説明

画像形成装置

【課題】ジャムの発生要因が用紙の通過を検知するセンサの故障であることを容易に推定する。
【解決手段】記録紙を搬送する搬送経路上に離間して配設され、記録紙の通過を検知する通過検知センサ(センサ)と、通過が検知された記録紙の枚数(通過枚数)をセンサ毎に計測する通過枚数計測部と、連続して配設された2つのセンサで記録紙の通過がそれぞれ検知される時点の時間差が当該2つのセンサの組み合わせに応じて予め定められた時間以上になる場合に、当該2つのセンサを両端とする区間(ジャム発生区間)におけるジャムの発生を検出するジャム検出部と、ジャムの発生が検出された場合にジャム発生区間の上流側及び下流側のセンサに対応する通過枚数とそれぞれに予め定められた故障判断枚数とを比較して通過枚数が故障判断枚数より大きいと判断されたセンサに故障が生じていると推定するセンサ故障推定部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙詰まり(ジャム)の発生を検知する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙の搬送経路上に用紙の通過を検知するセンサを複数設け、各センサで用紙の通過が検知されるタイミングに基づいて、用紙搬送時の紙詰まり(ジャム)を検知する画像形成装置が知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、用紙の搬送経路における上流側のセンサ(センサ1)で用紙の通過が検知されてから下流側のセンサ(センサ2)で用紙の通過が検知されるまでの時間が指定時間を超えることにより、遅延ジャムを検知し、用紙がセンサ1に到達してから離れるまでの時間が指定時間を超えることにより、滞留ジャムを検知する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−161483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように、ジャムの発生要因(ジャム発生要因)として、用紙が滞留していたのか(滞留ジャム)、用紙の搬送に遅延が生じていた(遅延ジャム)のかを識別することはできても、用紙が搬送経路上の何に接触して停滞したのか、どの駆動系の故障停止により用紙が停滞したのか、どのセンサが故障して用紙の通過を検知できなかったのか等、ジャム発生要因を詳細まで特定することは困難であったため、ジャム発生要因を究明してジャムを解消するのに多大な時間を要していた。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、検知されたジャムの発生要因が用紙の通過を検知するセンサの故障であることを容易に推定することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、記録紙を搬送する搬送経路と、
前記記録紙に画像を印刷して当該記録紙を排出する印刷部と、
前記搬送経路上に離間して配設され、各配設箇所における前記記録紙の通過を検知する通過検知センサと、
前記通過検知センサによって通過が検知された前記記録紙の枚数である通過枚数を前記通過検知センサ毎に計測する通過枚数計測部と、
連続して配設された2つの前記通過検知センサによって前記記録紙の通過がそれぞれ検知される時点の時間差が当該2つの前記通過検知センサの組み合わせに応じて予め定められた時間以上になる場合に、前記搬送経路における当該2つの前記通過検知センサを両端とする区間でジャムが発生したものと判断して、当該ジャムの発生を検出するジャム検出部と、
前記ジャム検出部によってジャムの発生が検出された場合に、前記通過枚数計測部によって計測された前記通過枚数のうち、当該ジャムが発生した前記搬送経路における2つの前記通過検知センサを両端とする区間であるジャム発生区間の上流側及び下流側の前記通過検知センサに対応する前記通過枚数と、それぞれに対応する予め定められた故障判断枚数とを比較して、前記通過枚数が前記故障判断枚数よりも大きいと判断された前記通過検知センサに故障が生じているものと推定するセンサ故障推定部と、
を備える画像形成装置である。
【0008】
この発明では、ジャム検出部によってジャムの発生が検出された場合に、センサ故障推定部によって上記の推定がなされたときは、先ず、当該ジャムの発生したジャム発生区間の両端の通過検知センサの故障を調査することに注力することができ、ジャム発生要因の究明作業をスムーズに開始することができる。このため、ジャム発生要因を究明してジャムを解消するのにかかる時間を少なからず削減することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記ジャム発生区間の上流側の前記通過検知センサに対応する前記通過枚数に対応する予め定められた故障判断枚数は、前記印刷部によって印刷を開始してから前記ジャム検出部によって当該ジャムの発生が検出されるまでの間に前記ジャム発生区間に搬送された前記記録紙の枚数である。
【0010】
この発明では、ジャム検出部によってジャムの発生が検出された場合に、センサ故障推定部により、ジャム発生区間の上流側の通過検知センサにおける記録紙の通過枚数が印刷部によって印刷を開始してからジャム検出部によって当該ジャムの発生が検出されるまでの間に搬送された記録紙の枚数である通紙枚数よりも大きいときに、当該ジャム発生区間の上流側の通過検知センサに故障が生じているものと推定される。
【0011】
したがって、ジャム検出部によってジャムの発生が検出された場合に、センサ故障推定部によって上記の推定がなされたときは、先ず、当該ジャムの発生したジャム発生区間の上流側の通過検知センサの故障を調査することに注力することができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置であって、前記ジャム発生区間の下流側の前記通過検知センサに対応する前記通過枚数に対応する予め定められた故障判断枚数は、前記印刷部によって印刷を開始してから前記ジャム検出部によって当該ジャムの発生が検出されるまでの間に前記ジャム発生区間に搬送された前記記録紙の枚数よりも1少ない値である。
【0013】
この発明では、ジャム検出部によってジャムの発生が検出された場合に、センサ故障推定部により、ジャム発生区間の下流側の通過検知センサにおける記録紙の通過枚数が印刷部によって印刷を開始してからジャム検出部によって当該ジャムの発生が検出されるまでの間に搬送された記録紙の枚数である通紙枚数よりも1少ない値よりも大きいときに、当該ジャム発生区間の下流側の通過検知センサに故障が生じているものと推定される。
【0014】
したがって、ジャム検出部によってジャムの発生が検出された場合に、センサ故障推定部によって上記の推定がなされたときは、先ず、当該ジャムの発生したジャム発生区間の下流側の通過検知センサの故障を調査することに注力することができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れかに記載の画像形成装置であって、前記センサ故障推定部によって故障が生じているものと推定された回数である故障推定回数を前記通過検知センサ毎に計測する故障推定回数計測部と、
前記ジャム検出部によってジャムの発生が検出された場合に、前記ジャム発生区間の両端の前記通過検知センサに対応する前記故障推定回数のそれぞれが予め定められた条件を満たすか否かを判断し、前記予め定められた条件を満たす前記故障推定回数が存在すると判断すると、前記予め定められた条件を満たすものと判断した故障推定回数に対応する前記通過検知センサの故障を当該ジャムの発生要因として設定するジャム要因判断部と、
を更に備える。
【0016】
この発明では、ジャム要因判断部により、ジャム検出部によってジャムの発生が検出された場合に、故障推定回数計測部によって計測されたジャム発生区間の両端の通過検知センサの何れかに対応する故障推定回数が予め定められた条件を満たすと判断されると、当該予め定められた条件を満たすものと判断された故障推定回数に対応する通過検知センサの故障がジャムの発生要因として設定される。
【0017】
