説明

真空発生器及び真空発生システム

【課題】回路や制御の簡略化やコストの低減化及び作業性の向上を図る。
【解決手段】本発明の真空発生器24,26は、空気圧源からの圧縮空気を入力ポート41,42から受給ポート45,46を通して空気圧アクチュエータ装置29に供給している間は空気圧アクチュエータ装置29からの排気を受給ポート45,46から排出ポート78を通して外部に排出させる流れを遮断する一方、空気圧アクチュエータ装置29からの排気を受給ポート45,46から排出ポート78を通して外部に排出している間は前記空気圧源からの圧縮空気を入力ポート41,42から受給ポート45,46を通して空気圧アクチュエータ装置29に供給する流れを遮断する切換手段87を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気を利用して真空を発生させる真空発生器及び真空発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ファクトリーオートメーションによりディスプレイ装置などを組み立てる工場では、ガラス、ウェハ、基板などの被加工物を把持し、搬送するために真空発生システムが使用されている(特許文献1乃至3参照)。
【0003】
従来の真空発生システムは、例えば、図3に示すように、2台の真空発生器1,2を有する回路を備えており、コンプレッサ(図示省略)から電磁弁3を介して供給される圧縮空気を2個の切換弁4,5で切り換えながらシリンダ6に供給し、シリンダ6を動作させる。そして、この動作によりシリンダ6から排出された圧縮空気を各真空発生器1,2の入力ポート7,8を介して内部に流入させ、それぞれの排出ポート9,10から排出させることにより、各真空ポート11,12に真空を発生させ、真空タンク13に蓄積させた真空圧力により吸着パッド14に吸着力を発生させ、前記被加工物を把持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−146867号公報
【特許文献2】特開2004−360735号公報
【特許文献3】特開2002−174203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の真空発生システムでは、各真空発生器1,2と電磁弁3との間にそれぞれ切換弁4,5を接続する必要がある。そのため、配管や部品の数が増加すると共に切換弁4,5を所定のタイミングで切り換える制御が必要となるため、システムの回路や制御が複雑化し、コストアップに繋がるといった問題があった。また、切換弁4,5と配管15,16との接続作業が必要となり、作業性の向上を図ることが難しいといった問題もあった。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、回路や制御の簡略化やコストの低減化及び作業性の向上を図ることができる真空発生器及び真空発生システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するため、本発明に係る真空発生器は、空気圧源からの圧縮空気を内部に流入させるための入力ポートと、該入力ポートから内部に流入した圧縮空気を外部の空気圧アクチュエータ装置に供給すると共に該空気圧アクチュエータ装置からの排気を内部に流入させるための受給ポートと、該受給ポートから内部に流入した排気を外部に排出させるための排出ポートと、前記受給ポートから内部に流入した排気を前記排出ポートから外部に排出させる間に真空を発生させるための真空ポートと、前記空気圧源からの圧縮空気を前記入力ポートから前記受給ポートを通して前記空気圧アクチュエータ装置に供給している間は前記空気圧アクチュエータ装置からの排気を前記受給ポートから前記排出ポートを通して外部に排出させる流れを遮断する一方、前記空気圧アクチュエータ装置からの排気を前記受給ポートから前記排出ポートを通して外部に排出している間は前記空気圧源からの圧縮空気を前記入力ポートから前記受給ポートを通して前記空気圧アクチュエータ装置に供給する流れを遮断する切換手段と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記した第1の真空発生器と第2の真空発生器が設けられた真空発生システムであって、前記第1の真空発生器の第1入力ポートと前記第2の真空発生器の第2入力ポートにそれぞれ接続され、圧縮空気を供給する空気圧源と、前記第1の真空発生器の第1受給ポートに接続される第1ポートと前記第2の真空発生器の第2受給ポートに接