異常検出回路及び該回路を具備した印刷装置
【課題】パルス波のようなオン/オフの制御を用いることができない箇所においても異常検出可能にするとともに、異常発生から設定時間内に電源断を行う異常検出回路を提供する。
【解決手段】本発明の異常検出回路は、モータ2の動作時にLSI24から出力される動作速度指令信号31を入力する第1回路21と、割込み信号36を入力する第3回路と、第1回路21および第3回路23に接続されるアラーム出力回路38を有し、モータ2動作時に異常発生により割込み信号36が入力されないと第3回路23のトランジスタ35がオンせず、アラーム出力回路38の充放電回路39が充電され続け、アラーム信号が出力され、またモータ2停止時に異常発生により動作速度検出信号31が発生すると、第1回路21がアラーム出力回路38の充放電回路39を充電させ、アラーム信号を出力する。
【解決手段】本発明の異常検出回路は、モータ2の動作時にLSI24から出力される動作速度指令信号31を入力する第1回路21と、割込み信号36を入力する第3回路と、第1回路21および第3回路23に接続されるアラーム出力回路38を有し、モータ2動作時に異常発生により割込み信号36が入力されないと第3回路23のトランジスタ35がオンせず、アラーム出力回路38の充放電回路39が充電され続け、アラーム信号が出力され、またモータ2停止時に異常発生により動作速度検出信号31が発生すると、第1回路21がアラーム出力回路38の充放電回路39を充電させ、アラーム信号を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に設けられる異常検出回路および該検出回路を具備した印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インパクトプリンタ等の印刷装置において、駆動回路の異常動作を検出することが行われている。この種の異常検出回路として、例えば、実開平5−58317号公報に開示されるものがある。この公報に開示される技術は、インパクトドットプリンタ等の印字ヘッド駆動回路の出力電圧を抵抗群により時定数回路に接続して充電時間を監視し、その時定数回路の放電を駆動回路を通して行うことにより異常動作を検出するというものである。
【0003】
また他の異常検出回路として、図20に示すものがある。図20において、従来の異常検出回路1は、スペーシングモータ2を駆動するスペーシングドライバ3に接続されている。異常検出回路1は、駆動電圧制御トランジスタ4、充電回路5、放電回路6、ツェナーダイオード7、トランジスタ8、9等により構成される。駆動電圧制御トランジスタ4にはスペーシングドライバ3から出力されるパルス波が、ツェナーダイオード10、抵抗11を介して入力される。充電回路5は充電抵抗12とコンデンサ13により構成され、また放電回路6は放電抵抗14とツェナーダイオード15により構成される。
【0004】
次に動作を説明する。印字ヘッドのスペーシング動作時にスペーシングモータ2が駆動され、それによってスペーシングドライバ3からパルス波が出力される。このパルス波が駆動電圧制御トランジスタ4のベース側に入力される。これにより駆動電圧制御トランジスタ4がオン/オフし、時定数の異なる充電回路5および放電回路6に電流が流れる。
【0005】
図21は、図20に示すa点における電圧の変化を示すタイムチャートである。図21に(1)で示すように、駆動電圧制御トランジスタ4がオンしたときには、充電回路5により充電され、a点の電圧が上がる。また駆動電圧制御トランジスタ4がオフしたときには、図21に(2)で示すように、放電回路6により放電され、a点の電圧が下がる。
【0006】
駆動電圧制御トランジスタ4が異常発生により連続でオンした場合、任意の設定時間内にアラーム回路動作でスペーシングドライバ3への電源断を行いたいとする。この場合、設定時間内に電源断を行うためのツェナーダイオード7のツェナー電圧をpVとする。正常動作の場合は、a点における電圧が、ツェナー電圧pV(a点における電圧がこのツェナー電圧になったときに電源断を行う閾値)の50パーセント(pV/2)になったときに放電回路6により放電が開始される。充電時間と放電時間の関係は、充電回路5によりa点における電圧が(pV/2)に達するまでの時間をrとするとき、放電回路6による放電時間は(r/3)となるように設定される。時間の設定は、放電抵抗14、充電抵抗12およびコンデンサ13により任意に設定可能であるが、放電時間は充電時間より小さい値である必要がある。
【0007】
ここで駆動電圧制御トランジスタ4に入力されるパルス波に異常があり、駆動電圧制御トランジスタ4が連続してオンになった場合、放電回路6により放電が行われず、図20に示すa点の電圧は、図22に示すように、閾値のツェナー電圧pVを超える。この場合、図20に示すトランジスタ8、9がオンし、アラーム信号が出力され、電源断が行われる。
【特許文献1】実開平5−58317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図20に示す従来の異常検出回路においては、パルス波のようなオン/オフの制御を用いることができない箇所においてはトランジスタのオン/オフの監視を行うことができないので、こうした箇所における異常検出はできないという問題があった。
【0009】
また図23に示すように、放電時間がyのときは放電率が100%となるが、放電時間がそれより短いzのときは放電率は例えば80%となり、20%の電荷が放電されずに残っている。その状態において、さらに充電が行われると、a点における電圧が上昇し、充放電を繰り返すことで閾値を超える。即ち、1回の充放電だけではa点の電圧は閾値を超えないが、充放電が繰り返されることにより放電されずに残った電荷が蓄積され、x時間経過後に閾値を超え、アラーム検出される。この場合、異常が発生してから実際に電源断になるまでの時間xが長くなるので、電源断して欲しい設定時間sを超えてしまうことがある。
【0010】
そこで本発明は、オン/オフの制御を行うことができない箇所においても異常検出を行うことができるとともに、異常検出した場合に設定時間内に電源断を行うようにした異常検出回路を設けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明の異常検出回路は、モータの速度を決定する動作速度指令信号を入力し、該動作速度指令信号を入力した際に第1の所定電圧を出力する第1の回路と、モータ動作時に発生する割込み信号を入力し、該割込み信号を入力した際に第2の所定電圧を出力する第2の回路と、前記第1の回路と第2の回路の出力信号が入力され、該第1の回路と第2の回路の出力信号により充放電する充放電回路を有し、該充放電回路が充電された際にアラーム信号を出力するアラーム出力回路とを有し、モータ動作時に、前記割込み信号を入力した前記第2の回路が前記第2の所定電圧を出力することにより前記アラーム出力回路の前記充放電回路が放電され、モータ停止時に、前記動作速度指令信号が入力されないことにより前記第1の回路が前記アラーム出力回路の前記充放電回路を放電させ、モータ動作時に異常が発生し、前記割込み信号が発生しない場合、前記第2の回路が前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させ、モータ停止時に異常が発生し、前記動作速度指令信号が発生した場合、前記第1の回路が前記第1の所定電圧を出力し、前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パルス波のようなオン/オフのタイミングを持つ出力電圧以外の箇所においても異常検出を行うことができるとともに、異常発生から設定時間内に電源断を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。各図面に共通する要素には同一の符号を付す。図1は本発明の第1の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。図1において、第1の実施の形態の異常検出回路20は、第1回路21、第2回路22および第3回路23を有する。
【0014】
第1回路21は、LSI24に接続され、LSI24から出力される動作速度指令信号31が入力される。第1回路21は、充放電回路25、閾値を設定する閾値設定抵抗26、27およびコンパレータ28を有する。充放電回路25は充放電抵抗29とコンデンサ30とで構成される。
【0015】
第1回路21の単独での動作を説明する。LSI24からスペーシングドライバ3に対して動作速度指令信号31が出力され、この動作速度指令信号31は第1回路21へも入力される。動作速度指令信号31は、PWM(パルス幅変調)信号で、積分回路により電圧変換され、オンデューティ値が高いと高い電圧に変換される。電圧が高くなることによりスペーシングモータ2への電流が上がりスペーシング速度が上がる。また逆に電圧が低くなるとスペーシングモータ2への電流が下がりスペーシング速度が下がる。
【0016】
動作速度指令信号31が充放電回路25に入力されると、充放電回路25の出力電圧(b点における電圧)はコンパレータ28のプラス端子に入力され、閾値設定抵抗26、27により生成される閾値電圧と比較される。b点の電圧が閾値より高いとき、コンパレータ28は5Vを出力し、b点の電圧が閾値より低いときは0Vを出力する。またスペーシングモータ2が停止したときは動作速度指令信号31は出力されない。即ちこの場合は動作速度指令信号31は0Vとなり、このためコンパレータ28の出力(c点における電圧)は常に0Vとなる。
