成と同様であるが、新たに、画像形成装置の環境に応じて除去制御の動作の実行が行われるものである。具体的には、絶対水分量を算出し、絶対水分量が大きい環境では、除去制御フローの実行を行うものである。制御部100は絶対水分量を算出する算出部の機能を有する。その理由としては、絶対水分量が大きい環境では、感光ドラム1の表面に水分が付着する。その結果、感光ドラム1の表面抵抗が低下やすくなり、画像が不鮮明となる異常画像が生じやすい。感光ドラム上に残留しているイオン生成物の量が多くなると、その傾向は、より顕著となる。そのため、本実施例では、イオン生成物による影響を小さくすることで、絶対水分量が大きい環境であっても、像担持体の表面抵抗の低下を小さくすることを目的とする。
【0051】
この制御について、図5のフローチャートを用いて説明する。この制御フローは制御動作要否判定を行うための制御であり、画像形成装置の主電源がONされるとスタートする。先ずは、温度検知部20で環境温度が検知される(S001)。次に、湿度検知部21にて、環境湿度が検知される(S002)。検知された温度と湿度に基づいて演算部としての機能を有する制御部100が絶対水分量Mを算出する(S003)。
【0052】
尚、絶対水分量Mは以下の定義にて処理される。検出温度T(℃)に対して小数点以下を切り捨てた値INT(T+1)、INT(T−1)の2データを抽出し、この値における飽和水蒸気圧量P(T−1)、P(T+1)を記憶部102のデータより抽出し、線形補間により飽和水蒸気圧P1を決定する。次に湿度H(%)における水蒸気の分圧P2を求め、ここから乾燥空気の分圧P3を算出する。そして、これより蒸気の分子量と乾燥空気の分子量の比を掛け合わせ1kg中の乾燥空気中の絶対水分量Mを算出する。以下にP1、P2、P3、Mの定義式を示す。
【0053】
P1=P(T−1)+(T−INT(T−1))×(P(T+1)−P(T−1))/(INT(T+1)−INT(T−1)) (1−1)
P2=P1×H/100 (1−2)
P3=760mmHg−P2 (1−3)
M=0.622×P2/P3×1000 (1−4)
次に、算出された絶対水分量Mが予め設定されている制御開始閾値aと比較を行う(S004)。M<aなる条件を満たした場合には、実施例1に記載されている除去動作を行わず、画像形成信号の入力を待機する待機状態へ移行する(S007)。一方で、M≧aの場合には、実施例1の除去制御動作を実行し(S005)、その後待機状態へ移行する(S006)。
【0054】
本実施例では、この制御フローを電源がONとなったときにスタートする構成であったが、待機状態中に予め決められたタイミング、例えば、電源ONからの経過時間が所定の時間に達したタイミングで、この制御フローを動作させる構成とすることも可能である。
【実施例3】
【0055】
更なる実施例について説明する。本実施例の特徴は、除去制御動作時において、帯電器2は感光ドラム1を非帯電の状態であって、転写部材5bに正の高圧を印加するにより感光ドラム1に対して放電させながら帯電させるものであり、図10は本実施例における制御系を示す図である。即ち、上記の実施例では、除去制御動作時には第二帯電器10が放電を生ずる構成であったが、本実施例では第二帯電器10に替わって、転写部材5bが放電を生ずる構成である。
【0056】
図11は本実施例3における動作シーケンス図であり、本実施例では感光ドラムに対して正の高圧を印加する手段として転写手段の転写部材5bを適用し動作させた。本実施例ではドラムモーターにより感光ドラムが回転する。感光ドラム1の回転中に転写部材5bにバイアスを印加する。そして、所定の時間経過後、転写バイアスの印加が終了し、その後、感光ドラム1の回転が終了して除去制御終了とする。除去制御動作時間内では、帯電バイアス、像露光、現像バイアス、前露光(帯電前露光器、クリーニング前露光器を含む)をOFFとした。なお、本実施例では、実施例1に記載のクリーニング動作を動作させた。尚、本実施例において印加する転写バイアスの値はATVC制御により通常画像形成時において印加する電圧値である。本実施例では約+1.6kvを印加、印加時間は5分とした。印加時間及び電圧値に関しては本実施例にて適用した値に限定されるわけではない。ただし、除去制御動作時は、少なくとも感光ドラム1が1回転以上回転させることが望ましい。
【0057】
本実施例での制御フローにおいては、実施例1及び実施例2の第二帯電器10へのバイアス印加動作を転写バイアス動作に置き換える制御を行う。
【0058】
このように、第二帯電器10以外の転写装置に、画像形成時に像担持体を帯電する極性と逆極性の電圧であって、放電を生じさせる電圧を印加することで、実施例1、実施例2と同様の効果を得ることができる。
【0059】
本実施例では、転写装置による構成であったが、転写装置にかえて、画像形成時に像担持体を帯電する帯電器2に画像形成時に像担持体を帯電する極性と逆極性の電圧であって、放電を生じさせる電圧を印加する構成としても、同様の効果を得ることは当然である。
【0060】
また、第二帯電器と転写装置のように、二つの帯電器に同時にバイアスを印加する除去制御を行うと、放電効果を2倍にすることができ、除去制御時間を短縮することができる。具体的には、第二帯電器10と転写装置の転写部材5bに、同時に、それぞれ1.6KVの電圧を印加すると、2.5分の実行時間で実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0061】
さらに、第二帯電器と転写装置に加え、帯電器2にも同様の制御を行うとより効果が高まることは当然である。
【0062】
(本発明の検証)
除去制御の実行/非実行による画像弊害の発生比較を下記の要領にて確認した。カラー画像をA3サイズの記録材を毎分20枚出力できる画像形成装置を使用した。また、高温高湿(30℃90%)環境下にて、A3用紙にてカラーのハーフトーン画像にて連続耐久し、一方は500枚毎に制御を実行し、他方は非実行にて連続耐久を行い、500枚毎における17階調パターン画像を出力し評価した。なお、この検討際には、本発明の効果の差を明確にするため、画像を出力する以外の他の制御の実行は行わず、画像の出力のみを行うものとした。ここで、ハーフトーン画像とは、スクリーン線数168線にて256階調のうち48階調目を使用した画像である。
【0063】
制御実行/非実行時における連続耐久時における画像主観評価を〔表1〕に示す。○を異常無し、△を軽微に発生、×を発生とし分類したものである。
【0064】
【表1】
【0065】
表1における主観評価では、除去制御実行によりオゾン生成物による感光ドラム表面の抵抗低下による画像不良を抑制できることがわかった。一方、非実行時においては、耐久途中にて画像不良が早期に発生した。
【0066】
