説明

着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、及び有機ELディスプレイ

【課題】色材の含有量が多い場合でも、画像形成性に優れる着色樹脂組成物と、この着色樹脂組成物を用いたカラーフィルタ、液晶表示装置及び有機ELディスプレイを提供する。
【解決手段】少なくとも(A)色材、及び(B)有機結合剤を含有する着色樹脂組成物であって、(B)有機結合剤が、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)と不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物を、多塩基酸無水物(d)と反応させることにより得られる、酸価が10mg−KOH/g以上のアルカリ可溶性不飽和樹脂を含有することを特徴とする着色樹脂組成物。


〔上記一般式(1)において、Xは特定の連結基。但し、分子構造中に一つ以上のアダマンタン構造を含む。lは、2又は3の整数を示す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機ELディスプレイに関するものである。詳しくは、液安定性、耐熱性に優れ、現像時の地汚れが少なく、基板への密着性、画素のエッジ形状、テーパー形状が良好で、かつカラーフィルタの製造に適した感光性着色樹脂組成物を提供し得る着色樹脂組成物と、この感光性着色樹脂組成物を用いたカラーフィルタ、並びにこのカラーフィルタを用いた液晶表示装置及び有機ELディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顔料を用いたカラーフィルタの製造法としては、染色法、電着法、インクジェット法、顔料分散法などが知られている。
【0003】
顔料分散法によるカラーフィルタの製造の場合、通常、分散剤などにより顔料を分散してなる着色樹脂組成物に、バインダー樹脂、光重合開始剤、光重合性モノマー等を添加して感光化した感光性着色樹脂組成物をガラス基板上にコートして乾燥後、マスクを用いて露光し、現像を行うことによって着色パターンを形成し、その後これを加熱することによりパターンを固着して画素を形成する。これらの工程を各色ごとに繰り返してカラーフィルタを形成する。
【0004】
このようなカラーフィルタの画像形成に用いられる感光性着色樹脂組成物には、十分な解像性、基板との良好な密着性、低現像残渣などの特性が求められている。更に、近年では、色濃度が高い画素や光学濃度の高い樹脂ブラックマトリックスが要求されている。このため、感光性着色樹脂組成物には、顔料やカーボンブラックなどの色材を多量に含みつつ、上記特性に優れることが要求される。
【0005】
一般に、感光性樹脂組成物は、塗布・乾燥・露光・現像の工程を経る光リソグラフィ工程に供されるため、かかる工程において、現像工程での除去部分に残渣や地汚れが生じないこと;除去部分が十分な溶解性を有すること;パターンエッジのシャープさなどの画素形成性を上げること;が常に求められている。しかし、上記のような色材の含有量が高い感光性着色樹脂組成物を用いて、画素やブラックマトリックス(以下、これらを合わせて「パターン」と称することがある。)を形成した場合、現像工程で未露光部の基板上に残渣や地汚れが生じる;未露光部の良好な溶解性が得られない;パターンエッジのシャープさに劣る;露光部の光硬化が十分でないため表面平滑性が悪い;等の問題が顕著に生じやすい。
【0006】
特に、樹脂ブラックマトリックスは黒色色材を含み、広い波長領域において遮光性を有するため、(1)露光部分と未露光部分における架橋密度の差をつけることが著しく困難なこと、(2)露光された部分でも膜厚方向における架橋密度の差が発生すること、つまり、光照射面側では十分に硬化しても、基底面側では硬化しづらいこと、(3)現像液に不溶な黒色色材を多量に含有するため、高い現像性が得難いこと等が、大きな課題となっている。
【0007】
そこで、このような問題を解決するために、バインダー樹脂として、カルボキシル基を有するノボラックエポキシアクリレート樹脂を使用した感光性着色樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかし本発明者らの検討によると、このバインダー樹脂を使用した場合でも、溶解性と感度のバランスが不充分であるため、未露光部の溶解と同時に露光部への現像液の浸透が起こり、パターンのエッジ部分の直線性が低い;パターンの基板への密着性が不充分である;等の問題が生じることが判明した。
【0008】
また、バインダー樹脂として、カルボキシル基を有するアクリル樹脂と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物との反応物を使用した感光性樹脂組成物が提案されている(特許文献2参照)。しかし、本発明者らの検討によると、このバインダー樹脂を使用した場合でも感度が十分ではないため、パターンの基板への密着性が悪く、高精細なパターンの形成が困難であることが判明した。
【0009】
バインダー樹脂として、フルオレン型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応物に、多塩基性カルボン酸又はその無水物を反応させて得られる不飽和基含有カルボン酸化合物を含む樹脂組成物が提案されている(特許文献3参照)。しかし、本発明者らの検討によると、この樹脂組成物は高い感度や解像力を有するが、現像後に未露光部の基板上に残渣が生じる傾向があることが判明した。また、原料であるビスフェノールフルオレン及びフルオレン型エポキシ樹脂が、強度な皮膚刺激性を有するため、取り扱いの際にかぶれ等の疾患を引き起こすことが報告されている。
【特許文献1】特開平11−84126号公報
【特許文献2】特開平1−289820号公報
【特許文献3】特開平4−355450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、画像形成性に優れた着色樹脂組成物と、この着色樹脂組成物を用いたカラーフィルタ、及び液晶表示装置並びに有機ELディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討した結果、アダマンタン構造を有する特定のエポキシ化合物から得られるアルカリ可溶性不飽和樹脂を有機結合剤として用いることにより、上記課題を解決することができることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
【0012】
[1] 少なくとも(A)色材、及び(B)有機結合剤を含有する着色樹脂組成物であって、(B)有機結合剤が、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)と不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物を、多塩基酸無水物(d)と反応させることにより得られる、酸価が10mg−KOH/g以上のアルカリ可溶性不飽和樹脂を含有することを特徴とする着色樹脂組成物。
【0013】
【化14】

