説明

画像形成装置

【課題】撹拌部材により現像容器内の現像剤を略水平方向に搬送する現像装置においても、現像剤量を安定して検知することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像剤量検知装置8は、現像剤担持体41か電極部材42aのどちらか一方に対して交流電圧を印加する交流電圧源81と、交流電圧が印加されなかった現像剤担持体41か電極部材42aのどちらかに検知される交流電流を用いて、現像容器内の現像剤量を検知する現像剤残量検知手段80と、を備えた画像形成装置において、現像剤量検知装置8による現像剤残量検知は、撹拌部材44を特定の位置に停止して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、現像装置に設けた現像剤担持体とアンテナ電極(電極部材)との間に交流電圧を印加し、検知される交流電流を用いて現像装置の現像剤量を検知する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という。)を備え、帯電装置によって感光ドラム表面を一様に帯電し、露光装置によって感光ドラム表面に像露光することで静電潜像を形成する。この感光ドラム表面の静電潜像は、現像装置によって感光ドラム表面の静電潜像上へ現像剤(トナー)を付与することで可視像、即ち、トナー像とされる。感光ドラム上のトナー像は転写装置によって中間転写体及び記録媒体(例えば転写紙)へ転写される。記録媒体上のトナー像は、定着装置によって定着され印刷物となる。転写後に感光ドラム上に残留したトナーは、クリーニング装置によって除去され、次の画像形成工程へと移る。
【0003】
ここで、交換頻度の高い感光ドラム、帯電装置、現像装置、クリーニング装置を一体化したプロセスカートリッジを画像形成装置本体から着脱可能な構成とするのが、メンテナンスが容易になる点から一般的である。
【0004】
現像装置は、トナーを収容する現像容器、即ち、トナー容器を備えている。また、トナー容器には、金属製の芯金の周りにゴム材等の層を形成しトナーを担持して感光ドラムへ搬送する現像ローラ、金属製の芯金の周りに発泡層を形成し現像ローラへトナーを供給する供給ローラが配置されている。更に、現像ローラ上のトナーを規制しトナーを摩擦帯電するトナー規制部材が設けられている。
【0005】
近年、省資源化の要求が高まっておりプロセスカートリッジに充填されたトナーをすべて使い切ることが望まれている。そこで、トナーを使い切る直前までトナー残量検知を行う必要があり、トナー残量検知の高精度化及び感度領域の拡大が求められている。
【0006】
トナー残量検知手段として、現像ローラと供給ローラの芯金間の静電容量を検知する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1では、現像ローラの表面から、供給ローラの発泡層内及びその周囲におけるトナーと空気の構成比によって、現像ローラと供給ローラの芯金間の静電容量が変化することを利用している。即ち、この方法は、現像ローラと供給ローラの芯金間へ交流電圧を印加しており、この交流電圧印加によりトナー残量によって電極間に流れる交流電流が変化するため、この交流電流を用いてトナー残量を検知する方法である。
【0008】
一方、プロセスカートリッジの構成部材の配置として、トナー容器内のトナーを水平方向に搬送する構成のものがある。この構成を用いることで、トナー容器内のトナーを自重によって現像ローラの周囲に搬送する構成に比べ、鉛直方向の高さを低く抑えることができる。また、トナーの自重によるトナーパッキングを抑えることができるため、撹拌部材のトルクが軽くなるという利点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−20349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、特許文献1においては、本願添付の図9(a)に示すように、トナー容器45内のトナーTが自重により現像ローラ41の周囲に搬送される構成になっている。常にトナーTが現像ローラ41の周囲へ搬送されるため、現像ローラ41と供給ローラ42の周囲のトナー量は変化しないものの、トナー量に応じたトナーの重圧によって供給ローラ42の発泡層内のトナーと空気の構成比率が変化する。そのため、トナー残量を検知することができた。
【0011】
