説明

監視カメラの追尾装置

【課題】少ない消費電力で、検知領域内の検知物体を検知して確実に追尾し、監視する。
【解決手段】検知物体までの距離を測定する測距センサ7を有し、PIRセンサ6にて検知領域内に検知物体を検知したときに、測距センサ7を作動させる。測距センサ7よりの信号を受け、制御装置9において前記検知物体の位置を一定時間間隔で検出し記憶し、この検知物体の位置データに基づき前記検知物体の移動方向および移動速度を演算する。この演算結果に基づき、追尾モータ3を駆動制御して監視カメラ2の向きを変更し、監視カメラ2によって、検知領域内の検知物体を追尾する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラの追尾装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラの追尾システムとしては、(i)監視カメラを画像センサとするもの(例えば特許文献1参照)、(ii)複数個の焦電型赤外線センサ(PIRセンサ)を用いて、熱発生物体の移動を検出して追尾するもの(例えば特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−117288号公報
【特許文献2】特開2002−62366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のもののように監視カメラを画像センサとするものでは、侵入者を追尾するために監視カメラを常時作動させるので、消費電力が多くなる。常時監視する必要がない場所もあり、そのような場所では無駄がある。画像解析を行うため、複雑な処理が可能であるが、ソフトウェアが複雑なアルゴリズムを必要とし、処理速度が速いCPUを必要とする。そのため、CPUの消費電力が多くなる。また、監視カメラの画角内のみでの追尾となる。
【0005】
特許文献2に記載のもののように複数個のPIRセンサ(焦電型赤外線センサ)による追尾では、消費電力は少ないが、1つのPIRセンサの検知エリア内で侵入者が移動しても追尾しない。そのため、カメラレンズを検知エリアに合わせて、広角レンズとする必要があり、見にくくなる。また、PIRセンサは、人体(侵入者)程度の大きさで検知可能な速度は、1.6m/s程度(早歩き程度)で検知エリアが制限されるため、PIRセンサの数を多くしても、追尾できず、侵入者を見失うおそれがある。
【0006】
本発明は、少ない消費電力で、検知領域内の検知物体を検知して確実に追尾し、監視することができる監視カメラの追尾装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、検知領域内に検知物体が存在するのを検知する物体検出センサと、前記物体検出センサよりの信号を受け検知物体を撮影する監視カメラと、前記監視カメラを回転して撮影する向きを変更する追尾モータとを備える監視カメラの追尾装置において、前記検知領域内に存在する検知物体までの距離を測定する距離測定手段と、前記物体検出センサよりの信号を受け前記検知物体を検知したときに前記距離測定手段を作動させる測定制御手段と、前記距離測定手段よりの信号を受け、前記検知物体の位置を一定時間間隔で検出し記憶する位置検出・記憶手段と、前記位置検出・記憶手段よりの信号を受け、前記検知物体の位置データに基づき前記検知物体の移動方向および移動速度を演算する方向・速度演算手段と、前記方向・速度演算手段よりの信号を受け前記追尾モータを駆動制御して前記監視カメラの向きを変更する追尾手段とを備えることを特徴とする。ここで、距離測定手段としては、前記検知領域内に存在する検知物体までの距離を測定することができるものであればよく、例えば測域センサやスキャン式レーザー測距センサが用いられる。
【0008】
このようにすれば、検知領域内に検知物体が存在していないときは、距離測定手段、追尾モータ、監視カメラは作動せず、消費電力が少ない物体検出センサ(PIRセンサ)で、検知領域内に侵入者などの検知物体が存在するか否かを監視し、検知領域内に検知物体が存在する場合には、検知物体の追尾を行うために距離測定手段を作動させ、追尾モータの駆動制御で監視カメラの向きを変更して検知物体を追尾することになる。よって、少ない消費電力で、検知領域内における検知物体の存在を監視し、検知物体が存在する場合には、監視カメラによって検知物体を確実に追尾しながら監視することができる。
