説明

画像形成装置

【課題】記録材へのトナー像転写部の上下流において生じ易い画像不良を効果的に抑制できて、かつ薄紙から厚紙に至るまで安定して搬送可能な転写搬送手段を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー像が形成される回転可能な像担持体1と、記録材分離ローラ33を含む複数の懸架部材に懸回張設されて循環移動され記録材Pを担持して像担持体の画像転写部7に搬送してトナー像を記録材に転写させ、画像転写部よりも記録材搬送方向下流側において記録材を分離ローラのベルト巻回部である分離部Aにて曲率分離させる無端状のベルト10と、その分離された記録材のトナー像を定着するための定着装置9と、を備えた画像形成装置において、画像転写部から分離部の間において、ベルト10の記録材担持面側に非接触で配設されており、記録材に担持されているトナー像に電磁波を照射して記録材に仮定着させる電磁波照射手段20を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機・ファクシミリ・プリンターやそれらの機能を集約した複合機等の画像形成装置に関するものである。より詳しくは、記録材を担持搬送するための転写搬送ベルトを備えた電子写真方式等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の市場ニーズに基づく薄紙、厚紙仕様拡大に応えるべく、転写搬送ベルト系の画像形成装置が知られている(特許文献1)。この装置は、像担持体である感光ドラムの表面に形成された静電トナー像を、転写搬送ベルトに担持搬送される記録材上に、転写帯電器の作用により静電的に転写する。未定着トナー像が転写された記録材は、転写搬送ベルトの搬送方向下流部で分離コロナ帯電器により除電されることにより静電吸着力が減衰して転写搬送ベルトから分離する。転写搬送ベルトから分離された記録材は、定着部で加熱及び加圧により、記録材上にトナー像が定着されて装置外に排出される。
【0003】
特許文献2には、転写同時定着位置にてトナー像を記録材上に転写すると同時に定着する装置が提案されている。この装置は、中間転写体上の画像先端が転写同時定着位置に到達する前までに、記録材が給紙カセットから給紙されて記録材に加熱、加圧のいずれか一方、もしくは両方を施す予備処理手段を通過する。そして、中間転写体上の画像の先端と記録材の先端の位置が合うように、記録材が移動し、転写同時定着手段に挿入され、記録材にトナー画像が転写同時定着される。
【0004】
特許文献3には、像担持体上に形成された未定着トナー像を記録材に転写した後に、本加熱/加圧手段であるローラ対の上流側に、記録材上の未定着トナー像を予備加熱する予備加熱手段を備えている画像形成装置が提案されている。
【0005】
特許文献4には、中間転写ベルト兼記録材搬送ベルトを備えた画像形成装置が提案されている。この装置は、感光体と転写ローラにより形成される転写部で第1のトナー像を中間転写ベルト上に転写してそのまま一周させる。この時、定着ローラ並びクリーニングローラは中間転写ベルトとは接していない。次に感光体上に第2のトナー像が形成されると、既に中間転写ベルト上に転写されている第1のトナー像に同期して、転写ニップ部にて合わせて記録材の表面と裏面に各々転写される。その後、記録材は定着ローラ部に搬送される。このとき定着ローラ、クリーニングローラは中間転写ベルトに接触しており、定着ローラと記録材の間の第2のトナー像、並び第1のトナー像を記録材に定着させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−335178号公報
【特許文献2】特開平05−341660号公報
【特許文献3】特開2000−321922号公報
【特許文献4】特開2002−268404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の転写搬送ベルト系の画像形成装置は、特に記録材が薄紙(坪量70g/m2程度以下)の時に、転写搬送ベルトから記録材が分離搬送される際に異常放電(剥離放電)による画像不良が発生し易い傾向にある。前記画像不良とは、例えばハーフトーン画像を出力した時に、鳥の足跡状の放電跡、或いは水玉状の放電跡が画像上に現れる現象である。これを図8の(a)により説明する。106はエンドレスの転写搬送ベルトであり、分離ローラ111を含む複数本のベルト懸架ローラ間に懸回張設されており、矢印の方向に循環移動されている。記録材Pはベルト106の上面に担持されて搬送され転写部(不図示)を通過する過程で像担持体上のトナー像の転写を受ける。転写部を通過した記録材Pは引き続きベルト106で搬送されて分離ローラ111のベルト巻回部である分離部Aに至り、ベルト106から曲率分離されて画像定着手段(不図示)に導入されていく。この場合、記録材Pが低剛性(腰が弱い)である薄紙であると、分離部Aにおいてベルト106から曲率分離する際に、分離ローラ111に巻回されているベルト106の曲率に沿って実線示のように一度巻付くような形をとってから分離される。即ち、記録材Pの分離時にベルト106と記録材Pとの間で形成する分離角θ1が、坪量が大きく比較的剛性が高い紙の分離角θ2(図8の(b))に比べて大きくなる。そのために、特に薄紙においては、ベルト106から分離する際に剥離放電による画像不良が発生し易い。
【0008】
