説明

目的地候補報知装置

【課題】目的地候補としての施設を特定しやすくすることができる目的地候補報知装置を提供すること。
【解決手段】車両に乗っている少なくとも二人の乗員の視線に関する情報を検出し、その視線に関する情報を用いて各乗員の視線の交差する点の相対座標を算出し、各乗員の視線の交点がある場合は、算出した相対座標と車両の現在位置とを用いて各乗員の視線の交点(絶対座標)を算出する(ステップS10〜ステップS15)。そして、交点(絶対座標)を含む施設を検出して、検出された施設を目的地候補として報知する(ステップS16〜ステップS18)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地候補の施設を報知する目的地候補報知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるナビゲーション装置があった。このナビゲーション装置は、前方の風景を監視する前方風景監視カメラと、運転者の視線を監視する視線監視カメラ、及び、建物の形状や画像、詳細情報を含む建物データベースなどを備えている。
【0003】
そして、ナビゲーション装置は、視線監視カメラにより運転者の視線を常に監視しておき、運転者からの指示、例えば、「あそこまで行きたい」とマイクより入力があった時は、前方風景監視カメラが撮像した画像を画像処理部へ送出すると共に、視線監視カメラの情報を視線方向算出部へ送出する。この画像処理部及び視線方向算出部から情報を取得した照合部は、画像処理部及び視線方向算出部からの情報に基づいて視線方向にある建物を特定する。
【0004】
次に、ナビゲーション装置は、特定した建物が建物データベース内にあるか否かを判別して、特定した建物が建物データベース内にあった時はその建物(目的地)までの経路探索を開始する。そして、経路探索が終了した時は、建物までのルートを表示装置に表示し経路案内を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−330450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1に示されるナビゲーション装置は、運転者が見ている建物等に対し、運転者の指示があった時、建物を目的地として、その建物までの経路を探索し表示するものである。
【0007】
しかしながら、運転者の視線は、頻繁に変化するものである。したがって、運転者のみの視線に基づいて経路案内の目的地候補である建物を設定する場合、建物が特定しにくいという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、視線に基づいて目的地候補となる施設を特定するものにおいて、施設を特定しやすくすることができる目的地候補報知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載の目的地候補報知装置は、車両に搭載されるものであり、乗員に目的地候補を知らせるものであって、
車両に乗っている少なくとも二人の乗員の視線に関する情報を検出する視線情報検出手段と、
視線情報検出手段にて検出された視線に関する情報を用いて、各乗員の視線の交点を算出する交点算出手段と、
交点算出手段が算出した交点を含む施設を検出する施設検出手段と、
施設検出手段にて検出された施設を目的地候補として報知する報知手段とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
このように、少なくとも二人の乗員の視線を用いることによって、目的地候補の施設がたくさん出てくる可能性を抑制でき、目的地候補となる施設を特定しやすくすることができる。
【0011】
また、請求項2に示すように、施設検出手段は、交点算出手段が算出した交点を含む施設に加えて、施設と同じ種別の施設である同種施設を検出し、報知手段は、施設検出手段にて検出された施設に加えて同種施設を目的地候補として報知するようにしてもよい。
【0012】
このようにすることによって、少なくとも二人の乗員が見ている施設だけでなく、その施設と同じ種別の施設も目的地候補として報知できるので好ましい。
【0013】
また、請求項3に示すように、施設検出手段は、複数の同種施設を検出した場合、車両の現在位置から複数の同種施設までの経路のコストを算出して、最もコストが小さい方から数個の同種施設を検出し、報知手段は、施設検出手段にて検出された施設に加えて最もコストが小さい方から数個の同種施設を目的地候補として報知するようにしてもよい。