また図10は除去制御非実行による現像コントラストに対する濃度の関係を示した図である。横軸に現像コントラスト、縦軸に実濃度をプロットした図である。また、また図11は除去制御実行による現像コントラストに対する濃度の関係を示した図である。initialは初期であり、2.5kは上記と同じ条件で連続耐久したものである。横軸に現像コントラスト、縦軸に実濃度をプロットした図である。各対応プロット点は、画像不良発生時における上記17階調パターン画像の実濃度を測定、現像コントラストに関しては、同17階調パターンの潜像のみを電位測定を行い、現像バイアス値より算出したものである。以下に現像コントラスト値の定義式を示す。
【0067】
Vcont(n)=(Vn−Vdc)−(Vh(n)−Vdc) (2−1)
Vcont(0)=Vd−Vdc (2−2)
Vcont(n)=Vcont(0)−(Vh(n)−Vdc)n=1〜16 (2−3)
Vcont(n):各階調における現像コントラスト、Vd:暗電位、Vh(n):各階調における潜像電位
Vdc:現像バイアス電位
現像コントラストに対する濃度の関係においても、本発明の制御を実行しなかった感光ドラムにおいては、新品状態と比較すると、同じコントラストに対して低コントラスト部では濃度低下を、高コントラスト部では濃度上昇が見られている。これは画像流れが発生した際における非作像領域への電荷流れが発生していることにより、静電潜像の乱れた状態を示している。しかし、本実施例を適用した場合における潜像特性は初期と比較しても変化量が小さく、本発明の除去制御の効果が高いことがこの検証から理解できる。
【0068】
以上より、本発明により、像担持体表面の微細な部分に侵入したイオン生成物の除去を行うことができる。
【0069】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術思想内であらゆる変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る感光ドラム表層におけるイオン生成物の堆積イメージ図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図3】本発明に係る実施例1及び2に関する画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る実施例における第1の制御フローを示した図である。
【図5】本発明に係る実施例における第2の制御フローを示した図である。
【図6】本発明に係る実施例1における制御シーケンス図である。
【図7】実施例1におけるクリーニング動作を行わなかったときの画像の主観評価を示した図である。
【図8】実施例1におけるクリーニング動作が行われたときの画像の主観評価を示した図である。
【図9】本発明に係る実施例4における制御シーケンス図である。
【図10】本発明に係る制御非実行による現像コントラストに対する濃度の関係を示した図である。
【図11】本発明に係る制御実行による現像コントラストに対する濃度の関係を示した図である。
【符号の説明】
【0071】
1 像担持体
2 帯電器
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニングブレード
7 クリーニングファーブラシ
8 帯電前露光器
9 クリーニング前露光器
10 第二の帯電装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置に用いられる帯電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した画像形成装置では、像担持体の表面を帯電させた後に、像露光を行うことで像担持体に静電潜像を形成する。像担持体の表面を帯電する構成の一例として、コロナ帯電器が広く用いられている。
【0003】
コロナ帯電器は、例えばステンレス鋼(以下SUSと称す)からなる一面を開放した支持筐体としてのシールドケースの両端部に配設された支持ブロック間にタングステン等の線材で構成される帯電線を展張した構成を備えている。コロナ帯電器を用いて像担持体を帯電させる場合、シールドケースの開放面を像担持体に近接状態で対向させ、帯電線に放電電流を供給してコロナ放電を発生させ、像担持体の表面に電荷が付与される。
【0004】
帯電電位の制御は、帯電線と像担持体との間にグリッドを設け、そのグリッドに印加するグリッドバイアスによって像担持体に付与する電荷量を調整することで帯電電位が制御されている。グリッドとしては、主に帯電線と同種の材料、あるいはSUS等により形成されたワイヤ形状のグリッドやエッチング等により多数の孔が形成された板状グリッドを用いたものが知られている。
【0005】
一方、像担待体として有機感光体を用いた画像形成装置が知られている。有機感光体は、図1に示すとおり一般的にアルミニウムを基体としてUCL(Under Coat Layer)、CGL(Carrier Generation Layer)、CTL(Carrier Transport Layer)、OCL(Over Coat Layer)の順に積層された構成となっている。この種の有機感光体では特に高温高湿環境下においてコロナ帯電器による放電で生成されたオゾンや硝酸イオン化合物であるイオン生成物が表面と反応し、一部は感光体表層のOCLを酸化劣化させる。また、イオン生成物が蓄積すると、静電特性或いは画像特性に種々の悪影響を及ぼす。特に高湿環境下では空気中の水分が感光体表面のイオン生成物又はこれと感光体表面の材料と活性反応すると感光体表面の抵抗が下がることで表面電位が低下し、画像が不鮮明となる現象が生じやすいことが知られている。
【0006】
この課題に対して、従来では以下の特許文献に見られる対策により画像品位を維持してきた。特許文献1では、感光体表面温度を上げることにより感光体表面近傍の絶対水分量を少なくすることにより水分吸着を防止している。また、特許文献2では、予め感光体表面にステアリン酸亜鉛等の塗布部材を塗ることによりイオン生成物が発生しても感光体表面内への侵入を防止するものである。また、特許文献3では研磨手段により感光体表層の研磨を行い、感光体表面に付着したイオン生成物を除去するものである。また、特許文献4では感光体材料にフィラーとしてアルミナ、フッ素含有樹脂等を分散させ撥水性を持たせることにより水分吸着を防止するものである。
【特許文献1】特開平11−143294
【特許文献2】特開2001−051571
【特許文献3】特開2000−081820
【特許文献4】特開平05−011480
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、感光体表面におけるイオン生成物は、感光体表層の凹凸部の凹部に侵入したものもある。そのため、微細な部分に侵入したイオン生成物に関しては、上記のような構成による除去は難しい。そのため、長期に渡る使用において除去しきれなくなったイオン生成物が蓄積していき、画像劣化の現象が生ずるのが早まり、結果として、感光体の寿命が低寿命化する。
