説明

発光ダイオード

【課題】無機ガラスのような強度、透明性、耐熱性、耐光性及び寸法安定性を備え、プラスチックのような高靭性及び加工性を備えた封止材を用いて得た発光ダイオードを提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される硬化性樹脂を硬化させて得られる封止材で発光素子を封止してなる発光ダイオードであり、上記硬化性樹脂は、下記Kpが0.68〜0.8の金属酸化物から構成される密な構造単位(A)と、Kpが0.68未満であって有機物と有機金属酸化物とを含んでなる疎な構造単位(B)とを有し、(A)/(B)の重量比が0.01〜5.00、かつ、少なくとも一つの不飽和結合を有して平均分子量は800〜60000である。
−{(A)−(B)mn− (m、nは1以上の整数) ・・・(1)
Kp=An・Vw・p/Mw ・・・(2)
〔An=アボガドロ数、Vw=ファンデアワールス体積、p=密度、Mw=分子量〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐光性、耐熱性、及び耐久性に優れた封止材で発光素子を封止した発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子(発光体)を封止材(モールド材)で封止してなる発光ダイオード(LED)は、従来、使用環境やその用途等に合わせて封止材が選択されている。例えば、酸無水物系硬化剤を使った透明エポキシ樹脂、芳香族スルホニウム塩等のカチオン性硬化剤を使ったエポキシ樹脂、シリコーン系のゴム・エラストマー・ゲル等が用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
このうち、酸無水物系硬化剤を使った透明エポキシ樹脂は、接着性が高く力学的な耐久性を有する。その反面、短波長の光に対する光線透過性が低いため、耐光耐久性が低く、また、光劣化や熱劣化によって着色するといった欠点がある。そこで、これらの点を改善するためにエポキシ樹脂系での様々な改良が提案されているが、近年開発された短波長LED(青色LEDや紫外LED、これらと蛍光体を組み合わせた白色LED等)の封止材に用いる場合には、求められる特性を全て満足するのが難しいのが現状である。また、酸無水物系硬化剤は、揮発性や吸湿性が高く、かつ硬化速度も遅いため、近年需要が伸びているような、封止材を薄膜状に形成する表面実装型発光ダイオード(発光素子を基板表面に直接実装するタイプ)では、揮発や吸湿の影響で硬化後の特性が変動して十分な封止効果が得られないといった問題がある。
【0004】
芳香族スルホニウム塩等のカチオン性硬化剤を使ったエポキシ樹脂は揮発性が低く、酸無水物系硬化剤に比べれば速やかな硬化を誘起することから表面実装型発光ダイオードに適する。しかしながら、芳香族環等の炭素−炭素二重結合を分子の基本骨格として有しているものが多く、青色以下の短波長の光を吸収し易いため、短波長の光の照射や高温下で黄変を起こしやすい。また、熱的にも不安定である。更には、カチオン性硬化剤によるエポキシ樹脂硬化物は可撓性に乏しく、このような樹脂を発光ダイオードの封止材にした場合、加熱や冷却時に発光素子と封止材との間などで大きな応力が生じ、クラックの発生、封止材の剥離、ボンディングワイヤ切れ等を誘発し、発光ダイオードの出力低下や不良の要因となる。
【0005】
一方、シリコーン系のゴム・エラストマー・ゲル等は、耐光耐久性や耐熱耐久性が高い封止材として使用されている。例えば、シリコーン系のゴム・エラストマー・ゲル等として、炭素−炭素二重結合を含有する化合物と、SiH基を含有する化合物と、ヒドロシリル化触媒とからなる硬化性組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。これらは炭素−炭素二重結合とSiH基との反応により架橋することに由来する優れた物理的、熱的、電気的性質を示すものであり、従来のインジケーターとしての用途以外であって、発光素子により多くの電流を流すパワーLEDモジュールを光源として使用するトレンドに求められる高い耐熱性の透明樹脂として適している。また、トリアリルイソシアヌレートを成分として含有する硬化性組成物も提案されている(例えば特許文献6及び7参照)。このうち、特許文献6に記載の硬化性組成物では、シリコーン系にイソシアネートを加えることで耐熱性と機械的強度に優れた硬化物を得ているが、得られる硬化物のガラス転移温度が低く、耐熱性の観点でまだ十分ではない。
【0006】
しかしながら、一般にシリコーン系のゴム・エラストマー・ゲル等は軟質であり、表面タック性を有しているため、実装する際に発光面に異物が付着したり、実装用器具により発光面が損傷を受け易いといった問題点がある。また、架橋度を高めたシリコーン樹脂は脆くかつ接着性に乏しい。これは、発光ダイオードの封止材としては大きな短所である。
【特許文献1】特開平3−277645号公報、
【特許文献2】特開平7−3030号公報
【特許文献3】特開平9−302095号公報
【特許文献4】特開平5−295270号公報
【特許文献5】特開平7−62103号公報
【特許文献6】特開昭50−100号公報
【特許文献7】特開平9−291214号公報
【非特許文献1】ジー.ボグナー, エー.ドゥブレ アンド ケー.ヘーン、「ライト−エミッティング ダイオード: リサーチ マニュファクチュアリング アンド アプリケーションズ IV, プロシーディング オブ エスピーアイイー」、アメリカ、2000年、第3938号、p.249(G. Bogner, A. Debray & K.Hoehn, in Light-Emitting Diodes: Research, Manufacturing and Applications IV, Proc. SPIE, 3938, 249(2000))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、無機ガラスのような強度、透明性、耐熱性、耐光性及び寸法安定性を備えると共に、プラスチックのような高靭性及び加工性を備えた封止材を用いて形成した発光ダイオードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記で説明したように、これまで封止材に用いられてきた各種樹脂には、それぞれ一長一短があるため、全ての要求を同時に満足するものが望まれていた。そこで、本発明者等は、このような課題を解決するために鋭意検討した結果、自由体積分率が異なる密な構造部位と疎な構造部位とを分子構造中に有する硬化性樹脂を硬化させることで、高い耐光耐久性を備えると共に耐熱性に優れ、ボンディングワイヤ切れや剥離等の不具合の発生が可及的に低減でき、尚且つ発光素子を封止する際の加工性にも優れて十分な封止効果を具備する封止材を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される硬化性樹脂を硬化させて得られる封止材で発光素子を封止してなる発光ダイオードであって、一般式(1)の硬化性樹脂は、下記計算式(2)で計算されるパッキング係数Kpが0.68〜0.8の金属酸化物から構成される密な構造単位(A)と、Kpが0.68未満であって有機物と有機金属酸化物とを含んで構成される疎な構造単位(B)とを有し、構造単位(A)/(B)の重量比が0.01〜5.00であり、かつ、少なくとも一つの不飽和結合を有して平均分子量が800〜60000であることを特徴とする発光ダイオードである。
