説明

発光装置およびプロジェクター

【課題】複数の光出射部の間隔を大きくすることができ、発光装置がライトバルブの直下に配置された方式のプロジェクターに適用できる発光装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る発光装置100では、第1領域160と第2領域162とは、第1反射部181,183にて接続され、第1領域160と第3領域164とは、第2反射部182,185にて接続され、第2領域162と第3領域164とは、出射面となる第1層106の側面131に接続され、第1領域160は、第1領域160の長手方向が出射面131に対して平行になるように設けられ、第2領域162と第3領域164とは、同じ傾きで傾いて第1面131と接続され、第1領域160、第2領域162、および第3領域164の少なくとも1つと、第4領域166と、の間の距離は、エバネッセント結合が生じる距離であり、第4領域166は、共振器を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode、以下「SLD」ともいう)は、通常の発光ダイオード同様にインコヒーレント性を示し、かつ広帯域なスペクトル形状を示しながら、光出力特性では半導体レーザー同様に単一の素子で数百mW程度までの出力を得ることが可能な半導体発光素子である。
【0003】
SLDは、例えばプロジェクターの光源として用いられるが、小型かつ高輝度なプロジェクターを実現するためには、光出力が大きく、かつエテンデュの小さな光源を用いる必要がある。そのためには、複数の利得領域から出射される光が、同一の方向に進むことが望ましい。特許文献1では、直線状の形状を有する利得領域と、反射面を介することによって屈曲した形状を有する利得領域と、を組合せることによって、2つの利得領域の光出射部(発光点)から出射される光を、同一の方向に進行させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−3833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学系の損失低減と部品点数の削減とのため、発光装置をライトバルブの直下に配置し、レンズアレイを用いて集光と均一照明とを同時に行う方式のプロジェクターが提案されている。このような方式のプロジェクターでは、レンズアレイの間隔に合わせて、光出射部を配置する必要がある。
【0006】
特許文献1に記載された技術では、複数の光出射部の間隔をピッチの異なる様々なレンズアレイに合わせて配置することが困難であり、上記の方式のプロジェクターに適用できない。
【0007】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、複数の光出射部の間隔を大きくすることができ、発光装置がライトバルブの直下に配置された方式のプロジェクターに適用できる発光装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記発光装置を有するプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発光装置は、
電流を注入することによって光を発生させ、かつ当該光の導波路を形成する、第1層と、
前記第1層を挟み、かつ前記光の漏れを抑制する第2層および第3層と、
前記第1層に前記電流を注入する電極と、
を含み、
前記電極から電流を注入することにより得られる前記光の導波路は、
帯状かつ直線状の形状を有する第1領域と、
帯状の第2領域と、
帯状の第3領域と、
帯状の第4領域と、
を有し、
前記第1領域と前記第2領域とは、前記第1層の側面に設けられる第1反射部にて接続され、
前記第1領域と前記第3領域とは、前記第1反射部が設けられる側面と異なる前記第1層の側面に設けられる第2反射部にて接続され、
前記第2領域と前記第3領域とは、前記第1反射部が設けられている側面および前記第2反射部が設けられる側面と異なる側面であって、出射面となる前記第1層の側面に接続され、
前記第1領域は、前記第1領域の長手方向が前記出射面に対して平行になるように設けられ、
前記第2領域と前記第3領域とは、前記第1層、前記第2層、および前記第3層の積層方向から見て、同じ傾きで傾いて前記第1面と接続され、
前記第1領域、前記第2領域、および前記第3領域の少なくとも1つと、前記第4領域と、の間の距離は、エバネッセント結合が生じる距離であり、
前記第4領域は、共振器を構成する。
【0009】
このような発光装置によれば、第1領域は、出射面に対して、平行に設けられている。そのため、例えば、第1領域が出射面に対して平行ではない場合に比べて、第1領域、第2領域、および第3領域の全長が増大することを抑制しつつ、出射面に設けられた光出射部の間隔を大きくすることができる。すなわち、出射面に垂直な方向の素子長の小型化を図りつつ、光出射部の間隔を大きくすることができる。
【0010】
さらに、このような発光装置によれば、第1領域、第2領域、および第3領域の少なくとも1つと、エバネッセント結合が生じる距離だけ離間して、第4領域が形成されている。そのため、第4領域に発生する光を、光出射部から出射させることができ、発光装置あたりの発光強度を増加させることができる。さらに、第4領域は、共振器を構成することができる。そのため、このような発光装置は、SLD光成分と共振光成分とを含む光を出射光として出射することができる。したがって、光出力を向上させつつ、スペックルノイズを低減することができる。
【0011】
本発明に係る発光装置は、
電流を注入することによって光を発生させ、かつ当該光の導波路を形成する、第1層と、
前記第1層を挟み、かつ前記光の漏れを抑制する第2層および第3層と、
前記第1層に前記電流を注入する電極と、
を含み、
前記電極から電流を注入することにより得られる前記光の導波路は、
帯状かつ直線状の形状を有する第1領域と、
帯状の第2領域と、
帯状の第3領域と、
帯状の第4領域と、
を有し、
前記第1領域と前記第2領域とは、前記第1層の側面に設けられる第1反射部にて接続され、
前記第1領域と前記第3領域とは、前記第1反射部が設けられる側面と異なる前記第1層の側面に設けられる第2反射部にて接続され、
前記第2領域と前記第3領域とは、前記第1反射部が設けられている側面および前記第2反射部が設けられる側面と異なる側面であって、出射面となる前記第1層の側面に接続され、
前記第1領域は、前記第1領域の長手方向が前記出射面に対して平行になるように設けられ、
前記出射面には、前記第1層に生じる光の波長帯において、反射率を低減する反射防止膜が形成され、
前記出射面において前記第2領域から出射される第1の光と、前記出射面において前記第3領域から出射される第2の光とは、同じ方向に出射され、
前記第1領域、前記第2領域、および前記第3領域の少なくとも1つと、前記第4領域と、の間の距離は、エバネッセント結合が生じる距離であり、
前記第4領域は、共振器を構成する。
【0012】
このような発光装置によれば、複数の光出射部の間隔を大きくすることができる。
【0013】
本発明に係る発光装置において、
前記第4領域の長手方向の両端には、反射面が形成されていることができる。
【0014】
このような発光装置によれば、第4領域は、ファブリ・ペロー型の共振器を構成することができ、出射される光に共振光成分が含まれていても、十分にスペックルノイズを低減することができる。
【0015】
本発明に係る発光装置において、
前記第4領域には、分布帰還型(DFB型)の共振器を構成する周期構造が形成されていることができる。
【0016】
このような発光装置によれば、第4領域は、DFB型の共振器を構成することができ、光閉じ込め効果を大きくすることができる。その結果、光の損失を抑制することができる。
【0017】
本発明に係る発光装置において、
前記第4領域の長手方向の両端には、分布ブラッグ反射型(DBR型)の共振器が形成されていることができる。
【0018】
このような発光装置によれば、第4領域は、DBR型の共振器を構成することができ、光の損失を抑制しつつ、十分にスペックルノイズを低減することができる。
【0019】
本発明に係る発光装置において、
前記第1領域の長手方向と、前記第4領域の長手方向とは、平行であり、
前記第1領域と前記第4領域との間の距離は、エバネッセント結合が生じる距離であることができる。
【0020】
このような発光装置によれば、第1領域と第4領域との間で、効率よくエバネッセント結合を生じさせることができる。
【0021】
本発明に係る発光装置において、
前記第1領域と前記第4領域との間の距離は、100nm以上40μm以下であることができる。
【0022】
このような発光装置によれば、第1領域と第4領域との間で、効率よくエバネッセント結合を生じさせることができる。
【0023】
本発明に係る発光装置において、
前記第4領域は、複数設けられていることができる。
【0024】
このような発光装置によれば、発光強度を増加させることができる。
【0025】
本発明に係る発光装置において、
隣り合う前記第4領域の間の距離は、100nm以上40μm以下であることができる。
【0026】
このような発光装置によれば、隣り合う第4領域との間で、効率よくエバネッセント結合を生じさせることができる。
【0027】
本発明に係る発光装置において、
前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域、および前記第4領域は、屈折率導波型の構造を有することができる。
【0028】