【0014】
〔上記一般式(1)において、Xは下記一般式(2a)又は(2b)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に、一つ以上のアダマンタン構造を含む。lは、2又は3の整数を示す。
【化15】

(上記一般式(2a)及び(2b)において、R〜R,R13〜R15は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
上記一般式(2a)及び(2b)において、*は、一般式(1)におけるグリシジルオキシ基との結合部位を示す。)〕
【0015】
[2] 少なくとも(A)色材、及び(B)有機結合剤を含有する着色樹脂組成物であって、 (B)有機結合剤が、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)及び/又は下記一般式(1A)で表されるエポキシ化合物(a’)と、不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物を、多価アルコール(c)と混合した後、多塩基酸無水物(d)と反応させることにより得られる、酸価が10mg−KOH/g以上のアルカリ可溶性不飽和樹脂を含有することを特徴とする着色樹脂組成物。
【0016】
【化16】

【0017】
〔上記一般式(1)において、Xは下記一般式(2a)又は(2b)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に、一つ以上のアダマンタン構造を含む。lは、2又は3の整数を示す。
【化17】

(上記一般式(2a)及び(2b)において、R〜R,R13〜R15は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
上記一般式(2a)及び(2b)において、*は、一般式(1)におけるグリシジルオキシ基との結合部位を示す。)〕
【0018】
【化18】

【0019】
〔上記一般式(1A)において、X’は下記一般式(3)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に、一つ以上のアダマンタン構造を含む。lは、2又は3の整数を示す。
【化19】

(上記一般式(3)において、R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。Yは、置換基を有していてもよい、アダマンタン構造を含む2価の連結基を示す。
上記一般式(3)において、*は、一般式(1A)におけるグリシジルオキシ基との結合部位を示す。)〕
【0020】
[3] 多塩基酸無水物(d)が、4塩基酸無水物及び/又は2塩基酸無水物と、3塩基酸無水物とを含有することを特徴とする[2]に記載の着色樹脂組成物。
【0021】
[4] 少なくとも(A)色材、及び(B)有機結合剤を含有する着色樹脂組成物であって、(B)有機結合剤が、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)及び/又は下記一般式(1A)で表されるエポキシ化合物(a’)と、不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物を、多塩基酸無水物(d)と反応させることにより得られる、酸価が10mg−KOH/g以上のアルカリ可溶性不飽和樹脂を含有し、多塩基酸無水物(d)が、4塩基酸無水物及び/又は2塩基酸無水物と、3塩基酸無水物とを含有することを特徴とする着色樹脂組成物。
【0022】
【化20】

【0023】
〔上記一般式(1)において、Xは下記一般式(2a)又は(2b)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に、一つ以上のアダマンタン構造を含む。lは、2又は3の整数を示す。
【化21】

(上記一般式(2a)及び(2b)において、R〜R,R13〜R15は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
上記一般式(2a)及び(2b)において、*は、一般式(1)におけるグリシジルオキシ基との結合部位を示す。)〕
【0024】
【化22】