つまり、ジャム発生区間の両端の通過検知センサに故障が生じているというセンサ故障推定部による推定の正しさを、ジャム要因判断部により、当該推定がなされた回数に相当する故障推定回数が予め定められた条件を満たしているか否かという尺度で判断して、当該推定の正しさの確度を向上することができる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置であって、前記予め定められた条件は、前記故障推定回数が予め定められた故障閾値回数以上であるか、及び、前記印刷部によって印刷された総印刷枚数を前記故障推定回数で除算した結果である故障時通紙比率が予め定められた故障時通紙閾値比率以下であるか、のうちの少なくとも一つ以上である。
【0019】
この発明では、ジャム発生区間の両端の通過検知センサに故障が生じているというセンサ故障推定部による推定の正しさを、ジャム要因判断部により、当該推定がなされた回数である故障推定回数が予め定められた故障閾値回数以上であるか、印刷部によって印刷された総印刷枚数を当該故障推定回数で除算した結果である故障時通紙比率が予め定められた故障時通紙閾値比率以下であるか、のうちの少なくとも一つ以上を満たしているか否かという尺度で判断して、上記の推定の正しさの確度を向上することができる。
【0020】
したがって、例えば、出荷前の試験運転等による実験値に基づいて故障閾値回数及び故障時通紙閾値比率を予め定めることができ、画像形成装置に応じて適切な尺度で上記の推定の正しさの確度を向上することができる。
【0021】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の画像形成装置であって、動作状況を表示する表示部と、
前記ジャム発生区間と前記ジャム要因判断部により判断された前記ジャムの発生要因とを前記表示部に表示するジャム報知部と、
を更に備える。
【0022】
この発明では、ジャム報知部により、ジャム発生区間とジャムの発生要因とが表示部に表示されるため、ジャム発生区間とジャム発生要因とを目視して、迅速に把握することができる。このため、ジャム発生要因の究明作業に係る時間を少なからず削減することができる。
【0023】
また、請求項7に記載の発明は、請求項4から6の何れかに記載の画像形成装置であって、前記ジャム要因判断部は、前記ジャム検出部によってジャムの発生が検出された場合に、前記ジャム発生区間の両端の前記通過検知センサに対応する前記故障推定回数のそれぞれが予め定められた条件を満たすか否かを判断するときに、更に、前記ジャム発生区間の両端の前記通過検知センサとは異なる前記通過検知センサに対応する前記故障推定回数が前記予め定められた条件を満たすか否かも加えて判断し、前記ジャム発生区間の両端の前記通過検知センサ及び前記異なる前記通過検知センサに対応する前記故障推定回数のうち、前記予め定められた条件を満たすものと判断した前記故障推定回数の数が予め定められた判定閾値以下であると判断したときに限り、前記通過検知センサの故障を当該ジャムの発生要因とする設定を行う。
【0024】
少数の通過検知センサのみが故障していると推定される場合における当該推定の正しさの確度は、多数の通過検知センサが故障していると推定される場合に比して高いものと考えられる。そこで、この発明では、ジャム要因判断部により、予め定められた条件を満たす程度に確度高く故障しているものと推定される通過検知センサの数が予め定められた判定閾値の数以下である場合に限り、ジャム発生区間の両端の何れかの通過検知センサの故障をジャム発生要因とする設定が行われるため、ジャムの発生要因がジャム発生区間の両端の通過検知センサの故障であることの正しさが向上されるようになる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、検知されたジャムの発生要因が用紙の通過を検知するセンサの故障であることを容易に推定することができる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタの概略構成を示す模式図。
【図2】画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタの概略構成を示すブロック図。
【図3】通過枚数計測部により計測される通過検知センサに対応する通過枚数の一例を示す説明図。
【図4】画像形成装置における印刷処理の動作の一例を示す第1のフローチャート。
【図5】画像形成装置における印刷処理の動作の一例を示す第2のフローチャート。
【図6】センサ故障推定部の動作の一例を示すフローチャート。
【図7】故障推定回数計測部、ジャム要因判断部及びジャム報知部の動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施の形態による画像形成装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタの概略構成を示す模式図である。尚、本実施の形態では、画像形成装置の一例としてプリンタ装置に適用した場合について説明するが、例えば複写機、ファクシミリ装置、スキャナ装置、これらの機能を兼ね備えた複合機等に対しても適用可能である。
【0028】
図1に示すように、画像形成装置1は、タンデム型のカラープリンタを構成するものであり、記録紙11を収納する給紙部10と、電子写真プロセスにより記録紙11上に所定のトナー像を形成する4つの画像形成部30C,30M,30Y,30Kと、このトナー像を記録紙11上に定着させる定着部40と、給紙部10から画像形成部30Cへ記録紙11を搬送する用紙搬送部20と、記録紙11を排出する排出部50とを備えている。
【0029】
給紙部10は、給紙カセット13内に積層載置された記録紙11の束をフィードローラ21の回転動作によって1枚ずつ給紙カセット13の出口側(図1の右側)に送り出し、用紙搬送部20に給紙するようになっている。用紙搬送部20は、給紙部10から給紙された記録紙11を画像形成部30C,30M,30Y,30Kに向けて搬送する。
【0030】
用紙搬送部20は、給紙カセット13に積載された記録紙11を1枚ずつ取り出して用紙搬送路へ送り出すために給紙カセット13の上部に配設されたフィードローラ21と、フィードローラ21によって取り出された記録紙11を搬送するために用紙搬送路に設けられた搬送ローラ対22と、搬送ローラ対22よりもさらに下流側に設けられたレジストローラ対26とを備える。これらのローラが用紙をニップした状態で回転することによって、記録紙11が用紙搬送ベルト38及び画像形成部30Cまで順次搬送される。
【0031】
また、搬送ローラ対22の下流側であり、レジストローラ対26の上流側には、重送給紙検知センサ23が配設されており、重送給紙検知センサ23よりもさらに下流側であり、レジストローラ対26の上流側には、2つの斜行給紙検知センサ24a,24bが記録紙搬送方向に直行する同軸線上にそれぞれ配設され、斜行給紙検知センサ24a,24bよりもさらに下流側であり、レジストローラ対26の上流側付近には、通過検知センサ61が配設されている。
【0032】
重送給紙検知センサ23は、例えば光透過型センサで構成され、フィードローラ21によって取り出される記録紙11の先端が通過するのを検知すると共に、後端が通過するのを検知する。ここで、記録紙11の重送給紙について説明する。記録紙11が給紙カセット13からフィードローラ21によって取り出される際、複数の記録紙11が重なって給紙される場合がある。フィードローラ21から記録紙11が正常に給紙された場合、記録紙11の先端が検知されてから後端が検知されるまでの時間は予め定められている所定の時間となる。
【0033】
一方、フィードローラ21から複数の記録紙11が重なって給紙された場合、記録紙11の先端が検知されてから後端が検知されるまでの時間は予め定められている所定の時間よりも長くなる。したがって、重送給紙検知センサ23が記録紙11の先端を検知してから後端を検知するまでの時間が、予め定められている所定の時間よりも長い場合、複数の記録紙11が重なって給紙されていると判断することができる。
【0034】
斜行給紙検知センサ24a,24bは、例えば光透過型センサで構成され、フィードローラ21によって取り出された記録紙11の先端が通過するのを検知する。ここで、記録紙11の斜行について説明する。記録紙11が給紙カセット13からフィードローラ21によって取り出される際、記録紙11が搬送方向に対して斜行する場合がある。フィードローラ21から記録紙11が正常に給紙された場合、記録紙11の先端部分は、斜行給紙検知センサ24aと斜行給紙検知センサ24bとを同時に通過するため、斜行給紙検知センサ24aと斜行給紙検知センサ24bとは、記録紙11の先端部分を同時に検知する。
