説明

発光装置及びその形成方法

【課題】放熱性に優れた、抗高圧特性をもち、実装工程を減少し、コストを低減した、発光装置およびその形成方法を提供する。
【解決手段】第一表面200aを含むベース200と、前記第一表面上に形成される導電性線路層300と、基板410及び前記基板上に設置される少なくとも一の発光ダイオード450を含む発光ダイオードモジュール400と、を備え、前記発光ダイオードモジュールの基板が表面実装法で前記導電性線路層に表面実装法で設置され、前記ベースは、表面酸化処理をしたアルミニウム、表面に酸化層を有するアルミニウム、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群から選ばれる一の材質から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置及びその形成方法に関し、特に放熱に優れた発光装置及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、発光ダイオード(LED)を光源とする発光装置は、LEDの寿命及び輝度がともに温度の増加に伴って減少し、且つ大部分のLEDの電気エネルギーが熱エネルギーに変わることから、優れた放熱メカニズムが必要となる。また、照明への応用上、高輝度を実現するため、LEDモジュールは通常複数のLEDチップを含み且つ高パワーのLEDチップを使用する。また、光学上の要求から、単一光源をシミュレーションし易いように、各LEDチップ間は通常緊密に配列されるが、このような設計に対する放熱上の要求がさらに高まっている。
【0003】
したがって、発光装置上、特に照明装置上には、LEDモジュールの基板に優れた熱伝導率が必要なだけでなく、LEDモジュールを実装するベース(台座)にも優れた放熱力(高放射率)が必要であるほか、各素子間の界面(インタフェイス)にも、十分に低い熱抵抗(界面ボイド)によりLED接合部の温度(LEDのp−n接合温度)を低下させて、LEDの寿命をより長く、そして輝度をより高くする必要がある。
【0004】
LEDモジュールの設計について、例えばアメリカ特許第7,489,076号、日本特許公開公報2006−261290号やアメリカ公開特許2005133808号などには、セラミック基板を使用したLEDモジュールによって放熱と発光特性を改善することが開示されている。このほか、例えばアメリカ特許7,759,144号にはサンドイッチ型のセラミック基板のLEDパッケージが開示され、前記サンドイッチ型セラミック基板の上下表面に直接接合(direct bonding)する銅層が設けられている。これによって、各素子間の界面(interface)がいずれも優れた熱伝導効果を有することが開示されている。
【0005】
しかしながら、LEDモジュールを台座に実装して、発光装置若しくは照明装置を構成する際に、台座は通常立体型であるので、台座のLEDモジュールを実装する位置は、従来の製造台でLEDモジュールを実装するには使いにくく、一般に人力によりねじなどの固定部材を使って、LEDモジュールを閉めて固定する必要がある。LEDモジュールと台座間の熱抵抗を減少させるために、通常その接合部に熱伝導シート及び放熱ペーストなどを使用するが、熱伝導シートであれ、放熱ペーストであれ、その熱伝導率は高くなく(〜3W/m−K)、熱が有効に底部にあるベース(台座)まで伝わらず、熱伝導に関する課題が残る。したがって、現行の発光装置は生産上自動化ができず、且つコストも高く、さらにLEDモジュールと台座間の熱伝導が良くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来ある欠点に鑑みてなされたものであり、産業上の要求を満たすため、放熱性に優れた発光装置及びその形成方法を提供することを目的の一とする。本発明の発光装置の設計によれば、LEDモジュールとベースの接合部の熱抵抗を改善し、且つベースの熱放射率を向上させ、発光装置全体の放熱効果を高める。これによって、操作時のLED接合温度を降下することができ、LEDの使用寿命及び発光輝度を向上させる。
【0007】
