発光制御装置及び発光制御方法
【課題】 発光素子の特性変化を検出するためのコストが増大することを抑制する。
【解決手段】 測定モードにおいて、常温下の(周辺温度が25℃での)パルス幅データを変数P2として記憶しておくと共に、パルス幅データと輝度の相関を変数P5として計算して記憶しておく。そして、表示モードにおいて、映像信号を表示しているときのパルス幅データを受信すると、そのパルス幅データと、常温下の(周辺温度が25℃での)パルス幅データと、パルス幅データと輝度の相関とを用いて、温度の変化によって生じた輝度変化を計算する。そして、周辺温度が常温以下の場合には、計算した輝度変化に応じて目標電流Itを再設定し、LEDの駆動電流が再設定した目標電流Itとなるようにする。一方、周辺温度が常温よりも大きい場合には、計算した輝度変化を打ち消すように、映像信号の輝度データを補正する。
【解決手段】 測定モードにおいて、常温下の(周辺温度が25℃での)パルス幅データを変数P2として記憶しておくと共に、パルス幅データと輝度の相関を変数P5として計算して記憶しておく。そして、表示モードにおいて、映像信号を表示しているときのパルス幅データを受信すると、そのパルス幅データと、常温下の(周辺温度が25℃での)パルス幅データと、パルス幅データと輝度の相関とを用いて、温度の変化によって生じた輝度変化を計算する。そして、周辺温度が常温以下の場合には、計算した輝度変化に応じて目標電流Itを再設定し、LEDの駆動電流が再設定した目標電流Itとなるようにする。一方、周辺温度が常温よりも大きい場合には、計算した輝度変化を打ち消すように、映像信号の輝度データを補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光制御装置及び発光制御方法に関し、特に、発光ダイオード(LED)等の発光素子を発光させるために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
<背景技術1>
近年のLEDの技術進歩は目覚しく、発光効率が上昇すると共に、パワーLEDとして大電流を流すことが可能となっている。LEDは、信号灯、車のヘッドランプのみならず、液晶テレビのバックライトやプロジェクタの光源として使用されてきている。
LEDは、電流に比例して発光量が増加する特性を持つ。ところが、LEDは、電流が増加すると共にジャンクション温度が上昇して発光効率が低くなる。したがって、ある程度以上の電流になると、LEDに流す電流を増加しても発光量は上がらなくなる。
【0003】
図14は、市販されているパワーLEDにおけるジャンクション温度と相対輝度との関係を示す図である。図14では、パワーLEDの順方向電流IFが500mAである場合の関係を示している。
図14に示すように、ジャンクション温度が上がるに連れ、相対輝度は減少する。パワーLEDに同じ電流を流しても、発光色の違いにより、相対輝度は異なるものになる。具体的に、ジャンクション温度Tjが100℃のときの青色LED、緑色LED、赤色LEDの輝度は、夫々、ジャンクション温度Tjが25℃のときの輝度の65%、60%、55%となる。また、青、緑、赤夫々の色のLEDの輝度は、同じカーブで減少するのではなく、異なるカーブで減少する。このためホワイトバランスも温度によって変化してしまう。
【0004】
このような問題を克服するため、特許文献1には、LEDの近辺に温度センサを設け、温度センサの出力を用いて、LEDの駆動電流を制御する方法が開示されている。
また、特許文献2には、LEDの順方向電圧の測定結果と、順方向電圧と温度との関係が登録されたテーブルと、を用いて、LEDの温度を求め、求めたLEDの温度に基づいてLEDの駆動電流の指令値を決定し、LEDの電流を制御する方法が開示されている。
図15は、市販されているパワーLEDを定電流(IF=500mA)で駆動したときのジャンクション温度と順方向電圧との関係を示す図である。
図15に示すように、ジャンクション温度Tjが25℃のときに3.5Vである順方向電圧は、ジャンクション温度Tjが90℃になると3.3Vに低下する。このように、ジャンクション温度Tjが1℃低下すると、順方向電圧は約3mV低下する。特許文献2では、このような特性を利用して、順方向電圧と温度との関係を示すテーブルを作成し、作成したテーブルを参照して、LEDの温度を求めている。
【0005】
また、特許文献3には、LEDに測定用電圧を印加したときの駆動電流を測定し、測定した結果と、LEDの電圧と駆動電流との関係がジャンクション温度毎に登録されたテーブルと、を用いてLEDのジャンクション温度を算出する方法が開示されている。
更に特許文献3には、LEDの光量を測定し、測定した結果と、LEDの駆動電流と光量との関係がジャンクション温度毎に登録されたテーブルと、を用いて、LEDのジャンクション温度を算出する方法が開示されている。
【0006】
<背景技術2>
また、LEDの温度変化に基づき、LEDの光量を補正する技術がある。
特許文献4には、LEDの温度を検出した結果に基づいて、LEDからの照明光の光量の目標値を、ホワイトバランス調整部により補正し、補正した目標値になるようLEDからの照明光の光量を補正する方法が開示されている。
また、特許文献5には、LEDの温度と光量との検出結果を用いて、青色のLEDに一定の駆動電流が供給されるようにし、その一定の駆動電流に基づいて、赤色、緑色のLEDに所定の駆動電流が供給されるようにする方法が開示されている。
【0007】
<背景技術3>
また、LEDの応答性が速い特長を生かし、LEDの低消費電力を実現する技術がある。
特許文献6には、入力映像信号の最大輝度レベルを映像フレーム毎に検出し、その最大輝度レベルに応じて、LEDの光量を制御し、入力映像信号の輝度レベルを補正する技術が開示されている。
図16は、入力映像信号の輝度レベルを補正する方法を概念的に示す図である。
図16(a)、図16(b)は、一般的な方法を示し、図16(c)、図16(d)は、特許文献6による方法を示している。
図16では、映像表示画面161に赤色の画素を表示した際のLEDの光量と画素毎の輝度レベルとを表している。
図16(a)、図16(b)に示すように、一般的な方法では、赤色の画素の最高輝度レベルが変化しても、赤色LEDの光量は100%で変化しない。
図16(c)に示すように、特許文献6の方法でも、赤色の画素の最高輝度レベルが100%である場合には、赤色のLEDの光量は100%であり、各画素の輝度レベルも、図16(a)、図16(b)に示した一般的な方法と同じである。一方、図16(d)に示すように、赤色の画素の最高輝度レベルが30%である場合には、赤色のLEDの光量を30%に低下させ、その分映像信号における赤色の輝度レベルを30%から100%、15%から50%に夫々上昇させる。このような処理を行うことにより、映像表示での輝度は同じであるにもかかわらず、LEDの光量を低下させることができ、LEDの消費電力を低減することが可能となる。
【0008】
【特許文献1】特開2002−64223号公報
【特許文献2】特開2005−129598号公報
【特許文献3】特開2005−115350号公報
【特許文献4】特開2005−208231号公報
【特許文献5】特開2006−59605号公報
【特許文献6】特開平11−109317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述した背景技術1では、発光素子の輝度変化等の特性変化を検出するためのコストが高くなるという課題があった。また、発光素子を間歇駆動した場合に発光素子の温度を正確に検出することが困難であるという課題があった。
【0010】
具体的に特許文献1では、LEDの温度を検出するための温度センサが必要となると共に、LEDの駆動回路の製造コストが高くなる。また、温度センサをLEDの近傍に取り付けたとしても、LEDのジャンクション温度を正確にモニターすることができない。
【0011】
ここで、LEDを間歇駆動した場合について説明する。
図17は、市販されているLEDを間歇駆動した場合の温度の変化を示す図である。図17では、LEDの順方向電流IFが1.2Aである場合の温度の変化を示している。また、図17では、LEDとその駆動回路とが配置される筐体の温度501と、温度センサの検出温度502と、LEDのジャンクション温度503とを示している。
【0012】
図17において、LEDが駆動している期間(駆動ON期間)に、温度センサの検出温度502は上昇していない。それにも関わらず、LEDのジャンクション温度503は、最大で20℃以上上昇している。すなわち、LEDを間歇駆動する場合、温度センサでは、LEDのジャンクション温度を正確にモニターすることができないという課題がある。
【0013】
また、特許文献2でも、LEDの駆動電流を制御する回路として、大電流の制御が可能なFET等を用いる必要があり、やはり製造コストが高くなるという課題がある。パワーLEDを用いる場合に、特に製造コストが高くなる。
更に、特許文献3でも、LEDに測定用電圧を印加するための回路と、測定用電圧供給時と通常使用時とでLEDに供給する電圧を切り替えるスイッチとが必要になる。また、LEDの光量を測定する際は、その光量を測定するためのセンサが必要となる。よって、製造コストが高くなるという課題がある。
【0014】
また、背景技術2では、発光素子の特性変化に対応すべく光量や映像信号を補正する際に、発光素子の温度が異常に上昇する虞があり、映像表示に大きな影響を与える虞があるという課題があった。
具体的に特許文献4では、ホワイトバランス調整部により、LEDからの照明光の光量の目標値を補正している。しかしながら、LED、特にパワーLEDは、発熱量が大きい。したがって、ヒートシンクとFANとによってLEDを冷却しても、LEDのジャンクション温度は、周辺温度に比べて、60℃〜80℃程度高くなる。LEDの輝度の低下を補正するためにLEDの駆動電流を多くすると、その分装置の温度上昇が大きくなる。したがって、周辺温度が高い場合には、LEDのジャンクション温度の絶対最大定格(100℃〜120℃)を超える虞があり、LEDの劣化又は破壊につながる虞がある。
また、特許文献5でも、赤色、緑色のLEDの電流を補正することにより装置の温度上昇が増加するので、前述した特許文献4と同様の課題が生じる。
【0015】
また、背景技術3では、LED等の温度変化を考慮して、発光素子の特性変化に対応した補正を行うことが困難であるという課題があった。
特許文献6では、LEDの光量を映像フレーム毎に制御して、入力映像信号の輝度レベルを補正している。しかしながら、各映像フレームにおける温度変化により生じる発光素子の特性変化を検出することはできなかった。
【0016】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、発光素子の特性変化を検出するためのコストが増大することを抑制することを第1の目的とする。
また、発光素子の特性変化に対応する補正する際に、発光素子の温度が上昇することを抑制することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の発光制御装置は、発光素子に供給される電圧を制御するための電圧制御データに基づいて、前記発光素子を駆動する駆動手段と、前記電圧制御データを用いて、前記発光素子の特性変化を導出する導出手段とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明の発光制御方法は、発光素子に供給される電圧を制御するための電圧制御データに基づいて、前記発光素子を駆動する駆動ステップと、前記電圧制御データを用いて、前記発光素子の特性変化を導出する導出ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発光素子に供給される電圧を制御するための電圧制御データを用いて、発光素子の特性変化を導出するので、特別な部品を用いることなく、発光素子の特性変化を検出することができる。したがって、発光素子の温度特性に伴う輝度変化等の特性変化を検出するためのコストが増大することを抑制することができる。
また、本発明の他の特徴によれば、発光素子から発光される光に基づいて表示される映像信号の輝度レベルの補正を行うか、発光素子に流す電流の目標値又は発光素子に供給されるパルス信号の補正を行うかの何れかを、周辺温度に応じて選択する。したがって、発光素子の特性変化を補正する際に、発光素子の温度が上昇することを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下に、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態を説明する。本実施形態では主として、発光素子の特性変化を検出するためのコストが増大することを抑制することと、発光素子の特性変化を補正する際に、発光素子の温度が上昇することを抑制することとを目的としている。
図1は、映像表示装置の一例であるフロントプロジェクタの概略構成の一例を示す図である。
図1において、CPU1は、内蔵するROMにより装置全体の制御を実行する。メモリ2は、CPU1での制御に必要な変数等を記憶する。LED駆動回路3〜5は、発光素子の一例であるLEDを定電流で駆動し、所定の電圧をLEDに供給するための回路である。また、LED駆動回路3〜5は、インターフェース(I/F)を介してCPU1から目標電流を受信する。更に、LED駆動回路3〜5は、測定されたLEDの駆動電流に関するデータと、LEDの駆動電圧を制御するためのパルス信号のパルス幅に関するパルス幅データとをCPU1へ送信する。尚、LED駆動回路3〜5の構成の詳細については、図2を参照しながら後で説明する。
【0021】
FAN6はLEDを冷却(空冷)するためのものである。映像入力部7は、コンポーネント、コンポジット等のアナログ映像信号や、HDMIインターフェース規格、DVIインターフェース規格等に基づくデジタル映像信号を受信する。
映像処理部8は、映像入力部7に入力された映像信号に対し、解像度変換やエッジ強調等の高画質化処理を行う。
映像信号補正部9は、必要に応じて、映像処理部8で高画質化処理が行われた映像信号の各画素の輝度値を、LEDの輝度変化に関する情報に基づいて、画素毎に補正する。映像信号補正部9で補正された映像信号は、ライトバルブ30〜32に供給される。
電源回路10は、LEDを発光するためにLED駆動回路3〜5に所定の電圧を供給すると共に、各処理ブロックへ所定の電圧を供給する。
【0022】
本実施形態では、ライトバルブ30〜32として、透過型液晶構造の液晶パネルを使用している。すなわち、ライトバルブ30〜32は、LEDから発光された光を背面から受け、"液晶の歪"の具合により、受けた光の透過量を可変して、映像信号に応じた光を透過させる。
【0023】
LED駆動回路3〜5から出力される所定の電圧は、夫々緑色LED群14、青色LED群15、赤色LED群16に供給される。
緑色LED駆動回路3から電圧供給を受ける緑色LED群14は、4個のLEDを備えて構成される。緑色LED群14は、緑色の光を発光し、レンズ50を介して、緑色用のライトバルブ30を背面から投射する。これにより映像信号に応じた緑色の光が生成され、プリズム53に導かれる。
【0024】
青色LED駆動回路4から電圧供給を受ける青色LED群15は、2個のLEDを備えて構成される。青色LED群15は、青色の光を発光し、レンズ51を介して、青色用のライトバルブ31を背面から投射する。これにより映像信号に応じた青色の光が生成され、プリズム53に導かれる。
赤色LED駆動回路5から電圧供給を受ける赤色LED群16は、2個のLEDを備えて構成される。赤色LED群16は、赤色の光を発光し、レンズ52を介して、赤色用のライトバルブ32を背面から投射する。これにより映像信号に応じた赤色の光が生成され、プリズム53に導かれる。
【0025】
本実施形態では、緑色のLEDを4個使用し、青色及び赤色のLEDを夫々2個使いにしている。目に与える反応は緑色が一番弱い。このため、緑色の光量を増やす必要があり、緑色のLEDの使用個数を、他の色のLEDの使用個数よりも多くしている。
プリズム53は、受光した"緑色、青色、及び赤色の映像信号に応じた投射光"を合成して出力する。プリズム53から出力された投射光は、レンズ54を介して、表示装置の一例であるスクリーン55に投射される。これにより、映像がスクリーン55上に表現される。
輝度測定装置17は、後述する図5のような処理を行う測定モードで用いられる装置である。この測定モードの処理は、工場の検査工程で実行される。輝度測定装置17は、この測定モードで各色の輝度を測定し、測定した輝度に関するデータをCPU1に伝達する。
以上の構成により、映像入力部7で受信した映像信号を、スクリーン55上に表現するフロントプロジェクタが実現できる。尚、図1では、フロントプロジェクタの主要な構成だけを示しており、クロック発生回路や操作パネル等を示していない。しかしながら、フロントプロジェクタを構成する上では、これらも当然に必要である。
【0026】
図2は、緑色LED駆動回路3の詳細な構成の一例を示す図である。尚、青色LED駆動回路4及び赤色LED駆動回路5の構成は、緑色LED駆動回路3と同じであるので、ここでは、それらの構成の詳細な説明を省略する。
図2において、電源回路10は、緑色LED駆動回路3に、例えば8Vの直流電圧を供給する。コイル11は、電源回路10から供給された直流電圧を、ダイオード12、FET26、及びコンデンサ13と共に昇圧するためのものである。このように、本実施形態では、緑色LED駆動回路3は、昇圧型スイッチング電圧回路を含む構成を有している。
【0027】
ダイオード12は、FET26がOFF状態になったときに、コイル11から供給される電流を、コンデンサ13と、負荷であるLED群14とに導く。
コンデンサ13は、ダイオード12から出力された電流を平滑するための平滑用コンデンサである。
ここで、コイル11、ダイオード12、FET26、及びコンデンサ13で校正される電圧昇圧回路の出力電圧は、下記の(式1)で、一般に表される。
Vo={(Ton+Toff)/Toff}×Vi ・・・(式1)
ただし、Viは電源回路10からの入力電圧であり、Voはコンデンサ13の両端の電圧であり、TonはFET26のon時間であり、Toff:FET26のoff時間である。
また、一般に、異常動作防止のため、Ton>ToffにならないようにFET26を後述のPWMコントローラ25は制御する。
緑色LED群14は、供給された電流に応じた輝度で、照明光を発光する。前述したように、緑色LED群14からの照明光は、レンズ50を介して、緑色用のライトバルブ30に供給される。
【0028】
抵抗19は、緑色LED群14に流れる電流を検出するためのものである。抵抗19に流れる電流の変動に応じて、抵抗19の両端の電圧が変動する。よって、抵抗19に流れる電流を検出することにより、緑色LED群14に流れる電流を検出することができる。尚、抵抗19の値(抵抗値)を大きくしすぎると、無駄な電力が発生することになる。一方、抵抗19の値(抵抗値)を小さくしすぎると、後述するADコンバータ27でのデジタル変換時の誤差が大きくなってしまう。この為、図示していないが、抵抗19で検出された電流値を増幅するためのAMP回路を抵抗19の出力側に設けている。
尚、本実施形態では、抵抗19により電流を検出し、後述するPWMコントローラ25により、抵抗19に流れる電流を一定にするよう制御する。よって、緑色LED駆動回路3は、定電流型スイッチング電圧回路を含む構成を有している。
【0029】
LED駆動用IC20は、インターフェース24と、PWMコントローラ25と、FET26と、ADコンバータ27と、発振器28とを含んでいる。
インターフェース24は、図1に示したCPU1から、LED群14を駆動するための電流の目標値(以下、必要に応じて電流目標値と称する)を入手し、後述するPWMコントローラ25に伝達する。
また、インターフェース24は、後述するADコンバータ27によりデジタル化された電流(抵抗19で検出された"LED群14の駆動電流")をCPU1に伝達する。
また、インターフェース24は、後述するPWMコントローラ25により生成されるパルス信号のパルス幅に関するパルス幅データを入手し、CPU1へ伝達する。
【0030】
ADコンバータ27は、抵抗19で検出された"LED群14の駆動電流"をデジタル信号に変換する。
発振器28は、通常のLED駆動用IC20では、300KHz〜1MHzの周波数の"のこぎり波"を発生する。本実施形態では、発振器28は、500KHzの"のこぎり波"を発生するものとする。
【0031】
PWMコントローラ25は、ADコンバータ27から受け取った"LED群14の駆動電流のデジタル信号"に基づいて得られるLED群14の駆動電流値と、インターフェース24から受け取った目標電流値との差分を求める。そして、PWMコントローラ25は、求めた差分に基づいて、内蔵のパルス幅カウンタ23をカウントアップ又はカウントダウンし、そのパルス幅カウンタ23のカウント値をパルス幅データとして記憶する。パルス幅カウンタ23に記憶されたパルス幅データは、インターフェース24を経由して、CPU1に伝達される。
尚、本実施形態では、パルス幅カウンタ23は12ビットのカウンタであり、0から4096までをカウントする。すなわちパルス幅カウンタ23は、4096の分解能をもっている。
また、PWMコントローラ25は、パルス幅カウンタ23で得られるパルス幅データを、内蔵のDAC回路29によりアナログ信号に変換してFET26へ供給する。すなわち、PWMコントローラ25は、FET26へ供給するパルス信号のパルス幅を変調する。
【0032】
パルス幅カウンタ23、DAC回路29、及びFET26は、ADコンバータ27から得られるLED群14の駆動電流値と、インターフェース24から受け取った目標電流値との差分を徐々に縮小するよう動作する。そして、最終的には、ADコンバータ27から得られるLED群14の駆動電流値と、インターフェース24から受け取った目標電流値とが等しくなるようにする。
尚、PWMコントローラ25のPWMは、Pulse width Modulation(パルス幅変調)の略である。
【0033】
以上のようにして、緑色LED駆動回路3が構成される。本実施形態において特に重要なことは、緑色LED群14の特性変化量をCPU1が求めることができるように、定電流駆動の緑色LED駆動回路3が、パルス幅データをCPU1に伝達することである。詳細については図5及び図6を参照しながら後述するが、本実施形態では、CPU1は、このパルス幅データに基づいて、LED群14〜16の特性変化量の一例である輝度変化量を求めるようにしている。
【0034】
次に、図3を用いて、PWMコントローラ25の動作を説明する。
図3は、PWMコントローラ25にて生成されるパルス信号の一例を示す図である。
図3において、のこぎり波101は、前述したように、発振器28から供給されるものであり、500KHzの周波数を有している。
閾値レベル102、103は、パルス幅カウンタ23により記憶されているパルス幅データを、DAC回路29によりアナログ化することにより得られる閾値レベルである。
パルス幅データは、具体的に、以下の(式2)で表される。
パルス幅データ=Ton/((Ton+Toff)/2)×分解能 ・・・(式2)
ただし、分解能=4096
【0035】
閾値レベル102は、2048の値を有するパルス幅データ(=0.5uS/1uS×4096=2048)の閾値レベルである。また、閾値レベル103は、3276の値を有するパルス幅データ(=0.8uS/1uS×4096=3276)の閾値レベルである。
パルス信号104は、閾値レベル102で生成されるパルス信号であり、パルス信号105は、閾値レベル103で生成されるパルス信号である。このようにして生成されたパルス信号104、105がFET26に供給される。FET26は、供給されたパルス信号104、105に基づくスイッチング動作を行い、図2に示したコイル11、ダイオード12、コンデンサ13と共に、供給されたパルス信号104、105から任意の電圧を生成する。
【0036】
パルス信号104、105から生成される電圧Voは、回路のロスを無視すると、前述したように(式1)で表される。(式1)に示すように、パルス信号104、105のON時間Tonが長いほどパルス信号104、105から生成される電圧は高くなり、短いほど低くなる。
【0037】
例えば、図3に示したパルス信号104、105の一例では、電源回路10から供給される直流電圧が8V、発振器28の周波数が500KHzであるので、パルス信号104から生成される電圧は、以下の(式3)により10.7Vとなる。ただし、図3に示すように、パルス信号104のON時間Tonは0.5μsであり、OFF時間Toffは1.5μsであるとする。
