発光ダイオードの製造方法、切断方法及び発光ダイオード
【課題】耐薬品に優れた金属基板を用い、金属基板のレーザー切断時に生成するデブリの低減と金属基板に適したレーザー照射の位置決めの両方の目的を同時に果たす工程を含む発光ダイオードの製造方法、切断方法及び発光ダイオードを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る発光ダイオードの製造方法は、複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う金属保護膜とからなる金属基板と、化合物半導体層とを備えたウェハを作製する工程と、化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、位置決めマークに基づいて、化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して金属基板を切断する工程と、を有することを特徴とする。
【解決手段】本発明に係る発光ダイオードの製造方法は、複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う金属保護膜とからなる金属基板と、化合物半導体層とを備えたウェハを作製する工程と、化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、位置決めマークに基づいて、化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して金属基板を切断する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードの製造方法、切断方法及び発光ダイオードに関し、特に金属基板を基板に用いた発光ダイオードの製造方法、切断方法及び発光ダイオードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、赤色、赤外の光を発する高出力発光ダイオード(英略称:LED)として、砒化アルミニウム・ガリウム(組成式AlXGa1−XAs;0≦X≦1)からなる発光層を備えた化合物半導体LEDが知られている。一方、赤色、橙色、黄色或いは黄緑色の可視光を発する高輝度発光ダイオード(英略称:LED)として、燐化アルミニウム・ガリウム・インジウム(組成式(AlXGa1−X)YIn1−YP;0≦X≦1,0<Y≦1)からなる発光層を備えた化合物半導体LEDが知られている。これらのLEDの基板として、一般に、発光層から出射される発光に対し光学的に不透明であり、また機械的にもそれ程強度のない砒化ガリウム(GaAs)等の基板材料が用いられてきた。
【0003】
このため、最近では、より高輝度のLEDを得るために、また、更なる素子の機械的強度、放熱性の向上を目的として、発光光に対して不透明な基板材料を除去して、然る後、発光光を透過または反射し、尚且つ機械強度、放熱性に優れる材料からなる支持体層(基板)を改めて接合させて、接合型LEDを構成する技術が開示されている(例えば、特許文献1〜7参照)。
【0004】
基板接合技術の開発により、支持体層として適用できる基板の自由度が増え、コスト面、機械強度、放熱性など大きなメリットを有する金属基板の適用が提案されている。
特に、高電流で光らせる必要がある高出力用の発光ダイオードは、従来のものに比べて発熱量が多く、放熱性の確保が課題となっている。金属基板は発光部(化合物半導体層)からの発熱を発光ダイオードの外部へ効率的に放出することができるので、化合物半導体層に金属基板を接合させることは、発光ダイオードの高出力化、長寿命化に有用である。
【0005】
金属基板を用いた発光ダイオードは例えば、特許文献8及び特許文献9に開示されている。
【0006】
発光層を有する化合物半導体層に金属基板を接合したウェハはブレードダイシングやレーザーダイシング等によりチップ化される。
ここで、ブレードダイシングは基板に高速回転する円盤状の切削ブレードを押し当てて切断するものである。
また、レーザーダイシングは基板にレーザーを照射し、そのレーザーエネルギーを吸収させて発生した熱エネルギーによって切断部を溶融、蒸散(アブレーション)させて切断を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−339100号公報
【特許文献2】特開平6−302857号公報
【特許文献3】特開2002−246640号公報
【特許文献4】特許第2588849号公報
【特許文献5】特開2001−57441号公報
【特許文献6】特開2007−81010号公報
【特許文献7】特開2006−32952号公報
【特許文献8】特開2005−236303号公報
【特許文献9】特開2006−13499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、金属基板は、半導体基板、セラミックス基板等と比較して製造プロセスで使用する化学薬品に反応、腐食等により品質劣化する問題があった。具体的には、アルカリ、酸の処理に対して、溶解、変色、腐食が発生し、特性不良や収率の低下してしまうという問題があった。特に、半導体層を成長させる砒化ガリウム基板を除去する為、アルカリや酸に長時間浸漬し、砒化ガリウム基板を全て溶解する工程が一般的であるが、金属基板がこの長時間の薬品処理に耐えられないという問題があった。
【0009】
また、ブレードダイシングによる金属基板の切断では、ブレードに目詰まりが生じやすいため、切断が容易でないという問題がある。また、切断面に欠け(チッピング)やクラックが発生し、これが回路領域に影響を及ぼすという問題もある。さらにまた、切削ブレードの幅が大きくかつチッピングがあるために、切断予定ラインの幅を大きく取る必要があり、回路領域として有効に使用できる面積の割合が低下するという問題もある。
【0010】
他方、レーザーダイシングによる金属基板の切断では、レーザー照射の位置決め(アラインメント)について確立した方法がなく、様々な試行錯誤がなされている段階であり、また、切断時に生成するデブリも問題になる。
ここで、デブリとは、レーザービームの照射により生成される副次生成物であって、被照射材料の溶融物や飛散物等が切断部周辺(材料表面や切断面)に付着したものである。
【0011】
デブリは発光ダイオードの外観不良となるだけではなく、デブリがおもて面側に付いた場合はワイヤボンディング不良の原因になり、また、裏面側に付いた場合にはダイボンディング不良の原因となる。
【0012】
また、このようなデブリが発光部側に多く発生すると、発光部を構成する化合物半導体層の側面に接触してショートする等、発光ダイオードの信頼性の低下を招いたりする。
【0013】
かかる問題を回避するために、切断部の切りしろを多くとることが考えられるが、この場合、1枚のウェハから製造できる発光ダイオードの数が減少してしまう。
【0014】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、基板除去工程の薬品処理に耐えうる耐薬品に優れた新しい構造の金属基板を用いることで収率が向上しかつ特性が安定した発光ダイオードを製造できると共に、レーザーダイシングによる金属基板の切断時に生成するデブリの低減とその新しい構造の金属基板に適したレーザー照射の位置決めの両方の目的を同時に果たす工程を含む発光ダイオードの製造方法、切断方法及び発光ダイオードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)ウェハにレーザーを照射してチップ状の発光ダイオードを製造する方法において、
複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板と、該金属基板上に形成された発光層を含む化合物半導体層とを備えたウェハを作製する工程と、前記化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、前記金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、位置決めマークに基づいて、前記化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して前記金属基板を切断する工程と、を有することを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
ここで、「切断予定ライン」とは、ウェハにおいて切断する予定の位置を示すものであって、基板等の上に実際に何らかの加工が施されて形成されたラインも、実際の加工は施されていない仮想的なラインも含むものとする。
また、「切断予定ライン上の部分」とは、平面視して「切断予定ライン」を含む部分を意味する。
(2)前記複数の金属板は、前記化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料からなる金属板と前記化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料からなる金属板とを含むことを特徴とする前項(1)に記載の発光ダイオードの製造方法。
(3)前記化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料が、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金のいずれかからなることを特徴とする前項(1)又は(2)のいずれかに記載の発光ダイオードの製造方法。
(4)前記化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料が、モリブデン、タングステン、クロムまたはこれらの合金のいずれかからなることを特徴とする前項(1)から(3)のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
(5)前記複数の金属板は三枚の金属板からなることを特徴とする前項(1)から(4)のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
(6)前記三層の金属板のうち、一枚枚の金属板を挟む二枚の金属板は同じ金属材料からなることを特徴とする前項(5)に記載の発光ダイオードの製造方法。
(7)前記一枚枚の金属板はモリブデンからなり、前記二枚の金属板は銅からなることを特徴とする前項(6)に記載の発光ダイオードの製造方法。
(8)前記金属保護膜は、アルミニウム、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金のいずれかからなることを特徴とする前項(1)から(7)のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
(9)前記発光層は、AlGaInP層またはAlGaInAs層を含むことを特徴とする前項(1)からから(8)のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
(10)前記化合物半導体層と前記金属基板との間に反射構造体を備えることを特徴とする前項(1)から(9)のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
(11)複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板と、該金属基板上に形成された化合物半導体層とを備えたウェハにレーザーを照射してチップ状の発光ダイオードに切断する方法において、前記化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、前記金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、位置決めマークに基づいて、前記化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して前記金属基板を切断する工程と、を有することを特徴とする切断方法。
(12)前項(1)から(10)のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法によって製造された発光ダイオード。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る発光ダイオードの製造方法によれば、複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板を用いる構成を採用したので、耐薬品性が高く、アルカリ、酸の処理による金属基板の劣化がない発光ダイオードを製造することができる。金属保護膜が複数の金属板の側面も覆う構成を採用することにより、その効果をさらに高めることもできる。
【0017】
本発明に係る発光ダイオードの製造方法によれば、化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、位置決めマークに基づいて、化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して金属基板を切断する工程とを有する構成を採用し、レーザー照射面を化合物半導体層を備えた面とは反対側の面としたので、レーザー切断が開始される金属基板の位置が化合物半導体層から遠くなる結果、デブリが化合物半導体層にまで届きにくくなり、ショートするのを防止して、歩留まりを向上させることができる。また、エッチングによってレーザー照射する側の金属基板の一部(金属保護膜の一部)を予め除去しているので、レーザー切断する金属基板の量が少なくなり、生成されるデブリ量を低減することができる。
【0018】
本発明に係る発光ダイオードの製造方法によれば、複数の金属板は、前記化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料からなる金属板と前記化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料からなる金属板とを含む構成を採用することにより、金属基板全体としての熱膨張係数(温度上昇に対して実際に現れる金属基板の長さ・体積が膨張する割合)は化合物半導体層の熱膨張係数に近いものとなるため、化合物半導体層と金属基板とを接合する際の、金属基板の熱膨張量と化合物半導体層の熱膨張量との差が低減するので、化合物半導体層と金属基板との間に生成する界面応力が低減し、その結果、金属基板の化合物半導体層側と化合物半導体層の反対側とにそれぞれ存在する界面応力のうち、レーザー切断時に、一方の界面応力が先に開放されることによる金属基板の歪みが低減される。
【0019】
本発明に係る発光ダイオードの製造方法によれば、複数の金属板は三枚の金属板からなる構成を採用することにより、金属基板に望ましい機能例えば、機械的強度、切断容易性、放熱性等を各基板に分けて持たせた金属基板を有する発光ダイオードを製造することができる。この場合、金属基板は単一の金属板で持ち得ない機能を有することになる。例えば、Cu/Mo/Cuのように、外側の二枚の金属板を切断容易性が高い材料であるCuからなるものとし、それらが挟む真ん中の金属板に機械的強度が高い材料であるMoからなるものとすることにより、機械的強度及び切断容易性が高い金属基板とすることができる。