一方、図9(b)に示すような撹拌部材44によってトナーTを水平方向に搬送する構成においては、トナー残量検知手段でトナー残量を検知する場合、図9(c)に示すような、トナー容器45内の撹拌部材44が現像ローラ41と供給ローラ42の周囲へトナーを集める位置(以後、「位置A」という。)と、図9(d)に示すような、撹拌部材44によってトナーが集められない位置(以後、「位置B」という。)とでは、トナー容器内のトナー残量が同じでもトナー残量検知出力が異なる。
【0012】
位置Aでトナー残量検知を行う場合においては、現像ローラ41と供給ローラ42の周囲へ一時的にトナーTが集められるため、トナー残量検知を行う際にトナー残量検知出力が高めに出力される。一方、位置Bでトナー残量検知を行う場合においては、位置Aの時に集められたトナーTが再びトナー容器45の奥側へ逆流して供給ローラ42の位置から離れてしまうために、位置Aでトナー残量検知を行う場合に比べてトナー残量検知出力が低めに出力される。このような現象は、消耗品であるトナーの交換時期をユーザーに的確に知らせるためには不具合なものであった。
【0013】
従って、上記説明したトナー残量検知方法は、図9(b)に示す現像装置4においては、トナー容器45内のトナー量が撹拌部材44の位置によって安定して検知できないという課題があった。
【0014】
そこで、本発明の目的は、撹拌部材により現像容器内の現像剤を略水平方向に搬送する現像装置においても、現像剤量を安定して検知することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置と、前記現像装置の現像剤量を検知する現像剤量検知装置と、を有し、
前記現像装置は、
前記現像剤を収容する現像容器と、
前記現像剤を担持し、前記像担持体へと搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の周囲に設置される電極部材と、
前記現像容器内の前記現像剤を撹拌し、前記現像剤担持体へ搬送する撹拌部材と、を備え、
前記現像剤量検知装置は、
前記現像剤担持体か前記電極部材のどちらか一方に対して交流電圧を印加する交流電圧源と、
前記交流電圧が印加されなかった前記現像剤担持体か前記電極部材のどちらかによって検知される交流電流を用いて、前記現像容器内の現像剤量を検知する現像剤残量検知手段と、を備えた画像形成装置において、
前記現像剤量検知装置による前記現像剤残量検知は、前記撹拌部材を特定の位置に停止して行うことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、撹拌部材を特定の位置に停止し現像剤残量検知を行うことで、安定した現像剤残量検知が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置に適応可能な現像装置の一実施例の概略構成断面図である。
【図3】図3(a)、(d)は、現像容器内のトナーが残り少ないときのトナーが偏在する様子を示す概略断面図である。図3(b)、(e)は、現像容器内のトナーが少なくなり始めたときのトナーが偏在する様子を示す概略断面図である。図3(c)、(f)は、現像容器内のトナーが十分にあるときのトナーが偏在する様子を示す概略断面図である。
【図4】現像剤量検知装置によるトナー残量検知を説明するための概略図である。
【図5】現像剤量検知装置の検出回路図である。
【図6】撹拌部材の位置A及びBにおけるトナー残量検知出力を示すグラフである。
【図7】本発明に従ったトナー残量検知動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の画像形成装置に適応可能な現像装置の他の実施例の概略構成断面図である。
【図9】図9(a)は、従来例におけるトナー自重落下型の現像装置を示す概略断面図である。図9(b)は、従来例におけるトナー水平方向搬送型の現像装置を示す概略断面図である。図9(c)、(d)は、従来例における撹拌部材の位置A、Bによるトナーが偏在する様子を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0019】
実施例1
図1に本発明に係る画像形成装置の一実施例の全体構成を示す。本実施例にて、画像形成装置は、電子写真方式のレーザビームプリンタとされる。次に、本実施例の画像形成装置の全体構成について説明する。
【0020】
(画像形成装置の全体構成)