【0025】
〔上記一般式(1A)において、X’は下記一般式(3)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に、一つ以上のアダマンタン構造を含む。lは、2又は3の整数を示す。
【化23】

(上記一般式(3)において、R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。Yは、置換基を有していてもよい、アダマンタン構造を含む2価の連結基を示す。
上記一般式(3)において、*は、一般式(1A)におけるグリシジルオキシ基との結合部位を示す。)〕
【0026】
[5] 前記一般式(3)におけるYが、下記式(4)又は(5)で表される連結基であることを特徴とする[2]ないし[4]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0027】
【化24】

【0028】
〔式(4)、(5)は置換基を有していても良く、*は一般式(3)におけるベンゼン環との結合部位を示す。〕
【0029】
[6] 前記一般式(2a)又は(2b)で表されるXが、アダマンタン構造を2以上4以下有することを特徴とする[1]ないし[5]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0030】
[7] 前記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)が、下記一般式(7)で表されることを特徴とする[1]ないし[6]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0031】
【化25】

【0032】
〔一般式(7)において、R24,R25は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
一般式(7)に示されるアダマンチル基は置換基を有していても良い。〕
【0033】
[8] 前記一般式(1A)で表されるエポキシ化合物(a’)が、下記一般式(6)で表されることを特徴とする[2]ないし[7]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0034】
【化26】