【0008】
本発明の目的は、像担持体表面の微細な部分に侵入したイオン生成物の除去を可能とする画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する第一帯電手段と、前記第一帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されることで前記像担持体に向かって放電可能である第二帯電手段と、を有する画像形成装置において、前記第一帯電手段が前記像担持体を帯電する動作を停止させ、前記第一帯電手段が前記像担持体を帯電する前記所定の極性と逆極性の放電を生じさせる電圧を前記第二帯電手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有することを特徴とする。
【0010】
また、回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されることで前記像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する転写手段と、を有する画像形成装置において、前記帯電手段が前記像担持体を帯電する動作を停止させ、前記所定の極性と逆極性の放電を生じさせる電圧を前記転写手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有することを特徴とする。
【0011】
また、回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、を有する画像形成装置において、前記所定の極性と逆極性の放電を生じさせる電圧を前記帯電手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、像担持体表面の微細な凹部分に侵入したイオン生成物の除去を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図2に本実施例の画像形成装置の概略構成を示す。画像形成装置は、矢印方向に回転する像担持体である感光ドラム1を有する。そして、帯電手段である帯電器2は、感光ドラム1の表面を所定の極性の予め設定された電位になるように一様に帯電する。そして、像露光装置3は画像情報に応じて帯電された帯電面を露光することで感光ドラム1上に静電潜像を形成する。そして、現像手段である現像装置4は、静電潜像をトナーにより現像し、トナー像を形成する。そして、転写手段である転写装置5は、感光ドラム1上に形成されたトナー像を転写材に転写する。本実施例では、転写材は、トナー像を担持する中間転写体であるが、記録材である構成であってもいい。そして、定着装置11は、記録材上に転写されたトナー像を熱と圧により記録材上に定着する。一方、クリーニング装置6は、転写後に感光ドラム1の表面に残留したトナーを除去、回収する。クリーニング装置は、感光ドラム1に当接したクリーニングブレード7やファーブラシ6aを有し、これらが感光ドラム1上からトナーを掻き落とし、回収トナー容器6bにトナーを回収する。また、画像形成装置は、感光ドラム1の表面上に残存している電荷を除電する為の除電装置8、9を備えている。以下に各構成要素について述べる。
【0014】
(感光ドラム1)
本実施例では、像担持体として回転ドラム型の電子写真感光体(感光ドラム)を備えている。この感光ドラム1は負帯電特性のOPC(有機光半導体)で形成された感光層を有している。感光ドラム1は直径84mmに形成されていて、中心支軸(不図示)を中心に285mm/secのプロセススピード(周速度)をもってドラム駆動部(モータ)40の駆動力により矢印方向に回転駆動される。
【0015】
(帯電器)
本実施例では、図2に示すように第一帯電手段としてコロナ帯電器2が設けられている。
【0016】
帯電ワイヤ2aには外部電源が接続され、バイアスが印加されることでコロナ放電を発生させ、感光ドラム1を帯電する。本実施例では、コロナ帯電器2により感光ドラム表面は、―600Vに帯電される。帯電ワイヤ2aにはステンレススチール、ニッケル、タングステンを用いるのが良い。本実施例においては金属の中で非常に安定性の高いタングステンを帯電ワイヤに使用した。タングステンを帯電ワイヤに使用することで、加熱、オゾン環境下という苛酷な条件下で、安定したコロナ放電を行う事ができ、長期間に亘り安定性を確保することができる。
【0017】
帯電ワイヤ2aは、電気的なシールド作用の役目を有するステンレス鋼(以下SUSと称す)から成る支持筐体に一体的に設けられた絶縁材料から成る保持部材2cによって一定の張力で保持される。そして、保持部材2cによって帯電ワイヤと支持筐体2cは電気的に絶縁性が保たれている。帯電ワイヤ2aは、高圧電源30に接続されている。帯電ワイヤ2aは直径40μm〜100μmにすることが好ましい。帯電ワイヤ2aの直径が小さすぎると放電によるイオンの衝突で切断してしまう。逆に、帯電ワイヤ2aの直径が大きすぎると安定したコロナ放電を得る為に帯電ワイヤ2aに印加する電圧が高くなってしまう。印加電圧が高いと、オゾンが発生しやすいだけでなく、更に、電源コストが上昇してしまう。本実施例においては、帯電ワイヤ2aの直径は60μmのタングステンワイヤを起用した。帯電ワイヤ2aによりコロナ放電を発生させた電荷に対して高圧電源30に接続された板状グリッド2bのバイアス制御により整流効果を発生させ、感光ドラム1に付与される電荷量を調整し帯電電位が制御される。板状グリッド2bは、感光ドラム1と面する側と、帯電ワイヤ2aと面する側とを貫通する複数の開孔が形成された多孔質形状をしている。板状グリッド2bは、支持筐体2cの開放面に取り付けられ、感光ドラム1の外周面に近接して配置される。以下板状グリッドといった場合、特に説明がない場合でも、上述のようにメッシュ状にグリッドを貫通する複数の開孔が形成されたものを示す。
【0018】
なお、本実施例では、帯電ワイヤ2aに付着した放電生成物等を除去する為のワイヤ清掃部材を配設している。ワイヤ清掃部材が帯電ワイヤ2aと接する部位は帯電ワイヤ2aに押され凹状になっている。ワイヤ清掃部材の形状は矩形に限らず帯電ワイヤ2aの外周形状と同様な円弧状の切込みを入れ帯電ワイヤ2aから抵抗を軽減させてもよい。本実施例では、スポンジを基材表層にゴム層を設けその表層に研磨粒子であるアルミナを塗布し、樹脂結着させた清掃部材を適用した。
【0019】
(露光装置)
帯電処理された感光ドラム1表面に静電潜像を形成する像露光装置3を備えている。像露光装置3は本実施例では、半導体レーザを用いたレーザビームスキャナを用いたが、これに限定されるわけではなくLEDによる露光方式を採用してもなんら問題はない。本実施例では、帯電面を露光信号に応じて露光する。露光部は―150Vの電位となり、静電潜像が形成される。