さらに、本発明は、発光装置であって、セラミックベースを使用することで抗高圧特性をもち、4000V以上の電圧の衝撃に耐えうる、装置全体の(金属ベースに対して、より国際安全規範に符合する)リーク電流を検出できる値より極めて低い値、例えば1nAより低くすることができる発光装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、発光装置であって、自動化プリント若しくはディスペンサー法により、LEDモジュールと立体形状の台座の接合を処理することで、実装工程を減少し、コストを低減し、且つLEDモジュールと台座の接合部熱抵抗を低下させ発光装置の放熱効率を向上する発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の実施例によれば、発光装置の形成方法であって、立体形状を有し、第一表面を含むベースを準備する工程と、前記第一表面上に導電性線路層を形成する工程と、基板及び前記基板上に設置されるLEDチップを含む発光ダイオードモジュールを準備する工程と、前記発光ダイオードモジュールの基板を表面実装法(surface mount)により前記導電性線路層上に設置して前記発光装置を形成する工程と、を含む、発光装置の形成方法を提供する。
【0010】
実施例において、前記導電性線路層を前記第一表面上に形成する工程が、メタルペーストを用いて、スクリーン印刷法若しくはディスペンサーにより前記第一表面にプリントした後、焼成して前記導電性線路層を形成する工程を含む。実施例において、前記メタルペーストはAgペーストであることが望ましい。
【0011】
実施例において、前記表面実装法は、ソルダペーストにより前記基板と前記導電性線路層とをリフローソルダリングする。
【0012】
実施例において、前記導電性線路層は、配線パターンを有してもよく、前記ソルダはスズペーストが望ましい。
【0013】
実施例において、前記発光ダイオードモジュールの基板と前記導電性線路層との間にスズペーストを含み、スズペーストと、スズペーストと前記基板の接合部と、スズペーストと前記導電性線路層の接合部と、の有効熱伝導率が50W/m−K以上である。上記「有効熱伝導率」(Keff)とは、1/Keff=1/K+1/K+1/Kと定義され、このうちKはスズペーストの熱伝導率、Kはスズペーストと前記導電性線路層の接合部(ボイド(void))の熱伝導率、Kはスズペーストと前記基板の接合部(ボイド)の熱伝導率を表す。
【0014】
実施例において、前記スクリーン印刷法は特定治具と前記セラミックベースをカップリングさせて、前記メタルペーストを前記第一表面上に塗布する。
【0015】
実施例において、前記セラミックベースと前記発光ダイオードモジュールの基板との間は、4000V以上の電圧の衝撃に耐えることができ、装置全体のリーク電流が検出できる値より低い、極めて低い値、例えば1nAより低くすることができる。
【0016】
本発明の別の実施例によれば、発光装置であって、第一表面を含むベースと、前記第一表面上に形成される導電性線路層と、及び基板及び前記基板上に設置される少なくとも一の発光ダイオードを含む発光ダイオードモジュールと、を備え、前記発光ダイオードモジュールの基板が表面実装法で前記導電性線路層に設置される発光装置を提供する。実施例において、前記ベースは、表面酸化処理をしたアルミニウム、表面に酸化層を有するアルミニウム、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群から選ばれる一の材質から構成される。前記ベースはセラミック材、好ましくは酸化アルミニウムから構成されるのが好ましい。
【0017】
実施例において、前記発光ダイオードモジュール基板と前記導電性線路層との間にスズペーストを含み、スズペーストと、スズペーストと前記基板の接合部と、スズペーストと前記導電性線路層の接合部と、の有効熱伝導率は50W/m−K以上である。上記「有効熱伝導率」(Keff)とは、1/Keff=1/K+1/K+1/Kと定義され、このうちKはスズペーストの熱伝導率、Kはスズペーストと前記導電性線路層の接合部(ボイド)の熱伝導率、Kはスズペーストと前記基板の接合部(ボイド)の熱伝導率を表す。実施例において、上記導電性線路層はAgペーストからなり、且つ配線パターンを有してもよい。実施例において、前記発光ダイオードモジュールの基板と前記導電性線路層との間にスズソルダペーストを含む。実施例において、前記セラミックベースと前記発光ダイオードモジュールの基板との間は、4000V以上の電圧の衝撃に耐え、装置全体のリーク電流が、検出できる値より低い、極めて低い値、例えば1nAより低くすることができる。
【0018】
