説明

画像形成装置

【課題】機密漏洩を確実に防止可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】上位装置と通信可能であり、内部に滞留した媒体の除去のために装置本体に設けられる開口部と、該開口部を開閉するための開閉蓋とを有する画像形成装置に、上位装置から原稿の画像データを含む印刷データを受信する受信部と、印刷データを解析して、原稿が機密文書であるか否かを判断する解析判断部と、機密文書であると判断されると、開閉蓋を閉状態に保持する保持部とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機密文書の印刷データを受信して、印刷を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数のユーザにより共有使用されるプリンタ等の画像形成装置が、オフィス環境等に広く普及している。このような画像形成装置は、例えば機密情報を含む機密文書の印刷時に、出力された印刷物が他人の目に触れて、或いは意図的に他人に持ち去られて、機密情報が漏洩する危険性がある。
【0003】
上記した機密情報の漏洩を回避すべく、下記特許文献1には、出力された印刷物を一時格納するための電子ロック機構付スタッカの技術が開示されている。電子ロック機構付スタッカは、画像形成装置と一体に設置され、IDカードからIDデータを読み取る読み取り機と、IDデータの照合処理を行う照合回路とを有する。画像形成装置は、上位装置からIDデータが付加された画像データを受信すると、該IDデータを記憶すると共に、電子ロック機構付スタッカのドアをロックさせ、受信した画像データに基づく印刷を行う。そして、利用者が、IDカードを読み取り機にセットすると、読み取り機がIDカードからIDデータを読み取って、照合回路が読み取られたIDデータと記憶されているIDデータとの照合処理を行う。そして、照合によって一致した場合にのみ、電子ロック機構付スタッカは、利用者が機密文書の受取権限を有する受取権限者であると認証し、ドアを開錠して、該利用者による印刷物の受け取りを可能とする。
【特許文献1】特開平5−213519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した従来の画像形成装置において、機密文書の印刷中に、例えば紙詰まりが発生した場合、利用者は、上部カバーを開けて、装置内部に滞留した印刷用紙を取り除く必要がある。しかしながら、上部カバーを開けた利用者が機密文書の受取権限者と異なる第三者である場合、印刷中の機密文書が該第三者の目に触れてしまう虞があり、機密情報の漏洩を完全に防止することはできなかった。
【0005】
したがって、機密漏洩を確実に防止可能な画像形成装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
【0007】
〈構成〉
本発明に係る画像形成装置は、上位装置と通信可能であり、内部に滞留した媒体の除去のために装置本体に設けられる開口部と、該開口部を開閉するための開閉蓋とを有し、上位装置から、原稿の画像データを含む印刷データを受信する受信部と、印刷データを解析して、原稿が機密文書であるか否かを判断する解析判断部と、機密文書であると判断されると、開閉蓋を閉状態に保持する保持部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置によれば、原稿が機密文書であると判断されると、開閉蓋が閉状態に保持されるので、印刷中の機密文書の参照が防止される。したがって、機密漏洩を確実に防止可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図を用いて詳細に説明する。ここでは、本発明をプリンタに適用した場合を例に説明する。
【実施例1】
【0010】
図2は、本発明に係るプリンタの構成を示す概略側断面図である。
プリンタ10には、図2に示されるように、電子ロック機構付スタッカ11が接続されている。
【0011】
プリンタ10の下部には、本実施例では、2つの給紙トレイ12−1及び12−2が設けられている。各給紙トレイ12−1及び12−2には、それぞれ、被印刷物となる媒体としての用紙13が複数枚収容されている。
【0012】
また、各給紙トレイ12−1及び12−2には、それぞれ、図2に示されるように、ホッピングローラ14−1及び14−2が配置される。後述する印刷制御部の制御に基づき、ホッピングローラ14−1が回転を開始すると、給紙トレイ12−1内の用紙13が繰り出されて、搬送部15へと給紙される。また、ホッピングローラ14−2が回転を開始すると、給紙トレイ12−2内の用紙が繰り出されて、搬送部16へと給紙される。
【0013】
給紙トレイ12−1或いは給紙トレイ12−2から繰り出された用紙13は、搬送部15〜19により、搬送路20に沿って、プリンタ10の内部を搬送される。搬送部15には、用紙13を搬送するための1対の搬送ローラ21が、搬送路20を間に対向して配置されると共に、用紙13の通過を検出するための通過センサ22が配設されている。そして、各搬送ローラ21の回転に伴い、用紙13は搬送部16へと搬送される。同様に、搬送部16は、1対の搬送ローラ23と通過センサ24とを備え、用紙13を搬送部17へ搬送する。更に、搬送部17は、1対の搬送ローラ25と通過センサ26とを有し、搬送部17から搬送された用紙13を、搬送部18へ給紙する。
【0014】
搬送部18には、1対の搬送ローラ27が、搬送路20を間に対向して配置されている。搬送部17から給紙された用紙13は、各搬送ローラ27の回転に伴い、更に画像形成部28へ搬送される。
【0015】
画像形成部28は、形成部及び転写部として、感光ドラム29及び転写ローラ30を備えている。搬送部19に配設された到達検知部としての通過センサ31上を、用紙13が通過するタイミングに同期して、画像形成部28において、感光ドラム29の表面にトナー画像が形成される。そして、用紙13が感光ドラム29及び転写ローラ30間に搬送されると、転写ローラ30に転写電圧が印加され、感光ドラム29上のトナー画像が、用紙13の表面に転写される。
【0016】