【0020】
本発明に係る切断方法によれば、複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板を用いる構成を採用したので、耐薬品性が高く、アルカリ、酸の処理による金属基板の劣化がない発光ダイオードを製造することができる。金属保護膜が複数の金属板の側面も覆う構成を採用することにより、その効果をさらに高めることもできる。
【0021】
本発明に係る切断方法によれば、化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、平面視して位置決めマークに基づいて、前記化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して金属基板を切断する工程とを有する構成を採用し、レーザー照射面を化合物半導体層を備えた面とは反対側の面としたので、レーザー切断が開始される金属基板の位置が化合物半導体層から遠くなる結果、デブリが化合物半導体層にまで届きにくくなり、ショートするのを防止して、歩留まりを向上させることができる。また、エッチングによってレーザー照射する側の金属基板の一部(金属保護膜の一部)を予め除去しているので、レーザー切断する金属基板の量が少なくなり、生成されるデブリ量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態である発光ダイオードの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態である発光ダイオードに用いる金属基板の製造工程の一例を示す工程断面図である。
【図3】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図7】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図9】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図10】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図11】本発明の実施形態である発光ダイオードを備えた発光ダイオードランプの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を適用した一実施形態である発光ダイオードの製造方法、切断方法及び発光ダイオードについて図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、具体的に示した材料や寸法等の条件は例示に過ぎない。また、同一部材には同一符号を付し説明を省略又は簡略化する。また、同一部材には適宜、同一符号を付し又は符号を省略し、説明を省略又は簡略化する。
【0024】
(第1の実施形態)
[発光ダイオード]
図1は、本発明の実施形態である発光ダイオードの一例を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施形態である発光ダイオード(LED)100は、複数の金属板21A、22、21B(符号1Aは複数の金属板21A、22、21Bを示す)と複数の金属板の少なくとも上面1Aa及び下面1Abを覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜1B(1Ba、1Bb)とからなるからなる金属基板1と、金属基板1上に形成された発光層2を含む化合物半導体層3とを備えた発光ダイオード100であって、金属基板1の側面1Aaaはレーザー切断面であり、レーザー照射による副次生成物(デブリ)は金属基板1の側面1Aaa(金属板21Aの側面21Aa、金属板22の側面22a、金属保護膜の側面(符号省略)とからなる)にのみ付着している。
【0025】
<化合物半導体層>
化合物半導体層3は、発光層2を含む化合物半導体の積層構造体であって、複数のエピタキシャル成長させた層を積層してなるエピタキシャル積層構造体である。
化合物半導体層3としては、例えば、発光効率が高く、基板接合技術が確立されているAlGaInP層またはAlGaInAs層などを利用できる。AlGaInP層は、一般式(AlXGa1−X)YIn1−YP(0≦X≦1,0<Y≦1)で表される材料からなる層である。この組成は、発光ダイオードの発光波長に応じて、決定される。赤および赤外発光の発光ダイオードを作製する際に用いられるAlGaInAs層の場合も同様に、構成材料の組成は発光ダイオードの発光波長に応じて決定される。また、AlGaAs、GaAs、InGaAsなども含まれる。
化合物半導体層3は、n型またはp型の何れか一の伝導型の化合物半導体であり、内部でpn接合が形成される。なお、化合物半導体層3の表面の極性はp型、n型のどちらでもよい。
【0026】
図1に示すように、化合物半導体層3は、例えば、コンタクト層12cと、クラッド層10aと、発光層2と、クラッド層10bと、GaP層13とからなる。
【0027】
コンタクト層12cは、オーミック(Ohmic)電極の接触抵抗を下げるための層であり、例えば、Siドープしたn型のGaAsからなり、キャリア濃度を1×1018cm−3とし、層厚を0.05μmとする。
【0028】
クラッド層10aは、例えば、Siをドープしたn型のAl0.5In0.5Pからなり、キャリア濃度を3×1018cm−3とし、層厚を0.5μmとする。
【0029】
発光層2は公知の発光層を用いることができるが、AlGaInP層またはAlGaInAs層を含むのが好ましく、例えば、アンドープの(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P/(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pの10対の積層構造からなり、層厚を0.2μmとする。
発光層2は、ダブルへテロ構造(Double Hetero:DH)、単一量子井戸構造(Single Quantum Well:SQW)または多重量子井戸構造(Multi Quantum Well:MQW)などの構造を有する。ここで、ダブルへテロ構造は、放射再結合を担うキャリアを閉じ込められる構造である。また、量子井戸構造は、井戸層と、前記井戸層を挟む2つの障壁層を有する構造であって、SQWは井戸層が1つのものであり、MQWは井戸層が2以上のものである。化合物半導体層3の形成方法としては、MOCVD法などを用いることができる。
発光層2から単色性に優れる発光を得るためには、発光層2としてMQW構造を用いることが好ましい。
【0030】
クラッド層10bは、例えば、Mgをドープしたp型のAl0.5In0.5Pからなり、キャリア濃度を8×1017cm−3とし、層厚を0.5μmとする。
【0031】
GaP層13は、例えば、Mgをドープしたp型GaP層であり、キャリア濃度を5×1018cm−3とし、層厚を2μmとする。
【0032】
化合物半導体層3の構成は、上記に記載した構造に限られるものではなく、例えば、素子駆動電流を化合物半導体層3の全般に平面的に拡散させる電流拡散層や、素子駆動電流の通流する領域を制限するための電流阻止層または電流狭窄層などを有していてもよい。
【0033】
<第1の電極、第2の電極>
第1の電極6および第2の電極8はそれぞれオーミック電極であり、それらの形状および配置は、化合物半導体層3に電流を均一に拡散させるものであればよく、特に限定されない。例えば、平面視したときに円状または矩形状の電極を用いることができ、一個の電極として配置することも、複数の電極を格子状に配置することもできる。
【0034】
第1の電極6の材料としては、コンタクト層12cとしてn型の化合物半導体を用いた場合には、例えば、AuGe、AuGeNi、AuSiなどを用いることができ、コンタクト層12cとしてp型の化合物半導体を用いた場合には、例えば、AuBe、AuZnなどを用いることができる。
また、更にその上にAuなどを積層して、酸化を防止させるとともに、ボンディング特性を向上させることができる。
【0035】
第2の電極8の材料としては、GaP層13としてn型の化合物半導体を用いた場合には、例えば、AuGe、AuGeNi、AuSiなどを用いることができ、GaP層13としてp型の化合物半導体を用いた場合には、例えば、AuBe、AuZnなどを用いることができる。
【0036】
<反射構造体>
図1に示すように、化合物半導体層3の反射構造体4側の面3bには、第2の電極8を覆うように反射構造体4が形成されている。反射構造体4は、金属膜15と透明導電膜14とが積層されてなる。
【0037】
金属膜15は、銅、銀、金、アルミニウムなどの金属およびそれらの合金などにより構成されている。これらの材料は光反射率が高く、反射構造体4からの光反射率を90%以上とすることができる。金属膜15を形成することにより、発光層2からの光を金属膜15で正面方向fへ反射させて、正面方向fでの光取り出し効率を向上させることができる。これにより、発光ダイオードをより高輝度化できる。
【0038】
金属膜15は、透明導電膜14側からAg、Ni/Tiバリヤ層、Au系の共晶金属(接続用金属)からなる積層構造が好ましい。
金属膜15の化合物半導体層3と反対側の面15bに形成された前記接続用金属は、電気抵抗が低く、低温で溶融する金属である。前記接続用金属を用いることにより、化合物半導体層3に熱ストレスを与えることなく、金属基板を接続できる。
接続用金属としては、化学的に安定で、融点の低いAu系の共晶金属などを用いられる。前記Au系の共晶金属としては、例えば、AuSn、AuGe、AuSiなどの合金の共晶組成(Au系の共晶金属)を挙げることができる。
また、接続用金属には、チタン、クロム、タングステンなどの金属を添加することが好ましい。これにより、チタン、クロム、タングステンなどの金属がバリヤ金属として機能して、金属基板に含まれる不純物などが金属膜15側に拡散して、反応することを抑制できる。
【0039】
透明導電膜14は、ITO膜、IZO膜、などにより構成されている。なお、反射構造体4は、金属膜15だけで構成してもよい。
また、透明導電膜14の代わりに、または、透明導電膜14とともに、透明な材料の屈折率差を利用したいわゆるコールドミラー、例えば、酸化チタン膜、酸化ケイ素膜の多層膜や白色のアルミナ、AlNを用いて、金属膜15に組み合わせてもよい。SiO2膜、SiN膜、TiO2膜、TiN膜などの非導電性透明膜を用いる場合、非導電性透明膜の一部を貫通する様に金属膜の一部を配置してもよい。
【0040】
<金属基板>
金属基板1は複数の金属板1Aと複数の金属板の少なくとも上面1Aa及び下面1Abを覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜1Bとからなる。金属保護膜1Bは金属板の側面を覆うのが好ましい。
【0041】
反射構造体4を構成する金属膜15の化合物半導体層3と反対側の面15bに、金属基板1の接合面1aが接合されている。
金属基板1の厚さは、50μm以上150μm以下とすることが好ましい。
金属基板1の厚さが150μmより厚い場合には、発光ダイオードの製造コストが上昇して好ましくない。また、金属基板1の厚さが50μmより薄い場合には、ハンドリング時に割れ、かけ、反りなどが容易に生じて、製造歩留まりを低下させるおそれが発生する。
【0042】
複数の金属板の構成としては、2種類の金属板すなわち、第1の金属板21と第2の金属板22とが交互に積層されてなるものが好ましい。
金属基板1枚あたりの第1の金属板21と第2の金属板22の枚数は、合わせて3〜9枚とすることが好ましく、3〜5枚とすることがより好ましい。
第1の金属板21と第2の金属板22の枚数を合わせて2層とした場合には、厚さ方向での熱膨張が不均衡となり、金属基板1の反りが発生する。逆に、第1の金属板21と第2の金属板22の枚数を合わせて9層より多くした場合には、第1の金属板21と第2の金属板22の層の厚さをそれぞれ薄くする必要が生じる。第1の金属板21または第2の金属板22からなる単層基板を層の厚さを薄くして作製することは困難であり、各層の厚さを不均一にして、発光ダイオードの特性をばらつかせるおそれが発生する。さらに、前記単層基板の製造が困難であることから、発光ダイオードの製造コストを悪化させるおそれも生じる。
【0043】
第1の金属板21と第2の金属板22の枚数は、合わせて奇数とすることがより好ましい。
特に3枚として、一枚の金属板を挟む二層の金属板は同じ金属材料からなるものとすることが好ましい。この場合、挟む二枚の金属板を同じエッチャントを用いて湿式エッチングで切断予定ラインに相当する部分を除去することができる。
【0044】
<金属保護膜>
金属保護膜1Bは一又は複数の膜からなる。
それらの膜はアルミニウム、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金のいずれかからなるのが好ましい。
金属保護膜1Bとしては、密着性がよいニッケルと耐薬品に優れる金を組み合わせた積層構造からなるのが最も好ましい。
金属保護膜の厚さは、特に制限はないが、耐久性とコストのバランスから、0.2〜5μm、好ましくは、0.5〜3μmが適正な範囲である。高価な金の厚さは、2μm以下が望ましい。
【0045】
複数の金属板は、化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料からなる金属板と化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料からなる金属板とを含むのが好ましい。
化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料はアルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金のいずれかからなるのが好ましい。
また、化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料が、モリブデン、タングステン、クロムまたはこれらの合金のいずれかからなるのが好ましい。
【0046】
<第1の金属板>
第1の金属板21(21A、21B)は、第2の金属板として化合物半導体層3より熱膨張係数が小さい材料を用いる場合には、少なくとも化合物半導体層3より熱膨張係数が大きい材料からなることが好ましい。この構成とすることにより、金属基板全体としての熱膨張係数が化合物半導体層の熱膨張係数に近いものとなるため、化合物半導体層と金属基板とを接合する際の金属基板の反りや割れを抑制することができ、発光ダイオードの製造歩留まりを向上させることができるからである。従って、第2の金属板として化合物半導体層3より熱膨張係数が大きい材料を用いる場合には、第1の金属板21(21A、21B)は少なくとも化合物半導体層3より熱膨張係数が小さい材料からなることが好ましい。
【0047】
第1の金属板21としては、例えば、銀(熱膨張係数=18.9ppm/K)、銅(熱膨張係数=16.5ppm/K)、金(熱膨張係数=14.2ppm/K)、アルミニウム(熱膨張係数=23.1ppm/K)、ニッケル(熱膨張係数=13.4ppm/K)およびこれらの合金などを用いることが好ましい。
