説明

真空用ゲートバルブ

【課題】弁体の無摺動動作によりパーティクルや粉塵の発生を抑えつつ開閉動作でき、大口径に設けた場合にも大型化を防ぎ、スループットを上げるために高速に開閉動作し、開閉動作後の弁体を確実にロックし、ウエハや基板等の大型化に対応し、エアシリンダの駆動源を用いたときに弁閉時にエアを排気しても弁閉止状態を確実に保持するゲートバルブを提供する。
【解決手段】弁箱1に保持枠体2を介在させてピストンロッド11を有する複動式エアシリンダ5を設け、ステム4にステムホルダ21を設け、ステムホルダ21の摺動部31を揺動リンク32のガイド部33に沿って上下動自在に摺動させ、ピストンロッド11とステムホルダ21との間に傾動保持用スプリング13を装着し、ローラカム15と傾動用ローラ14とを弁閉傾動動作開始位置で嵌合させ、これらの嵌合時に揺動リンク32を揺動させてその揺動動作に伴って弁体3を弁座シール面7に揺動閉止させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空用ゲートバルブに関し、詳しくは、半導体、太陽電池や液晶等のウエハや基板等の被処理体を搬出・搬入する際の開閉などに用いられる無摺動で真空用のゲートバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の真空用ゲートバルブは、半導体製造装置や太陽電池製造装置、液晶製造装置などに用いられ、その開閉時には特にパーティクルや粉塵の発生の抑制が要求されている。そのため、このゲートバルブでは、通常、弁体に接続された弁ロッドにカムやリンクが設けられ、このカムやリンクを介して弁体を無摺動状態で動作させようとする構造になっている。
【0003】
このような真空用ゲートバルブとして、例えば、特許文献1のゲートバルブが知られている。このゲートバルブは、弁体が上から下に移動して流路を閉止する向きに取付けられ、ピストンシリンダ装置のピストンロッドと、弁ロッドとが、ローラ、傾斜長孔を介して互いに連結されている。ピストンシリンダ装置によりピストンロッドを下降したときには、このピストンロッドが所定の停止位置まで下降し、更に伸頂ばねに抗して弁ロッドに近接し、この弁ロッドがローラ及び傾斜長孔を介して傾動することで弁ロッドの下端に連結された弁デスクを無摺動で着座させようとしている。
【0004】
更に、このような構造のゲートバルブにおいて、動作後の弁閉状態をロック可能にしたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このゲートバルブは、ピストンピンによりピストンをロック可能に設けたものであり、弁閉止状態のシリンダのエアを排気したときにピストンピンがシリンダ内部に突出し、このピストンピンによりピストンの位置をロックすることで弁閉状態を維持するようになっている。
特許文献3においては、引っ張りバネにより弁閉状態をロック可能にしたゲートバルブが開示されている。このゲートバルブは、ローラとカムとを弁閉状態で係止させた状態で、引っ張りバネでこの弁閉状態を保持させようとするものである。
特許文献4のゲートバルブにおいては、カム体に傾斜した形状のカム孔が形成され、シリンダを動作させてカム体を上昇させることで弁棒を傾動させて弁閉状態にし、この状態からシリンダでカム体を動作させてカムフォロワがカム孔に設けられたロック部に係合させ、これによりロック状態を維持しようとしている。
【0005】
ところで、近年においては、被処理体の大型化に伴って半導体や太陽電池等を製造するための装置に使用される機器も大型化している。これによりチャンバーも大型化し、チャンバー開閉用の真空用ゲートバルブも大型の被処理体を搬出・搬入するために大口径になる傾向にあるが、この場合、スループットを維持するためのゲートバルブの操作速度の向上も強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2657778号公報
【特許文献2】特開平11−218238号公報
【特許文献3】特開2001−193849号公報
【特許文献4】特許第2996915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のゲートバルブは、弁体が上から下に移動して流路を閉止する向きに取付けられるため、搬出・搬入される処理物へのパーティクルや粉塵の悪影響が大きくなる。このゲートバルブを弁体が下から上に移動して流路を閉止させる向きに取付けることも可能ではあるが、大口径化する場合には全体が大型化することでピストンシリンダ装置を停止した際にローラの傾斜長孔への係合が外れやすくなり、弁デスクや弁ロッドの重量で弁デスクが下降して弁閉状態を維持できないおそれがある。しかも、弁閉動作時に伸頂ばねを圧縮させる方向に弁デスクを移動させているため、ピストンシリンダ装置への空気の供給停止時に弁開動作する方向に力が働いて弁閉状態を維持し難くなる。弁ロッドの上端部側にローラ、弁ロッドの下端部側に弁体が設けられているため、ローラが傾斜長孔を移動するときの弁ロッドの弁ロッドの傾動量(振り幅)が大きくなる。このため、このゲートバルブを大口径化する際に、弁ロッドの径やボデーの肉厚を大きくして強度を上げる必要もある。
