説明

画像表示装置

【課題】縦縞状の明暗を防止しつつも、装置の奥行きを短くし、光学系の構成の単純化を図ることができる画像表示装置を提供する。
【解決手段】透過型の液晶表示パネル7に対して出力する画像を、左眼用から右眼用に順次に切り換える際に、それぞれの画像に応じて面状光源15の行の点灯を1ライン光照射ユニット29ごとに制御する。面状光源15からの光は、フレネルレンズ19を介して右眼用方向と左眼用方向に交互に出射され、右眼用画像と左眼用画像とが交互に表示される。右眼用方向と左眼用方向との光は、奇数行と偶数行とに分けられているので、縦縞状の明暗が生じることはない。背面に面状光源15を備え、それらの間にフレネルレンズ19を備えることで面状光源15からの光を所定方向に導くので、装置の薄型化を図ることができ、光学系の単純化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型の液晶表示パネルに対して光源からの光を照射して、それぞれ異なる二方向に画像を表示させる画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、例えば、特殊なメガネを着用することなく両眼視差のある画像を観察者の左右の眼に分離して入力し、立体画像として認識させる画像表示装置がある。このような画像表示装置としては、例えば、液晶表示パネル側に右眼用と左眼用の一対の光源を配置し、液晶表示パネルの奥側にフレネルミラーを配置し、このフレネルミラーを用いて液晶表示パネル側へ一対の光源の光を反射させる構成のもの(第1の装置)がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、液晶表示パネル側の側方背面に左眼用と右眼用の一対の光源を配置し、一対の光源からの光を液晶表示パネル背面に導く導光体を液晶表示パネル背面に配置し、液晶表示パネルと導光体との間に、左方向または右方向へ光を分離するプリズムフィルムを備えたもの(第2の装置)が挙げられる(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
上記の第1の装置及び第2の装置は、視差がある右眼用画像と左眼用画像とを液晶表示パネルに時分割で交互に切り換え表示するとともに、画像の切り換え表示に同期して右眼用と左眼用の一対の光源を交互に点滅動作させている。これにより、右眼用画像と左眼用画像とが分離して観察者の右眼と左眼とに入射するので、観察者はいわゆる両眼視差に基づく3次元知覚により立体画像を見ることができる。
【特許文献1】特開2000−147669号公報(図1〜図3)
【特許文献2】特開2001−66547号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の第1の装置は、立体画像表示装置としては奥行きの長さを短くすることができるものの、右眼用の光源と左眼用の光源からの光をそれぞれ右眼及び左眼方向に反射させるために、フレネルミラーが、右眼用の光源と左眼用の光源側に縦長状の反射面が形成された帯状のミラーを交互に組み合わせて構成されている。そのため、液晶表示パネルの同一行内において右方向と左方向に光が出射されるので、液晶表示パネルには縦縞状に明暗が発生し、画像の左右方向における明暗均一性が悪いという問題がある。
【0006】
また、第2の装置は、第1の装置と同様に、立体画像表示装置としては奥行きの長さを短くすることができるものの、光を右眼方向に反射させる反射面と、光を左眼方向に反射させる反射面とが液晶表示パネルの同一行内で交互に形成されたプリズムフィルムが用いられている。そのため、上記第1の装置と同様に、液晶表示パネルには縦縞状に明暗が発生し、同様の問題が生じる。
【0007】
上記の問題を解決するために、光を左右方向に拡散する拡散部材を配置することが考えられる。しかしながら、この場合には、クロストーク(右眼用画像が左眼に入射し、左眼用画像が右眼に入射するという現象)が悪化して、立体画像の立体感が著しく悪化するという別異の問題が生じる。
【0008】