Vo={(0.5+1.5)/1.5}×8=10.7V ・・・(式3)
また、パルス信号105生成される電圧は、以下の(式4)により13.3Vとなる。ただし、図3に示すように、パルス信号105のON時間Tonは0.8μsであり、OFF時間Toffは1.2μsであるとする。
Vo={(0.8+1.2)/1.2}×8=13.3V ・・・(式4)
(Ton=0.8uS,Toff=1.2uS)で
【0038】
ここで重要なことは、パルス信号104、105により生成される電圧Voは、(式1)で表され、電源回路10から供給される直流電圧Viが一定であれば、パルス信号104、105のON時間TonとOFF時間Toffとに依存することである。また、パルス信号104、105のON時間TonとOFF時間Toffは、閾値レベル102、103と、閾値レベル102、103を設定しているパルス幅データとに依存している。したがって、パルス信号104、105により生成される電圧Voは、パルス幅データに依存する。
本実施形態では、この点に着目し、パルス信号104、105により生成される電圧Vo(LEDの順方向電圧)の代わりに、パルス幅データを用いて、LEDの順方向電圧の温度依存性を検出している。
以上のように本実施形態では、LED駆動回路3〜5を用いて駆動手段が実現される。また、本実施形態では、FET26を用いてスイッチ素子が実現され、パルス幅データにより電圧制御データが実現され、PWMコントローラ25を用いて生成手段が実現される。
【0039】
図4は、測定モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。測定モードの処理は、例えば、工場検査時、25℃程度の常温下の環境で、パルス幅データと輝度との関係を記憶するものである。また、工場検査時においては、検査装置として、図1に示した輝度測定装置17を用い、輝度測定装置17で測定された輝度を、CPU1に伝達する環境を備える。
【0040】
ステップS130において、CPU1は、目標電流Itを例えば500mAにセットし、セットした目標電流ItをLED駆動回路3〜5に送信する。目標電流Itは、各LED駆動回路3〜5が備えるインターフェース24を介して、PWMコントローラ25に送られる。
LED駆動回路3〜5は、目標電流Itを受信すると、図2を用いて説明したように、定電流駆動を開始する。
【0041】
次に、ステップS131において、CPU1は、測定パターンをスクリーン55に表示させる。この測定パターンの表示は、赤色、青色、及び緑色のLEDの輝度を測定するための表示である。本実施形態では、それぞれの色をストライプ状に表示したものを測定パターンとする。このように本実施形態では、測定パターンにより測定用の映像が実現される。
【0042】
次に、ステップS132において、CPU1は、ADコンバータ27によりデジタル化された電流Im(抵抗19で検出された"LED群14の駆動電流")を受信する。尚、以下の説明では、この電流Imを必要に応じて検出電流Imと称する。
次に、ステップS133において、CPU1は、ステップS130で送信した目標電流Itと、ステップS132で受信した検出電流Imとの差の絶対値が、閾値(例えば5mA)よりも小さいか否かを判定する。この判定の結果、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値以上である場合には、ステップS132に戻り、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値よりも小さくなるまで、ステップS132、S133を繰り返し実行する。
【0043】
そして、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値より小さくなると、電圧が安定したと判断して、ステップS134に進む。
ステップS134に進むと、CPU1は、PWMコントローラ25内にあるパルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信する。ここで受信するパルス幅データは、LEDのジャンクション温度がまだ上昇していない時間(例えば、LEDの駆動を開始した後100μs程度の時間)でのパルス幅データであり、略常温下でのパルス幅データとみなすことができる。
【0044】
次に、ステップS135において、CPU1は、ステップS134で受信したパルス幅データを変数P1としてメモリ2に記憶する。
次に、ステップS136において、輝度測定装置17は、ステップS131で表示したストライプ状の測定パターンの輝度を測定する。CPU1は、輝度測定装置17で測定された"測定パターンの輝度"を受信し、受信した"測定パターンの輝度"の値を変数P3としてメモリ2に記憶する。
【0045】
次に、ステップS137において、CPU1は、タイマーを起動させ、所定時間(例えば100ms)が経過するまで待機する。所定時間は、LEDのジャンクション温度が高くなり、そのジャンクション温度が十分に安定するまでの時間である。
そして、所定時間が経過すると、ステップS138に進む。ステップS138に進むと、CPU1は、ステップS134と同様に、PWMコントローラ25内にあるパルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信する。ここで受信するパルス幅データは、LEDのジャンクション温度が上昇し且つ安定した後のパルス幅データである。
【0046】
次に、ステップS139において、CPU1は、ステップS138で受信したパルス幅データを変数P2としてメモリ2に記憶する。
次に、ステップS140において、CPU1は、ステップS136と同様に、ステップS131で表示したストライプ状の測定パターンの輝度を、輝度測定装置17から受信し、受信した測定パターンの輝度の値を変数P4としてメモリ2に記憶する。
【0047】
次に、ステップS141において、CPU1は、変数P1〜P4を用いて、パルス幅データと輝度の相関を計算し、計算した相関を変数P5としてメモリ2に格納する。このステップS141が終了すると、測定モードの処理を終了する。
【0048】
以下に、パルス幅データと輝度の相関を計算する方法の一例を示す。ここでは、LEDのジャンクション温度と輝度との関係が図14に示す関係を有し、LEDのジャンクション温度と順方向電圧との関係が図15に示す関係を有する場合に、緑色LED群14のジャンクション温度が25℃から85℃に上昇した場合を考える。
LEDの順方向電圧は、図15より、3.5Vから3.3Vに低下する。緑色LED群14は、4個のLEDを有している。よって、緑色LED群14に供給される電圧は、14Vから13.2V(=14−(4×0.2))に低下する。
【0049】
これらの電圧を、(式1)に当てはめると以下のようになる。すなわち、緑色LED群14に供給される電圧Voが14V、13.2Vの場合、パルス信号のON電圧TonとOFF電圧Toffは、以下のようになる。
14Vの場合;Toff=1.14μs、Ton=0.86μs
13.2Vの場合;Toff=1.21μs、Ton=0.79μs
ただし、Toff+Ton=2μs、Vi=8V
【0050】
また、パルス幅データは、(式2)で表されるので、パルス信号のON電圧Tonが0.86μsでのパルス幅データは、3522となり、パルス信号のON電圧Tonが0.79μsでのパルス幅データは、3235となる。ただし、分解能は4096である。
ここでは、緑色LED群14のジャンクション温度は60℃上昇しているので、パルス幅データは、以下の(式5)より、1℃あたり4.78減少する。
(3235−3522)÷60(ジャンクション温度の上昇分)=−4.78 ・・・(式5)
【0051】
次に、図14を参照すると、ジャンクション温度が25℃のときの緑色LED群14の輝度を1.0とすると、ジャンクション温度が85℃のときの緑色LED群14の輝度は0.7となり、ジャンクション温度が25℃のときに比べ30%低下している。輝度測定装置17が、図14と同様に、30%の輝度の低下を検出した場合、以下の(式6)により、緑色LED群14の輝度は、1℃あたり0.5%低下することになる。
−30÷60(ジャンクション温度の上昇分)=−0.5% ・・・(式6)
(式5)及び(式6)により、パルス幅データの温度変化と、LEDの輝度の温度変化との関係は、以下の(式7)で表される。
(−0.5)÷(−4.78)=0.10 ・・・(式7)
(式7)は、パルス幅データが1減少するごとに、輝度が0.10%減少することを示している。
【0052】
ただし、本実施形態の測定モードでは、LED群14〜16のジャンクション温度の上昇分を知ることができないので、図4のステップS141では、以下の(式8)を用いて、パルス幅データと輝度との相関を計算する。
相関={(温度上昇前の輝度P3―温度上昇後の輝度P4)÷(温度上昇前のパルス幅データP1−温度上昇後のパルス幅データP2)}×100 ・・・(式8)
前述した例では、温度上昇前(ジャンクション温度が25℃(一の温度)のとき)の輝度P3(相対輝度)は1であり、温度上昇後(ジャンクション温度が85℃(他の温度)のとき)の輝度P4(相対輝度)は0.3(=30%)である。また、温度上昇前(ジャンクション温度が25℃(一の温度)のとき)のパルス幅データP1は3235であり、温度上昇後(ジャンクション温度が85℃(他の温度)のとき)のパルス幅データP2は、3522である。したがって、パルス幅データと輝度の相関は、以下の(式9)に示すように0.10となる。
{(1−0.7)÷(3235−3522)}×100=0.10 ・・・(式9)
【0053】
(式9)は、温度上昇が60℃である場合の"輝度の温度変化とパルス幅データの温度変化との相関"を計算しており、結果として(式7)と同じ値となっている。図4のステップS141で(式8)、(式9)を用いる理由は、前述したように、本実施形態の測定モードでは、LEDのジャンクション温度の温度上昇が何℃なのか分かっていないためである。すなわち、ジャンクション温度の温度上昇を含む(式5)、(式6)の計算を、測定したデータのみでは行うことはできない。このためジャンクション温度の温度上昇を含まない(式8)、(式9)を用いて、輝度の温度変化とパルス幅データの温度変化との相関するようにしている。
【0054】
LEDの順方向電圧は、個体差が大きく、ジャンクション温度が25℃のときの順方向電圧のばらつきは、±20%以上である。また、LEDの順方向電圧とジャンクション温度との関係は、常時図16に示すような関係を示さず、やはり個体差が大きい。また、同じ電流をLEDに印加しても、LEDの個体差により、LEDの輝度には、ばらつきが生じる。したがって、LEDの輝度とジャンクション温度との関係も、図14のようにならず、一定ではない。このため、本実施形態では、図4に示したように、測定モードで、実際のパルス幅データとLEDの輝度とを、温度上昇前と温度上昇後とで測定し、パルス幅データと輝度との相関を、それらの変化分の比を計算することにより求め、記憶媒体に記憶している。
【0055】
以上のように本実施形態では、ステップS141の処理を行うことにより、第2の導出手段と記憶手段とが実現される。
尚、ここでは、目標電流Itを閾値(500mA)に固定した場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、目標電流Itを変更することにより、LEDの輝度のばらつきを補正する処理を行い、この処理を行ったときの目標電流Itを、以下の図5に示す表示モードでの目標電流として用いるようにしてもよい。
【0056】
図5は、表示モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。この表示モードにおける処理は、図1に示したフロントプロジェクタが、映像信号を受信して表示する処理である。尚、本実施形態では、この表示モードで表示される映像により、非測定用の映像が実現される。
ステップS150において、CPU1は、目標電流Itを例えば500mAにセットし、目標電流Itを、インターフェース24を介して、PWMコントローラ25に送信する。この処理により、図2を用いて説明したように、LED駆動回路3〜5が定電流駆動を開始し、LED群14〜16が点灯する。
【0057】
次に、ステップS151において、映像入力部7は、映像信号を受信する。
次に、ステップS152において、映像処理部8は、ステップS151で受信された映像信号に対し、1フレームずつ高画質化処理を行う。
【0058】
次に、ステップS153において、CPU1は、パルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信し、受信したパルス幅データを変数P6としてメモリ2に記憶する。
次に、ステップS154において、CPU1は、輝度変化を計算する。
【0059】
ここでは、一例として、周辺温度が0℃になった場合と、40℃になった場合とを考える。また、周辺温度に対するジャンクション温度の温度上昇は、図4で示した例と同様に60℃とする。また、図4で示した例と同様に、緑色のLEDを4個使用して緑色LED群14が構成されているとする。
【0060】
周辺温度が0℃でのジャンクション温度は60℃であり、ジャンクション温度が60℃のときの緑色のLEDの順方向電圧は、図15から、3.37Vである。緑色のLEDを4個使用しているので、緑色のLEDの順方向電圧は、全体として、13.48Vとなる。
周辺温度が40℃でのジャンクション温度は100℃であり、ジャンクション温度が100℃のときの緑色のLEDの順方向電圧は、図15から、3.26Vである。緑色のLEDを4個使用しているので、緑色のLEDの順方向電圧は、全体として、13.04Vとなる。
【0061】
これらの電圧を、(式1)に当てはめると以下のようになる。すなわち、緑色LED群14に供給される電圧Voが13.48V、13.04Vの場合、パルス信号のON電圧TonとOFF電圧Toffは、以下のようになる。
0℃、13.48Vの場合;Toff=1.18μs、Ton=0.82μs
40℃、13.04Vの場合;Toff=1.23μs、Ton=0.77μs
ただし、Toff+Ton=2uS、Vi=8V
【0062】
また、パルス幅データは、(式2)で表されるので、パルス信号のON電圧Tonが0.82μsでのパルス幅データは、3359となり、パルス信号のON電圧Tonが0.77μsでのパルス幅データは、3154となる。ただし、分解能は4096である。
したがって、周辺温度が0℃のときには、ステップS153において、パルス幅データとして「3359」を受信し、周辺温度が40℃のときには、ステップS153において、パルス幅データとして「3154」を受信する。
【0063】
そして、ステップS154において、輝度変化を計算する。
CPU1は、図4の測定モードで変数P2としてメモリ2に記憶した"25℃(常温下)でのパルス幅データ"を読み出す。また、CPU1は、図4の測定モードで変数P5としてメモリ2に記憶した"輝度とパルス幅データとの相関"を示す相関データを読み出す。この相関データからも分かるように、パルス幅データの変動により、輝度も変動する。よって、輝度変化は、ステップS153で変数P6として記憶したパルス幅データと、25℃(常温下)でのパルス幅データとの差に、相関データを乗じることにより、求めることができる。すなわち、CPU1は、以下の(式10)により、輝度変化を求める。
輝度変化=(受信したパルス幅データP6−25℃でのパルス幅データP2)×相関データ ・・・(式10)
【0064】
前述した例では、パルス幅データと輝度との相関は、(式9)から、0.10である。また、周辺温度が25℃でのパルス幅データは、3235である。また、ステップS153で受信したパルス幅データは、3359である。
従って、周辺温度が0℃での輝度変化は12.4%(=(3359−3235)×0.10)である。すなわち、周辺温度が25℃から0℃に変化した場合、12.4%輝度が増加することになる。
【0065】
一方、周辺温度が40℃での輝度変化は、−8.1%(=(3154−3235)×0.10)である。すなわち、周辺温度が25℃から40℃に変化した場合、8.1%輝度が減少することになる。
本実施形態では、以上のようにして輝度変化を、ステップS154で計算する。このように本実施形態では、このステップS154で求められる輝度変化が、発光素子の特性変化に対応し、このステップS154の処理を行うことにより、導出手段が実現される。
【0066】
図5の説明に戻り、ステップS155において、CPU1は、ステップS153で変数P6として記憶したパルス幅データと、図4の測定モードのステップS134で変数P2として記憶したパルス幅データと比較を行う。
ジャンクション温度の絶対最大定格を超えないようにLEDを動作させる必要がある。このため、ステップS155では、図4の測定モードで記憶した"25℃(常温下)でのパルス幅データ"よりも小さい値のパルス幅データが変数P6として記憶されたとき、すなわち周辺温度が25℃よりも高くなっているときは、ステップS158へ進む。
【0067】
ステップS158に進むと、映像信号補正部9は、ステップS154で計算された輝度変化に基づいて映像信号の補正を行う。すなわち、ステップS158では、輝度変化に応じて映像信号を補正することを行い、LEDの駆動電流を上昇させて輝度を補うことを行わない。本実施形態ではこのようにすることより、LEDのジャンクション温度が上昇するのを防止している。
【0068】
一方、図4の測定モードで記憶した"25℃(常温下)でのパルス幅データ"以上の値のパルス幅データが変数P6として記憶されたとき、すなわち周辺温度が25℃以下になっているときは、ステップS156へ進む。そして、ステップS156、S157において、LEDの駆動電流を減少させて、低温により増加した輝度を減少させる処理が行われる。
前述した例では、周辺温度が0℃のときは、変数P6の値が3359であり、変数P2の値が3235である。よって、ステップS155の比較の結果、P6>P2となり、ステップS156に進む。
一方、周辺温度が40℃のときは、変数P6の値が3154であり、変数P1の値が3235である。よって、ステップS155の比較の結果、P6<P1となり、ステップS158へ進む。
【0069】
ステップS156に進むと、CPU1は、低温による輝度の増加を、LEDの駆動電流を少なくすることで補正するために、目標電流Itを計算する。
例えば、周辺温度が0℃の場合(周辺温度が25℃から0℃に変化した場合)、前述したように、12.4%輝度が増加する。LEDの順方向電流が0.25Aから0.5Aの範囲においては、温度が一定の場合には、順方向電流と輝度とは、略直線的な比例関係を有して変化する(順方向電流と輝度とは、略正比例の関係を有する)。このため、LED電流を12.4%低下することにより、輝度を12.4%低下させることができる。
そこで、この例では、ステップS156において、CPU1は、目標電流Itを、以下の(式11)を用いて438mAと計算する。
500×(100−12.4)/100=438mA ・・・(式11)
【0070】
次に、ステップS157において、CPU1は、ステップS156で計算された新しい目標電流It(前述した例では438mA)を、インターフェース24を介して、PWMコントローラ25に送信する。この処理により、新しい目標電流ItでLED駆動回路3〜5が動作し、LED群14〜16が補正された輝度で点灯する。
【0071】
そして、ステップS159において、映像信号補正部9は、1フレーム分の映像信号をライトバルブ30〜32に送信する。
【0072】
一方、ステップS158は、周辺温度が高いときに、映像信号の各画素の輝度データを補正する処理である。
映像信号補正部9は、基本的には、以下の(式12)を用いて、映像信号の補正後の輝度レベルを計算する。
補正後の輝度レベル=入力輝度レベル×(1+補正値) ・・・(式12)
で計算する。
前述した例では、周辺温度が40℃での輝度変化は、−8.1%であり、周辺温度が25℃から40℃に変化した場合、8.1%輝度が減少することになる。映像信号の階調が8ビット(256段階)の場合であって、画素の入力輝度レベルが中間レベルの128である場合、CPU1は、温度が変化する前と同等の画素輝度を得るために、以下の(式13)により補正後の輝度レベルを138に変更する。
128×(1+8.1/100)=138 ・・・(式13)
【0073】
図6は、入力輝度レベルと、補正後の輝度レベルとの関係の一例を示す図である。
図6(a)において、グラフ170は、輝度レベルの補正をしない場合のカーブであり、グラフ171は、(式12)を用いて輝度レベルの補正をした場合のカーブである。
グラフ171から分かるように、入力輝度レベルが最大レベルの256に近づく部分172で、補正後の輝度レベルが最大レベルの256となってしまい、一定以上の入力輝度レベルが、全て最大輝度レベルに補正されてしまう。
【0074】
そこで、本実施形態では、(式12)を用いて算出された補正後の輝度レベルを補正するための補正テーブルを映像信号補正部9が有しているようにしている。例えば、図6(a)のグラフ171を、図6(b)のグラフ174のように補正できるような補正テーブルを映像信号補正部9が有しているようにしている。そして、ステップS158において、映像信号補正部9は、(式12)を用いて算出した補正後の輝度レベルを、補正テーブルを用いて更に補正する。このようにすることにより、入力輝度レベルが最大レベルになるまでは、(式12)を用いて算出された補正後の輝度レベルが、映像信号の最大レベルに達しないようにすることができる。
次に、ステップS159において、映像信号補正部9は、補正テーブルを用いて補正された輝度レベルを新たな輝度レベルとした1フレーム分の映像信号をライトバルブ30〜32に送信する。そして、ステップS152に戻る。
以上のように本実施形態では、ステップS155の処理を行うことにより、選択手段が実現される。また、本実施形態では、ステップS156、S157、S158の処理を行うことにより、補正手段が実現される。
【0075】
以上のように本実施形態では、測定モードにおいて、常温下の(周辺温度が25℃での)パルス幅データを変数P1として記憶しておくと共に、パルス幅データと輝度の相関を変数P5として計算して記憶しておく。そして、表示モードにおいて、映像信号を表示しているときのパルス幅データを受信すると、そのパルス幅データと、常温下の(周辺温度が25℃での)パルス幅データと、パルス幅データと輝度の相関とを用いて、温度の変化によって生じた輝度変化を計算する。そして、周辺温度が常温以下の場合には、計算した輝度変化に応じて目標電流Itを再設定し、LEDの駆動電流が再設定した目標電流Itとなるようにする。一方、周辺温度が常温よりも大きい場合には、計算した輝度変化を打ち消すように、映像信号の輝度データを補正する。
【0076】
したがって、LEDの温度特性に伴う輝度変化を、部品の追加等のコストアップを伴わない形態で検出することができる。また、LEDの温度上昇を抑制しながら、LEDの光量や映像信号の調整(補正)を行うことができる。よって、パワーLED等の高輝度タイプの発光素子の光量を犠牲にすることなく、また、熱暴走等によるLEDの劣化や破損等の不都合を伴うことなく、光量や映像信号の補正(輝度変化に対応する補正)を行うことができる。
【0077】
尚、本実施形態では、電圧を昇圧してLEDを駆動するPWMタイプのコントローラ(PWMコントローラ25)を用いた場合を例に挙げて説明したが、LEDを駆動するための電圧コントローラは、これに限定されるものではない。例えば、電圧を降圧してLEDを駆動する降圧形のコントローラを用いてもよい。また、周波数変調を行ってLEDを駆動するPFM(Pulse Frequency Modulation)タイプのコントローラを用いてもよい。更に、PWMとPFMとを併せ持ったタイプのコントローラを用いてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、温度による輝度変化に関し、LEDの目標電流It又は映像信号の輝度レベルを補正するようにしているが、計時変化による輝度レベルの劣化に対応するようにしてもよい。また、ホワイトバランス補正回路を設け、LEDの温度による色度変化を補正するようにしてもよい。
【0079】
