説明

皮膚水和度の測定装置、皮膚水和度の測定装置の制御方法及び皮膚水和度の測定プログラムを記録した記録媒体

【課題】携帯用端末機で使用可能な単電源を利用して皮膚水和度を測定できるようにすることにより、ユーザが場所や時間に関係なく、いつでもどこでも簡便に皮膚水和度を測定できる測定装置を提供する。
【解決手段】携帯用端末機に備わった充電用電源から電力を供給され、測定部位に単電源電圧を印加する電圧印加部305と、電圧が印加された測定部位に流れる電流を測定する電流測定部310と、測定された電流を入力され、測定電流に相応する電圧を増幅する電圧増幅部315と、電圧増幅部の出力電圧が所定の範囲に属するように制御し、電圧増幅部315の出力電圧を利用して測定部位のサセプタンスを計算し、計算されたサセプタンスを利用して測定部位の皮膚水和度を計算するメインプロセッサと、を備える携帯用端末機を利用した皮膚水和度の測定装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚水和度(Skin hydration)の測定装置、皮膚水和度の測定装置の制御方法及び皮膚水和度の測定プログラムを記録した記録媒体に係り、特に、携帯電話、または携帯情報端末(PDA)のような携帯用端末機を利用して皮膚水和度を測定する皮膚水和度の測定装置、皮膚水和度の測定装置の制御方法及び皮膚水和度の測定プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、皮膚の含まれる水分を介して外部の刺激と感染とから身体を保護する障壁の役割を果たす。最近、皮膚美容への関心の高まりにより、皮膚の角質層に含まれた水分の量である皮膚水和度を測定する装置が開発されている。前記皮膚水和度の測定装置を利用して測定した皮膚水分量を利用し、測定された皮膚水和度に合う化粧品を選択したり、または周囲の環境の温湿度の影響に対する評価及び皮膚疾患にかかっていないかどうかなどを確認したりする。
【0003】
図1は、皮膚の断面図である。皮膚は、剥離層100、角質層110、有棘層120、真皮130及び皮下組織140からなっている。前記剥離層100、角質層110及び有棘層120を含む表皮部分は、皮膚内水分の外部蒸発を防止することにより、水分均衡及び障壁の機能を皮膚に維持させる。特に、前記表皮の水分均衡機能は、前記角質層110内の水和度維持メカニズムにより行われる。
【0004】
皮膚水和度は、角質層110に含まれる水分の量を意味し、皮膚障壁の状態を表す最適の指標であり、皮膚水和度は、人により、身体部位により、または季節により異なる値を有する。
【0005】
皮膚水和度を測定する方法としては、皮膚に電圧を印加した後、印加した電圧に対応して皮膚に流れる電流を測定することにより、測定した電流を利用して角質層の水分量を計算する方法が使われる。
【0006】
しかし、このような皮膚水和度の測定装置は、携帯が不便であり、ユーザが皮膚水和度を測定しようとする場所や時間に制限されることなく、自身の皮膚状態を測定できないという問題があった。また、携帯電話のような携帯用端末機を利用して皮膚水和度を測定するためには、携帯用端末機に備えられた3V前後の単電源をDC/DCコンバータを利用して昇圧した後で使用しなければならず、電力消耗が増大するという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、皮膚水和度を測定するにあたり、このような問題点を解決するために、携帯用端末機の単電源を利用して皮膚水和度を測定する皮膚水和度の測定装置、皮膚水和度の測定装置の制御方法及び皮膚水和度の測定プログラムを記録した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る皮膚水和度測定装置は、携帯用端末機に備えられる皮膚水和度測定装置において、前記携帯用端末機に備えられた電源から電力を供給され、測定部位に単電源電圧を印加する電圧印加部と、前記電圧が印加された測定部位に流れる電流を測定する電流測定部と、前記測定された電流が抵抗を通過することにより発生する電圧を増幅させる電圧増幅部と、前記電圧増幅部の出力電圧が所定の範囲に属するように制御する制御部と、前記電圧増幅部の出力電圧を利用し、前記測定部位のサセプタンスを計算し、前記計算したサセプタンスを利用し、前記測定部位の皮膚水和度を計算する計算部と、を備える。
【0009】
前記所定の範囲は、前記携帯用端末機で測定可能な電圧の範囲であることが好ましい。
ここで、「携帯用端末機で測定可能な電圧の範囲」は、携帯用端末機で使用される電圧を越えない範囲を意味する。例えば、携帯用端末機の使用電源が、0−3Vの場合、増幅された電圧3Vを超えると3Vに飽和されるので、測定可能な電圧は携帯用端末機で使用される電圧3Vを越えない範囲を意味する。
