説明

発光デバイス

100から2000nmの間の範囲の平均繊維径を有するナノ繊維の繊維マットを含み、ナノ繊維と結合して配置された複数の刺激粒子を含む刺激光放射デバイスである。刺激粒子が、波長xの一次光を受け二次光を放射する。繊維マット内に一次光に対する散乱部を提供するように、平均繊維径が、波長xと同等の大きさを有する。適切な発光ナノ繊維マットを形成する様々な方法が、刺激粒子を含む又は含まないポリマー溶液をエレクトロスピンする段階、及びエレクトロスパン溶液から、100から2000nmの間の平均繊維径を有するナノ繊維を形成する段階含む。刺激粒子を含まずにエレクトロスピンする方法では、エレクトロスピニングの間又はエレクトロスピニングの後に、刺激粒子を、繊維に、従って結果として得られる繊維マットに導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発光特性を有するナノ繊維マット及びナノ繊維マットを形成する方法、及び照明用途へのナノ繊維マットの適応に関する。
【背景技術】
【0002】
商用の及び住居用照明用の一般的な照明光源の選択は、通常、エネルギー効率と、演色評価数(CRI)によって測定されるような色を正確に形成する性能とのバランスによって管理される。既存の蛍光灯が、エネルギー消費の観点から、経済的であることが知られている。しかしながら、既存の蛍光灯によって生成される光は、スペクトルの品質が悪く、眼精疲労を生じ及び他の健康に悪影響を及ぼすものであると、多くの使用者は不満を漏らしている。また、白色光が、広く使用されており、優れたスペクトルの品質及び正確に色を表現する能力を有するものと認められている。太陽と同様に、多くの波長にわたって光を放射し、黒体放射体として機能する熱フィラメントから、この高いスペクトル品質が得られる。しかしながら、白色光は、エネルギー効率が極めて低いという欠点がある。従って、わずかなエネルギーを使用し、太陽光の構成と同様な光の構成を有する光源を製造する必要性が長年にわたって存在する。
【0003】
固体素子照明(SSL)は、代替手段となる全般照明、並びに蛍光灯のエネルギー効率及び白色光の優れたスペクトルの品質を約束する照明技術である。通常、商用の入手可能なSSL技術が、通常2μm以上の大きな粒子から構成される蛍光体によって包囲された発光ダイオード(LED)から構成される。LEDから放出された光は、蛍光体が蛍光を発し、1つ以上の可視光を放射するために十分なエネルギーの光である。商用のSSL製品の最も一般的な例は、セリウム−ドープ イットリウムアルミニウムガーネット(YAG:Ce)のような黄リンによって包囲された青色発光ダイオード(通常460nm)から構成され、550nmに中心がある広帯域における光を発する。蛍光体からの黄色い発光とLEDからの青色光との組み合わせにより、通常、白い外観を有する光源が形成される。あるいは、紫外線(<400nm)において放射するLEDが、赤、緑、及び青の蛍光体の混合を引き起こすために使用されることが可能である。図1は、固体照明デバイスから得られた光のスペクトルを図式的に表したものである。この方法が白色光を生成する一方、波長数が制限されるために、効率が低く、スペクトルの品質が悪いという欠点を有する。
【0004】
さらに、現在の固体の照明からの光強度が、懐中電灯のような用途に対しては十分である一方、室内照明のような全般照明への使用においては、低すぎるものであり、その放射コーン(cone)が狭すぎると考えられる。従って、全般照明における使用に対し、十分に大きな領域にわたって、高い強度の白色光の放出を提供することが可能な固体の光源が必要である。
【0005】
SSLデバイスの性能を改善するために提案されたある方法では、白色光を形成する二次コンバーターとしての量子ドットのようなナノ粒子が使用されている。非特許文献1が、2003年7月24日にプレスリリースされている。この方法は、量子ドットを、発光ダイオード(LED)を被覆するために使用されるポリマーに組み込むものであり、本質的に、LEDダイの周りに量子ドットの3次元ドームを形成する。この方法が、白色光を形成することに成功する一方、3次元ドーム構造が、LEDの周りの最適でない位置に大きな量の量子ドットを配置し、潜在的に、量子ドットが凝集する課題を生じる。
【0006】
これまでは、非特許文献2に開示されているように、ポリマー/量子ドット複合物ナノ繊維が、ポリマー/量子ドットの複合溶液のエレクトロスピニングから得られている。しかしながら、量子閉じ込め効果を実現するために、Schlechtらによって形成されたナノ繊維は、直径が約10から20nmである。その中で開示されたナノ粒子及びナノ繊維の大きさの範囲は、白色光スペクトルにわたって、一次光を二次光の放射に変換するために有利ではない。
【0007】
また、非特許文献3では、エレクトロスピニングによる、ポリマー繊維マトリクスに埋め込まれたAgSナノ粒子の形成が報告された。前と同じように、その中で示されたナノ粒子及びナノ繊維の大きさの範囲は、白色光スペクトルにわたって、一次光を二次光の放射に変換するために有利ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願番号10/819942
【特許文献2】米国特許出願番号10/819945
【特許文献3】米国特許出願番号10/819916
【特許文献4】米国特許出願番号11/130269
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】“Quantum Dots Lend New Approach to Solid−State Lighting,”Sandia National Laboratory
【非特許文献2】Schlechtら Chem. Mater. 2005, 17, 809−814.
【非特許文献3】Lu.ら Nanotechnology, 2005, 16, 2233
【非特許文献4】J. Rodriguez−Viejo, K. F. Jensen, H. Mattoussi, J. Michel, B. O. Dabbousi and M. G. Bawendi, Applied Physics Letters, vol. 70 (1997), no. 16, page 21
【非特許文献5】Van de Hulst, in Light Scattering by Small particles, Dover, 1957
【非特許文献6】Bowersら Journal of the American Chemical Society vol. 127 (2005) pages 15378−15379
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある実施形態において、刺激光(stimulable light)の放射を行うためのデバイスが提供される。このデバイスが、100から2000nmの間の範囲の平均繊維径を有するナノ繊維の繊維マットを含み、ナノ繊維に結合して配置され、波長xにおいて一次光を受けて二次光の放射を形成するように構成された複数の発光粒子を含む。一次光に対する繊維マット内に散乱部を提供するために、平均繊維径は、波長xの大きさと同程度である。
【0011】
本発明のある実施形態において、発光繊維マットを製造する方法が提供される。この方法では、発光粒子を含むポリマー溶液をエレクトロスピンし、このエレクトロスパン溶液から、100から2000nmの間の平均繊維径を有し発光粒子を含むナノ繊維を形成する。この方法では、繊維マットを形成するようにナノ繊維を集める。
【0012】
本発明のある実施形態において、発光繊維マットを製造する方法が提供される。この方法が、100から2000nmの間の平均繊維径を有するナノ繊維を形成するようにポリマー溶液をエレクトロスピンする。この方法が、エレクトロスピニングの間、ナノ繊維を発光粒子でコーティングし、繊維マットを形成するようにナノ繊維を集める。
【0013】
本発明のある実施形態において、発光繊維マットを製造する方法が提供される。この方法が、100から2000nmの間の平均繊維径を有するナノ繊維を形成するようにポリマー溶液をエレクトロスピンする。この方法が、繊維マットを形成するようにナノ繊維を集め、繊維マットを発光粒子でコーティングする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の固体照明デバイスから得られた光のスペクトルを表した概略図である。
【図2A】本発明のある実施形態による、繊維の体積内の発光複合物の配置を表した概略図である。
