画像表示装置
【課題】表示画面の「中心と周辺のピントずれ」を補正する機能と、「投射画像全体のピントボケ」を補正する機能をもった画像表示装置を実現する。
【解決手段】ライトバルブLBと、光源および照明光学系と、投射光学系と、これら保護する外装手段を有し、投射光学系は、レンズ群LI〜LIVによって構成される屈折光学系と、曲面ミラーCNMを有するミラー光学系からなり、第1および第2のフォーカス構造を有し、第1のフォーカス構造は、ライトバルブLBの実像を被投射面に投射してフォーカス合わせを行なうとき、屈折光学系中のレンズ群LII、LIIIを、ライトバルブLBの法線方向に、それぞれ異なる移動量で変位させることを可能とし、第2のフォーカス構造InA、InBは、各レンズ群を、ライトバルブの法線方向に、第1のフォーカス構造とは異なる移動量で移動させるものであり、外装手段により保護組付けを実施した後は操作不能となる。
【解決手段】ライトバルブLBと、光源および照明光学系と、投射光学系と、これら保護する外装手段を有し、投射光学系は、レンズ群LI〜LIVによって構成される屈折光学系と、曲面ミラーCNMを有するミラー光学系からなり、第1および第2のフォーカス構造を有し、第1のフォーカス構造は、ライトバルブLBの実像を被投射面に投射してフォーカス合わせを行なうとき、屈折光学系中のレンズ群LII、LIIIを、ライトバルブLBの法線方向に、それぞれ異なる移動量で変位させることを可能とし、第2のフォーカス構造InA、InBは、各レンズ群を、ライトバルブの法線方向に、第1のフォーカス構造とは異なる移動量で移動させるものであり、外装手段により保護組付けを実施した後は操作不能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像表示装置に関する。この画像表示装置は反射型のライトバルブを用いる投射型であって、各種のプロジェクタ装置として実施できる。
【背景技術】
【0002】
反射型のライトバルブを用いる投射型の画像表示装置の一般的な構成と機能を、図1を参照して説明する。
【0003】
図1は、投射型の画像表示装置として一般的な「プロジェクタ装置」の光学配置を説明図として示している。
【0004】
図中、符号LBはライトバルブ、符号LSはランプ光源、符号IRはインテグレータロッド、符号LNは照明用レンズ、符号Mはミラー、符号CMは曲面ミラー、符号POSは投射光学系を、それぞれ示している。
【0005】
ライトバルブLBは、画像表示素子であって反射型である。
ランプ光源LSは、ランプLPとリフレクタRFを有し、ライトバルブLBを照明するための照明光を放射する。
【0006】
インテグレータロッドIR、照明用レンズLN、ミラーM、曲面ミラーCMは、ランプ光源LSから放射される照明光をライトバルブLBに導光する照明光学系を構成する。
【0007】
インテグレータロッドIRは、4つのミラーをトンネル状に組み合わせたライトパイプであり、入口部から入射する光をミラー面で反射させつつ出口部へ導光する。
【0008】
投射光学系POSは、ライトバルブLBからの反射光を、スクリーン等の被投射面にむけて投射し、被投射面上に「ライトバルブLBに表示された画像」を拡大して結像する。
【0009】
ライトバルブLBは、この例では「DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)」であり、微小なミラーをアレイ状に配列してなる。個々の微小ミラーは、その法線方向を、互いに独立して、例えば「±12度の範囲」で変化させることができる。
【0010】
ランプLPから発せられた光をリフレクタRFで反射し、インテグレータロッドIRの入口部に集光する。入口部から入射した光は、インテグレータロッドIR内で反射を繰り返しつつ導光され、出口部から「照度ムラを均された」一様な照度の光として射出する。
【0011】
インテグレータロッドIRから射出した光は、照明用レンズLN、ミラーM、曲面ミラーCMからなる照明光学系を介してライトバルブLBを照射する。
【0012】
照明光学系の、照明レンズLNとミラーMおよび曲面ミラーCMは、インテグレータロッドIRの出口部における射出光を「光量むらの均された一様な照度の面光源」とし、この面光源の像をライトバルブLB上に形成する。即ち、ライトバルブLBは一様な照度の照明光で照射される。
【0013】
ライトバルブLBにおける微小ミラーの傾き角を、例えば、−12度のとき、微小ミラーによる反射光が投射光学系POSに入射し、+12度のときは投射光学系POSに入射しないように定めて、ライトバルブLBと投射光学系POSとの位置関係を定め、さらに曲面ミラーCMからの照射光の「ライトバルブLBへの入射方向」を設定する。
【0014】
被投射面に投射結像するべき画像の画素に応じて、個々の微小ミラーの傾きを調整すれば、ライトバルブLBに画像を表示することができる。このように表示された画像を「表示画像」と呼ぶ。
【0015】
このようライトバルブLBに画像を表示し、照明光をライトバルブLBに照射すれば、投射光学系POSに入射する微小ミラーごとの反射光が、投射光学系POSにより結像光束とされて被投射面上に、上記画像の拡大画像として投射され結像する。このように被投射面上に結像した画像を「投射画像」と呼ぶ。
【0016】
ライトバルブLBは「一様な照度分布の光」で照射されるので、表示された表示画像の拡大像である被投射面状の投射画像も一様な照度分布となる。このようにして、被投射面上に「デジタル画像」を表示できる。
【0017】
以上が、一般的なプロジェクタ装置による画像表示の説明である。
【0018】
上記の如く、投射光学系POSの機能は「ライトバルブLBに表示された表示画像の実像である投射画像をスクリーン等の被投射面上に結像させる」ことであるが、被投射面上に表示させる投射画像のサイズや、プロジェクタ装置から被投射面までの距離は、プロジェクタ装置の具体的な使用状況により区々である。
【0019】
被投射面上に投射画像を結像させるためには「ピント合わせ」が必要である。
図2(a)に示す「通常のプロジェクタ装置」では、投射光学系POS1は「共軸回転対称」であり、被投射面であるスクリーンSC上の投射画像のピント合わせは、投射光学系POS1全体を動かしてピントを合わせる「全体繰り出し方式」や、レンズ系中の1枚以上のレンズをセットとしたフォーカス群を移動させるフォーカシング方式が一般的である。なお、図2以下の各図において、投射光学系の共軸回転対称なレンズ系部分の光軸を符号「AX」で表す。
【0020】
図2(b)に示す「複数枚レンズにより構成される屈折光学系POSL1と、この屈折光学系POSL1とは光軸を共有しない、非共軸の反射面により構成されるミラー光学系POSM1(図の例では1枚の凹面ミラーにより構成されている。)により構成される投射光学系を用いるプロジェクタ装置」が知られ、広く普及しつつある。
【0021】
このようなプロジェクタ装置で、従来よりもさらに至近距離(超至近距離)での投射を可能とするものが提案され、実施されつつある。
【0022】
スクリーンSCに対して「至近距離あるいは超至近距離で画像を投射」する場合、通常「投射画像が見やすい」ように、投射画像の投射位置を「プロジェクタ装置よりも上方」に設定する必要がある。
このため一般に、図2に示すように画像表示素子LB(ここではDMD)の中心を、投射光学系の光軸AX上からずらし、偏心して配置する。
そして「投射光学系の性能保障範囲を広く取る」ために投射光学系を広角レンズにすることにより画像品位を保つ。
しかし、共軸回転対称なレンズ系による投射光学系の広角化には限界があり、「スクリーンSCにより近接した超至近位置」から投射画像を投射するには、ミラー光学系により「光路をかせぐ」必要がある。
【0023】
レンズ系による投射光学系の光路を平面ミラーで折り返すようにし、投射光学系の光軸をスクリーンに対して斜めに傾け、近距離での投射を行なう「斜め投射」方式もあるが、
近距離投射は可能であるが、表示画面が台形状に歪む「台形歪み」の問題がある。
【0024】
図2(b)に示す投射方式では、ミラー光学系POSM1を構成する凹面ミラーの鏡面形状を「自由曲面」とすることにより、投射画像の「台形歪み」を効果的に補正できる。このような「自由曲面をもつミラーによる台形歪みの補正」に関しては、非特許文献1に詳しい説明がある。
【0025】
図2(b)に示すような、屈折光学系POSL1とミラー光学系POSM1を用い、ミラー光学系POSM1に「自由曲面形状のミラー」を用いて台形歪みの補正を行なうプロジェクタ装置において、上述の「ピント合わせ」を行なうのに適したフォーカシング方式として「フローティングフォーカス方式」が考えられる。
【0026】
この場合の「フローティングフォーカス方式」は、ライトバルブLB(DMD)に最も近い「1枚以上のレンズ」を固定し、他の2以上のレンズやレンズ群、ミラーを光軸方向に移動させてピントを合わせするフォーカシング方式である。
【0027】
特に、至近距離や超至近距離でのピント合わせを「複数のレンズ群を、浮き木のように移動させてピントを合わせる」ところからフローティングフォーカス方式と呼ばれ、特に「一眼レフカメラの交換レンズ」で広く使われている。
【0028】
全体繰り出し方式や「単一のレンズやレンズ群」によるフォーカシングでは、スクリーンSCに対して至近距離から投射画像の投射を行なったときの台形歪みの補正が不足しがちであり、像面湾曲の補正も不十分となって、表示画面の中心と周辺のピントがずれる問題も生じる。
【0029】
フローティングフォーカス方式では、スクリーンSCに対して至近距離から投射画像の投射を行なったときに発生する画像の歪みを、主には「非共軸の曲面ミラー」で補正するため、台形歪みの補正や像面湾曲の補正も良好に行なうことが可能である。
【0030】
より具体的に説明する。