【0010】
前記制御部は、前記電圧増幅部の出力電圧が前記所定の範囲に属するように、前記電圧増幅部の増幅率を制御することが好ましい。
【0011】
前記制御部は、前記電圧増幅部の出力電圧が前記所定の範囲に属するように、前記電圧印加部の単電源電圧を制御することが好ましい。
【0012】
前記電圧印加部は、前記単電源電圧を0より大きく1未満の増幅率で増幅する増幅器をさらに備え、前記制御部は、前記増幅器の増幅率を制御することが好ましい。
【0013】
前記制御部は、前記電圧増幅部の出力電圧を2以上の区間に分け、前記区間それぞれに対して相異なる増幅率を適用することが好ましい。
【0014】
前記電圧増幅部は、2以上の増幅器を備えることが好ましい。
【0015】
前記電圧増幅部は、非線形増幅器であることが好ましい。
【0016】
前記電圧印加部は、前記皮膚水和度の測定装置を較正しようとする場合、前記測定部位に印加される電圧と異なる大きさの単電源電圧をキャパシタまたはインダクタに印加することが好ましい。
【0017】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る皮膚水和度の測定装置の制御方法は、携帯用端末機を利用する皮膚水和度の測定装置の制御方法において、電圧増幅部が、前記携帯用端末機の単電源電圧を測定部位に印加することにより前記測定部位に流れる電流を抵抗に流すことにより発生する電圧を増幅させるステップと、計算部が、前記増幅された電圧を利用し、前記測定部位のサセプタンスを計算するステップと、前記計算部が、前記計算されたサセプタンスを利用し、前記測定部位の皮膚水和度を計算するステップと、を含む。
【0018】
前記電圧を増幅させるステップより前に、制御部が前記増幅された電圧が所定範囲になるように増幅率を調節するステップをさらに含むことが好ましい。
【0019】
前記所定の範囲は、前記携帯用端末機で測定可能な電圧の範囲であることが好ましい。
【0020】
前記制御部が、前記印加するステップで印加する電圧を調節するステップをさらに含み、前記電圧を増幅させるステップで増幅された電圧の大きさを所定範囲に属させることが好ましい。
【0021】
前記制御部が、前記電圧を増幅させるステップより前に増幅された電圧の大きさを2以上の区間に分け、前記区間それぞれに対して相異なる増幅率を適用するステップをさらに含み、前記電圧を増幅させるステップで増幅された電圧の大きさを所定範囲に属させることが好ましい。
【0022】
前記電圧を増幅させるステップは、前記制御部が、前記測定された電流に相応する電圧を2以上の段階に分けて、前記電圧増幅部が、前記電圧を増幅することが好ましい。
【0023】
前記電圧を増幅させるステップは、非線形増幅器を利用し、前記測定された電流に相応する電圧を増幅することが好ましい。
【0024】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る測定部位の皮膚水和度の測定プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、携帯用端末機に備えられた電源から電力を供給されて測定部位に単電源電圧を印加するステップと、前記単電源電圧が印加された測定部位に流れる電流を測定するステップと、前記測定した電流が流れることにより抵抗にかかる電圧を増幅するステップと、前記増幅した電圧を利用し、前記測定部位のサセプタンスを計算するステップと、前記計算したサセプタンスを利用し、前記測定部位の皮膚水和度を計算するステップと、を含む携帯用端末機を利用して皮膚水和度を測定する皮膚水和度の測定方法をコンピュータで実行させる。
【0025】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る皮膚水和度を測定する携帯端末機は、測定された皮膚の測定部位にAC電圧を印加する電圧印加部と、前記皮膚の測定部位を流れる電流を測定する電流測定部と、測定された電流を、抵抗を介して受信し、測定された電流に該当する電圧を増幅する電圧増幅器と、前記増幅された電圧が最大測定可能な電圧を超えないように電圧を制御する制御部と、前記増幅された電圧を使用して前記部位のサセプタンスを計算し、計算されたサセプタンスを利用して前記測定部位の皮膚水和度を計算する計算部と、を備える。
【0026】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る携帯用端末機を利用して測定部位の皮膚水和度を測定する測定装置の制御方法は、計算部が、前記携帯用端末機の単電源電圧を測定部位に印加することにより前記測定部位に流れる電流を基に前記測定部位のサセプタンスを計算するステップと、前記計算部が、前記計算されたサセプタンスを利用し、前記測定部位の皮膚水和度を計算するステップと、を含む。