また、上記の明暗均一性が悪いという問題を解決するための異なる手法として、側方からの光を液晶表示パネルの背面に反射させる薄板状の楕円ミラーを、互いに反対側に向けた状態で積層配置してなる反射ユニットを備え、液晶表示パネルに右眼用と左眼用の光源の光を液晶表示パネルの表示ラインごと交互に導く構成のものが提案されている(特願2007−307168号)。
【0009】
しかしながら、上記の提案装置によると、液晶表示パネルにおける縦縞状の明暗は防止できるものの、楕円ミラーの構造上、装置の奥行きが通常の液晶表示装置よりも長くなり、光学系の構成が複雑化するという問題がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、縦縞状の明暗を防止しつつも、装置の奥行きを短くし、光学系の構成の単純化を図ることができる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、画像を表示するための画像表示装置において、画像を表示するための透過型の液晶表示パネルと、前記透過型の液晶表示パネルを背面から照射し、前記透過型の液晶表示パネルの表示ラインに沿って発光可能な複数の行を備えた面状光源と、前記面状光源と前記透過型の液晶表示パネルの間に介在し、前記面状光源の奇数行と偶数行の光を、それぞれ異なる第1の方向と第2の方向に出光させる屈折手段と、前記透過型の液晶表示パネルに第1の画像と第2の画像とを交互に出力させる画像出力手段と、前記画像出力手段が第1の画像から第2の画像に、または第2の画像から第1の画像に順次に切り換える際に、それぞれの画像に応じて前記面状光源の行の点灯を制御する光源制御手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、画像出力手段が透過型の液晶表示パネルに対して出力する画像を、第1の画像から第2の画像にまたは第2の画像から第1の画像に順次に切り換える際に、光源制御手段がそれぞれの画像に応じて面状光源の行の点灯を制御する。したがって、面状光源からの光は、屈折手段を介して第1の方向と第2の方向に交互に出射され、第1の画像と第2の画像とが交互に表示される。第1の方向と第2の方向との光は、奇数行と偶数行とに分けられているので、縦縞状の明暗が生じることはない。また、透過型の液晶表示パネルの背面に面状光源を備え、それらの間に屈折手段を備えることで面状光源からの光を所定方向に導くので、装置の薄型化を図ることができるとともに、光学系の単純化を図ることができる。
【0013】
また、本発明において、前記透過型の液晶表示パネルと前記屈折手段との間には、前記面状光源の複数の行が配置されている列方向と、前記面状光源の各行が沿う行方向のうち、列方向に対して前記屈折手段からの光を拡散させる拡散部材を備えていることが好ましい(請求項2)。面状光源の各行が配置されている列方向へ光を拡散させることにより、面状光源の奇数行と偶数行ごとに異なる方向へ光を導くことに起因する横縞状の明暗を抑制することができる。なお、拡散させる方向が列方向(縦方向)であるので、第1の画像と第2の画像との分離が悪化するな副作用は生じない。
【0014】
また、本発明において、前記屈折手段は、前記面状光源の行に相当する幅を有し、光軸が中央に設定されている帯状のフレネルレンズを、前記面状光源の各行に配設するとともに、前記面状光源の奇数行に位置するフレネルレンズと、前記面状光源の偶数行に位置するフレネルレンズとを、互いの光軸が所定間隔となる位置関係で前記面状光源の各行に沿ってずらして配設して構成されていることが好ましい(請求項3)。同じ光軸を有するフレネルレンズを、面状光源の奇数行と偶数行に位置するものとで各行に沿ってずらして配設することにより、面状光源からの光を所定間隔で第1の方向と第2の方向に導くことができる。また、同じ構成のフレネルレンズだけで屈折手段を構成できるので、コスト的に有利になる。
【0015】
また、本発明において、前記屈折手段は、前記面状光源の行に相当する幅を有し、光軸が中央から一方側に偏心して設定されている帯状のフレネルレンズを、前記面状光源の各行に配設するとともに、前記面状光源の奇数行に位置するフレネルレンズと、前記面状光源の偶数行に位置するフレネルレンズとを、互いの光軸が所定間隔となる位置関係で前記面状光源の各行に配設して構成されていることが好ましい(請求項4)。光軸が偏心されているフレネルレンズを行に沿って行ごとに互いに逆方向に向けて配設することにより、面状光源からの光を所定間隔で第1の方向と第2の方向に導くことができる。光軸が異なるフレネルレンズを互いに逆向きで配設するだけでよく、ずらして取り付ける等の作業が不要であるので、工数を低減することができる。また、フレネルレンズの両端をそろえて配設する場合には、表示の有効面積を大きくすることができる。