【0009】
この場合、請求項2に記載のように、前記追尾手段は、検知物体が監視カメラの画角の中心になる位置に監視カメラを回転して追尾する通常追尾モードと、カメラ画角と演算値により検知物体がカメラ画角に入ってくる側の端となる位置まで監視カメラを回転させ、検知物体がカメラ画角から外れる位置になるまで、前記監視カメラの回転を停止する予測追尾モードとを選択的に取るようにすることができる。ここで、「監視カメラを回転して」とは、監視カメラを直接回転する場合だけでなく、監視カメラを支持しているカメラ支持台を回転することで監視カメラを回転する場合も含まれるのはいうまでもない。
【0010】
このようにすれば、検知物体の移動速度などに応じて、監視カメラを検知物体の移動に応じて常時動かす通常追尾モードと、監視カメラを予測位置に動かし、その位置に監視カメラを停止させる予測追尾モードとを使い分け、検知物体の移動状況に応じて柔軟に対応することができる。
【0011】
請求項3に記載のように、前記方向・速度演算手段よりの信号を受け前記検知物体の移動速度が、規定速度より速くなるか否かを判定する速度判定手段を備え、前記追尾手段は、前記速度判定手段よりの信号を受け、前記移動速度が規定速度よりも速い場合には予測追尾モードを選択する一方、移動速度が規定速度よりも速くない場合には通常追尾モードを選択する構成とすることが望ましい。ここで、規定速度としては、(i)追尾モータを駆動して監視カメラで通常追尾できる限界の速度、(ii)監視カメラのモニタ画像が流れることなく、見やすい状態を維持できる限界の速度などが用いられる
このようにすれば、検知物体の移動速度が規定速度よりも速い場合には予測追尾モードを選択するので、通常追尾モードを維持することで、監視カメラで追尾できなくなったりモニタ映像が流れて見にくくなったりする事態が生じるのが回避される。
【0012】
請求項4に記載のように、予測追尾モード選択スイッチを備え、前記予測追尾モード選択スイッチで、予測追尾モードを選択した場合を除き、前記追尾手段は、通常追尾モードでもって検知物体を追尾する構成とすることが望ましい。
【0013】
このようにすれば、使用者の意志に基づき、通常追尾モードと、予測追尾モードとを使い分けることができる。
【0014】
請求項5に記載のように、前記位置検出・記憶手段は、追尾の停止により位置検出を停止して記憶している位置データをクリアするものであることが望ましい。
【0015】
このようにすれば、次に検知領域に新たな検知物体が存在することになった場合に、速やかに対応することができる。
【0016】
請求項6に記載のように、暗い場所での前記監視カメラの補助照明を行う白色LEDと、照度センサと、前記照度センサおよび物体検出センサよりの信号を受け検知領域内に検知物体が侵入した場合であって一定の照度以下である場合に、白色LEDを補助灯として作動させる白色LED制御手段とを備えることが望ましい。
【0017】
このようにすれば、補助灯である白色LEDについても節電が図れ、少ない消費電力での監視が実現される。
【0018】
請求項7に記載のように、前記測定制御手段は、前記物体検出センサよりの信号に加えて、前記距離測定手段よりの信号を受け、前記物体検出センサより信号の入力がないか、あるいは前記距離測定手段よりの信号に変化がない場合には、前記距離測定手段の作動を停止させ、前記物体検出センサのみによる検知物体の侵入を検知する待機モードとすることが望ましい。
【0019】
このようにすれば、物体検出センサより信号の入力がないか、あるいは距離測定手段よりの信号に変化がない場合には、前記距離測定手段の作動を停止させ、前記物体検出センサのみによる検知物体の侵入を検知する待機モードとされるので、節電が図れ、少ない消費電力での監視が実現される。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、検知領域内に検知物体が存在していないときは、消費電力が少ない物体検出センサ(PIRセンサ)で、検知領域内に侵入者などの検知物体が存在するか否かを監視し、検知領域内に検知物体が存在する場合には、検知物体の追尾を行うために距離測定手段を作動させ、追尾モータの駆動制御で監視カメラの向きを変更して検知物体を追尾するので、少ない消費電力で、検知領域内における検知物体の存在を監視し、検知物体が存在する場合には、監視カメラによって検知物体を確実に追尾しながら監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る監視カメラの追尾装置の一実施の形態についてのブロック図である。