トナー画像が転写された用紙13は、通過センサ32を通過して、更に定着器33へと搬送される。そして、用紙13の表面に転写されたトナー画像が、定着器33により加熱及び加圧されて、定着される。その後、搬送部19に配設された排出ローラ34により、用紙13はプリンタ10から排出され、電子ロック機構付スタッカ11に格納される。搬送部19の排出口には、排出検知部としての排出センサ35が備えられ、用紙13の排出を監視している。
【0017】
電子ロック機構付スタッカ11は、複数のスタッカを有し、プリンタ10から受け取ったスタッカ指定データ(後述)に基づいて、プリンタ10から排出された印刷物を、指定されたスタッカに格納する。また、電子ロック機構付スタッカ11は、各スタッカのドアの施錠機能と、ユーザのIDカードからのIDデータ読取機能と、読み取ったIDデータの照合機能とを備えている。
【0018】
ところで、プリンタ10において、搬送路20に沿って搬送される用紙13の、各搬送部15〜19における搬送状況は、通過センサ22、24、26、31及び32と、排出センサ35とにより監視されている。このプリンタ10における印刷処理の実行中に、搬送部18或いは搬送部19において、用紙ジャムが発生すると、プリンタ10は、印刷処理を停止すべく、各ローラの回転を停止させる。印刷処理を再開させるためには、上部カバー36を開けて、プリンタ10の内部に滞留している用紙13を除去する必要がある。
【0019】
上部カバー36は、開閉蓋として、プリンタ10の本体筐体部37に設けられた開口部の上方に配置され、枢支軸36aを軸に、矢印A(図2)方向に回動して開閉される。本体筐体部37には、この上部カバー36の開閉動作を検知するための図示しない開閉検知部が備えられている。また、上部カバー36は、上部カバーロック機構38により、施錠或いは開錠される。
【0020】
ここで、上部カバーロック機構38による上部カバー36の施錠について、図3及び図4を用いて説明する。
図3は、本発明に係るプリンタの部分側断面図であり、図4は、上部カバーの構成を示す説明図である。
なお、図3(a)は、上部カバー36の開錠時に対応し、図3(b)は施錠時に対応している。
【0021】
上部カバーロック機構38は、上部カバー36を電子ロックするために、施錠部材39と該施錠部材39を駆動する駆動部40とを備えている。
【0022】
駆動部40は、例えばソレノイド等の電子部品を含んで構成される駆動回路からなり、電磁力により施錠部材39を駆動する機能を有する。
【0023】
施錠部材39は、上部カバー36の開錠時において、図3(a)に示されるように、本体筐体部37の内部に位置する。この開錠時において、駆動部40により施錠部材39が駆動されると、施錠部材39は、本体筐体部37から上部カバー36方向へと突出する。
【0024】
上部カバー36には、図4(a)及び図4(b)に示されるように、2つの孔部36bが所定の位置に設けられている。駆動部40が、上記したように、施錠部材39を本体筐体部37から上部カバー36方向へ突出させるべく駆動すると、図3(b)に示されるように、施錠部材39は、上部カバー36の孔部36bに貫入して、上部カバー36と本体筐体部37とを連結する。この本体筐体部37との連結状態において、上部カバー36は開閉不可となり、即ち施錠状態となる。
【0025】
次に、本実施例のプリンタ10の機能構成について、説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るプリンタの機能構成を示すブロック図である。
【0026】
本実施例のプリンタ10は、図1に示されるように、上位装置としてのホスト装置41と通信可能であり、該ホスト装置41から印刷データを受信して、印刷処理を実行する。
【0027】
ホスト装置41は、本実施例ではユーザに使用されるパーソナルコンピュータからなり、印刷データを生成してプリンタ10へ送信する機能を有する。
【0028】
図5は、印刷データの構成を示す説明図である。
図5(a)に示される印刷データは、編集データ及びスタッカ指定データを含んで構成される。即ち、ホスト装置41は、印刷原稿の編集データに、スタッカ指定データを付加して、印刷データを生成する。スタッカ指定データは、電子ロック機構付スタッカ11が有する複数のスタッカのうち何れかを指定するためのデータであり、電子ロック機構付スタッカ11は、このスタッカ指定データに基づいて、プリンタ10から排出された印刷物を、指定されたスタッカに格納する。
【0029】
また、図5(b)に示される印刷データは、編集データ及びスタッカ指定データに、更に認証情報としてのIDデータが付加されている。ホスト装置41は、印刷原稿が機密情報を含む機密文書である場合、該印刷原稿の編集データに、スタッカ指定データとIDデータとを付加して、印刷データを生成する。ホスト装置41は、ユーザのIDカードに記憶されるIDデータを読み取って、或いはユーザの入力に基づきIDデータを設定して、図5(b)に示されるように、該IDデータを印刷データに付加する。
【0030】
プリンタ10は、本発明に係る画像形成装置として、図1に示されるように、受信部42、データ解析部43、印刷制御部44、ID記憶部45、IDカード読取機46、読取バッファ47、開閉検知部48、ロック制御部49及び上部カバーロック機構38を含んで構成される。
【0031】
受信部42は、印刷データ受信機能を有し、ホスト装置41から印刷データを受信して、データ解析部43へ送る。
【0032】
データ解析部43は、印刷データを解析して印刷用の画像データを生成する機能を有し、図1に示されるように、検索取出部50及び生成部51を備えている。
【0033】
検索取出部50は、解析判断部及び取出部として、受信部42から受け取った印刷データに対して、IDデータの検索を行い、該印刷データにIDデータが付加されているか否かを判断する。
【0034】
印刷データにIDデータが付加されていない場合(図5(a))、検索取出部50は、該印刷データの原稿が機密文書ではないと判断し、印刷データからスタッカ指定データを取り出して、該スタッカ指定データを電子ロック機構付スタッカ11へ送出する。
【0035】
印刷データにIDデータが付加されている場合(図5(b))、検索取出部50は、該印刷データの原稿が機密文書であると判断し、該IDデータを印刷データから取り出して、付加IDデータとして出力し、ID記憶部45に記憶させる。また、検索取出部50は、印刷データからスタッカ指定データを取り出して、該スタッカ指定データとIDデータとを、電子ロック機構付スタッカ11へ送出する。
