説明

皮膚化粧料

【課題】 肌へののびがよく、べたつきがなく、みずみずしく、有効成分が肌に浸透していく感じ(浸透感)優れる皮膚化粧料を提供すること。また、塩による減粘が抑制され、さらには酸化チタンの沈降を抑制可能な皮膚化粧料を提供すること
【解決手段】 (a)有機溶媒もしくは油分を分散媒とし、水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し、分散相中にラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤と、
(b)平均粒径0.1〜0.7μmの親水性酸化チタンと、
(c)炭酸ナトリウムと
を含有することを特徴とする皮膚化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増粘剤と無機粉末である親水性酸化チタンと無機塩である炭酸ソーダとを含有する皮膚化粧料に関する。さらに詳しくは、さっぱりとみずみずしい使用感で、美白効果と保湿効果に優れ、しかも極めて優れた経時安定性を有する皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚化粧料に使用できる水溶性増粘剤としては、種々の多糖類、ゼラチンなどの天然高分子、ポリオキシエチレン、架橋ポリ(メタ)アクリル酸などの合成高分子、モンモリナイト、シリカなどの無機鉱物などが挙げられる。
【0003】
これらの中で、特に架橋ポリ(メタ)アクリル酸は、安価で増粘効果が高く、少量でゲル化するため、化粧品業界、特に皮膚化粧料において、水溶性増粘剤あるいは安定化剤として多用されている。
【0004】
増粘剤として汎用されている架橋ポリ(メタ)アクリル酸は、pH5以下の酸性下や塩の存在する水溶液中では、カルボキシル基の解離が抑えられ、粘度が極端に低下しゲル化しなくなる。このため、酸性条件や塩共存系が要求される処方においては使用することが出来ない。
【0005】
具体的に述べると、現在最も汎用されている化粧料用増粘剤は、カルボキシビニルポリマーと総称されるアクリル酸の重合体であり、商品名としてはハイビスワコー(和光純薬株式会社)、シンタレン(3V SIGMA社)、カーボポール(グッドリッチ社)等として市販されているものである。これらの増粘剤は化学的に架橋している重合体である(The B.F. Goodrich Company, Specialty Polymers and Chemical Div., Carbopol Data Sheets and Applications Literature)。
【0006】
このような架橋重合体の水分散液は非常に増粘効果が高く、化粧料の増粘剤として汎用されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、これらのカルボキシビニルポリマーの欠点として、その増粘可能なpH範囲が限られるという問題がある。カルボキシビニルポリマーは該ポリマーに含まれるカルボキシル基が解離状態になることで水中にてポリマーが膨潤し増粘する。したがって、カルボキシル基が充分に解離しない弱酸性以下のpH領域ではカルボキシビニルポリマーは増粘剤として機能しないという極めて重大な欠点があり、これに代わる広いpH範囲で増粘可能な増粘剤の開発が強く望まれているのが現状である。
【0007】
この問題を解決するために、アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリル酸との共重合体(特許文献2)、アクリルアミドアルキルスルホン酸とアルキル基含有不飽和単量体との共重合体(特許文献3)、或いは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のホモポリマー(特許文献4)などが、化粧料に応用されている。
【0008】
【特許文献1】特開平8−99855号公報
【特許文献2】特開平9−157130号公報
【特許文献3】特開平10−279636号公報
【特許文献4】特開平10−67640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のアクリルアミドアルキルスルホン酸を骨格に有するポリマーは耐酸性が向上し、酸性条件が要求される処方において使用できるものの、アクリル酸に由来すると考えられる乾き際のべたつき感が生じたり、酸化チタンや酸化亜鉛等の粉末類や塩型の美白薬剤を配合したり、みずみずしさを演出するために乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、食塩等の塩を配合すると、耐塩性がないために減粘を起こし、増粘化粧料として望ましい中低粘度領域(5000〜30000mPa・s/30℃)で十分に満足できる使用性に至っているとは言うことはできない。
【0010】
一方、通常、酸化チタンや酸化亜鉛等の白色無機粉末の化粧料への配合は、紫外線防御剤として、あるいはその白さを利用して、美白化粧料等への配合が試みられている。
従来より知られている粒径0.1〜0.7μm程度の酸化チタンを、上記中低粘度領域に配合すると、自重により、経時で沈降するといった問題が生じる。
【0011】
また、昨今では、白色無機粉末に様々な表面処理を施したものが、サンケア製品を中心に使用されている。特に最近では、サンケア製品の場合には、酸化チタンや酸化亜鉛の白さを嫌う傾向があり、白さの目立たない粒径0.001〜0.05μmといった超微粒子なども開発されている。しかしながら、超微粒子を水性化粧料に配合すると、二次凝集を形成し、安定性の面で問題を生じる傾向にある。
【0012】
本発明者等は、上述の事情に鑑み、鋭意研究をした結果、特定の合成高分子電解質のミクロゲルからなる増粘剤と、粒径0.1〜0.7μmの親水性酸化チタンと、炭酸ナトリウムとを組み合わせて皮膚化粧料を調製したならば、増粘効果が十分で、みずみずしく、べたつきがなく、さっぱりとした使用感を有し、しかも酸化チタンの沈降現象も起こらない経時安定性に極めて優れた皮膚化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明は、特定の逆相乳化重合(逆相マイクロエマルション重合)により製造した合成高分子電解質からなるミクロゲルからなる化粧料増粘剤と、粒径0.1〜0.7μmの親水性酸化チタンと、炭酸ナトリウムとを併用することにより、使用感に優れ、かつ、塩による減粘が抑制され、さらには酸化チタンの沈降を抑制可能な皮膚化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち、本発明は、
(a)有機溶媒もしくは油分を分散媒とし、水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し、分散相中にラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤と、
(b)平均粒径0.1〜0.7μmの親水性酸化チタンと、
(c)炭酸ナトリウムと
を含有することを特徴とする皮膚化粧料を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、前記ミクロゲルが、界面活性剤により、一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、ラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤を含有することをと特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0016】
さらに、本発明は、前記ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の25℃の水分散液の見かけ粘度が、ずり速度1.0s-1において、10000mPa・s以上であるミクロゲルからなる増粘剤を含有することを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、前記ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の25℃のエタノール分散液の見かけ粘度が、ずり速度1.0s-1において、5000mPa・s以上であるミクロゲルからなる増粘剤を含有することを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0018】
さらに、本発明は、前記ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の25℃の水分散液もしくはエタノール分散液での動的弾性率が、歪み1%以下、周波数0.01〜10Hzの範囲で、G’(貯蔵弾性率)>G”(損失弾性率)であるミクロゲルからなる増粘剤を含有することを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0019】
また、本発明は、前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、一般式(1)に示されるジアルキルアクリルアミドと一般式(2)または(3)に示されるイオン性アクリルアミド誘導体とである増粘剤を含有することを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
一般式(1)
【化4】

