説明

画像形成装置

【課題】通常の画像形成動作ができなくなる時間をなくして像担持体や転写体への付着物を効率よく除去することができる構成を備えた画像形成装置搬を提供する。
【解決手段】複数の色毎に画像形成が可能な感光体を備え、該感光体がこれに形成された画像を転写される転写体の移動方向に沿って複数並置されている構成を備え、転写後の感光体あるいは転写体の表面に付着しているトナーをクリーニングにより回収する構成を備えた画像形成装置において、前記複数の感光体に形成された画像の転写順序において前記転写体の移動方向最上流に位置する感光体1Yへの画像形成に連続して次段以降の感光体で実行される画像形成前に、通常の画像形成とは違って感光体および転写体に付着するトナーの量を増加させるためのトナー像形成を行う付着物除去モードが実行され、該付着物除去モードにより形成されたトナー像をクリーニングすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、転写残トナーの回収に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、複写機やプリンタあるいは印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像が現像装置から供給される現像剤によって可視像処理される。
可視像処理されたトナー像は転写材に転写された後、定着装置による加熱・加圧によってトナーが融解・浸透することで定着されて複写画像とされる。
画像形成の対象となる画像には、モノクロ画像のような単一色画像だけでなく、フルカラー画像を含む多色画像がある。
多色画像、特にフルカラー画像を得るために用いられる画像形成装置には、各色の画像形成ステーションを備え、これら各画像形成ステーションで形成された画像が転写体に順次転写される。
転写体には、画像を順次転写される中間転写ベルトを用いる場合あるいは記録紙をベルトに吸着した状態で搬送しながらその搬送過程で記録紙に対して順次画像を重畳する場合とがある。
いずれも場合にも対応する画像形成方式として、ベルトの展張面に沿って前記の画像形成ステーションを並列させるタンデム方式が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
各画像形成ステーションに対向して移動するベルトは、画像形成ステーションに装備されている感光体とほぼ接触した状態に設けられているため、ベルトに用いられる材料によっては、その材質による不具合が生じる虞があった。
例えば、ベルトのゴム成分を含む材質が用いられている場合、ゴムに含まれている成分が染み出して感光体表面やベルト表面に堆積することが原因して表面の汚染が発生する虞がある。
【0004】
感光体やベルト表面での汚染は、画像乱れの原因となったり、感光体やベルト表面での特性が初期条件から悪化する結果を招く。
一方、感光体やベルト表面に堆積するものとして、クリーニングブレードとの摩擦係数を低減するために用いられる潤滑剤や転写残トナーがある。
従来、これら潤滑剤や転写残トナーの除去に用いられる部材として、ブレードを用いたクリーニング装置を設けることが知られている。
【0005】
ブレードは、感光体やベルト表面への当接状態が堆積物除去に寄与することから、比較的高い当接圧力が設定される部材である。このため、その当接圧力により、感光体やベルト表面に損傷を来すという新たな問題が生じる。
【0006】
上述したブレードに変えたクリーニング装置としては、感光体やベルト表面に接触するブラシを設ける構成がある。
ブラシは、感光体やベルト表面の堆積物を掻き取ることができるが、掻き取り効率を高めるには新たなブラシの繊毛が感光体やベルト表面に接触することを繰り返すことが必要であるので、その構造として回転可能なブラシとすることが多い。
回転可能なブラシは、ブラシローラとして構成されることになるが、ブラシローラを設けるための設置スペースが新たに必要となったり、ブラシにより掻き取られた堆積物をブラシから取り除くための回収機構も必要となることから、装置の大型化や複雑化を招く虞がある。
【0007】
そこで、このような不具合を解決するための方法として、通常の画像形成時に行われる感光体への帯電を停止した状態で感光体に対して現像バイアスを印加した状態でトナーを付着させ、付着したトナーをクリーニングブレードにより掻き取るようにした構成が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0008】
感光体に形成したトナー像に含まれるトナーを転写残トナーと共に除去する方法としては、通常の画像形成時と同様な工程を経て感光体上に形成されたトナー像を転写体として用いられるベルト上に転写し、転写されたトナーをクリーニングにより除去する付着物質除去モードを設定する方法である(例えば、特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献に開示されている方法では、転写残トナーをこれとは別に供給されたトナーに絡めることでクリーニングブレードにより掻き取られる掻き取り量を多くできるという利点がある反面、次に挙げる新たな問題が生じる虞がある。
