説明

画像形成装置

【課題】定着手段を冷却する必要が生じたときに、ファンを用いる場合よりも急速に定着手段を冷却する。
【解決手段】画像形成装置は、定着部の用紙出口に向けてエアーを噴射することで定着部からの用紙の剥離性を高めるエアー噴射システムを備える。画像形成装置の制御部は、紙詰まりなどの異常により画像形成装置の動作を停止(S10)させたときに、定着部の近傍に用紙が存在するか否かを確認する(S12)。そして、存在する場合には、定着部の温度があらかじめ定めた規定値以下であるかどうかを判定し、規定値を超えていれば、用紙剥離性向上のためのエアー噴射システムにエアー噴射を実行させ、定着部を急速冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された装置は、定着器を効率よく冷やすことにより、高温になっている部品のメンテナンスにかかる時間を短縮するために、定着ヒーターをOFF状態で、定着器を冷却するファンをONにする制御手段をもつ。また風路切換えなどによって、効率よく定着器を冷却する。
【0003】
特許文献2に開示された装置は、装置を冷却する冷却手段(ファン)と、連続して印字したシートの枚数を計数する枚数計数手段、印字動作終了から前記冷却手段を停止させるまでの冷却手段の作動時間を計時する計時手段を具備する電装部を有し、前記計数手段の計数結果により前記冷却手段を停止させるまでの時間を可変として、印字枚数に応じた冷却を可能としている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−122181号公報
【特許文献2】特開平11−184355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、定着手段を冷却する必要が生じたときに、ファンを用いる場合よりも急速に定着手段を冷却できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、記録媒体上に形成された画像を熱により当該記録媒体に定着させる定着手段と、定着後の記録媒体の前記定着手段からの剥離性を高めるために、前記定着手段における前記定着後の記録媒体が出力される部位に対して圧搾気体を噴射する圧搾気体噴射手段と、あらかじめ定められた急速冷却条件が満たされた場合に、前記定着手段の冷却のために前記圧搾気体噴射手段に圧搾気体を噴射させる制御を行う冷却制御手段と、を備える画像形成装置である。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記急速冷却条件は、前記画像形成装置の停止時に前記定着手段の近傍のあらかじめ定められた範囲に記録媒体が存在すること、であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記定着手段の温度を計測する温度計測手段を更に備え、前記冷却制御手段は、前記温度計測手段が計測した前記定着手段の温度があらかじめ定められた温度以下になるまで前記圧搾気体噴射手段に冷却のための圧搾気体の噴射を行わせる、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記温度計測手段が計測した前記定着手段の温度が前記あらかじめ定められた温度以下になるまで、前記定着手段を収容した筐体の扉が開くことを防止する防止手段、を更に備える。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記急速冷却条件は、前記定着手段を収容した筐体の扉を開ける操作がなされたこと、である。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記定着手段は、前記記録媒体を加熱するための加熱部材と、当該加熱部材との間に前記記録媒体を挟んで圧力を加えるための加圧部材と、を備え、前記画像形成装置は、前記急速冷却条件が満たされた場合に、前記加熱部材と前記加圧部材との間の間隔を広げる制御を行う手段、を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、ファンを用いる場合よりも急速に定着手段を冷却できる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、ユーザ等が定着手段に触れる可能性が高い場合に、急速に定着手段を冷却できる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、ユーザ等が定着手段に触れてもよい温度(規定値)まで定着手段を冷却できる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、規定値以上の温度になっている定着手段にユーザが触れることを防止できる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、ユーザ等が定着手段に触れる可能性が高い場合に、急速に定着手段を冷却できる。
【0017】