−{(A)−(B)mn− (1)
(但し、mおよびnは1以上の整数を示す。)
Kp=An・Vw・p/Mw (2)
〔但し、An=アボガドロ数、Vw=ファンデアワールス体積、p=密度、Mw=分子量であり、Vw=ΣVa、Va=4π/R3-Σ1/3πhi2(3Ra-hi)、hi=Ra-(Ra2+di2-Ri2)/2di、Ra=原子半径、Ri=結合原子半径、及びdi=原子間距離を示す。〕
【0010】
ここで、密な構造単位(A)が、下記一般式(I)の有機物部位を除いた三次元多面体構造骨格を有する金属酸化物部位からなり、疎な構造単位(B)が、下記一般式(II)で表される有機金属酸化物からなる鎖状単位と一般式(I)の有機物部位とからなることは、本発明の好ましい態様である。
(RSiO3/2w(MO2x(RXSiO)y(XMO3/2z (I)
(R345SiO1/2j(R67SiO)k{R67XSiO1/2l (II)
〔但し、Rは(a)-R1-OCO-CR2=CH2、(b)-R1-CR2=CH2若しくは(c)-CH=CH2で示される不飽和基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、水素原子、アルコキシル基、又はアルキルシロキシ基であり、式(I)における複数のRは互いに異なるものであってもよいが、少なくとも1つは上記(a)、(b)又は(c)のいずれかを含み、R1はアルキレン基、アルキリデン基又はフェニレン基を示し、R2は水素又はアルキル基を示す。また、R3〜R7は(a)-R1-OCO-CR2=CH2、(b)-R1-CR2=CH2若しくは(c)-CH=CH2で示される不飽和基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、水素原子、アルコキシル基、又はアルキルシロキシ基である。更に、Mはケイ素、ゲルマニウム、チタン、又はジルコニウムの金属原子、Xはハロゲン原子、又はアルコキシル基であり、wは4以上の整数であり、x、y及びzはw+x+y+z≧8を満たす整数である。j、k、及びlはそれぞれ0以上の整数を示す。〕
【0011】
また、上記一般式(I)は、RSiX3、MX4又はこれらの混合物(但しR、M及びXは一般式(I)の場合と同じである)の加水分解縮合物からなり、上記一般式(II)が、R345SiX、R67SiX2又はこれらの混合物(但し、R3〜R7及びXは一般式(II)と同じである。)の加水分解縮合物からなると共に、一般式(I)の有機物部位の少なくとも一部がこの加水分解縮合物に結合して一般式(1)の構造部位(B)を形成することは、本発明の好ましい態様である。
【0012】
本発明においては、一般式(1)で表される硬化性樹脂にヒドロシリル化触媒及び/又はラジカル開始剤を配合して硬化性樹脂組成物を得た後、この硬化性樹脂組成物で発光素子を封止し、熱硬化又は光硬化させて発光ダイオードを得るようにしてもよい。また、この硬化性樹脂組成物には、分子中に少なくとも1つのヒドロシリル基を有する化合物又は不飽和基を有する化合物、或いはこれら両者を更に配合するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によって得られる発光ダイオードは、無機ガラスのような強度、透明性、耐熱性、及び寸法安定性を備えると共に、プラスチックのような高靭性及び加工性を備えた封止材によって発光素子が封止されることから、高い耐光耐久性を備えると共に、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性等に優れ、尚且つボンディングワイヤ切れや封止材の剥離等の不具合の発生が可及的に防止される。また、本発明の発光ダイオードでは、発光素子を封止する際の加工性に優れて十分な封止効果を具備した封止材を用いていることから、例えば近年需要が伸びている表面実装型の発光ダイオードに適用する場合でも好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を更に具体的に説明する。
本発明の硬化性樹脂は、上記一般式(1)で表されるように、密な構造単位(A)と疎な構造単位(B)とからなる分子構造を有し、少なくとも一つの不飽和結合を有する。ここで、密な構造単位(A)は上記計算式(2)で計算されるパッキング係数Kpが0.68〜0.8の金属酸化物から構成されるものであり、疎な構造単位(B)はパッキング係数Kpが0.68未満であって有機物と有機金属酸化物とを含んで構成されるものである。
【0015】
密な構造単位(A)は、好ましくは上記一般式(I)の有機物部位を除いた三次元多面体構造骨格を有する金属酸化物部位からなるのがよい。ここで、有機物部位とは、一般式(I)中のR(有機基)のうち、金属原子(すなわちSi及びM)と結合しているものである。一般式(I)において、Rの少なくとも1つは上記式(a)〜(c)で表される不飽和基を有する有機基であるのがよい。なお、一般式(I)の複数のRは全て同じでなくてもよい。
【0016】
一般式(I)は、三次元多面体構造骨格とRとにより構成されたかご型シロキサン樹脂であり、その一例として、一般式(I)中のwが8でありx、y及びzが0である場合、wが10でありx、y及びzが0である場合、及びwが12でありx、y及びzが0である構造の具体例を下記構造式(3)、(4)及び(5)に示す。但し、一般式(I)で表される構造単位は、この構造式(3)、(4)及び(5)に示すものに限られない。なお、これらの構造は、公知であり特定の官能基のものについてX線結晶構造解析により示されている。
【化1】

【0017】
上記一般式(I)は、RSiX3又はMX4で表される化合物の1種以上を酸又は塩基触媒存在下で加水分解と縮合反応とを行うことで得ることができる。ここで、R、X及びMは一般式(I)のR、X及びMと同じ意味を有する。このうち、Rの一部は、上記(a)、(b)又は(c)で表される不飽和基であることが好ましいが、好ましい不飽和基の具体例を示せば、3-メタアクリロキシプロピル基、3-アクリロキシプロピル基、アリール基、ビニル基、及びスチリル基が挙げられる。また、Xは、ハロゲン原子、アルコキシル基の加水分解性基であり、具体例を示せば、塩素、臭素、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシル基、及びi-プロポキシル基が例示される。
【0018】
RSiX3で表される化合物の好ましい例を示せば、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、t-ブチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、スチリルトリクロロシラン、シクロヘキセニルトリクロロシラン、トリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、t-ブチルトリプロポキシシラン、シクロヘキシルトリプロポキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、アリルトリプロポキシシラン、スチリルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリプロポキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシラン、3-メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。
