直流2線式近接スイッチおよび遊技球計数機
【課題】LC共振回路を用いた発振回路における検出コイルの断線を直流2線式近接スイッチの2線出力から判別する。
【解決手段】LC共振回路10の検出コイルLが断線故障した場合、開放動作を呈するよう設定すると共に、開放動作時の漏れ電流に加えて定電圧発生手段D1,D2および第1の抵抗器Reで調整された電流が付加された中間電流を出力するように構成する。
【解決手段】LC共振回路10の検出コイルLが断線故障した場合、開放動作を呈するよう設定すると共に、開放動作時の漏れ電流に加えて定電圧発生手段D1,D2および第1の抵抗器Reで調整された電流が付加された中間電流を出力するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流2線式近接スイッチおよび遊技球計数機に関し、特に、LC共振回路における検出コイルの断線故障を判別することが可能な直流2線式近接スイッチおよび遊技球計数機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾球遊技機の遊技球を扱う遊技機や遊技球計数機では、遊技球の通過を検知する手段として、一般的に貫通孔を備えた遊技球検出器(近接スイッチ)が用いられている。
【0003】
このような遊技球検出器には、主として直流2線式の近接スイッチが使用されている。この直流2線式近接スイッチは、無接点でチャタリングのない安定した開閉動作を、接点スイッチと同様に使用することができ、他の遊技球の検出原理と比較して、作動耐久性能および耐環境性能が共に高く、故意の誤動作の誘発がほぼ不可能であるほか、省配線および配線工数の低減といった2線式スイッチのメリットも有している。
【0004】
ところで、従来、遊技球の速度によらず常に所定以上のパルス幅の検出出力を得ると共にチャタリングによる誤検出も防止する直流2線式近接スイッチが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図1は従来の直流2線式近接スイッチの一例を示すブロック図であり、また、図2は図1に示す直流2線式近接スイッチの回路構成を示す図であり、これら図1および図2は上記特許文献1に示された直流2線式近接スイッチを示すものである。図1および図2において、参照符号101は発振回路(高周波発振回路)、102は検波積分回路、103は弁別回路、104は出力回路(2線式出力回路)、105は定電圧回路、106は電圧検知回路、そして、107はタイマ回路を示している。
【0006】
図1および図2に示す従来の直流2線式近接スイッチは、金属製の遊技球(金属物体)が通過する領域に配置された検出コイルL1、検出コイルL1を駆動して高周波磁界を発生させる発振回路101、発振回路101の発振振幅を検波して積分する検波積分回路102、検波積分回路102の出力を所定のしきい値と比較弁別する弁別回路103、弁別回路103の出力に応じて一対の端子T1,T2間の直流電圧(出力電圧)Voutを変化させて検出信号を出力する出力回路104、および、一定の基準電圧Vccを与える定電圧回路105を備えている。なお、検出コイルL1は、例えば、遊技球が通過する貫通孔に配置される。
【0007】
さらに、図1および図2に示す従来の直流2線式近接スイッチは、端子T1,T2間の電圧を検知する電圧検知回路106、および、電圧検知回路106の検知出力によりトリガされて所定のタイマ時間をカウントするタイマ回路107を備えている。そして、タイマ回路107の出力によって、タイマ時間のカウント中に出力回路104の検出出力が変化しないようにされ、一旦遊技球が検出されて出力電圧Voutが低レベル『L』から高レベル『H』に変化すると、タイマ回路107におけるタイマ時間のカウントが終了するまで、その高レベル『H』の出力電圧を保持するようになっている。
【0008】
これにより、常にタイマ時間よりも短くない所定以上のパルス幅の検出出力が得られると共にチャタリングによる誤検出が防止することができるようになっている。
【0009】
図3は従来の直流2線式近接スイッチによる遊技球検出動作を概略的に説明するための図であり、直流2線式近接スイッチの外部負荷接続方法、並びに、遊技球の離反および接近時の動作状況を示すものである。なお、図3(b)および図3(c)において、ツェナーダイオードDおよびスイッチングトランジスタQは、図2に示す2線式近接スイッチにおける出力回路104のツェナーダイオードおよびスイッチングトランジスタに対応している。
【0010】
図3(a)に示されるように、直流2線式近接スイッチ100は、適当な負荷抵抗RLを介して電源(Vcc)に接続して使用される。ここで、例えば、低電位側の電源線(V-)の電位を0ボルトとすると、近接スイッチ100の出力端(V+,V-)の電圧は、V+になっている。
【0011】
まず、図3(b)に示されるように、遊技球200が離れている時(離反状態:遊技球非検出時)、発振回路(101)は定常発振を行っており、トランジスタQはオン状態になる。そして、負荷抵抗RLを流れる電流(スイッチ流入電流:最大電流値)IHiは、IHi=(Vcc−Vd3)/RLになり、電源電圧Vccおよび負荷抵抗RLにより規定された値になる。このとき、近接スイッチ100の出力端の電圧は、低い電圧V+LOになっている。この電圧V+LOは、回路駆動に最低限必要な残電圧であり、ツェナーダイオードDのツェナー電圧Vd3に相当する。
【0012】
次に、図3(c)に示されるように、遊技球200が接近している時(接近状態:遊技球検出時)、発振回路(101)は発振を停止してトランジスタQはオフ状態になり、負荷抵抗RLを流れる電流(最小電流値,漏れ電流値)ILOは、電流源を流れる値になる。このとき、近接スイッチ100の出力端の電圧は、電源電圧Vcc近辺の高い電圧V+Hiになる。ここで、電流ILOは、回路駆動に最低限必要な漏れ電流であり、これにより負荷抵抗RLには若干の電圧降下が発生する。
【0013】
そして、例えば、負荷抵抗RLの両端に生じる電圧を検出することにより、遊技球200の離反および接近を確認することが可能になる。
【0014】
具体的に、例えば、負荷抵抗RLを680Ωとし、電源電圧Vccを12ボルトとした場合、図3(b)の遊技球非検出時(待機状態)では、スイッチ流入電流(出力電流)IHiが8.8mA程度になり、図3(c)の遊技球検出時(検知状態)では、スイッチ流入電流(漏れ電流)ILOが1mA程度になる。
【0015】
また、図1および図2の近接スイッチにおける発振回路はコルピッツタイプのものであり、例えば、検出コイル(L1)が断線した時にはスイッチングトランジスタQが開放動作になり、遊技球200を検出した状態の出力で非動作になる。
【0016】
ところで、従来、近接スイッチの近傍で比較的強い高周波の電波が発射されると発振回路の発振が停止して誤って遊技球を検出するといった誤動作を低減し、さらに、発振回路が停止するレベルを容易に調整することが可能な近接スイッチ発振回路も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0017】
この特許文献2に示された従来の近接スイッチ発振回路は、発振回路の出力側にサブストレート型PNPトランジスタを接続することで、発振回路に近接して電波が発振されたときにはその出力を急激に低下させ、比較回路に与える出力をほぼ零レベルとして遊技球の有無に関わらず遊技球を検出しないように構成し、さらに、調整用抵抗の抵抗値を変化させることによって、サブストレート型PNPトランジスタによる電波発射時の禁止効果のレベルを調整できるようにしている。
【0018】
【特許文献1】特開2000−254280号公報
【特許文献2】実開平03−130627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来、近接スイッチは、様々な理由により破損や故障が想定され、特に、例えば、遊技球が連続的に通過する貫通孔に機械的ストレスがかかり続けるため、その貫通孔に巻回されている検出コイルが断線することが考えられる。
【0020】
ところで、弾球遊技機では、例えば、1台当り10個前後の近接スイッチが搭載されており、それがパチンコホールでの遊技機の設置台数分あるため、近接スイッチの数は膨大なものになる。また、遊技球計数機(遊技球計数装置)は、10レーン以上の遊技球通過路が設けられており、例えば、その遊技球通過路の2倍の近接スイッチが配置されることになる。さらに、近年、パチンコホールの弾球遊技機の全てに対して遊技球計数機を設けるものも提案されており、使用する近接スイッチの数も益々増加する傾向にある。
【0021】
ところで、前述したように、従来の近接スイッチは、例えば、検出コイルの断線によって電子スイッチとしての遊技球の検出が不能になる。しかしながら、従来、近接スイッチの故障といった状況は、近接スイッチ自体の出力回路特性の観測では判別することができなかった。
【0022】
従来、近接スイッチが故障した場合、多くは内部回路が閉塞動作または開放動作のどちらか一方の状態で出力回路が固まってしまい、遊技球を流してもカウントが進まない現象が発生する。これは、遊技球の計数ミスといった金銭に関わる大きな問題になる。
【0023】
具体的に、例えば、図1〜図3を参照して説明した従来の直流2線式近接スイッチにおいて、検出コイルが断線すると、直流条件をほぼ維持しつつ発振が常時停止する。すなわち、遊技球(金属物体)の有無に関わらず、スイッチ流入電流は漏れ電流ILOで、出力端の電圧は電源電圧Vcc近辺の高い電圧V+Hiになって固定される。従って、直流2線式近接スイッチの出力から故障状態であるか否かを見分けることができない。
【0024】
本発明は、上述した従来の近接スイッチ(遊技球検出器)が有する課題に鑑み、金属物体を検出するためのLC共振回路の検出コイルの断線をその2線出力から判別することのできる直流2線式近接スイッチおよび該直流2線式近接スイッチを適用した遊技球計数機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の第1の形態によれば、LC共振回路を用いた発振回路を有し、金属物体を検出する検出回路部と、前記金属物体の接近時には漏れ電流のみで駆動する開放動作,および,該金属物体の離反時には残電圧出力での閉塞動作を行う2線式出力回路と、を具備する直流2線式近接スイッチであって、前記発振回路は、第1の端子が第1の抵抗器を介して第1の電源線に接続され、制御端子が定電圧発生手段を介して第2の電源線に接続された第1のトランジスタを備え、前記LC共振回路は、一端が前記第1の電源線に接続されると共に、他端が、前記第1のトランジスタのバイアス手段を介して前記制御端子に接続され、前記2線式出力回路は、前記LC共振回路の検出コイルが断線故障した場合、前記開放動作を呈するよう設定されると共に、前記開放動作時の漏れ電流に加えて前記定電圧発生手段および前記第1の抵抗器で調整された電流が付加された中間電流を出力することを特徴とする直流2線式近接スイッチが提供される。
【0026】
本発明の第2の形態によれば、LC共振回路を用いた発振回路を有し、金属物体を検出する検出回路部と、前記金属物体の接近時には漏れ電流のみで駆動する開放動作,および,該金属物体の離反時には残電圧出力での閉塞動作を行う2線式出力回路と、を具備する直流2線式近接スイッチであって、前記発振回路は、第1の端子が第1の抵抗器を介して第1の電源線に接続された第1のトランジスタと、入力が第2の抵抗器を介して前記LC共振回路の一端に接続されると共に負荷が直列に接続された第3および第4の抵抗器であるエミッタフォロアとを備え、前記第1のトランジスタの制御端子は、前記第3および第4の抵抗器の接続ノードに接続され、前記LC共振回路の他端は前記第1の電源線に接続され、前記2線式出力回路は、前記LC共振回路の検出コイルが断線故障した場合、前記開放動作を呈するよう設定されると共に、前記開放動作時の漏れ電流に加えて前記第1,第2,第3および第4の抵抗器で調整された電流が付加された中間電流を出力することを特徴とする直流2線式近接スイッチが提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、金属物体を検出するためのLC共振回路の検出コイルの断線をその2線出力から判別することのできる直流2線式近接スイッチおよび該直流2線式近接スイッチを適用した遊技球計数機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に係る直流2線式近接スイッチは、例えば、出力回路を、検出コイルの断線時に開放状態(漏れ電流モード)になるように極性を設定し、検出コイルの断線時に漏れ電流モードで発振回路以外の回路電流が不変になることを利用し、コイル断線をトリガとして金属物体の検出時の電流と非検出時の電流の間の電流を発振回路に流すようにすることで、その電流値の変化により検出コイルの断線を確認する。
【0029】
なお、検出コイルの断線時における漏れ電流の増加分を設定する発振回路電流の調整は、コイル駆動定電流バイアスにダイオードを挿入して感度抵抗定数に照らし合わせてダイオード段数を調整するか、或いは、LC共振回路を一旦エミッタフォロアで受けて負荷抵抗の中間点を後段に接続し、感度抵抗定数に応じて中間点バランスを調整することにより実現する。