請求項6に係る発明によれば、加熱部材と加圧部材との間の気体の流通を良くして冷却効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1には、本実施形態の制御が適用可能な画像形成装置の一例として、電子写真方式の画像形成装置の概略構成の例が示される。また、図2にはこの装置に搭載される、定着部からの記録媒体の剥離性を高めるためのエアー噴射システムの一例が示される。また、図3には、画像形成装置が備える制御システムのうち、そのエアー噴射システムを用いた定着部の冷却制御のための部分の一例が示される。
【0019】
図1に例示する画像形成装置は、ネットワークを介して他の装置(例えばホストコンピュータ)から受け取った印刷データやCD−R等の可搬型の記憶媒体から読み取った印刷データを印刷する印刷機能を備える。また、この画像形成装置は、紙等の原稿を光学的に読み取ってその読取結果の画像を紙に印刷する複写機能を備えていてもよい。
【0020】
図1に例示する装置は、フルカラー印刷が可能な装置であり、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等の6色のトナー用の現像部10を備える。各現像部10には、それぞれ対応するトナータンク11からトナーが供給される。各現像部10は、画像形成装置の動作制御を司る制御部50(図3参照)から画像信号の供給を受け、その画像信号に従って露光装置を駆動することにより感光体上に静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーにより現像する。この例では、現像により形成されたトナー像は、中間転写体ベルト12上に転写(一次転写)される。6色の現像部10で現像されたトナー像が、中間転写体ベルト12上の同じ位置に対し、順に重ねて転写されることで、中間転写体ベルト12上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0021】
また、画像形成装置は、画像を記録する用紙や透明シートなどの記録媒体(以下、煩雑さを避けるために「用紙」と総称)を収容して用紙搬送路16へと供給(以下「給紙」と呼ぶ)する給紙部14、を複数備えている。
【0022】
給紙部14は、制御部50からの給紙指示に応じて用紙を用紙搬送路16へと給紙する。給紙された用紙は、用紙搬送路16により搬送され、二次転写部18、定着部20、排紙部に順に送られる。二次転写部18では、中間転写体ベルト12上のトナー像が用紙に転写(二次転写)される。定着部20では、用紙上のトナー像が、熱と圧力により用紙に定着させる。画像が定着された用紙は、図示しない排紙部に排紙されるか、或いは両面印刷の裏面印刷のために反転された後、用紙搬送路16に戻される。
【0023】
用紙搬送路16上の各部に、用紙位置センサ17が設けられている。用紙位置センサ17は、当該センサ17の位置に用紙が存在するか否かを検知し、その検知結果を示す信号を出力する。制御部50は、各用紙位置センサ17が出力した信号に基づき、用紙搬送路16上のどの位置に用紙が存在するのかを認識し、認識した情報に基づき用紙搬送制御を行う。図1では、定着部20の前後にある用紙位置センサ17を特に用紙位置センサ17a,17b,17cと明示している。
【0024】
定着部20内には、定着部温度センサ21が設けられている。定着部温度センサ21は、定着部20の温度(例えば、特に加熱ロールの温度)を検知する。
【0025】
また、図1では省略しているが、定着部20には、定着後の用紙の加熱ロールからの剥離性を高める(すなわち加熱ロールから剥離しやすくする)ために、エアー噴射システムを備えている。用紙が薄いほど加熱ロールに付着して巻き付き易くなることが知られており、そのような巻き付きを防止するために、エアー噴射システムが提案されている(特開2004−212954号公報、特開2005−128333号公報等を参照)。この実施形態でも、そのような従来のシステムを利用すればよい。以下では、このエアー噴射システムの仕組みについて、図2を参照して簡単に説明する。
【0026】
図2の例では、定着部20は、加熱ロール30と加圧ロール32を備えている。加熱ロール30は、例えば内部にあるハロゲンランプ等の加熱手段により、定着に必要な温度まで加熱される。加圧ロール32に加熱ロール30に向けて押圧力が加えられることで、両ロールの間に挟まれた用紙31が押圧される。加熱ロール30と加圧ロール32との間に挟まれた用紙のトナー像は、加熱ロール30により加熱されると共に、それら両ロールにより圧せられることで、融解して用紙に定着する。用紙は、加熱ロール30及び加圧ロール32の回転に応じて図中に示す搬送方向に搬送される。定着部20の出口、すなわち加熱ロール30と加圧ロール32との接触部の搬送方向側には噴射ノズル42a,42bが設けられており、それら噴射ノズル42a,42bは、定着部20のその出口(特に加熱ロール30と加圧ロール32の境界部分)に向けて、用紙搬送路の上下方向からエアーを噴射する。制御部50は、例えば用紙の先端が定着部20の出口から出てくるタイミング(或いはその時点からしばらくの間)、噴射バルブ開閉器41(図3参照)を制御してバルブ40b,40cを開くことで、噴射ノズル42a,42bから定着部20の出口に向けてエアーが噴射されるようにする。
