説明

発熱体ユニット及び加熱装置

【課題】限られたスペースにおいて発熱体の抵抗調整が可能であるとともに、各種サイズに対応可能な発熱体ユニット及び加熱装置を提供する。
【解決手段】本発明は、フィルムシート状の発熱体素材(2A)に対して、面方向に複数の切り込み(C1,C2)を設ける切り込み処理と、厚み方向に加圧する加圧処理と、拡張処理とを実行して、発熱体の抵抗調整を行うとともに、発熱体に可撓性、柔軟性、及び弾力性を持たせて発熱体を伸長することにより、任意の配熱構成と各種仕様に対応可能な発熱体ユニット及び加熱装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源として使用される発熱体ユニット及びその発熱体ユニットを用いた加熱装置に関し、特に、炭素系物質を主成分としフィルムシート状に形成された発熱体を有する発熱体ユニット及びその発熱体ユニットを用いた加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺形状の熱源として使用される従来の発熱体ユニットは、円筒状のガラス管内部に発熱体としてコイル状のタングステン線、若しくは棒状又は板状の炭素系焼結体が封入され構成されている。このような発熱体ユニットが用いられている加熱装置としては、例えば複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子装置、及び電気暖房機器、調理機器、乾燥機等の電気機器等の熱源を必要とする各種機器が含まれる。
【0003】
上記のように、各種機器における熱源としては発熱体ユニットが広く用いられている。このため、発熱体ユニットに対しては、当該発熱体ユニットが用いられる機器の機能、形状、構成等の仕様に対応できるように多くの要求がある。例えば、熱源として高い温度になること、指定された温度を維持できること、温度調整範囲が広いこと、入力電力に対して高い効率で加熱エネルギーに変換できること、被加熱対象物を均一に加熱できること、指定された方向のみを加熱する指向性を有すること、電源投入時の突入電流が少ないこと、設定温度までの立ち上がり時間か短いこと、及び発熱体ユニットの小型化が可能であり着脱が容易な構造であること等の要求がある。
【0004】
上記のような要求を満たすことを目的として、各種の発熱体ユニットが提案されている。例えば、高熱を生じる炭素系物質により板状に形成された発熱体を用いた発熱体ユニットにおいて、発熱体の断面積を部分的に変えることにより発熱量の調整を行い、発熱体の温度分布の均一化を図ったものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、発熱体ユニットにおいて用いられる他の熱源として、炭素繊維に樹脂を含浸させてテープ状に固着して形成された発熱体が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。このように炭素繊維を材料として用いた発熱体は、早い立ち上がりで高温度になるため、最近の熱源として広く用いられてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−351762号公報
【特許文献2】特開2004−193130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように構成された従来の発熱体を用いた発熱体ユニットにおいては、使用目的に応じて発熱量の可変調整を行う必要がある。このため、従来の発熱体においては、長さ、幅、又は断面積を変更して、発熱体の抵抗調整を行っていた。このように、従来の発熱体では、その形状により発熱量が決まるものであり、同じ発熱量を有して、異なる形状の発熱体を構成することは困難であった。したがって、ユーザからの要望に応えて、同じ発熱体を用いて仕様の異なる発熱体ユニットを構成することは容易なものではなかった。
【0007】
また、従来の発熱体として、高分子フィルム、又はフィラーを添加した高分子フィルムを2400℃以上の温度で熱処理することにより得られたグラファイトフィルムシートが用いられている。しかし、このようなグラファイトフィルムシートは、脆く、破れやすく、切れやすいため、取り扱いに十分な注意が必要であった。特に、このようなグラファイトフィルムシートを発熱体としてガラス管内部に張設する発熱体ユニットにおいては、グラファイトフィルムシートの両端を引っ張り架設する必要があり、その組み立て作業の際に発熱体が破損や切断の恐れがあった。したがって、このようなグラファイトフィルムシートを発熱体として用いた発熱体ユニットの製造組み立てにおいては、繊細な作業が要求され、歩留まりが悪くコストアップの要因となっていた。
【0008】
また、従来のグラファイトフィルムシートは、前記のように、高分子フィルム、又はフィラーを添加した高分子フィルムを2400℃以上の温度で熱処理して、炭素化された材質であるため、屈曲性及び柔軟性が欠けていた。この点においても、グラファイトフィルムシートを発熱体として発熱体ユニットに用いる場合には、各種仕様に応じて熱源の変形加工が求められた場合に対応できないという問題を有していた。
【0009】
本発明は、発熱体ユニットに対する各種要求を満たし、従来の発熱体ユニットにおいて課題となっていた事項を解決した発熱体ユニットを提供することを目的とするものであり、特に、ユーザが要求する各種使用目的応じて、熱源形状の設計変更を容易に、且つ迅速に行うことが可能である発熱体ユニットを提供するとともに、安全性及び信頼性が高く、発熱の立ち上がりの早い発熱体ユニット及びその発熱体ユニットを用いた加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決し、本発明の目的を達成するために、本発明に係る第1の観点の発熱体ユニットは、高分子フィルム、又はフィラーを添加した高分子フィルムを2400℃以上の温度で熱処理することにより得られたグラファイトフィルムシートを切断して複数の切り込みを面方向に形成する切り込み処理と、厚み方向に加圧する加圧処理と、拡張処理とにより形成された発熱体と、
前記発熱体における対向する両端に電力を供給する電力供給部と、
前記発熱体と前記電力供給部を内包する容器と、を具備する。このように構成された発熱体ユニットは、発熱体の厚み方向と面方向の抵抗調整が可能となると共に、可撓性、及び柔軟性に優れ、安全で信頼性の高い発熱体ユニットとなる。また、第1の観点の発熱体ユニットは、ユーザが要求する各種使用目的応じて迅速に且つ容易に対応することができるとともに、発熱の立ち上がりの早い熱源を提供することができる。
【0011】
本発明に係る第2の観点の発熱体ユニットにおいて、第1の観点の前記発熱体は、前記拡張処理により一定方向に伸長する形状を有する。このように構成された発熱体ユニットは、発熱体の長さを自由に伸長することが可能で多種多用の仕様に対応できるとともに材料の削減を図ることができる発熱体となる。
【0012】
本発明に係る第3の観点の発熱体ユニットにおいて、第2の観点の前記発熱体における複数の切り込みが、前記発熱体長手方向に沿って互いに対向する一対の両側縁よりそれぞれ互いに対向する側縁に向かって延設するように形成され、かつ前記発熱体の長手方向に沿って各側縁に所定の配置間隔を有して複数個配置され形成される第1の切り込み部と、前記長手方向に並設された前記第1の切り込み部の間に形成され前記両側縁から所定の長さを残して形成された第2の切り込み部と、で形成されている。このように構成された発熱体ユニットは、発熱体の長さを自由に設定して伸長することができ、伸長された発熱体を熱源として用いることにより安全性、及び信頼性に優れた発熱体ユニットとなる。なお、第1の切り込み部及び第2の切り込み部は、後述する実施の形態において縁切り込み及び中間切り込みと称して説明する。
【0013】
本発明の第4の観点の発熱体ユニットにおいて、第3の観点の前記発熱体は、前記第1の切り込み部及び第2の切り込み部を形成する切り込み処理の後に、厚み方向に加圧する加圧処理を行い、加圧処理後の当該発熱体に対して一定方向に張力を加える拡張処理により、拡張した形状の前記第1の切り込み部及び第2の切り込み部を有する。このように構成された発熱体ユニットは、切り込み処理時に発熱体に生じる、いわゆる抜きダレ等を加圧処理により取り除くことができ、拡張処理により所望の長さに伸長された発熱体を用いることにより、さらに安全で信頼性の高い発熱体ユニットとなる。
【0014】
本発明の第5の観点の発熱体ユニットにおいて、第2の観点乃至第4の観点の前記発熱体は、長手方向における単位長さ当たりの伸長量が異なる部位を有する。このように構成された発熱体は、発熱体長手方向に伸長した部分の疎状態、及び密状態を有する構成となり、熱輻射量に強弱を設定でき、容易な配熱配光が可能な発熱体ユニットとなる。
【0015】
本発明の第6の観点の発熱体ユニットにおいて、第1の観点乃至第5の観点の前記発熱体は、前記加圧処理における加圧力によって単位面積当たりの抵抗値を可変する構成を有する。このように構成された発熱体ユニットは、与えられた形状において多種多用の仕様に対応することが可能な発熱体ユニットとなる。
【0016】
本発明の第7の観点の発熱体ユニットにおいて、第1の観点乃至第6の観点の前記容器は、耐熱性を有するガラス管又はセラミックス管のいずれかにより構成してもよい。このように構成された発熱体ユニットにおいては、耐熱性の容器により発熱体を構造的に保護するとともに、発熱体を高温度で使用することが可能な発熱体ユニットとなる。
【0017】
本発明の第8の観点の発熱体ユニットは、第2の観点乃至第7の観点の前記発熱体が伸長された形状において、前記発熱体の縁部の少なくとも一部が、前記容器の内壁面に接する構成でもよい。このように構成された発熱体ユニットにおいては、容器と発熱体の一部との接触により、容器が発熱体を構造的に保持するとともに、発熱体において容器との接触部位が小さいため、その接触部位からの放熱量が制限され、効率の高い熱源となる。また、高温度の発熱体において、容器との接触部位においては低温度の部位となるため、容器の保護を図ることが可能となる。