【実施例】
【0030】
以下、本発明に係る直流2線式近接スイッチおよび遊技球計数機の実施例を、添付図面を参照して詳述する。
【0031】
図4は本発明に係る直流2線式近接スイッチの第1実施例を示す回路図である。
図4に示されるように、本第1実施例の直流2線式近接スイッチは、発振回路(高周波発振回路)1、検波積分回路2、弁別回路3、出力回路(2線式出力回路)4、および、定電圧回路5を備えている。
【0032】
発振回路1は、検出コイルLおよび容量C1で構成されるLC共振回路10、電流源I0、ダイオードD1,D2,D3、抵抗Rx,Re、並びに、トランジスタTr1,Tr2,Tr3を備えて構成される。検波積分回路2は、トランジスタTr4、抵抗R1および容量C2を備えて構成され、また、弁別回路3は、コンパレータCOM1および抵抗R2,R3,R4を備えて構成され、そして、定電圧回路5は、トランジスタTr5、ツェナーダイオードD4および抵抗R5を備えて構成される。
【0033】
出力回路4は、トランジスタTr6、抵抗R6およびツェナーダイオードD5を備えて構成され、定常時は遊技球(金属物体)の接近・離反に追従する2線出力動作機能を有し、さらに、検出コイルLの断線時には中間電流値を出力する機能を有する。ここで、検出コイルLは、例えば、金属製の遊技球が通過する領域に配置される。
【0034】
LC共振回路10は、一端がグランドGND(第1の電源線)に接続されると共に、他端が電源側の電源線(第2の電源線)に接続され、検出コイルLの断線時にはダイオードD3および抵抗Rxがオープンモードになり、NPN型バイポーラトランジスタTr1のベース電位が飽和点(図4では、Vref−(Vd1+Vd2))まで上昇するため、発振回路1自体が大電流モードになる。ここで、Vd1およびVd2は、ダイオードD1およびD2の順方向電圧(Vf)を示している。
【0035】
弁別回路3は、発振回路1の出力電圧V1を下側検波する方式であり、出力回路4は、検出コイルLの断線時に開放状態(漏れ電流モード)になる極性に設定されている。
【0036】
従って、検出コイルLの断線時は漏れ電流モード(トランジスタTr6がオフ状態)で発振回路1以外の回路電流が固定され、検出コイルLの断線をトリガとして、例えば、3mA程度の発振回路電流(トランジスタTr1による制御電流の上昇分)が増加する調整が施されている。
【0037】
ここで、検出コイルLの断線時における発振回路電流(スイッチ流入電流)の増加分を3mA程度に設定するのは、例えば、図3を参照して説明したように、検出コイルLの断線時におけるスイッチ流入電流を、遊技球非検出時のスイッチ流入電流IHi(例えば、8.8mA程度)と遊技球検出時のスイッチ流入電流ILO(例えば、1mA程度)とのほぼ中間になるように設定し、これにより、検出コイルLの断線時(検出コイルの断線故障時),遊技球非検出時および遊技球検出時の3つの状態を容易に確認できるようにするためである。
【0038】
すなわち、例えば、遊技球非検出時のスイッチ流入電流IHiが8.8mA程度で、遊技球検出時のスイッチ流入電流ILOが1mA程度の場合、検出コイルの断線時に流れる電流としては3〜5mA程度に設定すればよい。これらの電流値は、実際の近接スイッチの構成に応じて様々に変化し得るのはいうまでもない。
【0039】
なお、検出コイルLの断線時における漏れ電流の増加分を設定するために、本第1実施例では、検出コイルLを駆動する定電流源I0とトランジスタTr1のベース(V1)との間にダイオードを挿入し、ダイオードの段数により適宜調整するようになっている。具体的に、図4中では、2段のダイオードD1およびD2により調整しているが、共振回路10の定数や感度設定等により、例えば、1個のダイオード或いは3段以上の多段のダイオードにより構成することもある。
【0040】
また、検出コイルLの断線時の電流を設定するためのダイオードD1およびD2は、正常動作時のトランジスタTr1の制御電流値にはまったく影響を与えることはなく(ダイオードD3並びに抵抗RxおよびReのみで決定される)、逆に、ダイオードD3および抵抗Rxは、検出コイルLの断線時におけるトランジスタTr1の制御電流値にまったく影響を与えないため、ダイオードD1〜D3および抵抗Rxを調整することにより、正常時の漏れ電流と、検出コイル断線時の漏れ電流とをそれぞれ独立に、且つ、高精度に設定することができる。
【0041】
図5は図4に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための波形図である。
まず、基本動作を説明すると、図5(a)に示されるように、発振回路10において、待機状態ではトランジスタTr1のベース電圧(V1)はサイン波を定常発振しており、遊技球(金属物体)を検知すると発振が停止し、ダイオードD3、定電流源I0および抵抗Rxによる一定の直流レベル(Vd3+RxI0)になる。ここで、Vd3は、ダイオードD3の順方向電圧であり、便宜上トランジスタTr1のベース−エミッタ間電圧とほぼ同電位であると仮定している。
【0042】
この電圧V1は後段の検波積分回路2に入力され、PNP型バイポーラトランジスタトランジスタTr4は、ベース電位低下時には電圧V1に追従し、ベース電位上昇時にはオフすると共に抵抗R1および容量C2の時定数で放電し、発振回路の出力電圧V1の最小値検波の機能を持つ。
【0043】
検波積分回路2の出力電圧V2は、弁別回路3に入力され、コンパレータCOM1により抵抗R2〜R4で規定される比較電圧V3とレベル判定される。コンパレータCOM1は、定常発振中にトランジスタTr6をオンし、遊技球を検知して発振が停止するとトランジスタTr6をオフさせる。なお、コンパレータCOM1の正入力端子(V3)は、抵抗R4の働きにより若干の正帰還が加わるようになっている。
【0044】
そして、コンパレータCOM1の状態変化に従って、出力回路4では、トランジスタTr6のオン時にツェナーダイオードD5が有効になり、近接スイッチは、残電圧出力(ツェナーダイオードD5の電位)を出力する。また、トランジスタTr6のオフ時には、ツェナーダイオードD5は遮断され、出力回路部4の電流は零の開放状態になる。
【0045】
定電圧回路5は、回路全体に定電圧出力Vrefを印加するためのものであり、ツェナーダイオードD4のツェナー電圧(ツェナーダイオードD4の両端電位)をVd4とし、トランジスタTr5のベース−エミッタ間電圧をVbeとすると、定電圧回路5の出力は、Vd4−Vbeの直流出力になり、機能上ツェナー電圧Vd4は、残電圧値より小さな値に設定する。なお、発振停止時の定電圧回路5の電流は、近接スイッチの漏れ電流値とほぼ一致する。
【0046】
次に、検出コイルLの断線時における主要部回路の動作を説明する。
共振回路10は、一端がグランドGNDに接地され、他端が定電流源I0を介して電源(Vref)側に接続されている。ここで、検出コイルLが断線すると、ダイオードD3が開放になり、共振回路10を駆動する電流源I0の駆動電流(I0)は行き場がなくなり、トランジスタTr1のベースに全電流が流入する。これにより、トランジスタTr1のベース電位(V1)が飽和点(Vref−(Vd1+Vd2))まで急峻に上昇する(図5(a)の右側参照)。
【0047】
ここで、トランジスタTr1は共振回路10の帰還電流を調整する機能を有し、検出コイルLが正常または発振停止時の抵抗Reの両端電位はRx×I0で、ごく僅かのエミッタ電流を制御する。しかしながら、検出コイルLが断線すると、上述したように、ダイオードD3および抵抗Rxが開放し、トランジスタTr1のベース電位が飽和点まで上昇する。
【0048】
これにより、抵抗Reの両端電位もVref−(Vd1+Vd2+Vbe)まで跳ね上がり、発振回路1の電流が突如増加することになる。従って、近接スイッチは、全体として漏れ電流が増加する動作になる。
【0049】
弁別回路3では、遊技球の接近の度合いに応じて検波積分回路2の出力電圧(V2)が比較電圧V3を挟んで上下動しているが、ひとたび検出コイルLが断線すると、電圧V2は、発振停止時のレベルよりはるか上方(図5(b)の右側参照)に跳ね上がる。このとき、コンパレータCOM1は、発振停止時と見分けがつかず、検出コイルLの断線時ではトランジスタTr6がオフの極性になる。すなわち、検出コイルLが正常な場合、待機状態の時のみトランジスタTr6がオンになり、遊技球の検知時および検出コイルLの断線時にはトランジスタTr6がオフすることになる。
【0050】
結果として、図5(c)に示されるように、本第1実施例の直流2線式近接スイッチの出力電流Ioutは、検出コイルLが正常で待機状態の時、トランジスタTr6がオンで出力は残電圧モードになり、ツェナーダイオードD5のツェナー電圧Vd5と負荷抵抗RLにより、図3(b)を参照して説明した最大電流値IHiが決定される。
【0051】
また、検出コイルLが正常で遊技球を検出している状態の時、トランジスタTr6がオフになり、図3(c)を参照して説明した漏れ電流ILOが流れる。
【0052】
図6および図7は図4に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための図である。
【0053】
図6に示されるように、上述した検出コイルLが正常で遊技球を検出している状態の時、発振回路1を流れる電流I3、および、トランジスタTr1の制御電流Ic2は、抵抗Reの両端の電位がRx×I0になるため、
【0054】
Ic2 =(Rx/Re)×I0 …(1)
I3 =I0+Ic2+Ic3
≒I0+(Rx/Re)×I0+(Rx/Re)×I0
≒I0+2×(Rx/Re)×I0 …(2)
【0055】
が成立し、これに基づいて各電流値を抵抗Rxにより設定する。なお、トランジスタTr1の制御電流Ic2は、直流2線式スイッチの漏れ電流の一部でもあり、数十μA〜数百μAの微小値の設定になる。また、図6中のトランジスタTr3を流れる帰還電流Ic3は、トランジスタTr2およびTr3で構成された定電流ミラー回路の働きにより、制御電流Ic2と同じ値になる。
【0056】
そして、図7に示されるように、検出コイルLが断線した時の回路電流Imは、漏れ電流値ILO(厳密には、制御電流Ic2と帰還電流Ic3を減算した値)に対して発振回路1の断線時の電流値が加算されるため、IHiとILOの中間の電流値になる。
【0057】
すなわち、前述したように、遊技球検出時および検出コイル断線時では、検波積分回路2,弁別回路3,出力回路4および定電圧回路5の状態は不変であり、発振回路1、とりわけトランジスタTr1の制御電流Ic2と帰還電流Ic3の変化が顕著に生じる。
【0058】
検出コイルLの断線を引き金として、抵抗Reの両端電位がRx×I0からVref−(Vd1+Vd2+Vbe)まで一気に上昇すると、同時に帰還電流Ic3は行き場を失ってトランジスタTr3が飽和するため、検出コイルLの断線時におけるトランジスタTr1の制御電流Ic4および発振回路電流I1は、
【0059】
Ic4 ={Vref−(Vd1+Vd2+Vbe)}/Re …(3)
I1 =I0+Ic2+Ic3
≒I0+{Vref−(Vd1+Vd2+Vbe)}/Re …(4)
【0060】
従って、スイッチ回路全体としての漏れ電流の純増分は上記の式(4)−式(2)の計算結果と同じ値になる。すなわち、検出コイルLが断線した時の回路電流Imは、
【0061】
Im=ILO+{Vref−(Vd1+Vd2+Vbe)}/Re−2×(Rx/Re)×I0 …(5)
になり、断線時の発振回路電流I1は、上記式(5)におけるVref,Vd1,Vd2,VbeおよびReの値を調整して、IHiとILOの中間の電流値(例えば、3〜4mA程度)に設定すれば良いことが分かる。
【0062】
ここで、Reは感度調整抵抗であり、共振回路毎に設定する性質があるため電流値調整としての融通性が低く、かつ所望値より小さく出る(I1が大きく出る)傾向がある。その場合は、ダイオード(D1,D2)の段数を増加することにより、抵抗Reの両端電位を順次低下させることができるため、離散的ではあるものの最大電流値と漏れ電流ILOの中間値に設定することができる。
【0063】
また、抵抗Reを半導体集積回路(IC)の外付け抵抗とすることにより、電波耐性を高く(電磁波ノイズによる誤動作の発生を低く)することができる。
【0064】
図8は図4に示す直流2線式近接スイッチの使用電圧範囲と各電圧レベルとの関係を示す図であり、近接スイッチの両端電圧(出力電圧Vout:V+)と駆動電圧(電源電圧:Vcc)との関係を示す図である。
【0065】
図8に示されるように、検出コイルLが正常で待機状態の出力電圧Vout1は、2線式出力の残電圧モードでツェナーダイオードD5の両端電位が出力されるため、横軸に並行のほぼ一定値(Vout1=Vd5)を示す。
【0066】
また、検出コイルLが正常で遊技球の検出状態の出力電圧Vout2は、Vout2=Vcc−ILO×RLになる。従って、駆動電圧Vccの増加と並行で、且つ、ILO×RLだけ低くなる。
【0067】