本実施例1のレーザビームプリンタとされる画像形成装置100は、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体、即ち、感光ドラム1を備えている。矢印R方向に回転自在とされる感光ドラム1の周面に沿って帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6が回転方向に順に配置されている。感光ドラム1はRの方向に回転し画像形成を行う。
【0021】
本実施例にて、帯電装置2は帯電ローラとされ、感光ドラム1に接触し、感光ドラム1に従動回転する。帯電装置2には所定の帯電バイアスが印加され、感光ドラム1表面を一様に帯電する。
【0022】
露光装置3は、本実施例ではレーザービームスキャナ装置とされ、画像信号に応じて変調されたレーザー光Lがスキャン出力される。帯電装置2によって一様に帯電した感光ドラム1に、露光装置3からレーザー光Lが照射されると静電潜像が形成される。
【0023】
現像装置4は、現像剤であるトナーTを収容する現像容器(以下、「トナー容器」という。)45を備えている。また、トナー容器45には、現像ローラ(現像剤担持体)41、供給ローラ(現像剤供給部材)42、現像ブレード(現像剤規制部材)43、撹拌部材44が配置されている。
【0024】
現像剤担持体としての現像ローラ41は、表面にトナーTを担持・搬送し、感光ドラム1の対向位置で感光ドラム1と順方向に所定の周速比をもって回転し現像動作を行う。現像ローラ41には所定の現像バイアスが印加され、静電潜像はトナーTによって現像される。
【0025】
紙等の記録媒体Sは、給紙ローラ9によって感光ドラム1での潜像の形成と同期して、転写装置5に供給、及び搬送される。
【0026】
転写装置5は、感光ドラム1に対向する転写ローラとされ、転写ローラ5には所定の転写バイアスが印加され、感光ドラム1上のトナー像を記録媒体S上へ転写する。
【0027】
トナー像が転写された記録媒体Sは、定着装置7に搬送され、永久定着された後、画像形成装置本体外部に排出される。
【0028】
感光ドラム1上の残留トナーは、クリーニング装置6によって除去され、回収される。
【0029】
また、感光ドラム1、帯電装置2、現像装置4及びクリーニング装置6はプロセスカートリッジ10として一体化されており、画像形成装置本体100Aに対して着脱可能である。プロセスカートリッジ10には記憶手段として不揮発性のメモリmが設けられており、プロセスカートリッジ10の印字枚数やトナー検知結果などの使用状況に関する情報を格納してある。画像形成装置本体100Aのメモリ通信手段を介して、プロセスカートリッジ10の使用状況の読み出し、書き込みを行う。
【0030】
図2をも参照して現像装置4について説明する。
【0031】
現像剤担持体としての現像ローラ41は、本実施例では、金属製の芯金41aの周囲に導電剤が配合された半導電性のシリコンゴム層などの弾性部材41bを施した構成とされる。
【0032】
現像剤供給部材としての供給ローラ42は、現像ローラ41に当接し、現像ローラ41とカウンター方向に所定の周速比をもって回転している。供給ローラ42は、金属製の芯金42aの周囲に発泡ウレタンなどの発泡体とされる弾性部材42bを施した構成であり、現像ローラ41にトナーTを供給する。
【0033】
現像ブレード43は、金属製の薄板からなり、現像ローラ41に押圧され現像ローラ41表面のトナー層が均一になるように規制する。さらに、現像ローラ41上のトナーコートを規制する際に、トナーTと現像ローラ41及び現像ブレード43の間でトナーTが摩擦帯電され、現像及び転写に必要な帯電極性を付与する。本実施例においては現像及び転写において正極性側へトナーを搬送するため、トナーを負極性に帯電させている。
【0034】
撹拌部材44は、回転駆動の中心軸44aとトナー容器45との底面45a間の距離よりも長い弾性部材44bの撹拌シートで構成されている。撹拌部材44を回転駆動することで、トナー容器45内のトナーTを撹拌し凝縮をほぐすと共に、トナーTを現像ローラ41と供給ローラ42の周囲へ搬送する。また、撹拌部材44はエンコーダ等の回転位相が検知可能な本体駆動源M(図4参照)から駆動が入力され、制御部200により撹拌部材44の位置が制御される。この駆動源Mから適切にギア等で減速され現像ローラ41及び供給ローラ42も駆動される。
【0035】
(現像剤量検知装置)
図4を参照して本実施例1における現像剤量検知装置8について説明する。
【0036】
本実施例にて現像剤量検知装置8は、現像ローラ41と供給ローラ42の芯金41a、42a間の静電容量を画像形成装置本体100Aに設置された検知回路(トナー残量検知手段)80によって測定し、トナー残量を検知している。
【0037】