【0010】
転写残トナーは、クリーニングブレードにより掻き取られることが必須であるものの、その堆積量やブレードの接触圧力などによっては完全に除去できない場合がある。
【0011】
しかも、除去する機会としては、特許文献1に開示されているように画像形成装置の始動時(電源投入時)あるいは、特許文献2に開示されているように、通常の画像形成期間、つまり複数色の画像形成を行う場合には、その複数色の画像形成時とは別の機会に改めて除去モードを実行することから、除去時間が足りなくなることや、除去モード実行時には通常の画像形成モードを実行することができなくなることなどの不具合がある。特に後者の場合には、通常の画像形成を実行するまでの待機時間が必要となり、画像形成処理に係るランタイムが待機時間に要するダウンタイムを含めたものとなる虞がある。
【0012】
本発明の目的は、上記従来の画像形成装置、特に、転写残トナーなどの付着物除去に際しての問題に鑑み、通常の画像形成動作ができなくなる時間をなくして像担持体や転写体への付着物を効率よく除去することができる構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達せ得するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)複数の色毎に画像形成が可能な感光体を備え、該感光体がこれに形成された画像を転写される転写体の移動方向に沿って複数並置されている構成を備え、転写後の感光体あるいは転写体の表面に付着しているトナーをクリーニングにより回収する構成を備えた画像形成装置において、
前記複数の感光体に形成された画像の転写順序において前記転写体の移動方向最上流に位置する感光体への画像形成に連続して次段以降の感光体で実行される画像形成前に、トナー像を前記感光体に形成し、記録紙に転写することなく前記転写体に転写する付着物除去モードが実行され、該付着物除去モードにより形成されたトナー像をクリーニングすることを特徴とする画像形成装置。
(2)(1)に記載の画像形成装置において、前記付着物除去モードで実行されるトナー像形成が、前記次段以降の感光体のうちで、前記転写体の移動方向最下流に位置する感光体を対象として実行されることを特徴とする画像形成装置。
(3)(1)または(2)に記載の画像形成装置において、前記転写体が、前記感光体からの画像を順次転写する1次転写に用いられる中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
(4)(1)または(2)に記載の画像形成装置において、前記転写体が記録紙を搬送する搬送ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
(5)(1)または(3)に記載の画像形成装置において、前記中間転写ベルトを対象として前記付着物除去モードが実行される際には、前記1次転写後に行われる2次転写の際の転写バイスの印加が停止されることを特徴とする画像形成装置。
(6)(1)または(3)に記載の画像形成装置において、前記中間転写ベルトを対象として前記付着物除去モードが実行される際には、前記1次転写後に行われる2次転写の際の転写バイスの極性を通常の2次転写時とは逆極性に設定することを特徴とする画像形成装置。
(7)(1)、(3)、(5)、(6)のいずれかに記載の画像形成装置において、前記2次転写の実行部は前記付着物除去モード実行時に前記中間転写ベルトから離間した状態を維持されることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通常の画像形成時に行われる各感光体への画像形成に際して、転写体の転写順序の最初に相当する転写体の移動方向最上流側の感光体への画像形成に連続して次段以降の感光体で実行される画像形成前に、トナー像を前記感光体に形成し、記録紙に転写することなく前記転写体に転写する付着物除去モードが実行され、該付着物除去モードにより形成されたトナー像をクリーニングするので、付着物除去モードを通常の画像形成サイクル内、つまり、複数色の画像形成工程内に付着物除去モードを含めることができる。これにより、付着物除去モードを通常の画像形成工程とは別に設定する必要がないので、通常の画像形成実行を待機することがなく画像形成に要するランタイムを不必要に長くすることが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による転写装置を用いた画像形成装置の構成を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられる中間転写ベルトを対象とするクリーニング装置の構成を説明するための模式図である。