更に、本実施形態では、図5のステップS158において、映像信号を補正する際、図6(b)に示すグラフ174を用いて、輝度レベルを補正しているが、必ずしもこのようにする必要はない。映像信号の輝度分布により、例えば、暗い映像の場合には図6(a)に示すグラフ171のようにして輝度レベルを補正し、明るい映像の場合には図6(b)に示すグラフ174のようにして輝度レベルを補正するようにしてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、パルス幅データに応じて、目標電流Itの補正を行うか、映像信号の補正を行うかの何れかを選択するようにした(ステップS155)。しかしながら、選択する基準は、周辺温度に関連するデータであれば、パルス幅データに限定されない。例えば、輝度変化が閾値より小さい場合には、目標電流Itを補正し、そうでない場合には、映像信号を補正するようにしてもよい。
【0081】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では主として、発光素子を間歇駆動した場合でも、発光素子の温度を従来よりも正確に反映させて、発光素子の特性変化を検出し、その特性変化に対応する補正を行うことができるようにすることを目的とする。この目的を達成するため、本実施形態では、前述した第1の実施形態と、発光素子の一例であるLEDを駆動する方法の一部を主として異ならせている。よって、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図6に付した符号と同一の符号を付すこと等によって詳細な説明を省略する。
【0082】
図7は、映像表示装置の一例であるフロントプロジェクタの概略構成の一例を示す図である。
図7において、第1の緑色LED群210、第2の緑色LED群211は、夫々、第1の緑色LED駆動回路220、第2の緑色LED駆動回路221により、間歇駆動(間歇的に駆動)される。第1及び第2の緑色LED群210、211は、間歇的なパルス信号(電圧)が印加されている期間にのみ発光する。光合成部212は、第1及び第2の緑色LED群210、211から発光された光に基づく合成光を作って、緑色の光を、レンズ50を介してライトバルブ30に投射する。
【0083】
第1の青色LED群213、第2の青色LED群214は、夫々、第1の青色LED駆動回路222、第2の青色LED駆動回路223により、間歇駆動される。第1及び第2の青色LED群213、214は、間歇駆動の電圧が印加されている期間にのみ発光する。光合成部215は、第1及び第2の青色LED群213、214から発光された光に基づく合成光を作って、青色の光を、レンズ51を介してライトバルブ31に投射する。
【0084】
第1の赤色LED群216、第2の赤色LED群217は、夫々、第1の赤色LED駆動回路224、第2の赤色LED駆動回路225により、間歇駆動される。第1及び第2の赤色LED群216、217は、間歇駆動の電圧が印加されている期間にのみ発光する。光合成部218は、第1及び第2の赤色LED群216、217から発光された光に基づく合成光を作って、赤色の光を、レンズ52を介してライトバルブ32に投射する。
【0085】
ライトバルブ30〜32により映像が付加された光は、プリズム53、レンズ54に投射される。これにより、映像がスクリーン55上に表現される。
光量の増加を図るため、本実施形態では、前述したように、緑色、青色、及び赤色の夫々についてLED群を2つずつ設けている。詳細については後述するが、LED駆動回路220〜225の制御により、LED群210、211、213、214、216、217は間歇駆動し、駆動中の電流を増加させている。
【0086】
図8は、LEDに供給される駆動信号とLEDのジャンクション温度の変化との一例を示す図である。
図8において、第1の駆動信号201は、第1のLED群(例えば第1の緑色LED群210)へ供給される駆動信号である。第1の駆動信号201は、第1の駆動回路(例えば第1の緑色LED駆動回路220)で生成される。この第1の駆動信号201の立ち上がりのタイミング205〜207は、周辺温度の変化及びジャンクション温度の変化による温度上昇を抑えるため、CPU1からの制御により変更される。本実施形態では、タイミング205〜207を変更することにより、第1の駆動信号201のパルス幅を縮小する処理を行っている。
【0087】
ジャンクション温度202は、第1の駆動信号201がタイミング205で立ち上がる場合の、第1のLED群(例えば第1の緑色LED群210)のジャンクション温度の変化を示している。第1の駆動信号201がONのとき、ジャンクション温度202は上昇し、OFFのとき、ジャンクション温度は下降する。
ジャンクション温度208は、第1の駆動信号201がタイミング207で立ち上がる場合の、第1のLED群(例えば第1の緑色LED群210)のジャンクション温度の変化を示している。第1の駆動信号201がONのとき、ジャンクション温度208は上昇し、OFFのとき、ジャンクション温度208は下降していく。また、ジャンクション温度208は、ジャンクション温度202に比べ緩やかに下降している。
【0088】
第2の駆動信号203は、第2のLED群(例えば第2の緑色LED群211)へ供給される駆動信号である。第2の駆動信号203は、第2の駆動回路(例えば第2の緑色LED駆動回路221)で生成される。この第2の駆動信号203の立ち上がりのタイミング231〜233は、第1の駆動信号201と同様に、周辺温度の変化及びジャンクション温度の変化による温度上昇を抑えるため、CPU1からの制御により変更される。本実施形態では、タイミング231〜233を変更することにより、第2の駆動信号203のパルス幅を縮小する処理を行っている。
【0089】
ジャンクション温度204は、第2の駆動信号203がタイミング231で立ち上がる場合の、第2のLED群(例えば第2の緑色LED群211)のジャンクション温度の変化を示している。第2の駆動信号203がONのとき、ジャンクション温度204は上昇し、OFFのとき、ジャンクション温度204は下降していく。第2の駆動信号203は、第1の駆動信号201と重複しないパルスを発生している。よって、表示時間、すなわち、ライトバルブ30〜32へ投射される時間は、図8に示した表示時間234a〜234cとなる。
以上のように本実施形態では、第1及び第2の駆動信号201、203により、発光素子に供給されるパルス信号が実現される。
【0090】
図9は、測定モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。図9において、第1の実施形態と同じ処理については、図4と同じ符号を使用している。また、LED駆動回路220〜225の構成は、第1の実施形態のLED駆動回路3〜5の構成と同様である(図2を参照)。
尚、測定モードは、第1及び第2の緑色LED群210、211、第1及び第2の青色LED群213、214、第1及び第2の赤色LED群216、217の6つのLED群に対して行う必要がある。ただし、図9の説明では、そのうちの1つのLED群(第1の緑色LED群210)に対する測定モードの処理手順を示している。基本的には、図9に示す処理を、夫々のLED群に対して6回繰り返すことで、測定モードが完了する。
【0091】
まず、ステップS230において、CPU1は、目標電流Itを例えば1.5Aにセットし、セットした目標電流Itを第1のLED駆動回路220に送信する。第1の緑色LED群210に対して、1/3デューティの間歇制御を行う場合、第1の緑色LED群210には、基本的に定格の3倍の電流を供給することが可能である。よって、本実施形態では、第1の実施形態で説明した図4のステップS130でセットする目標電流Itの3倍の1.5Aをセットするようにしている。
【0092】
次に、CPU1は、ステップS131において、測定パターンをスクリーン55に表示させ、ステップS132において、ADコンバータ27によりデジタル化された検出電流Imを受信する。
次に、CPU1は、ステップS133において、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値(例えば5mA)よりも小さいと判定すると、ステップS134において、略常温下でのパルス幅データを受信する。そして、ステップS135において、CPU1は、受信したパルス幅データを、変数P1としてメモリ2に記憶する。
【0093】
次に、ステップS136において、輝度測定装置17は、ステップS131で表示したストライプ状の測定パターンの輝度を測定する。CPU1は、輝度測定装置17で測定された"測定パターンの輝度"を受信し、受信した"測定パターンの輝度"の値を変数P3としてメモリ2に記憶する。
次のステップS231からステップS236までの処理は、図8に示す映像信号の1フレーム分の時間である16.67msを1ループとし、温度が安定するまで繰り返し行われる処理である。
【0094】
まず、ステップS231において、CPU1は、タイマーを起動させ、所定時間(例えば4.45ms)が経過するまで待機する。所定時間は、第1の駆動信号201がタイミング207で立ち上がった場合のON時間に相当する。
そして、所定時間が経過すると、ステップS232に進む。ステップS232に進むと、CPU1は、PWMコントローラ25内にあるパルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信する。
【0095】
次に、ステップS241において、前回のループで変数P2として記憶したパルス幅データと、ステップS232で受信したパルス幅データとの差の絶対値が閾値(例えば2)よりも小さいか否かを判定する。この判定は、パルス幅データが安定し、第1の緑色LED群210の温度が十分に安定したかどうかを判別する処理である。
この判定の結果、前回のループで変数P2として記憶したパルス幅データと、ステップS232で受信したパルス幅データとの差の絶対値が閾値(例えば2)よりも小さく、パルス幅データが安定した場合には、後述するステップS237へ進む。一方、前回のループで変数P2として記憶したパルス幅データと、ステップS232で受信したパルス幅データとの差の絶対値が閾値以上でありパルス幅データがまだ安定していない場合には、ステップS233に進む。
【0096】
ステップS233に進むと、CPU1は、ステップS232で受信したパルス幅データを変数P2としてメモリ2に記憶する。次のループにおけるステップS241の判定で用いるためである。
次に、ステップS234において、CPU1は、目標電流Itを0Aにセットし、LEDの駆動信号をOFF状態にする。
次に、ステップS235において、CPU1は、タイマーを起動させ、所定時間(例えば12.22ms)が経過するまで待機する。所定時間は、第1の駆動信号201のOFF時間に相当する。
【0097】
そして、所定時間が経過すると、ステップS236に進む。ステップS236に進むと、CPU1は、目標電流Itを例えば1.5Aにセットし、セットした目標電流Itを第1のLED駆動回路220に送信する。そして、ステップS231に戻る。
ステップS241の判定の結果、パルス幅データが安定し、第1の緑色LED群210の温度が十分に安定したと判定されると、ステップS237に進む。ステップS237に進むと、CPU1は、ステップS232で受信したパルス幅データを、変数P2としてメモリ2に記憶する。
【0098】
次に、ステップS238において、輝度測定装置17は、ステップS136と同様に、ステップS131で表示したストライプ状の測定パターンの輝度を測定する。CPU1は、輝度測定装置17で測定された"測定パターンの輝度"を受信し、受信した"測定パターンの輝度"の値を変数P4としてメモリ2に記憶する。
次に、ステップS239において、CPU1は、目標電流Itを0Aにセットし、LEDの駆動信号をOFF状態にする。
【0099】
次に、ステップS240において、CPU1は、変数P1〜P4を用いて、パルス幅データと輝度の相関を計算し、計算した相関を変数P5としてメモリ2に格納する。このステップS240が終了すると、測定モードの処理を終了する。
パルス幅データと輝度の相関を計算する方法は、第1の実施形態における図4のステップS141で説明した方法と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0100】
図10は、表示モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS251において、映像入力部7は、映像信号を受信する。
次に、ステップS252において、映像処理部8は、ステップS151で受信された映像信号に対し、1フレームずつ高画質化処理を行う。
【0101】
次に、ステップS253で、CPU1は、目標電流Itを0Aにセットし、LEDの駆動信号をOFF状態にする。これにより、LED群(例えば第1の緑色LED群210)がOFF状態となる。
次に、ステップS254において、CPU1は、タイマーT1をスタートする。このタイマーT1のカウント値は、後述するステップS260の判定で使用される。
次に、ステップS255において、CPU1は、パルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信し、受信したパルス幅データを変数P6としてメモリ2に記憶する。
【0102】
次に、ステップS256において、CPU1は、輝度変化を計算し、計算した輝度変化量を、変数R1としてメモリ2に記憶し、ステップS257に進む。輝度変化の計算方法は、第1の実施形態における図5のステップS154で説明した方法と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
第1の実施形態で説明した例では、周辺温度が25℃から0℃に変化した際、12.4%輝度が増加し、25℃から40℃に変化した際、8.1%低下している。本実施形態でも、これと同じ数値を用いて、ステップS257、S258を説明する
【0103】
ステップS257に進むと、CPU1は、LED群のON時間を計算する。具体的に本実施形態では、CPU1は、以下の(式14)を用いて、LED群のON時間R2を計算する。
R2=4.45×(1−R1) ・・・(式14)
ただし、4.45は、測定モードでのLED群のON時間[ms]である。
【0104】
例えば、温度上昇によって、輝度が8.1%低下した場合、ステップS256の処理で、変数R1として−0.81が記憶される。よって、LED群のON時間R2は、以下の(式15)により、4.81msとなる。
4.45×{1−(−0.81)}=4.81ms ・・・(式15)
この4.81msが、周辺温度が40℃に上昇した際のLED群のON時間となる。
【0105】
一方、周辺温度が低下して、輝度が12.4%上昇した場合、ステップS256の処理で、変数R1として0.124が記憶される。よって、LED群のON時間R2は、以下の(式16)により、3.90msとなる。
4.45×(1−0.124)=3.90ms ・・・(式16)
この3.90msが、周辺温度が0℃に低下した際のLED群のON時間となる。
【0106】
次に、ステップS258において、CPU1は、LED群のOFF時間を計算する。
図8に示した例では、1フレーム時間が、16.67msである。よって、この16.67msから、ステップS257で計算したON時間を引くと、OFF時間が求まる。具体的にCPU1は、以下の(式17)を用いて、LED群のOFF時間R3を計算する。
R3=16.67−R2 ・・・(式17)
LED群のON時間R2が4.81msの場合、ステップS258で求めるOFF時間R3は11.86msとなる。LED群のON時間R2が3.90msの場合、ステップS258で求めるOFF時間R3は12.77msとなる。
【0107】
次に、ステップS259において、映像信号補正部9は、映像処理が行われた映像信号を、ライトバルブ30〜32に送信する。
次に、ステップS260において、CPU1は、ステップS254でカウントを開始したタイマーT1の値が、変数R3として記憶されているLED群のOFF時間の値と同じになるまで待機する。そして、タイマーT1の値が、LED群のOFF時間の値と同じになると、LED群のOFF時間のカウントが終わった状態となる。
そして、ステップS261において、CPU1は、タイマーT1を再スタートし、LED群のON時間のカウントを始める。
【0108】
次に、ステップS262において、CPU1は、目標電流Itを例えば1.5Aにセットし、セットした目標電流Itを第1のLED駆動回路220に送信する。
次に、ステップS263において、映像入力部7は、次のフレームの映像信号を受信する。
次に、ステップS264において、映像処理部8は、ステップS151で受信された映像信号に対し、1フレームずつ高画質化処理を行う。そして、映像信号補正部9は、高画質化処理が行われた各画素の輝度値を補正する。すなわち、ステップS264において、次のフレームの処理準備が行われる。
【0109】
次に、ステップS265において、CPU1は、ステップS261でカウントを開始したタイマーT1の値が、変数R2として記憶されているLED群のON時間の値と同じになるまで待機する。そして、ステップS261でカウントを開始したタイマーT1の値が、変数R2として記憶されているLED群のON時間の値と同じになると、LED群のON時間のカウントが終わった状態となる。
以上の処理により、1フレームでのLEDの点灯処理(ステップS257、S258で求められたON時間及びOFF時間に従った点消灯動作)が終了し、次のフレームに対する処理を行うために、ステップS253に進む。
以上のように本実施形態では、ステップS253、S257、S258、S260〜S262、S265の処理を行うことにより、発光素子に供給されるパルス信号の波形を補正する補正手段が実現される。
【0110】
以上のように本実施形態では、周辺温度が上昇して、LEDの発光輝度が低下した場合、間歇駆動のON時間を広げることにより、発光輝度をアップするようにした。したがって、LEDを間歇駆動した場合でも、第1の実施形態と同様に、ジャンクション温度の変化によるLEDの輝度変化を検出し、その輝度変化に対応する補正を行うことができる。すなわち、LEDを間歇駆動した場合でも、ジャンクション温度の変化を可及的に正確に反映させた補正を行うことができる。
【0111】
尚、本実施形態では、1フレーム毎にLEDを間歇駆動するようにしたが、必ずしもこのようにする必要はなく、例えば1フィールド毎にLEDを間歇駆動するようにしてもよい。
また、本実施形態では、周辺温度に関わらず、輝度変化に応じて、LED群のON時間とOFF時間とを制御するようにした。しかしながら、第1の実施形態にように、周辺温度等に応じて、LED群のON時間とOFF時間とを補正するか、映像信号の補正を行うかの何れかを選択する手段を設けるようにしてもよい。
【0112】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態と前述した第2の実施形態とは、LEDを間歇駆動させる方法が主として異なる。よって、本実施形態の説明において、前述した第1及び第2の実施形態と同一の部分については、図1〜図10に付した符号と同一の符号を付すこと等によって詳細な説明を省略する。
【0113】
図11は、緑色LED駆動回路の詳細な構成の一例を示す図である。尚、青色LED駆動回路及び赤色LED駆動回路の構成は、緑色LED駆動回路と同じであるので、ここでは、それらの構成の詳細な説明を省略する。
【0114】
図11において、第2のFET40は、CPU1からの制御によりON/OFFする。この第2のFET40の動作によって、第2の実施形態で説明した第1及び第2の駆動信号201、203を生成する(図8を参照)。
コマンドライン41は、インターフェース24を介してCPU1からデータを受け取るための伝送線である。このコマンドライン41を通じてPWMコントローラ25に、電流制御と電圧制御とを切り替えるコマンドが与えられる。
【0115】
CPU1は、FET40がON状態のときに電流制御のコマンドを与え、FET40がOFF状態のとき、すなわち緑色LED群14に電流が流れず、抵抗19で電流検出ができない期間に、電圧を一定にする電圧制御のコマンドを与える。PWMコントローラ25は、電圧制御のコマンドを受け取ると、パルス幅カウンタ23がカウントするパルス幅データを一定に保つ。
以上のように本実施形態のようにしても、第2の実施形態と同様に、LED群14〜16を間歇駆動させることができる。
尚、本実施形態でも、第1〜第2の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
【0116】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態では、主として、低消費電力化を実現しながら、発光素子の温度変化により生じる発光素子の特性変化を検出し、その特性変化に対応する補正を行えるようにすることを目的する。この目的を達成するために、本実施形態では、前述した第1〜第3の実施形態と、映像を表示する方法の一部を主として異ならせている。よって、本実施形態の説明において、前述した第1〜第3の実施形態と同一の部分については、図1〜図11に付した符号と同一の符号を付すこと等によって詳細な説明を省略する。
【0117】
本実施形態では、低消費電力化を実現するために、映像信号の最高輝度画素の輝度レベルに応じてLEDの輝度を減衰させ、その減衰量に応じて、映像信号を補正する。
図12は、LEDに供給される駆動信号とLEDのジャンクション温度の変化との一例を示す図である。
CPU1は、映像信号の最高輝度画素の輝度レベルに応じて、LED群の輝度レベルを決定し、決定した輝度レベルをLED群に与えるための駆動信号のON時間を可変する制御を行っている。
図12において、N1フレームでは、50%、N2フレームでは、100%、N3フレームでは、25%の光源輝度になるように、駆動信号401のON時間403〜405を変化させている。
ジャンクション温度410は、駆動信号401のOFF時間の間、徐々に低下し、ON時間403〜405になると上昇する。N1フレームでは、温度低下量406の温度低下となり、N2フレームでは、温度上昇量407の温度上昇となり、N3フレームでは、温度低下量408の温度低下となる。
図12から明らかなように、駆動信号401のON時間が短くなるほど、ジャンクション温度410は低下する。
以上のように本実施形態では、駆動信号401を1フレーム毎にLED群に供給することにより、OFF時間とON時間とを有する間歇的なパルス信号を1フレーム毎に発光素子に供給するようにしている。
【0118】
図13は、表示モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13において、ステップS431において、映像入力部7は、映像信号を受信する。
次に、ステップS432において、映像処理部8は、ステップS151で受信された映像信号に対し、1フレームずつ高画質化処理を行う。
次に、ステップS433において、CPU1は、ステップS431で受信された映像信号の"フレーム内の最高輝度を有する画素の輝度レベル"を検出し、検出した"フレーム内の最高輝度を有する画素の輝度レベル"を変数R5としてメモリ2に記憶する。例えば、各々の画素の輝度レベルが8ビット(256段階)で示されているとする。そして、フレーム内の最高輝度を有する画素の輝度レベル(最高輝度レベル)が128とすると、128を変数R5として記憶する。
【0119】
次に、ステップS434において、CPU1は、最高輝度レベルR5に応じて、表示可能な輝度レベルに対する最高輝度レベルの割合を算出し、算出した輝度を変数R1としてメモリ2に記憶する。例えば、変数R5として記憶された最高輝度レベルの値が128の場合、CPU1は、以下の(式18)のようにしてLED群の輝度を算出する。
128÷256=0.5 ・・・(式18)
次に、ステップS435において、CPU1は、変数R2の内容を変数R4に転送する。変数R4は前フレームでのON時間であり、後述するステップS440、S441の計算に使用される。
【0120】
次に、ステップS436において、CPU1は、駆動信号401のON時間の計算を行い、変数R2としてメモリ2に記憶する。図12を用いて説明したように、LED群の輝度は、駆動信号401のON時間に応じて変化する。
本実施形態では、駆動信号401のON時間が、5.56ms(1フレーム分の時間(16.67ms)の1/3の時間)のときに、100%の輝度が得られるように制御している。このため、ステップS436では、駆動信号401のON時間を、以下の(式19)で計算して変数R2とする。
ON時間=5.56×R1 ・・・(式19)