つまり、図4に示すように、現像剤量検知装置8は、現像ローラ41の芯金41aか、又は電極部材(以下、「アンテナ電極」という。)としての供給ローラ42の芯金42aのいずれかに交流電圧を印加する交流電源81を備えている。更に、現像剤量検知装置8は、供給ローラ42の芯金42aに少なくとも交流成分を含む所定の検知用バイアスを印加した際に、現像ローラ41に誘起される交流電流量を検知する検知回路80を備えている。斯かる構成にて、現像剤量検知装置8は、現像ローラ41と供給ローラ42との間の静電容量を検知できる。
【0038】
本実施例では現像剤量検知装置8の検知回路80として、図5に示すように、検知した交流電流をVinから入力し、整流回路82aにより半波整流及び電圧に変換し、OPアンプを用いた積分増幅回路82bで基準電圧Vrefとの差分を積分増幅し、直流電圧をAD変換回路82cに送り、AD変換を行った。この値をトナー残量検知出力電圧として、画像形成装置本体100Aの制御部200に出力する回路を用いた。
【0039】
即ち、本実施例1での現像剤量検知装置8の検知回路80は、現像ローラ41と供給ローラ42との間の静電容量がより大きければ、現像ローラ41に誘起される交流電流量も大きくなり、結果としてトナー残量検知出力電圧はより大きい値を示すことになる。
【0040】
現像ローラ41と供給ローラ42との間にトナーTがより多く存在すると、現像ローラ41と供給ローラ42との間の静電容量はより大きくなる。その結果、トナー残量検知出力電圧はより大きい値を示す。反対に、画像形成動作によってトナーTが消費され、現像ローラ41と供給ローラ42との間のトナー量が少なくなると、現像ローラ41と供給ローラ42との間の静電容量は小さくなる。その結果、トナー残量検知出力電圧はより小さい値を示す。
【0041】
よって、供給ローラ42に少なくとも交流成分を含む検知用バイアスを静電容量検知用バイアス印加装置(交流電圧源)81により印加し、検知回路80によって、現像ローラ41に誘起された交流電流量に応じた電圧を検知する。これによって、トナー残量検知が可能となる。検知用バイアスとしては、周波数50kHz、振幅200Vの正弦波の交流電圧を印加した。
【0042】
本実施例は、トナー容器45内のトナーを撹拌部材44により水平方向に搬送する構成である。
【0043】
図3(a)に示すように、撹拌部材44がトナー容器45の底面45aに接触し、撹拌部材44がトナー容器45から離れる直前の撹拌部材44の回転方向下流の位置を撹拌部材44の位置Aとする。
【0044】
また、図3(d)に示すように、撹拌部材44がトナー容器45の上面45bに接触するか又はトナー容器45の底面45aに接触しない位置、即ち、撹拌部材44によってトナーが集められない位置を撹拌部材44の位置Bとする。
【0045】
図3(d)に示すようにトナーが残り少ない時に撹拌部材44を位置Bでトナー残検を行う場合は、トナー剤面が供給ローラ42より低い状態になり、現像ローラ41と供給ローラ42の周囲にトナーがほとんど存在せず、トナー残量検知においてはトナー残量の減少を検知することが困難になる。
【0046】
一方、図3(a)に示すようにトナーが残り少ない時に撹拌部材44を位置Aでトナー残検を行う場合は、トナー容器45内のトナーを現像ローラ41と供給ローラ42の周囲に掻き集めるため、トナー残量検知によってトナー残量の減少を検知できる。
【0047】
図6に、撹拌部材44が図3に示した位置A(実線)と位置B(破線)にあるときのトナー残量検知の出力結果を示す。位置Aでは、トナーがある程度消費された状態からトナー残量検知出力電圧の減少が大きくなる(図6中のトナー量がLV.3よりも少なくなった状態)。一方、位置Bではトナー量が満タンの状態(以後、トナーFULLとし、この状態を図6中のトナー量がLV.1で示す)からトナー残量検知出力電圧の減少が始まる。そして、トナー残量検知出力電圧が位置Aでのトナー残量検知出力電圧より低めに推移している(図6中のトナー量がLV.1からLV.3の状態)。
【0048】
また、ベタ黒画像が印字できなくなる状態(以後、トナーOUTとし、この状態を図6中のトナー量がLV.4で示す)を安定して検知するためには、撹拌部材44を位置Aで止めてトナー残量検知動作を行うことが望ましい。つまり、図6に示すように、トナーが少し消費された状態(LV.3)からトナーOUT(LV.4)の区間で、トナー残量検知出力電圧の変化が大きい。したがって本実施例ではトナー残量検知動作を行う場合は撹拌部材44を位置Aに止めて実施した。
【0049】
