画像形成装置
【課題】多次色濃度調整に関する記録材の消費を抑えつつ、ユーザーの負担を軽減する。
【解決手段】画像形成装置100は、イエローの一次転写部7Yに通常の転写電位Vnを設定し、その下流の位置する一次転写部7M、7C、7Kに、イエローのパッチ画像の再転写が発生しない転写電位(例:0ボルト)を設定する。中間転写ベルト7上でのパッチ画像の濃度と基準濃度とから求まる色差ΔEが規定値(例:3)以上になると、画像形成装置100は、多次色濃度調整が必要と判定する。本発明では、記録材を消費せずに多次色濃度調整の必要性を判定できるため、記録材の消費を抑えることができる。また、多次色濃度調整の必要性の判定は、画像形成装置100が実行するため、ユーザーの負担が軽減される。
【解決手段】画像形成装置100は、イエローの一次転写部7Yに通常の転写電位Vnを設定し、その下流の位置する一次転写部7M、7C、7Kに、イエローのパッチ画像の再転写が発生しない転写電位(例:0ボルト)を設定する。中間転写ベルト7上でのパッチ画像の濃度と基準濃度とから求まる色差ΔEが規定値(例:3)以上になると、画像形成装置100は、多次色濃度調整が必要と判定する。本発明では、記録材を消費せずに多次色濃度調整の必要性を判定できるため、記録材の消費を抑えることができる。また、多次色濃度調整の必要性の判定は、画像形成装置100が実行するため、ユーザーの負担が軽減される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多色画像形成装置では使用期間が長くなるにつれて各色の画像の濃度が目標濃度から変化し、画像の色味が変動してしまう。そこで、画像形成装置は、テストパターンを形成し、内部に取り付けられたセンサを用いて、トナー載り量を測定し、所望の濃度になるよう各種パラメータを調整する。特許文献1によれば、2次色の濃度変化を調整する方法が提案されている。具体的に特許文献1では、2次色を含んだテストチャートを出力し、テストチャートを読み取り部で読み取ることで、2次色の濃度変動を把握して濃度に関連したパラメータを調整する色調調整装置が提案されている。なお、2次色とは、それぞれ色が異なる2種類のトナー(例:イエロートナー、マゼンタトナー)を重畳して形成される色をいう。3次色とは、それぞれ色が異なる3種類のトナー(例:イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー)を重畳して形成される色をいう。これらをまとめて多次色と呼ぶことにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−189278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の発明では、2次色の濃度変化を検知するために記録材にテストパターンを形成する必要がある。また、濃度調整の必要性は、ユーザーが目視で判断していた。つまり、ユーザーは、定期的または任意のタイミングで複写装置に印刷を実行させ、記録材に印刷された画像を見て、濃度調整が必要かどうかを判断しなければならない。そこで、本発明は、多次色濃度調整に関する記録材の消費を抑えつつ、ユーザーの負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の観点によれば、
第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段と、
前記画像の搬送方向において前記第1転写手段よりも下流に位置し、前記第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により前記像担持体上に転写する第2転写手段と、
前記第1の転写電位と前記第2の転写電位とを設定する設定手段と、
前記画像の搬送方向において前記第2転写手段よりも下流に位置し、前記像担持体上に形成された前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段が検知した前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と基準濃度とから求まる色差が閾値以上になると前記第1の色の色材についての濃度調整が必要と判定する判定手段と
を備え、
前記判定手段が前記第1の色の色材について濃度調整が必要かどうかを判定するときに、前記設定手段は、画像形成ジョブを実行する際の転写電位を前記第1の転写電位に設定し、前記第1の色の色材のパッチ画像が前記第2転写手段へ再転写しない転写電位を前記第2の転写電位に設定することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0006】
本発明の第2の観点によれば、
第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段と、
前記画像の搬送方向において前記第1転写手段よりも下流に位置し、前記第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により前記像担持体上に転写する第2転写手段と、
前記第1の転写電位と前記第2の転写電位とを設定する設定手段と、
前記画像の搬送方向において前記第2転写手段よりも下流に位置し、前記像担持体上に形成された前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段が検知した前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と目標濃度を比較し、当該パッチ画像の濃度を当該目標濃度に調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する作成手段と
を備え、
前記画像形成装置は、前記第1の色を下層色として使用して多次色の画像を形成する際に、前記多次色用濃度調整テーブルを用いて入力画像の濃度を変換して前記多次色の画像を形成することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1の観点によれば、画像形成装置は、第1転写手段と第2転写手段とにそれぞれ異なる転写電位を設定してパッチ画像を形成し、像担持体上でのパッチ画像の濃度から求まる色差が規定値以上になると、多次色濃度調整が必要と判定する。本発明では、記録材を消費せずに多次色濃度調整の必要性を判定できるため、記録材の消費を抑えることができる。また、多次色濃度調整の必要性の判定は、画像形成装置が実行するため、ユーザーの負担が軽減される。
【0008】
本発明の第2の観点によれば、画像形成装置は、第1転写手段と第2転写手段とにそれぞれ異なる転写電位を設定してパッチ画像を形成し、像担持体上でのパッチ画像の濃度が目標濃度となるように多次色用濃度調整テーブルを作成する。本発明では、記録材を消費せずに多次色用濃度調整テーブルを作成できるため、記録材の消費を抑えることができる。また、多次色濃度調整の必要性の判定は不要であるため、ユーザーの負担が軽減される。
【0009】
このように、本発明によれば、多次色濃度調整に関する記録材の消費を抑えつつ、ユーザーの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置を示す図
【図2】転写ニップ部における再転写現象を示す図
【図3】トナー帯電量と再転写量の関係を示す図
【図4】多次色形成示す図
【図5】低印刷率で画像を連続出力した際の1枚目と1000枚目の色度点を示す図
【図6】制御ブロックを示す図
【図7】濃度検知センサを示す図
【図8】パッチ画像を示す図
【図9】センサ出力・濃度値変換テーブルの一例を示す図
【図10】濃度調整処理を示すフローチャート
【図11】濃度特性の一例を示す図
【図12】濃度調整テーブルの一例を示す図
【図13】転写電位と再転写量との関係を示した図
【図14】多次色濃度調整を行うブロックを示す図
【図15】多次色濃度調整用のテストチャートを示す図
【図16】多次色濃度変動の一例を示した図
【図17】多次色濃度調整を行った後の出力結果を示す図
【図18】記録材を使用しない濃度調整処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施例では、それぞれ異なる転写電位で像担持体にそれぞれ色の異なるトナー像を形成し、像担持体上での各色のトナー像のトナー載り量の差(色差)が規定値以上になると、多次色濃度調整が必要と判断する。よって、本発明では、記録材の消費を抑えつつ、ユーザーの負担を軽減することができるようになる。なお、多次色濃度調整としては、公知の調整方法や未公知の調整方法など、任意の調整方法を使用できる。
【0012】
<画像形成装置の概略>
図1はタンデム型の多色画像形成装置の概略断面図である。画像形成装置100は、それぞれ色の異なるトナー像を形成する4つの像形成部10Y〜10Kを備えている。なお、参照番号に付与するYMCKはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを意味する。YMCKに共通する事項を説明する際には、参照番号におけるYMCKの表記を省略することにする。
【0013】
感光ドラム1は、帯電装置2によって一様に帯電させられる像担持体である。露光装置3は、画像情報に応じた光量の光ビームによって感光ドラム1の像形成面を走査し、潜像を形成する。現像装置4は、トナーを用いて潜像を現像し、トナー像を形成する。一次転写部7は、所定の一次転写電位を印加されたローラを備え、感光ドラム1から中間転写ベルト6へトナー像を一次転写する。ドラムクリーナ8は、トナー像を一次転写した後に感光ドラム1に残存しているトナーを清掃する。
【0014】
図1が示すように、トナー像の搬送方向で最も上流側にイエロー用の像形成部10Yが設けられている。そこから、下流側に向かって、マゼンタ用の像形成部10M、シアン用の像形成部10C、および、ブラック用の像形成部10Kが順番に配置されている。よって、中間転写ベルト6には、イエロートナー像が最下層に一次転写され、その上の層にマゼンタトナー像が一次転写され、さらにその上にシアントナー像が一次転写され、最上層にブラックトナー像が一次転写される。任意の2つ以上のトナー色を用いて多次色のトナー像が形成される場合、各色のトナーが重畳される順番はこのような順番となる。
【0015】
中間転写ベルト6のトナーを担持する面に対向する位置に、この中間転写ベルト6上に形成された測定用トナー像(パッチ画像)の濃度(載り量)を検知する濃度検知センサ5が配設されている。中間転写ベルト6上に形成されたトナー像は、二次転写部9で記録材Pへ転写され、定着装置11にて加熱および加圧される。これにより、トナー像が記録材Pの表面に定着される。
【0016】
<多次色の色味変動要因>
まず、多次色の色味変動要因について説明する。通常は、YMCKのそれぞれを単色で濃度調整すれば、多次色の濃度も適切に調整できるはずである。ここでいう濃度調整とは、後述するYMCK各色の濃度調整テーブルを作成することである。YMCKの各入力画像の濃度を対応する濃度調整テーブルで調整することで、入力画像の濃度と出力画像の濃度とが一致するようになる。入力画像の濃度は、元画像の濃度であり、出力画像の濃度は記録材Pに形成された画像の濃度である。
【0017】
しかし、多次色の色味変動の程度は、一次転写部7で起こる再転写という現象によって、大きく変化する。よって、単色の濃度変動と多次色の色味変動は必ずしも同じ傾向とは限らない。
【0018】
図2を用いて再転写現象について説明する。トナーの搬送方向で上流の像形成部10では、感光ドラム1から中間転写ベルト6にトナーt−が転写される。トナーt−は中間転写ベルト6により搬送され、搬送方向で下流の像形成部10の転写ニップ部に到達する。下流の像形成部10の感光ドラム1と一次転写部7の一次転写ローラとの間にはトナーの転写を促進するための転写電界が存在する。一方で、この転写電界は、放電現象をもたらす。放電現象によって中間転写ベルト6上のトナーの帯電極性が反転し、トナーt+が生成される。トナーt+は、中間転写ベルト6から下流の像形成部10の感光ドラム1に転写されてしまう。この現象を再転写現象という。再転写現象が発生すると、中間転写ベルト6上におけるトナーの載り量が理想量から減少してしまう。これにより、多次色の色味が変動してしまうのである。
【0019】
したがって、YMCKの像形成部10Y〜10Kがタンデム配置された画像形成装置100においては、Y、M、Cに対して再転写を考慮して濃度調整しなくてはならない。この再転写量は、トナーの帯電量によって大きな影響を受ける。
【0020】
図3は、トナー帯電量が異なる2つのケースにおける転写電位と再転写量の関係を示している。図3に示すように、トナー帯電量が大きい場合、ニップ部における帯電極性の反転現象がおきにくいため、再転写量は小さい。一方、トナー帯電量が小さい場合、反転現象が起きやすく、再転写量は増加する。