【図2B】本発明のある実施形態による、繊維の表面上又は表面付近における発光複合物の配置を図式的に表したものである。
【図2C】本発明のある実施形態による、繊維マットを表した概略図であって、繊維マットの全体が、光学散乱中心としての機能を果たす。
【図2D】本発明のある実施形態による、繊維マットを表した概略図であって、繊維が、個々の散乱中心としての機能を果たす。
【図2E】本発明のある実施形態による、繊維マットを表した概略図であって、繊維が、その繊維上に異なる大きさの量子ドットの分布を有する。
【図3】曲線“a”の繊維マット及びナノ繊維を含まない曲線“b”のポリマー膜の2つのサンプルから得られた光スペクトルであって、それぞれが、同等の濃度の量子ドットを含む。
【図4】ナノ粒子発光体を含む、本発明のナノ繊維及び/又は繊維の配置に適したエレクトロスピニング装置を表す略図である。
【図5】本発明の実施形態による発光デバイスを形成する方法を説明したフローチャートであって、発光粒子が、エレクトロスプレーポリマーに含まれる。
【図6A】凝集が低濃度で存在する場合の濃度でのポリマーマトリクスにおける量子ドットの散乱の概略図である。
【図6B】凝集が要因の1つ(factor)となる場合の濃度でのポリマーマトリクスにおける量子ドットの散乱の概略図である。
【図7】本発明の実施形態による発光デバイスを形成する方法を説明したフローチャートであって、発光粒子が、エレクトロスピニングプロセスの間、エレクトロスパン繊維に付着する。
【図8】本発明の実施形態による発光デバイスを形成する方法を説明したフローチャートであって、発光粒子が、エレクトロスピニングプロセスの後、エレクトロスパン繊維に付着する。
【図9】図8において説明された方法を使用して準備されたポリマー/QD複合ナノ繊維の透過電子顕微鏡画像である。
【図10】本発明のある実施形態による構成を表した概略図であって、発光ダイオード(LED)が、被覆材を通して発光材料を含む繊維にまで、光を結合する。
【図11】本発明のある実施形態による構成を表した概略図であって、発光ダイオード(LED)が、発光材料を含む繊維をその中に備えた被覆材を通して、光を結合する。
【図12】本発明のある実施形態に従って形成されたCdSe/ZnSコア−シェル量子ドットを含むナノ繊維から放出された光のスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付する図面に関連して考慮される以下の詳細な記載を参照することによって、さらに理解されるようになるのと同じように、本発明のさらに完全な評価及び結果として伴う多くのその利点が容易に得られるだろう。
【0016】
量子ドットは、室温における電子の大きさ(ドブロイ波長)よりも小さい又は同等な程度の大きさのオーダーの寸法を有するナノ粒子である。量子ドットの大きさが、電子のドブロイ波長よりも小さい又はほぼ同じである場合、この結果、人工的に電子を閉じ込めるポテンシャル井戸が形成される。基本的な量子メカニズムの“箱の中の粒子(particle−in−a−box)”に述べられているように、このポテンシャル井戸の大きさが、電子を利用することが可能な量子化されたエネルギーレベルを決定する。エネルギーレベルが、量子ドットの蛍光波長を決定するため、単に、量子ドットの大きさを変化が、第一近似に対し、量子ドットが可視光を放射する場合の色を変化させる。従って、量子ドットの量子閉じ込め効果が、直接的に、それぞれの量子ドットから放射される光に影響を及ぼし、色の広域スペクトルが、異なる大きさの量子ドットを集めることによって達成されうる。
【0017】
典型的な量子ドットが、高いバンドギャップを有する無機材料のシェルによって包囲されうるナノ結晶コアを含む。この構造が、様々な溶剤との相溶性を確保する外部有機層で覆われる。これに関連して、全体の集合(すなわち、ナノ結晶コア、高いバンドギャップ材料のシェル、及び有機キャッピング層)が、集合的に量子ドットと呼ばれる。このような量子ドットの代表例が、硫化亜鉛シェルによって包囲され、トリオクチルホスフィンオキシドのような有機配位子で覆われるセレン化カドミウムナノ結晶コアから構成される。このようなコアシェル構造が、Evident Technologies of Troy, NYによって販売されている。
【0018】
量子ドットのナノ結晶コアが、シリコン、ゲルマニウム、リン化インジウム、インジウムガリウムリン、リン化インジウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、硫化鉛、酸化銅、セレン化銅、ガリウムリン、硫化水銀、セレン化水銀、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、ケイ酸亜鉛、硫化チタン、酸化チタン、及び酸化スズ等の少なくとも1つを含むがこれに限定されるものではない様々な材料から作られる。本発明に特に有用である量子ドットが、CdSe、InGaP、InP、GaP、及びZnSeの少なくとも1つのコアを有する。量子ドットの光学的特性が、このナノ結晶コアによって形成される。
【0019】
量子ドットが、トルエンのような低誘電率(low−K)有機溶媒中のコロイド分散として市販されている。しかしながら、量子ドットが、相互引力を受け、凝集することが可能であり、それらの量子力学的振る舞いを妨げ、それらの性能特性を変化させうる。例えば、凝集が、量子ドットの光の放出効果を低減させることが知られており、凝集の結果として形成された大きなドットへのエネルギー移動によって、放射周波数の赤方偏移を引き起こすことが知られている。参照によりその全体の内容が本願明細書に組み込まれる非特許文献4を参照せよ。わずかな色の変化に対する人間の目の感度によると、粒子凝集が、照明光源からの光の品質に十分な影響を与えることが出来る。極端には、凝集が、量子ドットからのフォトルミネッセンスの消滅を引き起こすことが出来る。
【0020】
ナノ繊維は、一方の寸法(直径)が10〜2000nmの範囲であり、及び他方の寸法(長さ)が非常に長いメートルレンジであることが可能な固体構造である。本発明に適したナノ繊維が、ポリマー、セラミック、及びガラス、ゾル−ゲル、ポリイミドを含む様々な材料から形成されることが可能であり、材料の混合物が容易に形成されることが可能である。ナノ繊維の1つの特徴は、それらの直径の小ささ及びひいては表面積の大きさにある。可視光(〜500nm)のオーダー又はそれよりも小さな直径のナノ繊維が、極めて大きな表面積を有して容易に形成されることが可能である。
【0021】
ここで図面を参照し、同種の参照符号が、本発明の様々な実施形態における複数の図を通して同一の又は対応する部分を指定するものであり、図2A及び2Bは、例えば、ナノ繊維のバルク内又は表面上のいずれかに配置された発光粒子4(すなわち、以下に開示される複合物の1つ)を含む光刺激繊維(LF)2を表した概略図である。さらに具体的には、図2Aは、図2Aにおいてナノ繊維として表された繊維2の体積中における発光粒子4(例えば、量子ドット半導体材料又はナノ−蛍光体のような光刺激粒子)の配置を表した概略図である。図2Bは、図2Bにおいて同様にナノ繊維として表された繊維2の表面上又は表面付近における発光粒子4の配置を表した概略図である。図2Cは、本発明のある実施形態による、繊維マット6を表した概略図であり、繊維マット6は、全体で、光散乱中心として機能する。本発明のある実施形態によるこの構造において、刺激粒子(明確には示さないが)が、繊維マット厚さhの全体にわたってナノ繊維2と結合して配置される。ナノ繊維2が、累積的に、励起光(一次光)に対する散乱部を提供し、これによって、本発明のある実施形態において、ポンプ光源光と刺激粒子4との間の相互作用の可能性を高める。
【0022】
図2Dは、本発明のある実施形態による、繊維マット6を表した概略図であり、繊維2が、個々の散乱中心として示される。ナノ繊維2が、個々に、励起光(一次光)に対する散乱部を提供し、これによって、本発明のある実施形態において、ポンプ光源光と刺激粒子4との間の相互作用の可能性を高める。
【0023】
従って、以下により詳細に説明される本発明の様々な実施形態において、例えば、繊維マットからの刺激放射に対し図2C及び2Dにおいて説明される繊維マットを含むデバイスが提供される。繊維マット6が、100から2000nmの間の範囲の平均繊維径を有するナノ繊維を含み、複数の光刺激粒子が、ナノ繊維と結合して配置される。刺激粒子4が、波長xにおける一次光を受けて二次光の放射を形成することが可能である。繊維マット内に一次光に対する散乱部を提供するために、平均繊維径は、波長xと同程度の大きさである。