【0020】
(現像装置)
トナー像形成手段(現像手段)となる現像装置(現像器)4は、感光ドラム1上の静電潜像をトナー像として可視化する。本実施例では、現像装置4として二成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置を用いた。現像装置4は、現像容器4a、現像スリーブ4bを有している。現像容器4a内にはトナーと磁性キャリアとの混合物である二成分現像剤が収容されている。本実施例では磁性キャリアの抵抗は約5×108Ω・cm、平均粒径は35μmとした。トナーは磁性キャリアとの摺擦により負極性に摩擦帯電される。現像スリーブ4bは、感光ドラム1との最近接距離(S−Dギャップ)を約250μmに保持した状態で、感光ドラム1に近接するように対向配置されている。この感光ドラム1と現像スリーブ4bとの対向部が現像部となる。
【0021】
現像スリーブ4bはその表面が、現像部の感光ドラム1表面の移動方向とは逆方向に回転する。つまり、現像スリーブ4bは感光ドラム1の矢印方向の回転に対して順方向に回転する。現像スリーブ4bは、内側にマグネットローラを備え、その磁力により二成分現像剤が現像スリーブの回転に伴って現像部に回転搬送される。磁気ブラシ層は、コーティングブレードにより所定の薄層に整層され、現像スリーブ4bには高圧電源30から所定の現像バイアスが印加される。本実施例では、現像スリーブ4bに印加される現像バイアスは、直流電流(Vdc)と交流電圧(Vac)を重畳した振動電圧で、直流電圧を−650v、交流電圧をVpp1800vとした。この現像バイアスによる電界によって感光ドラム1上の静電潜像に対応して二成分現像剤中のトナーが選択的に付着する。これにより、静電潜像が現像される。このとき、感光ドラム1上に現像されたトナーの帯電量は約−30μC/gであった。現像部を通過した現像スリーブ上の現像剤は現像スリーブ4bの回転に伴い現像容器内の現像剤溜り部に戻される。
【0022】
(転写装置)
転写手段として転写装置5を示す。本実施例では、中間転写体である中間転写ベルト5aと、一次転写部材である一次転写ローラ5bと、二次転写手段である二次転写内ローラ5cと二次転写外ローラ5dと、を用いた転写装置である。一次転写ローラ5bは感光ドラム1表面に所定の押圧力を持って圧接しており、そのニップ部が転写部Tとなる。中間転写ベルト5aは感光ドラム1と一次転写ローラ5bとの間に挟持されて搬送される。高圧電源30からトナーの正規帯電極性である負極性とは逆極性である正極性の転写バイアス(本実施例は+1.6kv)が一次転写ローラ5bに印加されることで、中間転写ベルト5a表面に感光ドラム1上のトナー像が順次に静電転写されていく。本実施例では一次転写ローラ5bへの印加電圧は、ATVC(Active Transfer Voltage Control)制御によって決定された電圧値を印加する。ATVC制御は、予め決められた2点の電圧値に対する電圧―電流特性より2点補間による演算処理から所望の電流値に対する電圧値を決定する制御である。中間転写ベルト5a上のトナー像は次に二次転写内ローラ5cと二次転写外ローラ5dにより形成される二次転写部にて搬送されてきた記録材Pに転写される。
【0023】
(クリーニング装置)
本実施例の清掃手段であるクリーニング装置は、回転可能なファーブラシ6aとクリーニングブレード7を有する構成である。クリーニング装置はファーブラシ6aとクリーニングブレード7により除去されたトナーを収容する回収トナー容器6bを有する。転写工程後に感光ドラム1上に残留したトナーはファーブラシ6aの回転により回収トナー容器6bに回収される。本実施例ではクリーニングブレード7はウレタンゴムの弾性体からなり、感光ドラム1表面に所定の押圧力をもって圧接し、ファーブラシ6aで回収できなかった転写残トナーを除去し、トナーを回収トナー容器6bに回収する。
【0024】
(除電装置)
本実施例では、画像形成装置には、第1の除電手段である帯電前露光器(前露光ランプ)8と、第2の除電手段であるクリーニング前露光器(クリーニング前露光ランプ)9とからなる除電装置が配置されている。この除電装置により1次転写工程後の感光ドラム1表面上の電位をリセットする。本実施例では、帯電前露光器8及びクリーニング前露光器9として中心波長660nmのスタンレー社製のLEDチップ(発光部)をアレイ状に加工したものを使用した。帯電前露光器8及びクリーニング前露光器9は、それぞれの駆動制御部としての帯電前露光器駆動回路、クリーニング前露光器駆動回路に接続されている。帯電前露光器駆動回路及びクリーニング前露光器駆動回路はそれぞれ、後述する図3の制御部100によって、光照射のON/OFFタイミング、出力値(光量)等の条件が制御される。
【0025】
(第二帯電器)
本実施例では、高圧電源30から負極性のバイアスが印加されることで、感光ドラム1上に形成されたトナー像を帯電するための放電可能である第二帯電手段である第二帯電器10を有する。この第二帯電器10は、感光ドラム1上に形成されたトナー像を乱すことを防止するために、感光ドラム1に対して非接触であるコロナ帯電器を用いている。
【0026】
(定着装置)
本実施例では、記録材上のトナー像を記録材に定着するための定着手段としての定着装置11を有する。定着装置11は、ヒータ11cを有する定着部材(定着ローラ)11aと定着部材に圧接し、記録材を挟持搬送するニップ部を形成する加圧部材(加圧ローラ)11bを有する。記録材上のトナー像は、熱と圧により記録材に定着される。
【実施例1】
【0027】
(イオン生成物の除去について)
画像形成装置で画像形成を行う際に感光ドラムを帯電するためのコロナ帯電器2と感光ドラム1との間にスコロトロンあるいはコロトロン放電を生じさせると、空気中の酸素O2は、
以下の反応式により
3O2→2O3 (式1)
オゾンO3が生成される。
【0028】
放電空間内において、オゾンO3は自然分解反応及び放電による化学反応により水酸化物イオンOH−や酸素イオンO2−等に変化する。そして、放電中において空気中の窒素N2との光分解反応及び吸着反応により酸化窒素NOが生成される。この酸化窒素NOが酸化反応により、二酸化窒素NO2が生成される。生成された二酸化窒素NO2は、遊離している酸素イオンO2−と吸着反応し、
NO2+O2−→NO3− (式2)
により硝酸イオンNO3−が生成される。硝酸イオンNO3−は、空気中の炭化水素類CnHnと吸着反応することで硝酸HNO3が生成される。
【0029】
また同時に二酸化窒素NO2の状態においてもヒドロキシイオンOH−との吸着反応により、
NO2+OH−→HNO3 (式3)