【0019】
また、Mはケイ素、ゲルマニウム、チタン又はジルコニウムである。ここで、MX4で表される化合物の好ましい例を示せば、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラクロロゲルマン、テトラメトキシゲルマン、テトラエトキシゲルマン、チタニウムエトキシド、チタニウムプロポキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウムブトキシド、チタニウムイソブトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムイソブトキシド等が挙げられる。
【0020】
次に、疎な構造単位(B)は、上記一般式(I)で表される構造単位中の三次元多面体構造骨格を除いた残基である有機物部位(又は置換基)と、上記一般式(II)で表されるような鎖状単位を持つ有機金属酸化物(シリコーン化合物)とからなる。言い換えれば、上記一般式(I)で表される構造単位から密な構造部位(A)を除いた部位と一般式(II)で表される構造単位からなる。より具体的には、下記で説明するとおり、R345SiX、R67SiX2又はこれらの混合物(但し、R3〜R7及びXは一般式(II)と同じである)の加水分解縮合物からなる一般式(II)の有機金属酸化物の鎖状構造物と、一般式(I)の有機物部位〔すなわち、一般式(I)で表される構造単位中の三次元多面体構造骨格を除いた残基(又は置換基)〕又はXの少なくとも一部とが結合して、一般式(1)の構造部位(B)を形成するのがよい。すなわち、一般式(1)の有機物部位の一部が一般式(II)と結合してもよく、一般式(1)の有機物部位の全部が一般式(II)と結合してもよい。一般式(II)に結合した一般式(I)の有機物部位は、一般式(II)の鎖状単位に取り込まれる。
【0021】
上記一般式(II)で表される構造単位は、R345SiX又はR67SiX2で表される化合物の1種以上を酸又は塩基触媒存在下で加水分解と縮合反応を行うことで得ることができる。ここで、R3〜R7は一般式(II)のR3〜R7と同じ意味である。R3〜R7の一部が不飽和基である場合、好ましい具体例を示せば、3-メタアクリロキシプロピル基、3-アクリロキシプロピル基、アリール基、ビニル基及びスチリル基が挙げられる。Xは、ハロゲン原子又はアルコキシル基であり、具体例を示せば、塩素、臭素、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシル基、及びi-プロポキシル基を挙げることができる。
【0022】
345SiXで表される化合物の好ましい例を示せば、トリメチルクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリビニルクロロシラン、メチルジビニルクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、3-メタアクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、スチリルジメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、メチルジビニルメトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、スチリルジメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、メチルジビニルエトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、スチリルジメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、ビニルジメチルプロポキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、フェニルジメチルプロポキシシラン、フェニルプロポキシシラン、トリエチルプロポキシシラン、トリビニルプロポキシシラン、メチルジビニルプロポキシシラン、アリルジメチルプロポキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、スチリルジメチルプロポキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ビニルジメチルイソプロポキシシラン、ジメチルイソプロポキシシラン、フェニルジメチルイソプロポキシシラン、フェニルイソプロポキシシラン、トリエチルイソプロポキシシラン、トリビニルイソプロポキシシラン、メチルジビニルイソプロポキシシラン、アリルジメチルイソプロポキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルジメチルイソプロポキシシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルイソプロポキシシラン、スチリルジメチルイソプロポキシシラン等が挙げられる。
【0023】
また、R67SiX2で表される化合物の好ましい例を示せば、ジメチルジクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、メチルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、メチルエチルジクロロシラン、エチルビニルジクロロシラン、エチルアリルジクロロシラン、スチリルメチルジクロロシラン、スチリルエチルジクロロシラン、3-メタアクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、エチルビニルジメトキシシラン、エチルアリルジメトキシシラン、スチリルメチルジメトキシシラン、スチリルエチルジメトキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、エチルビニルジエトキシシラン、エチルアリルジエトキシシラン、スチリルメチルジエトキシシラン、スチリルエチルジエトキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラン、ジビニルジプロポキシシラン、アリルメチルジプロポキシシラン、メチルジプロポキシシラン、メチルフェニルジプロポキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン、エチルビニルジプロポキシシラン、エチルアリルジプロポキシシラン、スチリルメチルジプロポキシシラン、スチリルエチルジプロポキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ビニルメチルジイソプロポキシシラン、ジビニルジイソプロポキシシラン、アリルメチルジイソプロポキシシラン、メチルジイソプロポキシシラン、メチルフェニルジイソプロポキシシラン、メチルエチルジイソプロポキシシラン、エチルビニルジイソプロポキシシラン、エチルアリルジイソプロポキシシラン、スチリルメチルジイソプロポキシシラン、スチリルエチルジイソプロポキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルメチルジイソプロポキシシランなどが挙げられる。