図3(a)は「斜め投射」のプロジェクタ装置を示している。図示の簡単のために、光路を折り返す平面ミラーは図示を省略している。
【0031】
投射光学系POS0によりスクリーンSC上に投射画像を投射表示する。
【0032】
ライトバルブLBは「DMD」であり、その画像表示面は、図3(b)の上図のようにスクリーンSCの上下方向(Y方向)が短い「横長の長方形形状」であるが、スクリーンSC上に投射された投射画像は、図3(b)の下図のように「台形形状」である。
【0033】
図4(a)は、屈折光学系POSL1とミラー光学系POSM1により構成された投射光学系による投射方式のプロジェクタ装置を示す。ミラー光学系POSM1は凹面ミラーである。
【0034】
このプロジェクタ装置では、ライトバルブLB(DMD)の画像表示面は、図4(b)の上図のように長方形形状であり、屈折光学系POSL1により、この画像表示面の実像を、中間像Im0として、屈折光学系POSL1とミラー光学系POSM1との間に結像させ、ミラー光学系POSM1により、中間像Im0を物体像とする投射画像をスクリーンSC上に結像投射する。
【0035】
屈折光学系POSL1により結像する中間像Im0は、図4(b)の中段の図のように「上部が狭い台形形状」で、このような歪曲収差を与えられて結像する。そして、この歪曲収差を、ミラー光学系POSM1により補正して、図4(b)の下図に示すように「長方形形状に補正された投射画像」をスクリーンSC上に結像する。
【0036】
図4のプロジェクタ装置で、スクリーンSC上に「より小さい投射画像」を表示するために、図5(a)に示すように、スクリーンSCを(図4(a)の位置よりも)Z方向の右側に移動させ、共軸系である屈折光学系POSL1の「Z方向への全体繰り出し」によりピント合わせを行なう場合を考える。
【0037】
この場合、屈折光学系POSL1の全体繰出しの前後で、中間像Im0の歪曲は殆ど変化しないので、中間像Im0の形状は、図5(b)の中段の図のように、図4(b)の下図の場合と同様であり、スクリーンSC上での投射画像には、図5(b)の下段の図のように「上辺が短くなる台形歪み」が発生してしまう。
【0038】
この現象を、図6以下を参照してより詳しく説明する。
図6(a)は、図4(a)を上方から見た状態、即ち、図4(a)のXZ断面を示す。
【0039】
図6(a)に示すように、凹面ミラーPOSM1を使った投射光学系は、スクリーンSC上の表示画面の、Y方向上方とY方向下方に向かう光の角度がXZ断面内で異なる。
【0040】
図6(c)は、図6(a)のように、適正な投射が行なわれている場合の投射画像の形状であり、長方形形状である。
【0041】
スクリーンSCを、図5(a)のように移動させると、この状態のXZ断面を示す図6(b)に示すように、表示画面の上と下で、スクリーンSCに到達するX方向の位置が異なり図6(d)に示すように「上辺が短い台形歪み」を発生する。
【0042】
ライトバルブと屈折光学系の距離(ライトバルブ法線方向の距離)が適正である場合には、台形歪みの補正や、全述の像面湾曲の補正には「フローティングフォーカス方式」は大変有効である。
【0043】
フローティングフォーカス方式によるピント合わせでは、像面湾曲補正が強く作用するため、例えば、図7に示すように、スクリーンSCを、スクリーン位置SC(1)(図4の(a)の状態である。)から、スクリーン位置SC(2)(図5(a)の状態である。)まで、曲面ミラーPOSM1に近づけたときのように「ピント調整量が、表示画面の上と下で大きく異なるような場合」に有効である。
【0044】
しかし、表示画面全体で「合わせたいピント調整量が同じ場合」にはフローティングフォーカス方式によるピント合わせは、有効に機能せず、このような場合には「全体繰り出し方式や前群繰り出し方式によるピント合わせ」が有効である。
【0045】
プロジェクタ装置のピント合わせに関しては、従来から、種々の方法が広く知られている(例えば、特許文献1〜3)。
【0046】
フローティングフォーカス方式によるピント合わせは、表示画面の「中心と周辺のピントずれ」を補正する機能が主であるが「屈折光学系とライトバルブとの距離のばらつき」や「屈折光学系の焦点距離ばらつき」により投射画像全体のピントが「ボケて」いるような場合に、これを補正するには不向きである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、屈折光学系とミラー光学系で構成される投射光学系を用いる投射型の画像表示装置において、表示画面の「中心と周辺のピントずれ」を補正する機能と、「投射画像全体のピントボケ」を補正する機能をもった画像表示装置の実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0048】
この発明の画像表示装置は、画像表示素子であるライトバルブと、光源および照明光学系と、投射光学系と、これら保護する外装手段を有する画像表示装置であって、投射光学系は、複数のレンズ群によって構成される屈折光学系と、曲面ミラーを有するミラー光学系からなり、互いに別個のフォーカス構造として、第1および第2のフォーカス構造を有し、第1のフォーカス構造は、画像表示素子の実像を被投射面に投射してフォーカス合わせを行なうとき、前記屈折光学系中の複数のレンズ群を、前記ライトバルブの法線方向に、それぞれ異なる移動量で変位させることを可能とし、前記第2のフォーカス構造は、前記各レンズ群を、ライトバルブの法線方向に、第1のフォーカス構造とは異なる移動量で移動させるものであり、外装手段により保護組付けを実施した後は操作不能となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0049】
上記の如く、この発明の画像表示装置は、フォーカス構造として、第1および第2のフォーカス構造と言う、互いに別個の2つのフォーカス構造を有する。
第1のフォーカス構造は、画像表示素子の実像を被投射面に投射してフォーカス合わせを行なうとき、屈折光学系中の複数のレンズ群を、ライトバルブの法線方向に、それぞれ異なる移動量で変位させるフローティングフォーカス方式のピント合わせを可能とする。
【0050】
また、第2のフォーカス構造は、屈折光学系の、各レンズ群を、ライトバルブの法線方向に、第1のフォーカス構造とは異なる移動量で移動させるフォーカシング方式であり、「屈折光学系とライトバルブとの距離のばらつき」や「屈折光学系の焦点距離ばらつき」に起因する「投射画像全体のピントボケ」を有効に補正することができる。
【0051】
第2のフォーカス構造は、プロジェクタ装置に対して外装手段により保護組付けを実施した後は操作不能であり、完成したプロジェクタ装置においては、ユーザにより操作されることはなく、2つのフォーカス構造を有することが、ユーザにプロジェクタ装置使用上の混乱を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】画像表示装置として一般的なプロジェクタ装置を説明するための図である。
【図2】投射画像のピント合わせを説明するための図である。
【図3】投射画像の台形歪みを説明するための図である。
【図4】台形歪みの補正を説明するための図である。
【図5】ミラー光学系を用いる画像投射装置における台形歪みの補正が不十分な場合を説明するための図である。
【図6】ミラー光学系を用いる画像投射装置における台形歪みの補正が不十分な場合を説明するための図である。
【図7】ミラー光学系を用いる画像投射装置において、スクリーン位置が変化する場合を説明するための図である。
【図8】実施の形態1の主要部を示す図である。
【図9】実施の形態2を説明するための図である。
【図10】実施の形態3を説明するための図である。
【図11】実施の形態1〜3で用いられる屈折光学系の具体的な例を説明するための図である。
【図12】屈折光学系の具体的な構成の1例を示す図である。
【図13】実施例1の投射光学系の屈折光学系部分のデータを示す図である。
【図14】実施例1のデータを示す図である。
【図15】実施例1における凹面ミラーの鏡面形状のデータを示す図である。
【図16】投射光学系に外装OCを装荷したプロジェクタ装置を説明するための図である。
【図17】投射光学系に外装OCを装荷したプロジェクタ装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、実施の形態と具体的な実施例を説明する。
【0054】
以下に挙げる全実施の形態例および実施例において、画像表示素子であるライトバルブとして「DMD」を例示するが、この発明の画像表示装置における画像表示素子は、勿論、DMDに限るものではない。
【0055】
即ち、この発明の画像表示装置には、DMD以外のライトバルブ、例えば、LDパネルやLCOSパネル等、公知の種々のライトバルブの使用が可能である。
【0056】
また、図の煩雑さを避けるため、以下の実施例の説明に用いる図面において、光源であるランプ光源や、ランプ光源からの照明光をライトバルブへ導光して照射する照明光学系の図示を省略する。
【0057】
実際には、図1に示したような、ランプ光源LSからの照明光を、インテグレータロッドIR、照明用レンズLN、ミラーM、曲面ミラーCMは曲面ミラーによる照明光学系で、ライトバルブLB(DMD)を照明する場合が想定されている。
【0058】
勿論、光源や照明光源の種類や構成は、この場合に限定されるものではなく、画像表示素子の種類や形態に応じて適宜のものが用いられることは言うまでもない。
【0059】
「実施の形態1」
実施の形態1の主要部を図8に示す。
【0060】
ライトバルブLBはDMDであり、光学ハウジングHSに保持されている。
【0061】
