皮膚の老化予防などに有効な経口用組成物
【課題】安全で且つ継続的に経口摂取しやすく、皮膚老化予防剤としての効果を実感できる経口用組成物を提供すること。
【解決手段】経口用組成物に、コエンザイムQ10、コラーゲンおよび月桃葉と共に、糖アルコールおよび/または食物繊維を含有させる。さらに、パッションフルーツ香料を含有させることが好ましい。また、皮膚の老化予防の観点からは、さらにセラミドを含有することが好ましい。
【解決手段】経口用組成物に、コエンザイムQ10、コラーゲンおよび月桃葉と共に、糖アルコールおよび/または食物繊維を含有させる。さらに、パッションフルーツ香料を含有させることが好ましい。また、皮膚の老化予防の観点からは、さらにセラミドを含有することが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口用組成物に関し、より詳細には、特定の複数の有効成分を特定の賦形剤と共に配合したことにより、有効成分の口内分散性が改善され継続摂取がし易く、皮膚の老化予防効果を実感できる経口用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、少子高齢化社会がますます進行し、女性のみならず男性においても美容は大きな関心事になってきている。美容製品としては、化粧料が古くから用いられており、最近では美容に有効な様々な成分を化粧料に配合することが試みられている。
特許文献1には、コエンザイムQ10が基底膜安定化作用を有し、抗老化作用を示すことが開示されており、コエンザイムQ10を含有する基底膜安定化剤を含んだ化粧料などの外用剤が記載されている。特許文献2には、コエンザイムQ10と月桃葉が相乗効果を示すことが記載されており、コエンザイムQ10および月桃葉を含有する化粧品が皮膚の抗老化に有効であることが記載されている。しかしながら、皮膚は強力なバリア機能を有しているため、皮膚の外側から皮膚内に有効な成分を到達させることは実際には極めて難しい。
【0003】
一方、美容に有効な成分を経口的に摂取することも行われているが、経口的に有効成分を摂取しても、消化管内において分解されてしまい有効性を発揮し得ない場合がほとんどである。また、有効成分の種類によっては、口内分散性が悪かったり、独特の臭いを有しているなどの問題があり、継続摂取が難しいものもある。例えば、皮膚にはコラーゲンが存在し、老化によりコラーゲン量が低下するため、これを経口摂取することが行われているが、コラーゲンは口内分散性が悪く、また独特の臭いを有し後味が悪いため、継続して大量に摂取することができず、しかも摂取しても大半は消化管で分解されてしまうため、その効果は限定的である。
【0004】
特許文献2には、コエンザイムQ10および月桃葉を含有するサプリメントが疲労回復および減量に有効であることも記載されている。しかしながら、コエンザイムQ10は細胞の電子伝達系に寄与する成分であり、経口摂取した場合には皮膚に到達する前に全身で消費されてしまい、特許文献2に記載のサプリメントを皮膚の老化予防の目的で摂取したとしても皮膚での効果は限定的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−63160号公報
【特許文献2】特開2005−210935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、安全で且つ継続的に経口摂取しやすく、皮膚老化予防剤としての効果を実感できる経口用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コエンザイムQ10、コラーゲン、月桃葉、ならびに糖アルコールおよび/または食物繊維を含有する経口用組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
皮膚の老化防止に効果があると考えられるコエンザイムQ10、コラーゲンおよび月桃葉を配合した場合、これを経口摂取すると口中の水分を吸収して膜を形成してだまとなり、口溶けが悪く、歯や口中に付着していつまでも残ったり、むせてしまったりなどの経口摂取に適さない物性が認められるが、本発明の経口用組成物は、糖アルコールおよび/または食物繊維を併せて含有させたことにより、口内分散性が改善され長期間継続して摂取しやすくなっている。そして、本発明の経口用組成物は、コエンザイムQ10、コラーゲンおよび月桃葉の相乗効果により、皮膚の水分量および弾力性や、シワおよびキメを改善し、肌のハリの維持や肌の乾燥防止などの皮膚の老化防止に有用であり、さらには、皮膚をより良い状態へと改善する美肌効果も実感することができるものである。
【0009】
また、本発明の経口用組成物においては、さらに所望によりパッションフルーツ香料を配合すると、コラーゲンの独特の臭いや後味、および月桃葉の独特の臭いを抑え、一層摂取しやすくなり、これによって、日常的に継続して有効量を摂取することがより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例3の経口用組成物の摂取期間による皮膚水分量の推移を示したグラフである。
【図2】図2は、実施例3の経口用組成物の摂取期間による皮膚弾性力(振幅最大値)の推移を示したグラフである。
【図3】図3は、実施例3の経口用組成物の摂取期間による皮膚弾性力(振幅最小値)の推移を示したグラフである。
【図4】図4は、実施例3の経口用組成物の摂取期間による皮膚弾性力(戻り率)の推移を示したグラフである。
【図5】図5は、実施例3の経口用組成物の摂取期間による皮膚水分蒸散量の推移を示したグラフである。
【図6】図6は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるシワ体積率の推移を示したグラフである。
【図7】図7は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるシワ最大深度の推移を示したグラフである。
【図8】図8は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるシワ最大幅の推移を示したグラフである。
【図9】図9は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるシワ個数の推移を示したグラフである。
【図10】図10は、実施例3の経口用組成物の摂取期間による目尻のシワの変化を示した顕微鏡写真であり、(a)は摂取前、(b)は摂取4週後、(c)は摂取8週後の写真である。
【図11】図11は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるキメ体積率の推移を示したグラフである。
【図12】図12は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるキメ平均深度の推移を示したグラフである。
【図13】図13は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるキメ個数の推移を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、好ましい実施態様に基づき詳述する。
先ず、本発明の経口用組成物について説明する。
本発明の経口用組成物が含有するコエンザイムQ10(以下、(a)成分またはコエンザイムQ10(a)ともいう)は、一般名がユビデカレノン(分子式C59H90O4、分子量863.36)であり、補酵素Q10とも呼ばれるものである。コエンザイムQ10は、日本薬局方に記載されており、日本においては医薬品として30年近い使用実績があり、重篤な副作用は報告されておらず、また海外でも健康食品として使用されているが問題となる有害事象は報告されていない。
【0012】
本発明の経口用組成物が含有するコラーゲン(以下、(b)成分またはコラーゲン(b)ともいう)としては、経口摂取に適したものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、コラーゲンそのものを用いてもよいし、加水分解、熱変性などの処理によって得られるコラーゲンペプチド、ゼラチンなどの形態とされたコラーゲンを用いてもよく、これらから選択された1種以上を用いることができる。
【0013】
本発明の経口用組成物が含有する月桃葉(以下、(c)成分または月桃葉(c)ともいう)としては、月桃の葉および/または茎の抽出物を用いることができる。なお、月桃は、熱帯から亜熱帯に分布するショウガ科の植物である。
上記抽出物は、月桃の葉および/または茎を、溶媒(例えば水および/またはアルコール)で抽出した抽出液そのもの、またはその希釈物もしくは濃縮物などの液状物や、該抽出液の乾燥物などの固形物のいずれの形態でもよく、これらの中から本発明の経口用組成物の形態や製造方法などに応じて適宜選択して用いることができる。また、上記抽出物は精製されたものであってもよい。上記抽出物としては市販品、例えば丸善製薬製の月桃葉エキスなどを用いてもよい。
【0014】
本発明の経口用組成物においては、皮膚老化予防剤としての効果の観点から、コエンザイムQ10(a)、コラーゲン(b)および月桃葉(c)の3成分の合計量100質量部中に、(a)成分を0.05〜80.0質量部、特に0.2〜45.0質量部含有することが好ましく、(b)成分を5.0〜99.0質量部、特に10.0〜95.0質量部含有することが好ましく、(c)成分を0.05〜80.0質量部、特に2.0〜60.0質量部含有することが好ましい。
なお、月桃葉(c)として液状物を用いた場合には、含有量の算出に際しては固形物換算して計算するものとする。
【0015】