【図3】本発明による画像形成装置において実行される通常の複数色画像の形成サイクルを説明するためのタイミングチャートである。
【図4】図2に示したタイミングチャートにおいて本発明による画像形成装置において実行される付着物除去モードを追加した場合のタイミングチャートである。
【図5】図3に示した付着物除去モードを複数の感光体を対象とした場合のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面により本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による転写装置が適用される画像形成装置を示す図であり、同図に示す画像形成装置は、タンデム方式を用いたカラープリンタである。
【0017】
図1において画像形成装置は、転写体として、後述する作像ステーションでの画像を順次1次転写される中間転写ベルト100を対象としている。
【0018】
図1において中間転写体として用いられる中間転写ベルト100の展張面に沿って色毎の作像ステーション(便宜上、補色トナーの色であるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各作像ステーションおよび後述するプロセスカートリッジを纏めて符号Y,M,C,Kで示す)が並設されている。
【0019】
作像ステーションは、同じ構成のプロセスカートリッジを備えており、プロセスカートリッジには、感光体ドラム1およびこの周囲に配置されている帯電装置2,現像装置3およびクリーニング装置4が備えられている。なお、図1では、各プロセスカートリッジに設けられている上記各装置の符号に各色の符号を添えて示してある。
【0020】
プロセスカートリッジでは、感光体ドラム1に対して帯電装置2による一様帯電が行われ、書き込み装置(便宜上、光路Lのみが示されている)からの書込動作によって画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0021】
感光体ドラム1に形成された静電潜像は、現像装置3から供給されるトナーにより可視像化され、後述する転写装置5において可視像の担持体として用いられる中間転写ベルト5Aに対して1次転写装置である転写ローラ6からの転写バイアスを受けることで1次転写される。
【0022】
フルカラー画像形成時には、各作像ステーションにおいて形成された可視像が順次、中間転写ベルト5Aに転写されて重畳される。
【0023】
転写後の感光体ドラム1は、クリーニング装置4に設けられているクリーニングブレード4Aによって残留トナーを除去され、帯電装置2による一様帯電が行われて次回の作像処理に備えられる。
【0024】
転写装置5は、複数のローラ5B,5C,5Dおよび5Eに掛け回された中間転写ベルト5Aと、各感光体ドラムに対して中間転写ベルト5Aを挟んで対峙する1次転写ローラ6とを備えている。
【0025】
図1に示す構成において中間転写ベルト5Aは、複数のローラのうちの一つが用いられる駆動ローラによる駆動によりプロセス速度として、例えば、150mm/secの移動速度が設定されて、図示矢印方向に展張面を移動させるようになっている。
【0026】
中間転写ベルト5Aが掛け回されているローラのうちで、符号5Bで示すローラは、前述した駆動ローラとして用いられるとともに、中間転写ベルト5Aを挟んで対峙する2次転写装置として用いられる2次転写ローラ7に対するバックアップローラとして用いられるようになっている。また、符号5Cで示すローラは、図示しないバネなどの弾性体により展張方向に付勢されるテンションローラとして用いられている。
【0027】
1次転写装置である転写ローラ6は、バネなどの弾性体6Aにより感光体ドラム1に向けて付勢されており、バイアス電源8およびバイアス制御回路9から給電される転写バイアスにより可視像を中間転写ベルト5Aに転写するようになっている。図1に示す構成において用いられる1次転写バイアスは、例えば、+1800Vとされている。また、2次転写ローラ7に対してもバイアス電源10からの給電により2次転写バイアスが印加されるようになっている。
【0028】
中間転写ベルト5Aは、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等を単層または複数層に構成し、カーボンブラック等の導電性材料を分散させ、その体積抵抗率を10〜1012Ωcm、かつ表面抵抗率を10〜1013Ωcmの範囲となるよう調整されている。なお、必要に応じ該中間転写ベルト10の表面に離型層をコートしても良い。コートに用いる材料としては、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、 PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パ−フルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が使用できるが、これに限定されるものではない。