以上のことから、撹拌部材44の位置がトナー残量検知動作の度に変化すると、トナー残量検知出力電圧も撹拌部材44の位置に応じて変化してしまい安定した結果が得られない。特にトナーが無くなり画像形成ができなくなる状態を安定して検知することが重要となる。そのため、トナー残量検知時に撹拌部材44を所定の位置に止めて行うことで、安定してトナー残量検知が可能となる。
【0050】
つまり、本発明によれば、撹拌部材の停止位置によって現像ローラの周囲のトナー量の変化によるトナー残量検知結果の安定性が向上する。すなわち、現像剤残量検知を行う場合は撹拌部材を特定の位置に停止して行うことにより、トナーが自重によって現像担持体の周囲へ搬送されない現像装置においても、安定してトナー残量検知を行うことができる。
【0051】
実施例2
次に、本発明に係る画像形成装置の第2の実施例について説明する。
【0052】
画像形成装置及びその構成部材の配置、また、現像剤量検知装置8によるトナー残量検知のために現像ローラ41と供給ローラ42の芯金41a、42a間の静電容量変化を用いることは実施例1と同様である。以下の説明において、上述した実施例1と同様の部分については、その説明を省略する。
【0053】
本実施例においては、トナーFULLからトナーOUTまでのトナー残量をほぼ連続して検知することができるトナー残量検知を説明する。
【0054】
図3(a)、(b)、(c)に示すように、撹拌部材44がトナー容器45の底面45aに接触し、撹拌部材44がトナー容器45から離れる直前の撹拌部材44の回転方向下流の位置を撹拌部材44の位置Aとする。
【0055】
また、図3(d)、(e)、(f)に示すように、撹拌部材44がトナー容器45の上面45bに接触するか又はトナー容器45の底面45aに接触しない位置を撹拌部材44の位置Bとする。
【0056】
トナー量が、十分にある状態から画像形成によってトナーを消費していく過程で、撹拌部材44の位置A及びBでのトナーの偏在の様子を説明する。
【0057】
図3(c)、(f)に示すような、トナー容器45内のトナーが十分にあり、撹拌部材44の撹拌軸44aが現像剤面(トナー剤面)Tsに埋もれている状態をトナー量LV.1とする。トナー量LV.1においては、現像ローラ41と供給ローラ42の周囲にあるトナー量は、撹拌部材44の停止位置の影響をほとんど受けず、トナー剤面Tsはトナー容器45内で平坦になっている。
【0058】
次に、トナーを消費することによって撹拌部材44の撹拌軸44aがトナー剤面Tsより高い位置になる状態をトナー量LV.2とする。トナー量LV.2において、位置Aでは図3(b)に示すように、撹拌部材44によってトナー容器45内のトナーを現像ローラ41と供給ローラ42の周囲に掻き集めるが、トナーを撹拌部材44の撹拌軸44aより高い位置に搬送されたトナーは、撹拌軸44aの上側を通り自重によって、トナー容器45の奥側へ流れ込む。結果として、現像ローラ41と供給ローラ42の周囲のトナー剤面Tsは、撹拌部材44の撹拌軸44aとほぼ水平位置を維持する。一方、位置Bでは図3(e)に示すように、位置Aにおいて掻き集めたトナーがトナー容器45の奥へ戻され、トナー剤面Tsはトナー容器45内で平坦になる。
【0059】
さらにトナーを消費すると、位置Aでは図3(a)に示すように撹拌部材44で現像ローラ41と供給ローラ42の周囲に掻き集めたトナーが撹拌部材44の撹拌軸44aまで到達せず、現像ローラ41と供給ローラ42の周囲のトナー量が減少を始める。この状態をトナー量LV.3とする。位置Bでは図3(d)に示すように、トナー剤面Tsの高さが現像ローラ41及び供給ローラ42と同程度となり、現像ローラ41と供給ローラ42の周囲のトナー量が少なくなる。
【0060】
以後は、トナー剤面Tsが供給ローラ42よりも低い状態をトナー量LV.4とする。位置Aにおいても、撹拌部材によって現像ローラ41と供給ローラ42の周囲に掻き集められるトナー量が減少していく。トナー量LV.4でさらにトナー消費を続けると、供給ローラ内に十分なトナーが保持されず、現像ローラ上へのトナー供給ができなくなり、ベタ黒画像の印字が不可能となる。
【0061】
図6は横軸にトナー量を、縦軸に撹拌部材44の位置A及びBにおけるトナー残量検知結果を示したものである。
【0062】
トナー量LV.1でのトナー残量検知結果は共にOを示す。つまり、トナー量LV.1において、撹拌部材44の位置は影響がなく、どちらの位置で行ってもよい。
【0063】