続される第2ポートとを有し、前記空気圧源から前記第1の真空発生器又は前記第2の真空発生器を通って供給される圧縮空気により動作し、この動作に伴い圧縮空気を排出する空気圧アクチュエータ装置と、前記第1の真空発生器の第1真空ポートと前記第2の真空発生器の第2真空ポートにそれぞれ接続され、前記第1受給ポートから前記第1の真空発生器内部に流入した前記空気圧アクチュエータの排気を第1排出ポートから外部に排出させる間に前記第1真空ポートで発生した真空圧力と前記第2受給ポートから前記第2の真空発生器内部に流入した前記空気圧アクチュエータの排気を第2排出ポートから外部に排出させる間に前記第2真空ポートで発生した真空圧力の少なくともいずれか一方の真空圧力を蓄積する真空タンクと、該真空タンクに蓄積された真空圧力により吸引力を生成する吸引力生成手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明に係る真空発生システムでは、前記真空タンクと前記吸引力生成手段との間に真空切換装置が設けられ、該真空切換装置には前記空気圧源と同一又は異なる空気圧源又は真空圧力発生源が接続され、前記真空タンク内の真空圧力が不足する場合には前記空気圧源と同一又は異なる空気圧源又は真空圧力発生源から前記真空切換装置を介して前記吸引力生成手段に真空圧力が供給されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回路や制御の簡略化やコストの低減化及び作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る真空発生システムを示す回路図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る真空発生器を示す断面図である。
【図3】従来の真空発生システムを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。ここで、図1は本発明の実施の形態に係る真空発生システムを示す回路図であり、図2は本発明の実施の形態に係る真空発生器を示す断面図である。
【0013】
本発明の実施形態に係る真空発生システム20は、空気圧源としてのコンプレッサ(図示省略)と、第1配管21を介して前記コンプレッサに接続される電磁弁22と、第2配管23を介して電磁弁22に接続される第1の真空発生器24と、第3配管25を介して電磁弁22に接続される第2の真空発生器26と、第4配管27及び第5配管28を介して前記第1の真空発生器24及び第2の真空発生器26に接続される空気圧アクチュエータ装置としてのシリンダ29と、第6配管30及び第7配管31を介して第1の真空発生器24及び第2の真空発生器25に接続される真空タンク32と、第8配管33を介して真空タンク32に接続されると共に第9配管34を介して前記コンプレッサに接続される真空切換弁35と、第10配管36を介して真空切換弁35に接続される吸引力生成手段としての吸着パッド37とを備えて構成されている。
【0014】
電磁弁22には、一方の端面(図示では下面)に1つの入力ポート38が設けられ、反対側の他方の端面(図示では上面)に第1出力ポート39と第2出力ポート40の2つの出力ポートが設けられ、入力ポート38に第1配管21の一端が接続され、第1出力ポート39と第2出力ポート40に第2配管23の一端と第3配管25の一端がそれぞれ接続されている。
【0015】
第1の真空発生器24と第2の真空発生器26は同一の構造を有し、各真空発生器24,26には、それぞれ、一方の端部(図示では下端部)に第1入力ポート41及び第2入力ポート42が設けられ、反対側の他方の端部(図示では上端部)に第1排出口43及び第2排出口44が設けられ、外周面には第1受給ポート45及び第2受給ポート46と第1真空ポート47及び第2真空ポート48がそれぞれ設けられている。そして、第1入力ポート41と第2入力ポート42に第2配管23の他端と第3配管25の他端がそれぞれ接続され、第1受給ポート45と第2受給ポート46に第4配管27の一端と第5配管28の一端がそれぞれ接続され、第1真空ポート47と第2真空ポート48に第6配管30の一端と第7配管31の一端がそれぞれ接続されている。なお、真空発生器24,26の詳細な構成については後述する。
【0016】
シリンダ29には、一端側に第1ポート49が設けられ、他端側に第2ポート50が設けられ、第1ポート49に第4配管27の他端が接続され、第2ポート50に第5配管28の他端が接続されている。また、シリンダ29にはピストンロッド51が設けられており、シリンダ29はピストンロッド51に沿って(図示XY方向に)往復動するように構成されている。