【0021】
次に、多次色の色味変動と再転写の関係について説明する。YMCK単色の濃度調整は、まず、図1のように中間転写ベルト6の周面の移動方向で最下流の像形成部10Kよりも下流であって、二次転写部9よりは上流の位置に配置された濃度検知センサ5がトナーの載り量を検知する。このトナー載り量が目標値となるように、上述した濃度調整テーブルが作成される。
【0022】
例えば、マゼンタ(M)単色の濃度調整を考えてみると、濃度検知センサ5は、シアンの像形成部10Cおよびブラックの像形成部10Kを通過してきたマゼンタトナーの載り量を検知する。よって、再転写によって失われたトナーを考慮して、マゼンタのトナー載り量を決定しなければならない。
【0023】
一方、多次色を形成する際には、図4が示すように、マゼンタの像形成部10Mで形成されたトナー層Mtの上に下流に位置するシアンの像形成部10Cでトナー層Ctが重畳される。さらに、ブラックの像形成部10Kでトナー層が重畳されることもある。
【0024】
ここで、多次色の一例としてブルーを形成する際のマゼンタの再転写量を説明する。まず、マゼンタの像形成部10Mで必要量のマゼンタトナーが中間転写ベルト6上に転写され、マゼンタトナーがシアンの像形成部10Cへ進む。シアンの像形成部10Cは、マゼンタトナーの上にシアントナーを重ねて転写する。このとき、マゼンタトナーは、シアンの像形成部10Cにおける転写電界の影響を受けるが、単色でマゼンタトナー像が形成されるときと比較して、再転写量が大幅に減少する。例えば、ブルーベタ画像の場合、シアンの像形成部10Cにおけるマゼンタトナーの再転写量はほぼ0となる。これは、図4に示すように、マゼンタベタ画像の上にシアンベタ画像が転写されるからである。このように、単色の濃度変動には再転写の影響が大きく関係し、多次色の色味変動は再転写の影響はあまり受けない。
【0025】
実際の単色濃度調整では、中間転写ベルト6上の単色のトナー載り量を把握して載り量が調整されているため、再転写によるトナー載り量のロスが考慮されている。従って、単色の濃度調整量に合わせて多次色の濃度調整が実行される。
【0026】
このように、単色画像形成時のトナー載り量と多次色画像形成時のトナー載り量は再転写の影響も加味して設計されている。しかしながら、再転写量はトナー帯電量の影響を大きく受けるため、単色時と多次色時の載り量設定の関係が理想状態から変化してしまうことがある。
【0027】
例えば、YMCの画像を低濃度で連続出力した場合、初期においてはトナー帯電量が目標帯電量に維持されているため、単色と多次色の載り量が適切になっている。しかし、画像枚数が多くなるにしたがい、トナー帯電量が目標帯電量から変化してゆく。低濃度の画像を形成する場合、トナーが現像装置4内に滞留する時間が長くなり、トナーの摩擦回数が増加し、トナーの帯電量が目標帯電量よりも増加(チャージアップ)してしまう。トナーの帯電量が目標帯電量よりも増加すると、図3に示したように、例えばマゼンタトナーの下流に位置する像形成部10C、10Kにおける再転写量が減少する。そしてあるタイミングで、濃度調整(載り量調整)が開始されると、画像形成時と同じパラメータ設定で形成されたマゼンタのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5が検知する。このとき、再転写量の減少により、中間転写ベルト6上のトナー載り量が増加したことが検知される。その結果、画像形成装置100は、マゼンタの像形成部10Mでのトナー載り量を抑制する。同時に、画像形成装置100は、多次色についてのマゼンタトナーの載り量も抑制する。
【0028】
しかし、実際は多次色を形成するそれぞれ色の異なる複数のトナーのうち下層に配置されるトナーは、トナー帯電量の変化による再転写量の影響をほぼ受けない。よって、単色の載り量調整結果に応じて多次色の載り量調整を実行してしまうと、多次色におけるトナー載り量が不足してしまう。
【0029】
図5は、YMCK各色の画像を5%濃度で連続1000枚出力したときの1枚目と1000枚目のYMCKRGBの色度点の測定結果を示している。図5を見てわかるように、単色(YMC)の色度点は1枚目と1000枚目ともにほぼ同じである。しかし、ブルー、レッド、グリーンといった多次色の色度点は、1枚目と1000枚目とで異なってしまっている。ブルー、グリーンでは、シアン側に色度点がシフトしている。よって、イエローおよびマゼンタのトナー載り量が抑制されたことがわかる。レッドにおいてもより上流に位置するイエローの像形成部10Yでイエローのトナー載り量が抑制されたため、マゼンタ側に色度点がシフトしている。実際にマゼンタトナーの1枚目と1000枚目の各帯電量と、そのときのシアンの像形成部10Cにおける再転写量を調べた。その結果、トナー帯電量は20μC/gから30μC/gにチャージアップし、再転写量は減少していた。
【0030】
従来は、実際に多次色のテストパターンを記録材に形成し、ユーザー等が目視で確認しなければ、多次色の色味変動を把握することができなかった。そこで、本実施例では、それぞれ異なる転写電位で像担持体にそれぞれ色の異なるトナー像を形成し、像担持体上での各色のトナー像のトナー載り量の差が規定値を超えると、多次色濃度調整が必要と判断する。よって、本実施例では、記録材の消費を抑えつつ、ユーザーの負担を軽減することができるようになる。
【0031】
<制御ブロック>
本実施例における制御ブロック図を図6に示す。画像形成装置100は、ホストコンピュータ600から受信した印刷ジョブにしたがって画像を形成する。プリンタ制御部610は、画像処理部611とエンジン制御部612を備える。画像処理部611は、印刷ジョブに付随する画像データの色空間を変換し、トナー色の色空間の画像データ(濃度データ)に変換する。さらに、画像処理部611は、YMCKの各濃度データについて対応する濃度調整テーブルを記憶部613から読み出し、各濃度データを調整する。濃度調整テーブルは、たとえば、ガンマ調整を行うルックアップテーブルである。濃度調整テーブルとしては、単色画像形成時に使用されるテーブルと、多色画像形成時に使用されるテーブルとがYMCごとに用意されている。
【0032】
エンジン制御部612は、画像形成に関与する各種のパラメータを制御するCPU614と、パッチ画像の画像データを発生するパッチ発生部615を備えている。エンジン制御部612は、さらに、表示装置と入力装置とを有した操作部616を備えている。操作部616は、ユーザーに対するユーザインタフェースとして機能する。エンジン620は、上述した一次転写部7や濃度検知センサ5などを備えている。
【0033】
CPU614がパッチ発生部615を制御してパッチ画像の画像データを発生させ、それをエンジン620の露光装置3に供給する。露光装置3によって、パッチ画像の潜像が感光ドラム1に形成される。潜像は、現像装置4によって現像され、トナー像になる。トナー像は、CPU614によって設定された転写電位を印加された一次転写部7によって、中間転写ベルト6に一次転写される。とりわけ、CPU614は、2種類の一次転写電位を用いてそれぞれ形成したパッチ画像の濃度(トナー載り量)を測定し、これら差が規定値を超えていれば、多次色のトナー載り量の調整(濃度調整)が必要と判定する。
【0034】
<濃度検知センサの概要>
濃度検知センサ5は、たとえば、図7に示すような発光素子701、正反射光受光素子702および乱反射光受光素子703を備えている。発光素子701が発光した光は、中間転写ベルト6上のトナー700で反射される。正反射光受光素子702は、トナー700からの反射光のうち正反射光成分を受光し、受光量に応じた電流を出力する。同様に、乱反射光受光素子703は、トナー700からの反射光のうち乱反射光成分を受光し、受光量に応じた電流を出力する。
【0035】
なお、中間転写ベルト6上のトナー載り量を把握できれば、他のセンサが使用されてもよい。たとえば、2つの発光素子と1つの受光素子とにより構成された濃度検知センサ5が使用されてもよい。発光素子701の発光波長は、トナーの反射率特性を考慮して、800nmないし850nm程度であればよい。発光素子701の発光波長は、トナーの反射率特性に応じて決定される。
【0036】
本実施例では、高濃度部の濃度を検知するため、乱反射光受光素子703が受光した乱反射光成分を使用する。なお、ブラックトナーは、光を吸収してしまい、乱反射光成分が非常に小さくなってしまう。そこで、ブラックトナーに対しては正反射光成分を用いる。なお、ブラックトナーに対して正反射光成分を用いて濃度を検知すると、高濃度部の検知精度は低下してしまうが、これは本実施例では大きな問題ではない。なぜなら、本実施例では、再転写現象が問題となるイエロー、マゼンタ、シアンのトナー載り量を把握することが重要だからである。
【0037】
<濃度検知動作>
濃度検知センサ5を使った濃度検知について説明する。本実施例では、濃度調整を開始すると、画像形成装置100は、図8に示すような9段階で濃度が異なる9つのパッチ画像を形成する。各パッチ画像のサイズは、主走査方向に15mm、画像進行方向である副走査方向に25mmである。
【0038】
濃度検知センサ5は、2ms毎にトータルで25点の濃度を測定し、測定値をCPU614に出力する。CPU614は、25点の測定値のうち、最大値と最小値を除外した残りの23点の測定値の平均値を算出する。CPU614は、センサ出力・濃度変換テーブルを使用して平均値Vaveを濃度情報に変換する。図9は、センサ出力・濃度変換テーブルの一例を示している。センサ出力・濃度変換テーブルは、濃度検知センサ5の個体差を考慮して予め工場出荷時に作成されて、エンジン制御部612が備える不揮発メモリに格納される。
【0039】
<多次色濃度調整の必要性判定>
本実施例では、エンジン制御部612は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを単色で濃度調整するだけでなく、多次色の色味変動を検知して多次色の濃度調整が必要かどうかを判断する。とりわけ、本実施例では、単色のトナー載り量を把握する場合と、多次色のトナー載り量を把握する場合とで一次転写部7における転写電位を変えている点に特徴がある。
【0040】
CPU614は、単色のトナー載り量を把握する場合には通常画像形成時の転写電位を一次転写部7に設定し、多次色のトナー載り量を把握する場合には多次色に関与する複数の像形成部のうち下流の像形成部の転写電位を所定値(例:0ボルト)に設定する。通常画像形成とは、ホストコンピュータ600から受信した印刷ジョブにしたがって記録材Pに画像を形成することをいう。
【0041】
たとえば、イエロートナーを必要とする多次色のトナー載り量を把握する場合には、マゼンタ、シアン、ブラックの一次転写電位が0Vに設定される。マゼンタトナーを必要とする多次色のトナー載り量を把握する場合には、シアン、ブラックの一次転写電位が0Vに設定される。さらに、シアントナーを必要とする多次色のトナー載り量を把握する場合には、ブラックの一次転写電位が0Vに設定される。
【0042】
図10は、CPU614が実行する濃度調整の手順を示すフローチャートである。図1および図6を参照しつつ、マゼンタトナー単色での濃度調整とマゼンタトナーが関与する多次色の濃度調整とを一例として説明する。CPU614は、濃度調整開始時条件が満たされると、図10に示した濃度調整を開始する。濃度調整開始時条件とは、たとえば、ユーザーにより開始が指示されたこと、画像形成枚数が規定枚数に到達したことなどである。
【0043】
S101で、CPU614は、パッチ発生部615を制御し、YMCK単色で濃度調整するためのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3に渡す。また、CPU614は、マゼンタの一次転写部7M、シアンの一次転写部7C、ブラックの一次転写部7Kのそれぞれに通常の転写電位Vnを設定する。通常の転写電位Vnは、印刷ジョブを実行するときに設定される転写電位である。CPU614は、帯電装置2、露光装置3、現像装置4および一次転写部7を制御し、図8に示したパッチ画像を中間転写ベルト6に形成する。上流の像形成部で一次転写されたパッチ画像は、下流の像形成部を通過し、濃度検知センサ5に到達する。たとえば、イエロートナー像であれば、マゼンタの像形成部10M、シアンの像形成部10C、ブラックの像形成部10Kを通過する。
【0044】
S102で、CPU614は、中間転写ベルト6上のパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。具体的には、濃度検知センサ5の位置までパッチ画像が搬送されると、濃度検知センサ5が波長850nmの光をパッチ画像に照射し、その反射光を受光する。CPU614は、濃度検知センサ5の出力結果(平均値Vave)を図9のテーブルを用いて濃度情報に変換する。
【0045】