【0035】
一方、フィードローラ21から記録紙11が斜行して給紙された場合、記録紙11の先端部分は、一方の斜行給紙検知センサ24aを通過した後、他方の斜行給紙検知センサ24bを通過するため、斜行給紙検知センサ24aよりも斜行給紙検知センサ24bの方が、記録紙11の先端部分を遅れて検知する。したがって、斜行給紙検知センサ24aが記録紙11の先端を検知してから斜行給紙検知センサ24bが記録紙11の先端を検知するまでに時間差が生じた場合、記録紙11が斜行していると判断することができる。
【0036】
通過検知センサ61は、例えば光透過型センサで構成され、記録紙11の先端が通過するのを検知することにより、記録紙11がレジストローラ対26に到達したことを検知する。
【0037】
上記4つの画像形成部30C,30M,30Y,30Kは、それぞれシアン,マゼンダ,イエロー,ブラックのトナーに応じて設けられており、上流側からシアントナーを有する第1画像形成部30C、マゼンダトナーを有する第2画像形成部30M、イエロートナーを有する第3画像形成部30Y、ブラックトナーを有する第4画像形成部30Kが直列に配置されている。
【0038】
これら第1〜4画像形成部30C,30M,30Y,30Kは、それぞれ円筒状の感光体ドラム31C,31M,31Y,31Kと、帯電器32C,32M,32Y,32Kと、露光器33C,33M,33Y,33Kと、現像器34C,34M,34Y,34Kと、転写ローラ35C,35M,35Y,35Kと、クリーナー36C,36M,36Y,36Kとから構成されている。
【0039】
またこれら第1〜4の感光体ドラム31C,31M,31Y,31Kと第1〜4の転写ローラ35C,35M,35Y,35Kとにより、一繋がりの用紙搬送ベルト38が狭持されている。
【0040】
用紙搬送ベルト38にはベルト駆動ローラ72及びベルト従動ローラ71が取り付けられており、このベルト駆動ローラ72及びベルト従動ローラ71が回転することによって用紙搬送ベルト38が走行し、用紙搬送ベルト38上の記録紙11を上流側の第1画像形成部30Cから下流側の第4画像形成部30Kに向かって搬送する。尚、上記現像器34C,34M,34Y,34Kには、それぞれのトナータンク39C,39M,39Y,39Kからトナーが適宜供給される。
【0041】
上記第4画像形成部30Kの下流側には定着部40が配置される。定着部40は、画像形成部30C,30M,30Y,30Kにおいてトナー像が転写された記録紙11を加熱及び加圧し、記録紙11上にトナー像を定着させる。
【0042】
定着部40には、通過検知センサ62が配設されている。通過検知センサ62は、例えば光透過型センサで構成され、記録紙11の先端が通過するのを検知することにより、記録紙11が定着部40に到達したことを検知する。そして、定着部40を通過した記録紙11は、用紙搬送部15に送られ、排出部50へ排出される。つまり、用紙搬送部20、用紙搬送ベルト38、定着部40、及び用紙搬送部15によって、記録紙11を搬送するための搬送経路が構成されている。
【0043】
用紙搬送部15には、通過検知センサ63,64が配設されている。通過検知センサ63は、例えば光透過型センサで構成され、記録紙11の先端が通過するのを検知することにより、記録紙11が用紙搬送部15に備えられた搬送ローラ16に到達したことを検知する。通過検知センサ64は、例えば光透過型センサで構成され、記録紙11の先端が通過するのを検知することにより、記録紙11が排出部50に到達したことを検知する。
【0044】
また、図1には図示していないが、タンデム型カラープリンタには後述する制御部が備えられており、この制御部からの指令によって上記の各部が制御されている。
【0045】
ここで、上記のように構成された画像形成装置1の基本的な動作について説明する。先ず、I/F(インタフェース)回路を介してPC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器(上位装置)から画像データが入力され、画像メモリに記憶される。この画像メモリに記憶されている画像データは、画像形成部30C,30M,30Y,30Kに送信される。
【0046】
画像形成部30C,30M,30Y,30Kの各感光体ドラム31C,31M,31Y,31Kでは、帯電器32C,32M,32Y,32Kにより図1で時計方向に回転する感光体ドラム31C,31M,31Y,31Kが一様に帯電され、送信されてきた画像データ等に基づいて露光器33C,33M,33Y,33K(レーザー操作ユニット等)からのレーザービームにより感光体ドラム31C,31M,31Y,31K上に静電潜像が形成され、現像器34C,34M,34Y,34Kにより静電潜像に現像剤(トナー)が付着されてトナー像が形成される。
【0047】
一方、給紙部10から記録紙11が繰り出され、用紙搬送部20により画像形成部30C,30M,30Y,30K側に搬送される。そして、各画像形成部30Y,30M,30C,30Kで記録紙11にトナー像が順次転写される。
【0048】
このトナー像の転写された記録紙11は、定着部40に搬送され、加熱ローラにより加熱されつつ加熱ローラと加圧ローラとで挟持されて下流側に搬送され、用紙搬送部15により排出部50に排出される。トナー像を記録紙11に転写した各感光体ドラム31C,31M,31Y,31Kは、クリーナー36C,36M,36Y,36Kで表面に残留したトナーが除去される。
【0049】
図2は、本発明に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタの概略構成を示すブロック図である。なお、図2において、図1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0050】
画像形成装置1は、通過検知センサ61〜64と、重送給紙検知センサ23と、斜行給紙検知センサ24a,24bと、画像処理を行う画像処理部100と、装置全体を制御する制御部110と、画像形成装置1の動作状況等を表示する本発明に係る表示部としての表示パネル120と、フィードローラ21を駆動する給紙モータ130と、給紙モータ130の駆動力をフィードローラ21及び搬送ローラ対22に伝達する給紙クラッチ140と、ユーザによる電源のオン/オフを受け付ける電源スイッチ150を備えて構成される。
【0051】
画像処理部100は、CPU、ROM、RAM、I/F(インタフェース)回路、HDD・I/F(ハードディスクドライブ・インタフェース)回路、HDD(ハードディスクドライブ)及びASIC(特定用途向け集積回路)等を備えて構成され、PC200によって送信された画像データを受信すると、画像データに対して画像処理を実行し、画像処理された画像データをページ単位で、画像処理部100に設けられたHDDに記憶する。また、画像処理部100は、当該画像処理された画像データを制御部110へ送信する。
【0052】
制御部110は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、入力ポート、I/F回路及び出力ポートを備えて構成される。
【0053】
CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することによって、制御部110を制御する。ROMは、CPUの動作を制御するための制御プログラム等を予め記憶する。RAMは、CPUの作業領域として割り当てられ、CPUが処理するデータを一時的に記憶する。不揮発性メモリは、例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)で構成され、画像データを印刷するために必要な印刷条件及び不具合要因等を記憶する。
【0054】
入力ポートは、重送給紙検知センサ23、斜行給紙検知センサ24a,24b及び通過検知センサ61〜64等に接続されており、各センサからの検知信号が入力される。I/F回路は、画像処理部100に接続されており、画像処理部100との通信を制御する。出力ポートは、給紙モータ130及び給紙クラッチ140等の駆動部に接続されており、各部へ制御信号を出力する。
【0055】