さらに、検出コイルLの断線時の出力電圧Vout3は、Vout3=Vcc−ILO×RL−(I1−I3)×RLになり、断線時電流I1もVcc依存性はほとんどなく、特性として、上述した遊技球の検出時の出力特性(Vout2)と並行で、且つ、(I1−I3)×RLだけ低くなる。
【0068】
従って、待機状態と検知状態に挟まれた中間領域に検出コイル断線時特性が存在する。なお、駆動電圧Vccが低い領域では、待機時特性と断線時特性が交差するポイントがある。この場合は、近接スイッチの使用電圧範囲の仕様により規定すればよい。
【0069】
図9〜図11は本発明に係る直流2線式近接スイッチの第2実施例〜第4実施例を示す回路図であり、それぞれ図4に示す第1実施例におけるダイオードD1,D2の代替回路の例を示すものである。
【0070】
図9に示されるように、本第2実施例の直流2線式近接スイッチは、バイアス回路部にベース電流補償トランジスタTr11およびTr12を使用した例を示すものである。
【0071】
すなわち、本第2実施例では、NPN型バイポーラトランジスタTr11およびTr12により前述したトランジスタTr1のバイアス回路を構成している。トランジスタTr12は、ダイオード接続されたフォロアで、そのベース−エミッタ間電圧Vbeが図4を参照して説明した第1実施例のダイオードD3に相当する。また、トランジスタTr11は、ベース電流補償と呼ばれるトランジスタで、トランジスタTr1およびTr12のベース電流を補償する。さらに、トランジスタTr11のベース−エミッタ間電圧Vbeが定電圧として機能するため、図4の第1実施例におけるダイオードD1と同じ効果が得られる。
【0072】
図4の第1実施例では、トランジスタTr1のベース電流を、電流源I0から直接供給するため、抵抗Rxの両端電位にベース電流損が発生する。これに対して、本第2実施例では、トランジスタTr11の補償により上記ベース電流損を改善することができるため、結果として、遊技球を検出した時の漏れ電流の設定精度が向上させることが可能になる。
【0073】
なお、検出コイルLの断線時における電流の調整がトランジスタTr11のベース−エミッタ間電圧Vbeのみ(ダイオード1個分)では不十分の場合には、定電流源I0とトランジスタTr11のベースとの間にダイオードを追加挿入すればよい。
【0074】
図10に示されるように、本第3実施例の直流2線式近接スイッチは、検出コイルLの断線時に流れる電流を設定する回路に定電圧フォロアを使用した例を示すものである。
【0075】
すなわち、本第3実施例では、NPN型バイポーラトランジスタTr13、並びに、抵抗R11およびR12により定電圧発生回路を構成している。ここで、トランジスタTr13のコレクタ―エミッタ間(Vce)には、Vce=Vbe×(R11+R12)/R12の定電圧が発生し、この電位が図4を参照して説明した第1実施例におけるダイオードD1およびD2と同じ役割を果たす。なお、トランジスタTr13のエミッタ(トランジスタTr1のベースと共振回路10の一端(トランジスタTr3のコレクタ)との間には抵抗RyおよびダイオードD11が挿入されている。
【0076】
なお、前述した図4の第1実施例では、ダイオードの段数を調整するため離散的設定なのに対して、本第3実施例では2つの抵抗R11およびR12の定数により小数点以下の設定が可能になるため断線時に流れる電流値を設定する分解能を向上させることができる。
【0077】
図11に示されるように、本第4実施例の直流2線式近接スイッチは、バイアス回路部を定電流源と抵抗で構成した例を示すものである。
【0078】
本第4実施例では、定電流源I0並びに抵抗R13およびRzによりトランジスタTr1のバイアス回路を構成するもので、主として発振回路を半導体集積回路(IC)に内蔵する場合に有効である。
【0079】
すなわち、半導体集積回路内部では、電流源と抵抗の組み合わせで定電圧機能回路を構成することが可能であり、抵抗RzをICの内部に形成することができる。ここで、本第4実施例における電流源I0×R13は、前述した第1実施例のVd1+Vd2に相当し、且つ、本第4実施例におけるI0×Rzは、前述した第1実施例のVd3+I0×Rxに相当する。
【0080】
この第4実施例は、上述した第3実施例と同様に、検出コイルLの断線時の電流を小数点以下で設定することが可能であり分解能を向上させることができ、さらに、回路の簡素化にもつながる。
【0081】
図12は本発明に係る直流2線式近接スイッチの第5実施例を示す回路図であり、図13および図14は図12に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための図である。
【0082】
図12に示されるように、本第5実施例の直流2線式近接スイッチは、例えば、共振回路10(検出コイルLおよび容量C1)、電流源I0、ダイオードD4,D5,D6、抵抗ReおよびRw、並びに、トランジスタTr1,Tr2,Tr3で構成される従来の発振回路に対して、NPN型バイポーラトランジスタTr14と抵抗RfおよびRgから成るエミッタフォロアを追加したものである。
【0083】
ここで、本第5実施例では、トランジスタTr1およびTr14の動作を安定化させるために、入力側に3段のダイオードD4,D5,D6により直流バイアスを形成し、定常時は遊技球(金属物体)の離反時にサイン波発振を行い、遊技球の接近時には発振を停止して、従来の回路と同等の動作を行うようになっている。
【0084】
発振回路1以降の検波積分回路2、弁別回路3、出力回路4および定電圧回路5は、前述した図4に示す第1実施例と同じ構成とされている。
【0085】
トランジスタTr14はエミッタフォロアとされ、抵抗RfおよびRgの中間点にトランジスタTr1のベースが接続されるようになっている。なお、本第5実施例において、図4に示す第1実施例と同様に、通常時では感度調整用の抵抗Reの両端電位は小さく、トランジスタTr1の制御電流および帰還電流はごく僅かな値である。
【0086】
ところで、図13に示されるように、遊技球の検出時において、本第5実施例の直流2線式近接スイッチの発振回路1の電流I4およびトランジスタTr1の制御電流Ic6は、
【0087】
Ic6 ≒Rg×Rw×I0/(Rf+Rg)Re …(6)
I4 ≒I0+2Rg×Rw×I0/(Rf+Rg)Re …(7)
の関係式が成立し、これに基づいて各電流値をRwにより設定すればよい。
【0088】
本第5実施例の直流2線式近接スイッチにおいて、検出コイルLの断線時の挙動も前述した第1実施例とほぼ同等である。すなわち、検出コイルLが断線すると、ダイオードD4〜D6および抵抗Rwがまとめて開放になり、トランジスタTr14のベースに電流源I0の電流が流入し、ベース電位が飽和点(この場合は、Vref)まで急峻に上昇する。これに順じて抵抗RfおよびRgの中間点の電位、並びに、抵抗Reの両端の電位がともに上昇するため、近接スイッチ全体としての漏れ電流が増加することになる。
【0089】
図4と同様に、遊技球を検出した時と検出コイルLが断線した時では、検波積分回路2、弁別回路3、出力回路4および定電圧回路5の状態は不変であり、トランジスタTr1の制御電流と帰還電流が増加する。そして、検出コイルLの断線により、抵抗Reの両端電位が上昇すると同時に、帰還電流Ic7は行き場を失いトランジスタTr3は飽和(図14参照)するため、検出コイルLの断線時におけるトランジスタTr1の制御電流Ic5および発振回路の電流I2は、
【0090】
Ic5=Rg×Vref/(Rf+Rg)Re−(Rf+2Rg)Vbe/(Rf+Rg)Re …(8)
I2=I0+Rg×Vref/(Rf+Rg)Re−(Rf+2Rg)Vbe/(Rf+Rg)Re …(9)
従って、スイッチトータルの漏れ電流純増分は式9−式7の計算結果と同値である。
【0091】
検出コイル断線時の回路電流Imは、
Im =ILO+Rg×Vref/(Rf+Rg)Re−(Rf+2Rg)Vbe/(Rf+Rg)Re
−2Rg×Rw×I0/(Rf+Rg)Re …(10)
そして、検出コイルLの断線時電流I2は、定電圧Vref、トランジスタのベース−エミッタ間電圧Vbe、抵抗Re,RfおよびRgにより設定可能であり、特に、抵抗RgおよびRfを設定することにより、3〜4mA程度に調整すればよい。
【0092】
なお、本第5実施例では、抵抗RfおよびRgの中間点電位を調整することにより検出コイルLの断線時における電流I2を規定することができ、前述した第1実施例がダイオードの段数による離散的な調整だったのに対して、小数点以下のアナログ的な設定を行うことができ、前述した第3実施例および第4実施例と同等の分解能特性を有している。
【0093】
また、本第5実施例の直流2線式近接スイッチにおいても、抵抗Rwを半導体集積回路(IC)の外付け抵抗とすることにより、電波耐性を高くすることができる。
【0094】
以上、詳述したように、本発明に係る直流2線式近接スイッチの各実施例によれば、待機状態、遊技球の検出状態、および、検出コイルの断線による動作不能状態の3通りの状態をその出力電流値により判別することができる、すなわち、直流2線式近接スイッチの出力電流の値をモニターすることにより検出コイルの断線故障を認識してカウントのトラブル等を未然に対処することが可能になる。また、検出コイルと発振回路との間に保護抵抗を挿入した場合、検出コイルの正常時は本来の機能を満たし、また、断線時には前記電流値に影響を与えず、設定精度を維持することができる。
【0095】
なお、上述した本発明に係る各実施例は、例えば、各電源線の極性および各トランジスタの極性等を反転したコンプリメント回路に対してもそのまま適用することができるのはいうまでもない。
【0096】
図15は本発明に係る遊技球計数機の一実施例を示す回路図であり、図16は図15に示す遊技球計数機の使用電圧範囲と各電圧レベルとの関係を示す図であり、そして、図17は図15に示す遊技球計数機の動作を説明するための波形図である。ここで、図16は、前述した図8に対応している。
【0097】
図15に示されるように、遊技球計数機は、計数回路部300および上述した各実施例の直流2線式近接スイッチ400を備え、金属製の遊技球を計数するとともに検出コイルLの断線を検出してアラーム出力を発するようになっている。
【0098】
計数回路部300は、負荷RLの両端の電位を2つの閾値で弁別を行うためのコンパレータCOM10,COM20と、アンドゲートX10,X20と、インバータX30と、ツェナーダイオードD10,D20と、抵抗R20,R30,R40と、容量C10と、シュミットバッファX40とを備えて構成される。なお、近接スイッチと負荷RLとの接続は、前述した図3と同様の接続になっている。
【0099】
コンパレータCOM10およびCOM20は、それぞれツェナーダイオードD10およびD20により設定された閾値電圧(比較電位)Vth10およびVth20と近接スイッチ400の出力電位(V+)との比較を行う。ここで、コンパレータCOM10の比較電位Vth10は、Vth10=Vcc−Vd10とされ、また、コンパレータCOM20の比較電位Vth20は、Vth20=Vd20とされている。なお、Vd10およびVd20は、それぞれツェナーダイオードD10およびD20のツェナー電圧を示している。
【0100】
ここで、図16に示されるように、コンパレータCOM10の比較電位Vth10は、例えば、遊技球検出時のスイッチ両端電圧特性(Vout2)と検出コイル切断時のスイッチ両端電圧特性(Vout3)とのほぼ中間の電圧特性になるように設定されている。なお、このコンパレータCOM10の比較電位Vth10は、電源線(駆動電圧Vcc)に対してツェナーダイオードD10を直接接続して設定しているため、駆動電圧Vccの変動に対して追随(並行な特性)するため、電圧Vccが変動しても近接スイッチの出力を正しく弁別することができる。
【0101】
また、コンパレータCOM20の比較電位Vth20は、例えば、検出コイル切断時のスイッチ両端電圧特性(Vout3)と待機時(遊技球非検出時)のスイッチ両端電圧特性(Vout1)との間で横軸にほぼ並行の電圧特性になるように設定されている。
【0102】
図17(a)に示されるように、直流2線式近接スイッチの出力(V+)において、待機時には、電圧V20(コンパレータCOM20の比較電位Vth20)を下回り、また、遊技球の検出時には、電圧V10(コンパレータCOM10の比較電位Vth10)を上回り、そして、検出コイルの断線時には、中間値(コンパレータCOM20の比較電位Vth20とコンパレータCOM10の比較電位Vth10との間の電位)になる。
【0103】
コンパレータCOM10の出力V30およびコンパレータCOM20の出力V40は、図17(b)および図17(c)に示されるような波形になり、また、計数機のカウント出力Vout10は、基本的にはコンパレータCOM10の出力電圧V30に同期した図17(d)に示されるような波形になる。この図17(d)に示されるカウント出力Vout10により遊技球を順次カウントすることになる。
【0104】
アンドゲートX20の出力V60は、検出コイルが断線したことを示す信号であるが、近接スイッチ400の出力応答時間によって、すなわち、コンパレータCOM10およびCOM20の出力V30およびV40のオンタイミングが微妙にずれるため、図17(e)に示されるようなハザードが出力される可能性がある。さらに、図示してはいないが、検出コイルが断線する瞬間にチャタリングが発生する場合もある。