例えば、ステップS434で、変数R1として0.5が記憶されたときは、2.78ms(=5.56×0.5)を変数R2とする。
【0121】
次に、ステップS437において、映像信号補正部9は、映像信号の画素の輝度レベルを、LED群の輝度に応じて補正する。LED群の輝度がステップS434で修正されたため、このステップS437では、画素毎に同じ輝度を得るための補正が行われる。
例えば、映像信号のある画素の輝度レベルが64とすると、128(=64÷0.5)に輝度レベルを補正する。
【0122】
ステップS436の処理で、LED群の駆動信号401のON時間を半減して、LED群の輝度を半減し、ステップS437の処理で、画素の輝度レベルを倍にするので、表示される輝度レベルとしては同じとなる。
【0123】
次に、ステップS438において、CPU1は、CPU1は、目標電流Itを0Aにセットし、LED群をOFF状態にする。
次に、ステップS439において、CPU1は、タイマーT1のカウントを開始する。これにより、LED群のOFF時間の計時が開始される。このOFF時間の終了は、後述するステップS447で判定される。
【0124】
次に、ステップS440において、CPU1は、駆動信号401のOFF時間が経過したときのパルス幅データを計算し、計算したパルス幅データを変数P9としてメモリ2に記憶する。例えば、図12に示したN2フレームでは、N2フレームの開始時点413で、時点414でのパルス幅データを計算する。
駆動信号401のOFF時間では、LED群のジャンクション温度が下がり、図15に示したようにLED群の順方向電圧は増加する。第1の実施形態で説明したように、パルス幅データは順方向電圧の増加に伴い増加する。
【0125】
このステップS440において、パルス幅データP9は、以下の(式20)により計算される。
P9=P8+(P6−P7)×(16.67−R2)/(16.67−R4) ・・・(式20)
【0126】
変数R4は、前フレーム(処理しているフレームよりも1つ前のフレーム)での駆動信号401のON時間であり、変数R2は、表示しようとしている現フレーム(処理しているフレーム)での駆動信号のON時間である。従って、(式20)において、(16.67−R2)は現フレームのOFF時間を表し、(16.67−R4)は前フレームのOFF時間を表している。このように、本実施形態では、駆動信号401のOFF時間が経過したときのパルス幅データは、前フレームと現フレームにおけるOFF時間を用いて算出される。
変数P8は、前フレームで駆動信号401がONし終わったときのパルス幅データであり、変数P6は、前フレームで駆動信号401がONし始めたときのパルス幅データである。変数P7は、前フレームの駆動信号401がOFFする直前のパルス幅データである。このように本実施形態では、駆動信号401のOFF時間が経過したときのパルス幅データは、前フレームにおけるパルス幅データを用いて算出される。
【0127】
例えば、N2フレームを処理しているとき、変数P8は、図12の時点413でのパルス幅データであり、変数P6は、時点412でのパルス幅データであり、変数P7は、時点411でのパルス幅データである。
以上のように、ステップS440では、これらのパルス幅データを元に、図12の時点414でのパルス幅データを、(式20)により(前フレームと現フレームのOFF時間の比例計算により)求めている。
【0128】
次に、ステップS441において、CPU1は、駆動信号401のON時間が経過したときのパルス幅データを計算し、計算したパルス幅データを変数P10としてメモリ2に記憶する。例えば、図12に示したN2フレームでは、時点415でのパルス幅を計算する。
駆動信号401のON時間では、LED群のジャンクション温度が上昇し、図15に示したようにLED群の順方向電圧は低下する。第1の実施形態で説明したように、パルス幅データは順方向電圧の低下に伴い減少する。
【0129】
このステップS441において、パルス幅データP10は、以下の(式21)により計算される。
P10=P9+(P8−P6)×R2/R4 ・・・(式21)
【0130】
変数R4は、前フレームでの駆動信号401のON時間であり、変数R2は、表示しようとしている現フレームでの駆動信号401のON時間である。このように本実施形態では、駆動信号401のON時間が経過したときのパルス幅データは、前フレーム及び現フレームにおけるON時間を用いて算出される。
また、変数P9は、ステップS440で求めた"OFF時間が経過したときのパルス幅データ"である。変数P6、P8は、前フレームの表示時に取得したパルス幅データである。具体的に変数P6は、前フレームで駆動信号401がONし始めたときのパルス幅データであり、変数P8は、前フレームで駆動信号401がONし終わったときのパルス幅データである。このように本実施形態では、駆動信号401のON時間が経過したときのパルス幅データは、駆動信号401のOFF時間が経過したときのパルス幅データと、前フレームにおけるパルス幅データとを用いて算出される。
【0131】
例えば、N2フレームを処理しているとき、変数P9は、図12の時点414でのパルス幅データである。変数P6は、時点412で受信したパルス幅データである。変数P8は、時点413で受信したパルス幅データである。
以上のように、ステップS441では、これらのパルス幅データを元に、図12の時点415でのパルス幅データを、(式21)により(前フレームと現フレームのON時間の比例計算により)求めている。
【0132】
図12に示したように、本実施形態では、フレーム毎に、ジャンクション温度が変化する。しかしながら、後述するステップS443の目標電流計算処理では、駆動信号401によりLED群を点灯させる以前に、ジャンクション温度に対するLED群の輝度の変動を予測する必要がある。このため、ステップS440、S441にて、駆動信号401のOFF時間が経過したときのパルス幅データと、駆動信号401のON時間が経過したときのパルス幅データとを計算している。
【0133】
次に、ステップS442において、CPU1は、ステップS441で求めた"駆動信号401のON時間が経過したときのパルス幅データ"を元に、1フレームにおける輝度変化を、第1の実施形態で説明した(式10)を用いて計算する。
以上のように本実施形態では、ステップS442の処理を行うことにより、導出手段が実現される。
次に、ステップS443で、CPU1は、目標電流Itを計算し、計算した目標電流Itを変数R3としてメモリ2に記憶する。本実施形態では、輝度が上昇したときは、目標電流Itをそれに比例して減少させ、輝度が低下したときは、目標電流Itをそれに比例して増加させるようにする。
【0134】
本実施形態では、ジャンクション温度、すなわちパルス幅データの変化による、輝度変化を、ステップS440〜S442で求め、その輝度変化に対応する補正を、ステップS443で目標電流Itを変更することにより行っている。
尚、第1の実施形態のように、映像信号を補正するようにしても良く、また、第2の実施形態のように、駆動信号のON時間を再度調整してもよい。
【0135】
次に、ステップS444において、映像信号補正部9は、映像信号をライトバルブ30〜32に送信し、1フレームの映像を表示させる。
次に、ステップS445において、映像処理部8は、次のフレームの映像信号を受信する。
次に、ステップS446において、映像処理部8は、ステップS151で受信した次のフレームの映像信号に対し、高画質化処理を行う。
【0136】
次に、ステップS447において、CPU1は、タイマーT1の値がOFF時間と一致したか否かを判定する。このOFF時間は、1フレーム分の時間16.67msから、ステップS436で変数R2として記憶したON時間を減じた時間である。
次に、ステップS448において、CPU1は、タイマーT1を再スタートし、ON時間のカウントを開始する。
【0137】
次に、ステップS449において、CPU1は、ステップS443で変数R3として記憶した目標電流Itを、PWMコントローラ25に対して送信する。LED駆動回路3〜5は、目標電流Itを受信すると、LED群に、目標電流Itに基づいた電圧を供給し始める。
次に、ステップS450において、CPU1は、ADコンバータ27によりデジタル化された検出電流Im(抵抗19で検出された"LED群の駆動電流")を受信する。
次に、ステップS451において、CPU1は、ステップS449で送信した目標電流Itと、ステップS450で受信した検出電流Imとの差の絶対値が、閾値(例えば5mA)よりも小さいか否かを判定する。この判定の結果、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値以上である場合には、ステップS450に戻り、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値よりも小さくなるまで、ステップS450、S451を繰り返し実行する。
【0138】
そして、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値より小さくなり、略等しくなると、ステップS452に進む。ステップS452に進むと、CPU1は、PWMコントローラ25内にあるパルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信し、受信したパルス幅データを変数P6としてメモリ2に記憶する。例えば、図12のN2フレームにおいて、時点414のパルス幅データを受信する。
【0139】
次に、ステップS453において、CPU1は、タイマーT1の値が、ステップS436で算出した"駆動信号401のON時間"となるまで待機する。尚、駆動信号401のOFF処理は、ステップS438で行われている。
そして、タイマーT1の値が、ステップS436で算出した"駆動信号401のON時間"になると、ステップS454に進む。ステップS454に進むと、CPU1は、変数P8の値を変数P7に移動する。
次に、ステップS455において、CPU1は、PWMコントローラ25内にあるパルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信し、受信したパルス幅データを変数P8としてメモリ2に記憶する。
【0140】
変数P8及び変数P7は、次のサイクルにおけるステップS440、441でのパルス幅の計算に使用される変数である。例えば、図12のN2フレームにおいて、時点413でのパルス幅データが変数P7として記憶され、時点415でのパルス幅データが変数P8として記憶される。
【0141】
次に、ステップS456において、CPU1は、変数P8として記憶したパルス幅データが、変数P2として記憶したパルス幅データを1.03倍した値よりも大きいか否かを判定する。変数P2として記憶したパルス幅データは、第2の実施形態で説明した図9の測定モードのステップS237で記憶したパルス幅データである。
パルス幅データは、LEDの順方向電圧と比例しており、LEDのジャンクション温度の温度上昇と反比例している。図15に示した例では、LEDのジャンクション温度が、85℃から50℃に低下すると、順方向電圧は3.3Vから3.4Vに上昇する。すなわち、順方向電圧は約3%上昇する。同様にパルス幅データも、ジャンクション温度が、85℃から50℃に低下すると、3%上昇する。本実施形態では、この傾向をもとに、測定モードで受信したパルス幅データに3%を加えた値と、ON時間が経過したときのパルス幅データの値(変数P8)とを比較する。
【0142】
そして、ON時間が経過したときのパルス幅データの値が大きい場合には、ジャンクション温度が50℃より低いと判断し、ステップS457に進む。ステップS457に進むと、CPU1は、FAN6を減速モードとして、消費電流をより低減させるようにしている。
一方、ON時間が経過したときのパルス幅データの値(変数P8)が、ON時間が経過したときのパルス幅データの値(変数P8)以下である場合には、ジャンクション温度が50℃以上であると判断し、ステップS456に進む。ステップS456に進むと、CPU1は、FAN6を通常モードにする。
以上のように本実施形態では、FAN6を用いることにより空冷手段が実現され、ステップS456の処理を行うことにより、比較手段が実現され、ステップS457、S458の処理を行うことにより空冷制御手段が実現される。
以上で、図13のフローチャートによる処理が終了する。
【0143】
以上のように本実施形態では、前フレームのパルス幅データを元に、LED群のON時間が経過したときのパルス幅データを予測(計算)し(ステップS440、S441)。そして、予測したLED群のON時間が経過したときのパルス幅データを、変数P6の代わりに用いて輝度変化を計算するようにした(ステップS442)。そして、その輝度変化を打ち消すような補正を、目標電流Itを変更するにより行う(ステップS443)。したがって、映像信号のフレーム毎の最大輝度レベルに応じて映像信号の輝度レベルを補正してLEDの消費電力を低減することと、各フレームにおける温度変化によるLED群の輝度変化を検出し、その輝度変化に対応する補正を行うこととを同時に実現できる。
【0144】
尚、本実施形態では、目標電流Itを0mAに設定することで駆動信号401をOFFにすることにより、LEDの間歇駆動を実現しているが、第3の実施形態のように、第2のFET40を用いることにより、LEDの間歇駆動を実現してもよい。
【0145】
また、本実施形態では、ON時間及びOFF時間におけるLED群の輝度変化を求めるようにしたが、必ずしもこのようにする必要はない。すなわち、ON時間における輝度変化、又はOFF時間における輝度変化を、ON時間及びOFF時間におけるLED群の輝度変化の代わりに、又はON時間及びOFF時間におけるLED群の輝度変化の代わりに計算するようにしてもよい。
尚、本実施形態でも、第1〜第3の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
【0146】
(本発明の他の実施形態)
前述した本発明の実施形態における発光制御装置を構成する各手段、並びに発光制御方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0147】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0148】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図4、図5、図9、図10、図13に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接、あるいは遠隔から供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0149】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0150】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0151】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0152】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0153】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0154】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0155】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0156】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0157】
尚、前述した各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の第1の実施形態を示し、フロントプロジェクタの概略構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示し、緑色LED駆動回路の詳細な構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示し、PWMコントローラにて生成されるパルス信号の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態を示し、測定モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態を示し、表示モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態を示し、入力輝度レベルと、補正後の輝度レベルとの関係の一例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態を示し、フロントプロジェクタの概略構成の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態を示し、LEDに供給される駆動信号とLEDのジャンクション温度の変化との一例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を示し、測定モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態を示し、表示モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態を示し、緑色LED駆動回路の詳細な構成の一例を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態を示し、LEDに供給される駆動信号とLEDのジャンクション温度の変化との一例を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施形態を示し、表示モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】パワーLEDにおけるジャンクション温度と相対輝度との関係を示す図である。
【図15】パワーLEDを定電流で駆動したときのジャンクション温度と順方向電圧との関係を示す図である。
【図16】背景技術を示し、入力映像信号の輝度レベルを補正する方法を概念的に示す図である。
【図17】背景技術を示し、LEDを間歇駆動した場合の温度の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0159】
1 CPU
2 メモリ
3、220、221 緑色LED駆動回路
4、222、223 青色LED駆動回路
5、224、225 赤色LED駆動回路
7 映像入力部
8 映像処理部
9 映像信号補正部
11 コイル
12 ダイオード
13 コンデンサ
14、210、211 緑色LED群
15、213、214 青色LED群
16、216、217 赤色LED群
19 抵抗
23 パルス幅カウンタ
25 PWMコントローラ
26 FET
29 DAC回路
40 第2のFET
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光制御装置及び発光制御方法に関し、特に、発光ダイオード(LED)等の発光素子を発光させるために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
<背景技術1>
近年のLEDの技術進歩は目覚しく、発光効率が上昇すると共に、パワーLEDとして大電流を流すことが可能となっている。LEDは、信号灯、車のヘッドランプのみならず、液晶テレビのバックライトやプロジェクタの光源として使用されてきている。
LEDは、電流に比例して発光量が増加する特性を持つ。ところが、LEDは、電流が増加すると共にジャンクション温度が上昇して発光効率が低くなる。したがって、ある程度以上の電流になると、LEDに流す電流を増加しても発光量は上がらなくなる。
【0003】
図14は、市販されているパワーLEDにおけるジャンクション温度と相対輝度との関係を示す図である。図14では、パワーLEDの順方向電流IFが500mAである場合の関係を示している。
図14に示すように、ジャンクション温度が上がるに連れ、相対輝度は減少する。パワーLEDに同じ電流を流しても、発光色の違いにより、相対輝度は異なるものになる。具体的に、ジャンクション温度Tjが100℃のときの青色LED、緑色LED、赤色LEDの輝度は、夫々、ジャンクション温度Tjが25℃のときの輝度の65%、60%、55%となる。また、青、緑、赤夫々の色のLEDの輝度は、同じカーブで減少するのではなく、異なるカーブで減少する。このためホワイトバランスも温度によって変化してしまう。
【0004】
このような問題を克服するため、特許文献1には、LEDの近辺に温度センサを設け、温度センサの出力を用いて、LEDの駆動電流を制御する方法が開示されている。
また、特許文献2には、LEDの順方向電圧の測定結果と、順方向電圧と温度との関係が登録されたテーブルと、を用いて、LEDの温度を求め、求めたLEDの温度に基づいてLEDの駆動電流の指令値を決定し、LEDの電流を制御する方法が開示されている。
図15は、市販されているパワーLEDを定電流(IF=500mA)で駆動したときのジャンクション温度と順方向電圧との関係を示す図である。
図15に示すように、ジャンクション温度Tjが25℃のときに3.5Vである順方向電圧は、ジャンクション温度Tjが90℃になると3.3Vに低下する。このように、ジャンクション温度Tjが1℃低下すると、順方向電圧は約3mV低下する。特許文献2では、このような特性を利用して、順方向電圧と温度との関係を示すテーブルを作成し、作成したテーブルを参照して、LEDの温度を求めている。
【0005】
また、特許文献3には、LEDに測定用電圧を印加したときの駆動電流を測定し、測定した結果と、LEDの電圧と駆動電流との関係がジャンクション温度毎に登録されたテーブルと、を用いてLEDのジャンクション温度を算出する方法が開示されている。
更に特許文献3には、LEDの光量を測定し、測定した結果と、LEDの駆動電流と光量との関係がジャンクション温度毎に登録されたテーブルと、を用いて、LEDのジャンクション温度を算出する方法が開示されている。
【0006】
<背景技術2>
また、LEDの温度変化に基づき、LEDの光量を補正する技術がある。
特許文献4には、LEDの温度を検出した結果に基づいて、LEDからの照明光の光量の目標値を、ホワイトバランス調整部により補正し、補正した目標値になるようLEDからの照明光の光量を補正する方法が開示されている。
また、特許文献5には、LEDの温度と光量との検出結果を用いて、青色のLEDに一定の駆動電流が供給されるようにし、その一定の駆動電流に基づいて、赤色、緑色のLEDに所定の駆動電流が供給されるようにする方法が開示されている。
【0007】
<背景技術3>
また、LEDの応答性が速い特長を生かし、LEDの低消費電力を実現する技術がある。
特許文献6には、入力映像信号の最大輝度レベルを映像フレーム毎に検出し、その最大輝度レベルに応じて、LEDの光量を制御し、入力映像信号の輝度レベルを補正する技術が開示されている。
図16は、入力映像信号の輝度レベルを補正する方法を概念的に示す図である。
図16(a)、図16(b)は、一般的な方法を示し、図16(c)、図16(d)は、特許文献6による方法を示している。
図16では、映像表示画面161に赤色の画素を表示した際のLEDの光量と画素毎の輝度レベルとを表している。
図16(a)、図16(b)に示すように、一般的な方法では、赤色の画素の最高輝度レベルが変化しても、赤色LEDの光量は100%で変化しない。
図16(c)に示すように、特許文献6の方法でも、赤色の画素の最高輝度レベルが100%である場合には、赤色のLEDの光量は100%であり、各画素の輝度レベルも、図16(a)、図16(b)に示した一般的な方法と同じである。一方、図16(d)に示すように、赤色の画素の最高輝度レベルが30%である場合には、赤色のLEDの光量を30%に低下させ、その分映像信号における赤色の輝度レベルを30%から100%、15%から50%に夫々上昇させる。このような処理を行うことにより、映像表示での輝度は同じであるにもかかわらず、LEDの光量を低下させることができ、LEDの消費電力を低減することが可能となる。
【0008】
【特許文献1】特開2002−64223号公報
【特許文献2】特開2005−129598号公報
【特許文献3】特開2005−115350号公報
【特許文献4】特開2005−208231号公報