【0027】
なお、噴射ノズル42a,42bから噴射するエアーは、圧力タンク38に蓄積されている。バルブ40a,40b,40cを開くことで、圧力タンク38に蓄積された圧搾空気が噴射ノズル42a,42bから噴射されることになる。圧力計44は、圧力タンク38から噴射ノズル42a,42bまでの配管の気圧を測定している。制御部50は、例えば圧力計44から通知された気圧があらかじめ定められた閾値より低くなると、(圧力タンク38内に蓄積された圧搾空気の量が少なくなったと判断して)コンプレッサスイッチ36をオンする。これにより、コンプレッサ34が動作し、圧力タンク38に圧搾空気が蓄積される。
【0028】
次に、図3に示した機能モジュールのうち、これまでに説明していないものについて説明する。定着ロール駆動部52は、加熱ロール30又は加圧ロール32又はその両方を駆動して、それら両ロールを互いに向けて押し付けたり、それら両ロールの間隔を広げたりする。定着部ドアセンサ54は、画像形成装置の各区画(筐体)のうち、定着部20が収容されている区画に設けられたドアの開閉状態を検知するセンサである。そのドアは、画像形成装置の運転時は閉まっているが、例えば定着部20に詰まった用紙を除去する際などに開けられる。定着部ドアロック部56は、画像形成装置の運転時などのようにあらかじめ定められた期間は、定着部20の区画のドアが開かないようにロックする機構である。
【0029】
さて、この実施形態では、定着部20を急速冷却する必要が生じた場合に、上述した用紙剥離のためのエアー噴射システムからエアーを噴射し、定着部20を冷却するのである。例えば、画像形成装置が紙詰まりその他の異常により動作を停止した場合に、詰まった紙の除去や点検などのために、定着部20の区画のドアが開けられ、ユーザや保守点検者が定着部20近傍に手を入れて作業を行うことがある。そのような場合に、エアー噴射システムにより定着部20を急速に冷却するのである。
【0030】
このような定着部冷却制御の一例を、図4に示す。この例では、制御部50は、紙詰まりなどの異常発生に応じて画像形成装置の動作を停止させた場合(S10)、定着部20近傍に設けられた用紙位置センサ17a,17b,17cの出力信号に基づき、定着部20近傍に用紙が存在するかどうかを判定する(S12)。例えば、定着部20の出口側のセンサ17aと入口側のセンサ17bが共に用紙の存在を検知している場合に、用紙が定着部20近傍にあると判定するなどである(但し、これはあくまで一例に過ぎない)。ここで、用紙が定着部20の近傍に無ければ、ユーザ等が定着部20に触れる可能性は低いので、エアー噴射による冷却は行わず、ステップS10に戻る(或いは処理を終了する)。この場合、定着部20は環境の気温や装置内のファンによる空気循環等により緩やかに冷却されていくこととなるが、この冷却の速度は、エアー噴射による急速冷却よりも緩やかである。したがって、定着部20の持っている熱は、エアー噴射により冷却した場合よりも長い間維持される。
【0031】
一方、ステップS12の判定の結果、定着部20の近傍に用紙があると判定されると、ユーザ等がその用紙を除去する可能性があるので、制御部50は、定着部温度センサ21が示す温度をチェックする(S14)。このチェックにおいて、定着部20の温度が規定値以下であれば、仮にユーザ等が加熱ロール30等に触れて大丈夫なのでエアー噴射は行わず、制御部50の処理はステップS10に戻る(或いは終了する)。
【0032】
一方、ステップS14のチェックにおいて、定着部20の温度があらかじめ定められた温度(規定値)を越えていれば、定着部20を急速に冷却するために、制御部50は噴射バルブ開閉器41にバルブ40b及び40cを開かせ、ノズル42a,42bからエアーを噴射させる(S16)。噴射されたエアーは、加熱ロール30や加圧ロール32に当たってそれらの熱を奪う。ここで、制御部50は、冷却効率を高めるべく、エアーの噴射強度(例えば単位時間あたりのエアー噴射量)を用紙剥離時よりも強くしてもよい。これには例えばバルブ40b及び40cの開度(開き度合い)を用紙剥離のための噴射時より大きくするなどすればよい。また、このとき制御部50は、エアーの噴射時間を用紙剥離時の噴射時間よりも長くすることで、定着部20に当たるエアーの量を多くしてもよい。また、噴射強度を用紙剥離時よりも強くする制御と、及び噴射時間を用紙剥離時よりも長くする制御の両方を行ってもよい。
【0033】
また例えば、制御部50は、あらかじめ定められた時間エアーを噴射する毎に、定着部20の温度をチェックし(S14)、定着部20の温度が規定値以下になるまで噴射を繰り返す制御を行ってもよい。また、別の例として、制御部50は、定着部温度センサ21が検知した定着部20の温度(或いはその温度と規定値との差)に応じて、エアーの噴射時間又は噴射強度又はその両方を制御してもよい。その定着部20の温度(又はこれと規定値との差)が大きいほど、噴射時間を長くし、又は噴射強度を強くすればよい。
【0034】