【0105】
そこで、図15に示されるように、アンドゲートX20の出力V60は、抵抗R30,R40および容量C10による時定数回路により、上記のハザードやチャタリングを積分吸収した出力V70(図17(f)参照)をシュミットバッファX40に入力する。シュミットバッファX40は、オンディレイおよびオフディレイの両方の信号遅延を与えるものである。
【0106】
そして、シュミットバッファX40からは、図17(g)に示されるような検出コイル(L)の断線時に低レベル『L』から高レベル『H』に変化する信号Vout20が出力される。すなわち、この信号Vout20により、検出コイルの断線故障を認識することになる。
【0107】
図18は本発明に係る遊技球計数機を適用した遊技機の一例を示す機能ブロック図である。
【0108】
図18に示されるように、遊技機は、例えば、遊技盤面側に設けられた直流2線式近接スイッチ400からの2線出力(V+,V-)を、図15を参照して説明した計数回路部300で受け取り、遊技球検出信号Vout10および検出コイルの断線故障信号Vout20を出力する。これらの信号Vout10およびVout20は遊技機のCPU310および外部端子基板330を介して遊技球数情報(遊技球の計数情報等)およびスイッチ異常情報(近接スイッチの検出コイルの断線故障情報)をホールコンピュータ40へ出力する。ここで、図18において、負荷RLは、集積回路として構成された計数回路部300の外付け抵抗として構成されている。
【0109】
さらに、計数回路部300からの断線故障信号Vout20は、警報ランプ駆動回路320に対しても供給され、近接スイッチの検出コイルが断線故障した場合には、遊技機自体に設けられた警報ランプ340を駆動して検出コイルの断線故障を通知するようになっている。なお、近接センサ400或いは計数器は、各遊技機に対して設けられるだけでなく、後述するような島毎に設けられた遊技球計数装置等にも使用されるのはいうまでもない。
【0110】
なお、本実施例の遊技球計数機は、例えば、遊技球の検出時から待機状態への復帰動作を行う場合にオフディレイタイマを作動させて十分な検知時間を確保するように構成してもよい。
【0111】
図19は本発明が適用される遊技ホールの全体構成を概略的に示す図であり、図20は図19の遊技ホールにおける1つの島を示す図であり、そして、図21は図20の島における1つの弾球遊技機の一例を概略的に示す図である。
【0112】
図19および図20に示されるように、遊技ホール(パチンコホール)には、複数の弾球遊技機550が島72ごとに分かれて配置され、例えば、島72ごとに1つの高速計数が可能な遊技球計数機(島ごと計数機)600が設けられ、また、図20および図21に示されるように、各弾球遊技機550に対して台ごと遊技球計数機500が設けられ、それぞれホールコンピュータ40とネットワークを介して繋がれている。なお、高速計数が可能な遊技球計数機600は、例えば、カウンタ71等の他の場所に設置してもよい。
本発明の遊技球計数機は、島ごと計数機600および台ごと遊技球計数機500等に対して幅広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、例えば、LC共振回路における検出コイルの断線故障を判別することが可能な直流2線式近接スイッチに適用され、例えば、金属よりなる遊技球を計数する遊技球計数機や遊技機に使用される直流2線式近接スイッチに適用されるが、それに限定されず様々な機器における直流2線式近接スイッチに対して幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】従来の直流2線式近接スイッチの一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す直流2線式近接スイッチの回路構成を示す図である。
【図3】従来の直流2線式近接スイッチによる遊技球検出動作を概略的に説明するための図である。
【図4】本発明に係る直流2線式近接スイッチの第1実施例を示す回路図である。
【図5】図4に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための波形図である。
【図6】図4に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための図(その1)である。
【図7】図4に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための図(その2)である。
【図8】図4に示す直流2線式近接スイッチの使用電圧範囲と各電圧レベルとの関係を示す図である。
【図9】本発明に係る直流2線式近接スイッチの第2実施例を示す回路図である。
【図10】本発明に係る直流2線式近接スイッチの第3実施例を示す回路図である。
【図11】本発明に係る直流2線式近接スイッチの第4実施例を示す回路図である。
【図12】本発明に係る直流2線式近接スイッチの第5実施例を示す回路図である。
【図13】図12に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための図(その1)である。
【図14】図12に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための図(その2)である。
【図15】本発明に係る遊技球計数機の一実施例を示す回路図である。
【図16】図15に示す遊技球計数機の使用電圧範囲と各電圧レベルとの関係を示す図である。
【図17】図15に示す遊技球計数機の動作を説明するための波形図である。
【図18】本発明に係る遊技球計数機を適用した遊技機の一例を示す機能ブロック図である。
【図19】本発明が適用される遊技ホールの全体構成を概略的に示す図である。
【図20】図19の遊技ホールにおける1つの島を示す図である。
【図21】図20の島における1つの弾球遊技機の一例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0115】
1,101 発振回路(高周波発振回路)
2,102 検波積分回路
3,103 弁別回路
4,104 出力回路(2線式出力回路)
5,105 定電圧回路
40 ホールコンピュータ
71 カウンタ
72 島
300 計数回路部
310 遊技機CPU
320 警報ランプ駆動回路
330 外部端子基板
340 警報ランプ
400 直流2線式近接スイッチ
500 台ごと遊技球計数機
550 弾球遊技機
600 遊技球計数機(島ごと遊技球計数機)
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流2線式近接スイッチおよび遊技球計数機に関し、特に、LC共振回路における検出コイルの断線故障を判別することが可能な直流2線式近接スイッチおよび遊技球計数機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾球遊技機の遊技球を扱う遊技機や遊技球計数機では、遊技球の通過を検知する手段として、一般的に貫通孔を備えた遊技球検出器(近接スイッチ)が用いられている。
【0003】
このような遊技球検出器には、主として直流2線式の近接スイッチが使用されている。この直流2線式近接スイッチは、無接点でチャタリングのない安定した開閉動作を、接点スイッチと同様に使用することができ、他の遊技球の検出原理と比較して、作動耐久性能および耐環境性能が共に高く、故意の誤動作の誘発がほぼ不可能であるほか、省配線および配線工数の低減といった2線式スイッチのメリットも有している。
【0004】
ところで、従来、遊技球の速度によらず常に所定以上のパルス幅の検出出力を得ると共にチャタリングによる誤検出も防止する直流2線式近接スイッチが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図1は従来の直流2線式近接スイッチの一例を示すブロック図であり、また、図2は図1に示す直流2線式近接スイッチの回路構成を示す図であり、これら図1および図2は上記特許文献1に示された直流2線式近接スイッチを示すものである。図1および図2において、参照符号101は発振回路(高周波発振回路)、102は検波積分回路、103は弁別回路、104は出力回路(2線式出力回路)、105は定電圧回路、106は電圧検知回路、そして、107はタイマ回路を示している。
【0006】
図1および図2に示す従来の直流2線式近接スイッチは、金属製の遊技球(金属物体)が通過する領域に配置された検出コイルL1、検出コイルL1を駆動して高周波磁界を発生させる発振回路101、発振回路101の発振振幅を検波して積分する検波積分回路102、検波積分回路102の出力を所定のしきい値と比較弁別する弁別回路103、弁別回路103の出力に応じて一対の端子T1,T2間の直流電圧(出力電圧)Voutを変化させて検出信号を出力する出力回路104、および、一定の基準電圧Vccを与える定電圧回路105を備えている。なお、検出コイルL1は、例えば、遊技球が通過する貫通孔に配置される。
【0007】
さらに、図1および図2に示す従来の直流2線式近接スイッチは、端子T1,T2間の電圧を検知する電圧検知回路106、および、電圧検知回路106の検知出力によりトリガされて所定のタイマ時間をカウントするタイマ回路107を備えている。そして、タイマ回路107の出力によって、タイマ時間のカウント中に出力回路104の検出出力が変化しないようにされ、一旦遊技球が検出されて出力電圧Voutが低レベル『L』から高レベル『H』に変化すると、タイマ回路107におけるタイマ時間のカウントが終了するまで、その高レベル『H』の出力電圧を保持するようになっている。
【0008】
これにより、常にタイマ時間よりも短くない所定以上のパルス幅の検出出力が得られると共にチャタリングによる誤検出が防止することができるようになっている。
【0009】
図3は従来の直流2線式近接スイッチによる遊技球検出動作を概略的に説明するための図であり、直流2線式近接スイッチの外部負荷接続方法、並びに、遊技球の離反および接近時の動作状況を示すものである。なお、図3(b)および図3(c)において、ツェナーダイオードDおよびスイッチングトランジスタQは、図2に示す2線式近接スイッチにおける出力回路104のツェナーダイオードおよびスイッチングトランジスタに対応している。
【0010】
図3(a)に示されるように、直流2線式近接スイッチ100は、適当な負荷抵抗RLを介して電源(Vcc)に接続して使用される。ここで、例えば、低電位側の電源線(V-)の電位を0ボルトとすると、近接スイッチ100の出力端(V+,V-)の電圧は、V+になっている。
【0011】
まず、図3(b)に示されるように、遊技球200が離れている時(離反状態:遊技球非検出時)、発振回路(101)は定常発振を行っており、トランジスタQはオン状態になる。そして、負荷抵抗RLを流れる電流(スイッチ流入電流:最大電流値)IHiは、IHi=(Vcc−Vd3)/RLになり、電源電圧Vccおよび負荷抵抗RLにより規定された値になる。このとき、近接スイッチ100の出力端の電圧は、低い電圧V+LOになっている。この電圧V+LOは、回路駆動に最低限必要な残電圧であり、ツェナーダイオードDのツェナー電圧Vd3に相当する。
【0012】
次に、図3(c)に示されるように、遊技球200が接近している時(接近状態:遊技球検出時)、発振回路(101)は発振を停止してトランジスタQはオフ状態になり、負荷抵抗RLを流れる電流(最小電流値,漏れ電流値)ILOは、電流源を流れる値になる。このとき、近接スイッチ100の出力端の電圧は、電源電圧Vcc近辺の高い電圧V+Hiになる。ここで、電流ILOは、回路駆動に最低限必要な漏れ電流であり、これにより負荷抵抗RLには若干の電圧降下が発生する。
【0013】
そして、例えば、負荷抵抗RLの両端に生じる電圧を検出することにより、遊技球200の離反および接近を確認することが可能になる。
【0014】
具体的に、例えば、負荷抵抗RLを680Ωとし、電源電圧Vccを12ボルトとした場合、図3(b)の遊技球非検出時(待機状態)では、スイッチ流入電流(出力電流)IHiが8.8mA程度になり、図3(c)の遊技球検出時(検知状態)では、スイッチ流入電流(漏れ電流)ILOが1mA程度になる。
【0015】
また、図1および図2の近接スイッチにおける発振回路はコルピッツタイプのものであり、例えば、検出コイル(L1)が断線した時にはスイッチングトランジスタQが開放動作になり、遊技球200を検出した状態の出力で非動作になる。
【0016】
ところで、従来、近接スイッチの近傍で比較的強い高周波の電波が発射されると発振回路の発振が停止して誤って遊技球を検出するといった誤動作を低減し、さらに、発振回路が停止するレベルを容易に調整することが可能な近接スイッチ発振回路も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0017】
