説明

画像形成装置

【課題】カラーとモノクロの混在文書に関して、カラー向けの定着温度制御ではモノクロのページの定着温度が必要以上となり、消費電力が増加してしまう。また、カラーページとモノクロページ間の切り替えタイミングで定着温度を制御した場合は、切り換えの周期が短いと定着温度制御が頻繁に動作して生産性が低下する。
【解決手段】定着温度制御が節電モードの際は、複数部印刷をページ毎の複数部印刷に変更して、カラーもしくはモノクロの印刷データを連続して印刷するようにすることでモノクロ印刷からカラー印刷への切り替えにおける移行時間を極力短くすることで、消費電力を抑えつつ、生産性の低下も抑えることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に、電子写真方式により形成されたトナー画像を転写紙上に熱定着する際の定着装置の温度調整に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式により形成されたトナー画像を転写紙上に熱定着する画像形成装置は、転写紙上に載せる単位面積当たりの色材量に応じて、定着装置での定着温度を決定する。通常、単位面積当たりの色材量の最大値をあらかじめ決めておき、単位面積当たりの色材量が最大値であるような画像を確実に定着することが可能な温度で定着するよう定着器の温度調整を行う。
【0003】
電子写真方式のカラー画像形成装置において、カラー印刷時はCMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)等の複数の色材を重ね合わせて画像形成を行うため、転写紙上に載せる色材量(以下、トナー量と呼ぶ)が多くなる傾向にあり、定着ローラの熱容量を大きくする必要がある。大きな熱容量は、電源投入後やスリープ明けの際などに定着装置が予め定められた温度より低い状態の場合、定められた温度に上昇するまでの定着ウォームアップ時間を長びかせ、印刷開始までの待ち時間を発生させる。また出力する画像が、想定するトナー量の最大値を大きく下回る量のトナーで形成される場合、例えばKの色材のみを使うモノクロ印刷の出力時には、過剰な加熱を行う事になる。
【0004】
これらの問題に対して、従来、1ページにおける文字、写真等の画像内容に応じて、定着温度を補正する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−39673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、カラーとモノクロの混在文書に関して、カラーの最大色数を想定した定着温度制御では、モノクロ文書のみのページに対して必要以上の定着温度の設定となり、消費電力が増加してしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献1の手法を用いると、カラーページとモノクロページ間の切り替えタイミングで、それぞれのページに適した定着温度に制御される。たとえば1ページごとにカラーとモノクロが切り替る印刷文書では定着温度制御が頻繁に動作して過熱と放熱とを短時間で繰り返してしまい、生産性の低下を招いてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を備える。
【0009】
すなわち、記録媒体上に形成されたトナー画像を熱定着する定着器を備え、該定着器による定着温度を制御する画像形成装置であって、
定着温度制御の方法が節電モードの場合、カラーモードとして自動モードが設定されているか否かを判定するカラーモードの判定手段と、
前記カラーモードの判定手段により、カラーモードとして自動モードが設定されていると判定された場合に、印刷方法として、ページ単位で設定部数を印刷する印刷方法を設定する印刷方法の設定手段と、
カラーモードが自動モードの場合には、カラー印刷モードかモノクロ印刷モードかをページごとに画像データに基づいて設定し、設定されている印刷モードに従って前記定着器の定着温度を制御する制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数部数の印刷を行う場合にページ単位で設定部数を印刷することで、ページ毎に制御される定着温度の変動を抑制し、印刷の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】画像形成装置101のコントローラ103の構成を示すブロック図である。
【図3】プリンタ部104の構成示すブロック図である。
【図4】モードとトナー量と温度の関係を示す表である。