により硝酸HNO3が生成される。さらに硝酸イオンNO3−は二酸化窒素NO2との吸着反応により、
NO3−+NO2→N2O5 (式4)
により五酸化二窒素N2O5のイオン結晶を生成させる。五酸化二窒素N2O5はエアロゾルとの吸着等により硝酸HNO3が生成される。生成された硝酸HNO3が感光ドラム1表面上に付着、堆積することにより表層との酸化反応によりイオン生成物が生成され、本課題の一因である硝酸イオン物質が生成されることになる。
【0030】
本実施形態の画像形成装置は、画像を形成しないタイミングである非画像形成時に、上記イオン生成物を除去する除去制御を実行するものである。
【0031】
本発明における実施形態に関する第二帯電手段である第二帯電器10を用いた除去制御について説明する。第二帯電器10は感光ドラム1に対して非接触に配置され、高圧電源30より所望の電圧値が印加されることにより放電により感光ドラム1を正極性に帯電する。本実施例では、非接触方式のコロナ帯電器であるが、接触帯電器であってもいい。
【0032】
正コロナ放電は空気中における自由電子がコロナ放電対象内にて酸素や窒素分子と衝突し電子と正イオンの対を生成する。この正イオンは負の電極(本実施例では感光体側)に向かって運動し、電子はまた他の分子にぶつかって電子と正イオンの対を作るか、正の電極に向かって動く。電極(この場合感光体側)は電子を受け取る側であるので、本除去制御実行により、感光体表層及び近傍に付着、蓄積したイオン生成物が第二の帯電手段により正の放電を受けることにより電子を受け取る。特に硝酸イオン化合物に対して電荷を与えることにより還元反応を活性化させ、
NO3+H2O+2e−→NO2+2OH (式5)
の反応により、硝酸イオンを還元し、また放電により発生する紫外線により硝酸イオンを亜硝酸イオンに分解することにより表層及び近傍中の硝酸イオンの自然分解を促進する。さらに正の放電雰囲気中における高濃度のNOx環境により亜硝酸イオンを触媒とする自己酸化還元反応により、より硝酸イオンの還元反応を活性化させている(出典:Journal of Molecular Catalysis、154〜203頁(2000年)、東工大クロニクルNo.410(2006)、化学工業統計月報、化学工学量論、化学量論)。
【0033】
(制御部)
本発明における実施形態に関するブロック図、除去制御フロー及びシーケンスについて説明する。図3は本実施形態における、画像形成装置内の制御系を示すブロック図である。図3を基に本実施例で動作させる制御に関する制御フローを述べる。
【0034】
まず、本発明に関する制御系のブロック図について説明する。制御部(CPU)100は、記憶部101と間で情報の交換が可能である。また、制御部100は画像形成装置のドラム駆動部40の動作を制御する。また、環境検知部である温度検知部20と湿度検知部21の出力が制御部100に入力される。また、画像形成装置を操作する操作部200からの信号が制御部100に入力される。また、制御部100は、高圧電源30の動作を制御する。即ち、制御部100は、高圧電源30から帯電器2と現像装置4と転写装置5と第二帯電器10へのバイアス印加を制御する。また、制御部100は、放電を生じさせる電圧値であって、帯電器2が画像形成時に印加する電圧の極性と逆極性の電圧を第二帯電器10に印加した状態でドラム駆動部40の動作を実行する機能を有する。
【0035】
次に、本実施例における感光ドラム1上のイオン生成物を除去する除去制御について説明する。図6は実施例1における除去制御の動作シーケンス図であり、ドラム駆動部40であるドラムモーターにより感光ドラムが回転を開始する。感光ドラム1の回転中に、第二帯電器10に高圧が所定の時間印加される。そして、第二帯電器10へのバイアス印加終了後、ドラム回転が終了し、除去制御が終了する。ここで、第二帯電器10に印加する電圧は+1.6KVであり、放電を生じさせる電圧値である。除去制御動作時間内では、帯電器2への帯電バイアス、露光装置による露光、現像バイアス、転写バイアス、前露光(帯電前露光器、クリーニング前露光器を含む)はOFFとする。本実施例では、帯電バイアスをOFFとしたが、帯電が行われない程度のバイアスなら、バイアスが印加されていても構わない。
【0036】
なお、本実施例の除去制御時に第二帯電器10に印加する電圧の値は画像形成装置における通常画像形成時において転写部材5bに印加する電圧値であり、本実施例では+1.6kvを印加している。また、印加時間は5分とした。印加時間及び電圧値に関しては本実施例の値に限定されるわけではない。ただし、除去制御動作中は、少なくとも感光ドラム1が1回転以上回転することが望ましい。
【0037】
なお、本実施例では、帯電器2と転写部材5bへのバイアスをOFFとする構成であったが、それぞれ、或いは、一方に画像形成時の感光ドラム1が帯電する極性と逆極性の電圧であって、放電を生じさせる電圧を印加する構成であっても構わない。
【0038】
除去制御動作が行われているときは、ファーブラシ6aの回転を停止させたり、クリーニング部材であるクリーニングブレード7を離間する構成であってもいい。
【0039】
しかし、本実施例では、ファーブラシ6aの回転を感光ドラム1の回転に連動させる構成とすることで、ファーブラシ6aを回転させながらクリーニングブレード7を感光ドラム1に当接させて(クリーニング動作の実行)、除去制御が行われるものとする。
【0040】
その理由は、制御実行時において少なくとも放電により感光ドラムを帯電させるために発生してしまうオゾンや窒素酸化物等のイオン生成物が感光ドラム1に付着する虞がある。しかし、クリーニング動作の実行を行うことで感光ドラム表層上のイオン生成物を除去可能である。その結果、より除去制御の効果を高めることができる。
【0041】
ここで、ドラムクリーニングを動作させる効果について検証する。図7はクリーニング動作を行わないときの動作間隔枚数に対する印加時間(除去制御動作時間)を画像にて評価を実施した結果である。画像評価により○を異常無し、△を軽微に発生、×を発生とし分類したものである。図8はクリーニング動作を行ったときの動作間隔枚数に対する印加時間(除去制御動作時間)を画像にて評価を実施した結果である。図7と図8を比較すると、除去制御動作の実行時にクリーニング動作を行うと、よりイオン生成物の除去効果を高められることがわかる。
【0042】
本実施例では、図7及び図8の評価結果より、調整制御枚数を考慮し、印加時間5分、動作タイミングを500枚とした。尚、本設定は是に限定されず、例えば調整制御枚数に達したとき以外にも画像形成動作が終了した後の後回転、電源ON後の非画像形成時(像担持体上に画像信号に基づくトナー像が形成していないとき)に除去制御を行ってもいい。
【0043】
本実施例での除去制御は、
〔1〕操作部200からの除去制御実行指示による実行