この特許文献2に示された従来の近接スイッチ発振回路は、発振回路の出力側にサブストレート型PNPトランジスタを接続することで、発振回路に近接して電波が発振されたときにはその出力を急激に低下させ、比較回路に与える出力をほぼ零レベルとして遊技球の有無に関わらず遊技球を検出しないように構成し、さらに、調整用抵抗の抵抗値を変化させることによって、サブストレート型PNPトランジスタによる電波発射時の禁止効果のレベルを調整できるようにしている。
【0018】
【特許文献1】特開2000−254280号公報
【特許文献2】実開平03−130627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来、近接スイッチは、様々な理由により破損や故障が想定され、特に、例えば、遊技球が連続的に通過する貫通孔に機械的ストレスがかかり続けるため、その貫通孔に巻回されている検出コイルが断線することが考えられる。
【0020】
ところで、弾球遊技機では、例えば、1台当り10個前後の近接スイッチが搭載されており、それがパチンコホールでの遊技機の設置台数分あるため、近接スイッチの数は膨大なものになる。また、遊技球計数機(遊技球計数装置)は、10レーン以上の遊技球通過路が設けられており、例えば、その遊技球通過路の2倍の近接スイッチが配置されることになる。さらに、近年、パチンコホールの弾球遊技機の全てに対して遊技球計数機を設けるものも提案されており、使用する近接スイッチの数も益々増加する傾向にある。
【0021】
ところで、前述したように、従来の近接スイッチは、例えば、検出コイルの断線によって電子スイッチとしての遊技球の検出が不能になる。しかしながら、従来、近接スイッチの故障といった状況は、近接スイッチ自体の出力回路特性の観測では判別することができなかった。
【0022】
従来、近接スイッチが故障した場合、多くは内部回路が閉塞動作または開放動作のどちらか一方の状態で出力回路が固まってしまい、遊技球を流してもカウントが進まない現象が発生する。これは、遊技球の計数ミスといった金銭に関わる大きな問題になる。
【0023】
具体的に、例えば、図1〜図3を参照して説明した従来の直流2線式近接スイッチにおいて、検出コイルが断線すると、直流条件をほぼ維持しつつ発振が常時停止する。すなわち、遊技球(金属物体)の有無に関わらず、スイッチ流入電流は漏れ電流ILOで、出力端の電圧は電源電圧Vcc近辺の高い電圧V+Hiになって固定される。従って、直流2線式近接スイッチの出力から故障状態であるか否かを見分けることができない。
【0024】
本発明は、上述した従来の近接スイッチ(遊技球検出器)が有する課題に鑑み、金属物体を検出するためのLC共振回路の検出コイルの断線をその2線出力から判別することのできる直流2線式近接スイッチおよび該直流2線式近接スイッチを適用した遊技球計数機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の第1の形態によれば、LC共振回路を用いた発振回路を有し、金属物体を検出する検出回路部と、前記金属物体の接近時には漏れ電流のみで駆動する開放動作,および,該金属物体の離反時には残電圧出力での閉塞動作を行う2線式出力回路と、を具備する直流2線式近接スイッチであって、前記発振回路は、第1の端子が第1の抵抗器を介して第1の電源線に接続され、制御端子が定電圧発生手段を介して第2の電源線に接続された第1のトランジスタを備え、前記LC共振回路は、一端が前記第1の電源線に接続されると共に、他端が、前記第1のトランジスタのバイアス手段を介して前記制御端子に接続され、前記2線式出力回路は、前記LC共振回路の検出コイルが断線故障した場合、前記開放動作を呈するよう設定されると共に、前記開放動作時の漏れ電流に加えて前記定電圧発生手段および前記第1の抵抗器で調整された電流が付加された中間電流を出力することを特徴とする直流2線式近接スイッチが提供される。
【0026】
本発明の第2の形態によれば、LC共振回路を用いた発振回路を有し、金属物体を検出する検出回路部と、前記金属物体の接近時には漏れ電流のみで駆動する開放動作,および,該金属物体の離反時には残電圧出力での閉塞動作を行う2線式出力回路と、を具備する直流2線式近接スイッチであって、前記発振回路は、第1の端子が第1の抵抗器を介して第1の電源線に接続された第1のトランジスタと、入力が第2の抵抗器を介して前記LC共振回路の一端に接続されると共に負荷が直列に接続された第3および第4の抵抗器であるエミッタフォロアとを備え、前記第1のトランジスタの制御端子は、前記第3および第4の抵抗器の接続ノードに接続され、前記LC共振回路の他端は前記第1の電源線に接続され、前記2線式出力回路は、前記LC共振回路の検出コイルが断線故障した場合、前記開放動作を呈するよう設定されると共に、前記開放動作時の漏れ電流に加えて前記第1,第2,第3および第4の抵抗器で調整された電流が付加された中間電流を出力することを特徴とする直流2線式近接スイッチが提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、金属物体を検出するためのLC共振回路の検出コイルの断線をその2線出力から判別することのできる直流2線式近接スイッチおよび該直流2線式近接スイッチを適用した遊技球計数機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に係る直流2線式近接スイッチは、例えば、出力回路を、検出コイルの断線時に開放状態(漏れ電流モード)になるように極性を設定し、検出コイルの断線時に漏れ電流モードで発振回路以外の回路電流が不変になることを利用し、コイル断線をトリガとして金属物体の検出時の電流と非検出時の電流の間の電流を発振回路に流すようにすることで、その電流値の変化により検出コイルの断線を確認する。
【0029】
なお、検出コイルの断線時における漏れ電流の増加分を設定する発振回路電流の調整は、コイル駆動定電流バイアスにダイオードを挿入して感度抵抗定数に照らし合わせてダイオード段数を調整するか、或いは、LC共振回路を一旦エミッタフォロアで受けて負荷抵抗の中間点を後段に接続し、感度抵抗定数に応じて中間点バランスを調整することにより実現する。
【実施例】
【0030】
以下、本発明に係る直流2線式近接スイッチおよび遊技球計数機の実施例を、添付図面を参照して詳述する。
【0031】
図4は本発明に係る直流2線式近接スイッチの第1実施例を示す回路図である。
図4に示されるように、本第1実施例の直流2線式近接スイッチは、発振回路(高周波発振回路)1、検波積分回路2、弁別回路3、出力回路(2線式出力回路)4、および、定電圧回路5を備えている。
【0032】
発振回路1は、検出コイルLおよび容量C1で構成されるLC共振回路10、電流源I0、ダイオードD1,D2,D3、抵抗Rx,Re、並びに、トランジスタTr1,Tr2,Tr3を備えて構成される。検波積分回路2は、トランジスタTr4、抵抗R1および容量C2を備えて構成され、また、弁別回路3は、コンパレータCOM1および抵抗R2,R3,R4を備えて構成され、そして、定電圧回路5は、トランジスタTr5、ツェナーダイオードD4および抵抗R5を備えて構成される。
【0033】
出力回路4は、トランジスタTr6、抵抗R6およびツェナーダイオードD5を備えて構成され、定常時は遊技球(金属物体)の接近・離反に追従する2線出力動作機能を有し、さらに、検出コイルLの断線時には中間電流値を出力する機能を有する。ここで、検出コイルLは、例えば、金属製の遊技球が通過する領域に配置される。
【0034】
LC共振回路10は、一端がグランドGND(第1の電源線)に接続されると共に、他端が電源側の電源線(第2の電源線)に接続され、検出コイルLの断線時にはダイオードD3および抵抗Rxがオープンモードになり、NPN型バイポーラトランジスタTr1のベース電位が飽和点(図4では、Vref−(Vd1+Vd2))まで上昇するため、発振回路1自体が大電流モードになる。ここで、Vd1およびVd2は、ダイオードD1およびD2の順方向電圧(Vf)を示している。
【0035】
弁別回路3は、発振回路1の出力電圧V1を下側検波する方式であり、出力回路4は、検出コイルLの断線時に開放状態(漏れ電流モード)になる極性に設定されている。
【0036】
従って、検出コイルLの断線時は漏れ電流モード(トランジスタTr6がオフ状態)で発振回路1以外の回路電流が固定され、検出コイルLの断線をトリガとして、例えば、3mA程度の発振回路電流(トランジスタTr1による制御電流の上昇分)が増加する調整が施されている。
【0037】
ここで、検出コイルLの断線時における発振回路電流(スイッチ流入電流)の増加分を3mA程度に設定するのは、例えば、図3を参照して説明したように、検出コイルLの断線時におけるスイッチ流入電流を、遊技球非検出時のスイッチ流入電流IHi(例えば、8.8mA程度)と遊技球検出時のスイッチ流入電流ILO(例えば、1mA程度)とのほぼ中間になるように設定し、これにより、検出コイルLの断線時(検出コイルの断線故障時),遊技球非検出時および遊技球検出時の3つの状態を容易に確認できるようにするためである。
【0038】
すなわち、例えば、遊技球非検出時のスイッチ流入電流IHiが8.8mA程度で、遊技球検出時のスイッチ流入電流ILOが1mA程度の場合、検出コイルの断線時に流れる電流としては3〜5mA程度に設定すればよい。これらの電流値は、実際の近接スイッチの構成に応じて様々に変化し得るのはいうまでもない。
【0039】
なお、検出コイルLの断線時における漏れ電流の増加分を設定するために、本第1実施例では、検出コイルLを駆動する定電流源I0とトランジスタTr1のベース(V1)との間にダイオードを挿入し、ダイオードの段数により適宜調整するようになっている。具体的に、図4中では、2段のダイオードD1およびD2により調整しているが、共振回路10の定数や感度設定等により、例えば、1個のダイオード或いは3段以上の多段のダイオードにより構成することもある。
【0040】
また、検出コイルLの断線時の電流を設定するためのダイオードD1およびD2は、正常動作時のトランジスタTr1の制御電流値にはまったく影響を与えることはなく(ダイオードD3並びに抵抗RxおよびReのみで決定される)、逆に、ダイオードD3および抵抗Rxは、検出コイルLの断線時におけるトランジスタTr1の制御電流値にまったく影響を与えないため、ダイオードD1〜D3および抵抗Rxを調整することにより、正常時の漏れ電流と、検出コイル断線時の漏れ電流とをそれぞれ独立に、且つ、高精度に設定することができる。
【0041】
図5は図4に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための波形図である。
まず、基本動作を説明すると、図5(a)に示されるように、発振回路10において、待機状態ではトランジスタTr1のベース電圧(V1)はサイン波を定常発振しており、遊技球(金属物体)を検知すると発振が停止し、ダイオードD3、定電流源I0および抵抗Rxによる一定の直流レベル(Vd3+RxI0)になる。ここで、Vd3は、ダイオードD3の順方向電圧であり、便宜上トランジスタTr1のベース−エミッタ間電圧とほぼ同電位であると仮定している。
【0042】
この電圧V1は後段の検波積分回路2に入力され、PNP型バイポーラトランジスタトランジスタTr4は、ベース電位低下時には電圧V1に追従し、ベース電位上昇時にはオフすると共に抵抗R1および容量C2の時定数で放電し、発振回路の出力電圧V1の最小値検波の機能を持つ。
【0043】
検波積分回路2の出力電圧V2は、弁別回路3に入力され、コンパレータCOM1により抵抗R2〜R4で規定される比較電圧V3とレベル判定される。コンパレータCOM1は、定常発振中にトランジスタTr6をオンし、遊技球を検知して発振が停止するとトランジスタTr6をオフさせる。なお、コンパレータCOM1の正入力端子(V3)は、抵抗R4の働きにより若干の正帰還が加わるようになっている。
【0044】
そして、コンパレータCOM1の状態変化に従って、出力回路4では、トランジスタTr6のオン時にツェナーダイオードD5が有効になり、近接スイッチは、残電圧出力(ツェナーダイオードD5の電位)を出力する。また、トランジスタTr6のオフ時には、ツェナーダイオードD5は遮断され、出力回路部4の電流は零の開放状態になる。
【0045】
定電圧回路5は、回路全体に定電圧出力Vrefを印加するためのものであり、ツェナーダイオードD4のツェナー電圧(ツェナーダイオードD4の両端電位)をVd4とし、トランジスタTr5のベース−エミッタ間電圧をVbeとすると、定電圧回路5の出力は、Vd4−Vbeの直流出力になり、機能上ツェナー電圧Vd4は、残電圧値より小さな値に設定する。なお、発振停止時の定電圧回路5の電流は、近接スイッチの漏れ電流値とほぼ一致する。
【0046】
次に、検出コイルLの断線時における主要部回路の動作を説明する。
共振回路10は、一端がグランドGNDに接地され、他端が定電流源I0を介して電源(Vref)側に接続されている。ここで、検出コイルLが断線すると、ダイオードD3が開放になり、共振回路10を駆動する電流源I0の駆動電流(I0)は行き場がなくなり、トランジスタTr1のベースに全電流が流入する。これにより、トランジスタTr1のベース電位(V1)が飽和点(Vref−(Vd1+Vd2))まで急峻に上昇する(図5(a)の右側参照)。
