説明

発光装置

【課題】ダイシング分割後のPkg樹脂クラックを抑える。
【解決手段】発光する発光素子2がリードフレーム3上に搭載され、発光素子2の電極を構成するリードフレーム3,4と樹脂により一体成形された樹脂キャビティ成型パッケージ5を用いた発光装置1において、ブレード7による切断時にリードフレーム3,4の保持部(ハンガーリード3a、4a)により樹脂に集中応力が付与されてクラック発生の起因となる保持部(ハンガーリード3a、4a)の断面角部分の一部または全部に丸みを付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各電極に対応したリードフレームと樹脂を一体成形したLED装置などの発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の発光装置として、各電極に対応したリードフレームと樹脂を一体成形したものが特許文献1に開示されている。
【0003】
図6は、特許文献1に開示されている従来の発光装置の要部構成例を示す断面図である。
【0004】
図6において、従来の発光装置100は、パッケージ101の切断側面とリードフレーム102の切断面とが面一に形成されている。パッケージ101の凹部内の側面が反射壁として機能すると共に、その凹部内の底面のリードフレーム102上に発光素子103が配置されて、アノード/カソードの各電極を構成するリードフレーム102にそれぞれワイヤボンドされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−329219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の構成のように、各電極に対応したリードフレーム102と樹脂を一体成形したものであって、リードフレーム102の切断面と樹脂材料のパッケージ101の切断側面とが一致する構成であるものの、本願の課題である発光装置の分割工程における切断面でのリードフレーム102によるパッケージ101中のクラック発生やそれを抑制するためのリードフレーム102の切断面形状の記載については全く為されていない。
一方、上記の発光装置において、発光装置のLEDチップ搭載面となるリードフレームを複数接続、保持するための保持部(ハンガーリード、吊りリードともいう)を有するリードフレーム構成を採用し、保持部の箇所で樹脂材料からなるパッケージとともに面一で切断、個片化されて形成されるものがある。
【0007】
図7は、このようなリードフレーム構成を有する従来の発光装置において、ハンガーリードの切断面形状が四角形状の場合を示す発光装置の切断側面図である。ハンガーリードは、リードフレームのLEDチップ搭載面部から樹脂材料からなるパッケージ側面へ貫通して伸びて、パッケージ側面とハンガーリードの切断面とが面一となるように形成されている。このような発光装置のパッケージの樹脂材料として熱硬化性樹脂を使用した場合に、機械的強度が弱いものが多いために、図8に示すように、各リードフレームのハンガーリード202の断面4角形状の4角部のうち、下側の2角部の切断位置を起点としてダイシング実施時にクラック203が発生している。
【0008】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、ダイシング分割後、樹脂材料からなるパッケージに発生するクラックを抑えることができる発光装置およびそれを構成する為のリードフレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発光装置は、発光する一または複数の発光素子が搭載され、該一または複数の発光素子に対応した電極を構成するリードフレームと樹脂により一体成形された樹脂キャビティ成型パッケージを用いた発光装置において、該リードフレームの保持部の断面角部分の一部または全部に丸みを付けているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0010】
また、好ましくは、本発明の発光装置におけるリードフレームの保持部における切断面4角形状の4角部のうち、切断時にクラック発生の起因となる1角部または2角部にクラック防止用の丸みが付けられている。
【0011】
さらに、好ましくは、本発明の発光装置において、前記パッケージの切断側面に露出する前記リードフレームの保持部における切断面4角形状の4角部のうち、装置実装面側または装置裏面側の1角部または2角部に丸みが付られている。
【0012】
さらに、好ましくは、本発明の発光装置におけるパッケージの切断側面に露出する前記リードフレームの保持部における切断面4角形状の4角部のうちで前記樹脂の薄い方に対向した2角部のうちの少なくとも1角部に丸みが付られている。
【0013】
さらに、好ましくは、本発明の発光装置における切断時に前記樹脂に対して切断用ブレードによる切断負荷がかかる側の1角部または2角部に丸みを付けている。
【0014】
さらに、好ましくは、本発明の発光装置におけるパッケージの切断側面に露出する該リードフレームの保持部における切断面4角形状の4角部全てまたは全周囲に丸みを付けている。
【0015】