(R1はHまたはメチル基、R2及びR3はそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を表わす。)
一般式(2)
【化5】

(R4及びR5はそれぞれ独立にH又はメチル基、R6は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、Xは金属イオン、NH3、アミン化合物を表わす。)



一般式(3)
【化6】

(R7はH又はメチル基、R8はHまたは炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、R9は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、R10、R11、R12はメチル基またはエチル基、Yは陰性カウンターイオンを表わす。)
【0020】
さらに、本発明は、前記親水性酸化チタンの表面処理剤が、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素のいずれかであることを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0021】
また、本発明は、前記親水性酸化チタンの平均粒径が0.2〜0.5μmであることを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0022】
さらに、本発明は、前記ミクロゲルの配合量が0.1〜1.0質量%、前記親水性酸化チタンの配合量が0.1〜0.8質量%、前記炭酸ナトリウムの配合量が0.01〜3.0質量%であることを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、皮膚化粧料の粘度が、30℃において、5000〜30000mPa・sであることを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0024】
さらに、本発明は、さらに(d)塩型薬剤を配合することを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0025】
また、本発明は、前記皮膚化粧料は水中油型乳化化粧料であって、乳化剤にHLB2〜11である非イオン性界面活性剤とN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩を併用したことを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、増粘効果が十分で、みずみずしく、べたつきがなく、さっぱりとした使用感を有する皮膚化粧料を提供出来る。
しかも酸化チタンの沈降現象が起こらない経時安定性に極めて優れた皮膚化粧料を提供出来る。本発明の皮膚化粧料の粘度は塩により減粘しないので、所望の塩型薬剤を安定に配合することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明について詳述する。
【0028】
本発明の必須成分として用いられる「(a)ミクロゲルからなる増粘剤」とは、有機溶媒もしくは油分を分散媒とし、水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し、分散相中にてラジカル重合して得られる合成高分子のミクロゲルからなる増粘剤である。
すなわち、一般に逆相乳化重合法と称される重合法により製造される高分子ミクロゲルを増粘剤の用途に使用するものであり、特開平2001−114641号公報に開示されているような均一重合系により得られる合成高分子からなる増粘剤とは、その重合方法および力学物性が異なる。
【0029】
ミクロゲルとは逆相マイクロエマルション重合法で製造された合成高分子電解質の微粒子である。本発明に用いられるミクロゲルからなる増粘剤は、水、エタノールあるいは水―エタノール混合溶液中で膨潤し、外観上肉眼的に均一な高粘度溶液を提供できる。
【0030】
本発明に増粘剤として使用されるミクロゲルの重合系は、従来の増粘剤である合成高分子を製造する均一重合系とは異なるものである。例えば、特開平2001−114641号公報に開示されている均一重合系による合成高分子は本発明に用いるミクロゲルではなく、合成高分子を重合後、化粧料に配合するためには粉末状態に粉砕しなければならない。また、合成高分子のゲルが目立ち、外観上問題を生じる場合がある。
【0031】
これに対して、本発明に用いられるミクロゲルは不均一重合系で重合される。得られる合成高分子は微細な高分子ゲル、すなわちミクロゲルとなり、化粧料に配合する際に新たに粉砕して粉末状態にする必要がなく、優れた増粘効果と優れた使用感を発揮し、さらに化粧料の外観上も好ましいものである。
【0032】
また、高分子の逆相乳化重合法に関しては、特許第1911623号公報にアクリル酸を用いた水膨潤性ポリマーを逆相重合により製造し、これを増粘剤として応用する技術の記載があるが、これは現在汎用されているカルボキシビニルポリマーの欠点を改良するために、本発明に用いられるミクロゲルとは異なるものである。
【0033】
また、特開平9−12613号公報には、水吸収性樹脂のミクロゲル粒子をおむつあるいは生理用品に適するように一定以上の大きさに製造することが開示されているが、これは化粧料増粘剤に応用できる技術ではなく、本発明に用いられるミクロゲルとは全く異なるものである。
【0034】
本発明に用いる増粘剤は逆相乳化重合法において製造される。すなわち、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して製造される。重合されたミクロゲルは洗浄、乾燥されるが、粉砕する必要はない。
特に適宜選択された親水疎水バランス(HLB)に調節された界面活性剤を使用することにより、逆相乳化重合における重合系が一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、ミクロゲルからなる増粘剤が製造されることが好ましい。
【0035】
一相マイクロエマルションとは熱力学的に安定に油相と水相が共存している状態で油・水間の界面張力は極小になっている状態である。また、微細W/Oエマルションは熱力学的には不安定であるが速度論的に安定に油と水が微細なW/Oエマルションとして存在している状態である。一般的に微細W/Oエマルションの内水相の粒子径は数10〜100nm程度である。これらの状態は系の組成と温度のみで決定され、機械的な攪拌条件などには左右されない。
【0036】
重合系を構成する組成物は、水とは混合しない有機溶媒若しくは油分からなる分散媒(外相を構成する)、水からなる分散相(内相を構成する)とからなる。
好ましい有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカンなどのアルカン類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、デカリン、ナフタレンなどの芳香族および環状炭化水素が挙げられる。
好ましい油分としてはパラフィン油などの非極性油分が挙げられる。
【0037】
水溶性エチレン性不飽和モノマーは、分散相である水に溶解し次いで分散媒である有機溶媒あるいは油分と混合され、所望の温度に加熱した後、重合開始剤を水相に添加し重合を行う。
【0038】
一般的に不均一重合法では重合中の攪拌条件により製造される高分子の物性が異なることが知られている。その理由は、乳化系が熱力学的に安定な状態ではない為に攪拌条件による乳化粒子の形状、サイズに変化が生じる為である。本発明においては、熱力学的に安定な一相マイクロエマルション領域あるいは準安定的である一相領域の近傍に存在する微細W/Oエマルション領域で重合を行うことでこれらの問題を回避できることを見出した。具体的には、通常の熱重合あるいはレドックス重合用の重合開始剤の最適重合温度近傍に上記一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルション領域が出現するように重合系の組成(有機溶媒の種類、界面活性剤のHLB)を調節することで微細な水相(水滴)内で高分子を重合することで増粘効果が高いミクロゲルを得ることが可能になった。
【0039】
これに対して、従来の懸濁重合による高分子の増粘剤(例えば、特開平2001−1146641公報記載の方法)では重合時の水滴の粒子径コントロールが困難であり、良質なミクロゲルを得ることは困難である。
【0040】
水溶性エチレン性不飽和モノマーは、非イオン性モノマーとイオン性モノマー(アニオン性モノマー若しくはカチオン性モノマー)とを併用することが好ましい。
非イオン性モノマーは上記一般式(3)に示すジアルキルアクリルアミドが好ましい。
イオン性モノマーは、一般式(4)に示すアニオン性アクリルアミド誘導体または一般式(5)に示すカチオン性アクリルアミド誘導体が好ましい。
【0041】
一般式(4)
【化7】