【0016】
また、本発明において、前記屈折手段は、前記面状光源の行に相当する幅を有し、前記面状光源からの光を平行光にして所定の方向に傾斜させて出射させる帯状のプリズムを、前記面状光源の各行に配設するとともに、前記面状光源の奇数行に位置するプリズムと、前記面状光源の偶数行に位置するプリズムとを、互いの出射方向が異なる位置関係で前記面状光源の各行に配設して構成されていることが好ましい(請求項5)。面状光源からの光を平行光にして所定方向に傾斜して出射させるプリズムを行ごとに逆向きに配設するだけでよく、ずらして取り付ける等の作業が不要であるので、工数を低減することができる。また、面状光源の光を傾斜させるだけで集光させないので、視野角を広くすることができる。また、フレネルレンズまたはプリズムの両端をそろえて配設する場合には、表示の有効面積を大きくすることができる。
【0017】
また、本発明において、前記面状光源の出光面からの光を収束させる第1のマイクロレンズアレイと、この第1のマイクロレンズアレイの各レンズに対応する位置にて光を絞るマスクと、このマスクを通過した光を平行光にする第2のマイクロレンズアレイとを備えた平行光ユニットを、前記面状光源の出光面側に備えていることが好ましい(請求項6)。面状光源からの光には平行光以外の光も含まれているが、平行光ユニットを通すことによって平行光だけに整形することができる。したがって、フレネルレンズやプリズムを通過した光の方向が意図しない方向へ向かうことを抑制することができる。その結果、画像のぼやけを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る画像表示装置によれば、画像出力手段が透過型の液晶表示パネルに対して出力する画像を、第1の画像から第2の画像にまたは第2の画像から第1の画像に順次に切り換える際に、光源制御手段がそれぞれの画像に応じて面状光源の行の点灯を制御する。したがって、面状光源からの光は、屈折手段を介して第1の方向と第2の方向に交互に出射され、第1の画像と第2の画像と表示される。第1の方向と第2の方向との光は、奇数行と偶数行とに分けられているので、縦縞状の明暗が生じることはない。また、透過型の液晶表示パネルの背面に面状光源を備え、それらの間に屈折手段を備えることで面状光源からの光を所定方向に導くので、装置の薄型化を図ることができるとともに、光学系の単純化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
本発明に係る画像表示装置の例として、両眼視差に基づく立体画像の表示を行う「立体画像表示装置」を例にとって説明する。
なお、図1は、実施例に係る立体画像表示装置の概略構成を示す横断面図であり、図2は、平行光ユニットの縦断面図であり、図3は、光照射ユニットの概略構成を示した模式図であり、図4は、光照射ユニットの概略構成を示した正面図である。
【0020】
実施例に係る立体画像表示装置は、横断面がコの字状を呈する筐体3を備えている。この筐体3の前面5(図示の関係上、上を前面、下を後面としている)には、透過型の液晶表示パネル7(以下、適宜に液晶表示パネルと称する)がフロントベゼルを含む支持部9を介して取り付けられている。液晶表示パネル7の両端側にあたる支持部9の奥側には、支持枠10を介して拡散部材11が取り付けられている。この拡散部材11は、光を縦方向(紙面方向)に拡散させる機能を有するものである。
【0021】
拡散部材11の奥側には、光照射ユニット13が配設されている。