第1の金属板21の厚みは、5μm以上50μm以下とすることが好ましく、5μm以上20μm以下とすることがより好ましい。
なお、第1の金属板21の厚みと第2の金属板21の厚みとは異なっていてもよい。さらに、金属基板1が複数の第1の金属板21と第2の金属板22により形成される場合に、各層の厚みはそれぞれ異なっていてもよい。
【0048】
金属基板1の接合面1a及び反対側の面1bに、電気的接触を安定化させる接合補助膜、または、ダイボンド用の共晶金属を形成するのが好ましい。
反射構造体の金属膜15の接続用金属としてAu系の共晶金属を用いる場合には、金属基板1の接合面1aに、金属基板1側からNi/Au膜を形成するのが好ましい。このNi膜及びAu膜はメッキにより形成することができる。
これにより、接合工程を簡便に行うことができる。前記接合補助膜としては、Au、AuSnなどを用いることができる。
【0049】
なお、化合物半導体層3に金属基板1を接合する方法は、上記に記載した方法に限られるものではなく、例えば、拡散接合、接着剤、常温接合方法など公知の技術を適用することもできる。
【0050】
第1の金属板21の合計の厚さは、金属基板1の厚さの5%以上50%以下であることが好ましく、10%以上30%以下であることがより好ましく、15%以上25%以下であることが更に好ましい。第1の金属板21の合計の厚さが金属基板1の厚さの5%未満の場合は、熱膨張係数が高い第1の金属板21の効果が小さくなり、ヒートシンク機能が低下する。逆に、第1の金属板21の厚さが金属基板1の厚さの50%を超える場合は、金属基板1を化合物半導体層3と接続させたときの熱による金属基板1の割れを抑制できない。つまり、第1の金属板21と化合物半導体層3との間の大きな熱膨張係数の差により、熱による金属基板1の割れを発生させて、接合不良発生を招く場合が生じる。
特に、第1の金属板21として銅を用いた場合には、銅の合計の厚さが、金属基板1の厚さの5%以上40%以下であることが好ましく、10%以上30%以下であることがより好ましく、15%以上25%以下であることが更に好ましい。
第1の金属板21の厚みは、5μm以上30μm以下とすることが好ましく、5μm以上20μm以下とすることがより好ましい。
【0051】
<第2の金属板>
第2の金属板22は、第1の金属板として化合物半導体層3より熱膨張係数が大きい材料を用いる場合には、その熱膨張係数が化合物半導体層3の熱膨張係数より小さい材料からなることが好ましい。この構成とすることにより、金属基板全体としての熱膨張係数が化合物半導体層の熱膨張係数に近いものとなるため、化合物半導体層と金属基板とを接合する際の金属基板の反りや割れを抑制することができ、発光ダイオードの製造歩留まりを向上させることができるからである。従って、第1の金属板として化合物半導体層3より熱膨張係数が小さい材料を用いる場合には、第2の金属板22はその熱膨張係数が化合物半導体層3の熱膨張係数より大きい材料からなることが好ましい。
【0052】
例えば、化合物半導体層3としてAlGaInP層(熱膨張係数=約5.3ppm/K)を用いた場合には、第2の金属板22としてモリブデン(熱膨張係数=5.1ppm/K)、タングステン(熱膨張係数=4.3ppm/K)、クロム(熱膨張係数=4.9ppm/K)およびこれらの合金などを用いることが好ましい。
【0053】
本発明の一実施形態の発光ダイオード100として、発光層2を含む化合物半導体層3に金属基板1が接合された発光ダイオード100であって、金属基板1は、第1の金属板21と第2の金属板22とが交互に積層されてなり、第1の金属板21は、熱膨張係数が化合物半導体層3の材料より大きく、第2の金属板22は、熱膨張係数が化合物半導体層3の材料より小さい材料からなる構成を採用すると、放熱性に優れ、接合の際の基板の割れを抑制でき、高電圧を印加して、高輝度で発光させることができる。
【0054】
本発明の一実施形態の発光ダイオード100として、第2の金属板22の材料が、化合物半導体層3の熱膨張係数の±1.5ppm/K以内となる熱膨張係数を有する材料である構成を採用すると、放熱性に優れ、接合の際の基板の割れを抑制でき、高電圧を印加して、高輝度で発光させることができる。
【0055】
本発明の一実施形態の発光ダイオード100として、第1の金属板21が、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金からなる構成を採用すると、放熱性に優れ、接合の際の基板の割れを抑制でき、高電圧を印加して、高輝度で発光させることができる。
【0056】
本発明の一実施形態の発光ダイオード100として、第2の金属板22が、モリブデン、タングステン、クロムまたはこれらの合金からなる構成を採用すると、放熱性に優れ、接合の際の基板の割れを抑制でき、高電圧を印加して、高輝度で発光させることができる。
【0057】
本発明の一実施形態の発光ダイオード100として、第1の金属板21が銅からなり、第2の金属板22がモリブデンからなり、第1の金属板21と第2の金属板22との層の数が合わせて3層以上9層以下とされている構成を採用すると、放熱性に優れ、接合の際の基板の割れを抑制でき、高電圧を印加して、高輝度で発光させることができる。
【0058】
[発光ダイオードの製造方法]
次に、本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法について説明する。
本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法は、複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板と、該金属基板上に形成された発光層を含む化合物半導体層とを備えたウェハを作製する工程と、化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、前記位置決めマークに基づいて、化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して金属基板を切断する工程と、を有する。
まず、金属基板の製造工程について説明する。
【0059】
<金属基板の製造工程>
まず、複数の金属板を重ね合わせてホットプレスして一体の金属板1Aを形成する。
【0060】
まず、2枚の略平板状の第1の金属板21(21A、21B)と、1枚の略平板状の第2の金属板22を用意する。例えば、第1の金属板21(21A、21B)としては厚さ10μmのCu、第2の金属板22としては厚さ75μmのMoを用いる。
次に、図2(a)に示すように、前記2枚の第1の金属板21の間に前記第2の金属板22を挿入してこれらを重ねて配置する。
【0061】
次に、所定の加圧装置に前記基板を配置して、高温下で、第1の金属板21と第2の金属板22に矢印の方向に荷重をかける。これにより、図2(b)に示すように、第1の金属板21がCuであり、第2の金属板22がMoであり、Cu(10μm)/Mo(75μm)/Cu(10μm)の3枚からなる金属板1Aを形成する。
金属基板1は、例えば、熱膨張係数が5.7ppm/Kとなり、熱伝導率は220W/m・Kとなる。
【0062】
次に、金属板1Aの全面を覆う金属保護膜を形成する。
次に、図2(c)に示すように、金属板1Aの全面すなわち、上面、下面及び側面を覆う金属保護膜2を形成する。このとき、図2(c)に示す金属板1Aは各発光ダイオードに個片化のために切断される前のものなので、金属保護膜が覆う側面とは金属板(プレート)の外周側面である。従って、個片化後の各発光ダイオードの金属板1の側面を金属保護膜2で覆う場合には別途、金属保護膜で側面を覆う工程を実施する。
図2(c)は、金属板1Aの外周端側でない箇所の一部を示しているものであり、外周側面の金属保護膜は図に表れていない。
【0063】
尚、後のエッチング液による半導体基板除去工程を行う際に、金属保護膜が金属板の全面を覆っていればよく、その半導体基板除去工程後の工程において金属板の金属保護膜の一部が除去され、最終的に製造された発光ダイオードの金属基板が金属板の全面を金属保護膜で覆われていなくても構わない。
【0064】
金属保護膜は公知の膜形成方法を用いることができるが、側面を含めた全面に膜形成ができるめっき法が最も好ましい。
例えば、無電解めっき法では、ニッケルその後、金をめっきし、金属板の上面、側面、下面をニッケル膜及び金膜(金属保護膜)で覆われた金属基板1を作製できる。
めっき材質は、特に制限はなく、銅、銀、ニッケル、クロム、白金、金など公知の材質が適用できるが、密着性がよいニッケルと耐薬品に優れる金を組み合わせた層が最適である。
めっき厚さは、特に制限はないが、耐久性とコストのバランスから、0.2〜5μm、好ましくは、0.5〜3μmが適正な範囲である。高価な金の厚さは、1μm以下が望ましい。例えば、ニッケルを2μm、ニッケル上に金を1μmの積層構造とすることできる。
めっき法は、公知の技術、薬品が使用できる。電極が不要な無電解めっき法が、簡便で望ましい。
【0065】
なお、この後、化合物半導体層3の接合面の大きさに合わせて切断した後、表面を鏡面加工してもよい。
【0066】
<化合物半導体層および第2の電極形成工程>
まず、図3に示すように、半導体基板11の一面11a上に、複数のエピタキシャル層を成長させてエピタキシャル積層体17を形成する。
半導体基板11は、エピタキシャル積層体17形成用基板であり、例えば、一面11aが(100)面から15°傾けた面とされた、Siドープしたn型のGaAs単結晶基板である。このように、エピタキシャル積層体17としてAlGaInP層またはAlGaAs層を用いる場合、エピタキシャル積層体17を形成する基板として、砒化ガリウム(GaAs)単結晶基板を用いることができる。
【0067】
化合物半導体層3の形成方法としては、有機金属化学気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法、分子線エピタキシャル(Molecular Beam Epitaxicy:MBE)法や液相エピタキシャル(Liquid Phase Epitaxicy:LPE)法などを用いることができる。
【0068】
本実施形態では、トリメチルアルミニウム((CH3)3Al)、トリメチルガリウム((CH3)3Ga)及びトリメチルインジウム((CH3)3In)をIII族構成元素の原料に用いた減圧MOCVD法を用いて、各層をエピタキシャル成長させる。
なお、Mgのドーピング原料にはビスシクロペンタジエニルマグネシウム((C5H5)2Mg)を用いる。また、Siのドーピング原料にはジシラン(Si2H6)を用いる。また、V族構成元素の原料としては、ホスフィン(PH3)又はアルシン(AsH3)を用いる。
なお、p型のGaP層13は、例えば、750°Cで成長させ、その他のエピタキシャル成長層は、例えば、730°Cで成長させる。
【0069】
具体的には、まず、半導体基板11の一面11a上に、Siをドープしたn型のGaAsからなる緩衝層12aを成膜する。緩衝層12aとしては、例えば、Siをドープしたn型のGaAsを用い、キャリア濃度を2×1018cm−3とし、層厚を0.2μmとする。
次に、緩衝層12a上に、Siドープしたn型の(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pからなるエッチングストップ層12bを成膜する。
エッチングストップ層12bは、半導体基板をエッチング除去する際、クラッド層および発光層までがエッチングされてしまうことを防ぐための層であり、例えば、Siドープの(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pからなり、層厚を0.5μmとする。
次に、エッチングストップ層12b上に、Siドープしたn型のGaAsからなるコンタクト層12cを成膜する。
次に、コンタクト層12c上に、Siをドープしたn型のAl0.5In0.5Pからなるクラッド層10aを成膜する。
次に、クラッド層10a上に、アンドープの(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P/(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pの10対の積層構造からなる発光層2を成膜する。
次に、発光層2上に、Mgをドープしたp型のAl0.5In0.5Pからなるクラッド層10bを成膜する。
次に、クラッド層10b上に、Mgドープしたp型のGaP層13を成膜する。
【0070】
次に、p型のGaP層13の半導体基板11と反対側の面13aを、表面から1μmの深さに至るまで鏡面研磨して、表面の粗さを、例えば、0.18nm以内とする。
次に、図4に示すように、p型のGaP層13の半導体基板11と反対側の面13a上に第2の電極(オーミック電極)8を形成する。第2の電極8は、例えば、0.4μmの厚さのAuBe上に0.2μmの厚さのAuが積層されてなる。第2の電極8は、例えば、平面視したときに20μmφの円形状であり、60μmの間隔で形成される。
【0071】
<反射構造体形成工程>
次に、図5に示すように、p型のGaP層13の半導体基板11と反対側の面13aおよび第2の電極8を覆うようにITO膜からなる透明導電膜14を形成する。次に、450℃の熱処理を施して、第2の電極8と透明導電膜14との間にオーミックコンタクトを形成する。
【0072】
次に、図6に示すように、透明導電膜14のエピタキシャル積層体17と反対側の面14aに、蒸着法を用いて、銀(Ag)合金からなる膜を0.7μm成膜した後、ニッケル(Ni)/チタン(Ti)からなる膜を0.5μm、金(Au)からなる膜を1μm成膜して、金属膜15とした。
これにより、金属膜15と透明導電膜14とからなる反射構造体4が形成される。
【0073】
<金属基板接合工程>
次に、図7に示すように、反射構造体4とエピタキシャル積層体17とを形成した半導体基板11と、前記金属基板の製造工程で形成した金属基板1と、を減圧装置内に搬入して、反射構造体4の接合面4aと金属基板1の接合面1aとが対向して重ねあわされるように配置する。
次に、前記減圧装置内を3×10−5Paまで排気した後、半導体基板11と金属基板1とを400℃に加熱した状態で、500kgの荷重を印加して反射構造体4の接合面4aと金属基板1の接合面5aと接合して、接合構造体18を形成する。
【0074】
<半導体基板および緩衝層除去工程>
次に、図8に示すように、接合構造体18から、半導体基板11及び緩衝層12aをアンモニア系エッチャントにより選択的に除去する。
このとき、本発明の金属基板は金属保護膜に覆われており、エッチャントに対する耐性が高いため、金属基板が品質劣化することが防止される。
【0075】
<エッチングストップ層除去工程>
次に、エッチングストップ層12bを塩酸系エッチャントにより選択的に除去する。これにより、発光層2を有する化合物半導体層3が形成される。
このとき、本発明の金属基板は金属保護膜に覆われており、エッチャントに対する耐性が高いため、金属基板が品質劣化することが防止される。
【0076】
<第1の電極形成工程>