【0017】
真空タンク32の一端側には、第6配管30の他端と第7配管31の他端が合流されて接続されており、第6配管30と第7配管31の途中にはそれぞれ逆止弁52,53が設けられている。また、真空タンク32の他端側には第8配管33の一端が接続されている。
【0018】
真空切換弁35には、一方の端面(図示では下面)に第1入力ポート54と第2入力ポート55の2つの入力ポートが設けられ、反対側の他方の端面(図示では上面)に出力ポート56が設けられ、第1入力ポート54に第8配管33の他端が接続され、第2入力ポート55に第9配管34の一端が接続されている。また、真空切換弁35の出力ポート56には、第10配管36の一端が接続され、第10配管36の他端に吸着パッド37が接続されている。
【0019】
次に、図2を参照しつつ、第1の真空発生器24及び第2の真空発生器25の構成について詳細に説明する。なお、上記したように第1の真空発生器24と第2の真空発生器25は同一の構造を有しているため、以下の説明では、説明の簡略化のため、第1の真空発生器24についてのみ説明する。
【0020】
第1の真空発生器24は、軸方向に長い形状を有する本体60と、本体60の外周面にそれぞれ回転可能に設けられる真空ポート形成体61及び受給ポート形成体62と、本体60に軸方向に沿って連結されるサイレンサ63とを備えて構成されている。
【0021】
本体60は、軸方向に沿って内部に空洞部64が形成されたインナーボディ66と、インナーボディ66の外側に取り付けられるアウターボディ67とを備えている。
【0022】
インナーボディ66の空洞部64には、圧縮空気の流通方向に沿って上流側からノズル部68及びディフューザ部69が設けられており、インナーボディ66の両端面には、空洞部64に連通するように上流側通孔70及び下流側通孔71がそれぞれ形成されている。また、インナーボディ66の外周壁には、中心角が90°を成すように放射状に4個の内側周壁孔72が穿設され、インナーボディ66の一方の端部(図示では下端部)には平面視で各内側周壁孔72に対応する4箇所に切欠部73が形成されている。
【0023】
アウターボディ67には、一方の端部74(図示では下端部)に前記入力ポート41が螺刻して形成されており、一方の端部74の外周面は螺刻されている。アウターボディ67の他方の端部75(図示では上端部)にはサイレンサ取付部76がネジ77で固定されており、サイレンサ取付部76には排出ポート78が螺刻して形成されている。アウターボディ67の外周壁には、他方の端部75から一方の端部74に向かって漸次縮径となるように第1外周面79、第2外周面80、第3外周面81の3つの外周面が段差状に形成されており、第2外周面80にはインナーボディ67の内側周壁孔72に対応する位置に第1外側周壁孔82が穿設され、第3外周面81にはインナーボディ67の切欠部73に対応する位置に第2外側周壁孔83が穿設されている。また、第3外周面79の一方の端部74側には嵌合溝84が形成されており、この嵌合溝84にC型止輪85を装着することにより、真空ポート形成体61及び受給ポート形成体62の本体60からの脱落が防止できるようになっている。
【0024】
アウターボディ67の内部には、インナーボディ67の一方の端面86(図示では下端面)と入力ポート41との間に弁体87を収容する弁体収容空間88が形成され、この弁体収容空間88が入力ポート41からインナーボディ67の一方の端面86に向かって漸次拡幅するように傾斜湾曲面89が形成されている。
【0025】
弁体87は、一方の端部(図示では下端部)に円錐状に形成された入力ポート挿入部90と、他方の端部(図示では上端部)に円錐状に形成された上流側通孔挿入部91と、上流側通孔挿入部91の周囲に形成された湾曲凹部92と、アウターボディ67の傾斜湾曲面89に沿うように曲成された外周部93とを備え、弁体収容空間88内において軸方向に沿って往復動可能となっている。
【0026】
真空ポート形成体61には、第1外周面79及び第2外周面80に回転可能に嵌合する嵌合孔94が形成され、前記真空ポート47は、外側からこの嵌合孔94に向かって螺刻して形成されている。また、嵌合孔94には第1段差部101が形成され、この第1段差部101とアウターボディ67とによって、嵌合孔94の周方向に延びる第1環状室102が形成され、この第1環状室102は第1外側周壁孔82に合致する位置に設けられていると共に、真空ポート47と連通している。これにより、真空ポート形成体61が第1外周面79及び第2外周面80に対して回転した場合でも、真空ポート47は第1外側周壁孔82に連通するため、真空ポート47に確実に真空圧力を発生させることができ、配管状況に応じて真空ポート47を任意の位置に回転させて使用することができる。
