説明

画像形成装置

【課題】画像形成ユニットの上方に画像読取ユニットを備えた画像形成装置において、ジャムの発生が無い場合は、排出部の記録材へのアクセス性を向上させるとともに、ジャム発生時には画像形成ユニット内部へのアクセス性を向上させる。
【解決手段】スキャナ部3の開閉動作にドア6の開閉動作が連動するようにスキャナ部3とドア6とを係合可能にする係合機構(第1リンク31、第2リンク32、フック6c及びプランジャ30)と、記録材のジャムが発生していない場合には、係合機構を制御することによりスキャナ部3とドア6とを非係合状態としてスキャナ部3の開閉動作とドア6の開閉動作が連動しない状態としておき、記録材のジャムが発生したと判断した場合には、係合機構を制御することによりスキャナ部3とドア6とを係合状態としてスキャナ部3の開閉動作とドア6の開閉動作が連動する状態とさせるECUとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成ユニット上方に画像読取ユニットを備えた画像形成装置に関するものであり、特に、画像形成ユニットと画像読取ユニットとの間に記録材の排出部を配置した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電子写真方式を利用した画像形成装置は、次のようにして記録画像を得る画像形成部(画像形成ユニット)を備えている。それは、まず、電子写真感光体(感光体)を帯電させた後、画像情報に応じて露光して感光体上に静電像を形成し、この静電像を現像剤(トナー)を用いてトナー像として現像する。次いで、このトナー像を記録材に転写させた後、定着させて記録画像を得ている。そして、斯かる画像形成部が外部機器から送信される画像情報信号に応じて画像を形成するプリンタとして機能するだけではなく、複写機として機能したり、スキャナ装置として機能する画像形成装置(複合機)が広く普及している。ここで、複写機として機能する場合は、光学的に原稿画像情報を読み取って電気信号とする画像読取部(画像読取ユニット)を備え、画像読取部で読み取った画像情報に応じて画像形成部で画像を形成する。また、スキャナ装置として機能する場合は、画像読取部で読み取った情報を画像形成装置に対して通信可能に接続されたホストコンピュータなどの外部機器に送信する。
【0003】
又、従来の、電子写真方式を利用した画像形成装置においては、感光体と、この感光体に作用するプロセス手段とを一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されているものがある。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずユーザ自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。そこで、このプロセスカートリッジ方式は画像形成装置において広く用いられている。又、感光体に形成した静電像を現像するための現像装置を独立して装置本体に対して着脱可能なユニット(現像カートリッジ)としたものもある。
【0004】
画像形成部のトラブル処理や、内部の清掃、カートリッジなどの消耗部品(交換部品)の交換などのメンテナンスを行う際に、画像形成部の内部を開放するための構成が必要となる。この画像形成部の内部を開放するため、開閉可能にした開閉部材を設けている。この開閉部材は、画像形成部の各種構成要素の配置上の制約から、印字された記録材が排出、積載される排出部に設けられている場合がある。
【0005】
ここで、排出部に開放部材を持つ画像形成部の上部に画像読取部を備え、画像形成部と画像読取部との間に記録材の排出部を配置した小型・中型の複合機において、画像形成装置の内部にアクセスするために開閉部材を開放する際の動作について説明する。装置上部の画像読取部の高さを低くすることで、読み取り原稿へのユーザアクセス性を確保し、さらに開閉部材の回動量を確保するために、画像読取部を画像形成部から離れる方向に回動させる事で開閉部材の回動スペースを確保するように構成している。この画像読取部の回動と開閉部材の回動の方法については、以下の2つの方法で構成している画像形成装置が知られている。(1)画像読取部と開閉部材を非連動とし、画像読取部を開放した後、開閉部材を開放する方法。(2)画像読取部と開閉部材が連動して回動する方法(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−189552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記(1)の画像読取部と開閉部材が非連動の場合、メリットとしては、葉書などの小サイズ紙を印字した場合に、画像読取部を単体で開放できるため、排出トレー上に積載された小サイズ紙にアクセスしやすくなることが挙げられる。しかし、デメリットとしては、ユーザビリティの低下が挙げられる。これは、画像形成部内で記録材の搬送ジャムが発生した場合や、プロセスカートリッジの交換時に画像形成部内部にアクセスする際には、画像読取部を開放した後、開閉部材を開放する必要があり、ユーザに2回のアクションを求める事になるためである。また、上記(2)の画像読取部と開閉部材が連動する形態では、画像形成部での搬送ジャム処理時やプロセスカートリッジ交換時には画像読取部を開放することで直ぐに画像形成部内部にアクセスできるメリットがある。しかし、小サイズ紙を印字した場合には、画像読取部が閉じた状態で排出トレーの奥にアクセスしなければならないため、小サイズ紙を取り出しにくいというデメリットがある。
【0008】
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、画像形成ユニットの上方に画像読取ユニットを備えた画像形成装置において、次のことを目的とする。すなわち、画像形成ユニットにジャムの発生が無い場合は、排出部の記録材へのアクセス性を向上させ、画像形成ユニットでのジャム発生時には画像形成ユニット内部へのアクセス性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
記録材に画像を形成する画像形成部、前記画像形成部の上方に設けられ前記画像形成部で画像が形成された記録材が排出される排出部、前記排出部に開閉可能に設けられ前記画像形成部を開放可能な開閉部材、及び、記録材搬送経路を搬送される記録材を検知する検知手段を有する画像形成ユニットと、
前記排出部を隔てて前記画像形成ユニットの上方に設けられ、原稿の画像を読み取る画像読取ユニットであって、前記画像形成ユニットに対して開閉可能に取り付けられ前記排出部を開放可能な画像読取ユニットと、
を有する画像形成装置において、
前記画像読取ユニットの開閉動作に前記開閉部材の開閉動作が連動するように前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを係合可能にする係合機構と、
前記検知手段の検知結果から記録材のジャムが発生したかどうかを判断する判断手段と、