【特許文献5】特開2006−59605号公報
【特許文献6】特開平11−109317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述した背景技術1では、発光素子の輝度変化等の特性変化を検出するためのコストが高くなるという課題があった。また、発光素子を間歇駆動した場合に発光素子の温度を正確に検出することが困難であるという課題があった。
【0010】
具体的に特許文献1では、LEDの温度を検出するための温度センサが必要となると共に、LEDの駆動回路の製造コストが高くなる。また、温度センサをLEDの近傍に取り付けたとしても、LEDのジャンクション温度を正確にモニターすることができない。
【0011】
ここで、LEDを間歇駆動した場合について説明する。
図17は、市販されているLEDを間歇駆動した場合の温度の変化を示す図である。図17では、LEDの順方向電流IFが1.2Aである場合の温度の変化を示している。また、図17では、LEDとその駆動回路とが配置される筐体の温度501と、温度センサの検出温度502と、LEDのジャンクション温度503とを示している。
【0012】
図17において、LEDが駆動している期間(駆動ON期間)に、温度センサの検出温度502は上昇していない。それにも関わらず、LEDのジャンクション温度503は、最大で20℃以上上昇している。すなわち、LEDを間歇駆動する場合、温度センサでは、LEDのジャンクション温度を正確にモニターすることができないという課題がある。
【0013】
また、特許文献2でも、LEDの駆動電流を制御する回路として、大電流の制御が可能なFET等を用いる必要があり、やはり製造コストが高くなるという課題がある。パワーLEDを用いる場合に、特に製造コストが高くなる。
更に、特許文献3でも、LEDに測定用電圧を印加するための回路と、測定用電圧供給時と通常使用時とでLEDに供給する電圧を切り替えるスイッチとが必要になる。また、LEDの光量を測定する際は、その光量を測定するためのセンサが必要となる。よって、製造コストが高くなるという課題がある。
【0014】
また、背景技術2では、発光素子の特性変化に対応すべく光量や映像信号を補正する際に、発光素子の温度が異常に上昇する虞があり、映像表示に大きな影響を与える虞があるという課題があった。
具体的に特許文献4では、ホワイトバランス調整部により、LEDからの照明光の光量の目標値を補正している。しかしながら、LED、特にパワーLEDは、発熱量が大きい。したがって、ヒートシンクとFANとによってLEDを冷却しても、LEDのジャンクション温度は、周辺温度に比べて、60℃〜80℃程度高くなる。LEDの輝度の低下を補正するためにLEDの駆動電流を多くすると、その分装置の温度上昇が大きくなる。したがって、周辺温度が高い場合には、LEDのジャンクション温度の絶対最大定格(100℃〜120℃)を超える虞があり、LEDの劣化又は破壊につながる虞がある。
また、特許文献5でも、赤色、緑色のLEDの電流を補正することにより装置の温度上昇が増加するので、前述した特許文献4と同様の課題が生じる。
【0015】
また、背景技術3では、LED等の温度変化を考慮して、発光素子の特性変化に対応した補正を行うことが困難であるという課題があった。
特許文献6では、LEDの光量を映像フレーム毎に制御して、入力映像信号の輝度レベルを補正している。しかしながら、各映像フレームにおける温度変化により生じる発光素子の特性変化を検出することはできなかった。
【0016】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、発光素子の特性変化を検出するためのコストが増大することを抑制することを第1の目的とする。
また、発光素子の特性変化に対応する補正する際に、発光素子の温度が上昇することを抑制することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の発光制御装置は、発光素子に供給される電圧を制御するための電圧制御データに基づいて、前記発光素子を駆動する駆動手段と、前記電圧制御データを用いて、前記発光素子の特性変化を導出する導出手段とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明の発光制御方法は、発光素子に供給される電圧を制御するための電圧制御データに基づいて、前記発光素子を駆動する駆動ステップと、前記電圧制御データを用いて、前記発光素子の特性変化を導出する導出ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発光素子に供給される電圧を制御するための電圧制御データを用いて、発光素子の特性変化を導出するので、特別な部品を用いることなく、発光素子の特性変化を検出することができる。したがって、発光素子の温度特性に伴う輝度変化等の特性変化を検出するためのコストが増大することを抑制することができる。
また、本発明の他の特徴によれば、発光素子から発光される光に基づいて表示される映像信号の輝度レベルの補正を行うか、発光素子に流す電流の目標値又は発光素子に供給されるパルス信号の補正を行うかの何れかを、周辺温度に応じて選択する。したがって、発光素子の特性変化を補正する際に、発光素子の温度が上昇することを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下に、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態を説明する。本実施形態では主として、発光素子の特性変化を検出するためのコストが増大することを抑制することと、発光素子の特性変化を補正する際に、発光素子の温度が上昇することを抑制することとを目的としている。
図1は、映像表示装置の一例であるフロントプロジェクタの概略構成の一例を示す図である。
図1において、CPU1は、内蔵するROMにより装置全体の制御を実行する。メモリ2は、CPU1での制御に必要な変数等を記憶する。LED駆動回路3〜5は、発光素子の一例であるLEDを定電流で駆動し、所定の電圧をLEDに供給するための回路である。また、LED駆動回路3〜5は、インターフェース(I/F)を介してCPU1から目標電流を受信する。更に、LED駆動回路3〜5は、測定されたLEDの駆動電流に関するデータと、LEDの駆動電圧を制御するためのパルス信号のパルス幅に関するパルス幅データとをCPU1へ送信する。尚、LED駆動回路3〜5の構成の詳細については、図2を参照しながら後で説明する。
【0021】
FAN6はLEDを冷却(空冷)するためのものである。映像入力部7は、コンポーネント、コンポジット等のアナログ映像信号や、HDMIインターフェース規格、DVIインターフェース規格等に基づくデジタル映像信号を受信する。
映像処理部8は、映像入力部7に入力された映像信号に対し、解像度変換やエッジ強調等の高画質化処理を行う。
映像信号補正部9は、必要に応じて、映像処理部8で高画質化処理が行われた映像信号の各画素の輝度値を、LEDの輝度変化に関する情報に基づいて、画素毎に補正する。映像信号補正部9で補正された映像信号は、ライトバルブ30〜32に供給される。
電源回路10は、LEDを発光するためにLED駆動回路3〜5に所定の電圧を供給すると共に、各処理ブロックへ所定の電圧を供給する。
【0022】
本実施形態では、ライトバルブ30〜32として、透過型液晶構造の液晶パネルを使用している。すなわち、ライトバルブ30〜32は、LEDから発光された光を背面から受け、"液晶の歪"の具合により、受けた光の透過量を可変して、映像信号に応じた光を透過させる。
【0023】
LED駆動回路3〜5から出力される所定の電圧は、夫々緑色LED群14、青色LED群15、赤色LED群16に供給される。
緑色LED駆動回路3から電圧供給を受ける緑色LED群14は、4個のLEDを備えて構成される。緑色LED群14は、緑色の光を発光し、レンズ50を介して、緑色用のライトバルブ30を背面から投射する。これにより映像信号に応じた緑色の光が生成され、プリズム53に導かれる。
【0024】
青色LED駆動回路4から電圧供給を受ける青色LED群15は、2個のLEDを備えて構成される。青色LED群15は、青色の光を発光し、レンズ51を介して、青色用のライトバルブ31を背面から投射する。これにより映像信号に応じた青色の光が生成され、プリズム53に導かれる。
赤色LED駆動回路5から電圧供給を受ける赤色LED群16は、2個のLEDを備えて構成される。赤色LED群16は、赤色の光を発光し、レンズ52を介して、赤色用のライトバルブ32を背面から投射する。これにより映像信号に応じた赤色の光が生成され、プリズム53に導かれる。
【0025】
本実施形態では、緑色のLEDを4個使用し、青色及び赤色のLEDを夫々2個使いにしている。目に与える反応は緑色が一番弱い。このため、緑色の光量を増やす必要があり、緑色のLEDの使用個数を、他の色のLEDの使用個数よりも多くしている。
プリズム53は、受光した"緑色、青色、及び赤色の映像信号に応じた投射光"を合成して出力する。プリズム53から出力された投射光は、レンズ54を介して、表示装置の一例であるスクリーン55に投射される。これにより、映像がスクリーン55上に表現される。
輝度測定装置17は、後述する図5のような処理を行う測定モードで用いられる装置である。この測定モードの処理は、工場の検査工程で実行される。輝度測定装置17は、この測定モードで各色の輝度を測定し、測定した輝度に関するデータをCPU1に伝達する。
以上の構成により、映像入力部7で受信した映像信号を、スクリーン55上に表現するフロントプロジェクタが実現できる。尚、図1では、フロントプロジェクタの主要な構成だけを示しており、クロック発生回路や操作パネル等を示していない。しかしながら、フロントプロジェクタを構成する上では、これらも当然に必要である。
【0026】
図2は、緑色LED駆動回路3の詳細な構成の一例を示す図である。尚、青色LED駆動回路4及び赤色LED駆動回路5の構成は、緑色LED駆動回路3と同じであるので、ここでは、それらの構成の詳細な説明を省略する。
図2において、電源回路10は、緑色LED駆動回路3に、例えば8Vの直流電圧を供給する。コイル11は、電源回路10から供給された直流電圧を、ダイオード12、FET26、及びコンデンサ13と共に昇圧するためのものである。このように、本実施形態では、緑色LED駆動回路3は、昇圧型スイッチング電圧回路を含む構成を有している。
【0027】
ダイオード12は、FET26がOFF状態になったときに、コイル11から供給される電流を、コンデンサ13と、負荷であるLED群14とに導く。
コンデンサ13は、ダイオード12から出力された電流を平滑するための平滑用コンデンサである。
ここで、コイル11、ダイオード12、FET26、及びコンデンサ13で校正される電圧昇圧回路の出力電圧は、下記の(式1)で、一般に表される。
Vo={(Ton+Toff)/Toff}×Vi ・・・(式1)
ただし、Viは電源回路10からの入力電圧であり、Voはコンデンサ13の両端の電圧であり、TonはFET26のon時間であり、Toff:FET26のoff時間である。
また、一般に、異常動作防止のため、Ton>ToffにならないようにFET26を後述のPWMコントローラ25は制御する。
緑色LED群14は、供給された電流に応じた輝度で、照明光を発光する。前述したように、緑色LED群14からの照明光は、レンズ50を介して、緑色用のライトバルブ30に供給される。
【0028】
抵抗19は、緑色LED群14に流れる電流を検出するためのものである。抵抗19に流れる電流の変動に応じて、抵抗19の両端の電圧が変動する。よって、抵抗19に流れる電流を検出することにより、緑色LED群14に流れる電流を検出することができる。尚、抵抗19の値(抵抗値)を大きくしすぎると、無駄な電力が発生することになる。一方、抵抗19の値(抵抗値)を小さくしすぎると、後述するADコンバータ27でのデジタル変換時の誤差が大きくなってしまう。この為、図示していないが、抵抗19で検出された電流値を増幅するためのAMP回路を抵抗19の出力側に設けている。
尚、本実施形態では、抵抗19により電流を検出し、後述するPWMコントローラ25により、抵抗19に流れる電流を一定にするよう制御する。よって、緑色LED駆動回路3は、定電流型スイッチング電圧回路を含む構成を有している。
【0029】
LED駆動用IC20は、インターフェース24と、PWMコントローラ25と、FET26と、ADコンバータ27と、発振器28とを含んでいる。
インターフェース24は、図1に示したCPU1から、LED群14を駆動するための電流の目標値(以下、必要に応じて電流目標値と称する)を入手し、後述するPWMコントローラ25に伝達する。
また、インターフェース24は、後述するADコンバータ27によりデジタル化された電流(抵抗19で検出された"LED群14の駆動電流")をCPU1に伝達する。
また、インターフェース24は、後述するPWMコントローラ25により生成されるパルス信号のパルス幅に関するパルス幅データを入手し、CPU1へ伝達する。
【0030】
ADコンバータ27は、抵抗19で検出された"LED群14の駆動電流"をデジタル信号に変換する。
発振器28は、通常のLED駆動用IC20では、300KHz〜1MHzの周波数の"のこぎり波"を発生する。本実施形態では、発振器28は、500KHzの"のこぎり波"を発生するものとする。
【0031】
PWMコントローラ25は、ADコンバータ27から受け取った"LED群14の駆動電流のデジタル信号"に基づいて得られるLED群14の駆動電流値と、インターフェース24から受け取った目標電流値との差分を求める。そして、PWMコントローラ25は、求めた差分に基づいて、内蔵のパルス幅カウンタ23をカウントアップ又はカウントダウンし、そのパルス幅カウンタ23のカウント値をパルス幅データとして記憶する。パルス幅カウンタ23に記憶されたパルス幅データは、インターフェース24を経由して、CPU1に伝達される。
尚、本実施形態では、パルス幅カウンタ23は12ビットのカウンタであり、0から4096までをカウントする。すなわちパルス幅カウンタ23は、4096の分解能をもっている。
また、PWMコントローラ25は、パルス幅カウンタ23で得られるパルス幅データを、内蔵のDAC回路29によりアナログ信号に変換してFET26へ供給する。すなわち、PWMコントローラ25は、FET26へ供給するパルス信号のパルス幅を変調する。
【0032】
パルス幅カウンタ23、DAC回路29、及びFET26は、ADコンバータ27から得られるLED群14の駆動電流値と、インターフェース24から受け取った目標電流値との差分を徐々に縮小するよう動作する。そして、最終的には、ADコンバータ27から得られるLED群14の駆動電流値と、インターフェース24から受け取った目標電流値とが等しくなるようにする。
尚、PWMコントローラ25のPWMは、Pulse width Modulation(パルス幅変調)の略である。
【0033】
以上のようにして、緑色LED駆動回路3が構成される。本実施形態において特に重要なことは、緑色LED群14の特性変化量をCPU1が求めることができるように、定電流駆動の緑色LED駆動回路3が、パルス幅データをCPU1に伝達することである。詳細については図5及び図6を参照しながら後述するが、本実施形態では、CPU1は、このパルス幅データに基づいて、LED群14〜16の特性変化量の一例である輝度変化量を求めるようにしている。
【0034】
次に、図3を用いて、PWMコントローラ25の動作を説明する。
図3は、PWMコントローラ25にて生成されるパルス信号の一例を示す図である。
図3において、のこぎり波101は、前述したように、発振器28から供給されるものであり、500KHzの周波数を有している。
閾値レベル102、103は、パルス幅カウンタ23により記憶されているパルス幅データを、DAC回路29によりアナログ化することにより得られる閾値レベルである。
パルス幅データは、具体的に、以下の(式2)で表される。
パルス幅データ=Ton/((Ton+Toff)/2)×分解能 ・・・(式2)
ただし、分解能=4096
【0035】
閾値レベル102は、2048の値を有するパルス幅データ(=0.5uS/1uS×4096=2048)の閾値レベルである。また、閾値レベル103は、3276の値を有するパルス幅データ(=0.8uS/1uS×4096=3276)の閾値レベルである。
パルス信号104は、閾値レベル102で生成されるパルス信号であり、パルス信号105は、閾値レベル103で生成されるパルス信号である。このようにして生成されたパルス信号104、105がFET26に供給される。FET26は、供給されたパルス信号104、105に基づくスイッチング動作を行い、図2に示したコイル11、ダイオード12、コンデンサ13と共に、供給されたパルス信号104、105から任意の電圧を生成する。
【0036】
パルス信号104、105から生成される電圧Voは、回路のロスを無視すると、前述したように(式1)で表される。(式1)に示すように、パルス信号104、105のON時間Tonが長いほどパルス信号104、105から生成される電圧は高くなり、短いほど低くなる。
【0037】
例えば、図3に示したパルス信号104、105の一例では、電源回路10から供給される直流電圧が8V、発振器28の周波数が500KHzであるので、パルス信号104から生成される電圧は、以下の(式3)により10.7Vとなる。ただし、図3に示すように、パルス信号104のON時間Tonは0.5μsであり、OFF時間Toffは1.5μsであるとする。
Vo={(0.5+1.5)/1.5}×8=10.7V ・・・(式3)
また、パルス信号105生成される電圧は、以下の(式4)により13.3Vとなる。ただし、図3に示すように、パルス信号105のON時間Tonは0.8μsであり、OFF時間Toffは1.2μsであるとする。
Vo={(0.8+1.2)/1.2}×8=13.3V ・・・(式4)
(Ton=0.8uS,Toff=1.2uS)で
【0038】
ここで重要なことは、パルス信号104、105により生成される電圧Voは、(式1)で表され、電源回路10から供給される直流電圧Viが一定であれば、パルス信号104、105のON時間TonとOFF時間Toffとに依存することである。また、パルス信号104、105のON時間TonとOFF時間Toffは、閾値レベル102、103と、閾値レベル102、103を設定しているパルス幅データとに依存している。したがって、パルス信号104、105により生成される電圧Voは、パルス幅データに依存する。
本実施形態では、この点に着目し、パルス信号104、105により生成される電圧Vo(LEDの順方向電圧)の代わりに、パルス幅データを用いて、LEDの順方向電圧の温度依存性を検出している。
以上のように本実施形態では、LED駆動回路3〜5を用いて駆動手段が実現される。また、本実施形態では、FET26を用いてスイッチ素子が実現され、パルス幅データにより電圧制御データが実現され、PWMコントローラ25を用いて生成手段が実現される。
【0039】
図4は、測定モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。測定モードの処理は、例えば、工場検査時、25℃程度の常温下の環境で、パルス幅データと輝度との関係を記憶するものである。また、工場検査時においては、検査装置として、図1に示した輝度測定装置17を用い、輝度測定装置17で測定された輝度を、CPU1に伝達する環境を備える。
【0040】
ステップS130において、CPU1は、目標電流Itを例えば500mAにセットし、セットした目標電流ItをLED駆動回路3〜5に送信する。目標電流Itは、各LED駆動回路3〜5が備えるインターフェース24を介して、PWMコントローラ25に送られる。
LED駆動回路3〜5は、目標電流Itを受信すると、図2を用いて説明したように、定電流駆動を開始する。
【0041】
次に、ステップS131において、CPU1は、測定パターンをスクリーン55に表示させる。この測定パターンの表示は、赤色、青色、及び緑色のLEDの輝度を測定するための表示である。本実施形態では、それぞれの色をストライプ状に表示したものを測定パターンとする。このように本実施形態では、測定パターンにより測定用の映像が実現される。
【0042】
次に、ステップS132において、CPU1は、ADコンバータ27によりデジタル化された電流Im(抵抗19で検出された"LED群14の駆動電流")を受信する。尚、以下の説明では、この電流Imを必要に応じて検出電流Imと称する。
次に、ステップS133において、CPU1は、ステップS130で送信した目標電流Itと、ステップS132で受信した検出電流Imとの差の絶対値が、閾値(例えば5mA)よりも小さいか否かを判定する。この判定の結果、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値以上である場合には、ステップS132に戻り、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値よりも小さくなるまで、ステップS132、S133を繰り返し実行する。
【0043】
そして、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値より小さくなると、電圧が安定したと判断して、ステップS134に進む。
ステップS134に進むと、CPU1は、PWMコントローラ25内にあるパルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信する。ここで受信するパルス幅データは、LEDのジャンクション温度がまだ上昇していない時間(例えば、LEDの駆動を開始した後100μs程度の時間)でのパルス幅データであり、略常温下でのパルス幅データとみなすことができる。
【0044】
次に、ステップS135において、CPU1は、ステップS134で受信したパルス幅データを変数P1としてメモリ2に記憶する。
次に、ステップS136において、輝度測定装置17は、ステップS131で表示したストライプ状の測定パターンの輝度を測定する。CPU1は、輝度測定装置17で測定された"測定パターンの輝度"を受信し、受信した"測定パターンの輝度"の値を変数P3としてメモリ2に記憶する。
【0045】
次に、ステップS137において、CPU1は、タイマーを起動させ、所定時間(例えば100ms)が経過するまで待機する。所定時間は、LEDのジャンクション温度が高くなり、そのジャンクション温度が十分に安定するまでの時間である。
そして、所定時間が経過すると、ステップS138に進む。ステップS138に進むと、CPU1は、ステップS134と同様に、PWMコントローラ25内にあるパルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信する。ここで受信するパルス幅データは、LEDのジャンクション温度が上昇し且つ安定した後のパルス幅データである。
【0046】
次に、ステップS139において、CPU1は、ステップS138で受信したパルス幅データを変数P2としてメモリ2に記憶する。
次に、ステップS140において、CPU1は、ステップS136と同様に、ステップS131で表示したストライプ状の測定パターンの輝度を、輝度測定装置17から受信し、受信した測定パターンの輝度の値を変数P4としてメモリ2に記憶する。
【0047】
次に、ステップS141において、CPU1は、変数P1〜P4を用いて、パルス幅データと輝度の相関を計算し、計算した相関を変数P5としてメモリ2に格納する。このステップS141が終了すると、測定モードの処理を終了する。
【0048】
以下に、パルス幅データと輝度の相関を計算する方法の一例を示す。ここでは、LEDのジャンクション温度と輝度との関係が図14に示す関係を有し、LEDのジャンクション温度と順方向電圧との関係が図15に示す関係を有する場合に、緑色LED群14のジャンクション温度が25℃から85℃に上昇した場合を考える。
LEDの順方向電圧は、図15より、3.5Vから3.3Vに低下する。緑色LED群14は、4個のLEDを有している。よって、緑色LED群14に供給される電圧は、14Vから13.2V(=14−(4×0.2))に低下する。
【0049】
これらの電圧を、(式1)に当てはめると以下のようになる。すなわち、緑色LED群14に供給される電圧Voが14V、13.2Vの場合、パルス信号のON電圧TonとOFF電圧Toffは、以下のようになる。
14Vの場合;Toff=1.14μs、Ton=0.86μs