S103で、CPU614は、濃度情報に基づいて濃度調整テーブル(γLUT)を作成し、画像処理部611の記憶部613に記憶する。具体的に、CPU614は、測定した濃度値から、パッチ画像の画像データにおける濃度レベル(入力濃度レベル)に対する現在の濃度特性を求める。例えば、図11が示すように、求めた現在の濃度特性が規定の濃度特性よりも全体的に高い濃度特性になったと仮定する。CPU614は、出力結果が規定の濃度特性になるように、図12に示すような一次元の濃度調整テーブル(γLUT)を作成する。図11中で示した現在の濃度特性を規定の濃度特性に近付ける濃度調整テーブルは、図12の実線で示したような濃度調整カーブのテーブルとなる。通常の画像を形成するときは、画像処理部611が記憶部613からこのテーブルを読み出して、入力濃度を出力濃度に変換する。
【0046】
このように、CPU614は、第1の色を単色で使用して画像を形成する際に使用される単色用濃度調整テーブルを作成するときは、第1の転写電位および第2の転写電位として、画像形成ジョブを実行する際に使用される転写電位Vnを設定する。さらに、CPU614は、濃度検知手段が検知した第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を目標濃度に変換する単色用濃度調整テーブルを作成する。
【0047】
次に多次色の濃度変動を把握する。本実施例では、再転写量の変化による濃度変動を把握するため、最下流に位置するブラックの像形成部10K以外の像形成部10Y〜10Cに着目する。ブラックの像形成部10Kと濃度検知センサ5との間には、再転写現象の原因となる像形成部が存在しないからである。なお、最下流の位置する像形成部がイエロー、マゼンタ、シアンのいずれかの像形成部であれば、その色に対する再転写は発生しない。そのため、最下流の位置する像形成部のトナーについては濃度調整を実行する必要はない。このように、本実施例では、再転写現象の影響を受けるイエロー、マゼンタ、シアンのトナー画像が多次色画像を形成する際に下層に形成された場合について、濃度調整の必要性を把握する。
【0048】
S104で、CPU614は、パッチ発生部615を制御し、イエローのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3Yに渡す。パッチ画像は、図8に示した通りである。また、CPU614は、イエローの一次転写部7Yに通常の転写電位Vnを設定し、それより下流のマゼンタの一次転写部7M、シアンの一次転写部7C、ブラックの一次転写部7Kのそれぞれに転写電位V0を設定する。転写電位V0は、たとえば、0Vである。このように、一次転写部7Yは、第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段の一例である。マゼンタの一次転写部7M、シアンの一次転写部7C、ブラックの一次転写部7Kは、画像の搬送方向において第1転写手段よりも下流に位置し、第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により像担持体上に転写する第2転写手段の一例である。また、CPU614は、第1の転写電位と第2の転写電位とを設定する設定手段の一例である。
【0049】
転写電位は、図13に示すような再転写特性を有している。つまり、転写電位が0VないしVxであれば、再転写量が0になる。図13に示すような再転写特性であれば、転写電位V0を0VないしVxに設定すればよい。ここでは、説明の簡潔化のために、V0=0とする。これにより、イエローのパッチ画像が中間転写ベルト6上に形成され、濃度検知センサ5の検知位置まで搬送される。ここで、特徴的なことは、中間転写ベルト6上に多次色のトナー像を形成しないことである。
【0050】
S105で、CPU614は、中間転写ベルト6上のイエローのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。濃度検知センサ5の測定値は、上述した手順で、濃度値に変換される。このように、濃度検知センサ5は、画像の搬送方向において第2転写手段よりも下流に位置し、像担持体上に形成された第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を検知する濃度検知手段の一例である。
【0051】
S106で、CPU614は、イエローのパッチ画像の濃度値を基準濃度値と比較し、基準濃度値に対する色差ΔYを計算する。このように、CPU614は、濃度検知センサ5が検知した第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度から色差を求める。
【0052】
S107で、パッチ発生部615を制御し、マゼンタのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3Mに渡す。パッチ画像は、図8に示した通りである。また、CPU614は、マゼンタの一次転写部7Mに通常の転写電位Vnを設定し、それより下流のシアンの一次転写部7C、ブラックの一次転写部7Kのそれぞれに転写電位V0を設定する。これにより、マゼンタのパッチ画像が中間転写ベルト6上に形成され、濃度検知センサ5の検知位置まで搬送される。マゼンタのパッチ画像も単色のパッチ画像である。このように、一次転写部7Mは、第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段の一例である。シアンの一次転写部7C、ブラックの一次転写部7Kは、画像の搬送方向において第1転写手段よりも下流に位置し、第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により像担持体上に転写する第2転写手段の一例である。
【0053】
S108で、CPU614は、中間転写ベルト6上のマゼンタのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。濃度検知センサ5の測定値は、上述した手順で、濃度値に変換される。
【0054】
S109で、CPU614は、マゼンタのパッチ画像の濃度値を基準濃度値と比較し、規定濃度値に対する色差ΔMを計算する。
【0055】
S110で、パッチ発生部615を制御し、シアンのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3Cに渡す。パッチ画像は、図8に示した通りである。また、CPU614は、シアンの一次転写部7Cに通常の転写電位Vnを設定し、それより下流のブラックの一次転写部7Kに転写電位V0を設定する。これにより、シアンのパッチ画像が中間転写ベルト6上に形成され、濃度検知センサ5の検知位置まで搬送される。シアンのパッチ画像も単色のパッチ画像である。このように、一次転写部7Cは、第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段の一例である。ブラックの一次転写部7Kは、画像の搬送方向において第1転写手段よりも下流に位置し、第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により像担持体上に転写する第2転写手段の一例である。
【0056】
S111で、CPU614は、中間転写ベルト6上のシアンのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。濃度検知センサ5の測定値は、上述した手順で、濃度値に変換される。
【0057】
S112で、CPU614は、シアンのパッチ画像の濃度値を基準濃度値と比較し、規定濃度値に対する色差ΔCを計算する。
【0058】
S113で、CPU614は、色差に基づいて多次色の濃度調整が必要かどうかを判定する。たとえば、CPU614は、トータルでの色差ΔEを算出し、色差Δが規定値以上かどうかを判定する。ΔE=√(ΔY・ΔY + ΔM・ΔM + ΔC・ΔC)。規定値は、たとえば、3である。なぜなら、ΔE≦3は日本色彩研究所が指定するA級許容差、すなわち、人がほとんど感じない色差だからである。ただし、ΔEの規定値は、画像形成装置100の設計上、任意の値である。ΔEの規定値は、画像形成装置100に求められる品質に応じて決定されるべき値だからである。ΔE≧3の場合、多次色の色味変動が人間によって目視可能となるため、CPU614は、多次色の濃度調整が必要と判定する。この場合、S114に進む。このように、CPU614は、濃度検知手段が検知した第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度から求まる色差が閾値以上になると第1の色の色材についての濃度調整が必要と判定する判定手段として機能する。
【0059】
S114で、CPU614は、多次色の濃度調整が必要であることを示すメッセージを、操作部616の表示装置などを通じてユーザーに出力する。CPU614は、操作部616の入力装置を通じて多次色の濃度調整の開始をユーザーに指示されると、多次色の濃度調整を開始する。なお、ユーザーの指示を待たずに、CPU614は、多次色の濃度調整を開始してもよい。ΔE<3の場合、CPU614は、多次色の濃度調整が不要と判定し、本フローチャートにかかる処理を終了する。
【0060】
本実施例によれば、CPU614は、第1の色の色材について濃度調整が必要かどうかを判定するときに、画像形成ジョブを実行する際の転写電位を第1の転写電位に設定し、第2転写手段で第1の色の色材のパッチ画像の再転写が発生しない転写電位を第2の転写電位に設定する。これにより、再転写の影響を軽減できるため、CPU614は、精度よく、多次色の濃度調整が必要かどうかを判定できる。
【0061】
図10によれば、CPU614は、まず単色の濃度調整を行い、次に多次色を形成する際に下層になるトナーの載り量を把握する。そして、CPU614は、多次色の濃度調整が必要と判定すると、ユーザーに多次色の濃度調整の必要性を示唆するメッセージを出力したり、多次色の濃度調整を開始したりする。
【0062】
<多次色濃度調整>
本実施例で行う多次色濃度調整について説明する。本実施例で行う多次色濃度調整は、主に、画像処理部611が実行する。
【0063】
図14は、画像処理部611における濃度調整機能を示すブロック図である。入力データ取得部1401は、印刷ジョブに付随する画像データを取得する。画像データは、R、G、Bの各色データを有している。第1色処理部1402は、R、G、Bの各色データをLab(正しくはL*、a*、b*)色空間で表されるL、a、bの色データに変換する。濃度調整部1403は、第1色処理部1402から出力された色データ(L、a、b)に対して濃度調整を実行し、色データ(L’、a’、b’)第2色処理部1405に出力する。第2色処理部1405は、濃度調整部1403から出力された色データ(L’、a’、b’)をエンジン制御部612が取り扱う色空間(YMCK)に変換する。
【0064】
読み取り部1406は、画像形成装置100が記録材上に形成した第1の色の色材を使用したパッチ画像を読み取る読取手段として機能する。具体的に、読み取り部1406は、エンジン620が出力したテストチャート1407を読み取り、読み取ったデータをデータ処理部1404に出力する。データ処理部1404は、読み取り部1406が読み取ったデータをLabデータに変換する。
【0065】
CPU614は、多次色の濃度調整が必要と判定すると、図15に示すような多次色のパッチ画像の画像データをパッチ発生部に発生させ、入力データ取得部1401に渡す。さらに、CPU614は、エンジン620を制御して図15に示すような多次色のパッチ画像を記録材Pに出力することで、テストチャート1407を作成する。この際に、CPU614は、第1の転写電位および第2の転写電位として、画像形成ジョブを実行する際に使用される転写電位を設定する。つまり、一次転写部7Y、7M、7C、7Kともに転写電位Vnが設定される。これにより、画像形成装置100は、記録材上に第1の色の色材を使用したパッチ画像であるテストチャート1407を作成する。
【0066】
読み取り部1406は、テストチャート1407における各パッチ画像の濃度を読み取り、RGB色空間で表される色データR、G、Bを出力する。データ処理部1404は、RGB色空間で表される色データR、G、BをLab色空間にマッピングして色度点を把握する。
【0067】
濃度調整部1403は、データ処理部1404が出力する読み取りデータと、第1色処理部1402が出力してきた入力データ(パッチ画像の画像データ)とを比較する。濃度調整部1403は、両者の色差が最小となるように、入力データ(Lab)を調整する。つまり、データ処理部1404は、記録材P上に形成されたパッチ画像の濃度を読み取り、当該パッチ画像の濃度を目標濃度に調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する。そして、濃度調整部1403は、多次色の下層色として第1の色を用いる画像形成において、多次色用濃度調整テーブルを使用して入力画像の濃度を調整する。