【0024】
以下においてさらに詳細に論じるように、平均繊維径は、100から2000nmの間の範囲にあり、またはさらに適切には、300nmから600nmであり、またはさらに適切には、400nmから500nmである。平均繊維径は、波長xの0.50から1.50倍の範囲であり、またはさらに適切には、波長xの0.9から1.10倍の範囲である。波長xは、100から2000ナノメートルの間の範囲であり、またはさらに適切には、400から500ナノメートルの間の範囲である。繊維マット6が、0.1から2000マイクロメートルの間の範囲の厚さを有し、またはさらに適切には1から500マイクロメートルの間の範囲の厚さを有する。
【0025】
本発明の様々な実施形態において、刺激粒子4が、例えば、さらに又は上記の量子ドット材料に加えて、ナノ−蛍光体を含む。例えば下記の及び他のナノ−蛍光体が、本発明に適している。適切なナノ蛍光体の例には、制限するものではないが、以下が含まれる;
1.Y:Tb,Y:Eu3+,Lu:Eu3+,CaTiO:Pr3+,CaO:Er3+,(GdZn)O:Eu3+のような希土類ドープ金属酸化物;
2.YAG:Ce3+のような希土類ドープイットリウムアルミニウムガーネット(YAG);
3.ZrO:Sm3+,ZrO:Er3+のような希土類ドープジルコニウム酸化物;
4.希土類ドープバナジウム酸塩(YVO:Eu)及びリン酸塩(La,Ce,Tb)PO
5.ホストマトリックス(例えば、Gd,GdOS,PbO,ZnO,ZnS,ZnSe)及びドーパント(Eu,Tb,Tm及びMn)から構成されたドープ材料;及び、
6.硫化亜鉛及びセレン化亜鉛型(例えば、ZnS:Mn2+,ZnS:Cu)の金属ドープ。
本発明に特に実用的なのは、希土類ドープYAG、ドープZnS、及びドープZnSeの少なくとも1つを含むナノ蛍光体である。
【0026】
さらに、以下においてさらに詳細に論じるように、刺激粒子4が、一次光から放出されるそれぞれの二次光を形成する多数の特有色の発光体(color−distinctive light emitter)(すなわち、異なる大きさの量子ドットの分布又はナノ−蛍光体の分布)を含むことが可能であり、これによって、結果として、70以上、又は80以上の演色評価数を有する白色光が形成される。図2Eは、本発明のある実施形態による繊維マット6を表した概略図であり、繊維が、この繊維上に異なる大きさの量子ドットの分布を有する。
【0027】
本発明のある実施形態において、例えばナノ繊維の繊維マットのような高表面積媒体上に刺激粒子4を分散させることにより、ナノ繊維2及び刺激粒子4(例えば量子ドット)を含む繊維マット6の放出効果が増加し、それに加えて、膜内に分散された発光粒子の平面的な充填が達成される。結果として、本発明のある実施形態において、このようなナノ繊維マット構造が、量子ドットが膜内に分散された場合よりも高い効率で、LEDによって放出された光子を獲得し、及び平面的に充填された発光粒子を備えた場合に可能な強度よりも高い強度を備えた可視波長における再放射を獲得する。
【0028】
いずれの特定の理論に制限されるものではないが、繊維2から散乱された光が、繊維径、光波長、光に対する繊維の配向、及び繊維の屈折率に左右される。繊維のポリマーが、1.3から1.6の間の範囲における実質的な屈折率を有する。わずかな吸収材料の長い繊維(及び本発明のナノ繊維構造と同様な作用を示しうる)に対する光散乱効率曲線の例が、すでに非特許文献5において詳述されている。以前の取り組みにおいて、300nmの入射光に対し、最大光散乱が、3.14の大きさのパラメータ(π倍の繊維径/波長)及びQ=4.2の散乱効率(Q)を有する。600nmの入射光に対し、大きさのパラメータは、1.6であり、Q=2である。従って、短波長光(本発明において頻繁に使用されることが期待される)は、繊維のマットにトラップされる傾向が、長波長光の場合の2倍である。この現象の他の説明として、平均して、適切に設計されたナノ繊維材料を介した400nmの光の光路長(OPL)は、600nmの光のOPLよりも長い。本発明に適応されるようなこの現象の含意としては、光の放射の増大が、繊維マットにおける繊維の光散乱特性から得られうることである(すなわち、それぞれの繊維が散乱中心として機能し、及び繊維のマットが、繊維マット媒体における励起光をさらに効果的に制限する媒体として機能し、この繊維マット媒体は、励起光が、繊維マットにおいてそれが存在している間に、光の放射と相互作用する高い可能性を可能にする)。
【0029】
例えば、本発明において、典型的な励起周波数は、450nmの青色光である。白色光を形成するために、この構造が、450nmから800nmの広範囲の周波数にわたって放射する必要がありうる。マット6内におけるナノ繊維4の平均直径が、励起源のそれとおおよそ同じである(すなわち450nm)ナノ繊維構造を形成することにより、励起周波数が、光散乱によってナノ繊維構造内に効果的にトラップされることが可能である(すなわち、励起源のOPLが長い)。これが、励起源が、蛍光発光を開始し、白色光を形成する可能性を高める。その一方で、発光複合物の蛍光発光によって形成された長波長発光が、繊維マット内のナノ繊維によって効果的に散乱されなくなり、最小限の散乱を備えた繊維マット構造から現われやすくなる。これらの条件の下で、波長及び繊維径に応じて、光散乱/フォトニック特性が改善される。
【0030】
本発明のある実施形態において、繊維マット6が、多くのナノ繊維層(図2Cに示されるような)を含む。これらの層のナノ繊維2が、個々に、入射励起光に対する散乱中心として機能する。通常、ナノ繊維が、およそ励起源の波長と等しい平均直径を有する(すなわち、200から500nm)。さらに、繊維内における層の数が、通常、0.1から2000マイクロメートルの範囲の繊維マット6に対する厚さを形成するが、例えば0.01マイクロメートルのような薄い値、及び例えば3000マイクロメートルのような厚い値が適している。薄い層は、入射励起光を“捕える”可能性が高くなく、厚い層が、
量子ドットから誘起された光を実質的に散乱しうる。
【0031】
本発明の光刺激構造における適切な大きさの繊維(すなわち、励起周波数波長に近い直径の大きさにされた繊維)の効果を検証するために、450nmの平均直径のナノ繊維を有する繊維マット及びナノ繊維を含まないポリマー膜が準備された。両方の材料が、同じ量の量子ドット(すなわち、発光複合物)を有した。
【0032】
図3は、これらの2つのサンプルから得られた光スペクトルである。ポリマー膜サンプルの曲線“b”と対照的に曲線“a”によって示されるスペクトルに対応する540nmピークの光の放射の強度によって示されるように、量子ドットが、ナノ繊維内に分散される場合、ポリマー膜サンプルと比較して、蛍光発光の強度がおおよそ一桁増加する。性能面におけるこの改善が、上記に説明したように、ナノ繊維マトリクスと固体膜との間における構造上の差異によるものであると考えられている。すなわち、本発明のナノ繊維マットにより、高エネルギー光(例えば、UV励起)が、量子ドットによってさらに効果的に捕えられることが可能となり、媒体を含む量子ドットから高強度光が放射される。固体膜(すなわち、曲線“b”)に対するスペクトルの赤方偏移がほとんど存在しないため、凝集が、固体膜における強度を減少させなかったと思われる。さらに、透過型電子顕微鏡(TEM)及び紫外・可視分光法を用い、量子ドットが、大きさにかかわらず、繊維マットの全体にわたって均一に分散されたことが認められた。
【0033】
(製造方法)
本発明における光刺激構造が、多くの方法を通して形成させることが可能である。通常、この形成方法が、制御された直径のナノ繊維2の形成及び刺激粒子4(例えば、量子ドット)のナノ繊維2への適応を含む。ある方法では、繊維が、結果として生じる繊維マットと一体化するように、刺激粒子4が、エレクトロスパン繊維に適応されることが可能である。ある方法では、刺激粒子4が、エレクトロスプレー媒体に含まれることが可能である。ある方法では、マットが、いずれの刺激粒子なしに形成された後に、刺激粒子4が、結果として生じる繊維マットに適応されることが可能である。
【0034】
図4は、本発明のナノ繊維及び/又は繊維の堆積に適したエレクトロスピニング装置を表した略図であって、上記の量子ドット及びナノ−蛍光体のようなナノ粒子発光体を含む刺激粒子4を有するナノ繊維及び/又は繊維の堆積物を含む。本発明のある実施形態において、本発明のナノ繊維及び/又は繊維に組み込まれた刺激粒子4は、ナノ繊維の直径よりも小さい。