この光照射ユニット13は、面状光源15と、平行光ユニット17と、フレネルレンズ19とをその順に積層して備えている。面状光源15は、液晶表示パネル7を背面から照射する光を出射する機能を備え、液晶表示パネル7の表示ラインに沿って発光可能な行を備えている。面状光源15の具体例としては、例えば、複数の発光ダイオード(LED)がマトリックス状に配置され、行ごとに発光ラインを制御可能なものが挙げられる。フレネルレンズ19は、面状光源15からの光を、それぞれ異なる第1の方向と第2の方向とに向けて出射させる。平行光ユニット17は、面状光源15から出射される光を平行光に整形する。なお、ここでいう第1の方向は後述する右眼ERであり、第2の方向は後述する左眼ELである。
【0022】
まず、平行光ユニット17について、図2を参照して説明する。
平行光ユニット17は、面状光源15からの光を収束させる第1のマイクロレンズアレイ21と、第1のマイクロレンズアレイ21の各レンズに対応する位置にて光を絞るマスク23と、このマスク23を通過した光を平行光にする第2のマイクロレンズアレイ25とを備えている。
【0023】
第1のマイクロレンズアレイ21は、面状光源15側からフレネルレンズ19側に凸形状を呈し、第2のマイクロレンズアレイ25は、フレネルレンズ19側から面状光源15側に凸形状を呈する。
【0024】
マスク23は、面状光源15からの光を遮断する材料で構成され、第1のマイクロレンズアレイ21及び第2のマイクロレンズアレイ25の光軸と一致する位置に、開口部27が形成されている。開口部27の直径は、第1のマクロレンズアレイ21からの光を十分に絞れるように、第1のマイクロレンズアレイ21及び第2のマイクロレンズアレイ25の各レンズにおける有効径よりも充分に小さく形成されていることが好ましい。
【0025】
フレネルレンズ19は、帯状を呈し、光軸が中央に設定されたものだけを用いている。一つのフレネルレンズ19を正面側(図4から見た方向)から見たときの幅は、例えば、2mm程度である。そして、図3に示すように、上述した平行光ユニット17を挟んで面状光源15に配設されている。ここでは、これを1ライン光照射ユニット29と呼ぶことにする。この1ライン光照射ユニット29を液晶表示パネル7にて画像を表示する領域に必要な数だけ用意し、液晶表示パネル7の表示ラインに対して1ライン光照射ユニット29の長手方向を一致させた状態で配設する。液晶表示パネル7の表示ラインの幅と、1ライン光照射ユニット29の幅は、拡散部材11を備えて光を縦方向に拡散させるので、必ずしも一致させる必要はない。もちろん一致させるようにしてもよい。また、図3及び図4に示すように、隣接する1ライン光照射ユニット29同士で、長手方向に沿って所定間隔Lだけ互いの光軸位置をずらして配設する。換言すると、液晶表示パネル7の表示ラインのうち、面状光源15の奇数行にあたるものと偶数行にあたるものとで光軸をずらして配置する。所定間隔Lとは、観察者の右眼RLと左眼ELの標準的な間隔にほぼ等しい。但し、1ライン光照射ユニット29同士の重複する部分が、液晶表示パネル7の有効表示面積とほぼ一致するようにしておく。
【0026】
なお、上述したフレネルレンズ19が本発明における「屈折手段」に相当する。
【0027】
上述したように構成されている光照射ユニット13は、同じ光軸を有するフレネルレンズ19を、面状光源15の奇数行と偶数行に位置するものとで各行に沿ってずらして配設することにより、面状光源15からの光を所定間隔Lで第1の方向と第2の方向に導くことができる。また、同じ構成のフレネルレンズ19だけで屈折手段を構成できるので、コスト的に有利になる。
【0028】
<光照射ユニットの変形例1>
上述した光照射ユニット13に代えて、図5及び図6に示すものを採用してもよい。なお、図5は、光照射ユニットの変形例を示す図であり、図6は、変形例に係る光照射ユニットの正面図である。
【0029】
この光照射ユニット13Aは、光軸が中央から一方側に偏心した帯状のフレネルレンズ31を備えている。その偏心距離は、二つのフレネルレンズ31の両端を一致させた状態で、それぞれを長手方向に逆方向に向けて配置したとき、それぞれの光軸の間隔が所定距離Lとなるように設定してある。また、フレネルレンズ31は、図5に示すように、上述した平行光ユニット17を挟んで面状光源15に配設されている。この1ライン光照射ユニット29Aを液晶表示パネル7に画像を表示する領域に必要な数だけ用意し、液晶表示パネル7の表示ラインに対して1ライン光照射ユニット29Aを配設する。液晶表示パネル7の表示ラインの幅と、1ライン光照射ユニット29Aの幅は、拡散部材11を備えて光を縦方向に拡散させるので、必ずしも一致させる必要はない。もちろん一致させるようにしてもよい。また、図6に示すように、隣接する1ライン光照射ユニット29A同士で、長手方向に沿って逆方向に配置し、光軸の間隔が所定間隔Lとなる位置関係で配設する。換言すると、液晶表示パネル7の表示ラインのうち、面状光源15の奇数行にあたるものと偶数行にあたるものとで光軸をずらして配置する。