【0014】
このようにすることによって、少なくとも二人の乗員が見ている施設だけでなく、その施設と同じ種別の施設の中で早く行ける数個の施設も目的地候補として報知できるので好ましい。
【0015】
また、請求項4に示すように、施設検出手段は、複数の同種施設を検出した場合、車両の現在位置から複数の同種施設までの経路のコストを算出して、最もコストが小さい同種施設を検出し、報知手段は、施設検出手段にて検出された施設に加えて最もコストが小さい同種施設を目的地候補として報知するようにしてもよい。
【0016】
このようにすることによって、少なくとも二人の乗員が見ている施設だけでなく、その施設と同じ種別の施設の中で早く行ける施設も目的地候補として報知できるので好ましい。
【0017】
また、請求項5に示すように、視線情報検出手段は、視線情報検出手段から各乗員までの距離、視線情報検出手段と各乗員とを結ぶ線と車両の進行方向とがなす角度、視線情報検出手段と各乗員とを結ぶ線と各乗員の視線とがなす角度を視線に関する情報として検出し、交点算出手段は、視線情報検出手段にて検出された視線に関する情報から各乗員、視線情報検出装置のいずれかを基準とした交点の相対座標を求めると共に、車両の現在位置を求め、交点の相対座標と車両の現在位置とから各乗員の視線の交点としての絶対座標を算出するようにしてもよい。
【0018】
また、請求項6に示すように、報知手段にて報知された目的地候補としての施設を目的地として設定する設定手段と、車両の現在位置から設定手段にて設定された目的地までの経路を探索して、車両の現在位置から設定手段にて設定された目的地までの経路案内を行なう経路案内手段とを備えるようにしてもよい。
【0019】
このようにすることによって、少なくとも二人の乗員が見ている施設、又はその施設と同じ種別の施設までの経路案内がなされるので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】視線検出装置、乗員、施設の位置関係を示すイメージ図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0022】
ナビゲーション装置(目的地候補報知装置)100は、車両に搭載されるものである。図1に示すように、ナビゲーション装置100は、位置検出器1、地図データ入力器6、操作スイッチ群7、外部メモリ9、表示装置10、送受信機11、音声コントローラ12、スピーカ13、音声認識装置14、マイク15、リモコンセンサ16、リモートコントロール端末(以下の説明及び図面においてはリモコンとも称する)17、視線検出装置18と、これら各装置が接続された制御装置8を備えている。なお、本発明のナビゲーション装置100は、操作スイッチ群7などから入力された目的地を示す信号に基づいて経路案内を行なうなどの従来のナビゲーション機能に加えて、乗員の視線に基づいた目的地候補の探索、報知、設定などを行なうものである。
【0023】
制御装置8は、通常のマイコンとして構成されており、内部には周辺のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも不図示)が備えられている。制御装置8は、位置検出器1、地図データ入力器6、操作スイッチ群7、外部メモリ9、送受信機11、音声コントローラ12、リモコンセンサ16、視線検出装置18から入力された各種信号に基づき、各種処理(例えば、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理、目的地候補探索処理等)を実行する。
【0024】
位置検出器1は、いずれも周辺の地磁気センサ2、ジャイロスコープ3、距離センサ4、及び衛星からの電波に基づいて車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2〜5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述した内の一部で構成してもよく、更にステアリングの回転センサ、各転動輪の車両センサ等を用いてもよい。
【0025】
地図データ入力器6は、記憶媒体(不図示)が装着され、記憶媒体に格納されている位置検出の精度向上のためのマップマッチング用データ、地図データ(リンクデータ、ノードデータを含む)、目印データ、及び施設データなどを含む各種データを入力するための装置である。なお、施設データは、各種施設の種類(種別)、位置情報(座標)、名称、住所などのデータである。記憶媒体としては、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカード、HDD等を用いることができる。