13.2Vの場合;Toff=1.21μs、Ton=0.79μs
ただし、Toff+Ton=2μs、Vi=8V
【0050】
また、パルス幅データは、(式2)で表されるので、パルス信号のON電圧Tonが0.86μsでのパルス幅データは、3522となり、パルス信号のON電圧Tonが0.79μsでのパルス幅データは、3235となる。ただし、分解能は4096である。
ここでは、緑色LED群14のジャンクション温度は60℃上昇しているので、パルス幅データは、以下の(式5)より、1℃あたり4.78減少する。
(3235−3522)÷60(ジャンクション温度の上昇分)=−4.78 ・・・(式5)
【0051】
次に、図14を参照すると、ジャンクション温度が25℃のときの緑色LED群14の輝度を1.0とすると、ジャンクション温度が85℃のときの緑色LED群14の輝度は0.7となり、ジャンクション温度が25℃のときに比べ30%低下している。輝度測定装置17が、図14と同様に、30%の輝度の低下を検出した場合、以下の(式6)により、緑色LED群14の輝度は、1℃あたり0.5%低下することになる。
−30÷60(ジャンクション温度の上昇分)=−0.5% ・・・(式6)
(式5)及び(式6)により、パルス幅データの温度変化と、LEDの輝度の温度変化との関係は、以下の(式7)で表される。
(−0.5)÷(−4.78)=0.10 ・・・(式7)
(式7)は、パルス幅データが1減少するごとに、輝度が0.10%減少することを示している。
【0052】
ただし、本実施形態の測定モードでは、LED群14〜16のジャンクション温度の上昇分を知ることができないので、図4のステップS141では、以下の(式8)を用いて、パルス幅データと輝度との相関を計算する。
相関={(温度上昇前の輝度P3―温度上昇後の輝度P4)÷(温度上昇前のパルス幅データP1−温度上昇後のパルス幅データP2)}×100 ・・・(式8)
前述した例では、温度上昇前(ジャンクション温度が25℃(一の温度)のとき)の輝度P3(相対輝度)は1であり、温度上昇後(ジャンクション温度が85℃(他の温度)のとき)の輝度P4(相対輝度)は0.3(=30%)である。また、温度上昇前(ジャンクション温度が25℃(一の温度)のとき)のパルス幅データP1は3235であり、温度上昇後(ジャンクション温度が85℃(他の温度)のとき)のパルス幅データP2は、3522である。したがって、パルス幅データと輝度の相関は、以下の(式9)に示すように0.10となる。
{(1−0.7)÷(3235−3522)}×100=0.10 ・・・(式9)
【0053】
(式9)は、温度上昇が60℃である場合の"輝度の温度変化とパルス幅データの温度変化との相関"を計算しており、結果として(式7)と同じ値となっている。図4のステップS141で(式8)、(式9)を用いる理由は、前述したように、本実施形態の測定モードでは、LEDのジャンクション温度の温度上昇が何℃なのか分かっていないためである。すなわち、ジャンクション温度の温度上昇を含む(式5)、(式6)の計算を、測定したデータのみでは行うことはできない。このためジャンクション温度の温度上昇を含まない(式8)、(式9)を用いて、輝度の温度変化とパルス幅データの温度変化との相関するようにしている。
【0054】
LEDの順方向電圧は、個体差が大きく、ジャンクション温度が25℃のときの順方向電圧のばらつきは、±20%以上である。また、LEDの順方向電圧とジャンクション温度との関係は、常時図16に示すような関係を示さず、やはり個体差が大きい。また、同じ電流をLEDに印加しても、LEDの個体差により、LEDの輝度には、ばらつきが生じる。したがって、LEDの輝度とジャンクション温度との関係も、図14のようにならず、一定ではない。このため、本実施形態では、図4に示したように、測定モードで、実際のパルス幅データとLEDの輝度とを、温度上昇前と温度上昇後とで測定し、パルス幅データと輝度との相関を、それらの変化分の比を計算することにより求め、記憶媒体に記憶している。
【0055】
以上のように本実施形態では、ステップS141の処理を行うことにより、第2の導出手段と記憶手段とが実現される。
尚、ここでは、目標電流Itを閾値(500mA)に固定した場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、目標電流Itを変更することにより、LEDの輝度のばらつきを補正する処理を行い、この処理を行ったときの目標電流Itを、以下の図5に示す表示モードでの目標電流として用いるようにしてもよい。
【0056】
図5は、表示モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。この表示モードにおける処理は、図1に示したフロントプロジェクタが、映像信号を受信して表示する処理である。尚、本実施形態では、この表示モードで表示される映像により、非測定用の映像が実現される。
ステップS150において、CPU1は、目標電流Itを例えば500mAにセットし、目標電流Itを、インターフェース24を介して、PWMコントローラ25に送信する。この処理により、図2を用いて説明したように、LED駆動回路3〜5が定電流駆動を開始し、LED群14〜16が点灯する。
【0057】
次に、ステップS151において、映像入力部7は、映像信号を受信する。
次に、ステップS152において、映像処理部8は、ステップS151で受信された映像信号に対し、1フレームずつ高画質化処理を行う。
【0058】
次に、ステップS153において、CPU1は、パルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信し、受信したパルス幅データを変数P6としてメモリ2に記憶する。
次に、ステップS154において、CPU1は、輝度変化を計算する。
【0059】
ここでは、一例として、周辺温度が0℃になった場合と、40℃になった場合とを考える。また、周辺温度に対するジャンクション温度の温度上昇は、図4で示した例と同様に60℃とする。また、図4で示した例と同様に、緑色のLEDを4個使用して緑色LED群14が構成されているとする。
【0060】
周辺温度が0℃でのジャンクション温度は60℃であり、ジャンクション温度が60℃のときの緑色のLEDの順方向電圧は、図15から、3.37Vである。緑色のLEDを4個使用しているので、緑色のLEDの順方向電圧は、全体として、13.48Vとなる。
周辺温度が40℃でのジャンクション温度は100℃であり、ジャンクション温度が100℃のときの緑色のLEDの順方向電圧は、図15から、3.26Vである。緑色のLEDを4個使用しているので、緑色のLEDの順方向電圧は、全体として、13.04Vとなる。
【0061】
これらの電圧を、(式1)に当てはめると以下のようになる。すなわち、緑色LED群14に供給される電圧Voが13.48V、13.04Vの場合、パルス信号のON電圧TonとOFF電圧Toffは、以下のようになる。
0℃、13.48Vの場合;Toff=1.18μs、Ton=0.82μs
40℃、13.04Vの場合;Toff=1.23μs、Ton=0.77μs
ただし、Toff+Ton=2uS、Vi=8V
【0062】
また、パルス幅データは、(式2)で表されるので、パルス信号のON電圧Tonが0.82μsでのパルス幅データは、3359となり、パルス信号のON電圧Tonが0.77μsでのパルス幅データは、3154となる。ただし、分解能は4096である。
したがって、周辺温度が0℃のときには、ステップS153において、パルス幅データとして「3359」を受信し、周辺温度が40℃のときには、ステップS153において、パルス幅データとして「3154」を受信する。
【0063】
そして、ステップS154において、輝度変化を計算する。
CPU1は、図4の測定モードで変数P2としてメモリ2に記憶した"25℃(常温下)でのパルス幅データ"を読み出す。また、CPU1は、図4の測定モードで変数P5としてメモリ2に記憶した"輝度とパルス幅データとの相関"を示す相関データを読み出す。この相関データからも分かるように、パルス幅データの変動により、輝度も変動する。よって、輝度変化は、ステップS153で変数P6として記憶したパルス幅データと、25℃(常温下)でのパルス幅データとの差に、相関データを乗じることにより、求めることができる。すなわち、CPU1は、以下の(式10)により、輝度変化を求める。
輝度変化=(受信したパルス幅データP6−25℃でのパルス幅データP2)×相関データ ・・・(式10)
【0064】
前述した例では、パルス幅データと輝度との相関は、(式9)から、0.10である。また、周辺温度が25℃でのパルス幅データは、3235である。また、ステップS153で受信したパルス幅データは、3359である。
従って、周辺温度が0℃での輝度変化は12.4%(=(3359−3235)×0.10)である。すなわち、周辺温度が25℃から0℃に変化した場合、12.4%輝度が増加することになる。
【0065】
一方、周辺温度が40℃での輝度変化は、−8.1%(=(3154−3235)×0.10)である。すなわち、周辺温度が25℃から40℃に変化した場合、8.1%輝度が減少することになる。
本実施形態では、以上のようにして輝度変化を、ステップS154で計算する。このように本実施形態では、このステップS154で求められる輝度変化が、発光素子の特性変化に対応し、このステップS154の処理を行うことにより、導出手段が実現される。
【0066】
図5の説明に戻り、ステップS155において、CPU1は、ステップS153で変数P6として記憶したパルス幅データと、図4の測定モードのステップS134で変数P2として記憶したパルス幅データと比較を行う。
ジャンクション温度の絶対最大定格を超えないようにLEDを動作させる必要がある。このため、ステップS155では、図4の測定モードで記憶した"25℃(常温下)でのパルス幅データ"よりも小さい値のパルス幅データが変数P6として記憶されたとき、すなわち周辺温度が25℃よりも高くなっているときは、ステップS158へ進む。
【0067】
ステップS158に進むと、映像信号補正部9は、ステップS154で計算された輝度変化に基づいて映像信号の補正を行う。すなわち、ステップS158では、輝度変化に応じて映像信号を補正することを行い、LEDの駆動電流を上昇させて輝度を補うことを行わない。本実施形態ではこのようにすることより、LEDのジャンクション温度が上昇するのを防止している。
【0068】
一方、図4の測定モードで記憶した"25℃(常温下)でのパルス幅データ"以上の値のパルス幅データが変数P6として記憶されたとき、すなわち周辺温度が25℃以下になっているときは、ステップS156へ進む。そして、ステップS156、S157において、LEDの駆動電流を減少させて、低温により増加した輝度を減少させる処理が行われる。
前述した例では、周辺温度が0℃のときは、変数P6の値が3359であり、変数P2の値が3235である。よって、ステップS155の比較の結果、P6>P2となり、ステップS156に進む。
一方、周辺温度が40℃のときは、変数P6の値が3154であり、変数P1の値が3235である。よって、ステップS155の比較の結果、P6<P1となり、ステップS158へ進む。
【0069】
ステップS156に進むと、CPU1は、低温による輝度の増加を、LEDの駆動電流を少なくすることで補正するために、目標電流Itを計算する。
例えば、周辺温度が0℃の場合(周辺温度が25℃から0℃に変化した場合)、前述したように、12.4%輝度が増加する。LEDの順方向電流が0.25Aから0.5Aの範囲においては、温度が一定の場合には、順方向電流と輝度とは、略直線的な比例関係を有して変化する(順方向電流と輝度とは、略正比例の関係を有する)。このため、LED電流を12.4%低下することにより、輝度を12.4%低下させることができる。
そこで、この例では、ステップS156において、CPU1は、目標電流Itを、以下の(式11)を用いて438mAと計算する。
500×(100−12.4)/100=438mA ・・・(式11)
【0070】
次に、ステップS157において、CPU1は、ステップS156で計算された新しい目標電流It(前述した例では438mA)を、インターフェース24を介して、PWMコントローラ25に送信する。この処理により、新しい目標電流ItでLED駆動回路3〜5が動作し、LED群14〜16が補正された輝度で点灯する。
【0071】
そして、ステップS159において、映像信号補正部9は、1フレーム分の映像信号をライトバルブ30〜32に送信する。
【0072】
一方、ステップS158は、周辺温度が高いときに、映像信号の各画素の輝度データを補正する処理である。
映像信号補正部9は、基本的には、以下の(式12)を用いて、映像信号の補正後の輝度レベルを計算する。
補正後の輝度レベル=入力輝度レベル×(1+補正値) ・・・(式12)
で計算する。
前述した例では、周辺温度が40℃での輝度変化は、−8.1%であり、周辺温度が25℃から40℃に変化した場合、8.1%輝度が減少することになる。映像信号の階調が8ビット(256段階)の場合であって、画素の入力輝度レベルが中間レベルの128である場合、CPU1は、温度が変化する前と同等の画素輝度を得るために、以下の(式13)により補正後の輝度レベルを138に変更する。
128×(1+8.1/100)=138 ・・・(式13)
【0073】
図6は、入力輝度レベルと、補正後の輝度レベルとの関係の一例を示す図である。
図6(a)において、グラフ170は、輝度レベルの補正をしない場合のカーブであり、グラフ171は、(式12)を用いて輝度レベルの補正をした場合のカーブである。
グラフ171から分かるように、入力輝度レベルが最大レベルの256に近づく部分172で、補正後の輝度レベルが最大レベルの256となってしまい、一定以上の入力輝度レベルが、全て最大輝度レベルに補正されてしまう。
【0074】
そこで、本実施形態では、(式12)を用いて算出された補正後の輝度レベルを補正するための補正テーブルを映像信号補正部9が有しているようにしている。例えば、図6(a)のグラフ171を、図6(b)のグラフ174のように補正できるような補正テーブルを映像信号補正部9が有しているようにしている。そして、ステップS158において、映像信号補正部9は、(式12)を用いて算出した補正後の輝度レベルを、補正テーブルを用いて更に補正する。このようにすることにより、入力輝度レベルが最大レベルになるまでは、(式12)を用いて算出された補正後の輝度レベルが、映像信号の最大レベルに達しないようにすることができる。
次に、ステップS159において、映像信号補正部9は、補正テーブルを用いて補正された輝度レベルを新たな輝度レベルとした1フレーム分の映像信号をライトバルブ30〜32に送信する。そして、ステップS152に戻る。
以上のように本実施形態では、ステップS155の処理を行うことにより、選択手段が実現される。また、本実施形態では、ステップS156、S157、S158の処理を行うことにより、補正手段が実現される。
【0075】
以上のように本実施形態では、測定モードにおいて、常温下の(周辺温度が25℃での)パルス幅データを変数P1として記憶しておくと共に、パルス幅データと輝度の相関を変数P5として計算して記憶しておく。そして、表示モードにおいて、映像信号を表示しているときのパルス幅データを受信すると、そのパルス幅データと、常温下の(周辺温度が25℃での)パルス幅データと、パルス幅データと輝度の相関とを用いて、温度の変化によって生じた輝度変化を計算する。そして、周辺温度が常温以下の場合には、計算した輝度変化に応じて目標電流Itを再設定し、LEDの駆動電流が再設定した目標電流Itとなるようにする。一方、周辺温度が常温よりも大きい場合には、計算した輝度変化を打ち消すように、映像信号の輝度データを補正する。
【0076】
したがって、LEDの温度特性に伴う輝度変化を、部品の追加等のコストアップを伴わない形態で検出することができる。また、LEDの温度上昇を抑制しながら、LEDの光量や映像信号の調整(補正)を行うことができる。よって、パワーLED等の高輝度タイプの発光素子の光量を犠牲にすることなく、また、熱暴走等によるLEDの劣化や破損等の不都合を伴うことなく、光量や映像信号の補正(輝度変化に対応する補正)を行うことができる。
【0077】
尚、本実施形態では、電圧を昇圧してLEDを駆動するPWMタイプのコントローラ(PWMコントローラ25)を用いた場合を例に挙げて説明したが、LEDを駆動するための電圧コントローラは、これに限定されるものではない。例えば、電圧を降圧してLEDを駆動する降圧形のコントローラを用いてもよい。また、周波数変調を行ってLEDを駆動するPFM(Pulse Frequency Modulation)タイプのコントローラを用いてもよい。更に、PWMとPFMとを併せ持ったタイプのコントローラを用いてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、温度による輝度変化に関し、LEDの目標電流It又は映像信号の輝度レベルを補正するようにしているが、計時変化による輝度レベルの劣化に対応するようにしてもよい。また、ホワイトバランス補正回路を設け、LEDの温度による色度変化を補正するようにしてもよい。
【0079】
更に、本実施形態では、図5のステップS158において、映像信号を補正する際、図6(b)に示すグラフ174を用いて、輝度レベルを補正しているが、必ずしもこのようにする必要はない。映像信号の輝度分布により、例えば、暗い映像の場合には図6(a)に示すグラフ171のようにして輝度レベルを補正し、明るい映像の場合には図6(b)に示すグラフ174のようにして輝度レベルを補正するようにしてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、パルス幅データに応じて、目標電流Itの補正を行うか、映像信号の補正を行うかの何れかを選択するようにした(ステップS155)。しかしながら、選択する基準は、周辺温度に関連するデータであれば、パルス幅データに限定されない。例えば、輝度変化が閾値より小さい場合には、目標電流Itを補正し、そうでない場合には、映像信号を補正するようにしてもよい。
【0081】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では主として、発光素子を間歇駆動した場合でも、発光素子の温度を従来よりも正確に反映させて、発光素子の特性変化を検出し、その特性変化に対応する補正を行うことができるようにすることを目的とする。この目的を達成するため、本実施形態では、前述した第1の実施形態と、発光素子の一例であるLEDを駆動する方法の一部を主として異ならせている。よって、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図6に付した符号と同一の符号を付すこと等によって詳細な説明を省略する。
【0082】
図7は、映像表示装置の一例であるフロントプロジェクタの概略構成の一例を示す図である。
図7において、第1の緑色LED群210、第2の緑色LED群211は、夫々、第1の緑色LED駆動回路220、第2の緑色LED駆動回路221により、間歇駆動(間歇的に駆動)される。第1及び第2の緑色LED群210、211は、間歇的なパルス信号(電圧)が印加されている期間にのみ発光する。光合成部212は、第1及び第2の緑色LED群210、211から発光された光に基づく合成光を作って、緑色の光を、レンズ50を介してライトバルブ30に投射する。
【0083】
第1の青色LED群213、第2の青色LED群214は、夫々、第1の青色LED駆動回路222、第2の青色LED駆動回路223により、間歇駆動される。第1及び第2の青色LED群213、214は、間歇駆動の電圧が印加されている期間にのみ発光する。光合成部215は、第1及び第2の青色LED群213、214から発光された光に基づく合成光を作って、青色の光を、レンズ51を介してライトバルブ31に投射する。
【0084】
第1の赤色LED群216、第2の赤色LED群217は、夫々、第1の赤色LED駆動回路224、第2の赤色LED駆動回路225により、間歇駆動される。第1及び第2の赤色LED群216、217は、間歇駆動の電圧が印加されている期間にのみ発光する。光合成部218は、第1及び第2の赤色LED群216、217から発光された光に基づく合成光を作って、赤色の光を、レンズ52を介してライトバルブ32に投射する。
【0085】
ライトバルブ30〜32により映像が付加された光は、プリズム53、レンズ54に投射される。これにより、映像がスクリーン55上に表現される。
光量の増加を図るため、本実施形態では、前述したように、緑色、青色、及び赤色の夫々についてLED群を2つずつ設けている。詳細については後述するが、LED駆動回路220〜225の制御により、LED群210、211、213、214、216、217は間歇駆動し、駆動中の電流を増加させている。
【0086】
図8は、LEDに供給される駆動信号とLEDのジャンクション温度の変化との一例を示す図である。
図8において、第1の駆動信号201は、第1のLED群(例えば第1の緑色LED群210)へ供給される駆動信号である。第1の駆動信号201は、第1の駆動回路(例えば第1の緑色LED駆動回路220)で生成される。この第1の駆動信号201の立ち上がりのタイミング205〜207は、周辺温度の変化及びジャンクション温度の変化による温度上昇を抑えるため、CPU1からの制御により変更される。本実施形態では、タイミング205〜207を変更することにより、第1の駆動信号201のパルス幅を縮小する処理を行っている。
【0087】
ジャンクション温度202は、第1の駆動信号201がタイミング205で立ち上がる場合の、第1のLED群(例えば第1の緑色LED群210)のジャンクション温度の変化を示している。第1の駆動信号201がONのとき、ジャンクション温度202は上昇し、OFFのとき、ジャンクション温度は下降する。
ジャンクション温度208は、第1の駆動信号201がタイミング207で立ち上がる場合の、第1のLED群(例えば第1の緑色LED群210)のジャンクション温度の変化を示している。第1の駆動信号201がONのとき、ジャンクション温度208は上昇し、OFFのとき、ジャンクション温度208は下降していく。また、ジャンクション温度208は、ジャンクション温度202に比べ緩やかに下降している。
【0088】
第2の駆動信号203は、第2のLED群(例えば第2の緑色LED群211)へ供給される駆動信号である。第2の駆動信号203は、第2の駆動回路(例えば第2の緑色LED駆動回路221)で生成される。この第2の駆動信号203の立ち上がりのタイミング231〜233は、第1の駆動信号201と同様に、周辺温度の変化及びジャンクション温度の変化による温度上昇を抑えるため、CPU1からの制御により変更される。本実施形態では、タイミング231〜233を変更することにより、第2の駆動信号203のパルス幅を縮小する処理を行っている。
【0089】
ジャンクション温度204は、第2の駆動信号203がタイミング231で立ち上がる場合の、第2のLED群(例えば第2の緑色LED群211)のジャンクション温度の変化を示している。第2の駆動信号203がONのとき、ジャンクション温度204は上昇し、OFFのとき、ジャンクション温度204は下降していく。第2の駆動信号203は、第1の駆動信号201と重複しないパルスを発生している。よって、表示時間、すなわち、ライトバルブ30〜32へ投射される時間は、図8に示した表示時間234a〜234cとなる。
以上のように本実施形態では、第1及び第2の駆動信号201、203により、発光素子に供給されるパルス信号が実現される。
【0090】
図9は、測定モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。図9において、第1の実施形態と同じ処理については、図4と同じ符号を使用している。また、LED駆動回路220〜225の構成は、第1の実施形態のLED駆動回路3〜5の構成と同様である(図2を参照)。
尚、測定モードは、第1及び第2の緑色LED群210、211、第1及び第2の青色LED群213、214、第1及び第2の赤色LED群216、217の6つのLED群に対して行う必要がある。ただし、図9の説明では、そのうちの1つのLED群(第1の緑色LED群210)に対する測定モードの処理手順を示している。基本的には、図9に示す処理を、夫々のLED群に対して6回繰り返すことで、測定モードが完了する。
【0091】