したがって、本発明の発光装置及びその形成方法の設計は、生産上自動化ができ、且つコストを低下させ、さらにLEDモジュールと台座との間の熱伝導率を上げることで発光装置全体の放熱性を向上して、操作時のLED接合温度を降下することで、LEDの使用寿命及び発光輝度を向上させる。このほか、セラミックベースを使用することで抗高圧特性を有し、4000V以上の電圧を受けた際の、装置全体のリーク電流が検出できる値より低い、極めて低い値、例えば1nAより低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来の発光装置の略図である。
【図2】本発明の実施例による発光装置の略図である。
【図3】放熱効果シミュレーション用の発光装置の構造を示す平面図。
【図4】本発明の実施例による発光装置の形成方法の略図。
【図5】本発明の実施例による導電性線路層300の形成方法のフローチャート、図5の右側は発光装置の断面図を示す。
【図6a】本発明の実施例による導電性線路層のパターンの略図。
【図6b】本発明の実施例による発光装置の略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の上記及びその他の技術内容、特徴及び効果について、図に示された実施形態を参照して、本発明の目的の達成に使われる技術手段と構造の特徴を詳細に説明する。以下、実施例で用いる方向に関する用語、上、下、左、右、前、後ろなどは、図面上の方向の参考に過ぎない。したがって、これら方向に関する用語は説明のためのものであって、本発明を制限しない。このほか、「A層(若しくは素子)をB層(若しくは素子)上に設置する」という用語は、A層が直接B層表面に接触して覆う態様に限られず、例えばA層とB層との中間にその他積層体を介する場合も範囲に含まれる。図中、同じ部材については同じ符号で表示する。
【0021】
図1は従来の発光装置10であって、LEDモジュール20、ベース30及び前記LEDモジュールと前記ベースとの間に挟まれる熱伝導シート40とを含む。前記LEDモジュール20は、基板及び前記基板上に設置される複数のLEDチップを含み、前記基板は、アルミニウム基板、銅基板、メタルコア配線板(MCPCB、metal core printed circuit board)、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム基板、その他セラミック基板などでもよい。LEDチップは、各種LEDチップ、若しくは高パワーLEDチップでもよい。ベース30は、例えばセラミックス、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどの材料からなり、このほかベース30の形状について、図1は一例であって、実際の必要に応じて各種形状に成形してもよいし、また各種放熱用鰭状パネルをつけても良く、又は放熱機能を有した各種形状でもよい。熱伝導シート40は、例えば厚さ0.5mmの含ケイ素(シリコン)高分子材などである。しかし、このような構成では、LEDモジュール20と熱伝導シート40の間、熱伝導シート40とベース30との間、接合部に多くの微細な空洞が存在し、放熱ペーストでこれら微細空洞を補填しても、熱伝導効果はやはりよくなく、放熱不良となって、LEDモジュールの温度が操作時間の増加に伴い上昇する。一方、ベース30をメタル材を使用して作製するときに、コーティング材を塗布して絶縁層を形成するが、フィルム絶縁層は高圧に抵抗できないため、4000Vの高圧テストを通過することができない。従って、4000Vの衝撃下では安全テストを通過できない。
【0022】
従って、上記の問題に鑑み、本発明は、優れた放熱メカニズムを有し、且つ安全テストを通過できる発光装置を提供する。図2は本発明の実施例である発光装置100を示し、第一表面200aを含むベース200と、前記第一表面200a上に形成される導電性線路層300と、基板410及び基板上に設けられた少なくとも一の発光ダイオード450を含む発光ダイオードモジュール400と、を備え、前記発光ダイオードモジュールの基板410が前記導電性線路層300上に表面実装法で設置されている。実施例において、前記ベースは、表面酸化処理をしたアルミニウム、表面に酸化層を有するアルミニウム、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群から選ばれる一の材質から構成される。前記ベースはセラミック材、好ましくは酸化アルミニウムから構成されるのが好ましい。発光装置は抗高圧特性を有し、4000V以上の電圧を受けた際に、装置全体のリーク電流が検出できる値より低い、極めて低い値、例えば1nAより低くすることができる。
【0023】