【0027】
受給ポート形成体62には、第2外周面80及び第3外周面81に回転可能に嵌合する嵌合孔95が形成され、前記受給ポート45は、外側からこの嵌合孔95に向かって螺刻して形成されている。また、嵌合孔95には第2段差部105が形成され、この第2段差部105とアウターボディ67とによって、嵌合孔95の周方向に延びる第2環状室103が形成され、この第2環状室103は第2外側周壁孔83に合致する位置に設けられていると共に、受給ポート45と連通している。これにより、受給ポート形成体62が第2外周面80及び第3外周面81に対して回転した場合でも、受給ポート45は第2外側周壁孔83と連通するため、圧縮空気を流通させることができ、配管状況に応じて受給ポート45を任意の位置に回転させて使用することができる。
【0028】
サイレンサ63は、一端部(図示では下端部)が本体60に螺設されるサイレンサ本体96と、サイレンサ本体96の他端部(図示では上端部)に冠着されるキャップ97とにより構成されている。サイレンサ本体96の内部には吸音材98及びフィルタ99が設けられている。また、キャップ97の内部には吸音材100が設けられ、キャップ97の中央には前記排出口43が穿設されている。
【0029】
次に、図面を参照しつつ、上記した構成を備えた真空生成システム20の作用について説明する。
【0030】
前記コンプレッサにより供給された圧縮空気は、第1配管21を通って入力ポート38から電磁弁22内に流入する。電磁弁22では、先ず、第1出力ポート39が開放されると共に第2出力ポート40が閉鎖され、前記圧縮空気は第1出力ポート39を通過し、電磁弁2の外に排出される。この時、電磁弁22の第2出力ポート40が閉鎖されているため、前記圧縮空気が第2出力ポート40を通過することはない。そして、電磁弁22の第1出力ポート39から排出された前記圧縮空気は、第2配管23を通り、第1入力ポート41から第1の真空発生器24内に流入する。
【0031】
第1の真空発生器24の内部では、第1入力ポート41から流入した前記圧縮空気により、弁体87が図示A方向に押圧されて移動し(図2中の二点鎖線参照)、上流側通孔挿入部91が上流側通孔70を閉塞すると共に、アウターボディ67の傾斜湾曲面89と弁体87の外周部93との間に隙間が生じる。そのため、前記圧縮空気はこの隙間を通過し、第1受給ポート45から第4配管27を通り、第1ポート49からシリンダ29内に供給される。この時、上流側通孔70が閉塞されているため、前記圧縮空気は排出ポート78から排出されることはない。
【0032】
シリンダ29内に供給された前記圧縮空気は、ピストンロッド51を図示X方向へ移動させ、シリンダ29内の空気(以下「シリンダ排気」と言う。)は第2ポート50から第5配管28を通り、第2受給ポート46から第2の真空発生器26内に流入する。
【0033】
第2の真空発生器26の内部では、第2受給ポート46から流入した前記シリンダ排気により、弁体87が図示B方向に押圧されて移動し(図2中の実線部参照)、入力ポート挿入部90が第2入力ポート42を閉塞すると共に、上流側通孔70が開放される。そのため、前記圧縮空気は、弁体87の湾曲凹部92とインナーボディ67の一方の端面86との間の隙間を通過し、上流側通孔70から空洞部64に流入する。この時、弁体87の外周部93がアウターボディ67の傾斜湾曲面89に密着すると共に、第2入力ポート42が閉塞されているため、前記シリンダ排気は第2入力ポート42から排出されることはない。
【0034】
空洞部64に流入したシリンダ排気は、ノズル部68及びディフューザ部69を通過し、下流側通孔71からサイレンサ63内を通過し、排出口44から外部に排出される。そして、前記シリンダ排気がノズル部68及びディフューザ部69を通過する時にベルヌーイの定理によって、第2真空ポート48に真空圧力が発生し、この真空圧力は第7配管31を介して真空タンク32に蓄積される。この時、第7配管31の途中に逆止弁53が設けられているため、第2の真空発生器26側から真空タンク32への正圧空気の流入を防止することができる。
【0035】