【0017】
第2回路22は、スペーシングモータ2とダイオード45とから構成される。スペーシングモータ2はスペーシングドライバ3のMU端子、MV端子およびMW端子に接続される。これらの端子はスペーシングモータ2内部の各コイルと接続されており、図2のタイムチャートで示す電圧を出力する。この各出力にダイオード45を接続することにより、第2回路22の出力となるd点の電圧は図3に示す通りとなる。即ち、上記のMU端子、MV端子およびMW端子の出力電圧があるタイミングで変化しても、出力電圧は一定である。またスペーシングモータ2が停止したときは、スペーシングドライバ3に40Vが入力されているためにd点の電圧は40Vとなる。第1回路21と第2回路22の出力電圧をまとめると図4に示す通りとなる。図4において「動作時」および「停止時」はそれぞれスペーシングモータ2の動作時および停止時を意味する。
【0018】
第3回路23はコンデンサ32、トランジスタ33、積分回路34およびトランジスタ35を有する。コンデンサ32はLSI24から出力されるIPT−N信号(割込み信号)36をチャージポンプする。IPT−N信号36は、LSI24からCPU37に対して出力される信号で、発生するタイミングは、印字中においては印字タイミング毎に1回出力され、非印字中は(1/720)インチごとに1回出力される。
【0019】
図5は第3回路の動作を示すタイムチャートである。図5において、IPT−N信号36が出力(0V)される(e点電圧における0V)と、コンデンサ32を経てトランジスタ33がオンし、f点電圧が上昇する。f点電圧はトランジスタ35のベース電圧となるが、積分回路34により立ち上がりタイミングを送らされて、トランジスタ35がオンする。トランジスタ35がオンすることにより第3回路23の出力であるg点の電圧が下がり、0Vとなる。上述のように、IPT−N信号36は一定のタイミングで発生しているが、積分回路34においてその信号が積分されることでトランジスタ35は常にオンできる状態となる。
【0020】
第1回路21、第2回路22および第3回路23はアラーム出力回路38に接続されている。アラーム出力回路38は、充放電回路39、ツェナーダイオード40、トランジスタ41、42を有する。充放電回路39は充放電抵抗43とコンデンサ44から構成され、充電回路としての機能と放電回路としての機能を有し、第1回路21、第2回路22および第3回路23の各出力信号が入力される。充放電回路39は、第1回路21、第2回路22および第3回路23のいずれかが0Vを出力するときは放電回路として機能し、上記各回路21、22、23の出力電圧がいずれも5Vまたは40Vである場合には充電回路として機能する。
【0021】
次に第1の実施の形態の動作を説明する。第1回路21、第2回路22および第3回路23の出力電圧によりアラーム出力回路38の充放電回路39の充放電制御を行う。スペーシングモータ2が正常に動作している時は、LSI24から定期的にIPT−N信号36が発生しているので、上述したように、第3回路23の出力電圧(g点電圧)が0Vとなり、アラーム出力回路38の充放電回路39が放電回路として働く。この場合の放電時間設定は、充放電回路39の充放電抵抗43とコンデンサ44の定数により決定される。図6は正常動作時のアラーム出力回路の動作を示すタイムチャートである。
【0022】
図6において、充放電回路39が放電回路として働くことにより、アラーム出力回路38のh点における電圧は0Vとなる。このためh点の電圧は閾値として設定されたツェナー電圧pVを超えることはなく、したがってトランジスタ41、42はともにオンせず、アラーム信号は出力されない。即ち、電源は供給され続ける。
【0023】
またスペーシングモータ2が停止している時は、正常時であれば、第1回路21の出力電圧(c点の電圧)が0Vとなるので、即ち、スペーシングモータ2が停止したときは、動作速度指令信号31は0Vとなり、このためコンパレータ28の出力(c点電圧)は常に0Vとなるので、アラーム出力回路38の充放電回路39が放電回路として機能し、上記と同様にアラーム信号は出力されない。
【0024】
次に、ファームウェアの制御に異常があってスペーシングモータ2の動作時においてもLSI24から発生するはずのIPT−N信号36が発生しない場合、あるいはスペーシングドライバ3に異常があり正常な動作を行えない場合の異常検出動作を説明する。まずIPT−N信号36が発生しない場合の動作を図7に従って説明する。図7はスペーシングモータ動作時の異常検出を示すタイムチャートである。
【0025】
スペーシングモータ2動作時においてIPT−N信号36が発生しなくなると、第3回路23におけるトランジスタ33がオフのままであり、またトランジスタ35もオフのままとなる。このためg点の電圧は、第1回路21および第2回路22の出力電圧により充電され、0Vとはならない。
【0026】
スペーシングモータ2が動作中は、上述のように、第1回路21の出力電圧は5Vであり、第2回路の出力電圧は40Vであるので、第3回路23の出力電圧であるg点電圧が0Vにならないと、アラーム出力回路38の充放電回路39においてコンデンサ44に溜まっている電荷を放電することができない。そのためh点における電圧は、図7に示すように、上昇し、やがてはツェナーダイオード40で設定した閾値であるツェナー電圧pVを超える。h点の電圧がツェナー電圧pVを超えると、トランジスタ41およびトランジスタ42がオンし、アラーム信号が出力され、電源断が行われる。
【0027】
次に、スペーシングモータ2が停止している時は出力されないはずの動作速度指令信号31が、何らかの異常により、スペーシングモータ2停止時にLSI24から出力された場合は、第1回路21におけるb点の電圧が、図8に示すように、閾値設定抵抗26、27で設定された閾値を超え、コンパレータ28の出力が5Vとなる。なお図8はスペーシングモータ停止時の異常検出を示すタイムチャートである。
【0028】
スペーシングモータ2が停止している時は第2回路22の出力電圧は40Vであり、第3回路23の出力電圧は0Vではないので、コンパレータ28の出力が5Vとなると、アラーム出力回路38の充放電回路39においてコンデンサ44に溜まっている電荷を放電することができない。そのためh点における電圧は、図8に示すように、上昇し、やがてはツェナーダイオード40で設定した閾値であるツェナー電圧pVを超える。h点の電圧がツェナー電圧pVを超えると、トランジスタ41およびトランジスタ42がオンし、アラーム信号が出力され、電源断が行われる。
【0029】
以上のように第1の実施の形態においては、第1回路21において、スペーシングモータ2が停止しているときは出力されないはずの、スペーシングモータ2の動作速度指令信号31を入力することにより、スペーシングモータ2が停止中に動作速度指令信号31が入力されたら異常であるとして電源断とするようにし、また第3回路23において、スペーシングモータ2動作中は出力されるはずの割込み信号(IPT−N信号)36を入力することにより、スペーシングモータ2動作中にIPT−N信号36が入力されないと異常であるとして電源断とするようにしたので、ファームウェアによる暴走が原因でスペーシングモータ2またはスペーシングドライバ3に発生した異常を検出し、電源断とすることができる。
【0030】
特に動作速度指令信号31およびIPT−N信号36を用いることにより、スペーシングモータ2の位置情報を監視しているセンサの故障、ケーブル及び基板上のパターンの断線又はショートを検出することが可能である。スペーシングモータ2の位置情報(センサスリット情報)はLSI24により監視されており、その情報に基づいてLSI24はIPT−N信号36を出力している。
【0031】
第1の実施の形態においては、第1回路21および第3回路23に充電機能および放電機能を持たせているので、パルス波のようなオン/オフのタイミングを持つ出力電圧以外の箇所においても異常検出を行うことができる。
【0032】
なお第1の実施の形態においては、第2回路22の出力電圧はスペーシングモータ2の動作時および停止時ともに40Vとなっているが、これはスペーシングモータ2に電圧が印加されていることを確認するためである。これによりスペーシングモータ2の動作時および停止時のケーブルの断線、ショートを検出することができる。
【0033】
次に第2の実施の形態を説明する。図9は第2の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。図9において、第2の実施の形態の異常検出回路50は、スペーシングドライバ3のRS端子から出力される過電流検出信号51を充放電する充放電回路52、閾値を設定するための閾値設定抵抗53、54、閾値と入力電圧を比較するコンパレータ55、コンパレータ55の出力によって充放電する充放電回路56、閾値電圧を設定するツェナーダイオード57およびアラーム信号を出力するためのトランジスタ58、59等により構成される。充放電回路52は充放電抵抗60とコンデンサ61から成り、充放電回路56は充放電抵抗62およびコンデンサ63から構成される。
【0034】
スペーシングドライバ3から出力される過電流検出信号51はスペーシングモータ2に流れる電流を電圧に変換した信号で、この信号51の出力タイミングは、図10に示すように、スペーシングモータ2の動作時は、(RS抵抗64に流れる電流)×(RS抵抗64の抵抗値)Vと0Vの繰り返しの信号となり、スペーシングモータ2の停止時は、0Vの連続となる。なお図10は第2の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【0035】