光学ハウジングHSには、中間部材InAを介して鏡胴CLが連結され、この鏡胴CL内に投射光学系の「屈折光学系」をなす複数枚のレンズが配置されている。
形態1においては「屈折光学系」は、4つのレンズ群、即ち、ライトバルブLB側から第1レンズ群LI、第2レンズ群LII、第3レンズ群LIII、第4レンズ群LIVを配して構成されている。
【0062】
また、符号RMは「折り返しミラー」、符号CANは「ミラー光学系」をなす凹面ミラーを示す。
【0063】
図示されない光源からの照明光が、図示されない照明光学系によりライトバルブLBであるDMDの画像表示面に照射されると、画像表示面による反射光は、DMDに表示された表示画像により強度変調されて、投射光学系の「屈折光学系」に入射する。
【0064】
屈折光学系から射出した光束は、折り返しミラーRMにより反射され、凹面ミラーCNMにより反射されると結像光束となって、図示されない被投射面(スクリーン)に向かい、被投射面上に表示画像を拡大した投射画像を結像する。
【0065】
折り返しミラーRMは、ホルダHLに中間部材InBを介して取り付けられている。
【0066】
このような「折り返しミラーRMを経由する光学系」では、折り返しミラーRMで反射した光の拡散度合いを低くできるように、「屈折光学系と凹面ミラーRMの間の光路上に「表示画像の実像」を中間像として結像させることにより、光束を1度絞ることが好ましい。
【0067】
フォーカシングによるピント合わせを説明する。
図8には図示されていないが、スクリーンの位置を、図7のスクリーン位置SC(1)からスクリーン位置SC(2)のように近づけた場合に、投射画像の「画面の上と下」とで異なるフォーカス調整量を補正するため、フローティングフォーカス方式でピント合わせを行なう。
形態1においては、屈折光学系を構成する4つのレンズ群のうち、第2レンズ群LIIと第3レンズ群LIIIを光軸方向へ移動させて、ピントあわせを行なう。
【0068】
図8は、鏡胴CLの構造について詳しく図示していないが、第2レンズ群LIIと第3レンズ群LIIIを移動させるには、例えば、鏡胴CLにカム溝を形成し、第2レンズ群LIIと第3レンズ群LIIIのそれぞれに、このカム溝に合うピンを取り付けて、カム溝にはめ込み、鏡胴CLを回転させることにより、第2レンズ群LIIと第3レンズ群LIIIをそれぞれ、異なる方向に移動させることができる。
【0069】
ここでは、鏡胴CLを1部品のように扱って説明を簡単化したが、実際には複数部品による「より複雑な構成」を採るのが一般的である。
【0070】
このカム機構を「第1のフォーカス構造」とする。
【0071】
ところで、光学ハウジングHSを複数個作製すれば、製品には、当然に「寸法のばらつき」が生じる。
従って、鏡胴CLを光学ハウジングHSに直接組付けた場合、図8のライトバルブLBと第1レンズ群LIとの間の距離が「寸法ばらつき」に従って、ばらついてしまう。
また、形態1では、第1〜第4レンズ群LI〜LIVで構成される屈折光学系の各レンズも、凹面ミラーCNMも、複数個作製すれば、それぞれに「形状ばらつき」があり、特に「屈折光学系の焦点距離」のばらつきが発生し、ライトバルブLBと第1レンズ群LI間の「最適な距離」がばらついてしまう。
【0072】
これら2種の「ばらつき」があっても、ライトバルブLBと第1レンズ群LIとの間の距離を適正化できるように「中間部材InA」が配置される。
【0073】
中間部材InAとして、例えば、厚さ:0.1mm程度の薄い板を複数枚用い、光学ハウジングHSと鏡胴CLの間に介設する薄い板の枚数を変えることにより、中間部材InAの全厚みを調整するようにできる。このようにすると、ライトバルブLBと第1レンズ群LIとの間の距離を、0.1mm単位で調整することができる。
【0074】
あるいはまた別の方法として、厚みが0.1mm単位で異なる複数のアルミ等の板部材を中間部材InAとして用意し、光学ハウジングHSと屈折光学系の組み合わせごとに、「最適な厚さのアルミ板」を選択して挿入するようにすれば、ライトバルブLBと第1レンズ群LIとの間の距離を、0.1mm単位で調整することができる。
【0075】
中間部材InAにより、光学ハウジングHS・鏡胴CLの位置関係を調整したのちは、これらの位置関係を固定するために、これらを「ネジなどで相互に固定」するのが良い。
【0076】
上記の如く、中間部材InAで、ライトバルブLBと第1レンズ群LIの位置関係を最適化すると、この最適化の操作により、第4レンズ群LIVと凹面ミラーCNMの位置関係が「組付け当初の関係」からずれてしまう。
【0077】
これを補正するために、折り返しミラーRMとホルダHLの間に介在する中間部材InBを用いて、第4レンズ群LIVと凹面ミラーCNMの間の光路長を調整する。
【0078】
中間部材InBも、中間部材InAと同様に、複数枚の薄板や、厚みの異なるアルミ板を用いれば、上記光路長の調整を容易に高精度で実施することができる。
【0079】
また、中間部材InA、InBとして、薄板を使用する場合、中間部材InAと光学ハウジングHS、あるいは中間部材InBとホルダHLの位置固定点(例えばネジで止める点)を複数個形成すれば、各位置固定点に挿入する薄板の枚数を変えることで「ライトバルブLBと屈折光学系の傾き誤差」や「曲面ミラーCNMと屈折光学系の傾き誤差」を補正することが可能である。
【0080】
上に説明した中間部材InA、InBは「第2のフォーカス構造」をなす。
【0081】
鏡胴CLと光学ハウジングHSの間に、中間部材InAをはさむだけで調整可能なので、特別な構造体が不要であり、ライトバルブLBに近くて熱を持つ光学ハウジングHSと鏡胴CLを直接接触させないことで、鏡胴CLに熱が移りにくくなり、レンズの熱膨張によるピントずれが発生しない。
【0082】
即ち、実施の形態1の画像表示装置は上記の如く、第1および第2のフォーカス構造を有する。
第1のフォーカス構造では、被投射面と凹面ミラーCNMとの距離を変えたような場合に、屈折光学系における第2レンズ群LII、第3レンズ群LIIIを「異なる移動量」で変位させるフローティングフォーカス方式でピント合わせを行なう。
【0083】
これに対し、第2のフォーカス構造では、画像表示装置の光学系を組み付ける工程において、ライトバルブ・屈折光学系・凹面ミラー(ミラー光学系)の位置関係を適切にすることにより、基準状態で投射画像のピントが合うようにする。
【0084】
「実施の形態2」
実施の形態2を、図9を参照して説明する。
【0085】
実施の形態2は、上に説明した実施の形態1の変形例であり、第2のフォーカス構造のうち「ライトバルブLBと第1レンズ群LIの間の距離を調整する構造」を、実施の形態1における中間部材InAに代えて「ネジ構造(図中に符号「BS」で示す。)」とした例である。
【0086】
ネジ構造BSによりライトバルブLBと第1レンズ群LIとの間隔を調整する。ネジ構造BSは、中間部材InBとともに「第2のフォーカス構造」を成すものであるから、ネジ構造BSによる間隔調整は、光学系の組み付け工程で行い、調整後はネジ構造BSを固定し、ユーザによる調整はできないようにする。
【0087】
なお、第2のフォーカス構造は、上記中間部材InA、InBやネジ構造BSなどに限定されるものではなく、上記と同じ機能を達成可能であればどのような構造でもよい。
【0088】
「実施の形態3」
実施の形態3を、図10を参照して説明する。なお、繁雑を避けるため、混同の恐れがないと思われるものについては、各部の符号を共通化する。
【0089】
図10に構成を示す実施の形態3では、屈折光学系は第1レンズ群LI〜第4レンズ群LIVにより構成される。
【0090】
実施の形態3では「第2レンズ群LIIと第3レンズ群LIIIの移動によりフローティングフォーカス方式のピント合わせ」を行なう。このとき、第4レンズ群LIVは固定されている。即ち、第2レンズ群LIIと第3レンズ群LIIIと、これらを変位させる機構は「第1のフォーカス構造」を構成する。
【0091】
一方「第2のフォーカス構造」は、第4レンズ群LIVとこれを光軸方向に移動させる構造により構成される。
【0092】
第4レンズ群LIVの光軸方向への移動により、上述の実施の形態1、2の「全体繰り出しによるフォーカシング」と略同じ効果が得られる。
第4レンズ群LIVの移動は、第2、第3レンズ群LII、LIIIを行なうカム構造とは異なるカム構造で行うようにし、光学系の組み付け工程で実施し、調整後は固定してユーザによる操作が出来ないようにする。
【0093】
投射画像の投射中には、第1のフォーカス構造で、第2、第3レンズ群LII、LIIIを変位させてピント合わせを行なう。第1のフォーカス構造と、第2のフォーカス構造は、互いに別個のカム機構とすることにより、フォーカシングのために動かすレンズ単位が小さく、調整で発生する傾きなどの誤差の影響を小さく抑えられるため、全体繰り出しよりも好ましい面がある。
【0094】
しかし、第4レンズ群LIVを図10に示すように、ライトバルブLBから離れる方向に動かす場合、図8や図9に示す実施の形態のように「折り返しミラーRMを用いる光学構造」では、折り返しミラーRMで反射した光が、凹面ミラーCNMに向かう途中で、第4レンズ群IVによって遮られないようにする必要がある。
【0095】
上に説明した実施の形態1〜3で用いられる屈折光学系の具体的な例を、図11以下を参照して説明する。
【0096】
図11(a)、(b)において、符号2〜5は「照明光学系の部品」、符号1は光源である「ランプ光源」、符号2は「インテグレータロッド」、符号3は「照明用レンズ」、符号4は「ミラー」、符号5は「曲面ミラー」を示す。曲面ミラー5は「球面形状の反射面を有する凹面鏡」である。
【0097】
符号6〜10は「投射光学系の部品」であって、符号6はライトバルブの防塵カバーガラス、符号7はライトバルブ本体、符号8は「投射光学系」を示す。