【図5】定着温度と定着装置に供給する電圧の関係を示す図である。
【図6】カラー印刷からモノクロ印刷への切り替えによる時間と温度の変化を示した図である。
【図7】モノクロ印刷からカラー印刷への切り替えによる時間と温度の変化を示した図である。
【図8】定着温度制御の方法を設定するユーザインターフェイスを示した図である。
【図9】定着温度制御の高速モードの画像形成の流れを示すフローチャートである。
【図10】定着温度制御の節電モードの画像形成の流れを示すフローチャートである。
【図11】節電モード時の複数部印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】節電モード時のページレイアウト処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】節電モード設定時のパネル表示の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
[実施形態1]
図1は本発明の実施形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。このシステムではホストコンピュータ106及び画像形成装置101がネットワーク105に接続されているが、本発明における画像処理システムにおいては、これらの接続数に限られることはない。また、本実施形態では接続方法としてネットワークを適用しているが、これに限られることはない。例えば、USBなどのシリアル伝送方式、セントロニクスやSCSIなどのパラレル伝送方式なども適用可能である。
【0014】
ホストコンピュータ(以下、PCと称する)106はパーソナルコンピュータの機能を有している。このPC106はネットワーク105を用いてファイルを送受信することができる。さらには、PC106は画像形成装置101に対して、プリンタドライバを介した印刷データを送信することも可能となっている。
【0015】
画像形成装置101は、画像出力デバイスであるプリンタ部104、画像形成装置101全体の動作制御を司るコントローラ103、ユーザが指示を行うための複数のキーやユーザに通知すべき各種情報を表示する操作部102から構成される。
【0016】
図2は、画像形成装置101のコントローラ103の構成を示すブロック図である。
【0017】
コントローラ103はネットワーク105を介してPC106や外部の画像形成装置などと接続されている。これにより印刷データやデバイス情報の入出力が可能となっている。
【0018】
CPU201は、ROM203に記憶された制御プログラム等に基づいて接続中の各種デバイスとのアクセスを統括的に制御すると共に、コントローラ103内部で行われる画像処理等の各種処理についても統括的に制御する。RAM202は、CPU201が動作するためのシステムワークメモリであり、かつ画像データを一時記憶するためのメモリでもある。このRAM202は、記憶した内容を電源オフ後も保持しておくSRAM及び電源オフ後には記憶した内容が消去されてしまうDRAMにより構成されている。ROM203には装置のブートプログラムなどが格納されている。HDD204はハードディスクドライブであり、システムソフトウェアや画像データを格納することが可能となっている。
【0019】
操作部I/F205は、操作部102と接続するためのインターフェイス部である。この操作部I/F205は、操作部102に表示するための画像データを操作部102に出力すると共に、操作部102から入力された情報を取得する。操作部102にはたとえば図8や図13に示すユーザインターフェイスが表示され、定着器の制御モードをユーザが設定することができる。
【0020】
ネットワークI/F206はネットワーク105に接続し、画像データや情報の送受信を行う。
【0021】
レンダリング部207は、PC106などから送信された印刷データであるPDLコードデータを元に生成された中間データを受取り、ビットマップ(多値)の画像データや属性データを生成する。画像処理部208は、レンダリング部207で生成された画像データを受取り、この画像データに付随させられている属性データを参照しながら画像データに画像処理を施す。画像処理後の画像データは、プリンタI/F209を介してプリンタ部104に出力される。プリンタ部104は、画像処理部102が処理した色成分ごとの画像データに応じて露光光を駆動して感光体上に静電潜像を形成し、この静電潜像を当該色成分のトナーで現像して単色トナー像を形成する。この単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、この多色トナー像を図3の記録媒体311へ転写してその記録媒体上の多色トナー像を熱定着させる。単色トナー像および多色トナー像をトナー画像と総称する。