(R4及びR5はそれぞれ独立にH又はメチル基、R6は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、Xは金属イオン、NH3、アミン化合物を表す。例えば、金属イオンはLi、Na、Kのアルカリ金属イオン、アミン化合物はトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等である。)
一般式(5)
【化8】

(R7はH又はメチル基、R8はHまたは炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、R9は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、R10、R11、R12はメチル基またはエチル基、Yは陰性カウンターイオンを表わし、例えば、Cl、Br等のマイナスカウンターイオンである。)
【0042】
特に好ましいジアルキルアクリルアミドは、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドである。
特に好ましいイオン性アクリルアミド誘導体は、2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸およびその塩である。
特に好ましいカチオン性アクリルアミド誘導体はN,N,-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルクロライドである。
【0043】
非イオン性モノマーとイオン性モノマーの重合系におけるモノマー組成比(重合系の仕込み比)は、目的とするミクロゲルのモノマー構成比に応じて適宜任意に決定される。ミクロゲルのモノマー構成比と重合系への仕込み比はほぼ同一となる。非イオン性モノマーとイオン性モノマーの重合系の仕込み比(モル比)は、通常、非イオン性モノマー:イオン性モノマー=0.5:9.5〜9.5:0.5、好ましくは1:9〜9:1、さらに好ましくは7:3〜9:1の範囲で共重合に供される。最適比率は、非イオン性モノマー:イオン性モノマー=8:2である。
【0044】
上記の水溶性エチレン性不飽和モノマーを任意に選択して本発明の増粘剤が重合される。特に好ましい増粘剤は、水溶性エチレン性不飽和モノマーにジメチルアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を用い、これらのモノマーから共重合される2元共重合体のミクロゲルである。この場合に、架橋モノマーは必要がなく、自己架橋により優れた増粘効果と使用感が発揮される増粘剤が得られる。
【0045】
なお、架橋モノマーを用いることもでき、その場合には一般式(6)で示される架橋モノマーが好ましく、特にメチレンビスアクリルアミドが好ましい。