本発明の経口用組成物は、上記(a)〜(c)成分の3成分と共に、糖アルコールおよび/または食物繊維(以下、(d)成分ともいう)を含有する。コラーゲン(b)は口内分散性が悪いという問題があるが、糖アルコールを含有させるとコラーゲン(b)の口溶けが改善され、また食物繊維を含有させるとコラーゲン(b)がだまになることを抑制し、いずれも口内分散性を改善することができる。口内分散性改善効果は、糖アルコールおよび食物繊維の両者を含有させた場合にとりわけ高い。
本発明の経口用組成物において、糖アルコールおよび/または食物繊維の含有量は、(a)〜(c)成分の3成分の合計量100質量部に対し1.0〜1400.0質量部が好ましく、6.0〜40.0質量部がさらに好ましい。また、糖アルコールと食物繊維とを併用する場合は、両者の使用比率(前者:後者、質量基準)が10.0:90.0〜90.0:10.0、特に40.0:60.0〜90.0:10.0の範囲となるようにすることが好ましい。
【0016】
上記糖アルコールとしては、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、パラチノース、マンニトール、ラクチトールなどが挙げられ、これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、これらの中でも、キシリトールおよび/またはエリスリトールを用いることが好ましい。エリスリトールにより高い効果が認められることから、糖アルコール中の50質量%以上、特に60質量%以上をエリスリトールとすることがさらに好ましい。
【0017】
上記食物繊維としては、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、リグニン、イヌリン、グルカン、キチン/キトサンなどが挙げられ、これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、これらの中でもセルロースが好ましく、特に平均粒子径45〜100μmのセルロースが好ましい。
【0018】
本発明の経口用組成物は、さらにパッションフルーツ香料(以下、(e)成分またはパッションフルーツ香料(e)ともいう)を含有することが好ましい。コラーゲン(b)は独特の臭いと後味を有し、また月桃葉(c)も独特の臭いを有するが、パッションフルーツ香料(e)を含有することによって、これらの臭いなどが抑制され、経口摂取しやすくなる。本発明の経口用組成物において、(e)成分の含有量は、(a)〜(c)成分の3成分の合計量100質量部に対し0.001〜8.0質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がさらに好ましい。
【0019】
本発明の経口用組成物には、パッションフルーツ香料(e)以外のその他の香料を含有させてもよいが、香料としてはパッションフルーツ香料(e)を単独で用いることが好ましい。パッションフルーツ香料(e)を単独で用いた方が、その他の香料のみを用いた場合、およびパッションフルーツ香料(e)をその他の香料と併用した場合に比べ、コラーゲン(b)および月桃葉(c)の臭いなどを抑制する効果が高い。
なお、その他の香料としては、特に制限されるものではないが、レモン香料、レモンジュース香料、パインナップル香料、レモンライム香料、グレープフルーツ香料、ヨーグルト香料、ブルーベリー香料、オレンジ香料、マンゴー香料、シークワーサー香料、アップル香料、ココナッツ香料などが挙げられる。その他の香料を併用する場合は、パッションフルーツ香料(e)の使用量に対し100.0質量%以下、特に60.0質量%以下とすることが好ましい。
【0020】
本発明の経口用組成物は、主として、皮膚の老化予防を目的として摂取される。皮膚の老化予防の観点から、本発明の経口用組成物は、さらにセラミド(以下、(f)成分ともいう)を含有することが好ましい。セラミドとしては、経口摂取に適したものであれば特に制限なく用いることができる。本発明の経口用組成物において、セラミドの含有量は、(a)〜(c)成分の3成分の合計量100質量部に対し0.01〜15.0質量部が好ましく、0.1〜2.5質量部がさらに好ましい。
なお、本発明の経口用組成物には、皮膚の老化予防効果のほか、疲労回復、減量などの効果も期待される。
【0021】
本発明の経口用組成物は、上記(a)〜(f)成分のほか、必要に応じて任意成分として、飲食品または飼料に用いることができる各種原料や、薬学的に許容される各種担体および添加剤などを含有してもよい。例えば、本発明の経口用組成物は機能性成分を適宜含有してもよい。該機能性成分としては、蛋白質類、ビタミン類、ミネラル類、オリゴ糖類、乳酸菌、ポリフェノール類、ヒアルロン酸、システイン、グルコサミン、アルギニン、オルニチン、GABA、高麗人参エキス、ローヤルゼリーなどが挙げられる。
【0022】
本発明の経口用組成物は、常法に従って適宜製剤化することができる。製剤化する場合の剤型としては、経口摂取可能である限り特に制限はなく、顆粒剤、散剤、粉剤、錠剤、カプセル剤、チュアブル錠などの固形製剤であってもよく、シロップ剤、ドリンク剤、液剤、懸濁剤、ゼリー形態などの液体製剤であってもよい。製剤化する場合には、(a)〜(d)成分に、(e)および(f)成分のほか、(d)成分である糖アルコールおよび食物繊維以外の賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料などを剤型に応じて適宜配合し、製剤化することができる。なお、液剤、懸濁剤などの液体製剤は、服用直前に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁する形であってもよく、また錠剤、顆粒剤の場合には周知の方法でその表面をコーティングしてもよい。
【0023】
本発明の経口用組成物の摂取量は、摂取する者の年齢、性別などによって適宜選択することができるが、成人1日当たりの摂取量が(a)〜(c)成分の合計量で110〜110,000mgの範囲が好ましい。本発明の経口用組成物は、1日1回の摂取でもよいし、1日に数回に分けて摂取してもよい。
【0024】
また、本発明の経口用組成物を製剤化する場合、製剤中の(a)〜(c)成分の含有量は、剤型などに応じて適宜選択することができるが、少なすぎると上記の好ましい摂取量を満たすように経口摂取することが困難になる場合があるため、(a)〜(c)成分の合計量が製剤中に12.0質量%以上であることが望ましい。
【0025】
次に、本発明の飲食品、医薬品または飼料について説明する。
本発明の飲食品は、本発明の経口用組成物を含有するものであり、例えば、本発明の経口用組成物そのものであってもよいし、通常の飲食品に本発明の経口用組成物を配合して含有させたものであってもよい。通常の飲食品に本発明の経口用組成物を配合して含有させる場合には、飲食品の通常の製造工程のいずれかの段階で配合してもよいし、飲食品を通常通り製造した後、該飲食品に配合してもよい。本発明の飲食品中における本発明の経口用組成物の含有量は、飲食品の種類に応じて、上記の好ましい1日当たりの摂取量を満たすことができるように適宜選択することが望ましい。
【0026】
本発明の飲食品は、本発明の経口用組成物を含有できるものである限りその形態は特に制限されず、健康食品、機能性食品および特定保健用食品も包含する。本発明の飲食品は、例えば、前述の製剤そのものであってもよいし、茶飲料(緑茶、ウーロン茶、紅茶など)、清涼飲料、ゼリー飲料、スポーツ飲料、牛乳、乳飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、発酵乳飲料、粉末飲料、ココア飲料、コーヒー飲料、アルコール飲料、精製水などの飲料、バター、ジャム、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、カスタードクリームなどのスプレッド類、ドレッシング類、パン類、米飯類、麺類、パスタ類、味噌汁、豆腐、ヨーグルト、スープ類、ソース類、ふりかけ、各種調味料、菓子(例えば、ビスケットやクッキー類、チョコレート、キャンディ、ケーキ、アイスクリーム、チューインガム、タブレット)などであってもよい。
【0027】
なお、本発明の医薬品または飼料については、上述の本発明の飲食品についての説明を適宜適用することができる。また、本発明の飼料については、家畜、ペットおよび競走馬などの種々の動物に供することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例などを挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
〔参考試験例1〜9〕
コラーゲン10質量部に、表1に記載の賦形剤1質量部を混合した。得られた混合物について官能評価を行った。評価項目は、継粉発生の有無、口溶けおよび総合評価とした。各評価項目の評価方法および評価基準は以下の通りである。評価結果を表1に示す。
【0030】
(1)継粉発生の有無評価方法
味覚に異常がない成人数名の被験者が、混合物1gを最大で30秒間、口中に含み、0.5〜10mmの粉末の固まりが発生するか、およびその固まりの程度について評価した。評価基準は、「−:無し、+:わずかに有り、++:有り」の3段階とした。
【0031】
(2)口溶け評価方法
味覚に異常がない成人数名の被験者が、混合物1gを最大で30秒間、口中に含み、粉末の溶けやすさ、粉末の溶け残りなどの口溶けについて評価した。評価基準は、「○:良い、△:普通、×:悪い」の3段階とした。
【0032】
(3)総合評価
継粉発生の有無評価および口溶け評価の被験者が、各試験例について総合的に評価した。評価基準は、「◎:非常に良い、○:良い、△:普通、×:悪い」の4段階とした。
【0033】
【表1】