また、制御部50は、画像形成装置が異常停止した場合に、定着ロール駆動部52を動作させて加熱ロール30と加圧ロール32とを引き離すことで、噴射されたエアーが両ロール間を流通しやすくしてもよい。
【0035】
次に図5を参照して、定着部冷却制御の別の例を説明する。図5において、図4に示したステップと同様の処理を行うステップには、同一符号を付して説明を省略する。
【0036】
この制御では、画像形成装置が異常停止した時に定着部20近傍に用紙がある場合には、制御部50は、定着部20が収容された区画のドアを定着部ドアロック部56によりロックして開かないようにする(S13)。そして、エアー噴射等により定着部20の温度が規定値以下になったとき(S14の判定結果がYes)にロックを解除し、ドアが開くようにする(S18)。
【0037】
図4及び図5の例では、画像形成装置が異常により停止し、且つ定着部20の近傍に用紙が存在することを、エアー噴射による定着部20の冷却を実行するための条件としたが、これは一例に過ぎない。この代わりに、例えば画像形成装置が異常により停止したという条件が満たされただけでエアー噴射による冷却を行うようにしてもよい。
【0038】
次に図6を参照して、定着部冷却制御のさらに別の例を説明する。この例では、定着部20が収容された区画のドアが開けられた場合に、ユーザ等が定着部20に触れる可能性があるので、急速冷却が必要と判断する。すなわち、この例では、制御部50は、定着部ドアセンサ54からの信号に基づき定着部20の区画のドアが開いているかどうかを判定する(S20)。そして、そのドアが開いていれば、制御部50は、定着部温度センサ21が示す温度をチェックし(S14)、その温度が規定値より高ければ、エアー噴射により定着部20を冷却する(S16)。
【0039】
図6の例では、定着部20の区画のドアが実際に開けられたことをエアー噴射による冷却の条件としたが、実際に開けられなくても、そのドアを開けるための操作(例えばロック解除操作など)を検知したことを冷却の条件としてもよい。
【0040】
次に図7を参照して、定着部冷却制御のさらに別の例を説明する。この例では、定着部20の温度が、定着対象の用紙の紙種(例えば材質と厚みとの組合せ)に応じて定まる適正な定着温度の範囲よりも高い場合に、定着部20の急速冷却が必要と判断する。例えば、厚い用紙の方が薄い用紙より定着に必要な熱量が多いので、一般に、厚い用紙を用いる場合には定着部20の温度を薄い用紙の場合よりも高くする。一方、厚紙のための高めの定着温度で薄紙に定着処理を施すと、加熱しすぎにより画質劣化等の不具合が生じる可能性がある。そこで、この例では、厚紙の後に薄紙に印刷する場合などに、定着部20をエアー噴射により急速冷却することで、薄紙の印刷を早く実行できるようにする。
【0041】
図7の手順では、制御部50は、定着部20で現在定着している用紙の紙種と、次に定着する予定の用紙の紙種を比較し(S30)、両者が異なる場合に、次に定着予定の用紙のために定着部20の温度を調節するためにステップS32以降の処理に進む。ステップS32では、制御部50は、次に定着する予定の用紙の紙種にとって適正な定着部20の温度の範囲(適正温度範囲と呼ぶ)を判定する(S32)。例えば、紙種ごとの定着部20の適正温度範囲の情報を画像形成装置の記憶部に登録しておき、その情報に基づきステップS32の判定を行えばよい。なお、給紙部14ごとにそこに収容された用紙の紙種があらかじめユーザ等により画像形成装置に登録されており、制御部50は、現在定着中の用紙や次に定着する予定の用紙をそれぞれどの給紙部14から給紙したかに応じて、それら用紙の紙種を判定すればよい。
【0042】
そして、制御部50は、定着部温度センサ21が検知している現在の定着部20の温度が訂正温度範囲より高いかどうかを判定し(S34)、高ければ、現在定着中の用紙が定着部20から離れた後、次の用紙が定着部20に到着するまでの間に、エアー噴射システムにエアーを噴射させて定着部20を冷却する(S36)。このとき、定着部20の温度が適正温度範囲内まで下がってから次の用紙が定着部20に到着するように、用紙搬送路を制御してもよい。
【0043】
また、制御部50は、ステップS34で定着部20の温度が適正温度範囲の上限以下であると判定した場合、更にその温度が定期制温度範囲の下限より低いか否かを判定し(S38)、下限より低ければ供給する電力を大きくするなどして加熱ロール30を加熱してもよい(S40)。なお、定着部20の温度が適正温度範囲内であれば、冷却も加熱もしなくてよい。
【0044】
図4〜図7に例示した冷却制御はあくまで一例に過ぎない。この他にも、例えば画像形成装置が異常停止した後画像形成装置の電源ボタンがオンされたことを条件として、例えば図4のステップS14及びS16のような冷却制御を行ってもよい。また、以上に例示した各制御のうちの2以上を実行するようにしてももちろんよい。
【0045】
また、図1には電子写真方式の画像形成装置を例示したが、この実施形態の制御は電子写真方式以外の方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0046】