次に、真空蒸着法を用いて、化合物半導体層3の反射構造体4と反対側の面3aに電極用導電膜を成膜する。前記電極用導電膜としては、例えば、AuGe/Ni/Auからなる金属板構造を用いることができる。例えば、AuGe(Ge質量比12%)を0.15μmの厚さで成膜した後、Niを0.05μmの厚さで成膜し、さらにAuを1μmの厚さで成膜する。
次に、一般的なフォトリソグラフィー手段を利用して、前記電極用導電膜を例えば、平面視円形状にパターニングして、n型オーミック電極(第1の電極)6として、発光ダイオードのウェハを作製する。
【0077】
上記第1の電極形成工程のパターニングで用いたマスクを用いて、コンタクト層12cのうち、例えば、アンモニア水(NH4OH)/過酸化水素(H2O2)/純水(H20)混合液により、n型オーミック電極(第1の電極)6の下以外の部分をエッチングで除去する。これにより、n型オーミック電極(第1の電極)6とコンタクト層12cの平面形状は図1に示すように、実質的に同一の形状となる。
【0078】
なお、この後、例えば、420°Cで3分間熱処理を行って、n型オーミック電極(第1の電極)6の各金属を合金化することが好ましい。これにより、n型オーミック電極(第1の電極)6を低抵抗化することができる。
【0079】
図9(a)〜図9(c)を参照して、化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を除去する工程(おもて面エッチング工程)について説明する。
なお、図9(a)〜図9(c)においては、化合物半導体層を備えたおもて面側から金属基板の一部までしか描いていない。
【0080】
<化合物半導体層除去工程>
まず、図9(a)に示すように、発光ダイオードのウェハの化合物半導体層3上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィーによって、例えば、幅60μm程度の切断予定ラインパターンを含むレジストパターン31を形成する。
【0081】
次いで、露出されている化合物半導体層の切断予定ライン上の部分をエッチングによって除去する(符号3A参照)。
化合物半導体層の除去幅はこの後の金属板の除去幅を決める。従って、化合物半導体層の除去幅は、この後のレーザー切断時に生成されるデブリ量を低減するために、レーザーによる切断幅より広い幅であるのが好ましい。例えば、おもて面からレーザー照射してレーザー切断を行う場合はレーザーによる切断幅より40μm程度広いのが好ましい。また、裏面からレーザー照射してレーザー切断を行う場合はレーザーによる切断幅は20μm程度広いのが好ましい。
【0082】
次いで、図9(b)に示すように、そのウェハを塩化第二鉄液に浸漬して、ITO層14とNi層33の、化合物半導体層の除去した部分の下方に位置する部分をエッチングして除去する(符号14A、33A参照)。
【0083】
次いで、図9(c)に示すように、ウェハをフッ酸系液、例えば、水素二フッ化アンモニウム2〜3%、フッ化アンモニウム0.05〜0.1%に水を加えた溶液に浸漬して、Ti層34の、上記除去した部分の下方に位置する部分をエッチングして除去する(符号34A参照)。
【0084】
次いで、ウェハをAu系エッチング液、例えば、シアン系のエッチング液に浸漬して、Au層35、Au層36の、上記除去した部分の下方に位置する部分をエッチングして除去する(符号35A、36A参照)。
【0085】
次いで、ウェハを、Niに対するエッチング速度がMoに対するエッチング速度より高くNiを選択的にエッチングできる塩化第二鉄液に浸漬して、Ni層37の、上記除去した部分の下方に位置する部分をCu層21Aが露出するまでエッチングして除去する(符号37A参照)。
なお、この工程においては、エッチング時間を制御することによりCu層21Aが露出したら、エッチングを停止することができるが、塩化第二鉄液はCuに対するエッチング速度がMoに対するエッチング速度より高いので、Cu層21Aまでエッチングしても構わない。
【0086】
以上の手順によって、切断予定ライン上の化合物半導体層を除去することができる。
【0087】
<位置決めマーク形成工程>
図10(a)〜図10(c)を参照して、金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程について説明する。
なお、図10(a)〜図10(c)においては、化合物半導体層を備えたおもて面の反対側の金属基板の一部しか描いていない。
【0088】
位置決めマーク形成の目的は、レーザーダイシングの位置決め(アラインメント)に用いるマークを形成することと、そのために金属保護膜の一部を除去することによってデブリを低減することである。前者を重視する場合には金属保護膜の除去量は少なくても足りるが、後者を重視する場合には金属保護膜の除去量を多めにするのが好ましい。両方の目的を十分に果たすために、金属保護膜の、切断予定ライン(ストリート)全体に相当する部分を除去するのが好ましい。
【0089】
なお、レーザーダイシングのダイシングズレを解消する方法として、金属保護膜をエッチングするのと同様のストリートの開口部を有するパターンのレジストをつけた後、金属保護膜をエッチングしないでレジストをつけた状態でダイシングすることが考えられる。この方法では、デブリはレジスト上に付着させて除去することができるが、デブリ除去は不完全であり、また、熱によりレジストが変質したり、焼きついたりすること等の問題が発生することが考えられる。
また、位置決めマーク用にスパッタ等でパターニングされた膜を形成する(ダイシングラインに凸部を形成する)という方法も考えられるが、デブリ対策にならず、また、材料コストがアップしてしまうという問題がある。
【0090】
まず、図10(a)に示すように、発光ダイオードのウェハ裏面の金属基板1上に形成された金属保護膜(Au/Ni層)上に、レジストを塗布し、フォトリソグラフィーによって、位置決めマークの形状に対応する部分(少なくとも一部)を除去したレジストパターン41を形成する。
位置決めマークの形状は、レーザーダイシングの位置決め(アラインメント)に用いるマークとして機能すれば制限はないが、切断予定ライン(ストリート)のクロス(十字)部分のみの形状や、切断予定ライン(ストリート)の数箇所にマークを形成する等でもよい。
切断予定ライン上部分の全体を位置決めマークとし、その部分の金属保護膜を除去すると、レーザーダイシングによって生成されるデブリ量をより低減することができ好ましい。
【0091】
次いで、図10(b)に示すように、ウェハをAu系エッチング液、例えば、シアン系のエッチング液に浸漬して、Au層(少なくとも一つの膜)42の、上記除去した部分の下方に位置する部分をエッチングして除去して位置決めマークを形成する(符号42Aで示した部分)。
【0092】
以上の手順によって、金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する。
【0093】
本実施形態では、Au/Ni層の二層積層構造の金属保護膜のうち、一層のAu層のみをエッチングしたが、Au/Ni層の二層ともエッチングしてもよい。また、三層以上の積層の場合において、全層を除去しても、そのうちの一部の層を除去してもよい。
【0094】
<レーザーダイシング工程>
次に、前工程で、金属保護膜の一部をエッチング除去して形成した位置決めマークを目印にして、化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して金属基板を切断する。
【0095】
レーザーによる切断条件としてはLED素子製造プロセスで使用される条件でよい。
例えば、レーザー波長を355nmとし、送り速度を20mm/secとした条件で金属基板を切断することができる。
【0096】
レーザーダイシングのレーザー走査は複数回に分けて行ってもよい。その際、レーザービームの太さを変えてダイシングしてもよい。
【0097】
金属基板のレーザー切断面はその後、Auめっきするのが好ましい。
【0098】
<発光ダイオードランプ>
本発明の実施形態である発光ダイオードを備えた発光ダイオードランプについて説明する。
図11は、本発明の実施形態である発光ダイオードランプの一例を示す断面模式図である。図11に示すように、本発明の実施形態である発光ダイオードランプ50は、パッケージ基板55と、パッケージ基板55上に形成された2つの電極端子53、54と、電極端子54上に搭載された発光ダイオード100と、発光ダイオード100を覆うように形成されたシリコンなどからなる透明樹脂(封止樹脂)51と、を有している。
発光ダイオード100は、化合物半導体層3と反射構造部4と金属基板1と第1の電極6と第2の電極8を有しており、金属基板1が電極端子53と接続されるように配置されている。また、第1の電極6と電極端子54とはワイヤボンディングされている。電極端子53、54に印加された電圧が、第1の電極6と第2の電極8を介して化合物半導体層3に印加され、化合物半導体層3に含まれる発光層が発光する。発光された光は、正面方向fに取り出される。
【0099】
パッケージ基板55は、その熱抵抗が10℃/W以下とされている。これにより、発光層2に1W以上の電力を加えて発光させたときでも、ヒートシンクとして機能させることができ、発光ダイオード100の放熱性をより高めることができる。
なお、パッケージ基板の形状は、これに限定されず、他の形状のパッケージ基板を用いてもよい。他の形状のパッケージ基板を用いたLEDランプ製品においても、放熱性を十分確保できるので、高出力、高輝度の発光ダイオードランプとすることができる。
【実施例】
【0100】
まず、発光層として(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P/(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pの10対の積層構造からなるもので厚さ4μm、GaP層が2μm、反射構造体がAg層0.7μm、Ni/Tiバリヤ層0.5μm、Au層1μm、金属基板がCu板10μm/Mo板75μm/Cu板10μmの三層構造の両側に金属保護膜としてNi層2μm、Au層1μmを順に形成したものからなるウェハを作製した。
【0101】
このウェハのおもて面について、金属基板のおもて面側の金属保護膜(Ni層及びAu層)までをエッチングによって除去して、幅60μmの溝を形成した。また、裏面については金属基板の裏面側のAu層のみをエッチングによって除去して、幅40μmの溝を形成した。
次いで、ウェハの裏面から、レーザー波長355nm、送り速度20mm/secの条件で金属基板をレーザー切断した。
【0102】
こうして作製したチップ状の発光ダイオードについてレーザー顕微鏡で観察した。
デブリは、金属基板の裏面側の側面には付着していたが、おもて面側の化合物半導体層の側面及び裏面側の金属保護膜の露出している表面に付着しているデブリは観察されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は金属基板を基板に用いた発光ダイオードの製造方法、切断方法及び発光ダイオードを利用する産業において利用可能性がある。
【符号の説明】
【0104】
1 金属基板
1A 金属板
1Aa 上面
1Ab 下面
1Aaa 側面
1B、1Ba、1Bb 金属保護膜
2 発光層
3 化合物半導体層
4 反射構造体
10a、10b クラッド層
13 電流拡散層
14 透明導電膜
15 金属膜
21(21A、21B) 第1の金属板
22 第2の金属板
50 発光ダイオードランプ
100 発光ダイオード(発光ダイオードチップ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードの製造方法、切断方法及び発光ダイオードに関し、特に金属基板を基板に用いた発光ダイオードの製造方法、切断方法及び発光ダイオードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、赤色、赤外の光を発する高出力発光ダイオード(英略称:LED)として、砒化アルミニウム・ガリウム(組成式AlXGa1−XAs;0≦X≦1)からなる発光層を備えた化合物半導体LEDが知られている。一方、赤色、橙色、黄色或いは黄緑色の可視光を発する高輝度発光ダイオード(英略称:LED)として、燐化アルミニウム・ガリウム・インジウム(組成式(AlXGa1−X)YIn1−YP;0≦X≦1,0<Y≦1)からなる発光層を備えた化合物半導体LEDが知られている。これらのLEDの基板として、一般に、発光層から出射される発光に対し光学的に不透明であり、また機械的にもそれ程強度のない砒化ガリウム(GaAs)等の基板材料が用いられてきた。
【0003】
このため、最近では、より高輝度のLEDを得るために、また、更なる素子の機械的強度、放熱性の向上を目的として、発光光に対して不透明な基板材料を除去して、然る後、発光光を透過または反射し、尚且つ機械強度、放熱性に優れる材料からなる支持体層(基板)を改めて接合させて、接合型LEDを構成する技術が開示されている(例えば、特許文献1〜7参照)。
【0004】
基板接合技術の開発により、支持体層として適用できる基板の自由度が増え、コスト面、機械強度、放熱性など大きなメリットを有する金属基板の適用が提案されている。
特に、高電流で光らせる必要がある高出力用の発光ダイオードは、従来のものに比べて発熱量が多く、放熱性の確保が課題となっている。金属基板は発光部(化合物半導体層)からの発熱を発光ダイオードの外部へ効率的に放出することができるので、化合物半導体層に金属基板を接合させることは、発光ダイオードの高出力化、長寿命化に有用である。
【0005】
金属基板を用いた発光ダイオードは例えば、特許文献8及び特許文献9に開示されている。
【0006】
発光層を有する化合物半導体層に金属基板を接合したウェハはブレードダイシングやレーザーダイシング等によりチップ化される。
ここで、ブレードダイシングは基板に高速回転する円盤状の切削ブレードを押し当てて切断するものである。
また、レーザーダイシングは基板にレーザーを照射し、そのレーザーエネルギーを吸収させて発生した熱エネルギーによって切断部を溶融、蒸散(アブレーション)させて切断を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−339100号公報
【特許文献2】特開平6−302857号公報
【特許文献3】特開2002−246640号公報
【特許文献4】特許第2588849号公報
【特許文献5】特開2001−57441号公報
【特許文献6】特開2007−81010号公報
【特許文献7】特開2006−32952号公報
【特許文献8】特開2005−236303号公報
【特許文献9】特開2006−13499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、金属基板は、半導体基板、セラミックス基板等と比較して製造プロセスで使用する化学薬品に反応、腐食等により品質劣化する問題があった。具体的には、アルカリ、酸の処理に対して、溶解、変色、腐食が発生し、特性不良や収率の低下してしまうという問題があった。特に、半導体層を成長させる砒化ガリウム基板を除去する為、アルカリや酸に長時間浸漬し、砒化ガリウム基板を全て溶解する工程が一般的であるが、金属基板がこの長時間の薬品処理に耐えられないという問題があった。
