説明

目地止水用シール材及び目地止水方法

【課題】目地溝内への止水用シール材の嵌入が比較的小さな押込圧力で容易に行なわれ、目地溝内での弾性本体の拡幅は格別の押圧操作を必要とすることなく行なわれ、更に目地溝の幅寸法にばらつきに順応して高い止水効果をもたらすことのできる目地止水用シール材を提供すること。
【解決手段】目地溝102に嵌合するように形成される長尺の弾性本体10Aと、この弾性本体の内部に形成された収容溝13に収容され、弾性本体が目地溝に嵌め込まれた後、弾性本体の側面を目地溝の側壁に圧接する作用をもたらす拡幅材20Aとを有する止水用シール材において、拡幅材収容溝13を目地溝の底部に向かって開放する溝となし、この溝に大部分又は全体が嵌装されるようになされた拡幅材20Aの一部又は全体を水膨潤ゴムにて形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏水対策用の、特にトンネル等覆工コンクリート構造物の漏水対策用の目地止水用シール材及びこのシール材を使用する目地止水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にトンネル等コンクリート構造物は、年月を経ると亀裂が発生し、その亀裂を通して漏水し、放置しておくと大きな被害をもたらすことがある。また、セグメントを連接して構成されるコンクリート構造物のセグメント間の継ぎ目部には目地が形成されるが、この目地は漏水が生じないよう処理されなければならない。従って、目地の漏水防止を目的とした工事が多く行われている。
【0003】
このような漏水防止目的に使用される目地止水用シール材として下記特許文献1に示されているものが提案されている。このシール材は、コンクリート構造物が、例えば図8に示すようなトンネル100である場合、このトンネルの亀裂101が発生した箇所の内面部を削って形成した目地溝102に嵌め込まれる長尺の弾性本体と、この弾性本体内に長手方向に形成されたジッパー係合溝に圧入されるジッパーとを有している。前記ジッパーは、弾性材本体が目地溝内に嵌め込まれた後、ジッパー係合溝に圧入され、その圧入によって弾性本体が側方へ押し広げられ、その結果、弾性本体が目地溝の側面に押圧され、このようにしてシール材による止水作用がもたらされる。
【0004】
上記のジッパーは、横断面で見て略丸い形状のジッパー本体を有している。弾性本体のジッパー係合溝に圧入された後の前記ジッパー本体が不用意にジッパー係合溝から離脱しないよう、ジッパー係合溝のジッパー本体挿入口の間隙幅はジッパー本体の直径に比べて小寸法となされている。
【0005】
ジッパー本体をジッパー係合溝に圧入するには、ジッパー本体の前部を前記挿入口に当て、ジッパー後部をハンマーなどにより叩打してジッパーに押込圧力を加える。この押込圧力を受けてジッパー本体は前記挿入口を押し開き、ジッパー係合溝内へ進入する。
【0006】
ジッパー本体は、ジッパー係合溝に比較して大径となされているので、ジッパー係合溝内に圧入されたとき弾性本体を側方へ押し広げるように作用し、それによって弾性本体外側面に形成した止水リブを目地溝の側面に押圧して止水作用をもたらし、さらにその際弾性本体とジッパー本体に発生する残留応力により止水作用を有効に維持する。
【0007】
【特許文献1】特開2002−194332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記ジッパー本体によって前記挿入口を押し広げてこれを通過させるように構成された上記従来の目地止水用シール材によると、前記ジッパー本体を前記ジッパー係合溝内へ圧入する際、前記ジッパー本体が前記挿入口を通過する時点で前記弾性本体の拡幅が最大になり、通過後には弾性本体幅員の若干の縮小が生じるため、その縮小の分、止水効果が低下するという問題がある。また、挿入口を押し広げるためには前記ジッパーにはかなりの押込圧力を加える必要があり、作業性が良くない。
【0009】
このような弾性本体幅員の縮小の影響を少なくするためにジッパー本体の径を大きくしたり、或いはジッパー本体へ加えるべき押込圧力が小さくて済むように挿入口の間隙幅を拡大したりする試みがなされたが、前者の場合には必要な押込圧力を増大する方向に作用するため押込みの作業性が更に悪化し、後者の場合には、ジッパー本体がジッパー係合溝から離脱し易くなってしまうという事態が発生し、このような二律背反的な要因の存在は、ジッパー本体及び上記挿入口の形状と寸法を満足のいくものにし難いという点で、上記従来の止水用シール材を利用しにくいものにしている。