【0035】
図4において、エレクトロスピニング装置21が、エレクトスピニング素子24を囲むチャンバー22を含む。そのようなものとして、エレクトロスピニング素子24が、繊維26を形成するように構成された繊維から物質をエレクトロスピンするように構成される。エレクトロスピニング装置21が、エレクトロスピニング素子24から配置され、繊維及び/又はナノ繊維を収集するように構成されたコレクター28を含む。繊維及びナノ繊維を形成するための様々な方法が、リスト化され参照により組み込まれる特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されている。
【0036】
エレクトロスピニング素子24が、例えば上記のポリマー溶液のようなエレクトロスプレー媒体を含む供給容器30と連結している。本発明のエレクトロスプレー媒体が、ナノ繊維材料の押し出しを含む繊維の押し出しのために当技術分野で知られているポリマー溶液及び/又は溶解物を含む。実際には、本発明に適したポリマー及び溶媒が、例えば、ジメチルホルムアミド又はトルエン中のポリスチレン、ジメチルホルムアミド/塩化メチレン混合溶媒中のポリカプロラクトン、蒸留水中のポリ(エチレンオキシド)、蒸留水中のポリ(アクリル酸)、アセトン中のポリ(メチルメタクリレート)PMMA、アセトン中のセルロースアセテート、ジメチルホルムアミド中のポリアクリロニトリル、ジクロロメタン又はジメチルホルムアミド中のポリラクチド、及び蒸留水中のポリ(ビニルアルコール)、並びにこれらの組み合わせを含む。通常、本発明に適した溶媒が、ポリマーが溶解されることが可能な有機及び無機溶媒の両方を含む。形成時においてポリマー材料が、好ましくは透明材料であるが、ポリマーが、発光複合物のためのカラーフィルターとして機能する添加物と共にスパンされてもよい(以下おいてさらに詳細に議論されるように)。
【0037】
高電圧源34が、高電圧にエレクトロスピニング素子24を維持するために提供される。コレクター28が、好ましくは、エレクトロスピニング素子24の先端から1から100cm離れて設置される。コレクター28は、プレート又はスクリーンであることが可能である。通常、2000から400000V/mの間の電界強度が、高電圧源34によって形成される。通常、コレクター28が接地され、エレクトロスピニング素子24からエレクトロスピニングによって形成された繊維26が、コレクター28に向かう電界32によって移動させられる。電界32が、エレクトロスピニング素子24の先端からの流体のフィラメント又は液体ジェット42として繊維を構成する物質を引き付ける。それぞれのエレクトロスピニング素子24への物質の供給が、好ましくは、繊維を構成する物質の抽出に関与する電界強度とのバランスを保ち、エレクトロスピニング素子24から抜け出る液滴形状が、一定に維持される。ポリマー溶液に含まれるのは(又は、その代わりに、エレクトロスピニングプロセスの間に又は後に繊維上に導入される)、発光複合物である。本発明のある実施形態において堆積された繊維は、直径が、50nmから数マイクロメートルに及ぶ。
【0038】
あらかじめ参照により組み込まれる関連する特許文献4の関連する出願のように、本発明が、異なる大きさの繊維の混合繊維の繊維マットを生成するために、異なるエレクトロスピニング素子を使用することが可能である。繊維マットが、例えば、繊維マットの他側よりも大きな平均繊維径を有するマットの一側を備えることが可能である。
【0039】
本発明のナノ繊維に使用される繊維が、制限するものではないが、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、セルロース、セルロースアセテート、キトサン、コラーゲン、DNA、フィブリノゲン、フィブロネクチン、ナイロン(登録商標)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(エチルビニルアセテート)、ポリ(エチル−コ−ビニルアセテート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリ(メタクリル酸)塩、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(スチレンスルホン酸)塩、ポリ(スチレンスルホニルフルオライド)、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリ(スチレン−コ−ジビニルベンゼン)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリラクチド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアニリン、ポリベンゾイミダゾール、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−ポリエチレンオキシド)、ポリ(エーテルエーテルケトン)、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイミド、ポリアミド、ポリイソプレン、ポリラクチド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリサルフォン、ポリウレタン、ポリ(ビニルピロリドン)、プロテイン、SEBSコポリマー、シルク、及びスチレン/イソプレンコポリマーを含む。
【0040】
さらに、2つ以上のポリマーが共通溶媒中に溶解性である限り、ポリマーブレンドを含むナノ繊維が、形成されることも可能である。いくつかの例としては:ポリ(フッ化ビニリデン)−ブレンド−ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン−ブレンド−ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(メチルメタクリレート)−ブレンド−ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)−ブレンド−ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)−ブレンド−ポリ(エチレンオキシド)、プロテイン−ブレンド−ポリエチレンオキシド、ポリラクチド−ブレンド−ポリビニルピロリドン、ポリスチレン−ブレンド−ポリエステル、ポリエステル−ブレンド−ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)−ブレンド−ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシスチレン)−ブレンド−ポリ(エチレンオキシド)が挙げられる。
【0041】
(発光体の埋め込み)
概して、図5は、上記の第一の本発明の実施形態による発光デバイスを形成する方法を説明するフローチャートであって、刺激粒子4が、エレクトロスパンポリマーに含まれている。500において、刺激粒子(例えば、光刺激粒子)を含むポリマー溶液が、上記の条件を使用してエレクトロスパンされる。510において、エレクトロスパン溶液から、ナノ繊維が、100から2000nmの間の直径を有し及び刺激粒子を含んで形成される。520において、ナノ繊維が、繊維マットを形成するように集められる。
【0042】
500におけるプロセスが、好ましくは制御された条件下においてナノ繊維をエレクトロスプレーする上記の一般的方法を示す。500において、適切な分散が確保されるように、容器30中のポリマーと混合する前に、溶媒中の刺激複合物が注意深く超音波で分解される。適切な分散により、結果として、得られた繊維マット全体にわたって刺激粒子が均一に分布される。通常は、24時間以上の超音波による分解の時間が、溶液中の均一な発光複合物懸濁液を得るのに十分である。溶液中におけるポリマーと発光複合物の割合は、通常、2:1から100:1の範囲でありうる。
【0043】
さらに、本発明のある実施形態によると、ポリマー溶液中の刺激粒子の局部的な濃度が高すぎると、これらの複合物の有害な凝集をもたらす。図6Aは、凝集が低い濃度であり、通常、凝集が要因の1つとはならない場合の濃度におけるポリマーマトリクス10内の刺激粒子4(すなわち、量子ドット、発光又は光刺激複合物)の分散の概略図である。図6Bは、凝集が要因の1つとなる場合の濃度におけるポリマーマトリクス10内の量子ドット4の分散の概略図である。小さな粒子が、しばしば、静電気引力を受けるので、凝集が低濃度においてさえ問題となりうる。しかしながら、本発明は、多量のナノ粒子を収容する高表面積ナノ繊維の能力により、考えられる粒子の凝集を減らすように高表面積ナノ繊維を使用する。