【0026】
操作スイッチ群7は、例えば表示装置10と一体になったタッチスイッチ、もしくはメカニカルなスイッチ等を採用することができる。操作スイッチ群7は、そのスイッチが操作されると、制御装置8へ各種処理(例えば、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理、目的地候補探索処理等)の実行を指示したり、各種情報を入力したりする。また、リモコン17は、複数の操作スイッチ(不図示)が設けられ、そのスイッチが操作されると、リモコンセンサ16を介して制御装置8へ各種機能の実行を指示したり、各種情報を入力したりする。つまり、操作スイッチ群7及びリモコン17(リモコンセンサ16)は、スイッチ操作に応じて、各種機能の実行を指示する信号、各種情報を示す信号を制御装置8に入力する。なお、操作スイッチ群7とリモコン17は、何れのスイッチ操作によっても制御装置8に同じ機能を実行させたり、同じ情報を入力したりすることが可能である。
【0027】
例えば、リモコン17を介してリモコンセンサ16から、あるいは操作スイッチ群7から目的地を示す信号、及び目的地設定、経路探索の指示を示す信号が入力されると、制御装置8は、位置検出器1からの信号と地図データ入力器6からのデータを用いて、目的地を設定すると共に現在位置を検出して、その現在位置から目的地までの最適な経路を自動的に探索して案内経路を設定する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。なお、設定された案内経路は、地図データ入力器6のデータに基づき表示装置10に表示されている地図上に、位置検出器1により検出された現在位置を示す現在位置マークと共に重畳して表示される。また、表示装置10には、表示地図には、現在位置マーク、案内経路のほかに、現在時刻、渋滞情報、後ほど説明する目的地候補、目的地候補の設定確認など他の情報を表示することもできる。
【0028】
外部メモリ9は、HDD等の書き込み可能な大容量記憶装置を採用することができる。外部メモリ9には、大量のデータや電源をオフしても消去してはいけないデータを記憶したり、頻繁に使用するデータを地図データ入力器6からコピーして利用したりする等の用途がある。なお、外部メモリ9は、比較的記憶容量の小さいリムーバルなメモリであってもよい。
【0029】
表示装置10は、制御装置8からの信号に基づいて、車両の走行を案内するための地図、案内経路、及び目的地選択画面等を表示するナビゲーション画面表示などを行うものであって、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。
【0030】
送受信機置11は、外部(例えばVICSシステムなどのインフラ)から提供される交通情報、気象情報、施設情報、広告情報等を受信し、また外部へ車両情報、ユーザ情報等を発信する装置である。外部から受け取った情報は、制御装置8で処理する。また必要であれば、その制御装置8で処理した情報を送受信機11から出力することもできる。なお、VICSは、財団法人道路交通情報通信システムセンターの登録商標である。
【0031】
スピーカ13は、制御装置8や音声認識装置14からの信号に基づいて音声コントローラ12が出力する音声データ(例えば、経路案内時の案内音声や目的地候補及び目的地候補の設定確認など)を発声(音声出力)する。
【0032】
マイク15は、操作者が発声した音声を電気信号として音声認識装置14に入力する。音声認識装置14は、マイク15を介し発声された操作者の入力音声と、内部に記憶する認識辞書(不図示)中の語彙データ(比較対象パターン)とを照合し、最も一致度の高いものを認識結果として音声コントローラ12に入力する。
【0033】
音声コントローラ12は、音声認識装置14を制御すると共に、音声入力のあった操作者に対し、スピーカ13を通じてトークバック出力制御(音声出力)する。また、音声認識装置14の認識結果を制御装置8に入力する処理なども行う。音声コントローラ12を介して音声認識装置14の認識結果が入力された制御装置8は、その認識結果に基づき、操作者の発声に対する各種処理(例えば、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理、目的地候補探索処理等)を実行する。
