説明

発光半導体素子並びに発光性半導体素子の製造方法

【課題】放射効率が高められたIII−V族窒化物半導体素子およびその種の半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体素子が第1の主面及び第2の主面を有し、且つ、半導体素子の半導体基体が種々のIII−V族窒化物半導体層の積層体によって形成されており、生成される放射の少なくとも一部が前記第1の主面を通過して出力結合され、第2の主面上にリフレクタが被着されている。III−V族窒化物層を、基板基体及び中間層を有する接合基板上に被着し、基板基体の熱膨張係数はIII−V族窒化物層の熱膨張係数よりも大きく、III−V族窒化物層を中間層上に析出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光半導体素子並びに発光性半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GaNベースの発光半導体素子は、例えばUS 5 210 051から公知である。そのような半導体素子は、活性GaN層を有する半導体基体を含み、このGaN層はSiC層上に被着されている。半導体基体は表側では光を出力結合するGaN層と接触しており、裏側ではSiC層と接触している。
【0003】
さらには例えばUS 5 874 747から、GaNの代わりに使用される窒化物並びにこの窒化物を基礎とする三元混晶または四元混晶を使用することが公知である。殊に次の化合物が該当する。すなわちAlN、InN、AlGaN、InGaN、InAlN及びAlInGaNである。以下では「III−V族窒化物半導体」は、この三元混晶または四元混晶並びにガリウム窒化物自体に関する。
【0004】
さらに、GaN半導体結晶をエピタキシャルに製造することが公知である。基板としては通常の場合サファイア結晶またはSiCが使用される。US 5 928 421によれば、格子欠陥を回避することに関してSiC基板が選択されるべきであり、何故ならばサファイアとGaNとの間の格子不整合が比較的大きいことに基づいて、サファイア上に成長されたGaN層は多数の格子欠陥を有するからである。
【0005】
発光性GaN半導体素子の欠点は以下のことである。すなわち、半導体基体内で生成される放射が出力結合される表面においては、半導体基体から周囲へと移行する際に屈折率の大きな飛躍的変化が生じることである。屈折率の大きな飛躍的変化は、放射のかなりの部分が再び半導体基体に逆反射され、それによって素子の放射効率が減少することになる。これに関する原因は、生成される放射の出力結合面における全反射にある。光線の出力結合面への入射角度が、その都度の表面法線に関して、全反射角度よりも大きい場合には、光線は完全に半導体基体に逆反射される。半導体基体の屈折率と周囲の屈折率との差が大きくなるにつれ、全反射角度は小さくなり、全反射される放射の成分は増加する。
【0006】
さらには、入射角度が全反射角度よりも小さい光線は、部分的に半導体基体に逆反射される。この際逆反射される成分は、半導体基体と周囲との間の屈折率の差が大きくなればなるほど増大する。したがってGaN素子において生じるような屈折率の大きな飛躍的変化は、出力結合面における反射損失が大きくなることに繋がる。逆反射された放射は部分的に半導体基体において吸収されるか、または出力結合面とは異なる面から放射されるので、全体としては放射効率は減少する。
【0007】
放射効率を高める手段は、半導体基体の基板上にリフレクタを被着させることである。このことは例えばDE 43 05 296に示されている。これによって半導体基体に逆反射される放射は再び出力結合面の方向へと配向され、その結果放射の逆反射された部分は消滅するのではなく、少なくとも部分的に1回または複数回内部で反射された後に同様に出力結合される。
【0008】
従来技術による発光性GaN素子では、この点において例えばSiCのような吸収性基板を使用することは不利である。半導体基体に逆反射された放射は基板によって大部分吸収されるので、リフレクタを用いて放射効率を高めることは不可能である。
【0009】
特許明細書US 5,786,606から、GaNベースの発光半導体素子の製造方法が公知であり、この製造方法ではSIMOX(Separation by IMplantation of OXygen)基板上またはSOI(Silicon On Isolator)基板上に、先ずSiC層がエピタキシャル成長される。このSiC層上にはその後複数のGaNベースの層が析出される。
【0010】
しかしながらSiC層によって、素子の放射効率が低減する。何故ならばSiC層においては生成される放射の一部が吸収されるからである。さらには、十分な結晶品質を有するSiC層をエピタキシャルに形成させることには多額の製造コストが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US 5 210 051