【0044】
本発明のある実施形態において、得られた繊維内の発光複合物の均一でない分散をもたらすため、凝集は好ましくない。凝集が、得られた光の放射の色の均一性を変化させうる。さらに、また、放射周波数の赤方偏移及びクエンチング(quenching)による発光強度の低下を引き起こすことにより、凝集が、発光複合物の光学特性を低下させる。
【0045】
例えば、溶媒システムの有機相を変化させること、ナノ粒子が形成される温度を変化させること、ナノ粒子を形成するために使用される反応物質濃度を変化させること、キャッピングの分子化学を変化させること、ナノ粒子を形成する材料の凝固物を制御するために界面活性剤を加えること、粒子核生成の間に電界又は磁界を加えること、ナノ粒子の形成の間に音響エネルギーを与えること等の多くのパラメータを操作することにより、ナノ粒子の粒度分布が制御されることが可能である。
【0046】
キャッピングの分子化学が、ナノ粒子を化学的に安定させるために、例えば、ナノ粒子(すなわち、量子ドット)の周辺におけるシェルの形成を含むことが出来る。溶液を活性化し凝集を防ぐために、界面活性剤(例えば、有機配位子)が周辺に含まれ、シェルの外側に付着されることが可能である。ナノ粒子が乾燥状態で使用され又は形成された場合、このような界面活性剤が、ナノ粒子の凝集の防止に役立つ。あるいは、所望の粒子分布を得るために、粒子核生成の後に、このような電気泳動分離の分離方法が、使用されることが可能である。
【0047】
500において、エレクトロスピニング溶液が、例えば、有機発光材料(染料)、セラミック、有機金属、炭素、及び/又は金属のような添加物を含むことが可能である。例えば、ナノ繊維の屈折率を、TiOといったセラミックのような高誘電率を有する材料を加えることによって増加させることが可能である。所望の物理的、化学的、又は機械的特性を与えるために、添加物が、ポリマーに組み込まれる。通常、エレクトロスピニングの前に、添加物が、ポリマーと混合され、通常、ポリマーとの強い化学結合を形成しない。本発明に適したポリマーに含まれている一般的な添加物の例には、顔料(例えば、二酸化チタン)、導電体(例えば、炭素又は金属フレーク)、紫外線安定剤、及びガラス強化材が含まれる。
【0048】
510において、エレクトロスピニング環境における条件が制御される。発明の名称が“Electrospinning in a Controlled Gaseous Environment”である特許文献2には、エレクトロスプレー環境を制御するための、本発明に適用可能な技術が記載されている。さらに、あらかじめ参照により本願明細書に組み込まれる、発明の名称が“Filter Incorporating Nanofibers,”である米国特許出願において、改良されたエレクトロスピニングプロセスが、記載されている。その中に記載されている方法が、小さな直径のナノ繊維を形成するために、本発明に使用されることが可能であり、小さな直径のナノ繊維の体積比に対して大きな表面が、得られた繊維マットから放射された光の輝度を高めることが可能であり、小さな直径のナノ繊維平均繊維径サイズが、入射光源波長にマッチする適切な大きさとされる。
【0049】
520において、繊維マットの密度及び均一性を改善するために、発明の名称が“Electrospinning of Fibers using a Rotatable Spray Head”である特許文献3における整列された繊維を得るための技術、及び発明の名称が“Filter Incorporating Nanofibers”である特許文献3における技術が使用されることが可能である。
【0050】
(エレクトロスピニングの間におけるナノ繊維上への発光体の組み込み)
上記のような、本発明のある実施形態において、繊維が、得られた繊維マット6と一体化するように、刺激粒子4が、エレクトロスパン繊維2に適応されることが可能である。図7は、本発明の実施形態による発光デバイスを形成する方法を説明するフローチャートであって、エレクトロスピニングプロセスの間に刺激粒子4が、エレクトロスパン繊維に付着される。700において、100から2000nmの間の直径を有するナノ繊維を形成するように、ポリマー溶液が、エレクトロスパンされる。710において、エレクトロスピニングの間に、ナノ繊維が、刺激粒子4でコーティングされる。720において、ナノ繊維が繊維マット6を形成するために集められる。
【0051】
この実施形態において、刺激粒子4が、図2Bに示されるようなナノ繊維の表面又は表面付近に位置されるようになる。700におけるプロセスは、制御された条件下におけるある実施形態のナノ繊維をエレクトロスプレーするための上記の一般的方法を示す500におけるプロセスと同様である。710において、エレクトロスパン繊維が乾燥する前に、刺激粒子4が、エレクトロスパン繊維の表面上に付着される。710において、刺激粒子4が、ポリマー溶液をエレクトロスピンするエレクトロスプレー先端から離れた位置に向かうエレクトロスプレービームによって導入されることが可能である。図4が、エレクトロスピニング環境46内に刺激粒子4を導入するためのエレクトロスプレーユニット48を示す。
【0052】
ナノ繊維の形成と光刺激粒子の付着段階を分離することにより、刺激粒子4の少ない凝集を達成することが可能である。本発明のある実施形態において、例えば、刺激粒子4(例えばエレクトロスプレー溶液からの)を新たなナノ繊維が乾燥する領域に導入することによって、これが達成されることが可能である。エレクトロスプレーを導入する技術において、量子ドットを含む溶媒(例えば、トルエン)の液滴を静電的に分離させることにより、刺激粒子懸濁液のサブミクロンの液滴が、生成される。エレクトロスプレーされた液滴は、高電荷であり(通常、正に帯電され)、ポリマーナノ繊維6の表面への経路の間において、同じ電荷の反発作用により凝集せず、ある実施形態では反対の電荷を運ぶことが可能である。
【0053】
本発明のある実施形態において、ニードル(needle)からの放出の間にナノ繊維が乾燥するので、エレクトロスプレーの位置が、刺激粒子4のナノ繊維2への浸入を制御する。例えば、エレクトロスプレービームが、エレクトロスプレー先端に接近して移動された場合、ナノ繊維が、柔軟になりうるが、これは、これらがさらに溶媒を含み、刺激粒子4が繊維内に深く埋め込まれうるためである。あるいは、エレクトロスプレービームが、エレクトロスプレー先端から離れ、コレクターに接近して移動された場合、ナノ繊維が、さらに乾燥し、刺激粒子が表面に限定されうる。また、刺激粒子を分散させるために使用される溶媒のような他のパラメータが、エレクトロスプレーされた量子ドットの浸入深さに影響を及ぼしうる。
【0054】
710において、エレクトロスパン繊維の乾燥速度に影響を及ぼす(遅らせる)ような、発明の名称が“Electrospinning in a Controlled Gaseous Environment”である特許文献2に記載されたエレクトロスプレー環境を制御するプロセスが、適用可能である。710において、粒子の繊維内への運搬及び組み込みに関連する、発明の名称が“Nanofiber Mats and Production Methods Thereof”である特許文献4に記載されたプロセスが、本発明に適用可能である。
【0055】
720におけるプロセスは、上記の520において記載したプロセスと同様である。
【0056】
(エレクトロスピニング後のナノ繊維上への発光体の組み込み)
本発明のある実施形態において、上記のように、例えば量子ドットのような光刺激粒子が、エレクトロスピニング後に、繊維マットに適応されることが可能である。この実施形態が図8において説明される。本発明のこの実施形態によると、例えば上記の技術のようなエレクトロスピニング法によって、繊維マットが、800において形成される。810において、刺激粒子4を含む溶液が提供される(例えば、図6Aにおけるポリマー溶液)。820において、ナノ繊維マット6が、溶液内に浸漬される。繊維マットが、溶解しないが、繊維マット6内に存在するポリマーをわずかに膨張させるように、溶液が選択される。
【0057】
埋め込みプロセスの間、溶媒により、ポリマーナノ繊維が、膨張しうる。また、ネットワーク内の繊維のこの膨張が、繊維間の空間を広げ、従って、粒子が繊維間を移動することが出来るようにこのネットワーク空間を広げる。従って、ブラウン運動により、粒子が、繊維表面に移動する。繊維マット6が、1分から72時間の間、溶液に浸漬されてよく、表面にゆるく付着されたいずれの粒子の除去を確保するために、20から60秒の間、溶媒で洗い流されてよい。次に、繊維マット6が、支持材上に配置され、使用前に室温下で完全に乾燥されてよい。