【0008】
特許文献2のゲートバルブにおいては、ピストンピンのロック動作がピストンの動作とは別の動作であるため、開閉動作の高速化に伴ってピストンがピストンピンに接触するなどの動作異常が発生する可能性がある。
【0009】
特許文献3のゲートバルブでは、引っ張りバネにより弁閉状態をロックする構造であるため、引っ張りバネとカムとのストロークを大きく確保することが難しく、カム変位が大きくなると共にステムの弾性に起因する振動や作動音が発生しやすくなり、高速作動に適していない。このゲートバルブでは、ボデーとアクチュエータの流路方向の幅寸法が小さく抑えられているため、流路方向に配置される引っ張りバネのバネ荷重や伸縮量を大きくすることが難しく、大口径化する場合に可動部の重量を支えることが難しくなる。
【0010】
特許文献4のゲートバルブにおいては、カム孔に対してカムフォロワを係合させてロック状態を維持しているため、大口径化したときにこのロック状態を支える力が弱くなる。しかも、カム体がシリンダに対して下方側から保持されていないため、カム孔とカムフォロワとの係合が外れたときにカム体が下方向に移動して弁閉状態が維持できなくなる場合がある。
【0011】
本発明は、従来の課題点を解決するために開発されたものであり、その目的とするところは、弁体の無摺動動作によりパーティクルや粉塵の発生を抑えつつ開閉動作でき、大口径に設けた場合にも全体の大型化を防ぎつつ、スループットを上げるために高速に開閉動作でき、開閉動作後の弁体の状態も確実にロックでき、ウエハや基板等の大型化に対応可能であると共に、エアシリンダの駆動源を用いた場合、弁閉時にエアを排気しても弁閉止状態を確実に保持できる真空用ゲートバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、弁の流路と直交する方向にステムを介して弁体が開閉作動し、流路を塞ぐ位置で弁体を流路方向の弁座シール面に揺動閉止する弁箱構造をもつ真空用ゲートバルブであって、弁箱に保持枠体を介在させてピストンロッドを有する複動式エアシリンダを設け、弁箱より突出させたステムにステムホルダを設け、このステムホルダに形成した摺動部を保持枠体に枢着させた揺動リンクのガイド部に沿って上下動自在に摺動させると共に、ピストンロッドとステムホルダとの間に両者を弾発させた傾動保持用スプリングを装着し、かつ、ピストンロッド側に設けたローラカムと揺動リンクに設けた傾動用ローラとを弁閉傾動動作開始位置で嵌合させ、ローラカムを傾動用ローラに嵌合させた際に揺動リンクを揺動させ、この揺動リンクの揺動動作に伴って弁体を弁座シール面に揺動閉止するようにした真空用ゲートバルブである。
【0013】
請求項2に係る発明は、ピストンロッドを傾動保持用スプリングの荷重以上で弁閉状態を保持するためのゲートロック用スプリングをエアシリンダに内蔵した真空用ゲートバルブである。
【0014】
請求項3に係る発明は、揺動リンクの端部に設けた枢軸を保持枠体に軸受を介して揺動リンクを回転自在に設け、この揺動リンクの揺動に伴ってステムを揺動するようにした真空用ゲートバルブである。
【0015】
請求項4に係る発明は、ピストンロッドの先端部に設けたベース部材に一対のガイドローラを設け、このガイドローラを保持枠体に形成した一対のガイド溝に沿ってベース部材を上下動可能に設けた真空用ゲートバルブである。
【0016】
請求項5に係る発明は、ベース部材とステムホルダとの間に傾動保持用スプリングを装着し、かつ、ステムホルダとベース部材の間に、自在リンク又はワイヤからなる自在連結部材を装着してステムとピストンロッドとを揺動自在に連結した真空用ゲートバルブである。
【0017】
請求項6に係る発明は、揺動リンクの途中に取付けたストッパを保持枠体に形成した揺動角度孔に係合させた真空用ゲートバルブである。
【0018】
請求項7に係る発明は、ステムホルダの上端部を揺動リンクに設けたホルダストッパに係合させた真空用ゲートバルブである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によると、弁の流路と直交する方向に弁体が作動することでこの弁体の無摺動動作によりパーティクルや粉塵の発生を抑えることができ、大口径に設けた場合にも全体の大型化を防ぎつつスループットを上げるために高速に開閉動作でき、開閉動作後の弁体の状態も確実にロックして漏れも防止できる。これによりウエハや基板等の大型化に対応可能であると共に、エアシリンダの駆動源を用いた場合、弁閉時にエアを排気しても弁閉止状態を確実に保持できる。復動式エアシリンダへのエアの供給のみで弁開から弁閉後のロック状態までスムーズに高速開閉できる。
【0020】
請求項2に係る発明によると、シリンダに内蔵したゲートロック用スプリングで傾動保持用スプリングの荷重以上の荷重を押さえることにより、弁閉止状態のローラカムの戻りを押さえて操作用のエアを排気しても弁体閉止状態を保持することが可能になる。内部に複雑なロック機構を設けることなく高速に作動させることが可能になり、流路を大口径に設けた場合にも全体の大型化を防ぎつつ高速化できる。