前記表面実装法とは、従来の表面実装技術(SMT, Surface mount technology)を利用し、LEDモジュールを前記導電性線路層上に固定する。例えば、まずベース上に金属配線を形成し、スクリーン印刷法若しくはディスペンサー法でAgペーストを前記ベースの第一表面にプリントした後、焼成を行い、それからステンレス板(stainless steel stencil)にスズペーストを塗布して、さらにリフローソルダリングしてから、フラックスを除去して、スズとLEDモジュールの基板をボンディングする。これにより、ねじなどの結合部材を使用せずに、ベースとLEDモジュールを結合することができる。このほか、前述の製作工程はアライメント点の設置や治具の利用により、容易に自動化できる。
【0024】
前記導電性線路層300の形成方法は、メタルペーストを使用してスクリーン印刷法により前記第一表面に塗布した後、焼成を行って前記導電性線路層を形成する。
【0025】
実施例において、前記発光ダイオードモジュールの基板と前記導電性線路層との間にスズペーストを含み、スズペースト、スズペーストと前記基板の接合部及びスズペーストと前記導電性線路層との接合部の有効熱伝導率は50W/m−K以上である。上記「有効熱伝導率」(Keff)とは、1/Keff=1/K+1/K+1/Kと定義され、このうちKはスズの熱伝導率、Kはスズと前記導電性線路層のボイド(void)の熱伝導率、Kはスズと前記基板のボイドの熱伝導率を表す。上記導電性線路層はAgペーストから構成されてもよく、且つ配線パターンを有している。実施例において、前記発光ダイオードモジュールの基板と前記導電性線路層との間にスズソルダペースト(又はスズペーストという)が含まれる。
【0026】
本発明の別の実施例によれば、発光装置の形成方法が開示されている。図4のフローチャートに示すように、本発明の発光装置形成方法は、第一表面を含み、且つ立体形状を有するベースを提供する工程と、前記第一表面上に導電性線路層を形成する工程と、及び基板と基板上に設置される発光ダイオードチップを含む発光ダイオードモジュールを提供する工程と、及び前記発光ダイオードモジュールの基板を、表面実装法によって前記導電性線路層上に設置して前記発光装置を形成する工程、とを含む。実施例において、前記ベースは、表面酸化処理をしたアルミニウム、表面に酸化層を有するアルミニウム、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群から選ばれる一の材質から構成される。前記ベースはセラミック材、好ましくは酸化アルミニウムから構成されるのが好ましい。
【0027】
発光装置のベースは通常立体形状であり、一般のプリント機は平板状の物体にプリントするため、本発明はスクリーン印刷法を利用して塗布を行う工程では、特殊な治具が必要となり、プリント機の改良をおこなってから本発明の発光装置のベースを処理する。別の実施例では、本発明はディスペンサーを使用して必要なパターンをプリントする。
【0028】
実施例において、前記導電性線路層を前記第一表面上に形成する工程は、メタルペーストを利用し、スクリーン印刷法若しくはディスペンサーで前記第一表面に塗布した後、焼成を行い前記導電性線路層を形成する。前記メタルペーストは、例えばW、Mo−Mn、 Cu、Agなどのペーストであって、Agペーストが好ましい。前記の表面実装法はソルダペーストによって、前記基板と前記導電性線路層のリフローソルダリングを行う。前記導電性線路層は配線パターンを有してもよく、上記ソルダペーストはスズペーストが好ましい。前記配線パターンは例えば、図6(a)に示すようなパターンである。
【0029】
上記の発光装置の形成方法は、図4のフローチャートに示すように、セラミックベースを準備する工程S10と、Agのようなメタルペーストを用いて、スクリーン印刷法若しくはディスペンサーによってメタルペーストを前記第一表面にプリントして、図6(a)に示すようなパターンを形成する工程S20と、メタルペーストを焼成して前記導電性線路層を形成する工程S30と、例えばスズソルダペーストを使用してLEDモジュールの基板と前記導電性線路層をリフローソルダリングする工程S40と、最後に本発明の発光装置を得る工程S50とを含む。
【0030】