【0027】
電圧増幅部が、前記単電源電圧を測定部位に印加することにより前記測定部位に流れる電流を抵抗に流すことにより発生する電圧を増幅させるステップと、をさらに含み、前記サセプタンスは、測定された電流及び増幅された電圧を利用して計算されることが好ましい。
【0028】
さらに、上記課題を解決するため、本発明に係る測定部位の皮膚水和度の測定プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体は、少なくとも1つのコンピュータを、電圧が印加された測定部位を流れる電流を測定する手段、前記測定された電流を基に前記測定部位のサセプタンスを計算する手段、前記計算されたサセプタンスを利用し、前記測定部位の皮膚水和度を計算する手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る携帯用端末機を利用した皮膚水和度の測定装置及び方法によれば、携帯用端末機で使用可能な電源を利用して皮膚水和度を測定することにより、ユーザが場所や時間に制限されず、いつでもどこでも携帯電話のような携帯用端末機を利用して簡便に皮膚水和度を測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、添付された図面を参照しつつ、本実施形態に係る携帯用端末機を利用した皮膚水和度の測定装置、測定装置の制御方法及び測定プログラムについて詳細に説明する。
【0031】
図2は、本実施形態に係る皮膚水和度の測定装置に適用される皮膚水和度の測定方法を示す図面である。交流電源200は、皮膚に接触した2つの印加電極210,220を介して、表皮230と真皮240とからなる皮膚に電圧を印加する。印加電圧は、表皮230に含まれた角質層のサセプタンス(susceptance)を測定するために、50khz前後の低周波数を有することが望ましい。
【0032】
2つの測定電極250,260は、印加された電圧に対応し、皮膚に流れる電流を測定し、皮膚に流れる電流に相応する電圧がOP−AMP270により増幅されて出力される。増幅された電圧は、A/D変換部280を介してデジタル信号に変換され、計算部290は、変換されたデジタル信号を利用し、角質層のサセプタンスを計算する。計算部290は、計算されたサセプタンスを利用し、角質層に含まれた水分の量を計算する。
【0033】
図3は、本実施形態に係る皮膚水和度測定が可能な携帯用端末機の全体的な構成を示すブロック図である。図3に示す携帯用端末機は、充電用電源300、電圧印加部305、電流測定部310、電圧増幅部315、A/D変換部320、メインプロセッサ325、ROM330、RAM335、ディスプレイ部340、ユーザ入力部345及び通信部350を備えてなる。図3に図示された携帯用端末機を利用した皮膚水和度の測定装置の動作を、図5を参照して説明する。ここで、携帯端末機としては、例えば、携帯電話またはPDAである。図5は、携帯用端末機を利用した皮膚水和度の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【0034】
一般的な携帯電話のような携帯用端末機の動作としては、メインプロセッサ325の制御を受けて通信部350は、基地局とデータまたは音声信号を送受信し、ディスプレイ部340は、現在の携帯用端末機の状態などを表示し、ユーザ入力部345は、ユーザから特定端末機の機能遂行のための命令を、図示を省略したキーボタンなどを介して入力される。ROM330は、メインプロセッサの動作のためのプログラムを保存する。
【0035】
電圧印加部305は、充電用電源300から電力を供給され、ユーザが皮膚水和度を測定する所望の部位に電圧を印加する(ステップ500)。電圧印加部305は、2個のOP−AMPを備え、OP−AMPを介して発生させたサイン波を測定部位に印加することが望ましい。また、一般的に、携帯用端末機に使われる電源は、0Vから3V前後の範囲を有する単電源(single power source)であるから、電圧印加部305もまた測定部位に0Vから3V前後の範囲を有する単電圧を印加する。電圧印加部305は、メインプロセッサ325で使われるサイン波を直接メインプロセッサ325から入力され、測定部位に印加することもできる。ここで、単電源は、一般的に、0Vないし3Vの範囲であり、電圧印加部305は、この範囲の電圧を印加できるが、単電源は、3V以上であってもよく、かかる場合、電圧印加部305も、3V以上の電圧を印加可能である。