【0009】
また、ブレードダイシングによる金属基板の切断では、ブレードに目詰まりが生じやすいため、切断が容易でないという問題がある。また、切断面に欠け(チッピング)やクラックが発生し、これが回路領域に影響を及ぼすという問題もある。さらにまた、切削ブレードの幅が大きくかつチッピングがあるために、切断予定ラインの幅を大きく取る必要があり、回路領域として有効に使用できる面積の割合が低下するという問題もある。
【0010】
他方、レーザーダイシングによる金属基板の切断では、レーザー照射の位置決め(アラインメント)について確立した方法がなく、様々な試行錯誤がなされている段階であり、また、切断時に生成するデブリも問題になる。
ここで、デブリとは、レーザービームの照射により生成される副次生成物であって、被照射材料の溶融物や飛散物等が切断部周辺(材料表面や切断面)に付着したものである。
【0011】
デブリは発光ダイオードの外観不良となるだけではなく、デブリがおもて面側に付いた場合はワイヤボンディング不良の原因になり、また、裏面側に付いた場合にはダイボンディング不良の原因となる。
【0012】
また、このようなデブリが発光部側に多く発生すると、発光部を構成する化合物半導体層の側面に接触してショートする等、発光ダイオードの信頼性の低下を招いたりする。
【0013】
かかる問題を回避するために、切断部の切りしろを多くとることが考えられるが、この場合、1枚のウェハから製造できる発光ダイオードの数が減少してしまう。
【0014】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、基板除去工程の薬品処理に耐えうる耐薬品に優れた新しい構造の金属基板を用いることで収率が向上しかつ特性が安定した発光ダイオードを製造できると共に、レーザーダイシングによる金属基板の切断時に生成するデブリの低減とその新しい構造の金属基板に適したレーザー照射の位置決めの両方の目的を同時に果たす工程を含む発光ダイオードの製造方法、切断方法及び発光ダイオードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)ウェハにレーザーを照射してチップ状の発光ダイオードを製造する方法において、
複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板と、該金属基板上に形成された発光層を含む化合物半導体層とを備えたウェハを作製する工程と、前記化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、前記金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、位置決めマークに基づいて、前記化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して前記金属基板を切断する工程と、を有することを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
ここで、「切断予定ライン」とは、ウェハにおいて切断する予定の位置を示すものであって、基板等の上に実際に何らかの加工が施されて形成されたラインも、実際の加工は施されていない仮想的なラインも含むものとする。
また、「切断予定ライン上の部分」とは、平面視して「切断予定ライン」を含む部分を意味する。
(2)前記複数の金属板は、前記化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料からなる金属板と前記化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料からなる金属板とを含むことを特徴とする前項(1)に記載の発光ダイオードの製造方法。
(3)前記化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料が、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金のいずれかからなることを特徴とする前項(1)又は(2)のいずれかに記載の発光ダイオードの製造方法。
(4)前記化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料が、モリブデン、タングステン、クロムまたはこれらの合金のいずれかからなることを特徴とする前項(1)から(3)のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
(5)前記複数の金属板は三枚の金属板からなることを特徴とする前項(1)から(4)のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
(6)前記三層の金属板のうち、一枚枚の金属板を挟む二枚の金属板は同じ金属材料からなることを特徴とする前項(5)に記載の発光ダイオードの製造方法。
(7)前記一枚枚の金属板はモリブデンからなり、前記二枚の金属板は銅からなることを特徴とする前項(6)に記載の発光ダイオードの製造方法。
(8)前記金属保護膜は、アルミニウム、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金のいずれかからなることを特徴とする前項(1)から(7)のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
(9)前記発光層は、AlGaInP層またはAlGaInAs層を含むことを特徴とする前項(1)からから(8)のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
(10)前記化合物半導体層と前記金属基板との間に反射構造体を備えることを特徴とする前項(1)から(9)のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
(11)複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板と、該金属基板上に形成された化合物半導体層とを備えたウェハにレーザーを照射してチップ状の発光ダイオードに切断する方法において、前記化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、前記金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、位置決めマークに基づいて、前記化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して前記金属基板を切断する工程と、を有することを特徴とする切断方法。
(12)前項(1)から(10)のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法によって製造された発光ダイオード。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る発光ダイオードの製造方法によれば、複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板を用いる構成を採用したので、耐薬品性が高く、アルカリ、酸の処理による金属基板の劣化がない発光ダイオードを製造することができる。金属保護膜が複数の金属板の側面も覆う構成を採用することにより、その効果をさらに高めることもできる。
【0017】
本発明に係る発光ダイオードの製造方法によれば、化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、位置決めマークに基づいて、化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して金属基板を切断する工程とを有する構成を採用し、レーザー照射面を化合物半導体層を備えた面とは反対側の面としたので、レーザー切断が開始される金属基板の位置が化合物半導体層から遠くなる結果、デブリが化合物半導体層にまで届きにくくなり、ショートするのを防止して、歩留まりを向上させることができる。また、エッチングによってレーザー照射する側の金属基板の一部(金属保護膜の一部)を予め除去しているので、レーザー切断する金属基板の量が少なくなり、生成されるデブリ量を低減することができる。
【0018】
本発明に係る発光ダイオードの製造方法によれば、複数の金属板は、前記化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料からなる金属板と前記化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料からなる金属板とを含む構成を採用することにより、金属基板全体としての熱膨張係数(温度上昇に対して実際に現れる金属基板の長さ・体積が膨張する割合)は化合物半導体層の熱膨張係数に近いものとなるため、化合物半導体層と金属基板とを接合する際の、金属基板の熱膨張量と化合物半導体層の熱膨張量との差が低減するので、化合物半導体層と金属基板との間に生成する界面応力が低減し、その結果、金属基板の化合物半導体層側と化合物半導体層の反対側とにそれぞれ存在する界面応力のうち、レーザー切断時に、一方の界面応力が先に開放されることによる金属基板の歪みが低減される。
【0019】
本発明に係る発光ダイオードの製造方法によれば、複数の金属板は三枚の金属板からなる構成を採用することにより、金属基板に望ましい機能例えば、機械的強度、切断容易性、放熱性等を各基板に分けて持たせた金属基板を有する発光ダイオードを製造することができる。この場合、金属基板は単一の金属板で持ち得ない機能を有することになる。例えば、Cu/Mo/Cuのように、外側の二枚の金属板を切断容易性が高い材料であるCuからなるものとし、それらが挟む真ん中の金属板に機械的強度が高い材料であるMoからなるものとすることにより、機械的強度及び切断容易性が高い金属基板とすることができる。
【0020】
本発明に係る切断方法によれば、複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板を用いる構成を採用したので、耐薬品性が高く、アルカリ、酸の処理による金属基板の劣化がない発光ダイオードを製造することができる。金属保護膜が複数の金属板の側面も覆う構成を採用することにより、その効果をさらに高めることもできる。
【0021】
本発明に係る切断方法によれば、化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、平面視して位置決めマークに基づいて、前記化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して金属基板を切断する工程とを有する構成を採用し、レーザー照射面を化合物半導体層を備えた面とは反対側の面としたので、レーザー切断が開始される金属基板の位置が化合物半導体層から遠くなる結果、デブリが化合物半導体層にまで届きにくくなり、ショートするのを防止して、歩留まりを向上させることができる。また、エッチングによってレーザー照射する側の金属基板の一部(金属保護膜の一部)を予め除去しているので、レーザー切断する金属基板の量が少なくなり、生成されるデブリ量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態である発光ダイオードの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態である発光ダイオードに用いる金属基板の製造工程の一例を示す工程断面図である。
【図3】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図7】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図9】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図10】本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図11】本発明の実施形態である発光ダイオードを備えた発光ダイオードランプの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を適用した一実施形態である発光ダイオードの製造方法、切断方法及び発光ダイオードについて図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、具体的に示した材料や寸法等の条件は例示に過ぎない。また、同一部材には同一符号を付し説明を省略又は簡略化する。また、同一部材には適宜、同一符号を付し又は符号を省略し、説明を省略又は簡略化する。
【0024】
(第1の実施形態)
[発光ダイオード]
図1は、本発明の実施形態である発光ダイオードの一例を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施形態である発光ダイオード(LED)100は、複数の金属板21A、22、21B(符号1Aは複数の金属板21A、22、21Bを示す)と複数の金属板の少なくとも上面1Aa及び下面1Abを覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜1B(1Ba、1Bb)とからなるからなる金属基板1と、金属基板1上に形成された発光層2を含む化合物半導体層3とを備えた発光ダイオード100であって、金属基板1の側面1Aaaはレーザー切断面であり、レーザー照射による副次生成物(デブリ)は金属基板1の側面1Aaa(金属板21Aの側面21Aa、金属板22の側面22a、金属保護膜の側面(符号省略)とからなる)にのみ付着している。
【0025】
<化合物半導体層>
化合物半導体層3は、発光層2を含む化合物半導体の積層構造体であって、複数のエピタキシャル成長させた層を積層してなるエピタキシャル積層構造体である。
化合物半導体層3としては、例えば、発光効率が高く、基板接合技術が確立されているAlGaInP層またはAlGaInAs層などを利用できる。AlGaInP層は、一般式(AlXGa1−X)YIn1−YP(0≦X≦1,0<Y≦1)で表される材料からなる層である。この組成は、発光ダイオードの発光波長に応じて、決定される。赤および赤外発光の発光ダイオードを作製する際に用いられるAlGaInAs層の場合も同様に、構成材料の組成は発光ダイオードの発光波長に応じて決定される。また、AlGaAs、GaAs、InGaAsなども含まれる。
化合物半導体層3は、n型またはp型の何れか一の伝導型の化合物半導体であり、内部でpn接合が形成される。なお、化合物半導体層3の表面の極性はp型、n型のどちらでもよい。
【0026】
図1に示すように、化合物半導体層3は、例えば、コンタクト層12cと、クラッド層10aと、発光層2と、クラッド層10bと、GaP層13とからなる。
【0027】
コンタクト層12cは、オーミック(Ohmic)電極の接触抵抗を下げるための層であり、例えば、Siドープしたn型のGaAsからなり、キャリア濃度を1×1018cm−3とし、層厚を0.05μmとする。
【0028】
クラッド層10aは、例えば、Siをドープしたn型のAl0.5In0.5Pからなり、キャリア濃度を3×1018cm−3とし、層厚を0.5μmとする。