【0058】
図9は、図8に説明された方法を使用して準備されたポリマー/量子ドット複合物ナノ繊維の透過電子顕微鏡画像である。図9に示されるような装飾された繊維の透過電子顕微鏡画像において、個々の量子ドット4が、繊維2の外側及び内側の両方に見える。量子ドットの大きさが、ドットの凝集がほぼ存在しないことを示す。
【0059】
図8において記載された本発明の方法に従って形成されたポリマーナノ繊維上の光刺激粒子の面密度が、繊維の浸漬時間、ナノ粒子溶液濃度、溶媒組成及び温度のような変数を変えることによって制御される。ブラウン運動を増加させ、ナノ繊維マトリクス(プロセスにおいて使用された非溶媒と混合された微量溶媒)を軟化させる高温のような因子が、表面被覆率及び繊維上のナノ粒子の埋め込みの程度の両方を制御しうる。顕微鏡法及びプロセスのメカニズムに基づき、量子ドット(又はナノ粒子)の埋め込みが、ナノ繊維の周辺に局部化されうる。
【0060】
繊維又は繊維マットのようなマトリクス内へのナノ粒子の組み込みが、本発明に記載されるが、本発明のこの態様は、エレクトロスピニング及び繊維に制限されるものではない。発光又は光刺激複合物の所定の分布を有するマトリクスを形成するために、上記のエレクトロスピニング、及びスピンコーティング、エアロゾルハンドリング、静電法、充填剤入りのポリマー押し出し成形、自己組織化ナノ層等のような他の従来技術を含む様々なプロセスが、本発明により、使用されることが可能である。これらの例において、マトリクスが、エレクトロスパン繊維である必要はなく、(ナノ粒子の分散を含む溶媒を備えた)マトリクスの溶媒への暴露が、ナノ粒子(すなわち、量子ドット、ナノ蛍光体、又はエレクトロルミネセント粒子)のマトリクスへの埋め込みをもたらしうるホストを提供する。マトリクス材料は、好ましくは、有機ベースであるが、無機ベースを含むゾル−ゲル材料を含むことが可能である。
【0061】
(相対的な発光体分布)
本発明のある実施形態において、本発明の光刺激デバイスを形成するために使用される発光複合物が、例えば量子ドット又はナノ−蛍光体のいずれかを形成するナノ粒子である。量子ドット(すなわち、刺激粒子4)が、第一近似に対して、ナノ粒子の直径によって決まる波長における電磁波を放出する。例えば、2.8nmの公称直径のCdSeナノ粒子が、約530nmの緑色の光を放出し、一方、5.0nmの公称直径のCdSeナノ粒子が、約625nmの赤色の光を放出する。このようなサンプルから生じる発光スペクトルが、図12に示される。蛍光灯用の蛍光体の混合に使用される混合技術と同様な“白色光”を形成するために、特定のナノ粒子(それぞれが、特有の発光波長を有する)の混合が、本発明に使用されることが可能である。
【0062】
本発明のある実施形態において、刺激粒子に対して記載された公称寸法が、(分離(discrete)又は線の(line)放射と比較して)広帯域をもたらす表面構造又は粒度分布の変化を有すことが可能である。例えば、表面欠陥及びトラップの励起により、無機シェル層を含まない狭いサイズの分布の量子ドットが、広帯域発光を示しうる。このような材料の例が、参照によりその全体の内容が本願明細書に組み込まれる非特許文献6に含まれる。同様に、コアシェル量子ドットの広いサイズの分布が、これらを合成するために使用される反応のパラメータを制御することにより形成されることが可能である。広帯域発光が、黒体放射源をエミュレートする。広帯域発光を示す本発明の発光デバイスが、高い演色評価数を有する。
【0063】
本発明のある実施形態において、ナノ粒子が、ナノ粒子の直径によって決まる波長を有する光を放出するため、白色光が、全体にわたって分散された異なる直径のナノ粒子を備えた繊維マットから生成されうる。多数のナノ粒子が、CRIアプローチング(approaching)100を有する黒体放射体のそれのような所望のスペクトルを形成する必要がある全ての波長を形成するまで、例えば、第一直径を有するナノ粒子が、第一波長を有する電磁波を形成し、第二直径を有するナノ粒子が、第二波長を有する電磁波を形成しうる、などである。
【0064】
以下は、様々な励起源に関連して決定されたこのような混合物の実施例である。
【0065】
(実施例1 励起源:450から460nmの青色LED)
発光複合物:粒径2.6から3.2nmのCdSe/ZnSコアシェル量子ドットの単一種(黄色の放射のために構成され、Evident Technologiesから市販されている)。
【0066】
この実施例におけるこのような黄色発光量子ドットが、0.1%から30%の間の重量パーセント(量子ドット重量/繊維重量)で、さらに適切には、所望の光出力によって決まる1%から10%の間の重量パーセントの範囲で、繊維内及び繊維上に組み込まれる。
【0067】
450から460nmの青色LED発光でパッケージされた場合、この実施例において、LEDからの青色光及び光輝性繊維からの黄色発光が、白色光を形成するために混合される。
【0068】
(実施例2 励起源:450から460nmの青色LED)
発光複合物:2つの異なるサイズのCdSe/ZnSeコアシェル量子ドットであって、2.4nm(緑色発光)の第一サイズの粒径及び5.2nm(赤色発光)の第二サイズの粒径を有する(Evident Technologiesから購入)。
【0069】
これらの2つのサイズの発光量子ドットが、0.1%から30%の間の重量パーセント(総量子ドット重量/繊維重量)で、さらに適切には、1%から10%の間の重量パーセントの範囲で、繊維内及び繊維上に組み込まれる。繊維内及び繊維上に組み込まれた緑色粒子と赤色粒子の割合は、0.5:1から4:1の間で変化し、所望の光出力によって決まる。
【0070】
450から460nmの青色LED発光でパッケージされた場合、この実施例において、LEDからの青色光並びに光輝性繊維からの緑色及び黄色発光が、白色光を形成するために混合される。
【0071】
(実施例3 励起源:408nmの紫色LED)
発光複合物:2つの異なるサイズのCdSe/ZnSeコアシェル量子ドットであって、2.4nm(緑色発光)の第一サイズの粒径及び5.2nm(赤色発光)の第二サイズの粒径を有する(Evident Technologiesから購入)。
【0072】
これらの2つのサイズの発光量子ドットが、0.1%から30%の間の重量パーセント(総量子ドット重量/繊維重量)で、さらに適切には、1%から10%の間の重量パーセントの範囲で、繊維内及び繊維上に組み込まれる。繊維内及び繊維上に組み込まれた緑色粒子と赤色粒子の割合は、0.5:1から5:1の間で変化し、所望の光出力によって決まる。
【0073】
408nmの紫色発光LEDでパッケージされた場合、この実施例において、LEDの紫発光と組み合わされた光輝性ナノ繊維による赤色及び緑色の発光を混合することによって、白色光が形成される。
【0074】
(実施例4 励起源:408nmの紫色LED)
発光複合物:3つの異なるサイズのCdSe/ZnSeコアシェル量子ドットであって、1.9nm(青色発光)の第一サイズの粒径、2.4nm(緑色発光)の第二サイズの粒径及び5.2nm(赤色発光)の第三サイズの粒径を有する(Evident Technologiesから購入)。
【0075】
これらの3つのサイズの発光量子ドットが、0.1%から30%の間の重量パーセント(総量子ドット重量/繊維重量)で、さらに適切には、1%から10%の間の重量パーセントの範囲で、繊維内及び繊維上に組み込まれる。繊維内及び繊維上に組み込まれた青色粒子と緑色粒子と赤色粒子の割合は、1:1:0.5から5:5:4の間で変化し、所望の光出力によって決まる。
【0076】
408nmの紫色発光LEDでパッケージされた場合、この実施例において、光輝性ナノ繊維による青色、赤色及び緑色の発光を混合することによって、白色光が形成される。LEDからの可視光放射が、白色光生成物に直接的に寄与しない。
【0077】
(実施例5 励起源:350から370nmの紫外線LED)
発光複合物:3つの異なるサイズのCdSe/ZnSeコアシェル量子ドットであって、1.9nm(青色発光)の第一サイズの粒径、2.4nm(緑色発光)の第二サイズの粒径及び5.2nm(赤色発光)の第三サイズの粒径を有する(Evident Technologiesから購入)。
【0078】