過電流検出信号51がスペーシングドライバ3から異常検出回路50に入力されると、過電流検出信号51は充放電回路52を経てコンパレータ55に入力される。コンパレータ55は閾値設定抵抗53、54により設定された閾値と入力電圧(i点電圧)とを比較し、入力電圧が閾値電圧より高い場合は12Vを出力し、入力電圧が閾値電圧より低い場合は0Vを出力する。
【0036】
コンパレータ55の出力電圧(図10に示すk点電圧)は充放電回路56に入力される。12Vが入力されると、充放電回路56は充電回路として機能し、0Vが入力されると充放電回路56は放電回路として機能する。即ち、充放電回路56はコンパレータ55の出力により充放電を繰り返し、正常動作時においては図9に示すj点においては電圧は残らない。そのため、過電流検出信号51が入力し続けても、j点において電圧が累積的に蓄積されることはない。またスペーシングモータ2が停止しているときは過電流検出信号51が出力されないので、コンパレータ55の出力は常に0Vである。
【0037】
ここでスペーシングモータ2の動作中にスペーシングドライバ3またはスペーシングモータ2に異常があり、入力電圧(i点電圧)が常に閾値電圧を超える状態になると、図11に示すように、コンパレータ55は12Vを出力し続け、充放電回路56は充電し続ける。その結果、図9に示すj点の電圧がツェナーダイオード57により設定されるツェナー電圧(閾値電圧)qVを超え、トランジスタ58およびトランジスタ59がそれぞれオンし、アラーム信号が出力される。アラーム信号が出力されることにより電源断が行われる。ここで、入力電圧の1回目の異常で電源断を行うことができる。なお図11は第2の実施の形態の異常検出動作を示すタイムチャートである。
【0038】
また異常状態として、スペーシングモータ2が動作していない状態においてスペーシングモータ2に流す電流が流れていた場合、過電流検出信号51を入力することにより、異常を検出することが可能である。
【0039】
以上のように第2の実施の形態においては、入力する過電流検出信号51が異常になった場合に異常検出してアラーム信号を出力しているので、パルス波のようなオン/オフのタイミングを持つ出力電圧以外の箇所においても異常検出を行うことができる。また、入力電圧の1回目の異常で電源断を行うことができる効果も有する。
【0040】
次に第3の実施の形態を説明する。図12は第2の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。図12において、第3の実施の形態の異常検出回路70は、第1の実施の形態で説明した第1回路21、第2回路22、第3回路およびアラーム出力回路38と、第2の実施の形態で説明した異常検出回路50とを組み合わせたものである。このとき、第1の実施の形態のアラーム検出回路38におけるトランジスタ42と、第2の実施の形態の異常検出回路50におけるトランジスタ59が1つの共通したトランジスタ71として構成されている。即ち、アラーム出力回路38のトランジスタ41がトランジスタ71に接続されるとともに、異常検出回路50のトランジスタ58がトランジスタ71に接続されている。
【0041】
図13は第3の実施の形態の動作を示すタイムチャートで、第2の実施の形態で説明した過電流検出信号に異常が発生した場合のアラーム検出動作を示す。スペーシングドライバ3から出力される過電流検出信号51に異常が発生すると、第2の実施の形態で説明したように、充放電回路56で充電され続け、図13に示すように、j点の電圧が上がる。j点の電圧がツェナーダイオード57により設定されるツェナー電圧(閾値電圧)qVを超えると、トランジスタ58がオンするのに続いてトランジスタ71がオンする。これによりアラーム信号が出力され、電源断が行われる。
【0042】
図14は第3の実施の形態の動作を示すタイムチャートで、第1の実施の形態で説明した、スペーシングモータ2が動作していないにも拘らず動作速度指令信号31が出力された場合、またはLSI24から出力されるIPT−N信号36に異常が発生した場合のアラーム検出動作を示す。
【0043】
第1の実施の形態で説明したように、スペーシングモータ2が動作していないにも拘らず動作速度指令信号31が出力された場合、第1回路21の出力電圧(c点電圧)が5Vとなり、アラーム出力回路38において充放電回路39で充電され続け、図14に示すように、h点の電圧がツェナーダイオード40により設定されるツェナー電圧(閾値電圧)pVを超え、トランジスタ41がオンするのに続いてトランジスタ71がオンする。これによりアラーム信号が出力され、電源断が行われる。
【0044】
また、LSI24から出力されるIPT−N信号36に異常が発生した場合、第3回路23の出力電圧(g点電圧)は0Vとはならないので、アラーム出力回路38の充放電回路39においてコンデンサ44に溜まっている電荷を放電することができず、そのためh点における電圧は、図14に示すように上昇し、やがてはツェナーダイオード40で設定した閾値であるツェナー電圧pVを超える。h点の電圧がツェナー電圧pVを超えると、トランジスタ41およびトランジスタ71がオンし、アラーム信号が出力され、電源断が行われる。
【0045】
LSI24からIPT−N信号36は発生するが、動作速度指令信号31は発生しないという状態は、例えば、ケーブルが断線、ショートし、スペーシングモータ2の動作情報がLSI24に入力されない場合で、かつスペーシングドライバ3が故障モードで動作し続けた場合に発生し得るが、この場合は上記第1の実施の形態ではアラーム検出できないが、第3の実施の形態では、この場合でも異常検出回路50によりアラーム検出可能である。
【0046】
以上のように第3の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態の有する効果と第2の実施の形態の有する効果の両方の効果を奏する。加えて、上記のIPT−N信号36は発生するが、動作速度指令信号31は発生しない場合のアラーム検出も可能である効果も有する。
【0047】
次に第4の実施の形態を説明する。図15は第4の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。図15において、第4の実施の形態の異常検出回路80は、上記第1の実施の形態で説明した第1回路21、第2回路22およびアラーム出力回路38と第4回路81を有する。第4回路81はトランジスタ82からなり、LSI24から出力される信号αが入力される。
【0048】
信号αはLSI24から出力される上述したIPT−N信号36に同期し、反対極性となる信号である。この信号αがオンし続ける時間は、トランジスタ82がオンし、アラーム出力回路38の充放電回路39のコンデンサ44に溜まった電荷を放電しきれる時間である。図16に信号αを示す。図16により信号αについてさらに説明する。
【0049】
図16において、第1の実施の形態で説明したIPT−N信号36が出力されると、IPT−N信号36の検出をトリガとして立ち上がりエッジを生成するとともに、LSI24の内部タイマカウンタがカウントを開始する。そしてタイマカウンタのカウント値が"A"になったら立下りエッジを生成することにより信号αのONパルスを生成する。カウント値"A"はアラーム出力回路38の充放電抵抗43とコンデンサ44の定数により求めることができる。
【0050】
図17は第4の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。図17において、信号αはIPT−N信号36と同じ周期で出力される。LSI24から信号αが出力されると、トランジスタ82のベース電圧が上がり、トランジスタ82がオンする。トランジスタ82がオンすることにより、アラーム出力回路38の充放電回路39が放電状態となり、m点の電圧が下がる。
【0051】
信号αが出力されている間、トランジスタ82はオンし続け、その間に充放電回路39は完全に放電され、m点の電圧は0Vになる。上述のように、信号αのオン時間は充放電抵抗43とコンデンサ44の定数により求めることができるので、第1の実施の形態のように積分回路34を設けることなく、信号α自体がトランジスタ82のオン時間を制御することができる。
【0052】
ファームウェアの制御に異常があってLSI24から発生するIPT−N信号36が発生しない場合は、信号αも出力されないので、第4回路81におけるトランジスタ82がオフのままである。このためm点の電圧は、第1回路21および第2回路22の出力電圧により充電され、0Vとはならない。その結果、アラーム出力回路38の充放電回路39のコンデンサ44に溜まった電荷を放電できず、アラーム信号出力となる。
【0053】
以上のように第4の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の奏する効果に加えて、より構成の簡単な第4回路81を設けるようにしたので、回路構成部品が減り、コストを削減できる効果がある。
【0054】
次に第5の実施の形態を説明する。図18は第5の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。第5の実施の形態の異常検出回路90は、第4の実施の形態と同様に、第1回路21、第2回路22、第4回路81およびアラーム出力回路38を有する。そしてそれぞれの回路の内部構成も第4の実施の形態と同様である。第5の実施の形態では、LSI24から出力される信号αのオン時間の制御の仕方が第4の実施の形態と異なる。即ち、第5の実施の形態のLSI24にはレジスタ91が設けられ、レジスタ91には信号αのオン時間の設定情報が格納されている。