【0029】
発光層2は公知の発光層を用いることができるが、AlGaInP層またはAlGaInAs層を含むのが好ましく、例えば、アンドープの(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P/(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pの10対の積層構造からなり、層厚を0.2μmとする。
発光層2は、ダブルへテロ構造(Double Hetero:DH)、単一量子井戸構造(Single Quantum Well:SQW)または多重量子井戸構造(Multi Quantum Well:MQW)などの構造を有する。ここで、ダブルへテロ構造は、放射再結合を担うキャリアを閉じ込められる構造である。また、量子井戸構造は、井戸層と、前記井戸層を挟む2つの障壁層を有する構造であって、SQWは井戸層が1つのものであり、MQWは井戸層が2以上のものである。化合物半導体層3の形成方法としては、MOCVD法などを用いることができる。
発光層2から単色性に優れる発光を得るためには、発光層2としてMQW構造を用いることが好ましい。
【0030】
クラッド層10bは、例えば、Mgをドープしたp型のAl0.5In0.5Pからなり、キャリア濃度を8×1017cm−3とし、層厚を0.5μmとする。
【0031】
GaP層13は、例えば、Mgをドープしたp型GaP層であり、キャリア濃度を5×1018cm−3とし、層厚を2μmとする。
【0032】
化合物半導体層3の構成は、上記に記載した構造に限られるものではなく、例えば、素子駆動電流を化合物半導体層3の全般に平面的に拡散させる電流拡散層や、素子駆動電流の通流する領域を制限するための電流阻止層または電流狭窄層などを有していてもよい。
【0033】
<第1の電極、第2の電極>
第1の電極6および第2の電極8はそれぞれオーミック電極であり、それらの形状および配置は、化合物半導体層3に電流を均一に拡散させるものであればよく、特に限定されない。例えば、平面視したときに円状または矩形状の電極を用いることができ、一個の電極として配置することも、複数の電極を格子状に配置することもできる。
【0034】
第1の電極6の材料としては、コンタクト層12cとしてn型の化合物半導体を用いた場合には、例えば、AuGe、AuGeNi、AuSiなどを用いることができ、コンタクト層12cとしてp型の化合物半導体を用いた場合には、例えば、AuBe、AuZnなどを用いることができる。
また、更にその上にAuなどを積層して、酸化を防止させるとともに、ボンディング特性を向上させることができる。
【0035】
第2の電極8の材料としては、GaP層13としてn型の化合物半導体を用いた場合には、例えば、AuGe、AuGeNi、AuSiなどを用いることができ、GaP層13としてp型の化合物半導体を用いた場合には、例えば、AuBe、AuZnなどを用いることができる。
【0036】
<反射構造体>
図1に示すように、化合物半導体層3の反射構造体4側の面3bには、第2の電極8を覆うように反射構造体4が形成されている。反射構造体4は、金属膜15と透明導電膜14とが積層されてなる。
【0037】
金属膜15は、銅、銀、金、アルミニウムなどの金属およびそれらの合金などにより構成されている。これらの材料は光反射率が高く、反射構造体4からの光反射率を90%以上とすることができる。金属膜15を形成することにより、発光層2からの光を金属膜15で正面方向fへ反射させて、正面方向fでの光取り出し効率を向上させることができる。これにより、発光ダイオードをより高輝度化できる。
【0038】
金属膜15は、透明導電膜14側からAg、Ni/Tiバリヤ層、Au系の共晶金属(接続用金属)からなる積層構造が好ましい。
金属膜15の化合物半導体層3と反対側の面15bに形成された前記接続用金属は、電気抵抗が低く、低温で溶融する金属である。前記接続用金属を用いることにより、化合物半導体層3に熱ストレスを与えることなく、金属基板を接続できる。
接続用金属としては、化学的に安定で、融点の低いAu系の共晶金属などを用いられる。前記Au系の共晶金属としては、例えば、AuSn、AuGe、AuSiなどの合金の共晶組成(Au系の共晶金属)を挙げることができる。
また、接続用金属には、チタン、クロム、タングステンなどの金属を添加することが好ましい。これにより、チタン、クロム、タングステンなどの金属がバリヤ金属として機能して、金属基板に含まれる不純物などが金属膜15側に拡散して、反応することを抑制できる。
【0039】
透明導電膜14は、ITO膜、IZO膜、などにより構成されている。なお、反射構造体4は、金属膜15だけで構成してもよい。
また、透明導電膜14の代わりに、または、透明導電膜14とともに、透明な材料の屈折率差を利用したいわゆるコールドミラー、例えば、酸化チタン膜、酸化ケイ素膜の多層膜や白色のアルミナ、AlNを用いて、金属膜15に組み合わせてもよい。SiO2膜、SiN膜、TiO2膜、TiN膜などの非導電性透明膜を用いる場合、非導電性透明膜の一部を貫通する様に金属膜の一部を配置してもよい。
【0040】
<金属基板>
金属基板1は複数の金属板1Aと複数の金属板の少なくとも上面1Aa及び下面1Abを覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜1Bとからなる。金属保護膜1Bは金属板の側面を覆うのが好ましい。
【0041】
反射構造体4を構成する金属膜15の化合物半導体層3と反対側の面15bに、金属基板1の接合面1aが接合されている。
金属基板1の厚さは、50μm以上150μm以下とすることが好ましい。
金属基板1の厚さが150μmより厚い場合には、発光ダイオードの製造コストが上昇して好ましくない。また、金属基板1の厚さが50μmより薄い場合には、ハンドリング時に割れ、かけ、反りなどが容易に生じて、製造歩留まりを低下させるおそれが発生する。
【0042】
複数の金属板の構成としては、2種類の金属板すなわち、第1の金属板21と第2の金属板22とが交互に積層されてなるものが好ましい。
金属基板1枚あたりの第1の金属板21と第2の金属板22の枚数は、合わせて3〜9枚とすることが好ましく、3〜5枚とすることがより好ましい。
第1の金属板21と第2の金属板22の枚数を合わせて2層とした場合には、厚さ方向での熱膨張が不均衡となり、金属基板1の反りが発生する。逆に、第1の金属板21と第2の金属板22の枚数を合わせて9層より多くした場合には、第1の金属板21と第2の金属板22の層の厚さをそれぞれ薄くする必要が生じる。第1の金属板21または第2の金属板22からなる単層基板を層の厚さを薄くして作製することは困難であり、各層の厚さを不均一にして、発光ダイオードの特性をばらつかせるおそれが発生する。さらに、前記単層基板の製造が困難であることから、発光ダイオードの製造コストを悪化させるおそれも生じる。
【0043】
第1の金属板21と第2の金属板22の枚数は、合わせて奇数とすることがより好ましい。
特に3枚として、一枚の金属板を挟む二層の金属板は同じ金属材料からなるものとすることが好ましい。この場合、挟む二枚の金属板を同じエッチャントを用いて湿式エッチングで切断予定ラインに相当する部分を除去することができる。
【0044】
<金属保護膜>
金属保護膜1Bは一又は複数の膜からなる。
それらの膜はアルミニウム、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金のいずれかからなるのが好ましい。
金属保護膜1Bとしては、密着性がよいニッケルと耐薬品に優れる金を組み合わせた積層構造からなるのが最も好ましい。
金属保護膜の厚さは、特に制限はないが、耐久性とコストのバランスから、0.2〜5μm、好ましくは、0.5〜3μmが適正な範囲である。高価な金の厚さは、2μm以下が望ましい。
【0045】
複数の金属板は、化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料からなる金属板と化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料からなる金属板とを含むのが好ましい。
化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料はアルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金のいずれかからなるのが好ましい。
また、化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料が、モリブデン、タングステン、クロムまたはこれらの合金のいずれかからなるのが好ましい。
【0046】
<第1の金属板>
第1の金属板21(21A、21B)は、第2の金属板として化合物半導体層3より熱膨張係数が小さい材料を用いる場合には、少なくとも化合物半導体層3より熱膨張係数が大きい材料からなることが好ましい。この構成とすることにより、金属基板全体としての熱膨張係数が化合物半導体層の熱膨張係数に近いものとなるため、化合物半導体層と金属基板とを接合する際の金属基板の反りや割れを抑制することができ、発光ダイオードの製造歩留まりを向上させることができるからである。従って、第2の金属板として化合物半導体層3より熱膨張係数が大きい材料を用いる場合には、第1の金属板21(21A、21B)は少なくとも化合物半導体層3より熱膨張係数が小さい材料からなることが好ましい。
【0047】
第1の金属板21としては、例えば、銀(熱膨張係数=18.9ppm/K)、銅(熱膨張係数=16.5ppm/K)、金(熱膨張係数=14.2ppm/K)、アルミニウム(熱膨張係数=23.1ppm/K)、ニッケル(熱膨張係数=13.4ppm/K)およびこれらの合金などを用いることが好ましい。
第1の金属板21の厚みは、5μm以上50μm以下とすることが好ましく、5μm以上20μm以下とすることがより好ましい。
なお、第1の金属板21の厚みと第2の金属板21の厚みとは異なっていてもよい。さらに、金属基板1が複数の第1の金属板21と第2の金属板22により形成される場合に、各層の厚みはそれぞれ異なっていてもよい。
【0048】
金属基板1の接合面1a及び反対側の面1bに、電気的接触を安定化させる接合補助膜、または、ダイボンド用の共晶金属を形成するのが好ましい。
反射構造体の金属膜15の接続用金属としてAu系の共晶金属を用いる場合には、金属基板1の接合面1aに、金属基板1側からNi/Au膜を形成するのが好ましい。このNi膜及びAu膜はメッキにより形成することができる。
これにより、接合工程を簡便に行うことができる。前記接合補助膜としては、Au、AuSnなどを用いることができる。
【0049】
なお、化合物半導体層3に金属基板1を接合する方法は、上記に記載した方法に限られるものではなく、例えば、拡散接合、接着剤、常温接合方法など公知の技術を適用することもできる。
【0050】
第1の金属板21の合計の厚さは、金属基板1の厚さの5%以上50%以下であることが好ましく、10%以上30%以下であることがより好ましく、15%以上25%以下であることが更に好ましい。第1の金属板21の合計の厚さが金属基板1の厚さの5%未満の場合は、熱膨張係数が高い第1の金属板21の効果が小さくなり、ヒートシンク機能が低下する。逆に、第1の金属板21の厚さが金属基板1の厚さの50%を超える場合は、金属基板1を化合物半導体層3と接続させたときの熱による金属基板1の割れを抑制できない。つまり、第1の金属板21と化合物半導体層3との間の大きな熱膨張係数の差により、熱による金属基板1の割れを発生させて、接合不良発生を招く場合が生じる。
特に、第1の金属板21として銅を用いた場合には、銅の合計の厚さが、金属基板1の厚さの5%以上40%以下であることが好ましく、10%以上30%以下であることがより好ましく、15%以上25%以下であることが更に好ましい。
第1の金属板21の厚みは、5μm以上30μm以下とすることが好ましく、5μm以上20μm以下とすることがより好ましい。
【0051】
<第2の金属板>
第2の金属板22は、第1の金属板として化合物半導体層3より熱膨張係数が大きい材料を用いる場合には、その熱膨張係数が化合物半導体層3の熱膨張係数より小さい材料からなることが好ましい。この構成とすることにより、金属基板全体としての熱膨張係数が化合物半導体層の熱膨張係数に近いものとなるため、化合物半導体層と金属基板とを接合する際の金属基板の反りや割れを抑制することができ、発光ダイオードの製造歩留まりを向上させることができるからである。従って、第1の金属板として化合物半導体層3より熱膨張係数が小さい材料を用いる場合には、第2の金属板22はその熱膨張係数が化合物半導体層3の熱膨張係数より大きい材料からなることが好ましい。
【0052】
例えば、化合物半導体層3としてAlGaInP層(熱膨張係数=約5.3ppm/K)を用いた場合には、第2の金属板22としてモリブデン(熱膨張係数=5.1ppm/K)、タングステン(熱膨張係数=4.3ppm/K)、クロム(熱膨張係数=4.9ppm/K)およびこれらの合金などを用いることが好ましい。
【0053】
本発明の一実施形態の発光ダイオード100として、発光層2を含む化合物半導体層3に金属基板1が接合された発光ダイオード100であって、金属基板1は、第1の金属板21と第2の金属板22とが交互に積層されてなり、第1の金属板21は、熱膨張係数が化合物半導体層3の材料より大きく、第2の金属板22は、熱膨張係数が化合物半導体層3の材料より小さい材料からなる構成を採用すると、放熱性に優れ、接合の際の基板の割れを抑制でき、高電圧を印加して、高輝度で発光させることができる。
【0054】
本発明の一実施形態の発光ダイオード100として、第2の金属板22の材料が、化合物半導体層3の熱膨張係数の±1.5ppm/K以内となる熱膨張係数を有する材料である構成を採用すると、放熱性に優れ、接合の際の基板の割れを抑制でき、高電圧を印加して、高輝度で発光させることができる。
【0055】
本発明の一実施形態の発光ダイオード100として、第1の金属板21が、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金からなる構成を採用すると、放熱性に優れ、接合の際の基板の割れを抑制でき、高電圧を印加して、高輝度で発光させることができる。
【0056】
本発明の一実施形態の発光ダイオード100として、第2の金属板22が、モリブデン、タングステン、クロムまたはこれらの合金からなる構成を採用すると、放熱性に優れ、接合の際の基板の割れを抑制でき、高電圧を印加して、高輝度で発光させることができる。
【0057】
本発明の一実施形態の発光ダイオード100として、第1の金属板21が銅からなり、第2の金属板22がモリブデンからなり、第1の金属板21と第2の金属板22との層の数が合わせて3層以上9層以下とされている構成を採用すると、放熱性に優れ、接合の際の基板の割れを抑制でき、高電圧を印加して、高輝度で発光させることができる。
【0058】
[発光ダイオードの製造方法]
次に、本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法について説明する。