トナー量LV.2以降の位置Bのトナー残量検知結果は、トナー量LV.1以降と同様にトナー量の減少に対してトナー残量検知結果も減少する。一方、位置Aのトナー残量検知結果は、トナー残量検知結果の減少がなく、Pを示す。このPの値は、トナー剤面が撹拌部材44の撹拌軸と水平の高さにある時に示す値であり、トナー量Lv.2においては、位置Aによるトナー残量検知が困難であることを示している。そこで、本実施例においては、トナー量がLV.2近傍である場合には位置Bにおいてトナー残量検知を行う。
【0064】
位置Aでは、トナー量Lv.2においてはトナー残量検知結果Pから変化が小さかった検知結果に対し、トナー量LV.3でのトナー残量検知結果に変化が見られ始める。一方、位置Bでは、トナー量LV.1からトナー残量検知結果が単調減少を続けているが、変化量が小さくなり、トナー残量を検知するのが困難になっていく。
【0065】
つまり、トナー量LV.3以降においては、位置Bでのトナー残量検知結果の変化量が小さく、位置Aでのトナー残量検知結果の変化量が大きくなる。本実施例においては、撹拌部材44の位置Aにおいてのトナー残量検知出力電圧が変化し始める残量をトナーLOWとし、トナーが残り少なくなり始めた状態とした。位置Bにおいてトナー量LV.1からトナー量LV.3までトナー残量検知を行い、予め設定されたトナーLOW近傍の位置Bでのトナー残量検知の閾値Qを検知した場合に、位置Aでの残検に切り替える。
【0066】
トナー量LV.4でのトナー残量検知結果は、位置A、位置B共にトナー残量検知結果に変化がなくなり値が収束する。本実施例においてはベタ黒画像が印字可能な閾値として位置Aでのトナー残量検知の閾値RにおいてトナーOUTと検知する。
【0067】
以上のように、本実施例におけるトナー残量検知動作は、トナー量LV.1からLV.3までの区間を撹拌部材44の位置Bで行い。位置Bでのトナー残量検知結果がトナーLOWを示す閾値Qを検知した場合に、位置Aでのトナー残量検知に切り替え、LV.3からLV.4の区間を位置Aでトナー残量検知を行う。
【0068】
画像形成装置1の制御部200には、撹拌部材44の位置A及び位置Bでのトナー残量検知出力電圧をトナー量へ変換するテーブルを持つ。また、プロセスカートリッジのメモリmには、トナー残量検知手段、即ち、現像剤量検知承知8によってトナーLOWを検知した場合に記録する。
【0069】
図7に本実施例におけるトナー残量検知シーケンスを示す。トナー残量検知シーケンスは、画像形成動作終了時に連続して行うため、現像装置4が駆動している状態でシーケンスを開始する。
【0070】
まず、画像形成動作以前にメモリmにトナーLOWが記録されているか確認する(S0)。
【0071】
トナーLOWが記録されていない場合(S0−No)、画像形成動作後に撹拌部材44を位置Bで止めて駆動を停止する(S1)。
【0072】
トナー残量検知動作を行い(S2)、制御部(演算部)200で撹拌部材44が位置Bの状態でのトナー残量Tbを算出する(S3)。
【0073】
Tbが予め設定されたトナーLOWの閾値より多いならば(S4−No)、Tbをメモリmに記録し(S12)、ユーザーにトナー残量を報知し(S13)、トナー残量検知シーケンスを終了する。
【0074】
TbがトナーLOWの閾値以下を検知したならば(S4−Yes)、トナーLOWと判断し、メモリmにトナーLOW検知を記録する(S5)。再び現像装置4の駆動を開始し(S6)、撹拌部材44を位置Aで止め(S7)、トナー残量検知動作を行い(S8)、トナー残量Taを算出する(S9)。
【0075】
Taが予め設定されたトナーOUTの閾値より多いならば(S10−No)、Taをメモリmに記録し(S12)、ユーザーにトナー残量を報知し(S13)、トナー残量検知シーケンスを終了する。
【0076】
TaがトナーOUTの閾値以下を検知したならば(S10−Yes)、トナーOUTと判断し、メモリmにトナーOUTを記録する(S11)。残量検知結果をメモリmに記録し(S12)、ユーザーに対してトナー残量検知結果の報知し(S13)、トナー残量検知シーケンスを終了する。
【0077】
また、S0において、トナーLOWが記録されている場合(S0−Yes)、位置Bでのトナー残量検知を行わず位置Aでのトナー残量検知検のみを行う(S7)。
【0078】
このようにすることで、トナーFULLからトナーOUTまでのトナー残量をほぼ連続して検知することができる。
【0079】
つまり、本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を達成し得る。
【0080】