【0018】
本発明の第9の観点の発熱体ユニットは、第1の観点乃至第8の観点の前記容器の少なくとも一方端を前記電力供給部において封止し、前記容器内に不活性ガスを充填した構成としてもよい。このように構成された発熱体ユニットにおいては、発熱体の酸化を防止して長寿命化を図ることができる。
【0019】
本発明の第10の観点の加熱装置は、前記の第1の観点乃至第9の観点の発熱体ユニットを有し、発熱体に対向する位置に反射手段を設けた構成である。このように構成された加熱装置は、発熱体ユニットからの輻射熱を反射する反射手段が設けているため、効率の高い熱輻射源を有する加熱装置となる。また、第10の観点の加熱装置は、ユーザが要求する各種使用目的応じて迅速に且つ容易に対応することができるとともに、安全性及び信頼性が高く、発熱の立ち上がりの早い装置を提供することができる。
【0020】
本発明の第11の観点の加熱装置において、第10の観点の前記反射手段は、長手方向の断面形状が曲面形状を有する反射板であってもよい。このように構成された加熱装置は、発熱体からの輻射熱により効率高く被加熱物を加熱することができる。
【0021】
本発明の第12の観点の加熱装置は、前記の第1の観点乃至第9の観点の発熱体ユニットを有し、前記発熱体ユニットの外周を取り囲むように構成された筒体が配設されている。このように構成された加熱装置は、トナー定着機構を有する電子機器、及び調理機器等に適用することができる。
【0022】
本発明の第13の観点の加熱装置は、前記の第10の観点乃至第12の観点の発熱体ユニットの電気的制御を行う制御回路を有し、前記制御回路がオンオフ制御、通電率制御、位相制御、及びゼロクロス制御のそれぞれの回路を単独、若しくは少なくとも二つを組み合わせて構成されている。このように構成された加熱装置は、精度高く所望の温度分布を有する熱源を構築することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ユーザが要求する各種使用目的応じて迅速に且つ容易に対応することができると共に安全性及び信頼性が高く、発熱の立ち上がりの早い発熱体ユニット及びその発熱体ユニットを用いた加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットの構成を示す平面図
【図2】実施の形態1の発熱体ユニットの構成を示す正面図
【図3A】実施の形態1における発熱体素材の一部を拡大した平面図
【図3B】実施の形態1における拡張した発熱体の一部を拡大した平面図
【図3C】図3Bの発熱体のIII−III線による断面図
【図4】実施の形態1における加圧処理を説明する図
【図5A】実施の形態1における発熱体素材を示す断面図
【図5B】実施の形態1における加圧された発熱体を示す断面図
【図6】実施の形態1における発熱体の加圧力[kgf]と入力電力[W]と通電時の電気抵抗値[Ω]との関係を示す特性図
【図7】実施の形態1における拡張処理を説明する図
【図8】実施の形態1における拡張された発熱体を示す図
【図9】実施の形態1における発熱体の別の構成例を示す平面図
【図10】本発明に係る実施の形態2の加熱装置の構成を示す斜視図
【図11】本発明に係る実施の形態3の加熱装置における熱輻射源等の構成を示す断面図
【図12】本発明に係る実施の形態3の加熱装置における温度制御装置の概略構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る発熱体ユニット及びその発熱体ユニットを用いた加熱装置の好適な実施の形態について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0026】
(実施の形態1)
本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットについて図1乃至図2を用いて説明する。図1は実施の形態1の発熱体ユニットの構造を示す正面図である。図1においては、当該発熱体ユニットが長尺形状の発熱体で構成された一例を示している。図2は実施の形態1の発熱体ユニットの構造を示す側面図である。
【0027】
実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、透明な石英ガラスで形成されたガラス管1の内部に細長い長尺形状の炭素系物質である発熱体2が配置されており、この発熱体2がガラス管1の長手方向に沿って延設されている。また、ガラス管1の内部にはアルゴンガス、窒素ガス又はアルゴンガスと窒素ガスの混合ガス等の不活性ガスが封入されており、ガラス管1の両端部分は平板状に溶着されている。ガラス管1の内部に封入されている不活性ガスであるアルゴンガス、窒素ガス又はアルゴンガスと窒素ガスの混合ガスは、高温度で使用した際、炭素系物質である発熱体2の酸化を防止するためである。
【0028】
図1及び図2に示すように、実施の形態1の発熱体ユニットは、熱透過性のガラス管1と、このガラス管内に封入された熱輻射体である発熱体2と、この発熱体2に電力を供給する電力供給部10と、発熱体2をガラス管内の所定位置に保持するためのサポート部材4と、を有して構成されている。電力供給部材10は発熱体2の両端に設けられており、同じ構成を有して発熱体2の端部に電気的に接続されている。電力供給部10には、発熱体2の両端において発熱体端部を挟み保持するための保持ブロック3、この保持ブロック3に取り付けられた内部リード線部材5、内部リード線部材5に電気的に接続されガラス管1の両端部分の溶着部分に埋設されたモリブデン箔6、及びモリブデン箔6に電気的に接続されガラス管1の両端から導出する外部リード線7を有して構成されている。このように、実施の形態1においては、保持ブロック3、内部リード線部材5、モリブデン箔6、及び外部リード線7を有する電力供給部10が、発熱体2の両端部分に設けられている。
【0029】
実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、板材を二つ折りした保持ブロック3が発熱体端部を挟んでおり、その発熱体端部を挟む保持ブロック3が内部リード線部材5の一方の先端により貫通されて、保持ブロック3と内部リード線部材5が係合している。また、内部リード線部材5は保持ブロック3に溶着されて、内部リード線部材5が保持ブロック3に対して移動しないよう構成されている。内部リード線部材5の他方の端部は、ガラス管1の溶着部分(封止部分)に埋設されたモリブデン箔8に電気的に接続されている。
【0030】
実施の形態1においては、内部リード線部材5をモリブデン線により形成された例で説明するが、タングステン、ニッケル、ステンレス等を材料とした弾性を有する金属線(丸棒形状、平板形状)を用いて形成してもよい。
【0031】
実施の形態1の発熱体ユニットにおいて、発熱体2をガラス管内の所定位置に保持するサポート部材4は、モリブデン線で形成されており、ガラス管1の内径より小さい直径を有するリング状に形成されている。サポート部材4は内部リード線部材5に巻き着けて固定されており、内部リード線部材5をガラス管内部における所定位置に配置している。このように、内部リード線部材5がガラス管内部の所定位置に配置されているため、内部リード線部材5が保持ブロック3を介して接続された発熱体2は、ガラス管内部の所定位置が確実に配置されている。即ち、実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、発熱体2がガラス管1の長手方向に平行な略中心軸上に配置されて、ガラス管1との接触が少なくなるよう配置されている。このため、発熱体2における膨張収縮の変化がスムーズとなり、発熱体2に対する不要な負荷がかからない構成となっている。但し、発熱体2はガラス管内に吊設される構成であるため、垂れ下がり一部がガラス管1に接触する可能性がある。しかし、実施の形態1における発熱体2においては、後述するように、ガラス管1との接触面積が小さくなるように構成されている。このため、実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、発熱体2とガラス管1との接触による、発熱体に対する負荷が大幅に低減されている。サポ−ト部材4の材料及び形状としてモリブデン線をリング状に形成した例で説明したが、このような材質、形状に限定されるものではなく発熱体2をガラス管内部の所定位置に確実に配置できる構成であれば用いることができる。
【0032】
なお、サポート部材4は発熱体ユニットにおいて必須の構成要素ではなく、例えば、発熱体2がガラス管1に接触しない構成であれば、前記のようなサポート部材4を設ける必要はない。また、発熱体2の一部がガラス管1に接触して発熱体2がガラス管1により保持される構成であれば、サポート部材4を設ける必要はない。但し、このように発熱体2とガラス管1が接触する構成であっても、実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、その接触面積が小さくなるように設定されている。
前記のサポート部材4は内部リード線部材5に巻き着けたリング状の構成で説明したが、発熱体2を所定位置に保持できる構成であれば用いることができる。例えば、内部リード線部材の線材の一部をコイル状に形成して、その直径をガラス管1の内径より小さく形成してもサポート部材4として対応することが可能である。このようにコイル状に形成した場合には、サポート部材4が発熱体の長手方向と同じ方向に弾性力を有するため、発熱体2の膨張収縮を吸収できる構成となる。
【0033】
[発熱体の構成]