中間転写ベルト5Aの製造方法は注型法、遠心成形法等があり、必要に応じてその表面を研磨しても良い。
【0029】
中間転写ベルト5Aは、全ての転写画像が2次転写を終えると、ベルトクリーニング装置11により残留トナーを除去されるようになっている。
【0030】
クリーニング装置11は、図2に示すように、中間転写ベルト5Aに当接するウレタンゴムなどの弾性体で構成されたクリーニングブレード11Aを備えており、クリーニングブレード11Aは揺動可能なブレードホルダ11Bによって接離可能に支持されている。
【0031】
クリーニングブレードに代えて、導電性ブラシやローラを用いることも可能であり、バイアスを印加することにより中間転写ベルト5Aから静電的に付着物であるトナーを回収する構成とすることができる。
【0032】
中間転写ベルト5Aから回収されたトナーは、図示しないが、クリーニング装置内に設けられている搬送部材によって装置奥側に搬送されて重力により下方へ落下されるようになっている。トナーが落下する位置にはトナー回収ボトルが配置されており、トナー回収ボトルには図示しないが満杯検知センサが設けられて満杯時での交換を促すように監視できるようになっている。
【0033】
ベルトクリーニング装置11の近傍には、クリーニングブレード11Aによる摺擦損傷の防止およびトナーの除去性能を向上させるために潤滑剤塗布装置13が設けられている。
【0034】
潤滑剤塗布装置13は、図2に示すように、固形潤滑剤13Aと固形潤滑剤13Aに接触しながら回転することで潤滑剤13Aを削り取り、削り取った潤滑剤13Aを中間転写ベルト5Aの表面に塗布する塗布ブラシ13Bとが備えられている。
【0035】
これらの潤滑剤13Aは、微量ずつ、粉体の形態で供給されるのであるが、その具体的な方法としては、図示した塗布ブラシ13Bなどの潤滑剤塗布手段によりブロック上に固形成形された潤滑剤を削り取って塗布する方法や、トナーに外添して供給する方法等がある。ただし、トナーに外添して潤滑剤を供給する場合、その供給量が出力する画像面積に依存し、常にベルト表面全面に供給することはできない為、簡易な装置構成で、かつ、ベルト表面全面に安定に潤滑剤を供給しようとした場合、上述したように、固形潤滑剤をブラシで削り取って塗布する方法が好ましい。
【0036】
一方、2次転写ローラ7は、SUS等の金属製芯金上に、導電性材料によって10〜1010Ωの抵抗値に調整されたウレタン等の弾性体を被覆することで構成されている。
【0037】
記録紙Sは、給紙ローラ14,転写紙搬送ローラ15、レジストローラ16によって,中間転写ベルト5Aに形成される4色重ね画像の先端部が2次転写位置に到達するタイミングに合わせて給紙される。4色重ね画像を転写された記録紙Sは、転写出口ガイド部材30’および定着入口ガイド部材31に沿って定着装置19へ搬送され、定着装置19で定着された後、排紙ローラ20によって排紙される。なお、図示しないが、転写後の記録紙Sを除電して転写紙の裏面に付着したトナーを剥落させるようにすることも可能である。
【0038】
以上のような構成の画像形成装置を対象として、本実施例の特徴について説明すると次の通りである。
本実施例の特徴は、通常の画像形成を行う画像形成モードとは別に、感光体ドラムにトナー像を形成し、そのトナー像を記録紙Sには転写しないで中間転写ベルト5Aに転写した後、クリーニング装置11によりトナーを回収する付着物除去モードを通常の画像形成モード内で実行することにある。
【0039】
つまり、感光体ドラムや中間転写ベルト5Aには、転写されないで残ったままのトナーが存在している場合、上述した付着物除去モードにおいて形成されたトナー像に含まれるトナーの量によってトナーの量を増加させることになる。これにより、付着物として残っているトナーを絡めてクリーニング装置11により回収するようになっている。
【0040】
図3は、通常の画像形成サイクル、つまり、中間転写ベルト5Aの展張面に沿って並置されている感光体ドラムに対する画像形成タイミングを説明するためのタイミングチャートである。
【0041】
各感光体ドラム間での画像形成開始時期は、中間転写ベルト56Aの線速をA(mm/sec)とし、感光体ドラム間での配置間隔(スパン)をB(mm)とした場合、中間転写ベルト5Aの移動方向最上流に位置する感光体ドラムの次段に位置する2色目の画像形成用感光体ドラムへの画像開始時期は、B/A(sec)だけ遅れたタイミングとなる。
【0042】