記録材のジャムが発生していない場合には、前記係合機構を制御することにより前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを非係合状態として前記画像読取ユニットの開閉動作と前記開閉部材の開閉動作が連動しない状態としておき、
前記判断手段により記録材のジャムが発生したと判断された場合には、前記係合機構を制御することにより前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを係合状態として前記画像読取ユニットの開閉動作と前記開閉部材の開閉動作が連動する状態とさせる制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
記録材に画像を形成する画像形成部、前記画像形成部の上方に設けられ前記画像形成部で画像が形成された記録材が排出される排出部、前記排出部に開閉可能に設けられ前記画像形成部を開放可能な開閉部材、及び、記録材搬送経路を搬送される記録材を検知する検知手段を有する画像形成ユニットと、
前記排出部を隔てて前記画像形成ユニットの上方に設けられ、原稿の画像を読み取る画像読取ユニットであって、前記画像形成ユニットに対して開閉可能に取り付けられ前記排
出部を開放可能な画像読取ユニットと、
を有する画像形成装置であって、
前記画像形成ユニットには、
現像剤を収容する現像剤収容部を少なくとも有し前記画像形成ユニット本体に着脱可能に設けられたカートリッジと、
前記現像剤収容部に収容されている現像剤の量を検知する現像剤検知手段と、
が設けられている画像形成装置において、
前記画像読取ユニットの開閉動作に前記開閉部材の開閉動作が連動するように前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを係合可能にする係合機構と、
前記検知手段の検知結果から記録材のジャムが発生したかどうかを判断する第1判断手段と、
前記現像剤検知手段の検知結果から前記現像剤収容部内の現像剤の量が所定量以下であるかどうかを判断する第2判断手段と、
記録材のジャムが発生していない場合、かつ、前記現像剤収容部内の現像剤の量が前記所定量以下でない場合には、前記係合機構を制御することにより前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを非係合状態として前記画像読取ユニットの開閉動作と前記開閉部材の開閉動作が連動しない状態としておき、
前記第1判断手段により記録材のジャムが発生したと判断された場合と、前記第2判断手段により前記現像剤収容部内の現像剤の量が前記所定量以下であると判断された場合とのうち少なくともいずれかの場合には、前記係合機構を制御することにより前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを係合状態として前記画像読取ユニットの開閉動作と前記開閉部材の開閉動作が連動する状態とさせる制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、次のような効果が得られる。画像形成ユニットにジャムの発生が無い場合は、画像読取ユニットのみ開放可能にして排出部の記録材へのアクセス性を向上させ、画像形成ユニットでのジャム発生時には画像読取ユニットを開放する動作のみで画像形成ユニット内部にアクセス可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成を示す断面図。
【図2】実施例1でスキャナ部とドアを連結、解除する機構を示す概略図。
【図3】実施例1でスキャナ部のみを開放したときの概略断面図。
【図4】実施例1でスキャナ部とドアが連動したときの概略断面図。
【図5】実施例2でスキャナ部とドアを連結、解除する機構を示す概略図。
【図6】実施例3の画像形成装置の概略構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1の画像形成装置1の概略構成を示す断面図である。本実施例の画像形成装置1は、画像形成ユニット(以下、「プリンタ部」という)2と画像読取ユニット(以下、「スキャナ部」という)3とを有し、プリンタ、複写機として機能し得る他、スキャナ装置としても機能し得る複合機である。プリンタ、複写機として機能する場合、プリンタ部2が画像形成装置1に対して通信可能に接続されたホストコンピュータな
どの外部機器からの画像情報、或いはスキャナ部3で読み取った原稿の画像情報に応じて画像を形成する。また、スキャナ装置として機能する場合、スキャナ部3で読み取った原稿画像情報を画像形成装置1に対して通信可能に接続された外部機器に送信する。以下の説明において、画像形成装置1に関して「前」とは図1の紙面右側、「後ろ」とは図1の紙面左側をいうものとする。又、画像形成装置1に関し「左」、「右」とは、画像形成装置1を「前」から見たときの左右をいうものとし、この左右方向は像担持体としての感光ドラムの回転軸方向となる。
【0015】
[画像形成装置の全体構成]
先ず、図1を参照して、画像形成装置1の概略構成について説明する。画像形成装置1は大別してプリンタ部2とスキャナ部3とを有している。プリンタ部2の上部には、画像が形成された記録材が排出される排出部113が設けられており、スキャナ部3は、排出部113を隔ててプリンタ部2の上方に配置され、すなわち、排出部113をプリンタ部2とスキャナ部3とで挟むように配置されている。スキャナ部3は、プリンタ部2に対して、本実施例では、画像形成装置1の後方付近の、画像形成装置1の左右方向(記録材Pの搬送方向と略直交する方向)に沿う回転(回動)中心Aを中心として回転(移動、開閉)可能に取り付けられている。スキャナ部3について、詳しくは後述することとする。また、開閉部材としてのドア6は、排出部113に開閉可能に設けられ、プリンタ部2内部を開放可能に設けられており、回転軸を回転中心Aと同軸にして回転可能とされている。尚、スキャナ部3の回転中心は本実施例の位置に限定されるものではなく、排出部113を開放し、ドア6も開放された場合にはプリンタ部2の内部を十分に開放し得るのであれば、スキャナ部3は任意の位置の回転中心を軸として回転するものであってよい。
【0016】
図1はプリンタ部2の内部構造を示しており、プリンタ部2は、電子写真方式により記録材P(例えば、記録用紙、プラスチックシート(OHPシート)等)に画像を記録(形成)するレーザビームプリンタである。電子写真画像形成プロセス自体は周知であり、詳しい説明は省略するが、概略次のような構成、作用により画像を形成する。
【0017】
即ち、プリンタ部2には、像担持体としての円筒状の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という)101aが回転可能に配置され、画像形成時には、回転する感光ドラム101aの表面が、帯電手段としての帯電ローラ101bにより一様に帯電される。そして、帯電した感光ドラム101aに対して、画像情報に応じた光を露光手段(画像書き込み手段)としてのレーザスキャナユニット103が照射することで、感光ドラム101a上に静電像(静電潜像)が形成される。レーザスキャナユニット103は、プリンタ部2の前部に設けられている。レーザスキャナユニット103は、例えば、ホストコンピュータからの画像情報に応じてポリゴンミラー104から感光ドラム101aへレーザ光を照射(走査露光)し、感光ドラム101a上に画像情報に応じた静電像を形成する。勿論、スキャナ部3で読み取った画像情報に応じて静電像を形成することもできる。感光ドラム101a上に形成した静電像は、次いで現像手段としての現像器101cが現像剤(トナー)を供給することによって現像剤像(トナー像)として現像する。