【0034】
表1から以下のことが明らかである。
二糖であるトレハロース、オリゴ糖であるデキストリン、または多糖である澱粉を用いても、継粉発生および口溶けを改善することはできない(参考試験例4、5および6)。これに対し、糖アルコール(キシリトールもしくはエリスリトール)または食物繊維(セルロース)を単独で用いると、継粉発生および口溶けを改善することができ(参考試験例1、2および3)、糖アルコールと食物繊維とを併用すると、継粉発生および口溶けを極めて良好にすることができる(参考試験例7、8および9)。
【0035】
〔実施例1〕
下記表2に記載の原料配合(合計1700mg)に対し表3に記載の香料0.3質量%(5.1mg)を添加し混合して粉末状の経口用組成物を得た。得られた経口用組成物について、官能評価を行った。評価項目は、コラーゲン臭の有無、月桃葉臭との相性および総合評価とした。各評価項目の評価方法および評価基準は以下の通りである。評価結果を表3に示す。
【0036】
【表2】

【0037】
(1)コラーゲン臭評価方法
味覚に異常がない成人数名の被験者が、混合物1.7gを口中に含み、コラーゲン臭があるかについて評価した。評価基準は、「−:無し、+:わずかに有り、++:有り」の3段階とした。
【0038】
(2)月桃葉臭との相性評価方法
味覚に異常がない成人数名の被験者が、混合物1.7gを口中に含み、月桃葉臭との相性を評価した。評価基準は、「◎:非常に良い、○:良い、△:普通、×:悪い」の4段階とした。
【0039】
(3)総合評価
コラーゲン臭および月桃葉臭を評価してもらった被験者が各実施例について総合的に評価した。評価基準は、「◎:非常に良い、○:良い、△:普通、×:悪い」の4段階とした。
【0040】
【表3】

【0041】
表3から以下のことが明らかである。
飲食品などに用いられる香料としては極めて多数のものが知られているが、それらの中でも、コラーゲンおよび月桃葉の臭いの抑制には、パッションフルーツ香料が効果的である。その効果は、パッションフルーツ香料を他の香料と併用した場合にも奏されるが、パッションフルーツ香料を単独で使用した場合に特に高い。
【0042】
〔実施例2〕
下記表4に記載の原料配合に従い、常法により顆粒化して経口用組成物を得た。
尚、顆粒化の際には、先ず各原料を計量した後、原料を混合して篩過(16メッシュ)し、次いで、流動層造粒を行った後、整粒(16メッシュ)した。流動層造粒においては、原料品温約50℃で造粒を開始し、バインダーとしてプルラン水溶液(濃度8質量%)を用いた。
【0043】
【表4】

【0044】
得られた顆粒状の経口用組成物について、同意を得られたモニター14名(男性10名、女性4名、年齢20〜50代)によりモニター試験を行った。モニター試験においては、1日当たり1700mgの経口用組成物を継続摂取することとした。各モニターの摂取期間は10〜14日間(平均12.9日間)であった。なお、摂取にあたっては、顆粒状の経口用組成物をそのまま飲むか、又は飲み物と一緒に飲むかのいずれかを各モニターの好みによって選択してもらったところ、そのまま飲んだモニターが12名、飲み物と一緒に飲んだモニターが2名であった。
【0045】
モニター試験終了後、アンケート形式で、肌への効果、味、口溶けおよび総合評価について、下記評価基準に従って評価を求めた。
【0046】
<評価基準>
・肌への効果の実感(3段階評価)
3点:実感があった。
2点:やや実感があった。
1点:実感はなかった。
・味(5段階評価)
5点:好き
4点:やや好き
3点:普通
2点:やや嫌い
1点:嫌い
・口溶け(5段階評価)
5点:溶けやすい
4点:やや溶けやすい
3点:どちらでもない
2点:やや溶けにくい
1点:溶けにくい
・総合評価(5段階評価)
5点:満足
4点:やや満足
3点:どちらでもない
2点:やや不満
1点:不満
【0047】
各評価項目について、14名のモニターの評価結果から平均点を算出したところ、肌への効果の実感は2.6点、味は3.8点、口溶けは4.2点、総合評価は4.1点であり、良好な結果であった。
肌への効果については、肌にハリがでた、肌の乾燥がなくなった、顔色が明るくなった、肌荒れが改善された、化粧のりがよくなった、毛穴が小さくなったなどの感想が聞かれたほか、髪質の調子が良くなったという感想もあった。
【0048】
なお、モニター試験期間において、体調への悪影響(異常)を訴えるモニターはいなかった。また、顆粒を摂取する際にむせたというモニターはおらず、外観に違和感を感じたというモニターもいなかった。
以上より、本発明の経口用組成物は、皮膚の老化防止のための経口用組成物として適したものであることが確認できた。
【0049】
〔実施例3〕
下記表5に記載の原料配合に従い、常法により顆粒化して経口用組成物を得た。
尚、顆粒化の際には、先ず各原料を計量した後、原料を混合して篩過(16メッシュ)し、次いで、流動層造粒を行った後、整粒(16メッシュ)した。流動層造粒においては、原料品温約50℃で造粒を開始し、バインダーとしてプルラン水溶液(濃度8質量%)を用いた。
【0050】
【表5】

【0051】
得られた顆粒状の経口用組成物について、同意を得られたモニター11名(肌のかさつき、たるみを実感している女性11名、平均年齢54.4歳)により皮膚性状に関する試験を行った。モニター試験においては、上記の顆粒状の経口用組成物1700mgを一日一回、夕食後に水、ぬるま湯またはお茶とともに8週間継続的に摂取した。
【0052】
摂取前、摂取開始4週後および摂取開始8週後(摂取終了後)に下記の項目について測定ないし調査を行った。
【0053】
<1.皮膚水分量測定>
・測定内容:被験者の頬骨の上を、5ミリづつずらして3箇所測定(恒温恒湿ルームにて測定)。
・測定部位:右頬 計1箇所
・測定項目:皮膚水分量 計1項目(平均値を採用)
・測定機器:CORNEOMETER CM 825/(株)インテグラルによる静電容量を用いた計測
<2.皮膚弾力性測定>
・測定内容:被験者の耳朶下の付根と唇端とを結んだ直線上の、耳朶下の付根から4cmの部分を3回以上測定(恒温恒湿ルームにて測定)。
・測定部位:右頬 計1箇所
・測定項目:皮膚弾力性(振幅最大値)・皮膚弾力性(振幅最小値)・皮膚弾力性(戻り率) 計3項目(中央値を採用)
・測定機器:CUTOMETER MPA580/(株)インテグラル
<3.皮膚水分蒸散量測定>
・測定内容:被験者の耳朶下の付根と唇端を結んだ、耳朶下の付根から3cmの部分をポータブル水分蒸散計により測定(恒温恒湿ルームにて測定)。
・測定部位:右頬 計1箇所
・測定項目:皮膚水分蒸散量 計1項目
・測定機器:VapoMeter SWL-4001TJ
【0054】
<4.シワレプリカ画像・数値解析>
・測定内容:シワ画像解析(3D皮膚解析;目尻の部分でレプリカを採取)。
・測定部位:右目尻 計1箇所
・測定項目:シワ体積率・シワ最大深度・シワ最大幅・シワ個数 計4項目
・測定機器:ASA-03RXD シワ解析装置/(株)アサヒバイオメッド
<5.キメレプリカ画像・数値解析>
・測定内容:キメ画像解析(3D皮膚解析;耳朶下の付け根と小鼻を結んで、耳朶下の付け根から7cmの部分でレプリカを採取)。
・測定部位:右頬 計1箇所
・測定項目:キメ体積率・キメ平均深度・キメ個数 計3項目
・測定機器:ASA-03RXD キメ解析装置/(株)アサヒバイオメッド
<6.アンケート調査>
・調査内容:肌に関するアンケート
・調査項目:毛穴・小ジワ・顔(特に目元・口元)のかさつき・洗顔後のつっぱり感・肌のハリ・たるみ・肘、ひざ、かかとのかさつき・顔全体のくすみ・メイクののりの悪さ 計9項目
・調査方法:被験者本人による記録(4段階評価 4点:気にならない、3点:あまり気にならない、2点:やや気になる、1点:気になる)
【0055】
各項目の測定・調査結果は以下のとおりであった。
【0056】
<1.皮膚水分量の推移>
皮膚水分量の推移について、表6および図1に示した。
摂取前において55.1±2.2、摂取4週後において56.2±2.2、摂取8週後において59.9±2.2であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+1.1、摂取8週後において+4.8であり、摂取8週後(P<0.001)に有意差が認められた。
【0057】
【表6】