【0035】
〔一般式(6)において、R16〜R23は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
一般式(6)に示されるアダマンチル基は置換基を有していても良い。〕
【0036】
[9] 前記一般式(1)におけるXの分子量が、200以上、1000以下であることを特徴とする[1]ないし[8]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0037】
[10] 前記一般式(1A)におけるX’の分子量が、200以上、1000以下であることを特徴とする[2]ないし[9]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0038】
[11] 前記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)のエポキシ当量が、210以上、450以下であることを特徴とする[1]ないし[10]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0039】
[12] 前記一般式(1A)で表されるエポキシ化合物(a’)のエポキシ当量が、210以上、450以下であることを特徴とする[2]ないし[11]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0040】
[13] 多価アルコール(c)が、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、及び1,2,3−プロパントリオールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の多価アルコールであることを特徴とする[2]、[3]、[5]ないし[12]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0041】
[14] 3塩基酸無水物が、無水トリメリット酸及び/又は無水ヘキサヒドロトリメリット酸である[3]ないし[13]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0042】
[15] 前記アルカリ可溶性不飽和樹脂の重量平均分子量が、2,000以上、20,000以下であることを特徴とする[1]ないし[14]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0043】
[16] 更に、(C)分散剤を含有することを特徴とする[1]ないし[15]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0044】
[17] 更に、(E)単量体を含有することを特徴とする[1]ないし[16]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0045】
[18] 更に、(D)光重合開始剤を含有することを特徴とする[1]ないし[17]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0046】
[19] (A)色材の含有量が、着色樹脂組成物の全固形分中、30〜70重量%であることを特徴とする[1]ないし[18]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0047】
[20] (A)色材が、黒色色材を含有することを特徴とする[1]ないし[19]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【0048】
[21] 透明基板上に、[1]ないし[20]のいずれかに記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素又はブラックマトリックスを有することを特徴とするカラーフィルタ。
【0049】
[22] [21]に記載のカラーフィルタを用いて作製された、液晶表示装置。
【0050】
[23] [21]に記載のカラーフィルタを用いて作製された、有機ELディスプレイ。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、顔料やカーボンブラックなどの色材を高い濃度で含有する場合でも、感度及び溶解性のバランスに優れ、更には得られる画像のエッジ形状やテーパー形状のシャープさ、基板との密着性、表面平滑性、地汚れ防止性、耐熱性に優れる着色樹脂組成物が提供される。そして、このような着色樹脂組成物を使用することにより、高品質なカラーフィルタ、更には高品質な液晶表示装置や有機ELディスプレイを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
【0053】
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」についても同様である。また、「(ポリ)ヒドロキシ」とは「ヒドロキシ及び/又はポリヒドロキシ」を意味する。
【0054】
本発明において「全固形分」とは、着色樹脂組成物中又は後述するインク中に含まれる、溶剤以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をさす。
また、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り、有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。なお、測定方法については後述する。
【0055】
[着色樹脂組成物]
まず、本発明の着色樹脂組成物について説明する。
本発明の着色樹脂組成物は、少なくとも(A)色材、及び(B)有機結合剤を含有する着色樹脂組成物において、(B)有機結合剤として特定の樹脂を含む点に特徴がある。
【0056】
{配合成分}
(A)色材
本発明の着色樹脂組成物に用いられる色材とは、着色樹脂組成物を着色する成分をいう。
【0057】
色材としては、染顔料が使用できるが、耐熱性、耐光性等の点から顔料が好ましい。顔料としては青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等各種の色の顔料を使用することができる。また、その構造としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料の他に種々の無機顔料等も利用可能である。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。以下に挙げる「C.I.ピグメントレッド2」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0058】
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254、さらに好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254を挙げることができる。
【0059】
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、さらに好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6を挙げることができる。
【0060】
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36を挙げる