【0018】
一方、記録材収納部としてのカセット105内に収納された記録材Pは、例えば、ホストコンピュータからのプリント信号により、記録材供給部材としての供給ローラ106と記録材分離手段としての分離パッド107によって一枚ずつ分離されて給送される。分離された記録材Pは、記録材搬送部材としての搬送ローラ対108により、感光ドラム101aとそれに圧接された転写手段としての転写ローラ109で構成される転写部に搬送される。ここで、搬送ローラ対108近傍には記録材搬送経路を搬送される記録材Pを検知する検知手段としてのトップセンサ120が設けられている。そして、トップセンサ120が記録材Pの到達を検知すると、レーザスキャナユニット103からのレーザ光の発光を促し、感光ドラム101a表面に対する静電像の形成と、記録材P搬送との同期をとる
制御が行われる。
【0019】
そして、感光ドラム101aと転写ローラ109との圧接部にてトナー像が記録材Pに転写される。トナー像が転写された記録材Pは、定着フィルム110aとそれに圧接された加圧ローラ110bとで構成される定着部(定着手段)110に搬送される。そして、定着部110において、定着フィルム110aと加圧ローラ110bとのニップ部で記録材Pが挟持搬送されることで、記録材P上にトナー像が定着される。トナー像が定着された記録材Pは、排出ローラ112により搬送され、プリンタ部2の上部の排出部113へ排出される。排出ローラ112近傍には検知手段としての排出センサ121が設けられており、排出センサ121は、記録材Pの先端が排出ローラ112に到達したことと、記録材Pの後端が排出ローラ112を抜けたことを検知している。
【0020】
本実施例では、トップセンサ120と排出センサ121の出力(検知結果)から、記録材Pがプリンタ部2内を正常に搬送できたか、機内で滞留してジャムを起こしたかを画像形成装置1に設けられたエンジンコントロールユニット(ECU)で判断している。そして、ECUは、ジャムが発生していると判断したときは、ホストコンピュータや画像形成装置1の表示部に信号を報知してユーザにジャムの発生を知らせている。ここで、ECUは、制御手段、判断手段、第1判断手段及び第2判断手段に相当する。又、転写ローラ109によって感光ドラム101aから記録材Pへトナー像を転写した後に感光ドラム101a上に残留するトナーは、クリーニング手段101dによって除去される。ここで、クリーニング手段101dは、クリーニング部材として感光ドラム101aに当接するクリーニングブレードを有している。
【0021】
感光ドラム101aと、感光ドラム101aに作用するプロセス手段としての帯電ローラ101b、現像器101c及びクリーニング手段101dとは、カートリッジ枠体100によって一体的にカートリッジ化されプロセスカートリッジ101を構成している。プロセスカートリッジ101は、プリンタ部2本体(画像形成ユニット本体)、即ち、画像形成装置1本体に対して着脱可能に構成されている。感光ドラム101a、帯電ローラ101b、及び現像器101cは、画像形成部を構成している。ここで、排出部113は、画像形成部の上方に設けられ、画像形成部で画像が形成された記録材が排出されることとなる。また、ドア6は画像形成部を開放可能とする。
【0022】
プロセスカートリッジ101は、詳しくは後述するようにして、スキャナ部3及びドア6を開くことにより、プリンタ部2(画像形成装置1本体)に対して着脱可能に構成されている。プロセスカートリッジ101は、図4に2点鎖線で示すように、画像形成装置1の前方から、長手方向(感光ドラム101aの長手方向(軸方向))と交差する方向に挿入して、プリンタ部2内に設けられた図示しない装着ガイドなどを介して装着することができる。又、この動作と逆の動作を行うことで、プロセスカートリッジ101を画像形成装置1本体から取り外すことができる。
【0023】
本実施例では、プロセスカートリッジ101は、プリンタ部2に設けられた保持部材、位置決め部材などで構成された不図示のカートリッジ装着手段を介して取り外し可能にプリンタ部2に装着される。プロセスカートリッジの態様は本実施例のものに限定されるものではない。すなわち、電子写真感光体と、電子写真感光体に作用するプロセス手段として帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうち少なくとも1つとを一体的にカートリッジ化し、画像形成装置本体に着脱可能としたものであればよい。ここで、プロセスカートリッジ101は、現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容部が少なくとも設けられたカートリッジであってもよい。プロセスカートリッジ101には、現像剤収容部内のトナーの残量を検知するため、現像剤検知手段としてのトナー残量検知手段が設けられており、トナー残量検知手段がトナー残量を所定量以下と検知した場合には画像形成装置1のE
CUにその情報を報知する。この情報が報知されると画像形成装置1はホストコンピュータや画像形成装置1の表示部に信号を報知してユーザにプロセスカートリッジ101のトナー量が低下したことを知らせ、プロセスカートリッジ101の交換を促している。
【0024】
排出部113は、プリンタ部2の筐体7Aの一部である、開閉部材としてのドア6の上面に具備されている。ドア6は、プリンタ部2の筐体7Aであってドア6を除いた部分に相当する枠体7に、スキャナ部3と共通である、画像形成装置1の後方端部の回転中心Aを中心として開閉可能に配置されている。ドア6をプリンタ部2本体に対して開くことにより、プリンタ部2の内部を開放することができ、ユーザによるプロセスカートリッジ101へのアクセス、記録材Pのジャム処理などが可能となる。尚、本実施例では、ドア6の回転中心はスキャナ部3と共通としているが、これに限定されるものではなく、プリンタ部2の内部を十分に開放し得るのであれば、ドア6は任意の位置の回転中心を軸として回転するものであってよい。
【0025】