【図2】PIRセンサの検知領域と監視カメラの画角との関係の説明図である。
【図3】(a)(b)はそれぞれ検知物体、監視カメラ、測距センサおよび白色LEDの関係を示す説明図、(c)は測距センサのセンサ部の動きの説明図である。
【図4】追尾制御の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0023】
図1に示すように、監視装置1は、検知領域内の検知物体(例えば侵入者)を撮影するCCDカメラである監視カメラ2と、この監視カメラ2の下側に監視カメラ2(あるいは監視カメラ2を支持するカメラ支持台)を回転して、移動する前記検知物体を追尾するための追尾モータ3と、暗い場所でのカメラ補助照明用の白色LED4とを有する。追尾モータ3としては、例えば、位置を合わせる制御が可能である駆動モータ例えばステッピング式モータが用いられる。なお、監視カメラ2と白色LED4とは一緒に回転するようになっている。なお、監視カメラ2の画像は、モニタ5に送られる。
【0024】
また、監視装置1は、物体検出センサとしてのPIRセンサ6(焦電型赤外線センサ)、距離測定手段としての測距センサ7、照度センサ8および制御装置9を備える。PIRセンサ6は、熱線を集めるフレネルレンズを有し、検知領域内に検知物体が存在することを検知するもので、図2に示すように、PIRセンサ6の検知領域が監視カメラ2の画角よりも広くなっている。
【0025】
測距センサ7は、例えばスキャン式レーザー測距センサで、センサ部(検知部)が鉛直軸周りに繰り返し全方位について前記検知領域内に存在する検知物体までの距離を測定するもので、図3(a)(b)に示すように、前記センサ部が回転しながら光(LED光またはレーザ光)を放射し、検知物体に当たって反射した光を受けて距離を計測することにより、広域な距離データを出力する。照度センサ8は、周囲の照度についてのデータを出力する。なお、測距センサ7は、具体的には、図3(c)に示すように、ハウジング7a内にセンサ部7bが配置され、そのセンサ部7bが鉛直軸O周りに回転するようになっている。
【0026】
制御装置9は、PIRセンサ6、測距センサ7および照度センサ8からのデータにより、監視装置1全体の動作のON−OFF、白色LED4の点灯、追尾モータ3の駆動などの制御を行う。つまり、制御装置9は、PIRセンサ6よりの信号を受け前記検知物体を検知したときに測距センサ7を作動させる測距センサ制御手段9A(測定制御手段)と、測距センサ7よりの信号を受け、前記検知物体の位置を一定時間間隔で検出し記憶する位置検出・記憶手段9Bと、この位置検出・記憶手段9Bよりの信号を受け、前記検知物体の位置データに基づき前記検知物体の移動方向および移動速度を演算する方向・速度演算手段9Cと、この方向・速度演算手段9Cよりの信号を受け追尾モータ3を駆動制御して監視カメラ2を回転してその向きを変更する追尾手段9Dとを備える。
【0027】
追尾手段9Dは、検知物体が監視カメラ2の画角の中心になる位置に監視カメラ2を回転して常時追尾する通常追尾モードと、カメラ画角と方向・速度演算手段9Cによる演算値(計算値)により検知物体が監視カメラ2の画角内に入ってくる側の端となる位置まで監視カメラ2を回転させ、検知物体が監視カメラ2の画角から外れる位置になるまで、監視カメラ2の回転を停止する予測追尾モードとを選択的に取る。つまり、予測追尾モードでは、監視カメラ2が検知物体を常時追尾するのではなく、検知物体が移動する方向に予め監視カメラ2が向けられ、停止した状態で検知物体の監視が行われる。なお、測距センサ7のデータにより検知物体を検出するため、複数の検知物体(侵入者)がある場合が想定される。そのような場合には、監視カメラ2からの距離が最も短い検知物体がいずれであるかを判定する判定手段を備えるようにすることで、その判定結果から、監視する必要性が最も高いと考えられる、監視カメラ2からの距離が最も短い検知物体を追尾するようにすることが好ましい。また、予めわかっている、監視カメラ2の画角から、画角内の検知物体の数が多いと判断される方向に監視カメラ2を回転して、追尾させるようにしてもよい。