【0058】
<2.皮膚弾力性の推移>
皮膚弾力性の推移について、表7および図2〜図4に示した。
i)皮膚弾力性(振幅最大値)
摂取前において0.252±0.013mm、摂取4週後において0.221±0.009mm、摂取8週後において0.204±0.009mmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において−0.031mm、摂取8週後において−0.048mmであり、摂取4週後(P=0.037)、摂取8週後(P=0.001)に有意差が認められた。
ii)皮膚弾力性(振幅最小値)
摂取前において0.090±0.007mm、摂取4週後において0.074±0.004mm、摂取8週後において0.066±0.003mmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において−0.016mm、摂取8週後において−0.024mmであり、摂取4週後(P=0.013)、摂取8週後(P<0.001)に有意差が認められた。
iii)皮膚弾力性(戻り率)
摂取前において64.7±1.2%、摂取4週後において66.4±1.3%、摂取8週後において67.3±1.2%であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+1.7%、摂取8週後において+2.6%であり、摂取8週後(P=0.024)に有意差が認められた。
【0059】
【表7】

【0060】
<3.皮膚水分蒸散量の推移>
皮膚水分蒸散量(ポータブル水分蒸散計による測定)の推移について、表8および図5に示した。
摂取前において10.2±0.9g/hm2、摂取4週後において11.0±1.0g/hm2、摂取8週後において11.8±0.7g/hm2であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.8g/hm2、摂取8週後において+1.6g/hm2であり、摂取8週後(P=0.021)に有意差が認められた。
なお、皮膚水分蒸散量が増加したことは、通常、皮膚のバリア機能が低下したことを意味するが、摂取8週後の皮膚水分蒸散量も一般的な皮膚水分蒸散量の範囲内であった。
【0061】
【表8】

【0062】
<4.シワの推移>
シワの推移について、表9および図6〜図10に示した。尚、図10には、代表して被験者番号2のモニターの目尻部分のシワの顕微鏡写真を示した。摂取前である図10(a)、摂取4週後である図10(b)、摂取8週後である図10(c)から、経時的にシワの状態が改善していることが分かる。
i)シワ体積率
摂取前において203±28μm3/mm2/100、摂取4週後において181±27μm3/mm2/100、摂取8週後において176±26μm3/mm2/100であった。摂取前と比較して、摂取4週後において−22μm3/mm2/100、摂取8週後において−27μm3/mm2/100であり、摂取4週後(P=0.002)、摂取8週後(P<0.001)に有意差が認められた。
ii)シワ最大深度
摂取前において496±51μm、摂取4週後において464±49μm、摂取8週後において441±38μmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において−32μm、摂取8週後において−55μmであり、摂取8週後(P=0.016)に有意差が認められた。
iii)シワ最大幅
摂取前において712±42μm、摂取4週後において698±29μm、摂取8週後において645±36μmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において−14μm、摂取8週後において−67μmであり、摂取8週後(P=0.040)に有意差が認められた。
iv)シワ個数
摂取前において0.579±0.045N/mm、摂取4週後において0.566±0.053N/mm、摂取8週後において0.555±0.053N/mmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において−0.013N/mm、摂取8週後において−0.024N/mmであり、有意差は認められなかった。
【0063】
【表9】

【0064】
<5.キメの推移>
キメの推移について、表10および図11〜図13に示した。
i)キメ体積率
摂取前において44.4±3.1μm3/mm2/100、摂取4週後において46.0±2.2μm3/mm2/100、摂取8週後において45.9±2.7μm3/mm2/100であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+1.6μm3/mm2/100、摂取8週後において+1.5μm3/mm2/100であり、有意差は認められなかった。
ii)キメ平均深度
摂取前において44.7±0.6μm、摂取4週後において44.5±0.6μm、摂取8週後において43.7±0.6μmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において−0.2μm、摂取8週後において−1.0μmであり、有意差は認められなかった。
iii)キメ個数
摂取前において1.41±0.08N/mm、摂取4週後において1.49±0.09N/mm、摂取8週後において1.57±0.09N/mmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.08N/mm、摂取8週後において+0.16N/mmであり、摂取8週後(P=0.006)に有意差が認められた。
【0065】
【表10】

【0066】
<6.アンケート調査の推移>
アンケート調査の推移について、表11〜表12に示した。
i)毛穴について
平均値は、摂取前において1.73、摂取4週後において1.91、摂取8週後において2.27であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.18、摂取8週後において+0.54であり、有意差は認められなかった。
ii)小ジワについて
平均値は、摂取前において1.36、摂取4週後において1.73、摂取8週後において1.64であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.37、摂取8週後において+0.28であり、有意差は認められなかった。
iii)顔(特に目元・口元)のかさつきについて
平均値は、摂取前において1.45、摂取4週後において2.27、摂取8週後において2.18であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.82、摂取8週後において+0.73であり、摂取4週後(P=0.024)に有意差が認められた。
iv)洗顔後のつっぱり感について
平均値は、摂取前において1.73、摂取4週後において2.55、摂取8週後において2.55であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.82、摂取8週後において+0.82であり、摂取8週後(P=0.007)に有意差が認められた。
v)肌のハリについて
平均値は、摂取前において1.36、摂取4週後において2.00、摂取8週後において2.09であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.64、摂取8週後において+0.73であり、摂取8週後(P=0.023)に有意差が認められた。
【0067】
vi)たるみについて
平均値は、摂取前において1.27、摂取4週後において1.82、摂取8週後において1.73であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.55、摂取8週後において+0.46であり、有意差は認められなかった。
vii)肘、ひざ、かかとのかさつきについて
平均値は、摂取前において1.27、摂取4週後において1.45、摂取8週後において2.00であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.18、摂取8週後において+0.73であり、摂取8週後(P=0.023)に有意差が認められた。
viii)顔全体のくすみについて
平均値は、摂取前において1.55、摂取4週後において1.82、摂取8週後において2.09であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.27、摂取8週後において+0.54であり、有意差は認められなかった。
ix)メイクのノリの悪さについて
平均値は、摂取前において1.73、摂取4週後において2.55、摂取8週後において2.45であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.82、摂取8週後において+0.72であり、摂取4週後(P=0.014)、摂取8週後(P=0.023)に有意差が認められた。
【0068】
【表11】