これらの3つのサイズの発光量子ドットが、0.1%から30%の間の重量パーセント(総量子ドット重量/繊維重量)で、さらに適切には、1%から10%の間の重量パーセントの範囲で、繊維内及び繊維上に組み込まれる。繊維内及び繊維上に組み込まれた青色粒子と緑色粒子と赤色粒子の割合は、1:1:0.5から5:5:1の間で変化し、所望の光出力によって決まる。
【0079】
350から370nmの紫外線発光LEDでパッケージされた場合、光輝性ナノ繊維による青色、赤色及び緑色の発光を混合することによって、白色光が形成される。
【0080】
(実施例6 励起源:408nmの紫色LED)
発光複合物:“White−light Emission from Magic Sized Cadmium Selenide Nanocrystals”非特許文献6に記載されているような、白色−光形成CdSeナノ結晶。表面状態からの電荷再結合により、これらのナノ結晶が肉眼では白色にみえる広帯域放射を放射する。
【0081】
これらのナノ結晶が、0.1%から30%の間の重量パーセント(総量子ドット重量/繊維重量)で、さらに適切には、1%から10%の間の重量パーセントの範囲で、繊維内及び繊維上に組み込まれる。
【0082】
408nmの紫色発光LEDでパッケージされた場合、この実施例において、白色光が形成される。LEDからの可視光放射が、白色光生成物に寄与しない。
【0083】
(実施例7 励起源:350から370nmの紫外線LED)
発光複合物:3つの異なるサイズのCdSe/ZnSeコアシェル量子ドットであって、1.9nm(青色発光)の第一サイズの粒径、2.4nm(緑色発光)の第二サイズの粒径及び5.2nm(赤色発光)の第三サイズの粒径を有する(Evident Technologiesから購入)。
【0084】
異なる方法で、粒子が、ナノ繊維に組み込まれる。例えば、赤色及び緑色量子ドットを、エレクトロスピニングに使用されるポリマー溶液と予混合することにより、青色光を吸収することが可能な緑色及び赤色量子ドットが、ナノ繊維の内部に配置されることが可能である(実施形態I)。次に、上記のエレクトロスプレー(実施形態II)又は液相コーティング(実施形態III)法のいずれかを使用し、青色量子ドットが、ナノ繊維の表面に加えられることが可能である。これらの3つのサイズの発光量子ドットが、0.1%から30%の間の重量パーセント(総量子ドット重量/繊維重量)で、さらに適切には、1%から10%の間の重量パーセントの範囲で、繊維内及び繊維上に組み込まれる。繊維内及び繊維上に組み込まれた青色粒子と緑色粒子と赤色粒子の割合は、1:1:0.5から5:5:1の間で変化し、所望の光出力によって決まる。
【0085】
350から370nmの紫外線発光LEDでパッケージされた場合、光輝性ナノ繊維による青色、赤色及び緑色の発光を混合することによって、白色光が形成される。
【0086】
(発光デバイス)
本発明のある実施形態において、発光材料を含むエレクトロスパン繊維マットが、例えばエポキシマトリクスのような被覆材に含まれる。図10は、本発明のある実施形態による、発光ダイオード(LED)が、被覆材を通して、発光又は光刺激粒子を含む繊維にまで、光を結合させる構造を表した概略図である。さらに具体的には、図11が、量子ドット(図示しない)のある分布を有するナノ繊維材料2、4を通して青色光又は紫外線を放射するLED50を示す。LED50によって放射された紫外線又は青色光が、ナノ繊維材料2、4への入射光を構成する。刺激粒子4(例えば、量子ドット)が、入射光を吸収し、それらの特性により、白色光を放射する。繊維マット材料2、4が、例えば、エポキシ被覆材52に被覆される。エポキシ52が、LED50及び繊維マット材料2、4の両方を、完全に又は部分的に被覆してよい。可視光スペクトルの所望の部分にわたる光の放射を形成するために、繊維マット材料2、4が、約1.5nmから10nmでサイズが変化する量子ドットを含んでよい。本発明のある実施形態において、太陽放射と同様な高品質白色光を提供するために、様々な量子ドットの濃度(及び/又は粒度分布)が制御される。
【0087】
他の実施例において、青色発光体の濃度よりも高い赤色発光体の濃度が、他の非−白色光用途のために選択されてよい。従って、本発明により、単色及び特有の色の両方の発光構造が、発光構造のそれぞれの領域における適切な量子ドット発光体の各配置によって形成されることが可能となる。それぞれの発光色(すなわち、白色、赤色、青色、緑色、又は混合色)の作成済み繊維マットが、切断され、それぞれの領域に配置されることが可能であり、例えば、光ファイバーケーブルを通して結合される一般的な光源が、それぞれの領域から異なる光を形成しうる。
【0088】
本発明の他の実施形態によると、エポキシで被覆する前に、マットが、LED50の表面上に直接的に配置されてよい。この配置が、エポキシ内における紫外線の吸収によるエネルギー損失を減らしうる。最大限の吸収効果を得るために、量子ドットのような刺激粒子4が、LEDの近くに集められる。さらに、紫外線光をトラップすることが要求される散乱効果を最適化するために、LEDへのナノ繊維マットの結合の一部として、繊維内における隙間が、シリコーンのような低屈折率ポリマーで満たされてよい。
【0089】
図10は、本発明のある実施形態による、発光ダイオード(LED)50が、刺激粒子4を含む繊維2をその中に含む被覆材52を通して光を結合する構造を表した概略図である。この実施形態において、図10に示されるように、刺激粒子4を含むナノ繊維マットが、分離され(例えば刻まれ)、エポキシ被覆材52、例えば、通常LEDsに使用される被覆材にフィラーとして加えられている。代替の方法では、エポキシのせん断(shear)によって繊維を分散する。ナノ繊維が、透明エポキシの可視光透明性に干渉しえないので、エポキシの光学特性が影響を受けない。
【0090】
従来技術と比較し、本発明の様々な実施形態のいくつかの利点には、1)広いスペクトル放射を備えた発光材料の提供が、本発明の光刺激デバイスにナノ粒子の分布を組み込むことにより可能となること;2)このような構造の形成が、現在蛍光体に使用される電気泳動法又はキャスティング法よりも少ない溶媒を必要とすること;3)発光材料の発光、透過及び散乱特性が、ナノ粒子(すなわち、粒子密度、サイズ、組成等)及びナノ繊維形状(すなわち、長さ、直径等)の選択を通して別々に制御されることが可能になること;4)高表面積及び繊維形状の制御により、光輝性のコンバーターのさらに効果的な操作を可能にすること;及び5)完成したデバイスにおいてナノ粒子を操作及び処理するために、代替の方法よりも、さらに便利なプロセスを提供することが含まれる。
【0091】
上記教示を考慮し、本発明の多くの修正及び変化が可能である。従って、添付の特許請求の範囲の範囲内において、本発明が、本願明細書に具体的に記載された以外で実施されてよいと理解される。
【符号の説明】
【0092】
2 繊維
4 発光粒子
6 繊維マット
10 ポリマーマトリクス
21 エレクトロスピニング装置
22 チャンバー
24 エレクトスピニング素子
26 繊維
28 コレクター
30 供給容器
32 電界
34 高電圧源
42 液体ジェット
46 エレクトロスピニング環境
48 エレクトロスプレーユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺激光の放射用のデバイスであって、
100から2000nmの間の範囲の平均繊維径を有するナノ繊維、及び
前記ナノ繊維に結合して配置され、波長xの一次光を受けて二次光を放射するように構成された複数の光刺激粒子、
を含む繊維マットを備え、
前記繊維マット内に前記一次光に対する散乱部を提供するように、前記平均繊維径が、前記波長xと同等の大きさを有する刺激光の放射用のデバイス。
【請求項2】
前記平均繊維径が、300から600nmの間の範囲にある請求項1のデバイス。
【請求項3】
前記平均繊維径が、400nmから500nmの間の範囲にある請求項2のデバイス。
【請求項4】
前記平均繊維径が、前記波長xの0.50から1.50倍の範囲にある請求項1のデバイス。
【請求項5】
前記平均繊維径が、前記波長xの0.9から1.10倍の範囲にある請求項4のデバイス。
【請求項6】
前記波長xが、300から600ナノメートルの間の範囲にある請求項1のデバイス。
【請求項7】
前記波長xが、400から500ナノメートルの間の範囲にある請求項6のデバイス。
【請求項8】
前記繊維マットが、0.01マイクロメートルから2000マイクロメートルの間の範囲の厚さを有する請求項1のデバイス。
【請求項9】
前記繊維マットが、1から500マイクロメートルの間の範囲の厚さを有する請求項1のデバイス。
【請求項10】
前記刺激粒子が、発光粒子を含む請求項1のデバイス。
【請求項11】
前記発光粒子が、量子ドット及びナノ−蛍光体の少なくとも1つを含む請求項10のデバイス。
【請求項12】
前記量子ドットが、シリコン、ゲルマニウム、リン化インジウム、インジウムガリウムリン、リン化インジウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、硫化鉛、酸化銅、セレン化銅、ガリウムリン、硫化水銀、セレン化水銀、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、ケイ酸亜鉛、硫化チタン、酸化チタン、及び酸化スズの少なくとも1つを含む請求項11のデバイス。
【請求項13】
前記ナノ−蛍光体が、Y:Tb,Y:Eu3+,Lu:Eu3+,CaTiO:Pr3+,CaO:Er3+,及び(GdZn)O:Eu3+を含む希土類ドープ金属酸化物;、YAG:Ce3+を含む希土類ドープイットリウムアルミニウムガーネット(YAG);、ZrO:Sm3+及びZrO:Er3+を含む希土類ドープジルコニウム酸化物;、(YVO:Eu)及び(La,Ce,Tb)POを含む希土類ドープバナジウム酸塩及びリン酸塩;、Gd,GdOS,PbO,ZnO,ZnS及びZnSeの1つを含むホストマトリクスを有し、Eu,Tb,Tm及びMnのドーパントの1つを含むドープ材料;、並びに、ZnS:Mn2+及びZnS:Cuを含む硫化亜鉛及びセレン化亜鉛型の金属−ドープ;の少なくとも1つを含む請求項11のデバイス。
【請求項14】
前記ナノ−蛍光体が、希土類ドープYAG、希土類ドープZnS、及び希土類ドープZnSeの少なくとも1つを含む請求項11のデバイス。
【請求項15】
前記刺激粒子が、前記一次光からそれぞれの二次光を放射するように構成された複数の特有の色の発光体を含む請求項1のデバイス。
【請求項16】
前記繊維マットから透過された前記一次光及び前記繊維マットから放射された前記二次光が、70以上の演色評価数を有する結果として生じる白色光を形成する請求項15のデバイス。
【請求項17】
前記繊維マットから透過された前記一次光及び前記繊維マットから放射された前記二次光が、80以上の演色評価数を有する結果として生じる白色光を形成する請求項15のデバイス。
【請求項18】
前記繊維マットから放射された前記二次光が、70以上の演色評価数を有する結果として生じる白色光を形成する請求項15のデバイス。
【請求項19】
前記繊維マットから放射された前記二次光が、80以上の演色評価数を有する結果として生じる白色光を形成する請求項15のデバイス。
【請求項20】
前記刺激粒子が、前記ナノ繊維の表面又は体積中に配置される請求項1のデバイス。
【請求項21】
前記刺激粒子が、前記繊維マット内に含まれる請求項1のデバイス。
【請求項22】
前記繊維マットを包み込む透明な被覆材をさらに含む請求項1のデバイス。
【請求項23】
前記一次光を形成するように構成された発光ダイオードをさらに含む請求項1のデバイス。
【請求項24】
前記発光ダイオード及び前記繊維マットを包み込む透明な被覆材をさらに含む請求項23のデバイス。
【請求項25】
前記ナノ繊維が、有機及び無機繊維の少なくとも1つを含む請求項1のデバイス。
【請求項26】
前記ナノ繊維が、ポリマーを含み、
前記ポリマーが、ポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリスチレン、ポリサルフォン、ポリラクチド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(ビニルアルコール)、それら誘導体、関連ポリマー、ポリシリコーン、ポリサルフォン、及びそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む請求項1のデバイス。
【請求項27】
前記ナノ繊維が、前記繊維マット内の前記ナノ繊維の屈折率及び導電率の少なくとも1つを変化させる添加物を含む請求項1のデバイス。
【請求項28】
前記ナノ繊維が、2つの群の繊維を含む請求項1のデバイス。
【請求項29】
前記2つの群が、異なる材料を有する繊維を含む請求項28のデバイス。
【請求項30】
前記2つの群が、異なる平均繊維径を有する繊維を含む請求項28のデバイス。
【請求項31】
一次光源、
100から2000nmの間の範囲の平均繊維径を有するナノ繊維を含む繊維マット、及び、
前記ナノ繊維に結合して配置され、波長xの前記一次光源からの光を受けて二次光を放射するように構成された複数の光刺激粒子
を備え、
前記繊維マット内に前記一次光に対する散乱部を提供するように、前記平均繊維径が、前記波長xと同等の大きさを有する照明器具。
【請求項32】
前記平均繊維径が、400nmから500nmの間の範囲にある請求項31の照明器具。
【請求項33】
発光ダイオードが、前記波長xが、400から500ナノメートルの間の範囲にあるものを放射するように構成された請求項31の照明器具。
【請求項34】
前記繊維マットが、1から500マイクロメートルの間の範囲の厚さを有する請求項31の照明器具。
【請求項35】
前記刺激粒子が、量子ドット及びナノ−蛍光体の少なくとも1つを含む請求項31の照明器具。
【請求項36】
前記刺激粒子が、前記一次光からそれぞれの二次光を放射するように構成された複数の特有の色の発光体を含む請求項31の照明器具。
【請求項37】
前記一次光源及び前記繊維マットを包み込む透明な被覆材をさらに含む請求項31の照明器具。
【請求項38】
前記一次光源が、発光ダイオード、発光ダイオードアレイ、レーザー、及びレーザーダイオードアレイの少なくとも1つを含む請求項31の照明器具。
【請求項39】
刺激粒子を含むポリマー溶液をエレクトロスピンする段階、
エレクトロスパン溶液から、100から2000nmの間の直径を有し、前記刺激粒子を含むナノ繊維を形成する段階、及び
繊維マットを形成するように、前記ナノ繊維を集める段階を含む発光繊維マットを形成する方法。
【請求項40】
前記繊維マットに表面コーティングを提供する段階をさらに含む請求項39の方法。
【請求項41】
100から2000nmの間の直径を有するナノ繊維を形成するように、ポリマー溶液をエレクトロスピンする段階、
前記エレクトロスピンする段階の間に、刺激粒子を用いて、前記ナノ繊維をコーティングする段階、及び
繊維マットを形成するように、前記ナノ繊維を集める段階を含む発光繊維マットを形成する方法。
【請求項42】
コーティングする段階が、
前記ポリマー溶液をエレクトロスピンするエレクトロスプレー先端から離れた位置に向かうエレクトロスプレービームによって前記刺激粒子を導入する段階を含む請求項41の方法。
【請求項43】
前記コーティングする段階が、
前記ナノ繊維内に前記刺激粒子を埋め込む段階を含む請求項41の方法。
【請求項44】
前記繊維マットに表面コーティングを提供する段階をさらに含む請求項41の方法。
【請求項45】
100から2000nmの間の直径を有するナノ繊維を形成するように、ポリマー溶液をエレクトロスピンする段階、
繊維マットを形成するように、前記ナノ繊維を集める段階、及び
刺激粒子を用いて前記繊維マットをコーティングする段階を含む発光繊維マットを形成する方法。
【請求項46】
前記コーティングする段階が、
前記刺激粒子を含む溶媒に前記繊維マットを浸漬する段階を含む請求項45の方法。
【請求項47】
前記刺激粒子を含む前記溶媒の超音波で分解された溶液を提供する段階をさらに含む請求項45の方法。
【請求項48】
前記溶液から前記繊維マットを取り出す段階、及び前記繊維マットから前記溶媒を乾燥する段階をさらに含む請求項45の方法。
【請求項49】
前記繊維マットに表面コーティングを提供する段階をさらに含む請求項45の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−509735(P2010−509735A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536434(P2009−536434)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/083743
【国際公開番号】WO2008/063866
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(500240896)リサーチ・トライアングル・インスティチュート (36)
【Fターム(参考)】