【0021】
請求項3に係る発明によると、揺動リンクによりステムの振り幅を小さくしながら弁閉時の可動部位を引き込むことができ、コンパクト化を図りつつ全体に加わる力を抑えて耐久性を向上できる。
【0022】
請求項4に係る発明によると、ガイドローラがガイド溝に沿うようにしながらベース部材が上下動するため、大口径化により全体が大型化しても振れや傾きを防いで同軸度を確保しながらピストンロッドが上下移動する。このため、ステム及び弁体を高精度に動作させながら開閉操作でき、このステムや弁体の内部への接触による破損等を防ぎ、全体のコンパクト化が可能になる。
【0023】
請求項5に係る発明によると、傾動保持用スプリングと自在連結部とによりステムとピストンロッドとを離間させることなくピストンロッドに対してステムをスムーズに傾動させることが可能になり、ステムに設けた弁体を弁座シール面に対して無摺動で接離させてパーティクルや粉塵の発生も抑えている。
【0024】
請求項6に係る発明によると、ストッパに揺動角度孔が係合していることで揺動リンクの揺動角度が規制され、この揺動リンクの過度な揺動を防いでステムや弁体を所定範囲内で可動させることができる。このためステムや弁体の内部への接触を確実に防止し、弁閉シール時のシール圧力を略一定に確保して弁閉時の流体漏れやシール部材の著しい損耗を防ぐことができる。
【0025】
請求項7に係る発明によると、揺動リンクに対するステムホルダの上昇位置を規制することでステム上昇時に弁座シール面の直交位置に弁体を配置でき、揺動リンクの揺動により弁座シール面に弁体を揺動閉止するときにこの弁体を正確に着座させて安定したシール性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における真空用ゲートバルブの一実施形態を示す要部拡大縦断面図である。
【図2】図1の真空用ゲートバルブの弁閉状態を示す要部拡大縦断面図である。
【図3】ステム付近を示す縦断面図である。
【図4】図3のステムが上昇した状態を示す縦断面図である。
【図5】図4のステムが弁閉動作した状態を示す縦断面図である。
【図6】図1のA−A拡大断面図である。
【図7】自在連結部材付近を示した要部拡大模式図である。
【図8】図7のピストンロッドが動作した状態を示す要部拡大模式図である。
【図9】揺動リンク付近を示した拡大模式図である。
【図10】図9の揺動リンクが動作した状態を示す拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明における真空用ゲートバルブの好ましい実施形態を図面に従って詳述する。
図1においては、本発明の真空用ゲートバルブの弁開状態を示しており、図2においては、真空用ゲートバルブの弁閉状態を示している。図において、本発明の真空用ゲートバルブは、弁箱1、ヨーク状の保持枠体2、復動式エアシリンダ5を有し、弁箱1の下部に保持枠体2が取付けられ、この保持枠体2の下部にエアシリンダ5が取付けられている。これらの内部には、弁体3、ステム4が設けられている。
【0028】
弁体3はステム4の上端に固着され、この弁体3の弁座シール面7側にはシール用の環状シール部材8が装着されている。シール部材8は、例えばフッ素ゴムにより設けられ、弁閉時に弁箱1に形成された流路9の弁座シール面7に着座可能になっている。流路9は、例えば、チャンバーインサート用として設けられ、図示しないチャンバーの入口側に接続される。ステム4は、弁箱1から下方に突出するように設けられ、エアシリンダ5によって軸方向に昇降動可能に設けられる。
【0029】
真空式ゲートバルブは、エアシリンダ5の動作によってこのゲートバルブを成す弁6の流路9と直交する方向にステム4を介して弁体3が開閉作動し、流路9を塞ぐ位置で弁体3を流路9方向に設けられた弁座シール面7に揺動閉止する弁箱1の構造になっている。弁閉時にはシール部材8が弁座シール面7に着座シールすることでパーティクル等の発生を抑えつつ密着シール可能となる。
【0030】
エアシリンダ5は、弁箱1に保持枠体2を介在させた状態で設けられ、エアを供給・排気して真空式ゲートバルブを弁閉・弁開状態に動作させることが可能になっている。エアシリンダ5には、ピストン10、ピストンロッド11、ゲートロック用スプリング12、第1給気口17、第2給気口18が設けられている。
【0031】
ピストン10とピストンロッド11とはボルト19により一体化され、エアシリンダ5内に往復動自在に取付けられる。第1給気口17、第2給気口18は、それぞれピストン10の1次側、2次側に形成され、第1給気口17よりエアを供給したときにはピストン10が往動作し、このピストン10の往動作によりピストンロッド11が弁体3を閉動作させる方向に上昇する。一方、第2給気口18よりエアを供給したときにはピストン10が複動作し、このピストン10の復動作によりピストンロッド11が弁体3を開動作させる方向に下降する。