一般式(6)
【化9】

【0046】
水溶性エチレン性不飽和モノマーを、分散相に溶解して本発明に好ましいミクロゲルを重合するためには、最適な外相油分あるいは有機溶媒と、界面活性剤とをそれぞれを選択することが必要である。本発明者は、非イオン界面活性剤の親水性疎水性バランス(HLB)を重合系の組成において相図を作成することにより、熱ラジカル重合に適する温度において曇点を示すように重合系を調製することで、通常の熱ラジカル重合温度において一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する状態を作り、増粘剤として好ましいレオロジー特性を持つミクロゲルが得られることを見出した。
【0047】
好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ソルビタン脂肪酸エステル、モノ脂肪酸グリセリン、トリ脂肪酸グリセリン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、ジステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。
これらの界面活性剤を適宜組み合わせて所望のHLBに調整して重合系に添加することが出来る。
【0048】
また、ジアルキルアクリルアミドとアクリルアミド系イオン性モノマーを共重合したミクロゲルにおいては、自発的な架橋反応が進行し、特に第三成分として多官能性架橋モノマーを共重合しなくても、化学的に自己架橋されたミクロゲルが得られ、本発明に用いる特に好ましい増粘剤となる。
【0049】
第三成分の多官能性架橋モノマーは必要ではないが、これを添加し共重合しても本発明に使用されるミクロゲルは合成可能である。多官能性架橋モノマーは、一般式(6)に示されるモノマーが好ましく、一般式(6)で示される架橋モノマーの一種類あるいは二種類以上を使用して架橋することが出来る。これらの架橋性モノマーはジアルキルアクリルアミドとイオン性アクリルアミド誘導体との重合系において効率よく架橋構造を取り得ることが必須である。
【0050】
好ましい架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシエチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、N,N'-エチレンビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、ペンタエリスリトールジメタクリレート等が挙げられ、この中から選ばれた一種または二種以上を用いることが出来る。本発明においては、特に、N,N'-メチレンビスアクリルアミドが好ましく使用される。
【0051】
本発明に用いられる増粘剤である共重合体中の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位とジアルキルアクリルアミド単位の含有量のモル比は、通常、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位:ジアルキルアクリルアミド単位=0.5:9.5〜9.5:0.5、好ましくは1:9〜9:1であり、さらに好ましくは=3:7〜1:9である。最適比は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位:ジアルキルアクリルアミド単位=2:8である。本発明の増粘剤の粘性は強解離基であるスルホニル基に基づく静電反発による分子鎖の伸展およびジアルキルアクリルアミドの自発架橋反応あるいは架橋性単量体による架橋構造に起因しているが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位またはその塩の含有量が、ジアルキルアクリルアミド単位に対して5モル%未満では十分に分子鎖の伸展が起こらないため十分な粘度が得られないことがある。
【0052】
架橋性モノマーの使用量は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩とジアルキルアクリルアミドの全モル数に対し0.0001〜2.0モル%の範囲で添加されることが好ましい。0.0001モル%未満で調製された増粘剤は架橋の効果が見られない場合がある。また、2モル%を超えて調製された場合、架橋密度が高すぎてミクロゲルが充分に膨潤出来ないために充分な増粘効果を発揮しない場合がある。
【0053】
本発明に用いられるミクロゲルの分子量は重量平均分子量10万〜500万(PEG換算:GPCによる測定)程度であり、増粘剤として求められる粘度により調節される。
【0054】
上記の重合法によって得られるミクロゲルは、下記(1)〜(3)のすべてのレオロジー的性質を有する。このミクロゲルからなる増粘剤は上記の重合法による製造方法により得られ、増粘剤として好ましく使用される。
(1)ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の水分散液の見かけ粘度が、ずり速度1.0s-1において10000mPa・s以上である。
(2)ミクロゲルの0.5%(質量百分率)のエタノール分散液の見かけ粘度が、ずり速度1.0 s-1において5000mPa・s以上である。
(3)ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の水分散液若しくはエタノール分散液のおける動的弾性率が、歪み1%以下、周波数0.01〜10Hzの範囲でG'>G"である。
【0055】
なお、ミクロゲルの水若しくはエタノール分散液の見かけ粘度とは、コーンプレート型レオメータ(Paar Rhysica製 MCR-300)を用い、測定温度25℃、ずり速度1s-1における粘度である。
また、動的弾性率は、同上の測定装置を用いて測定温度25℃、歪み1%以下で周波数範囲0.1〜10Hzで測定した貯蔵弾性率(G')および損失弾性率(G")の値を意味する。
【0056】
本発明に用いられるミクロゲルは重合後簡単な沈殿精製工程を経て粉末状態で分離することが可能である。粉末状に分離されたミクロゲルは、水あるいはエタノールまたは水/エタノールの混合溶剤に容易に分散して速やかに膨潤し増粘剤として機能する。
また、ミクロゲルに共重合されるイオン性モノマーを、強酸性のモノマー(例えばスルホン酸残基を含むモノマー)を選択することで、従来のカルボキシビニルポリマーでは増粘が不可能であった酸性製剤の増粘も可能である。
【0057】
本発明の皮膚化粧料は、上記ミクロゲルを増粘剤として皮膚化粧料基剤に配合して製造される。増粘剤の配合量は目的とする化粧料に応じて適宜決定され限定されない。使用性の点から、好ましい配合量は0.1〜1.0%(質量百分率)、さらに好ましくは0.1〜0.8%(質量百分率)である。
【0058】
本発明に用いられる前記ミクロゲルの配合量は、組成物中、0.05〜1.0質量%、好ましくは、0.1〜0.7質量%である。1.0質量%を越えて配合すると、べたつき、あるいはみずみずしさの点で問題を生じる場合がある。一方、0.01質量%未満では、経時での酸化チタンの沈降を抑えることができない場合があるからである。
【0059】
次に、本発明に用いられるもう一つの必須成分である「(b)粒径0.1〜0.7μmの親水性酸化チタン」について詳述する。
【0060】
粒径0.1〜0.7μmの親水性酸化チタンは、酸化チタンの表面が親水性に保たれる限り、表面処理を施さなくても施してもよい。表面処理を施す場合には、酸化アルミニウム処理、酸化亜鉛処理、二酸化ケイ素処理、酸化ジルコニウム処理、二酸化マンガン処理を単独で、あるいはそれらの併用処理が好適に用いられる。
【0061】
また、親水性酸化チタンは、ルチル型であってもアナターゼ型であってもかまわないが、好ましくは組成物の耐光性の観点からは、ルチル型が好ましい。
【0062】
本発明に好適に用いられる親水性酸化チタンは、粒径0.1〜0.7μmであり、好ましくは、0.2〜0.5μmである。粒径が0.1μmより小さいと組成物中で二次凝集を起こす場合がある。また、粒径0.7μmを越えると、白さばかり目立つようになり、自然な風合いも求める皮膚化粧料としてふさわしくない。
【0063】
本発明に好適に用いられる粒径0.1〜0.7μmの親水性酸化チタンとしては、例えば、タイペークCR−50(ルチル型、酸化アルミニウム処理、粒径0.25μm、石原産業(株)社製)、バイエルチタンR−KB−1(ルチル型、酸化亜鉛処理、酸化アルミニウム処理、二酸化ケイ素処理、粒径0.3〜0.4μm、バイエル社製)、タイペークTTO−M−1(ルチル型、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム処理、粒径0.1〜0.25μm、石原産業(株)社製)、タイペークTTO−D−1(ルチル型、酸化ジルコニウム処理、酸化アルミニウム処理、粒径0.2〜0.3μm、石原産業(株)社製)、タイペークA−100(アナターゼ型、表面未処理、粒径0.4μm、石原産業(株)社製)、クロノスKA−10(アナターゼ型、未処理、粒径0.3〜0.5μm、チタン工業(株)社製)、クロノスKA−15(アナターゼ型、未処理、粒径0.3〜0.5μm、チタン工業(株)社製)、クロノスKA−20(アナターゼ型、酸化アルミニウム処理、粒径0.3〜0.5μm、チタン工業(株)社製)、クロノスKA−30(アナターゼ型、未処理、粒径0.2〜0.4μm、チタン工業(株)社製)、クロノスKA−35(アナターゼ型、未処理、粒径0.2〜0.4μm、チタン工業(株)社製)、クロノスKA−80(アナターゼ型、酸化アルミニウム処理、二酸化ケイ素処理、粒径0.3〜0.5μm、チタン工業(株)社製)、クロノスKR−310(ルチル型、未処理、粒径0.3〜0.5μm、チタン工業(株)社製)、クロノスKR−380(ルチル型、酸化アルミニウム処理、二酸化ケイ素処理、粒径0.3〜0.5μm、チタン工業(株)社製)、クロノスKR−460(ルチル型、酸化アルミニウム処理、粒径0.2〜0.4μm、チタン工業(株)社製)、クロノスKR−480(ルチル型、酸化アルミニウム処理、二酸化ケイ素処理、粒径0.2〜0.4μm、チタン工業(株)社製)、クロノスKR−270(ルチル型、酸化亜鉛処理、酸化アルミニウム処理、粒径0.2〜0.4μm、チタン工業(株)社製)、チタニックスJR−301(ルチル型、酸化アルミニウム処理、粒径0.3μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJR−403(ルチル型、酸化アルミニウム処理、二酸化ケイ素処理、粒径0.25μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJR−405(ルチル型、酸化アルミニウム処理、粒径0.21μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJR−600A(ルチル型、酸化アルミニウム処理、粒径0.25μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJR−605(ルチル型、酸化アルミニウム処理、粒径0.25μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJR−600E(ルチル型、酸化アルミニウム処理、粒径0.27μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJR−603(ルチル型、酸化アルミニウム処理、酸化ジルコニウム処理、粒径0.28μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJR−805(ルチル型、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素処理、粒径0.29μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJR−806(ルチル型、酸化アルミニウム処理、二酸化ケイ素処理、粒径0.25μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJR−701(ルチル型、酸化アルミニウム処理、二酸化ケイ素処理、酸化亜鉛処理、粒径0.27μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJRNC(ルチル型、酸化アルミニウム処理、二酸化ケイ素処理、酸化ジルコニウム処理、テイカ(株)社製)、チタニックスJR−800(ルチル型、酸化アルミニウム処理、二酸化ケイ素処理、テイカ(株)社製)、チタニックスJR(ルチル型、未処理、粒径0.27μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJA−1(アナターゼ型、未処理、粒径0.18μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJA−C(アナターゼ型、未処理、粒径0.18μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJA−3(アナターゼ型、未処理、粒径0.18μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJA−4(アナターゼ型、酸化アルミニウム処理、粒径0.18μm、テイカ(株)社製)、チタニックスJA−5(アナターゼ型、未処理、粒径0.18μm、テイカ(株)社製)等が挙げられる。
【0064】
上記親水性酸化チタンは、本発明の皮膚化粧料中に必須成分として配合される。好ましい配合量は、0.1〜1.0質量%である。0.1質量%未満では、視覚的な美白効果の演出に乏しい。一方、1.0質量%を越えて配合すると、酸化チタンの経時での沈降を起こす場合があり、視覚的にも白さが目立つようになり、みずみずしさにも欠け、化粧料としてふさわしくない場合があるからである。
【0065】
次に本発明の必須成分である「(c)炭酸ナトリウム」について詳述する。
炭酸ナトリウムは、本発明の皮膚化粧料において、(a)成分の電解質タイプの増粘剤に対して、安定化剤、粘度調整剤、pH調整剤として機能しながらも、かつ減粘しないという予測不可能な効果を発揮する必須成分である。
【0066】
皮膚化粧料において、塩は、一般には、安定化剤、あるいは粘度調整剤、pH調整剤として用いられる。具体的には、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。しかしながら、これらの塩は、自身の解離によって増粘するタイプの増粘剤に対して、顕著な減粘効果をもたらし、皮膚化粧料として望ましい中低粘度領域(5000〜30000mPa・s/30℃)の調整には不向きであるという欠点がある。また、調整できたとしても、経時で減粘してしまうといった問題を抱えていた。
【0067】
従来、化粧品用増粘剤として、自身の解離によって増粘する増粘剤は、例えば、カルボキシビニルポリマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、AMPSと略す場合がある)のホモポリマー、ビニルピロリドン/AMPS共重合体、アクリル酸アミド/AMPS共重合体、アクリル酸ナトリウム/AMPS共重合体、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸アミドの混合物等が挙げられるが、これら電解質タイプの増粘剤は、全て前記した塩によって減粘する。
【0068】
本発明者等は、鋭意検討を行った結果、炭酸ナトリウムが、前記した電解質タイプの増粘剤に対して、安定化剤、粘度調整剤、pH調整剤として機能しながらも、かつ減粘しないことを見出した。しかしながら、炭酸ナトリウムと前記したカルボキシビニルポリマー、カルボキシビニルポリマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、AMPSと略す場合がある)のホモポリマー、ビニルピロリドン/AMPS共重合体、アクリル酸アミド/AMPS共重合体、アクリル酸ナトリウム/AMPS共重合体、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸アミドの混合物等と組み合わせた場合には、使用感の面において、みずみずしさに欠けるという欠点が生じることが分かった。そこで、さらなる検討を行った結果、本発明の成分(a)にあたる有機溶媒もしくは油分を分散媒とし、水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し、分散相中にラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤と、炭酸ナトリウムとを組み合わせたならば、従来、みずみずしい使用感となるが、調整が困難であった中低粘度領域(5000〜30000mPa・s/30℃)を自由に調整できることを見出したのである。
【0069】
本発明に用いられる炭酸ナトリウムは、無水塩、一水塩、十水塩のいずれでも良く、これらの混合物でもよい。その配合量は、皮膚化粧料中、0.01〜3.0質量%である。0.01質量%未満では、使用感の面で、みずみずしさに欠ける場合があり、また、3.0質量%を越えて配合すると、経時で減粘する場合があるからである。
【0070】
本発明では、さらに上記炭酸ナトリウムとの併用により、粘度を調整することによって、「(d)塩型薬剤」を配合してもよい。塩型薬剤とは、塩を形成可能な水溶性の薬剤を意味する。水溶性薬剤であれば特に制限がなく希望する薬剤を配合することができる。例えば、L−アスコルビン酸およびその誘導体の塩、トラネキサム酸およびその誘導体の塩、アルコキシサリチル酸およびその誘導体の塩、グルタチオンおよびその誘導体の塩などが好ましいものとして挙げられる。これら例示に限定されるものでない。
【0071】
L−アスコルビン酸は、一般にビタミンCと言われ、強い還元作用により細胞呼吸作用、酵素賦活作用、膠原形成作用を有し、かつメラニン還元作用を有する。L−アスコルビン酸誘導体としては、L−アスコルビン酸モノステアレート、L−アスコルビン酸モノパルミテート、L−アスコルビン酸モノオレートなどのL−アスコルビン酸モノアルキルエステル類;L−アスコルビン酸モノリン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルなどのL−アスコルビン酸モノエステル類;L−アスコルビン酸ジステアレート、L−アスコルビン酸ジパルミテート、L−アスコルビン酸ジオレートなどのL−アスコルビン酸ジアルキルエステル類;L−アスコルビン酸トリステアレート、L−アスコルビン酸トリパルミテート、L−アスコルビン酸トリオレートなどのL−アスコルビン酸トリアルキルエステル類;L−アスコルビン酸トリリン酸エステルなどのL−アスコルビン酸トリエステル類;L−アスコルビン酸2−グルコシドなどのL−アスコルビン酸グルコシド類などが挙げられる。本発明では、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシドの各塩の形で好適に用いられる。
【0072】
トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸の二量体、(例えば、塩酸トランス−4−(トランス−アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、等)、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体(例えば、4−(トランス−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4’−ヒドロキシフェニルエステル、等)、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体(例えば、2−(トランス−4−アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)−5−ヒドロキシ安息香酸、等)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド、トランス−4−(p−メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、トランス−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸、等)などが挙げられる。本発明ではトラネキサム酸の塩あるいはトラネキサム酸誘導体の塩の形で好適に用いられる。
【0073】