また、制御部110は、ROMに記憶されている制御プログラムがCPUにより実行されることによって、通過枚数計測部111と、ジャム検出部112と、センサ故障推定部113として機能する。尚、通過枚数計測部111、ジャム検出部112、センサ故障推定部113の詳細については後述する。また、制御部110は、図2の点線部に示すように、故障推定回数計測部114、ジャム要因判断部115及びジャム報知部116として拡張して機能するが、当該拡張して機能する態様については、本実施形態とは別の実施形態として後述する。
【0056】
制御部110のCPUは、画像処理部100によって送信された画像データを受信すると、給紙モータ130を駆動させると共に、印刷条件に基づいて選択された給紙クラッチ140を駆動させて印刷を開始する。尚、印刷条件は、画像データとともにPC200によって送信される。
【0057】
給紙クラッチ140によって給紙された用紙は、排出部50に排出されるまで、用紙搬送部20、定着部40、及び用紙搬送部15に設けられた通過検知センサ61〜64によってその搬送が監視される。
【0058】
つまり、制御部110、給紙部10、用紙搬送部20、画像形成部30C,30M,30Y,30K、定着部40、及び用紙搬送部15により、本発明に係る印刷部の一例が構成されている。
【0059】
通過枚数計測部111は、入力ポートを介して通過検知センサ61〜64から制御部110に入力された、記録紙11が各通過検知センサの配設される位置にまで到達したことを示す検知信号に基づいて、当該検知信号の出力元の通過検知センサと当該通過検知センサから検知信号が入力された累積回数とを組み合わせてRAMに記憶する。つまり、通過枚数計測部111は、通過検知センサ61〜64で通過が検知された記録紙11の枚数である通過枚数(上記の累積回数に相当)を通過検知センサ毎に計測してRAMに記憶する。
【0060】
ジャム検出部112は、連続して配設された2つの通過検知センサによって記録紙11の通過がそれぞれ検知される時点の時間差が当該2つの通過検知センサの組み合わせに応じて予め定められた時間以上になる場合に、記録紙11の搬送経路における当該2つの通過検知センサを両端とする区間でジャムが発生したものと判断して、当該ジャムの発生を検出する。
【0061】
具体的には、通過検知センサ61(図1)で記録紙11の先端が通過するのが検知された時刻をt1とし、その後、通過検知センサ62(図1)により、記録紙11の先端が通過するのが検知された時刻をt2とすると、ジャム検出部112は、時刻t1と時刻t2の時間差が、ROMや、不揮発性メモリに記憶された、通過検知センサ61と通過検知センサ62の組み合わせに応じて予め定められた時間以上になる場合に、通過検知センサ61と通過検知センサ62とを両端とする区間でジャムが発生したものと判断して、当該ジャムの発生を検出する。
【0062】
尚、通過検知センサ61と通過検知センサ62の組み合わせに応じて予め定められた時間とは、記録紙11が通過検知センサ61を通過した後、第1〜4画像形成部30C,30M,30Y,30Kにおいてトナー像が順次転写され、定着部40に搬送されて通過検知センサ62に到達するまでに要する時間として、製品出荷前の試験運転等の実験値等に基づいて予め算出され、ROMや、不揮発性メモリに記憶されている。
【0063】
また、これと同様にして、記録紙11が用紙搬送部15における通過検知センサ62の配設位置から通過検知センサ63の配設位置に搬送されるのに要する時間が、通過検知センサ62と通過検知センサ63の組み合わせに対応する予め定められた時間として、製品出荷前の試験運転等の実験値等に基づいて予め算出され、ROMや、不揮発性メモリに記憶されている。また、記録紙11が用紙搬送部15における通過検知センサ63の配設位置から通過検知センサ64の配設位置に搬送されるのに要する時間が、通過検知センサ63と通過検知センサ64の組み合わせに対応する予め定められた時間として、製品出荷前の試験運転等の実験値等に基づいて予め算出され、ROMや、不揮発性メモリに記憶されている。
【0064】
そして、上記と同様にして、通過検知センサ63により、記録紙11の先端が通過するのが検知された時刻を時刻t3とすると、ジャム検出部112は、時刻t2と時刻t3の時間差が、ROMや、不揮発性メモリに記憶された、通過検知センサ62と通過検知センサ63の組み合わせに応じて予め定められた時間以上になる場合に、通過検知センサ62と通過検知センサ63とを両端とする区間でジャムが発生したものと判断し、当該ジャムの発生を検出する。
【0065】
また、通過検知センサ64により、記録紙11の先端が通過するのが検知された時刻を時刻t4とすると、ジャム検出部112は、時刻t3と時刻t4の時間差が、ROMや、不揮発性メモリに記憶された、通過検知センサ63と通過検知センサ64の組み合わせに応じて予め定められた時間以上になる場合に、通過検知センサ63と通過検知センサ64とを両端とする区間でジャムが発生したものと判断し、当該ジャムの発生を検出する。
【0066】
センサ故障推定部113は、上記のように、ジャム検出部112によって、記録紙11の搬送経路上において2つの連続する通過検知センサ間でのジャムの発生が検出された場合に、通過枚数計測部111によって通過検知センサ61〜64毎にRAMに記憶された通過枚数のうち、当該ジャムが発生した搬送経路における2つの通過検知センサを両端とする区間であるジャム発生区間の上流側及び下流側の通過検知センサに対応する通過枚数と、それぞれに対応する予め定められた故障判断枚数とを比較して、通過枚数が故障判断枚数よりも大きいと判断された通過検知センサに故障が生じているものと推定する。
【0067】
具体的には、例えば、ジャム発生区間の上流側の通過検知センサに対応する通過枚数に対応する予め定められた故障判断枚数として、印刷を開始してからジャム検出部112によって当該ジャムの発生が検出されるまでの間にジャム発生区間に搬送された記録紙11の枚数である通紙枚数が設定される。この場合、センサ故障推定部113は、ジャム検出部112によって、記録紙11の搬送経路上において2つの連続する通過検知センサ間でのジャムの発生が検出された場合に、通過枚数計測部111によって通過検知センサ61〜64毎にRAMに記憶された通過枚数のうち、ジャム発生区間の上流側の通過検知センサに対応する通過枚数が通紙枚数よりも大きいときに、当該上流側の通過検知センサに故障が生じているものと推定する。
【0068】
また、例えば、ジャム発生区間の下流側の通過検知センサに対応する通過枚数に対応する予め定められた故障判断枚数として、印刷を開始してからジャム検出部112によって当該ジャムの発生が検出されるまでの間にジャム発生区間に搬送された記録紙11の枚数である通紙枚数よりも1少ない値が設定される。この場合、センサ故障推定部113は、ジャム検出部112によって、記録紙11の搬送経路上において2つの連続する通過検知センサ間でのジャムの発生が検出された場合に、通過枚数計測部111によって通過検知センサ61〜64毎にRAMに記憶された通過枚数のうち、ジャム発生区間の下流側の通過検知センサに対応する通過枚数が通紙枚数よりも1少ない値よりも大きいときに、当該下流側の通過検知センサに故障が生じているものと推定する。
【0069】
以下では、図3(a)に示すように、画像処理部100によって、PC200から受信した画像データに画像処理が行われ、画像処理が行われた画像データが制御部110へ送信され、当該画像データに基づいて、画像形成部30、定着部40及び排出部50によってn枚の印刷処理が開始された場合において、i枚目の印刷処理中に、ジャム検出部112によって通過検知センサ62と通過検知センサ63とを両端とする区間をジャム発生区間とするジャムの発生が検出された場合を例にして、センサ故障推定部113について詳述する。
【0070】
通過検知センサ61〜64に何ら故障が発生しておらず、通過検知センサ61〜64が正常に記録紙11の通過を検知して検知信号を制御部110に出力可能な場合、通過枚数計測部111は、図3(b)に示すように、ジャム発生区間よりも上流側の通過検知センサ61及びジャム発生区間の両端のうち上流側の通過検知センサ62と、当該2つの通過検知センサ61,62を通過した記録紙11の枚数である通過枚数iをそれぞれ組み合わせてRAMに記憶している。
【0071】
一方、ジャムの発生によって記録紙11がジャム発生区間よりも下流側に搬送されなくなると、記録紙11がジャム発生区間よりも下流側の通過検知センサ64及びジャム発生区間の両端のうち下流側の通過検知センサ63を通過する回数は、記録紙11がジャム発生区間よりも上流側の通過検知センサ61及びジャム発生区間の両端のうち上流側の通過検知センサ62を通過する回数よりも1小さくなる。