【0036】
電流測定部310は、測定部位に接触した電極(図示せず)を利用し、印加電圧を印加することにより測定部位に流れる電流を測定する(ステップ510)。測定した電流が抵抗(図示せず)を通過することにより発生する電圧は、電圧増幅部315に入力される。ここで、抵抗は、電圧増幅部315で増幅された電圧が携帯端末機で使われる電圧を超えないようにすることが望ましい。電圧増幅部315は、OP−AMPのような増幅器を利用し、測定された電圧に相応する電圧を増幅する(ステップ520)。この増幅された電圧の大きさが携帯用端末機で測定可能な範囲、例えば、携帯用端末機で使用する電源である0Vから3Vまでである場合、0Vから3Vまでの間を超えれば、測定される増幅電圧の大きさが3Vにサチュレート(saturation)される。従って、メインプロセッサ325は、電圧増幅部315の出力電圧が、携帯用端末機内で測定可能な電圧の範囲になるように制御する(ステップ530)。
【0037】
電圧増幅部315は、非線形増幅器を利用し、測定した電圧に相応する電圧を増幅することが望ましい。電圧増幅部315の出力電圧のうち、皮膚水和度測定に使用できる出力電圧の範囲は、入力電圧の増大に比例して出力電圧が増大する線形区間に属する電圧である。図4は、非線形増幅器の入出力電圧をグラフで示す図面である。図4に示すように、非線形増幅器を利用して電圧を増幅することにより、線形区間(a−b)を拡大できる。本実施形態のように、狭い範囲の単電源電圧を、線形増幅器を使用して増幅する場合には、線形区間が狭く、皮膚水和度測定の誤差が発生する確率が高いので、前記の通りに非線形増幅器を使用して線形区間を拡大することにより、皮膚水和度の測定誤差を減らすことができる。
【0038】
電圧印加部305が測定部位に電圧を印加し、電流測定部310が測定部位に流れる電流を正確に測定するためには、一定時間以上、電圧印加部305と電流測定部310とに備えられた電極が測定部位に接触しなければならないので、ディスプレイ部340が測定時間を表示し、ユーザが一定時間以上、電圧印加部305と電流測定部310とを測定部位に接触させていることが望ましい。
【0039】
以下では、ステップ530におけるメインプロセッサ325が増幅された電圧を制御する方法について具体的に述べる。
【0040】
第一の方法としては、メインプロセッサ325は、電圧増幅部315の出力電圧を入力され、入力された出力電圧が、携帯用端末機内で測定可能な電圧の範囲に属するように、電圧増幅部315の増幅率を調整する。メインプロセッサ325は、電圧増幅部315に備えられた可変抵抗の抵抗値を調整することにより、電圧増幅部315の増幅率を調整することが望ましい。電圧増幅部315の出力電圧の大きさが大きいほど信号対ノイズ比(SNR:Signal to Noise Ratio)が増大するので、正確な皮膚水和度の測定のために、メインプロセッサ325は、増幅された電圧の大きさが携帯用端末機内で測定可能な電圧の範囲でできる限り大きい値を有するように制御することが望ましい。
【0041】
第二の方法としては、RAM335に電圧増幅部315の出力電圧を2つ以上の区間に分け、各区間に対応する増幅率値を保存しておき、メインプロセッサ325は、電圧増幅部315から入力される増幅された電圧の大きさに対応する増幅率をRAM335から読み出し、電圧増幅部315の増幅率を調整する。例えば、RAM335に電圧増幅部315の出力電圧を2区間に分け、出力電圧が0Vから1.5Vである場合には、増幅率を100倍に、前記出力電圧が1.5Vから3Vである場合には、増幅率を10倍に保存しておき、メインプロセッサ325は、電圧増幅部315の出力電圧が0.5Vの場合には、電圧増幅部315の増幅率を100倍に調整することが望ましい。
【0042】
第三の方法としては、電圧印加部305が、増幅率が0より大きく1未満である増幅器(図示せず)、すなわち、電圧の大きさを小さくする増幅器(図示せず)を具備し、メインプロセッサ325が、電圧増幅部315の出力電圧の大きさが携帯用端末機内で測定可能な電圧範囲を超えないように、増幅器(図示せず)の増幅率を調整する。
【0043】
第四の方法としては、電圧増幅部315が2個以上のOP−AMPを具備し、電圧増幅部に入力される電圧を2段階以上に分けて増幅し、電圧増幅部315の出力電圧が携帯用端末機内で測定可能な電圧範囲を超えないように制御することもできる。メインプロセッサ325が増幅率を調整し、電圧増幅部315の出力電圧を制御した場合、調整された増幅率値をRAM335に保存することが望ましい。
【0044】