画像形成装置1のプリンタ部2には、プリンタ部2とスキャナ部3に電力を供給するために、画像形成装置1の電気基板へ電力を供給する電力供給手段が設けられている。そして、ECUには、電力供給手段による電力供給状態を通電状態、遮断状態の間で切替えるためのスイッチ部材としてのインターロックスイッチ11が設けられている。そして、ドア6には、インターロックスイッチ11と当接可能な操作部材としてのスイッチリブ6dが設けられている。ドア6が閉じた状態では、スイッチリブ6dがインターロックスイッチ11と当接することでインターロックスイッチ11がOn状態となり、画像形成装置1に電力が供給可能となる。ドア6が所定角度以上に開いた状態になると、スイッチリブ6dがインターロックスイッチ11から離間しインターロックスイッチがOff状態となり、画像形成装置1への電力の供給が遮断される。これにより、ユーザがドア6を開放して画像形成装置1の内部にアクセスする場合には、画像形成装置1の各部には電力が遮断されている状態となるので、画像形成装置1の給電部へユーザが触れた場合の感電防止や、稼動部が不意に動作することを防止できる。したがって、ユーザは、より安全に画像形成装置1内部の処理を行うことができる。ここで、スキャナ部3は、本実施例では、撮像部に光電変換素子を有し、光学的に原稿画像を読み取る周知のフラットベット型のスキャナである。斯かるスキャナ部3の内部構造、作用などについては本実施例において重要ではないため、詳しい説明は省略する。
【0026】
[スキャナ部及びドアの開閉]
次に、図2を参照して、スキャナ部3及びドア6の開閉機構について詳しく説明する。図2(a)は、スキャナ部3とドア6とを選択的に連結、解除する機構を画像形成装置の「上」から見た図である。図2(b)は、スキャナ部3とドア6とを選択的に連結、解除する機構を画像形成装置の「前」から見た図である。スキャナ部3の後方下部には、ヒンジ部を構成する回転支持部3aが設けられており、この回転支持部3aが、プリンタ部2の枠体7の上面に回転可能に取り付けられることで、スキャナ部3はプリンタ部2と一体とされている。スキャナ部3の回転支持部3aとは反対側の先端部付近には、移動手段としてのアクチュエータ(本実施例ではプランジャを適用、以下、プランジャ)30が設けられており、画像形成装置1のECUによってOn状態とOff状態を選択可能にされている。
【0027】
図2に示すように、プランジャ30には、第1リンク部材(以下、第1リンク)31が連結されており、第1リンク31には、第2リンク部材(以下、第2リンク)32が連結されている。第1リンク31は、図2(a)において、実線で示す位置(第2位置)と、2点鎖線で示す位置(第1位置)との間で移動可能に設けられ、プランジャ30により移動操作される。プランジャ30の先端には連結部(連結軸)30aが設けられている。第1リンク31には、一端側に長穴31a、中央付近に支軸31b、そして他端側には第2
リンク32との連結部31cが設けられている。第2リンク32は、第1リンク31の他端で連結部31c,32aとで回転可能に連結されており、その回転軸は第1リンク31の支軸31bと直交するように設けられている。第2リンク32において、第1リンク31との連結部付近には第2リンクの回転を規制する規制部32bがあり、第1リンク31に対する第2リンク32の回転動作を所定の角度以上に回転しないように規制している(図2(b)参照)。
【0028】
さらに、第1リンク31と第2リンク32の間には第2リンク32の規制部32bが第1リンク31に突き当たる方向(図2(b)に示す矢印b方向)に付勢する第1付勢手段としてのバネ33が設けられている。また、プリンタ部2のドア6の排出部113より左右方向で外側には第1係合部材としてのフック6cが設けられていて、このフック6cの先端6c1が第2リンク32と係合可能に設けられている。先端6c1は、第2リンク32に対して図2(b)に示す矢印c方向の下流側に位置することで、規制部32bにより回転動作を規制された第2リンク32に係合可能となる。第1,2リンク31,32が図2(a)の2点鎖線で示す位置(第1位置)に位置し、先端6c1が第2リンク32に対して図2(b)の矢印c方向の下流に位置することで、規制部32bにより回転動作を規制された第2リンク32と先端6c1が係合可能となる。ここで、先端6c1は第1係合部材に設けられたフック部に相当する。また、図2(b)に示す矢印c方向は、スキャナ部3又はドア6の開放方向である。図2(b)に示す矢印c方向の上流側は、スキャナ部3又はドア6の開閉方向(以下、スキャナ部3の開閉方向)閉鎖側である。図2(b)に示す矢印c方向の下流側は、スキャナ部3の開閉方向開放側(スキャナ部3の開閉方向おいてドア6に対してスキャナ部3の側である第1側に相当)である。また、規制部32bが第1リンク31に当接することで第2リンク32の回転動作が規制された規制位置では、図2(b)に示す矢印a,b方向のうち矢印a方向のみ(スキャナ部3の開閉方向開放側のみ、第1側のみ)に回転可能となっている。ここで、第1リンク31、第2リンク32、フック6c及びプランジャ30は、スキャナ部3の開閉動作にドア6の開閉動作が連動するようにスキャナ部3とドア6とを係合可能にする係合機構を構成している。また、第1リンク31及び第2リンク32は、第2係合部材を構成している。
【0029】
図3は、画像形成装置において、スキャナ部3のみを開放した場合を示す概略断面図である。以下に、プリンタ部2の機内にジャムの発生が無く、かつプロセスカートリッジ101のトナー残量が所定量より多く残っている正常な動作状態にあるときについて説明する。これは、ECUが、プリンタ部2内部のトップセンサ120や排出センサ121の検知結果からジャムの発生が無いと判断し、かつ、プロセスカートリッジ101のトナー残量検知手段の検知結果からトナー残量が所定量より多いと判断した場合ということもできる。ここで、ジャムが発生した場合やトナー残量が所定量以下となった場合等の異常な動作状態となった場合のみ、異常を知らせる信号がECUに送られるような構成であれば、正常な動作状態では、ECUに異常を知らせる信号が送られていない状態となる。
【0030】
画像形成装置1が正常状態にある場合では、ユーザがプリンタ部2の内部にアクセスする必要はほぼ無く、スキャナ部3をユーザが回転させる場合は排出部113上にある記録材Pを取り出す事が主な目的となる。このような場合、スキャナ部3に設けられたプランジャ30には、画像形成装置1のECUよりOn状態となるように電力が供給されている。プランジャ30がOn状態となる場合には、図2(a)の実線で示すように、プランジャ30先端の連結部30aが前進し、第1リンク31が支軸31bを中心に回転し、第2リンク32はドア6のフック6cとの係合が解除された状態となる。これは、第2係合部材が第2位置に位置した状態に相当し、スキャナ部3とドア6は非係合状態にある。このため、ユーザがスキャナ部3を持ち上げると、図3に示すようにスキャナ部3だけが回転して、ドア6は移動しない(スキャナ部3に連動しない)状態を作り出すことができるので、ユーザは排出部113上にある記録材Pに容易にアクセス可能となる。
【0031】
図4は、画像形成装置において、スキャナ部3とドア6が連動した場合を示す概略断面図である。以下に、ECUが、プリンタ部2内部のトップセンサ120や排出センサ121の出力からジャムの発生を判断した第1の場合や、プロセスカートリッジ101のトナー残量検知手段の出力からトナー残量が所定量以下であると判断した第2の場合について説明する。このような、上記第1の場合と上記第2の場合とのうち少なくともいずれかの場合、ユーザはプリンタ部2の内部にアクセスすることが必要になるため、画像形成装置1のECUはプランジャ30に対して電力の供給を遮断しOff状態とする。すると、図2(a)の2点鎖線で示すように、プランジャ30先端の連結部30aはOn状態位置より後退し、第1リンク31は第2リンク32がドア6のフック6cと係合可能な位置となるように回転する。これは、第2係合部材が第1位置に位置したことに相当し、スキャナ部3とドア6は係合状態にある。この状態でユーザがスキャナ部3を持ち上げると、図4に示すように第2リンク32とフック6cの係合によってドア6も一緒に回転する。