【特許文献2】US 5 874 747
【特許文献3】US 5 928 421
【特許文献4】DE 43 05 296
【特許文献5】US 5,786,606
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、放射効率が高められたIII−V族窒化物半導体素子を提供することである。さらに本発明の課題は、そのような半導体素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
半導体素子に関する課題は、半導体素子が第1の主面及び第2の主面を有し、且つ、半導体素子の半導体基体が種々のIII−V族窒化物半導体層の積層体によって形成されており、生成される放射の少なくとも一部が前記第1の主面を通過して出力結合され、第2の主面上にリフレクタが被着されていることにより解決される。
【0014】
半導体素子の製造方法に関する課題は、III−V族窒化物層を、基板基体及び中間層を有する接合基板上に被着し、基板基体の熱膨張係数はIII−V族窒化物層の熱膨張係数よりも大きく、III−V族窒化物層を中間層上に析出することにより解決される。
【0015】
本発明によれば発光半導体素子が、例えば放射吸収性の基板を有さない薄膜素子として形成される。素子の半導体基体は積層体状に配置された複数の異なるIII−V族窒化物半導体層によって形成されている。動作時にはGaNベースまたは使用される窒化物の活性半導体層は電磁放射を生成し、この電磁放射は積層体の第1の主面を通過して出力結合される。積層体の第2の主面上にはリフレクタが被着されており、その結果出力結合の際に差し当たり半導体基体に逆反射される放射の部分は、このリフレクタによって再び出力結合面の方向に配向される。
【0016】
したがって、生成される放射の第一次出力結合成分の他に、別の成分がリフレクタにおいて1回または複数回内部反射した後に出力結合される。つまり全体として出力結合度は、従来技術によるGaN半導体素子に比べると高められる。
【0017】
有利な実施形態においては、GaNベースの半導体層はGaN、AlN、AlGaN、InGaN、InAlNまたはAlInGaNから成る。これらの材料を使用することによって、生成される放射の中心波長は紫外線スペクトル領域までの可視スペクトル領域の広範な領域において調整することができる。本発明を用いることにより、殊に有利には青色及び緑色発光ダイオード、UV発光ダイオードならびに相応のレーザダイオードを実現することができる。
【0018】
殊に有利な実施形態においては、リフレクタを金属性の接触面によって形成することができる。この接触面はリフレクタとしても、半導体基体の電気的な接触部としても使用される。有利にはこの実施形態においては、反射側においては半導体基体と接触するための別の装置は必要ない。接触面の材料としては、殊にAl、Ag並びにAl合金及びAg合金が適している。
【0019】
別の有利な実施形態においては、リフレクタは誘電性の鏡面仕上げによって形成されている。そのような鏡面仕上げはSiOないしTiOから成る層列を半導体基体上に被着することによって製造することができる。誘電性の鏡面仕上げでもって有利には、損失の無い反射を広範な波長領域において達成することができる。
【0020】
有利な実施形態では、リフレクタは第2の主面上に被着された透過性の第1の層及びこの層上に被着された反射性の第2の層を有する。これによって接触層を簡単なやり方でもって、電気的な特性に関しても反射特性に関しても最適化することができる。
【0021】
別の有利な実施形態においては、半導体基体の露出している表面の全体またはこの半導体基体の部分領域が粗面化される。この粗面化によって、出力結合面における全反射は阻止され、これによって有利には最適な出力結合度はさらに高められる。
【0022】
本発明による製造方法は、先ず基板上に中間層が被着される。この中間層上には複数の異なるIII−V族窒化物半導体層が析出される。これらの層は素子の半導体基体を形成する。次のステップでは、そのようにして形成されたIII−V族窒化物層の積層体から中間層も含む基板が剥がされる。さらなるステップにおいては、半導体基体における2つの主面の一方の面上にリフレクタが被着される。
【0023】
別の実施形態ではSi基板が使用され、このSi基板上にはSiC中間層が被着されている。SiCは殊にGaNベース素子の製造に適しており、何故ならばSiCはGaNに類似する格子定数を有し、その結果SiCに析出されたGaNベースの層では僅かな格子欠陥しか有さないからである。
【0024】
別の殊に有利な実施形態においては、中間層が貼り合わせ法を用いて被着され、次にこの中間層は薄くされる。Si基板及びSiC中間層を使用する場合には、有利にはSiO2層を形成することによりSiウェハをSiCウェハと接合することができる。択一的には、中間層をエピタキシャル成長させることができ、これによって殊に均質な中間層を製造することができる。