【0032】
ピストンロッド11の先端部11aには、板状のベース部材20が固着ボルト23により固着され、このベース部材20の両側にローラカム15が設けられている。ローラカム15の内側には図3〜図5に示すように傾斜状の係合溝25が形成され、この係合溝25は、カム面26、円弧係合部27を有している。カム面26は、ピストンロッド11の上昇に伴って、後述する傾動用ローラ14が図において右方向に移動する向きに傾斜している。円弧係合部27は、カム面26を乗り越えた傾動用ローラ14が係止可能な形状に設けられ、この円弧係合部27に傾動用ローラ14が係止したときに後述するようにステム4の弁閉側への揺動が停止する。
【0033】
各ローラカム15の外側には一対のガイドローラ28が回転自在に設けられ、これらのガイドローラ28は、保持枠体2に切欠き形成された一対のガイド溝30に装着されている。これにより、ベース部材20がガイド溝30に沿って上下動可能になり、その結果、ピストンロッド11が軸方向にスムーズに往復動作する。ガイドローラ28は、図に示すようにピストンロッド11の軸方向に複数個並列して設けることが望ましく、この場合にはピストンロッド11の振れがより抑えられる。
なお、ピストンロッド11側に傾動用ローラ14、ステム4側にローラカム15をそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0034】
ゲートロック用スプリング12は、エアシリンダ5内のピストン10の1次側に内蔵され、このゲートロック用スプリング12の弾発力により、ピストン10、ピストンロッド11が弁閉方向に常時付勢されている。ゲートロック用スプリング12は、ピストンロッド11を、後述する傾動保持用スプリング13の荷重以上で弁閉状態を保持可能に設けられている。
【0035】
弁箱1とエアシリンダ5との間に位置する保持枠体2の内部には、ステムホルダ21、揺動リンク32、傾動保持用スプリング13、ローラカム15、傾動用ローラ14が収納されている。
図6に示すように、ステムホルダ21は断面略矩形状に設けられ、このステムホルダ21の中央にステム4が高さ方向に位置決めされた状態で設けられる。ステムホルダ21の両側には凹状の摺動部31が形成され、この摺動部31が揺動リンク32に設けた凸状のガイド部33に摺動自在に嵌合している。ステムホルダ21は、この軸方向に長い摺動部31を軸方向に長いガイド部33に沿って上下動自在に摺動させることで、ステム4と一体に軸方向に移動可能になっている。
【0036】
図7、図8に示すように、ステムホルダ21とベース部材20との間には自在連結部材35が装着されている。本実施形態では、この自在連結部材35は自在リンクからなっており、この自在リンク35は、ステムホルダ21側に設けられた突起状の係合体36、ベース部材20(ピストンロッド11)側に設けられた係合穴37からなり、係合体36が係合穴37に係合することでピストンロッド11に対してステム4の動作範囲を規制しつつ、ステム4とピストンロッド11とが揺動自在に連結されている。係合穴37は略矩形状に設けられ、この係合穴37を係合体36が移動することでステムホルダ21の図における水平方向の揺動が許容されている。
【0037】
自在リンク35は、ピストンロッド11側に係合体36、ステムホルダ21側に係合穴37が設けられた態様であってもよく、更に自在リンク以外の自在連結部材35として図示しないワイヤを用いることもできる。ワイヤによりステムホルダ21とベース部材20とを連結した場合にも、ピストンロッド11の動作を所定の範囲に規制できる。また、自在リンクやワイヤ以外の所定の態様の自在連結部材35を設けるようにしてもよい。
【0038】
揺動リンク32は、上記したようにガイド部33、摺動部31を介してステムホルダ21の両側に配設され、この揺動リンク32の端部32aには枢軸40が嵌め込みにより固着されている。枢軸40は、軸受41を介して保持枠体2に装着されており、揺動リンク32が保持枠体2に枢着されていることでこの揺動リンク32が保持枠体2に対して回転自在に設けられ、この揺動リンク32の揺動に伴ってステム4が揺動するようになっている。
【0039】
図9、図10の拡大模式図に示すように、揺動リンク32の途中の適宜位置にはピン状のストッパ42が嵌め込みにより取付けられ、このストッパ42が対応する保持枠体2の位置には揺動角度孔43が形成されている。揺動リンク32は、ストッパ42が揺動角度孔43に係合された状態で枢軸40と軸受41とを介して保持枠体2に取付けられ、これによって、揺動リンク32が枢軸40を中心に回転するときの保持枠体2に対する揺動角度θが規制される。
【0040】
また、揺動リンク32の上部位置にはホルダストッパ34がステムホルダ21側に向けて突設形成されている。ステムホルダ21の上昇時には、このステムホルダ21の上端部21aがホルダストッパ34に係合され、この係合により揺動リンク32に対するステムホルダ21とステム4の上昇位置が規制され、このステム4の上昇停止時に弁体3が流路9の対向位置で停止するようになっている。