【0028】
この追尾手段9Dには、予測追尾モード選択スイッチ10が連係され、予測追尾モード選択スイッチ10で、予測追尾モードを選択した場合を除き、追尾手段9Dは、通常追尾モードのみでもって検知物体を追尾するようになっている。
【0029】
また、方向・速度演算手段9Cよりの信号を受け前記検知物体を追尾するのに必要な速度(追尾速度)が、規定速度より速くなるか否かを判定する速度判定手段9Eを備え、この速度判定手段9Eによる判定結果に応じて、予測追尾モード選択スイッチ10によって予測追尾モードが選択されている場合には、通常追尾モードとするか、予測追尾モードとするかが追尾手段9Dによって選択される。つまり、前記速度判定手段9Eよりの信号を受け、追尾速度が規定速度よりも速くなる場合には、通常追尾モードでは検知物体を追尾するのが困難となると予測されるので、予測追尾モードを選択する一方、追尾速度が規定速度よりも速くならない場合には通常追尾モードを選択する。
【0030】
さらに、照度センサ8およびPIRセンサ6よりの信号を受け検知領域内に検知物体が存在する場合であって一定の照度以下である場合に、白色LED4を補助灯として作動させる白色LED制御手段9Fを備える。
【0031】
測距センサ制御手段9Aは、PIRセンサ6よりの信号に加えて測距センサ7よりの信号も受け、PIRセンサ6より信号の入力がないか、あるいは測距センサ7よりの信号に変化がない場合に、測距センサ7の作動を停止させ、PIRセンサ6のみによる検知物体の存在を検知する待機モードとするようになっている。これにより、検知領域内に検知物体が存在せず、監視の必要がない場合には、測距センサ7等は停止され、節電が図られる。
【0032】
よって、監視装置1は、待機モードでは、消費電力の少ないPIRセンサ6で、検知領域内への、侵入者などの検知物体の侵入が監視される。検知物体が存在すると検知されると、制御装置9が、監視カメラ(CCDカメラ)2、追尾モータ3、測距センサ7および照度センサ8を作動させる。照度センサ8により、照度が閾値以下であれば、白色LED4を、補助灯として点灯する。
【0033】
測距センサ7が、検知物体(侵入者の人体等)についての距離データ(位置データ)を出力し、そのデータに応じて、定位置に固定されている監視カメラ2と白色LED4とを追尾モータ3の回転により回転させ、検知物体の追尾を行う。
【0034】
測距センサ7による測定可能範囲で、検知物体が存在せず、追尾(測定)が終了すると、監視カメラ2が正面を向く待機状態に戻され、PIRセンサ6以外の作動が停止され、低消費電力の待機モードとなる。ただし、PIRセンサ6が、何らかの検知をしている状態では、停止しない。
【0035】
また、PIRセンサ6が何も検知しない場合や測距センサ7よりの信号に変化がない場合、一定時間経過した後に停止し、PIRセンサ6のみによる監視となる待機モードに戻り、節電が図られる。なお、「測距センサ7よりの信号に変化がない」とは、測距センサ7で測定する距離データについて変化がないことを意味する。
【0036】
続いて、図4に沿って、測距センサ7を用いた追尾制御について説明する。
【0037】
検知領域内に検知物体(移動物体)が存在し、PIRセンサ6によって検知され検知物体の追尾が開始されると、測距センサ7による位置データ(距離データ)が位置検出・記憶手段9Bによって取得され(ステップS1)、記憶される(ステップS2)。このデータの取得は、一定時間間隔(例えば0.1秒)で行われ、位置情報(距離、方向)に時間情報が組み込まれる。
【0038】
それから、前に記憶したデータがあるか否かが判定される(ステップS3)。なお、この記憶されたデータは、追尾停止によりクリアされる。
【0039】