【0032】
ここで、第2リンク32には規制部32bが設けられている。そして、規制部32bが第1リンク31に当接する規制位置(図2(b)に実線で示す位置)をとることにより、第2リンク32がドア6を持ち上げようとする負荷(荷重)を規制部32bによって受けることができる。これにより、第2リンク32がドア6を持ち上げようとする負荷に対して、第2リンク32の回転は規制されることとなる。このことで、ドア6の自重によって第2リンク32が図2(b)に示す矢印b方向に回転することはなく、第2リンク32とドア6との係合が外れることは無い。このため、ユーザがスキャナ部3を持ち上げるだけで、ドア6もスキャナ部3に連動して回転することとなり、これによりプリンタ部2の内部にアクセス可能になるので、プリンタ部2内のジャム処理やプロセスカートリッジの交換を容易に行うことができる。
【0033】
次に、ユーザが画像形成装置内部を清掃したいと思った場合など、画像形成装置1が正常な状態ではあるが、ユーザがプリンタ部2内部にアクセスする場合について説明する。このような状況では、ECUはプランジャ30にOn状態となるように電力を供給しているため、図2(a)の実線に示すように、第2リンク32とフック6cの係合は解除された状態にあり、スキャナ部3を持ち上げてもドア6は移動しない。そのため、ユーザは、その後、ドア6を回転させる必要がある。ここで、ドア6にはスイッチリブ6dが設けられており、ドア6が閉じた状態ではインターロックスイッチ11と当接し、画像形成装置1の各部に電力が供給されている。
【0034】
ドア6をユーザが所定角度以上に開くと、インターロックスイッチ11とスイッチリブ6dは離間するため、画像形成装置1の各部への電力供給が遮断される。すると、プランジャ30への電力供給も遮断されるため、プランジャ30はOff状態へ移行し、先端の連結部30aは後退して第1リンク31を回転させ、第2リンク32がドア6のフック6cと係合可能な位置(第1位置)に移動する。そして、ドア6をスキャナ部3に向けて更に回転させる(開動作を行わせる)と、フック6cが図2(b)に示す矢印c方向の上流側からスキャナ部3に近づくこととなる。すると、第2リンク32は連結部31c,32aで第1リンク31に回転可能に連結されているため、第2リンク32はフック6cと当接することで図2(b)に示す矢印a方向に回転する。その後、フック6c(先端6c1)が第2リンク32を抜けると、バネ33の付勢力で第2リンク32は図2(b)に示す矢印b方向に回転して元の位置(規制位置)に戻る。フック6cは、規制位置よりスキャナ部3の開閉方向開放側に位置することとなるので、フック6cと第2リンク32とは係合可能な状態となる。これにより、フック6c(先端6c1)が第2リンク32で係止(係合)されるので、ドア6を開放位置に維持することができる。
【0035】
このように、本実施例では、プランジャ30の動作を、電力が供給されている間、スキ
ャナ部3とドア6との連結を解除した状態とし、画像形成装置1の内部にアクセスを要するときに電力を遮断してスキャナ部3とドア6が連動するように設定している。このことで、ドア6が開いてスイッチリブ6dがインターロックスイッチ11から離間し画像形成装置1への電力供給が遮断されても、スキャナ部3とドア6が連結状態を維持することができる。また、スキャナ部3だけを回転させる場合は、ドア6が閉じた状態であるため、プランジャ30への電力供給は継続して行われ、スキャナ部3のみを回転させることができる。さらに、画像形成装置1に異常が無くスキャナ部3を回転させた後にドア6を回転させる場合では、ドア6を所定回転量以上に開放したところでインターロックスイッチ11が電力を遮断する。このため、プランジャ30がOff状態となり第2リンク32がドア6のフック6cと係合可能な位置に移動するので、ユーザがドア6を回転させると第2リンク32にフック6cが係合し、ドア6の開放状態を維持することができる。
【0036】
以上説明したように、ジャムが発生したことと、プロセスカートリッジ101内に所定量以下のトナーしか残っていないことの少なくともいずれか一方をECUが判断した場合、スキャナ部3を回転させる動作のみでプリンタ部2の内部を開放することができる。
これは、アクチュエータによって排出部上部に配置されたスキャナ部3とドア6とを連動させることによるものである。このため、ジャム処理やプロセスカートリッジの交換作業のため、ユーザがプリンタ部2の内部へアクセスする事をより容易にすることができ、作業性を向上できる。また、記録材のジャムの発生が無く、プロセスカートリッジ101内に所定量より多くトナーが残っている場合には、アクチュエータによってスキャナ部3とドア6との係合部を解除することでスキャナ部3のみを開放させることができる。このことでスキャナ部3の下方に配置された排出部113へアクセスが容易となり、排出部113の上流側に留まってしまう記録材搬送方向に短い記録材に印字した場合等であっても、排出部113から記録材を取り出しやすくすることができる。
【0037】
なお、本実施例では、アクチュエータとしてプランジャ30を用いたが、これに限らず、ソレノイドを用いても上記同様の効果を得ることができる。また、本実施例では、トナー残量検知手段を備え、また、プロセスカートリッジ101をドア6から交換する構成であったが、これに限るものではない。トナー残量検知手段を備えていない構成や、ドア6からプロセスカートリッジを交換する構成でない画像形成装置においても、ECUがジャム発生を判断することで、上記のようにアクチュエータを制御するものであればよい。
【実施例2】
【0038】
以下に、本発明の実施例2について説明する。図5(a)は、スキャナ部3とドア6とを選択的に連結、解除する機構を画像形成装置の「上」から見た図である。図5(b)は、スキャナ部3とドア6とを選択的に連結、解除する機構を画像形成装置の「前」から見た図である。実施例1ではOn状態とOff状態を選択可能なアクチュエータとしてプランジャ30を使う例を示したが、画像形成装置1が正常動作中、常に電力供給を行い、プランジャ30を動作させる形態としていた。しかし、正常動作時に常にプランジャ30へ電力を供給しているため、画像形成装置1の消費電力が増えてしまっていた。そのため、本実施例では、アクチュエータとして小型モータ40を用いる形態について説明する。ここで、小型モータ40は駆動源に相当する。なお、実施例1と重複する部分の説明は省略する。
【0039】
図5に示すように、小型モータ40は回転軸40aを有しており、その回転軸40aの先端にウォーム40bが取り付けられ、小型モータ40はECUからの信号でウォーム40bを正逆回転可能に構成されている。第1リンク41は、回転軸41aを中心に回転可能に支持されている。そして、第1リンク41のうち回転軸41aから一端側には、ウォーム40bと噛み合うように設けられた円弧状の歯を有して扇形に形成されたウォームホイール部41bが設けられており、他端側には第2リンク42との連結部41cが設けら