【0068】
図16は、低濃度の画像を連続出力した際の1枚目(基準)と200枚目におけるグリーンの色度点X1、X2を示している。図16では、低濃度の画像を連続出力したことにより、トナーの帯電量や再転写量が変化し、1枚目と200枚目のグリーンの色度点が変化している。
【0069】
濃度調整部1403は、200枚目におけるグリーンの色度点X2が1枚目におけるグリーンの色度点X1となるように色度点X2濃度を調整する。具体的に、濃度調整部1403は、X2のLab値とX1のLab値を比較して、両者が同じになるような調整値を算出する。以降においては、濃度調整部1403がこの調整値で入力データを調整する。
【0070】
<効果の確認>
本実施例の技術的効果を確認するために、低濃度の画像を連続で1000枚出力した際の生産性(ユーザー負荷)を検証した。本実施例では、CPU614が、100枚毎に単色の濃度調整を実行する。
【0071】
比較例として、100枚毎の単色の濃度調整を実行した後に、記録材Pへパッチ画像を出力して多次色の濃度調整を行った。本実施例では、100枚毎の単色の濃度調整と同期して多次色の濃度調整の必要性を判断し、必要と判断したときにのみ多次色の濃度調整を実行した。
【0072】
その結果、本実施例では、多次色の濃度調整が約200枚毎に必要と判定されて実行された。つまり、本実施例では、100枚毎に実行された多次色濃度調整の必要性判定において、多次色濃度調整の必要がないと判定されたケースがあった。
【0073】
比較例では、1000枚の出力を行うと10回(100枚毎)の多次色濃度調整が実行されていたが、本実施例では、約5回(200枚毎)の多次色濃度調整が実行された。よって、本実施例は比較例と比較して、多次色濃度調整の実行回数を削減できている。その結果、本実施例は、生産性の向上はもとより、ユーザー負荷の低減効果があることもわかった。多次色濃度調整の実行回数を削減できるため、トナーの消費量や記録材Pの消費量を削減できる。
【0074】
図17は、本実施例を採用したときのYMCKRGBの色度点の1枚目と1000枚目との差を示している。本実施例では、1枚目と1000枚目との差が十分に削減されており、画像の品質も維持されることが分かる。
【0075】
<その他>
本実施例では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの単色濃度調整だけではなく、多次色の濃度調整も未定着トナーの濃度検知結果を用いて実行する。なお、多次色の濃度調整の必要性の判定を省略することで、必要性の判定に必要となっていたトナーの消費を削減できるようになる。
【0076】
図18は、本実施例における濃度調整を示すフローチャートである。すでに説明した個所には同一の参照番号を付与することで説明の簡潔化を図る。S101ないしS103で、CPU614は、単色での濃度調整を実行する。これにより、単色画像形成用の濃度調整テーブルが作成され、記憶部613に格納される。その後、S204に進む。
【0077】
S204で、CPU614は、パッチ発生部615を制御し、イエローのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3Yに渡す。パッチ画像は、図8に示した通りである。また、CPU614は、イエローの一次転写部7Yに通常の転写電位Vnを設定し、それより下流のマゼンタの一次転写部7M、シアンの一次転写部7C、ブラックの一次転写部7Kのそれぞれに転写電位V0を設定する。転写電位V0は、たとえば、0Vである。ここで、特徴的なことは、中間転写ベルト6上に多次色のトナー像を形成しないことである。
【0078】
S205で、CPU614は、中間転写ベルト6上のイエローのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。濃度検知センサ5の測定値は、上述した手順で、濃度値に変換される。
【0079】
S206で、CPU614は、イエローのパッチ画像の濃度値を基準濃度値に調整するための補正量を算出し、多次色画像形成で使用されるイエロー用の濃度調整テーブルを作成し、記憶部613に格納する。多次色用の濃度調整テーブルの作成方法は、単色用の濃度調整テーブルの作成方法と基本的に同一である。このように、CPU614は、濃度検知センサ5が検知した第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と目標濃度を比較し、当該パッチ画像の濃度を当該目標濃度に調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する作成手段として機能する。
【0080】
S207で、CPU614は、パッチ発生部615を制御し、マゼンタのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3Mに渡す。パッチ画像は、図8に示した通りである。また、CPU614は、マゼンタの一次転写部7Mに通常の転写電位Vnを設定し、それより下流のシアンの一次転写部7Cおよびブラックの一次転写部7Kのそれぞれに転写電位V0を設定する。転写電位V0は、たとえば、0Vである。
【0081】
S208で、CPU614は、中間転写ベルト6上のマゼンタのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。濃度検知センサ5の測定値は、上述した手順で濃度値に変換される。
【0082】
S209で、CPU614は、マゼンタのパッチ画像の濃度値を基準濃度値に調整するための補正量を算出し、多次色画像形成で使用されるマゼンタ用の濃度調整テーブルを作成し、記憶部613に格納する。このように、CPU614は、濃度検知センサ5が検知した第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と目標濃度を比較し、当該パッチ画像の濃度を当該目標濃度に調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する作成手段として機能する。
【0083】
S210で、CPU614は、パッチ発生部615を制御し、シアンのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3Cに渡す。パッチ画像は、図8に示した通りである。また、CPU614は、シアンの一次転写部7Cに通常の転写電位Vnを設定し、それより下流のブラックの一次転写部7Kに転写電位V0を設定する。転写電位V0は、たとえば、0Vである。
【0084】
S211で、CPU614は、中間転写ベルト6上のマゼンタのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。濃度検知センサ5の測定値は、上述した手順で濃度値に変換される。
【0085】
S212で、CPU614は、シアンのパッチ画像の濃度値を基準濃度値に調整するための補正量を算出し、多次色画像形成で使用されるシアン用の濃度調整テーブルを作成し、記憶部613に格納する。このように、CPU614は、濃度検知センサ5が検知した第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と目標濃度を比較し、当該パッチ画像の濃度を当該目標濃度に調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する作成手段として機能する。画像形成装置100は、第1の色を下層色として使用して多次色の画像を形成する際に、多次色用濃度調整テーブルを用いて入力画像の濃度を変換して多次色の画像を形成する。
【0086】
本実施例によれば、パッチ画像を形成した像形成部よりも下流に位置する像形成部の転写電位を制御することで、再転写の影響を受けていないトナー載り量を把握する。これは、多次色を形成するときに下層色となるトナーの載り量は再転写現象の影響を受けにくいからである。
【0087】
本実施例によれば、単色の濃度調整と多次色の濃度調整とを同一のタイミングで実施することになるが、これらを別々のタイミングで実施してもよい。たとえば、CPU614は、単色の濃度調整を2回実施するたびに多次色の濃度調整を1回実施してもよい。この比率は、予め工場出荷時にシミュレーションまたは実験を行うことで決定すればよい。また、本実施例では、多次色の濃度調整の必要性の判定を省略することで、必要性の判定に必要となっていたトナーの消費を削減できるようになる。
【0088】
本実施例の効果を確認するための実験を行った。すなわち、5%濃度の画像を連続して1000枚出力したところ、1枚目と1000枚目のCMYKRGBの色度点はほぼ同じであった。このように、本実施例では、記録材を使用せずに多次色の濃度調整を実行できるため、従来よりも記録材の消費量を抑えることができる。また、多次色の濃度調整が必要かどうかについてユーザーが判定する手間を省略できるため、ユーザーの負担を従来よりも軽減できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多色画像形成装置では使用期間が長くなるにつれて各色の画像の濃度が目標濃度から変化し、画像の色味が変動してしまう。そこで、画像形成装置は、テストパターンを形成し、内部に取り付けられたセンサを用いて、トナー載り量を測定し、所望の濃度になるよう各種パラメータを調整する。特許文献1によれば、2次色の濃度変化を調整する方法が提案されている。具体的に特許文献1では、2次色を含んだテストチャートを出力し、テストチャートを読み取り部で読み取ることで、2次色の濃度変動を把握して濃度に関連したパラメータを調整する色調調整装置が提案されている。なお、2次色とは、それぞれ色が異なる2種類のトナー(例:イエロートナー、マゼンタトナー)を重畳して形成される色をいう。3次色とは、それぞれ色が異なる3種類のトナー(例:イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー)を重畳して形成される色をいう。これらをまとめて多次色と呼ぶことにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−189278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の発明では、2次色の濃度変化を検知するために記録材にテストパターンを形成する必要がある。また、濃度調整の必要性は、ユーザーが目視で判断していた。つまり、ユーザーは、定期的または任意のタイミングで複写装置に印刷を実行させ、記録材に印刷された画像を見て、濃度調整が必要かどうかを判断しなければならない。そこで、本発明は、多次色濃度調整に関する記録材の消費を抑えつつ、ユーザーの負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の観点によれば、
第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段と、
前記画像の搬送方向において前記第1転写手段よりも下流に位置し、前記第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により前記像担持体上に転写する第2転写手段と、
前記第1の転写電位と前記第2の転写電位とを設定する設定手段と、
前記画像の搬送方向において前記第2転写手段よりも下流に位置し、前記像担持体上に形成された前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段が検知した前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と基準濃度とから求まる色差が閾値以上になると前記第1の色の色材についての濃度調整が必要と判定する判定手段と
を備え、
前記判定手段が前記第1の色の色材について濃度調整が必要かどうかを判定するときに、前記設定手段は、画像形成ジョブを実行する際の転写電位を前記第1の転写電位に設定し、前記第1の色の色材のパッチ画像が前記第2転写手段へ再転写しない転写電位を前記第2の転写電位に設定することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0006】
本発明の第2の観点によれば、
第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段と、
前記画像の搬送方向において前記第1転写手段よりも下流に位置し、前記第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により前記像担持体上に転写する第2転写手段と、
前記第1の転写電位と前記第2の転写電位とを設定する設定手段と、