【0047】
ここで、トランジスタTr1は共振回路10の帰還電流を調整する機能を有し、検出コイルLが正常または発振停止時の抵抗Reの両端電位はRx×I0で、ごく僅かのエミッタ電流を制御する。しかしながら、検出コイルLが断線すると、上述したように、ダイオードD3および抵抗Rxが開放し、トランジスタTr1のベース電位が飽和点まで上昇する。
【0048】
これにより、抵抗Reの両端電位もVref−(Vd1+Vd2+Vbe)まで跳ね上がり、発振回路1の電流が突如増加することになる。従って、近接スイッチは、全体として漏れ電流が増加する動作になる。
【0049】
弁別回路3では、遊技球の接近の度合いに応じて検波積分回路2の出力電圧(V2)が比較電圧V3を挟んで上下動しているが、ひとたび検出コイルLが断線すると、電圧V2は、発振停止時のレベルよりはるか上方(図5(b)の右側参照)に跳ね上がる。このとき、コンパレータCOM1は、発振停止時と見分けがつかず、検出コイルLの断線時ではトランジスタTr6がオフの極性になる。すなわち、検出コイルLが正常な場合、待機状態の時のみトランジスタTr6がオンになり、遊技球の検知時および検出コイルLの断線時にはトランジスタTr6がオフすることになる。
【0050】
結果として、図5(c)に示されるように、本第1実施例の直流2線式近接スイッチの出力電流Ioutは、検出コイルLが正常で待機状態の時、トランジスタTr6がオンで出力は残電圧モードになり、ツェナーダイオードD5のツェナー電圧Vd5と負荷抵抗RLにより、図3(b)を参照して説明した最大電流値IHiが決定される。
【0051】
また、検出コイルLが正常で遊技球を検出している状態の時、トランジスタTr6がオフになり、図3(c)を参照して説明した漏れ電流ILOが流れる。
【0052】
図6および図7は図4に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための図である。
【0053】
図6に示されるように、上述した検出コイルLが正常で遊技球を検出している状態の時、発振回路1を流れる電流I3、および、トランジスタTr1の制御電流Ic2は、抵抗Reの両端の電位がRx×I0になるため、
【0054】
Ic2 =(Rx/Re)×I0 …(1)
I3 =I0+Ic2+Ic3
≒I0+(Rx/Re)×I0+(Rx/Re)×I0
≒I0+2×(Rx/Re)×I0 …(2)
【0055】
が成立し、これに基づいて各電流値を抵抗Rxにより設定する。なお、トランジスタTr1の制御電流Ic2は、直流2線式スイッチの漏れ電流の一部でもあり、数十μA〜数百μAの微小値の設定になる。また、図6中のトランジスタTr3を流れる帰還電流Ic3は、トランジスタTr2およびTr3で構成された定電流ミラー回路の働きにより、制御電流Ic2と同じ値になる。
【0056】
そして、図7に示されるように、検出コイルLが断線した時の回路電流Imは、漏れ電流値ILO(厳密には、制御電流Ic2と帰還電流Ic3を減算した値)に対して発振回路1の断線時の電流値が加算されるため、IHiとILOの中間の電流値になる。
【0057】
すなわち、前述したように、遊技球検出時および検出コイル断線時では、検波積分回路2,弁別回路3,出力回路4および定電圧回路5の状態は不変であり、発振回路1、とりわけトランジスタTr1の制御電流Ic2と帰還電流Ic3の変化が顕著に生じる。
【0058】
検出コイルLの断線を引き金として、抵抗Reの両端電位がRx×I0からVref−(Vd1+Vd2+Vbe)まで一気に上昇すると、同時に帰還電流Ic3は行き場を失ってトランジスタTr3が飽和するため、検出コイルLの断線時におけるトランジスタTr1の制御電流Ic4および発振回路電流I1は、
【0059】
Ic4 ={Vref−(Vd1+Vd2+Vbe)}/Re …(3)
I1 =I0+Ic2+Ic3
≒I0+{Vref−(Vd1+Vd2+Vbe)}/Re …(4)
【0060】
従って、スイッチ回路全体としての漏れ電流の純増分は上記の式(4)−式(2)の計算結果と同じ値になる。すなわち、検出コイルLが断線した時の回路電流Imは、
【0061】
Im=ILO+{Vref−(Vd1+Vd2+Vbe)}/Re−2×(Rx/Re)×I0 …(5)
になり、断線時の発振回路電流I1は、上記式(5)におけるVref,Vd1,Vd2,VbeおよびReの値を調整して、IHiとILOの中間の電流値(例えば、3〜4mA程度)に設定すれば良いことが分かる。
【0062】
ここで、Reは感度調整抵抗であり、共振回路毎に設定する性質があるため電流値調整としての融通性が低く、かつ所望値より小さく出る(I1が大きく出る)傾向がある。その場合は、ダイオード(D1,D2)の段数を増加することにより、抵抗Reの両端電位を順次低下させることができるため、離散的ではあるものの最大電流値と漏れ電流ILOの中間値に設定することができる。
【0063】
また、抵抗Reを半導体集積回路(IC)の外付け抵抗とすることにより、電波耐性を高く(電磁波ノイズによる誤動作の発生を低く)することができる。
【0064】
図8は図4に示す直流2線式近接スイッチの使用電圧範囲と各電圧レベルとの関係を示す図であり、近接スイッチの両端電圧(出力電圧Vout:V+)と駆動電圧(電源電圧:Vcc)との関係を示す図である。
【0065】
図8に示されるように、検出コイルLが正常で待機状態の出力電圧Vout1は、2線式出力の残電圧モードでツェナーダイオードD5の両端電位が出力されるため、横軸に並行のほぼ一定値(Vout1=Vd5)を示す。
【0066】
また、検出コイルLが正常で遊技球の検出状態の出力電圧Vout2は、Vout2=Vcc−ILO×RLになる。従って、駆動電圧Vccの増加と並行で、且つ、ILO×RLだけ低くなる。
【0067】
さらに、検出コイルLの断線時の出力電圧Vout3は、Vout3=Vcc−ILO×RL−(I1−I3)×RLになり、断線時電流I1もVcc依存性はほとんどなく、特性として、上述した遊技球の検出時の出力特性(Vout2)と並行で、且つ、(I1−I3)×RLだけ低くなる。
【0068】
従って、待機状態と検知状態に挟まれた中間領域に検出コイル断線時特性が存在する。なお、駆動電圧Vccが低い領域では、待機時特性と断線時特性が交差するポイントがある。この場合は、近接スイッチの使用電圧範囲の仕様により規定すればよい。
【0069】
図9〜図11は本発明に係る直流2線式近接スイッチの第2実施例〜第4実施例を示す回路図であり、それぞれ図4に示す第1実施例におけるダイオードD1,D2の代替回路の例を示すものである。
【0070】
図9に示されるように、本第2実施例の直流2線式近接スイッチは、バイアス回路部にベース電流補償トランジスタTr11およびTr12を使用した例を示すものである。
【0071】
すなわち、本第2実施例では、NPN型バイポーラトランジスタTr11およびTr12により前述したトランジスタTr1のバイアス回路を構成している。トランジスタTr12は、ダイオード接続されたフォロアで、そのベース−エミッタ間電圧Vbeが図4を参照して説明した第1実施例のダイオードD3に相当する。また、トランジスタTr11は、ベース電流補償と呼ばれるトランジスタで、トランジスタTr1およびTr12のベース電流を補償する。さらに、トランジスタTr11のベース−エミッタ間電圧Vbeが定電圧として機能するため、図4の第1実施例におけるダイオードD1と同じ効果が得られる。
【0072】
図4の第1実施例では、トランジスタTr1のベース電流を、電流源I0から直接供給するため、抵抗Rxの両端電位にベース電流損が発生する。これに対して、本第2実施例では、トランジスタTr11の補償により上記ベース電流損を改善することができるため、結果として、遊技球を検出した時の漏れ電流の設定精度が向上させることが可能になる。
【0073】
なお、検出コイルLの断線時における電流の調整がトランジスタTr11のベース−エミッタ間電圧Vbeのみ(ダイオード1個分)では不十分の場合には、定電流源I0とトランジスタTr11のベースとの間にダイオードを追加挿入すればよい。
【0074】
図10に示されるように、本第3実施例の直流2線式近接スイッチは、検出コイルLの断線時に流れる電流を設定する回路に定電圧フォロアを使用した例を示すものである。
【0075】
すなわち、本第3実施例では、NPN型バイポーラトランジスタTr13、並びに、抵抗R11およびR12により定電圧発生回路を構成している。ここで、トランジスタTr13のコレクタ―エミッタ間(Vce)には、Vce=Vbe×(R11+R12)/R12の定電圧が発生し、この電位が図4を参照して説明した第1実施例におけるダイオードD1およびD2と同じ役割を果たす。なお、トランジスタTr13のエミッタ(トランジスタTr1のベースと共振回路10の一端(トランジスタTr3のコレクタ)との間には抵抗RyおよびダイオードD11が挿入されている。
【0076】
なお、前述した図4の第1実施例では、ダイオードの段数を調整するため離散的設定なのに対して、本第3実施例では2つの抵抗R11およびR12の定数により小数点以下の設定が可能になるため断線時に流れる電流値を設定する分解能を向上させることができる。
【0077】
図11に示されるように、本第4実施例の直流2線式近接スイッチは、バイアス回路部を定電流源と抵抗で構成した例を示すものである。
【0078】
本第4実施例では、定電流源I0並びに抵抗R13およびRzによりトランジスタTr1のバイアス回路を構成するもので、主として発振回路を半導体集積回路(IC)に内蔵する場合に有効である。
【0079】
すなわち、半導体集積回路内部では、電流源と抵抗の組み合わせで定電圧機能回路を構成することが可能であり、抵抗RzをICの内部に形成することができる。ここで、本第4実施例における電流源I0×R13は、前述した第1実施例のVd1+Vd2に相当し、且つ、本第4実施例におけるI0×Rzは、前述した第1実施例のVd3+I0×Rxに相当する。
【0080】
この第4実施例は、上述した第3実施例と同様に、検出コイルLの断線時の電流を小数点以下で設定することが可能であり分解能を向上させることができ、さらに、回路の簡素化にもつながる。
【0081】
図12は本発明に係る直流2線式近接スイッチの第5実施例を示す回路図であり、図13および図14は図12に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための図である。
【0082】
図12に示されるように、本第5実施例の直流2線式近接スイッチは、例えば、共振回路10(検出コイルLおよび容量C1)、電流源I0、ダイオードD4,D5,D6、抵抗ReおよびRw、並びに、トランジスタTr1,Tr2,Tr3で構成される従来の発振回路に対して、NPN型バイポーラトランジスタTr14と抵抗RfおよびRgから成るエミッタフォロアを追加したものである。
【0083】
ここで、本第5実施例では、トランジスタTr1およびTr14の動作を安定化させるために、入力側に3段のダイオードD4,D5,D6により直流バイアスを形成し、定常時は遊技球(金属物体)の離反時にサイン波発振を行い、遊技球の接近時には発振を停止して、従来の回路と同等の動作を行うようになっている。
【0084】
発振回路1以降の検波積分回路2、弁別回路3、出力回路4および定電圧回路5は、前述した図4に示す第1実施例と同じ構成とされている。
【0085】
トランジスタTr14はエミッタフォロアとされ、抵抗RfおよびRgの中間点にトランジスタTr1のベースが接続されるようになっている。なお、本第5実施例において、図4に示す第1実施例と同様に、通常時では感度調整用の抵抗Reの両端電位は小さく、トランジスタTr1の制御電流および帰還電流はごく僅かな値である。
【0086】
ところで、図13に示されるように、遊技球の検出時において、本第5実施例の直流2線式近接スイッチの発振回路1の電流I4およびトランジスタTr1の制御電流Ic6は、
【0087】
Ic6 ≒Rg×Rw×I0/(Rf+Rg)Re …(6)
I4 ≒I0+2Rg×Rw×I0/(Rf+Rg)Re …(7)
の関係式が成立し、これに基づいて各電流値をRwにより設定すればよい。
【0088】
本第5実施例の直流2線式近接スイッチにおいて、検出コイルLの断線時の挙動も前述した第1実施例とほぼ同等である。すなわち、検出コイルLが断線すると、ダイオードD4〜D6および抵抗Rwがまとめて開放になり、トランジスタTr14のベースに電流源I0の電流が流入し、ベース電位が飽和点(この場合は、Vref)まで急峻に上昇する。これに順じて抵抗RfおよびRgの中間点の電位、並びに、抵抗Reの両端の電位がともに上昇するため、近接スイッチ全体としての漏れ電流が増加することになる。
【0089】
図4と同様に、遊技球を検出した時と検出コイルLが断線した時では、検波積分回路2、弁別回路3、出力回路4および定電圧回路5の状態は不変であり、トランジスタTr1の制御電流と帰還電流が増加する。そして、検出コイルLの断線により、抵抗Reの両端電位が上昇すると同時に、帰還電流Ic7は行き場を失いトランジスタTr3は飽和(図14参照)するため、検出コイルLの断線時におけるトランジスタTr1の制御電流Ic5および発振回路の電流I2は、