また、画像形成装置が置かれている環境条件、画像形成装置の耐久状態や記録材Pの種類などにより、記録材がベルト106からの分離部に到達した時に、記録材上に保持される電荷量や極性は種々様々である。従って、前述の画像不良(鳥の足跡状/水玉状)を発生させる異常放電を抑制する様に、かつ静電トナー像も乱さない様に、分離コロナ帯電器などの除電手段により記録材を除電するのは困難である。
【0009】
上記課題に対して、特許文献3に開示されている技術は、トナー像担持体より未定着のトナー像が転写された記録材が転写装置から分離搬送された後の定着装置における予備加熱手段に関する技術であり、上記課題に対する効果は見込めない。
【0010】
上記課題に対して、特許文献2に開示されている技術、並び特許文献4に開示されている技術は効果はあるものの、下記に示す弊害がある。即ち、特許文献2に開示されている技術は、記録材へのトナー像の転写同時定着部の上流側にて、記録材をプレ加熱するために、記録材の水分量が減ることにより記録材の抵抗値が高くなる。その結果、トナー像を記録材に転写するための二次転写バイアスを高目に設定することになり、二次転写部上流側での異常放電による画像不良や二次転写部にて記録材が静電的に中間転写体に貼り付いてしまう分離不良が発生し易くなる。また、特許文献4にて開示されている様な2次転写部から定着までを一体で構成する方式では、定着手段に対する用紙、特に厚紙の場合の突入または抜けるときのショックが、トナー像を記録材に転写する転写部、及び静電トナー像を形成する像担持体に影響する。そのため画像不良を生じ易い。また、転写部と定着部の速度差による弊害も受け易く、画像ズレや飛散りなど弊害が発生し易い。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものである。その目的は、記録材へのトナー像転写部の上下流において生じ易い画像不良を効果的に抑制できて、かつ薄紙から厚紙に至るまで安定して搬送可能な転写搬送手段を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、トナー像が形成される回転可能な像担持体と、記録材分離ローラを含む複数のベルト懸架部材に懸回張設されていて循環移動され、記録材を担持して前記像担持体の画像転写部に搬送して前記トナー像を記録材に転写させ、前記画像転写部よりも記録材搬送方向下流側において記録材を前記分離ローラのベルト巻回部である分離部にて曲率分離させる無端状の転写搬送ベルトと、前記転写搬送ベルトから分離された記録材のトナー像を定着するための定着装置と、を備えた画像形成装置において、前記画像転写部から前記分離部の間において、前記転写搬送ベルトの記録材担持面側に非接触で配設されており、記録材に担持されているトナー像に電磁波を照射してトナー像を記録材に仮定着させる電磁波照射手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
当発明によれば、転写材が転写搬送ベルトから分離する際に生じ易い異常放電による画像不良を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における画像形成装置の概略図
【図2】(a)は主要制御系統のブロック図、(b)はベルトの寄り規制部材を説明するための模型図
【図3】電磁波照射手段の制御フローチャート
【図4】実施例2における画像形成装置の概略図
【図5】(a)は主要制御系統のブロック図、(b)は記録材情報検知手段としての、超音波を用いて記録材の剛性を検知する剛性検知手段の模式図、(c)は剛性特性値と減衰率の相関図
【図6】電磁波照射手段と第2定着装置の制御フローチャート
【図7】実施例3における画像形成装置の概略図
【図8】記録材の曲率分離の分離角の説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
【0016】
[実施例1]
(1)画像形成装置例の全体的な概略説明
図1は本実施例における画像形成装置の概略図である。図2の(a)は本実施例の画像形成装置の主要制御系統のブロック図である。この画像形成装置は、電子写真方式、レーザー露光方式、転写搬送ベルト式のデジタル画像形成装置(複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機能機)である。即ち、原稿読み取り装置・パソコン・ファクシミリ・ワードプロセッサ等のホスト装置200から制御回路部(制御手段)100に入力する電気的画像情報信号に基づいて記録材(転写材)Pに画像を形成することができる電子写真画像形成装置である。制御回路部(制御手段)100はCPU(演算部)、ROM、RAMなどを含み、操作部300やホスト装置200との間で各種の電気的な情報の授受をする。また、制御回路部100は画像形成装置の画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。
【0017】
この画像形成装置は、トナー像が形成される像担持体としての回転可能なドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1を有する。ドラム1は矢印R1の時計方向に駆動源Mにより所定の速度で回転駆動される。ドラム1の回りにはドラム回転方向に沿ってドラム1に作用するプロセス手段としての一次帯電器2、露光装置3、現像器4、転写帯電器31、ドラムクリーナ5が配設されている。
【0018】