【0072】
このため、通過枚数計測部111は、図3(b)に示すように、ジャム発生区間よりも下流側の通過検知センサ64及びジャム発生区間の両端のうち下流側の通過検知センサ63と、当該2つの通過検知センサ63,64を記録紙11が通過した枚数である通過枚数i−1をそれぞれ組み合わせてRAMに記憶している。
【0073】
しかし、通過検知センサ62及び通過検知センサ63に故障が発生し、当該通過検知センサから断続的に光を点灯して照射する等して、通過検知センサ62,63が記録紙11の通過を検知した検知信号を制御部110に重複して出力した場合は、通過枚数計測部111は、i枚目の印刷処理中であっても、例えば、図3(c)に示すように、通過検知センサ62と通過検知センサ62を記録紙11が通過した枚数である通過枚数i+1との組み合わせ、通過検知センサ63と通過検知センサ63を記録紙11が通過した枚数である通過枚数iとの組み合わせをRAMに記憶することがある。
【0074】
このように、通過検知センサ62及び通過検知センサ63に故障が発生して、通過検知センサ62及び通過検知センサ63における記録紙11の通過が重複して検知されるような場合に、ジャム検出部112によって、通過検知センサ62と通過検知センサ63とを両端とするジャム発生区間でジャムの発生が検出されると、センサ故障推定部113は、通過枚数計測部111によってRAMに記憶された通過検知センサ62及び通過検知センサ63に対応する通過枚数を読み出す。
【0075】
そして、センサ故障推定部113は、ジャム発生区間の両端のうち上流側の通過検知センサ62に対応する当該読み出した通過枚数i+1が、印刷を開始してからジャム検出部112によって当該ジャムの発生が検出されるまでの間にジャム発生区間に搬送された記録紙11の枚数である通紙枚数iよりも大きいと判断して、通過検知センサ62に故障が生じているものと推定する。
【0076】
また、センサ故障推定部113は、ジャム発生区間の両端のうち下流側の通過検知センサ63に対応する当該読み出した通過枚数iが、印刷を開始してからジャム検出部112によって当該ジャムの発生が検出されるまでの間にジャム発生区間に搬送された記録紙11の枚数である通紙枚数iよりも1小さい値であるi−1よりも大きいと判断して、通過検知センサ63に故障が生じているものと推定する。
【0077】
次に、本実施の形態における画像形成装置における印刷処理の動作について説明する。図4及び図5は、本実施の形態における画像形成装置における印刷処理の動作について説明するためのフローチャートである。
【0078】
図4に示すように、先ず、電源スイッチ150がユーザにより押下されると、電源が投入される(S1)。
【0079】
続いて、画像処理部100によりPC200等から画像データが受信され、当該画像データに画像処理が行われた画像データが制御部110に入力されると(S2;YES)、制御部110は、給紙モータ130を駆動すると共に、印刷条件に含まれる給紙口情報に対応する給紙クラッチをオンにする。これにより、フィードローラ21に駆動力が伝達され、給紙が開始される(S3)。そして、制御部110は、記録紙11の給紙枚数をRAMに設定する、或いは、既にRAMに給紙枚数が設定されている場合には当該給紙枚数を累積加算して更新する。ここに、制御部110、給紙部10、用紙搬送部20、画像形成部30C,30M,30Y,30K、定着部40、及び用紙搬送部15による印刷(印刷処理)が開始される。
【0080】
次に、制御部110は、通過検知センサ61によって出力される検知信号が入力されたか否かを判断する(S4)。即ち、通過検知センサ61は、給紙された記録紙11がレジストローラ対26に到達した場合、制御部110へ検知信号を出力する。
【0081】
ここで、通過検知センサ61による検知信号が予め定められた時間経過しても検出されない場合(S4;NO)、制御部110は、フィードローラ21により記録紙11が給紙されない給紙ミス(ジャム)が発生したと判断し、給紙モータ130をオフして(S18)、フィードローラ21をジャム発生区間として、また、給紙ミスをジャム発生要因としてRAMに記憶し、センサ故障推定処理を実行する(S19)。尚、ステップS19におけるセンサ故障推定処理の詳細については、図6を用いて後述する。そして、ステップS19におけるセンサ故障推定処理が終了すると、制御部110は印刷処理を終了する。
【0082】
一方、通過検知センサ61による検知信号が検出された場合(S4;YES)、通過枚数計測部111は、通過検知センサ61から検知信号が入力された累積回数、つまり、通過検知センサ61を記録紙11が通過した枚数である通過枚数と、通過検知センサ61とを組み合わせてRAMに記憶する(S5)。そして、制御部110は、正常に記録紙11が給紙されたと見なして、給紙クラッチ140をオフする(S6)。
【0083】
次に、制御部110は、記録紙11への画像書き出し位置を調整するための2次給紙タイミングに到達したか否かを判断する(S7)。尚、2次給紙とは、レジストローラ対26で一旦停止した記録紙11が、画像形成部30C,30M,30Y,30Kへ給紙されることである。ここで、2次給紙タイミングに到達していないと判断した場合(S7;NO)、2次給紙タイミングに到達するまで待機状態となる。
【0084】
一方、2次給紙タイミングに到達したと判断した場合(S7;YES)、制御部110は、レジストクラッチをオンにし、給紙モータ130の駆動力をレジストローラ対26に伝達させる(S8)。これにより、レジストローラ対26が回転し、2次給紙が開始する。
【0085】
次に、図5に示すように、制御部110は、重送給紙又は斜行給紙が発生したか否かを判断する(S9)。即ち、制御部110は、重送給紙検知センサ23によって記録紙11の先端が検知されてから後端が検知されるまでの時間を計時し、この時間が予め記憶されている規定時間と同じであるかを判断する。
【0086】
重送給紙検知センサ23を記録紙11が通過する時間が規定時間と同じであると判断した場合、制御部110は、記録紙11が正常に給紙されたと判断する。一方、重送給紙検知センサ23を記録紙11が通過する時間が規定時間と異なると判断した場合、制御部110は、複数の記録紙11が重なって給紙されたと判断する。
【0087】
また、制御部110は、一方の斜行給紙検知センサ24aによって記録紙11の先端が検知された時間と、他方の斜行給紙検知センサ24bによって記録紙11の先端が検知された時間とを比較し、2つの検知時間が同じ時間又は所定の範囲内であれば、記録紙11が正常に給紙されたと判断する。一方、一方の斜行給紙検知センサ24aの検知時間と他方の斜行給紙検知センサ24bの検知時間とが同じ時間又は所定の範囲内でなければ、制御部110は、記録紙11が斜行して給紙されたと判断する。
【0088】
重送給紙又は斜行給紙が発生していたと判断した場合(S9;YES)、制御部110は、給紙モータ130をオフして(S18)、フィードローラ21をジャム発生区間として、また、重送給紙又は斜行給紙をジャム発生要因としてRAMに記憶し、センサ故障推定処理(S19)を実行する。そして、ステップS19におけるセンサ故障推定処理が終了すると、制御部110は印刷処理を終了する。
【0089】
一方、重送給紙又は斜行給紙が発生していないと判断した場合(S9;NO)、又は、ステップS10の処理を実行した後、制御部110は、記録紙11への画像形成処理を開始する(S10)。
【0090】
次に、ジャム検出部112は、通過検知センサ62によって出力される検知信号が入力されたか否かを判断する(S11)。即ち、通過検知センサ62は、トナー画像が転写された記録紙11が定着部40に到達した場合、制御部110へ検知信号を出力する。
【0091】
ここで、ジャム検出部112は、通過検知センサ62による検知信号が通過検知センサ61と通過検知センサ62の組み合わせに応じて予め定められた時間経過しても検出されない場合(S11;NO)、通過検知センサ61と通過検知センサ62とを両端とする区間でジャムが発生したものと判断し、給紙モータ130をオフして(S18)、通過検知センサ61と通過検知センサ62とを両端とする区間をジャム発生区間としてRAMに記憶し、また、通過ミスをジャム発生要因としてRAMに記憶し、ステップS19のセンサ故障推定処理へ移行する。そして、ステップS19におけるセンサ故障推定処理が終了すると、制御部110は印刷処理を終了する。