さらに、好ましくは、本発明の発光装置における丸み付けは、アール加工または面取り加工により形成されている。
【0016】
さらに、好ましくは、本発明の発光装置において、前記樹脂の切断面と前記リードフレームの保持部の切断面とが面一になっている。
【0017】
さらに、好ましくは、本発明の発光装置における樹脂は熱硬化性樹脂を用いる。
【0018】
さらに、好ましくは、本発明の発光装置における樹脂キャビティ成型パッケージに凹部が上に開放されて形成され、この凹部内のリードフレーム上に前記一または複数の発光素子が搭載されると共に、該凹部内の側面が反射壁として外側に開くようにテーパ状に形成されている。
【0019】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0020】
本発明においては、発光する発光素子が搭載され、発光素子の電極を構成するリードフレームと樹脂により一体成形された樹脂キャビティ成型パッケージを用いた発光装置において、切断時にリードフレームの保持部により樹脂に集中応力が付与されてクラック発生の起因となる保持部の断面角部分の一部または全部に丸みを付けている。
【0021】
これによって、リードフレームの保持部の断面角部分の一部または全部に丸みを付けているので、切断時に生じるリードフレームの保持部から樹脂への集中応力が緩和されて、リードフレームの保持部にダイシング分割後の樹脂クラックを抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上により、本発明によれば、リードフレームの保持部の断面角部分の一部または全部に丸みを付けているため、切断時に生じるリードフレームの保持部から樹脂材料からなるパッケージへの集中応力が緩和されて、ダイシング分割後に樹脂材料からなるパッケージにクラックが発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態1における発光装置の外観構成例を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1の発光装置においてLED素子などの発光素子の搭載前の状態を示すリードフレームの透視図である。
【図3】図1の発光装置におけるリードフレーム上にLED素子などの発光素子が搭載された状態を示すリードフレームおよび発光素子の透視図である。
【図4】個片化して図1の発光装置を得る切断イメージ図である。
【図5】(a)は、図1の発光装置のハンガーリードの切断面形状が4角形の4角部のうち下側の2角部に丸みを持たせた場合を示す切断側面図、(b)は、(a)のハンガーリードの切断面形状の拡大図、(c)は、(b)のアール加工に代えて面取り加工を2角部に施す場合を示すハンガーリードの切断面図、(d)はハンガーリードの切断面形状が半円または半楕円形状を持つ場合を示すハンガーリードの切断面図、(e)は、(a)のハンガーリードの切断面形状が4角部のうち下側の1角部にのみ丸みを持たせた場合を示す切断面図である。
【図6】特許文献1に開示されている従来の発光装置の要部構成例を示す断面図である。
【図7】製品の従来の発光装置のハンガーリードの切断面形状が四角形状の場合を示す切断側面図である。
【図8】切断時に図7の従来の発光装置のハンガーリードからクラックが発生する状態を示す切断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の発光装置の実施形態1について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図における構成部材のそれぞれの厚みや長さなどは図面作成上の観点から、図示する構成に限定されるものではない。
【0025】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1における発光装置の外観構成例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1の発光装置においてLED素子などの発光素子の搭載前の状態を示すリードフレームの透視図である。図3は、図1の発光装置におけるリードフレーム上にLED素子などの発光素子が搭載された状態を示すリードフレームおよび発光素子の透視図である。図4は、個片化して図1の発光装置を得る切断イメージ図である。
【0026】
図1〜図3において、本実施形態1のLED装置などの発光装置1は、発光するLED素子などの光学素子2と、一方電極を構成して光学素子2が配置される金属製のリードフレーム3と、他方電極を構成する金属製のリードフレーム4と、これらの一対のリードフレーム3、4と一体樹脂成形された白色樹脂を用いた白色樹脂キャビティ成型のパッケージ5とを有している。
【0027】
白色樹脂は、熱硬化性樹脂であり、シリコンベース(シリコン系(硬くて脆い)の他の樹脂材料としては、エポキシ系、PPA(ポリフタルアミド)などでもよい)の樹脂材料に酸化チタンなどの光拡散材を添加しているものを用いる。パッケージ5には、周囲に側壁を持つ凹部が上に開放されて形成され、この凹部内には、反射壁の側面5aが4方向に外側に開くようにテーパ状に形成されている。
【0028】