【0098】
図11(b)における符号8−1は「屈折光学系」、符号9は「自由曲面である凹面ミラー(上の説明における凹面ミラーCNM)」を保護する防塵ガラスを示し、符号10は、第1〜第4レンズ群を保持する「鏡胴」を示す。
【0099】
鏡胴10は、4つのレンズ群中の3つのレンズ群が「別個に移動できる」ように、3本の異なるカム溝が彫ってある。なお「最もライトバルブ7よりの寄りのカム溝」は移動量が0なのでフォーカスには無関係である。
【0100】
屈折光学系8−1の具体的な構成を図12に示す。
屈折光学系8−1は、図12に示すように「4群11枚」構成である。
「実施例1」
図12に構成を示す屈折光学系の具体例の1例を実施例1とし、そのデータを図13〜図15に示す。
図13は、各面の曲率半径、面間隔を「mm単位」で示し、材質の屈折率とアッベ数を示す。開口絞りについては開口半径を示す。また、曲率半径:0.000は、曲率半径:∞大、即ち平面を表す。
「偏芯Y」は、屈折光学系POSLの光軸の「Y方向(図5(a)に示す上下方向)のマイナス側(図5(a)の下方側)」へのシフト量を「mm」単位で示す。
【0101】
「偏芯α」は、投射光学系の凹面ミラーCNMおよび防塵ガラスGの、上記光軸(Z方向)とライトバルブLBの短手方向を含む面に対するシフト量を「mm」単位で示す。
【0102】
また、非球面の欄において「黒丸」を付した面は非球面である。
【0103】
面番号の欄において、「LB(0)」は、ライトバルブLB(DMD)」の画像表示面、面番号「1、2」はカバーガラスCGの両面である。面番号「3、4」は、LGAの入射側および射出側のレンズ面であり、これらは共に非球面である。
【0104】
なお、曲率半径の欄において「1.0E+18」は「1×1018」を意味し、これらの曲率半径を持つ面は「実質的な平面」である。曲率半径の値は、非球面については「近軸曲率半径」である。
【0105】
図14(a)は、非球面データである。
非球面は、近軸曲率(近軸曲率半径の逆数):C、楕円定数(コーニック定数):K、高次の非球面係数:E2j(j=2、3、4、5、6、7、8)、光軸直交方向の座標:H、光軸方向のデプス:Dにより、周知の式、
D=CH2/[1+√{1−(1+K)C2H2}]
+ΣE2jH2j(j=1〜8)
で表現される。
【0106】
実施例1の屈折光学系に用いられている非球面では、何れも楕円定数:Kは0である。
【0107】
図14(b)は、「第1ミラー(折り返しミラー)に最も近いレンズ面の「面頂点」を基準とする、第1ミラー、第2ミラー(凹面ミラーCNM)、防塵ガラスの第1、第2面、スクリーン距離1(前記スクリーン位置SC(1))、スクリーン距離2(スクリーン距離(2))のX、Y、Z方向の位置のデータである。
【0108】
図14(c)は、スクリーン距離が、スクリーン距離1、2であるときの、各レンズ群の具体的な移動量データを「mm単位」で示している。
【0109】
図15は、凹面ミラーCNMの「鏡面形状のデータ」である。
【0110】
凹面ミラーCNMの鏡面形状は「自由曲面」であり、光軸上の近軸曲率半径:c、コーニック定数:k、高次の係数:Cj(j=2〜72)、光軸直交方向の距離:r、光軸に平行な「面のサグ量:z」、図5におけるX方向の座標:x、Y方向の座標:yを用いて、以下の式で与えられる。
【0111】
z=cr2/[1+√{1−(1+k)c2r2}]
+ΣCj・xmyn(j=2〜72)
図15で、例えば、C40を係数とする「x**4*y**7」は「x4×y7」を表す。
【0112】
6枚構成の第1レンズ群LIは、画像表示装置の使用中におけるフォーカス時に固定であり、第2〜第3レンズ群LII〜LIIIそれぞれの「移動量の異なる変位」によってフローティングフォーカス方式のピント合わせが行なわれる。
また、光学系の組み付け時には、第4レンズ群LIVの移動により「投射画像全体としてのピント合わせ」を行ない、調整後は第4レンズ群LIVを固定する。
図16、図17に、この投射光学系に外装OCを装荷したプロジェクタ装置を示す。
【0113】
ライトバルブLB、屈折光学系POSL、ミラー光学系RM、CNMを外装OCに内装し、カバーガラスCGを介して結像光束を射出させ、スクリーンSC上に結像させる。
【0114】
フローティングフォーカス方式のピント合わせを行なう第1のフォーカス構造の「操作部(フォーカスレバー)」が、外装OCの外側に露出するように「鏡胴メカ構造」を設定し、例えば、図16で、スクリーンSCを上下(Y)方向に動かした場合には、第1のフォーカス構造のフォーカスレバーを動かすことにより、フローティングフォーカス方式のピント合わせを実施すれば「投射画面全体で好適な解像感」を得ることができる。
【0115】
「第2のフォーカス構造」は、外装OCの内部に収納固定し、外部に露呈させず、ユーザが第2のフォーカス構造を操作することができないようにする。
【0116】
第2のフォーカス構造は、折り返しミラーを用いない場合は「屈折光学系全体をライトバルブの法線方向に移動させる全体繰り出し機構」であることができる。
【0117】
全体繰り出し機構は、屈折光学系を保持する鏡胴に設けられたネジ構造の、ネジ回転によって行なわれることができる。
【0118】
全体繰り出し機構は、屈折光学系を保持する鏡胴と、ライトバルブを保持する光学ハウジングの間に設けられる1以上の中間部材として構成され、前記鏡胴と光学ハウジングが前記中間部材を介して組みつけられることができる。
【0119】
第2のフォーカス構造は、屈折光学系内部のレンズ群のうち、ライトバルブから最も遠いレンズ群を、ライトバルブの法線方向に移動させる、前群フォーカス機構であることができる。
【0120】
画像表示装置は、被投射面に投射画像を投射表示するとき、ライトバルブを出た光が屈折光学系を介してミラー光学系に入射し、ミラー光学系で反射された後に前記被投射面に向かうように、屈折光学系とミラー光学系が配置され、投射光学系は、屈折光学系とミラー光学系の間に光路折り曲げ用の折り返しミラーを有し、該折り返しミラーが、設置位置を調整可能な構造体で保持されていることができる。
【0121】
折り返しミラーの設置位置調整を行なう構造体は、折り返しミラーを保持する保持部品と、折り返しミラーの間に配置された1以上の中間部材で構成されることができる。
ミラー光学系の曲面ミラーは凹面ミラーで、屈折曲光学系により、屈折光学系とミラー光学系の間の光路に、画像表示素子の実像を中間像として形成することが好ましい。
【符号の説明】
【0122】
LB ライトバルブ
LI 第1レンズ系
LII 第2レンズ系
LIII 第3レンズ系
LIV 題4レンズ系
RM 折り返しミラー
CNM 曲面ミラー
InA 中間部材
InB 中間部材
SC スクリーン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】
【特許文献1】文献2:特開2009−251457
【特許文献2】文献3:特開2009−229738
【特許文献3】文献4:特開2008−165187
【非特許文献】
【0124】
【非特許文献1】光技術コンタクト Vol.39,No.9(2001)
【技術分野】
【0001】
この発明は画像表示装置に関する。この画像表示装置は反射型のライトバルブを用いる投射型であって、各種のプロジェクタ装置として実施できる。
【背景技術】
【0002】
反射型のライトバルブを用いる投射型の画像表示装置の一般的な構成と機能を、図1を参照して説明する。
【0003】
図1は、投射型の画像表示装置として一般的な「プロジェクタ装置」の光学配置を説明図として示している。
【0004】
図中、符号LBはライトバルブ、符号LSはランプ光源、符号IRはインテグレータロッド、符号LNは照明用レンズ、符号Mはミラー、符号CMは曲面ミラー、符号POSは投射光学系を、それぞれ示している。
【0005】
ライトバルブLBは、画像表示素子であって反射型である。
ランプ光源LSは、ランプLPとリフレクタRFを有し、ライトバルブLBを照明するための照明光を放射する。
【0006】
インテグレータロッドIR、照明用レンズLN、ミラーM、曲面ミラーCMは、ランプ光源LSから放射される照明光をライトバルブLBに導光する照明光学系を構成する。
【0007】
インテグレータロッドIRは、4つのミラーをトンネル状に組み合わせたライトパイプであり、入口部から入射する光をミラー面で反射させつつ出口部へ導光する。
【0008】
投射光学系POSは、ライトバルブLBからの反射光を、スクリーン等の被投射面にむけて投射し、被投射面上に「ライトバルブLBに表示された画像」を拡大して結像する。
【0009】
ライトバルブLBは、この例では「DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)」であり、微小なミラーをアレイ状に配列してなる。個々の微小ミラーは、その法線方向を、互いに独立して、例えば「±12度の範囲」で変化させることができる。
【0010】
ランプLPから発せられた光をリフレクタRFで反射し、インテグレータロッドIRの入口部に集光する。入口部から入射した光は、インテグレータロッドIR内で反射を繰り返しつつ導光され、出口部から「照度ムラを均された」一様な照度の光として射出する。
【0011】
インテグレータロッドIRから射出した光は、照明用レンズLN、ミラーM、曲面ミラーCMからなる照明光学系を介してライトバルブLBを照射する。
【0012】
照明光学系の、照明レンズLNとミラーMおよび曲面ミラーCMは、インテグレータロッドIRの出口部における射出光を「光量むらの均された一様な照度の面光源」とし、この面光源の像をライトバルブLB上に形成する。即ち、ライトバルブLBは一様な照度の照明光で照射される。
【0013】