【0010】
また、上記目地溝に関し、一続きの目地溝であっても幅寸法には場所毎にある程度ばらつきがあるのが普通であり、このような目地溝に対し、上記従来の目地止水用シール材は、ジッパー本体の拡幅作用が全長に亘って実質的に一様であるため、目地溝幅寸法のばらつきに対する順応性が低く、目地溝側面に対する弾性本体の接触圧にばらつきが生じる結果となり、必ずしも満足のいく施工結果をもたらすには到っていない。
【0011】
そこで、本発明は、目地溝内への止水用シール材の嵌入を小さな押込圧力で行うことができ、目地溝内での弾性本体の拡幅は拡幅材への押圧操作を必要とすることなく行なわれ、更に目地溝の幅寸法にばらつきがあってもそれに順応して高い止水効果をもたらすようにすることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、コンクリート構造物の亀裂発生部を削って形成されるか、或いはコンクリート構造物セグメントの継ぎ目部に形成される目地溝に適用される目地止水用シール材であって、前記目地溝に嵌合するように形成される長尺の弾性本体と、この弾性本体の内部に形成された収容溝に収容され、前記弾性本体が前記目地溝に嵌め込まれた後、前記弾性本体の側面を前記目地溝の側面に圧接する作用をもたらす拡幅材とを有する目地止水用シール材において、前記拡幅材収容溝は前記目地溝の底部に向かって開放する溝であり、前記拡幅材はその一部又は全体が水膨潤材又は水膨張材にて形成され、更に前記拡幅材はその大部分又は全体が前記拡幅材収容溝に嵌装されることを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載の発明による目地止水用シール材の目地溝への嵌装は、先ず拡幅材に水を施与し、次いでこの湿潤拡幅材を部分的に或いは全体的に弾性本体の収容溝に収容し、次いで湿潤拡幅材を擁した弾性本体を、拡幅材を内側にして目地溝内へ嵌入するという作業手順で行われるが、湿潤拡幅材を擁する弾性本体を目地溝内へ嵌入する際、拡幅材の膨張はまだ開始されていないため、弾性本体はそれ自体初期の幅寸法を保っており、従って目地溝に対する弾性本体の嵌入は、大きな押込み力を必要とすることなく容易に行うことができる。
【0014】
シール材が目地溝に嵌装された後、湿潤されている拡幅材は徐々に水膨張を行い、その幅寸法を拡大する。拡幅材のこの幅寸法の拡大は、弾性本体の拡幅をもたらし、弾性本体の側面を目地溝の側面に押圧する作用をもたらす。上記コンクリー構造物の亀裂から目地溝内へ浸入する水は拡幅材の更なる膨張拡幅を助長する。
【0015】
水膨張する拡幅材は融通性のある拡幅を弾性本体にもたらされる。すなわち、一続きの目地溝の幅寸法に場所毎のばらつきがあっても、そのようなばらつきは拡幅材の融通性のある水膨張作用によって十分に補われ、目地溝側面の何れの箇所においても弾性本体の十分な接触圧がもたらされ、従って目地溝全体に亘る確実で有効な止水作用が得られる。
【0016】
前記収容溝への拡幅材の嵌装作業が容易に行われるよう、拡幅材の幅寸法は拡幅材収容溝の幅寸法より小さくなされるが、拡幅材の水膨張が遊びなく弾性本体に伝達され、弾性本体の拡幅に無駄なく寄与するよう、両者の寸法は可能な限り近似していることが好ましい。
【0017】
請求項2に記載のように、前記拡幅材の一部又は全部を水膨張ゴムで製作することにより、弾性本体の十分な拡幅を水の施与により効果的にもたらすことができる。
【0018】