前に記憶したデータがあれば、今回のデータと前回のデータとを比較し(ステップS4)、方向・速度演算手段9Cによって移動方向、移動速度を演算する(ステップS5)。この移動方向および移動速度は、前述した位置情報、時間情報から演算される。
【0040】
一方、前に記憶したデータがなければ、追尾の開始になるので、追尾しようとする検知物体がカメラ画角の中心になる位置になるように監視カメラ2(あるいはカメラ支持台)を回転させ(ステップS6)、ステップS1に戻る。
【0041】
ステップS5の後、予測追尾モード選択スイッチ10がONであるか否かが判定され(ステップS7)、ONであれば、予測追尾モード中であるか否かが判定される(ステップS8)。
【0042】
予測追尾モード選択スイッチがONでなければ、予測追尾モードが必要とされていないので、通常の追尾モードであるので、検知物体がカメラ画角の中心になる位置になるように監視カメラを回転させる通常追尾モードとし(ステップS9)、ステップS1に戻る。
【0043】
ステップS8で、予測追尾モード中であると判定されると、検知物体が監視カメラ2の画角から外れる位置になったか否かが判定され(ステップS10)、外れていなければ、そのままステップS1に戻る。なお、予測追尾モード中は、検知物体が画角から外れる(出る)位置に来るまで、監視カメラ2の回転を停止する。
【0044】
ステップS8で、予測追尾モード中ではないと判定されると、追尾速度が規定速度よりも速くなるか否かが判定される(ステップS11)。ステップS10で、検知物体が監視カメラ2の画角から外れる位置になったと判定される場合も、ステップS11に移行する。
【0045】
ステップS11の判定で、規定速度よりも速くなる場合は、カメラ画角と、方向・速度演算手段9Cによる計算値により検知物体がカメラ画角に入っている側の端となる位置まで監視カメラ2を回転させ(ステップS12)、ステップ1に戻る一方、規定速度よりも早くならない場合には、ステップS9に移行し、通常の追尾モードとし、ステップS1に戻る。
【0046】
よって、通常追尾モード中に追尾速度が速くなれば、予測追尾モードに切替えられ、予測追尾モード中に追尾速度が遅くなれば、通常追尾モードに切り替えられる。
【0047】
上記のように構成すれば、制御装置9は,PIRセンサ6による検知と測距センサ7からの位置データの処理、追尾モータ3の制御、白色LED4の点灯制御等の単純な処理を行うだけでよくなるので、複雑な処理を必要とせず、ソフトウエア(アルゴリズム)が簡単となり、制御装置9の処理速度も速くする必要がない。
【0048】
また、複数のPIRセンサを用いる従来の方法であれば、検知物体(侵入者など)の動く速さによっては追尾できない場合があるが、測距センサ7を使用することで、検知物体が人間であれば、追尾が可能となる。
【0049】
測距センサ7を使用することで、測距センサ7からの位置データを解析し、検知物体の動きを予測して、先に監視カメラ2を予測した方向に向けておく予測追尾ができるため、監視カメラ2を検知物体の移動に応じて常時動かす通常追尾であると、モニタ映像が流れて、見にくくなる場合が生ずるが、先に予測位置に動かしておいて、監視カメラ2を静止させ、検知物体を待ってその移動を監視することで、検知物体のモニタ映像を見やすくすることができるという大きなメリットがある。
【0050】
待機モードでは消費電力が多い監視カメラ2や監視カメラ2の補助灯としての白色LED4を作動させず、消費電力の少ないPIRセンサ6のみで検知物体の監視を行い、その検知領域内に侵入者等の検知物体が侵入した場合に、その検知物体の侵入検知をトリガーとして、白色LED4(カメラ補助灯)、追尾用の測距センサ7および追尾モータ3を作動させるので、無駄な電力を消費することがなく、節電に有利である。
【0051】
また、カメラ補助灯として、一般的な白熱電球やハロゲン電球ではなく、白色LED4を使用しているので、補助灯による消費電力も押さえることができる。
【0052】
なお、測距センサ7が、測距センサ7自体で距離データを処理し、信号に変化がないことを出力する機能を有する構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 監視装置
2 監視カメラ
3 追尾モータ
4 白色LED
5 モニタ
6 PIRセンサ(焦電型赤外線センサ)