ライトバルブLBにおける微小ミラーの傾き角を、例えば、−12度のとき、微小ミラーによる反射光が投射光学系POSに入射し、+12度のときは投射光学系POSに入射しないように定めて、ライトバルブLBと投射光学系POSとの位置関係を定め、さらに曲面ミラーCMからの照射光の「ライトバルブLBへの入射方向」を設定する。
【0014】
被投射面に投射結像するべき画像の画素に応じて、個々の微小ミラーの傾きを調整すれば、ライトバルブLBに画像を表示することができる。このように表示された画像を「表示画像」と呼ぶ。
【0015】
このようライトバルブLBに画像を表示し、照明光をライトバルブLBに照射すれば、投射光学系POSに入射する微小ミラーごとの反射光が、投射光学系POSにより結像光束とされて被投射面上に、上記画像の拡大画像として投射され結像する。このように被投射面上に結像した画像を「投射画像」と呼ぶ。
【0016】
ライトバルブLBは「一様な照度分布の光」で照射されるので、表示された表示画像の拡大像である被投射面状の投射画像も一様な照度分布となる。このようにして、被投射面上に「デジタル画像」を表示できる。
【0017】
以上が、一般的なプロジェクタ装置による画像表示の説明である。
【0018】
上記の如く、投射光学系POSの機能は「ライトバルブLBに表示された表示画像の実像である投射画像をスクリーン等の被投射面上に結像させる」ことであるが、被投射面上に表示させる投射画像のサイズや、プロジェクタ装置から被投射面までの距離は、プロジェクタ装置の具体的な使用状況により区々である。
【0019】
被投射面上に投射画像を結像させるためには「ピント合わせ」が必要である。
図2(a)に示す「通常のプロジェクタ装置」では、投射光学系POS1は「共軸回転対称」であり、被投射面であるスクリーンSC上の投射画像のピント合わせは、投射光学系POS1全体を動かしてピントを合わせる「全体繰り出し方式」や、レンズ系中の1枚以上のレンズをセットとしたフォーカス群を移動させるフォーカシング方式が一般的である。なお、図2以下の各図において、投射光学系の共軸回転対称なレンズ系部分の光軸を符号「AX」で表す。
【0020】
図2(b)に示す「複数枚レンズにより構成される屈折光学系POSL1と、この屈折光学系POSL1とは光軸を共有しない、非共軸の反射面により構成されるミラー光学系POSM1(図の例では1枚の凹面ミラーにより構成されている。)により構成される投射光学系を用いるプロジェクタ装置」が知られ、広く普及しつつある。
【0021】
このようなプロジェクタ装置で、従来よりもさらに至近距離(超至近距離)での投射を可能とするものが提案され、実施されつつある。
【0022】
スクリーンSCに対して「至近距離あるいは超至近距離で画像を投射」する場合、通常「投射画像が見やすい」ように、投射画像の投射位置を「プロジェクタ装置よりも上方」に設定する必要がある。
このため一般に、図2に示すように画像表示素子LB(ここではDMD)の中心を、投射光学系の光軸AX上からずらし、偏心して配置する。
そして「投射光学系の性能保障範囲を広く取る」ために投射光学系を広角レンズにすることにより画像品位を保つ。
しかし、共軸回転対称なレンズ系による投射光学系の広角化には限界があり、「スクリーンSCにより近接した超至近位置」から投射画像を投射するには、ミラー光学系により「光路をかせぐ」必要がある。
【0023】
レンズ系による投射光学系の光路を平面ミラーで折り返すようにし、投射光学系の光軸をスクリーンに対して斜めに傾け、近距離での投射を行なう「斜め投射」方式もあるが、
近距離投射は可能であるが、表示画面が台形状に歪む「台形歪み」の問題がある。
【0024】
図2(b)に示す投射方式では、ミラー光学系POSM1を構成する凹面ミラーの鏡面形状を「自由曲面」とすることにより、投射画像の「台形歪み」を効果的に補正できる。このような「自由曲面をもつミラーによる台形歪みの補正」に関しては、非特許文献1に詳しい説明がある。
【0025】
図2(b)に示すような、屈折光学系POSL1とミラー光学系POSM1を用い、ミラー光学系POSM1に「自由曲面形状のミラー」を用いて台形歪みの補正を行なうプロジェクタ装置において、上述の「ピント合わせ」を行なうのに適したフォーカシング方式として「フローティングフォーカス方式」が考えられる。
【0026】
この場合の「フローティングフォーカス方式」は、ライトバルブLB(DMD)に最も近い「1枚以上のレンズ」を固定し、他の2以上のレンズやレンズ群、ミラーを光軸方向に移動させてピントを合わせするフォーカシング方式である。
【0027】
特に、至近距離や超至近距離でのピント合わせを「複数のレンズ群を、浮き木のように移動させてピントを合わせる」ところからフローティングフォーカス方式と呼ばれ、特に「一眼レフカメラの交換レンズ」で広く使われている。
【0028】
全体繰り出し方式や「単一のレンズやレンズ群」によるフォーカシングでは、スクリーンSCに対して至近距離から投射画像の投射を行なったときの台形歪みの補正が不足しがちであり、像面湾曲の補正も不十分となって、表示画面の中心と周辺のピントがずれる問題も生じる。
【0029】
フローティングフォーカス方式では、スクリーンSCに対して至近距離から投射画像の投射を行なったときに発生する画像の歪みを、主には「非共軸の曲面ミラー」で補正するため、台形歪みの補正や像面湾曲の補正も良好に行なうことが可能である。
【0030】
より具体的に説明する。
図3(a)は「斜め投射」のプロジェクタ装置を示している。図示の簡単のために、光路を折り返す平面ミラーは図示を省略している。
【0031】
投射光学系POS0によりスクリーンSC上に投射画像を投射表示する。
【0032】
ライトバルブLBは「DMD」であり、その画像表示面は、図3(b)の上図のようにスクリーンSCの上下方向(Y方向)が短い「横長の長方形形状」であるが、スクリーンSC上に投射された投射画像は、図3(b)の下図のように「台形形状」である。
【0033】
図4(a)は、屈折光学系POSL1とミラー光学系POSM1により構成された投射光学系による投射方式のプロジェクタ装置を示す。ミラー光学系POSM1は凹面ミラーである。
【0034】
このプロジェクタ装置では、ライトバルブLB(DMD)の画像表示面は、図4(b)の上図のように長方形形状であり、屈折光学系POSL1により、この画像表示面の実像を、中間像Im0として、屈折光学系POSL1とミラー光学系POSM1との間に結像させ、ミラー光学系POSM1により、中間像Im0を物体像とする投射画像をスクリーンSC上に結像投射する。
【0035】
屈折光学系POSL1により結像する中間像Im0は、図4(b)の中段の図のように「上部が狭い台形形状」で、このような歪曲収差を与えられて結像する。そして、この歪曲収差を、ミラー光学系POSM1により補正して、図4(b)の下図に示すように「長方形形状に補正された投射画像」をスクリーンSC上に結像する。
【0036】
図4のプロジェクタ装置で、スクリーンSC上に「より小さい投射画像」を表示するために、図5(a)に示すように、スクリーンSCを(図4(a)の位置よりも)Z方向の右側に移動させ、共軸系である屈折光学系POSL1の「Z方向への全体繰り出し」によりピント合わせを行なう場合を考える。
【0037】
この場合、屈折光学系POSL1の全体繰出しの前後で、中間像Im0の歪曲は殆ど変化しないので、中間像Im0の形状は、図5(b)の中段の図のように、図4(b)の下図の場合と同様であり、スクリーンSC上での投射画像には、図5(b)の下段の図のように「上辺が短くなる台形歪み」が発生してしまう。
【0038】
この現象を、図6以下を参照してより詳しく説明する。
図6(a)は、図4(a)を上方から見た状態、即ち、図4(a)のXZ断面を示す。
【0039】
図6(a)に示すように、凹面ミラーPOSM1を使った投射光学系は、スクリーンSC上の表示画面の、Y方向上方とY方向下方に向かう光の角度がXZ断面内で異なる。
【0040】
図6(c)は、図6(a)のように、適正な投射が行なわれている場合の投射画像の形状であり、長方形形状である。
【0041】
スクリーンSCを、図5(a)のように移動させると、この状態のXZ断面を示す図6(b)に示すように、表示画面の上と下で、スクリーンSCに到達するX方向の位置が異なり図6(d)に示すように「上辺が短い台形歪み」を発生する。
【0042】
ライトバルブと屈折光学系の距離(ライトバルブ法線方向の距離)が適正である場合には、台形歪みの補正や、全述の像面湾曲の補正には「フローティングフォーカス方式」は大変有効である。
【0043】
フローティングフォーカス方式によるピント合わせでは、像面湾曲補正が強く作用するため、例えば、図7に示すように、スクリーンSCを、スクリーン位置SC(1)(図4の(a)の状態である。)から、スクリーン位置SC(2)(図5(a)の状態である。)まで、曲面ミラーPOSM1に近づけたときのように「ピント調整量が、表示画面の上と下で大きく異なるような場合」に有効である。
【0044】
しかし、表示画面全体で「合わせたいピント調整量が同じ場合」にはフローティングフォーカス方式によるピント合わせは、有効に機能せず、このような場合には「全体繰り出し方式や前群繰り出し方式によるピント合わせ」が有効である。
【0045】
プロジェクタ装置のピント合わせに関しては、従来から、種々の方法が広く知られている(例えば、特許文献1〜3)。
【0046】