請求項3に記載のように、拡幅材の、拡幅材収容溝の底部に対向する頭頂面と、目地溝の底部に対向する底端面とにそれぞれ押え板を当接し、両押え板を、拡幅材の両側部において拡幅材延伸方向に対して略直交する方向に延びていて拡幅材延伸方向へ所定の間隔で配列された多数の線材により相互に連結し、この連結により両押え板間の間隔を広げる方向での拡幅材の膨張を拘束するようにすれば、弾性本体を目地溝から押出す方向への力を発生する膨張は、弾性本体の拡幅をもたらす方向へ転換され、従って目地溝側面への弾性本体の圧接力が増大し、止水効果が更に向上する。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項4に記載の方法の発明は、目地溝に嵌合するように形成され、拡幅材収容溝が長手方向に形成された長尺の弾性本体と、前記拡幅材収容溝に嵌装される水膨潤性又は水膨張性拡幅材とを有する目地止水用シール材を使用し、前記拡幅材をその表面に水を付着させた状態で前記拡幅材収容溝に差し込み、この弾性本体を前記拡幅材収容溝内の拡幅材を目地溝底部に向けた状態で目地溝内に嵌入することを特徴とする。
【0020】
拡幅材は水膨潤性又は水膨張性ゴム製であるか、或いは水膨潤性又は水膨張性ゴムを主要部として含む材料で製作されていることが好ましい。
【0021】
拡幅材表面への水の付着は、拡幅材を水槽内の水に浸漬するか、噴霧器により拡幅材表面に水を吹き付けることによって行われる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、目地溝内への目地止水用シール材の嵌装を極めて簡単な作業で行うことができ、嵌装後においては弾性本体の拡幅のための人為的な作業を何も必要とせず、従って、作業性及び施工性において極めて優れており、しかも、目地溝寸法のばらつきの影響を受けることなく高品質の止水作用が目地溝全体に亘って満遍なくもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図によって詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明による目地止水用シール材の構成要素である弾性本体10Aの一部を斜視図にて示している。弾性本体10Aは、例えばクロロブレンゴム、エチレンプロピレンコポリマー(EPM)或いはエチレンプロピレンターポリマー(EPDM)製である。
【0025】
細長い形状の弾性本体10Aは横断面が略矩形状を呈しており、側面に長手方向へ延伸する複数本の止水リブ11が並列して形成されている。更に弾性本体10Aには、底面12に開口し長手方向に延伸する横断面略矩形の拡幅材収容溝13が形成されている。
【0026】
図2は、本発明による目地止水用シール材の構成要素である拡幅材20Aの一部を斜視図にて示している。この拡幅材20Aの横断面は略矩形状を呈し、幅寸法は拡幅材収容溝13の幅寸法より僅かに小さく、また高さ寸法は拡幅材収容溝13の深さ寸法よりも幾分大きくなされている。
【0027】
拡幅材20Aは基本的に水膨張性ゴムを材料として製作されるが、全体を水膨張性ゴムにて製作する場合の他に、水膨張性ゴムと通常のゴムとを組み合わせて製作してもよい。例えば、拡幅材20Aを高さ方向に上部と下部に分け、上部を水膨張性ゴム、下部を普通のゴムで形成してもよく、或いは高さ方向に3層とし、上層と下層を普通のゴムで形成し、中間層を上下層よりも比較的厚みのある水膨張性ゴムで形成してもよい。
【0028】
水膨張性ゴムは極めて長期安定で耐加水分解性を有するポリエーテル型ポリウレタンエラストマーであることが好ましい。水膨張性ゴムの膨張係数や厚みは弾性本体10Aの寸法に基づいて計算により最適なものを選択することができる。水膨張性ゴムの水膨張によって得られるべき弾性本体10Aと目地溝側面との間の接触圧の目安は、良好な止水作用をもたらすものとして、0.2〜0.5MPa程度である。
【0029】
拡幅材20Aは、それ自体で所期の作用をもたらすが、図2は拡幅材20Aの膨張作用が更に有効に働くように工夫した実施形態を示している。拡幅材20Aは、以下の説明から明らかなように、実地の作用状態において、拡幅材収容溝13の底部13aに対向する頭頂面と、目地溝102の底部102aに対向する底端面とを有するものであるが、これら頭頂面と底端面には図示のようにそれぞれ押え板21,22が当接され、これら両押え板は、拡幅材20Aの両側部において、拡幅材長手方向に対して直交する方向に延伸し所定の間隔を置いて配列された線材23によって相互間の間隔が一定に維持されるように連結されている。
【0030】
上記の押え板21,22はステンレス鋼などの腐食しにくい金属、或いはプラスチック材料にて製作され、上記線材は耐腐蝕性の針金などが用いられる。しかしながら、その他の材料で製作された押え板及び線材であってもよい。押え板21,22の厚さは、同押え板が拡幅材20Aの屈曲に従って同様に変形し得るよう、できる限り小寸法になされる。線材23の太さ及び線材間の間隔は、拡幅材20Aの側方への水膨張を阻害しないように選択される。