一次帯電器2は、ドラム1の面を所定の極性・電位に一様に帯電する帯電手段であり、本実施例においては電源部S2から所定の極性・電位の帯電バイアスが印加される、非接触帯電器であるコロナ放電器を用いている。一次帯電器2には、帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電ブレードのような導電性帯電部材を用いた接触帯電器を用いることができる。
【0019】
露光装置3は、ドラム1の一様帯電処理面を画像情報に対応して露光して静電潜像を形成する露光手段であり、本例においてはレーザースキャナを用いている。レーザースキャナは、半導体レーザー(光源装置)、ポリゴンミラー、fθレンズ等を有する。半導体レーザーは、ホスト装置200から制御回路部100に入力する電気的画像情報信号に応じて変調されたレーザー光を出力する。半導体レーザーから発せられたレーザー光を、ポリゴンミラーを回転して走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって変更し、fθレンズによりドラム1の母線上に集光して露光することにより、ドラム1上に画像情報に対応した静電潜像を形成する。本例における静電潜像形成方式は画像情報部に対応して露光するイメージ露光方式である。
【0020】
現像器4は、ドラム1上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像手段であり、本例においては二成分現像方式、反転現像方式の現像器を用いている。即ち、現像器4には、ネガ帯電極性を有する非磁性トナーとポジ帯電極性を有する磁性キャリアが所定の混合比で混合された二成分現像剤が所定量充填されている。そして、ドラム1上の静電潜像の非露光部分に対して静電的にトナーを転移させることで可視トナー像を形成する。
【0021】
転写帯電器31はドラム1上のトナー像を記録材Pに転写する転写手段であり、本実施例では転写ローラを用いている。転写ローラ31は導電性ローラ(帯電ローラ)であり、本実施例においては、φ7.0mmの導電性の芯金と厚さ3.5mmの中抵抗の抵抗値を有するEPDM発泡弾性層からなる。ローラ硬度(Asker C)は30°である。抵抗値は、4.9N(500g重)の荷重の下で接地(アース面)に対して該ローラを50mm/secの周速で回転させ、芯金に1000Vの電圧を印加して測定された電流の関係から求められ、その値は約10Ω(23℃/50%RH)であった。また、転写帯電器31には、帯電ブラシ、帯電ブレードのような帯電部材を用いた接触帯電器を用いることができる。また、コロナ放電器のような非接触帯電器を用いることもできる。
【0022】
ドラム1の下側には転写搬送ベルト(以下、ベルトと記す)10が配設されている。ベルト10は可撓性を有する無端状のベルトであり、ドラム1よりも記録材搬送方向上流側と下流側とに並行に配列された駆動ローラ32と記録材分離ローラ33との間に懸回張設されている。前記の転写ローラ31はベルト10の内側にドラム1と並行に配列され、ベルト10の上行側のベルト部分をドラム1との間に挟んでドラム下面に対して圧接している。ドラム1とベルト10との接触部が転写部(画像転写部、転写ニップ部)7である。ベルト10は駆動源Mにより駆動ローラ32が駆動されることにより矢印R10の反時計方向にドラム1の回転速度にほぼ対応した速度で循環移動される。分離ローラ33と転写ローラ31はベルト10の移動に従動して回転する。
【0023】
ベルト10の材質としては、CR、ウレタン等の弾性ゴム材料、あるいはPVdF、PPS、PIなどの樹脂材料のどちらでも構わない。本実施例においてはベルト10は、周長440mm、厚み100μmの高熱伝導かつ低熱容量のPI樹脂を用いた。ベルト10の抵抗値は、表面抵抗率1012Ω・cm、体積抵抗率1010Ω・cm(JIS−K6911法準拠プローブを使用、印加電圧100V、印加時間60sec、23℃50%RH)である。継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトによって無端ベルトとし、駆動ローラ32及び従動回転する分離ローラ33に懸架されている。駆動ローラ32は、外径φ20mmのSUS製芯金の周囲に厚み1.5mmの導電性(体積抵抗値:10Ωcm以下)のゴムを成形したものを用いた。分離ローラ33は、バネ加圧機構(不図示)に支持されており、ベルト10をその内周面側より押圧することでベルト10に張力を付与するテンションローラ機能も兼ねている。分離ローラ33の外径はφ19mmのSUS製のローラを用いた。
【0024】
また、ベルト10の循環移動中における、複数のベルト懸架部材であるローラ31・32・33の長手方向(ローラ軸線方向)に沿う寄り移動を規制するために、ベルト10の幅方向の両端部側にはそれぞれ寄り規制部材を設けてある。ベルト10の幅方向は、ベルト移動方向に直交するベルト寸法方向である。本実施例においては、その寄り規制部材は、図2の(b)の模型図のように、ベルト10の幅方向の両端部側の内側にベルトの周に沿って環状に具備させた凸縁12である。その両側の凸縁12をそれぞれローラ31・32・33の両端側のローラ端面の外側に接近させて位置させてある。ベルト10がその幅方向の一方側に寄り移動B1すると、その時の寄り移動上流側の凸縁12がその側のローラ端面に受け止められる。またベルト10がその幅方向の他方側に寄り移動B2すると、その時の寄り移動上流側の凸縁12がその側のローラ端面に受け止められる。これにより、ベルト10の循環移動中におけるローラ31・32・33の長手方向に沿う寄り移動が規制すされる。寄り規制部材としての凸縁12は、弾性特性を有していることが望ましく、Siやウレタンなどのゴム材料を用いるのが一般的である。本実施例においては、幅a:4.0mm、厚みb:1.5mm、JISA硬度60°のウレタン系の単層ゴムビード部材を熱硬化系の接着剤によりベルト10の幅方向の両端部側の内側にベルトの周に沿って環状に貼り付けてある。これにより、寄り規制部材としての凸縁12を具備させている。