別の実施例では、前記導電性線路層300の形成方法が、第一金属層を形成する工程と、第二金属層を形成する工程と、パターンを有するフィルムを前記第二金属層上に形成する工程と、同時に前記第一金属層及び前記第二金属層をエッチングして前記第一金属層及び前記第二金属をパターン化する工程と、前記フィルムの残余を除去する工程とを含む。上記方法では、スパッタリング法を利用して前記第一金属層を形成するが、スパッタリングのターゲット材はTi又はTiWであり、電めっき法により前記第二金属層を形成し、前記第二金属層は銅層である。実施例において、パターンを有するフィルムを前記第二金属層に形成する方法として、スクリーン印刷法により前記パターンを有するフィルム若しくはドライフィルムを形成する。別の実施例では感光レジストを塗布した後露光、リソグラフィー、エッチングなどを行うことで前記パターンを有するフィルムを形成する。
【0031】
例えば、図5には本発明の別実施例による導電性線路層300の形成方法のフローチャートが示されている。このうち、パターンを有するフィルムの形成方法としてドライフィルムを使用し、パターン形成の方法としては、図5の右側に示す発光装置の断面図のとおりである。図5の断面図は各層の形成を明確に示すためのものであって、その大きさ、厚さの比は実際のサイズ比のとおりではない。図5において、301はベースを示し、302はシード金属層(第一金属層)、303は銅層(第二金属層)、304はフィルムを示す。工程S310はまず第一金属層をスパッタリングし、Ti又はTiWからなるシード金属層とする。そして、工程S320では銅層をメッキして第二金属層を形成する。工程S330ではパターンを有するフィルムを前記第二金属層に形成する。工程S340ではエッチングにより前記第一金属層及び前記第二金属層をパターン化する。最後に工程S350でフィルムの残余を除去する。
【0032】
発光装置のベースは通常立体形状であるので、一般のフォトリソグラフィー法では、平板状の物体に対してのみ露光・現像をするが、本発明のベースは回転コーターを利用したレジストの塗布及び現像を行うことができない。このほか露光機も通常このような立体形状のベースには適用できないため、本発明はフィルムにプリントする方法で、パターンをベース表面に形成し、その後ベースをエッチング液に浸漬させることで、導電性線路のパターンをベースの上表面に形成する。
【0033】
実施例において、前記発光ダイオードモジュールの基板と前記導電性線路層との間はスズペーストを含み、スズペーストと、スズペーストと前記基板の接合部と、スズペーストと前記導電性線路層の接合部と、の有効熱伝導率は50W/m−K以上である。上記「有効熱伝導率」(Keff)とは、1/Keff=1/K+1/K+1/Kと定義され、このうちKはスズペーストの熱伝導率、Kはスズペーストと前記導電性線路層の接合部(ボイド(void))の熱伝導率、Kはスズペーストと前記基板の接合部(ボイド)の熱伝導率を表す。
【0034】
実施例において、前記スクリーン印刷法は特定治具と前記セラミックベースをカップリングさせて、前記メタルペーストを前記第一表面上に塗布する。
【0035】
実施例において、前記セラミックベースと前記発光ダイオードモジュールの基板との間は、4000V以上の電圧を受けた際に、装置全体のリーク電流が検出できる値より低い、極めて低い値、例えば1nAより低くすることができる。
【0036】
図3は放熱効果シミュレーションに用いる発光装置の構造の平面図である。このうち、500はLEDモジュールの基板(アルミニウム基板とする)、501はLEDチップ(幅1mm×長さ1mm×厚さ2mm)、520はベース、521はベース上のビアホールを示す。シミュレーション計算において、LEDチップの熱流束(heat flux)は1W/mmであって、総需要放熱は9W、各部材(component)の接合部間の熱流束は連続である。アルミニウム基板の熱伝導率は160W/m−Kである。ベース520はセラミックベース又はアルミニウムベースを使用でき、セラミックベース(Al)の表面積を2.037×10−2とすると、体積は3.605×10−5、熱伝導率は24W/m−K、放射率は0.9である。アルミニウムベース(Al)の表面積を2.037×10−2とすると、体積は3.605×10−5、熱伝導率は160W/m−K、アルミニウムベース表面に吹き付けるコーティング材の放射率は0.5〜0.7である。また、熱伝導シートの熱伝導率は5W/m−K、スズソルダペーストの熱伝導率は60W/m−Kである。図3ではベース上にビアホール521を有しているが、ビアホール521は本発明の必要構成ではなく、別の実施例においてはベース上にベアホールを有してもよい。
【0037】