【0069】
【表12】

【0070】
<まとめ>
以上の結果の通り、本発明の経口用組成物の摂取により、皮膚水分量および皮膚弾力性において経時的に有意な改善が認められた。また、シワおよびキメレプリカの種々の項目においても有意な改善が認められた。
主観評価である自覚症状アンケートでも、保湿性に関する「顔のかさつき」、「肘・ひざ・かかとのかさつき」および「洗顔後のつっぱり感」、皮膚弾力性に関する「肌のハリ」、ならびにキメや諸症状全般に関する「メイクのノリ」で有意な改善が見られ、客観評価と相関した改善が示唆された。
以上のことから、本発明の経口用組成物は、8週間の長期にわたって、問題なく継続摂取が可能であり、摂取により、皮膚の弾力性および保湿性をはじめとする皮膚の諸症状を改善できることが分かる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口用組成物に関し、より詳細には、特定の複数の有効成分を特定の賦形剤と共に配合したことにより、有効成分の口内分散性が改善され継続摂取がし易く、皮膚の老化予防効果を実感できる経口用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、少子高齢化社会がますます進行し、女性のみならず男性においても美容は大きな関心事になってきている。美容製品としては、化粧料が古くから用いられており、最近では美容に有効な様々な成分を化粧料に配合することが試みられている。
特許文献1には、コエンザイムQ10が基底膜安定化作用を有し、抗老化作用を示すことが開示されており、コエンザイムQ10を含有する基底膜安定化剤を含んだ化粧料などの外用剤が記載されている。特許文献2には、コエンザイムQ10と月桃葉が相乗効果を示すことが記載されており、コエンザイムQ10および月桃葉を含有する化粧品が皮膚の抗老化に有効であることが記載されている。しかしながら、皮膚は強力なバリア機能を有しているため、皮膚の外側から皮膚内に有効な成分を到達させることは実際には極めて難しい。
【0003】
一方、美容に有効な成分を経口的に摂取することも行われているが、経口的に有効成分を摂取しても、消化管内において分解されてしまい有効性を発揮し得ない場合がほとんどである。また、有効成分の種類によっては、口内分散性が悪かったり、独特の臭いを有しているなどの問題があり、継続摂取が難しいものもある。例えば、皮膚にはコラーゲンが存在し、老化によりコラーゲン量が低下するため、これを経口摂取することが行われているが、コラーゲンは口内分散性が悪く、また独特の臭いを有し後味が悪いため、継続して大量に摂取することができず、しかも摂取しても大半は消化管で分解されてしまうため、その効果は限定的である。
【0004】
特許文献2には、コエンザイムQ10および月桃葉を含有するサプリメントが疲労回復および減量に有効であることも記載されている。しかしながら、コエンザイムQ10は細胞の電子伝達系に寄与する成分であり、経口摂取した場合には皮膚に到達する前に全身で消費されてしまい、特許文献2に記載のサプリメントを皮膚の老化予防の目的で摂取したとしても皮膚での効果は限定的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−63160号公報
【特許文献2】特開2005−210935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、安全で且つ継続的に経口摂取しやすく、皮膚老化予防剤としての効果を実感できる経口用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コエンザイムQ10、コラーゲン、月桃葉、ならびに糖アルコールおよび/または食物繊維を含有する経口用組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
皮膚の老化防止に効果があると考えられるコエンザイムQ10、コラーゲンおよび月桃葉を配合した場合、これを経口摂取すると口中の水分を吸収して膜を形成してだまとなり、口溶けが悪く、歯や口中に付着していつまでも残ったり、むせてしまったりなどの経口摂取に適さない物性が認められるが、本発明の経口用組成物は、糖アルコールおよび/または食物繊維を併せて含有させたことにより、口内分散性が改善され長期間継続して摂取しやすくなっている。そして、本発明の経口用組成物は、コエンザイムQ10、コラーゲンおよび月桃葉の相乗効果により、皮膚の水分量および弾力性や、シワおよびキメを改善し、肌のハリの維持や肌の乾燥防止などの皮膚の老化防止に有用であり、さらには、皮膚をより良い状態へと改善する美肌効果も実感することができるものである。
【0009】
また、本発明の経口用組成物においては、さらに所望によりパッションフルーツ香料を配合すると、コラーゲンの独特の臭いや後味、および月桃葉の独特の臭いを抑え、一層摂取しやすくなり、これによって、日常的に継続して有効量を摂取することがより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例3の経口用組成物の摂取期間による皮膚水分量の推移を示したグラフである。
【図2】図2は、実施例3の経口用組成物の摂取期間による皮膚弾性力(振幅最大値)の推移を示したグラフである。
【図3】図3は、実施例3の経口用組成物の摂取期間による皮膚弾性力(振幅最小値)の推移を示したグラフである。
【図4】図4は、実施例3の経口用組成物の摂取期間による皮膚弾性力(戻り率)の推移を示したグラフである。
【図5】図5は、実施例3の経口用組成物の摂取期間による皮膚水分蒸散量の推移を示したグラフである。
【図6】図6は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるシワ体積率の推移を示したグラフである。
【図7】図7は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるシワ最大深度の推移を示したグラフである。
【図8】図8は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるシワ最大幅の推移を示したグラフである。
【図9】図9は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるシワ個数の推移を示したグラフである。
【図10】図10は、実施例3の経口用組成物の摂取期間による目尻のシワの変化を示した顕微鏡写真であり、(a)は摂取前、(b)は摂取4週後、(c)は摂取8週後の写真である。
【図11】図11は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるキメ体積率の推移を示したグラフである。
【図12】図12は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるキメ平均深度の推移を示したグラフである。
【図13】図13は、実施例3の経口用組成物の摂取期間によるキメ個数の推移を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、好ましい実施態様に基づき詳述する。
先ず、本発明の経口用組成物について説明する。
本発明の経口用組成物が含有するコエンザイムQ10(以下、(a)成分またはコエンザイムQ10(a)ともいう)は、一般名がユビデカレノン(分子式C59H90O4、分子量863.36)であり、補酵素Q10とも呼ばれるものである。コエンザイムQ10は、日本薬局方に記載されており、日本においては医薬品として30年近い使用実績があり、重篤な副作用は報告されておらず、また海外でも健康食品として使用されているが問題となる有害事象は報告されていない。
【0012】
本発明の経口用組成物が含有するコラーゲン(以下、(b)成分またはコラーゲン(b)ともいう)としては、経口摂取に適したものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、コラーゲンそのものを用いてもよいし、加水分解、熱変性などの処理によって得られるコラーゲンペプチド、ゼラチンなどの形態とされたコラーゲンを用いてもよく、これらから選択された1種以上を用いることができる。
【0013】
本発明の経口用組成物が含有する月桃葉(以下、(c)成分または月桃葉(c)ともいう)としては、月桃の葉および/または茎の抽出物を用いることができる。なお、月桃は、熱帯から亜熱帯に分布するショウガ科の植物である。
上記抽出物は、月桃の葉および/または茎を、溶媒(例えば水および/またはアルコール)で抽出した抽出液そのもの、またはその希釈物もしくは濃縮物などの液状物や、該抽出液の乾燥物などの固形物のいずれの形態でもよく、これらの中から本発明の経口用組成物の形態や製造方法などに応じて適宜選択して用いることができる。また、上記抽出物は精製されたものであってもよい。上記抽出物としては市販品、例えば丸善製薬製の月桃葉エキスなどを用いてもよい。
【0014】
本発明の経口用組成物においては、皮膚老化予防剤としての効果の観点から、コエンザイムQ10(a)、コラーゲン(b)および月桃葉(c)の3成分の合計量100質量部中に、(a)成分を0.05〜80.0質量部、特に0.2〜45.0質量部含有することが好ましく、(b)成分を5.0〜99.0質量部、特に10.0〜95.0質量部含有することが好ましく、(c)成分を0.05〜80.0質量部、特に2.0〜60.0質量部含有することが好ましい。
なお、月桃葉(c)として液状物を用いた場合には、含有量の算出に際しては固形物換算して計算するものとする。
【0015】