【0030】
なお、上述したフレネルレンズ31が本発明における「屈折手段」に相当する。
【0031】
上記の光照射ユニット13Aは、光軸が偏心されているフレネルレンズ31を行に沿って行ごとに互いに逆方向に向けて配設することにより、面状光源15からの光を所定間隔で第1の方向と第2の方向に導くことができる。光軸が異なるフレネルレンズ31を互いに逆向きで配設するだけでよく、上述した光照射ユニット13のように、ずらして取り付ける等の作業が不要であるので、工数を低減することができる。また、上述したようにフレネルレンズ31の両端をそろえて配設する場合には、光照射ユニット13に比較して表示の有効面積を大きくすることができる。
【0032】
<光照射ユニットの変形例2>
上述した光照射ユニット13,13Aに代えて、図7及び図8に示すものを採用してもよい。なお、図7は、光照射ユニットの他の変形例を示す図であり、図8は、他の変形例に係る光照射ユニットの正面図である。
【0033】
この光照射ユニット13Bは、所定の方向に光を傾斜させて出射させる帯状のプリズム33を備えている。プリズム33は、図7に示すように、上述した平行光ユニット17を挟んで面状光源15に配設されている。この1ライン光照射ユニット29Bを液晶表示パネル7の表示ライン数に応じた数だけ用意し、液晶表示パネル7の表示ラインに対して1ライン光照射ユニット29Bを配設する。液晶表示パネル7の表示ラインの幅と、1ライン光照射ユニット29Bの幅は、拡散部材11を備えて光を縦方向に拡散させるので、必ずしも一致させる必要はない。もちろん一致させるようにしてもよい。また、1ライン光照射ユニット29Bごとに長手方向に沿って逆向きに配置して、出射方向が互いに逆方向となるようにする。これにより光照射ユニット13Bから観察者の右眼ERから左眼ELにそれぞれ平行光を出射させることができる。
【0034】
上記の光照射ユニット13Bは、面状光源15からの光を平行光にして所定方向に傾斜して出射させるプリズム33を行ごとに逆向きに配設するだけでよく、ずらして取り付ける等の作業が不要であるので、工数を低減することができる。また、面状光源15の光を傾斜させるだけで集光させないので、視野角を広くすることができる。また、上述したようにフレネルレンズ31の両端をそろえて配設する場合には、光照射ユニット13に比較して表示の有効面積を大きくすることができる。
【0035】
<点灯制御例>
次に、図9を参照して、上述した立体画像表示装置における光照射ユニット13の点灯制御の例について説明する。
【0036】
制御部41は、映像信号VDを受け取るとともに液晶表示パネル7に右眼用画像を左眼用画像とに応じた映像信号を交互に出力する画像信号出力部43と、画像信号出力部43が右眼用画像と左眼用画像との映像信号を順次に切り換える際に、垂直同期信号VSに応じて、画像(右眼用画像または左眼用画像)に対応した側の、光照射ユニット13における面状光源15を点灯させてゆく光源制御部45とを備えている。
【0037】
なお、画像信号出力部43が本発明における「画像出力手段」に相当し、光源制御部45が本発明における「光源制御手段」に相当する。また、右眼用画像が本発明における「第1の画像」に相当し、左眼用画像が本発明における「第2の画像」に相当する。
【0038】
光源制御部45は、画像信号出力部43が右眼用画像と左眼用画像に相当する画像信号を液晶表示パネル7に出力する際に、光照射ユニット13の各行を順次に点灯させる。具体的には、例えば、図10に示すように制御してゆく。なお、図10(a)〜(d)は、面状光源の制御例を示す模式図である。また、ここでは、光照射ユニット13の奇数行が左眼用で、偶数行が右眼用であるとする。