放熱効果のシミュレーションの結果、(1)アルミニウム基板とセラミック基板との間で熱伝導シートを使用した場合、LED接合温度は93.3℃であり、(2)アルミニウム基板とセラミック基板との間にスズソルダペーストを使用した場合、LED接合温度は88.8℃に降下し、従来の熱伝導シートを使用した方法と比較して、本発明のスズソルダペーストを使用した放熱効果がより良いことが明らかである。且つこのシミュレーション結果では熱伝導シートとベース、熱伝導シートとアルミニウム基板接合部にあるボイドを考慮していないので、スズソルダペーストと熱伝導シートの実際の放熱効果は、このシミュレーションから得られた結果よりその差はさらに大きくなる。別の16WLEDランプのシミュレーションにおいて、本発明によれば、LEDチップの接合温度は81℃に留まり、従来の構造をもつ8WLEDランプの温度に相当する。つまり、本発明の16WLEDランプの接合温度は、従来構造の8WLEDランプの接合温度とほとんど同じであるといえる。従って、本発明の設計によれば、放熱効果はより良い。
【0038】
また、放射率が異なる場合の放熱効果を比較すると、アルミニウムベースでシミュレーションを行った場合、放射率が高いものは放熱効果がよりよいことが分かり、これによって金属アルミニウムの熱伝導率は高いが、放射率が低いので、アルミニウムベースの放射の放熱効果はセラミックベースより劣ることが分かる。
【0039】
本発明の発光装置によれば、ベースはセラミック材からなり、その形状は図6(b)に示すとおりである。図6(a)は前記ベースの上面に形成された導電性線路層を示し、ベース底部は螺旋状の、例えばE26又はE27など標準コネクタ(screw−cap fittings)を有するので、ベース末端の表面に導電用コネクタを有しLEDモジュールと電気的に接続して、例えば家庭用のランプのランプ台と接続する。
【0040】
上記の説明から、本発明の発光装置及びその形成方法の設計によれば、各素子間の熱抵抗を減少することで、且つ生産上自動化が可能であるのでコストを下げ、LEDモジュールとランプ台座との熱伝導率を向上させて発光装置全体の放熱性を上げ、操作時のLED接合温度を降下させることでLEDの使用寿命及び発光輝度を向上させる。このほか、セラミックベースを使用することで耐高圧特性を有し、4000V以上の電圧を受けた際に、装置全体のリーク電流が検出できる値より低い、極めて低い値、例えば1nAより低くすることができる。
【0041】
以上、本発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
10 発光装置
20 LEDモジュール
30 ベース
40 熱伝導シート
100 発光装置
200 ベース
200a 第一表面
300導電性線路層
302 シード金属層(第一金属層)
303 銅層(第二金属層)
304 フィルム
400 発光ダイオードモジュール
410 基板
450 発光ダイオード
500 基板
501 LEDチップ
52011年10月17日ベース
521 ビアホール
S10〜S50、S310〜S350:プロセスフロー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光装置の形成方法であって、
立体形状を
有する第一表面を含むベースを提供する工程と、
前記第一表面上に導電性線路層を形成する工程と、
基板及び前記基板上に設置される発光ダイオードチップを含む発光ダイオードモジュールを準備する工程と、
前記発光ダイオードモジュールの基板を表面実装法(surface mount)により前記導電性線路層上に設置して前記発光装置を形成する工程を含む、ことを特徴とする発光装置の形成方法。
【請求項2】
前記ベースは、表面酸化処理をしたアルミニウム、表面に酸化層を有するアルミニウム、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群から選ばれる一の材質から構成されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置の形成方法。
【請求項3】
前記導電性線路層を前記第一表面上に形成する工程が、メタルペーストを用いて、スクリーン印刷法若しくはディスペンサーにより前記第一表面にプリントした後、焼成して前記導電性線路層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の発光装置の形成方法。
【請求項4】
前記導電性線路層の形成方法が、
第一金属層を形成する工程と、
第二金属層を形成する工程と、
パターンを有するフィルムを前記第二金属層上に形成する工程と、
同時に前記第一金属層及び前記第二金属層をエッチングして前記第一金属層及び前記第二金属をパターン化する工程と、
前記フィルムの残余を除去する工程と、を含むことを特徴とする請求項1記載の発光装置の形成方法。