ことができる。
【0061】
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、さらに好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180を挙げることができる。
【0062】
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントオレンジ38、71を挙げることができる。
【0063】
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23、さらに好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができる。
【0064】
黒色色材としては、単独の黒色色材、又は赤、緑、青色等の色材を混合してなる黒色色材が使用可能である。これら黒色色材は、無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択することができ、1種単独使用もしくは複数種混合して使用することができる。
【0065】
単独の黒色色材としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック等が挙げられる。これらの中で、特にカーボンブラック、チタンブラックが遮光率、画像特性の観点から好ましい。カーボンブラックの市販品の例としては、以下のような銘柄が挙げられる。
【0066】
三菱化学社製:MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、MA230、#52、#50、#47、#45、#2700、#2650、#2200、#1000、#990、#900等。
【0067】
デグサ社製:Printex95、Printex90、Printex85、Printex75、Printex55、Printex45、Printex40、Printex30、Printex3、PrintexA、PrintexG、Special Black550、Special Black350、Special Black250、Special Black100等。
【0068】
キャボット社製:Monarch460、Monarch430、Monarch280、Monarch120、Monarch800、Monarch4630、REGAL99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、BLACK PEARLS480、PEARLS130等。
【0069】
コロンビヤンカーボン社製:RAVEN11、RAVEN15、RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040等。
【0070】
チタンブラックの製造方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気で加熱し還元する方法(特開昭49−5432号公報)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
チタンブラックの市販品の例としては、三菱マテリアル社製チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−Cなどが挙げられる。
【0072】
次に、複数色の色材を混合してなる黒色色材について説明する。
混合のベースとなる色材の具体例としては、ビクトリアピュアブルー(42595)、オーラミンO(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サフラニンOK70:100(50240)、エリオグラウシンX(42080)、No.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラーファーストイエロー8GF(21105)、ベンジジンイエロー4T−564D(21095)、シムラーファーストレッド4015(12355)、リオノールレッド7B4401(15850)、ファーストゲンブルーTGR−L(74160)、リオノールブルーSM(26150)、リオノールブルーES(ピグメントブルー15:6)、リオノーゲンレッドGD(ピグメントレッド168)、リオノールグリーン2YS(ピグメントグリーン36)等が挙げられる(なお、上記の( )内の数字は、カラーインデックス(C.I.)を意味する)。
【0073】
また、さらに他の混合使用可能な顔料についてC.I.ナンバーにて示すと、例えば、C.I.黄色顔料20,24,86,93,109,110,117,125,137,138,147,148,153,154,166、C.I.オレンジ顔料36,43,51,55,59,61、C.I.赤色顔料9,97,122,123,149,168,177,180,192,215,216,217,220,223,224,226,227,228,240、C.I.バイオレット顔料19,23,29,30,37,40,50、C.I.青色顔料15,15:1,15:4,22,60,64、C.I.緑色顔料7、C.I.ブラウン顔料23,25,26等を挙げることができる。
【0074】
なお、前述のカーボンブラックは、他の黒色又は有色の無機、有機顔料と併用してもよい。ただし、他の顔料は、カーボンブラックより遮光性又は画像特性が低いため、ブラックマトリックス用の場合には自ずと混合比率は制限される。
【0075】
上述のような色材は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明の着色樹脂組成物は、黒色色材を含み、後述するカラーフィルタのブラックマトリックス形成に用いられる場合に、その優れた画像形成性が顕著となるため、特に好ましい。
【0076】
(B)有機結合剤
本発明の着色樹脂組成物に用いられる有機結合剤は、下記(B−1)〜(B−3)のいずれかのアルカリ可溶性不飽和樹脂を含む。
(B−1) 下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)と不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物を、多塩基酸無水物(d)と反応させることにより得られる、酸価が10mg−KOH/g以上のアルカリ可溶性不飽和樹脂。
(B−2) 下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)及び/又は下記一般式(1A)で表されるエポキシ化合物(a’)と、不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物を、多価アルコール(c)と混合した後、多塩基酸無水物(d)と反応させることにより得られる、酸価が10mg−KOH/g以上のアルカリ可溶性不飽和樹脂。
(B−3) 下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)及び/又は下記一般式(1A)で表されるエポキシ化合物(a’)と、不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物を、4塩基酸無水物及び/又は2塩基酸無水物と、3塩基酸無水物とを含有する多塩基酸無水物(d)と反応させることにより得られる、酸価が10mg−KOH/g以上のアルカリ可溶性不飽和樹脂。
【0077】
【化27】