実施例3
図8に、現像装置4の他の実施例を示す。上記実施例1、2では、現像装置4は、現像剤担持体としての現像ローラ41と、現像剤供給部材としての供給ローラ42とを備え、供給ローラ42の芯金42aがアンテナ電極として機能する構成とされた。
【0081】
しかし、本発明の現像装置4は、上記実施例1、2に記載の構成に限定されるものではなく、本実施例では、図8に示すように、現像剤担持体としては、導電性の現像スリーブ41を備え、アンテナ電極としては、現像スリーブ41の近傍に配置した金属ワイヤ42wとすることもできる。
【0082】
本実施例においても、上記実施例1、2で説明したと同様の現像剤量検知装置8によるトナー残量検知を適用して、上記実施例1、2で説明したと同様の作用効果を得ることができる。
【0083】
上記各実施例では、本発明は、感光ドラム1のトナー像を直接、記録媒体としての用紙Sに転写する画像形成装置であるとして説明したが、本発明はこの構成の画像形成装置に限定されるものではない。例えば、中間転写ベルトなどの中間転写体を備え、感光ドラム1のトナー像を一旦この中間転写体に転写し、その後、中間転写体のトナー像を用紙に転写する中間転写方式の画像形成装置であってもよい。斯かる画像形成装置の構成は、当業者には周知であるので、これ以上の詳しい説明は省略する。
【符号の説明】
【0084】
1 感光ドラム(像担持体)
4 現像装置
41 現像ローラ(現像剤担持体)
42 供給ローラ(現像剤供給部材)
42a 芯金(電極部材)
44 撹拌部材
45 トナー容器(現像容器)
8 現像剤量検知装置
80 検知回路(現像剤残量検知手段)
81 交流電圧源
100 画像形成装置
200 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置と、前記現像装置の現像剤量を検知する現像剤量検知装置と、を有し、
前記現像装置は、
前記現像剤を収容する現像容器と、
前記現像剤を担持し、前記像担持体へと搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の周囲に設置される電極部材と、
前記現像容器内の前記現像剤を撹拌し、前記現像剤担持体へ搬送する撹拌部材と、を備え、
前記現像剤量検知装置は、
前記現像剤担持体か前記電極部材のどちらか一方に対して交流電圧を印加する交流電圧源と、
前記交流電圧が印加されなかった前記現像剤担持体か前記電極部材のどちらかによって検知される交流電流を用いて、前記現像容器内の現像剤量を検知する現像剤残量検知手段と、を備えた画像形成装置において、
前記現像剤量検知装置による前記現像剤残量検知は、前記撹拌部材を特定の位置に停止して行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像装置は、導電性の芯金の周囲に発泡体を備え、前記撹拌部材によって搬送された前記現像剤を前記現像剤担持体に供給する現像剤供給部材を有し、
前記現像剤供給部材の芯金は前記電極部材を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像剤残量検知手段による前記現像剤残量検知は、前記撹拌部材が現像容器の底面に接触し、前記撹拌部材が現像容器から離れる直前の前記撹拌部材の回転方向下流の位置で停止して行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像剤の残量に応じて前記撹拌部材の停止位置を変え、現像剤残量を検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像剤残量検知手段による前記現像剤残量検知は、前記撹拌部材が前記現像容器の上面に接触するか又は前記現像容器の底面に接触しない位置で停止することにより行い、
前記現像剤残量検知手段による前記現像剤残量が予め設定された量にまで減少したとき、前記現像剤残量検知手段による前記現像剤残量検知は、前記撹拌部材が現像容器の底面に接触し、前記撹拌部材が現像容器から離れる直前の前記撹拌部材の回転方向下流の位置で停止して行なうことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−29543(P2013−29543A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163529(P2011−163529)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】