このような発光装置によれば、利得導波型の構造を有する場合に比べて、領域間の結合光の導波損失を抑制することができる。
【0029】
本発明に係る発光装置は、
第1層と、前記第1層を挟む第2層および第3層と、を有する積層体を含み、
前記第1層は、
光を発生させて導波させる、第1利得領域、第2利得領域、第3利得領域、および第4利得領域を有し、
前記第2層および前記第3層は、
前記第1利得領域、前記第2利得領域、前記第3利得領域、および前記第4利得領域に発生する光の漏れを抑制する層であり、
前記第1層は、
前記積層体の外形を形成する、第1面、第2面、および第3面を有し、
前記第1面は、前記第1層で発生する光の波長帯において、前記第2面の反射率、および前記第3面の反射率よりも低い反射率を備え、
前記第1利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、前記第2面から前記第3面まで、前記第1面に対して平行に設けられ、
前記第2利得領域は、前記第2面において前記第1利得領域と重なり、前記第2面から前記第1面まで設けられ、
前記第3利得領域は、前記第3面において前記第1利得領域と重なり、前記第3面から前記第1面まで設けられ、
前記第2利得領域と前記第3利得領域とは、互いに離間し、前記積層体の積層方向から見て、同じ傾きで傾いて前記第1面と接続され、
前記第1利得領域、前記第2利得領域、および前記第3利得領域の少なくとも1つと、前記第4利得領域と、の間の距離は、エバネッセント結合が生じる距離であり、
前記第4領域は、共振器を構成する。
【0030】
このような発光装置によれば、複数の光出射部の間隔を大きくすることができる。
【0031】
本発明に係るプロジェクターは、
本発明に係る発光装置と、
前記発光装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む。
【0032】
このようなプロジェクターによれば、レンズアレイのアライメントが容易で、均一性よく液晶ライトバルブ(光変調装置)を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図2】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図3】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る発光装置から出射される光の光出力強度を模式的に示す図。
【図5】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態の第1変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図9】本実施形態の第1変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図10】本実施形態の第2変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図11】本実施形態の第2変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図12】本実施形態の第2変形例に係る発光装置から出射される光の光出力強度を模式的に示す図。
【図13】本実施形態の第3変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図14】本実施形態の第3変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図15】本実施形態の第3変形例に係る発光装置から出射される光の光出力強度を模式的に示す図。
【図16】本実施形態の第4変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図17】本実施形態の第4変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図18】本実施形態の第5変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図19】本実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【図20】本実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【図21】本実施形態に係るプロジェクターの光源を模式的に示す図。
【図22】本実施形態に係るプロジェクターの光源を模式的に示す断面図。
【図23】本実施形態に係るプロジェクターの光源を模式的に示す断面図。
【図24】本実施形態に係るプロジェクターの光源を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
1. 発光装置
まず、本実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す平面図である。図2は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す図1のII−II線断面図である。図3は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す図1のIII−III線断面図である。なお、図1では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0036】
発光装置100は、図1〜図3に示すように、積層体120と、第1電極112と、第2電極114と、を含むことができる。
【0037】
積層体120は、基板102と、第2層104(以下「第1クラッド層104」ともいう)と、第1層106(以下「活性層106」ともいう)と、第3層108(以下「第2クラッド層108」ともいう)と、コンタクト層110と、絶縁層116と、を有することができる。
【0038】
基板102としては、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaAs基板などを用いることができる。
【0039】
第1クラッド層104は、基板102上に形成されている。第1クラッド層104としては、例えば、n型のInGaAlP層などを用いることができる。なお、図示はしないが、基板102と第1クラッド層104との間に、バッファー層が形成されていてもよい。バッファー層としては、例えば、n型のGaAs層、AlGaAs層、InGaP層などを用いることができる。バッファー層は、その上方に形成される層の結晶性を向上させることができる。
【0040】
活性層106は、第1クラッド層104上に形成されている。活性層106は、第1クラッド層104と第2クラッド層108とに挟まれている。活性層106は、例えば、InGaPウェル層とInGaAlPバリア層とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた多重量子井戸(MQW)構造を有する。
【0041】
活性層106の平面形状は、例えば、積層体120の平面形状と同じである。図1に示す例では、活性層106の平面形状は、六角形であり、第1面131、第2面132、第3面133、第4面134、第5面135、および第6面136を有している。面131〜136は、活性層106の面のうち第1クラッド層104または第2クラッド層108に面状に接していない面であり、積層体120の外形を形成している面である。面131〜136は、積層体120の積層方向から見て活性層106の側面(側壁)、言い換えれば積層体120の側面部、に設けられているともいえ、平坦な面である。
【0042】
図1に示す例では、面134,135は、面131と直交している。面136は、面131と対向している。面132は、面134,136と接続しており、面131に対して傾斜している。面133は、面135,136と接続しており、面131に対して傾斜している。例えば、面131,134,135,136は、劈開によって形成され、面132,133は、エッチング技術によって形成される。
【0043】
活性層106の一部は、第1利得領域160、第2利得領域162、第3利得領域164、および第4利得領域166を構成している。利得領域160,162,164,166は、光を発生させることができ、この光は、利得領域160,162,164,166内を、利得を受けつつ導波することができる。すなわち、利得領域160,162,164,166は、活性層106にて発生する光に対する導波路であるともいえる。
【0044】
第1利得領域160は、図1に示すように、積層体120の積層方向からの平面視にて、所定の幅を有する帯状かつ直線状の長手形状(長手方向と短手方向を有する形状)を備えている。また、積層体120の積層方向から見て(平面視において)、第2面132から第3面133へ向かう第1利得領域160の長手方向が、第1面131に対して平行になるように設けられている。第1利得領域160は、第2面132との接続部分に設けられた第1端面181と、第3面133との接続部分に設けられた第2端面182と、を有する。
【0045】
なお、「第1利得領域160の長手方向」とは、例えば、積層体120の積層方向からの平面視における、第1端面181の中心と、第2端面182の中心と、を通る直線の延在方向である。また、第1利得領域160(と第1利得領域160を除いた部分と)の境界線の延在方向であってもよい。
【0046】
また、「第1利得領域160は、第1面131に対して平行」とは、製造ばらつき等を考慮し、平面視において、第1面131に対する第1利得領域160の傾き角が±1°以内である、ということを意味している。