本発明の経口用組成物は、上記(a)〜(c)成分の3成分と共に、糖アルコールおよび/または食物繊維(以下、(d)成分ともいう)を含有する。コラーゲン(b)は口内分散性が悪いという問題があるが、糖アルコールを含有させるとコラーゲン(b)の口溶けが改善され、また食物繊維を含有させるとコラーゲン(b)がだまになることを抑制し、いずれも口内分散性を改善することができる。口内分散性改善効果は、糖アルコールおよび食物繊維の両者を含有させた場合にとりわけ高い。
本発明の経口用組成物において、糖アルコールおよび/または食物繊維の含有量は、(a)〜(c)成分の3成分の合計量100質量部に対し1.0〜1400.0質量部が好ましく、6.0〜40.0質量部がさらに好ましい。また、糖アルコールと食物繊維とを併用する場合は、両者の使用比率(前者:後者、質量基準)が10.0:90.0〜90.0:10.0、特に40.0:60.0〜90.0:10.0の範囲となるようにすることが好ましい。
【0016】
上記糖アルコールとしては、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、パラチノース、マンニトール、ラクチトールなどが挙げられ、これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、これらの中でも、キシリトールおよび/またはエリスリトールを用いることが好ましい。エリスリトールにより高い効果が認められることから、糖アルコール中の50質量%以上、特に60質量%以上をエリスリトールとすることがさらに好ましい。
【0017】
上記食物繊維としては、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、リグニン、イヌリン、グルカン、キチン/キトサンなどが挙げられ、これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、これらの中でもセルロースが好ましく、特に平均粒子径45〜100μmのセルロースが好ましい。
【0018】
本発明の経口用組成物は、さらにパッションフルーツ香料(以下、(e)成分またはパッションフルーツ香料(e)ともいう)を含有することが好ましい。コラーゲン(b)は独特の臭いと後味を有し、また月桃葉(c)も独特の臭いを有するが、パッションフルーツ香料(e)を含有することによって、これらの臭いなどが抑制され、経口摂取しやすくなる。本発明の経口用組成物において、(e)成分の含有量は、(a)〜(c)成分の3成分の合計量100質量部に対し0.001〜8.0質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がさらに好ましい。
【0019】
本発明の経口用組成物には、パッションフルーツ香料(e)以外のその他の香料を含有させてもよいが、香料としてはパッションフルーツ香料(e)を単独で用いることが好ましい。パッションフルーツ香料(e)を単独で用いた方が、その他の香料のみを用いた場合、およびパッションフルーツ香料(e)をその他の香料と併用した場合に比べ、コラーゲン(b)および月桃葉(c)の臭いなどを抑制する効果が高い。
なお、その他の香料としては、特に制限されるものではないが、レモン香料、レモンジュース香料、パインナップル香料、レモンライム香料、グレープフルーツ香料、ヨーグルト香料、ブルーベリー香料、オレンジ香料、マンゴー香料、シークワーサー香料、アップル香料、ココナッツ香料などが挙げられる。その他の香料を併用する場合は、パッションフルーツ香料(e)の使用量に対し100.0質量%以下、特に60.0質量%以下とすることが好ましい。
【0020】
本発明の経口用組成物は、主として、皮膚の老化予防を目的として摂取される。皮膚の老化予防の観点から、本発明の経口用組成物は、さらにセラミド(以下、(f)成分ともいう)を含有することが好ましい。セラミドとしては、経口摂取に適したものであれば特に制限なく用いることができる。本発明の経口用組成物において、セラミドの含有量は、(a)〜(c)成分の3成分の合計量100質量部に対し0.01〜15.0質量部が好ましく、0.1〜2.5質量部がさらに好ましい。
なお、本発明の経口用組成物には、皮膚の老化予防効果のほか、疲労回復、減量などの効果も期待される。
【0021】
本発明の経口用組成物は、上記(a)〜(f)成分のほか、必要に応じて任意成分として、飲食品または飼料に用いることができる各種原料や、薬学的に許容される各種担体および添加剤などを含有してもよい。例えば、本発明の経口用組成物は機能性成分を適宜含有してもよい。該機能性成分としては、蛋白質類、ビタミン類、ミネラル類、オリゴ糖類、乳酸菌、ポリフェノール類、ヒアルロン酸、システイン、グルコサミン、アルギニン、オルニチン、GABA、高麗人参エキス、ローヤルゼリーなどが挙げられる。
【0022】
本発明の経口用組成物は、常法に従って適宜製剤化することができる。製剤化する場合の剤型としては、経口摂取可能である限り特に制限はなく、顆粒剤、散剤、粉剤、錠剤、カプセル剤、チュアブル錠などの固形製剤であってもよく、シロップ剤、ドリンク剤、液剤、懸濁剤、ゼリー形態などの液体製剤であってもよい。製剤化する場合には、(a)〜(d)成分に、(e)および(f)成分のほか、(d)成分である糖アルコールおよび食物繊維以外の賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料などを剤型に応じて適宜配合し、製剤化することができる。なお、液剤、懸濁剤などの液体製剤は、服用直前に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁する形であってもよく、また錠剤、顆粒剤の場合には周知の方法でその表面をコーティングしてもよい。
【0023】
本発明の経口用組成物の摂取量は、摂取する者の年齢、性別などによって適宜選択することができるが、成人1日当たりの摂取量が(a)〜(c)成分の合計量で110〜110,000mgの範囲が好ましい。本発明の経口用組成物は、1日1回の摂取でもよいし、1日に数回に分けて摂取してもよい。
【0024】
また、本発明の経口用組成物を製剤化する場合、製剤中の(a)〜(c)成分の含有量は、剤型などに応じて適宜選択することができるが、少なすぎると上記の好ましい摂取量を満たすように経口摂取することが困難になる場合があるため、(a)〜(c)成分の合計量が製剤中に12.0質量%以上であることが望ましい。
【0025】
次に、本発明の飲食品、医薬品または飼料について説明する。
本発明の飲食品は、本発明の経口用組成物を含有するものであり、例えば、本発明の経口用組成物そのものであってもよいし、通常の飲食品に本発明の経口用組成物を配合して含有させたものであってもよい。通常の飲食品に本発明の経口用組成物を配合して含有させる場合には、飲食品の通常の製造工程のいずれかの段階で配合してもよいし、飲食品を通常通り製造した後、該飲食品に配合してもよい。本発明の飲食品中における本発明の経口用組成物の含有量は、飲食品の種類に応じて、上記の好ましい1日当たりの摂取量を満たすことができるように適宜選択することが望ましい。
【0026】
本発明の飲食品は、本発明の経口用組成物を含有できるものである限りその形態は特に制限されず、健康食品、機能性食品および特定保健用食品も包含する。本発明の飲食品は、例えば、前述の製剤そのものであってもよいし、茶飲料(緑茶、ウーロン茶、紅茶など)、清涼飲料、ゼリー飲料、スポーツ飲料、牛乳、乳飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、発酵乳飲料、粉末飲料、ココア飲料、コーヒー飲料、アルコール飲料、精製水などの飲料、バター、ジャム、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、カスタードクリームなどのスプレッド類、ドレッシング類、パン類、米飯類、麺類、パスタ類、味噌汁、豆腐、ヨーグルト、スープ類、ソース類、ふりかけ、各種調味料、菓子(例えば、ビスケットやクッキー類、チョコレート、キャンディ、ケーキ、アイスクリーム、チューインガム、タブレット)などであってもよい。
【0027】
なお、本発明の医薬品または飼料については、上述の本発明の飲食品についての説明を適宜適用することができる。また、本発明の飼料については、家畜、ペットおよび競走馬などの種々の動物に供することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例などを挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
〔参考試験例1〜9〕
コラーゲン10質量部に、表1に記載の賦形剤1質量部を混合した。得られた混合物について官能評価を行った。評価項目は、継粉発生の有無、口溶けおよび総合評価とした。各評価項目の評価方法および評価基準は以下の通りである。評価結果を表1に示す。
【0030】
(1)継粉発生の有無評価方法
味覚に異常がない成人数名の被験者が、混合物1gを最大で30秒間、口中に含み、0.5〜10mmの粉末の固まりが発生するか、およびその固まりの程度について評価した。評価基準は、「−:無し、+:わずかに有り、++:有り」の3段階とした。
【0031】
(2)口溶け評価方法
味覚に異常がない成人数名の被験者が、混合物1gを最大で30秒間、口中に含み、粉末の溶けやすさ、粉末の溶け残りなどの口溶けについて評価した。評価基準は、「○:良い、△:普通、×:悪い」の3段階とした。
【0032】
(3)総合評価
継粉発生の有無評価および口溶け評価の被験者が、各試験例について総合的に評価した。評価基準は、「◎:非常に良い、○:良い、△:普通、×:悪い」の4段階とした。
【0033】
【表1】