【0036】
更に、検索取出部50は、印刷データから編集データを取り出して、生成部51へ送る。
【0037】
生成部51は、検索取出部50から受け取った編集データに基づいて、印刷用の画像データを生成し、該画像データを印刷制御部44へ出力する。
【0038】
印刷制御部44は、生成部51から入力された画像データに基づいて印刷処理を実行すべく、図2に示される各搬送部15〜19、画像形成部28及び定着器33の制御を行う。
【0039】
また、印刷制御部44は、図1に示されるように、完了監視部52を有する。完了監視部52は、排出センサ35(図2)からの検出情報に基づいて、印刷物の排出完了を監視する。そして、印刷物の排出が完了すると、完了監視部52は、ID記憶部45に記憶されている付加IDデータを消去する。
【0040】
ID記憶部45は、例えば記憶回路からなり、記憶部として、検索取出部50から入力された付加IDデータを記憶する。この付加IDデータは、印刷処理の完了後、印刷制御部44により消去される。
【0041】
IDカード読取機46は、読取部としての機能を有し、図示されない載置部に載置されたユーザのIDカード53から、該IDカード53に記憶されている認証情報としてのIDデータを読み取って、該IDデータを読取IDデータとして読取バッファ47へ出力する。また、載置部からIDカード53が取り除かれると、読取バッファ47に記憶されている読取IDデータを消去する。
【0042】
読取バッファ47は、IDカード読取機46から入力された読取IDデータを記憶する記憶部である。
【0043】
開閉検知部48は、上部カバー36の開閉動作を検知して、検知情報をロック制御部49へ通知する機能を有する。
【0044】
ロック制御部49は、図1に示されるように、照合部54及び信号送出部55を備え、保持部及び解除部として、上部カバーロック機構38による上部カバー36の施錠及び開錠動作を制御する。
【0045】
照合部54は、例えば照合回路からなり、比較判断部として、読取IDデータと付加IDデータとの照合を行い、照合結果を信号送出部55に通知する。
【0046】
照合部54は、ID記憶部45に付加IDデータが記憶され、読取バッファ47に読取IDデータが記憶されると、該付加IDデータと読取IDデータとの照合を行い、照合結果を信号送出部55に通知する。
【0047】
また、照合部54は、開閉検知部48からの検知情報に基づいて、上部カバー36が開けられた後、閉じられたことを認識すると、読取IDデータと付加IDデータとの照合処理を行う。ID記憶部45に付加IDデータが記憶されていない場合、或いは読取バッファ47に読取IDデータが記憶されていない場合、照合部54は、付加IDデータ無し或いは読取IDデータ無しを、信号送出部55に通知する。付加IDデータ及び読取IDデータが記憶されている場合、照合部54は、これらの照合処理を行って、照合結果を信号送出部55に通知する。
【0048】
信号送出部55は、照合部54からの照合結果の通知に基づいて、上部カバー36の開錠を指示するための開錠信号或いは施錠を指示するための施錠信号を、上部カバーロック機構38へ送出する。
【0049】
図6は、上部カバーの施錠状態を説明する図である。
図6には、ID記憶部45における付加IDデータの記憶の有無と、読取バッファ47における読取IDデータの記憶の有無と、照合部54による照合結果とに応じて、信号送出部55により送出される送出信号の種類と、上部カバー36の施錠状態とが示されている。
【0050】
例えば、ID記憶部45に付加IDデータが記憶されていない場合、即ち、照合部54から付加IDデータ無しを通知された場合、信号送出部55は、読取バッファ47における読取IDデータの記憶の有無にかかわらず、上部カバー36を開閉可能とすべく開錠信号を送出する。
【0051】
また、ID記憶部45に付加IDデータが記憶されているが、読取バッファ47に読取IDデータが記憶されていない場合、即ち、照合部54から読取IDデータ無しを通知された場合、信号送出部55は、上部カバー36を開閉不可とすべく施錠信号を送出する。
【0052】
更に、ID記憶部45に付加IDデータが記憶され且つ読取バッファ47に読取IDデータが記憶されている場合、信号送出部55は、照合部54による照合結果に応じて、施錠信号或いは開錠信号の送出を行う。即ち、信号送出部55は、付加IDデータ及び読取IDデータが一致しない場合、施錠信号を送出し、一致する場合、開錠信号を送出する。
【0053】
上部カバーロック機構38は、図1に示されるように、施錠部材39及び駆動部40を有する。
【0054】
駆動部40は、ロック制御部49からの施錠信号に基づいて、施錠部材39を本体筐体部37から上部カバー36方向へ駆動する。施錠部材39は、図4(b)に示されるように、本体筐体部37から突出して、上部カバー36の孔部36bに貫入し、上部カバー36及び本体筐体部37を連結させて、上部カバー36を施錠する。
【0055】
また、駆動部40は、ロック制御部49からの開錠信号に基づいて、施錠部材39を上部カバー36から本体筐体部37方向へ駆動する。施錠部材39は、図4(a)に示されるように、本体筐体部37に後退して初期位置に戻り、上部カバー36及び本体筐体部37の連結状態は解除され、上部カバー36は開錠される。
【0056】
次に、本実施例のプリンタ10の動作について、説明する。
ここでは、ホスト装置41から印刷データを受信して、印刷を行う流れについて、図7に沿って説明する。
図7は、本発明に係るプリンタの実施例1における印刷動作を示すフローチャートである。
【0057】
まず、プリンタ10が、機密情報を含む機密文書を原稿とする印刷データ、即ちIDデータが付加されている印刷データを受信して、印刷処理を実行する場合について、説明する。
【0058】
プリンタ10における印刷処理の実行に先立ち、ホスト装置41は、印刷データを生成し、プリンタ10へ送信する。ホスト装置41は、図5(b)に示されるように、編集データにスタッカ指定データ及びIDデータを付加して、印刷データを生成し、該印刷データをプリンタ10へ送信する。
【0059】
プリンタ10において、受信部42は、ホスト装置41から印刷データ(図5(b))を受信する(ステップS101)と、該印刷データをデータ解析部43へ送る。
【0060】