【0092】
一方、通過検知センサ62による検知信号が検出された場合(S11;YES)、制御部110は、正常に記録紙11が給紙されたと見なし、画像形成処理を終了する(S12)。
【0093】
次に、ジャム検出部112は、通過検知センサ63によって出力される検知信号が入力されたか否かを判断する(S13)。即ち、通過検知センサ63は、記録紙11が用紙搬送部15に備えられた搬送ローラ16に到達した場合、制御部110へ検知信号を出力する。
【0094】
ここで、ジャム検出部112は、通過検知センサ63による検知信号が、通過検知センサ62と通過検知センサ63の組み合わせに応じて予め定められた時間経過しても検出されない場合(S13;NO)、通過検知センサ62と通過検知センサ63とを両端とする区間でジャムが発生したものと判断し、給紙モータ130をオフして(S18)、通過検知センサ62と通過検知センサ63とを両端とする区間をジャム発生区間としてRAMに記憶し、また、通過ミスをジャム発生要因としてRAMに記憶し、ステップS19のセンサ故障推定処理へ移行する。そして、ステップS19におけるセンサ故障推定処理が終了すると、制御部110は印刷処理を終了する。
【0095】
一方、通過検知センサ63による検知信号が検出された場合(S13;YES)、ジャム検出部112は、通過検知センサ64によって出力される検知信号が入力されたか否かを判断する(S14)。即ち、通過検知センサ64は、記録紙11が排出部50の排出口付近に到達した場合、制御部110へ検知信号を出力する。
【0096】
ここで、ジャム検出部112は、通過検知センサ63による検知信号が、通過検知センサ63と通過検知センサ64の組み合わせに応じて予め定められた時間経過しても検出されない場合(S14;NO)、通過検知センサ63と通過検知センサ64とを両端とする区間でジャムが発生したものと判断し、給紙モータ130をオフして(S18)、通過検知センサ63と通過検知センサ64とを両端とする区間をジャム発生区間としてRAMに記憶し、また、通過ミスをジャム発生要因としてRAMに記憶し、ステップS19のセンサ故障推定処理へ移行する。そして、ステップS19におけるセンサ故障推定処理が終了すると、制御部110は印刷処理を終了する。
【0097】
一方、通過検知センサ64による検知信号が検出された場合(S14;YES)、制御部110は、更に、記録紙11の長さに応じて予め定められた時間が経過すると、記録紙11の排出部50への排出が完了したものと判断する。ここで、制御部110は、記録紙11の排出が完了していないと判断した場合(S15;NO)、記録紙11の排出が完了するまで待機状態となる。
【0098】
尚、通過検知センサ64が、上記の構成に加えて、記録紙11の後端が通過するのを検知した場合に、当該記録紙11の後端の通過を検知したことを示す検知信号を制御部110へ出力するように構成し、これに合わせて、制御部110は、ステップS14における記録紙11が排出されたか否かの判断を、記録紙11の長さに応じて予め定められた時間が経過するか否かによって判断するのに代えて、当該検知信号が入力されるか否かにより判断するように構成してもよい。
【0099】
一方、制御部110は、記録紙11の排出が完了したと判断した場合(S15;YES)、総印刷枚数を1累積加算して不揮発性メモリに記憶し、画像処理部100から入力された画像データに基づいて、印刷処理が全枚数分完了しているか否かを判断する(S16)。
【0100】
ここで、制御部110は、印刷処理が全枚数分完了していないと判断した場合(S16;NO)、次の枚数目の印刷処理に対応する画像データを入力して、ステップS3の処理に戻る。
【0101】
一方、制御部110は、印刷処理が全枚数分完了したと判断すると(S16;YES)、給紙モータ130をオフし(S17)、印刷処理を終了する。
【0102】
次に、ステップS19のセンサ故障推定処理について、図6を用いて詳述する。制御部110は、センサ故障推定部113の機能としてのセンサ故障推定処理を開始すると、先ず、センサ故障推定部113は、RAMに記憶されたジャム発生要因が通過ミスを示すものであるか否かを判断する(S21)。
【0103】
ここで、センサ故障推定部113は、ジャム発生要因が通過ミスを示すものでないと判断すると(S21;NO)、センサ故障推定処理を終了する。つまり、この場合、RAMには、ステップS4の処理によって、ジャム発生区間としてフィードローラ21、ジャム発生要因として給紙ミスが記憶されているか、ステップS9の処理によって、ジャム発生区間としてフィードローラ21、ジャム発生要因として重送給紙又は斜行給紙が記憶されていることとなる。
【0104】
一方、センサ故障推定部113は、ジャム発生要因が通過ミスを示すものであると判断すると(S21;YES)、ステップS5(図5)において通過枚数計測部111によってRAMに記憶された、ジャム発生区間の両端のうち上流側の通過検知センサに対応する通過枚数を読み出す。そして、センサ故障推定部113は、当該読み出した通過枚数が、ステップS3において記録紙11の給紙を開始してからジャムが発生するまでの間に、記録紙11を給紙した枚数を示すRAMに記憶された給紙枚数、つまり、印刷処理を開始してからジャム発生区間にまで給紙した枚数である通紙枚数よりも大きいか否かを判断する(S22)。
【0105】
ここで、センサ故障推定部113は、上流側の通過検知センサに対応する通過枚数が通紙枚数よりも大きいと判断すると(S22;YES)、RAMに記憶されたジャム発生要因を「上流側通過検知センサの故障と推定」に更新する(S23)。尚、「上流側通過検知センサの故障と推定」のうちの「上流側通過検知センサ」の部分には、通過検知センサ61〜64を識別する情報が設定される。
【0106】
一方、センサ故障推定部113は、上流側の通過検知センサに対応する通過枚数が通紙枚数よりも大きくないと判断すると(S22;NO)、或いは、ステップS23の処理が終了すると、ステップS5(図5)において通過枚数計測部111によってRAMに記憶された、ジャム発生区間の両端のうち下流側の通過検知センサに対応する通過枚数を読み出す。そして、センサ故障推定部113は、当該読み出した通過枚数が、ステップ22における通紙枚数よりも1少ない枚数よりも大きいか否かを判断する(S24)。
【0107】
ここで、センサ故障推定部113は、下流側の通過検知センサに対応する通過枚数が通紙枚数よりも1少ない枚数よりも大きいと判断すると(S24;YES)、RAMに記憶されたジャム発生要因を「下流側通過検知センサの故障と推定」に更新し(S25)、センサ故障推定処理を終了する。尚、「下流側通過検知センサの故障と推定」のうちの「下流側通過検知センサ」の部分には、通過検知センサ61〜64を識別する情報が設定される。
【0108】
一方、センサ故障推定部113は、下流側の通過検知センサに対応する通過枚数が通紙枚数よりも1少ない枚数よりも大きくないと判断すると(S24;NO)、RAMに記憶されたジャム発生要因を更新することなく、センサ故障推定処理を終了する。
【0109】
このように、ジャム検出部112によってジャムの発生が検出された場合に、センサ故障推定部113により、「上流側通過検知センサの故障と推定」及び「下流側通過検知センサの故障と推定」がジャム発生要因としてRAMに記憶されたときは、先ず、当該「上流側通過検知センサ」及び「下流側通過検知センサ」の部分に示される通過検知センサ61〜64を識別する情報に基づいて、該当する通過検知センサの故障を調査することに注力することができ、ジャム発生要因の究明作業をスムーズに開始することができる。このため、ジャム発生要因を究明してジャムを解消するのにかかる時間を少なからず削減することができる。
【0110】
尚、上記の実施形態に加えて、制御部110は、図2の点線部に示すように、故障推定回数計測部114、ジャム要因判断部115及びジャム報知部116として拡張して機能してもよい。
【0111】
故障推定回数計測部114は、センサ故障推定部113によって故障が生じているものと推定された回数、つまり、ジャム発生要因として「上流側通過検知センサの故障と推定」及び「下流側通過検知センサの故障と推定」がRAMに記憶された回数、である故障推定回数を、「上流側通過検知センサ」及び「下流側通過検知センサ」に示された通過検知センサ61〜64を識別する情報を利用して通過検知センサ毎に計測して、RAMに記憶する。