【0078】
〔上記一般式(1)において、Xは下記一般式(2a)又は(2b)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に、一つ以上のアダマンタン構造を含む。lは、2又は3の整数を示す。
【化28】

(上記一般式(2a)及び(2b)において、R〜R,R13〜R15は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
上記一般式(2a)及び(2b)において、*は、一般式(1)におけるグリシジルオキシ基との結合部位を示す。)〕
【0079】
【化29】

【0080】
〔上記一般式(1A)において、X’は下記一般式(3)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に、一つ以上のアダマンタン構造を含む。lは、2又は3の整数を示す。
【化30】

(上記一般式(3)において、R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。Yは、置換基を有していてもよい、アダマンタン構造を含む2価の連結基を示す。
上記一般式(3)において、*は、一般式(1A)におけるグリシジルオキシ基との結合部位を示す。)〕
【0081】
<エポキシ化合物(a),(a’)>
上記一般式(3)において、Yは、下記一般式(4)又は(5)で表される連結基であることが好ましい。
【0082】
【化31】

〔式(4)、(5)は置換基を有していても良く、*は一般式(3)におけるベンゼン環との結合部位を示す。〕
【0083】
また、上記一般式(2a)、(2b)で表されるXは、アダマンタン構造を2以上4以下有することが好ましい。アダマンタン構造が1では耐現像液性が低下して解像力に劣る傾向がある。
【0084】
特に、上記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)は、下記一般式(7)で表されることが好ましく、上記一般式(1A)で表されるエポキシ化合物(a’)は下記(6)で表されることが好ましい。
【化32】

〔一般式(6)において、R16〜R23は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
一般式(7)において、R24,R25は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
一般式(6)、(7)に示されるアダマンチル基は置換基を有していても良い。〕
【0085】
上記一般式(2a)、(2b)、(3)、(6)、(7)におけるR〜R25の炭素数1〜12のアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
また、これらのアルキル基が有していても良い置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数2〜10のアルケニル基、フェニル基、カルボキシル基、スルファニル基、ホスフィノ基、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
【0086】
また、上記一般式(2a)、(2b)、(3)、(6)、(7)におけるR〜R25のフェニル基が有していても良い置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数2〜10のアルケニル基、フェニル基、カルボキシル基、スルファニル基、ホスフィノ基、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
【0087】
また、上記一般式(2a)、(2b)におけるR〜R、R13〜R15のアダマンチル基、一般式(3)のYに含まれるアダマンタン環、一般式(6)におけるアダマンタン環、一般式(7)におけるアダマンチル基、一般式(7)におけるR24、R25のアダマンチル基、式(4)、(5)のアダマンタン環が有していても良い置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数2〜10のアルケニル基、フェニル基、カルボキシル基、スルファニル基、ホスフィノ基、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
【0088】
前記一般式(6)において、R16〜R23は、特に、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシル基、アルケニル基、又はフェニル基であることが好ましい。
【0089】
また、前記一般式(7)において、R24、R25は、特に、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシル基、アルケニル基、又はフェニル基であることが好ましい。
【0090】
一般式(1)に示されるX及び一般式(1A)に示されるX’の分子量は、200以上1000以下であることが好ましい。X及びX’の分子量が200未満では耐薬品性に劣る傾向があり、1000を超えると低感度となる可能性がある。
【0091】
また、一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)及び一般式(1A)で表されるエポキシ化合物(a’)のエポキシ当量は、210以上であることが好ましく、230以上であることがより好ましい。また、このエポキシ当量は450以下であることが好ましく、400以下であることがより好ましい。エポキシ化合物(a)及びエポキシ化合物(a’)のエポキシ当量が210未満では耐アルカリ性が不充分となる場合があり、450を超えると生成する有機結合剤の感度が低下する傾向がある。
【0092】
エポキシ化合物(a)は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、エポキシ化合物(a’)についても、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。エポキシ化合物(a)の1種又は2種以上と、エポキシ化合物(a’)の1種又は2種以上とを併用しても良い。
【0093】
エポキシ化合物(a)及びエポキシ化合物(a’)は、市販のものを用いても良いし、下記のようなフェノール化合物より公知の方法で合成して用いても良い。
【0094】
【化33】