【0024】
本発明の硬化性樹脂は、上記一般式(I)で表されるかご型シロキサン樹脂と、一般式(II)で表されるシリコーン化合物とを反応させて得ることができるが、得られた硬化性樹脂は、上記一般式(I)及び上記一般式(II)で表される構造単位の不飽和結合が架橋又は加水分解縮合により縮合した分子構造を有する。そして、この硬化性樹脂は、自由体積分率から計算されるパッキング係数が0.68〜0.8の密な構造単位(A)と、パッキング係数が0.68未満の疎の構造単位(B)とを有し、かつ、少なくとも一つの不飽和結合を有する。
【0025】
本発明で用いたパッキング係数Kpの計算は、以下の計算式(2)より算出される。
Kp=An・Vw・p/Mw (2)
(但し、An=アボガドロ数、Vw=ファンデアワールス体積、p=密度、Mw=分子量である。)このうち、
Vw=ΣVa
Va=4π/R3−Σ1/3πhi2(3R-hi)
hi=R−(R2+di2−Ri2)/2di
である(但し、R=原子半径、Ri=結合原子半径、及びd=原子間距離である)。
【0026】
上記パッキング係数の計算では、原子半径および原子間距離は日本化学会著化学便覧基礎編改訂3版に記載されている数値を用いた。すなわち、原子半径ではH=1.2Å、O=1.52Å、C=1.7Å、Si=2.14Åを用い、原子間距離はH-C=1.08Å、C-C=1.541Å、Si-C=1.863Å、Si-O=1.609Åを用いた。例えば、一般式(I)のM=ケイ素原子、v=0、w=2、y=0、及びz=0で表せるガラスの密度は2.23g/cm3でありそのパッキング係数は0.747となる。一般式(I)のRがメチル基でv=8、w=0、y=0、及びz=0の立方体構造をとるオクタキスメチルシルセスキオキサンの密度は1.49g/cm3でありパッキング係数は0.697となる。また一般式(II)のR6およびR7がメチル基でj=0、k=4、及びl=0の環状構造をとるオクタメチルシクロテトラシロキサンの密度は0.956g/cm3であり、そのパッキング係数は0.576となる。同様にR3およびR4、R5、R6、及びR7がメチル基でj=2、k=1、及びl=0の鎖状構造をとるオクタメチルトリシロキサンの密度は0.820g/cm3であり、そのパッキング係数は0.521となる。すなわち、ケイ素原子が3つ以上の酸素原子と結合した三次元多面体構造を有する金属酸化物のパッキング係数は0.69以上となり、本発明における密な構造単位となる。また環状および鎖状構造をとる化合物のパッキング係数は0.576および0.521であり、本発明における疎な構造単位となる。
【0027】
また、本発明の硬化性樹脂は、密な構造単位(A)と疎な構造単位(B)の構造単位重量比(A)/(B)が0.01〜5.00、好ましくは0.5〜3.00である。(A)/(B)が0.01より小さい場合は密な構造が少なすぎ、硬化性樹脂を成形し硬化させて得た封止材の機械物性及び耐熱性が著しく悪化してしまう。また、5.00以上の場合、封止材に柔軟性を付与する疎な構造部位が少なすぎ、靭性が著しく悪化し脆いものとなってしまう。
【0028】
また、本発明の硬化性樹脂は、平均分子量が800〜60000である。平均分子量が800未満であると成形後に脆くなりやすく、反対に60000を超えると硬化成型加工が困難となり取り扱いに不自由をきたすことがある。なお、平均分子量は公知のGPC測定装置によって測定することができる。
【0029】
RSiX3又はMX4で表される化合物、及びR345SiX又はR67SiX2で表される化合物の加水分解及び縮合に用いられる酸触媒としては、塩酸、及び硫酸が挙げられる。また、これらを混合して用いることもできるし、加水分解性基がハロゲン原子の場合は、加水分解のときに生成するハロゲン化水素を利用してもよい。
【0030】
加水分解及び縮合に用いられる塩基性触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、あるいはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド等の水酸化アンモニウム塩が例示される。これらの中でも、触媒活性が高い点からテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましく用いられる。塩基性触媒は、通常水溶液として使用される。
【0031】
加水分解反応は水の存在が必須であるが、これは触媒の水溶液から供給することもできるし、別途水として加えてもよい。水の量は加水分解性基を加水分解するに足る量以上、好ましくは理論量の1.0〜1.5倍量である。
【0032】
本発明においては、硬化性樹脂にヒドロシリル化触媒又はラジカル開始剤を配合し、或いは両者を配合して硬化性樹脂組成物を得るようにしてもよい。そして、この硬化性樹脂組成物を熱硬化又は光硬化させて、ヒドロシリル化やラジカル重合することで、封止材を得ることができる。また、ヒドロシリル化触媒やラジカル開始剤に加えて、分子中に少なくとも1つのヒドロシリル基を有する化合物や、分子中に不飽和基を有する化合物を更に配合して硬化性樹脂組成物を得るようにしてもよい。すなわち、硬化性樹脂を硬化させて封止材を得る目的や、得られる封止材の物性を改良する目的から、反応を促進する添加剤としてヒドロシリル化触媒、熱重合開始剤、熱重合促進剤、光重合開始剤、光開始助剤、鋭感剤等を配合して硬化性樹脂組成物を得るようにする。
【0033】
ヒドロシリル化触媒を配合する場合、その添加量は硬化性樹脂の重量に対し金属原子として1〜1000ppm、より好ましくは20〜500ppmの範囲で添加するのがよい。また、ラジカル開始剤として光重合開始剤又は熱重合開始剤を配合する場合、その添加量は硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲とするのがよく、0.1〜3重量部の範囲とするのがより好ましい。この添加量が0.1重量部に満たないと硬化が不十分となり、得られる封止材の強度や剛性が低くなる。一方、5重量部を超えると封止材の着色等の問題が生じるおそれがある。またヒドロシリル化触媒とラジカル開始剤を単独で使用してもよく、2種類以上併用して用いることもできる。
【0034】
ヒドロシリル化触媒としては、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトンとの錯体、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金とビニルシロキサンとの錯体、ジカルボニルジクロロ白金及びパラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族金属系触媒が挙げられる。これらの中で、触媒活性の点から、塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金とビニルシロキサンとの錯体が好ましい。また、これらを単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0035】