【0090】
Ic5=Rg×Vref/(Rf+Rg)Re−(Rf+2Rg)Vbe/(Rf+Rg)Re …(8)
I2=I0+Rg×Vref/(Rf+Rg)Re−(Rf+2Rg)Vbe/(Rf+Rg)Re …(9)
従って、スイッチトータルの漏れ電流純増分は式9−式7の計算結果と同値である。
【0091】
検出コイル断線時の回路電流Imは、
Im =ILO+Rg×Vref/(Rf+Rg)Re−(Rf+2Rg)Vbe/(Rf+Rg)Re
−2Rg×Rw×I0/(Rf+Rg)Re …(10)
そして、検出コイルLの断線時電流I2は、定電圧Vref、トランジスタのベース−エミッタ間電圧Vbe、抵抗Re,RfおよびRgにより設定可能であり、特に、抵抗RgおよびRfを設定することにより、3〜4mA程度に調整すればよい。
【0092】
なお、本第5実施例では、抵抗RfおよびRgの中間点電位を調整することにより検出コイルLの断線時における電流I2を規定することができ、前述した第1実施例がダイオードの段数による離散的な調整だったのに対して、小数点以下のアナログ的な設定を行うことができ、前述した第3実施例および第4実施例と同等の分解能特性を有している。
【0093】
また、本第5実施例の直流2線式近接スイッチにおいても、抵抗Rwを半導体集積回路(IC)の外付け抵抗とすることにより、電波耐性を高くすることができる。
【0094】
以上、詳述したように、本発明に係る直流2線式近接スイッチの各実施例によれば、待機状態、遊技球の検出状態、および、検出コイルの断線による動作不能状態の3通りの状態をその出力電流値により判別することができる、すなわち、直流2線式近接スイッチの出力電流の値をモニターすることにより検出コイルの断線故障を認識してカウントのトラブル等を未然に対処することが可能になる。また、検出コイルと発振回路との間に保護抵抗を挿入した場合、検出コイルの正常時は本来の機能を満たし、また、断線時には前記電流値に影響を与えず、設定精度を維持することができる。
【0095】
なお、上述した本発明に係る各実施例は、例えば、各電源線の極性および各トランジスタの極性等を反転したコンプリメント回路に対してもそのまま適用することができるのはいうまでもない。
【0096】
図15は本発明に係る遊技球計数機の一実施例を示す回路図であり、図16は図15に示す遊技球計数機の使用電圧範囲と各電圧レベルとの関係を示す図であり、そして、図17は図15に示す遊技球計数機の動作を説明するための波形図である。ここで、図16は、前述した図8に対応している。
【0097】
図15に示されるように、遊技球計数機は、計数回路部300および上述した各実施例の直流2線式近接スイッチ400を備え、金属製の遊技球を計数するとともに検出コイルLの断線を検出してアラーム出力を発するようになっている。
【0098】
計数回路部300は、負荷RLの両端の電位を2つの閾値で弁別を行うためのコンパレータCOM10,COM20と、アンドゲートX10,X20と、インバータX30と、ツェナーダイオードD10,D20と、抵抗R20,R30,R40と、容量C10と、シュミットバッファX40とを備えて構成される。なお、近接スイッチと負荷RLとの接続は、前述した図3と同様の接続になっている。
【0099】
コンパレータCOM10およびCOM20は、それぞれツェナーダイオードD10およびD20により設定された閾値電圧(比較電位)Vth10およびVth20と近接スイッチ400の出力電位(V+)との比較を行う。ここで、コンパレータCOM10の比較電位Vth10は、Vth10=Vcc−Vd10とされ、また、コンパレータCOM20の比較電位Vth20は、Vth20=Vd20とされている。なお、Vd10およびVd20は、それぞれツェナーダイオードD10およびD20のツェナー電圧を示している。
【0100】
ここで、図16に示されるように、コンパレータCOM10の比較電位Vth10は、例えば、遊技球検出時のスイッチ両端電圧特性(Vout2)と検出コイル切断時のスイッチ両端電圧特性(Vout3)とのほぼ中間の電圧特性になるように設定されている。なお、このコンパレータCOM10の比較電位Vth10は、電源線(駆動電圧Vcc)に対してツェナーダイオードD10を直接接続して設定しているため、駆動電圧Vccの変動に対して追随(並行な特性)するため、電圧Vccが変動しても近接スイッチの出力を正しく弁別することができる。
【0101】
また、コンパレータCOM20の比較電位Vth20は、例えば、検出コイル切断時のスイッチ両端電圧特性(Vout3)と待機時(遊技球非検出時)のスイッチ両端電圧特性(Vout1)との間で横軸にほぼ並行の電圧特性になるように設定されている。
【0102】
図17(a)に示されるように、直流2線式近接スイッチの出力(V+)において、待機時には、電圧V20(コンパレータCOM20の比較電位Vth20)を下回り、また、遊技球の検出時には、電圧V10(コンパレータCOM10の比較電位Vth10)を上回り、そして、検出コイルの断線時には、中間値(コンパレータCOM20の比較電位Vth20とコンパレータCOM10の比較電位Vth10との間の電位)になる。
【0103】
コンパレータCOM10の出力V30およびコンパレータCOM20の出力V40は、図17(b)および図17(c)に示されるような波形になり、また、計数機のカウント出力Vout10は、基本的にはコンパレータCOM10の出力電圧V30に同期した図17(d)に示されるような波形になる。この図17(d)に示されるカウント出力Vout10により遊技球を順次カウントすることになる。
【0104】
アンドゲートX20の出力V60は、検出コイルが断線したことを示す信号であるが、近接スイッチ400の出力応答時間によって、すなわち、コンパレータCOM10およびCOM20の出力V30およびV40のオンタイミングが微妙にずれるため、図17(e)に示されるようなハザードが出力される可能性がある。さらに、図示してはいないが、検出コイルが断線する瞬間にチャタリングが発生する場合もある。
【0105】
そこで、図15に示されるように、アンドゲートX20の出力V60は、抵抗R30,R40および容量C10による時定数回路により、上記のハザードやチャタリングを積分吸収した出力V70(図17(f)参照)をシュミットバッファX40に入力する。シュミットバッファX40は、オンディレイおよびオフディレイの両方の信号遅延を与えるものである。
【0106】
そして、シュミットバッファX40からは、図17(g)に示されるような検出コイル(L)の断線時に低レベル『L』から高レベル『H』に変化する信号Vout20が出力される。すなわち、この信号Vout20により、検出コイルの断線故障を認識することになる。
【0107】
図18は本発明に係る遊技球計数機を適用した遊技機の一例を示す機能ブロック図である。
【0108】
図18に示されるように、遊技機は、例えば、遊技盤面側に設けられた直流2線式近接スイッチ400からの2線出力(V+,V-)を、図15を参照して説明した計数回路部300で受け取り、遊技球検出信号Vout10および検出コイルの断線故障信号Vout20を出力する。これらの信号Vout10およびVout20は遊技機のCPU310および外部端子基板330を介して遊技球数情報(遊技球の計数情報等)およびスイッチ異常情報(近接スイッチの検出コイルの断線故障情報)をホールコンピュータ40へ出力する。ここで、図18において、負荷RLは、集積回路として構成された計数回路部300の外付け抵抗として構成されている。
【0109】
さらに、計数回路部300からの断線故障信号Vout20は、警報ランプ駆動回路320に対しても供給され、近接スイッチの検出コイルが断線故障した場合には、遊技機自体に設けられた警報ランプ340を駆動して検出コイルの断線故障を通知するようになっている。なお、近接センサ400或いは計数器は、各遊技機に対して設けられるだけでなく、後述するような島毎に設けられた遊技球計数装置等にも使用されるのはいうまでもない。
【0110】
なお、本実施例の遊技球計数機は、例えば、遊技球の検出時から待機状態への復帰動作を行う場合にオフディレイタイマを作動させて十分な検知時間を確保するように構成してもよい。
【0111】
図19は本発明が適用される遊技ホールの全体構成を概略的に示す図であり、図20は図19の遊技ホールにおける1つの島を示す図であり、そして、図21は図20の島における1つの弾球遊技機の一例を概略的に示す図である。
【0112】
図19および図20に示されるように、遊技ホール(パチンコホール)には、複数の弾球遊技機550が島72ごとに分かれて配置され、例えば、島72ごとに1つの高速計数が可能な遊技球計数機(島ごと計数機)600が設けられ、また、図20および図21に示されるように、各弾球遊技機550に対して台ごと遊技球計数機500が設けられ、それぞれホールコンピュータ40とネットワークを介して繋がれている。なお、高速計数が可能な遊技球計数機600は、例えば、カウンタ71等の他の場所に設置してもよい。
本発明の遊技球計数機は、島ごと計数機600および台ごと遊技球計数機500等に対して幅広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、例えば、LC共振回路における検出コイルの断線故障を判別することが可能な直流2線式近接スイッチに適用され、例えば、金属よりなる遊技球を計数する遊技球計数機や遊技機に使用される直流2線式近接スイッチに適用されるが、それに限定されず様々な機器における直流2線式近接スイッチに対して幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】従来の直流2線式近接スイッチの一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す直流2線式近接スイッチの回路構成を示す図である。
【図3】従来の直流2線式近接スイッチによる遊技球検出動作を概略的に説明するための図である。
【図4】本発明に係る直流2線式近接スイッチの第1実施例を示す回路図である。
【図5】図4に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための波形図である。
【図6】図4に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための図(その1)である。
【図7】図4に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための図(その2)である。
【図8】図4に示す直流2線式近接スイッチの使用電圧範囲と各電圧レベルとの関係を示す図である。
【図9】本発明に係る直流2線式近接スイッチの第2実施例を示す回路図である。
【図10】本発明に係る直流2線式近接スイッチの第3実施例を示す回路図である。
【図11】本発明に係る直流2線式近接スイッチの第4実施例を示す回路図である。
【図12】本発明に係る直流2線式近接スイッチの第5実施例を示す回路図である。
【図13】図12に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための図(その1)である。
【図14】図12に示す直流2線式近接スイッチの動作を説明するための図(その2)である。
【図15】本発明に係る遊技球計数機の一実施例を示す回路図である。
【図16】図15に示す遊技球計数機の使用電圧範囲と各電圧レベルとの関係を示す図である。
【図17】図15に示す遊技球計数機の動作を説明するための波形図である。
【図18】本発明に係る遊技球計数機を適用した遊技機の一例を示す機能ブロック図である。
【図19】本発明が適用される遊技ホールの全体構成を概略的に示す図である。
【図20】図19の遊技ホールにおける1つの島を示す図である。
【図21】図20の島における1つの弾球遊技機の一例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0115】
1,101 発振回路(高周波発振回路)
2,102 検波積分回路
3,103 弁別回路
4,104 出力回路(2線式出力回路)
5,105 定電圧回路
40 ホールコンピュータ
71 カウンタ
72 島
300 計数回路部
310 遊技機CPU
320 警報ランプ駆動回路
330 外部端子基板
340 警報ランプ
400 直流2線式近接スイッチ
500 台ごと遊技球計数機
550 弾球遊技機
600 遊技球計数機(島ごと遊技球計数機)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LC共振回路を用いた発振回路を有し、金属物体を検出する検出回路部と、前記金属物体の接近時には漏れ電流のみで駆動する開放動作,および,該金属物体の離反時には残電圧出力での閉塞動作を行う2線式出力回路と、を具備する直流2線式近接スイッチであって、
前記発振回路は、第1の端子が第1の抵抗器を介して第1の電源線に接続され、制御端子が定電圧発生手段を介して第2の電源線に接続された第1のトランジスタを備え、