次に、電磁弁22が切り換わり、第1出力ポート39が閉鎖されると共に、第2出力ポート40が開放されると、前記コンプレッサから入力ポート38を介して電磁弁22内に流入した圧縮空気は、第2出力ポート40を通過し、第3配管25を通って第2入力ポート42から第2の真空発生器26内に流入する。
【0036】
第2の真空発生器26の内部では、既に上述したのと同様の動作により、弁体87が図示A方向に移動し、前記圧縮空気は、第2受給ポート46から第5配管28を通り、第2ポート50からシリンダ29内に供給される。
【0037】
シリンダ29内に供給された前記圧縮空気は、ピストンロッド51を図示Y方向へ移動させ、シリンダ排気は第1ポート49から第4配管27を通り、第1受給ポート45から第1の真空発生器24内に流入する。
【0038】
第1の真空発生器24の内部では、既に上述したのと同様の動作により、弁体87が図示B方向に移動し、前記シリンダ排気は、上流側通孔70からノズル部68及びディフューザ部69、サイレンサ63内を通過し、排出口43から外部に排出される。そして、前記シリンダ排気がノズル部68及びディフューザ部69を通過する時にベルヌーイの定理によって、第1真空ポート47に真空圧力が発生し、この真空圧力は第6配管30を介して真空タンク32に蓄積される。
【0039】
以降、上述したのと同様の動作を繰り返すことにより、真空タンク32内に真空圧力が蓄積される。
【0040】
このようにして真空タンク32内に蓄積された真空圧力は第8配管33を通り、第1入力ポート54から真空切換弁35内に流入し、出力ポート56から排出される。この時、真空切換弁35の第2入力ポート55は閉鎖されており、第2入力ポートを通過することはない。そして、出力ポート56から排出された真空圧力は第10配管36を介して吸着パッド37に供給され、これにより、吸着パッド37において吸着力が発生し、被加工物の吸着・把持が可能となる。
【0041】
一方、真空タンク32内の真空圧力が不足する場合には、真空切換弁35の第1入力ポート54が閉鎖されると共に第2入力ポート55が開放され、前記コンプレッサと同一又は異なるコンプレッサからの圧縮空気により発生した真空圧力、又は真空ポンプ等の真空圧力発生源により発生した真空圧力が第2入力ポートから真空切換弁35内を通過し、出力ポート56から第10配管36を介して吸着パッド37に供給される。
【0042】
このように上記した実施の形態に係る真空発生器24,26及び真空発生システム20は、前記コンプレッサからの圧縮空気をシリンダ29に供給している間は前記シリンダ排気を受給ポート45,46から排出ポート78を通して外部に排出させる流れを遮断する一方、前記シリンダ排気を受給ポート45,46から排出ポート78を通して外部に排出している間は前記コンプレッサからの圧縮空気を入力ポート41,42から受給ポート45,46を通してシリンダ29に供給する流れを遮断するため、各真空発生器24,26と電磁弁22との間に切換弁を接続する必要がない。したがって、配管や部品の数を削減することができると共に切換弁を所定のタイミングで切り換える制御が不要となるため、システムの回路や制御が単純化され、コスト低減化が可能となる。また、切換弁と配管との接続作業も不要となり、作業性の向上を図ることが可能となる。
【0043】
さらに、上記した実施の形態に係る真空発生器24,26及び真空発生システム20によれば、シリンダ29を動作させるために使用した圧縮空気を再利用して真空を生成しており、圧縮空気の有効利用を図ることができる。
【0044】
さらにまた、各真空発生器24,26と吸着パッド37との間に真空タンク32を設け、各真空発生器24,26の真空ポート47,48で発生した真空圧力を真空タンク32内に蓄積することにより、吸着パッド37での吸着力を確実に生成し、かつ維持することができると共に、吸着パッド37に真空圧力を安定して供給することができ、吸着パッド37における吸着力を安定させることができる。
【0045】
また、上記した真空発生システム20では、通常は、真空発生器24,26により真空を生成し、真空発生器24,26による真空生成だけでは真空タンク32内に十分な真空圧力を確保することができない場合には、前記コンプレッサと同一又は異なるコンプレッサからの圧縮空気により発生した真空圧力、又は真空ポンプ等の真空圧力発生源により発生した真空圧力を利用して真空生成を行うことができるため、吸着パッド37の吸着・把持動作を安定に維持することができると共に、圧縮空気の再利用を徹底的に行うことができ、圧縮空気の大気への放出によるエネルギーの無駄を効果的に抑制することができる。
【0046】