フローティングフォーカス方式によるピント合わせは、表示画面の「中心と周辺のピントずれ」を補正する機能が主であるが「屈折光学系とライトバルブとの距離のばらつき」や「屈折光学系の焦点距離ばらつき」により投射画像全体のピントが「ボケて」いるような場合に、これを補正するには不向きである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、屈折光学系とミラー光学系で構成される投射光学系を用いる投射型の画像表示装置において、表示画面の「中心と周辺のピントずれ」を補正する機能と、「投射画像全体のピントボケ」を補正する機能をもった画像表示装置の実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0048】
この発明の画像表示装置は、画像表示素子であるライトバルブと、光源および照明光学系と、投射光学系と、これら保護する外装手段を有する画像表示装置であって、投射光学系は、複数のレンズ群によって構成される屈折光学系と、曲面ミラーを有するミラー光学系からなり、互いに別個のフォーカス構造として、第1および第2のフォーカス構造を有し、第1のフォーカス構造は、画像表示素子の実像を被投射面に投射してフォーカス合わせを行なうとき、前記屈折光学系中の複数のレンズ群を、前記ライトバルブの法線方向に、それぞれ異なる移動量で変位させることを可能とし、前記第2のフォーカス構造は、前記各レンズ群を、ライトバルブの法線方向に、第1のフォーカス構造とは異なる移動量で移動させるものであり、外装手段により保護組付けを実施した後は操作不能となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0049】
上記の如く、この発明の画像表示装置は、フォーカス構造として、第1および第2のフォーカス構造と言う、互いに別個の2つのフォーカス構造を有する。
第1のフォーカス構造は、画像表示素子の実像を被投射面に投射してフォーカス合わせを行なうとき、屈折光学系中の複数のレンズ群を、ライトバルブの法線方向に、それぞれ異なる移動量で変位させるフローティングフォーカス方式のピント合わせを可能とする。
【0050】
また、第2のフォーカス構造は、屈折光学系の、各レンズ群を、ライトバルブの法線方向に、第1のフォーカス構造とは異なる移動量で移動させるフォーカシング方式であり、「屈折光学系とライトバルブとの距離のばらつき」や「屈折光学系の焦点距離ばらつき」に起因する「投射画像全体のピントボケ」を有効に補正することができる。
【0051】
第2のフォーカス構造は、プロジェクタ装置に対して外装手段により保護組付けを実施した後は操作不能であり、完成したプロジェクタ装置においては、ユーザにより操作されることはなく、2つのフォーカス構造を有することが、ユーザにプロジェクタ装置使用上の混乱を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】画像表示装置として一般的なプロジェクタ装置を説明するための図である。
【図2】投射画像のピント合わせを説明するための図である。
【図3】投射画像の台形歪みを説明するための図である。
【図4】台形歪みの補正を説明するための図である。
【図5】ミラー光学系を用いる画像投射装置における台形歪みの補正が不十分な場合を説明するための図である。
【図6】ミラー光学系を用いる画像投射装置における台形歪みの補正が不十分な場合を説明するための図である。
【図7】ミラー光学系を用いる画像投射装置において、スクリーン位置が変化する場合を説明するための図である。
【図8】実施の形態1の主要部を示す図である。
【図9】実施の形態2を説明するための図である。
【図10】実施の形態3を説明するための図である。
【図11】実施の形態1〜3で用いられる屈折光学系の具体的な例を説明するための図である。
【図12】屈折光学系の具体的な構成の1例を示す図である。
【図13】実施例1の投射光学系の屈折光学系部分のデータを示す図である。
【図14】実施例1のデータを示す図である。
【図15】実施例1における凹面ミラーの鏡面形状のデータを示す図である。
【図16】投射光学系に外装OCを装荷したプロジェクタ装置を説明するための図である。
【図17】投射光学系に外装OCを装荷したプロジェクタ装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、実施の形態と具体的な実施例を説明する。
【0054】
以下に挙げる全実施の形態例および実施例において、画像表示素子であるライトバルブとして「DMD」を例示するが、この発明の画像表示装置における画像表示素子は、勿論、DMDに限るものではない。
【0055】
即ち、この発明の画像表示装置には、DMD以外のライトバルブ、例えば、LDパネルやLCOSパネル等、公知の種々のライトバルブの使用が可能である。
【0056】
また、図の煩雑さを避けるため、以下の実施例の説明に用いる図面において、光源であるランプ光源や、ランプ光源からの照明光をライトバルブへ導光して照射する照明光学系の図示を省略する。
【0057】
実際には、図1に示したような、ランプ光源LSからの照明光を、インテグレータロッドIR、照明用レンズLN、ミラーM、曲面ミラーCMは曲面ミラーによる照明光学系で、ライトバルブLB(DMD)を照明する場合が想定されている。
【0058】
勿論、光源や照明光源の種類や構成は、この場合に限定されるものではなく、画像表示素子の種類や形態に応じて適宜のものが用いられることは言うまでもない。
【0059】
「実施の形態1」
実施の形態1の主要部を図8に示す。
【0060】
ライトバルブLBはDMDであり、光学ハウジングHSに保持されている。
【0061】
光学ハウジングHSには、中間部材InAを介して鏡胴CLが連結され、この鏡胴CL内に投射光学系の「屈折光学系」をなす複数枚のレンズが配置されている。
形態1においては「屈折光学系」は、4つのレンズ群、即ち、ライトバルブLB側から第1レンズ群LI、第2レンズ群LII、第3レンズ群LIII、第4レンズ群LIVを配して構成されている。
【0062】
また、符号RMは「折り返しミラー」、符号CANは「ミラー光学系」をなす凹面ミラーを示す。
【0063】
図示されない光源からの照明光が、図示されない照明光学系によりライトバルブLBであるDMDの画像表示面に照射されると、画像表示面による反射光は、DMDに表示された表示画像により強度変調されて、投射光学系の「屈折光学系」に入射する。
【0064】
屈折光学系から射出した光束は、折り返しミラーRMにより反射され、凹面ミラーCNMにより反射されると結像光束となって、図示されない被投射面(スクリーン)に向かい、被投射面上に表示画像を拡大した投射画像を結像する。
【0065】
折り返しミラーRMは、ホルダHLに中間部材InBを介して取り付けられている。
【0066】
このような「折り返しミラーRMを経由する光学系」では、折り返しミラーRMで反射した光の拡散度合いを低くできるように、「屈折光学系と凹面ミラーRMの間の光路上に「表示画像の実像」を中間像として結像させることにより、光束を1度絞ることが好ましい。
【0067】
フォーカシングによるピント合わせを説明する。
図8には図示されていないが、スクリーンの位置を、図7のスクリーン位置SC(1)からスクリーン位置SC(2)のように近づけた場合に、投射画像の「画面の上と下」とで異なるフォーカス調整量を補正するため、フローティングフォーカス方式でピント合わせを行なう。
形態1においては、屈折光学系を構成する4つのレンズ群のうち、第2レンズ群LIIと第3レンズ群LIIIを光軸方向へ移動させて、ピントあわせを行なう。
【0068】
図8は、鏡胴CLの構造について詳しく図示していないが、第2レンズ群LIIと第3レンズ群LIIIを移動させるには、例えば、鏡胴CLにカム溝を形成し、第2レンズ群LIIと第3レンズ群LIIIのそれぞれに、このカム溝に合うピンを取り付けて、カム溝にはめ込み、鏡胴CLを回転させることにより、第2レンズ群LIIと第3レンズ群LIIIをそれぞれ、異なる方向に移動させることができる。
【0069】
ここでは、鏡胴CLを1部品のように扱って説明を簡単化したが、実際には複数部品による「より複雑な構成」を採るのが一般的である。
【0070】
このカム機構を「第1のフォーカス構造」とする。
【0071】
ところで、光学ハウジングHSを複数個作製すれば、製品には、当然に「寸法のばらつき」が生じる。
従って、鏡胴CLを光学ハウジングHSに直接組付けた場合、図8のライトバルブLBと第1レンズ群LIとの間の距離が「寸法ばらつき」に従って、ばらついてしまう。
また、形態1では、第1〜第4レンズ群LI〜LIVで構成される屈折光学系の各レンズも、凹面ミラーCNMも、複数個作製すれば、それぞれに「形状ばらつき」があり、特に「屈折光学系の焦点距離」のばらつきが発生し、ライトバルブLBと第1レンズ群LI間の「最適な距離」がばらついてしまう。
【0072】
これら2種の「ばらつき」があっても、ライトバルブLBと第1レンズ群LIとの間の距離を適正化できるように「中間部材InA」が配置される。
【0073】
中間部材InAとして、例えば、厚さ:0.1mm程度の薄い板を複数枚用い、光学ハウジングHSと鏡胴CLの間に介設する薄い板の枚数を変えることにより、中間部材InAの全厚みを調整するようにできる。このようにすると、ライトバルブLBと第1レンズ群LIとの間の距離を、0.1mm単位で調整することができる。
【0074】
あるいはまた別の方法として、厚みが0.1mm単位で異なる複数のアルミ等の板部材を中間部材InAとして用意し、光学ハウジングHSと屈折光学系の組み合わせごとに、「最適な厚さのアルミ板」を選択して挿入するようにすれば、ライトバルブLBと第1レンズ群LIとの間の距離を、0.1mm単位で調整することができる。
【0075】
中間部材InAにより、光学ハウジングHS・鏡胴CLの位置関係を調整したのちは、これらの位置関係を固定するために、これらを「ネジなどで相互に固定」するのが良い。
【0076】