本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットにおいて用いた発熱体2は、炭素系物質を主成分とし厚み方向において複数のフィルムシート素材の各層が互いに空隙を介して積層され、優れた二次元的等方向性の熱伝導性を有しており、熱伝導率が200W/m・k以上を有するフィルムシート状の材料で形成されている。
【0034】
発熱体2の材料であるフィルムシート素材は、高分子フィルム又は、フィラーを添加した高分子フィルムを高温度、例えば2400℃以上の雰囲気中にて熱処理し、焼成してグラファイト化した耐熱性を有する高配向性のグラファイトフィルムシートであり、面方向の熱伝導率が600から950W/m・kの特性を有する。天然の黒鉛を主成分とした粉末を成型し、焼成して圧延加工によりフィルムシート状としたものであれば、一般的には熱伝導率が200から400W/m・kであるが、本発明の実施の形態1において用いた発熱体2は、前述のように面方向の熱伝導率が600から950W/m・kという優れた二次元的等方向性の熱伝導を有する。したがって、発熱体2においては、発熱と熱伝導により、温度ムラのない均一な熱源となる。
【0035】
ここで、二次元的等方向性の熱伝導とは、直交するX軸とY軸で設定される面における、あらゆる方向の熱伝導を示すものである。したがって、本発明において二次元的等方向性とは、例えば炭素繊維が同じ方向に並設して形成された発熱体における炭素繊維方向の1方向(X軸方向)、又は炭素繊維をクロスに編んで形成された発熱体における炭素繊維方向の2方向(X軸方向とY軸方向)だけを指すものではない。
【0036】
本発明において用いられる発熱体2の材料であるフィルムシート素材は、積層構造を有し、面方向の層表面が平坦な面、凹凸面あるいは波うつ面等の各種の面形状を有しており、対向する各層の間には空隙が形成されている。このフィルムシート素材の積層構造において、各層間に形成される空隙の形成状態のイメージは、複数回(例えば、何十回、何百回)と重ね合わせるように折り曲げてパイ生地を作り、そのパイ生地を焼いて得た、パイの断面形状と類似している。したがって、本発明における発熱体2の材料であるフィルムシート素材は、前述のように、面方向の熱伝導率においては優れた二次元的等方向性の熱伝導性を有する材料である。
【0037】
前述のように製造されたフィルムシート素材として用いられる高分子フィルムとしては、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリピロメリットイミド(ピロメリットイミド)、ポリフェニレンイソフタルアミド(フェニレンイソフタルアミド)、ポリフェニレンベンゾイミタゾール(フェニレンベンゾイミタゾール)、ポリフェニレンベンゾビスイミタゾール(フェニレンベンゾビスイミタゾール)、ポリチアゾール、ポリパラフェニレンビニレンのうちから選ばれた少なくとも一種類の高分子フィルムを挙げることができる。また、高分子フィルムに添加されるフィラーとしては、リン酸エステル系、リン酸カルシウム系、ポリエステル系、エポキシ系、ステアリン酸系、トリメリット酸系、酸化金属系、有機錫系、鉛系、アゾ系、ニトロソ系およびスルホニルヒドラジド系の各化合物を挙げることができる。より具体的には、リン酸エステル系化合物として、リン酸トリクレジル、リン酸(トリスイソプロピルフェニル)、トリブチルホスフェ−ト、トリエチルホスフェ−ト、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリスブトキシエチルフォスフェート等を挙げることができる。リン酸カルシウム系化合物としては、リン酸二水素カルシウム、リン水素カルシウム、リン酸三カルシウム、等を挙げることができる。また、ポリエステル系化合物としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸などとグリコール、グリセリン類とのポリマー等を挙げることができる。また、ステアリン酸系化合物としては、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル等を挙げることができる。酸化金属系化合物としては、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉛等を挙げることができる。トリメリット酸系化合物としては、ジブチルフマレート、ジエチルフタレート等を挙げることができる。鉛系化合物としては、ステアリン酸鉛、ケイ酸鉛等を挙げることができる。アゾ系化合物としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。ニトロソ系化合物としては、ニトロソペンタメチレンテトラミン等を挙げることができる。スルホニルヒドラジド系化合物としては、p−トルエンスルホニルヒドラジド等を挙げることができる。
【0038】
前記フィルムシート素材を積層し、不活性ガス中において2400℃以上で処理し、グラファイト化の過程で発生するガス処理雰囲気の圧力を調整することによりフィルムシート状の発熱体が製造される。
なお、前記フィラーの添加量は、0.2〜20.0重量%の範囲が適当であり、より好ましくは1.0〜10.0重量%の範囲である。その最適添加量は、高分子フィルムの厚さによって異なり、高分子フィルムの厚さが薄い場合には添加量が多い方がよく、厚い場合には添加量は少なくてよい。フィラーの役割は熱処理後のフィルムを均一発泡の状態にすることにある。すなわち、添加されたフィラーは、加熱中にガスを発生し、このガスの発生した後の空洞が通り道となってフィルム内部からの分解ガスの穏やかな通過を助ける。フィラーはこうして均一発泡状態を作り出すのに役立つ機能を有する。
【0039】
[発熱体の形状]
図3Aから図3Cは、本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットに用いられた発熱体2を示す部分拡大図である。図3Aは、実施の形態1の発熱体ユニットにおける発熱体2の製造途中の発熱体素材2Aを示す図であり、一部を拡大して示した正面図である。図3Aに示す発熱体素材2Aは、発熱体素材2Aに複数の切り込みが入れられた状態である。
図3Bは、図3Aに示した発熱体2Aに対して、その長手方向に張力を加えた後の発熱体2を示しており、発熱体2の一部を拡大して示した正面図である。図3Cは図3Bの発熱体のIII−III線による断面図である。
【0040】
実施の形態1の発熱体ユニットにおいて用いた発熱体2は、前述のフィルムシート状の素材に対して切り込み処理を行って図3Aに示す帯状の発熱体素材2Aを形成している。その後、発熱体素材2Aに対して加圧処理、及び形状調整処理である拡張処理を行い、発熱体ユニットにおける熱源となる発熱体2が形成されている。以下、発熱体2の形状について説明する。
【0041】
発熱体素材2Aにおける両側縁(図3Aにおいて幅W1を有する両側縁)よりそれぞれが対向する側縁に向かって切断する第1の切り込み処理が長手方向に所定間隔(第1の切り込み幅A1)を有して行われている。この第1の切り込み処理により、発熱体素材2Aの両側縁から内側に向かって、長手方向に直交する方向に対向して切り込む2つの第1の切り込み部である縁切り込みC1,C1が形成される。対向する2つの縁切り込みC1,C1の間の領域は、幅W3を有する幅狭部2aとなっている。
【0042】
また、図3Aに示すように、発熱体素材2Aの中間部分にも、第2の切り込み処理(切断処理)が行われている。第2の切り込み処理により切り込まれた第2の切り込み部である中間切り込みC2は、第1の切り込み処理による縁切り込みC1から長手方向に所定間隔(第2の切り込み幅A2)有しており、長手方向に隣り合う2つの縁切り込みC1,C1の長手方向における中間位置に形成されている(2×(第2の切り込み幅A2)=(第1の切り込み幅A1))。この中間切り込みC2の長さはW2である。また、中間切り込みC2の両側となる、長手方向に直交する方向の両側の領域は、縁部2bとなっている。第1の切り込み処理及び第2の切り込み処理は、切り込み処理において同時に行われている。
【0043】
なお、発熱体素材2Aにおいて、幅W1>幅W2>幅W3の関係を有する。したがって、発熱体素材2Aの中間部分の長手方向においては、幅狭部2aと中間切り込みC2が交互に形成されている。
【0044】
上記のように切り込み処理された発熱体素材2Aに対して、後述する加圧処理を行い、そして形状調整処理である拡張処理が行われる。この拡張処理は、加圧処理された発熱体素材2Aに対して、その両側から張力を加えて当該発熱体素材2Aを長手方向に拡張させ、発熱体素材2Aを所定の長さに形成する処理である。この拡張処理において、発熱体素材2Aにおける第1の切り込み部である縁切り込みC1、及び第2の切り込み部である中間切り込みC2が拡張するとともに、幅狭部2aが斜行状態となり、発熱体2が所望の長さに形成される。
【0045】
図3Bは、図3Aに示した発熱体素材2Aに対して、その長手方向に張力を加えた後の発熱体2を示した拡大図である。図3Cは、図3Bの発熱体2の長手方向と平行な中心軸上(III−III線上)で切断した断面図であり、発熱体2の幅狭部2a及び縁部2bが斜行状態となっていることが示されている。
【0046】
実施の形態1の発熱体ユニットにおいて用いた発熱体2は、厚み(t)が100μmであり、発熱体2の全体の幅(W1)が8mmであり、幅狭部2aの幅(W3)が約2mmであり、中間切り込みC2の幅(W2)が約6mmである。また、縁切り込みC1と中間切り込みC2の長手方向の間隔(第2の切り込み幅A2)が約1mmであり、長手方向において隣り合う縁切り込みC1,C1の間隔(第1の切り込み幅A1)は、縁切り込みC1と中間切り込みC2の間隔である第2の切り込み幅A2の2倍の約2mmである。拡張処理後の発熱体2の長さLは、320mm(図1参照)である。なお、発熱体2の長さLについては、発熱体ユニットの仕様に応じて適宜決定される。