発光装置1は、発光素子2が搭載され、発光素子2の端子とワイヤ2aでワイヤボンディングされる各電極を構成するリードフレーム3,4を一対有している。この複数対がマトリクス状に配列されて隣接するリードフレーム3,3の間や、隣接するリードフレーム4,4の間をそれぞれ繋ぐ保持部が設けられている。この保持部は、一般に「吊り」と言われている。ここでは、この隣接リードフレーム間の保持部分をハンガーリード(吊りリードともいう)と呼ぶことにする。
【0029】
本実施形態1の発光装置1の製造方法について説明する。
【0030】
まず、図2の白色樹脂キャビティ成型工程において、リードフレーム3、4を一対として複数対が、行方向および列方向にマトリクス状に配置され、行方向および列方向に隣接するリードフレーム同士が互いにハンガーリード3aまたは4aで繋がっている。このようなリードフレーム3、4の複数対に対して白色樹脂を材料としたパッケージ5を一体成形する。一体成形された白色樹脂で構成されたパッケージ5に凹部が上に開放されて形成され、この凹部内の側面5aが外側に開くようにテーパ状に形成されている。
【0031】
次に、図3の光学素子搭載工程において、一体成形された白色樹脂で構成されたパッケージ5の凹部内の底面中央部分に光学素子2を搭載する。要するに、パッケージ5の凹部内で露出したリードフレーム3上の所定位置に光学素子2が接着剤などで固定されて搭載され、リードフレーム3、4にそれぞれ光学素子2からワイヤボンドされる。
【0032】
続いて、図1のインナー樹脂充填工程において、この白色樹脂で構成されたパッケージ5の凹部内を光学素子2と共に封止用のインナー樹脂6で埋め込む。封止用のインナー樹脂6(封止樹脂ともいう)には光散乱材や蛍光材などが混入されている。例えば、光学素子2が青色LEDであれば、青色光により赤色と緑色を発光する蛍光材をインナー樹脂6内に混合して白色光を出射させるように構成することができる。
【0033】
その後、図4の個片化工程において、複数の発光装置1がマトリクス状に形成された板体8の裏面に切断用テープを貼り付けた状態で、ブレード7(回転切断刃)により、各発光装置1間の格子状に板体8を切断して各発光装置1に個片化する。この場合に、リードフレーム3、4のハンガーリード3a,4aの切断面と白色樹脂(Pkg樹脂)のパッケージ5の切断側面とが一致する。また、図示しない切断用テープによって切断された各発光装置1は、ばらばらにならない。なお、切断用テープは、最終工程で取り除く。
【0034】
ここで、光学素子2が搭載される一方電極を構成するリードフレーム3のハンガーリード3aおよび他方電極を構成するリードフレーム4のハンガーリード4aの切断における本発明の特徴構成である各断面形状について図5(a)〜図5(e)を用いて説明する。
【0035】
切断時に、リードフレーム3、4の各保持部としてのハンガーリード3a,4aにより白色樹脂(Pkg樹脂)に集中応力を付与してクラック発生の起因となる角部分を落として丸みを付けている。ブレード7の回転方向が右回転のときは下方向に回転による力が白色樹脂に働くが、ブレード7の回転方向が左回転のときは上方向に回転による力が白色樹脂に働く。通常、ブレード7の回転方向が右回転のときの方が切断が安定する。
【0036】
図5(a)は、図1の発光装置1のハンガーリード3a、4aの切断面形状が4角形の4角部のうち下側の2角部に丸みを持たせた場合を示す切断側面図、図5(b)は、図5(a)のハンガーリード3a、4aの切断面形状の拡大図、図5(c)は、図5(b)のアールR加工に代えて面取りC加工を下側2角部に施す場合を示すハンガーリードの切断面図、図5(d)はハンガーリードの切断面形状が半円または半楕円形状を持つ場合を示すハンガーリードの切断面図、図5(e)は、図5(a)のハンガーリードの切断面形状が4角部のうち下側の1角部にのみ丸みを持たせた場合を示す切断面図である。
【0037】
図5(a)および図5(b)に示すように、ハンガーリード3a、4aの断面正方形または断面長方形の4角形の4角部のうち、発光装置1の裏面側または発光装置1の実装面側(下側)の2角部に切断時のクラック防止用の丸み(アール加工部(R加工部)という)を付けている。要するに、ハンガーリード3a、4aの切断面の丸みを付けた曲面部は、パッケージ5の側面(切断面)において、ハンガーリード3a、4aの切断面位置から発光装置1の実装面(下側)位置までの白色樹脂(Pkg樹脂)の厚みであってハンガーリード3a、4aの周りの白色樹脂の厚みに比べて白色樹脂の厚みの薄い方に設けられているかまたは、切断時に白色樹脂のパッケージ5に対してブレードによる切断負荷が白色樹脂にかかる側(下側)の2角部に丸み(アール加工部(R加工部)という)を付けるように形成されている。切断時のクラックを抑制すればよいので、ハンガーリード3a、4aの断面正方形または断面長方形の4角形の4角部全てまたは全周囲が曲面(例えば断面円形または楕円形)であってもよい。例えば図5(d)に示すように、ハンガーリード3a、4aの切断面形状が半円または半楕円形状であってもよい。
【0038】
また、リードフレーム3、4のリードフレーム本体(吊りリードの曲面部を除く)の形成は、酸やアルカリ溶液などによるエッチング(リードフレーム基材の厚みをおおよそ半分に落とすエッチングを、以後、ハーフエッチングという)だけでなく、プレス成形で形成してもよい。