硬化性樹脂組成物を光硬化性樹脂組成物とする場合に用いられる光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサンソン系、アシルホスフィンオキサイド系等の化合物を好適に使用することができる。具体的には、トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、チオキサンソン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、カンファーキノン、ベンジル、アンスラキノン、ミヒラーケトン等を例示することができる。また、光重合開始剤と組み合わせて効果を発揮する光開始助剤や鋭感剤を併用することもできる。
【0036】
上記目的で使用される熱重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシジカーボネート系、パーオキシエステル系など各種の有機過酸化物を好適に使用することができる。具体的にはシクロヘキサノンパーオキサイド、1,1―ビス(t-ヘキサパーオキシ)シクロヘキシサノン、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、t-ブチルパオキシー2-エチルヘキサノエート等を例示する事ができるが、これに何ら制限されるものではない。また、これら熱重合開始剤は単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0037】
硬化性樹脂を硬化性樹脂組成物にする場合において、硬化性樹脂に配合される分子中に少なくとも1つのヒドロシリル基を有する化合物は、分子中に少なくとも1つ以上のヒドロシリル化可能なケイ素原子上に水素原子有しているオリゴマー及びモノマーである。ケイ素原子上に水素原子を有しているオリゴマーとしては、ポリハイドロジェンシロキサン類、ポリジメチルヒロドシロキシシロキサン類及びその共重合体、末端がジメチルヒドロシロキシで修飾されたシロキサンが挙げられる。また、ケイ素原子上に水素原子を有しているモノマーとしては、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロペンタ等の環状シロキサン類、ジヒドロジシロキサン類、トリヒドロモノシラン類、ジヒドロモノシラン類、モノヒドロモノシラン類、ジメチルシロキシシロキサン類等を例示することができ、これらを2種類以上混合してもよい。
【0038】
また、硬化性樹脂に配合される不飽和基を有する化合物は、構造単位の繰り返し数が2〜20程度の重合体である反応性オリゴマーと、低分子量であり低粘度の反応性モノマーに大別される。また、不飽和基を1個有する単官能不飽和化合物と2個以上有する多官能不飽和化合物に大別される。
【0039】
反応性オリゴマーとしては、ポリビニルシロキサン類、ポリジメチルビニルシロキシシロキサン類、及びその共重合体、末端がジメチルビニルシロキシで修飾されたシロキサン類、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニルアクリレート、ポリエン/チオール、シリコーンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルエチルメタクリレート等を例示することができる。これらには、単官能不飽和化合物と多官能不飽和化合物がある。
【0040】
反応性の単官能モノマーとしては、トリエチルビニルシラン、トリフェニルビニルシランなどのビニル置換ケイ素化合物類、シクロヘキセン等の環状オレフィン類、スチレン、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n-デシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート等を例示することができる。
【0041】
反応性の多官能モノマーとしては、テトラビニルシラン、ジビニルテトラメチルジシロキサン等のビニル置換ケイ素化合、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタビニルシクロペンタシロキサン等のビニル置換環状ケイ素化合物、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、ジフェニルアセチレンなどのアセチレン誘導体、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエンなどの環状ポリエン類、ビニルシクロヘキセン等のビニル置換環状オレフィン、ジビニルベンゼン類、ジエチニルベンゼン類、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を例示することができる。
【0042】
分子中に不飽和基を有する化合物としては、以上に例示したもの以外に、各種反応性オリゴマー、モノマーを用いることができる。また、これらの反応性オリゴマーやモノマーは、それぞれ単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。また、本発明で使用する分子中に少なくとも1つのヒドロシリル基を有する化合物、及び分子中に不飽和基を有する化合物は、それぞれ単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
【0043】
硬化性樹脂組成物には、本発明の目的から外れない範囲で各種添加剤を添加することができる。各種添加剤として有機/無機フィラー、可塑剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核剤、着色剤、架橋剤、分散助剤、樹脂成分等を例示することができる。
【0044】
本発明においては、目的とする発光ダイオードの種類や用途等に応じ、発光素子を封止できるように硬化性樹脂組成物を所定の形状に成形し、加熱又は光照射によって硬化させることで発光ダイオードを作製することができる。ここで、加熱によって共重合体(封止材)を得る場合、その温度は熱重合開始剤と促進剤の選択により、室温から200℃前後までの広い範囲から選択することができる。一方、光照射によって共重合体(封止材)を得る場合、波長100〜400nmの紫外線や波長400〜700nmの可視光線を照射することで、硬化させることができる。用いる光の波長は特に制限されるものではないが、特に波長200〜400nmの近紫外線が好適に用いられる。紫外線発生源として用いられるランプとしては、低圧水銀ランプ(出力:0.4〜4W/cm)、高圧水銀ランプ(40〜160W/cm)、超高圧水銀ランプ(173〜435W/cm)、メタルハライドランプ(80〜160W/cm)、パルスキセノンランプ(80〜120W/cm)、無電極放電ランプ(80〜120W/cm)等を例示することができる。これらの紫外線ランプは、各々その分光分布に特徴があるため、使用する光開始剤の種類に応じて選定される。
【0045】