【0047】
なお、発熱体素材2Aの幅、長さ及び断面積等の形状は、入力電力及び発熱温度等により決定されるものであり、当該発熱体ユニットが用いられる熱源としての仕様に応じて適宜変更される。そして、発熱体素材2Aに対して後述する加圧処理を施すことにより、当該発熱体素材2Aの特性が決定され、発熱体ユニットの仕様に応じて、上記の拡張処理により所望の形状に調整される。なお、拡張処理の詳細は後述する。
【0048】
図3Bに示したように、発熱体素材2Aを長手方向に伸長する拡張処理において、縁切り込みC1及び中間切り込みC2のそれぞれが略同じように広がった均一拡張状態では発熱体2の温度分布は略均一となる。また、拡張処理においては、後述するように、発熱体2において疎密状態を形成して不均一に拡張することにより、温度分布の変更が可能である。
【0049】
また、発熱体素材2Aにおいて、第1の切り込み幅A1を変更することや、発熱体素材2Aの全体の幅W1を変更することを組み合わせることにより、所望の配熱分布となるように、単位面積当たりの発熱量と発熱面積を調整して、加熱効果を高めることができる。
【0050】
実施の形態1における発熱体2においては、前述したように、電流流路となる幅が同一幅に形成されていないため、通電により電流が流れて発熱する発熱領域と、その発熱領域からの熱伝導により発熱する熱伝導領域とを有する構成である。もし、発熱体の熱伝導率が200W/m・kに満たない場合には、即ち二次元的等方向性の熱伝導性が悪い場合には、発熱体において部分発熱領域と熱伝導領域で温度が異なり温度ムラが生じる。しかし、本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットにおいて用いた発熱体2は、前述のように、炭素系物質を主成分とし厚み方向において複数のフィルムシート素材の各層が互いに空隙を介して積層され、優れた二次元的等方向性の熱伝導性を有しており、熱伝導率が200W/m・k以上を有するフィルムシート状の材料で形成されている。したがって、実施の形態1における発熱体2は、発熱領域と熱伝導領域において温度ムラがなく、電流経路において均一に発熱する熱源となる。
【0051】
[発熱体の製造方法]
本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットに用いられる発熱体2は、前述のように、フィルムシート状の素材に対して切り込み処理を行って図3Aに示す帯状の発熱体素材2Aを形成している。この切り込み処理においては、フィルムシート状の素材から帯状の発熱体素材2Aを切り出すとともに、その発熱体素材2Aにおいて第1の切り込み部である縁切り込みC1、及び第2の切り込み部である中間切り込みC2を形成している。実施の形態1の発熱体素材2Aに対する切り込み処理は、切断金型を素材に押し付けて切断する切断プレス加工により行われている。なお、ラス加工及びレーザー加工により、発熱体素材2Aに対する切り込み処理を行うことも可能である。ラス加工及びレーザー加工の加工方法については後述する。
【0052】
切り込み処理された発熱体素材2Aに対しては、加圧処理が行われて、当該発熱体素材の特性調整が行われる。その後、形状調整処理である拡張処理を行い、発熱体ユニットにおける熱源となる発熱体2が形成されている。以下、発熱体素材2Aに対する加圧処理及び拡張処理について説明する。
【0053】
[加圧処理]
図4は切り込み処理が施された発熱体素材2Aに対する加圧処理を示す模式図である。図4に示すように、切り込み処理により形成された発熱体素材2Aを上部ローラ11Aと下部ローラ11Bの間に挿入して加圧する。図5Aは発熱体素材2Aの加圧処理する前の状態を模式的に示す断面図である。図5Bは加圧処理後の発熱体素材2Aの断面構造を模式的に示す断面図である。
【0054】
図5Aに示すように、加圧処理する前の発熱体素材2Aにおける厚み方向の断面構造(厚みt1)は、前述したように積層構造を有しており、面方向の層表面が平坦な面、凹凸面、或いは波うつ曲面等の各種の形状の面により構成されている。このため、対向する各層の間には空隙が形成されている。このような断面構造を有する発熱体素材2Aに対して、厚み方向に圧力をかける加圧処理を行うことにより、図5Bに示すように、発熱体素材2Aにおける層の一部が破損し、厚みが薄くなる(厚みt<厚みt1)。この破損状態を図5Bにおいて符号12で示す。この破損状態は発熱体素材2Aにおけるあらゆる部分において生じているため、加圧処理された発熱体素材2Aは、電気抵抗値が大きくなる。
【0055】
発明者においては、加圧処理時のローラ加圧力と、通電時の電気抵抗値と、入力電力値との関係を実験により確認した。図6は、加圧処理時のローラ加圧力[kgf]と、通電時の電気抵抗値[Ω」と、入力電力値[W]との関係を示すグラフである。図6において、実線が加圧力と入力電力値との関係を示す特性曲線であり、破線が加圧力と通電時の電気抵抗値を示す特性曲線である。
図6に示すように、発熱体素材2Aを加圧しない場合には、通電時の電気抵抗値が約22.2Ωであり、入力電力値が100V、450Wであった。一方、発熱体素材2Aを50kgfで加圧した場合には、通電時の電気抵抗値が約23.8Ωであり、入力電力値が100V、420Wであった。したがって、発熱体素材2Aに対して0〜50kgfの範囲の加圧処理を行うことにより、約7%の入力の可変調整を行うことが可能となることが理解できる。上記のように、発明者の実験により、ローラ加圧力と通電時の電気抵抗値と入力電力量との間には相関関係があることが確認された。
【0056】
以上のように、加圧処理における圧力を調整することにより、発熱体2に対する入力電力量を容易に、且つ確実に調整できることが発明者の実験により確認された。また、加圧処理においては、以下に述べる特別の効果があることを発明者は確認した。
【0057】
加圧処理を行った発熱体素材2Aにおいては、層間の一部が破損して層間における繋がりを切ることにより、局部的に屈曲しても破損しない可撓性や、滑らかな曲面となる柔軟性の点において優れた特性を示すことが確認された。加圧処理する前の発熱体素材2Aにおいては多少の屈曲や、引っ張りに対して弱く、多少の曲げでも破損や切断のおそれがあり、可撓性や柔軟性の点において問題があった。しかし、発熱体素材2Aに対して前述の加圧処理を施すことにより、屈曲や、引っ張りに対して強く、可撓性と柔軟性の点において飛躍的に向上していた。したがって、本発明においては、加圧処理した発熱体素材2Aに対して張力を加える拡張処理を行うことが可能となったものである。
また、上記のように加圧処理を行うことにより、切り込み処理において、発熱体素材2Aの切り込み部分に生じた急な折れ曲がり部分、いわゆる抜きダレ部分が加圧されて滑らかな部分となるという効果を有する。
【0058】
なお、実施の形態1においては加圧する手段としてローラを用いた例で説明したが、平面的に圧力を加える、面方向の加圧であっても同様の効果を得ることができる。また、発熱体素材2Aの全体に対する加圧ではなく、局部的に加圧することにより、発熱体2において局部的に異なる抵抗領域を形成することが可能となり、所望の配熱分布とすることが可能となる。
【0059】
なお、実施の形態1において、加圧処理は切り込み処理後に行う例で説明したが、切り込み処理の前に1回目の加圧処理を行って、発熱体素材2Aの特性を変更した後に切り込み処理を行ってもよい。このように処理することにより、切り込み処理を安定した特性を有する発熱体素材2Aに対して行うことができるため、さらに安定した入力電力量の調整が可能となる。この場合において、切り込み処理を行った後に2回目の加圧処理を行うことが好ましい。これは、切り込み処理において、発熱体素材2Aの切り込み部分に生じた急な折れ曲がり部分、いわゆる抜きダレ部分を滑らかな部分とするためである。
【0060】
[拡張処理]
次に、加圧処理後に行われる形状調整処理である拡張処理について説明する。
図7は加圧処理後に行われる拡張処理を説明する図である。図7に示すように、加圧処理後の発熱体素材2Aに対して、その両側から矢印の方向に張力を加えて、当該発熱体素材2Aを所定の長さに伸長する。図8は所定の長さに伸長した状態の発熱体2を示している。図8に示すように、発熱体2における全ての切り込みC1,C2が同様に拡張した状態で発熱体2の形状が保持されている。
【0061】
図7に示した発熱体2の素材である当該発熱体素材2Aは、前述のように、高分子フィルム、又はフィラーを添加した高分子フィルムを高温度、例えば2400℃以上の雰囲気中にて熱処理し、焼成してグラファイト化した耐熱性を有する高配向性のグラファイトフィルムシートを、前述の切り込み処理及び加圧処理を行ったものであり、面方向の熱伝導率が600から950W/m・kの特性を有するとともに、可撓性及び柔軟性を有するものである。また、このように処理された発熱体素材2Aは、両側から張力を加えて伸長させることにより、発熱体素材2A自身の弾性力により多少戻るが、伸長した状態を保持する形状保持力を有している。また、伸長させた状態の発熱体素材2Aを強制的に収縮させると、図7に示す初期状態に戻る復帰力も有している。したがって、本発明に用いられる発熱体素材2Aは、切り込み処理、加圧処理を施すことにより、可撓性、柔軟性、弾力性を有するとともに、形状保持力及び復帰力を有するという特殊な特性を有している。
【0062】
上記のように切り込み処理及び加圧処理された発熱体素材2Aに対して、その長手方向外側に向かって両側から張力を加えて伸長させる伸長実験を行ったところ、元の長さ(180mm)の約倍近く(約350mm)まで破損せず伸長した。一方、切り込み処理のみを行い、加圧処理を行わなかった発熱体素材2Aに対して、同様の伸長実験を行ったところ、元の長さより20mmを越えたところで破損が生じた。したがって、発熱体素材2Aに対して加圧処理を行うことにより、発熱体素材2Aを伸長する拡張処理を確実に行うことが可能となる。このように拡張処理を行うことにより、発熱体素材2Aの拡張処理前の元の長さの2倍を超えない範囲内の長さにおいて、発熱体長である熱源のサイズを自由に設計することができる。