前記LC共振回路は、一端が前記第1の電源線に接続されると共に、他端が、前記第1のトランジスタのバイアス手段を介して前記制御端子に接続され、
前記2線式出力回路は、前記LC共振回路の検出コイルが断線故障した場合、前記開放動作を呈するよう設定されると共に、前記開放動作時の漏れ電流に加えて前記定電圧発生手段および前記第1の抵抗器で調整された電流が付加された中間電流を出力することを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、さらに、
前記第1のトランジスタの前記制御端子と前記LC共振回路との間に第2の抵抗器を具備し、
前記LC共振回路の検出コイルが断線故障した場合には、前記定電圧発生手段および前記第1の抵抗器で調整された電流値に影響を与えないように開放状態になる接続を施し、前記第2の抵抗器を設定することにより、前記開放動作時の漏れ電流の値と、前記LC共振回路の検出コイルが断線故障したときの中間電流の値とをそれぞれ独立して調整するようにしたことを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記定電圧発生手段は、1個もしくは複数のダイオードであることを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記定電圧発生手段は、ベース電流補償トランジスタのベース−エミッタ間ダイオードであることを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項5】
請求項1または2に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記定電圧発生手段は、定電圧発生用トランジスタ、該定電圧発生用トランジスタのベース−エミッタ間に接続された抵抗器、および、該定電圧発生用トランジスタのベース−コレクタ間に接続された抵抗器により構成された定電圧回路を具備することを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項6】
請求項1または2に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記定電圧発生手段は、定電流源と、1個もしくは複数の抵抗器を具備することを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項7】
LC共振回路を用いた発振回路を有し、金属物体を検出する検出回路部と、前記金属物体の接近時には漏れ電流のみで駆動する開放動作,および,該金属物体の離反時には残電圧出力での閉塞動作を行う2線式出力回路と、を具備する直流2線式近接スイッチであって、
前記発振回路は、第1の端子が第1の抵抗器を介して第1の電源線に接続された第1のトランジスタと、入力が第2の抵抗器を介して前記LC共振回路の一端に接続されると共に負荷が直列に接続された第3および第4の抵抗器であるエミッタフォロアとを備え、前記第1のトランジスタの制御端子は、前記第3および第4の抵抗器の接続ノードに接続され、前記LC共振回路の他端は前記第1の電源線に接続され、
前記2線式出力回路は、前記LC共振回路の検出コイルが断線故障した場合、前記開放動作を呈するよう設定されると共に、前記開放動作時の漏れ電流に加えて前記第1,第2,第3および第4の抵抗器で調整された電流が付加された中間電流を出力することを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項8】
請求項2または7に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記第2の抵抗器を、半導体集積回路の外付け抵抗として構成したことを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記中間電流の値は、前記開放動作時の漏れ電流の値よりも大きく、且つ、前記閉塞動作時の電流の値よりも小さく、前記2線式出力回路からの当該中間電流の値を検出することにより前記LC共振回路の検出コイルが断線故障したことを判別することを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項10】
請求項9に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記中間電流の値は、前記開放動作時の漏れ電流の値と前記閉塞動作時の電流の値とのほぼ中間の電流値になっていることを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記第1のトランジスタはNPN型バイポーラトランジスタであり、前記制御端子は該バイポーラトランジスタのベースであり、前記第1の端子は該バイポーラトランジスタのエミッタであり、前記第1の電源線は零の電位の接地線であり、且つ、前記第2の電源線は正の電位の電源線であることを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記第1のトランジスタはPNP型バイポーラトランジスタであり、前記制御端子は該バイポーラトランジスタのベースであり、前記第1の端子は該バイポーラトランジスタのエミッタであり、前記第1の電源線は正の電位の電源線であり、且つ、前記第2の電源線は零の電位の接地線であることを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の直流2線式近接スイッチを備えた遊技球計数機であって、前記金属物体は遊技球であり、前記LC共振回路の検出コイルは該遊技球の通過路に巻回して配置され、前記直流2線式近接スイッチの出力電流の変化から前記遊技球を計数することを特徴とする遊技球計数機。
【請求項14】
請求項13に記載の遊技球計数機において、前記2線式出力回路から出力される前記中間電流を検出して前記LC共振回路の検出コイルが断線故障したことを示すアラームもしくは信号を出力する機能を備えることを特徴とする遊技球計数機。
【請求項1】
LC共振回路を用いた発振回路を有し、金属物体を検出する検出回路部と、前記金属物体の接近時には漏れ電流のみで駆動する開放動作,および,該金属物体の離反時には残電圧出力での閉塞動作を行う2線式出力回路と、を具備する直流2線式近接スイッチであって、
前記発振回路は、第1の端子が第1の抵抗器を介して第1の電源線に接続され、制御端子が定電圧発生手段を介して第2の電源線に接続された第1のトランジスタを備え、
前記LC共振回路は、一端が前記第1の電源線に接続されると共に、他端が、前記第1のトランジスタのバイアス手段を介して前記制御端子に接続され、
前記2線式出力回路は、前記LC共振回路の検出コイルが断線故障した場合、前記開放動作を呈するよう設定されると共に、前記開放動作時の漏れ電流に加えて前記定電圧発生手段および前記第1の抵抗器で調整された電流が付加された中間電流を出力することを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、さらに、
前記第1のトランジスタの前記制御端子と前記LC共振回路との間に第2の抵抗器を具備し、
前記LC共振回路の検出コイルが断線故障した場合には、前記定電圧発生手段および前記第1の抵抗器で調整された電流値に影響を与えないように開放状態になる接続を施し、前記第2の抵抗器を設定することにより、前記開放動作時の漏れ電流の値と、前記LC共振回路の検出コイルが断線故障したときの中間電流の値とをそれぞれ独立して調整するようにしたことを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記定電圧発生手段は、1個もしくは複数のダイオードであることを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記定電圧発生手段は、ベース電流補償トランジスタのベース−エミッタ間ダイオードであることを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項5】
請求項1または2に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記定電圧発生手段は、定電圧発生用トランジスタ、該定電圧発生用トランジスタのベース−エミッタ間に接続された抵抗器、および、該定電圧発生用トランジスタのベース−コレクタ間に接続された抵抗器により構成された定電圧回路を具備することを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項6】
請求項1または2に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記定電圧発生手段は、定電流源と、1個もしくは複数の抵抗器を具備することを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項7】
LC共振回路を用いた発振回路を有し、金属物体を検出する検出回路部と、前記金属物体の接近時には漏れ電流のみで駆動する開放動作,および,該金属物体の離反時には残電圧出力での閉塞動作を行う2線式出力回路と、を具備する直流2線式近接スイッチであって、
前記発振回路は、第1の端子が第1の抵抗器を介して第1の電源線に接続された第1のトランジスタと、入力が第2の抵抗器を介して前記LC共振回路の一端に接続されると共に負荷が直列に接続された第3および第4の抵抗器であるエミッタフォロアとを備え、前記第1のトランジスタの制御端子は、前記第3および第4の抵抗器の接続ノードに接続され、前記LC共振回路の他端は前記第1の電源線に接続され、
前記2線式出力回路は、前記LC共振回路の検出コイルが断線故障した場合、前記開放動作を呈するよう設定されると共に、前記開放動作時の漏れ電流に加えて前記第1,第2,第3および第4の抵抗器で調整された電流が付加された中間電流を出力することを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項8】
請求項2または7に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記第2の抵抗器を、半導体集積回路の外付け抵抗として構成したことを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記中間電流の値は、前記開放動作時の漏れ電流の値よりも大きく、且つ、前記閉塞動作時の電流の値よりも小さく、前記2線式出力回路からの当該中間電流の値を検出することにより前記LC共振回路の検出コイルが断線故障したことを判別することを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項10】
請求項9に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記中間電流の値は、前記開放動作時の漏れ電流の値と前記閉塞動作時の電流の値とのほぼ中間の電流値になっていることを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記第1のトランジスタはNPN型バイポーラトランジスタであり、前記制御端子は該バイポーラトランジスタのベースであり、前記第1の端子は該バイポーラトランジスタのエミッタであり、前記第1の電源線は零の電位の接地線であり、且つ、前記第2の電源線は正の電位の電源線であることを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の直流2線式近接スイッチにおいて、前記第1のトランジスタはPNP型バイポーラトランジスタであり、前記制御端子は該バイポーラトランジスタのベースであり、前記第1の端子は該バイポーラトランジスタのエミッタであり、前記第1の電源線は正の電位の電源線であり、且つ、前記第2の電源線は零の電位の接地線であることを特徴とする直流2線式近接スイッチ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の直流2線式近接スイッチを備えた遊技球計数機であって、前記金属物体は遊技球であり、前記LC共振回路の検出コイルは該遊技球の通過路に巻回して配置され、前記直流2線式近接スイッチの出力電流の変化から前記遊技球を計数することを特徴とする遊技球計数機。
【請求項14】
請求項13に記載の遊技球計数機において、前記2線式出力回路から出力される前記中間電流を検出して前記LC共振回路の検出コイルが断線故障したことを示すアラームもしくは信号を出力する機能を備えることを特徴とする遊技球計数機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−325123(P2007−325123A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155268(P2006−155268)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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