【0025】
ベルト10の下方には記録材Pを積載収納した給送カセット80が配設されている。給送カセット80内の記録材Pは給送ローラ81が駆動されることで1枚分離給送されて搬送路82を通ってレジストローラ対6に搬送される。ローラ対6はベルト10の駆動ローラ32よりも記録材搬送方向上流側に配設されており、制御回路部100で制御されるジストローラ駆動モータ(レジ駆動モータ)M6(図2の(b))により回転、回転停止される。ローラ対6は搬送路82で搬送される記録材Pの先端部を一旦受け止めて記録材Pの斜行を矯正するとともに、所定の制御タイミングのもとで記録材Pをベルト10の上面に送り出してベルト10に担持させる。ベルト10上に送り出された記録材Pはベルト10に担持され、ベルト6の循環移動で搬送されて転写部7に導入される。記録材Pは転写部7を通過する過程で転写ローラ31に電源部S31からトナーの正規帯電極性とは逆極性で所定電位の帯電バイアスが印加されることでドラム1上のトナー像の転写を順次に受ける。
【0026】
記録材Pに対するトナー像転写後のドラム1面は引き続くドラム1の回転によりドラムクリーナ5に至り、転写残りトナーの除去を受けて清掃され、繰り返して画像形成に供される。クリーナ5はドラム1面を清掃するクリーニング手段であり、本実施例においては、クリーニング部材としてドラム1の面にカウンターに当接してドラム面を摺擦する弾性ブレード部材を用いた装置である。
【0027】
また、転写部7を通過した記録材Pは引き続きベルト10で搬送され、電磁波照射手段20の位置を通って分離ローラ33のベルト巻回部である分離部Aに至る。電磁波照射手段20は記録材Pに担持されている未定着トナー像を、記録材Pが分離部Aに至る前に仮定着するための手段である。この電磁波照射手段20については後述する。電磁波照射手段20の位置を通って分離部Aに来た記録材Pは分離部Aにおいてベルト面から曲率分離され、定着入口ガイド93に導かれて定着装置9へと搬送される。
【0028】
記録材Pを分離した後のベルト10は引き続くベルト10の移動でベルトクリーナ51の位置に至る。そして、ベルト面に付着しているトナー及びその他の異物の除去を受けて清掃されると共に、蓄積した電荷の除去(除電)を受けて繰り返して記録材Pの担持搬送に供される。本実施例においては、ベルトクリーナ51は、クリーニング部材として回転駆動される導電性ファーブラシ51aを用いたものあり、駆動ローラ32のベルト巻回部においてベルト10の表面に接触して回転駆動されることによりベルト面を摺擦する。導電性ファーブラシ51aと駆動ローラ32の各軸芯は接地されている。導電性ファーブラシ51aに代えて導電性ウェブ(不織布)を用いることもできる。
【0029】
定着装置9は記録材P上の未定着トナー像を固着像として記録材面に定着する装置である。本実施例においては、定着装置9はヒートローラタイプの装置であり、加熱加圧機構としての定着ローラ91と弾性加圧ローラ92を有する。両ローラ91・92は並行に配列されて互いに圧接して定着ニップ部Nを形成しており、矢印の方向に回転駆動される。各ローラ91・92には、それぞれ、内部加熱ヒータH1・H2、表面温度検知素子(サーミスタ)TH1・TH2、離型剤塗布器94・95が配設されている。離型剤塗布器94・95は、それぞれ、ローラ91・92の表面にジメチルシリコンオイルなどの離型剤オイルを塗布する塗布ローラと、そのオイル溜めを有する。ヒータH1・H2はそれぞれ電源部(不図示)から電力が供給されて発熱してローラ91およびローラ92を内部から加熱する。そして、各ローラ91・92の表面温度がそれぞれ表面温度検知素子TH1・TH2で検知され、その検知温度情報が制御回路部100に入力する。制御回路部100は入力する検知温度情報に基づいて各ローラ91・92の表面温度がそれぞれ所定の定着温度に昇温し、そしてその温度に維持されるようにヒータH1・H2に対する供給電力を制御する。定着装置9に導入された記録材Pは定着ニップ部Nに進入して挟持搬送されて加熱及び加圧されることにより未定着トナー像が固着像として定着される。
【0030】
定着装置9を出た記録材Pは、片面画像形成モードの場合には、第1姿勢に制御されている第1フラッパ84により排出搬送路83側に案内されて装置外の排出トレイ(不図示)に排出、積載される。両面画像形成モードの場合には、定着装置9を出た第1面側画像形成済の記録材Pが第2姿勢に制御されている第1フラッパ84により反転搬送路85側に案内され、更に第1姿勢に制御されている第2フラッパ87によりスイッチバック搬送路86に導入される。そして、記録材Pはスイッチバック搬送されて第2姿勢に制御されている第2フラッパ87により両面搬送経路88に導入される。さらに記録材Pは両面搬送経路88から再び搬送路82に導入されて、レジストローラ対6を経由して表裏反転された状態でベルト10上に給送される。これにより記録材Pの第2面に対して転写部7にてトナー像の転写がなされる。以後は、第1面に対する画像形成動作と同様に記録材Pは電磁波照射手段20の位置、分離部A、定着装置9、排出搬送路83を通って両面画像形成物として装置外の排出トレイに排出、積載される。