アルコキシサリチル酸は、サリチル酸の3位、4位または5位のいずれかの水素原子がアルコキシ基にて置換されたものであり、置換基であるアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基のいずれかであり、さらに好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。具体的に化合物名を例示すれば、3−メトキシサリチル酸、3−エトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、4−エトキシサリチル酸、4−プロポキシサリチル酸、4−イソプロポキシサリチル酸、4−ブトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、5−エトキシサリチル酸、5−プロポキシサリチル酸などが挙げられる。本発明ではアルコキシサリチル酸およびその誘導体(エステルなど)の各塩の形で好適に用いられる。
【0074】
上記薬剤の塩としては、特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩のほか、アンモニウム塩、アミノ酸塩等の塩が挙げられる。
【0075】
本発明における塩型薬剤は、1種または2種以上を用いることができ、その配合量は任意である。製品設計において希望する塩型薬剤の配合量を前記炭酸ナトリウムと配合量を調整しながら適宜決定する。例えば、水相成分全量に対して、0.001〜3.0質量%程度配合される。
【0076】
本発明の皮膚化粧料においては、外水相中の(a)成分の増粘作用と(c)成分(塩型薬剤を配合する場合には(d)成分も含む)の減粘効果のバランスによって、みずみずしい使用感となり得る最適な粘度として、5000〜30000mPa・s/30℃に調整されることが好ましい。
【0077】
本発明の皮膚化粧料においては、油分を乳化剤を用いて乳化して、組成物中に配合して、水中油型の乳化型皮膚化粧料とすることもできる。油分として用いられるものとしては、炭化水素油、シリコーン油、ロウ類、脂肪酸エステル類、高級アルコール類、紫外線吸収剤等である。
【0078】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス等が挙げられる。
【0079】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、平均分子量20万以上のシリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0080】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ等が挙げられる。
【0081】
脂肪酸エステルとしては、例えば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸コレステリル、ミツロウ脂肪酸2−オクチルドデシル等が挙げられる。
【0082】
高級アルコールとしては、例えば、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、トリアコンチルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等が挙げられる。
【0083】
紫外線吸収剤としては下記化合物が挙げられる。
(1)安息香酸系紫外線吸収剤
例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステルなど。
(2)アントラニル酸系紫外線吸収剤
例えば、ホモメンチル-N- アセチルアントラニレートなど。
(3)サリチル酸系紫外線吸収剤
例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレートなど。
(4)ケイ皮酸系紫外線吸収剤
例えば、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート) 、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメートなど。
(5)トリアジン系紫外線吸収剤
例えば、ビスレゾルシニルトリアジン。
さらに具体的には、ビス{〔4−(2−エチルヘキシロキシ)−2−ヒドロキシ〕フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス{4−(2−エチルヘキシロキシカルボニル)アニリノ}1,3,5−トリアジンなど。
(6)その他の紫外線吸収剤
例えば、3-(4'-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン。ジモルホリノピリダジノンなどのピリダジン誘導体。
【0084】
また、本発明に用いられる乳化剤としては、HLB3〜11の非イオン性界面活性剤と長鎖アシル酸性グルタミン酸塩を併用したものが、みずみずしい使用感と安定性の観点からより好ましい。
【0085】
HLB3〜11の非イオン性界面活性剤としては、具体的には以下のようなものが挙げられる。
HLB3〜11の非イオン性界面活性剤として、POE(2)ステアリルエーテル(HLB4.0)、自己乳化型モノステアリン酸プロピレングリコール(HLB4.0)、ミリスチン酸グリセリル(HLB3.5)、モノステアリン酸グリセリル(HLB4.0)、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(HLB4.0)、モノイソステアリン酸グリセリル(HLB4.0)、ペンタステアリン酸デカグリセリル(HLB3.5)、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル(HLB3.5)、ペンタオレイン酸デカグリセリル(HLB3.5)、モノステアリンソルビタン(HLB4.7)、モノイソステアリン酸ソルビタン(HLB5.0)、セスキイソステアリン酸ソルビタン(HLB4.5)、モノオレイン酸ソルビタン(HLB4.3)、ヘキサステアリン酸POE(6)ソルビット(HLB3.0)、POE(3)ヒマシ油(HLB3.0)、モノステアリン酸PEG(2)(HLB4.0)、モノステアリン酸エチレングリコール(HLB3.5)、ステアリン酸PEG(2)(HLB4.5)等が挙げられ、さらにはモノミリスチン酸ヘキサグリセリル(HLB11)、モノステアリン酸ヘキサグリセリル(HLB9.0)、モノオレイン酸ヘキサグリセリル(HLB9.0)、ジステアリン酸デカグリセリル(HLB9,5)、ジイソステアリン酸デカグリセリル(HLB10.0)等のポリグリセリン脂肪酸エステル類。モノステアリン酸ポリオキシエチレン(以下、POEと略す)(5)グリセリル(HLB9.5)、モノオレイン酸POE(5)グリセリル(HLB9.5)等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類。モノステアリン酸POE(6)ソルビタン(HLB9.5)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB10.5)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(HLB15.0)、モノオレイン酸POE(6)ソルビタン(HLB10.0)、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン(HLB11.0)等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類。POE(20)ヒマシ油(HLB10.5)POE(20)硬化ヒマシ油(HLB10.5)、POE(30)硬化ヒマシ油(HLB11.0)等のポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類。POE(5)フィトステロール(HLB9.5)等のポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール類。POE(2)ラウリルエーテル(HLB9.5)、POE(5.5)セチルエーテル(HLB10.5)、POE(7)セチルエーテル(HLB11.5)、POE(7)オレイルエーテル(HLB10.5)、POE(10)オレイルエーテル(HLB14.5)、POE(15)オレイルエーテル(HLB16.0)、POE(20)オレイルエーテル(HLB17.0)、POE(50)オレイルエーテル(HLB18.0)、POE(10)ベヘニルエーテル(HLB10.0)POE(2)(C12−15)アルキルエーテル(HLB9.0)、POE(4)(C12−15)アルキルエーテル(HLB10.5)、POE(5)2級アルキルエーテル(HLB10.5)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類。ポリオキシエチレン(以下、POEと略す)(1)ポリオキシプロピレン(以下、POPと略す)(4)セチルエーテル(HLB9.5)、POE(10)POP(4)セチルエーテル(HLB10.5)、POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテル(HLB11.0)、等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類。モノステアリン酸PEG(10)(HLB11.0)、ジイソステアリン酸PEG(HLB9.5)等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類。イソステアリン酸PEG(8)グリセリル(HLB10.0)、イソステアリン酸PEG(10)グリセリル(HLB10.0)等のイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル類。
【0086】
本発明において、水中油型の乳化皮膚化粧料とする場合には、前記HLB3〜11の非イオン性界面活性剤は、0.1〜1.0質量%が望ましい。0.1質量%未満では、安定性の面で問題を生じる場合があり、また、1.0質量%を超えて配合すると、みずみずしさといった使用感の面で問題を生じるからである。
【0087】
また、本発明に用いられるN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩は、具体的には、N−ステアロイル−L−グルタミン酸、N−パルミトイル−L−グルタミン酸、N−ステアロイル−アスパラギン酸、N−パルミトイル−アスパラギン酸のモノナトリウム塩又はモノカリウム塩の少なくとも一種であることが好適である。