【0041】
傾動保持用スプリング13は、ベース部材20とステムホルダ21との間に装着され、この装着によりピストンロッド11とステムホルダ21の両者が弾発した状態になり、弁座シール面7に弁体3を揺動閉止させるように移動できる。
【0042】
ステムホルダ21と弁箱1との間にはベローズ38が設けられている。ベローズ38は、流路9とステムホルダ21との間をシールし、このシールによって保持枠体2内部の可動側から流路9にパーティクルや粉塵が混入することを防いでいる。
【0043】
図1、図6に示すように、枢軸40よりも下方位置の保持枠体2、揺動リンク32にはそれぞれ突起部2a、32bが設けられ、これらの突起部2a、32bの間に引っ張りばね45が取付けられる。揺動リンク32はこの引っ張りばね45により枢軸40を中心に下方側が引っ張られ、これによって弁体3には図1における手前側(図3における左側)である弁閉方向に力が加わっている。
【0044】
上記の構成により、本発明における真空用ゲートバルブは、エアシリンダ5によりステムホルダ21の摺動部31を揺動リンク32のガイド部33に沿って弁閉方向に摺動させたときに、ピストンロッド11側のローラカム15と揺動リンク32側の傾動用ローラ14とを弁閉傾動動作開始位置で嵌合させ、ローラカム15を傾動用ローラ14に嵌合させた際に揺動リンク32を揺動させ、この揺動リンク32の揺動動作に伴って弁体3を弁座シール面7に揺動閉止するようにした。
【0045】
続いて、本発明の真空用ゲートバルブの弁体開閉時の動作を詳しく述べる。
図1の弁開状態から図2の弁閉状態に真空用ゲートバルブを動作させる場合、第2給気口18からのエアの供給を停止しつつ第1給気口17からエアを供給し、このエアとゲートロック用スプリング12の弾発力でピストン10を往動作させる。これにより、図1の状態からピストンロッド11が上昇し、このピストンロッド11の上昇に伴ってガイド溝30にガイドローラ28が案内されながらローラカム15が上昇する。その際、枢軸40が上下に移動することがない。
【0046】
ゲートロック用スプリング12の荷重が傾動保持用スプリング13の荷重よりも大きいことから、ローラカム15が上昇したときには傾動保持用スプリング13が圧縮されつつステムホルダ21が揺動リンク32に対して上方に摺動する。ステムホルダ21とステム4とは、ステムホルダ21の上端部21aがホルダストッパ34に当接したときに停止し、図4に示すように弁体3が流路9との直交位置に対向した状態になる。この状態から、続いて傾動用ローラ14とローラカム15とを嵌合させることで弁体3の揺動が開始する。弁体3の揺動時には、摺動部31、ガイド部33がそれぞれ軸方向に長く設けられていることで高荷重の発生に耐えうるようになっている。
【0047】
図9、図10において、傾動用ローラ14と枢軸40とが揺動リンク32に一体に設けられていることから、枢軸40から傾動用ローラ14までの距離は一定になっている。これにより、引っ張りばね45によって弁開方向に傾動している揺動リンク32の図示しない傾き角度がステムホルダ21の上下動範囲で変化することはなく、弁閉位置から弁開位置となる流路9との直交位置まで移動するときの範囲において、例えば、2°程度の傾きに保持されている。図3〜図5に示すように、ステムホルダ21はこの傾き角度を保持しながら弁閉位置から流路9との直交位置まで移動する。また、以下に述べるように、この状態から傾動用ローラ14とローラカム15との動作により弁閉状態に動作するときには、弁体3が2°の傾き角度から大きくはみ出すようにステム4とともに左側に傾倒しながら弁閉シールする。一方、この弁閉シール状態から弁開動作に移るときには、ステムホルダ21はステム4とともに枢軸40を中心に右側に引き込まれる。
【0048】
図4においては、ローラカム15が上昇した後に傾動用ローラ14がカム面26に接触した状態を示している。この状態でピストンロッド11が上昇しようとすると、ステムホルダ21の上昇がホルダストッパ34により規制されることから、係合溝37に傾動用ローラ14を案内しつつ、傾動保持用スプリング13を圧縮しながらローラカム15がステム4に対して上昇する。このとき、係合溝25のカム面26が図において右方向に傾斜していることで傾動用ローラ14が右方向に移動し、この傾動用ローラ14の移動により図9に示した揺動リンク32が、枢軸40と軸受41とにより図10に示すように枢軸40を中心に二点鎖線の状態から実線の状態まで引っ張りばね45の引張り力に抗して回転し、この揺動リンク32に嵌合されたステムホルダ21により、ステム4が図5に示すように枢軸40を中心に弁閉方向である左方向に回転する。
【0049】
この場合、図7、図8に示すように、係合体36と係合穴37とを有する自在連結部材35でステムホルダ21とピストンロッド11とを接続し、係合穴37がステムホルダ21の流路方向への揺動を許容する大きさの穴になっているため、傾動保持用スプリング13の弾発力で傾動用ローラ14とローラカム15とが嵌合するときに、自在連結部材35を支点としてベース部材20(ピストンロッド11)に対してステム4を滑らかに傾動させることが可能になっている。