〔2〕画像形成枚数が500枚毎に実行(画像形成枚数とは、記録材の一面に画像を形成すると1枚とカウントされるものである)
とした。
〔1〕による動作は、画像形成装置の操作部に実行指示ボタンが設けられており、ユーザがこのボタンを押すと、5分間、第二帯電器10に+1.6kVの電圧が印加されるものである。この間は、画像形成動作は行われない。
【0044】
次に、〔2〕による動作について説明する。
【0045】
本実施例では、〔2〕による動作の動作タイミングである500枚は記憶部102に記憶されている閾値Φとして設定し動作させた。なお、制御部100は、感光ドラム1に形成された画像形成枚回数を積算する積算部の機能を有するものとする。
【0046】
図4に基づいて、〔2〕による動作の制御のフローチャートを説明する。先ず、画像形成装置は、画像形成開始信号が入力されることを待機する待機(スタンバイ)状態にある。この待機状態中にてユーザから画像を形成する命令(JOB)の信号が入力されると、制御フローがスタートする。そして、画像形成動作が開始される(S01)。JOB開始判断フラグにより画像形成が開始した場合、制御部100は除去制御用のカウンタ情報を取得する(S02)。この除去制御用カウンタは、前回の除去制御の実行からの画像形成枚数を積算するものである。そして、JOBの画像形成動作が終了したか否かの判断が行われる(S03)。画像形成が終了した場合に、制御部100は、画像形成枚数を積算したカウンタ値Nが、閾値Φと同値になったか判断する(S04)。同値になった場合には、後回転にて除去制御を実行し(S05)、実行後カウンタ値Nをクリアし(S06)、待機状態に移行し(S08)、終了となる。次に、S04でJOBの実行を継続する場合には、S09に移行する。そして、N=φになったかの判断が行われる(S09)。Nがφに達していない場合には、カウンタ情報の取得が継続される。しかし、Nがφに達すると、画像形成動作を一時停止し、割り込みにて除去制御が開始される(S10)。そして、カウンタをクリアし(S11)、画像動作が再開される。
【0047】
本実施例では、カウンタ値Nを像担持体上に形成された画像を累積した累積画像形成枚数とし閾値Φを動作実行回数とした。尚、本実施例では累積画像形成枚数を実行値として定義したがこれに限定されない。他の方法として、カウンタ値Nを像担持体上に形成された画像の形成画素数を累積した累積形成画素数に基づく値とし、それに応じた閾値Φを設定してもなんら問題は無い。あるいはカウンタ値Nを、帯電手段による帯電時間を累積する累積部の機能を有する制御部により累積された累積時間に基づく値として定義し、それに応じた閾値Φを設定してもなんら問題は無い。
【0048】
本実施例では、像担持体表面を負極性に一様帯電し、且負帯電性トナーを用いるいわゆる反転現像方式を採用した。しかし、正極性トナーを用いる反転現像方式や、負又は正極性トナーを用いる正規現像方式でも、本発明の適用が可能である。また、本発明はトナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いたものに限らず、一成分現像剤を用いたものであっても適用可能である。
【0049】
このように、本実施例により、像担持体表面の微細な凹部分に侵入したイオン生成物の除去を行うことができる。
【実施例2】
【0050】
他の実施例について説明する。本実施例では、画像形成装置の構成及び除去制御の動作は実施例1の構成と同様であるが、新たに、画像形成装置の環境に応じて除去制御の動作の実行が行われるものである。具体的には、絶対水分量を算出し、絶対水分量が大きい環境では、除去制御フローの実行を行うものである。制御部100は絶対水分量を算出する算出部の機能を有する。その理由としては、絶対水分量が大きい環境では、感光ドラム1の表面に水分が付着する。その結果、感光ドラム1の表面抵抗が低下やすくなり、画像が不鮮明となる異常画像が生じやすい。感光ドラム上に残留しているイオン生成物の量が多くなると、その傾向は、より顕著となる。そのため、本実施例では、イオン生成物による影響を小さくすることで、絶対水分量が大きい環境であっても、像担持体の表面抵抗の低下を小さくすることを目的とする。
【0051】
この制御について、図5のフローチャートを用いて説明する。この制御フローは制御動作要否判定を行うための制御であり、画像形成装置の主電源がONされるとスタートする。先ずは、温度検知部20で環境温度が検知される(S001)。次に、湿度検知部21にて、環境湿度が検知される(S002)。検知された温度と湿度に基づいて演算部としての機能を有する制御部100が絶対水分量Mを算出する(S003)。
【0052】
尚、絶対水分量Mは以下の定義にて処理される。検出温度T(℃)に対して小数点以下を切り捨てた値INT(T+1)、INT(T−1)の2データを抽出し、この値における飽和水蒸気圧量P(T−1)、P(T+1)を記憶部102のデータより抽出し、線形補間により飽和水蒸気圧P1を決定する。次に湿度H(%)における水蒸気の分圧P2を求め、ここから乾燥空気の分圧P3を算出する。そして、これより蒸気の分子量と乾燥空気の分子量の比を掛け合わせ1kg中の乾燥空気中の絶対水分量Mを算出する。以下にP1、P2、P3、Mの定義式を示す。
【0053】
P1=P(T−1)+(T−INT(T−1))×(P(T+1)−P(T−1))/(INT(T+1)−INT(T−1)) (1−1)
P2=P1×H/100 (1−2)
P3=760mmHg−P2 (1−3)
M=0.622×P2/P3×1000 (1−4)
次に、算出された絶対水分量Mが予め設定されている制御開始閾値aと比較を行う(S004)。M<aなる条件を満たした場合には、実施例1に記載されている除去動作を行わず、画像形成信号の入力を待機する待機状態へ移行する(S007)。一方で、M≧aの場合には、実施例1の除去制御動作を実行し(S005)、その後待機状態へ移行する(S006)。
【0054】
本実施例では、この制御フローを電源がONとなったときにスタートする構成であったが、待機状態中に予め決められたタイミング、例えば、電源ONからの経過時間が所定の時間に達したタイミングで、この制御フローを動作させる構成とすることも可能である。
【実施例3】
【0055】
更なる実施例について説明する。本実施例の特徴は、除去制御動作時において、帯電器2は感光ドラム1を非帯電の状態であって、転写部材5bに正の高圧を印加するにより感光ドラム1に対して放電させながら帯電させるものであり、図10は本実施例における制御系を示す図である。即ち、上記の実施例では、除去制御動作時には第二帯電器10が放電を生ずる構成であったが、本実施例では第二帯電器10に替わって、転写部材5bが放電を生ずる構成である。
【0056】