【0025】
別の有利な実施形態では、反射性の金属接触部をGaN半導体基体上に被着することによってリフレクタが形成される。金属接触部の材料として、反射性並びに接合特性に基づいて殊にAg、Al、Ag合金及びAl合金が適している。
【0026】
製造方法の別の実施形態では、リフレクタを複数の誘電性の層である誘電性の鏡面として構成し、このことから誘電性のリフレクタの上述した利点が生じる。
【0027】
本発明の殊に有利な実施形態においては、半導体基体の粗面化によって製造方法が続行され、この際半導体基体の露出した表面全体またはこの半導体基体の部分領域が粗面化される。光効率を高めることに関する殊に効果的な粗面は、半導体基体をエッチングすることによって、またはサンドブラスト法を用いることにより製造することができる。
【0028】
別の殊に有利な実施形態においては、III−V族窒化物層を中間層上に析出する前にマスク層が被着される。このマスク層は層を構造化し、殊にIII−V族窒化物層を接続していない複数の領域に分割する。このことは殊に有利には、亀裂が形成されること及び中間層が基盤から剥がれることを阻止する。有利には(殊に中間層材料としてSiCを使用する場合には)、マスクとして酸化物マスクが形成される。
【0029】
別の本発明による製造方法では、複数のIII−V族窒化物層がエピタキシャルに、基板基体及び中間層を有する接合基板上に被着される。ここで、基板基体の熱膨張係数はIII−V族窒化物層の熱膨張係数に類似する、またはそれよりも大きい。接合基板は少なくとも2つの領域、すなわち基板基体及び中間層を有し、またそのような基板としてエピタキシャル法のための出発基板を表す基板と解される。殊に中間層はエピタキシャルに基板基体上に被着されるのではなく、有利には貼り合わせ法によって被着される。
【0030】
そのような接合基板では熱特性が特に基板基体によって決定され、一方この熱特性には十分に依存せずに、エピタキシャル表面、また殊にこの表面の格子定数は中間層によって確定されている。したがって有利には中間層を最適に、被着すべき層の格子定数に適合させることができる。同時に十分に高い熱膨張係数を有する基板基体を使用することによって、GaNベースの層を被着した後に、これらの層が冷却段階において張引され、これにより層に亀裂が生じることが阻止される。したがって有利には中間層は、接合基板全体の熱膨張係数が実質的に基板基体の熱膨張係数に相応するように薄く形成される。典型的には基板基体は中間層よりも少なくとも20倍厚い。
【0031】
本発明の有利な構成では基板基体はSiC、有利には多結晶(ポリSiC)、サファイア、GaNまたはAlNを含む。SiCの熱膨張係数は、GaNベースの材料の熱膨張係数と類似しており、その他の前述した材料はGaNベースの材料よりも大きな熱膨張係数を有する。したがって有利には、エピタキシャルに被着された層を冷却する際に亀裂が形成されることが回避される。
【0032】
本発明の有利な構成では、中間層SiC、シリコン、サファイア、MgO、GaNまたはAlGaNを含む。これらの材料は殊に、GaNに適合された格子定数を有する実質的に単結晶の表面を形成することに適している。有利にはエピタキシャル表面としてSi(111)表面または単結晶SiC表面が使用され、この表面上にGaNベースの層が成長される。
【0033】
本発明の有利な実施形態では、GaNベースの層が接合基板上に析出され、ここでは中間層が貼り合わせ法によって基板基体に被着されている。有利には基板基体と中間層との間には、例えばシリコン酸化膜から成る接着層が形成されている。
【0034】
貼り合わせ法によって、例えば中間層を基板基体上にエピタキシャルに被着する際に生じるような材料の非互換性によって制限されること無く、有利には複数の材料系を組み合わせることができる。
【0035】
十分薄い中間層を得るために、ここではまた差し当たり基板基体上に比較的厚い中間層を貼り付け、次にこの中間層は例えば研磨したり裂いたりして、必要な厚さにまで薄くされる。
【0036】
本発明の有利な実施形態では、III−V族窒化物層を接合基板上に析出する前にマスク層が形成され、その結果エピタキシャル表面のマスクに覆われていない領域にのみIII−V族窒化物層が成長される。これによって有利には、これらの層が層平面において区切られ、張引またこれと同時に生じる亀裂の形成に対する付加的な保護が達成される。
【0037】
本発明の別の有利な構成では、III−V族窒化物層が接合基板上に析出された後に個々の半導体層積層体へと構造化される。その後III−V族半導体層積層体上に支台が被着され、次いで接合基板が剥がされる。この接合基板を少なくとも部分的に再利用することができる。このことは製造に非常にコストがかかるSiC基板基体の場合には殊に有利である。さらにこの方式及びやり方によって薄膜素子が製造される。ここで薄膜素子はエピタキシャル基板を含まない素子と解される。