前記画像の搬送方向において前記第2転写手段よりも下流に位置し、前記像担持体上に形成された前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段が検知した前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と目標濃度を比較し、当該パッチ画像の濃度を当該目標濃度に調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する作成手段と
を備え、
前記画像形成装置は、前記第1の色を下層色として使用して多次色の画像を形成する際に、前記多次色用濃度調整テーブルを用いて入力画像の濃度を変換して前記多次色の画像を形成することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1の観点によれば、画像形成装置は、第1転写手段と第2転写手段とにそれぞれ異なる転写電位を設定してパッチ画像を形成し、像担持体上でのパッチ画像の濃度から求まる色差が規定値以上になると、多次色濃度調整が必要と判定する。本発明では、記録材を消費せずに多次色濃度調整の必要性を判定できるため、記録材の消費を抑えることができる。また、多次色濃度調整の必要性の判定は、画像形成装置が実行するため、ユーザーの負担が軽減される。
【0008】
本発明の第2の観点によれば、画像形成装置は、第1転写手段と第2転写手段とにそれぞれ異なる転写電位を設定してパッチ画像を形成し、像担持体上でのパッチ画像の濃度が目標濃度となるように多次色用濃度調整テーブルを作成する。本発明では、記録材を消費せずに多次色用濃度調整テーブルを作成できるため、記録材の消費を抑えることができる。また、多次色濃度調整の必要性の判定は不要であるため、ユーザーの負担が軽減される。
【0009】
このように、本発明によれば、多次色濃度調整に関する記録材の消費を抑えつつ、ユーザーの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置を示す図
【図2】転写ニップ部における再転写現象を示す図
【図3】トナー帯電量と再転写量の関係を示す図
【図4】多次色形成示す図
【図5】低印刷率で画像を連続出力した際の1枚目と1000枚目の色度点を示す図
【図6】制御ブロックを示す図
【図7】濃度検知センサを示す図
【図8】パッチ画像を示す図
【図9】センサ出力・濃度値変換テーブルの一例を示す図
【図10】濃度調整処理を示すフローチャート
【図11】濃度特性の一例を示す図
【図12】濃度調整テーブルの一例を示す図
【図13】転写電位と再転写量との関係を示した図
【図14】多次色濃度調整を行うブロックを示す図
【図15】多次色濃度調整用のテストチャートを示す図
【図16】多次色濃度変動の一例を示した図
【図17】多次色濃度調整を行った後の出力結果を示す図
【図18】記録材を使用しない濃度調整処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施例では、それぞれ異なる転写電位で像担持体にそれぞれ色の異なるトナー像を形成し、像担持体上での各色のトナー像のトナー載り量の差(色差)が規定値以上になると、多次色濃度調整が必要と判断する。よって、本発明では、記録材の消費を抑えつつ、ユーザーの負担を軽減することができるようになる。なお、多次色濃度調整としては、公知の調整方法や未公知の調整方法など、任意の調整方法を使用できる。
【0012】
<画像形成装置の概略>
図1はタンデム型の多色画像形成装置の概略断面図である。画像形成装置100は、それぞれ色の異なるトナー像を形成する4つの像形成部10Y〜10Kを備えている。なお、参照番号に付与するYMCKはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを意味する。YMCKに共通する事項を説明する際には、参照番号におけるYMCKの表記を省略することにする。
【0013】
感光ドラム1は、帯電装置2によって一様に帯電させられる像担持体である。露光装置3は、画像情報に応じた光量の光ビームによって感光ドラム1の像形成面を走査し、潜像を形成する。現像装置4は、トナーを用いて潜像を現像し、トナー像を形成する。一次転写部7は、所定の一次転写電位を印加されたローラを備え、感光ドラム1から中間転写ベルト6へトナー像を一次転写する。ドラムクリーナ8は、トナー像を一次転写した後に感光ドラム1に残存しているトナーを清掃する。
【0014】
図1が示すように、トナー像の搬送方向で最も上流側にイエロー用の像形成部10Yが設けられている。そこから、下流側に向かって、マゼンタ用の像形成部10M、シアン用の像形成部10C、および、ブラック用の像形成部10Kが順番に配置されている。よって、中間転写ベルト6には、イエロートナー像が最下層に一次転写され、その上の層にマゼンタトナー像が一次転写され、さらにその上にシアントナー像が一次転写され、最上層にブラックトナー像が一次転写される。任意の2つ以上のトナー色を用いて多次色のトナー像が形成される場合、各色のトナーが重畳される順番はこのような順番となる。
【0015】
中間転写ベルト6のトナーを担持する面に対向する位置に、この中間転写ベルト6上に形成された測定用トナー像(パッチ画像)の濃度(載り量)を検知する濃度検知センサ5が配設されている。中間転写ベルト6上に形成されたトナー像は、二次転写部9で記録材Pへ転写され、定着装置11にて加熱および加圧される。これにより、トナー像が記録材Pの表面に定着される。
【0016】
<多次色の色味変動要因>
まず、多次色の色味変動要因について説明する。通常は、YMCKのそれぞれを単色で濃度調整すれば、多次色の濃度も適切に調整できるはずである。ここでいう濃度調整とは、後述するYMCK各色の濃度調整テーブルを作成することである。YMCKの各入力画像の濃度を対応する濃度調整テーブルで調整することで、入力画像の濃度と出力画像の濃度とが一致するようになる。入力画像の濃度は、元画像の濃度であり、出力画像の濃度は記録材Pに形成された画像の濃度である。
【0017】
しかし、多次色の色味変動の程度は、一次転写部7で起こる再転写という現象によって、大きく変化する。よって、単色の濃度変動と多次色の色味変動は必ずしも同じ傾向とは限らない。
【0018】
図2を用いて再転写現象について説明する。トナーの搬送方向で上流の像形成部10では、感光ドラム1から中間転写ベルト6にトナーt−が転写される。トナーt−は中間転写ベルト6により搬送され、搬送方向で下流の像形成部10の転写ニップ部に到達する。下流の像形成部10の感光ドラム1と一次転写部7の一次転写ローラとの間にはトナーの転写を促進するための転写電界が存在する。一方で、この転写電界は、放電現象をもたらす。放電現象によって中間転写ベルト6上のトナーの帯電極性が反転し、トナーt+が生成される。トナーt+は、中間転写ベルト6から下流の像形成部10の感光ドラム1に転写されてしまう。この現象を再転写現象という。再転写現象が発生すると、中間転写ベルト6上におけるトナーの載り量が理想量から減少してしまう。これにより、多次色の色味が変動してしまうのである。
【0019】
したがって、YMCKの像形成部10Y〜10Kがタンデム配置された画像形成装置100においては、Y、M、Cに対して再転写を考慮して濃度調整しなくてはならない。この再転写量は、トナーの帯電量によって大きな影響を受ける。
【0020】
図3は、トナー帯電量が異なる2つのケースにおける転写電位と再転写量の関係を示している。図3に示すように、トナー帯電量が大きい場合、ニップ部における帯電極性の反転現象がおきにくいため、再転写量は小さい。一方、トナー帯電量が小さい場合、反転現象が起きやすく、再転写量は増加する。
【0021】
次に、多次色の色味変動と再転写の関係について説明する。YMCK単色の濃度調整は、まず、図1のように中間転写ベルト6の周面の移動方向で最下流の像形成部10Kよりも下流であって、二次転写部9よりは上流の位置に配置された濃度検知センサ5がトナーの載り量を検知する。このトナー載り量が目標値となるように、上述した濃度調整テーブルが作成される。
【0022】
例えば、マゼンタ(M)単色の濃度調整を考えてみると、濃度検知センサ5は、シアンの像形成部10Cおよびブラックの像形成部10Kを通過してきたマゼンタトナーの載り量を検知する。よって、再転写によって失われたトナーを考慮して、マゼンタのトナー載り量を決定しなければならない。
【0023】
一方、多次色を形成する際には、図4が示すように、マゼンタの像形成部10Mで形成されたトナー層Mtの上に下流に位置するシアンの像形成部10Cでトナー層Ctが重畳される。さらに、ブラックの像形成部10Kでトナー層が重畳されることもある。
【0024】
ここで、多次色の一例としてブルーを形成する際のマゼンタの再転写量を説明する。まず、マゼンタの像形成部10Mで必要量のマゼンタトナーが中間転写ベルト6上に転写され、マゼンタトナーがシアンの像形成部10Cへ進む。シアンの像形成部10Cは、マゼンタトナーの上にシアントナーを重ねて転写する。このとき、マゼンタトナーは、シアンの像形成部10Cにおける転写電界の影響を受けるが、単色でマゼンタトナー像が形成されるときと比較して、再転写量が大幅に減少する。例えば、ブルーベタ画像の場合、シアンの像形成部10Cにおけるマゼンタトナーの再転写量はほぼ0となる。これは、図4に示すように、マゼンタベタ画像の上にシアンベタ画像が転写されるからである。このように、単色の濃度変動には再転写の影響が大きく関係し、多次色の色味変動は再転写の影響はあまり受けない。
【0025】
実際の単色濃度調整では、中間転写ベルト6上の単色のトナー載り量を把握して載り量が調整されているため、再転写によるトナー載り量のロスが考慮されている。従って、単色の濃度調整量に合わせて多次色の濃度調整が実行される。
【0026】
このように、単色画像形成時のトナー載り量と多次色画像形成時のトナー載り量は再転写の影響も加味して設計されている。しかしながら、再転写量はトナー帯電量の影響を大きく受けるため、単色時と多次色時の載り量設定の関係が理想状態から変化してしまうことがある。
【0027】
例えば、YMCの画像を低濃度で連続出力した場合、初期においてはトナー帯電量が目標帯電量に維持されているため、単色と多次色の載り量が適切になっている。しかし、画像枚数が多くなるにしたがい、トナー帯電量が目標帯電量から変化してゆく。低濃度の画像を形成する場合、トナーが現像装置4内に滞留する時間が長くなり、トナーの摩擦回数が増加し、トナーの帯電量が目標帯電量よりも増加(チャージアップ)してしまう。トナーの帯電量が目標帯電量よりも増加すると、図3に示したように、例えばマゼンタトナーの下流に位置する像形成部10C、10Kにおける再転写量が減少する。そしてあるタイミングで、濃度調整(載り量調整)が開始されると、画像形成時と同じパラメータ設定で形成されたマゼンタのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5が検知する。このとき、再転写量の減少により、中間転写ベルト6上のトナー載り量が増加したことが検知される。その結果、画像形成装置100は、マゼンタの像形成部10Mでのトナー載り量を抑制する。同時に、画像形成装置100は、多次色についてのマゼンタトナーの載り量も抑制する。
【0028】
しかし、実際は多次色を形成するそれぞれ色の異なる複数のトナーのうち下層に配置されるトナーは、トナー帯電量の変化による再転写量の影響をほぼ受けない。よって、単色の載り量調整結果に応じて多次色の載り量調整を実行してしまうと、多次色におけるトナー載り量が不足してしまう。
【0029】
図5は、YMCK各色の画像を5%濃度で連続1000枚出力したときの1枚目と1000枚目のYMCKRGBの色度点の測定結果を示している。図5を見てわかるように、単色(YMC)の色度点は1枚目と1000枚目ともにほぼ同じである。しかし、ブルー、レッド、グリーンといった多次色の色度点は、1枚目と1000枚目とで異なってしまっている。ブルー、グリーンでは、シアン側に色度点がシフトしている。よって、イエローおよびマゼンタのトナー載り量が抑制されたことがわかる。レッドにおいてもより上流に位置するイエローの像形成部10Yでイエローのトナー載り量が抑制されたため、マゼンタ側に色度点がシフトしている。実際にマゼンタトナーの1枚目と1000枚目の各帯電量と、そのときのシアンの像形成部10Cにおける再転写量を調べた。その結果、トナー帯電量は20μC/gから30μC/gにチャージアップし、再転写量は減少していた。
【0030】
従来は、実際に多次色のテストパターンを記録材に形成し、ユーザー等が目視で確認しなければ、多次色の色味変動を把握することができなかった。そこで、本実施例では、それぞれ異なる転写電位で像担持体にそれぞれ色の異なるトナー像を形成し、像担持体上での各色のトナー像のトナー載り量の差が規定値を超えると、多次色濃度調整が必要と判断する。よって、本実施例では、記録材の消費を抑えつつ、ユーザーの負担を軽減することができるようになる。