7 測距センサ
7a ハウジング
7b センサ部
8 照度センサ
9 制御装置
9A 測距センサ制御手段(測定制御手段)
9B 位置検出・記憶手段
9C 方向・速度演算手段
9D 追尾手段
9E 速度判定手段
9F 白色LED制御手段
10 予測追尾モード選択スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知領域内に検知物体が存在するのを検知する物体検出センサと、前記物体検出センサよりの信号を受け検知物体を撮影する監視カメラと、前記監視カメラを回転して撮影する向きを変更する追尾モータとを備える監視カメラの追尾装置において、
前記検知領域内に存在する検知物体までの距離を測定する距離測定手段と、
前記物体検出センサよりの信号を受け前記検知物体を検知したときに前記距離測定手段を作動させる測定制御手段と、
前記距離測定手段よりの信号を受け、前記検知物体の位置を一定時間間隔で検出し記憶する位置検出・記憶手段と、
前記位置検出・記憶手段よりの信号を受け、前記検知物体の位置データに基づき前記検知物体の移動方向および移動速度を演算する方向・速度演算手段と、
前記方向・速度演算手段よりの信号を受け前記追尾モータを駆動制御して前記監視カメラの向きを変更する追尾手段とを備えることを特徴とする監視カメラの追尾装置。
【請求項2】
前記追尾手段は、検知物体が監視カメラの画角の中心になる位置に監視カメラを回転して追尾する通常追尾モードと、カメラ画角と演算値により検知物体がカメラ画角に入ってくる側の端となる位置まで監視カメラを回転させ、検知物体がカメラ画角から外れる位置になるまで、前記監視カメラの回転を停止する予測追尾モードとを選択的に取ることを特徴とする請求項1記載の監視カメラの追尾装置。
【請求項3】
前記方向・速度演算手段よりの信号を受け前記検知物体の移動速度が、規定速度より速くなるか否かを判定する速度判定手段を備え、
前記追尾手段は、前記速度判定手段よりの信号を受け、前記移動速度が規定速度よりも速い場合には予測追尾モードを選択する一方、移動速度が規定速度よりも速くない場合には通常追尾モードを選択することを特徴とする請求項2記載の監視カメラの追尾装置。
【請求項4】
予測追尾モード選択スイッチを備え、
前記予測追尾モード選択スイッチで、予測追尾モードを選択した場合を除き、前記追尾手段は、通常追尾モードでもって検知物体を追尾することを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の監視カメラの追尾装置。
【請求項5】
前記位置検出・記憶手段は、追尾の停止により位置検出を停止して記憶している位置データをクリアするものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の監視カメラの追尾装置。
【請求項6】
暗い場所での前記監視カメラの補助照明を行う白色LEDと、照度センサと、前記照度センサおよび物体検出センサよりの信号を受け検知領域内に検知物体が侵入した場合であって一定の照度以下である場合に、白色LEDを補助灯として作動させる白色LED制御手段とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の監視カメラの追尾装置。
【請求項7】
前記測定制御手段は、前記物体検出センサよりの信号に加えて、前記距離測定手段よりの信号を受け、前記物体検出センサより信号の入力がないか、あるいは前記距離測定手段よりの信号に変化がない場合には、前記距離測定手段の作動を停止させ、前記物体検出センサのみによる検知物体の侵入を検知する待機モードとすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の監視カメラの追尾装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−258031(P2011−258031A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132492(P2010−132492)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】