【0022】
図3はプリンタ部104の構成示すブロック図である。プリンタ部104はYMCKの4色で画像を形成可能な構成を有し、各色分を画像形成する単位をステーションと呼ぶ。ステーションは、符号の後に付した色の記号(YMCK、それぞれ黄、マゼンタ、シアン、黒)で表される。図3において注入帯電機323Y、323M、323C、323Kは、Y、M、C、Kの色毎に感光体322Y、322M、322C、322Kを帯電させる。また、各注入帯電器にはスリーブ323YS、323MS、323CS、323KSを備えている。感光体322Y、322M、322C、322Kは、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて回転するもので、駆動モータは感光体322Y、322M、322C、322Kを画像形成動作に応じて図の反時計周り方向に回転させる。露光手段は、感光体322Y、322M、322C、322Kへスキャナ部324Y、324M、324C、324Kより露光光を照射し、感光体322Y、322M、322C、322Kの表面を選択的に露光することにより、静電潜像を形成する。
【0023】
現像器26Y、26M、26C、26Kは、感光体表面に形成した静電潜像を可視化するために、Y、M、C、Kの色毎に現像を行う4個の現像器を備える。各現像器には、スリーブ26YS、26MS、26CS、26KSが設けられている。なお、各々の現像器26は脱着が可能である。
【0024】
中間転写体328は、感光体322の単色トナー像を転写するために時計周り方向に回転し、感光体322Y、322M、322C、322Kとそれぞれに対向して位置する一次転写ローラ327Y、327M、327C、327Kの回転に伴って、単色トナー像が転写される。一次転写ローラ327に適当なバイアス電圧を印加すると共に感光体322の回転速度と中間転写体328の回転速度に差をつけることにより、単色トナー像が効率良く中間転写体328上に転写される。これを一次転写という。
【0025】
更に、ステーション毎の単色トナー像は、中間転写体328上に重ね合わされる。重ね合わされた多色トナー像は、中間転写体328の回転に伴い二次転写ローラ329まで搬送される。同時に、記録媒体311が給紙トレイ321から二次転写ローラ329へ搬送され、記録媒体311に中間転写体328上の多色トナー像が転写される。このとき、二次転写ローラ329に適当なバイアス電圧を印加することで、記録媒体311に静電的にトナー像を転写する。これを二次転写という。二次転写ローラ329は、記録媒体311上に多色トナー像を転写している間、329aの位置で記録媒体311に当接し、二次転写処理後は329bの位置に離間する。
【0026】
定着装置331は、記録媒体311に転写された多色トナー像を記録媒体311に溶融定着させるために、記録媒体311を加熱する定着ローラ332と、記録媒体311を定着ローラ332に圧接させるための加圧ローラ333とを備えている。定着ローラ332と加圧ローラ333とは中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ334、335が内蔵されている。定着装置331は、多色トナー像を保持した記録媒体311を定着ローラ332と加圧ローラ333とにより搬送するとともに、記録媒体311に熱および圧力を加え、トナーを記録媒体311に定着させる。この時の熱量がトナー量に対して不十分であると定着不良を起こし正常な画像が得られないため、定着装置331には不図示の温度センサが取り付けられており、定着に十分な温度が確認された時初めて定着動作が行われるよう制御する。この温度制御はCPU104にて温度センサ情報とトナー量の関係から行われる。
【0027】
トナー定着後の記録媒体311は、その後図示しない排出ローラによって図示しない排紙トレイに排出されて画像形成動作を終了する。クリーニング手段330は、中間転写体328上に残ったトナーをクリーニングするものであり、中間転写体328上に形成された4色の多色トナー像を記録媒体311に転写した後に残った廃トナーは、クリーナ容器に蓄えられる。
【0028】
次にトナー量に関係するカラーモードと定着装置の必要温度の関係に関して説明する。
【0029】