【0050】
このようにゲートロック用スプリング12により傾動保持用スプリング13を圧縮し、この傾動保持用スプリング13の弾発力を利用して傾動用ローラ14とローラカム15とを介して弁閉動作させることにより、ゲートロック用スプリング12による弁体3の所定位置までの軸方向の移動から傾動保持用スプリング13による弁体3の回転動作までをスムーズに実施できる。
【0051】
図5に示すように、傾動用ローラ14は、カム面26を移動した後に円弧係合部27に嵌り込むことでその移動を停止してステム4が揺動を停止し、このとき弁体3が弁座シール面7に当接シールした状態になる。この場合、カム面26に続けて円弧係合部27が滑らかに形成されて傾動用ローラ14がカム面26の頂部部位を乗り越えたときにロックする形状になっていないため、ローラカム15の作動ストロークに対して有効カムストロークを長く設けてローラカム15を緩やかに動作させることで、振動や衝撃音をより減少させることも可能になる。
【0052】
傾動用ローラ14の移動時には、図9、図10に示すように、エアシリンダ5と揺動リンク32との間にストッパ42と揺動角度孔43とにより揺動リンク32の揺動角度θを規制しているので、この揺動リンク32と一体に動作しているステム4が必要以上に弁閉方向に揺動することを防ぎ、弁体3の弁座シール面7への過度な圧接によるシール部材8の摩耗や劣化を防止する。更に、ローラカム15の係合溝25に対する傾動用ローラ14の過度な強さの係合も防いでローラカム15や傾動用ローラ14の破損も防いでいる。
【0053】
ここで、ゲートバルブは、搬送される基板へのパーティクルの影響を少なくするためにアクチュエータを下側に設置し、弁体を下から上に移動して流路を閉止するように使用する場合が一般的であるが、その場合、弁体可動部の重量を支えていない場合には弁体の上昇途中で傾動動作が始まって停止する不具合が生じる。弁体3は枢軸40を支点として揺動する構造であり、弁体3の締め切り時にはステム4の端部側がローラカム15で流路方向に押されたときにはテコの作用でステム4を介して弁座シール面を押すように締め切る。
【0054】
図示しない半導体製造装置等の装置では、被処理体の搬送距離がより短いことが望ましく、保持枠体2の厚さは薄いほどより好ましいが、ステム4は保持枠体2の厚さを決める重要な部品であり、ステム径を限界まで小径に選定するときには弁6を締め切る強度に余裕がなくなり、この場合、例えば、弁閉時のステム4の曲げたわみは0.4〜0.8mm程度発生することになる。
【0055】
ゲートバルブを高速で作動させる場合には、揺動させるための図示しないシリンダストロークが短いとローラカム15のステム端部側の戻り動作が速くなり、傾動用ローラ14がカム面26を打って大きな振動や音を発生しやすくなる。そのため、揺動のためのカム動作のシリンダストロークとしては、例えば流路9の図示しない軸方向の開口高さを60mmとした場合、傾動用ローラ14とローラカム15との揺動のためのストロークを15mm、弁体開閉時のステム4のストロークを70mmとし、全ストロークを85mm等の割合に設けるようにし、このように揺動のためのシリンダストロークを15mmと長くすることで、ステム4動作時の急激な荷重の開放を防いで振動も軽減できる。
【0056】
小型のゲートバルブでは弁体可動部位の重量が小さくローラカムによる保持力も小さくて済むため、揺動保持用の引っ張りバネだけで傾動保持と弁体のロックとが可能であるが、バルブのサイズが大型になるボデー及びバルブ全体の幅が薄く狭いため、可動部位の重量を支えるための揺動を保持する引っ張りバネ荷重と伸縮量とを大きくすることが困難になる。そのため、例えば、可動部位の重量200Nを支えるためには、重量を持ち上げる方向に推力370N以上、好ましくは400N程度の圧縮コイルバネを傾動保持用スプリング13とすることで、弁体可動部位の重量の慣性力が働く場合にも傾動保持用スプリング13が更に圧縮される。これによって傾動時に誤動作を生じることなく流路9の位置まで弁体3を移動可能にでき、この流路9の位置において更にローラカム15を押し込むことにより、傾動保持用スプリング13を圧縮しながら弁体3を傾動させて弁閉状態にできる。
【0057】
この状態で第1給気口からエアを排気すると、ローラカム15の頂点を傾動用ローラ14が乗り越えてゲートロック状態のローラカム15を弁開方向に戻す方向に傾動保持用スプリング13の荷重400Nが作用する。この対策としてエアシリンダ5サイドにピストンピン式のラッチロックを設け、このラッチロックを使用してシリンダの動作をロックすることも考えられるが、この場合には動作速度を上げたときにピストン10がピストンピンに当たって動作異常を起こすことがある。
【0058】
そこで、本実施形態の真空用ゲートバルブのゲートロック機構として、傾動保持用スプリング13の荷重400N以上の荷重をゲートロック用スプリング12で与えることにより、エアを排気したとしてもゲートロック状態が解除されることがなく、弁閉状態を確実に保持することができる。また、上下動作用のエアシリンダ5のみの作動になるため、高速な作動が可能となる。