同様に次段以降に連続する感光体ドラム、つまり、3色目の画像形成用感光体ドラム1Mでの画像形成開始タイミングは、1色目よりも(2×(B/A))(sec)だけ遅れ、さらに4色目の画像形成用感光体ドラム1Kでの画像形成開始タイミングは、1色目よりも(4×(B/A))(sec)遅れることになる。
【0043】
本実施例では、これら各色の画像形成用感光体ドラム1(便宜上、色を意味するアルファベットを除いて示す)への画像形成タイミングが遅れることに着目し、1色目よりも後で画像形成が開始される感光体ドラムを対象として通常の画像形成処理とは違って、記録紙Sへの転写を行わないでトナーの付着量を増やす目的でトナー像を形成し、そのトナー像をクリーニングにより回収する付着物除去モードを実行するようになっている。
【0044】
1色目の画像形成用感光体ドラム、つまり、中間転写ベルト5Aの移動方向最上流に位置する感光体ドラム1Yに対して、これの次段以降で最上流以外に位置する感光体ドラム1C,1M,1Kは、1色目の画像形成用感光体ドラムでの画像形成開始タイミングに対してその画像形成タイミングが遅れる分だけ通常の画像形成前に画像を形成できる領域に余裕ができる。このため、本実施例では、最上流以外に位置する感光体ドラム、つまり4色目の画像形成用感光体ドラム1Kを対象としてトナーの量を増加させるためのトナー像を形成するようになっている。
【0045】
図4は、この状態を示すタイミングチャートである。
この場合、つまり付着物除去モードを実行される際のトナー像はベタ画像が用いられる。このトナー像は、通常の画像形成時に行われる1次転写工程までは同じ工程であり、感光体ドラム1Kに形成されたベタ画像が中間転写ベルト5Aに転写される。
【0046】
ベタ画像は、感光体ドラム1Kから1次転写装置である転写ローラ6においてトナーと逆極性のバイアス印加が行われることにより中間転写ベルト5Aに転写されるが、その画像のサイズは、通常の画像形成が開始される前に中間転写ベルト5Aに対する1次転写が終了することができるサイズとされている。これにより、通常の画像形成が開始された際に、ベタ画像が通常の画像と干渉しないようにされている。
【0047】
付着物除去モードでは、中間転写ベルト5Aに転写されたベタ画像が2次転写されることがないので、クリーニング装置11の位置に達する。クリーニング装置11に対峙したベタ画像は、中間転写ベルト5A上に残存する転写残トナーを含めてその量が多くすることになり、転写残トナーと共にクリーニングブレードによって絡め取られることになる。特に、量を増やされた中間転写ベルト5A上のトナーは、クリーニング装置11でのクリーニングブレード11Aに突入すると、転写残トナーのみの場合と違って、ベタ画像と共に絡め取りやすくなり、転写残トナーのほとんどを掻き取られることができる。
【0048】
これにより、付着物除去モードを画像形成サイクル内にて実行できるので、通常の画像形成モードの開始を待機する必要がない。
【0049】
ところで、上記実施例においては、4色目の画像形成用感光体ドラム1Kを対象として付着物除去モードを実行するようにしているが、トナーの量を増やすという観点からは、単に一つの感光体ドラムを対象とすることに限らない。
【0050】
図5は、4色目の画像形成用感光体ドラム1Kに加えて、その前に形成される色、つまり3色目の画像形成用感光体ドラム1Mを含めた着物除去モードを実行する場合のタイミングチャートである。
【0051】
この場合において、3色目の画像形成用感光体ドラム1Mへのベタ画像の形成手順、特に、形成サイズは、3色目の画像形成用感光体ドラム1Mでの通常の画像形成開始タイミングが4色目の画像形成用感光体ドラム1Kでの画像形成開始タイミングよりも早いことを考慮して、小さくなるタイミングが設定されている。
【0052】
このような手順を用いることで、4色目の画像形成用感光体ドラム1Kを対象とした場合に比べて中間転写ベルト5Aに転写されるトナーの量が多くなり、転写残トナーとの絡め取り量も多くすることができる。
【0053】
いずれの場合にも、通常の画像形成サイクル内において中間転写ベルトに残存する転写残トナーの回収を行うようにすることで、通常の画像形成モードの開始を待機する必要がない。
【0054】
なお、付着物除去モード実行時には、2次転写工程が実行されないので、本実施例では、2次転写に用いられる転写ローラ7が、付着物除去モード実行時には中間転写ベルト5Aから離間されるようになっている。つまり、付着物除去モードは、例えば、中間転写ベルト5Aに対する1次転写順序において最終転写に相当する4色目の画像形成用感光体ドラム1Kを対象とした場合、4色目の画像形成が開始される前に実行されるので、中間転写ベルト5Aに転写されたベタ画像は、通常の画像が2次転写位置に達した場合のように、記録紙Sと対面することがない。このため、ベタ画像は直接2次転写装置である転写ローラ7に接触して汚染することになるので、このような不具合の発生を防ぐ必要がある。そこで、本実施例では、4色の重畳画像が2次転写位置に達するまでの間、転写ローラ7を中間転写ベルト5Aから離間させてベタ画像の付着による汚染を防止し、ベタ画像が2次転写位置を通過した後、転写ローラ7を、再度、中間転写ベルト5Aに当接さるようになっている。