【0031】
<制御ブロック>
本実施例における制御ブロック図を図6に示す。画像形成装置100は、ホストコンピュータ600から受信した印刷ジョブにしたがって画像を形成する。プリンタ制御部610は、画像処理部611とエンジン制御部612を備える。画像処理部611は、印刷ジョブに付随する画像データの色空間を変換し、トナー色の色空間の画像データ(濃度データ)に変換する。さらに、画像処理部611は、YMCKの各濃度データについて対応する濃度調整テーブルを記憶部613から読み出し、各濃度データを調整する。濃度調整テーブルは、たとえば、ガンマ調整を行うルックアップテーブルである。濃度調整テーブルとしては、単色画像形成時に使用されるテーブルと、多色画像形成時に使用されるテーブルとがYMCごとに用意されている。
【0032】
エンジン制御部612は、画像形成に関与する各種のパラメータを制御するCPU614と、パッチ画像の画像データを発生するパッチ発生部615を備えている。エンジン制御部612は、さらに、表示装置と入力装置とを有した操作部616を備えている。操作部616は、ユーザーに対するユーザインタフェースとして機能する。エンジン620は、上述した一次転写部7や濃度検知センサ5などを備えている。
【0033】
CPU614がパッチ発生部615を制御してパッチ画像の画像データを発生させ、それをエンジン620の露光装置3に供給する。露光装置3によって、パッチ画像の潜像が感光ドラム1に形成される。潜像は、現像装置4によって現像され、トナー像になる。トナー像は、CPU614によって設定された転写電位を印加された一次転写部7によって、中間転写ベルト6に一次転写される。とりわけ、CPU614は、2種類の一次転写電位を用いてそれぞれ形成したパッチ画像の濃度(トナー載り量)を測定し、これら差が規定値を超えていれば、多次色のトナー載り量の調整(濃度調整)が必要と判定する。
【0034】
<濃度検知センサの概要>
濃度検知センサ5は、たとえば、図7に示すような発光素子701、正反射光受光素子702および乱反射光受光素子703を備えている。発光素子701が発光した光は、中間転写ベルト6上のトナー700で反射される。正反射光受光素子702は、トナー700からの反射光のうち正反射光成分を受光し、受光量に応じた電流を出力する。同様に、乱反射光受光素子703は、トナー700からの反射光のうち乱反射光成分を受光し、受光量に応じた電流を出力する。
【0035】
なお、中間転写ベルト6上のトナー載り量を把握できれば、他のセンサが使用されてもよい。たとえば、2つの発光素子と1つの受光素子とにより構成された濃度検知センサ5が使用されてもよい。発光素子701の発光波長は、トナーの反射率特性を考慮して、800nmないし850nm程度であればよい。発光素子701の発光波長は、トナーの反射率特性に応じて決定される。
【0036】
本実施例では、高濃度部の濃度を検知するため、乱反射光受光素子703が受光した乱反射光成分を使用する。なお、ブラックトナーは、光を吸収してしまい、乱反射光成分が非常に小さくなってしまう。そこで、ブラックトナーに対しては正反射光成分を用いる。なお、ブラックトナーに対して正反射光成分を用いて濃度を検知すると、高濃度部の検知精度は低下してしまうが、これは本実施例では大きな問題ではない。なぜなら、本実施例では、再転写現象が問題となるイエロー、マゼンタ、シアンのトナー載り量を把握することが重要だからである。
【0037】
<濃度検知動作>
濃度検知センサ5を使った濃度検知について説明する。本実施例では、濃度調整を開始すると、画像形成装置100は、図8に示すような9段階で濃度が異なる9つのパッチ画像を形成する。各パッチ画像のサイズは、主走査方向に15mm、画像進行方向である副走査方向に25mmである。
【0038】
濃度検知センサ5は、2ms毎にトータルで25点の濃度を測定し、測定値をCPU614に出力する。CPU614は、25点の測定値のうち、最大値と最小値を除外した残りの23点の測定値の平均値を算出する。CPU614は、センサ出力・濃度変換テーブルを使用して平均値Vaveを濃度情報に変換する。図9は、センサ出力・濃度変換テーブルの一例を示している。センサ出力・濃度変換テーブルは、濃度検知センサ5の個体差を考慮して予め工場出荷時に作成されて、エンジン制御部612が備える不揮発メモリに格納される。
【0039】
<多次色濃度調整の必要性判定>
本実施例では、エンジン制御部612は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを単色で濃度調整するだけでなく、多次色の色味変動を検知して多次色の濃度調整が必要かどうかを判断する。とりわけ、本実施例では、単色のトナー載り量を把握する場合と、多次色のトナー載り量を把握する場合とで一次転写部7における転写電位を変えている点に特徴がある。
【0040】
CPU614は、単色のトナー載り量を把握する場合には通常画像形成時の転写電位を一次転写部7に設定し、多次色のトナー載り量を把握する場合には多次色に関与する複数の像形成部のうち下流の像形成部の転写電位を所定値(例:0ボルト)に設定する。通常画像形成とは、ホストコンピュータ600から受信した印刷ジョブにしたがって記録材Pに画像を形成することをいう。
【0041】
たとえば、イエロートナーを必要とする多次色のトナー載り量を把握する場合には、マゼンタ、シアン、ブラックの一次転写電位が0Vに設定される。マゼンタトナーを必要とする多次色のトナー載り量を把握する場合には、シアン、ブラックの一次転写電位が0Vに設定される。さらに、シアントナーを必要とする多次色のトナー載り量を把握する場合には、ブラックの一次転写電位が0Vに設定される。
【0042】
図10は、CPU614が実行する濃度調整の手順を示すフローチャートである。図1および図6を参照しつつ、マゼンタトナー単色での濃度調整とマゼンタトナーが関与する多次色の濃度調整とを一例として説明する。CPU614は、濃度調整開始時条件が満たされると、図10に示した濃度調整を開始する。濃度調整開始時条件とは、たとえば、ユーザーにより開始が指示されたこと、画像形成枚数が規定枚数に到達したことなどである。
【0043】
S101で、CPU614は、パッチ発生部615を制御し、YMCK単色で濃度調整するためのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3に渡す。また、CPU614は、マゼンタの一次転写部7M、シアンの一次転写部7C、ブラックの一次転写部7Kのそれぞれに通常の転写電位Vnを設定する。通常の転写電位Vnは、印刷ジョブを実行するときに設定される転写電位である。CPU614は、帯電装置2、露光装置3、現像装置4および一次転写部7を制御し、図8に示したパッチ画像を中間転写ベルト6に形成する。上流の像形成部で一次転写されたパッチ画像は、下流の像形成部を通過し、濃度検知センサ5に到達する。たとえば、イエロートナー像であれば、マゼンタの像形成部10M、シアンの像形成部10C、ブラックの像形成部10Kを通過する。
【0044】
S102で、CPU614は、中間転写ベルト6上のパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。具体的には、濃度検知センサ5の位置までパッチ画像が搬送されると、濃度検知センサ5が波長850nmの光をパッチ画像に照射し、その反射光を受光する。CPU614は、濃度検知センサ5の出力結果(平均値Vave)を図9のテーブルを用いて濃度情報に変換する。
【0045】
S103で、CPU614は、濃度情報に基づいて濃度調整テーブル(γLUT)を作成し、画像処理部611の記憶部613に記憶する。具体的に、CPU614は、測定した濃度値から、パッチ画像の画像データにおける濃度レベル(入力濃度レベル)に対する現在の濃度特性を求める。例えば、図11が示すように、求めた現在の濃度特性が規定の濃度特性よりも全体的に高い濃度特性になったと仮定する。CPU614は、出力結果が規定の濃度特性になるように、図12に示すような一次元の濃度調整テーブル(γLUT)を作成する。図11中で示した現在の濃度特性を規定の濃度特性に近付ける濃度調整テーブルは、図12の実線で示したような濃度調整カーブのテーブルとなる。通常の画像を形成するときは、画像処理部611が記憶部613からこのテーブルを読み出して、入力濃度を出力濃度に変換する。
【0046】
このように、CPU614は、第1の色を単色で使用して画像を形成する際に使用される単色用濃度調整テーブルを作成するときは、第1の転写電位および第2の転写電位として、画像形成ジョブを実行する際に使用される転写電位Vnを設定する。さらに、CPU614は、濃度検知手段が検知した第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を目標濃度に変換する単色用濃度調整テーブルを作成する。
【0047】
次に多次色の濃度変動を把握する。本実施例では、再転写量の変化による濃度変動を把握するため、最下流に位置するブラックの像形成部10K以外の像形成部10Y〜10Cに着目する。ブラックの像形成部10Kと濃度検知センサ5との間には、再転写現象の原因となる像形成部が存在しないからである。なお、最下流の位置する像形成部がイエロー、マゼンタ、シアンのいずれかの像形成部であれば、その色に対する再転写は発生しない。そのため、最下流の位置する像形成部のトナーについては濃度調整を実行する必要はない。このように、本実施例では、再転写現象の影響を受けるイエロー、マゼンタ、シアンのトナー画像が多次色画像を形成する際に下層に形成された場合について、濃度調整の必要性を把握する。
【0048】
S104で、CPU614は、パッチ発生部615を制御し、イエローのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3Yに渡す。パッチ画像は、図8に示した通りである。また、CPU614は、イエローの一次転写部7Yに通常の転写電位Vnを設定し、それより下流のマゼンタの一次転写部7M、シアンの一次転写部7C、ブラックの一次転写部7Kのそれぞれに転写電位V0を設定する。転写電位V0は、たとえば、0Vである。このように、一次転写部7Yは、第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段の一例である。マゼンタの一次転写部7M、シアンの一次転写部7C、ブラックの一次転写部7Kは、画像の搬送方向において第1転写手段よりも下流に位置し、第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により像担持体上に転写する第2転写手段の一例である。また、CPU614は、第1の転写電位と第2の転写電位とを設定する設定手段の一例である。
【0049】
転写電位は、図13に示すような再転写特性を有している。つまり、転写電位が0VないしVxであれば、再転写量が0になる。図13に示すような再転写特性であれば、転写電位V0を0VないしVxに設定すればよい。ここでは、説明の簡潔化のために、V0=0とする。これにより、イエローのパッチ画像が中間転写ベルト6上に形成され、濃度検知センサ5の検知位置まで搬送される。ここで、特徴的なことは、中間転写ベルト6上に多次色のトナー像を形成しないことである。
【0050】
S105で、CPU614は、中間転写ベルト6上のイエローのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。濃度検知センサ5の測定値は、上述した手順で、濃度値に変換される。このように、濃度検知センサ5は、画像の搬送方向において第2転写手段よりも下流に位置し、像担持体上に形成された第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を検知する濃度検知手段の一例である。
【0051】
S106で、CPU614は、イエローのパッチ画像の濃度値を基準濃度値と比較し、基準濃度値に対する色差ΔYを計算する。このように、CPU614は、濃度検知センサ5が検知した第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度から色差を求める。
【0052】
S107で、パッチ発生部615を制御し、マゼンタのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3Mに渡す。パッチ画像は、図8に示した通りである。また、CPU614は、マゼンタの一次転写部7Mに通常の転写電位Vnを設定し、それより下流のシアンの一次転写部7C、ブラックの一次転写部7Kのそれぞれに転写電位V0を設定する。これにより、マゼンタのパッチ画像が中間転写ベルト6上に形成され、濃度検知センサ5の検知位置まで搬送される。マゼンタのパッチ画像も単色のパッチ画像である。このように、一次転写部7Mは、第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段の一例である。シアンの一次転写部7C、ブラックの一次転写部7Kは、画像の搬送方向において第1転写手段よりも下流に位置し、第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により像担持体上に転写する第2転写手段の一例である。