【0031】
(2)電磁波照射手段
電磁波照射手段20は、ベルト10の前記転写部7から前記分離部Aに至る間において、ベルト10の記録材担持面側にベルトに非接触で配設されており、記録材Pに担持されている未定着のトナー像に電磁波を照射してトナー像を記録材に仮定着する手段である。本実施例においては、電磁波照射手段20は、ベルト10に向けて赤外線を照射するための赤外線ランプ21と反射笠(赤外線反射ミラー)22から成る。赤外線ランプ21にはハロゲンランプを用い、ベルト10により担持搬送される記録材Pの表面から10mm離れた上方に設置した。ハロゲンランプ21の出力としては、例えば、トナーの軟化点温度T1が70℃ならば400W有れば十分であり、本実施例では軟化点温度T1が70℃のトナー、並びに400Wのハロゲンランプ21を使用した。反射笠22にはアルミニウム製の放物面鏡を用い、ハロゲンランプ21の上部に設置した。電磁波照射手段20の配設位置(ベルト対向位置)において、ベルト10の電磁波照射手段20側とは反対側のベルト面にはベルト10の温度を検知する温度検知素子(サーミスタ)23が接触或いは非接触で配設されている。そして、温度検知素子23の検知温度情報が制御回路部100に入力する。
【0032】
図3は電磁波照射手段20の制御フローチャートである。制御回路部100は、1枚或は複数枚の連続した画像形成ジョブ(モノプリントジョブ或はマルチプリントジョブ)が入力されると、画像形成動作を開始させる。本実施例においては、給送カセット80からの記録材Pの給紙が開始される(ステップS1)。また、回転駆動されたドラム1に対するトナー像の形成が開始される(S2)。給送カセット80からの給紙された記録材Pはレジストローラ対6に到達してその時点では回転が停止されているローラ対6のニップ部に先端部が突き当たって受け止められる。これにより、記録材Pの斜行矯正がなされる。そして、所定の制御タイミングにおいてモータM6がONされる(S3)。これによりローラ対6の回転が開始されて記録材Pが循環移動しているベルト10の上面に送り出され、ベルト10上に担持される。そして、記録材Pはベルト10の移動で搬送されて転写部7に導入される。記録材Pは転写部7を通過する過程で電源部S31から転写ローラ31にトナーの正規帯電極性とは逆極性で所定電位の帯電バイアスが印加されることによりドラム1上のトナー像の転写を順次に受ける(S4)。
【0033】
転写部7において、ドラム1よりトナー像が転写された記録材Pは引き続くベルト10の移動で搬送されて、電磁波照射手段20の配設位置に到達する。本実施例においては記録材Pの先端部の電磁波照射手段配設位置への到達は、モータM6の駆動ONタイミングとベルト10による記録材搬送速度とに基づく制御回路部100の演算により検知される。また、制御回路部100はその記録材先端部の電磁波照射手段配設位置への到達検知タイミングとベルト10による記録材搬送速度と給紙された記録材のサイズとに基づく演算により記録材後端部の電磁波照射手段配設位置の通過を検知する。記録材のサイズは記録材搬送方向に関するサイズである。そして、制御回路部100は、記録材Pの先端部の電磁波照射手段配設位置への到達から後端部の電磁波照射手段配設位置の通過までの間だけ、電磁波照射手段20の赤外線ランプ21を点灯させる(S5、S6)。
【0034】
赤外線ランプ21が点灯することで、本実施例においては、記録材Pの電磁波照射手段配設位置通過過程で、記録材P上のトナーの温度T2がトナー軟化点T1(70℃)よりやや高目の温度(75℃≦T2)となる様に加熱される。そのため、未定着であったトナー像が、記録材Pが分離部Aに到達する前に記録材Pに仮定着される。そして、記録材Pは分離部Aに至り、ベルト面から曲率分離される。この時、記録材P上のトナー像は電磁波照射手段20により仮定着しているために、記録材Pが低剛性の薄紙においても、前述したような分離時に発生する剥離放電によってトナー像が飛び散るなどの劣化を生じることが無い。即ち、高画質を維持したままベルト10から曲率分離搬送される。
【0035】
そして、ベルト10から分離された記録材Pは搬送方向下流側に位置する定着装置9に導入されてトナー像の本定着を受けて画像形成装置外に排出される(S7)。画像形成ジョブが1枚の場合にはそれで画像形成動作は終了となる。複数枚の連続した画像形成ジョブの場合には、最後の1枚の画像形成が終了するまで、上記の画像形成動作が繰り返して実行される(S8→S1)。
【0036】
ここで、ベルト10の材質について、本実施例では前記のようにポリイミド樹脂を用いた。ベルト10の材質としては、他にCR、ウレタン等の弾性ゴム材料、あるいはPVdF、PPS、PEEKなどの樹脂材料を選択することが可能だが、高熱伝導かつ低熱容量のPIならば、冷却手段も不要なために比較的好都合である。
【0037】
また、両面搬送経路88の途中に、定着装置9を通って加熱された第1面画像形成済みの記録材Pの温度を測定する放射温度計など温度計89を設けておく。そして、両面画像形成モードの場合には、制御回路部100はその温度計89の検知温度に応じて、第2面画像形成動作時における前記電磁波照射手段20への通電条件を変更制御する構成にすることもできる。電磁波照射手段20への通電条件を変更する制御とは、電磁波照射手段20によるトナーの加熱温度T2を温度計89の検知温度に応じて変更する制御である。