まず、ステップS230において、CPU1は、目標電流Itを例えば1.5Aにセットし、セットした目標電流Itを第1のLED駆動回路220に送信する。第1の緑色LED群210に対して、1/3デューティの間歇制御を行う場合、第1の緑色LED群210には、基本的に定格の3倍の電流を供給することが可能である。よって、本実施形態では、第1の実施形態で説明した図4のステップS130でセットする目標電流Itの3倍の1.5Aをセットするようにしている。
【0092】
次に、CPU1は、ステップS131において、測定パターンをスクリーン55に表示させ、ステップS132において、ADコンバータ27によりデジタル化された検出電流Imを受信する。
次に、CPU1は、ステップS133において、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値(例えば5mA)よりも小さいと判定すると、ステップS134において、略常温下でのパルス幅データを受信する。そして、ステップS135において、CPU1は、受信したパルス幅データを、変数P1としてメモリ2に記憶する。
【0093】
次に、ステップS136において、輝度測定装置17は、ステップS131で表示したストライプ状の測定パターンの輝度を測定する。CPU1は、輝度測定装置17で測定された"測定パターンの輝度"を受信し、受信した"測定パターンの輝度"の値を変数P3としてメモリ2に記憶する。
次のステップS231からステップS236までの処理は、図8に示す映像信号の1フレーム分の時間である16.67msを1ループとし、温度が安定するまで繰り返し行われる処理である。
【0094】
まず、ステップS231において、CPU1は、タイマーを起動させ、所定時間(例えば4.45ms)が経過するまで待機する。所定時間は、第1の駆動信号201がタイミング207で立ち上がった場合のON時間に相当する。
そして、所定時間が経過すると、ステップS232に進む。ステップS232に進むと、CPU1は、PWMコントローラ25内にあるパルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信する。
【0095】
次に、ステップS241において、前回のループで変数P2として記憶したパルス幅データと、ステップS232で受信したパルス幅データとの差の絶対値が閾値(例えば2)よりも小さいか否かを判定する。この判定は、パルス幅データが安定し、第1の緑色LED群210の温度が十分に安定したかどうかを判別する処理である。
この判定の結果、前回のループで変数P2として記憶したパルス幅データと、ステップS232で受信したパルス幅データとの差の絶対値が閾値(例えば2)よりも小さく、パルス幅データが安定した場合には、後述するステップS237へ進む。一方、前回のループで変数P2として記憶したパルス幅データと、ステップS232で受信したパルス幅データとの差の絶対値が閾値以上でありパルス幅データがまだ安定していない場合には、ステップS233に進む。
【0096】
ステップS233に進むと、CPU1は、ステップS232で受信したパルス幅データを変数P2としてメモリ2に記憶する。次のループにおけるステップS241の判定で用いるためである。
次に、ステップS234において、CPU1は、目標電流Itを0Aにセットし、LEDの駆動信号をOFF状態にする。
次に、ステップS235において、CPU1は、タイマーを起動させ、所定時間(例えば12.22ms)が経過するまで待機する。所定時間は、第1の駆動信号201のOFF時間に相当する。
【0097】
そして、所定時間が経過すると、ステップS236に進む。ステップS236に進むと、CPU1は、目標電流Itを例えば1.5Aにセットし、セットした目標電流Itを第1のLED駆動回路220に送信する。そして、ステップS231に戻る。
ステップS241の判定の結果、パルス幅データが安定し、第1の緑色LED群210の温度が十分に安定したと判定されると、ステップS237に進む。ステップS237に進むと、CPU1は、ステップS232で受信したパルス幅データを、変数P2としてメモリ2に記憶する。
【0098】
次に、ステップS238において、輝度測定装置17は、ステップS136と同様に、ステップS131で表示したストライプ状の測定パターンの輝度を測定する。CPU1は、輝度測定装置17で測定された"測定パターンの輝度"を受信し、受信した"測定パターンの輝度"の値を変数P4としてメモリ2に記憶する。
次に、ステップS239において、CPU1は、目標電流Itを0Aにセットし、LEDの駆動信号をOFF状態にする。
【0099】
次に、ステップS240において、CPU1は、変数P1〜P4を用いて、パルス幅データと輝度の相関を計算し、計算した相関を変数P5としてメモリ2に格納する。このステップS240が終了すると、測定モードの処理を終了する。
パルス幅データと輝度の相関を計算する方法は、第1の実施形態における図4のステップS141で説明した方法と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0100】
図10は、表示モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS251において、映像入力部7は、映像信号を受信する。
次に、ステップS252において、映像処理部8は、ステップS151で受信された映像信号に対し、1フレームずつ高画質化処理を行う。
【0101】
次に、ステップS253で、CPU1は、目標電流Itを0Aにセットし、LEDの駆動信号をOFF状態にする。これにより、LED群(例えば第1の緑色LED群210)がOFF状態となる。
次に、ステップS254において、CPU1は、タイマーT1をスタートする。このタイマーT1のカウント値は、後述するステップS260の判定で使用される。
次に、ステップS255において、CPU1は、パルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信し、受信したパルス幅データを変数P6としてメモリ2に記憶する。
【0102】
次に、ステップS256において、CPU1は、輝度変化を計算し、計算した輝度変化量を、変数R1としてメモリ2に記憶し、ステップS257に進む。輝度変化の計算方法は、第1の実施形態における図5のステップS154で説明した方法と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
第1の実施形態で説明した例では、周辺温度が25℃から0℃に変化した際、12.4%輝度が増加し、25℃から40℃に変化した際、8.1%低下している。本実施形態でも、これと同じ数値を用いて、ステップS257、S258を説明する
【0103】
ステップS257に進むと、CPU1は、LED群のON時間を計算する。具体的に本実施形態では、CPU1は、以下の(式14)を用いて、LED群のON時間R2を計算する。
R2=4.45×(1−R1) ・・・(式14)
ただし、4.45は、測定モードでのLED群のON時間[ms]である。
【0104】
例えば、温度上昇によって、輝度が8.1%低下した場合、ステップS256の処理で、変数R1として−0.81が記憶される。よって、LED群のON時間R2は、以下の(式15)により、4.81msとなる。
4.45×{1−(−0.81)}=4.81ms ・・・(式15)
この4.81msが、周辺温度が40℃に上昇した際のLED群のON時間となる。
【0105】
一方、周辺温度が低下して、輝度が12.4%上昇した場合、ステップS256の処理で、変数R1として0.124が記憶される。よって、LED群のON時間R2は、以下の(式16)により、3.90msとなる。
4.45×(1−0.124)=3.90ms ・・・(式16)
この3.90msが、周辺温度が0℃に低下した際のLED群のON時間となる。
【0106】
次に、ステップS258において、CPU1は、LED群のOFF時間を計算する。
図8に示した例では、1フレーム時間が、16.67msである。よって、この16.67msから、ステップS257で計算したON時間を引くと、OFF時間が求まる。具体的にCPU1は、以下の(式17)を用いて、LED群のOFF時間R3を計算する。
R3=16.67−R2 ・・・(式17)
LED群のON時間R2が4.81msの場合、ステップS258で求めるOFF時間R3は11.86msとなる。LED群のON時間R2が3.90msの場合、ステップS258で求めるOFF時間R3は12.77msとなる。
【0107】
次に、ステップS259において、映像信号補正部9は、映像処理が行われた映像信号を、ライトバルブ30〜32に送信する。
次に、ステップS260において、CPU1は、ステップS254でカウントを開始したタイマーT1の値が、変数R3として記憶されているLED群のOFF時間の値と同じになるまで待機する。そして、タイマーT1の値が、LED群のOFF時間の値と同じになると、LED群のOFF時間のカウントが終わった状態となる。
そして、ステップS261において、CPU1は、タイマーT1を再スタートし、LED群のON時間のカウントを始める。
【0108】
次に、ステップS262において、CPU1は、目標電流Itを例えば1.5Aにセットし、セットした目標電流Itを第1のLED駆動回路220に送信する。
次に、ステップS263において、映像入力部7は、次のフレームの映像信号を受信する。
次に、ステップS264において、映像処理部8は、ステップS151で受信された映像信号に対し、1フレームずつ高画質化処理を行う。そして、映像信号補正部9は、高画質化処理が行われた各画素の輝度値を補正する。すなわち、ステップS264において、次のフレームの処理準備が行われる。
【0109】
次に、ステップS265において、CPU1は、ステップS261でカウントを開始したタイマーT1の値が、変数R2として記憶されているLED群のON時間の値と同じになるまで待機する。そして、ステップS261でカウントを開始したタイマーT1の値が、変数R2として記憶されているLED群のON時間の値と同じになると、LED群のON時間のカウントが終わった状態となる。
以上の処理により、1フレームでのLEDの点灯処理(ステップS257、S258で求められたON時間及びOFF時間に従った点消灯動作)が終了し、次のフレームに対する処理を行うために、ステップS253に進む。
以上のように本実施形態では、ステップS253、S257、S258、S260〜S262、S265の処理を行うことにより、発光素子に供給されるパルス信号の波形を補正する補正手段が実現される。
【0110】
以上のように本実施形態では、周辺温度が上昇して、LEDの発光輝度が低下した場合、間歇駆動のON時間を広げることにより、発光輝度をアップするようにした。したがって、LEDを間歇駆動した場合でも、第1の実施形態と同様に、ジャンクション温度の変化によるLEDの輝度変化を検出し、その輝度変化に対応する補正を行うことができる。すなわち、LEDを間歇駆動した場合でも、ジャンクション温度の変化を可及的に正確に反映させた補正を行うことができる。
【0111】
尚、本実施形態では、1フレーム毎にLEDを間歇駆動するようにしたが、必ずしもこのようにする必要はなく、例えば1フィールド毎にLEDを間歇駆動するようにしてもよい。
また、本実施形態では、周辺温度に関わらず、輝度変化に応じて、LED群のON時間とOFF時間とを制御するようにした。しかしながら、第1の実施形態にように、周辺温度等に応じて、LED群のON時間とOFF時間とを補正するか、映像信号の補正を行うかの何れかを選択する手段を設けるようにしてもよい。
【0112】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態と前述した第2の実施形態とは、LEDを間歇駆動させる方法が主として異なる。よって、本実施形態の説明において、前述した第1及び第2の実施形態と同一の部分については、図1〜図10に付した符号と同一の符号を付すこと等によって詳細な説明を省略する。
【0113】
図11は、緑色LED駆動回路の詳細な構成の一例を示す図である。尚、青色LED駆動回路及び赤色LED駆動回路の構成は、緑色LED駆動回路と同じであるので、ここでは、それらの構成の詳細な説明を省略する。
【0114】
図11において、第2のFET40は、CPU1からの制御によりON/OFFする。この第2のFET40の動作によって、第2の実施形態で説明した第1及び第2の駆動信号201、203を生成する(図8を参照)。
コマンドライン41は、インターフェース24を介してCPU1からデータを受け取るための伝送線である。このコマンドライン41を通じてPWMコントローラ25に、電流制御と電圧制御とを切り替えるコマンドが与えられる。
【0115】
CPU1は、FET40がON状態のときに電流制御のコマンドを与え、FET40がOFF状態のとき、すなわち緑色LED群14に電流が流れず、抵抗19で電流検出ができない期間に、電圧を一定にする電圧制御のコマンドを与える。PWMコントローラ25は、電圧制御のコマンドを受け取ると、パルス幅カウンタ23がカウントするパルス幅データを一定に保つ。
以上のように本実施形態のようにしても、第2の実施形態と同様に、LED群14〜16を間歇駆動させることができる。
尚、本実施形態でも、第1〜第2の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
【0116】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態では、主として、低消費電力化を実現しながら、発光素子の温度変化により生じる発光素子の特性変化を検出し、その特性変化に対応する補正を行えるようにすることを目的する。この目的を達成するために、本実施形態では、前述した第1〜第3の実施形態と、映像を表示する方法の一部を主として異ならせている。よって、本実施形態の説明において、前述した第1〜第3の実施形態と同一の部分については、図1〜図11に付した符号と同一の符号を付すこと等によって詳細な説明を省略する。
【0117】
本実施形態では、低消費電力化を実現するために、映像信号の最高輝度画素の輝度レベルに応じてLEDの輝度を減衰させ、その減衰量に応じて、映像信号を補正する。
図12は、LEDに供給される駆動信号とLEDのジャンクション温度の変化との一例を示す図である。
CPU1は、映像信号の最高輝度画素の輝度レベルに応じて、LED群の輝度レベルを決定し、決定した輝度レベルをLED群に与えるための駆動信号のON時間を可変する制御を行っている。
図12において、N1フレームでは、50%、N2フレームでは、100%、N3フレームでは、25%の光源輝度になるように、駆動信号401のON時間403〜405を変化させている。
ジャンクション温度410は、駆動信号401のOFF時間の間、徐々に低下し、ON時間403〜405になると上昇する。N1フレームでは、温度低下量406の温度低下となり、N2フレームでは、温度上昇量407の温度上昇となり、N3フレームでは、温度低下量408の温度低下となる。
図12から明らかなように、駆動信号401のON時間が短くなるほど、ジャンクション温度410は低下する。
以上のように本実施形態では、駆動信号401を1フレーム毎にLED群に供給することにより、OFF時間とON時間とを有する間歇的なパルス信号を1フレーム毎に発光素子に供給するようにしている。
【0118】
図13は、表示モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13において、ステップS431において、映像入力部7は、映像信号を受信する。
次に、ステップS432において、映像処理部8は、ステップS151で受信された映像信号に対し、1フレームずつ高画質化処理を行う。
次に、ステップS433において、CPU1は、ステップS431で受信された映像信号の"フレーム内の最高輝度を有する画素の輝度レベル"を検出し、検出した"フレーム内の最高輝度を有する画素の輝度レベル"を変数R5としてメモリ2に記憶する。例えば、各々の画素の輝度レベルが8ビット(256段階)で示されているとする。そして、フレーム内の最高輝度を有する画素の輝度レベル(最高輝度レベル)が128とすると、128を変数R5として記憶する。
【0119】
次に、ステップS434において、CPU1は、最高輝度レベルR5に応じて、表示可能な輝度レベルに対する最高輝度レベルの割合を算出し、算出した輝度を変数R1としてメモリ2に記憶する。例えば、変数R5として記憶された最高輝度レベルの値が128の場合、CPU1は、以下の(式18)のようにしてLED群の輝度を算出する。
128÷256=0.5 ・・・(式18)
次に、ステップS435において、CPU1は、変数R2の内容を変数R4に転送する。変数R4は前フレームでのON時間であり、後述するステップS440、S441の計算に使用される。
【0120】
次に、ステップS436において、CPU1は、駆動信号401のON時間の計算を行い、変数R2としてメモリ2に記憶する。図12を用いて説明したように、LED群の輝度は、駆動信号401のON時間に応じて変化する。
本実施形態では、駆動信号401のON時間が、5.56ms(1フレーム分の時間(16.67ms)の1/3の時間)のときに、100%の輝度が得られるように制御している。このため、ステップS436では、駆動信号401のON時間を、以下の(式19)で計算して変数R2とする。
ON時間=5.56×R1 ・・・(式19)
例えば、ステップS434で、変数R1として0.5が記憶されたときは、2.78ms(=5.56×0.5)を変数R2とする。
【0121】
次に、ステップS437において、映像信号補正部9は、映像信号の画素の輝度レベルを、LED群の輝度に応じて補正する。LED群の輝度がステップS434で修正されたため、このステップS437では、画素毎に同じ輝度を得るための補正が行われる。
例えば、映像信号のある画素の輝度レベルが64とすると、128(=64÷0.5)に輝度レベルを補正する。
【0122】
ステップS436の処理で、LED群の駆動信号401のON時間を半減して、LED群の輝度を半減し、ステップS437の処理で、画素の輝度レベルを倍にするので、表示される輝度レベルとしては同じとなる。
【0123】
次に、ステップS438において、CPU1は、CPU1は、目標電流Itを0Aにセットし、LED群をOFF状態にする。
次に、ステップS439において、CPU1は、タイマーT1のカウントを開始する。これにより、LED群のOFF時間の計時が開始される。このOFF時間の終了は、後述するステップS447で判定される。
【0124】
次に、ステップS440において、CPU1は、駆動信号401のOFF時間が経過したときのパルス幅データを計算し、計算したパルス幅データを変数P9としてメモリ2に記憶する。例えば、図12に示したN2フレームでは、N2フレームの開始時点413で、時点414でのパルス幅データを計算する。
駆動信号401のOFF時間では、LED群のジャンクション温度が下がり、図15に示したようにLED群の順方向電圧は増加する。第1の実施形態で説明したように、パルス幅データは順方向電圧の増加に伴い増加する。
【0125】
このステップS440において、パルス幅データP9は、以下の(式20)により計算される。
P9=P8+(P6−P7)×(16.67−R2)/(16.67−R4) ・・・(式20)
【0126】
変数R4は、前フレーム(処理しているフレームよりも1つ前のフレーム)での駆動信号401のON時間であり、変数R2は、表示しようとしている現フレーム(処理しているフレーム)での駆動信号のON時間である。従って、(式20)において、(16.67−R2)は現フレームのOFF時間を表し、(16.67−R4)は前フレームのOFF時間を表している。このように、本実施形態では、駆動信号401のOFF時間が経過したときのパルス幅データは、前フレームと現フレームにおけるOFF時間を用いて算出される。
変数P8は、前フレームで駆動信号401がONし終わったときのパルス幅データであり、変数P6は、前フレームで駆動信号401がONし始めたときのパルス幅データである。変数P7は、前フレームの駆動信号401がOFFする直前のパルス幅データである。このように本実施形態では、駆動信号401のOFF時間が経過したときのパルス幅データは、前フレームにおけるパルス幅データを用いて算出される。
【0127】
例えば、N2フレームを処理しているとき、変数P8は、図12の時点413でのパルス幅データであり、変数P6は、時点412でのパルス幅データであり、変数P7は、時点411でのパルス幅データである。
以上のように、ステップS440では、これらのパルス幅データを元に、図12の時点414でのパルス幅データを、(式20)により(前フレームと現フレームのOFF時間の比例計算により)求めている。
【0128】
次に、ステップS441において、CPU1は、駆動信号401のON時間が経過したときのパルス幅データを計算し、計算したパルス幅データを変数P10としてメモリ2に記憶する。例えば、図12に示したN2フレームでは、時点415でのパルス幅を計算する。
駆動信号401のON時間では、LED群のジャンクション温度が上昇し、図15に示したようにLED群の順方向電圧は低下する。第1の実施形態で説明したように、パルス幅データは順方向電圧の低下に伴い減少する。
【0129】
このステップS441において、パルス幅データP10は、以下の(式21)により計算される。
P10=P9+(P8−P6)×R2/R4 ・・・(式21)
【0130】
変数R4は、前フレームでの駆動信号401のON時間であり、変数R2は、表示しようとしている現フレームでの駆動信号401のON時間である。このように本実施形態では、駆動信号401のON時間が経過したときのパルス幅データは、前フレーム及び現フレームにおけるON時間を用いて算出される。
また、変数P9は、ステップS440で求めた"OFF時間が経過したときのパルス幅データ"である。変数P6、P8は、前フレームの表示時に取得したパルス幅データである。具体的に変数P6は、前フレームで駆動信号401がONし始めたときのパルス幅データであり、変数P8は、前フレームで駆動信号401がONし終わったときのパルス幅データである。このように本実施形態では、駆動信号401のON時間が経過したときのパルス幅データは、駆動信号401のOFF時間が経過したときのパルス幅データと、前フレームにおけるパルス幅データとを用いて算出される。
【0131】
例えば、N2フレームを処理しているとき、変数P9は、図12の時点414でのパルス幅データである。変数P6は、時点412で受信したパルス幅データである。変数P8は、時点413で受信したパルス幅データである。
以上のように、ステップS441では、これらのパルス幅データを元に、図12の時点415でのパルス幅データを、(式21)により(前フレームと現フレームのON時間の比例計算により)求めている。
【0132】
図12に示したように、本実施形態では、フレーム毎に、ジャンクション温度が変化する。しかしながら、後述するステップS443の目標電流計算処理では、駆動信号401によりLED群を点灯させる以前に、ジャンクション温度に対するLED群の輝度の変動を予測する必要がある。このため、ステップS440、S441にて、駆動信号401のOFF時間が経過したときのパルス幅データと、駆動信号401のON時間が経過したときのパルス幅データとを計算している。
【0133】
次に、ステップS442において、CPU1は、ステップS441で求めた"駆動信号401のON時間が経過したときのパルス幅データ"を元に、1フレームにおける輝度変化を、第1の実施形態で説明した(式10)を用いて計算する。
以上のように本実施形態では、ステップS442の処理を行うことにより、導出手段が実現される。
次に、ステップS443で、CPU1は、目標電流Itを計算し、計算した目標電流Itを変数R3としてメモリ2に記憶する。本実施形態では、輝度が上昇したときは、目標電流Itをそれに比例して減少させ、輝度が低下したときは、目標電流Itをそれに比例して増加させるようにする。
【0134】
本実施形態では、ジャンクション温度、すなわちパルス幅データの変化による、輝度変化を、ステップS440〜S442で求め、その輝度変化に対応する補正を、ステップS443で目標電流Itを変更することにより行っている。
尚、第1の実施形態のように、映像信号を補正するようにしても良く、また、第2の実施形態のように、駆動信号のON時間を再度調整してもよい。
【0135】
次に、ステップS444において、映像信号補正部9は、映像信号をライトバルブ30〜32に送信し、1フレームの映像を表示させる。