【0055】
このような2次転写位置の転写ローラ7へのベタ画像の付着を防止する方法としては、上述したような接離可能な構成とするばかりではなく、転写ローラ7に対するバイアス印加を停止する方法、あるいはトナーの極性と逆極性のバイアスを印加する方法を用いることも可能である。
【0056】
上記実施例においては、転写体として、各感光体ドラムから画像を1次転写される中間転写ベルトを挙げたが、本発明では、これに限ることなく、ベルトに記録紙を吸着保持して移動させる搬送ベルトを対象とすることも可能である。搬送ベルトの場合には、記録紙を静電的に吸着したり、あるいは吸引力を用いて吸着させる方式があり、いずれの場合にも感光体ドラムからトナーが転移して付着する可能性があり、このベルトから付着物を除去する工程を適用する適用することが可能である。
【0057】
なお、感光体ドラムでの転写残トナーも中間転写ベルトを対象とした場合と同様に付着物除去モードによるトナーの増量によってクリーニング装置による絡め取り作用が有効となる。
【0058】
また、付着物除去モードは、画像形成サイクル内において実行されるものであるが、転写残トナーの量との関係により適宜実行するようにしても良い、この場合には、図示しないが制御部において中間転写ベルトでの汚染度を監視し、その汚染度が所定以上に達した場合に実行を開始するようにすることが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 感光体ドラム
5 転写装置
5A 中間転写ベルト
5B 駆動ローラ
6 1次転写ローラ
7 2次転写ローラ
11 クリーニング装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2003−5608号公報
【特許文献2】特開2007−171429号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色毎に画像形成が可能な感光体を備え、該感光体がこれに形成された画像を転写される転写体の移動方向に沿って複数並置されている構成を備え、転写後の転写体の表面に付着しているトナーをクリーニングにより回収する構成を備えた画像形成装置において、
前記複数の感光体に形成された画像の転写順序において前記転写体の移動方向最上流に位置する感光体への画像形成に連続して次段以降の感光体で実行される画像形成前に、トナー像を前記感光体に形成し、記録紙に転写することなく前記転写体に転写する付着物除去モードが実行され、該付着物除去モードにより形成されたトナー像をクリーニングすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記付着物除去モードで実行されるトナー像形成が、前記次段以降の感光体のうちで、前記転写体の移動方向最下流に位置する感光体を対象として実行されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記転写体が、前記感光体からの画像を順次転写する1次転写に用いられる中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記転写体が記録紙を搬送する搬送ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1または3に記載の画像形成装置において、前記中間転写ベルトを対象として前記付着物除去モードが実行される際には、前記1次転写後に行われる2次転写の際の転写バイスの印加が停止されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1または3に記載の画像形成装置において、前記中間転写ベルトを対象として前記付着物除去モードが実行される際には、前記1次転写後に行われる2次転写の際の転写バイスの極性を通常の2次転写時とは逆極性に設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1,3,5,6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記2次転写の実行部は前記付着物除去モード実行時に前記中間転写ベルトから離間した状態を維持されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−64741(P2011−64741A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212925(P2009−212925)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】