【0047】
第1利得領域160は、積層体120の積層方向からの平面視にて、第2面132の垂線P2に対して第1角度α1で傾いて第2面132と接続している。言い換えれば、第1利得領域160の帯状形状の長手方向は、垂線P2に対してα1の角度を有しているといえる。また、第1利得領域160は、第3面133の垂線P3に対して第2角度α2で傾いて第3面133と接続している。言い換えれば、第1利得領域160の帯状形状の長手方向は、垂線P3に対してα2の角度を有しているといえる。
【0048】
第1利得領域160の長さは、第2利得領域162の長さおよび第3利得領域164の長さよりも大きい。第1利得領域160の長さは、第2利得領域162の長さと、第3利得領域164の長さと、の和以上であってもよい。なお、「第1利得領域160の長さ」とは、第1端面181の中心と、第2端面182の中心と、の間の距離ともいえる。他の利得領域についても同様に、長さとは、2つの端面の中心間の距離ともいえる。
【0049】
第2利得領域162は、積層体120の積層方向からの平面視にて、第2面132から第1面131まで、例えば所定の幅を有する帯状かつ直線状の長手形状を備えている。第2利得領域162は、第2面132との接続部分に設けられた第3端面183と、第1面131との接続部分に設けられた第4端面184と、を有する。
【0050】
なお、「第2利得領域162の長手方向」とは、例えば、積層体120の平面視における、第3端面183の中心と、第4端面184の中心と、を通る直線の延在方向である。また、第2利得領域162(と第2利得領域162を除いた部分と)の境界線の延在方向であってもよい。
【0051】
第2利得領域162の第3端面183は、第2面132において、第1利得領域160の第1端面181と重なっている。図示の例では、第1端面181と第3端面183とは、完全に重なっている。
【0052】
第2利得領域162は、例えば、積層体120の積層方向からの平面視にて、垂線P2に対して第1角度α1で傾いて第2面132と接続している。言い換えれば、第2利得領域162の長手方向は、垂線P2に対してα1の角度を有しているといえる。すなわち、第1利得領域160の垂線P2に対する角度と、第2利得領域162の垂線P2に対する角度とは、製造ばらつきの範囲で同じである。第1角度α1は、鋭角であって、臨界角以上である。これにより、第2面132は、利得領域160,162,164,166に発生する光を、全反射させることができる。
【0053】
なお、「第1利得領域160の垂線P2に対する角度と、第2利得領域162の垂線P2に対する角度が同じ」とは、エッチング等の製造ばらつきを考慮し、例えば±2°程度以内の角度差である、ということを意味している。
【0054】
第2利得領域162は、積層体120の積層方向からの平面視にて、第1面131の垂線P1に対して角度βで傾いて第1面131と接続している。言い換えれば、第2利得領域160の長手方向は、垂線P1に対してβの角度を有しているといえる。角度βは、鋭角であって、臨界角より小さい角度である。
【0055】
第3利得領域164は、積層体120の積層方向からの平面視にて、第3面133から第1面131まで、例えば所定の幅を有する帯状かつ直線状の長手形状を備えている。すなわち、第3利得領域164は、第3面133との接続部分に設けられた第5端面185と、第1面131との接続部分に設けられた第6端面186と、を有する。
【0056】
なお、「第3利得領域164の長手方向」とは、例えば、積層体120の平面視における、第5端面185の中心と、第6端面186の中心と、を通る直線の延在方向である。また、第3利得領域164(と第3利得領域164を除いた部分と)の境界線の延在方向であってもよい。
【0057】
第3利得領域164の第5端面185は、第3面133において、第1利得領域160の第2端面182と重なっている。図示の例では、第2端面182と第5端面185とは、完全に重なっている。
【0058】
第2利得領域162と第3利得領域164とは、互いに離間している。図1に示す例では、第2利得領域162の第4端面184と、第3利得領域164の第6端面186とは、間隔Dで離間している。
【0059】
第3利得領域164は、例えば、積層体120の積層方向からの平面視にて、垂線P3に対して第2角度α2で傾いて第3面133と接続している。言い換えれば、第3利得領域164の長手方向は、垂線P3に対してα2の角度を有しているといえる。すなわち、第1利得領域160の垂線P3に対する角度と、第3利得領域164の垂線P3に対する角度とは、製造ばらつきの範囲で同じである。第2角度α2は、鋭角であって、臨界角以上である。これにより、第3面133は、利得領域160,162,164,166に発生する光を、全反射させることができる。
【0060】
なお、「第1利得領域160の垂線P3に対する角度と、第3利得領域164の垂線P3に対する角度が同じ」とは、エッチング等の製造ばらつきを考慮し、例えば±2°程度以内の角度差である、ということを意味している。
【0061】
第3利得領域164は、積層体120の積層方向からの平面視にて、垂線P1に対して角度βで傾いて第1面131と接続している。言い換えれば、第3利得領域164の長手方向は、垂線P1に対してβの角度を有しているといえる。すなわち、第2利得領域162と第3利得領域164とは、平面視において、同じ傾きで傾いて第1面131と接続しており、互いに平行である。より具体的には、第2利得領域162の長手方向と、第3利得領域164の長手方向とは、互いに平行である。これにより、第4端面184から出射される光20と、第6端面186から出射される光22とは、同一の方向に進むことができる。端面184,186は、光出射部であるといえる。
【0062】
角度βは、0°より大きい角度である。これにより、第4端面184と第6端面186との間で、利得領域160,162,164に発生する光を、直接的に多重反射させないことができる。その結果、利得領域160,162,164において、直接的な共振器を構成させないことができる。
【0063】
以上のとおり、角度α1,α2を臨界角以上とし、角度βを臨界角より小さくすることにより、第1面131の反射率を、第2面132の反射率および第3面133の反射率より低くすることができる。すなわち、第1面131は、光出射面となることができ、出射面に設けられた第4端面184および第6端面186は、利得領域160,162,164,166に発生する光を出射させる光出射部(光出射部184,186)となることができる。第2面132および第3面133は、反射面となることができ、反射面に設けられた第1端面181および第3端面183は、利得領域160,162,164,166に発生する光を反射させる第1反射部(第1反射部181,183)となることができる。同様に、反射面に設けられた第2端面182および第5端面185は、利得領域160,162,164,166に発生する光を反射させる第2反射部(第2反射部182,185)となることができる。
【0064】
なお、図示はしないが、例えば、第1面131を反射防止膜で覆い、第2面132および第3面133を反射膜で覆ってもよい。これにより、利得領域160,162,164,166に発生する光が、第2面132および第3面133において、全反射しないような入射角度、屈折率等の条件下においても、利得領域160,162,164,166に発生する光の波長帯における第1面131の反射率を、第2面132の反射率および第3面133の反射率より低くすることができる。また、第1面131を反射防止膜で覆うため、利得領域160,162,164,166に発生する光を、第4端面184と第6端面186との間で直接的に多重反射させることを低減できる。
【0065】
反射膜および反射防止膜としては、SiO層、Ta層、Al層、TiN層、TiO層、SiON層、SiN層や、これらの多層膜などを用いることができる。また、面132,133をエッチングによって形成されたDBR(Distributed Bragg Reflector)として、高い反射率を得てもよい。
【0066】
第4利得領域166は、図1に示すように、積層体120の積層方向からの平面視にて、例えば所定の幅を有する帯状かつ直線状の長手形状を備えている。第4利得領域166は、利得領域160,162,164の少なくとも1つと、エバネッセント結合が生じる距離だけ離間して、配置されている。第4利得領域166は、積層体120の積層方向からの平面視にて、第1利得領域160と、第2利得領域162と、第3利得領域164と、第1面131と、に囲まれており、第1利得領域160と第4利得領域166との間の距離L(図2参照)は、エバネッセント結合が生じる距離である。距離Lは、第1利得領域160および第4利得領域166の屈折率や導波路幅(短手方向の幅)にもよるが、例えば、100nm以上40μm以下である。第1利得領域160の長手方向と、第4利得領域166の長手方向とは、例えば、平行である。また、第1利得領域160と第4利得領域166との間の距離Lは、第1利得領域160および第4利得領域166の導波路幅と同じか、それよりも短いことが望ましい。
【0067】
第4利得領域166の長手方向の両端には、反射面167が形成されている。反射面167は、例えば、積層体120をエッチングすることにより形成された開口部の1つの面であってもよい。該開口部は、図3に示すように、活性層106を貫通する深さを有することができる。図示の例では、開口部の底面は、第1クラッド層104の上面と下面との間に位置している。
【0068】