A/D変換部320は、電圧増幅部315の出力電圧をデジタル信号に変換して出力する(ステップ540)。メインプロセッサ325は、デジタル信号を入力され、デジタル信号と次の式(1)とを利用し、測定部位の角質層のサセプタンスBを計算する(ステップ550)。
【0045】
【数1】

【0046】
式(1)で、Iは測定電流であり、Vは印加電圧、Yは測定部位のアドミタンス、Gは測定部位のコンダクタンス、Bは測定部位のサセプタンスである。
【0047】
メインプロセッサ325は、電圧増幅部315の増幅率、A/D変換部320から入力されるデジタル信号の大きさ、及び電圧増幅部315の前段階で使われた抵抗値を利用し、電流測定部310で測定した電流を計算し、計算された測定電流を電圧印加部305が印加した電圧で割ってアドミタンス値を計算し、測定部位のサセプタンス値を計算する。前記のように、印加電圧の周波数を50Khz前後の低周波とすることにより、測定部位のうち、水分量を測定する所望の角質層のアドミタンスを計算できる。
【0048】
メインプロセッサ325は、計算された測定部位のサセプタンス値を利用し、測定部位の皮膚水和度を計算する(ステップ560)。RAM335には、サセプタンス値と皮膚水和度値との関係が関係式またはルックアップテーブルのような形態で保存されており、メインプロセッサ325は、RAM335に保存されたサセプタンス値と皮膚水和度値との関係を利用し、計算されたサセプタンス値から測定部位の皮膚水和度を計算することが望ましい。また、RAM335に保存されたサセプタンスと皮膚水和度との関係は、実験により求めることが望ましい。
【0049】
ディスプレイ部340は、メインプロセッサ325から計算された皮膚水和度値を入力され、ユーザが見ることができるように表示する(ステップ570)。
【0050】
ROM330には、測定された皮膚水和度によってユーザに提供される皮膚情報、例えば、皮膚に合う化粧品情報または周囲環境による皮膚状態情報などを保存していることが望ましく、メインプロセッサ325は、計算した皮膚水和度による情報をROM330から読み出し、ディスプレイ部340を介してユーザに提供することが望ましい。
【0051】
次に、携帯端末機を利用した皮膚水和度測定装置の精度を調整するための較正(キャリブレーション:calibration)方法を説明する。皮膚水和度測定装置の較正方法は、すでにキャパシタンス値を知っているキャパシタ、またはインダクタンス値を知っているインダクタに皮膚水和度の測定装置を利用してサセプタンス値を測定した後、測定されたサセプタンス値と、あらかじめ知っているキャパシタンス値またはインダクタンス値によるサセプタンス値とが一致するか否かを確認して較正を行う。較正を行うために、皮膚水和度測定のために測定部位に印加する電圧と同じ電圧をキャパシタまたはインダクタに電圧を印加する場合には、電圧増幅部315の出力電圧が携帯用端末機内で測定可能な電圧の範囲を超えてしまう場合が多い。従って、較正遂行時には、電圧印加部305は、皮膚水和度測定時に印加される電圧より小さい電圧を印加することが望ましい。具体的には、電圧印加部305が印加電圧を発生させるために使用する2個のOP−AMPのうち、皮膚水和度測定のためのサイン波が出力されるOP−AMP以外の残りのOP−AMPから出力されるコサイン波をキャパシタまたはインダクタに印加することが望ましい。
【0052】
本発明はまた、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能名コードとして具現することが可能である。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取り可能なデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フレキシブルディスク、光データ保存装置などがあり、また、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを通した伝送)の形態で具現されるものも含む。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークに連結されたコンピュータシステムに分散され、分散方式でコンピュータに読み取り可能なコードが保存されて実行されうる。そして、本発明を具現するための機能的なプログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマーらにより容易に推論されうる。
【0053】
以上、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明が属する技術分野において当業者ならば、特許請求の範囲に定義された本発明の精神及び範囲を外れずに、本発明をさまざまに変形または変更して実施できるということが分かるであろう。従って、本発明の今後の実施形態の変更は、本発明の技術を外れることはないのである。