【0038】
発光半導体素子の場合には放射効率を高めることができ、何故ならば例えばSiC基板において生じるような、生成される放射のエピタキシャル基板における吸収が回避されるからである。
【0039】
半導体層積層体を接続基体から支台に記述のように貼り替えることは、本発明によれば2つのステップで行われる。GaNベースの半導体層積層体は先ず中間支台に貼り合わされ、次に本来の支台に貼り合わされ、その結果最終的に本来の支台は接合基板に合わせられる。有利にはそのように製造された半導体層積層体は、従来技術によるエピタキシャル層を備えたGaNベースの半導体基体のような相応の層列を有し、その結果2つの層積層体に対しては同一の次の処理ステップ、例えば切断、接触、ケーシングへの取り付けを行うことができる。
【0040】
製造方法においては、半導体層積層体上には放射効率を高めるために反射層が形成される。GaNベースの半導体素子における放射効率は、GaNベースの材料の屈折率が高いために、大部分が半導体基体の境界面における反射によって制限される。吸収性の基板を有さない発光半導体基体では、有利には反射層によって出力結合面において反射される放射成分を再び出力結合面へと配向することができる。したがって放射効率はさらに高められる。
【0041】
有利には反射層は、例えばアルミニウム、銀または相応のアルミニウム合金または銀合金を含む金属層として構成される。
【0042】
有利にはそのような金属層は同時に接触面としても使用することができる。択一的には、反射層を複数の誘電性の層である誘電性の鏡面によって構成することができる。
【0043】
本発明の有利な実施形態においては、半導体層積層体の表面の少なくとも一部が粗面化される。これによって表面における全反射が妨害され、つまり放射効率を高めることができる。有利には粗面化はエッチングまたはサンドブラスト法によって行われる。
【0044】
以下では、本発明の更なる特徴、利点及び有効性を、図1〜7に示した4つの実施例に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による半導体素子の第1の実施例の概略的な断面図を示す。
【図2】本発明による半導体素子の第2の実施例の概略的な断面図を示す。
【図3】本発明による製造方法の第1の実施例の概略図を示す。
【図4】本発明による製造方法の第2の実施例の概略図を示す。
【図5】本発明による製造方法の別の実施例の概略的な断面図を示す。
【図6】本発明による製造方法の別の実施例の概略的な断面図を示す。
【図7】本発明による製造方法の別の実施例の概略的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1に図示した発光半導体素子は、積層体状に配置された種々の複数の半導体層1を有し、これらの半導体層1はGaNまたはGaNベースの三元化合物また四元化合物から構成されている。動作時にはこれらの層の内部に活性領域2が形成され、この活性領域2内で放射5が生成される。
【0047】
層積層体は第1の主面3及び第2の主面4によって境界付けられている。実質的に生成される放射5は第1の主面3を通過して、境界付けられた周囲へ出力結合される。第2の主面4上にはリフレクタ6が被着されており、このリフレクタ6は直接に半導体基体上に蒸着されたAg層によって形成されている。半導体基体は出力結合側では接触面12を介して、また反射側ではAg反射層を介して接触される。反射側の接触は例えば、半導体基体が反射側において支台としても電流供給部としても使用される金属基体に載置されていることによって行うことができる。
【0048】
リフレクタ6は、出力結合の際に第1の主面3において半導体基体に逆反射された放射5の一部が、再び第1の主面3の方向に反射されるように作用し、その結果全体として第1の主面3を通過して出力結合される放射量が高められる。放射量を高めることは、薄膜素子としての素子が放射を吸収する基板を有さない構成であり且つリフレクタ6が直接的にGaN半導体基体上に被着されていることによって実現できる。
【0049】
本発明による半導体素子の図2に図示した実施例は、半導体基体の表面が粗面部7を有するという点で、図1に示した素子とは異なる。この粗面部7は第1の主面3において放射5が散乱するように作用し、その結果第1の主面3における全反射が阻止される。さらにこの散乱は、生成される放射が半導体基体から去ることなく2つの主面3と4との間ないしリフレクタ6との間の連続する同種の反射によって光導体のように案内されることを阻止する。
【0050】