【0055】
第4の実施の形態で説明したように、信号αのオン時間"A"は充放電抵抗43とコンデンサ44の定数により求めることができる。ということは、LSI24にその定数情報を入力することができれば、LSI24はその定数情報から信号αのオン時間"A"を調整しながら出力することが可能である。即ち、周辺回路部品の定数情報等をファームウェアプログラムによってLSI24の内部レジスタ91に格納すれば、LSI24はその組み合わせにより、信号αのオン時間"A"を可変に出力可能となる。
【0056】
信号αのオン時間"A"の変更の仕方を説明すると、図示しない操作部などの情報入力手段からLSI24は周辺回路、充放電回路39、あるいはスペーシングドライバ3の使用部品情報を受け取る。使用部品情報を受け取ったLSI24は、レジスタ91に格納してある信号αの設定情報を読み出し、使用部品にあった設定情報を選択し、その設定情報に基づいて信号αのオン時間"A"を設定する。
【0057】
図19は第5の実施の形態における信号αのオン時間変更を示すタイムチャートである。LSI24は使用部品にあった設定情報に基づいて信号αのオン時間を、例えば図19(a)に示す信号αのオン時間A1に対して、図19(b)に示す信号αのオン時間A2のように変更することができる(A1≠A2)。
【0058】
以上のように第5の実施の形態によれば、第4の実施の形態の奏する効果に加えて、以下の効果を有する。即ち、第5の実施の形態ではLSI24から出力される信号αのオン時間が周辺回路により任意に設定できるので、スペーシングドライバ3やその周辺回路の部品変更や定数変更に柔軟に対応可能である。また、信号αのオン時間を変更可能であることにより、第4回路81の出力電圧を完全に放電し切るように設定することが可能である。
【0059】
上記各実施の形態では、印刷装置における異常検出回路を例にして説明したが、本発明は、印刷装置の他の装置にも勿論適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。
【図2】スペーシングモータへの出力タイミングを示すタイムチャートである。
【図3】第2回路の出力を示すタイムチャートである。
【図4】第1回路と第2回路の出力電圧を示す説明図である。
【図5】第3回路の動作を示すタイムチャートである。
【図6】正常動作時のアラーム出力回路の動作を示すタイムチャートである。
【図7】スペーシングモータ動作時の異常検出を示すタイムチャートである。
【図8】スペーシングモータ停止時の異常検出を示すタイムチャートである。
【図9】第2の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。
【図10】第2の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【図11】第2の実施の形態の異常検出動作を示すタイムチャートである。
【図12】第2の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。
【図13】第3の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【図14】第3の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【図15】第4の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。
【図16】信号αを示すタイムチャートである。
【図17】第4の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【図18】第5の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。
【図19】第5の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【図20】従来の異常検出回路を示す回路図である。
【図21】従来の異常検出回路の動作を示すタイムチャートである。
【図22】従来の異常検出回路の動作を示すタイムチャートである。
【図23】従来の異常検出回路の動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0061】
2 スペーシングモータ
3 スペーシングドライバ
20、50、70、80、90 異常検出回路
21 第1回路
22 第2回路
23 第3回路
24 LSI
31 動作速度指令信号
36 IPT−N信号
38 アラーム出力回路
39 充放電回路
51 過電流検出信号
81 第4回路
91 レジスタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に設けられる異常検出回路および該検出回路を具備した印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インパクトプリンタ等の印刷装置において、駆動回路の異常動作を検出することが行われている。この種の異常検出回路として、例えば、実開平5−58317号公報に開示されるものがある。この公報に開示される技術は、インパクトドットプリンタ等の印字ヘッド駆動回路の出力電圧を抵抗群により時定数回路に接続して充電時間を監視し、その時定数回路の放電を駆動回路を通して行うことにより異常動作を検出するというものである。
【0003】
また他の異常検出回路として、図20に示すものがある。図20において、従来の異常検出回路1は、スペーシングモータ2を駆動するスペーシングドライバ3に接続されている。異常検出回路1は、駆動電圧制御トランジスタ4、充電回路5、放電回路6、ツェナーダイオード7、トランジスタ8、9等により構成される。駆動電圧制御トランジスタ4にはスペーシングドライバ3から出力されるパルス波が、ツェナーダイオード10、抵抗11を介して入力される。充電回路5は充電抵抗12とコンデンサ13により構成され、また放電回路6は放電抵抗14とツェナーダイオード15により構成される。
【0004】
次に動作を説明する。印字ヘッドのスペーシング動作時にスペーシングモータ2が駆動され、それによってスペーシングドライバ3からパルス波が出力される。このパルス波が駆動電圧制御トランジスタ4のベース側に入力される。これにより駆動電圧制御トランジスタ4がオン/オフし、時定数の異なる充電回路5および放電回路6に電流が流れる。
【0005】
図21は、図20に示すa点における電圧の変化を示すタイムチャートである。図21に(1)で示すように、駆動電圧制御トランジスタ4がオンしたときには、充電回路5により充電され、a点の電圧が上がる。また駆動電圧制御トランジスタ4がオフしたときには、図21に(2)で示すように、放電回路6により放電され、a点の電圧が下がる。
【0006】
駆動電圧制御トランジスタ4が異常発生により連続でオンした場合、任意の設定時間内にアラーム回路動作でスペーシングドライバ3への電源断を行いたいとする。この場合、設定時間内に電源断を行うためのツェナーダイオード7のツェナー電圧をpVとする。正常動作の場合は、a点における電圧が、ツェナー電圧pV(a点における電圧がこのツェナー電圧になったときに電源断を行う閾値)の50パーセント(pV/2)になったときに放電回路6により放電が開始される。充電時間と放電時間の関係は、充電回路5によりa点における電圧が(pV/2)に達するまでの時間をrとするとき、放電回路6による放電時間は(r/3)となるように設定される。時間の設定は、放電抵抗14、充電抵抗12およびコンデンサ13により任意に設定可能であるが、放電時間は充電時間より小さい値である必要がある。
【0007】
ここで駆動電圧制御トランジスタ4に入力されるパルス波に異常があり、駆動電圧制御トランジスタ4が連続してオンになった場合、放電回路6により放電が行われず、図20に示すa点の電圧は、図22に示すように、閾値のツェナー電圧pVを超える。この場合、図20に示すトランジスタ8、9がオンし、アラーム信号が出力され、電源断が行われる。
【特許文献1】実開平5−58317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図20に示す従来の異常検出回路においては、パルス波のようなオン/オフの制御を用いることができない箇所においてはトランジスタのオン/オフの監視を行うことができないので、こうした箇所における異常検出はできないという問題があった。
【0009】
また図23に示すように、放電時間がyのときは放電率が100%となるが、放電時間がそれより短いzのときは放電率は例えば80%となり、20%の電荷が放電されずに残っている。その状態において、さらに充電が行われると、a点における電圧が上昇し、充放電を繰り返すことで閾値を超える。即ち、1回の充放電だけではa点の電圧は閾値を超えないが、充放電が繰り返されることにより放電されずに残った電荷が蓄積され、x時間経過後に閾値を超え、アラーム検出される。この場合、異常が発生してから実際に電源断になるまでの時間xが長くなるので、電源断して欲しい設定時間sを超えてしまうことがある。
【0010】