また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態の記載により制限されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の携帯用端末機を利用した皮膚水和度の測定装置、測定装置の制御方法及び測定プログラムを記録した記録媒体は、例えば、健康・美容関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】皮膚の構成を表す断面図である。
【図2】本実施形態に係る皮膚水和度の測定装置に適用される皮膚水和度の測定方法を説明するための図面である。
【図3】本実施形態に係る皮膚水和度測定が可能な携帯用端末機の全体的な構成を表すブロック図である。
【図4】非線形増幅器の動作を説明するためのグラフである。
【図5】本実施形態に係る携帯用端末機を利用した皮膚水和度の測定方法を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
100 剥離層
110 角質層
120 有棘層
130,240 真皮
140 皮下組織
200 交流電源
210,220 印加電極
230 表皮
250,260 測定電極
270 OP AMP
280,320 A/D変換部
290 計算部
300 充電用電源
305 電圧印加部
310 電流測定部
315 電圧増幅部
325 メインプロセッサ
330 ROM
335 RAM
340 ディスプレイ部
345 ユーザ入力部
350 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用端末機に備えられる皮膚水和度測定装置において、
前記携帯用端末機に備えられた電源から電力を供給され、測定部位に単電源電圧を印加する電圧印加部と、
前記電圧が印加された測定部位に流れる電流を測定する電流測定部と、
前記測定された電流が抵抗を通過することにより発生する電圧を増幅させる電圧増幅部と、
前記電圧増幅部の出力電圧が所定の範囲に属するように制御する制御部と、
前記電圧増幅部の出力電圧を利用し、前記測定部位のサセプタンスを計算し、前記計算したサセプタンスを利用し、前記測定部位の皮膚水和度を計算する計算部と、
を備えることを特徴とする皮膚水和度の測定装置。
【請求項2】
前記所定の範囲は、
前記携帯用端末機で測定可能な電圧の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚水和度の測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記電圧増幅部の出力電圧が前記所定の範囲に属するように、前記電圧増幅部の増幅率を制御することを特徴とする請求項1に記載の皮膚水和度の測定装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記電圧増幅部の出力電圧が前記所定の範囲に属するように、前記電圧印加部の単電源電圧を制御することを特徴とする請求項1に記載の皮膚水和度の測定装置。
【請求項5】
前記電圧印加部は、
前記単電源電圧を0より大きく1未満の増幅率で増幅する増幅器をさらに備え、
前記制御部は、
前記増幅器の増幅率を制御することを特徴とする請求項1に記載の皮膚水和度の測定装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記電圧増幅部の出力電圧を2以上の区間に分け、前記区間それぞれに対して相異なる増幅率を適用することを特徴とする請求項3に記載の皮膚水和度の測定装置。
【請求項7】
前記電圧増幅部は、
2以上の増幅器を備えることを特徴とする請求項1に記載の皮膚水和度の測定装置。
【請求項8】
前記電圧増幅部は、
非線形増幅器であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚水和度の測定装置。
【請求項9】
前記電圧印加部は、
前記皮膚水和度の測定装置を較正しようとする場合、前記測定部位に印加される電圧と異なる大きさの単電源電圧をキャパシタまたはインダクタに印加することを特徴とする請求項1に記載の皮膚水和度の測定装置。
【請求項10】
携帯用端末機を利用する皮膚水和度の測定装置の制御方法において、
電圧増幅部が、前記携帯用端末機の単電源電圧を測定部位に印加することにより前記測定部位に流れる電流を抵抗に流すことにより発生する電圧を増幅させるステップと、