図3には、本発明による製造方法の第1の実施例が図示されている。出発点、図3aにはSi基板8が図示されている。このSi基板上に、第1のステップにおいてSiC中間層9が貼り合わせ法を用いて被着され、この2つの基板の間にはSiO層10が形成される(図3b)。次のステップではSiC層9基板が数マイクロメートルまで薄くされる(図3c)。薄くされたSiC基板9上にはエピタキシャルにMOCVD法を用いて種々の複数のGaN半導体層1が析出され、これらの層は本発明による素子の半導体基体を形成する(図3d)。GaN層積層体を製造した後に、Si基板8並びにSiC中間層9が除去される(図3e)。その後GaN半導体基体の主面4上に、Ag合金またはAl合金から成る反射性の金属性の接触面6が蒸着される(図3f)。
【0051】
第1の主面3における全反射を最小限にするために、引き続き半導体基体はサンドブラスト法または適切なエッチング種を用いたエッチングによって粗面化される。
【0052】
図4に図示した本発明による製造方法の実施形態は、上述した第1の実施例と同様にSiC基板9を薄くすることまでも含めた(図4a〜図4c)経過を説明する。上述の実施例との違いは、GaN層1を析出する前に酸化マスク11がSiC層9上に被着されるという点である(図4d)。この酸化マスク11は、次のステップにおいてGaN層1がマスクによって覆われていないSiC中間層の部分領域上にのみ成長するように作用する。
【0053】
そのように形成されたGaN層1は層平面に沿って区切られているので、SiCとGaNの異なる熱膨張係数に基づき、また殊に製造後の素子の冷却の際に生じる張引が低減される。このことは有利にはGaN層1における亀裂形成が少なくなり、基板からのSiC中間層9の積層剥離を阻止する。リフレクタ6の製造(図4g)は上述したように行われる。
【0054】
図5に図示した製造方法では、ポリSiCから成る基板基体21を有する接合基板が使用され、この基板基体上には公知のやり方で単結晶SiC中間層22が貼り合わされている。このために基板基体21と中間層22との間には、例えばシリコン酸化膜からなる接着層23が形成されている(図5a)。
【0055】
この接合基板上にはエピタキシャルに複数のGaNベースの層24が成長される(図5b)。層列の構造は原則的には制限されていない。
【0056】
ここで有利には放射生成に使用される活性層が形成され、この活性層は1つまたは複数のカバー層及び/又は導波層によって囲まれている。活性層を、単一量子井戸構造または多重量子井戸構造である複数の薄い単一層によって構成することができる。
【0057】
さらには、先ず中間層22上に例えばAlGaNベースのバッファ層を形成することは有利であり、このバッファ層によって後続の層に関する改善された格子整合及び比較的高い湿潤性を達成することができる。そのようなバッファ層の導電性を高めるために、バッファ層に例えばInGaNベースの導電性のチャネルを挿入することができる。
【0058】
続いてGaNベースの層24は縦方向の構造化によって、有利にはメサ状にエッチングすることによって個々の半導体層積層体25に分割される(図5c)。
【0059】
この半導体層積層体25上には、次のステップ(図5d)おいて、例えばGaAsまたは生成される放射に対して透過性である材料から成る支台26が被着される。
【0060】
それに基づいて、中間層22も含む接合基板が半導体層積層体25から剥がされる(図5e)。このことは例えばエッチング法によって行うことができ、この際に中間層22または接着層23が破壊される。有利には基板基体21を別の製造サイクルにおいて再利用することができる。
【0061】
続いてそのように形成された薄膜半導体基体25上に接触面30が被着される(図5f)。最終的に半導体層積層体25は個別化され(図5g)、通常の場合さらに処理される。
【0062】
図6に図示した製造方法でも再び接合基板が使用され、この接合基板は実質的にポリSiC基板基体21及びSi(111)中間層22によって形成される。中間層22はシリコン酸化膜接着層23を形成することにより、貼り合わせ法を用いて基板基体21上に被着されている(図6a)。
【0063】
この接合基板上には再び複数のGaNベースの層が成長され(図6b)、このGaNベースの層上には最終的に、例えばプラチナから成る接触層28が設けられる(図6c)。
【0064】
続いてGaNベースの層24は、エッチングによる構造化によって個々の半導体層積層体25に分割される(図6d)。
【0065】
そのようにして形成された半導体層積層体25上に、保護のための有利にはシリコン窒化物ベースのパッシベーション層31が被着される(図6e)。
【0066】
パッシベーション層によって覆われていない接触層28の領域上には、それぞれ接合はんだ32が析出され、またその上には銀合金またはアルミニウム合金から成るリフレクタ29が析出される(図6f)。
【0067】
最終的には、半導体層積層体25はリフレクタ29と共融的に支台26に貼り合わされる(図6g)。