【0034】
視線検出装置18(視線情報検出手段)は、車両に乗っている全ての乗員の視線を検出し、複数の乗員の視線に関する情報であり、複数の乗員の視線の交点を算出するための交点算出用情報を制御装置8に出力する。この視線検出装置18は、車両の進行方向に沿う側の中心線上(例えば、バックミラーなど)に設けられるものであり、地面に対して垂直な軸を回転軸として回動可能な車室内を撮影するカメラ、各座席までの距離を検出する距離センサ、カメラ及びセンサからの信号に基づいて演算処理を実行するマイコンなどによって構成することができる。なお、この交点算出用情報を取得した制御装置8は、複数の乗員の視線の交点(絶対座標)を算出して、その交点(絶対座標)を含む施設を目的地候補とする。
【0035】
ここで、図2に基づいて、乗員の視線の交点の算出処理の一例に関して説明する。本実施の形態においては、運転席に乗員A、助手席に乗員Bが乗っている場合を例として採用する。
【0036】
視線検出装置18は、視線検出装置18と乗員Aとの距離(以下、r(A−装置))、視線検出装置18と乗員Aを結ぶ線(以下、線(A−装置))と進行方向とがなす角度(以下、φ(A))、線(A−装置)と乗員Aの視線(以下、視線A)がなす角度(以下、θ(A))、視線検出装置18と乗員Bとの距離(以下、r(B−装置))、視線検出装置18と乗員Bを結ぶ線(以下、線(B−装置))と進行方向とがなす角度(以下、φ(B))、線(B−装置)と乗員Bの視線(以下、視線B)がなす角度(以下、θ(B))を交点算出用情報(少なくとも二人の乗員の視線に関する情報)として制御装置8に出力する。また、視線検出装置18は、乗員の人数に関する人数情報も制御装置8に出力する。
【0037】
視線検出装置18は、車両の進行方向に沿う側の中心線を基準としてカメラを左右に回動させて車室内を撮影して、撮影された画像から目や顔を画像認識するなどして乗員、乗員の人数を検出する。また、視線検出装置18は、カメラを回動させて車室内を撮影し、撮影された画像の中心付近に乗員の顔が検出されたときの上述の基準に対するカメラの回動角度などによってφ(A)、φ(B)を検出する。また、視線検出装置18は、距離センサからの信号に基づいてr(A−装置)、r(B−装置)を検出する。また、視線検出装置18は、カメラにて撮影された画像から目や顔を画像認識するなどしてθ(A)、θ(B)を検出する。なお、この視線検出装置18による交点算出用情報の検出方法は一例であり、これに限定されるものではない。
【0038】
次に、交点算出用情報を取得した制御装置8は、乗員Aと乗員Bの視線方程式を導出する。なお、ここでは、視線検出装置18を相対座標の原点(0、0)とする。
【0039】
まず、乗員Aの相対座標(xA、yA)を求める。
xA=r(A−装置)sinφ(A)・・・(数式1)
yA=r(A−装置)cosφ(A)・・・(数式2)
次に、乗員Aの視線方程式を求める。
y交点={sin(90°−φ(A)−θ(A))/cos(90°−φ(A)−θ(A))}(x交点−xA)+yA・・・(数式3)
次に、同様に乗員Bの相対座標(xB,yB)を求める。
xB=r(B−装置)sinφ(A)・・・(数式4)
yB=r(B−装置)cosφ(A)・・・(数式5)
次に、同様に乗員Bの視線方程式を求める。
y交点={sin(90°−φ(B)−θ(B))/cos(90°−φ(B)−θ(B))}(x交点−xB)+yB・・・(数式6)
そして、数式3と数式6とから、乗員Aの視線と乗員Bの視線が交差する点の相対座標(x交点、y交点)を算出する。その後、制御装置8は、視線検出装置18の相対座標(0、0)、乗員Aの視線と乗員Bの視線が交差する点の相対座標(x交点、y交点)、位置検出器1からの信号に基づいて算出された車両の現在位置(絶対座標)から乗員Aの視線と乗員Bの視線が交差する点の絶対座標を交点として算出する(交点算出手段)。なお、交点の検出は、このように極座標系の情報を用いて説明したが、直交座標系の情報を用いてもよい。
【0040】
なお、この交点は、乗員Aの視線と乗員Bの視線とが交差する位置であるため、乗員A及び乗員Bが共に見ている位置とみなすことができる。従って、その交点に施設がある場合、乗員A及び乗員Bは、その施設を共に見ているとみなすことができる。
【0041】