〔上記一般式(9a)、(9b)、(10)におけるR〜R15は、それぞれ一般式(2a)、(2b)、(3)におけると同義である。〕
【0095】
例えば、一般式(9a)又は(9b)で表される化合物と、過剰のエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン等のエピハロヒドリンの溶解混合物に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を予め添加し、又は添加しながら20〜120℃の温度で1〜10時間反応させることにより、一般式(1)におけるXが前記一般式(2a)又は(2b)で表される連結基であるエポキシ化合物(a)を得ることができる。
【0096】
また、一般式(10)で表される化合物と、過剰のエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン等のエピハロヒドリンの溶解混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を予め添加し、又は添加しながら20〜120℃の温度で1〜10時間反応させることにより、一般式(1A)におけるX’が前記一般式(3)で表されるエポキシ化合物(a’)を得ることができる。
【0097】
このエポキシ化合物(a)及びエポキシ化合物(a’)を得る反応において、アルカリ金属水酸化物として、その水溶液を使用しても良い。その場合、該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に、減圧下又は常圧下に、連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し、水は除去し、エピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法であっても良い。
【0098】
また、前記一般式(9a)、(9b)、又は(10)で表される化合物とエピハロヒドリンの溶解混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加し、50〜150℃で1〜5時間反応させて得られる、一般式(9a)、(9b)、又は(10)で表される化合物のハロヒドリンエーテル化物に、アルカリ金属水酸化物の固体又は水溶液を加え、再び20〜120℃の温度で1〜10時間反応させて脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でも、一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)又は一般式(1A)で表されるエポキシ化合物(a’)を製造することができる。
【0099】
このような反応において使用されるエピハロヒドリンの量は、一般式(9a)、(9b)、又は(10)で表される化合物の水酸基1当量に対し通常1〜20モル、好ましくは2〜10モルである。また、アルカリ金属水酸化物の使用量は一般式(9a)、(9b)、又は(10)で表される化合物の水酸基1当量に対し通常0.8〜15モル、好ましくは0.9〜11モルである。
【0100】
上述の反応において、更に、反応を円滑に進行させるためにメタノール、エタノールなどのアルコール類の他、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行っても良い。アルコール類を使用する場合、その使用量はエピハロヒドリンの量に対し2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%である。また、非プロトン性極性溶媒を用いる場合、その使用量はエピハロヒドリンの量に対し5〜100重量%、好ましくは10〜90重量%である。
【0101】
<不飽和基含有カルボン酸(b)>
不飽和基含有カルボン酸(b)としては、エチレン性不飽和基を有する不飽和カルボン酸が挙げられ、具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−ビニル安息香酸、m−ビニル安息香酸、p−ビニル安息香酸、ケイヒ酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基で置換された(メタ)アクリル酸などのモノカルボン酸;2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルマレイン酸などの、2塩基酸の(メタ)アクリロイロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものである単量体;(メタ)アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。
また、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、グリシジルメタクリレートのアクリル酸付加物、グリシジルメタクリレートのメタクリル酸付加物のような水酸基含有不飽和化合物に無水コハク酸、無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水フタル酸などの酸無水物を付加させた化合物も挙げられる。
特に好ましいものは、(メタ)アクリル酸である。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0102】
エポキシ化合物(a)及び/又はエポキシ化合物(a’)中のエポキシ基と不飽和基含有カルボン酸(b)とを反応させる方法としては公知の手法を用いることができる。例えば、上記エポキシ化合物(a)及び/又はエポキシ化合物(a’)と不飽和基含有カルボン酸(b)とを、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、トリフェニルホスフィン等を触媒として、有機溶剤中、反応温度50〜150℃で数〜数十時間反応させることにより、エポキシ化合物にカルボン酸を付加することができる。
【0103】
該触媒の使用量は、反応原料混合物(エポキシ化合物(a)及び/又はエポキシ化合物(a’)と不飽和基含有カルボン酸(b)との合計)に対して好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.3〜5重量%である。また反応中の重合を防止するために、重合防止剤(例えばメトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、フェノチアジン等)を使用することが好ましく、その使用量は、反応原料混合物に対して好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.03〜5重量%である。
【0104】
エポキシ化合物(a)及び/又はエポキシ化合物(a’)のエポキシ基に不飽和基含有カルボン酸(b)を付加させる割合は、通常90〜100モル%である。エポキシ基の残存は保存安定性に悪影響を与えるため、不飽和基含有カルボン酸(b)は、エポキシ化合物(a)及び/又はエポキシ化合物(a’)のエポキシ基1当量に対して、通常0.8〜1.5当量、特に0.9〜1.1当量の割合で反応を行うことが好ましい。
【0105】
<多価アルコール(c)>
多価アルコール(c)としては、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、1,2,3−プロパントリオールの中から選ばれる1種又は2種以上の多価アルコールであることが好ましい。
【0106】
多価アルコール(c)を用いることにより、(B)有機結合剤の分子量を増大させ、分子中に分岐を導入することが出来、分子量と粘度のバランスをとることができる。また、分子中への酸基の導入率を増やすことができ、感度や密着性等のバランスのとれた有機結合剤を得ることができる。多価アルコール(c)の使用量は、少な過ぎると効果が薄く、多過ぎると増粘やゲル化の可能性があるので、エポキシ化合物(a)及び/又はエポキシ化合物(a’)と不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物に対して通常0.01〜0.5重量倍程度、好ましくは0.02〜0.2重量倍程度である。