図11は本実施例3における動作シーケンス図であり、本実施例では感光ドラムに対して正の高圧を印加する手段として転写手段の転写部材5bを適用し動作させた。本実施例ではドラムモーターにより感光ドラムが回転する。感光ドラム1の回転中に転写部材5bにバイアスを印加する。そして、所定の時間経過後、転写バイアスの印加が終了し、その後、感光ドラム1の回転が終了して除去制御終了とする。除去制御動作時間内では、帯電バイアス、像露光、現像バイアス、前露光(帯電前露光器、クリーニング前露光器を含む)をOFFとした。なお、本実施例では、実施例1に記載のクリーニング動作を動作させた。尚、本実施例において印加する転写バイアスの値はATVC制御により通常画像形成時において印加する電圧値である。本実施例では約+1.6kvを印加、印加時間は5分とした。印加時間及び電圧値に関しては本実施例にて適用した値に限定されるわけではない。ただし、除去制御動作時は、少なくとも感光ドラム1が1回転以上回転させることが望ましい。
【0057】
本実施例での制御フローにおいては、実施例1及び実施例2の第二帯電器10へのバイアス印加動作を転写バイアス動作に置き換える制御を行う。
【0058】
このように、第二帯電器10以外の転写装置に、画像形成時に像担持体を帯電する極性と逆極性の電圧であって、放電を生じさせる電圧を印加することで、実施例1、実施例2と同様の効果を得ることができる。
【0059】
本実施例では、転写装置による構成であったが、転写装置にかえて、画像形成時に像担持体を帯電する帯電器2に画像形成時に像担持体を帯電する極性と逆極性の電圧であって、放電を生じさせる電圧を印加する構成としても、同様の効果を得ることは当然である。
【0060】
また、第二帯電器と転写装置のように、二つの帯電器に同時にバイアスを印加する除去制御を行うと、放電効果を2倍にすることができ、除去制御時間を短縮することができる。具体的には、第二帯電器10と転写装置の転写部材5bに、同時に、それぞれ1.6KVの電圧を印加すると、2.5分の実行時間で実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0061】
さらに、第二帯電器と転写装置に加え、帯電器2にも同様の制御を行うとより効果が高まることは当然である。
【0062】
(本発明の検証)
除去制御の実行/非実行による画像弊害の発生比較を下記の要領にて確認した。カラー画像をA3サイズの記録材を毎分20枚出力できる画像形成装置を使用した。また、高温高湿(30℃90%)環境下にて、A3用紙にてカラーのハーフトーン画像にて連続耐久し、一方は500枚毎に制御を実行し、他方は非実行にて連続耐久を行い、500枚毎における17階調パターン画像を出力し評価した。なお、この検討際には、本発明の効果の差を明確にするため、画像を出力する以外の他の制御の実行は行わず、画像の出力のみを行うものとした。ここで、ハーフトーン画像とは、スクリーン線数168線にて256階調のうち48階調目を使用した画像である。
【0063】
制御実行/非実行時における連続耐久時における画像主観評価を〔表1〕に示す。○を異常無し、△を軽微に発生、×を発生とし分類したものである。
【0064】
【表1】
【0065】
表1における主観評価では、除去制御実行によりオゾン生成物による感光ドラム表面の抵抗低下による画像不良を抑制できることがわかった。一方、非実行時においては、耐久途中にて画像不良が早期に発生した。
【0066】
また図10は除去制御非実行による現像コントラストに対する濃度の関係を示した図である。横軸に現像コントラスト、縦軸に実濃度をプロットした図である。また、また図11は除去制御実行による現像コントラストに対する濃度の関係を示した図である。initialは初期であり、2.5kは上記と同じ条件で連続耐久したものである。横軸に現像コントラスト、縦軸に実濃度をプロットした図である。各対応プロット点は、画像不良発生時における上記17階調パターン画像の実濃度を測定、現像コントラストに関しては、同17階調パターンの潜像のみを電位測定を行い、現像バイアス値より算出したものである。以下に現像コントラスト値の定義式を示す。
【0067】
Vcont(n)=(Vn−Vdc)−(Vh(n)−Vdc) (2−1)
Vcont(0)=Vd−Vdc (2−2)
Vcont(n)=Vcont(0)−(Vh(n)−Vdc)n=1〜16 (2−3)
Vcont(n):各階調における現像コントラスト、Vd:暗電位、Vh(n):各階調における潜像電位
Vdc:現像バイアス電位
現像コントラストに対する濃度の関係においても、本発明の制御を実行しなかった感光ドラムにおいては、新品状態と比較すると、同じコントラストに対して低コントラスト部では濃度低下を、高コントラスト部では濃度上昇が見られている。これは画像流れが発生した際における非作像領域への電荷流れが発生していることにより、静電潜像の乱れた状態を示している。しかし、本実施例を適用した場合における潜像特性は初期と比較しても変化量が小さく、本発明の除去制御の効果が高いことがこの検証から理解できる。
【0068】
以上より、本発明により、像担持体表面の微細な部分に侵入したイオン生成物の除去を行うことができる。
【0069】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術思想内であらゆる変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る感光ドラム表層におけるイオン生成物の堆積イメージ図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図3】本発明に係る実施例1及び2に関する画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る実施例における第1の制御フローを示した図である。
【図5】本発明に係る実施例における第2の制御フローを示した図である。
【図6】本発明に係る実施例1における制御シーケンス図である。
【図7】実施例1におけるクリーニング動作を行わなかったときの画像の主観評価を示した図である。
【図8】実施例1におけるクリーニング動作が行われたときの画像の主観評価を示した図である。
【図9】本発明に係る実施例4における制御シーケンス図である。
【図10】本発明に係る制御非実行による現像コントラストに対する濃度の関係を示した図である。
【図11】本発明に係る制御実行による現像コントラストに対する濃度の関係を示した図である。
【符号の説明】
【0071】
1 像担持体
2 帯電器
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニングブレード
7 クリーニングファーブラシ
8 帯電前露光器
9 クリーニング前露光器