そこで本発明は、オン/オフの制御を行うことができない箇所においても異常検出を行うことができるとともに、異常検出した場合に設定時間内に電源断を行うようにした異常検出回路を設けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明の異常検出回路は、モータの速度を決定する動作速度指令信号を入力し、該動作速度指令信号を入力した際に第1の所定電圧を出力する第1の回路と、モータ動作時に発生する割込み信号を入力し、該割込み信号を入力した際に第2の所定電圧を出力する第2の回路と、前記第1の回路と第2の回路の出力信号が入力され、該第1の回路と第2の回路の出力信号により充放電する充放電回路を有し、該充放電回路が充電された際にアラーム信号を出力するアラーム出力回路とを有し、モータ動作時に、前記割込み信号を入力した前記第2の回路が前記第2の所定電圧を出力することにより前記アラーム出力回路の前記充放電回路が放電され、モータ停止時に、前記動作速度指令信号が入力されないことにより前記第1の回路が前記アラーム出力回路の前記充放電回路を放電させ、モータ動作時に異常が発生し、前記割込み信号が発生しない場合、前記第2の回路が前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させ、モータ停止時に異常が発生し、前記動作速度指令信号が発生した場合、前記第1の回路が前記第1の所定電圧を出力し、前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パルス波のようなオン/オフのタイミングを持つ出力電圧以外の箇所においても異常検出を行うことができるとともに、異常発生から設定時間内に電源断を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。各図面に共通する要素には同一の符号を付す。図1は本発明の第1の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。図1において、第1の実施の形態の異常検出回路20は、第1回路21、第2回路22および第3回路23を有する。
【0014】
第1回路21は、LSI24に接続され、LSI24から出力される動作速度指令信号31が入力される。第1回路21は、充放電回路25、閾値を設定する閾値設定抵抗26、27およびコンパレータ28を有する。充放電回路25は充放電抵抗29とコンデンサ30とで構成される。
【0015】
第1回路21の単独での動作を説明する。LSI24からスペーシングドライバ3に対して動作速度指令信号31が出力され、この動作速度指令信号31は第1回路21へも入力される。動作速度指令信号31は、PWM(パルス幅変調)信号で、積分回路により電圧変換され、オンデューティ値が高いと高い電圧に変換される。電圧が高くなることによりスペーシングモータ2への電流が上がりスペーシング速度が上がる。また逆に電圧が低くなるとスペーシングモータ2への電流が下がりスペーシング速度が下がる。
【0016】
動作速度指令信号31が充放電回路25に入力されると、充放電回路25の出力電圧(b点における電圧)はコンパレータ28のプラス端子に入力され、閾値設定抵抗26、27により生成される閾値電圧と比較される。b点の電圧が閾値より高いとき、コンパレータ28は5Vを出力し、b点の電圧が閾値より低いときは0Vを出力する。またスペーシングモータ2が停止したときは動作速度指令信号31は出力されない。即ちこの場合は動作速度指令信号31は0Vとなり、このためコンパレータ28の出力(c点における電圧)は常に0Vとなる。
【0017】
第2回路22は、スペーシングモータ2とダイオード45とから構成される。スペーシングモータ2はスペーシングドライバ3のMU端子、MV端子およびMW端子に接続される。これらの端子はスペーシングモータ2内部の各コイルと接続されており、図2のタイムチャートで示す電圧を出力する。この各出力にダイオード45を接続することにより、第2回路22の出力となるd点の電圧は図3に示す通りとなる。即ち、上記のMU端子、MV端子およびMW端子の出力電圧があるタイミングで変化しても、出力電圧は一定である。またスペーシングモータ2が停止したときは、スペーシングドライバ3に40Vが入力されているためにd点の電圧は40Vとなる。第1回路21と第2回路22の出力電圧をまとめると図4に示す通りとなる。図4において「動作時」および「停止時」はそれぞれスペーシングモータ2の動作時および停止時を意味する。
【0018】
第3回路23はコンデンサ32、トランジスタ33、積分回路34およびトランジスタ35を有する。コンデンサ32はLSI24から出力されるIPT−N信号(割込み信号)36をチャージポンプする。IPT−N信号36は、LSI24からCPU37に対して出力される信号で、発生するタイミングは、印字中においては印字タイミング毎に1回出力され、非印字中は(1/720)インチごとに1回出力される。
【0019】
図5は第3回路の動作を示すタイムチャートである。図5において、IPT−N信号36が出力(0V)される(e点電圧における0V)と、コンデンサ32を経てトランジスタ33がオンし、f点電圧が上昇する。f点電圧はトランジスタ35のベース電圧となるが、積分回路34により立ち上がりタイミングを送らされて、トランジスタ35がオンする。トランジスタ35がオンすることにより第3回路23の出力であるg点の電圧が下がり、0Vとなる。上述のように、IPT−N信号36は一定のタイミングで発生しているが、積分回路34においてその信号が積分されることでトランジスタ35は常にオンできる状態となる。
【0020】
第1回路21、第2回路22および第3回路23はアラーム出力回路38に接続されている。アラーム出力回路38は、充放電回路39、ツェナーダイオード40、トランジスタ41、42を有する。充放電回路39は充放電抵抗43とコンデンサ44から構成され、充電回路としての機能と放電回路としての機能を有し、第1回路21、第2回路22および第3回路23の各出力信号が入力される。充放電回路39は、第1回路21、第2回路22および第3回路23のいずれかが0Vを出力するときは放電回路として機能し、上記各回路21、22、23の出力電圧がいずれも5Vまたは40Vである場合には充電回路として機能する。
【0021】
次に第1の実施の形態の動作を説明する。第1回路21、第2回路22および第3回路23の出力電圧によりアラーム出力回路38の充放電回路39の充放電制御を行う。スペーシングモータ2が正常に動作している時は、LSI24から定期的にIPT−N信号36が発生しているので、上述したように、第3回路23の出力電圧(g点電圧)が0Vとなり、アラーム出力回路38の充放電回路39が放電回路として働く。この場合の放電時間設定は、充放電回路39の充放電抵抗43とコンデンサ44の定数により決定される。図6は正常動作時のアラーム出力回路の動作を示すタイムチャートである。
【0022】
図6において、充放電回路39が放電回路として働くことにより、アラーム出力回路38のh点における電圧は0Vとなる。このためh点の電圧は閾値として設定されたツェナー電圧pVを超えることはなく、したがってトランジスタ41、42はともにオンせず、アラーム信号は出力されない。即ち、電源は供給され続ける。
【0023】
またスペーシングモータ2が停止している時は、正常時であれば、第1回路21の出力電圧(c点の電圧)が0Vとなるので、即ち、スペーシングモータ2が停止したときは、動作速度指令信号31は0Vとなり、このためコンパレータ28の出力(c点電圧)は常に0Vとなるので、アラーム出力回路38の充放電回路39が放電回路として機能し、上記と同様にアラーム信号は出力されない。
【0024】
次に、ファームウェアの制御に異常があってスペーシングモータ2の動作時においてもLSI24から発生するはずのIPT−N信号36が発生しない場合、あるいはスペーシングドライバ3に異常があり正常な動作を行えない場合の異常検出動作を説明する。まずIPT−N信号36が発生しない場合の動作を図7に従って説明する。図7はスペーシングモータ動作時の異常検出を示すタイムチャートである。
【0025】
スペーシングモータ2動作時においてIPT−N信号36が発生しなくなると、第3回路23におけるトランジスタ33がオフのままであり、またトランジスタ35もオフのままとなる。このためg点の電圧は、第1回路21および第2回路22の出力電圧により充電され、0Vとはならない。
【0026】
スペーシングモータ2が動作中は、上述のように、第1回路21の出力電圧は5Vであり、第2回路の出力電圧は40Vであるので、第3回路23の出力電圧であるg点電圧が0Vにならないと、アラーム出力回路38の充放電回路39においてコンデンサ44に溜まっている電荷を放電することができない。そのためh点における電圧は、図7に示すように、上昇し、やがてはツェナーダイオード40で設定した閾値であるツェナー電圧pVを超える。h点の電圧がツェナー電圧pVを超えると、トランジスタ41およびトランジスタ42がオンし、アラーム信号が出力され、電源断が行われる。
【0027】
次に、スペーシングモータ2が停止している時は出力されないはずの動作速度指令信号31が、何らかの異常により、スペーシングモータ2停止時にLSI24から出力された場合は、第1回路21におけるb点の電圧が、図8に示すように、閾値設定抵抗26、27で設定された閾値を超え、コンパレータ28の出力が5Vとなる。なお図8はスペーシングモータ停止時の異常検出を示すタイムチャートである。
【0028】