【0034】
表1から以下のことが明らかである。
二糖であるトレハロース、オリゴ糖であるデキストリン、または多糖である澱粉を用いても、継粉発生および口溶けを改善することはできない(参考試験例4、5および6)。これに対し、糖アルコール(キシリトールもしくはエリスリトール)または食物繊維(セルロース)を単独で用いると、継粉発生および口溶けを改善することができ(参考試験例1、2および3)、糖アルコールと食物繊維とを併用すると、継粉発生および口溶けを極めて良好にすることができる(参考試験例7、8および9)。
【0035】
〔実施例1〕
下記表2に記載の原料配合(合計1700mg)に対し表3に記載の香料0.3質量%(5.1mg)を添加し混合して粉末状の経口用組成物を得た。得られた経口用組成物について、官能評価を行った。評価項目は、コラーゲン臭の有無、月桃葉臭との相性および総合評価とした。各評価項目の評価方法および評価基準は以下の通りである。評価結果を表3に示す。
【0036】
【表2】

【0037】
(1)コラーゲン臭評価方法
味覚に異常がない成人数名の被験者が、混合物1.7gを口中に含み、コラーゲン臭があるかについて評価した。評価基準は、「−:無し、+:わずかに有り、++:有り」の3段階とした。
【0038】
(2)月桃葉臭との相性評価方法
味覚に異常がない成人数名の被験者が、混合物1.7gを口中に含み、月桃葉臭との相性を評価した。評価基準は、「◎:非常に良い、○:良い、△:普通、×:悪い」の4段階とした。
【0039】
(3)総合評価
コラーゲン臭および月桃葉臭を評価してもらった被験者が各実施例について総合的に評価した。評価基準は、「◎:非常に良い、○:良い、△:普通、×:悪い」の4段階とした。
【0040】
【表3】

【0041】
表3から以下のことが明らかである。
飲食品などに用いられる香料としては極めて多数のものが知られているが、それらの中でも、コラーゲンおよび月桃葉の臭いの抑制には、パッションフルーツ香料が効果的である。その効果は、パッションフルーツ香料を他の香料と併用した場合にも奏されるが、パッションフルーツ香料を単独で使用した場合に特に高い。
【0042】
〔実施例2〕
下記表4に記載の原料配合に従い、常法により顆粒化して経口用組成物を得た。
尚、顆粒化の際には、先ず各原料を計量した後、原料を混合して篩過(16メッシュ)し、次いで、流動層造粒を行った後、整粒(16メッシュ)した。流動層造粒においては、原料品温約50℃で造粒を開始し、バインダーとしてプルラン水溶液(濃度8質量%)を用いた。
【0043】
【表4】

【0044】
得られた顆粒状の経口用組成物について、同意を得られたモニター14名(男性10名、女性4名、年齢20〜50代)によりモニター試験を行った。モニター試験においては、1日当たり1700mgの経口用組成物を継続摂取することとした。各モニターの摂取期間は10〜14日間(平均12.9日間)であった。なお、摂取にあたっては、顆粒状の経口用組成物をそのまま飲むか、又は飲み物と一緒に飲むかのいずれかを各モニターの好みによって選択してもらったところ、そのまま飲んだモニターが12名、飲み物と一緒に飲んだモニターが2名であった。
【0045】
モニター試験終了後、アンケート形式で、肌への効果、味、口溶けおよび総合評価について、下記評価基準に従って評価を求めた。
【0046】
<評価基準>
・肌への効果の実感(3段階評価)
3点:実感があった。
2点:やや実感があった。
1点:実感はなかった。
・味(5段階評価)
5点:好き
4点:やや好き
3点:普通
2点:やや嫌い
1点:嫌い
・口溶け(5段階評価)
5点:溶けやすい
4点:やや溶けやすい
3点:どちらでもない
2点:やや溶けにくい
1点:溶けにくい
・総合評価(5段階評価)
5点:満足
4点:やや満足
3点:どちらでもない
2点:やや不満
1点:不満
【0047】
各評価項目について、14名のモニターの評価結果から平均点を算出したところ、肌への効果の実感は2.6点、味は3.8点、口溶けは4.2点、総合評価は4.1点であり、良好な結果であった。
肌への効果については、肌にハリがでた、肌の乾燥がなくなった、顔色が明るくなった、肌荒れが改善された、化粧のりがよくなった、毛穴が小さくなったなどの感想が聞かれたほか、髪質の調子が良くなったという感想もあった。
【0048】
なお、モニター試験期間において、体調への悪影響(異常)を訴えるモニターはいなかった。また、顆粒を摂取する際にむせたというモニターはおらず、外観に違和感を感じたというモニターもいなかった。
以上より、本発明の経口用組成物は、皮膚の老化防止のための経口用組成物として適したものであることが確認できた。
【0049】
〔実施例3〕
下記表5に記載の原料配合に従い、常法により顆粒化して経口用組成物を得た。
尚、顆粒化の際には、先ず各原料を計量した後、原料を混合して篩過(16メッシュ)し、次いで、流動層造粒を行った後、整粒(16メッシュ)した。流動層造粒においては、原料品温約50℃で造粒を開始し、バインダーとしてプルラン水溶液(濃度8質量%)を用いた。
【0050】
【表5】

【0051】
得られた顆粒状の経口用組成物について、同意を得られたモニター11名(肌のかさつき、たるみを実感している女性11名、平均年齢54.4歳)により皮膚性状に関する試験を行った。モニター試験においては、上記の顆粒状の経口用組成物1700mgを一日一回、夕食後に水、ぬるま湯またはお茶とともに8週間継続的に摂取した。
【0052】
摂取前、摂取開始4週後および摂取開始8週後(摂取終了後)に下記の項目について測定ないし調査を行った。
【0053】
<1.皮膚水分量測定>
・測定内容:被験者の頬骨の上を、5ミリづつずらして3箇所測定(恒温恒湿ルームにて測定)。
・測定部位:右頬 計1箇所
・測定項目:皮膚水分量 計1項目(平均値を採用)
・測定機器:CORNEOMETER CM 825/(株)インテグラルによる静電容量を用いた計測
<2.皮膚弾力性測定>
・測定内容:被験者の耳朶下の付根と唇端とを結んだ直線上の、耳朶下の付根から4cmの部分を3回以上測定(恒温恒湿ルームにて測定)。
・測定部位:右頬 計1箇所
・測定項目:皮膚弾力性(振幅最大値)・皮膚弾力性(振幅最小値)・皮膚弾力性(戻り率) 計3項目(中央値を採用)
・測定機器:CUTOMETER MPA580/(株)インテグラル
<3.皮膚水分蒸散量測定>
・測定内容:被験者の耳朶下の付根と唇端を結んだ、耳朶下の付根から3cmの部分をポータブル水分蒸散計により測定(恒温恒湿ルームにて測定)。
・測定部位:右頬 計1箇所
・測定項目:皮膚水分蒸散量 計1項目
・測定機器:VapoMeter SWL-4001TJ
【0054】
<4.シワレプリカ画像・数値解析>
・測定内容:シワ画像解析(3D皮膚解析;目尻の部分でレプリカを採取)。
・測定部位:右目尻 計1箇所
・測定項目:シワ体積率・シワ最大深度・シワ最大幅・シワ個数 計4項目
・測定機器:ASA-03RXD シワ解析装置/(株)アサヒバイオメッド
<5.キメレプリカ画像・数値解析>
・測定内容:キメ画像解析(3D皮膚解析;耳朶下の付け根と小鼻を結んで、耳朶下の付け根から7cmの部分でレプリカを採取)。
・測定部位:右頬 計1箇所
・測定項目:キメ体積率・キメ平均深度・キメ個数 計3項目
・測定機器:ASA-03RXD キメ解析装置/(株)アサヒバイオメッド
<6.アンケート調査>
・調査内容:肌に関するアンケート
・調査項目:毛穴・小ジワ・顔(特に目元・口元)のかさつき・洗顔後のつっぱり感・肌のハリ・たるみ・肘、ひざ、かかとのかさつき・顔全体のくすみ・メイクののりの悪さ 計9項目
・調査方法:被験者本人による記録(4段階評価 4点:気にならない、3点:あまり気にならない、2点:やや気になる、1点:気になる)
【0055】
各項目の測定・調査結果は以下のとおりであった。
【0056】
<1.皮膚水分量の推移>
皮膚水分量の推移について、表6および図1に示した。
摂取前において55.1±2.2、摂取4週後において56.2±2.2、摂取8週後において59.9±2.2であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+1.1、摂取8週後において+4.8であり、摂取8週後(P<0.001)に有意差が認められた。
【0057】
【表6】