データ解析部43が受信部42から印刷データを受け取ると、検索取出部50が、該印刷データに対してIDデータの検索を行い、IDデータが付加されているか否かを判断する(ステップS102)。
【0061】
IDデータが付加されていると判断する(ステップS102)と、検索取出部50は、該印刷データの原稿が機密文書であると判断する(ステップS103)。
【0062】
そして、検索取出部50は、印刷データからIDデータを取り出して、該IDデータを付加IDデータとして出力し、ID記憶部45に記憶させる(ステップS104)。
【0063】
また、検索取出部50は、印刷データからスタッカ指定データを取り出して、スタッカ指定データ及びIDデータを、電子ロック機構付スタッカ11へ送出する(ステップS105)。
【0064】
更に、検索取出部50は、印刷データから編集データを取り出して、生成部51へ送る。
【0065】
生成部51は、編集データを受け取ると、該編集データに基づいて印刷用の画像データを生成し、印刷制御部44へ送る(ステップS106)。
【0066】
印刷制御部44は、画像データを受け取ると、搬送部15〜19を制御して、用紙13の搬送を開始させると共に、画像形成部28を制御して、所定のタイミングで、画像データに基づく画像の形成を開始させる。そして、各搬送部15〜19により搬送された用紙13に、画像形成部28により形成された画像が転写され、定着器33により該画像が定着される。その後、排出ローラ34の回転により、該用紙13はプリンタ10から排出され、電子ロック機構付スタッカ11に格納される。このように、印刷制御部44の制御により、画像データに基づく用紙13への印刷が実行される(ステップS107)。
【0067】
完了監視部52は、排出センサ35からの検出情報に基づいて、印刷物の排出完了を監視している。そして、全ページ分の印刷及び印刷物の排出が完了する(ステップS108)と、完了監視部52は、ID記憶部45から対応する付加IDデータを消去する(ステップS109)。これにより、プリンタ10における印刷処理が終了する。
【0068】
上記のように、印刷データにIDデータが付加されている場合、原稿が機密文書であると判断され、該IDデータが取り出されて記憶される。また、印刷が完了すると、該IDデータが消去される。
【0069】
なお、電子ロック機構付スタッカ11は、データ解析部43からスタッカ指定データ及びIDデータを受け取ると、これらを記憶しておく。そして、プリンタ10から印刷物が排出されると、記憶されているスタッカ指定データに基づいて、指定されたスタッカに該印刷物を格納する。その際、電子ロック機構付スタッカ11は、該スタッカのドアを施錠しておく。そして、印刷物を受け取りにきたユーザが、電子ロック機構付スタッカ11に設置されたIDカード読取機に、IDカードを載置すると、電子ロック機構付スタッカ11は、該IDカードからIDデータを読み取って、記憶されているIDデータとの照合処理を実施する。そして、一致すると判断すると、電子ロック機構付スタッカ11は、スタッカのドアを開錠する。
【0070】
次に、プリンタ10が、機密文書ではない原稿、即ちIDデータが付加されていない印刷データを受信して、印刷処理を実行する場合について、説明する。
【0071】
プリンタ10における印刷処理の実行に先立ち、ホスト装置41は、編集データにスタッカ指定データを付加して、図5(a)に示されるように、印刷データを生成し、該印刷データをプリンタ10へ送信する。
【0072】
プリンタ10において、受信部42は、ホスト装置41から印刷データ(図5(a))を受信する(ステップS101)と、該印刷データをデータ解析部43へ送る。
【0073】
そして、検索取出部50が、該印刷データに対してIDデータの検索を行い、IDデータが付加されていないと判断し(ステップS102)、該印刷データの原稿が機密文書ではないと判断する(ステップS110)。
【0074】
続いて、検索取出部50は、印刷データからスタッカ指定データを取り出して、該スタッカ指定データを電子ロック機構付スタッカ11へ送出する(ステップS111)。また、検索取出部50は、印刷データから編集データを取り出して、生成部51へ送る。
【0075】
生成部51は、編集データを受け取ると、該編集データに基づいて画像データを生成し、印刷制御部44へ送る(ステップS112)。
【0076】
そして、印刷制御部44が、画像データに基づく印刷を実行し、印刷物を電子ロック機構付スタッカ11へ排出する(ステップS113)。全ページ分の印刷が完了し、印刷物が排出される(ステップS114)と、プリンタ10における印刷処理が終了する。
【0077】
上記のように、印刷データから編集データが取り出され、印刷処理が実行される。
【0078】
なお、電子ロック機構付スタッカ11は、データ解析部43から受け取ったスタッカ指定データに基づいて、プリンタ10から排出された印刷物を、指定されたスタッカに格納する。その際、電子ロック機構付スタッカ11は、スタッカ指定データにIDデータが付加されていないので、指定されたスタッカのドアの施錠は実施しない。
【0079】
次に、プリンタ10における上部カバー36の施錠制御について、図8及び図9に沿って説明する。
図8は、本発明に係るプリンタの施錠動作を示すフローチャート(その1)であり、図9は、本発明に係るプリンタの施錠動作を示すフローチャート(その2)である。
【0080】
ここでは、プリンタ10において、上部カバー36の開錠時に、IDデータが付加された印刷データ、即ち機密文書の印刷データが受信された後、該印刷データに基づく印刷処理が実行される場合の、ロック制御部49による施錠制御動作について、説明する。
【0081】
プリンタ10において、IDデータが付加された印刷データが受信された後、ID記憶部45に付加IDデータが記憶される(ステップS201)と、ロック制御部49が、付加IDデータ有りを検知する。そして、照合部54が、読取バッファ47における読取IDデータ無しを信号送出部55に通知すると、信号送出部55が、施錠信号を上部カバーロック機構38へ送出する(ステップS202)。
【0082】
上部カバーロック機構38は、施錠信号を受け取ると、駆動部40が施錠部材39を上部カバー36方向へ駆動する。これにより、施錠部材39は、図3(b)に示されるように、本体筐体部37から突出して、上部カバー36の孔部36bに貫入し、上部カバー36及び本体筐体部37を連結する。これにより、上部カバー36は施錠される(ステップS203)。