上記の如く、中間部材InAで、ライトバルブLBと第1レンズ群LIの位置関係を最適化すると、この最適化の操作により、第4レンズ群LIVと凹面ミラーCNMの位置関係が「組付け当初の関係」からずれてしまう。
【0077】
これを補正するために、折り返しミラーRMとホルダHLの間に介在する中間部材InBを用いて、第4レンズ群LIVと凹面ミラーCNMの間の光路長を調整する。
【0078】
中間部材InBも、中間部材InAと同様に、複数枚の薄板や、厚みの異なるアルミ板を用いれば、上記光路長の調整を容易に高精度で実施することができる。
【0079】
また、中間部材InA、InBとして、薄板を使用する場合、中間部材InAと光学ハウジングHS、あるいは中間部材InBとホルダHLの位置固定点(例えばネジで止める点)を複数個形成すれば、各位置固定点に挿入する薄板の枚数を変えることで「ライトバルブLBと屈折光学系の傾き誤差」や「曲面ミラーCNMと屈折光学系の傾き誤差」を補正することが可能である。
【0080】
上に説明した中間部材InA、InBは「第2のフォーカス構造」をなす。
【0081】
鏡胴CLと光学ハウジングHSの間に、中間部材InAをはさむだけで調整可能なので、特別な構造体が不要であり、ライトバルブLBに近くて熱を持つ光学ハウジングHSと鏡胴CLを直接接触させないことで、鏡胴CLに熱が移りにくくなり、レンズの熱膨張によるピントずれが発生しない。
【0082】
即ち、実施の形態1の画像表示装置は上記の如く、第1および第2のフォーカス構造を有する。
第1のフォーカス構造では、被投射面と凹面ミラーCNMとの距離を変えたような場合に、屈折光学系における第2レンズ群LII、第3レンズ群LIIIを「異なる移動量」で変位させるフローティングフォーカス方式でピント合わせを行なう。
【0083】
これに対し、第2のフォーカス構造では、画像表示装置の光学系を組み付ける工程において、ライトバルブ・屈折光学系・凹面ミラー(ミラー光学系)の位置関係を適切にすることにより、基準状態で投射画像のピントが合うようにする。
【0084】
「実施の形態2」
実施の形態2を、図9を参照して説明する。
【0085】
実施の形態2は、上に説明した実施の形態1の変形例であり、第2のフォーカス構造のうち「ライトバルブLBと第1レンズ群LIの間の距離を調整する構造」を、実施の形態1における中間部材InAに代えて「ネジ構造(図中に符号「BS」で示す。)」とした例である。
【0086】
ネジ構造BSによりライトバルブLBと第1レンズ群LIとの間隔を調整する。ネジ構造BSは、中間部材InBとともに「第2のフォーカス構造」を成すものであるから、ネジ構造BSによる間隔調整は、光学系の組み付け工程で行い、調整後はネジ構造BSを固定し、ユーザによる調整はできないようにする。
【0087】
なお、第2のフォーカス構造は、上記中間部材InA、InBやネジ構造BSなどに限定されるものではなく、上記と同じ機能を達成可能であればどのような構造でもよい。
【0088】
「実施の形態3」
実施の形態3を、図10を参照して説明する。なお、繁雑を避けるため、混同の恐れがないと思われるものについては、各部の符号を共通化する。
【0089】
図10に構成を示す実施の形態3では、屈折光学系は第1レンズ群LI〜第4レンズ群LIVにより構成される。
【0090】
実施の形態3では「第2レンズ群LIIと第3レンズ群LIIIの移動によりフローティングフォーカス方式のピント合わせ」を行なう。このとき、第4レンズ群LIVは固定されている。即ち、第2レンズ群LIIと第3レンズ群LIIIと、これらを変位させる機構は「第1のフォーカス構造」を構成する。
【0091】
一方「第2のフォーカス構造」は、第4レンズ群LIVとこれを光軸方向に移動させる構造により構成される。
【0092】
第4レンズ群LIVの光軸方向への移動により、上述の実施の形態1、2の「全体繰り出しによるフォーカシング」と略同じ効果が得られる。
第4レンズ群LIVの移動は、第2、第3レンズ群LII、LIIIを行なうカム構造とは異なるカム構造で行うようにし、光学系の組み付け工程で実施し、調整後は固定してユーザによる操作が出来ないようにする。
【0093】
投射画像の投射中には、第1のフォーカス構造で、第2、第3レンズ群LII、LIIIを変位させてピント合わせを行なう。第1のフォーカス構造と、第2のフォーカス構造は、互いに別個のカム機構とすることにより、フォーカシングのために動かすレンズ単位が小さく、調整で発生する傾きなどの誤差の影響を小さく抑えられるため、全体繰り出しよりも好ましい面がある。
【0094】
しかし、第4レンズ群LIVを図10に示すように、ライトバルブLBから離れる方向に動かす場合、図8や図9に示す実施の形態のように「折り返しミラーRMを用いる光学構造」では、折り返しミラーRMで反射した光が、凹面ミラーCNMに向かう途中で、第4レンズ群IVによって遮られないようにする必要がある。
【0095】
上に説明した実施の形態1〜3で用いられる屈折光学系の具体的な例を、図11以下を参照して説明する。
【0096】
図11(a)、(b)において、符号2〜5は「照明光学系の部品」、符号1は光源である「ランプ光源」、符号2は「インテグレータロッド」、符号3は「照明用レンズ」、符号4は「ミラー」、符号5は「曲面ミラー」を示す。曲面ミラー5は「球面形状の反射面を有する凹面鏡」である。
【0097】
符号6〜10は「投射光学系の部品」であって、符号6はライトバルブの防塵カバーガラス、符号7はライトバルブ本体、符号8は「投射光学系」を示す。
【0098】
図11(b)における符号8−1は「屈折光学系」、符号9は「自由曲面である凹面ミラー(上の説明における凹面ミラーCNM)」を保護する防塵ガラスを示し、符号10は、第1〜第4レンズ群を保持する「鏡胴」を示す。
【0099】
鏡胴10は、4つのレンズ群中の3つのレンズ群が「別個に移動できる」ように、3本の異なるカム溝が彫ってある。なお「最もライトバルブ7よりの寄りのカム溝」は移動量が0なのでフォーカスには無関係である。
【0100】
屈折光学系8−1の具体的な構成を図12に示す。
屈折光学系8−1は、図12に示すように「4群11枚」構成である。
「実施例1」
図12に構成を示す屈折光学系の具体例の1例を実施例1とし、そのデータを図13〜図15に示す。
図13は、各面の曲率半径、面間隔を「mm単位」で示し、材質の屈折率とアッベ数を示す。開口絞りについては開口半径を示す。また、曲率半径:0.000は、曲率半径:∞大、即ち平面を表す。
「偏芯Y」は、屈折光学系POSLの光軸の「Y方向(図5(a)に示す上下方向)のマイナス側(図5(a)の下方側)」へのシフト量を「mm」単位で示す。
【0101】
「偏芯α」は、投射光学系の凹面ミラーCNMおよび防塵ガラスGの、上記光軸(Z方向)とライトバルブLBの短手方向を含む面に対するシフト量を「mm」単位で示す。
【0102】
また、非球面の欄において「黒丸」を付した面は非球面である。
【0103】
面番号の欄において、「LB(0)」は、ライトバルブLB(DMD)」の画像表示面、面番号「1、2」はカバーガラスCGの両面である。面番号「3、4」は、LGAの入射側および射出側のレンズ面であり、これらは共に非球面である。
【0104】
なお、曲率半径の欄において「1.0E+18」は「1×1018」を意味し、これらの曲率半径を持つ面は「実質的な平面」である。曲率半径の値は、非球面については「近軸曲率半径」である。
【0105】
図14(a)は、非球面データである。
非球面は、近軸曲率(近軸曲率半径の逆数):C、楕円定数(コーニック定数):K、高次の非球面係数:E2j(j=2、3、4、5、6、7、8)、光軸直交方向の座標:H、光軸方向のデプス:Dにより、周知の式、
D=CH2/[1+√{1−(1+K)C2H2}]
+ΣE2jH2j(j=1〜8)
で表現される。
【0106】
実施例1の屈折光学系に用いられている非球面では、何れも楕円定数:Kは0である。
【0107】
図14(b)は、「第1ミラー(折り返しミラー)に最も近いレンズ面の「面頂点」を基準とする、第1ミラー、第2ミラー(凹面ミラーCNM)、防塵ガラスの第1、第2面、スクリーン距離1(前記スクリーン位置SC(1))、スクリーン距離2(スクリーン距離(2))のX、Y、Z方向の位置のデータである。
【0108】
図14(c)は、スクリーン距離が、スクリーン距離1、2であるときの、各レンズ群の具体的な移動量データを「mm単位」で示している。
【0109】
図15は、凹面ミラーCNMの「鏡面形状のデータ」である。
【0110】
凹面ミラーCNMの鏡面形状は「自由曲面」であり、光軸上の近軸曲率半径:c、コーニック定数:k、高次の係数:Cj(j=2〜72)、光軸直交方向の距離:r、光軸に平行な「面のサグ量:z」、図5におけるX方向の座標:x、Y方向の座標:yを用いて、以下の式で与えられる。
【0111】
z=cr2/[1+√{1−(1+k)c2r2}]
+ΣCj・xmyn(j=2〜72)
図15で、例えば、C40を係数とする「x**4*y**7」は「x4×y7」を表す。
【0112】
6枚構成の第1レンズ群LIは、画像表示装置の使用中におけるフォーカス時に固定であり、第2〜第3レンズ群LII〜LIIIそれぞれの「移動量の異なる変位」によってフローティングフォーカス方式のピント合わせが行なわれる。
また、光学系の組み付け時には、第4レンズ群LIVの移動により「投射画像全体としてのピント合わせ」を行ない、調整後は第4レンズ群LIVを固定する。
図16、図17に、この投射光学系に外装OCを装荷したプロジェクタ装置を示す。
【0113】
ライトバルブLB、屈折光学系POSL、ミラー光学系RM、CNMを外装OCに内装し、カバーガラスCGを介して結像光束を射出させ、スクリーンSC上に結像させる。
【0114】