【0053】
S108で、CPU614は、中間転写ベルト6上のマゼンタのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。濃度検知センサ5の測定値は、上述した手順で、濃度値に変換される。
【0054】
S109で、CPU614は、マゼンタのパッチ画像の濃度値を基準濃度値と比較し、規定濃度値に対する色差ΔMを計算する。
【0055】
S110で、パッチ発生部615を制御し、シアンのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3Cに渡す。パッチ画像は、図8に示した通りである。また、CPU614は、シアンの一次転写部7Cに通常の転写電位Vnを設定し、それより下流のブラックの一次転写部7Kに転写電位V0を設定する。これにより、シアンのパッチ画像が中間転写ベルト6上に形成され、濃度検知センサ5の検知位置まで搬送される。シアンのパッチ画像も単色のパッチ画像である。このように、一次転写部7Cは、第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段の一例である。ブラックの一次転写部7Kは、画像の搬送方向において第1転写手段よりも下流に位置し、第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により像担持体上に転写する第2転写手段の一例である。
【0056】
S111で、CPU614は、中間転写ベルト6上のシアンのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。濃度検知センサ5の測定値は、上述した手順で、濃度値に変換される。
【0057】
S112で、CPU614は、シアンのパッチ画像の濃度値を基準濃度値と比較し、規定濃度値に対する色差ΔCを計算する。
【0058】
S113で、CPU614は、色差に基づいて多次色の濃度調整が必要かどうかを判定する。たとえば、CPU614は、トータルでの色差ΔEを算出し、色差Δが規定値以上かどうかを判定する。ΔE=√(ΔY・ΔY + ΔM・ΔM + ΔC・ΔC)。規定値は、たとえば、3である。なぜなら、ΔE≦3は日本色彩研究所が指定するA級許容差、すなわち、人がほとんど感じない色差だからである。ただし、ΔEの規定値は、画像形成装置100の設計上、任意の値である。ΔEの規定値は、画像形成装置100に求められる品質に応じて決定されるべき値だからである。ΔE≧3の場合、多次色の色味変動が人間によって目視可能となるため、CPU614は、多次色の濃度調整が必要と判定する。この場合、S114に進む。このように、CPU614は、濃度検知手段が検知した第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度から求まる色差が閾値以上になると第1の色の色材についての濃度調整が必要と判定する判定手段として機能する。
【0059】
S114で、CPU614は、多次色の濃度調整が必要であることを示すメッセージを、操作部616の表示装置などを通じてユーザーに出力する。CPU614は、操作部616の入力装置を通じて多次色の濃度調整の開始をユーザーに指示されると、多次色の濃度調整を開始する。なお、ユーザーの指示を待たずに、CPU614は、多次色の濃度調整を開始してもよい。ΔE<3の場合、CPU614は、多次色の濃度調整が不要と判定し、本フローチャートにかかる処理を終了する。
【0060】
本実施例によれば、CPU614は、第1の色の色材について濃度調整が必要かどうかを判定するときに、画像形成ジョブを実行する際の転写電位を第1の転写電位に設定し、第2転写手段で第1の色の色材のパッチ画像の再転写が発生しない転写電位を第2の転写電位に設定する。これにより、再転写の影響を軽減できるため、CPU614は、精度よく、多次色の濃度調整が必要かどうかを判定できる。
【0061】
図10によれば、CPU614は、まず単色の濃度調整を行い、次に多次色を形成する際に下層になるトナーの載り量を把握する。そして、CPU614は、多次色の濃度調整が必要と判定すると、ユーザーに多次色の濃度調整の必要性を示唆するメッセージを出力したり、多次色の濃度調整を開始したりする。
【0062】
<多次色濃度調整>
本実施例で行う多次色濃度調整について説明する。本実施例で行う多次色濃度調整は、主に、画像処理部611が実行する。
【0063】
図14は、画像処理部611における濃度調整機能を示すブロック図である。入力データ取得部1401は、印刷ジョブに付随する画像データを取得する。画像データは、R、G、Bの各色データを有している。第1色処理部1402は、R、G、Bの各色データをLab(正しくはL*、a*、b*)色空間で表されるL、a、bの色データに変換する。濃度調整部1403は、第1色処理部1402から出力された色データ(L、a、b)に対して濃度調整を実行し、色データ(L’、a’、b’)第2色処理部1405に出力する。第2色処理部1405は、濃度調整部1403から出力された色データ(L’、a’、b’)をエンジン制御部612が取り扱う色空間(YMCK)に変換する。
【0064】
読み取り部1406は、画像形成装置100が記録材上に形成した第1の色の色材を使用したパッチ画像を読み取る読取手段として機能する。具体的に、読み取り部1406は、エンジン620が出力したテストチャート1407を読み取り、読み取ったデータをデータ処理部1404に出力する。データ処理部1404は、読み取り部1406が読み取ったデータをLabデータに変換する。
【0065】
CPU614は、多次色の濃度調整が必要と判定すると、図15に示すような多次色のパッチ画像の画像データをパッチ発生部に発生させ、入力データ取得部1401に渡す。さらに、CPU614は、エンジン620を制御して図15に示すような多次色のパッチ画像を記録材Pに出力することで、テストチャート1407を作成する。この際に、CPU614は、第1の転写電位および第2の転写電位として、画像形成ジョブを実行する際に使用される転写電位を設定する。つまり、一次転写部7Y、7M、7C、7Kともに転写電位Vnが設定される。これにより、画像形成装置100は、記録材上に第1の色の色材を使用したパッチ画像であるテストチャート1407を作成する。
【0066】
読み取り部1406は、テストチャート1407における各パッチ画像の濃度を読み取り、RGB色空間で表される色データR、G、Bを出力する。データ処理部1404は、RGB色空間で表される色データR、G、BをLab色空間にマッピングして色度点を把握する。
【0067】
濃度調整部1403は、データ処理部1404が出力する読み取りデータと、第1色処理部1402が出力してきた入力データ(パッチ画像の画像データ)とを比較する。濃度調整部1403は、両者の色差が最小となるように、入力データ(Lab)を調整する。つまり、データ処理部1404は、記録材P上に形成されたパッチ画像の濃度を読み取り、当該パッチ画像の濃度を目標濃度に調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する。そして、濃度調整部1403は、多次色の下層色として第1の色を用いる画像形成において、多次色用濃度調整テーブルを使用して入力画像の濃度を調整する。
【0068】
図16は、低濃度の画像を連続出力した際の1枚目(基準)と200枚目におけるグリーンの色度点X1、X2を示している。図16では、低濃度の画像を連続出力したことにより、トナーの帯電量や再転写量が変化し、1枚目と200枚目のグリーンの色度点が変化している。
【0069】
濃度調整部1403は、200枚目におけるグリーンの色度点X2が1枚目におけるグリーンの色度点X1となるように色度点X2濃度を調整する。具体的に、濃度調整部1403は、X2のLab値とX1のLab値を比較して、両者が同じになるような調整値を算出する。以降においては、濃度調整部1403がこの調整値で入力データを調整する。
【0070】
<効果の確認>
本実施例の技術的効果を確認するために、低濃度の画像を連続で1000枚出力した際の生産性(ユーザー負荷)を検証した。本実施例では、CPU614が、100枚毎に単色の濃度調整を実行する。
【0071】
比較例として、100枚毎の単色の濃度調整を実行した後に、記録材Pへパッチ画像を出力して多次色の濃度調整を行った。本実施例では、100枚毎の単色の濃度調整と同期して多次色の濃度調整の必要性を判断し、必要と判断したときにのみ多次色の濃度調整を実行した。
【0072】
その結果、本実施例では、多次色の濃度調整が約200枚毎に必要と判定されて実行された。つまり、本実施例では、100枚毎に実行された多次色濃度調整の必要性判定において、多次色濃度調整の必要がないと判定されたケースがあった。
【0073】
比較例では、1000枚の出力を行うと10回(100枚毎)の多次色濃度調整が実行されていたが、本実施例では、約5回(200枚毎)の多次色濃度調整が実行された。よって、本実施例は比較例と比較して、多次色濃度調整の実行回数を削減できている。その結果、本実施例は、生産性の向上はもとより、ユーザー負荷の低減効果があることもわかった。多次色濃度調整の実行回数を削減できるため、トナーの消費量や記録材Pの消費量を削減できる。
【0074】
図17は、本実施例を採用したときのYMCKRGBの色度点の1枚目と1000枚目との差を示している。本実施例では、1枚目と1000枚目との差が十分に削減されており、画像の品質も維持されることが分かる。
【0075】
<その他>
本実施例では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの単色濃度調整だけではなく、多次色の濃度調整も未定着トナーの濃度検知結果を用いて実行する。なお、多次色の濃度調整の必要性の判定を省略することで、必要性の判定に必要となっていたトナーの消費を削減できるようになる。
【0076】
図18は、本実施例における濃度調整を示すフローチャートである。すでに説明した個所には同一の参照番号を付与することで説明の簡潔化を図る。S101ないしS103で、CPU614は、単色での濃度調整を実行する。これにより、単色画像形成用の濃度調整テーブルが作成され、記憶部613に格納される。その後、S204に進む。
【0077】
S204で、CPU614は、パッチ発生部615を制御し、イエローのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3Yに渡す。パッチ画像は、図8に示した通りである。また、CPU614は、イエローの一次転写部7Yに通常の転写電位Vnを設定し、それより下流のマゼンタの一次転写部7M、シアンの一次転写部7C、ブラックの一次転写部7Kのそれぞれに転写電位V0を設定する。転写電位V0は、たとえば、0Vである。ここで、特徴的なことは、中間転写ベルト6上に多次色のトナー像を形成しないことである。
【0078】
S205で、CPU614は、中間転写ベルト6上のイエローのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。濃度検知センサ5の測定値は、上述した手順で、濃度値に変換される。
【0079】
S206で、CPU614は、イエローのパッチ画像の濃度値を基準濃度値に調整するための補正量を算出し、多次色画像形成で使用されるイエロー用の濃度調整テーブルを作成し、記憶部613に格納する。多次色用の濃度調整テーブルの作成方法は、単色用の濃度調整テーブルの作成方法と基本的に同一である。このように、CPU614は、濃度検知センサ5が検知した第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と目標濃度を比較し、当該パッチ画像の濃度を当該目標濃度に調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する作成手段として機能する。
【0080】
S207で、CPU614は、パッチ発生部615を制御し、マゼンタのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3Mに渡す。パッチ画像は、図8に示した通りである。また、CPU614は、マゼンタの一次転写部7Mに通常の転写電位Vnを設定し、それより下流のシアンの一次転写部7Cおよびブラックの一次転写部7Kのそれぞれに転写電位V0を設定する。転写電位V0は、たとえば、0Vである。
【0081】