【0038】
本実施例においては、電磁波照射手段20をベルト10の記録材担持面側に配置することにより、記録材上のトナー像を直接加熱できる。そのため、ベルト10の内周面側に加熱部材を配置して、ベルト10と記録材を介して記録材上の未定着トナー像を加熱する構成に比べて、消費電力を低減できるメリットがある。
【0039】
電磁波照射手段20における赤外線ランプ21の点灯は、例えば、複数枚の連続した画像形成ジョブが入力された場合に、最初の1枚目の記録材Pが電磁波照射手段配設位置に到達した時に赤外線ランプ21が点灯を開始して、そのまま点灯を継続する。そして、前記連続した画像形成ジョブの最後の記録材Pが電磁波照射手段配設位置を通過後に消灯するように動作させても構わない。しかし、本実施例におけるように、記録材Pが電磁波照射手配設位置を通過する時のみ赤外線ランプ21を点灯させる制御方式の方が有利である。即ち、省エネの面や、ベルト10や電磁波照射手段20への過剰な熱の供給を抑制できて画像形成装置内の不要な昇温を抑制できる点でメリットがある。
【0040】
上述してきた構成をとることにより、ベルト10により記録材Pが安定して担持搬送されるために、記録材の姿勢を一定に保て、かつ記録材に安定的に電荷付与できる。そのために、記録材Pが静電的にドラム1に貼りついてしまう分離不良や、転写部7の記録材搬送方向上流側と直下流側における画像不良を効果的に抑制することが出来た。また、記録材Pがベルト10から分離する際に剥離放電が発生してもトナー像を劣化さえること無く高画質なプリント画像を出力することが出来た。
【0041】
[実施例2]
図4は本実施例における画像形成装置の概略図である。図5は本実施例の画像形成装置の主要制御系統のブロック図である。本実施例の画像形成装置も基本的には実施例1と同様の、電子写真方式、レーザー露光方式、転写搬送ベルト式のデジタル画像形成装置である。実施例1の画像形成装置と共通する構成部材・部分には共通の符号を付して再度の説明を省略する。
【0042】
近年の市場ニーズに基づく記録材Pの薄紙、厚紙仕様の拡大に応えるべく、画像形成装置の記録材(紙)の坪量対応仕様幅も、薄紙においては50g/m2紙程度から、厚紙に至っては300g/m2紙程度までと拡がってきている。前記した記録材の坪量対応仕様幅に対して、特にPOD市場における画像形成装置に対しては、給紙する記録材の坪量仕様に関係なく、画像形成速度を落とさずに等速、かつ高速出力することが求められている。前記ニーズに答えるべく、本実施例の画像形成装置には、定着手段として、実施例1の画像形成装置の定着装置9の記録材搬送方向下流側にもう1つ定着装置9Aを配設した。定着装置9を第1定着装置、定着装置9Aを第2定着装置とする。即ち、記録材Pに未定着トナー像を本定着させるための加熱加圧機構であるローラ対を実施例1の構成91・92に対し更に1対91・92追加した構成とした。また、搬送路82に、給送カセット80から画像形成装置に供給される記録材Pの記録材情報を検知する記録材情報検知手段70を配設してある。
【0043】
本実施例においては、記録材情報検知手段70として、超音波を用いて記録材Pの剛性を検知する剛性検知手段を用いた。図5の(b)はその剛性検知手段70の模式図である。剛性検知手段70は、給送カセット80からレジストローラ対6に至る記録材Pの搬送路82の途中に配置されている。記録材Pは、給紙ローラ対74・75並び給紙ローラ対76・77により矢印Yの方向に搬送されている。搬送路82の途中にて、超音波発信素子71と受信素子72を記録材Pと接触する様に、各々記録材搬送方向Yの上流側と下流側に配置する。画像形成動作中などに、記録材Pが超音波発信素子71と受信素子72の双方に接する位置に搬送されると、超音波発信素子71より超音波信号73が発信される。超音波発信素子71はある一定の周波数/出力の超音波信号73を発信しており、発信された超音波信号73は記録材Pの剛性特性に応じて信号が変化する。その変化した信号が受信素子72に受信されて制御回路部100に入力する。制御回路部100は、発信素子71からの発信信号と受信素子72による受信信号の変化分(減衰率)を計算する。前記減衰率は図5の(c)のように記録材Pの剛性特性値と相関があり、その相関特性により剛性特性値が導かれる。
【0044】
本実施例においては、制御回路部100は、画像形成装置に供給される記録材Pについて記録材情報検知手段70により検知される記録材情報に基づいて、電磁波照射手段20の及び第2定着装置9Aの稼働を制御する構成である。これを図6の制御フローチャートにより説明する。制御回路部100は、1枚或は複数枚の連続した画像形成ジョブが入力されると、画像形成動作を開始させる。本実施例においては、給送カセット80からの記録材Pの給紙が開始される(ステップS1)。そして、給紙された最初の1枚目の記録材が搬送路82の剛性検知手段70を通過する際に前述した様に記録材Pの剛性特性値が検知される(S2)。剛性検知手段70が検知する記録材Pの剛性特性値は制御回路部100に入力する。制御回路部100はその検知された剛性特性値が所定の値X1以下であるか否かを判定する(S3)。従来の画像形成装置において、ベルト10からの記録材Pの分離時に異常放電による画像不良が発生し易かったのは、坪量70g/m程度以下の記録材であった。そこで、坪量70g/mの記録材を前記剛性検知手段70により剛性特性値を求めたところX1であった。本実施例においては検知剛性特性値に関する前記の所定の値をX1とし、その値を参照データ(比較基準値)として制御回路部100に設定している。