【請求項5】
前記表面実装法は、ソルダペーストにより前記基板と前記導電性線路層とをリフローソルダリングすることを特徴とする請求項1記載の発光装置の形成方法。
【請求項6】
前記導電性線路層が配線パターンを有することを特徴とする請求項3記載の発光装置の形成方法。
【請求項7】
前記メタルペーストがAgペーストであることを特徴とする請求項3記載の発光装置の形成方法。
【請求項8】
前記メタルペーストがAgペーストであって、前記ソルダペーストがスズペーストであることを特徴とする請求項3記載の発光装置の形成方法。
【請求項9】
前記発光ダイオードモジュールの基板と前記導電性線路層との間にスズペーストを含み、前記スズペーストと、前記スズペーストと前記基板の接合部と、前記スズペーストと前記導電性線路層の接合部と、の有効熱伝導率が50W/m−K以上であることを特徴とする請求項1記載の発光装置の形成方法。
【請求項10】
前記スクリーン印刷法は特定治具と前記ベースをカップリングさせて、前記メタルペーストを前記第一表面上に塗布することを特徴とする請求項3記載の発光装置の形成方法。
【請求項11】
前記ベースはセラミックから構成されると、前記ベースと前記発光ダイオードモジュールの基板との間が4000V以上の電圧を受けるときの前記発光装置のリーク電流が1nAより低いことを特徴とする請求項2記載の発光装置の形成方法。
【請求項12】
ターゲット材がTi又はTiWであるスパッタリング法により、且つ電気めっき法を利用して前記第二金属層を形成する工程をさらに含み、前記第二金属層が銅層であることを特徴とする請求項4記載の発光装置の形成方法。
【請求項13】
発光装置であって、
第一表面を含むベースと、
前記第一表面上に形成される導電性線路層と、及び
基板及び前記基板上に設置される少なくとも一の発光ダイオードチップを含む発光ダイオードモジュールと、を備え、前記発光ダイオードモジュールの基板が表面実装法で前記導電性線路層に設置されることを特徴とする発光装置。
【請求項14】
前記ベースは、表面酸化処理をしたアルミニウム、表面に酸化層を有するアルミニウム、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群から選ばれる一の材質から構成されることを特徴とする請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記発光ダイオードモジュールの基板と前記導電性線路層との間にスズペーストを含み、前記スズペーストと、前記スズペーストと前記基板の接合部と、前記スズペーストと前記導電性線路層の接合部と、の有効熱伝導率が50W/m−K以上であることを特徴とする請求項13記載の発光装置。
【請求項16】
前記導電性線路層が、Agペーストからなり、配線パターンを有することを特徴とする請求項13記載の発光装置。
【請求項17】
前記発光ダイオードモジュールの基板と前記導電性線路層との間にスズソルダペーストを含むことを特徴とする請求項13記載の発光装置。
【請求項18】
前記導電性線路層が、シード金属層、銅層の順で積層してなる多層構造であって、配線パターンを有することを特徴とする請求項13記載の発光装置。
【請求項19】
前記導電性線路層の製作方法が、第一金属層をスパッタリングし、Ti又はTiWからなるシード金属層とする工程と、
銅層を電気めっきして第二金属層を形成する工程と、及び、
パターンを有するフィルムを前記第二金属層に形成し、エッチングにより前記第一金属層及び前記第二金属層を同時にパターン化した後、フィルムの残余を除去する工程と、を含むことを特徴とする請求項18記載の発光装置。
【請求項20】
前記ベースはセラミックから構成されると、前記ベースと前記発光ダイオードモジュールの基板との間が4000V以上の電圧を受けるときの前記発光装置のリーク電流が1nAより低いことを特徴とする請求項13記載の発光装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate


【公開番号】特開2012−146952(P2012−146952A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228179(P2011−228179)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(511250688)フィティライト(エス) ピーティーイー. リミテッド タイワン ブランチ (1)
【Fターム(参考)】