れている。第1リンク41、第2リンク42はそれぞれ実施例1の第1リンク31、第2リンク32に相当するもので、特に第2リンク42は第2リンク32と同様な構成である。すなわち、第2リンク42は第1リンク41に対して回転可能に設けられており、その回転軸は、回転軸41aに直交するように設けられている。そして、第2リンク42と第1リンク41との間には、第1リンク41に対して第2リンク42を図5(b)に示す矢印b方向(規制部42bが第1リンク41に突き当たる方向)に付勢するバネ43が設けられている。また、第1リンク41に設けられた扇形のウォームホイール部41bを、ウォーム40bに向かう方向に(ウォーム40bと噛み合うように)付勢する第2付勢手段としての引張りバネ44が設けられている。本実施例では、扇形のウォームホイール部41bのうち周方向の中心領域がウォーム40bに向かうように、引張りバネ44を構成している。
【0040】
小型モータ40が回転すると、回転軸40aの先端のウォーム40bが回転し、ウォームホイール部41bに駆動力が伝達されることで、回転軸41aと直交する方向に第1リンク41が回転することとなる。これに伴い、第2リンク42が移動する。小型モータ40を駆動する時間は、ウォームホイール部41bがウォーム40bと噛み合ってから噛み合いが外れるまでの時間より少し長く設定することで、ウォームホイール部41bを形成している角度(扇形の中心角)に第1リンク41の回転角度を設定できる。ここで、ウォームホイール部41bの歯のうち周方向の両端部の外側にウォーム40bがそれぞれ位置した場合に、ウォームホイール部41bとウォーム40bとの噛み合い状態が外れた状態となるように構成されている。そして、ウォームホイール部41bがウォーム40bに向かうようにウォームホイール部41bを付勢している引張りバネ44の弾性力を利用することで、小型モータ40を逆回転させた場合には、次のような状態とすることができる。すなわち、小型モータ40を逆回転させた場合には、再度、ウォームホイール部41bがウォーム40bと噛み合い可能な状態とすることができる。このようにすることで、小型モータ40に特別な回転制御を実行させることなく、第1リンク41と第2リンク42を所定の2つの位置(第1位置と第2位置)に保持することが可能となるため、小型モータ40としては安価なDCブラシモータを使うことができる。
【0041】
以下に、プリンタ部2にジャムの発生が無く、かつプロセスカートリッジ101のトナー残量も所定量より多く残っている正常状態のとき、スキャナ部3のみを開放し、ドア6は閉じた状態に維持する場合について説明する。この正常状態にある場合、ECUにより小型モータ40の回転が制御されることで、第2リンク42は、ドア6のフック6cから離れた位置(第2位置、図5(a)の実線で示す位置)に位置する。ここで、ECUの制御により、小型モータ40は、第1リンク41のウォームホイール部41bがウォーム40bとの噛み合い状態から外れるのに十分な時間、回転駆動される。ウォーム40bとウォームホイール部41bはその性質上、ウォーム40bを回転させてウォームホイール部41bを回すことは容易に可能だが、ウォームホイール部41bに回転力を入れてもウォーム40bを回転させることはできない。このため、小型モータ40で第1リンク41を第2位置に移動させた後、小型モータ40への電力供給を遮断し、引張りバネ44で第1リンク41を回転させる力が働いていても、第1リンク41と第2リンク42の位置を維持できる。すなわち第1リンク41と第2リンク42の位置は、図5(a)の実線で示す第2位置に維持される。図5(a)の実線で示す状態では、第2リンク42とドア6のフック6cが離間した状態にあるためスキャナ部3のみを開放可能であり、図3に示すように、排出部113上にある記録材Pへユーザがアクセスする作業性を高めることができる。
【0042】
以下に、プリンタ部2の内部にジャムが発生した場合、もしくはプロセスカートリッジ101のトナー残量が所定量以下となった場合で、プリンタ部2の内部へユーザアクセスを促す場合について述べる。
【0043】
この様な場合においては、ECUにジャム検知信号やトナー残量が少ないという信号が送られてくる。すると、第2リンク42がフック6cと係合可能な第1位置をとる方向に移動するように小型モータ40を回転させる信号がECUから送られる。第1リンク41に掛けられた引張りバネ44の弾性力によって、第1リンク41のウォームホイール部41bはウォーム40b方向に引張られているため、小型モータ40が回転すると、ウォームホイール部41bとウォーム40bとは噛み合い始める。そして、第2リンク42がフック6cと係合する位置まで第1リンク41が回転した後、再びウォームホイール部41bとウォーム40bの噛み合いが外れるまで小型モータ40への電力供給がECUにより継続される。この後、小型モータ40への電力が遮断されるが、前述のようにウォーム40bとウォームホイール部41bの作用によって、図5(a)の2点鎖線に示す第1位置に、第1リンク41と第2リンク42の位置は維持される。この状態でユーザがスキャナ部3を持ち上げると、図4に示すように、ドア6も一緒に持ち上がるため、ユーザは1回の動作でジャム処理やプロセスカートリッジの交換作業に当たることができる。ここで、ドア6が開放されると、スイッチリブ6dがインターロックスイッチ11から離間し、画像形成装置各部への電力供給も遮断されるが、ドア6が開放される前に小型モータ40への電力供給は遮断されている。このため、ユーザは、ドア6を画像読み取り部3に連動させて持ち上げることができる。
【0044】
以下に、プリンタ部2にジャムの発生が無く、かつプロセスカートリッジ101のトナー残量も所定量より多く残っている正常状態において、ユーザがプリンタ部2の内部にアクセスする際の動作について説明する。
【0045】
この場合、ECUには画像形成装置1の異常を知らせる信号が来ていないため、スキャナ部3とドア6は、スキャナ部3をユーザが持ち上げてもドア6がスキャナ部3の開放動作に連動しない非係合状態にある。そのため、ユーザはスキャナ部3を開放した後、ドア6を持ち上げる動作を行うことになる。このように、画像形成装置1の異常を知らせる信号がECUに入力されていない状態でドア6が引き上げられ、インターロックスイッチ11とドア6のスイッチリブ6dが離間した場合、ECUは次のように電力供給状態を制御する。すなわち、インターロックスイッチ11がOff状態になった後、直ぐには各部への電力供給を遮断せず、小型モータ40への電力供給を行う。そして、第2リンク42がフック6cと係合可能な状態になりウォームホイール部41bがウォーム40bから外れる(図5(a)の2点鎖線の状態)まで電力を供給した後、全ての部分への電力供給を遮断する。これにより、図5(b)で示すように、フック6cが第2リンク42と係合可能な状態となり、ドア6の開放状態が維持可能となる。
【0046】