なお、「第4利得領域166の長手方向」とは、例えば、積層体120の平面視における、2つの反射面167の中心を通る直線の延在方向である。また、第4利得領域166(と第4利得領域166を除いた部分と)の境界線の延在方向であってもよい。
【0069】
第2クラッド層108は、図2に示すように、活性層106上に形成されている。第2クラッド層108としては、例えば、第2導電型(例えばp型)のInGaAlP層などを用いることができる。
【0070】
例えば、p型の第2クラッド層108、不純物がドーピングされていない活性層106、およびn型の第1クラッド層104により、pinダイオードが構成される。第1クラッド層104および第2クラッド層108の各々は、活性層106よりも禁制帯幅が大きく、屈折率が小さい層である。活性層106は、光を発生させ、かつ光を増幅しつつ導波させる機能を有する。第1クラッド層104および第2クラッド層108は、活性層106を挟んで、注入キャリア(電子および正孔)並びに光を閉じ込める機能(光の漏れを抑制する機能)を有する。
【0071】
発光装置100は、第1電極112と第2電極114との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加する(電流を注入する)と、活性層106に利得領域160,162,164,166を生じ、利得領域160,162,164,166において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。この生じた光を起点として、連鎖的に誘導放出が起こり、利得領域160,162,164,166内で光の強度が増幅される。
【0072】
例えば、図1に示すように、第2利得領域162に生じ、第2面132側に向かう光は、第2利得領域162内で増幅された後、第2面132(端面181,183)において反射して、第3面133に向かって第1利得領域160を進行する。そして、さらに第3面133(端面182,185)において反射して、第3利得領域164を進行して第6端面186から出射光22として出射される。このとき、利得領域160,164内においても光強度が増幅される。同様に、第3利得領域164に生じ、第3端面133側に向かう光は、第3利得領域164内で増幅された後、第3面133において反射して、第2面132に向かって第1利得領域160を進行する。そして、さらに第2面132において反射して、第2利得領域162を進行して第4端面184から出射光20として出射される。このとき、利得領域160,162内においても光強度が増幅される。
【0073】
なお、第2利得領域162に発生する光には、直接、第4端面184から出射光20として出射されるものもある。同様に、第3利得領域164に発生する光には、直接、第6端面186から出射光22として出射されるものもある。これらの光も同様に各利得領域162,164内において増幅される。
【0074】
上述のように、角度βは、0°より大きい角度である。これにより、第4端面184と第6端面186との間で、利得領域160,162,164に発生する光を、直接的に多重反射させないことができる。その結果、利得領域160,162,164において、直接的な共振器を構成させないことができ、利得領域160,162,164に発生する光を、スペクトル幅が広く、可干渉性の低い光(SLD光成分)として出射させることができる。そのため、スペックルノイズを低減することができる。
【0075】
第4利得領域166に生じた光は、第4利得領域166の長手方向の両端に形成された反射面167によって反射され、第4利得領域166内を往復することで共振が生じる。すなわち、第4利得領域166と反射面167とによってファブリ・ペロー型の共振器が構成され、可干渉性の高い光(共振光成分)が生じる。
【0076】
上述のように、第1利得領域160と第4利得領域166との間の距離Lは、エバネッセント結合が生じる距離である。そのため、第4利得領域166内を往復する光の一部の成分は、エバネッセント結合によって、第1利得領域160に移動する。すなわち、第4利得領域166内を往復している光は、高屈折領域である第1利得領域160および第1利得領域160を導波する光を感じ、その一部が、第1利得領域160を導波する光と強め合うように、第1利得領域160を導波する光にのり移る。第1利得領域160は共振器を構成していないため、第1利得領域160を導波する光の位相はランダムであり、第4利得領域166において共振する光は、位相の整合性のよいタイミングで自然に第1利得領域160を導波する光に結合する。このようにして、第4利得領域166を往復する光、第4利得領域166において共振する間に、第1利得領域160に至る。その後、第1利得領域160に至った第4利得領域166からの光は、上述のように、面132,133において反射して、端面184,186(光出射部184,186)から出射光20,22として射出される。第4利得領域166は、光出射部を有していない。そのため、第4利得領域166を往復している光は、反射面167で損失される光やクラッド層104,108に吸収される光を除いて、ほぼ全ての光が第1利得領域160に移動し、光出射部184,186から出射されることができる。
【0077】
図4は、発光装置100から出射される光の、波長に対する出力強度を示す模式図である。発光装置100は、図4に示すように、利得領域160,162,164に発生する可干渉性の低い光(SLD光成分)と、利得領域166に発生する可干渉性の高い光(共振光成分)と、を含む光を出射光として出射することができる。SLD光成分と共振光成分とは、図4に示すように、互いに重なっている。発光装置100では、第4利得領域166は、ファブリ・ペロー型の共振器を構成するため、共振光成分は、マルチモードである。そのため、発光装置100は、出射された光に共振光成分が含まれていても、スペックルノイズを低減することができる。
【0078】
なお、発光装置100では、エバネッセント結合により、第1利得領域160から第4利得領域166に至る光もある。しかし、第4利得領域166は、光出射部を有していないため、第1利得領域160から第4利得領域166に至った光は、第4利得領域166内を往復しているうちに、エバネッセント結合により、再度、第1利得領域160に至ることができる。そして、光出射部184,186から出射されることができる。
【0079】
コンタクト層110は、図2に示すように、第2クラッド層108上に形成されている。コンタクト層110は、第2電極114とオーミックコンタクトすることができる。コンタクト層110の上面113は、コンタクト層110と第2電極114との接触面であるといえる。コンタクト層110としては、例えば、p型のGaAs層などを用いることができる。
【0080】
コンタクト層110と、第2クラッド層108の一部とは、柱状部111を構成することができる。柱状部111の積層体120の積層方向から見た平面形状は、利得領域160,162,164,166の積層体120の積層方向から見た平面形状と同じである。すなわち、コンタクト層110の上面113の平面形状は、利得領域160,162,164,166の平面形状と同じであるといえる。例えば、柱状部111の平面形状によって、電極112,114間の電流経路が決定され、その結果、利得領域160,162,164,166の平面形状が決定される。なお、図示はしないが、柱状部111の側面を傾斜させることもできる。
【0081】
絶縁層116は、第2クラッド層108上であって、柱状部111の側方に形成されている。絶縁層116は、柱状部111の側面に接していることができる。絶縁層116の上面は、例えば、コンタクト層110の上面113と連続している。絶縁層116としては、例えば、SiN層、SiO層、SiON層、Al層、ポリイミド層などを用いることができる。
【0082】
絶縁層116として上記の材料を用いた場合、電極112,114間の電流は、絶縁層116を避けて、該絶縁層116に挟まれた柱状部111を流れることができる。絶縁層116は、活性層106の屈折率よりも小さい屈折率を有することができる。この場合、絶縁層116を形成した部分の垂直断面の有効屈折率は、絶縁層116を形成しない部分、すなわち、柱状部111が形成された部分の垂直断面の有効屈折率よりも小さくなる。これにより、平面方向において、利得領域160,162,164,166内に効率良く光を閉じ込めることができる。なお、図示はしないが、絶縁層116として上記の材料を用いず、空気層としてもよい。この場合、空気層が絶縁層116として機能することができる。
【0083】
第1電極112は、基板102の下の全面に形成されている。第1電極112は、該第1電極112とオーミックコンタクトする層(図示の例では基板102)と接していることができる。第1電極112は、基板102を介して、第1クラッド層104と電気的に接続されている。第1電極112は、発光装置100を駆動するための一方の電極である。第1電極112としては、例えば、基板102側からCr層、AuGe層、Ni層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。
【0084】
なお、第1クラッド層104と基板102との間に、第2コンタクト層(図示せず)を設け、基板102と反対側からのドライエッチングなどにより該第2コンタクト層を基板102と反対側に露出させ、第1電極112を第2コンタクト層上に設けることもできる。これにより、片面電極構造を得ることができる。この形態は、基板102が絶縁性である場合に特に有効である。
【0085】