トナー量とは画像上の単位面積当たりのトナー量の事を意味し、単位を%として説明する。具体的にはC,M,Y,Kの各色の最大値を100%とした時に、例えばその最大値を2色重ねた場合にそのエリアでは200%のトナー量と定義する。各色の最大値は、階調性を持っているため0〜100%までの間の値を取りえる。このトナー量は印刷モードによって最大値が異なる。印刷モードには、カラー印刷モードとモノクロ印刷モードとがあり、マニュアルで設定することもできるし、印刷対象の画像に応じて自動で設定することもできる。カラー印刷モードはCMYKの4色のトナーをフルに利用したモードで、任意の色をそのトナーで再現できる範囲で再現し、高品質なカラー印刷を行うモードである。カラー印刷モードの最大トナー量は、トナー量を減らすための画像処理たとえばUCR処理などが行われることから、240%ほどで必要十分である。
【0030】
カラー印刷モードに対して、モノクロ印刷モードは、Kの1色のトナーのみを使った印字モードで、その場合のトナー量の最大値は1色の最大値である100%になる。
【0031】
このように印刷モードで最大トナー量が異なるため、その時に必要とされる定着装置における定着温度は異なり、最大トナー量が高いほど必要温度も高くなる。カラー印刷モードでの定着温度をT1、モノクロ印刷モードでの定着温度をT2とすると、定着温度は、カラー印刷モードのT1がモノクロ印刷モードのT2より高くなる。この関係を示した表が図4になる。この対応表は制御で用いるためコントローラ103のRAM領域202に記憶しておく。もちろんT1とT2の具体的な数値が対応表には記憶される。
【0032】
図5は、定着温度と定着装置に供給する電圧の関係を示す図である。カラー印刷に必要な定着温度T1は、モノクロ印刷に必要な定着温度T2よりも高いため、カラーの定着温度T1のために供給する電圧V1は、モノクロの定着温度T2のために供給する電圧V2より高くある必要があり、V2>V1となる。そのため消費電力もカラー印刷のほうが多く必要とする。
【0033】
次に、カラー印刷とモノクロ印刷の定着温度の切り替え時間について説明する。図6は、カラー印刷モードからモノクロ印刷への切り替えによる時間と温度の変化を示した図である。カラー印刷モードの定着温度T1からモノクロの印刷モードに定着温度T2に移行する際には、冷却のための移行時間S1が必要となる。この移行時間S1の間は、定着温度はモノクロ印刷に必要なT2よりも高いため、モノクロ画像は印刷可能であり、定着温度がT2になる前に先行して印刷を行うことができる。
【0034】
図7は、モノクロ印刷モードからカラー印刷への切り替えによる時間と温度の変化を示した図である。モノクロ印刷モードの定着温度T2からカラーの印刷モードに定着温度T1に移行するためには、加熱のためS2の移行時間が必要となる。この移行時間S2の間においては、定着温度がカラー印刷に必要なT1よりも低く、定着温度T1になるまで、カラー画像は印刷することができない。
【0035】
<定着温度制御>
次に、定着装置331における定着温度制御の方法について説明する。図8は、定着温度制御の方法を設定するユーザインターフェイス(UI)を示した図である。UI801は、操作部102あるいは、PC106のプリンタドライバで表示される。
【0036】
定着温度制御の方法は、高速モードと節電モードの2つのモードで切り替えられ、ユーザはUI801のモード選択項目802の高速モードもしくは節電モードを選択することできる。選択されたモードは、設定ボタン803を押すことで、コントローラ103のRAM領域202に記憶され、定着温度制御のために、画像処理部208で用いられる。
【0037】
<高速モード>
図9は、定着温度制御の高速モードの定着温度制御の処理の流れを示すフローチャートである。以降のフローチャートに示される処理はCPU201からの命令を元に画像処理部208により処理される。
【0038】
高速モードが選択されている場合、画像処理部208は、レンダリング部207で生成された画像データを受け取り(ステップS901)、画像データの全ページがモノクロデータか否かを判断し(ステップS902)、全ページがモノクロデータであると判断された場合のみ定着温度をモノクロ印刷用の定着温度T2に設定する(ステップS903)。
【0039】
一方、ステップS902において1ページでもモノクロページ以外のページがある場合は、全ページに対して定着温度をカラー印刷用の定着温度T1に設定する(ステップS904)。
【0040】