【0112】
ジャム要因判断部115は、ジャム検出部112によってジャムの発生が検出された場合に、故障推定回数計測部114によってRAMに記憶されている、ジャム発生区間の両端の通過検知センサに対応する上記の故障推定回数のそれぞれが予め定められた条件を満たすか否かを判断する。そして、予め定められた条件を満たす故障推定回数が存在すると判断すると、当該予め定められた条件を満たすものと判断した故障推定回数に対応する通過検知センサの故障をジャム発生要因として設定する。
【0113】
ジャム報知部116は、ジャム発生区間とジャム要因判断部115により判断されたジャム発生要因とを表示パネル120に表示する。尚、ジャム報知部116は、更に、表示パネル120に表示した内容を不揮発性メモリに記憶するように構成してもよい。この場合、ジャム発生要因の究明作業中に電源が遮断された場合であっても、不揮発性メモリに記憶された内容は記憶されたまま維持されるので、電源を再度投入してジャム発生要因の究明作業を効率よく再開することができる。
【0114】
次に、本実施の形態における画像形成装置の動作において、拡張した機能である故障推定回数計測部114、ジャム要因判断部115及びジャム報知部116の動作について、図7を用いて詳述する。
【0115】
制御部110は、ステップS19(図5及び図6)のセンサ故障推定処理を終了直後に、ジャム要因報知処理を開始する。図7に示すように、制御部110は、ジャム要因報知処理を開始すると、先ず、故障推定回数計測部114の機能として、「上流側通過検知センサの故障と推定」或いは「下流側通過検知センサの故障と推定」がジャム発生要因としてRAMに記憶されているかを判断する(S31)。
【0116】
ここで、故障推定回数計測部114は、「上流側通過検知センサの故障と推定」或いは「下流側通過検知センサの故障と推定」が、ジャム発生要因としてRAMに記憶されていないと判断すると(S31;NO)、ジャム報知処理(S35)を実行する。尚、ステップS35におけるジャム報知処理については、後述する。
【0117】
一方、故障推定回数計測部114は、「上流側通過検知センサの故障と推定」或いは「下流側通過検知センサの故障と推定」が、ジャム発生要因としてRAMに記憶されていると判断すると(S31;YES)、RAMに記憶されたジャム発生区間の両端のうち、ジャム発生要因として記憶された「上流側通過検知センサ」或いは「下流側通過検知センサ」に対応する通過検知センサに対応するRAMに記憶された故障推定回数を1累積加算する(S32)。
【0118】
続いて、ステップS32の処理が終了すると、ジャム要因判断部115は、RAMに記憶されているジャム発生区間の両端の通過検知センサに対応するRAMに記憶されている故障推定回数のそれぞれが予め定められた条件を満たすか否かを判断する(S33)。
【0119】
尚、予め定められた条件とは、例えば、故障推定回数が予め定められた故障閾値回数以上であるか、及び、不揮発性メモリに記憶されている総印刷枚数を故障推定回数で除算した結果である故障時通紙比率が予め定められた故障時通紙閾値比率以下であるか、のうちの少なくとも一つ以上である。
【0120】
つまり、ジャム要因判断部115は、ステップS33において、RAMに記憶されているジャム発生区間の両端の通過検知センサに対応するRAMに記憶されている故障推定回数のそれぞれが予め定められた故障閾値回数以上であるかを判断するように構成してもよいし、或いは、不揮発性メモリに記憶されている総印刷枚数を、RAMに記憶されているジャム発生区間の両端の通過検知センサに対応する故障推定回数のそれぞれで除算した結果が示す各故障時通紙比率が予め定められた故障時通紙閾値比率以下であるかを判断するように構成してもよい。
【0121】
或いは、ジャム要因判断部115は、ステップS33において、RAMに記憶されているジャム発生区間の両端の通過検知センサに対応するRAMに記憶されている故障推定回数のそれぞれが予め定められた故障閾値回数以上であって、且つ、不揮発性メモリに記憶されている総印刷枚数を、当該故障推定回数のそれぞれで除算した結果が示す各故障時通紙比率が予め定められた故障時通紙閾値比率以下であるかを判断するように構成してもよい。
【0122】
ここで、ジャム要因判断部115は、何れかの故障推定回数が予め定められた条件を満たすと判断すると(S33;YES)、当該予め定められた条件を満たすと判断した故障推定回数に対応する通過検知センサに故障が生じたことがジャム発生要因であると判断して、RAMに記憶されているジャム発生要因を当該判断内容に更新する(S34)。
【0123】
一方、ジャム要因判断部115は、何れの故障推定回数も予め定められた条件を満たさないと判断すると(S33;NO)、或いは、ステップS34の処理が終了すると、ジャム報知処理(S35)を実行する。
【0124】
ステップS35において、ジャム報知部116の機能としてのジャム報知処理が実行されると、ジャム報知部116は、RAMに記憶されたジャム発生区間及びジャム発生要因を表示パネル120に表示する。
【0125】
ジャム報知部116がジャム報知処理を終了すると、制御部110は、RAMに記憶されているジャム報知処理によって表示されたジャム発生区間の両端の通過検知センサに対応する故障推定回数及び不揮発性メモリに記憶されている総印刷枚数をリセットして(ゼロにして)、ジャム要因報知処理を終了する。
【0126】
本構成によれば、センサ故障推定部113によるジャム発生区間の両端の通過検知センサに故障が生じているという推定の正しさを、ジャム要因判断部115により、当該推定がなされた回数に相当する故障推定回数が予め定められた条件を満たしているか否かという尺度で判断して、当該推定の正しさの確度を向上することができる。
【0127】
ここで予め定められた条件としては、例えば、上記のように、故障推定回数が予め定められた故障閾値回数以上であるか、総印刷枚数を当該故障推定回数で除算した結果である故障時通紙比率が予め定められた故障時通紙閾値比率以下であるか、のうちの少なくとも一つ以上を設定することができる。したがって、例えば、出荷前の試験運転等による実験値に基づいて故障閾値回数及び故障時通紙閾値比率を予め定めることにより、画像形成装置に応じて適切な尺度で上記の推定の正しさの確度を向上することができる。
【0128】
また、ジャム報知部116により、ジャム発生区間とジャム発生要因とが表示パネル120に表示されるため、ジャム発生区間とジャム発生要因とを目視して、迅速に把握することができる。このため、ジャム発生要因の究明作業に係る時間を少なからず削減することができる。
【0129】
また、ジャム要因判断部115は、ジャム検出部112によってジャムの発生が検出された場合に、ジャム発生区間の両端の通過検知センサに対応する故障推定回数のそれぞれが予め定められた条件を満たすか否かを判断するときに、更に、ジャム発生区間の両端の通過検知センサとは異なる通過検知センサに対応する故障推定回数のそれぞれが予め定められた条件を満たすか否かも加えて判断し、ジャム発生区間の両端の通過検知センサ及びジャム発生区間の両端の通過検知センサとは異なる通過検知センサに対応する故障推定回数のうち、予め定められた条件を満たすものと判断した故障推定回数の数が予め定められた判定閾値以下であると判断したときに限り、通過検知センサの故障をジャム発生要因とする設定を行うように構成を変更してもよい。
【0130】
本構成は、上記のステップS33(図7)において、ジャム要因判断部115は、RAMに記憶されているジャム発生区間の両端の通過検知センサに対応するRAMに記憶されている故障推定回数のそれぞれが予め定められた条件を満たすか否かを判断するだけでなく、更に、ジャム発生区間の両端の通過検知センサとは異なる通過検知センサに対応するRAMに記憶されている故障推定回数のそれぞれが予め定められた条件を満たすか否かも加えて判断するようにして実現することができる。
【0131】