【0088】
本発明において、水中油型の乳化皮膚化粧料とする場合には、前記N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩は、0.05〜1.0質量%が望ましい。0.05質量%未満では、乳化性の面で不十分な場合があり、1.0質量%を超えて配合すると、みずみずしさといった使用感の面で問題を生じる場合があるからである。
【0089】
また、上記成分の他に、通常皮膚化粧料に配合され得る成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
配合可能成分の具体例を挙げれば、多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール,グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール,エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。
【0090】
水溶性高分子としては、例えば、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カードラン、コンドロイチン硫酸、デンプン、グリコーゲン、アラビアガム、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天等が挙げられる。
【0091】
その他、エタノール等の低級アルコール;ブチルヒドロキシトルエン、δ−トコフェロール、フィチン等の酸化防止剤;安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、フェノキシエタノール、ヘキサクロロフェン、ε−ポリリジン等の防腐剤;クエン酸、乳酸、ヘキサメタリン酸等の有機または無機酸よびその塩;ビタミンA、ビタミンAパルミテート、ビタミンAアセテート等のビタミンA誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2およびその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15およびその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類;γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、ヒノキチオール、ビサボロール、ユーカルプトーン、チモール、イノシトール、サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、アルブチン、セファランチン等の各種薬剤、ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、オウゴン、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サクラリーフ等の植物の抽出物、β−カロチン等の色素等も配合することができる。
【0092】
本発明の皮膚化粧料は、スキンケア乳液、低粘度のスキンケアクリーム等の乳液状製品に用いることができる。これらの製品は、前記した必須成分および化粧料に通常配合される成分を混合して常法により製造することができる。
【実施例】
【0093】
本発明を実施例を挙げてさらに詳述する。本発明は、これによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
【0094】
まず、本発明に用いられるミクロゲルの合成例を説明する。合成例で得られるミクロゲルは本発明に用いる(a)成分の増粘剤である。
【0095】
合成例1
ジメチルアクリルアミド(興人製)を40gと2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)9gを250gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン250gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.2gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)16.4gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
【0096】
合成例2
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gと2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)17.5gを260gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
【0097】
合成例3
ジメチルアクリルアミド(興人製)を30gと2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)26.7gを280gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン280gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)9.4gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)19gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
【0098】
合成例4
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gと2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)17.5gおよびメチレンビスアクリルアミド7mgを260gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびエポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
【0099】
合成例5
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gと2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)17.5gおよびメチレンビスアクリルアミド70mgを260gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
【0100】
合成例6
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gとN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルクロライド(興人製)17.5gを260gのイオン交換水に溶解する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
【0101】
合成例7
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gとN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルクロライド(興人製)17.5gおよびメチレンビスアクリルアミド7mgを260gのイオン交換水に溶解する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
【0102】
「表1〜3」に記載した配合量組成よりなる実施例1〜16および比較例1〜9のスキンケア乳液を常法により製造した。得られたスキンケア乳液(試料)について、下記試験方法により、安定性および使用性(のび、みずみずしさ、べたつき、浸透感)を評価した。また、粘度については、試料を30℃の水相中に1時間浸し、B型粘度計にて測定した。
【0103】
[安定性試験]
試料を50℃、1ヶ月間放置後の外観を、目視にて観察し、下記評価基準により判定した。
(評価基準)
○ :分離が全くみられなかった
△ :分離がほとんどみられなかった
× :液相(油相または水相)の分離が生じた
【0104】
[使用性(のび)]
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、肌へののびについて、それぞれ下記の評価基準により評価してもらった。
(評価基準)
◎: 10名全員が、のびが軽く、なめらかであると判定した。
○: 7〜9名が、のびが軽く、なめらかであると判定した。
△: 3〜6名が、のびが軽く、なめらかであると判定した。
×: 0〜2名が、のびが軽く、なめらかであると判定した。
【0105】
[使用性(べたつき)]
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、べたつきについて、それぞれ下記の評価基準により評価してもらった。
(評価基準)
◎: 10名全員が、べたつきがなく、しっとりしたと判定した。
○: 7〜9名が、べたつきがなく、しっとりしたと判定した。
△: 3〜6名が、べたつきがなく、しっとりしたと判定した。
×: 0〜2名が、べたつきがなく、しっとりした判定した。
【0106】
[使用性(みずみずしさ)]
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、みずみずしさについて、それぞれ下記の評価基準により評価してもらった。
(評価基準)
◎: 10名全員が、みずみずしさがあると判定した。
○: 7〜9名が、みずみずしさがあると判定した。
△: 3〜6名が、みずみずしさがあると判定した。
×: 0〜2名が、みずみずしさがあると判定した。
【0107】
[使用性(浸透感:有効成分が肌に浸透していく感じ)]
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、浸透感について、それぞれ下記の評価基準により評価してもらった。
(評価基準)
◎: 10名全員が、浸透感があると判定した。
○: 7〜9名が、浸透感があると判定した。
△: 3〜6名が、浸透感があると判定した。
×: 0〜2名が、浸透感があと判定した。