【0039】
以下に形成の一例を説明する。
【0040】
リードフレーム3、4のフレーム本体のもとなる金属板基材の裏面(発光装置の実装面となる裏側の面、発光素子2(例えばLEDチップ)の搭載面(発光面側)の反対側裏面)で、発光装置1の実装面となる箇所にマスクを形成し、その周囲をハーフエッチングする。次に、金属板基材の表面(LEDチップの搭載面側の面)で、ハンガーリード3a、4aおよびLEDチップの搭載面部、ワイヤーボンド部、に相当する箇所にマスクを形成し、その周囲をハーフエッチングする。このとき、金属板基材の裏面側は、エッチングされないように全面マスクを形成しておく。
【0041】
この工程で、金属板基材のリードフレーム3、4の間の部分が全厚エッチングされ、リードフレーム3、4間の電気的な絶縁が確保される。また、リードフレーム3、4は、他のリードフレーム3、4の対との間でハンガーリード3a、4aのよって保持されている。
【0042】
また、この金属板基材の表面のマスク形成において、上述の白色樹脂あるいは/およびインナー樹脂との密着性向上のために、アンカー部となる凹部に相当する箇所のマスクを形成しないようにしてもよい。これは、金属板基材の裏面側のハーフエッチング工程でも同様である。
【0043】
また、ハーフエッチングの順番を表面側、裏面側の順で実施しても良く、表裏を同時に実施しても良い。
【0044】
なお、マスク材は、レジストなど一般的に使用される周知のものを使用する。
【0045】
上記のリードフレーム形成工程の後に、ハンガーリード3a、4aの断面形状、所望の曲面形状(例えば、図5(b)に示すアール加工)とするために、マスク除去した後に、ソフトエッチング(短時間での酸やアルカリ溶液などによる処理)を行う。これとは別に、図5(c)に示すように、図5(b)のアール加工に代えて角部を落とすように面取り加工(C加工ともいう)を4角部の下側2角部に施すようにしてもよい。
【0046】
さらに、図5(e)に示すように、ハンガーリード3a、4aの断面正方形または断面長方形の4角形の4角部のうち、発光装置1の裏面側(下側)の左右いずれか1角部に切断時のクラック防止用の丸み(アール加工または面取り加工)を付けるようにしてもよい。要するに、ブレードにより各発光装置1に切断する場合に、ハンガーリード3a、4aがまず切断される側の左右いずれか1角部に切断時のクラック防止用の丸み(アール加工または面取り加工)を付けて集中応力を分散させるようにする。
【0047】
リードフレーム3、4のハンガーリード3a、4aの断面寸法を例えば断面長方形の長辺(幅)150μm×短辺(厚さ)120μmとした場合に、ハンガーリード3a、4aの切断面の丸み(アール加工または面取り加工(面取り部C))を付けた曲面部の半径(r)を、r=30〜90μm(または40〜60μm)とする。半径(r)が30μmよりも小さくなると、集中応力を分散させる効果に欠ける。製造工程上の整合性の観点から、半径(r)は、短辺(厚さ)120μmの半分の60μmの値とすることが好ましい。なお、半径(r)は、図5(b)、図5(d)および図5(e)では、アール加工径を示すRに等しいものである。また、図5(a)に示す点線は、リードフレーム3、4の表面および発光素子2の搭載面の位置5bであってこれは凹部底面位置を示している。
【0048】
要するに、前述したが、切断時にリードフレーム3,4の保持部(ハンガーリード3a、4a)により白色樹脂に集中応力が付与されてクラック発生の起因となる保持部(ハンガーリード3a、4a)の断面角部分の一部または全部に丸みが付けられている。
【0049】
具体的には、例えば、リードフレーム3,4の保持部(ハンガーリード3a、4a)における切断面4角形状の4角部のうち、切断時にクラック発生の起因となる1角部または2角部にクラック防止用の丸みが付けられていてもよい。また、パッケージ5の切断側面に露出するリードフレーム3,4の保持部(ハンガーリード3a、4a)における切断面4角形状の4角部のうち、装置実装面側または装置裏面側の1角部または2角部に丸みが付られていてもよい。さらに、パッケージ5の切断側面に露出するリードフレーム3、4の保持部(ハンガーリード3a、4a)における切断面4角形状の4角部のうちで白色樹脂の薄い方に対向した2角部のうちの少なくとも1角部に丸みが付られていてもよい。さらに、切断時にパッケージ5の白色樹脂に対して切断用ブレードによる切断負荷がかかる側の1角部または2角部に丸みが付けられていてもよい。さらに、パッケージ5の切断側面に露出するリードフレーム3,4の保持部(ハンガーリード3a、4a)における切断面4角形状の4角部全てまたは全周囲に丸みが付けられていてもよい。さらに、これらの丸み付けは、アール加工または面取り加工により形成することができる。
【0050】
なお、上記実施形態1では、発光する一つの発光素子2が搭載され、該一つの発光素子2に対応した電極を構成するリードフレーム3,4と白色樹脂で構成されたパッケージ5を用いた発光装置1に、本発明の特徴構成である保持部(ハンガーリード3a、4a)の断面丸み付けを適用させたが、これに限らず、発光する複数(例えば2または3)の発光素子が搭載され、該複数の発光素子に対応した電極を構成するリードフレームと白色樹脂で構成されたパッケージを用いた発光装置に、本発明の特徴構成である保持部(ハンガーリード3a、4a)の断面丸み付けを適用させてもよい。