以上に説明した画像形成装置の制御部50は、一つの例では、汎用のコンピュータに上述の制御処理を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)、各種I/O(入出力)インタフェース等が、たとえばバスを介して接続された回路構成を有する。バスには、ローカルエリアネットワーク等のネットワークに接続するためのネットワークインタフェースが接続されていてもよい。また、そのバスに対し、例えばI/Oインタフェース経由で、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダライタなどが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、ハードディスクドライブ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。なお、それら機能モジュール群のうちの一部又は全部を、専用LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウエア回路として構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施形態の制御が適用される画像形成装置の一例を示す図である。
【図2】エアー噴射システムの一例を模式的に示す図である。
【図3】画像形成装置が備える制御システムのうち、そのエアー噴射システムを用いた定着部の冷却制御のための部分の一例を示す図である。
【図4】定着部冷却制御の一例を示すフローチャートである。
【図5】定着部冷却制御と共に定着部区画のドアのロック制御を行う場合の手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】定着部冷却制御の別の一例を示すフローチャートである。
【図7】定着部冷却制御の更に別の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
10 現像部、12 中間転写体ベルト、14 給紙部、16 用紙搬送路、17,17a,17b,17c 用紙位置センサ、18 二次転写部、20 定着部、21 定着部温度センサ、30 加熱ロール、32 加圧ロール、34 コンプレッサ、36 コンプレッサスイッチ、38 圧力タンク、40a,40b,40c バルブ、41 噴射バルブ開閉器、42a,42b 噴射ノズル、44 圧力計、50 制御部、52 定着ロール駆動部、54 定着部ドアセンサ、56 定着部ドアロック部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に形成された画像を熱により当該記録媒体に定着させる定着手段と、
定着後の記録媒体の前記定着手段からの剥離性を高めるために、前記定着手段における前記定着後の記録媒体が出力される部位に対して圧搾気体を噴射する圧搾気体噴射手段と、
あらかじめ定められた急速冷却条件が満たされた場合に、前記定着手段の冷却のために前記圧搾気体噴射手段に圧搾気体を噴射させる制御を行う冷却制御手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記急速冷却条件は、前記画像形成装置の停止時に前記定着手段の近傍のあらかじめ定められた範囲に記録媒体が存在すること、であることを特徴とする、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着手段の温度を計測する温度計測手段を更に備え、
前記冷却制御手段は、前記温度計測手段が計測した前記定着手段の温度があらかじめ定められた温度以下になるまで前記圧搾気体噴射手段に冷却のための圧搾気体の噴射を行わせる、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記温度計測手段が計測した前記定着手段の温度が前記あらかじめ定められた温度以下になるまで、前記定着手段を収容した筐体の扉が開くことを防止する防止手段、を更に備える請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記急速冷却条件は、前記定着手段を収容した筐体の扉を開ける操作がなされたこと、であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着手段は、前記記録媒体を加熱するための加熱部材と、当該加熱部材との間に前記記録媒体を挟んで圧力を加えるための加圧部材と、を備え、
前記画像形成装置は、前記急速冷却条件が満たされた場合に、前記加熱部材と前記加圧部材との間の間隔を広げる制御を行う手段、を更に備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−156884(P2010−156884A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335691(P2008−335691)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】