【0045】
(1)通紙された記録材Pの剛性特性値が所定の値X1以下の場合
ステップS3において、記録材Pの剛性特性値が所定の値X1以下である場合、即ち記録材Pが薄紙(坪量が小さい紙)の部類である場合には、制御回路部100は第1定着装置9は稼働状態にするが、第2定着装置9Aについては非稼働状態にする(S4)。ここで、定着装置について稼働状態とは、加熱加圧機構である定着ローラ91と加圧ローラ92を回転駆動させると共にヒータH1とH2に通電して定着ローラ91と加圧ローラ92とを所定の定着温度に立ち上げてその温度に温調維持している状態である。また、定着装置について非稼働状態とは定着ローラ91と加圧ローラ92は回転駆動(空回転)状態にするが、ヒータH1とH2への通電はOFFにして定着ローラ91と加圧ローラ92の加熱はしていない状態である。
【0046】
また、回転駆動されたドラム1に対するトナー像の形成が開始される(S5)。給送カセット80からの給紙された記録材Pはレジストローラ対6に到達してその時点では回転が停止されているローラ対6のニップ部に先端部が突き当たって受け止められる。所定の制御タイミングにおいてモータM6がONされる(S6)。これによりローラ対6の回転が開始されて記録材Pが循環移動しているベルト10の上面に送り出されてベルト10に担持される。そして、記録材Pはベルト10の移動で搬送されて転写部7に導入され、ドラム1上のトナー像の転写を順次に受ける(S7)。
【0047】
転写部7においてトナー像が転写された記録材Pは引き続くベルト10の移動で搬送されて、電磁波照射手段20の配設位置に到達する。本実施例においても実施例1と同様に制御回路部100は、記録材Pの先端部の電磁波照射手段配設位置への到達から後端部の電磁波照射手段配設位置の通過までの間だけ、電磁波照射手段20の赤外線ランプ21を点灯させる(S8、S9)。これにより、未定着であったトナー像が、記録材Pが分離部Aに到達する前に記録材Pに仮定着される。そして、記録材Pは分離部Aに至り、ベルト面から曲率分離される。この時、記録材P上のトナー像は電磁波照射手段20により仮定着しているために、記録材Pが低剛性の薄紙においても、前述したような分離時に発生する剥離放電によってトナー像が飛び散るなどの劣化を生じることが無い。即ち、高画質を維持したままベルト10から曲率分離搬送される。
【0048】
そして、ベルト10から分離された記録材Pは稼働状態の第1定着装置9に導入されてトナー像の本定着を受ける。第1定着装置9を出た記録材は次いで非稼働状態の第2定着装置9Aを素通りして画像形成装置外に排出される(S10)。記録材Pは薄紙であるために、第1定着装置9だけを稼働状態にするだけで記録材P上のトナー像を本定着するのに十分である。画像形成ジョブが1枚の場合にはそれで画像形成動作は終了となる。複数枚の連続した画像形成ジョブの場合には、最後の1枚の画像形成が終了するまで、上記の画像形成動作が繰り返して実行される(S11→S12→S5)。
【0049】
(2)通紙された記録材Pの剛性特性値が所定の値X1を超過している場合
ステップS3において、記録材Pの剛性特性値が所定の値X1を超過している場合、即ち記録材Pが厚紙(坪量が大きい紙)の部類である場合には、制御回路部100は、電磁波照射手段20の赤外線ランプ21は消灯した状態に保持させる。そして第1定着装置9と共に第2定着装置9Aも稼働状態にする。この条件にて、画像形成動作を実行する(S14〜S18、S11、S19)。
【0050】
即ち、通紙される記録材Pは剛性が高目(坪量が比較的大きい紙)であるために、記録材Pのベルト10からの分離角が小さくなる。記録材P上のトナー像は未定着であるが、弊害が生じる程の剥離放電が抑制されるために、トナー像を劣化させる事無く記録材Pはベルト10から分離される。即ち、電磁波照射手段20の赤外線ランプ21を点灯させてトナー像を仮定着する処置はとらなくてもよい。また、第1定着装置9と第2定着装置9Aが稼働状態にあることで、記録材Pが厚紙であっても未定着トナー像はその記録材P上に良好に本定着される。
【0051】
記録材Pの剛性特性値がX1を超過している場合においても、電磁波照射手段20の赤外線ランプ21を点灯しても画像上および記録材搬送上の問題は無い。しかし、第1と第2の2つの定着装置9・9Aのヒータに対してフル通電ONした上で、更に電磁波照射手段20の赤外線ランプ21に対して通電ONしたのでは消費電力が大きくなってしまう。本実施例では、X1<剛性特性値ならば、電磁波照射手段20は常時消灯制御されるために、消費電力抑制面でメリットがある。
【0052】
記録材情報検知方法としては、給送カセット80に積載する記録材Pの坪量情報を、ユーザーが画像形成装置の操作部300より入力し、その情報に基づいて、画像形成装置を制御しても構わない。しかし、本実施例に示す構成は、ユーザーに対する坪量情報の画像形成装置への入力作業を省略できる面でメリットがある。
【0053】
また、前記剛性特性値がX1以下の場合について、その特性値に応じて、電磁波照射手段20への通電条件(電流)を変更制御してもかまわない。前記剛性特性値がX1を超過している場合について、その特性値に応じて、定着装置9・9Aへの通電条件(電流)を変更制御してもかまわない。前記した構成をとることで、より消費電力抑制面でメリットがある。