本発明の実施形態である発光ダイオードの製造方法は、複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板と、該金属基板上に形成された発光層を含む化合物半導体層とを備えたウェハを作製する工程と、化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、前記位置決めマークに基づいて、化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して金属基板を切断する工程と、を有する。
まず、金属基板の製造工程について説明する。
【0059】
<金属基板の製造工程>
まず、複数の金属板を重ね合わせてホットプレスして一体の金属板1Aを形成する。
【0060】
まず、2枚の略平板状の第1の金属板21(21A、21B)と、1枚の略平板状の第2の金属板22を用意する。例えば、第1の金属板21(21A、21B)としては厚さ10μmのCu、第2の金属板22としては厚さ75μmのMoを用いる。
次に、図2(a)に示すように、前記2枚の第1の金属板21の間に前記第2の金属板22を挿入してこれらを重ねて配置する。
【0061】
次に、所定の加圧装置に前記基板を配置して、高温下で、第1の金属板21と第2の金属板22に矢印の方向に荷重をかける。これにより、図2(b)に示すように、第1の金属板21がCuであり、第2の金属板22がMoであり、Cu(10μm)/Mo(75μm)/Cu(10μm)の3枚からなる金属板1Aを形成する。
金属基板1は、例えば、熱膨張係数が5.7ppm/Kとなり、熱伝導率は220W/m・Kとなる。
【0062】
次に、金属板1Aの全面を覆う金属保護膜を形成する。
次に、図2(c)に示すように、金属板1Aの全面すなわち、上面、下面及び側面を覆う金属保護膜2を形成する。このとき、図2(c)に示す金属板1Aは各発光ダイオードに個片化のために切断される前のものなので、金属保護膜が覆う側面とは金属板(プレート)の外周側面である。従って、個片化後の各発光ダイオードの金属板1の側面を金属保護膜2で覆う場合には別途、金属保護膜で側面を覆う工程を実施する。
図2(c)は、金属板1Aの外周端側でない箇所の一部を示しているものであり、外周側面の金属保護膜は図に表れていない。
【0063】
尚、後のエッチング液による半導体基板除去工程を行う際に、金属保護膜が金属板の全面を覆っていればよく、その半導体基板除去工程後の工程において金属板の金属保護膜の一部が除去され、最終的に製造された発光ダイオードの金属基板が金属板の全面を金属保護膜で覆われていなくても構わない。
【0064】
金属保護膜は公知の膜形成方法を用いることができるが、側面を含めた全面に膜形成ができるめっき法が最も好ましい。
例えば、無電解めっき法では、ニッケルその後、金をめっきし、金属板の上面、側面、下面をニッケル膜及び金膜(金属保護膜)で覆われた金属基板1を作製できる。
めっき材質は、特に制限はなく、銅、銀、ニッケル、クロム、白金、金など公知の材質が適用できるが、密着性がよいニッケルと耐薬品に優れる金を組み合わせた層が最適である。
めっき厚さは、特に制限はないが、耐久性とコストのバランスから、0.2〜5μm、好ましくは、0.5〜3μmが適正な範囲である。高価な金の厚さは、1μm以下が望ましい。例えば、ニッケルを2μm、ニッケル上に金を1μmの積層構造とすることできる。
めっき法は、公知の技術、薬品が使用できる。電極が不要な無電解めっき法が、簡便で望ましい。
【0065】
なお、この後、化合物半導体層3の接合面の大きさに合わせて切断した後、表面を鏡面加工してもよい。
【0066】
<化合物半導体層および第2の電極形成工程>
まず、図3に示すように、半導体基板11の一面11a上に、複数のエピタキシャル層を成長させてエピタキシャル積層体17を形成する。
半導体基板11は、エピタキシャル積層体17形成用基板であり、例えば、一面11aが(100)面から15°傾けた面とされた、Siドープしたn型のGaAs単結晶基板である。このように、エピタキシャル積層体17としてAlGaInP層またはAlGaAs層を用いる場合、エピタキシャル積層体17を形成する基板として、砒化ガリウム(GaAs)単結晶基板を用いることができる。
【0067】
化合物半導体層3の形成方法としては、有機金属化学気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法、分子線エピタキシャル(Molecular Beam Epitaxicy:MBE)法や液相エピタキシャル(Liquid Phase Epitaxicy:LPE)法などを用いることができる。
【0068】
本実施形態では、トリメチルアルミニウム((CH3)3Al)、トリメチルガリウム((CH3)3Ga)及びトリメチルインジウム((CH3)3In)をIII族構成元素の原料に用いた減圧MOCVD法を用いて、各層をエピタキシャル成長させる。
なお、Mgのドーピング原料にはビスシクロペンタジエニルマグネシウム((C5H5)2Mg)を用いる。また、Siのドーピング原料にはジシラン(Si2H6)を用いる。また、V族構成元素の原料としては、ホスフィン(PH3)又はアルシン(AsH3)を用いる。
なお、p型のGaP層13は、例えば、750°Cで成長させ、その他のエピタキシャル成長層は、例えば、730°Cで成長させる。
【0069】
具体的には、まず、半導体基板11の一面11a上に、Siをドープしたn型のGaAsからなる緩衝層12aを成膜する。緩衝層12aとしては、例えば、Siをドープしたn型のGaAsを用い、キャリア濃度を2×1018cm−3とし、層厚を0.2μmとする。
次に、緩衝層12a上に、Siドープしたn型の(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pからなるエッチングストップ層12bを成膜する。
エッチングストップ層12bは、半導体基板をエッチング除去する際、クラッド層および発光層までがエッチングされてしまうことを防ぐための層であり、例えば、Siドープの(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pからなり、層厚を0.5μmとする。
次に、エッチングストップ層12b上に、Siドープしたn型のGaAsからなるコンタクト層12cを成膜する。
次に、コンタクト層12c上に、Siをドープしたn型のAl0.5In0.5Pからなるクラッド層10aを成膜する。
次に、クラッド層10a上に、アンドープの(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P/(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pの10対の積層構造からなる発光層2を成膜する。
次に、発光層2上に、Mgをドープしたp型のAl0.5In0.5Pからなるクラッド層10bを成膜する。
次に、クラッド層10b上に、Mgドープしたp型のGaP層13を成膜する。
【0070】
次に、p型のGaP層13の半導体基板11と反対側の面13aを、表面から1μmの深さに至るまで鏡面研磨して、表面の粗さを、例えば、0.18nm以内とする。
次に、図4に示すように、p型のGaP層13の半導体基板11と反対側の面13a上に第2の電極(オーミック電極)8を形成する。第2の電極8は、例えば、0.4μmの厚さのAuBe上に0.2μmの厚さのAuが積層されてなる。第2の電極8は、例えば、平面視したときに20μmφの円形状であり、60μmの間隔で形成される。
【0071】
<反射構造体形成工程>
次に、図5に示すように、p型のGaP層13の半導体基板11と反対側の面13aおよび第2の電極8を覆うようにITO膜からなる透明導電膜14を形成する。次に、450℃の熱処理を施して、第2の電極8と透明導電膜14との間にオーミックコンタクトを形成する。
【0072】
次に、図6に示すように、透明導電膜14のエピタキシャル積層体17と反対側の面14aに、蒸着法を用いて、銀(Ag)合金からなる膜を0.7μm成膜した後、ニッケル(Ni)/チタン(Ti)からなる膜を0.5μm、金(Au)からなる膜を1μm成膜して、金属膜15とした。
これにより、金属膜15と透明導電膜14とからなる反射構造体4が形成される。
【0073】
<金属基板接合工程>
次に、図7に示すように、反射構造体4とエピタキシャル積層体17とを形成した半導体基板11と、前記金属基板の製造工程で形成した金属基板1と、を減圧装置内に搬入して、反射構造体4の接合面4aと金属基板1の接合面1aとが対向して重ねあわされるように配置する。
次に、前記減圧装置内を3×10−5Paまで排気した後、半導体基板11と金属基板1とを400℃に加熱した状態で、500kgの荷重を印加して反射構造体4の接合面4aと金属基板1の接合面5aと接合して、接合構造体18を形成する。
【0074】
<半導体基板および緩衝層除去工程>
次に、図8に示すように、接合構造体18から、半導体基板11及び緩衝層12aをアンモニア系エッチャントにより選択的に除去する。
このとき、本発明の金属基板は金属保護膜に覆われており、エッチャントに対する耐性が高いため、金属基板が品質劣化することが防止される。
【0075】
<エッチングストップ層除去工程>
次に、エッチングストップ層12bを塩酸系エッチャントにより選択的に除去する。これにより、発光層2を有する化合物半導体層3が形成される。
このとき、本発明の金属基板は金属保護膜に覆われており、エッチャントに対する耐性が高いため、金属基板が品質劣化することが防止される。
【0076】
<第1の電極形成工程>
次に、真空蒸着法を用いて、化合物半導体層3の反射構造体4と反対側の面3aに電極用導電膜を成膜する。前記電極用導電膜としては、例えば、AuGe/Ni/Auからなる金属板構造を用いることができる。例えば、AuGe(Ge質量比12%)を0.15μmの厚さで成膜した後、Niを0.05μmの厚さで成膜し、さらにAuを1μmの厚さで成膜する。
次に、一般的なフォトリソグラフィー手段を利用して、前記電極用導電膜を例えば、平面視円形状にパターニングして、n型オーミック電極(第1の電極)6として、発光ダイオードのウェハを作製する。
【0077】
上記第1の電極形成工程のパターニングで用いたマスクを用いて、コンタクト層12cのうち、例えば、アンモニア水(NH4OH)/過酸化水素(H2O2)/純水(H20)混合液により、n型オーミック電極(第1の電極)6の下以外の部分をエッチングで除去する。これにより、n型オーミック電極(第1の電極)6とコンタクト層12cの平面形状は図1に示すように、実質的に同一の形状となる。
【0078】
なお、この後、例えば、420°Cで3分間熱処理を行って、n型オーミック電極(第1の電極)6の各金属を合金化することが好ましい。これにより、n型オーミック電極(第1の電極)6を低抵抗化することができる。
【0079】
図9(a)〜図9(c)を参照して、化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を除去する工程(おもて面エッチング工程)について説明する。
なお、図9(a)〜図9(c)においては、化合物半導体層を備えたおもて面側から金属基板の一部までしか描いていない。
【0080】
<化合物半導体層除去工程>
まず、図9(a)に示すように、発光ダイオードのウェハの化合物半導体層3上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィーによって、例えば、幅60μm程度の切断予定ラインパターンを含むレジストパターン31を形成する。
【0081】
次いで、露出されている化合物半導体層の切断予定ライン上の部分をエッチングによって除去する(符号3A参照)。
化合物半導体層の除去幅はこの後の金属板の除去幅を決める。従って、化合物半導体層の除去幅は、この後のレーザー切断時に生成されるデブリ量を低減するために、レーザーによる切断幅より広い幅であるのが好ましい。例えば、おもて面からレーザー照射してレーザー切断を行う場合はレーザーによる切断幅より40μm程度広いのが好ましい。また、裏面からレーザー照射してレーザー切断を行う場合はレーザーによる切断幅は20μm程度広いのが好ましい。
【0082】
次いで、図9(b)に示すように、そのウェハを塩化第二鉄液に浸漬して、ITO層14とNi層33の、化合物半導体層の除去した部分の下方に位置する部分をエッチングして除去する(符号14A、33A参照)。
【0083】
次いで、図9(c)に示すように、ウェハをフッ酸系液、例えば、水素二フッ化アンモニウム2〜3%、フッ化アンモニウム0.05〜0.1%に水を加えた溶液に浸漬して、Ti層34の、上記除去した部分の下方に位置する部分をエッチングして除去する(符号34A参照)。
【0084】
次いで、ウェハをAu系エッチング液、例えば、シアン系のエッチング液に浸漬して、Au層35、Au層36の、上記除去した部分の下方に位置する部分をエッチングして除去する(符号35A、36A参照)。
【0085】
次いで、ウェハを、Niに対するエッチング速度がMoに対するエッチング速度より高くNiを選択的にエッチングできる塩化第二鉄液に浸漬して、Ni層37の、上記除去した部分の下方に位置する部分をCu層21Aが露出するまでエッチングして除去する(符号37A参照)。
なお、この工程においては、エッチング時間を制御することによりCu層21Aが露出したら、エッチングを停止することができるが、塩化第二鉄液はCuに対するエッチング速度がMoに対するエッチング速度より高いので、Cu層21Aまでエッチングしても構わない。
【0086】
以上の手順によって、切断予定ライン上の化合物半導体層を除去することができる。
【0087】
<位置決めマーク形成工程>
図10(a)〜図10(c)を参照して、金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程について説明する。
なお、図10(a)〜図10(c)においては、化合物半導体層を備えたおもて面の反対側の金属基板の一部しか描いていない。
【0088】
位置決めマーク形成の目的は、レーザーダイシングの位置決め(アラインメント)に用いるマークを形成することと、そのために金属保護膜の一部を除去することによってデブリを低減することである。前者を重視する場合には金属保護膜の除去量は少なくても足りるが、後者を重視する場合には金属保護膜の除去量を多めにするのが好ましい。両方の目的を十分に果たすために、金属保護膜の、切断予定ライン(ストリート)全体に相当する部分を除去するのが好ましい。
【0089】
なお、レーザーダイシングのダイシングズレを解消する方法として、金属保護膜をエッチングするのと同様のストリートの開口部を有するパターンのレジストをつけた後、金属保護膜をエッチングしないでレジストをつけた状態でダイシングすることが考えられる。この方法では、デブリはレジスト上に付着させて除去することができるが、デブリ除去は不完全であり、また、熱によりレジストが変質したり、焼きついたりすること等の問題が発生することが考えられる。
また、位置決めマーク用にスパッタ等でパターニングされた膜を形成する(ダイシングラインに凸部を形成する)という方法も考えられるが、デブリ対策にならず、また、材料コストがアップしてしまうという問題がある。