なお、上記した真空発生システムでは、2個の真空発生器24,26を設けているが、1個又は3個以上の真空発生器を設けてもよい。
【0047】
また、上記した真空発生システム20では、吸引力生成手段として吸着パッド37を用いる場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、真空によって排気、排液や気体・液体の収集を行うための吸引力を生成する他のアクチュエータを用いてもよい。
【0048】
さらに、上記本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う真空発生器及び真空発生システムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
20 真空発生システム
24 第1の真空発生器
26 第2の真空発生器
29 シリンダ(空気圧アクチュエータ装置)
32 真空タンク
37 吸着パッド(吸引力生成手段)
41 第1入力ポート
42 第2入力ポート
45 第1受給ポート
46 第2受給ポート
47 第1真空ポート
48 第2真空ポート
78 排出ポート
87 弁体(切換手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧源からの圧縮空気を内部に流入させるための入力ポートと、
該入力ポートから内部に流入した圧縮空気を外部の空気圧アクチュエータ装置に供給すると共に該空気圧アクチュエータ装置からの排気を内部に流入させるための受給ポートと、
該受給ポートから内部に流入した排気を外部に排出させるための排出ポートと、
前記受給ポートから内部に流入した排気を前記排出ポートから外部に排出させる間に真空を発生させるための真空ポートと、
前記空気圧源からの圧縮空気を前記入力ポートから前記受給ポートを通して前記空気圧アクチュエータ装置に供給している間は前記空気圧アクチュエータ装置からの排気を前記受給ポートから前記排出ポートを通して外部に排出させる流れを遮断する一方、前記空気圧アクチュエータ装置からの排気を前記受給ポートから前記排出ポートを通して外部に排出している間は前記空気圧源からの圧縮空気を前記入力ポートから前記受給ポートを通して前記空気圧アクチュエータ装置に供給する流れを遮断する切換手段と、
を備えていることを特徴とする真空発生器。
【請求項2】
請求項1に記載の第1の真空発生器と第2の真空発生器が設けられた真空発生システムであって、
前記第1の真空発生器の第1入力ポートと前記第2の真空発生器の第2入力ポートにそれぞれ接続され、圧縮空気を供給する空気圧源と、
前記第1の真空発生器の第1受給ポートに接続される第1ポートと前記第2の真空発生器の第2受給ポートに接続される第2ポートとを有し、前記空気圧源から前記第1の真空発生器又は前記第2の真空発生器を通って供給される圧縮空気により動作し、この動作に伴い圧縮空気を排出する空気圧アクチュエータ装置と、
前記第1の真空発生器の第1真空ポートと前記第2の真空発生器の第2真空ポートにそれぞれ接続され、前記第1受給ポートから前記第1の真空発生器内部に流入した前記空気圧アクチュエータの排気を第1排出ポートから外部に排出させる間に前記第1真空ポートで発生した真空圧力と前記第2受給ポートから前記第2の真空発生器内部に流入した前記空気圧アクチュエータの排気を第2排出ポートから外部に排出させる間に前記第2真空ポートで発生した真空圧力の少なくともいずれか一方の真空圧力を蓄積する真空タンクと、
該真空タンクに蓄積された真空圧力により吸引力を生成する吸引力生成手段と、
を備えていることを特徴とする真空発生システム。
【請求項3】
前記真空タンクと前記吸引力生成手段との間に真空切換装置が設けられ、該真空切換装置には前記空気圧源と同一又は異なる空気圧源又は真空圧力発生源が接続され、前記真空タンク内の真空圧力が不足する場合には前記空気圧源と同一又は異なる空気圧源又は真空圧力発生源から前記真空切換装置を介して前記吸引力生成手段に真空圧力が供給されることを特徴とする請求項2に記載の真空発生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−21415(P2012−21415A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158085(P2010−158085)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(590000558)株式会社妙徳 (37)
【Fターム(参考)】