発光素子については特に限定されず、従来公知の発光ダイオードに用いられるようなものを使用することができる。例えばMOCVD法、HDVPE法、液相成長法といった各種方法によって基板上に半導体材料を積層したもの、必要に応じてGaN、AlN等のバッファー層を設けた基板上に積層したものなどが挙げられる。この場合の基板としては、各種材料を用いることができるが、例えばサファイヤ、スピネル、SiC、Si、ZnO、GaN単結晶等が挙げられる。これらのうち、結晶性の良好なGaNを容易に形成でき、工業的利用価値が高いという観点からは、サファイヤを用いることが好ましい。
【0046】
また、積層される半導体材料としては、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaN、InGaAlN、SiC等が挙げられる。これらのうち、高輝度が得られるという観点からは、窒化物系化合物半導体(Inx GayAlz N)が好ましい。このような材料には付活剤等を含んでいてもよい。更に、発光素子の構造としては、MIS接合、pn接合、PIN接合を有するホモ接合、ヘテロ接合やダブルへテロ構造等が挙げられる。これらは単一又は多重量子井戸構造とすることもできる。
【0047】
発光素子はパッシベーション層を設けていてもよいし、設けなくてもよい。発光素子には従来知られている方法によって電極を形成することができる。発光素子上の電極は種々の方法でリード端子等と電気接続できる。電気接続部材としては、発光素子の電極とのオーミック性機械的接続性等が良いものが好ましく、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウムやそれらの合金等を用いたボンディングワイヤが挙げられる。また、銀、カーボン等の導電性フィラーを樹脂で充填した導電性接着剤等を用いることもできる。これらのうち、作業性が良好であるという観点からは、アルミニウム線或いは金線を用いることが好ましい。また、リード端子については、ボンディングワイヤ等の電気接続部材との密着性、電気伝導性等が良好なものが好ましく、リード端子の電気抵抗としては、300μΩ・cm以下が好ましく、より好ましくは3μΩ・cm以下である。これらのリード端子材料としては、例えば、鉄、銅、鉄入り銅、錫入り銅や、これらに銀、ニッケル等をメッキしたもの等が挙げられる。これらのリード端子は良好な光の広がりを得るために適宜光沢度を調整してもよい。
【0048】
上記のようにして発光素子が得られるが、本発明の発光ダイオードにおいては発光素子の光度としては垂直方向の光度が1cd以上であれば任意のものを用いることができるが、垂直方向の光度が2cd以上の発光素子を用いた場合により本発明の効果が顕著であり、3cd以上の発光素子を用いた場合に更に本発明の効果が顕著である。
【0049】
発光素子の発光出力としては特に限定なく任意のものを用いることができるが、20mAにおいて1mW以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果が顕著であり、20mAにおいて4mW以上の発光素子を用いた場合により本発明の効果が顕著であり、20mAにおいて5mW以上の発光素子を用いた場合に更に本発明の効果が顕著である。
【0050】
発光素子の発光波長は紫外域から赤外域まで種々のものを用いることができるが、主発光ピーク波長が550nm以下のものを用いた場合に特に本発明の効果が顕著である。用いる発光素子は一種類で単色発光させてもよいし、複数用いて単色或いは多色発光させてもよい。
【0051】
本発明の発光ダイオードは、上述したような硬化性樹脂組成物によって発光素子を封止することにより製造することができるが、この場合の封止とは、上記発光素子を直接封止するものに限らず、間接的に封止する場合も含む。具体的には、発光素子を硬化性樹脂組成物で直接従来用いられる種々の方法で封止してもよいし、従来用いられるエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等の封止樹脂やガラスで発光素子を封止した後に、その上又は周囲を本発明の硬化性樹脂組成物で被覆するように封止してもよい。また、発光素子を本発明の硬化性樹脂組成物で封止した後、従来用いられるエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等でモールディングしてもよい。以上のような方法によって屈折率や比重の差によりレンズ効果等の種々の効果をもたせることも可能である。
【0052】
また、硬化性樹脂組成物に発光ダイオードの特性改善のための添加剤を含有させてもよく、発光ダイオードの特性改善のための添加剤は均一に含有させてもよいし、含有量に傾斜を付けて含有させてもよい。この様なフィラー含有樹脂部は発光面前面のモールド部材用の樹脂を型に流した後、引き続いて、フィラーを含有させた樹脂を流し発光面後方のモールド部材として形成させることができる。また、モールド部材形成後リード端子を表裏両面からテープを張り付けることによって覆い、この状態でリードフレーム全体をフィラー含有樹脂を溜めたタンク内に発光ダイオードのモールド部材の下半分を浸漬した後、引き上げて乾燥させフィラー含有樹脂部を形成させても良い。
【0053】
封止の方法については、各種方法を適用することができる。例えば、底部に発光素子を配置させたカップ、キャビティ、パッケージ凹部等に液状の硬化性樹脂組成物をディスペンサーその他の方法にて注入して加熱等により硬化させてもよいし、固体状又は高粘度液状の硬化性樹脂組成物を加熱するなどして流動させ同様にパッケージ凹部等に注入して更に加熱するなどして硬化させてもよい。この場合のパッケージは種々の材料を用いて作成することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフタルアミド樹脂等を挙げることができる。また、モールド型枠中に硬化性樹脂組成物をあらかじめ注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレーム等を浸漬した後硬化させる方法も適用することができるし、発光素子を挿入した型枠中にディスペンサーによる注入、トランスファー成形、射出成形等により硬化性樹脂組成物による封止層を成形、硬化させてもよい。更に、単に液状又は流動状態とした硬化性樹脂組成物を発光素子上に滴下又はコーティングして硬化させてもよい。あるいは、発光素子上に孔版印刷、スクリーン印刷、又はマスクを介して塗布することなどにより硬化性樹脂を成形させて硬化させることもできる。その他、あらかじめ板状若しくはレンズ形状等に部分硬化又は硬化させた硬化性樹脂組成物を発光素子上に固定する方法によってもよい。更には、発光素子をリード端子やパッケージに固定するダイボンド剤として用いることもできるし、発光素子上のパッシベーション膜として用いることもできる。また、パッケージ基板として用いることもできる。
【0054】
封止部分の形状も特に限定されず種々の形状をとることができる。例えば、レンズ形状、板状、薄膜状、特開平6−244458号公報記載の形状等が挙げられる。これらの形状は硬化性樹脂組成物を成形硬化させることによって形成してもよいし、硬化性樹脂組成物を硬化した後に後加工により形成してもよい。
【0055】