【0063】
なお、図7に示した発熱体素材2Aを長手方向に伸長する拡張処理において、縁切り込みC1及び中間切り込みC2のそれぞれが略同じように広がった均一拡張状態では発熱体2の温度分布は長手方向において略均一となる。また、拡張処理においては、発熱体2を不均一に拡張して、長手方向の温度分布を調整することも可能である。例えば、発熱体2の両端部近傍部分においては、縁切り込みC1及び中間切り込みC2の広がりを小さくして密状態とし、中央部分においては、各切り込みC1,C2の広がりを大きくして疎状態とした場合、発熱体2の両端部分の単位面積当たりの発熱量が多くなり、中央部分の単位面積当たりの発熱量が少なくなる。このように発熱体2において密状態と疎状態の領域を形成することにより、温度分布を所望の状態とすることが可能となり、発熱体ユニットにおける設計の幅を広げることができる。
【実施例1】
【0064】
以下、本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットのさらに具体的な構成について前述の図1から図3Cの図面を用いて実施例1の発熱体ユニットとして説明する。なお、実施例1の発熱体ユニットは、前述の実施の形態1において説明した発熱体ユニットと基本的には同じ構成であるため、同じ機能、構成を示すものには同じ符号を付して説明する。
【0065】
発熱体2の両端に設けられた保持ブロック3は、モリブデンの板材を二つ折りした形状で構成されている。二つ折りした保持ブロック3のそれぞれの中央部分には貫通孔が形成されている。二つ折りした保持ブロック3により挟まれる発熱体2の両端端部にも、貫通孔が形成されており、保持ブロック3の貫通孔と発熱体2の端部の貫通孔が位置合わせされている。このように位置合わせされた保持ブロック3の貫通孔と発熱体2の端部の貫通孔には、内部リード線部材5の端部が挿入されて係合しており、保持ブロックと内部リード線部材5は熱溶着されて互いに固定されている。このように実施例1の発熱体ユニットにおいては、発熱体2の両端端部が保持ブロック3によりそれぞれ挟持されて、ガラス管1の内部に張設された構成である。このように構成することにより、保持ブロック3は発熱体2を挟持するとともに、発熱体2と電気的に接続状態となる。保持ブロック3は導電性材料で形成されており、発熱体2からの熱を放熱して、内部リード線部材5に高熱を伝達しない放熱効果を有している。例えば、保持ブロック3の材料としてはモリブデンが好ましいが他の金属材料でも耐熱性と導電性に優れた材料であれば用いることが可能である。
【0066】
また、内部リード線部材5には発熱体2をガラス管1の内部の所定位置(ガラス管1の中心軸上)に位置決めするためのサポート部材4が巻き付けて固定されている。サポート部材4は、線材によりリング状に形成されており、サポート部材4のリングの直径がガラス管1の内径より多少小さく形成されている。例えば、サポート部材4のリングの外周とガラス管1の内壁面との隙間が0.5mmに設定される。
【0067】
なお、実施例1においては、発熱体2を内部リード線部材5に固定接続するために、保持ブロック3の孔と発熱体2の孔を重ねて内部リード線部材5にて貫通し、保持ブロック3と内部リード線部材5とを溶着して、発熱体2を固定接続する構成であるが、保持ブロック3とは異なる構成の別部材にて固定接続してもよい。別部材としては、帯状の発熱体2の端部を内部リード線部材により張設できる構成のものであればよい。
【0068】
実施例1の発熱体ユニットの保持ブロック3においては、二つ折りの板にて発熱体2を保持する構成で説明したが、保持ブロック3の板の内壁面(挟着面)に凸部分を形成して保持強度をさらに高める構成としてもよい。
【0069】
前記のように構成された実施例1の発熱体ユニットにおいて、その両側から導出している外部リード線7に対して所定の電力を供給することにより、発熱体2に電流が流れ、発熱体2の抵抗により熱が発生する。このとき、発熱体2は炭素系物質を主成分とした材料で形成されているため発熱体2からは赤外線が放射される。
【0070】
実施例1の発熱体ユニットにおける発熱体2は、前述の実施の形態1において説明したように、選択制のある発熱体形状、例えば発熱体2の伸長状態や粗密状態等を所望の値に選択できる形状であるため、各種用途に応じて放熱状態を容易に変更することが可能である。例えば、同一のフィルムシート素材により形成された発熱体ユニットであっても、伸長の度合いを変更して長さを調整したり、粗密領域を設けることにより、抵抗値の変更を伴わずに輻射面積や単位面積当たりの熱量を可変することが可能である。従って、実施例1の発熱体ユニットは、用途に応じた輻射エネルギーを設定することが可能となる。
【0071】
実施例1の発熱体ユニットにおける発熱体2は、厚み(t)が100μmであり、発熱体の全体の幅(W1)が8mmであり、対向する2つの縁切り込みC1,C1の間の距離(W3)が約3mmであり、中間切り込みの長さ(W2)が約6mmであり、長手方向における縁切り込みC1と中間切り込みC2との間隔(第2の切り込み幅:A2)が約1mmであり、長手方向における隣り合う縁切り込みC1の間隔(第1の切り込み幅:A1)は前記の第2の切り込み幅(A2)の2倍の約2mmであり、そして発熱体2の長さ(L)が320mmであった。
【0072】
実施例1の発熱体2を形成するための、発熱体素材2Aに対する切り込み処理は、切断プレス加工により行われている。なお、発熱体2における長さ、幅、及び切り込み形状については、入力電圧及び発熱温度等により決定されており、当該発熱体ユニットが用いられる熱源としての仕様に応じて適宜変更が可能である。
【0073】
実施例1の発熱体ユニットにおける発熱体2が長手方向にも指向性を示すことを、前述の図3B及び図3Cの拡大図を用いて説明する。
拡張処理において、発熱体2を長手方向に伸長することにより、対向する2つの縁切り込みC1,C1に挟まれた幅狭部2a、及び長手方向に隣り合う縁切り込みC1,C1に挟まれた縁部2bは、長手方向のどちらか一方に傾斜する。この傾斜は伸長させる比率、長手方向における各切り込みC1,C2の間隔(第2の切り込み幅A2)等により異なる。このように幅狭部2a及び縁部2bが傾斜することにより、その傾斜面と対向する方向の輻射面積が最大となり、この方向への輻射エネルギーが多くなる。したがって、実施例1における発熱体2においては、幅方向の指向性だけでなく、長手方向の指向性を持たせることが可能となり、用途及び仕様に応じて加熱方向を所望の方向に設定することができる。
【0074】
拡張処理されて長手方向に伸長された帯状の発熱体2は、幅方向の長さと厚み方向の長さの比が5/1以上であるのが望ましい。幅方向の長さを厚み方向の長さより5倍以上大きくすることにより、幅方向を構成する面から放出する熱量が厚み方向を構成する面から放出する熱量より大幅に多くなり、発熱体2が指向性の高い熱源として使用することが可能となる。
【0075】
炭素系物質を主成分として、二次元的等方向性の熱伝導を有するフィルムシート状の材料で構成した発熱体2は、発熱効率が高く、温度が高くなるほど抵抗値が大きくなる正特性(PTC)である。このため、加熱を開始してから定格温度に達するまでの時間は極めて短い。したがって、点灯時の突入電流は発生するが、平衡後の温度にもよるが、突入電流は平衡時の2倍ほどであり、タングステン線で形成された発熱体の場合のような10倍までの突入電流は発生しない。このため、実施例1の発熱体ユニットにおける発熱体2は、フリッカーが発生しにくい特性を有している。また、この発熱体2の寿命は使用温度にもよるが、約10000時間である。これは、タングステン線で形成された発熱体の寿命の約2倍である。
【0076】
前述のフィルムシート素材から特に選ばれた少なくとも一種類の高分子フィルム或いは、前述のフィラーを添加した前記高分子フィルムを不活性ガス中において2400℃以上で処理し、グラファイト化の過程で発生するガス処理雰囲気の圧力を制御している。このように制御することにより、二次元的等方向性を有する熱伝導性を持ち、温度特性においては温度が上昇するとともに抵抗値が上昇する正特性(PTC)を有する発熱体2を製造することができる。このように製造された発熱体2は、発熱温度の安定を確保し、入力電圧が定電圧の場合において、熱変動に対して安定的な自己入力制御を行うことが可能な信頼性が高く安定的な熱源となる。
【0077】
実施例1の発熱体ユニットにおいては、発熱体を透明石英ガラス管内に挿入し、そのガラス管内に不活性ガスを封入して高温度での使用する場合について説明した。しかし、本発明の発熱体ユニットにおける発熱体2は、ガラス管以外の容器を用いることが可能である。炭素系物質を主成分とし、二次元的等方向性の熱伝導を有し、そして可撓性、柔軟性、及び弾力性を有し、熱伝導性が200W/m・K以上を有し、厚みが300μm以下である帯状の発熱体2は、高温度(約1100℃)での使用だけでなく800℃前後においても酸化量が他の炭素系発熱体素材に比べ少なく、十分に使用に耐える組成構造である。これは、発熱体2の素材であるフィルムシート状の発熱体素材2Aが密に成型されているためである。したがって、発熱体2の使用温度により、その発熱体2のための容器の材質及び形状を選定することができる。例えば、発熱体が180℃以下の温度で使用されるのであれば、シリコン材質の開放容器を使用することが可能となる。また、発熱体2が250℃以下で使用されるのであれば、フッ素樹脂材質の開放容器を使用することが可能であり、800℃以下で使用されるのであれば、マイカ材質、セラミックス、結晶化ガラス、石英管、耐熱ガラス等の耐熱温度許容範囲での絶縁材料で形成された開放容器を選択することができる。800℃以下の使用温度においては、容器内にガスを充填する必要がなく、上記のように開放容器を使用することが可能となり、発熱体ユニットの構成、形状を使用目的に合わせて自由に設計することが可能となる。このため、800℃以下の使用温度で使用される発熱体ユニットでは、設計の自由度を大幅に広げることができ、さらなるコストの低減を図ることが可能となる。