S208で、CPU614は、中間転写ベルト6上のマゼンタのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。濃度検知センサ5の測定値は、上述した手順で濃度値に変換される。
【0082】
S209で、CPU614は、マゼンタのパッチ画像の濃度値を基準濃度値に調整するための補正量を算出し、多次色画像形成で使用されるマゼンタ用の濃度調整テーブルを作成し、記憶部613に格納する。このように、CPU614は、濃度検知センサ5が検知した第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と目標濃度を比較し、当該パッチ画像の濃度を当該目標濃度に調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する作成手段として機能する。
【0083】
S210で、CPU614は、パッチ発生部615を制御し、シアンのパッチ画像の画像データを発生させ、エンジン620の露光装置3Cに渡す。パッチ画像は、図8に示した通りである。また、CPU614は、シアンの一次転写部7Cに通常の転写電位Vnを設定し、それより下流のブラックの一次転写部7Kに転写電位V0を設定する。転写電位V0は、たとえば、0Vである。
【0084】
S211で、CPU614は、中間転写ベルト6上のマゼンタのパッチ画像の濃度を濃度検知センサ5により検知する。濃度検知センサ5の測定値は、上述した手順で濃度値に変換される。
【0085】
S212で、CPU614は、シアンのパッチ画像の濃度値を基準濃度値に調整するための補正量を算出し、多次色画像形成で使用されるシアン用の濃度調整テーブルを作成し、記憶部613に格納する。このように、CPU614は、濃度検知センサ5が検知した第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と目標濃度を比較し、当該パッチ画像の濃度を当該目標濃度に調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する作成手段として機能する。画像形成装置100は、第1の色を下層色として使用して多次色の画像を形成する際に、多次色用濃度調整テーブルを用いて入力画像の濃度を変換して多次色の画像を形成する。
【0086】
本実施例によれば、パッチ画像を形成した像形成部よりも下流に位置する像形成部の転写電位を制御することで、再転写の影響を受けていないトナー載り量を把握する。これは、多次色を形成するときに下層色となるトナーの載り量は再転写現象の影響を受けにくいからである。
【0087】
本実施例によれば、単色の濃度調整と多次色の濃度調整とを同一のタイミングで実施することになるが、これらを別々のタイミングで実施してもよい。たとえば、CPU614は、単色の濃度調整を2回実施するたびに多次色の濃度調整を1回実施してもよい。この比率は、予め工場出荷時にシミュレーションまたは実験を行うことで決定すればよい。また、本実施例では、多次色の濃度調整の必要性の判定を省略することで、必要性の判定に必要となっていたトナーの消費を削減できるようになる。
【0088】
本実施例の効果を確認するための実験を行った。すなわち、5%濃度の画像を連続して1000枚出力したところ、1枚目と1000枚目のCMYKRGBの色度点はほぼ同じであった。このように、本実施例では、記録材を使用せずに多次色の濃度調整を実行できるため、従来よりも記録材の消費量を抑えることができる。また、多次色の濃度調整が必要かどうかについてユーザーが判定する手間を省略できるため、ユーザーの負担を従来よりも軽減できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段と、
前記画像の搬送方向において前記第1転写手段よりも下流に位置し、前記第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により前記像担持体上に転写する第2転写手段と、
前記第1の転写電位と前記第2の転写電位とを設定する設定手段と、
前記画像の搬送方向において前記第2転写手段よりも下流に位置し、前記像担持体上に形成された前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段が検知した前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と基準濃度とから求まる色差が閾値以上になると前記第1の色の色材についての濃度調整が必要と判定する判定手段と
を備え、
前記判定手段が前記第1の色の色材について濃度調整が必要かどうかを判定するときに、前記設定手段は、画像形成ジョブを実行する際の転写電位を前記第1の転写電位に設定し、前記第1の色の色材のパッチ画像が前記第2転写手段へ再転写しない転写電位を前記第2の転写電位に設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置が記録材上に形成した前記第1の色の色材を使用したパッチ画像を読み取る読取手段と、
前記判定手段が前記第1の色の色材について濃度調整が必要と判定すると、多次色の下層色として前記第1の色を用いる画像形成において入力画像の濃度を調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する作成手段とをさらに備え、
前記作成手段が前記多次色用濃度調整テーブルを作成するときに、前記設定手段が、前記第1の転写電位および前記第2の転写電位として、画像形成ジョブを実行する際に使用される転写電位を設定することで、前記画像形成装置が前記記録材上に前記第1の色の色材を使用したパッチ画像を形成し、前記読取手段は、前記記録材上に形成されたパッチ画像の濃度を読み取り、前記作成手段は、当該パッチ画像の濃度を目標濃度に調整する前記多次色用濃度調整テーブルを作成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記作成手段が、前記第1の色を単色で使用して画像を形成する際に使用される単色用濃度調整テーブルを作成するときは、前記設定手段が、前記第1の転写電位および前記第2の転写電位として、画像形成ジョブを実行する際に使用される転写電位を設定し、前記作成手段は、前記濃度検知手段が検知した前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を目標濃度に変換する前記単色用濃度調整テーブルを作成する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2転写手段で前記第1の色の色材のパッチ画像の再転写が発生しない転写電位は0ボルトであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段と、
前記画像の搬送方向において前記第1転写手段よりも下流に位置し、前記第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により前記像担持体上に転写する第2転写手段と、
前記第1の転写電位と前記第2の転写電位とを設定する設定手段と
を備えた画像形成装置であって、
前記画像の搬送方向において前記第2転写手段よりも下流に位置し、前記像担持体上に形成された前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段が検知した前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と目標濃度を比較し、当該パッチ画像の濃度を当該目標濃度に調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する作成手段と
をさらに備え、
前記画像形成装置は、前記第1の色を下層色として使用して多次色の画像を形成する際に、前記多次色用濃度調整テーブルを用いて入力画像の濃度を変換して前記多次色の画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段と、
前記画像の搬送方向において前記第1転写手段よりも下流に位置し、前記第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により前記像担持体上に転写する第2転写手段と、
前記第1の転写電位と前記第2の転写電位とを設定する設定手段と、
前記画像の搬送方向において前記第2転写手段よりも下流に位置し、前記像担持体上に形成された前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段が検知した前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と基準濃度とから求まる色差が閾値以上になると前記第1の色の色材についての濃度調整が必要と判定する判定手段と
を備え、
前記判定手段が前記第1の色の色材について濃度調整が必要かどうかを判定するときに、前記設定手段は、画像形成ジョブを実行する際の転写電位を前記第1の転写電位に設定し、前記第1の色の色材のパッチ画像が前記第2転写手段へ再転写しない転写電位を前記第2の転写電位に設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置が記録材上に形成した前記第1の色の色材を使用したパッチ画像を読み取る読取手段と、
前記判定手段が前記第1の色の色材について濃度調整が必要と判定すると、多次色の下層色として前記第1の色を用いる画像形成において入力画像の濃度を調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する作成手段とをさらに備え、
前記作成手段が前記多次色用濃度調整テーブルを作成するときに、前記設定手段が、前記第1の転写電位および前記第2の転写電位として、画像形成ジョブを実行する際に使用される転写電位を設定することで、前記画像形成装置が前記記録材上に前記第1の色の色材を使用したパッチ画像を形成し、前記読取手段は、前記記録材上に形成されたパッチ画像の濃度を読み取り、前記作成手段は、当該パッチ画像の濃度を目標濃度に調整する前記多次色用濃度調整テーブルを作成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記作成手段が、前記第1の色を単色で使用して画像を形成する際に使用される単色用濃度調整テーブルを作成するときは、前記設定手段が、前記第1の転写電位および前記第2の転写電位として、画像形成ジョブを実行する際に使用される転写電位を設定し、前記作成手段は、前記濃度検知手段が検知した前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を目標濃度に変換する前記単色用濃度調整テーブルを作成する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2転写手段で前記第1の色の色材のパッチ画像の再転写が発生しない転写電位は0ボルトであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
第1の色の色材を使用した画像を第1の転写電位により像担持体上に転写する第1転写手段と、
前記画像の搬送方向において前記第1転写手段よりも下流に位置し、前記第1の色とは異なる第2の色の色材を使用した画像を第2の転写電位により前記像担持体上に転写する第2転写手段と、
前記第1の転写電位と前記第2の転写電位とを設定する設定手段と
を備えた画像形成装置であって、
前記画像の搬送方向において前記第2転写手段よりも下流に位置し、前記像担持体上に形成された前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度を検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段が検知した前記第1の色の色材を使用したパッチ画像の濃度と目標濃度を比較し、当該パッチ画像の濃度を当該目標濃度に調整する多次色用濃度調整テーブルを作成する作成手段と
をさらに備え、
前記画像形成装置は、前記第1の色を下層色として使用して多次色の画像を形成する際に、前記多次色用濃度調整テーブルを用いて入力画像の濃度を変換して前記多次色の画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図8】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図8】
【図15】
【公開番号】特開2013−33113(P2013−33113A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168712(P2011−168712)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]