スペーシングモータ2が停止している時は第2回路22の出力電圧は40Vであり、第3回路23の出力電圧は0Vではないので、コンパレータ28の出力が5Vとなると、アラーム出力回路38の充放電回路39においてコンデンサ44に溜まっている電荷を放電することができない。そのためh点における電圧は、図8に示すように、上昇し、やがてはツェナーダイオード40で設定した閾値であるツェナー電圧pVを超える。h点の電圧がツェナー電圧pVを超えると、トランジスタ41およびトランジスタ42がオンし、アラーム信号が出力され、電源断が行われる。
【0029】
以上のように第1の実施の形態においては、第1回路21において、スペーシングモータ2が停止しているときは出力されないはずの、スペーシングモータ2の動作速度指令信号31を入力することにより、スペーシングモータ2が停止中に動作速度指令信号31が入力されたら異常であるとして電源断とするようにし、また第3回路23において、スペーシングモータ2動作中は出力されるはずの割込み信号(IPT−N信号)36を入力することにより、スペーシングモータ2動作中にIPT−N信号36が入力されないと異常であるとして電源断とするようにしたので、ファームウェアによる暴走が原因でスペーシングモータ2またはスペーシングドライバ3に発生した異常を検出し、電源断とすることができる。
【0030】
特に動作速度指令信号31およびIPT−N信号36を用いることにより、スペーシングモータ2の位置情報を監視しているセンサの故障、ケーブル及び基板上のパターンの断線又はショートを検出することが可能である。スペーシングモータ2の位置情報(センサスリット情報)はLSI24により監視されており、その情報に基づいてLSI24はIPT−N信号36を出力している。
【0031】
第1の実施の形態においては、第1回路21および第3回路23に充電機能および放電機能を持たせているので、パルス波のようなオン/オフのタイミングを持つ出力電圧以外の箇所においても異常検出を行うことができる。
【0032】
なお第1の実施の形態においては、第2回路22の出力電圧はスペーシングモータ2の動作時および停止時ともに40Vとなっているが、これはスペーシングモータ2に電圧が印加されていることを確認するためである。これによりスペーシングモータ2の動作時および停止時のケーブルの断線、ショートを検出することができる。
【0033】
次に第2の実施の形態を説明する。図9は第2の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。図9において、第2の実施の形態の異常検出回路50は、スペーシングドライバ3のRS端子から出力される過電流検出信号51を充放電する充放電回路52、閾値を設定するための閾値設定抵抗53、54、閾値と入力電圧を比較するコンパレータ55、コンパレータ55の出力によって充放電する充放電回路56、閾値電圧を設定するツェナーダイオード57およびアラーム信号を出力するためのトランジスタ58、59等により構成される。充放電回路52は充放電抵抗60とコンデンサ61から成り、充放電回路56は充放電抵抗62およびコンデンサ63から構成される。
【0034】
スペーシングドライバ3から出力される過電流検出信号51はスペーシングモータ2に流れる電流を電圧に変換した信号で、この信号51の出力タイミングは、図10に示すように、スペーシングモータ2の動作時は、(RS抵抗64に流れる電流)×(RS抵抗64の抵抗値)Vと0Vの繰り返しの信号となり、スペーシングモータ2の停止時は、0Vの連続となる。なお図10は第2の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【0035】
過電流検出信号51がスペーシングドライバ3から異常検出回路50に入力されると、過電流検出信号51は充放電回路52を経てコンパレータ55に入力される。コンパレータ55は閾値設定抵抗53、54により設定された閾値と入力電圧(i点電圧)とを比較し、入力電圧が閾値電圧より高い場合は12Vを出力し、入力電圧が閾値電圧より低い場合は0Vを出力する。
【0036】
コンパレータ55の出力電圧(図10に示すk点電圧)は充放電回路56に入力される。12Vが入力されると、充放電回路56は充電回路として機能し、0Vが入力されると充放電回路56は放電回路として機能する。即ち、充放電回路56はコンパレータ55の出力により充放電を繰り返し、正常動作時においては図9に示すj点においては電圧は残らない。そのため、過電流検出信号51が入力し続けても、j点において電圧が累積的に蓄積されることはない。またスペーシングモータ2が停止しているときは過電流検出信号51が出力されないので、コンパレータ55の出力は常に0Vである。
【0037】
ここでスペーシングモータ2の動作中にスペーシングドライバ3またはスペーシングモータ2に異常があり、入力電圧(i点電圧)が常に閾値電圧を超える状態になると、図11に示すように、コンパレータ55は12Vを出力し続け、充放電回路56は充電し続ける。その結果、図9に示すj点の電圧がツェナーダイオード57により設定されるツェナー電圧(閾値電圧)qVを超え、トランジスタ58およびトランジスタ59がそれぞれオンし、アラーム信号が出力される。アラーム信号が出力されることにより電源断が行われる。ここで、入力電圧の1回目の異常で電源断を行うことができる。なお図11は第2の実施の形態の異常検出動作を示すタイムチャートである。
【0038】
また異常状態として、スペーシングモータ2が動作していない状態においてスペーシングモータ2に流す電流が流れていた場合、過電流検出信号51を入力することにより、異常を検出することが可能である。
【0039】
以上のように第2の実施の形態においては、入力する過電流検出信号51が異常になった場合に異常検出してアラーム信号を出力しているので、パルス波のようなオン/オフのタイミングを持つ出力電圧以外の箇所においても異常検出を行うことができる。また、入力電圧の1回目の異常で電源断を行うことができる効果も有する。
【0040】
次に第3の実施の形態を説明する。図12は第2の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。図12において、第3の実施の形態の異常検出回路70は、第1の実施の形態で説明した第1回路21、第2回路22、第3回路およびアラーム出力回路38と、第2の実施の形態で説明した異常検出回路50とを組み合わせたものである。このとき、第1の実施の形態のアラーム検出回路38におけるトランジスタ42と、第2の実施の形態の異常検出回路50におけるトランジスタ59が1つの共通したトランジスタ71として構成されている。即ち、アラーム出力回路38のトランジスタ41がトランジスタ71に接続されるとともに、異常検出回路50のトランジスタ58がトランジスタ71に接続されている。
【0041】
図13は第3の実施の形態の動作を示すタイムチャートで、第2の実施の形態で説明した過電流検出信号に異常が発生した場合のアラーム検出動作を示す。スペーシングドライバ3から出力される過電流検出信号51に異常が発生すると、第2の実施の形態で説明したように、充放電回路56で充電され続け、図13に示すように、j点の電圧が上がる。j点の電圧がツェナーダイオード57により設定されるツェナー電圧(閾値電圧)qVを超えると、トランジスタ58がオンするのに続いてトランジスタ71がオンする。これによりアラーム信号が出力され、電源断が行われる。
【0042】
図14は第3の実施の形態の動作を示すタイムチャートで、第1の実施の形態で説明した、スペーシングモータ2が動作していないにも拘らず動作速度指令信号31が出力された場合、またはLSI24から出力されるIPT−N信号36に異常が発生した場合のアラーム検出動作を示す。
【0043】
第1の実施の形態で説明したように、スペーシングモータ2が動作していないにも拘らず動作速度指令信号31が出力された場合、第1回路21の出力電圧(c点電圧)が5Vとなり、アラーム出力回路38において充放電回路39で充電され続け、図14に示すように、h点の電圧がツェナーダイオード40により設定されるツェナー電圧(閾値電圧)pVを超え、トランジスタ41がオンするのに続いてトランジスタ71がオンする。これによりアラーム信号が出力され、電源断が行われる。
【0044】
また、LSI24から出力されるIPT−N信号36に異常が発生した場合、第3回路23の出力電圧(g点電圧)は0Vとはならないので、アラーム出力回路38の充放電回路39においてコンデンサ44に溜まっている電荷を放電することができず、そのためh点における電圧は、図14に示すように上昇し、やがてはツェナーダイオード40で設定した閾値であるツェナー電圧pVを超える。h点の電圧がツェナー電圧pVを超えると、トランジスタ41およびトランジスタ71がオンし、アラーム信号が出力され、電源断が行われる。
【0045】
LSI24からIPT−N信号36は発生するが、動作速度指令信号31は発生しないという状態は、例えば、ケーブルが断線、ショートし、スペーシングモータ2の動作情報がLSI24に入力されない場合で、かつスペーシングドライバ3が故障モードで動作し続けた場合に発生し得るが、この場合は上記第1の実施の形態ではアラーム検出できないが、第3の実施の形態では、この場合でも異常検出回路50によりアラーム検出可能である。
【0046】