第2電極114は、コンタクト層110の上面113に接して形成されている。さらに、第2電極114は、図2に示すように、絶縁層116上に形成されていてもよい。第2電極114は、コンタクト層110を介して、第2クラッド層108と電気的に接続されている。第2電極114は、発光装置100を駆動するための他方の電極である。第2電極114としては、例えば、コンタクト層110側からCr層、AuZn層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。
【0086】
以上、本実施形態に係る発光装置100の一例として、InGaAlP系の場合について説明したが、発光装置100は、発光利得領域が形成可能なあらゆる材料系を用いることができる。半導体材料であれば、例えば、AlGaN系、GaN系、InGaN系、GaAs系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、ZnCdSe系などの半導体材料を用いることができる。
【0087】
また、本実施形態に係る発光装置100の一例として、絶縁層116が形成されている領域と、絶縁層116が形成されていない領域、すなわち柱状部111を形成している領域との間に屈折率差を設けて、光を閉じ込める屈折率導波型について説明した。これに対し、発光装置100は、柱状部を形成することによって屈折率差を設けないこととし、利得領域がそのまま導波領域となる、利得導波型であってもよい。しかしながら、利得領域間の光結合および結合光の導波損失を考慮すると、屈折率導波型であることが望ましい。
【0088】
本実施形態に係る発光装置100は、例えば、プロジェクター、ディスプレイ、照明装置、計測装置などの光源に適用されることができる。
【0089】
本実施形態に係る発光装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0090】
発光装置100によれば、第1利得領域160は、第2面132から第3面133まで、光出射部184,186が形成される第1面131に対して、平行に設けられている。そのため、例えば、第1利得領域が第1面に対して平行ではない場合に比べて、利得領域の全長が増大することを抑制しつつ、光出射部184,186の間隔を大きくすることができる。すなわち、光出射面(第1面131)に垂直な方向の素子長の小型化を図りつつ、光出射部184,186の間隔を大きくすることができる。これにより、発光装置100では、資源が無駄となることもなく、製造コストを抑えることができる。より具体的には、発光装置100では、光出射部184,186の間隔Dを0.262mm以上3mm未満とし、角度βを5°以下とし、利得領域160,162,164の全長を1.5mm以上3mm以下とすることができる。
【0091】
さらに、発光装置100によれば、利得領域160,162,164の少なくとも1つと、エバネッセント結合が生じる距離だけ離間して、第4利得領域166が形成されている。そのため、第4利得領域166に発生する光を、利得領域162の端面184、および利得領域164の端面186から出射させることができ、発光装置あたりの発光強度を増加させることができる。さらに、第4利得領域166は、共振器を構成することができる。そのため、発光装置100は、SLD光成分と共振光成分とを含む光を出射光として出射することができる。したがって、光出力を向上させつつ、スペックルノイズを低減することができる。特に、発光装置100では、第4利得領域166は、ファブリ・ペロー型の共振器を構成するため、共振光成分は、マルチモードである。そのため、発光装置100は、出射される光に共振光成分が含まれていても、十分にスペックルノイズを低減することができる。
【0092】
さらに、第4利得領域166は、積層体120の積層方向からの平面視にて、第1利得領域160と、第2利得領域162と、第3利得領域164と、出射面となる第1面131と、に囲まれて形成されている。したがって、第4利得領域166を形成することによって、発光装置100全体の面積が増大することを防止できる。その結果、資源(発光装置の製造に必要な基板やガス、薬品等)が無駄となることもなく、製造コストを抑えることができる。
【0093】
発光装置100によれば、第1利得領域160および第2利得領域162は、第2面132の垂線P2に対して第1角度α1で傾いて第2面132と接続し、第1利得領域160および第3利得領域164は、第3面133の垂線P3に対して第2角度α2で傾いて第3面133と接続することができる。角度α1,α2は、臨界角以上である。そのため、面132,133は、利得領域160,162,164,166に発生する光を、全反射させることができる。したがって、発光装置100では、面132,133(端面181,183および端面182,185)における光損失を抑制することができ、効率よく光を反射させることができる。さらに、面132,133に反射膜を形成する工程が不要となるので、製造コストおよび製造に必要な材料・資源を削減することができる。
【0094】
発光装置100によれば、第1利得領域160の長さを、第2利得領域162の長さおよび第3利得領域164の長さより大きくすることができる。これにより、光出射部184,186の間隔Dを確実に大きくすることができる。
【0095】
発光装置100によれば、第1利得領域160の長手方向と、第4利得領域166の長手方向と、を平行とし、第1利得領域160と第4利得領域166との間の距離Lを、エバネッセント結合が生じる距離とすることができる。これにより、第1利得領域160と第4利得領域166との間で、効率よくエバネッセント結合を生じさせることができる。
【0096】
発光装置100によれば、第1利得領域160と第4利得領域166との間の距離Lは、100nm以上40μm以下であることができる。これにより、第1利得領域160と第4利得領域166との間で、効率よくエバネッセント結合を生じさせることができる。例えば、距離Lが100mnより小さいと、第1利得領域160内を進行している光も、共振してしまう場合がある。距離Lが40μmより大きいと、十分なエバネッセント結合が生じない場合がある。
【0097】
2. 発光装置の製造方法
次に、本実施形態に係る発光装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図であって、図2に対応している。図6は、本実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す平面図であって、図1に対応している。図7は、本実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図であって、図2に対応している。
【0098】
図5に示すように、基板102上に、第1クラッド層104、活性層106、第2クラッド層108、およびコンタクト層110を、この順でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いることができる。基板102、第1クラッド層104、活性層106、第2クラッド層108、およびコンタクト層110の平面形状は、例えば長方形(図示せず)である。
【0099】
図6に示すように、コンタクト層110および第2クラッド層108をパターニングする。本工程により、柱状部111を形成することができる。
【0100】
図3、図7に示すように、コンタクト層110、第2クラッド層108、活性層106、第1クラッド層104、基板102をパターニングして、反射面167、第2面132および第3面133を形成する。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて行われる。
【0101】
なお、図示はしないが、活性層106の第2面132および第3面133が露出され、反射面167を形成する際にできる開口部が活性層106を貫通していれば、クラッド層104の一部および基板102は、パターニングされなくてもよい。また、本製造工程においては、反射面167と同時に面132,133を形成したが、これらを別々に形成してもよい。反射面167と同時に面132,133を形成することで、エッチングガス等の資源の使用を削減することができる。
【0102】
また、面134,135,136も、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によってパターニングすることで、面132,133と同時に形成してもよいが、後述の柱状部111および電極112,114を作製後に劈開等によって形成してもよい。
【0103】
図2に示すように、柱状部111の側面を覆うように絶縁層116を形成する。具体的には、まず、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、塗布法などにより、第2クラッド層108の上方(コンタクト層110上、反射面167を形成した際にできる開口部を含む(面132,133を形成した際に開口部ができる場合は該開口部も含む))に絶縁部材(図示せず)を成膜する。次に、例えば、エッチング技術などを用いて、コンタクト層110の上面113を露出させる。以上の工程により、絶縁層116を形成することができる。
【0104】
次に、コンタクト層110上および絶縁層116上に第2電極114を形成する。次に、基板102の下面下に第1電極112を形成する。第1電極112および第2電極114は、例えば、真空蒸着法により形成される。なお、第1電極112および第2電極114の形成順序は、特に限定されない。また、次の工程で反射面167を露出させるため、反射面167を形成した際にできる開口部(面132,133を形成した際に開口部ができる場合は該開口部も含む)の絶縁層116上には、リフトオフ法などにより、第2電極114が形成されないようにすることが望ましい。