以上のように本実施例では、ウォーム40bとウォームホイール部41bの作用でスキャナ部3とドア6の連結状態、解除状態を維持可能なので、小型モータ40(アクチュエータ)への電力供給は小型モータ40を回転(正逆回転駆動)させている間だけで済む。したがって、画像形成装置1の消費電力の上昇を抑えることができる。
【実施例3】
【0047】
実施例1,2においては、係合機構を動作させるためのアクチュエータをスキャナ部3側に搭載していたが、アクチュエータ、第1リンク及び第2リンクがスキャナ部3とドア6とのうちいずれか一方に設けられ、フックが他方に設けられるものであればよい。本実施例では、アクチュエータをプリンタ部2のドア6側に搭載した構成について説明する。以下の説明において実施例1,2に重複する部分の説明は省略する。
【0048】
本実施例においては、ドア6の排出部113より左右方向で外側の位置に、図6に示すように、アクチュエータ50と第1リンク51と第2リンク52とを配置している。アク
チュエータ50としては、実施例1で説明したプランジャやソレノイド、実施例2で説明した小型モータのいずれでもよく、第1リンク51と第2リンク52の周辺構成もアクチュエータ50の選択に応じて実施例1,2で説明した構成と同様な構成とする。本実施例では、実施例1,2のフック6cに相当するものとして、スキャナ部3のプリンタ部2への対向面にフック3bを設け、このフック3bを第2リンク52と係合可能な位置に配置している。ここで、画像形成装置1が正常な状態において、ユーザがプリンタ部2内部にアクセスする場合についても実施例1,2の場合と同様である。すなわち、フック3bの先端3b1と第2リンク52とが係合する過程は、次に示すように、実施例1,2の場合とは開閉方向において逆の関係となる。スキャナ部3を持ち上げた後でドア6を開放させる際、ドア6をスキャナ部3に向けて回転させると、第2リンク52がスキャナ部3のフック3bに近づくこととなる。そして、第2リンク52は、フック3bと当接することで、スキャナ部3の開閉方向閉鎖側(第1側に相当)に回転する。その後、フック3bの先端3b1が第2リンク52を抜けると、バネの付勢力で第2リンク52は元の規制位置に戻る。フック3bは、規制位置よりスキャナ部3の開閉方向閉鎖側に位置することとなるので、フック3bと第2リンク52とは係合可能な状態となる。これにより、フック3b(先端3b1)と第2リンク52が係止(係合)されるので、ドア6を開放位置に維持することができる。
【0049】
以上のように構成することで、実施例1,2で説明した効果と同様な効果を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
ECU エンジンコントロールユニット ; 1 画像形成装置 ; 2 プリンタ部
; 3 スキャナ部 ; 6 ドア ; 6c フック ; 30 プランジャ ; 31 第1リンク ; 32 第2リンク ; 33 バネ ; 113 排出部 ; 120 トップセンサ ; 121 排出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を形成する画像形成部、前記画像形成部の上方に設けられ前記画像形成部で画像が形成された記録材が排出される排出部、前記排出部に開閉可能に設けられ前記画像形成部を開放可能な開閉部材、及び、記録材搬送経路を搬送される記録材を検知する検知手段を有する画像形成ユニットと、
前記排出部を隔てて前記画像形成ユニットの上方に設けられ、原稿の画像を読み取る画像読取ユニットであって、前記画像形成ユニットに対して開閉可能に取り付けられ前記排出部を開放可能な画像読取ユニットと、
を有する画像形成装置において、
前記画像読取ユニットの開閉動作に前記開閉部材の開閉動作が連動するように前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを係合可能にする係合機構と、
前記検知手段の検知結果から記録材のジャムが発生したかどうかを判断する判断手段と、
記録材のジャムが発生していない場合には、前記係合機構を制御することにより前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを非係合状態として前記画像読取ユニットの開閉動作と前記開閉部材の開閉動作が連動しない状態としておき、
前記判断手段により記録材のジャムが発生したと判断された場合には、前記係合機構を制御することにより前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを係合状態として前記画像読取ユニットの開閉動作と前記開閉部材の開閉動作が連動する状態とさせる制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録材に画像を形成する画像形成部、前記画像形成部の上方に設けられ前記画像形成部で画像が形成された記録材が排出される排出部、前記排出部に開閉可能に設けられ前記画像形成部を開放可能な開閉部材、及び、記録材搬送経路を搬送される記録材を検知する検知手段を有する画像形成ユニットと、
前記排出部を隔てて前記画像形成ユニットの上方に設けられ、原稿の画像を読み取る画像読取ユニットであって、前記画像形成ユニットに対して開閉可能に取り付けられ前記排出部を開放可能な画像読取ユニットと、
を有する画像形成装置であって、
前記画像形成ユニットには、
現像剤を収容する現像剤収容部を少なくとも有し前記画像形成ユニット本体に着脱可能に設けられたカートリッジと、
前記現像剤収容部に収容されている現像剤の量を検知する現像剤検知手段と、
が設けられている画像形成装置において、
前記画像読取ユニットの開閉動作に前記開閉部材の開閉動作が連動するように前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを係合可能にする係合機構と、
前記検知手段の検知結果から記録材のジャムが発生したかどうかを判断する第1判断手段と、
前記現像剤検知手段の検知結果から前記現像剤収容部内の現像剤の量が所定量以下であるかどうかを判断する第2判断手段と、
記録材のジャムが発生していない場合、かつ、前記現像剤収容部内の現像剤の量が前記所定量以下でない場合には、前記係合機構を制御することにより前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを非係合状態として前記画像読取ユニットの開閉動作と前記開閉部材の開閉動作が連動しない状態としておき、
前記第1判断手段により記録材のジャムが発生したと判断された場合と、前記第2判断手段により前記現像剤収容部内の現像剤の量が前記所定量以下であると判断された場合とのうち少なくともいずれかの場合には、前記係合機構を制御することにより前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを係合状態として前記画像読取ユニットの開閉動作と前記開閉部材の開閉動作が連動する状態とさせる制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記係合機構は、
前記画像読取ユニット及び前記開閉部材のうちいずれか一方に設けられた第1係合部材と、