【0083】
上部カバー36が施錠された状態で、プリンタ10は、印刷処理を実行する(図7)。そして、全ての印刷物の排出が完了すると、印刷制御部44がID記憶部45から付加IDデータを消去する(ステップS204)。
【0084】
付加IDデータが消去される(ステップS204)と、ロック制御部49において、照合部54から信号送出部55へ、付加IDデータ無しが通知される。この通知に基づき、信号送出部55は、開錠信号を上部カバーロック機構38へ送出する(ステップS205)。
【0085】
上部カバーロック機構38は、開錠信号を受け取ると、駆動部40が施錠部材39を本体筐体部37方向へ駆動する。この駆動に基づき、施錠部材39は、図3(a)に示されるように、本体筐体部37の内部へ後退して、上部カバー36及び本体筐体部37の連結が解除される。これにより、上部カバー36は開錠され(ステップS206)、プリンタ10における施錠及び開錠処理が終了する。
【0086】
上記のように、プリンタ10における機密文書の印刷データの解析及び印刷実行中において、上部カバー36は施錠される。そして、機密文書のプリンタ10からの排出が完了すると、上部カバー36は開錠される。
【0087】
次に、プリンタ10において、機密文書の印刷実行中に、搬送部18或いは搬送部19(図2)において、用紙ジャムが発生した場合の施錠及び開錠処理について、説明する。
【0088】
機密文書の印刷実行中において、プリンタ10の上部カバー36は、上記したように、上部カバーロック機構38により施錠されている(ステップS203)。この上部カバー36の施錠時に、搬送部18或いは搬送部19において、用紙ジャムが発生した場合、印刷制御部44は、各ローラの回転を停止させ、実行中の印刷処理を停止する。停止された機密文書の印刷処理を再開させるためには、ユーザは、上部カバー36を開けて、搬送部18或いは搬送部19に滞留している用紙13を除去する必要がある。
【0089】
ユーザは、上部カバー36を開けるために、まず、IDカード53をIDカード読取機46の載置部に載置する。
【0090】
IDカード読取機46は、IDカード53の載置を検知すると、IDカード53からIDデータを読み取って、該IDデータを読取IDデータとして読取バッファ47に記憶させる(ステップS207)。
【0091】
ロック制御部49の照合部54は、読取バッファ47に読取IDデータが記憶される(ステップS207)と、該読取IDデータを読み出すと共に、ID記憶部45から付加IDデータを読み出して、付加IDデータ及び読取IDデータを照合し(ステップS208)、照合結果を信号送出部55に通知する。
【0092】
付加IDデータ及び読取IDデータが一致する(ステップS209)場合、信号送出部55は、該照合結果に基づいて、開錠信号を送出する(ステップS210)。
【0093】
上部カバーロック機構38は、開錠信号を受け取ると、駆動部40が施錠部材39を本体筐体部37方向へ駆動して、上部カバー36を開錠する(ステップS211)。これにより、上部カバー36は開閉可能となる(図3(a))。
【0094】
上部カバー36の開錠後、ユーザが上部カバー36を開けて、プリンタ10の内部に滞留している用紙13を除去した後、上部カバー36を閉じると、開閉検知部48が上部カバー36の開閉を検知して、ロック制御部49に通知する(ステップS212)。
【0095】
この検知情報に基づき、ロック制御部49は、読取バッファ47における読取IDデータの有無を判断する(ステップS213)。
【0096】
IDカード読取機46にIDカード53が載置されている場合、読取バッファ47には読取IDデータが記憶されている(ステップS213)。この場合、ロック制御部49において、照合部54が、該読取IDデータを読み出すと共に、ID記憶部45から付加IDデータを読み出し、これらの照合を行う(ステップS208)。そして、付加IDデータ及び読取IDデータが一致する場合(ステップS209)、信号送出部55は開錠信号を送出し(ステップS210)、上部カバー36は開錠状態を保持され(ステップS211)、印刷処理を再開する。
【0097】
IDカード読取機46からIDカード53が取り除かれると、読取バッファ47から読取IDデータは消去される(ステップS213)。この場合、ロック制御部49の照合部54は、読取IDデータ無しを信号送出部55に通知する。そして、信号送出部55は、上部カバー36を再度施錠すべく、施錠信号を送出する(ステップS214)。施錠信号を受け取った上部カバーロック機構38により、上部カバー36が再度施錠され(ステップS215)、プリンタ10は、印刷処理を再開する。
【0098】
印刷処理が完了し、印刷制御部44がID記憶部45から付加IDデータを消去する(ステップS204)と、ロック制御部49において、照合部54から付加IDデータ無しを通知された信号送出部55が、開錠信号を送出する(ステップS205)。そして、上部カバーロック機構38により上部カバー36が開錠され(ステップS206)、プリンタ10における施錠及び開錠処理が終了する。
【0099】
上記のように、機密文書の印刷実行中に、ユーザのIDカード53がIDカード読取機46に載置されると、上部カバー36が開錠され、上部カバー36の開閉が可能となる。
【0100】
なお、ステップS209において、付加IDデータ及び読取IDデータが一致しない場合、ロック制御部49は、IDカードを載置したユーザが、機密文書の受取権限を有するユーザではないと判断し、上部カバー36の施錠状態を保持すべく信号送出部55により施錠信号を送出する(ステップS214)。そして、上部カバーロック機構38は、上部カバー36が施錠されている場合、該施錠状態を保持し、開錠されている場合、施錠部材39により上部カバー36を施錠する(ステップS215)。
【0101】
以上のように、本実施例のプリンタ10は、IDデータが付加された印刷データを受信すると、該印刷データの原稿が機密文書であると判断し、印刷物の排出が完了するまで、上部カバー36を施錠して、他のユーザによる上部カバー36の開放を禁止する。したがって、用紙ジャムが発生した場合も、プリンタ10の内部に滞留した印刷物の他のユーザによる除去が不可となるので、印刷中の機密文書が他のユーザに参照されることを確実に防止できる。
【0102】