【0105】
次に、絶縁層116をエッチングして、反射面167を露出させる。また、面132,133を形成した際に開口部ができる場合は該開口部内の絶縁層116をエッチングして、面132,133を露出させる。
【0106】
以上の工程により、本実施形態に係る発光装置100を製造することができる。
【0107】
発光装置100の製造方法によれば、複数の光出射部の間隔を大きくすることができる発光装置100を得ることができる。
【0108】
3. 発光装置の変形例
次に、本実施形態の変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。以下、本実施形態の変形例に係る発光装置において、本実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0109】
3.1. 第1変形例に係る発光装置
まず、本実施形態の第1変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図8は、本実施形態の第1変形例に係る発光装置200を模式的に示す平面図である。図9は、本実施形態の第1変形例に係る発光装置200を模式的に示す図8のIX−IX線断面図である。なお、図8では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0110】
発光装置100の例では、第2利得領域162および第3利得領域164は、図1に示すように、積層体120の積層方向からの平面視にて、第1面131の垂線P1に対して角度βで傾いて第1面131と接続していた。角度βは、0°より大きい角度であった。
【0111】
これに対し、発光装置200の例では、図8に示すように、第2利得領域162および第3利得領域164は、積層体120の積層方向からの平面視にて、第1面131と直交している。より具体的には、第2利得領域162の長手方向、および第3利得領域164の長手方向は、第1面131と直交している。すなわち、第2利得領域162の長手方向、および第3利得領域164の長手方向は、第1面131の垂線P1と平行である。
【0112】
発光装置200は、図8および図9に示すように、反射防止膜210を有する。反射防止膜210は、第1面131に形成され、光出射部となる端面184,186を覆っている。反射防止膜210は、SiO層、Ta層、Al層、TiN層、TiO層、SiON層、SiN層や、これらの多層膜などを用いることができる。反射防止膜210は、例えば、CVD法、イオンアシスト蒸着法により形成される。反射防止膜210は、活性層106に生じる光の波長帯において、第1面131の反射率(端面184,186の反射率)を低減することができる。
【0113】
発光装置200によれば、第2利得領域162の長手方向、および第3利得領域164の長手方向が第1面131の垂線P1と平行であっても、反射防止膜210により、第4端面184と第6端面186との間で、光を直接的に多重反射させないことができる。その結果、発光装置200は、SLD光成分を含む光を出射することができ、スペックルノイズを低減することができる。
【0114】
3.2. 第2変形例に係る発光装置
次に、本実施形態の第2変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図10は、本実施形態の第2変形例に係る発光装置300を模式的に示す平面図である。図11は、本実施形態の第2変形例に係る発光装置300を模式的に示す図10のXI−XI線断面図である。なお、図10では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0115】
発光装置100の例では、図1および図3に示すように、第4利得領域166は、ファブリ・ペロー型の共振器を構成していた。
【0116】
これに対し、発光装置300では、図10および図11に示すように、第4利得領域166は、分布帰還型(DFB(distributed feedback)型)の共振器を構成することができる。すなわち、図11に示すように、第4利得領域166の第2クラッド層108には、DFB型の共振器を構成する周期構造108aが形成されている。周期構造108aのピッチΛの値によって、発振する波長を決定することができる。周期構造108aは、第1の成長で第2クラッド層108を途中まで成長させた後、その上面を干渉露光およびエッチングして、凹凸面を形成し、該凹凸面上に屈折率の異なる第2クラッド層108(第1の成長で形成された第2クラッド層108と屈折率の異なる第2クラッド層108)を第2の成長により再度成長させることによって形成される。より具体的には、例えば組成の異なるInGaAlP層を再度成長させることによって、屈折率の異なる第2クラッド層108が形成される。なお、図示はしないが、周期的に実効的な屈折率が変化する構造が形成されていれば、第1クラッド層104や活性層106の一部または全体に、凹凸構造が形成されていてもよいし、第2クラッド層108の一部と活性層106の一部など、各層の界面を横断して形成されていてもよい。
【0117】
図12は、発光装置300から出射される光の、波長に対する出力強度を示す模式図である。発光装置300では、第4利得領域166は、DFB型の共振器を構成するため、例えば凹凸による実効的な屈折率差が小さい場合、図12に示すように、共振光成分は、シングルモードまたはダブルモード(図示の例ではダブルモード)となる場合がある。しかしながら、周期構造108aによる多重反射によって光を閉じ込めているため、第4利得領域166の外には、ほとんど光を漏らさないようにすることができる。したがって、発光装置300は、発光装置100に比べて、スペックルへの影響がやや大きいものの、光閉じ込め効果が大きく、光の損失を抑制することができる。
【0118】
なお、本発明においては、通常のDFBレーザーとは異なり、第4利得領域166全体を単一の共振器として共振させることにより、モード数を削減する必要はない。すなわち、凹凸を大きくする、活性層106にも凹凸を形成する等の方法により、凹部と凸部の実行的な屈折率差を大きくすることで、第4利得領域166内に複数のDFB型の共振器が形成され、これらの波長が異なっていてもよい。これにより、スペックルへの影響を低減させるとともに、第4利得領域166からの光の漏れを抑制することができる。
【0119】
3.3. 第3変形例に係る発光装置
次に、本実施形態の第3変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図13は、本実施形態の第3変形例に係る発光装置400を模式的に示す平面図である。図14は、本実施形態の第3変形例に係る発光装置400を模式的に示す図13のXIV−XIV線断面図である。なお、図13では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0120】
発光装置100の例では、図1および図3に示すように、第4利得領域166は、ファブリ・ペロー型の共振器を構成していた。
【0121】
これに対し、発光装置400では、図13および図14に示すように、第4利得領域166は、分布ブラッグ反射型(DBR型)の共振器を構成することができる。すなわち、第4利得領域166の長手方向の両端には、分布ブラッグ反射型ミラー(DBRともいう)467が形成されている。DBR467は、所定の間隔で周期的に配置された複数の溝部466で構成されている。溝部466の平面形状は、例えば、矩形である。溝部466は、活性層106を貫通して設けられていることが望ましい。図14に示す例では、溝部466の底面は、第1クラッド層104の上面と下面との間に位置している。溝部466の内部は、空洞であってもよいし、絶縁材料で埋め込まれていてもよい。溝部466の数は特に限定されず、その数を増やすことにより、より高反射率のDBR467を得ることができる。図14に示す例では、溝部466は、幅Aを有し、間隔Bで配置されている。幅Aおよび間隔Bによって、発振する波長を決定することができる。DBR467は、干渉露光およびエッチングにより、形成されることができる。
【0122】
図15は、発光装置400から出射される光の、波長に対する出力強度を示す模式図である。発光装置400では、第4利得領域166は、DBR型の共振器を構成する。通常は、第4利得領域166の長手方向の大きさは、利得領域の発光波長(可視光の場合、数百nm)と比較して十分に大きいため、共振光成分はマルチモードである。したがって、スペックルへの影響が小さく、スペックルノイズを低減することができる。さらに、光閉じ込め効果が大きいので、光の損失を抑制することができる。
【0123】
3.4. 第4変形例に係る発光装置
次に、本実施形態の第4変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図16は、本実施形態の第4変形例に係る発光装置500を模式的に示す平面図である。図17は、本実施形態の第4変形例に係る発光装置500を模式的に示す図16のXVII−XVII線断面図である。なお、図16では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0124】
発光装置100の例では、図1および図2に示すように、共振器を構成する第4利得領域166は、1つ設けられていた。
【0125】