本発明の発光ダイオードは、種々のタイプとすることができ、例えば、ランプタイプ、SMD(Surface mount device)タイプ、チップタイプ等いずれのタイプでもよい。SMDタイプ、チップタイプのパッケージ基板としては、種々のものが用いられ、例えば、エポキシ樹脂、BTレジン、セラミック等が挙げられる。
【0056】
その他、本発明の発光ダイオードには従来公知の種々の方式が適用できる。例えば、発光素子背面に光を反射又は集光する層を設ける方式、封止樹脂の黄変に対応して補色着色部を底部に形成させる方式、主発光ピークより短波長の光を吸収する薄膜を発光素子上に設ける方式、発光素子を軟質又は液状の封止材で封止した後周囲を硬質材料でモールディングする方式、発光素子からの光を吸収してより長波長の蛍光を出す蛍光体を含む材料で発光素子を封止した後周囲をモールディングする方式、蛍光体を含む材料をあらかじめ成形してから発光素子とともにモールドする方式、特開平6−244458号公報に記載のとおりモールディング材を特殊形状として発光効率を高める方式、輝度むらを低減させるためにパッケージを2段状の凹部とする方式、発光ダイオードを貫通孔に挿入して固定する方式、発光素子表面に主発光波長より短い波長の光を吸収する薄膜を形成する方式、発光素子をはんだバンプ等を用いたフリップチップ接続等によってリード部材等と接続して基板方向から光を取出す方式等を挙げることができる。
【0057】
そして、本発明の発光ダイオードは従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的にはバックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
【0058】
以下、本発明の実施例を示す。尚、下記の実施例に使用した硬化性樹脂は、下記の合成例に示した方法で得たものである。
【0059】
[合成例]
撹拌機及び滴下ロートを備えた2Lの4口フラスコに、イソプロピルアルコール300mLおよびトルエン600mL、20w%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液22.37g(水酸化テトラメチルアンモニウム4.55g/0.05mol、水17.82g/0.99mol)を装入した。滴下ロートにビニルトリメトキシシラン44.4g/0.30molとイソプロピルアルコール50mLの混合溶液を装入し、反応容器を撹拌しながら、室温で3時間かけて滴下した。滴下終了後加熱することなく3時間撹拌した。3時間撹拌後、撹拌を止め反応溶液を18時間室温で熟成させた。その反応溶液を0.1Mクエン酸水溶液1Lに加え中和し、さらに水で中性になるまで水洗した後、無水硫酸マグネシウムを加え脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、減圧下で濃縮した。濃縮物を脱水されたテトラヒドロフラン200mLで溶解し、撹拌機、滴下ロートを備えた1Lの4口フラスコに装入した。反応容器に脱水されたピリジン1.00mLおよび滴下ロートにジメチルジクロロシラン3.2g/0.025molとトリメチルクロロシラン2.7g/0.025molとテトラヒドロフラン30mLを加え、窒素気流下で反応容器を撹拌しながら、室温で3時間かけて滴下した。滴下終了後加熱することなく3時間撹拌した。3時間撹拌後、トルエン300mLを加えた後、反応溶液を水で中性になるまで水洗し、無水硫酸マグネシウムを加え脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、減圧下で濃縮することで無色透明の液体として硬化性樹脂〔一般式(1)〕27.1g得た。
【0060】
この硬化性樹脂の1H-NMRでは、ビニル基のシャープなシグナルが観測されたことからビニルトリメトキシシランからの加水分解縮合物は籠型構造であることが確認された。このことから金属酸化物、すなわちケイ素酸化物で構成される三次元多面体構造である密な構造単位(A)については、ケイ素原子8個と酸素原子12個とで構成される(SiO3/28で表せる立方体構造と仮定することができ、導き出されたKpは0.73であった。また、上記硬化性樹脂の(A)以外の部分は、(H2C=CH-SiO3/28の残基であるビニル基と(Me3SiO1/2)と(Me2SiO)とであって疎な構造部位(B)であり、これらから求められる重量比〔(A)/(B)〕は1.302であり、GPCによる数平均分子量Mnは5200であった。また、疎な構造単位(B)はビニル基、(Me3SiO1/2)、及び(Me2SiO)からなり、三次元多面体構造をとらず、Kpは0.69未満であった。尚、密な構造単位(A)のKpを算出する際、(SiO3/28は(A)の部分であり一般式(I)樹脂中の一部として存在するため取り出すことが不可能であって直接的にKpを求めることができない。そのため最もKpへの影響が少なく近似できる化合物として(HSiO3/28を用いて計算した。
【実施例1】
【0061】
上記合成例で得られた硬化性樹脂100重量部とジクミルパーオキサイド(日本油脂株式会社製パークミルD)2重量部とを均一になるまで混合し、硬化性樹脂組成物を得た。そして、図1に示す表面実装型LEDの構成に従い、この硬化性樹脂組成物を硬化させて得た封止材8で発光素子5を封止してなる発光ダイオード1を作製した。図1に示すように、プリント基板4上に搭載された発光素子5を取り囲むようにすり鉢状のランプハウス6を設け、ランプハウス6のすり鉢状の凹部を埋めるように、真空脱泡処理した上記硬化性樹脂組成物を注入した。そして、100℃で1時間、120℃で1時間、140℃で1時間、160℃で1時間、及び180℃で2時間加熱して硬化性樹脂組成物を硬化させ、表面実装型の発光ダイオード1を得た。尚、上記プリント基板4は、絶縁基板2に所定の回路導体3が形成されてなり、発光素子5は図示外の導電性接着剤でプリント基板4に固着されている。また、発光素子5と回路導体3との間はボンディングワイヤ7によって導通されている。
【実施例2】
【0062】
上記合成例で得られた硬化性樹脂58重量部、末端トリメチルシリル修飾ポリメチルヒドロシロキサン(アヅマックス株式会社製 HMS-992)42重量部、及び白金-ビニルシロキサン錯体(アヅマックス株式会社製SIP6830.3)0.5重量部を均一になるまで混合して硬化性樹脂組成物を得た。この硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして表面実装型の発光ダイオード1を得た。
【実施例3】
【0063】
上記合成例で得られた硬化性樹脂58重量部、末端トリメチルシリル修飾ポリメチルヒドロシロキサン(アヅマックス株式会社製 HMS-992)21重量部、ジクミルパーオキサイド(日本油脂株式会社製パークミルD)2重量部、及び白金-ビニルシロキサン錯体(アヅマックス株式会社製SIP6830.3)0.5重量部を均一になるまで混合して硬化性樹脂組成物を得た。この硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして表面実装型の発光ダイオード1を得た。
【0064】
[比較例1]
封止材の材料として汎用的に用いられる2液型エポキシ樹脂組成物(ビスフェノールA型エポキシ樹脂を酸無水物系硬化剤で硬化させるもの)を処方どおりに混合し、真空脱泡処理後、実施例1と同様にランプハウス6の凹部に注入し、150℃で8時間加熱して表面実装型の発光ダイオードを得た。