【0078】
なお、実施例1において、発熱体2を保護する管形状については、その断面形状が略円形状で説明したが、本発明においては必ずしも略円形状である必要はなく、発熱体ユニットの仕様目的に合わせて管断面が四角、六角等の多角形状であってよく、さらには扁平形状や楕円形状であっても実施例1の発熱体ユニットと同様の効果を奏する。
【0079】
実施例1の発熱体ユニットにおいて、発熱体2は伸長することにより発熱体の長手方向の側縁は断続的な端面となる、このため、伸長した発熱体2がガラス管内に張設された際、もしガラス管1と発熱体2が接触したとしても、発熱体の側縁の一部端面がガラス管1に接触(略点接触)するため、ガラス管1に対する熱負荷を低減することができる。また、発熱体2の側縁の一部がガラス管1に接触する構成である場合には、その接触部位が発熱体2における熱伝導領域であるため、接触部位の温度が低下して当該発熱体2を支持する機能を持つことになる。このため、このように構成された発熱体ユニットにおいては、発熱体2の設計温度の上限を高めることができるという効果を得ることができる。
【0080】
また、本発明に係る実施例1の発熱体ユニットにおいて、発熱体は可撓性、柔軟性、弾力性、形状保持力、及び復帰力を有しているため、発熱体ユニットの使用の形態、目的等に応じて、発熱体ユニットを所望の形状、例えば管状、矩形状、長手方向にそって曲部を形成した湾曲状、円形に形成した環状等に構成することが可能である。
【実施例2】
【0081】
以下、本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットの別の具体的な構成について図9を用いて実施例2の発熱体ユニットとして説明する。なお、実施例2の発熱体ユニットは、前述の実施の形態1において説明した発熱体ユニットと基本的には同じ構成であるが、発熱体2の形状が異なっている。このため、実施例2の説明においては、発熱体2の形状について説明し、その他の構成は図1に示した実施の形態1の発熱体ユニットと同じである。このため、実施例2の説明において、実施の形態1の発熱体ユニットと同じ機能、構成を示すものには同じ符号を付して説明する。
【0082】
図9は、実施例2の発熱体ユニットに用いられている発熱体2を示す正面図である。実施例2の発熱体ユニットに用いられている発熱体2は、前述の実施例1における発熱体2と同じ発熱体素材2Aを用いて形成されている。
【0083】
図9に示す発熱体2は、前述の実施例1の発熱体2における複数の切り込みを形成する切り込み処理と異なり、複数の円環が発熱体2の長手方向に一列に繋がった形状となる切り込み処理を行っている。この切り込み処理においては、発熱体素材2Aの側縁部分の切り込みと、中間部分を略楕円状に切り込んでいる。
【0084】
実施例2の発熱体2における円環形状は、長手方向が長軸方向となる略楕円形状であり、発熱体2における部位において形状が異なっている。実施例2における発熱体2において、中央の部位の円環は長手方向の径が小さく、中央の部位の両側の部位の円環は長手方向の径が大きく形成されている。また、発熱体2における両側の部位の円環は長手方向の径が小さく形成されている。このように発熱体2の円環形状を構成することにより、特定の部位の発熱量を所望の値とすることが可能となる。また、複数の円環を一列に繋ぐ形状とすることにより、伸長可能な形状となる。実施例2においては、図9に示した円環形状で説明するが、これは一例であり、各円環の形状はその用途に応じて適宜設計される。
【0085】
実施例2に用いられる発熱体2は、可撓性、柔軟性、及び弾力性を有する前述の発熱体素材2Aを、切断金型を用いたプレス加工により上記のように切断して形成されているため、可撓性、柔軟性、及び弾力性を有するとともに、形状保持力及び復帰力を有している。したがって、前述の実施例1の発熱体2と同様に、実施例2の発熱体は、拡張処理によりある程度の伸長が可能であり、発熱体ユニットの仕様に応じて設計変更に対応することできる構成である。但し、実施例1において切り込み処理が施された発熱体1に較べて、実施例2の発熱体2は切り込み処理による形状が異なるため、発熱体2の伸長量が短いものである。その反面、実施例2の発熱体2は、その両端から加えられた張力に対して強い構造を有しており、振動や衝撃などに対して耐久性のある熱源となる。また、実施例2の発熱体2は、配熱が張力による影響を受けに難い構造であり、より細かな配熱分布を可能にすることができる。
【0086】
なお、図9に示す実施例2の発熱体2は、長手方向が円環の長軸方向となる略楕円形状で説明したが、長手方向が円環の短軸方向となる略楕円形状であってもよく、或いは楕円形状とは異なる多角形状であっても同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0087】
以上のように、実施例2の発熱体ユニットにおける発熱体2は長手方向に伸長する形状であり、また、加圧処理による抵抗調整が可能な発熱体素材2Aを用いているため、各種用途に応じて設計変更が可能である。さらに、実施例2の発熱体ユニットにおける発熱体2は可撓性、柔軟性及び弾力性を有しており、発熱体の拡張処理を安全に信頼性高く実行することが可能である。
【実施例3】
【0088】
以下、本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットにおいて、発熱体2の別の製造方法について実施例3として説明する。実施例3の発熱体2の製造方法においては、切り込み処理及び拡張処理を実質的に同時に行うラス加工処理が行われて形成されている。ラス加工処理は、フィルムシート状の発熱体素材2Aに対して切断金型により千鳥状に切れ目を入れるとともに、その切断金型をさらに押し広げる(押し下げる)ことにより(エキスパンド処理)、ラス形状(メッシュ形状)の発熱体素材2Aを形成するものである。
【0089】
実施例3の発熱体2の素材である発熱体素材2Aにおいては、ラス加工処理する前に加圧処理が施されており、発熱体素材2Aの可撓性、柔軟性及び弾力性が確保されている。したがって、実施例3の発熱体2は、炭素系物質を主成分として、二次元的等方向性の熱伝導を有するフィルムシート状の材料の発熱体素材2Aに対して、最初に加圧処理が実行され、その次に切り込み処理及び拡張処理を実質的に同時に行うラス加工処理が施されて形成されている。なお、フィルムシート状の発熱体素材2Aから帯状の発熱体素材2Aを切り出す処理に関しては、切断プレス加工により処理してもよい。
【0090】
上記のように形成された実施例3の発熱体2は、切り込み処理と拡張処理を実質的に同じ工程で実行できるため、前述の実施例と同様の効果を奏するとともに、優れた作業性を有し、量産化に適した構成となる。
【実施例4】
【0091】
以下、本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットにおいて、発熱体2の更なる別の製造方法について実施例4として説明する。実施例4の発熱体2においては、切り込み処理がレーザー加工により行われている。
【0092】
実施例4の発熱体2の素材である発熱体素材2Aにおいて、前述のように製造されたフィルムシート素材に対してレーザー加工により所望の形状に形成されている。例えば、レーザー加工の一例として、発熱体2の面方向の熱伝導率が200W/m・k以上となるとCOレーザー(波長10600nm)等の熱加工作用を主体としたレーザー加工を用いた場合には、発熱体に熱を奪われてしまい、加工できないという問題がある。しかしながら、非熱加工作用を主体とした波長1064から380nmのレーザー加工、例えば、呼称1064nmの短波長レーザー加工を用いることにより所望の形状を精度高く加工することが可能となる。
【0093】
特に、実施の形態1における発熱体2を形成する場合には、呼称532nmの第二高調波レーザー加工を用いることにより、高精度に加工できることを発明者らは確認した。実施の形態1における発熱体2の材料は、フィルムシート素材であり、高分子フィルム又はフィラーを添加した高分子フィルムを高温度、例えば2400℃以上の雰囲気中にて熱処理し、焼成してグラファイト化した耐熱性を有する高配向性のグラファイトフィルムシートを材料としている。そして、発熱体2は、面方向の熱伝導率が600から950W/m・kの特性を有する材料で形成されている。このような材料の発熱体2を、例えば、実施の形態1のような切り込み幅として約1mmを加工する場合などの複雑な形状に加工する場合には、呼称532nmの第二高調波レーザー加工を用いることが望ましい。以上のように、レーザー加工におけるレーザー波長が短くなると熱加工からケミカル加工に近づくために、発熱体2への熱の影響は小さくなり、加工によるススやバリの発生を抑えた高精度の加工が実現できる。ただし、必ずしも発熱体2の外形形状の全てをレーザー加工する必要はなく、帯状の切り出し加工と切り込み加工のいずれか一方の加工だけであってもかまわない。例えば、帯状の切り出し加工が素材形状で決定される場合においては、切り込み加工だけをレーザー加工で加工すればよく、発熱体素材状等により適宜選択し得ることは言うまでもない。
【0094】
なお、好ましいレーザー加工方法は、発熱体2の材料すなわち面方向の熱伝導性及び形状によって、前述の非熱加工作用を主体としたレーザー加工波長(1064から380nm)を持つ加工方法から適宜選択し得ることは言うまでもない。