これに対し、発光装置500では、図16および図17に示すように、共振器を構成する第4利得領域166は、複数設けられている。図示の例では、第4利得領域166は、3つ設けられているが、その数は特に限定されない。複数の第4利得領域166の各々は、図16に示すように、積層体120の積層方向からの平面視にて、第1利得領域160と平行になるように設けられている。図示の例では、第1利得領域160と距離Lを保って、第1利得領域160の第1面131側に、第4利得領域166aが設けられている。さらに、第4利得領域166aと距離Lを保って、第4利得領域166aの第1面131側に、第4利得領域166bが設けられている。さらに、第1利得領域160と距離Lを保って、第1利得領域160の第6面136側に、第4利得領域166cが設けられている。
【0126】
距離Lは、上述のとおり、エバネッセント結合が生じる距離である。したがって、第4利得領域166a内を往復している光の一部は、第1利得領域160のみならず、第4利得領域166bに至る。第4利得領域166b内を往復している光の一部は、第4利得領域166aに至る。第4利得領域166c内を往復している光の一部は、第1利得領域160に至る。このように、エバネッセント結合によって、光は、利得領域160,166a,166b,166c間を移動することができる。利得領域166a,166b,166cは、光出射部を有していない。そのため、利得領域166a,166b,166c内の各々を往復している光は、反射面167で損失される光やクラッド層104,108に吸収される光を除いて、ほぼ全ての光が第1利得領域160に移動し、光出射部184,186から出射されることができる。
【0127】
発光装置500によれば、発光装置100に比べて第4利得領域166の数が多いため、その分、発光強度を増加させることができる。
【0128】
3.5. 第5変形例に係る発光装置
次に、本実施形態の第5変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図18は、本実施形態の第5変形例に係る発光装置600を模式的に示す平面図である。なお、図18では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0129】
発光装置100の例では、図1に示すように、第1利得領域160、第2利得領域162、第3利得領域164、および第4利得領域166は、1つずつ設けられていた。
【0130】
これに対し、発光装置600では、図18に示すように、第1利得領域160、第2利得領域162、第3利得領域164、および第4利得領域166の各々は、複数設けられている。すなわち、利得領域160,162,164,166は、利得領域群650を構成することができ、発光装置600では、複数の利得領域群650が設けられている。図示の例では、3つの利得領域群650が設けられているが、その数は特に限定されない。
【0131】
複数の利得領域群650は、第1面131の垂線P1の延びる方向と直交する方向に沿って、配列されている。より具体的には、隣り合う利得領域群650において、一方の利得領域群650の第6端面186と、他方の利得領域群650の第4端面184と、の間隔がDとなるように(光出射部の間隔となるように)配列されている。これにより、後述するレンズアレイに、簡易に光20,22を入射させることができる。
【0132】
発光装置600によれば、発光装置100の例に比べて、高出力化を図ることができる。
【0133】
4. プロジェクター
次に、本実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。図19は、本実施形態に係るプロジェクター800を模式的に示す図である。図20は、本実施形態に係るプロジェクター800の一部を模式的に示す図である。なお、図19では、便宜上、プロジェクター800を構成する筐体を省略し、さらに光源700を簡略化して図示している。また、図20では、便宜上、光源700、レンズアレイ802、および液晶ライトバルブ804について図示し、さらに光源700を簡略化して図示している。
【0134】
プロジェクター800は、図19に示すように、赤色光、緑色光、青色光を出射する赤色光源700R、緑色光源700G、青色光源700Bを含む。光源700R,700G,700Bは、本発明に係る発光装置を有する。以下の例では、本発明に係る発光装置として発光装置600を有する光源700R,700G,700Bについて説明する。
【0135】
図21は、本実施形態に係るプロジェクター800の光源700を模式的に示す図である。図22は、本実施形態に係るプロジェクター800の光源700を模式的に示す図21のXXII−XXII線断面図である。
【0136】
光源700は、図21および図22に示すように、発光装置600と、ベース710と、サブマウント720と、を有することができる。
【0137】
2つの発光装置600と、サブマウント720とは、構造体730を構成することができる。構造体730は、複数設けられ、図21に示すように、発光装置600の光出射部となる端面184,186の配列方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に配列している。構造体730は、X軸方向の光出射部の間隔と、Y軸方向の光出射部の間隔と、が同じになるように、配列されることができる。これにより、発光装置600から出射される光を、簡易に、レンズアレイ802に入射させることができる。
【0138】
構造体730を構成する2つの発光装置600は、サブマウント720を挟んで配置されている。図21および図22に示す例では、2つの発光装置600は、サブマウント720を介して第2電極114同士が対向するように配置されている。サブマウント720の第2電極114と接する面には、例えば、配線が形成されている。これにより、複数の第2電極114の各々に、個別に電圧を供給することができる。サブマウント720の材質としては、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムが挙げられる。
【0139】
ベース710は、構造体730を支持している。図22に示す例では、ベース710は、複数の発光装置600の第1電極112と接続されている。これにより、ベース710は、複数の第1電極112の共通電極として機能することができる。ベース710の材質としては、例えば、銅、アルミニウムが挙げられる。図示はしないが、ベース710は、ペルチェ素子を介して、ヒートシンクと接続されていてもよい。
【0140】
なお、構造体730の形態は、図21および図22に示す例に限定されない。例えば、図23に示すように、構造体730を構成する2つの発光装置600は、サブマウント720を介して、一方の発光装置600の第1電極112と、他方の発光装置600の第2電極114とが対向するように配置されていてもよい。また、図24に示すように、2つの発光装置600の第1電極112が、共通電極となるように配置されていてもよい。
【0141】
図19に示すように、プロジェクター800は、さらに、レンズアレイ802R,802G,802Bと、透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)804R,804G,804Bと、投射レンズ(投射装置)808と、を含む。
【0142】
光源700R,700G,700Bから出射された光は、各レンズアレイ802R,802G,802Bに入射する。図20に示すように、レンズアレイ802は、光源700側に、光出射部184,186から出射される光20,22が入射する平坦面801を有することができる。平坦面801は、複数の光出射部184,186に対応して複数設けられ、等間隔で配置されている。また、平坦面801の法線は、光20,22の光軸に対して傾斜している。したがって、平坦面801によって、光20,22の光軸を、液晶ライトバルブ804の照射面805に対して、直交させることができる。特に、第1面131と、第2利得領域162および第3利得領域164と、のなす角度βが0°でない場合、光20,22は各光出射部184,186から第1面131の垂線P1に対して傾いて出射されるため、平坦面801が設けられることが望ましい。
【0143】
レンズアレイ802は、液晶ライトバルブ804側に、凸曲面803を有することができる。凸曲面803は、複数の平坦面801に対応して複数設けられ、等間隔で配置されている。平坦面801において光軸が変換された光20,22は、凸曲面803によって、集光される、または拡散角を小さくされることにより、重畳(一部重畳)されることができる。これにより、均一性よく液晶ライトバルブ804を照射することができる。
【0144】
以上のように、レンズアレイ802は、光源700から出射される光20,22の光軸を制御して、光20,22を集光させることができる。
【0145】
図19に示すように、各レンズアレイ802R,802G,802Bによって集光された光は、各液晶ライトバルブ804R,804G,804Bに入射する。各液晶ライトバルブ804R,804G,804Bは、入射した光をそれぞれ画像情報に応じて変調する。そして、投射レンズ808は、液晶ライトバルブ804R,804G,804Bによって形成された像を拡大してスクリーン(表示面)810に投射する。
【0146】
また、プロジェクター800は、液晶ライトバルブ804R,804G,804Bから出射された光を合成して投射レンズ808に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)806を、含むことができる。
【0147】