【0065】
[比較例2]
封止材の材料として汎用的に用いられる2液型シリコーンゴム組成物を処方どおりに混合し、真空脱泡処理後、実施例1と同様にランプハウス6の凹部に注入し、150℃で2時間加熱して表面実装型の発光ダイオードを得た。
【0066】
上記実施例及び比較例で得た表面実装型の発光ダイオードについて、以下の各項目で評価を行った。結果を表1に示す。
【0067】
1.表面タック性評価
硬化性樹脂組成物を厚さ2mmの板状プレートとして実施例1と同様に硬化して作製した樹脂プレートサンプルを触診し、表面タック性の有無を「○:表面タック性なし、×:表面タック性あり」の二段階で評価した。
【0068】
2.体積減少度評価
リードフレーム型に硬化前の硬化性樹脂組成物を開口部が平面となるまで満たし、これを硬化させた時の体積減少に伴う樹脂表面の凹化の有無を目視で評価した。評価については、「○体積減少・凹化なし、×:体積減少・凹化あり」の二段階で行った。
【0069】
3.耐光性加速試験
ウシオ電機製・SP−V超高圧水銀ランプからの光をカットオフフィルターに通して350nm以下の紫外光成分を除去したものを、硬化性樹脂組成物を厚さ2mmの板状プレートとして実施例1と同様に硬化して作製した樹脂プレートに集光照射し、目視で黄変が認められるまでの時間を調べた。黄変が認められた時間に基づき、「◎:>100時間、○:50〜100時間、△:5〜50時間、×:<5時間」の4段階で評価した。尚、サンプル照射面での光照度は5000mW/cm2、スポット径は5mmとした。また、評価時の雰囲気温度は60℃に設定した。
【0070】
4.耐熱性加速試験
150℃の電気乾燥炉内に硬化性樹脂組成物を厚さ2mmの板状プレートとして実施例1と同様に硬化して作製した樹脂プレートサンプルを48時間放置した後の黄変の程度を目視により評価した。評価は「◎:変化なし、○:わずかな着色、△:黄変、×:強い黄変(褐色変)」の4段階で行った。
【0071】
5.耐熱ショック試験
上記で作製した表面実装型の発光ダイオードを−40℃に30分暴露し、120℃に30分暴露する熱ショックサイクルを繰り返して、表面実装型の発光ダイオードの樹脂に初めてクラックが発生するか、或いは樹脂−基材間の剥離が初めて認められるサイクル数を調べた。サイクル数に基づき、「◎:>150回、○:50〜150回、△:5〜50回、×:<5回」の4段階で評価した。
【0072】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、本発明の実施例に係る発光ダイオードの断面説明図である。
【符号の説明】
【0074】
1:発光ダイオード、2:絶縁基板、3:回路導体、4:プリント基板、5:発光素子、6:ランプハウス、7:ボンディングワイヤ、8:封止材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される硬化性樹脂を硬化させて得られる封止材で発光素子を封止してなる発光ダイオードであって、一般式(1)の硬化性樹脂は、下記計算式(2)で計算されるパッキング係数Kpが0.68〜0.8の金属酸化物から構成される密な構造単位(A)と、Kpが0.68未満であって有機物と有機金属酸化物とを含んで構成される疎な構造単位(B)とを有し、構造単位(A)/(B)の重量比が0.01〜5.00であり、かつ、少なくとも一つの不飽和結合を有して平均分子量が800〜60000であることを特徴とする発光ダイオード。
−{(A)−(B)mn− (1)
(但し、mおよびnは1以上の整数を示す。)
Kp=An・Vw・p/Mw (2)
〔但し、An=アボガドロ数、Vw=ファンデアワールス体積、p=密度、Mw=分子量であり、Vw=ΣVa、Va=4π/R3-Σ1/3πhi2(3Ra-hi)、hi=Ra-(Ra2+di2-Ri2)/2di、Ra=原子半径、Ri=結合原子半径、及びdi=原子間距離を示す。〕
【請求項2】
密な構造単位(A)は、下記一般式(I)の有機物部位を除いた三次元多面体構造骨格を有する金属酸化物部位からなり、疎な構造単位(B)は、下記一般式(II)で表される有機金属酸化物からなる鎖状単位と一般式(I)の有機物部位とからなる請求項1に記載の発光ダイオード。
(RSiO3/2w(MO2x(RXSiO)y(XMO3/2z (I)
(R345SiO1/2j(R67SiO)k{R67XSiO1/2l (II)
〔但し、Rは(a)-R1-OCO-CR2=CH2、(b)-R1-CR2=CH2若しくは(c)-CH=CH2で示される不飽和基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、水素原子、アルコキシル基、又はアルキルシロキシ基であり、式(I)における複数のRは互いに異なるものであってもよいが、少なくとも1つは上記(a)、(b)又は(c)のいずれかを含み、R1はアルキレン基、アルキリデン基又はフェニレン基を示し、R2は水素又はアルキル基を示す。また、R3〜R7は(a)-R1-OCO-CR2=CH2、(b)-R1-CR2=CH2若しくは(c)-CH=CH2で示される不飽和基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、水素原子、アルコキシル基、又はアルキルシロキシ基である。更に、Mはケイ素、ゲルマニウム、チタン、又はジルコニウムの金属原子、Xはハロゲン原子、又はアルコキシル基であり、wは4以上の整数であり、x、y及びzはw+x+y+z≧8を満たす整数である。j、k、及びlはそれぞれ0以上の整数を示す。〕
【請求項3】
一般式(I)は、RSiX3、MX4又はこれらの混合物(但しR、M及びXは一般式(I)の場合と同じである)の加水分解縮合物からなる請求項2に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
一般式(II)が、R345SiX、R67SiX2又はこれらの混合物(但し、R3〜R7及びXは一般式(II)と同じである。)の加水分解縮合物からなり、一般式(I)の有機物部位又はXの少なくとも一部がこの加水分解縮合物に結合して一般式(1)の構造部位(B)を形成する請求項2に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
一般式(1)で表される硬化性樹脂にヒドロシリル化触媒及び/又はラジカル開始剤を配合して硬化性樹脂組成物を得た後、この硬化性樹脂組成物で発光素子を封止し、熱硬化又は光硬化させて得る請求項1〜4のいずれかに記載の発光ダイオード。
【請求項6】
分子中に少なくとも1つのヒドロシリル基を有する化合物及び/又は不飽和基を有する化合物を更に配合して硬化性樹脂組成物を得る請求項5に記載の発光ダイオード。

【図1】
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【公開番号】特開2008−201828(P2008−201828A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36007(P2007−36007)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】