【0059】
ゲートロックは、ローラカム15の頂点を傾動用ローラ14が乗り越えることでエアシリンダ5の操作圧力を排気したとしても弁閉状態を保持できるが、傾動保持用スプリング13の荷重がローラカム15を戻すように例えば370N程度で作用しているため、ゲートロック用スプリング12の荷重は弁閉状態で370N以上の荷重で押さえる設定とした。ゲートロック用スプリング12の荷重は、例えば全開状態で800N程度の荷重になるが、弁締め切りに必要な推力は3000N程度必要になり、このゲートロック用スプリング12の荷重が加わることでゲートロック用スプリング12を内装してもエアシリンダ5の内径が大きくなることはない。
【0060】
この構造のゲートバルブと比較して、例えば、図示しないNC(ノーマリークローズ)型と呼ばれる常時弁閉型のゲートバルブでも、弁体を閉状態に保持するためのスプリングが用いられることがある。しかし、上述したゲートバルブは、DA(ダブルアクション)複動型と呼ばれるゲートバルブであり、NC型のゲートバルブとは弁体の開閉動作や作用効果が全く異なる。仮にNC型のゲートバルブで上記と同様のシリンダ機構に構成した場合、ゲートロック構造は不要にはなるがシリンダ内径が150mm程度の大径になるという問題がある。
【0061】
複動タイプのエアシリンダ5で弁閉に必要な推力のシリンダ内径が100mmの場合は、弁閉側の推力はゲートロック用スプリング12の推力が加わって400Nの推力アップとなるが、全開方向の推力はゲートロック用スプリング12を入れても発生推力に対して荷重が小さく余裕があるため、エアシリンダ5の内径の大径化を防ぐメリットがある。
【0062】
図2の弁閉状態から図1の弁開状態に真空用ゲートバルブを動作させる際には、第2給気口18からエアを供給する。この場合、ピストン10とピストンロッド11とが図2において下方向に復動作し、この復動作によってゲートロック用スプリング12からの弾発力が弱まって弁体3及びステム4が弁閉時と逆の動作で流路9方向に揺動し、次いで、ピストンロッド11とともにステム4、ステムホルダ21が揺動リンク32に対して下降して図1の弁開状態となる。
【0063】
上述したように、本発明の真空用ゲートバルブは、弁箱1に保持枠体2を介在させてピストンロッド11を有する複動式エアシリンダ5を設け、弁箱1より下方側に突出させたステム4にステムホルダ21を設け、このステムホルダ21に形成した摺動部31を保持枠体2に枢着させた揺動リンク32のガイド部33に沿って上下動自在に摺動させると共に、ピストンロッド11とステムホルダ21との間に両者を弾発させた傾動保持用スプリング13を装着し、かつ、ピストンロッド11側に設けたローラカム15と揺動リンク32に設けた傾動用ローラ13とを弁閉傾動動作開始位置で嵌合させ、ローラカム15を傾動用ローラ14に嵌合させた際に揺動リンク32を揺動させ、この揺動リンク32の揺動動作に伴って弁体3を弁座シール面7に揺動閉止するようにしているので、弁体3が下から上に移動して弁閉する向き、或は弁体3が上から下に移動して弁閉する向きの何れの方向にも無摺動状態で取付けでき、特に、半導体製造装置や太陽電池製造装置、液晶製造装置の一部に設ける場合に、弁体3が下から上に移動して弁閉する向きに取付けることで、パーティクルや粉塵の発生を最小限に抑えながら流路9を開閉動作できる。
【0064】
弁体3の閉止時には、より荷重の大きいゲートロック用スプリング12で傾動保持用スプリング13を押さえて弁体3の閉止状態を保持しているので、第1給気口17からのエアの供給を停止した場合にもこの弁閉状態が確実に保持される。このように、ゲートロック用スプリング12と傾動保持用スプリング13とを用いて、これらの荷重の差を利用して弁開状態から弁閉状態まで弁体を動作させた後に弁閉状態を維持しているため、ロック用の別の部品を設けることなくスムーズに弁体3を動作させ、強固に弁閉状態をロックできる。
【0065】
これによって大口径の真空用ゲートバルブとした場合にも、全体の大型化を防ぎつつ2つのスプリング12、13の弾発力を利用して高速に開閉動作できる。しかも、傾動用ローラ14とローラカム15とにより傾動保持用スプリング13の軸方向の弾発力を流路方向に変換しているので、ストロークを大きくでき振動や音の発生を防ぎつつスムーズに動作可能になる。
【0066】
更に、前記したとおりステムホルダ21とステム4とを揺動リンク32に沿って所定位置まで移動させ、次いで、この揺動リンク32とともに枢軸40を軸受41に対して回転させて弁体3を揺動閉止させており枢軸40が上下に移動することがない構造になっている。このため、弁体3の全開時の状態でも枢軸40が上下に移動することがなく、揺動リンク32の揺動角度θで弁体可動部位を引き込むため揺動リンク32の振り幅が小さくなり、弁体3や保持枠体2にかかる力を小さく抑えることができる。このため、保持枠体2やステム4を厚肉化することなく強度を確保し、全体のコンパクト化を保持した状態で狭い設置幅にも取付けできる。