【0054】
上述してきた構成をとることにより、ベルト10により記録材Pが安定して担持搬送されるために、記録材姿勢を一定に保て、かつ記録材に安定的に電荷付与できる。そのために、記録材Pが静電的にドラム1に貼りついてしまう分離不良や、転写部7の上流側と直下流側における画像不良を効果的に抑制することが出来た。また、記録材Pがベルト10から分離する際に剥離放電が発生してもトナー像を劣化さえること無く高画質なプリント画像を出力することが出来た。
【0055】
[実施例3]
図7は本実施例の画像形成装置の概略構成図である。本実施例の画像形成装置は、実施例2の画像形成装置において、ベルト10で搬送される記録材Pに転写するトナー像の画像形成機構部を4色フルカラー画像形成機構部60にしたものである。その他の画像形成装置構成は実施例2の画像形成装置と同様であるので、共通する構成部材・部分には共通の符号を付して再度の説明を省略する。
【0056】
画像形成機構部60において、Pa、Pb、Pc、Pdは第1乃至第4の画像形成部であり、矢印R61の方向に所定の速度で循環移動される中間転写ベルト61(第2の像担持体)の移動方向に沿って順次に配列されている。各画像形成装置は、それぞれ、矢印の方向に所定の速度で回転駆動される電子写真感光ドラム1(第1の像担持体)に電子写真プロセス機器によりトナー像を形成する電子写真画像形成機構である。本実施例においては、第1の画像形成部Paはドラム1にフルカラー画像のイエロー成分像に対応するイエロートナー像を形成する。第2の画像形成部Pbはドラム1にフルカラー画像のマゼンタ成分像に対応するマゼンタトナー像を形成する。第3の画像形成部Pcはドラム1にフルカラー画像のシアン成分像に対応するシアントナー像を形成する。第4の画像形成部Pdはドラム1にフルカラー画像のブラック成分像に対応するブラックトナー像を形成する。そして、第1乃至第4の画像形成部のドラム1に形成された色トナー像がそれぞれ一次転写部において中間転写ベルト61の面に重ね合わせるように順次に一次転写される。その重畳転写トナー像がベルト61の引き続く移動により転写ローラ31と転写ローラ対向ローラ62との対向部である二次転写部7に至り、ベルト10により担持搬送される記録材P上に一括して二次転写される。即ち、記録材P上に未定着の4色フルカラートナー像が形成される。そして、その記録材が分離部A、定着装置9、9Aを通って4色フルカラー画像形成物がプリントアウトされる。記録材Pに対するトナー像転写後の中間転写ベルト61の面はクリーナ63により残留する転写残トナーが除去されて清掃され、繰り返して画像形成に供される。
【0057】
そして、実施例2の画像形成装置と同様に、制御回路部100は、画像形成装置に供給される記録材Pについて記録材情報検知手段70により検知される記録材情報に基づいて、電磁波照射手段20及び第2定着装置9Aの稼働を制御する構成である(図6)。従って、本実施例の画像形成装置も実施例2と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0058】
1・61・・像担持体、10・・転写搬送ベルト、31〜33・・複数のベルト懸架部材、7・・画像転写部、A・・分離部、9・9A・・定着装置、P・・記録材、20・・電磁波照射手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成される回転可能な像担持体と、記録材分離ローラを含む複数のベルト懸架部材に懸回張設されていて循環移動され、記録材を担持して前記像担持体の画像転写部に搬送して前記トナー像を記録材に転写させ、前記画像転写部よりも記録材搬送方向下流側において記録材を前記分離ローラのベルト巻回部である分離部にて曲率分離させる無端状の転写搬送ベルトと、前記転写搬送ベルトから分離された記録材のトナー像を定着するための定着装置と、を備えた画像形成装置において、
前記画像転写部から前記分離部の間において、前記転写搬送ベルトの記録材担持面側に非接触で配設されており、記録材に担持されているトナー像に電磁波を照射してトナー像を記録材に仮定着させる電磁波照射手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電磁波照射手段は記録材が前記電磁波照射手段の配設位置を通過する時に通電されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
装置に給送される記録材の記録材情報に応じて、前記電磁波照射手段および前記定着装置が制御されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写搬送ベルトが樹脂材料のベルトであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電磁波照射手段が赤外線ランプと反射笠であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−141362(P2011−141362A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1093(P2010−1093)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】