画像処理された画像データは、プリンタ部104に送られ、プリンタ部104の定着装置331において設定した定着温度で定着動作が行われ印刷される。なお全ページがモノクロデータであるか否かの判定は、たとえばモノクロとカラーとでデータの形式が異なるため、その形式を参照して行う。ただし、形式上はカラーでも実質的にはモノクロのデータもあり得る。このような画像データについては、処理効率上はカラー画像として扱うのが望ましい。もちろんデータそのものを参照して、K以外の色成分が含まれていないページを判定することもできるが、判定処理の負荷が高くなる。
【0041】
このように高速モードでは、全ページに対して共通の定着温度を設定することで、モノクロ印刷とカラー印刷の切り替え時の移行時間をなくしている。
【0042】
<節電モード>
図11は、本実施形態における節電モード時の定着温度制御の処理の流れを示すフローチャートである。この手順は画像処理部208により実行される。
【0043】
まず、ステップS1101において、カラーモードが"自動"に設定されているか否かを判断する。カラーモードとは、画像データをカラー画像として印刷するか白黒画像として印刷するかを決定するための情報であり、「モノクロ印刷(白黒)」モードと「自動」モードとを含む。「カラー印刷」モードを含んでもよい。モノクロ印刷モードでは黒トナーのみを用いて画像が形成される。カラー印刷モードでは、本実施形態ではYMCKの4色のトナーで画像が形成される。「自動」モードでは、画像データの各ページ毎に色信号を調べてカラーデータかモノクロデータを判断し、カラーであればカラー印刷モードが、モノクロームであればモノクロ印刷モードが自動で設定される。なおカラーモードは画像形成装置101の操作パネルで設定でき、あるいはPC106のドライバのユーザインターフェイスで設定できる。
【0044】
カラーモードが"自動"に設定されていると判断された場合は、同じデータを何部印刷するかを設定する印刷部数の設定値(すなわち設定部数)が"1部"か"複数部"かを判断する(ステップS1102)。複数の部数(2部以上)が設定されている場合は、排紙方法が、印刷済みの用紙を部単位でページ順に並べる"ソート"に設定されているか否かを判断する(ステップS1103)。ソートに設定されていると判断された場合は、排紙方法の"ソート"の設定を解除し(ステップS1104)、印刷方法をページ毎の指定部数印刷に変更する(ステップS1105)。S1104とS1105は1ステップで実行されてもよい。印刷方法が、ページごとに指定部数を印刷するという設定になっていると、指定した部数連続して各ページを印刷する。したがって、ひとつのページを印刷している間は、印刷モードが「自動」にセットされていたとしても、カラー印刷であるかモノクロであるかいずれかの印刷モードが継続する。その後、図10に示す定着温度制御の節電モード処理(ステップS1106)を実行して、処理を終了する。なおステップS1102およびS1103をおこなわず、カラーモードが自動モードであると判定されたなら直ちにS1104へ進んでもよい。すなわち、カラーモードが自動モードの場合には、印刷方法として、ページごとに設定された部数を繰り返し印刷する印刷方法を設定する。図11では印刷部数が1の場合には印刷方法を変更していないが、この場合には変更してもしなくてもどちらでも同じ結果をもたらす。
【0045】
また、S1103でYesと判断され、S1104とS1105の処理を行う前に、操作部102またはPC106のディスプレイに、「ソートを解除し、印刷方法をページ毎の部数印刷に変更してもよいですか?」という内容のメッセージを表示してもよい。メッセージの表示後、変更してもよいという指示が入力された場合は、S1104のS1105の処理を行い、変更しない指示が入力された場合は、S1104とS1105の処理を行わない。
【0046】
一方、ステップS1103において、排紙方法がソートでない場合は、ステップS1106に進む。また、ステップS1002において、設定された部数が"1部"の場合にもステップS1106に進む。
【0047】
一方、ステップS1101において、カラーモードが、"自動"でないと判断された場合は、カラーモードが"モノクロ印刷モード"か否かを判断する(ステップS1107)。モノクロ印刷モードであると判断された場合は、全ページの定着温度はモノクロ印刷の定着温度T2に設定し(ステップS1108)、処理を終了する。
【0048】
一方、ステップS1107において、モノクロ印刷モードでないと判断された場合は、全ページの定着温度はカラー印刷の定着温度T1に設定し(ステップS1109)、処理を終了する。
【0049】
図10は、定着温度制御の節電モードの処理の流れを示すフローチャートで、図11のステップS1106の詳細を示す。
【0050】