【0067】
弁体3が流路9との直交位置に対向したときの弁閉傾動動作開始位置で傾動用ローラ14とローラカム15とが嵌合して弁体3の揺動が開始するため、揺動リンク32の揺動角度θが変化することがなく、この揺動角度θを小さい振り幅に維持できる。更に、弁体3を高速作動させるためには、ローラカム15の係合溝25を軸方向に延長して作動ストロークを長くし、カム面26の傾斜を緩やかにすることで弁体3の動作時の振動を抑えることもできる。この場合、傾動保持用スプリング13のストロークも長くなるために引っ張りバネよりも圧縮バネが適しているが、スプリングの荷重はローラカム15が戻る方向に作用しているためこのときにはゲートロックが働かないという問題が生じる。
【0068】
仮に、傾動用ローラとローラカムとを連結した場合、弁開閉の上下動作をしたときに枢軸が上下動作しない構造であるために全開位置では枢軸とローラカムとのスパンが長くなり、傾動動作の振り幅と角度が小さくなり弁体を保持枠体に格納する際に弁体シール面が保持枠体内壁に接触しやすくなるが、上記したように傾動用ローラ14とローラカム15とを分離している構造であるため、開閉上下動作で揺動リンク32の揺動角度θが変化することがなく、弁開位置でシール部材8(弁体シール面)が保持枠体2内壁に接触しにくく、コンパクトに格納できる。
【0069】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
【符号の説明】
【0070】
1 弁箱
2 保持枠体
3 弁体
4 ステム
5 エアシリンダ
6 弁
7 弁座シール面
9 流路
11 ピストンロッド
11a 先端部
12 ゲートロック用スプリング
13 傾動保持用スプリング
14 傾動用ローラ
15 ローラカム
20 ベース部材
21 ステムホルダ
21a 上端部
28 ガイドローラ
30 ガイド溝
31 摺動部
32 揺動リンク
32a 端部
33 ガイド部
34 ホルダストッパ
35 自在連結部材
40 枢軸
41 軸受
42 ストッパ
43 揺動角度孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁の流路と直交する方向にステムを介して弁体が開閉作動し、流路を塞ぐ位置で前記弁体を流路方向の弁座シール面に揺動閉止する弁箱構造をもつ真空用ゲートバルブであって、前記弁箱に保持枠体を介在させてピストンロッドを有する複動式エアシリンダを設け、前記弁箱より突出させた前記ステムにステムホルダを設け、このステムホルダに形成した摺動部を前記保持枠体に枢着させた揺動リンクのガイド部に沿って上下動自在に摺動させると共に、前記ピストンロッドと前記ステムホルダとの間に両者を弾発させた傾動保持用スプリングを装着し、かつ、前記ピストンロッド側に設けたローラカムと前記揺動リンクに設けた傾動用ローラとを弁閉傾動動作開始位置で嵌合させ、前記ローラカムを前記傾動用ローラに嵌合させた際に前記揺動リンクを揺動させ、この揺動リンクの揺動動作に伴って前記弁体を前記弁座シール面に揺動閉止するようにしたことを特徴とする真空用ゲートバルブ。
【請求項2】
前記ピストンロッドを前記傾動保持用スプリングの荷重以上で弁閉状態を保持するためのゲートロック用スプリングを前記エアシリンダに内蔵した請求項1に記載の真空用ゲートバルブ。
【請求項3】
前記揺動リンクの端部に設けた枢軸を前記保持枠体に軸受を介して揺動リンクを回転自在に設け、この揺動リンクの揺動に伴って前記ステムを揺動するようにした請求項1又は2に記載の真空用ゲートバルブ。
【請求項4】
前記ピストンロッドの先端部に設けたベース部材に一対のガイドローラを設け、このガイドローラを前記保持枠体に形成した一対のガイド溝に沿ってベース部材を上下動可能に設けた請求項1乃至3の何れか1項に記載の真空用ゲートバルブ。
【請求項5】
前記ベース部材と前記ステムホルダとの間に前記傾動保持用スプリングを装着し、かつ、前記ステムホルダと前記ベース部材の間に、自在リンク又はワイヤからなる自在連結部材を装着して前記ステムとピストンロッドとを揺動自在に連結した請求項1乃至4の何れか1項に記載の真空用ゲートバルブ。
【請求項6】
前記揺動リンクの途中に取付けたストッパを前記保持枠体に形成した揺動角度孔に係合させた請求項1乃至5の何れか1項に記載の真空用ゲートバルブ。
【請求項7】
前記ステムホルダの上端部を前記揺動リンクに設けたホルダストッパに係合させた請求項1乃至6の何れか1項に記載の真空用ゲートバルブ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−87814(P2013−87814A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226716(P2011−226716)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(501417929)株式会社キッツエスシーティー (22)
【Fターム(参考)】