各液晶ライトバルブ804R,804G,804Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム806に入射する。このプリズムは、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射光学系である投射レンズ808によりスクリーン810上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0148】
プロジェクター800によれば、複数の光出射部の間隔を大きくすることができる発光装置600を有する。そのため、プロジェクター800では、レンズアレイ802のアライメントが容易で、均一性よく液晶ライトバルブ804を照射することができる。
【0149】
なお、上述の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0150】
また、光源700とレンズアレイ802とは、アライメントされた状態でモジュール化されることが可能である。さらに、光源700とレンズアレイ802とライトバルブ804とが、アライメントされた状態でモジュール化されていてもよい。
【0151】
また、光源700を、光源700からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置(プロジェクター)の光源装置にも適用することが可能である。
【0152】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0153】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0154】
10 光、20 光、22 光、100 発光装置、102 基板、104 第2層、
106 第1層、108 第3層、110 コンタクト層、111 柱状部、
112 第1電極、113 コンタクト層の上面、114 第2電極、116 絶縁層、
120 積層体、131 第1面、132 第2面、133 第3面、134 第4面、
135 第5面、136 第6面、160 第1利得領域、162 第2利得領域、
164 第3利得領域、166 第4利得領域、167 反射面、181 第1端面、
182 第2端面、183 第3端面、184 第4端面、185 第5端面、
186 第6端面、200 発光装置、210 反射防止膜、300 発光装置、
400 発光装置、466 溝部、467 DBR、500 発光装置、
600 発光装置、650 利得領域群、700 光源、710 ベース、
720 サブマウント、730 構造体、800 プロジェクター、801 平坦面、
802 レンズアレイ、803 凸曲面、804 液晶ライトバルブ、805 照射面、
806 クロスダイクロイックプリズム、808 投射レンズ、810 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流を注入することによって光を発生させ、かつ当該光の導波路を形成する、第1層と、
前記第1層を挟み、かつ前記光の漏れを抑制する第2層および第3層と、
前記第1層に前記電流を注入する電極と、
を含み、
前記電極から電流を注入することにより得られる前記光の導波路は、
帯状かつ直線状の形状を有する第1領域と、
帯状の第2領域と、
帯状の第3領域と、
帯状の第4領域と、
を有し、
前記第1領域と前記第2領域とは、前記第1層の側面に設けられる第1反射部にて接続され、
前記第1領域と前記第3領域とは、前記第1反射部が設けられる側面と異なる前記第1層の側面に設けられる第2反射部にて接続され、
前記第2領域と前記第3領域とは、前記第1反射部が設けられている側面および前記第2反射部が設けられる側面と異なる側面であって、出射面となる前記第1層の側面に接続され、
前記第1領域は、前記第1領域の長手方向が前記出射面に対して平行になるように設けられ、
前記第2領域と前記第3領域とは、前記第1層、前記第2層、および前記第3層の積層方向から見て、同じ傾きで傾いて前記第1面と接続され、
前記第1領域、前記第2領域、および前記第3領域の少なくとも1つと、前記第4領域と、の間の距離は、エバネッセント結合が生じる距離であり、
前記第4領域は、共振器を構成する、ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
電流を注入することによって光を発生させ、かつ当該光の導波路を形成する、第1層と、
前記第1層を挟み、かつ前記光の漏れを抑制する第2層および第3層と、
前記第1層に前記電流を注入する電極と、
を含み、
前記電極から電流を注入することにより得られる前記光の導波路は、
帯状かつ直線状の形状を有する第1領域と、
帯状の第2領域と、
帯状の第3領域と、
帯状の第4領域と、
を有し、
前記第1領域と前記第2領域とは、前記第1層の側面に設けられる第1反射部にて接続され、
前記第1領域と前記第3領域とは、前記第1反射部が設けられる側面と異なる前記第1層の側面に設けられる第2反射部にて接続され、
前記第2領域と前記第3領域とは、前記第1反射部が設けられている側面および前記第2反射部が設けられる側面と異なる側面であって、出射面となる前記第1層の側面に接続され、
前記第1領域は、前記第1領域の長手方向が前記出射面に対して平行になるように設けられ、
前記出射面には、前記第1層に生じる光の波長帯において、反射率を低減する反射防止膜が形成され、
前記出射面において前記第2領域から出射される第1の光と、前記出射面において前記第3領域から出射される第2の光とは、同じ方向に出射され、
前記第1領域、前記第2領域、および前記第3領域の少なくとも1つと、前記第4領域と、の間の距離は、エバネッセント結合が生じる距離であり、
前記第4領域は、共振器を構成する、ことを特徴とする発光装置。
【請求項3】
前記第4領域の長手方向の両端には、反射面が形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第4領域には、分布帰還型(DFB型)の共振器を構成する周期構造が形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第4領域の長手方向の両端には、分布ブラッグ反射型(DBR型)の共振器が形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1領域の長手方向と、前記第4領域の長手方向とは、平行であり、
前記第1領域と前記第4領域との間の距離は、エバネッセント結合が生じる距離である、ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1領域と前記第4領域との間の距離は、100nm以上40μm以下である、ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第4領域は、複数設けられている、ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
請求項8において、
隣り合う前記第4領域の間の距離は、100nm以上40μm以下である、ことを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域、および前記第4領域は、屈折率導波型の構造を有する、ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
第1層と、前記第1層を挟む第2層および第3層と、を有する積層体を含み、
前記第1層は、
光を発生させて導波させる、第1利得領域、第2利得領域、第3利得領域、および第4利得領域を有し、
前記第2層および前記第3層は、
前記第1利得領域、前記第2利得領域、前記第3利得領域、および前記第4利得領域に発生する光の漏れを抑制する層であり、
前記第1層は、
前記積層体の外形を形成する、第1面、第2面、および第3面を有し、
前記第1面は、前記第1層で発生する光の波長帯において、前記第2面の反射率、および前記第3面の反射率よりも低い反射率を備え、
前記第1利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、前記第2面から前記第3面まで、前記第1面に対して平行に設けられ、
前記第2利得領域は、前記第2面において前記第1利得領域と重なり、前記第2面から前記第1面まで設けられ、
前記第3利得領域は、前記第3面において前記第1利得領域と重なり、前記第3面から前記第1面まで設けられ、
前記第2利得領域と前記第3利得領域とは、互いに離間し、前記積層体の積層方向から見て、同じ傾きで傾いて前記第1面と接続され、
前記第1利得領域、前記第2利得領域、および前記第3利得領域の少なくとも1つと、前記第4利得領域と、の間の距離は、エバネッセント結合が生じる距離であり、
前記第4領域は、共振器を構成する、ことを特徴とする発光装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む、ことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図4】
image rotate

【図12】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−195480(P2012−195480A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59046(P2011−59046)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】