ステップS1001で画像データを受け取ると、その最初のページのデータを取得する(ステップS1002)。取得したページがモノクロデータであるか否かを判断する(ステップS1103)。モノクロデータのページであると判断された場合は、このページの定着温度をモノクロ印刷用の定着温度T2に設定し(ステップS1004)、ステップS1006に進む。一方、ステップS1003において、モノクロデータのページでないと判断された場合は、このページの定着温度をカラー印刷用の定着温度T1に設定し(ステップS1005)、ステップS1006に進む。このように、モノクロ印刷モードの前記定着器の定着温度T1を、カラー印刷モードの前記定着器の定着温度T2よりも低温に設定する
ステップS1006では、画像データのすべてのページについて定着温度の設定処理が終了したか否かを判断する。残っているページがある場合は、次のページを取得して(ステップS1007)、ステップS1003に戻る。
【0051】
一方、ステップS1006において、すべてのページの定着温度の設定処理が終了したと判断された場合は、処理を終了する。
【0052】
画像処理部208で処理された画像データはプリンタ部104に送られ、その定着装置においては、ページ毎に、画像処理部208で設定された定着温度に切り替えられて定着動作が行われる。
【0053】
以上述べたように、定着温度制御が節電モードの際は、部単位のソート設定を解除してページ単位の複数部印刷に変更して、カラーもしくはモノクロの印刷データを印刷モードをできるだけ変えずに連続して印刷する。このようにすることでモノクロ印刷からカラー印刷への切り替えにおける移行時間を極力短くし、消費電力を抑えつつ、生産性の低下も抑えることが可能になる。
【0054】
[変形例]
なお、本実施形態では節電モードに設定されている場合には、図11の手順で排紙方法のソート設定を解除する場合があるが、図11の処理を選択可能とすることもできる。たとえばプリンタドライバや画像形成装置のユーザインターフェイスを介して、ソート設定の解除の可否を選択すると、その選択に応じて、ソート設定の解除が「否」であれば、節電モードが設定されていても図11の手順を行わずに、図10の処理を行う。このようにすることで、「ソート」設定の解除を防止することができる。
【0055】
[実施形態2]
実施形態1においては定着温度制御が節電モードの際は、複数部印刷の際の排紙方法の変更を行っていたが、複数部印刷ではない場合にも、カラーページとモノクロページが混在した場合に、無駄な電力を消費してしまう場合がある。そこで本実施形態では節電モード時のページレイアウトに関する設定処理について説明する。
【0056】
図12は、節電モード時のページレイアウト処理の流れを示すフローチャートである。この手順は画像処理部208により実行される。まず、ステップS1201において、設定されたカラーモードが、 "自動"に設定されているか否かを判断する。"自動"に設定されていると判断された場合は、用紙の片面に複数のページを割りつける割り付け印刷の設定がされているか否かを判断する(ステップS1202)。割り付け印刷は、たとえがNアップ印刷などとも呼ばれ、割りつけるページ数Nは、たとえば2,4,6,9など、所定の数値のうちから選択可能である。割り付け印刷が設定されている場合は、割り付け印刷の設定を解除する(ステップS1203)。
【0057】
次に、ステップS1204において、両面印刷の設定が"片面"か"両面"かを判断する。両面に設定されていると判断された場合は、両面印刷の設定を解除して片面印刷を設定し(ステップS1205)、前述した図10の定着温度制御の節電モードの処理(ステップS1206)を実行して、処理を終了する。すなわち、カラーモードが自動モードの場合には、片面印刷かつ1面に1ページを配置した印刷方法を設定する。
【0058】
一方、ステップS1204において、両面印刷の設定が"片面"の場合は、ステップS1206に進む。また、ステップS1202において、割り付け印刷の指定が"なし"の場合にも、ステップS1206に進む。
【0059】
一方、ステップS1201において、カラーモードが、"自動"でないと判断された場合は、カラーモードが"モノクロ印刷モード"か否かを判断する。(ステップS1207)。モノクロ印刷モードであると判断された場合は、全ページの定着温度はモノクロ印刷の定着温度T2に設定し(ステップS1208)、処理を終了する。一方、ステップS1207において、モノクロ印刷モードでないと判断された場合は、全ページの定着温度はカラー印刷の定着温度T1に設定し(ステップS1209)、処理を終了する。