【0031】
図3は、本発明による目地止水用シール材の他の実施形態を示している。図は、このシール材の弾性本体10Bと、この弾性本体の拡幅材収容溝13b内に収容した拡幅材20Bとを横断面で示しており、図から明らかなように、拡幅材収容溝13bは口元から底部に向かって溝幅が漸増した形状、即ち収容溝13bの溝側面が底部に向かって末広がりになっているテーパー状を呈し、拡幅材20Bは収容溝13bと略相似する形状を有している。
【0032】
弾性本体10B及び拡幅材20Bの製作材料は上記10A,20Aのものと同様であり、弾性本体10Bには同様にリブ11が形成され、また、拡幅材20Bは上記したものと同様に層状に形成してもよい。更に、上記と同様に、押え板と線材によって高さ方向の膨張を抑制するようにしてもよい。
【0033】
この実施形態によれば、一様な幅寸法を有する図2に示すような拡幅材20Aと比較して、幅方向への水膨張の度合いが大きくなり、結果として目地溝側面に対する弾性本体10Bのより大きな接触圧がもたらされる。
【0034】
しかしながら、テーパー側面を有する収容溝13bと、図2に示すような一様な幅寸法を有する拡幅材20Aとの組み合わせによっても、所期の効果をもたらすことはできる。
【0035】
次に、図4〜図7を参照して、上記の止水用シール材を使用する目地止水方法について説明する。以下の説明は図1及び図2に示す止水用シール材10A、20Aを使用する場合についてのものであるが、図3に示す止水用シール材10B、20Bを使用する場合についても実質的に当て嵌まる。
【0036】
最初に、押え板21,22及び線材23によって拘束された拡幅材20Aが、水中に浸漬されるか或いは噴霧により表面的に水を含浸せしめられ、また、目地溝102の側面、または弾性本体10Aの側面(リブ部)、またはこれら側面の両方に接着剤が塗布される。接着剤としては、高弾性性能を有するエポキシ系接着剤あるいは特殊変性シリコン系エポキシ樹脂が用いられる。
【0037】
次に、弾性本体10Aの拡幅材収容溝13内に、押え板21,22及び線材23を装備した拡幅材20Aが部分的に或いは全体的に差し込まれ、このように拡幅材20Aを保持した弾性本体10Aは、図4の斜視図及び図5の拡大尺断面図に示すように、拡幅材20Aを内側にして目地溝102内へ端から順次差し込まれ、次いで軽い叩打作業などにより図6に示すように目地溝内に完全に嵌装される。弾性本体10Aを目地溝102内へ押し込む時点では拡幅材20Aの水膨張は開始しておらず、従って目地溝102内への弾性本体10の嵌入は圧入力を然程必要とせず極めて簡単に行うことができる。弾性本体10を目地溝102内へ押し込む際、目地溝側面に塗布された接着剤はリブ間の隙間に入り込む。
【0038】
その後、拡幅材20Aの実質的な水膨張が始まり、その膨張は使用する水膨張ゴムの膨張係数に従って時間と共に進行するが、拡幅材20Aが押え板21,22及び線材23によって高さ方向、即ち目地溝102の深さ方向に拘束されていることにより、図7に示すように拡幅材20Aの水膨張は専ら側方へ向かって進行し、この側方への拡幅材20Aの膨張は弾性本体10Aの拡幅を促し、弾性本体側面のリブ11を目地溝102の側面に強圧する。このようにして目地溝側面に圧接されるリブ11と上記接着剤の作用により、目地の完璧な止水作用がもたらされ、その際、目地溝側面に多少の凹凸があったり、目地溝長手方向で目地溝幅寸法に場所毎に多少のばらつきや変動があったりしても、拡幅材の水膨張はそれらを補充ないし補填するように弾性本体10Aを拡幅させることができ、止水用シール材全長に亘る申し分のない止水効果が得られる。そして、押え板21,22及び線材23による拡幅材20Aの高さ方向又は目地溝深さ方向への膨張拘束によって、弾性本体10Aを目地溝102から押し出すような力の作用は全く発生せず、水膨張ゴムの機能を拡幅材として最大限に発揮させることができる。
【0039】
拡幅材20Aの膨張は亀裂101から侵入する水によって促進され或いは増長され、それによって止水効果が高められる。
【0040】