なお、本実施例では、機密文書の印刷中における上部カバーの開錠は、該機密文書の受取権限を持つユーザに限定されたが、更に、管理者による管理用IDデータの入力により開錠を可能としても良い。
【0103】
また、本実施例では、IDデータはIDカードから読み取って入力されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、オペレータパネルを付設して、該オペレータパネルを介してパスワードや暗証番号等のIDデータを入力する構成をとることも可能である。
【0104】
また、本実施例では、上部カバーの開閉を不可とすべく上部カバーの施錠制御が実施されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、プリンタ本体の側面に設けられた側面カバーの開閉を不可とする施錠制御や、両面印刷用の反転経路ユニットの着脱を禁止する着脱部材の着脱禁止制御等の実施も可能である。
【0105】
更に、本実施例では、電子ロック機構付スタッカは、プリンタとは個別の装置として説明されたが、プリンタにスタッカを内蔵する構成をとることも可能である。この場合、IDカード読取機や照合部を個別に設ける必要がなくなるので、装置の小型化及び低コスト化が可能となる。
【実施例2】
【0106】
図10は、本発明の実施例2に係るプリンタの機能構成を示すブロック図である。
本実施例のプリンタ60は、付加IDデータを一時的に記憶するための一時記憶部61と、搬送部19における用紙13の有無を監視するための有無監視部62とを追加する構成が、実施例1とは異なる。
なお、本実施例において、実施例1と同一の構成については同一の符号で示し、これらについての詳しい説明を省略する。
【0107】
本実施例のプリンタ60は、図10に示されるように、ホスト装置41と通信可能であり、該ホスト装置41から印刷データを受信して印刷処理を実行し、印刷物を電子ロック機構付スタッカ11に排出して格納させる。
【0108】
プリンタ60は、本発明に係る画像形成装置として、図10に示されるように、受信部42、データ解析部63、一時記憶部61、印刷制御部65、ID記憶部45、IDカード読取機46、読取バッファ47、開閉検知部48、ロック制御部49及び上部カバーロック機構38を含んで構成される。
【0109】
データ解析部63は、図10に示されるように、検索取出部64及び生成部51を備えている。
【0110】
検索取出部64は、解析判断部及び取出部として、受信部42から受け取った印刷データに対して、IDデータの検索を行い、IDデータが付加されているか否かに基づいて、該印刷データの原稿が機密文書であるか否かを判断する。
【0111】
印刷データにIDデータが付加されている場合、検索取出部64は、原稿が機密文書であると判断し、該印刷データからIDデータを取り出して、付加IDデータとして出力し、一時記憶部61に記憶させる。また、検索取出部64は、印刷データからスタッカ指定データを取り出して、スタッカ指定データ及びIDデータを電子ロック機構付スタッカ11へ送出する。更に、検索取出部64は、印刷データから編集データを取り出して、生成部51へ送る。
【0112】
印刷データにIDデータが付加されていない場合、検索取出部64は、原稿が機密文書ではないと判断し、印刷データからスタッカ指定データを取り出して、電子ロック機構付スタッカ11へ送出すると共に、編集データを取り出して、生成部51へ送る。
【0113】
一時記憶部61は、例えば揮発性メモリからなり、データ解析部63により入力された付加IDデータを、一時的に記憶する。一時記憶部61に記憶された付加IDデータは、印刷物の排出が完了すると、印刷制御部65により消去される。
【0114】
印刷制御部65は、生成部51から入力された画像データに基づいて印刷処理を実行すべく、図2に示される各搬送部15〜19、画像形成部28及び定着器33の制御を行う。
【0115】
また、印刷制御部65は、図10に示されるように、有無監視部62及び完了監視部66を有する。
【0116】
有無監視部62は、図2に示される搬送部19における用紙13の有無を監視する。ここで、他の搬送部15〜18と区別するため、以下、搬送部19を主搬送部と記す。
【0117】
有無監視部62は、搬送部19、即ち主搬送部に配置された通過センサ31及び32と、排出センサ35とからの検出情報に基づいて、主搬送部における用紙13の有無を監視する。何れかのセンサがONとなっている場合、有無監視部62は、主搬送部内に用紙13が存在すると判断する。そして、有無監視部62は、一時記憶部61に付加IDデータが記憶されている場合、該付加IDデータを読み出して出力し、ID記憶部45に記憶させる。
【0118】
通過センサ31、32と、排出センサ35とが、何れもOFFとなっている場合、有無監視部62は、主搬送部内に用紙13が存在しないと判断する。そして、有無監視部62は、ID記憶部45に付加IDデータが記憶されている場合、該付加IDデータを消去する。
【0119】
完了監視部66は、排出センサ35からの検出情報に基づいて、印刷物の排出完了を監視し、排出が完了すると、一時記憶部61に記憶されている付加IDデータを消去する。
【0120】
次に、本実施例のプリンタ60の動作について、説明する。
ここでは、ホスト装置41から印刷データを受信して、印刷を行う流れについて、図11及び図12に沿って説明する。
図11は、本発明に係るプリンタの実施例2における印刷動作を示すフローチャート(その1)であり、図12は、本発明に係るプリンタの実施例2における印刷動作を示すフローチャート(その2)である。
【0121】
まず、プリンタ60が、機密文書の印刷データを受信して、印刷処理を実行する場合について、説明する。
【0122】
プリンタ10において、受信部42が、ホスト装置41から印刷データ(図5(b))を受信する(ステップS101)と、該印刷データはデータ解析部63へ送られる。
【0123】
データ解析部63が印刷データを受け取ると、検索取出部64が、該印刷データに対してIDデータの検索を行い、IDデータが付加されている(ステップS102)、即ち該印刷データの原稿が機密文書であると判断する(ステップS103)。
【0124】
続いて、検索取出部64は、印刷データからIDデータを取り出して、該IDデータを付加IDデータとして一時記憶部61に記憶させる(ステップS301)。また、検索取出部64は、印刷データからスタッカ指定データを取り出して、スタッカ指定データ及びIDデータを電子ロック機構付スタッカへ送出する(ステップS105)。更に、検索取出部64は、印刷データから編集データを取り出して、生成部51へ送る。