【0060】
なお、図10の手順において、割り付け印刷が設定されている場合には、ステップS1003では、1つの面に割りつけられるページがすべてモノクロデータのページか否かが判定される。カラーページが含まれていればカラー印刷モードが選択されてS1005が実行される。すべてモノクロデータのページであればモノクロ印刷モードが選択されてS1004が実行される。また、図12においてはS1202およびS1204の判定をいずれもスキップすることができる。
【0061】
図13は、本実施形態における節電モード設定時のパネル表示の一例を示した図である。
【0062】
節電モード時は、ページレイアウト(ページ割り付け)に関する設定を無効にするため、ユーザに確認のメッセージ1301を表示する。なお第1の実施形態においても同様の警告を表示してもよい。ただし第1の実施形態では無効にされるのはソートの設定であるので、メッセージ1301に代えてその旨のメッセージが表示される。
【0063】
以上述べたように、定着温度制御が節電モードの際は、ページレイアウトの設定を変更して、同一ページ(用紙)内にカラーとモノクロの印刷データが混在しないようにすることで、カラーとモノクロの各ページに適した定着温度で定着動作を行うことで、消費電力の増加を抑えることができる。
【0064】
[その他の実施例]
第1の実施形態と第2の実施形態とを同時に実施してもよい。その場合には、たとえば、図11のS1106の代わりに、図12のS1202〜S1206を実行する。これによって、印刷部数とページ割り付けの両方の設定に応じて、定着のための消費電力の増加を抑制できる。
【0065】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に形成されたトナー画像を熱定着する定着器を備え、該定着器による定着温度を制御する画像形成装置であって、
定着温度制御の方法が節電モードの場合、カラーモードとして自動モードが設定されているか否かを判定するカラーモードの判定手段と、
前記カラーモードの判定手段により、カラーモードとして自動モードが設定されていると判定された場合に、印刷方法として、ページ単位で設定部数を印刷する印刷方法を設定する印刷方法の設定手段と、
カラーモードが自動モードの場合には、カラー印刷モードかモノクロ印刷モードかをページごとに画像データに基づいて設定し、設定されている印刷モードに従って前記定着器の定着温度を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記カラーモードの判定手段により、カラーモードとして自動モードが設定されていると判定された場合に、印刷方法として、片面印刷かつ1面に1ページを配置した印刷方法をさらに設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体上に形成されたトナー画像を熱定着する定着器を備え、該定着器による定着温度を制御する画像形成装置であって、
定着温度制御の方法が節電モードの場合、カラーモードとして自動モードが設定されているか否かを判定するカラーモードの判定手段と、
前記カラーモードの判定手段により、カラーモードとして自動モードが設定されていると判定された場合に、印刷方法として、片面印刷かつ1面に1ページを配置した印刷方法を設定する印刷方法の設定手段と、
カラーモードが自動モードの場合には、カラー印刷モードかモノクロ印刷モードかをページごとに画像データに基づいて設定し、設定されている印刷モードに従って前記定着器の定着温度を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
定着温度制御の方法として、節電モードを含むモードを選択できる定着温度制御の方法の設定手段を更に備え、
前記定着温度制御の方法の設定手段は、節電モードが選択された場合、印刷方法の設定ができない旨のメッセージを出力することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、モノクロ印刷モードの前記定着器の定着温度を、カラー印刷モードの前記定着器の定着温度よりも低温に設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−76954(P2013−76954A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218327(P2011−218327)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】