フローティングフォーカス方式のピント合わせを行なう第1のフォーカス構造の「操作部(フォーカスレバー)」が、外装OCの外側に露出するように「鏡胴メカ構造」を設定し、例えば、図16で、スクリーンSCを上下(Y)方向に動かした場合には、第1のフォーカス構造のフォーカスレバーを動かすことにより、フローティングフォーカス方式のピント合わせを実施すれば「投射画面全体で好適な解像感」を得ることができる。
【0115】
「第2のフォーカス構造」は、外装OCの内部に収納固定し、外部に露呈させず、ユーザが第2のフォーカス構造を操作することができないようにする。
【0116】
第2のフォーカス構造は、折り返しミラーを用いない場合は「屈折光学系全体をライトバルブの法線方向に移動させる全体繰り出し機構」であることができる。
【0117】
全体繰り出し機構は、屈折光学系を保持する鏡胴に設けられたネジ構造の、ネジ回転によって行なわれることができる。
【0118】
全体繰り出し機構は、屈折光学系を保持する鏡胴と、ライトバルブを保持する光学ハウジングの間に設けられる1以上の中間部材として構成され、前記鏡胴と光学ハウジングが前記中間部材を介して組みつけられることができる。
【0119】
第2のフォーカス構造は、屈折光学系内部のレンズ群のうち、ライトバルブから最も遠いレンズ群を、ライトバルブの法線方向に移動させる、前群フォーカス機構であることができる。
【0120】
画像表示装置は、被投射面に投射画像を投射表示するとき、ライトバルブを出た光が屈折光学系を介してミラー光学系に入射し、ミラー光学系で反射された後に前記被投射面に向かうように、屈折光学系とミラー光学系が配置され、投射光学系は、屈折光学系とミラー光学系の間に光路折り曲げ用の折り返しミラーを有し、該折り返しミラーが、設置位置を調整可能な構造体で保持されていることができる。
【0121】
折り返しミラーの設置位置調整を行なう構造体は、折り返しミラーを保持する保持部品と、折り返しミラーの間に配置された1以上の中間部材で構成されることができる。
ミラー光学系の曲面ミラーは凹面ミラーで、屈折曲光学系により、屈折光学系とミラー光学系の間の光路に、画像表示素子の実像を中間像として形成することが好ましい。
【符号の説明】
【0122】
LB ライトバルブ
LI 第1レンズ系
LII 第2レンズ系
LIII 第3レンズ系
LIV 題4レンズ系
RM 折り返しミラー
CNM 曲面ミラー
InA 中間部材
InB 中間部材
SC スクリーン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】
【特許文献1】文献2:特開2009−251457
【特許文献2】文献3:特開2009−229738
【特許文献3】文献4:特開2008−165187
【非特許文献】
【0124】
【非特許文献1】光技術コンタクト Vol.39,No.9(2001)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示素子であるライトバルブと、光源および照明光学系と、投射光学系と、これら保護する外装手段を有する画像表示装置であって、
投射光学系は、複数のレンズ群によって構成される屈折光学系と、曲面ミラーを有するミラー光学系からなり、
互いに別個のフォーカス構造として、第1および第2のフォーカス構造を有し、
第1のフォーカス構造は、画像表示素子の実像を被投射面に投射してフォーカス合わせを行なうとき、前記屈折光学系中の複数のレンズ群を、前記ライトバルブの法線方向に、それぞれ異なる移動量で変位させることを可能とし、
前記第2のフォーカス構造は、前記各レンズ群を、ライトバルブの法線方向に、第1のフォーカス構造とは異なる移動量で移動させるものであり、外装手段により保護組付けを実施した後は操作不能となることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像表示装置において、
第2のフォーカス構造は、屈折光学系全体をライトバルブの法線方向に移動させる全体繰り出し機構であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像表示装置について、
全体繰り出し機構は,屈折光学系を保持する鏡胴に設けられたネジ構造の、ネジ回転によって行なわれることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項2記載の画像表示装置において、
全体繰り出し機構は、屈折光学系を保持する鏡胴と、ライトバルブを保持する光学ハウジングの間に設けられる1以上の中間部材として構成され、前記鏡胴と光学ハウジングが前記中間部材を介して組みつけられることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像表示装置において、
第2のフォーカス構造は、屈折光学系内部のレンズ群のうち、ライトバルブから最も遠いレンズ群を、ライトバルブの法線方向に移動させる、前群フォーカス機構であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1〜5の任意の1に記載の画像表示装置において、
被投射面に投射画像を投射表示するとき、ライトバルブを出た光が屈折光学系を介してミラー光学系に入射し、ミラー光学系で反射された後に前記被投射面に向かうように、屈折光学系とミラー光学系が配置され、
投射光学系は、屈折光学系とミラー光学系の間に光路折り曲げ用の折り返しミラーを有し、該折り返しミラーが、設置位置を調整可能な構造体で保持されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像表示装置において、
折り返しミラーの設置位置調整を行なう構造体は、折り返しミラーを保持する保持部品と、折り返しミラーの間に配置された1以上の中間部材で構成されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項6または7記載の画像表示装置において、
ミラー光学系の曲面ミラーは凹面ミラーで、屈折曲光学系により、屈折光学系とミラー光学系の間の光路に、画像表示素子の実像を中間像として形成することを特徴とする画像表示装置。
【請求項1】
画像表示素子であるライトバルブと、光源および照明光学系と、投射光学系と、これら保護する外装手段を有する画像表示装置であって、
投射光学系は、複数のレンズ群によって構成される屈折光学系と、曲面ミラーを有するミラー光学系からなり、
互いに別個のフォーカス構造として、第1および第2のフォーカス構造を有し、
第1のフォーカス構造は、画像表示素子の実像を被投射面に投射してフォーカス合わせを行なうとき、前記屈折光学系中の複数のレンズ群を、前記ライトバルブの法線方向に、それぞれ異なる移動量で変位させることを可能とし、
前記第2のフォーカス構造は、前記各レンズ群を、ライトバルブの法線方向に、第1のフォーカス構造とは異なる移動量で移動させるものであり、外装手段により保護組付けを実施した後は操作不能となることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像表示装置において、
第2のフォーカス構造は、屈折光学系全体をライトバルブの法線方向に移動させる全体繰り出し機構であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像表示装置について、
全体繰り出し機構は,屈折光学系を保持する鏡胴に設けられたネジ構造の、ネジ回転によって行なわれることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項2記載の画像表示装置において、
全体繰り出し機構は、屈折光学系を保持する鏡胴と、ライトバルブを保持する光学ハウジングの間に設けられる1以上の中間部材として構成され、前記鏡胴と光学ハウジングが前記中間部材を介して組みつけられることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像表示装置において、
第2のフォーカス構造は、屈折光学系内部のレンズ群のうち、ライトバルブから最も遠いレンズ群を、ライトバルブの法線方向に移動させる、前群フォーカス機構であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1〜5の任意の1に記載の画像表示装置において、
被投射面に投射画像を投射表示するとき、ライトバルブを出た光が屈折光学系を介してミラー光学系に入射し、ミラー光学系で反射された後に前記被投射面に向かうように、屈折光学系とミラー光学系が配置され、
投射光学系は、屈折光学系とミラー光学系の間に光路折り曲げ用の折り返しミラーを有し、該折り返しミラーが、設置位置を調整可能な構造体で保持されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像表示装置において、
折り返しミラーの設置位置調整を行なう構造体は、折り返しミラーを保持する保持部品と、折り返しミラーの間に配置された1以上の中間部材で構成されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項6または7記載の画像表示装置において、
ミラー光学系の曲面ミラーは凹面ミラーで、屈折曲光学系により、屈折光学系とミラー光学系の間の光路に、画像表示素子の実像を中間像として形成することを特徴とする画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−97326(P2013−97326A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242679(P2011−242679)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]