【0108】
【表1】

*1)商品名:SIMULGEL EG(SEPIC社製)
*2)商品名:タイペークCR−50(石原産業(株)社製)
*3)商品名:針状微粒子酸化チタン(テイカ(株)社製)

【0109】
【表2】





【0110】
【表3】

【0111】
表1〜3の結果から明らかなように、本発明である実施例1〜16のスキンケア乳液は、優れた安定性と使用性を有していることがわかる。
【0112】
以下に、本発明のその他の実施例を示す。
【0113】
実施例17 スキンケアクリーム
(配合成分) 質量%
(1)イオン交換水 残余
(2)ヘキサメタリン酸ソーダ 0.1
(3)炭酸ナトリウム 十水塩 0.5
(4)トランネキサム酸 1.0
(5)水酸化ナトリウム 0.03
(6)酸化チタン(ルチル型,粒径0.3μ) 1.0
(商品名:バイエルチタンR−KB−1,バイエル社製)
(7)1,3−ブチレングリコール 5.0
(8)グリセリン 3.0
(9)合成例2のミクロゲル 1.0
(10)N−ステアロイル−アスパラギン酸カリウム 0.1
(11)エチルパラベン 0.5
(12)ローズマリーエキス 適量
(13)セージエキス 適量
(14)自己乳化型グリセリルモノステアレート 0.5
(15)ポリオキシエチレン(40モル)ステアレート 0.3
(16)ソルビタントリステアレート 0.1
(17)ベヘニン酸 0.4
(18)ミリスチン酸 0.2
(19)(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸) 0.1
ジペンタエリスリチル
(商品名:コスモール168E、日清オイリオ(株)社製)
(20)α−オレフィンオリゴマー 2.5
(21)グリセリル トリ−2−エチルヘキサノエート 1.5
(22)ジメチルポリシロキサン 0.3
(23)オクトクリレン 0.1
(24)香料 適量
<製法>
(14)〜(24)を70℃にて、均一に混合溶解した(油相)。一方、(1)〜(13)を70℃にて均一に混合溶解した(水相)。70℃に保持した水相に油相を徐添しながら、ホモミキサーで乳化した。乳化が終了したら、40℃以下に急冷し、目的の粘度30000mPa・s/30℃のスキンケアクリームを得た。
<製品の性状>
得られたスキンケアクリームについて、実施例1〜16と同様の評価を行ったところ、使用性に優れ(使用性評価、肌へののび、べたつき、みずみずしさ、浸透感とも◎)、安定性も良好(安定性評価:○)なものであった。
【0114】
実施例18 スキンケア乳液
(配合成分) 質量%
(1)イオン交換水 残余
(2)ヘキサメタリン酸ソーダ 0.05
(3)乳酸ナトリウム 0.01
(4)炭酸ナトリウム(無水塩) 0.05
(5)アスコルビン酸エチル 0.2
(6)水酸化カリウム 0.01
(7)酸化チタン(粒径0.25μm) 0.4
(商品名:チタニックスJA−C、アナターゼ型、未処理、
粒径0.18μm、テイカ(株)社製)
(8)1,3−ブチレングリコール 22.0
(9)グリセリン 3.0
(10)合成例3のミクロゲル 0.6
(11)メチルパラベン 0.1
(12)加水分解タンパク 適量
(13)ホップエキス 適量
(14)ヒドロキシステアリン酸コレステリル 適量
(15)グリセリルステアレート 0.3
(16)ステアリン酸 0.4
(17)ミリスチン酸 0.2
(18)セトステアリルアルコール 0.3
(19)水添ヤシ油 0.6
(20)メチルポリシロキサン20mPa・s 0.1
(21)水添ポリイソブテン 4.0
(22)香料 適量
<製法>
(14)〜(22)を70℃にて、均一に混合溶解した(油相)。一方、(1)〜(13)を70℃にて均一に混合溶解した(水相)。70℃に保持した水相に油相を徐添しながら、ホモミキサーで乳化した。乳化が終了したら、40℃以下に急冷し、目的の粘度18000mPa・s/30℃のスキンケア乳液を得た。
<製品の性状>
得られたスキンケア乳液について、実施例1〜16と同様の評価を行ったところ、使用性に優れ(使用性評価、肌へののび、べたつき、みずみずしさ、浸透感とも◎)、安定性も良好(安定性評価:○)なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明によれば、増粘剤として、特定のミクロゲルを用い、美白効果の演出として、平均粒径0.1〜0.7μmの親水性酸化チタンを用い、粘度調整剤として炭酸ナトリウムを用いることにより、安定性と使用性に極めて優れた組成物が得られ、この組成物は皮膚化粧料として好適に利用される。
【0116】
安定性については、50℃保存下による経時安定性や遠心分離によっても、油浮きなどの分離がなく、経時安定性に極めて優れている。また、使用性については、特に、べたつかず、のびが軽く、みずみずしく、有効成分が肌に浸透していく感じ(浸透感)に優れるという使用感に極めて優れた特性を有するものである。
【0117】
さらに、本発明の皮膚化粧料には、希望する配合量の任意の塩型薬剤を配合でき、水中油型の乳化組成物とすることも可能である。得られる皮膚化粧料は、粘度低下を起こすこともない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)有機溶媒もしくは油分を分散媒とし、水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し、分散相中にラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤と、
(b)平均粒径0.1〜0.7μmの親水性酸化チタンと、
(c)炭酸ナトリウムと
を含有することを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項2】
前記ミクロゲルが、界面活性剤により、一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、ラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤を含有することを特徴とする請求項1記載の皮膚化粧料。
【請求項3】
前記ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の25℃の水分散液の見かけ粘度が、ずり速度1.0s-1において、10000mPa・s以上であるミクロゲルからなる増粘剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の皮膚化粧料。
【請求項4】
前記ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の25℃のエタノール分散液の見かけ粘度が、ずり速度1.0s-1において、5000mPa・s以上であるミクロゲルからなる増粘剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の皮膚化粧料。
【請求項5】
前記ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の25℃の水分散液もしくはエタノール分散液での動的弾性率が、歪み1%以下、周波数0.01〜10Hzの範囲で、G’(貯蔵弾性率)>G”(損失弾性率)であるミクロゲルからなる増粘剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の皮膚化粧料。
【請求項6】
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、一般式(1)に示されるジアルキルアクリルアミドと一般式(2)または(3)に示されるイオン性アクリルアミド誘導体とである増粘剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚化粧料。
一般式(1)
【化1】

(R1はHまたはメチル基、R2及びR3はそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を表わす。)




一般式(2)
【化2】

(R4及びR5はそれぞれ独立にH又はメチル基、R6は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、Xは金属イオン、NH3、アミン化合物を表わす。)
一般式(3)
【化3】

(R7はH又はメチル基、R8はHまたは炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、R9は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、R10、R11、R12はメチル基またはエチル基、Yは陰性カウンターイオンを表わす。)
【請求項7】
前記親水性酸化チタンの表面処理剤が、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素のいずれかであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮膚化粧料。
【請求項8】
前記親水性酸化チタンの平均粒径が0.2〜0.5μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の皮膚化粧料。
【請求項9】
前記ミクロゲルの配合量が0.1〜1.0質量%、前記親水性酸化チタンの配合量が0.1〜0.8質量%、前記炭酸ナトリウムの配合量が0.01〜3.0質量%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の皮膚化粧料。
【請求項10】
皮膚化粧料の粘度が、30℃において、5000〜30000mPa・sであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の皮膚化粧料。
【請求項11】
さらに(d)塩型薬剤を配合することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の皮膚化粧料。
【請求項12】
前記皮膚化粧料は水中油型乳化化粧料であって、乳化剤にHLB2〜11である非イオン性界面活性剤とN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩を併用したことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の皮膚化粧料。

【公開番号】特開2006−257021(P2006−257021A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76463(P2005−76463)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】