次に、ステップS445において、映像処理部8は、次のフレームの映像信号を受信する。
次に、ステップS446において、映像処理部8は、ステップS151で受信した次のフレームの映像信号に対し、高画質化処理を行う。
【0136】
次に、ステップS447において、CPU1は、タイマーT1の値がOFF時間と一致したか否かを判定する。このOFF時間は、1フレーム分の時間16.67msから、ステップS436で変数R2として記憶したON時間を減じた時間である。
次に、ステップS448において、CPU1は、タイマーT1を再スタートし、ON時間のカウントを開始する。
【0137】
次に、ステップS449において、CPU1は、ステップS443で変数R3として記憶した目標電流Itを、PWMコントローラ25に対して送信する。LED駆動回路3〜5は、目標電流Itを受信すると、LED群に、目標電流Itに基づいた電圧を供給し始める。
次に、ステップS450において、CPU1は、ADコンバータ27によりデジタル化された検出電流Im(抵抗19で検出された"LED群の駆動電流")を受信する。
次に、ステップS451において、CPU1は、ステップS449で送信した目標電流Itと、ステップS450で受信した検出電流Imとの差の絶対値が、閾値(例えば5mA)よりも小さいか否かを判定する。この判定の結果、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値以上である場合には、ステップS450に戻り、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値よりも小さくなるまで、ステップS450、S451を繰り返し実行する。
【0138】
そして、目標電流Itと検出電流Imとの差の絶対値が閾値より小さくなり、略等しくなると、ステップS452に進む。ステップS452に進むと、CPU1は、PWMコントローラ25内にあるパルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信し、受信したパルス幅データを変数P6としてメモリ2に記憶する。例えば、図12のN2フレームにおいて、時点414のパルス幅データを受信する。
【0139】
次に、ステップS453において、CPU1は、タイマーT1の値が、ステップS436で算出した"駆動信号401のON時間"となるまで待機する。尚、駆動信号401のOFF処理は、ステップS438で行われている。
そして、タイマーT1の値が、ステップS436で算出した"駆動信号401のON時間"になると、ステップS454に進む。ステップS454に進むと、CPU1は、変数P8の値を変数P7に移動する。
次に、ステップS455において、CPU1は、PWMコントローラ25内にあるパルス幅カウンタ23に記憶されているパルス幅データを受信し、受信したパルス幅データを変数P8としてメモリ2に記憶する。
【0140】
変数P8及び変数P7は、次のサイクルにおけるステップS440、441でのパルス幅の計算に使用される変数である。例えば、図12のN2フレームにおいて、時点413でのパルス幅データが変数P7として記憶され、時点415でのパルス幅データが変数P8として記憶される。
【0141】
次に、ステップS456において、CPU1は、変数P8として記憶したパルス幅データが、変数P2として記憶したパルス幅データを1.03倍した値よりも大きいか否かを判定する。変数P2として記憶したパルス幅データは、第2の実施形態で説明した図9の測定モードのステップS237で記憶したパルス幅データである。
パルス幅データは、LEDの順方向電圧と比例しており、LEDのジャンクション温度の温度上昇と反比例している。図15に示した例では、LEDのジャンクション温度が、85℃から50℃に低下すると、順方向電圧は3.3Vから3.4Vに上昇する。すなわち、順方向電圧は約3%上昇する。同様にパルス幅データも、ジャンクション温度が、85℃から50℃に低下すると、3%上昇する。本実施形態では、この傾向をもとに、測定モードで受信したパルス幅データに3%を加えた値と、ON時間が経過したときのパルス幅データの値(変数P8)とを比較する。
【0142】
そして、ON時間が経過したときのパルス幅データの値が大きい場合には、ジャンクション温度が50℃より低いと判断し、ステップS457に進む。ステップS457に進むと、CPU1は、FAN6を減速モードとして、消費電流をより低減させるようにしている。
一方、ON時間が経過したときのパルス幅データの値(変数P8)が、ON時間が経過したときのパルス幅データの値(変数P8)以下である場合には、ジャンクション温度が50℃以上であると判断し、ステップS456に進む。ステップS456に進むと、CPU1は、FAN6を通常モードにする。
以上のように本実施形態では、FAN6を用いることにより空冷手段が実現され、ステップS456の処理を行うことにより、比較手段が実現され、ステップS457、S458の処理を行うことにより空冷制御手段が実現される。
以上で、図13のフローチャートによる処理が終了する。
【0143】
以上のように本実施形態では、前フレームのパルス幅データを元に、LED群のON時間が経過したときのパルス幅データを予測(計算)し(ステップS440、S441)。そして、予測したLED群のON時間が経過したときのパルス幅データを、変数P6の代わりに用いて輝度変化を計算するようにした(ステップS442)。そして、その輝度変化を打ち消すような補正を、目標電流Itを変更するにより行う(ステップS443)。したがって、映像信号のフレーム毎の最大輝度レベルに応じて映像信号の輝度レベルを補正してLEDの消費電力を低減することと、各フレームにおける温度変化によるLED群の輝度変化を検出し、その輝度変化に対応する補正を行うこととを同時に実現できる。
【0144】
尚、本実施形態では、目標電流Itを0mAに設定することで駆動信号401をOFFにすることにより、LEDの間歇駆動を実現しているが、第3の実施形態のように、第2のFET40を用いることにより、LEDの間歇駆動を実現してもよい。
【0145】
また、本実施形態では、ON時間及びOFF時間におけるLED群の輝度変化を求めるようにしたが、必ずしもこのようにする必要はない。すなわち、ON時間における輝度変化、又はOFF時間における輝度変化を、ON時間及びOFF時間におけるLED群の輝度変化の代わりに、又はON時間及びOFF時間におけるLED群の輝度変化の代わりに計算するようにしてもよい。
尚、本実施形態でも、第1〜第3の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
【0146】
(本発明の他の実施形態)
前述した本発明の実施形態における発光制御装置を構成する各手段、並びに発光制御方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0147】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0148】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図4、図5、図9、図10、図13に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接、あるいは遠隔から供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0149】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0150】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0151】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0152】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0153】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0154】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0155】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0156】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0157】
尚、前述した各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の第1の実施形態を示し、フロントプロジェクタの概略構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示し、緑色LED駆動回路の詳細な構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示し、PWMコントローラにて生成されるパルス信号の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態を示し、測定モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態を示し、表示モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態を示し、入力輝度レベルと、補正後の輝度レベルとの関係の一例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態を示し、フロントプロジェクタの概略構成の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態を示し、LEDに供給される駆動信号とLEDのジャンクション温度の変化との一例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を示し、測定モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態を示し、表示モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態を示し、緑色LED駆動回路の詳細な構成の一例を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態を示し、LEDに供給される駆動信号とLEDのジャンクション温度の変化との一例を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施形態を示し、表示モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】パワーLEDにおけるジャンクション温度と相対輝度との関係を示す図である。
【図15】パワーLEDを定電流で駆動したときのジャンクション温度と順方向電圧との関係を示す図である。
【図16】背景技術を示し、入力映像信号の輝度レベルを補正する方法を概念的に示す図である。
【図17】背景技術を示し、LEDを間歇駆動した場合の温度の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0159】
1 CPU
2 メモリ
3、220、221 緑色LED駆動回路
4、222、223 青色LED駆動回路
5、224、225 赤色LED駆動回路
7 映像入力部
8 映像処理部
9 映像信号補正部
11 コイル
12 ダイオード
13 コンデンサ
14、210、211 緑色LED群
15、213、214 青色LED群
16、216、217 赤色LED群
19 抵抗
23 パルス幅カウンタ
25 PWMコントローラ
26 FET
29 DAC回路
40 第2のFET
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子に供給される電圧を制御するための電圧制御データに基づいて、前記発光素子を駆動する駆動手段と、
前記電圧制御データを用いて、前記発光素子の特性変化を導出する導出手段とを有することを特徴とする発光制御装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、前記発光素子に流れている電流と目標値との差に基づいて、前記電圧制御データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された電圧制御データに基づいてスイッチング動作を行うスイッチ素子とを有し、
前記スイッチ素子のスイッチング動作により、前記発光素子に供給される電圧を可変にすることを特徴とする請求項1に記載の発光制御装置。
【請求項3】
前記電圧制御データは、前記スイッチ素子に供給されるパルス信号のパルス幅又は周波数に関するデータを含み、
前記生成手段は、前記発光素子に流れている電流と目標値との差が縮小されるように、前記スイッチ素子に供給されるパルス信号のパルス幅又は周波数に関するデータを変更することを特徴とする請求項2に記載の発光制御装置。
【請求項4】
前記特性変化は、前記発光素子の輝度変化であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の発光制御装置。
【請求項5】
前記電圧制御データと、前記発光素子の輝度データとの相関を示す相関データを導出する第2の導出手段と、
前記第2の導出手段により導出された相関データを記憶媒体に記憶する記憶手段とを有し、
前記導出手段は、前記記憶手段により記憶された相関データを更に用いて前記発光素子の特性変化を導出することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の発光制御装置。
【請求項6】
前記第2の導出手段は、前記発光素子が一の温度から他の温度に上昇したことによる前記電圧制御データの変化分と前記発光素子の輝度データの変化分とを導出し、それら電圧制御データの変化分と発光素子の輝度データの変化分との比を、前記相関データとして導出することを特徴とする請求項5に記載の発光制御装置。
【請求項7】
前記発光素子から発光された光に基づく測定用の映像を表示する測定モードと、前記発光素子から発光された光に基づく非測定用の映像を表示装置に表示する表示モードとを含み、
前記導出手段は、前記測定モードで得られた電圧制御データと、前記表示モードで得られた電圧制御データとの差と、前記相関データとを用いて、前記発光素子の特性変化を導出することを特徴とする請求項5又は6に記載の発光制御装置。
【請求項8】
前記導出手段により導出された発光素子の特性変化に基づいて、前記発光素子に流す電流の目標値と、前記発光素子から発光される光に基づいて表示される映像信号の輝度レベルとの何れかを補正する補正手段を有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の発光制御装置。
【請求項9】
前記駆動手段は、間歇的にパルス信号を前記発光素子に供給することにより、前記発光素子を駆動し、
前記導出手段により導出された発光素子の特性変化に基づいて、前記駆動手段により前記発光素子に供給されるパルス信号の波形と、前記発光素子から発光される光に基づいて表示される映像信号の輝度レベルとの何れかを補正する補正手段を有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の発光制御装置。
【請求項10】
前記発光素子から発光される光に基づいて表示される映像信号の輝度レベルの補正を行うか、前記発光素子に流す電流の目標値又は前記発光素子に供給されるパルス信号の波形の補正を行うかの何れかを、周辺温度に応じて選択する選択手段を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の発光制御装置。
【請求項11】
前記駆動手段は、OFF時間とON時間とを有する間歇的なパルス信号を前記発光素子に供給することにより、前記発光素子を駆動し、
前記導出手段は、前記パルス信号のON時間及びOFF時間の少なくとも何れか一方における前記発光素子の特性変化を、前記電圧制御データを用いて導出することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の発光制御装置。
【請求項12】
前記駆動手段は、OFF時間とON時間とを有する間歇的なパルス信号を、1フレーム毎に前記発光素子に供給することにより、前記発光素子を駆動し、
前記導出手段は、前記パルス信号のON時間及びOFF時間の少なくとも何れか一方における前記発光素子の特性変化を、処理しているフレームよりも1つ前のフレームにおける電圧制御データを用いて導出することを特徴とする請求項11に記載の発光制御装置。
【請求項13】
前記導出手段は、前記パルス信号のON時間及びOFF時間の少なくとも何れか一方における前記発光素子の特性変化を、処理しているフレームにおける前記パルス信号のON時間及びOFF時間と、処理しているフレームよりも1つ前のフレームにおける前記パルス信号のON時間及びOFF時間とを更に用いて導出することを特徴とする請求項12に記載の発光制御装置。
【請求項14】
前記発光素子を空冷する空冷手段と、
前記発光素子から発光された光に基づく測定用の映像を表示する測定モードで得られた電圧制御データと、前記発光素子から発光された光に基づく非測定用の映像を表示装置に表示する表示モードで得られた電圧制御データとを比較する比較手段と、
前記比較手段により比較された結果に応じて、前記空冷手段の動作を制御する空冷制御手段とを有することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の発光制御装置。
【請求項15】
発光素子に供給される電圧を制御するための電圧制御データに基づいて、前記発光素子を駆動する駆動ステップと、
前記電圧制御データを用いて、前記発光素子の特性変化を導出する導出ステップとを有することを特徴とする発光制御方法。
【請求項1】
発光素子に供給される電圧を制御するための電圧制御データに基づいて、前記発光素子を駆動する駆動手段と、
前記電圧制御データを用いて、前記発光素子の特性変化を導出する導出手段とを有することを特徴とする発光制御装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、前記発光素子に流れている電流と目標値との差に基づいて、前記電圧制御データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された電圧制御データに基づいてスイッチング動作を行うスイッチ素子とを有し、
前記スイッチ素子のスイッチング動作により、前記発光素子に供給される電圧を可変にすることを特徴とする請求項1に記載の発光制御装置。
【請求項3】
前記電圧制御データは、前記スイッチ素子に供給されるパルス信号のパルス幅又は周波数に関するデータを含み、
前記生成手段は、前記発光素子に流れている電流と目標値との差が縮小されるように、前記スイッチ素子に供給されるパルス信号のパルス幅又は周波数に関するデータを変更することを特徴とする請求項2に記載の発光制御装置。
【請求項4】
前記特性変化は、前記発光素子の輝度変化であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の発光制御装置。
【請求項5】
前記電圧制御データと、前記発光素子の輝度データとの相関を示す相関データを導出する第2の導出手段と、
前記第2の導出手段により導出された相関データを記憶媒体に記憶する記憶手段とを有し、
前記導出手段は、前記記憶手段により記憶された相関データを更に用いて前記発光素子の特性変化を導出することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の発光制御装置。
【請求項6】
前記第2の導出手段は、前記発光素子が一の温度から他の温度に上昇したことによる前記電圧制御データの変化分と前記発光素子の輝度データの変化分とを導出し、それら電圧制御データの変化分と発光素子の輝度データの変化分との比を、前記相関データとして導出することを特徴とする請求項5に記載の発光制御装置。
【請求項7】
前記発光素子から発光された光に基づく測定用の映像を表示する測定モードと、前記発光素子から発光された光に基づく非測定用の映像を表示装置に表示する表示モードとを含み、
前記導出手段は、前記測定モードで得られた電圧制御データと、前記表示モードで得られた電圧制御データとの差と、前記相関データとを用いて、前記発光素子の特性変化を導出することを特徴とする請求項5又は6に記載の発光制御装置。
【請求項8】
前記導出手段により導出された発光素子の特性変化に基づいて、前記発光素子に流す電流の目標値と、前記発光素子から発光される光に基づいて表示される映像信号の輝度レベルとの何れかを補正する補正手段を有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の発光制御装置。
【請求項9】
前記駆動手段は、間歇的にパルス信号を前記発光素子に供給することにより、前記発光素子を駆動し、
前記導出手段により導出された発光素子の特性変化に基づいて、前記駆動手段により前記発光素子に供給されるパルス信号の波形と、前記発光素子から発光される光に基づいて表示される映像信号の輝度レベルとの何れかを補正する補正手段を有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の発光制御装置。
【請求項10】
前記発光素子から発光される光に基づいて表示される映像信号の輝度レベルの補正を行うか、前記発光素子に流す電流の目標値又は前記発光素子に供給されるパルス信号の波形の補正を行うかの何れかを、周辺温度に応じて選択する選択手段を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の発光制御装置。
【請求項11】
前記駆動手段は、OFF時間とON時間とを有する間歇的なパルス信号を前記発光素子に供給することにより、前記発光素子を駆動し、
前記導出手段は、前記パルス信号のON時間及びOFF時間の少なくとも何れか一方における前記発光素子の特性変化を、前記電圧制御データを用いて導出することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の発光制御装置。
【請求項12】
前記駆動手段は、OFF時間とON時間とを有する間歇的なパルス信号を、1フレーム毎に前記発光素子に供給することにより、前記発光素子を駆動し、
前記導出手段は、前記パルス信号のON時間及びOFF時間の少なくとも何れか一方における前記発光素子の特性変化を、処理しているフレームよりも1つ前のフレームにおける電圧制御データを用いて導出することを特徴とする請求項11に記載の発光制御装置。
【請求項13】
前記導出手段は、前記パルス信号のON時間及びOFF時間の少なくとも何れか一方における前記発光素子の特性変化を、処理しているフレームにおける前記パルス信号のON時間及びOFF時間と、処理しているフレームよりも1つ前のフレームにおける前記パルス信号のON時間及びOFF時間とを更に用いて導出することを特徴とする請求項12に記載の発光制御装置。
【請求項14】
前記発光素子を空冷する空冷手段と、
前記発光素子から発光された光に基づく測定用の映像を表示する測定モードで得られた電圧制御データと、前記発光素子から発光された光に基づく非測定用の映像を表示装置に表示する表示モードで得られた電圧制御データとを比較する比較手段と、
前記比較手段により比較された結果に応じて、前記空冷手段の動作を制御する空冷制御手段とを有することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の発光制御装置。
【請求項15】
発光素子に供給される電圧を制御するための電圧制御データに基づいて、前記発光素子を駆動する駆動ステップと、
前記電圧制御データを用いて、前記発光素子の特性変化を導出する導出ステップとを有することを特徴とする発光制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−117716(P2009−117716A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291217(P2007−291217)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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