このような乗員A及び乗員Bが共に見ている施設は、乗員A及び乗員Bが共に興味を持っている可能性が高い。そこで、本実施の形態のナビゲーション装置100は、乗員Aの視線と乗員Bの視線の交点を算出して、交点を含む施設を検出することによって目的地候補(交点に存在する施設)を探索したり、その目的地候補を乗員に報知したり、その目的地候補を実際の目的地に設定したりする。このように、少なくとも二人の乗員(乗員A、乗員B)の視線の交点を用いているため、精度よく目的地候補を設定することができる。
【0042】
ここで、図3に基づいて、本実施の形態におけるナビゲーション装置100の処理動作に関して説明する。この図3に示す処理は、ナビゲーション装置100に電源が供給されている間、繰り返し実行されるものである。
【0043】
ステップS10では、視線検出装置18は、乗員検出を行なう。このとき視線検出装置18は、上述のように、車室内の乗員人数と交点算出用情報を検出して、その検出結果(人数情報、交点算出用情報)を制御装置8に出力する(視線情報検出手段)。ここでは、運転席に乗っている乗員Aと、助手席に乗っている乗員Bの二人が検出されたことになる。
【0044】
ステップS11では、制御装置8は、視線検出装置18から出力された人数情報から、複数人が乗車しているか否かを判定する。そして、複数人が乗車していると判定した場合はステップS12へ進み、複数人が乗車していると判定しない場合はステップS10へ戻る。
【0045】
ステップS12では、制御装置8は、上述のように、視線検出装置18から出力された交点算出用情報を用いた視線方程式の導出を検出された人数(乗員)分繰り返す。ここでは、乗員Aと乗員Bの視線方程式を導出する。
【0046】
ステップS13では、制御装置8は、上述のように、ステップS12で導出された各乗員の視線方程式から複数の乗員(乗員Aと乗員B)の視線が交差する点の相対座標を算出する。
【0047】
ステップS14では、制御装置8は、ステップS13での算出結果から、複数の乗員(乗員Aと乗員B)の視線の交点が有るか否かを判定する。つまり、複数の乗員の視線が交差するか否かを判定する。換言すると、複数の乗員が共通する地点(例えば、施設)を見ているか否かを判定する。そして、交点があると判定した場合はステップS15へ進み、交点があると判定しない場合はステップS10へ戻る。
【0048】
ステップS15では、制御装置8は、視線検出装置18の相対座標(0、0)、複数の乗員(乗員Aと乗員B)の視線が交差する点の相対座標(x交点、y交点)、位置検出器1から信号に基づいて算出された現在位置から乗員Aの視線と乗員Bの視線が交差する点の絶対座標を交点として算出する(交点算出手段)。なお、本実施の形態においては、視線検出装置18を相対座標の原点に採用したが、乗員Aや乗員Bを相対座標の原点に採用してもよい。
【0049】
ステップS16では、制御装置8は、交点(絶対座標)と、地図データ入力器6から入力されたデータとに基づいて、交点(絶対座標)を含む施設を検索する(施設検出手段)。
【0050】
ステップS17では、制御装置8は、ステップS16での検索結果から、交点(絶対座標)を含む施設が有るか否かを判定し、有ると判定した場合はステップS18へ進み、無いと判定した場合はステップS10へ戻る。
【0051】
ステップS18では、制御装置8は、検索された交点(絶対座標)を含む施設を目的地候補として報知する(報知手段)。これは、その目的地候補としての施設を実際の目的地として設定するか否かを確認するためである(設定手段)。つまり、複数の乗員(乗員Aと乗員B)が共通して見ている施設を目的地として設定するか否かを確認する。このとき、制御装置8は、目的地候補の施設、その施設を実際に目的地と設定するか否かを確認する画像を表示装置10に表示したり、音声をスピーカ13から出力したりすることによって報知し、目的地として設定するか否かを確認する。
【0052】
ステップS19では、制御装置8は、目的地候補としての施設を実際の目的地として設定する設定要求が有るか否かを判定する(設定手段)。そして、制御装置8は、リモコン17を介してリモコンセンサ16から、あるいは操作スイッチ群7から、あるいはマイク15から目的地候補を目的地として設定することを示す信号が入力されると、設定要求有りと判定してステップS20へ進み、その信号が入力されないと設定要求ありと判定せずにステップS10へ戻る。
【0053】