以上のように第3の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態の有する効果と第2の実施の形態の有する効果の両方の効果を奏する。加えて、上記のIPT−N信号36は発生するが、動作速度指令信号31は発生しない場合のアラーム検出も可能である効果も有する。
【0047】
次に第4の実施の形態を説明する。図15は第4の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。図15において、第4の実施の形態の異常検出回路80は、上記第1の実施の形態で説明した第1回路21、第2回路22およびアラーム出力回路38と第4回路81を有する。第4回路81はトランジスタ82からなり、LSI24から出力される信号αが入力される。
【0048】
信号αはLSI24から出力される上述したIPT−N信号36に同期し、反対極性となる信号である。この信号αがオンし続ける時間は、トランジスタ82がオンし、アラーム出力回路38の充放電回路39のコンデンサ44に溜まった電荷を放電しきれる時間である。図16に信号αを示す。図16により信号αについてさらに説明する。
【0049】
図16において、第1の実施の形態で説明したIPT−N信号36が出力されると、IPT−N信号36の検出をトリガとして立ち上がりエッジを生成するとともに、LSI24の内部タイマカウンタがカウントを開始する。そしてタイマカウンタのカウント値が"A"になったら立下りエッジを生成することにより信号αのONパルスを生成する。カウント値"A"はアラーム出力回路38の充放電抵抗43とコンデンサ44の定数により求めることができる。
【0050】
図17は第4の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。図17において、信号αはIPT−N信号36と同じ周期で出力される。LSI24から信号αが出力されると、トランジスタ82のベース電圧が上がり、トランジスタ82がオンする。トランジスタ82がオンすることにより、アラーム出力回路38の充放電回路39が放電状態となり、m点の電圧が下がる。
【0051】
信号αが出力されている間、トランジスタ82はオンし続け、その間に充放電回路39は完全に放電され、m点の電圧は0Vになる。上述のように、信号αのオン時間は充放電抵抗43とコンデンサ44の定数により求めることができるので、第1の実施の形態のように積分回路34を設けることなく、信号α自体がトランジスタ82のオン時間を制御することができる。
【0052】
ファームウェアの制御に異常があってLSI24から発生するIPT−N信号36が発生しない場合は、信号αも出力されないので、第4回路81におけるトランジスタ82がオフのままである。このためm点の電圧は、第1回路21および第2回路22の出力電圧により充電され、0Vとはならない。その結果、アラーム出力回路38の充放電回路39のコンデンサ44に溜まった電荷を放電できず、アラーム信号出力となる。
【0053】
以上のように第4の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の奏する効果に加えて、より構成の簡単な第4回路81を設けるようにしたので、回路構成部品が減り、コストを削減できる効果がある。
【0054】
次に第5の実施の形態を説明する。図18は第5の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。第5の実施の形態の異常検出回路90は、第4の実施の形態と同様に、第1回路21、第2回路22、第4回路81およびアラーム出力回路38を有する。そしてそれぞれの回路の内部構成も第4の実施の形態と同様である。第5の実施の形態では、LSI24から出力される信号αのオン時間の制御の仕方が第4の実施の形態と異なる。即ち、第5の実施の形態のLSI24にはレジスタ91が設けられ、レジスタ91には信号αのオン時間の設定情報が格納されている。
【0055】
第4の実施の形態で説明したように、信号αのオン時間"A"は充放電抵抗43とコンデンサ44の定数により求めることができる。ということは、LSI24にその定数情報を入力することができれば、LSI24はその定数情報から信号αのオン時間"A"を調整しながら出力することが可能である。即ち、周辺回路部品の定数情報等をファームウェアプログラムによってLSI24の内部レジスタ91に格納すれば、LSI24はその組み合わせにより、信号αのオン時間"A"を可変に出力可能となる。
【0056】
信号αのオン時間"A"の変更の仕方を説明すると、図示しない操作部などの情報入力手段からLSI24は周辺回路、充放電回路39、あるいはスペーシングドライバ3の使用部品情報を受け取る。使用部品情報を受け取ったLSI24は、レジスタ91に格納してある信号αの設定情報を読み出し、使用部品にあった設定情報を選択し、その設定情報に基づいて信号αのオン時間"A"を設定する。
【0057】
図19は第5の実施の形態における信号αのオン時間変更を示すタイムチャートである。LSI24は使用部品にあった設定情報に基づいて信号αのオン時間を、例えば図19(a)に示す信号αのオン時間A1に対して、図19(b)に示す信号αのオン時間A2のように変更することができる(A1≠A2)。
【0058】
以上のように第5の実施の形態によれば、第4の実施の形態の奏する効果に加えて、以下の効果を有する。即ち、第5の実施の形態ではLSI24から出力される信号αのオン時間が周辺回路により任意に設定できるので、スペーシングドライバ3やその周辺回路の部品変更や定数変更に柔軟に対応可能である。また、信号αのオン時間を変更可能であることにより、第4回路81の出力電圧を完全に放電し切るように設定することが可能である。
【0059】
上記各実施の形態では、印刷装置における異常検出回路を例にして説明したが、本発明は、印刷装置の他の装置にも勿論適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。
【図2】スペーシングモータへの出力タイミングを示すタイムチャートである。
【図3】第2回路の出力を示すタイムチャートである。
【図4】第1回路と第2回路の出力電圧を示す説明図である。
【図5】第3回路の動作を示すタイムチャートである。
【図6】正常動作時のアラーム出力回路の動作を示すタイムチャートである。
【図7】スペーシングモータ動作時の異常検出を示すタイムチャートである。
【図8】スペーシングモータ停止時の異常検出を示すタイムチャートである。
【図9】第2の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。
【図10】第2の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【図11】第2の実施の形態の異常検出動作を示すタイムチャートである。
【図12】第2の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。
【図13】第3の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【図14】第3の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【図15】第4の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。
【図16】信号αを示すタイムチャートである。
【図17】第4の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【図18】第5の実施の形態の異常検出回路を示す回路図である。
【図19】第5の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【図20】従来の異常検出回路を示す回路図である。
【図21】従来の異常検出回路の動作を示すタイムチャートである。
【図22】従来の異常検出回路の動作を示すタイムチャートである。
【図23】従来の異常検出回路の動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0061】
2 スペーシングモータ
3 スペーシングドライバ
20、50、70、80、90 異常検出回路
21 第1回路
22 第2回路
23 第3回路
24 LSI
31 動作速度指令信号
36 IPT−N信号
38 アラーム出力回路
39 充放電回路
51 過電流検出信号
81 第4回路
91 レジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの速度を決定する動作速度指令信号を入力し、該動作速度指令信号を入力した際に第1の所定電圧を出力する第1の回路と、
モータ動作時に発生する割込み信号を入力し、該割込み信号を入力した際に第2の所定電圧を出力する第2の回路と、
前記第1の回路と第2の回路の出力信号が入力され、該第1の回路と第2の回路の出力信号により充放電する充放電回路を有し、該充放電回路が充電された際にアラーム信号を出力するアラーム出力回路とを有し、
モータ動作時に、前記割込み信号を入力した前記第2の回路が前記第2の所定電圧を出力することにより前記アラーム出力回路の前記充放電回路が放電され、
モータ停止時に、前記動作速度指令信号が入力されないことにより前記第1の回路が前記アラーム出力回路の前記充放電回路を放電させ、
モータ動作時に異常が発生し、前記割込み信号が発生しない場合、前記第2の回路が前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させ、