【0039】
図10(a)に示すように、まず左眼用画像だけが液晶表示パネル7に表示されている状態では、光照射ユニット13のうち、左眼用にあたる奇数行の1ライン光照射ユニット29を点灯させる。次に、右用画像に切り替わるが、図10(b),(c)に示すように、その最初の段階では、液晶表示パネル7のうち上部が右眼用画像に書き換えられるだけである。その状態では、左眼用画像に対応する側の左眼用にあたる奇数行の1ライン光照射ユニット29を点灯させるとともに、右眼用画像に対応する側の右眼用にあたる偶数行の1ライン光照射ユニット29を点灯させる。
【0040】
このようにして、図10(d)のように液晶表示パネル7の画像が右側用画像だけとなるまで、右眼用の偶数行の1ライン光照射ユニット29と、左眼用の奇数行の1ライン光照射ユニット29の点灯を独立して制御する。これにより、観察者は、右眼用画像と左眼用画像を交互に見ることになり、画像を立体視することができる。
【0041】
上述したように、画像信号出力部43が透過型の液晶表示パネル7に対して出力する画像を、左眼用から右眼用に順次に切り換える際に、光源制御部45がそれぞれの画像に応じて面状光源15の行の点灯を1ライン光照射ユニット29ごとに制御する。したがって、面状光源15からの光は、フレネルレンズ19を介して右眼用方向と左眼用方向に交互に出射され、右眼用画像と左眼用画像とが交互に表示される。右眼用方向と左眼用方向との光は、奇数行と偶数行とに分けられているので、縦縞状の明暗が生じることはない。また、透過型の液晶表示パネル7の背面に面状光源15を備え、それらの間にフレネルレンズ19を備えることで面状光源15からの光を所定方向に導くので、立体画像表示装置の薄型化を図ることができるとともに、光学系の単純化を図ることができる。
【0042】
また、拡散部材11を備えているので、面状光源15の各行が配置されている方向へ光を拡散させることにより、面状光源15の奇数行と偶数行ごとに異なる方向へ光を導くことに起因する横縞状の明暗を抑制することができる。なお、この拡散部材11は、拡散させる方向が列方向(縦方向)であるので、右眼用画像と左眼用画像との分離が悪化するな副作用は生じない。
【0043】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0044】
(1)上述した実施例では、立体画像表示装置を例に画像表示装置について説明したが、本発明は立体画像の表示だけに限定されるものではない。例えば、第1の画像と第2の画像とで全く異なる画像を表示させ、第1の方向の観察者と第2の方向の観察者とにそれぞれ異なる画像を表示させる画像表示装置にも適用することができる。
【0045】
(2)上述した実施例の点灯制御例では、光照射ユニット13を例に点灯制御を説明したが、これに代えて光照射ユニット13A,13Bを用いても同様の効果を奏する。
【0046】
(3)上述した実施例では、面状光源15を1ライン光照射ユニット29ごとに備えているが、例えば、行ごとに発光制御が可能な、光照射ユニット13の大きさを備えた大面積の光源を採用してもよい。例えば、面状大面積のバックライトと、その全面に配設された、行ごとに開閉自在の液晶シャッタを付設してなる面状光照射ユニット(透過型の白黒液晶表示パネル)が挙げられる。
【0047】
(4)上述した実施例では、フレネルレンズとしてフレネルレンズ19,31を例示したが、このようなフレネルレンズ19,31に代えて、凸レンズを帯状に切断したものを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例に係る立体画像表示装置の概略構成を示す横断面図である。
【図2】平行光ユニットの縦断面図である。
【図3】光照射ユニットの概略構成を示した模式図である。
【図4】光照射ユニットの概略構成を示した正面図である。
【図5】光照射ユニットの変形例を示す図である。
【図6】変形例に係る光照射ユニットの正面図である。
【図7】光照射ユニットの他の変形例を示す図である。
【図8】他の変形例に係る光照射ユニットの正面図である。