計算部が、前記増幅された電圧を利用し、前記測定部位のサセプタンスを計算するステップと、
前記計算部が、前記計算されたサセプタンスを利用し、前記測定部位の皮膚水和度を計算するステップと、
を含むことを特徴とする皮膚水和度の測定装置の制御方法。
【請求項11】
前記電圧を増幅させるステップより前に、制御部が前記増幅された電圧が所定範囲になるように増幅率を調節するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の皮膚水和度の測定装置の制御方法。
【請求項12】
前記所定の範囲は、
前記携帯用端末機で測定可能な電圧の範囲であることを特徴とする請求項11に記載の皮膚水和度の測定方法。
【請求項13】
前記制御部が、前記印加するステップで印加する電圧を調節するステップをさらに含み、
前記電圧を増幅させるステップで増幅された電圧の大きさを所定範囲に属させることを特徴とする請求項11に記載の皮膚水和度の測定装置の制御方法。
【請求項14】
前記制御部が、前記電圧を増幅させるステップより前に増幅された電圧の大きさを2以上の区間に分け、前記区間それぞれに対して相異なる増幅率を適用するステップをさらに含み、
前記電圧を増幅させるステップで増幅された電圧の大きさを所定範囲に属させることを特徴とする請求項11に記載の皮膚水和度の測定装置の制御方法。
【請求項15】
前記電圧を増幅させるステップは、
前記制御部が、前記測定された電流に相応する電圧を2以上の段階に分けて、前記電圧増幅部が、前記電圧を増幅することを特徴とする請求項10に記載の皮膚水和度の測定装置の制御方法。
【請求項16】
前記電圧を増幅させるステップは、
非線形増幅器を利用し、前記測定された電流に相応する電圧を増幅することを特徴とする請求項10に記載の皮膚水和度の測定装置の制御方法。
【請求項17】
携帯用端末機に備えられた電源から電力を供給されて測定部位に単電源電圧を印加するステップと、
前記単電源電圧が印加された測定部位に流れる電流を測定するステップと、
前記測定した電流が流れることにより抵抗にかかる電圧を増幅するステップと、
前記増幅した電圧を利用し、前記測定部位のサセプタンスを計算するステップと、
前記計算したサセプタンスを利用し、前記測定部位の皮膚水和度を計算するステップと、
を含む携帯用端末機を利用して皮膚水和度を測定する皮膚水和度の測定方法をコンピュータに実行させるための測定部位の皮膚水和度の測定プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【請求項18】
測定された皮膚の測定部位にAC電圧を印加する電圧印加部と、
前記皮膚の測定部位を流れる電流を測定する電流測定部と、
測定された電流を、抵抗を介して受信し、測定された電流に該当する電圧を増幅する電圧増幅器と、
前記増幅された電圧が最大測定可能な電圧を超えないように電圧を制御する制御部と、
前記増幅された電圧を使用して前記部位のサセプタンスを計算し、計算されたサセプタンスを利用して前記測定部位の皮膚水和度を計算する計算部と、
を備えることを特徴とする皮膚水和度を測定する携帯端末機。
【請求項19】
携帯用端末機を利用して測定部位の皮膚水和度を測定する測定装置の制御方法において、
計算部が、前記携帯用端末機の単電源電圧を測定部位に印加することにより前記測定部位に流れる電流を基に前記測定部位のサセプタンスを計算するステップと、
前記計算部が、前記計算されたサセプタンスを利用し、前記測定部位の皮膚水和度を計算するステップと、
を含むことを特徴とする皮膚水和度を測定する測定装置の制御方法。
【請求項20】
電圧増幅部が、前記単電源電圧を測定部位に印加することにより前記測定部位に流れる電流を抵抗に流すことにより発生する電圧を増幅させるステップと、
をさらに含み、
前記サセプタンスは、測定された電流及び増幅された電圧を利用して計算されることを特徴とする請求項19に記載の測定装置の制御方法。
【請求項21】
少なくとも1つのコンピュータを、
電圧が印加された測定部位を流れる電流を測定する手段、
前記測定された電流を基に前記測定部位のサセプタンスを計算する手段、
前記計算されたサセプタンスを利用し、前記測定部位の皮膚水和度を計算する手段、
として機能させる測定部位の皮膚水和度の測定プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−334415(P2006−334415A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155511(P2006−155511)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】