【0125】
そして、生成部51が、編集データに基づいて印刷用の画像データを生成し、印刷制御部65へ送る(ステップS106)。
【0126】
印刷制御部65は、画像データを受け取ると、搬送部15〜19を制御して、用紙13を搬送させる共に、画像形成部28による画像データに基づく画像の形成を開始させる(ステップS302)。
【0127】
用紙13の搬送に伴い、有無監視部62は、通過センサ31及び32と、排出センサ35とからの検出情報に基づいて、搬送部19、即ち主搬送部における用紙13の有無を監視する。そして、何れかのセンサがONとなると、有無監視部62は、主搬送部に用紙13が存在すると判断する(ステップS303)。
【0128】
続いて、有無監視部62は、一時記憶部61における付加IDデータの記憶の有無を判断する(ステップS304)。機密文書の印刷実行時において、一時記憶部61には付加IDデータが記憶されているので、有無監視部62は、付加IDデータが有ると判断する(ステップS304)。
【0129】
次に、有無監視部62は、一時記憶部61から付加IDデータを読み出して、該付加IDデータをID記憶部45に記憶させる(ステップS305)。
【0130】
印刷制御部65は、印刷処理を継続し、画像形成部28内に搬送された用紙13に画像を転写し、定着器33により該画像を定着させた後、排出ローラ34により該用紙13を排出して、電子ロック機構付スタッカ11に格納させる(ステップS306)。
【0131】
有無監視部62は、主搬送部における用紙13の有無の監視を継続し、通過センサ31、32及び排出センサ35の全てのセンサがOFFとなると、主搬送部内に用紙13が存在しないと判断する(ステップS307)。
【0132】
また、完了監視部66は、排出センサ35からの検出情報に基づいて、全ページ分の印刷物の排出が完了したか否かを監視している。完了監視部66は、全ページ分の印刷物の排出が完了したと判断する(ステップS308)と、ID記憶部45に記憶されている付加IDデータを消去する(ステップS309)。また、有無監視部62は、一時記憶部61に記憶されている付加IDデータを消去する(ステップS309)。これにより、プリンタ10における印刷処理が終了する。
【0133】
上記のように、プリンタ10における機密文書の印刷に際して、主搬送部内における用紙13の搬送中にのみ、ID記憶部45に付加IDデータが記憶される。
【0134】
なお、有無監視部62により、主搬送部内に用紙13が存在しないと判断され(ステップS307)、且つ、完了監視部66により、全ページ分の印刷物の排出が完了していないと判断された(ステップS308)場合、有無監視部62は、ID記憶部45に記憶されている付加IDデータを消去する(ステップS310)。また、印刷制御部65は、画像データに基づく印刷処理を継続する(ステップS311)。有無監視部62は、引き続き、主搬送部内の用紙の有無を監視し(ステップS303)、用紙13が主搬送部内に搬送されると、再度、ID記憶部45に付加IDデータを記憶させる(ステップS305)。
【0135】
次に、プリンタ60が機密文書ではない原稿の印刷データを受信して、印刷処理を実行する場合について、説明する。
【0136】
プリンタ60において、受信部42が、ホスト装置41から印刷データ(図5(a))を受信する(ステップS101)と、該印刷データはデータ解析部63へ送られる。
【0137】
そして、検索取出部64が、該印刷データに対してIDデータの検索を行い、IDデータが付加されていない(ステップS102)、即ち該印刷データの原稿が機密文書ではないと判断する(ステップS110)。
【0138】
続いて、検索取出部50は、印刷データからスタッカ指定データを取り出して、電子ロック機構付スタッカ11へ送出する(ステップS111)。また、検索取出部50は、印刷データから編集データを取り出して、生成部51へ送る。
【0139】
生成部51は、編集データを受け取ると、該編集データに基づいて画像データを生成し、印刷制御部65へ送る(ステップS105)。
【0140】
そして、印刷制御部65により、画像データに基づく印刷が開始される(ステップS302)。有無監視部62は、主搬送部内に用紙13が搬送される(ステップS303)と、一時記憶部61に付加IDデータが記憶されていないと判断し(ステップS304)、印刷制御部65は、印刷を継続する(ステップS306)。そして、全ページ分の印刷物の排出が完了すると(ステップS308)、プリンタ60における印刷処理は終了する。
【0141】
上記のように、印刷データから編集データが取り出され、印刷処理が実行される。
【0142】
プリンタ60における上部カバー36の施錠制御は、実施例1(図8及び図9)と同一であるので、説明を省略する。
【0143】
以上のように、本実施例のプリンタ60は、機密文書の印刷中においても、主搬送部内における用紙の搬送中にのみ、ID記憶部45に付加IDデータを記憶させて、上部カバー36を施錠し、主搬送部内に用紙が無い場合、ID記憶部45から付加IDデータを消去して、上部カバー36を開錠するので、用紙ジャムが発生した場合も、該用紙への画像の転写前であれば、他のユーザによる上部カバー36の開放が可能となる。したがって、印刷中の機密文書が他のユーザに参照されることを確実に防止しつつ、障害復旧率の向上が可能となる。
【0144】
なお、本実施例では、IDデータが付加された印刷データの受信時に、該IDデータを一時記憶部に記憶させ、主搬送部内に用紙が搬送されると、該IDデータを読み出して、ID記憶部に記憶させる構成が適用されたが、本発明はこれに限定されない。印刷データの受信時に、IDデータをID記憶部に記憶させておき、主搬送部内における用紙の有無を、印刷制御部からロック制御部に通知する構成をとることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0145】
上記した各実施例では、本発明に係る画像形成装置として、プリンタを例に説明を行ったが、本発明は、MFP等の画像形成機能を有する多機能複合機にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の実施例1に係るプリンタの機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るプリンタの構成を示す概略側断面図である。