モータ停止時に異常が発生し、前記動作速度指令信号が発生した場合、前記第1の回路が前記所定電圧を出力し、前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させることを特徴とする異常検出回路。
【請求項2】
モータを駆動する駆動回路から出力される過電流検出信号を入力するとともに、充放電回路を有し、
異常発生により前記過電流検出信号に異常が発生した場合、前記充放電回路が充電し続けることによりアラーム信号を出力することを特徴とする異常検出回路。
【請求項3】
モータの速度を決定する動作速度指令信号を入力し、該動作速度指令信号を入力した際に第1の所定電圧を出力する第1の回路と、
モータ動作時に発生する割込み信号を入力し、該割込み信号を入力した際に第2の所定電圧を出力する第2の回路と、
前記第1の回路と第2の回路の出力信号が入力され、該第1の回路と第2の回路の出力信号により充放電する充放電回路を有し、該充放電回路が充電された際にアラーム信号を出力するアラーム出力回路と、
モータを駆動する駆動回路から出力される過電流検出信号を入力するとともに、充放電回路を有し、異常発生により前記過電流検出信号に異常が発生した場合、前記充放電回路が充電する第3の回路とを有し、
モータ動作時に、前記割込み信号を入力した前記第2の回路が前記第2の所定電圧を出力することにより前記アラーム出力回路の前記充放電回路が放電され、
モータ停止時に、前記動作速度指令信号が入力されないことにより前記第1の回路が前記アラーム出力回路の前記充放電回路を放電させ、
モータ動作時に異常が発生し、前記割込み信号が発生しない場合、前記第2の回路が前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させ、
モータ停止時に異常が発生し、前記動作速度指令信号が発生した場合、前記第1の回路が前記所定電圧を出力し、前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させ、
異常発生により前記過電流検出信号に異常が発生した場合、前記第3の回路の前記充放電回路が充電し続けることによりアラーム信号を出力することを特徴とする異常検出回路。
【請求項4】
モータの速度を決定する動作速度指令信号を入力し、該動作速度指令信号を入力した際に第1の所定電圧を出力する第1の回路と、
モータ動作時に発生する割込み信号に同期して発生する同期信号を入力し、該同期信号を入力した際に第2の所定電圧を出力する第2の回路と、
前記第1の回路と第2の回路の出力信号が入力され、該第1の回路と第2の回路の出力信号により充放電する充放電回路を有し、該充放電回路が充電された際にアラーム信号を出力するアラーム出力回路とを有し、
モータ動作時に、前記同期信号を入力した前記第2の回路が前記第2の所定電圧を出力することにより前記アラーム出力回路の前記充放電回路が放電され、
モータ停止時に、前記動作速度指令信号が入力されないことにより前記第1の回路が前記アラーム出力回路の前記充放電回路を放電させ、
モータ動作時に異常が発生し、前記同期信号が発生しない場合、前記第2の回路が前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させ、
モータ停止時に異常が発生し、前記動作速度指令信号が発生した場合、前記第1の回路が前記第1の所定電圧を出力し、前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させることを特徴とする異常検出回路。
【請求項5】
前記同期信号のオン時間は任意に設定可能である請求項4記載の異常検出回路。
【請求項6】
前記同期信号に関する複数のオン時間を記憶する記憶手段を有し、前記複数のオン時間を選択可能にした請求項4または5記載の異常検出回路。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の異常検出回路を備えた印刷装置。
【請求項1】
モータの速度を決定する動作速度指令信号を入力し、該動作速度指令信号を入力した際に第1の所定電圧を出力する第1の回路と、
モータ動作時に発生する割込み信号を入力し、該割込み信号を入力した際に第2の所定電圧を出力する第2の回路と、
前記第1の回路と第2の回路の出力信号が入力され、該第1の回路と第2の回路の出力信号により充放電する充放電回路を有し、該充放電回路が充電された際にアラーム信号を出力するアラーム出力回路とを有し、
モータ動作時に、前記割込み信号を入力した前記第2の回路が前記第2の所定電圧を出力することにより前記アラーム出力回路の前記充放電回路が放電され、
モータ停止時に、前記動作速度指令信号が入力されないことにより前記第1の回路が前記アラーム出力回路の前記充放電回路を放電させ、
モータ動作時に異常が発生し、前記割込み信号が発生しない場合、前記第2の回路が前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させ、
モータ停止時に異常が発生し、前記動作速度指令信号が発生した場合、前記第1の回路が前記所定電圧を出力し、前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させることを特徴とする異常検出回路。
【請求項2】
モータを駆動する駆動回路から出力される過電流検出信号を入力するとともに、充放電回路を有し、
異常発生により前記過電流検出信号に異常が発生した場合、前記充放電回路が充電し続けることによりアラーム信号を出力することを特徴とする異常検出回路。
【請求項3】
モータの速度を決定する動作速度指令信号を入力し、該動作速度指令信号を入力した際に第1の所定電圧を出力する第1の回路と、
モータ動作時に発生する割込み信号を入力し、該割込み信号を入力した際に第2の所定電圧を出力する第2の回路と、
前記第1の回路と第2の回路の出力信号が入力され、該第1の回路と第2の回路の出力信号により充放電する充放電回路を有し、該充放電回路が充電された際にアラーム信号を出力するアラーム出力回路と、
モータを駆動する駆動回路から出力される過電流検出信号を入力するとともに、充放電回路を有し、異常発生により前記過電流検出信号に異常が発生した場合、前記充放電回路が充電する第3の回路とを有し、
モータ動作時に、前記割込み信号を入力した前記第2の回路が前記第2の所定電圧を出力することにより前記アラーム出力回路の前記充放電回路が放電され、
モータ停止時に、前記動作速度指令信号が入力されないことにより前記第1の回路が前記アラーム出力回路の前記充放電回路を放電させ、
モータ動作時に異常が発生し、前記割込み信号が発生しない場合、前記第2の回路が前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させ、
モータ停止時に異常が発生し、前記動作速度指令信号が発生した場合、前記第1の回路が前記所定電圧を出力し、前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させ、
異常発生により前記過電流検出信号に異常が発生した場合、前記第3の回路の前記充放電回路が充電し続けることによりアラーム信号を出力することを特徴とする異常検出回路。
【請求項4】
モータの速度を決定する動作速度指令信号を入力し、該動作速度指令信号を入力した際に第1の所定電圧を出力する第1の回路と、
モータ動作時に発生する割込み信号に同期して発生する同期信号を入力し、該同期信号を入力した際に第2の所定電圧を出力する第2の回路と、
前記第1の回路と第2の回路の出力信号が入力され、該第1の回路と第2の回路の出力信号により充放電する充放電回路を有し、該充放電回路が充電された際にアラーム信号を出力するアラーム出力回路とを有し、
モータ動作時に、前記同期信号を入力した前記第2の回路が前記第2の所定電圧を出力することにより前記アラーム出力回路の前記充放電回路が放電され、
モータ停止時に、前記動作速度指令信号が入力されないことにより前記第1の回路が前記アラーム出力回路の前記充放電回路を放電させ、
モータ動作時に異常が発生し、前記同期信号が発生しない場合、前記第2の回路が前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させ、
モータ停止時に異常が発生し、前記動作速度指令信号が発生した場合、前記第1の回路が前記第1の所定電圧を出力し、前記アラーム出力回路の充放電回路を充電させることによりアラーム信号を出力させることを特徴とする異常検出回路。
【請求項5】
前記同期信号のオン時間は任意に設定可能である請求項4記載の異常検出回路。
【請求項6】
前記同期信号に関する複数のオン時間を記憶する記憶手段を有し、前記複数のオン時間を選択可能にした請求項4または5記載の異常検出回路。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の異常検出回路を備えた印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2008−160953(P2008−160953A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345693(P2006−345693)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】
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