【図9】立体画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図10】(a)〜(d)は面状光源の制御例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0049】
3 … 筐体
7 … 透過型の液晶表示パネル
11 … 拡散部材
13 … 光照射ユニット
15 … 面状光源
17 … 平行光ユニット
19 … フレネルレンズ
29 … 1ライン光照射ユニット
L … 所定間隔
41 … 制御部
VD … 映像信号
43 … 画像信号出力部
VS … 垂直同期信号
45 … 光源制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するための画像表示装置において、
画像を表示するための透過型の液晶表示パネルと、
前記透過型の液晶表示パネルを背面から照射し、前記透過型の液晶表示パネルの表示ラインに沿って発光可能な複数の行を備えた面状光源と、
前記面状光源と前記透過型の液晶表示パネルの間に介在し、前記面状光源の奇数行と偶数行の光を、それぞれ異なる第1の方向と第2の方向に出光させる屈折手段と、
前記透過型の液晶表示パネルに第1の画像と第2の画像とを交互に出力させる画像出力手段と、
前記画像出力手段が第1の画像から第2の画像に、または第2の画像から第1の画像に順次に切り換える際に、それぞれの画像に応じて前記面状光源の行の点灯を制御する光源制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記透過型の液晶表示パネルと前記屈折手段との間には、前記面状光源の複数の行が配置されている列方向と、前記面状光源の各行が沿う行方向のうち、列方向に対して前記屈折手段からの光を拡散させる拡散部材を備えていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像表示装置において、
前記屈折手段は、前記面状光源の行に相当する幅を有し、光軸が中央に設定されている帯状のフレネルレンズを、前記面状光源の各行に配設するとともに、前記面状光源の奇数行に位置するフレネルレンズと、前記面状光源の偶数行に位置するフレネルレンズとを、互いの光軸が所定間隔となる位置関係で前記面状光源の各行に沿ってずらして配設して構成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の画像表示装置において、
前記屈折手段は、前記面状光源の行に相当する幅を有し、光軸が中央から一方側に偏心して設定されている帯状のフレネルレンズを、前記面状光源の各行に配設するとともに、前記面状光源の奇数行に位置するフレネルレンズと、前記面状光源の偶数行に位置するフレネルレンズとを、互いの光軸が所定間隔となる位置関係で前記面状光源の各行に配設して構成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の画像表示装置において、
前記屈折手段は、前記面状光源の行に相当する幅を有し、前記面状光源からの光を平行光にして所定の方向に傾斜させて出射させる帯状のプリズムを、前記面状光源の各行に配設するとともに、前記面状光源の奇数行に位置するプリズムと、前記面状光源の偶数行に位置するプリズムとを、互いの出射方向が異なる位置関係で前記面状光源の各行に配設して構成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記面状光源の出光面からの光を収束させる第1のマイクロレンズアレイと、この第1のマイクロレンズアレイの各レンズに対応する位置にて光を絞るマスクと、このマスクを通過した光を平行光にする第2のマイクロレンズアレイとを備えた平行光ユニットを、前記面状光源の出光面側に備えていることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−258565(P2009−258565A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110448(P2008−110448)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(391010116)株式会社ナナオ (160)
【Fターム(参考)】