前記画像読取ユニット及び前記開閉部材のうちいずれか他方に設けられ、前記第1係合部材に係合可能な第1位置と、前記第1係合部材に係合しない第2位置との間で移動可能に設けられた第2係合部材と、
前記他方に設けられ、前記第2係合部材を前記第1位置と前記第2位置との間で移動させる移動手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記移動手段を制御して、前記第2係合部材を前記第1位置に位置させることで前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを前記係合状態とし、
前記第2係合部材を前記第2位置に位置させることで前記画像読取ユニットと前記開閉部材とを前記非係合状態とすることを特徴とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成ユニット及び前記画像読取ユニットに電力を供給する電力供給手段と、
前記画像形成ユニットに設けられ、前記電力供給手段による電力供給状態を通電状態と遮断状態との間で切替えるためのスイッチ部材と、
前記開閉部材に設けられた操作部材であって、前記開閉部材が閉じた状態では前記スイッチ部材に当接することで、前記電力供給手段による電力供給状態を通電状態とし、前記開閉部材が開いた状態では前記スイッチ部材から離間することで、前記電力供給手段による電力供給状態を遮断状態とする操作部材と、
を備え、
前記移動手段は、前記電力供給手段により電力が供給されることで前記第2係合部材を移動させるものであって、前記電力供給手段により電力が供給されている場合には、前記第2係合部材を前記第2位置に位置させ、前記電力供給手段により電力が供給されていない場合には、前記第2係合部材を前記第1位置に位置させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成ユニット及び前記画像読取ユニットに電力を供給する電力供給手段と、
前記画像形成ユニットに設けられ、前記電力供給手段による電力供給状態を通電状態と遮断状態との間で切替えるためのスイッチ部材と、
前記開閉部材に設けられた操作部材であって、前記開閉部材が閉じた状態では前記スイッチ部材に当接することで、前記電力供給手段による電力供給状態を通電状態とし、前記開閉部材が開いた状態では前記スイッチ部材から離間することで、前記電力供給手段による電力供給状態を遮断状態とする操作部材と、
を備え、
前記移動手段は、ウォームが取り付けられた回転軸を有し前記回転軸を正逆回転可能とする駆動源であり、
前記第2係合部材は、前記ウォームに噛み合うウォームホイール部を有し、
前記駆動源が前記回転軸を正逆回転駆動することにより、前記第2係合部材が前記第1位置と前記第2位置との間で移動し、
前記制御手段は、前記画像読取ユニットと前記開閉部材とが非係合状態にある場合であって、前記開閉部材が開放されることで前記操作部材が前記スイッチ部材から離間した場合には、前記駆動源により前記第2係合部材を前記第2位置から前記第1位置に移動させた後で、前記電力供給手段による電力供給を遮断状態とすることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2係合部材は、
前記移動手段により移動操作される第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に回転可能に連結して設けられ、前記第2係合部材が前記第1位置に位置した場合に前記第1係合部材と係合可能な第2リンク部材と、
前記第1リンク部材に対する前記第2リンク部材の回転動作を規制する規制部と、
を有し、
前記第1係合部材は、前記第2リンク部材に対して、前記画像読取ユニットの開閉方向において前記一方に対して前記他方の側である第1側に位置することで前記第2リンク部材に係合可能なフック部を備え、
前記第2リンク部材は、前記規制部により回転動作が規制された規制位置では前記第1側のみに回転可能に設けられ、
前記第2リンク部材を前記規制位置に向けて付勢する第1付勢手段が設けられ、
前記第2係合部材が前記第1位置にあり、前記フック部に対して前記第2リンク部材が前記第1側に位置する際に、前記画像読取ユニットに向けて前記開閉部材の開動作が行われた場合には、前記第1係合部材が前記第2リンク部材に当接することにより前記第2リンク部材が前記規制位置から前記第1側に回転した後、前記フック部が前記規制位置より前記第1側に位置し、前記第2リンク部材が前記付勢手段により付勢されて前記規制位置に戻ることで、前記画像読取ユニットと前記開閉部材とが係合状態となることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2係合部材は、
前記ウォームホイール部を有する第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に回転可能に連結して設けられ、前記第2係合部材が前記第1位置に位置した場合に前記第1係合部材と係合可能な第2リンク部材と、
前記第1リンク部材に対する前記第2リンク部材の回転動作を規制する規制部と、
を有し、
前記第1係合部材は、前記第2リンク部材に対して、前記画像読取ユニットの開閉方向において前記一方に対して前記他方の側である第1側に位置することで前記第2リンク部材に係合可能なフック部を備え、
前記第2リンク部材は、前記規制部により回転動作が規制された規制位置では前記第1側のみに回転可能に設けられ、
前記第2リンク部材を前記規制位置に向けて付勢する第1付勢手段が設けられ、
前記第2係合部材が前記第1位置にあり、前記フック部に対して前記第2リンク部材が前記第1側に位置する際に、前記画像読取ユニットに向けて前記開閉部材の開動作が行われた場合には、前記第1係合部材が前記第2リンク部材に当接することにより前記第2リンク部材が前記規制位置から前記第1側に回転した後、前記フック部が前記規制位置より前記第1側に位置し、前記第2リンク部材が前記付勢手段により付勢されて前記規制位置に戻ることで、前記画像読取ユニットと前記開閉部材とが係合状態となることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ウォームホイール部には、前記ウォームに噛み合う円弧状の歯が設けられ、
前記歯のうち周方向の両端部の外側に前記ウォームがそれぞれ位置した場合に、前記歯と前記ウォームとの噛み合い状態が外れた状態となるように構成され、
前記歯のうち周方向の両端部の外側で前記歯と前記ウォームとの噛み合い状態が外れた場合の前記第2係合部材の位置がそれぞれ前記第1位置、前記第2位置とされ、
前記歯が前記ウォームと噛み合うように前記第1リンク部材を付勢する第2付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−262075(P2010−262075A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111494(P2009−111494)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】