【図3】本発明に係るプリンタの部分側断面図である。
【図4】上部カバーの構成を示す説明図である。
【図5】印刷データの構成を示す説明図である。
【図6】上部カバーの施錠状態を説明する図である。
【図7】本発明に係るプリンタの実施例1における印刷動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係るプリンタの施錠動作を示すフローチャート(その1)である。
【図9】本発明に係るプリンタの施錠動作を示すフローチャート(その2)である。
【図10】本発明の実施例2に係るプリンタの機能構成を示すブロック図である。
【図11】本発明に係るプリンタの実施例2における印刷動作を示すフローチャート(その1)である。
【図12】本発明に係るプリンタの実施例2における印刷動作を示すフローチャート(その2)である。
【符号の説明】
【0147】
10、60 プリンタ
11 電子ロック機構付スタッカ
15、16、17、18、19 搬送部
22、24、26、31、32 通過センサ
35 排出センサ
36 上部カバー
37 本体筐体部
38 上部カバーロック機構
39 施錠部材
40 駆動部
41 ホスト装置
42 受信部
43、63 データ解析部
44、65 印刷制御部
45 ID記憶部
46 IDカード読取機
47 読取バッファ
48 開閉検知部
49 ロック制御部
50、64 検索取出部
51 生成部
52、66 完了監視部
54 照合部
55 信号送出部
61 一時記憶部
62 有無監視部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置と通信可能であり、内部に滞留した媒体の除去のために装置本体に設けられる開口部と、該開口部を開閉するための開閉蓋とを有する画像形成装置であって、
前記上位装置から、原稿の画像データを含む印刷データを受信する受信部と、
前記印刷データを解析して、前記原稿が機密文書であるか否かを判断する解析判断部と、
機密文書であると判断されると、前記開閉蓋を閉状態に保持する保持部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像データに基づいて、前記原稿の画像を形成する形成部と、
形成された前記画像を前記媒体に転写する転写部と、
転写された前記媒体を排出する排出部と、
前記媒体の排出完了を検知する排出検知部と、
前記排出完了が検知されると、前記開閉蓋を開閉可能とすべく前記保持部による前記保持を解除する解除部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
媒体の搬送路上に着脱可能に設置される着脱部材と、
前記解析判断部により機密文書であると判断されると、前記着脱部材の着脱を禁止する禁止部と、
前記画像データに基づいて、前記原稿の画像を形成する形成部と、
形成された前記画像を前記媒体に転写する転写部と、
転写された前記媒体を排出する排出部と、
前記媒体の排出完了を検知する排出検知部と、
前記排出完了が検知されると、前記保持部による前記保持及び前記禁止部による前記禁止を解除する解除部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記着脱部材は、前記媒体の搬送方向を反転させるための反転経路ユニットからなることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記解析判断部は、前記印刷データが認証情報を含む場合、前記原稿が機密文書であると判断し、
前記印刷データから前記認証情報を取り出す取出部と、
取り出された前記認証情報を記憶する記憶部と、
認証のための入力情報を入力する入力部と、
入力された前記入力情報と、前記記憶部に記憶されている前記認証情報とを比較して、一致するか否かを判断する比較判断部と、
一致すると判断されると、前記保持部による前記保持を解除する解除部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記入力部は、認証情報が記憶されている媒体から前記認証情報を読み取る読取部からなり、
前記比較判断部は、前記読取部により読み取られた認証情報と、前記記憶部に記憶されている認証情報とを比較して、一致するか否かを判断する
ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像データに基づいて、前記原稿の画像を形成する形成部と、
形成された前記画像を前記媒体に転写するための転写部と、
前記媒体の前記転写部への到達を検知する到達検知部と、
を更に備え、
前記到達が検知されると、前記保持部は、前記保持動作を実行する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項8】
転写された前記媒体を排出する排出部と、
前記媒体の排出完了を検知する排出検知部と、
前記排出完了が検知されると、前記保持部による前記保持を解除する解除部と、
を更に備えることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
媒体の搬送路上に着脱可能に設置される着脱部材と、
前記到達検知部により前記到達が検知されると、前記着脱部材の着脱を禁止する禁止部と、
転写された前記媒体を排出する排出部と、
前記媒体の排出完了を検知する排出検知部と、
前記排出完了が検知されると、前記保持部による前記保持及び前記禁止部による前記禁止を解除する解除部と、
を更に備えることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記着脱部材は、前記媒体の搬送方向を反転させるための反転経路ユニットからなることを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−30252(P2010−30252A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197651(P2008−197651)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】