【0068】
後続のステップ(図6h)では基板基体21が除去され、この基板基体21は再利用することができる。
【0069】
最終的には、個々の半導体層積層体には上方側に接触面30が設けられる(図6i)。続けて半導体層積層体を個別化することができ、必要に応じてケーシングに取り付けることができる(図示していない)。
【0070】
図7に図示した本発明による製造方法の実施例は、前述の実施例の変形を表す。
【0071】
ここでもまた、既述したように、エピタキシャル基板として接合基板が使用される(図7a)。
【0072】
GaNベースの層24を析出する前に、中間層22のエピタキシャル表面上にはマスク層27が被着される(図7b)。つまりGaNベースの層24は、マスク層27によって覆われていないエピタキシャル表面の領域(エピタキシャル窓)上にのみ成長する(図7c)。これによってGaNベースの層24は層平面の方向に区切られる。つまり付加的に冷却段階においてエピタキシャルに析出された層における張引が回避される。
【0073】
続けて他の実施例と同様の製造方法を続行することができる。
【0074】
既述の実施例に基づく本発明の説明は勿論本発明にのみ制限されるのではなく、本発明の思考に基づき使用される全ての実施形態も含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光半導体素子において、
該半導体素子は第1の主面(3)及び第2の主面(4)を有し、且つ、該半導体素子の半導体基体は種々のIII−V族窒化物半導体層(1)の積層体によって形成されており、
生成される放射(5)の少なくとも一部は前記第1の主面(3)を通過して出力結合され、
前記第2の主面(4)上にリフレクタが被着されていることを特徴とする、発光半導体素子。
【請求項2】
前記半導体層(1)はGaN、AlN、InN、AlGaN、InGaN、InAlNまたはAlInGaNから構成されている、請求項1記載の発光半導体素子。
【請求項3】
前記リフレクタ(6)は、反射性の金属性の接触面によって形成されている、請求項1または2記載の発光半導体素子。
【請求項4】
前記接触面は、Ag、AlまたはAg合金またはAl合金から構成されている、請求項3記載の発光半導体素子。
【請求項5】
前記リフレクタ(6)は誘電性の鏡面仕上げによって形成されている、請求項1または2記載の発光半導体素子。
【請求項6】
前記誘電性の鏡面仕上げは複数の誘電性の層によって形成されている、請求項5記載の発光半導体素子。
【請求項7】
前記リフレクタ(6)は、前記第2の主面(4)上に被着された透過性の第1の層及び該第1の層上に被着された反射性の第2の層を有する、請求項1または2記載の発光半導体素子。
【請求項8】
前記半導体基体の露出された表面の全体または該半導体基体の部分領域は粗面化されている、請求項1から7のいずれか1項記載の発光半導体素子。
【請求項9】
粗面化部はエッチングにより形成されている、請求項8記載の発光半導体素子。
【請求項10】
前記半導体基体はAlGaNベースのバッファ層を有する、請求項1から9のいずれか1項記載の発光半導体素子。
【請求項11】
前記バッファ層の導電性を高める導電性のチャネルが前記バッファ層に挿入されている、請求項10記載の発光半導体素子。
【請求項12】
前記半導体基体上にパッシベーション層(31)が被着されている、請求項1から11のいずれか1項記載の発光半導体素子。
【請求項13】
前記半導体基は成長基板を有しておらず、且つ、エピタキシャルに被着されたIII−V族窒化物層から形成されている、請求項1から12のいずれか1項記載の発光半導体素子。
【請求項14】
発光半導体素子は緑色の光を放射するレーザダイオードである、請求項1から13のいずれか1項記載の発光半導体素子。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項記載の発光半導体素子の製造方法において、
III−V族窒化物層を、基板基体及び中間層を有する接合基板上に被着し、前記基板基体の熱膨張係数は、前記III−V族窒化物層の熱膨張係数よりも大きく、
前記III−V族窒化物層を前記中間層上に析出することを特徴とする、発光半導体素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−14938(P2011−14938A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233892(P2010−233892)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【分割の表示】特願2001−579374(P2001−579374)の分割
【原出願日】平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】