また、上記加圧処理の方法としては、後述する上下に配置されたローラの間に挟み加圧する方法或いは、平面状のプレス等面方向での加圧する方法であってもかまわない。なお、いずれの加圧方法であっても、加圧することにより入力電力を可変することができるとともに、層間の一部を破壊し層間における繋がりを切ることで曲げなどの可撓性、柔軟性及び弾力性等を有する発熱体2を形成することができる。
【0095】
(実施の形態2)
以下、本発明に係る実施の形態2の加熱装置について図10を参照しつつ説明する。
実施の形態2の加熱装置は、前述の実施の形態1の発熱体ユニットを熱輻射源として用いたものである。
【0096】
図10に示した加熱装置においては、発熱体ユニット20の発熱体2の背面側に反射板24を配設し、反射板24は筐体21に固定され、反射板24の反対側(前面側に発熱体ユニット20の保護のためにガード25が設けられている。発熱体ユニット20は反射板24及び筐体24の長手方向のサイズに合わせて設計されるが、同一定格でも発熱体2を拡張することが可能なため長手方向のサイズが使用空間に応じて選択することが可能となる。
【0097】
なお、実施の形態2の加熱装置においては、反射板24及び筐体21を横にした例で説明したが、反射板24及び筐体21を縦にした使用においては、発熱体ユニット20から発生された熱が直接及び反射板24から反射されて輻射になるエネルギーと熱流として上部に上昇するエネルギーが発生するそのため、下面部分の加熱分布が悪くなる。反射板24及び筐体21を縦に使用した場合、発熱体2は下部の方を密状態とし、上部の方を疎状態とすることにより、下面から上部にかけて実質的に均一に加熱できる構成となる。また、発熱体素材2Aを伸長した拡張処理において形成された発熱体2の傾斜面に対向する位置を下側とすることにより、加熱装置の熱放射領域を下側に重点をおいた加熱が可能となる。
【0098】
しかしながら、ストーブの縦仕様においては床材が温度に耐えることができない材料を使用している場合には、上面に傾斜面を向けて、下面温度を下げることが好ましい。このように、本発明に係る実施の形態2の加熱装置においては輻射分布を考慮した加熱源を構築することができる。
【0099】
なお、図10に示した反射板24の反射面形状は熱反射が平行となる放物面を有する曲面形状であるが、本発明はこのような形状に限定されるものではなく、被加熱物に応じて各種の形状、例えば円弧状、発熱体2からの輻射熱を広げる拡散反射可能な曲面形状、拡散反射可能な多段の折り曲げ面を集合した形状、または平面形状等を用いることができる。
【0100】
また、反射板24の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、各種ステンレス等を用いることができる。また、反射板24の反射面には反射効率の高い反射材料のコーティングや、表面処理を行い、反射板24の反射率を高める処理を行った方がよいことは言うまでもない。
【0101】
本発明に係る実施の形態2の加熱装置として反射板24を設けて、筐体21から外部に熱輻射する構成で説明したが、筐体内部の被加熱物に熱輻射するように、反射板と発熱体ユニットを設けても同様の効果が得られる。例えばオーブンレンジ、トースター、オーブン等の調理装置に応用展開が可能である。特に、発熱体2の平面部分を被加熱物に向けて、被加熱物を効率高く加熱することが可能となる。
【0102】
また、本発明に係る実施の形態2の加熱装置においては、発熱体素材2Aに対する拡張処理において、両端部分を密状態とし、中央部分を疎状態とすることにより、加熱装置内部の加熱空間を均一な温度分布に設定することができるなど、仕様に応じて設計変更が容易であるという優れた特徴を有する。さらに、実施の形態2の加熱装置の構成において、発熱体ユニット20の長さに規制がある場合であっても、発熱体2の形状を所望の形状に変更できるため、定格及びサイズの設計変更が容易である。
【0103】
(実施の形態3)
以下、本発明に係る実施の形態3の加熱装置について図11を参照しつつ説明する。
図11は、実施の形態3の加熱装置として複写機を例に挙げて、その熱輻射源となる発熱体ユニット30等の近傍を示した図である。図11は発熱体ユニット30の長手方向(延設方向)に直交する方向で切断した略断面図である。
【0104】
実施の形態3の加熱装置である複写機は、前述の実施の形態1の発熱体ユニット(図1参照)を熱輻射源として用いたものであり、発熱体ユニット30として説明する。実施の形態3の複写機において、発熱体ユニット30は、その長手方向に伸長した発熱体2を有し、筒体32により取り囲まれて構成されている。なお、実施の形態3の加熱装置である複写機には、図11に示した発熱体ユニット30等の他に、電力を供給する電源部、複写機構、複写機構を制御する制御部、装置外観を形成する筐体等の一般的に複写機に用いられている構成要素が含まれる。
【0105】
実施の形態3の加熱装置において、複写機であるため発熱体ユニット30を取り囲む筒体32は、トナー定着ローラである。以下、筒体32をトナー定着ローラ32として説明する。
トナー定着ローラ32と加圧ローラ31は互いに接して回転するよう構成されている。トナー定着ローラ32と加圧ローラ31の間には、所望形状のトナー33を担持した紙34が挿入されて、加熱とともに加圧されて定着される。したがって、トナー定着ローラ32と加圧ローラ31との間に通されて、紙上のトナー33を効率よく定着させるために、発熱体2の幅方向がトナー定着ローラ32と加圧ローラ31の対向面(トナー定着領域)を含む領域を向くよう配置されている。但し、発熱体2の幅方向が向く方向は、トナー定着領域より上流側、即ちトナー定着ローラ32のトナー定着領域より前側の領域を向くよう配設されている。このように発熱体2を配設することにより、トナー定着ローラ32におけるトナー定着領域より上流側の部分も含めて加熱して、その部分の蓄熱量を上げ、発熱体2から放射された熱量を効果的にトナー定着に用いることが可能となる。
【0106】
実施の形態3の加熱装置おいて、発熱体ユニット30を取り囲むように配設されるトナー定着ローラ32である筒体は、発熱体ユニット30から放射された熱を所望方向へ熱輻射するものであり、発熱体2の幅方向の中心に対向する領域が熱輻射中心となる。この筒体(32)は、一体物で構成した例で説明したが、複数の部材を組み合わせて構成してもよい。
【0107】
このように実施の形態3の加熱装置である複写機においては、指向性を有する発熱体ユニット30を効果的に配設して効率の高い熱輻射源とすることが可能となる。
また、実施の形態3の加熱装置における発熱体ユニット30の発熱体2は、均一に伸長した形状で説明したが、トナー定着ローラ32や加圧ローラ31の両端部には軸受けやギヤなどが配置され、ローラ端部の温度は下がる傾向にあるため、発熱体2の拡張処理において、端部分を密状態とし、中央部分を疎状態としてローラ表面温度を均一にすることが好ましい。また、発熱体2における傾斜面を温度上げる方向に向けることは言うまでもない。
【0108】
次に、実施の形態3の加熱装置における温度制御方法について図12を参照しつつ説明する。図12は、実施の形態3の加熱装置における温度制御装置の概略構成を示す図である。
電源42から供給された電力が制御部43において、ユーザからの指令に従い制御され、発熱体ユニット30に通電される。通電された発熱体ユニット30の発熱体2は、高温度に発熱してトナー定着ローラ32の温度を所定の温度(トナー定着温度)まで上昇させる。トナー定着ローラ32にはセンサ部44が設けられており、トナー定着ローラ32の温度検知を行っている。センサ部44はトナー定着ローラ32の検知温度を制御部43にフィードバックしており、制御部43は発熱体ユニット30への電力を制御して、トナー定着ローラ32の温度調節を行っている。
【0109】
以上にように、実施の形態3の加熱装置においては、発熱体ユニットの通電制御を行う場合、その制御条件として検知温度を加味することが可能である。また、温度制御としては、例えばサーモスタット等の温度検知手段を用いたオンオフ制御、正確な温度を感知する温度感知センサを用いた入力電源の位相制御、さらに通電率制御、ゼロクロス制御等を単独で若しくはそれらを組み合わせて行うことにより、高精度な温度管理が可能な加熱装置を実現できる。
【0110】
したがって、前記のように構成された実施の形態3の加熱装置によれば、発熱体の配設位置による指向性制御と、検知温度による通電制御とにより、輻射特性に優れた加熱と高精度な温度管理が可能となる。
【0111】
なお、実施の形態3の加熱装置においては、実施の形態1における、特に実施例1の発熱体ユニットを熱輻射源として用いた例で説明したが、熱輻射源としては前述の各実施例において説明したいずれの発熱体ユニットの構成でも適用可能であり、同様の効果を奏するものである。
【0112】
また、実施の形態3の加熱装置として複写機について説明したが、ファクシミリ、プリンタ等の電子装置においてもトナー定着のための熱輻射源として本発明の発熱体ユニットを用いることができ、同様の効果を奏する。なお、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子装置において、トナー定着に用いた機構の場合、熱輻射源として用いられる発熱体ユニットはローラと呼ばれる筒体により取り囲まれて用いられる。
【0113】
なお、本発明の加熱装置としては、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子装置の他に、暖房用ストーブ等の電気暖房機器、調理加熱等の調理機器、食品等の乾燥機、及び短時間で高温度に加熱する必要のある装置を含むものである。
【0114】