ステップS20では、制御装置8は、目的地候補としての施設を目的地として設定する(設定手段)。その後、制御装置8は、位置検出器1からの信号と地図データ入力器6からのデータを用いて、現在位置を検出すると共に、その現在位置からステップS20にて設定された目的地までの最適な経路を自動的に探索して案内経路を設定する(経路案内手段)。そして、設定された案内経路は、地図データ入力器6のデータに基づき表示装置10に表示されている地図上に、位置検出器1により検出された現在位置を示す現在位置マークと共に重畳して表示される(経路案内手段)。
【0054】
このように、複数の乗員の視線を用いることによって、目的地候補の施設がたくさん出てくる可能性を抑制でき、目的地候補となる施設を特定しやすくすることができる。つまり、複数の乗員が共通に見ている施設を目的地候補とするので、目的地候補の施設がたくさん出てくる可能性を抑制でき、目的地候補となる施設を特定しやすくすることができる。
【0055】
また、車両の外部を撮影するカメラなどを用いることなく目的地候補となる施設を特定できるので、安価にナビゲーション装置(目的地候補報知装置)100を構成することができる。また、車両外部との通信などを行なうことなく、ナビゲーション装置(目的地候補報知装置)100での処理のみで目的地候補となる施設を特定できるので、リアルタイムに施設を特定できる。さらに、運転手だけ、あるいは助手席の人だけが行きたい場所を目的地候補の施設として提供するのではなく、車両に乗っている複数人が共に行きたい場所を目的地候補の施設として提供することが出来る。
【0056】
また、本実施の形態においては、視線の交点(絶対座標)が含まれる施設を目的地候補とする例を採用して説明したが、本発明これに限定されるものではない。
【0057】
例えば、視線の交点(絶対座標)が含まれる施設に加えて、その施設と種別(例えば、レストラン、コンビニエンスストアなど)が同じ施設(同種施設)も目的地候補とするようにしてもよい。つまり、制御装置8は、上述の図3のステップS17での判定において、交点(絶対座標)を含む施設が有ると判定した場合は、ステップS18での処理を行う前に、地図データ入力器6から入力されたデータに基づいて、交点(絶対座標)を含む施設と同じ種別の施設(同種施設)を検索する(施設検出手段)。そして、同じ種別の施設(同種施設)があった場合、制御装置8は、ステップS18にて、交点(絶対座標)を含む施設に加えて、同じ種別の施設(同種施設)も目的地候補として、上述と同様に処理(ステップS18以降の処理)を実行する。このようにすることによって、複数の乗員が共通に見ている施設に加えて、その施設と同じ種別の施設(同種施設)も目的地候補とすることができるので好ましい。
【0058】
また、このように視線の交点(絶対座標)が含まれる施設に加えて、その施設と種別(例えば、レストラン、コンビニエンスストア、駐車場など)が同じ施設(同種施設)も目的地候補とする場合、種別が同じ施設(同種施設)が複数あるときは、その複数の施設のうち現在位置からのコストが最も小さい施設も目的地候補にするようにしてもよい。
【0059】
つまり、制御装置8は、上述の図3のステップS17での判定において、交点(絶対座標)を含む施設が有ると判定した場合は、図3のステップS18での処理を行う前に、地図データ入力器6から入力されたデータに基づいて、交点(絶対座標)を含む施設と同じ種別の施設(同種施設)を検索する。
【0060】
次に、制御装置8は、同じ種別の施設(同種施設)があった場合、その施設が複数であるか否かを判定する。そして、制御装置8は、同じ種別の施設(同種施設)が一つしかないと判定した場合は、図3のステップS18にて、交点(絶対座標)を含む施設に加えて、その同じ種別の施設(同種施設)も目的地候補として、上述と同様に処理(ステップS18以降の処理)を実行する。
【0061】
一方、制御装置8は、同じ種別の施設(同種施設)が複数あると判定した場合、現在位置から同じ種別の各施設まので経路のコストを計算する(施設検出手段)。なお、コスト計算は周知技術であるため説明は諸略する。そして、制御装置8は、図3のステップS18にて、視線の交点(絶対座標)を含む施設に加えて、同じ種別の施設(同種施設)のうち現在位置からのコストが最も小さい施設も目的地候補として、上述と同様に処理(ステップS18以降の処理)を実行する。
【0062】
このようにすることによって、複数の乗員が共通に見ている施設に加えて、その施設と同じ種別の施設(同種施設)のなかで最も早く行ける施設を目的地候補とすることができるので好ましい。
【0063】
なお、視線の交点(絶対座標)を含む施設に加えて、同じ種別の施設(同種施設)のうち現在位置からのコストが小さいほうから数個の施設も目的地候補として、上述と同様に処理(ステップS18以降の処理)を実行するようにしてもよい。