上記のようにして目地溝内に設置された本発明による止水用シール材は、図7に示すように、コンクリート構造物100に平滑な内表面をもたらす。
【0041】
上記の止水用シール材嵌装工程において、弾性本体10Aの収容溝13に拡幅材20Aを差し込むに際して、拡幅材20Aの表面を湿潤させるものであるが、この湿潤による拡幅材20Aの必要な程度までの水膨張には時間がかかる。そこで、拡幅材20Aが確実に作用するまでの間、目地に初期的に止水作用をもたらしておくことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による目地止水用シール材の構成要素としての弾性本体の部分的斜視図である。
【図2】本発明による目地止水用シール材の構成要素としての拡幅材をその付帯部材と共に示す部分的斜視図である。
【図3】本発明による他の目地止水用シール材の構成要素としての弾性本体および拡幅材の横断面図である。
【図4】図1および図2に示す目地止水用シール材をコンクリート構造物に形成した目地溝に嵌装する過程の一状況を示す斜視図である。
【図5】図4の状況にある目地止水用シール材とコンクリート構造物の横断面図である。
【図6】目地止水用シール材を目地溝に嵌装し終えた状態を示す、図5と同様の横断面図である。
【図7】拡幅材が水膨張し、弾性本体を拡幅している状態を示す、図5と同様の横断面図である。
【図8】亀裂発生箇所に目地溝を形成したコンクリート構造物としてのトンネルを示す部分的斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
10A,10B 弾性本体
11 リブ
12 底面
13,13b 拡幅材収容溝
20A,20B 拡幅材
21,22 押え板
23 線材
100 コンクリート構造物
101 亀裂
102 目地溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の亀裂発生部を削って形成されるか、或いはコンクリート構造物セグメントの継ぎ目部に形成される目地溝に適用される目地止水用シール材であって、前記目地溝に嵌合するように形成される長尺の弾性本体と、この弾性本体の内部に形成された収容溝に収容され、前記弾性本体が前記目地溝に嵌め込まれた後、前記弾性本体の側面を前記目地溝の側面に圧接する作用をもたらす拡幅材とを有する目地止水用シール材において、
前記拡幅材収容溝は前記目地溝の底部に向かって開放する溝であり、
前記拡幅材はその一部又は全体が水膨潤材又は水膨張材にて形成され、
更に前記拡幅材はその大部分又は全体が前記拡幅材収容溝に嵌装される
ことを特徴とする目地止水用シール材。
【請求項2】
前記拡幅材の一部又は全部が水膨張ゴム製であることを特徴とする請求項1に記載の目地止水用シール材。
【請求項3】
前記拡幅材は、前記拡幅材収容溝の底部に対向する頭頂面と、前記目地溝の底部に対向する底端面とにそれぞれ押え板が当接されており、
前記頭頂面と底端面の両押え板は、前記拡幅材の両側部において拡幅材延伸方向に対して略直交する方向に延びていて拡幅材延伸方向へ所定の間隔で配列された多数の線材により相互に連結され、この連結により両押え板間の間隔を広げる方向での拡幅材の膨張が拘束されることを特徴とする請求項1又は2に記載の目地止水用シール材。
【請求項4】
目地溝に嵌合するように形成され、拡幅材収容溝が長手方向に形成された長尺の弾性本体と、前記拡幅材収容溝に嵌装される水膨潤性又は水膨張性拡幅材とを有する目地止水用シール材を使用し、
前記拡幅材をその表面に水を付着させた状態で前記拡幅材収容溝に差し込み、
この弾性本体を、前記拡幅材収容溝内の拡幅材を目地溝底部に向けた状態で目地溝内に嵌入することを特徴とする目地止水方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−46415(P2007−46415A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234648(P2005−234648)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000219358)東亜グラウト工業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】