本発明の加熱装置において、発熱体ユニットを取り囲む筒体であるローラの構成は、内側が金属材料により形成され、外側がシリコン樹脂によりコーティングされており、ローラの両サイドには駆動用のギヤ等が設けられている。なお、熱等の吸収性を高めるために、ローラの内側にはセラミックスや遠赤塗料等を設けてもよい。さらに、放熱・吸熱と強度の観点からアルミニウムと鉄等の複数の金属部材により筒体を構成して、さらに高い加熱効率を図ることも可能である。
【0115】
本発明の発熱体ユニットを熱源として調理機器に用いた場合、発熱体ユニットは筒状体により取り囲まれて配設される。筒状体は一体的若しくは複数の部材で構成された筒状の耐熱管である。調理機器の熱源として、発熱体が石英ガラス管で取り囲まれている発熱体ユニットをそのまま用いた場合、調理で使用される塩、しょう油等の調味料等に含まれるアルカリ金属イオン等で石英ガラス管が失透を起こし、破損してしまい、熱源としての発熱体ユニットが短寿命となってしまう。このため、発熱体ユニットを耐熱管である筒状体により取り囲むよう構成することにより、発熱体ユニットの長寿命化を図ることができる。
【0116】
なお、筒状体には優れた光透過性を有する結晶化ガラスや遠赤放射量の高いセラミックス等を使用することにより使用用途を広げることができる。
発熱体ユニットの被加熱対象物との位置関係は、発熱体における加熱中心を被加熱対象物側に向けることにより、被加熱対象物を効率高く加熱することができるのは言うまでもない。
【0117】
以上のように、本発明の発熱体ユニットにおいて、発熱体が炭素系物質を主成分として面方向に同等の熱伝導性を有する、いわゆる二次元的等方向性の熱伝導を有するフィルムシート状であり、可撓性、柔軟性、弾力性、形状保持性、及び形状復帰性を有している。さらに、発熱体は熱伝導率が200W/m・K以上であり、厚みが300μm以下で形成されている。このように構成された本発明における発熱体は、切り込み処理(切断プレス処理を含む)及び加圧処理により、抵抗値を調整することができるとともに、形状(長さ)を容易に調整することが可能である。また、本発明における発熱体は、加圧処理により可撓性、柔軟性、弾力性、形状保持性、及び形状復帰性を有する特性を持ち、さらに拡張処理により温度分布を可変することが容易に可能となる。
【0118】
さらに、本発明の発熱体ユニットにおける発熱体は、この発熱体を内包する容器(耐熱管)の形態に応じて、管状、板状、管状を長手方向に曲げた湾曲状、管状を円形に形成した形状等の各種形状に変形することが可能であり、使用目的に応じて高精度に変形して装置内に組み込むことができる。
さらに、本発明の発熱体ユニットにおいては、その使用用途に合わせた形態に発熱体を形成して、発熱体における平面部分又は配熱分布により高い効率で熱輻射が行われるよう構成することができる。
【0119】
また、本発明の発熱体ユニットにおいては、筒状の耐熱管(図1に示すガラス管1)の両端部分を封止して耐熱管内にガスを充填することにより、耐熱管内の発熱体が酸化することなく発熱体の焼成温度以下で使用することができるため、発熱体の設計余裕度を広げている。さらに、本発明において用いた発熱体は可撓性、柔軟性、及び弾力性を有し、高温度に対して保形性が高いため、発熱体を所望の形状に形成することが可能であり、耐熱管材料の選定や、発熱体の保持方法における自由度を高めることができる。
前述の実施の形態2において説明したように、図10に示した加熱装置においては、本発明の発熱体ユニットにおける発熱体の幅面に対向する背面側の位置に反射板を配設し、その反射板の長手方向に直交する断面形状が放物線形状であり、熱輻射源である発熱体における発熱中心が反射板の焦点の位置に配置されている。このように発熱体における発熱中心が反射板の焦点の位置にあるため、本発明の加熱装置は発熱体からの輻射熱が反射板により反射されて効率の高い熱輻射が可能となる。応用としてはストーブ、オーブンレンジ、トースター、オーブンなど輻射加熱を行う商品に効果的である。
【0120】
また、本発明の加熱装置においては、前述の実施の形態3において説明したように、本発明の発熱体ユニットを設け、且つその発熱体ユニットを覆う筒体を配設した構成とすることも可能である。このように構成することにより、被加熱対象物等から発する異物、例えば肉汁、調味料等が筒体に遮られて直接発熱体ユニットに接することが防止される。これにより、発熱体ユニットの表面劣化による破損、断線を防止することが可能となり、長寿命の加熱装置を提供することができる。
【0121】
さらに、本発明の加熱装置においては、発熱体ユニットを、例えば複写機等の電子機器の熱源とした場合、発熱体ユニットを覆う筒体がトナー定着ローラとして用いて、このトナー定着ローラにおける紙が接する部分を効率高く加熱することが可能な構成となる。
また、本発明の加熱装置において、発熱体の少なくとも一部を耐熱管で覆った構成とすることにより、発熱体温度を高くすることが可能となり、加熱分布を変更することができる加熱装置を提供することが可能となる。
【0122】
また、本発明の発熱体ユニット及び加熱装置においては、炭素系物質を主成分として二次元的等方向性の熱伝導を有し、可撓性、柔軟性、及び弾力性等を有しており、さらに熱伝導性が200W/m・K以上であり、厚みが300μm以下であるフィルムシート状の発熱体を用いており、この発熱体は放射率が、80%以上の高い特性を有する。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明に係る発熱体ユニットは、発熱体の特性及びサイズの調整が容易に可能であり、汎用性の高い熱輻射源となり、この発熱体ユニットを用いた加熱装置は効率の高い加熱処理が可能となり汎用性が高く有用である。
【符号の説明】
【0124】
1 ガラス管
2 発熱体
3 保持ブロック
4 サポート部材
5 内部リード部材
6 モリブデン箔
7 外部リード線
11A 上部ローラ
11B 下部ローラ
21 筐体
24 反射板
32 筒体
31 加圧ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子フィルム、又はフィラーを添加した高分子フィルムを2400℃以上の温度で熱処理することにより得られたグラファイトフィルムシートを切断して複数の切り込みを面方向に形成する切り込み処理と、厚み方向に加圧する加圧処理と、拡張処理とにより形成された発熱体と、
前記発熱体における対向する両端に電力を供給する電力供給部と、
前記発熱体と前記電力供給部を内包する容器と、を具備する発熱体ユニット。
【請求項2】
前記発熱体は、前記拡張処理により一定方向に伸長する形状を有することを特徴とする請求項1に記載の発熱体ユニット。
【請求項3】
前記発熱体における複数の切り込みが、前記発熱体長手方向に沿って互いに対向する一対の両側縁よりそれぞれ互いに対向する側縁に向かって延設するように形成され、かつ前記発熱体の長手方向に沿って各側縁に所定の配置間隔を有して複数個配置され形成される第1の切り込み部と、前記長手方向に並設された前記第1の切り込み部の間に形成され前記両側縁から所定の長さを残して形成された第2の切り込み部と、で形成されたことを特徴とする請求項2に記載の発熱体ユニット。
【請求項4】
前記発熱体は、前記第1の切り込み部及び第2の切り込み部を形成する切り込み処理の後に、厚み方向に加圧する加圧処理を行い、加圧処理後の当該発熱体に対して一定方向に張力を加える拡張処理により、拡張した形状の前記第1の切り込み部及び第2の切り込み部を有する請求項3に記載の発熱体ユニット。
【請求項5】
前記発熱体は、長手方向における単位長さ当たりの伸長量が異なる部位を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項6】
前記発熱体は、前記加圧処理における加圧力によって単位面積当たりの抵抗値を可変する構成を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項7】
前記容器は、耐熱性を有するガラス管又はセラミックス管のいずれかにより構成された請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項8】
前記発熱体が伸長された形状において、前記発熱体の縁部の少なくとも一部が、前記容器の内壁面に接する構成としたことを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項9】
前記容器の少なくとも一方端を前記電力供給部において封止し、前記容器内に不活性ガスを充填した構成である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の発熱体ユニットを有し、発熱体に対向する位置に反射手段を設けた構成であることを特徴とする加熱装置。
【請求項11】
前記反射手段は、長手方向の断面形状が曲面形状を有する反射板である請求項10に記載の加熱装置。
【請求項12】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の発熱体ユニットを有し、前記発熱体ユニットの外周を取り囲むように構成された筒体が配設された加熱装置。
【請求項13】
発熱体ユニットの電気的制御を行う制御回路を有し、前記制御回路がオンオフ制御、通電率制御、位相制御、及びゼロクロス制御のそれぞれの回路を単独、若しくは少なくとも二つを組み合わせて構成された請求項10乃至12のいずれか一項に記載の加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−40169(P2011−40169A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183442(P2009−183442)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】