【0064】
なお、本実施の形態においては、目的地候補を設定するために、乗員二人の視線の交点を求める例を採用して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。少なくとも二人の乗員の視線の交点を求めれば本発明の目的は達成できるものであり、3人以上の乗員の交点を求めるようにしてもよい。また、車両に3人以上の乗員がいた場合、そのうちの少なくとも二人の視線が交差する交点を求めるようにすればよい。
【符号の説明】
【0065】
1 位置検出器、2 地磁気センサ、3 ジャイロスコープ、4 距離センサ、5 GPS受信機、6 地図データ入力器、7 操作スイッチ群、9 外部メモリ、10 表示装置、11 送受信機、12 音声コントローラ、13 スピーカ、14 音声認識装置、15 マイク、16 リモコンセンサ、17 リモートコントロール端末(リモコン)、18 視線検出装置、100 ナビゲーション装置、200 センター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるものであり、乗員に目的地候補を知らせる目的地候補報知装置であって、
前記車両に乗っている少なくとも二人の乗員の視線に関する情報を検出する視線情報検出手段と、
前記視線情報検出手段にて検出された視線に関する情報を用いて、各乗員の視線の交点を算出する交点算出手段と、
前記交点算出手段が算出した交点を含む施設を検出する施設検出手段と、
前記施設検出手段にて検出された施設を目的地候補として報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする目的地候補報知装置。
【請求項2】
前記施設検出手段は、前記交点算出手段が算出した交点を含む施設に加えて、当該施設と同じ種別の施設である同種施設を検出し、前記報知手段は、前記施設検出手段にて検出された施設に加えて同種施設を目的地候補として報知することを特徴とする請求項1に記載の目的地候補報知装置。
【請求項3】
前記施設検出手段は、複数の前記同種施設を検出した場合、前記車両の現在位置から複数の前記同種施設までの経路のコストを算出して、最もコストが小さい方から数個の同種施設を検出し、前記報知手段は、前記施設検出手段にて検出された施設に加えて最もコストが小さい方から数個の同種施設を目的地候補として報知することを特徴とする請求項2に記載の目的地候補報知装置。
【請求項4】
前記施設検出手段は、複数の前記同種施設を検出した場合、前記車両の現在位置から複数の前記同種施設までの経路のコストを算出して、最もコストが小さい同種施設を検出し、前記報知手段は、前記施設検出手段にて検出された施設に加えて最もコストが小さい同種施設を目的地候補として報知することを特徴とする請求項2に記載の目的地候補報知装置。
【請求項5】
前記視線情報検出手段は、当該視線情報検出手段から各乗員までの距離、当該視線情報検出手段と各乗員とを結ぶ線と前記車両の進行方向とがなす角度、当該視線情報検出手段と各乗員とを結ぶ線と各乗員の視線とがなす角度を視線に関する情報として検出し、
前記交点算出手段は、前記視線情報検出手段にて検出された視線に関する情報から前記各乗員、前記視線情報検出装置のいずれかを基準とした交点の相対座標を求めると共に、前記車両の現在位置を求め、該交点の相対座標と該車両の現在位置とから各乗員の視線の交点としての絶対座標を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の目的地候補報知装置。
【請求項6】
前記報知手段にて報知された目的地候補としての施設を目的地として設定する設定手段と、前記車両の現在位置から前記設定手段にて設定された目的地までの経路を探索して、前記車両の現在位置から前記設定手段にて設定された目的地までの経路案内を行なう経路案内手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の目的地候補報知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−243366(P2010−243366A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93312(P2009−93312)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】