【0058】
<2.皮膚弾力性の推移>
皮膚弾力性の推移について、表7および図2〜図4に示した。
i)皮膚弾力性(振幅最大値)
摂取前において0.252±0.013mm、摂取4週後において0.221±0.009mm、摂取8週後において0.204±0.009mmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において−0.031mm、摂取8週後において−0.048mmであり、摂取4週後(P=0.037)、摂取8週後(P=0.001)に有意差が認められた。
ii)皮膚弾力性(振幅最小値)
摂取前において0.090±0.007mm、摂取4週後において0.074±0.004mm、摂取8週後において0.066±0.003mmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において−0.016mm、摂取8週後において−0.024mmであり、摂取4週後(P=0.013)、摂取8週後(P<0.001)に有意差が認められた。
iii)皮膚弾力性(戻り率)
摂取前において64.7±1.2%、摂取4週後において66.4±1.3%、摂取8週後において67.3±1.2%であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+1.7%、摂取8週後において+2.6%であり、摂取8週後(P=0.024)に有意差が認められた。
【0059】
【表7】

【0060】
<3.皮膚水分蒸散量の推移>
皮膚水分蒸散量(ポータブル水分蒸散計による測定)の推移について、表8および図5に示した。
摂取前において10.2±0.9g/hm2、摂取4週後において11.0±1.0g/hm2、摂取8週後において11.8±0.7g/hm2であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.8g/hm2、摂取8週後において+1.6g/hm2であり、摂取8週後(P=0.021)に有意差が認められた。
なお、皮膚水分蒸散量が増加したことは、通常、皮膚のバリア機能が低下したことを意味するが、摂取8週後の皮膚水分蒸散量も一般的な皮膚水分蒸散量の範囲内であった。
【0061】
【表8】

【0062】
<4.シワの推移>
シワの推移について、表9および図6〜図10に示した。尚、図10には、代表して被験者番号2のモニターの目尻部分のシワの顕微鏡写真を示した。摂取前である図10(a)、摂取4週後である図10(b)、摂取8週後である図10(c)から、経時的にシワの状態が改善していることが分かる。
i)シワ体積率
摂取前において203±28μm3/mm2/100、摂取4週後において181±27μm3/mm2/100、摂取8週後において176±26μm3/mm2/100であった。摂取前と比較して、摂取4週後において−22μm3/mm2/100、摂取8週後において−27μm3/mm2/100であり、摂取4週後(P=0.002)、摂取8週後(P<0.001)に有意差が認められた。
ii)シワ最大深度
摂取前において496±51μm、摂取4週後において464±49μm、摂取8週後において441±38μmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において−32μm、摂取8週後において−55μmであり、摂取8週後(P=0.016)に有意差が認められた。
iii)シワ最大幅
摂取前において712±42μm、摂取4週後において698±29μm、摂取8週後において645±36μmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において−14μm、摂取8週後において−67μmであり、摂取8週後(P=0.040)に有意差が認められた。
iv)シワ個数
摂取前において0.579±0.045N/mm、摂取4週後において0.566±0.053N/mm、摂取8週後において0.555±0.053N/mmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において−0.013N/mm、摂取8週後において−0.024N/mmであり、有意差は認められなかった。
【0063】
【表9】

【0064】
<5.キメの推移>
キメの推移について、表10および図11〜図13に示した。
i)キメ体積率
摂取前において44.4±3.1μm3/mm2/100、摂取4週後において46.0±2.2μm3/mm2/100、摂取8週後において45.9±2.7μm3/mm2/100であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+1.6μm3/mm2/100、摂取8週後において+1.5μm3/mm2/100であり、有意差は認められなかった。
ii)キメ平均深度
摂取前において44.7±0.6μm、摂取4週後において44.5±0.6μm、摂取8週後において43.7±0.6μmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において−0.2μm、摂取8週後において−1.0μmであり、有意差は認められなかった。
iii)キメ個数
摂取前において1.41±0.08N/mm、摂取4週後において1.49±0.09N/mm、摂取8週後において1.57±0.09N/mmであった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.08N/mm、摂取8週後において+0.16N/mmであり、摂取8週後(P=0.006)に有意差が認められた。
【0065】
【表10】

【0066】
<6.アンケート調査の推移>
アンケート調査の推移について、表11〜表12に示した。
i)毛穴について
平均値は、摂取前において1.73、摂取4週後において1.91、摂取8週後において2.27であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.18、摂取8週後において+0.54であり、有意差は認められなかった。
ii)小ジワについて
平均値は、摂取前において1.36、摂取4週後において1.73、摂取8週後において1.64であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.37、摂取8週後において+0.28であり、有意差は認められなかった。
iii)顔(特に目元・口元)のかさつきについて
平均値は、摂取前において1.45、摂取4週後において2.27、摂取8週後において2.18であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.82、摂取8週後において+0.73であり、摂取4週後(P=0.024)に有意差が認められた。
iv)洗顔後のつっぱり感について
平均値は、摂取前において1.73、摂取4週後において2.55、摂取8週後において2.55であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.82、摂取8週後において+0.82であり、摂取8週後(P=0.007)に有意差が認められた。
v)肌のハリについて
平均値は、摂取前において1.36、摂取4週後において2.00、摂取8週後において2.09であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.64、摂取8週後において+0.73であり、摂取8週後(P=0.023)に有意差が認められた。
【0067】
vi)たるみについて
平均値は、摂取前において1.27、摂取4週後において1.82、摂取8週後において1.73であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.55、摂取8週後において+0.46であり、有意差は認められなかった。
vii)肘、ひざ、かかとのかさつきについて
平均値は、摂取前において1.27、摂取4週後において1.45、摂取8週後において2.00であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.18、摂取8週後において+0.73であり、摂取8週後(P=0.023)に有意差が認められた。
viii)顔全体のくすみについて
平均値は、摂取前において1.55、摂取4週後において1.82、摂取8週後において2.09であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.27、摂取8週後において+0.54であり、有意差は認められなかった。
ix)メイクのノリの悪さについて
平均値は、摂取前において1.73、摂取4週後において2.55、摂取8週後において2.45であった。摂取前と比較して、摂取4週後において+0.82、摂取8週後において+0.72であり、摂取4週後(P=0.014)、摂取8週後(P=0.023)に有意差が認められた。
【0068】
【表11】

【0069】
【表12】

【0070】
<まとめ>
以上の結果の通り、本発明の経口用組成物の摂取により、皮膚水分量および皮膚弾力性において経時的に有意な改善が認められた。また、シワおよびキメレプリカの種々の項目においても有意な改善が認められた。
主観評価である自覚症状アンケートでも、保湿性に関する「顔のかさつき」、「肘・ひざ・かかとのかさつき」および「洗顔後のつっぱり感」、皮膚弾力性に関する「肌のハリ」、ならびにキメや諸症状全般に関する「メイクのノリ」で有意な改善が見られ、客観評価と相関した改善が示唆された。
以上のことから、本発明の経口用組成物は、8週間の長期にわたって、問題なく継続摂取が可能であり、摂取により、皮膚の弾力性および保湿性をはじめとする皮膚の諸症状を改善できることが分かる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コエンザイムQ10、コラーゲン、月桃葉、ならびに糖アルコールおよび/または食物繊維を含有する経口用組成物。
【請求項2】
さらにパッションフルーツ香料を含有する請求項1に記載の経口用組成物。
【請求項3】
皮膚の老化を予防するものである請求項1または2に記載の経口用組成物。
【請求項4】
さらにセラミドを含有する請求項3に記載の経口用組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の経口用組成物を含有してなる飲食品、医薬品または飼料。
【請求項1】
コエンザイムQ10、コラーゲン、月桃葉、ならびに糖アルコールおよび/または食物繊維を含有する経口用組成物。
【請求項2】
さらにパッションフルーツ香料を含有する請求項1に記載の経口用組成物。
【請求項3】
皮膚の老化を予防するものである請求項1または2に記載の経口用組成物。
【請求項4】
さらにセラミドを含有する請求項3に記載の経口用組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の経口用組成物を含有してなる飲食品、医薬品または飼料。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【公開番号】特開2012−136499(P2012−136499A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144895(P2011−144895)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(301049744)日清ファルマ株式会社 (61)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(301049744)日清ファルマ株式会社 (61)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]