【0051】
以上、ハンガーリード切断面と発光装置分割(切断)面が面一である発光装置において、上記のハンガーリード構成によるクラック抑止効果によって、耐候性、耐光性に優れるが、硬くてもろい熱硬化性樹脂をPkg用樹脂に安定して使用することが可能となっている。
【0052】
言い換えると、本願発明構成(ハンガーリード構成)によって、リードフレームによるPkg樹脂への負荷を軽減でき、さらに、Pkg用樹脂として耐候性、耐光性に優れる熱硬化性樹脂を使用できるので、発光装置としての信頼性が向上できる。また、ハンガーリード切断面と発光装置分割(切断)面が面一である発光装置構成を採用できるので、Pkg樹脂外部の突出するアウターリード構成とならず、発光装置として小型化が可能となるとともにリードフレーム上に配置できるpkg数を増やすことができる為、コスト低減効果がある。
【0053】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、各電極に対応したリードフレームと樹脂を一体成形したLED装置などの発光装置の分野において、リードフレームの保持部の断面角部分の一部または全部に丸みを付けているため、切断時に生じるリードフレームの保持部から白色樹脂への集中応力が緩和されて、ダイシング分割後の白色樹脂クラックを抑えることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 発光装置
2 光学素子
2a ワイヤ
3、4 リードフレーム
3a、4a ハンガーリード
5 白色樹脂キャビティ成型のパッケージ
5a 凹部内の反射壁を構成する側面
5b リードフレームの表面および発光素子の搭載面の位置
6 インナー樹脂(封止樹脂)
7 ブレード(回転切断刃)
8 板体
R アール加工径
C 面取り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光する一または複数の発光素子が搭載され、該一または複数の発光素子に対応した電極を構成するリードフレームと樹脂により一体成形された樹脂キャビティ成型パッケージを用いた発光装置において、該リードフレームの保持部の断面角部分の一部または全部に丸みを付けている発光装置。
【請求項2】
前記リードフレームの保持部における切断面4角形状の4角部のうち、切断時にクラック発生の起因となる1角部または2角部にクラック防止用の丸みが付けられている請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記パッケージの切断側面に露出する前記リードフレームの保持部における切断面4角形状の4角部のうち、装置実装面側または装置裏面側の1角部または2角部に丸みが付けられている請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記パッケージの切断側面に露出する前記リードフレームの保持部における切断面4角形状の4角部のうちで前記樹脂の薄い方に対向した2角部のうちの少なくとも1角部に丸みが付けられている請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
切断時に前記樹脂に対して切断用ブレードによる切断負荷がかかる側の1角部または2角部に丸みを付けている請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記パッケージの切断側面に露出する該リードフレームの保持部における切断面4角形状の4角部全てまたは全周囲に丸みを付けている請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記丸み付けは、アール加工または面取り加工により形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の発光装置。
【請求項8】
前記樹脂の切断面と前記リードフレームの保持部の切断面とが面一になっている請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
前記樹脂は熱硬化性樹脂である請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
前記樹脂キャビティ成型パッケージに凹部が上に開放されて形成され、この凹部内のリードフレーム上に前記一または複数の発光素子が搭載されると共に、該凹部内の側面が反射壁として外側に開くようにテーパ状に形成されている請求項1に記載の発光装置。

【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−41951(P2013−41951A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177324(P2011−177324)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】