10 第二の帯電装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する第一帯電手段と、前記第一帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されることで前記像担持体に向かって放電可能である第二帯電手段と、を有する画像形成装置において、
前記第一帯電手段が前記像担持体を帯電する動作を停止させ、前記第一帯電手段が前記像担持体を帯電する前記所定の極性と逆極性の放電を生じさせる電圧を前記第二帯電手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されることで前記像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する転写手段と、を有する画像形成装置において、
前記帯電手段が前記像担持体を帯電する動作を停止させ、前記所定の極性と逆極性の放電を生じさせる電圧を前記転写手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、を有する画像形成装置において、
前記所定の極性と逆極性の放電を生じさせる電圧を前記帯電手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
電圧が印加されることで前記像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する転写手段と、転写後の前記像担持体に残留したトナーを清掃する清掃手段と、を有し、前記制御部は、前記像担持体が回転している時に清掃手段を動作させることを特徴とする請求項1または請求項3のいずれかに記載の画像形成装置
【請求項5】
前記制御部は、少なくとも前記像担持体を1回転以上回転させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
トナーの正規の極性は負極性であり、前記所定の極性は負極性であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体に形成された画像形成枚の回数を積算する積算部を有し、積算された画像形成の回数が予め設定された値に達すると前記制御部は前記像担持体を回転させる動作を実行することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記帯電手段の帯電時間を累積する累積部を有し、累積された帯電時間が予め設定された値に達すると前記制御部は前記動作を実行すること特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の帯電装置。
【請求項9】
画像形成装置の環境の絶対水分量を算出する算出部を有し、算出された絶対水分量の値が予め設定された値よりも大きいときには前記制御部は前記動作を実行することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する第一帯電手段と、前記第一帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されることで前記像担持体に向かって放電可能である第二帯電手段と、を有する画像形成装置において、
前記第一帯電手段が前記像担持体を帯電する動作を停止させ、前記第一帯電手段が前記像担持体を帯電する前記所定の極性と逆極性の放電を生じさせる電圧を前記第二帯電手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されることで前記像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する転写手段と、を有する画像形成装置において、
前記帯電手段が前記像担持体を帯電する動作を停止させ、前記所定の極性と逆極性の放電を生じさせる電圧を前記転写手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
回転可能な像担持体と、所定の極性の電圧が印加されることで前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された帯電面を露光により形成された静電潜像に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、を有する画像形成装置において、
前記所定の極性と逆極性の放電を生じさせる電圧を前記帯電手段に印加した状態で前記像担持体を回転させる動作を実行する制御部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
電圧が印加されることで前記像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する転写手段と、転写後の前記像担持体に残留したトナーを清掃する清掃手段と、を有し、前記制御部は、前記像担持体が回転している時に清掃手段を動作させることを特徴とする請求項1または請求項3のいずれかに記載の画像形成装置
【請求項5】
前記制御部は、少なくとも前記像担持体を1回転以上回転させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
トナーの正規の極性は負極性であり、前記所定の極性は負極性であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体に形成された画像形成枚の回数を積算する積算部を有し、積算された画像形成の回数が予め設定された値に達すると前記制御部は前記像担持体を回転させる動作を実行することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記帯電手段の帯電時間を累積する累積部を有し、累積された帯電時間が予め設定された値に達すると前記制御部は前記動作を実行すること特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の帯電装置。
【請求項9】
画像形成装置の環境の絶対水分量を算出する算出部を有し、算出された絶対水分量の値が予め設定された値よりも大きいときには前記制御部は前記動作を実行することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−145852(P2010−145852A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324481(P2008−324481)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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