更に、これに合わせて、当該変更後のステップS33において、ジャム要因判断部115は、ジャム発生区間の両端の通過検知センサ及びジャム発生区間の両端の通過検知センサとは異なる通過検知センサに対応する故障推定回数のうち、予め定められた条件を満たすものと判断した故障推定回数の数が予め定められた判定閾値以下であると判断すると、ステップS34を実行し、予め定められた条件を満たすものと判断した故障推定回数の数が予め定められた判定閾値以下でないと判断すると、ステップS35を実行するようにして実現することができる。
【0132】
尚、予め定められた判定閾値とは、例えば、画像形成装置1に備えられた通過検知センサ61〜64の数の半数である2を設定することができる。例えば、過半数の通過検知センサが予め定められた条件を満たす場合、単純に過半数の通過検知センサが故障しているだけではなく、過半数もの通過検知センサを故障させる別の問題が他に存在すると考えられる。つまり、これとは反対に、半数に満たない少数の通過検知センサのみが故障していると推定される場合における当該推定の正しさの確度は、過半数の通過検知センサが故障していると推定される場合に比して高いものであると考えられる。
【0133】
そこで、本構成では、ジャム要因判断部115により、予め定められた条件を満たす程度に確度高く故障しているものと推定される通過検知センサの数が予め定められた判定閾値の数以下である場合に限り、ジャム発生区間の両端の何れかの通過検知センサの故障をジャム発生要因とする設定が行われるため、ジャムの発生要因がジャム発生区間の両端の通過検知センサの故障であることの正しさが向上されるようになる。
【0134】
尚、上記の実施形態における構成において、センサ故障推定部113により、ステップS22における判断に利用される故障判断枚数及びステップS24おける判断に利用される故障判断枚数は、それぞれ、通紙枚数及び通紙枚数よりも1小さい値であるものとして説明したが、これに限定する趣旨ではない。
【0135】
例えば、故障判断枚数をそれぞれ通紙枚数よりも2大きい値及び通紙枚数よりも1大きい値にする等、故障判断枚数をそれぞれ通紙枚数よりも大きい値に設定することにより、上記の実施形態における構成に比して、ステップS22及びステップS24においてNOと判断される頻度を高めてもよい。つまり、故障判断枚数を適宜調整して、センサ故障推定部113によって通過検知センサを故障と推定する判断基準を調整してもよい。
【0136】
また、上記の実施形態における構成において通過検知センサの数は、4つであるものとして説明したが、これに限定する趣旨ではなく、ジャムの発生箇所を更に細かく特定すべく、更に多くの数の通過検知センサを搬送路上に配設してもよい。
【0137】
また、本発明は上述の実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。前記図1乃至図7に示した構成及び処理は、本発明に係る実施形態の例示に過ぎず、本発明を前記実施形態に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0138】
1 画像形成装置
10 給紙部(印刷部)
11 記録紙
15 用紙搬送部(搬送経路、印刷部)
20 用紙搬送部(搬送経路、印刷部)
30C,30K,30M,30Y 画像形成部(印刷部)
38 用紙搬送ベルト(搬送経路)
40 定着部(搬送経路、印刷部)
61〜64 通過検知センサ
110 制御部(印刷部)
111 通過枚数計測部
112 ジャム検出部
113 センサ故障推定部
114 故障推定回数計測部
115 ジャム要因判断部
116 ジャム報知部
120 表示パネル(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙を搬送する搬送経路と、
前記記録紙に画像を印刷して当該記録紙を排出する印刷部と、
前記搬送経路上に離間して配設され、各配設箇所における前記記録紙の通過を検知する通過検知センサと、
前記通過検知センサによって通過が検知された前記記録紙の枚数である通過枚数を前記通過検知センサ毎に計測する通過枚数計測部と、
連続して配設された2つの前記通過検知センサによって前記記録紙の通過がそれぞれ検知される時点の時間差が当該2つの前記通過検知センサの組み合わせに応じて予め定められた時間以上になる場合に、前記搬送経路における当該2つの前記通過検知センサを両端とする区間でジャムが発生したものと判断して、当該ジャムの発生を検出するジャム検出部と、
前記ジャム検出部によってジャムの発生が検出された場合に、前記通過枚数計測部によって計測された前記通過枚数のうち、当該ジャムが発生した前記搬送経路における2つの前記通過検知センサを両端とする区間であるジャム発生区間の上流側及び下流側の前記通過検知センサに対応する前記通過枚数と、それぞれに対応する予め定められた故障判断枚数とを比較して、前記通過枚数が前記故障判断枚数よりも大きいと判断された前記通過検知センサに故障が生じているものと推定するセンサ故障推定部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記ジャム発生区間の上流側の前記通過検知センサに対応する前記通過枚数に対応する予め定められた故障判断枚数は、前記印刷部によって印刷を開始してから前記ジャム検出部によって当該ジャムの発生が検出されるまでの間に前記ジャム発生区間に搬送された前記記録紙の枚数である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ジャム発生区間の下流側の前記通過検知センサに対応する前記通過枚数に対応する予め定められた故障判断枚数は、前記印刷部によって印刷を開始してから前記ジャム検出部によって当該ジャムの発生が検出されるまでの間に前記ジャム発生区間に搬送された前記記録紙の枚数よりも1少ない値である請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記センサ故障推定部によって故障が生じているものと推定された回数である故障推定回数を前記通過検知センサ毎に計測する故障推定回数計測部と、
前記ジャム検出部によってジャムの発生が検出された場合に、前記ジャム発生区間の両端の前記通過検知センサに対応する前記故障推定回数のそれぞれが予め定められた条件を満たすか否かを判断し、前記予め定められた条件を満たす前記故障推定回数が存在すると判断すると、前記予め定められた条件を満たすものと判断した故障推定回数に対応する前記通過検知センサの故障を当該ジャムの発生要因として設定するジャム要因判断部と、
を更に備える請求項1から3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記予め定められた条件は、前記故障推定回数が予め定められた故障閾値回数以上であるか、及び、前記印刷部によって印刷された総印刷枚数を前記故障推定回数で除算した結果である故障時通紙比率が予め定められた故障時通紙閾値比率以下であるか、のうちの少なくとも一つ以上である請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
動作状況を表示する表示部と、
前記ジャム発生区間と前記ジャム要因判断部により判断された前記ジャムの発生要因とを前記表示部に表示するジャム報知部と、
を更に備える請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ジャム要因判断部は、前記ジャム検出部によってジャムの発生が検出された場合に、前記ジャム発生区間の両端の前記通過検知センサに対応する前記故障推定回数のそれぞれが予め定められた条件を満たすか否かを判断するときに、更に、前記ジャム発生区間の両端の前記通過検知センサとは異なる前記通過検知センサに対応する前記故障推定回数が前記予め定められた条件を満たすか否かも加えて判断し、前記ジャム発生区間の両端の前記通過検知センサ及び前記異なる前記通過検知センサに対応する前記故障推定回数のうち、前記予め定められた条件を満たすものと判断した前記故障推定回数の数が予め定められた判定閾値以下であると判断したときに限り、前記通過検知センサの故障を当該ジャムの発生要因とする設定を行う請求項4から6の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−71916(P2012−71916A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216460(P2010−216460)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】