【0090】
まず、図10(a)に示すように、発光ダイオードのウェハ裏面の金属基板1上に形成された金属保護膜(Au/Ni層)上に、レジストを塗布し、フォトリソグラフィーによって、位置決めマークの形状に対応する部分(少なくとも一部)を除去したレジストパターン41を形成する。
位置決めマークの形状は、レーザーダイシングの位置決め(アラインメント)に用いるマークとして機能すれば制限はないが、切断予定ライン(ストリート)のクロス(十字)部分のみの形状や、切断予定ライン(ストリート)の数箇所にマークを形成する等でもよい。
切断予定ライン上部分の全体を位置決めマークとし、その部分の金属保護膜を除去すると、レーザーダイシングによって生成されるデブリ量をより低減することができ好ましい。
【0091】
次いで、図10(b)に示すように、ウェハをAu系エッチング液、例えば、シアン系のエッチング液に浸漬して、Au層(少なくとも一つの膜)42の、上記除去した部分の下方に位置する部分をエッチングして除去して位置決めマークを形成する(符号42Aで示した部分)。
【0092】
以上の手順によって、金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する。
【0093】
本実施形態では、Au/Ni層の二層積層構造の金属保護膜のうち、一層のAu層のみをエッチングしたが、Au/Ni層の二層ともエッチングしてもよい。また、三層以上の積層の場合において、全層を除去しても、そのうちの一部の層を除去してもよい。
【0094】
<レーザーダイシング工程>
次に、前工程で、金属保護膜の一部をエッチング除去して形成した位置決めマークを目印にして、化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して金属基板を切断する。
【0095】
レーザーによる切断条件としてはLED素子製造プロセスで使用される条件でよい。
例えば、レーザー波長を355nmとし、送り速度を20mm/secとした条件で金属基板を切断することができる。
【0096】
レーザーダイシングのレーザー走査は複数回に分けて行ってもよい。その際、レーザービームの太さを変えてダイシングしてもよい。
【0097】
金属基板のレーザー切断面はその後、Auめっきするのが好ましい。
【0098】
<発光ダイオードランプ>
本発明の実施形態である発光ダイオードを備えた発光ダイオードランプについて説明する。
図11は、本発明の実施形態である発光ダイオードランプの一例を示す断面模式図である。図11に示すように、本発明の実施形態である発光ダイオードランプ50は、パッケージ基板55と、パッケージ基板55上に形成された2つの電極端子53、54と、電極端子54上に搭載された発光ダイオード100と、発光ダイオード100を覆うように形成されたシリコンなどからなる透明樹脂(封止樹脂)51と、を有している。
発光ダイオード100は、化合物半導体層3と反射構造部4と金属基板1と第1の電極6と第2の電極8を有しており、金属基板1が電極端子53と接続されるように配置されている。また、第1の電極6と電極端子54とはワイヤボンディングされている。電極端子53、54に印加された電圧が、第1の電極6と第2の電極8を介して化合物半導体層3に印加され、化合物半導体層3に含まれる発光層が発光する。発光された光は、正面方向fに取り出される。
【0099】
パッケージ基板55は、その熱抵抗が10℃/W以下とされている。これにより、発光層2に1W以上の電力を加えて発光させたときでも、ヒートシンクとして機能させることができ、発光ダイオード100の放熱性をより高めることができる。
なお、パッケージ基板の形状は、これに限定されず、他の形状のパッケージ基板を用いてもよい。他の形状のパッケージ基板を用いたLEDランプ製品においても、放熱性を十分確保できるので、高出力、高輝度の発光ダイオードランプとすることができる。
【実施例】
【0100】
まず、発光層として(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P/(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pの10対の積層構造からなるもので厚さ4μm、GaP層が2μm、反射構造体がAg層0.7μm、Ni/Tiバリヤ層0.5μm、Au層1μm、金属基板がCu板10μm/Mo板75μm/Cu板10μmの三層構造の両側に金属保護膜としてNi層2μm、Au層1μmを順に形成したものからなるウェハを作製した。
【0101】
このウェハのおもて面について、金属基板のおもて面側の金属保護膜(Ni層及びAu層)までをエッチングによって除去して、幅60μmの溝を形成した。また、裏面については金属基板の裏面側のAu層のみをエッチングによって除去して、幅40μmの溝を形成した。
次いで、ウェハの裏面から、レーザー波長355nm、送り速度20mm/secの条件で金属基板をレーザー切断した。
【0102】
こうして作製したチップ状の発光ダイオードについてレーザー顕微鏡で観察した。
デブリは、金属基板の裏面側の側面には付着していたが、おもて面側の化合物半導体層の側面及び裏面側の金属保護膜の露出している表面に付着しているデブリは観察されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は金属基板を基板に用いた発光ダイオードの製造方法、切断方法及び発光ダイオードを利用する産業において利用可能性がある。
【符号の説明】
【0104】
1 金属基板
1A 金属板
1Aa 上面
1Ab 下面
1Aaa 側面
1B、1Ba、1Bb 金属保護膜
2 発光層
3 化合物半導体層
4 反射構造体
10a、10b クラッド層
13 電流拡散層
14 透明導電膜
15 金属膜
21(21A、21B) 第1の金属板
22 第2の金属板
50 発光ダイオードランプ
100 発光ダイオード(発光ダイオードチップ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハにレーザーを照射してチップ状の発光ダイオードを製造する方法において、
複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板と、該金属基板上に形成された発光層を含む化合物半導体層とを備えたウェハを作製する工程と、
前記化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、
前記金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、
位置決めマークに基づいて、前記化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して前記金属基板を切断する工程と、
を有することを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
【請求項2】
前記複数の金属板は、前記化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料からなる金属板と前記化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料からなる金属板とを含むことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項3】
前記化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料が、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金のいずれかからなることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項4】
前記化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料が、モリブデン、タングステン、クロムまたはこれらの合金のいずれかからなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項5】
前記複数の金属板は三枚の金属板からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項6】
前記三枚の金属板のうち、一枚の金属板を挟む二枚の金属板は同じ金属材料からなることを特徴とする請求項5に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項7】
前記一枚の金属板はモリブデンからなり、前記二枚の金属板は銅からなることを特徴とする請求項6に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項8】
前記金属保護膜は、アルミニウム、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金のいずれかからなることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項9】
前記発光層は、AlGaInP層またはAlGaInAs層を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項10】
前記化合物半導体層と前記金属基板との間に反射構造体を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項11】
複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板と、該金属基板上に形成された化合物半導体層とを備えたウェハにレーザーを照射してチップ状の発光ダイオードに切断する方法において、
前記化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、
前記金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、
平面視して前記位置決めマークに基づいて、レーザーを照射して前記金属基板を切断する工程と、
を有することを特徴とする切断方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法によって製造された発光ダイオード。
【請求項1】
ウェハにレーザーを照射してチップ状の発光ダイオードを製造する方法において、
複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板と、該金属基板上に形成された発光層を含む化合物半導体層とを備えたウェハを作製する工程と、
前記化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、
前記金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、
位置決めマークに基づいて、前記化合物半導体層を備えた面とは反対側の面にレーザーを照射して前記金属基板を切断する工程と、
を有することを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
【請求項2】
前記複数の金属板は、前記化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料からなる金属板と前記化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料からなる金属板とを含むことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項3】
前記化合物半導体層の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する材料が、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金のいずれかからなることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項4】
前記化合物半導体層の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する材料が、モリブデン、タングステン、クロムまたはこれらの合金のいずれかからなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項5】
前記複数の金属板は三枚の金属板からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項6】
前記三枚の金属板のうち、一枚の金属板を挟む二枚の金属板は同じ金属材料からなることを特徴とする請求項5に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項7】
前記一枚の金属板はモリブデンからなり、前記二枚の金属板は銅からなることを特徴とする請求項6に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項8】
前記金属保護膜は、アルミニウム、銀、金、ニッケル、チタン、スズまたはこれらの合金のいずれかからなることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項9】
前記発光層は、AlGaInP層またはAlGaInAs層を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項10】
前記化合物半導体層と前記金属基板との間に反射構造体を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項11】
複数の金属板と該複数の金属板の少なくとも上面及び下面を覆う一又は複数の膜からなる金属保護膜とからなる金属基板と、該金属基板上に形成された化合物半導体層とを備えたウェハにレーザーを照射してチップ状の発光ダイオードに切断する方法において、
前記化合物半導体層の切断予定ライン上の部分を、エッチングによって除去する工程と、
前記金属保護膜のうち化合物半導体層を備えた面とは反対側の面の少なくとも一つの膜の少なくとも一部を、エッチングによって除去して位置決めマークを形成する工程と、
平面視して前記位置決めマークに基づいて、レーザーを照射して前記金属基板を切断する工程と、
を有することを特徴とする切断方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法によって製造された発光ダイオード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−222033(P2012−222033A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83618(P2011−83618)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
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