【0107】
<多塩基酸無水物(d)>
多塩基酸無水物としては、2塩基酸無水物、3塩基酸無水物、4塩基酸無水物等を用いることができる。
【0108】
4塩基酸無水物(テトラカルボン酸二無水物)としては公知のものが使用でき、例えば無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
4塩基酸無水物としては、上記例示化合物の中でも、特にビフェニルテトラカルボン酸無水物が好ましい。
【0109】
エポキシ化合物(a)及び/又はエポキシ化合物(a')と不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物に、多塩基酸無水物として4塩基酸無水物を反応させることにより、架橋反応により分子量が増大する。このため、基板への密着性向上、溶解性の調節、感度やアルカリ耐性の向上等の効果があり好ましい。
【0110】
2塩基酸無水物(ジカルボン酸無水物)としては、例えば無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸が好ましい。これらの2塩基酸無水物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0111】
エポキシ化合物(a)及び/又はエポキシ化合物(a')と不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物に、多塩基酸無水物として2塩基酸無水物を反応させることにより、溶解性の調節が容易となり、また基板への密着性が向上するため好ましい。
【0112】
3塩基酸無水物(トリカルボン酸無水物)としては、無水トリメリット酸、無水ヘキサヒドロトリメリット酸などが挙げられ、特に無水トリメリット酸、無水ヘキサヒドロトリメリット酸が好ましい。これらの3塩基酸無水物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0113】
3塩基酸無水物を用いることにより、(B)有機結合剤の分子量を増大させ、分子中に分岐を導入することができ、分子量と粘度のバランスをとることができる。また、分子中への酸基の導入量を増やすことができ、感度、密着性等のバランスが取れた有機結合剤を得ることができる。
【0114】
多塩基酸無水物(d)としては、特に4塩基酸無水物を用いることが好ましく、この場合、4塩基酸無水物の付加率は、エポキシ化合物(a)及び/又はエポキシ化合物(a’)に、不飽和基含有カルボン酸(b)を付加させたときに生成される水酸基に対し、通常10〜100モル%、好ましくは20〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%である。4塩基酸無水物(d)の付加率が少なすぎると、アルカリ可溶性不飽和樹脂の溶解性が不足したり、基板への密着性が不足する場合がある。
【0115】
なお、着色樹脂組成物の粘度調節や溶解性調節の点から、上述した4塩基酸無水物の一部を2塩基酸無水物に置き換えることが好ましい。
【0116】
4塩基酸無水物と2塩基酸無水物を併用する場合、そのモル比は、2塩基酸無水物:4塩基酸無水物=99:1〜20:80であることが好ましく、80:20〜30:70であることがより好ましい。この範囲よりも4塩基酸無水物が少なすぎる場合、得られる塗膜の膜物性が低下する可能性があり、2塩基酸無水物が少なすぎる場合、得られる樹脂溶液の粘度が増大し、取り扱いが困難となる場合がある。
【0117】
また、4塩基酸無水物及び/又は2塩基酸無水物と、3塩基酸無水物を併用する場合、3塩基酸無水物の使用量は、少なすぎると効果が薄く、アルカリ耐性低下の可能性があるので、3塩基酸無水物の使用量は、エポキシ化合物(a)及び/又はエポキシ化合物(a’)に、不飽和基含有カルボン酸(b)を付加させた時に生成される水酸基に対して、通常5〜70モル%、好ましくは10〜40モル%程度である。
【0118】
多塩基酸無水物として、4塩基酸無水物及び/又は2塩基酸無水物を用いる場合、或いは、4塩基酸無水物及び/又は2塩基酸無水物と、3塩基酸無水物を用いる場合も、全多塩基酸無水物(d)の付加率は、エポキシ化合物(a)及び/又はエポキシ化合物(a’)に不飽和基含有カルボン酸(b)を付加させたときに生成される水酸基に対し、通常10〜100モル%、好ましくは20〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%である。多塩基酸無水物(d)の付加率が少なすぎると、アルカリ可溶性不飽和樹脂の溶解性が不足したり、基板への密着性が不足する場合がある。
【0119】
上記のエポキシ化合物(a)及び/又はエポキシ化合物(a’)に、不飽和基含有カルボン酸(b)を付加させた後、或いは、上記のエポキシ化合物(a)及び/又はエポキシ化合物(a’)に、不飽和基含有カルボン酸(b)を付加させ、これに多価アルコール(c)を混合した後、4塩基酸無水物及び/又は2塩基酸無水物、或いは4塩基酸無水物及び/又は2塩基酸無水物と3塩基酸無水物等の多塩基酸無水物(d)を付加させる方法としては、公知の方法を用いることができる。
【0120】
その反応温度は通常80〜130℃、好ましくは90〜125℃である。反応温度が130℃を超えると、不飽和基の重合が一部起こり、分子量の急激な増大につながる可能性があり、80℃未満では反応がスムーズに進まず、多塩基酸無水物(d)が残存する可能性がある。
【0121】
このようにして得られるアルカリ可溶性不飽和樹脂の酸価は、通常10mg−KOH/g以上、好ましくは50mg−KOH/g以上である。このアルカリ可溶性不飽和樹脂の酸価が10mg−KOH/g未満では現像性が不足する場合がある。また、アルカリ可溶性不飽和樹脂の酸価が過度に高いとアルカリ耐性に問題がある(すなわち、アルカリ性現像液により、パターン表面の粗面化や、膜減りが生じる場合がある。)ので、酸価は200mg−KOH/g以下であることが好ましく、150mg−KOH/g以下であることがより好ましい。
【0122】
本発明に係るアルカリ可溶性不飽和樹脂の重量平均分子量は、1,500以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましい。また、20,000以下であることが好ましく、10,000以下であることがより好ましい。重量平均分子量が小さ過ぎると感度や塗膜強度、アルカリ耐性に問題が生じる可能性があり、大き過ぎると現像性や再溶解性に問題が生じる場合がある。
【0123】
本発明の(B)有機結合剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述したアルカリ可溶性不飽和樹脂以外の樹脂(以下「その他の有機結合剤」と称す)を含有していても良い。
【0124】
その他の有機結合剤としては、特に制限は無いが、例えば特開2007−271727号公報、特開2007−316620号公報、特開2007−334290号公報などに記載のバインダ樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0125】
(C)分散剤
本発明の着色樹脂組成物には、(A)色材を微細に分散させ、且つ、その分散状態を安定化させることが重要なため、(C)分散剤が配合されることが好ましい。
【0126】
(C)分散剤は、(A)色材及び(B)有機結合剤の双方に親和性を有するものであり、例えばノニオン、カチオン、アニオン等の界面活性剤、高分子分散剤等が挙げられる。中でも高分子分散剤が好ましく、特に1級、2級又は3級アミノ基や、ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基等の、塩基性官能基を有する高分子分散剤が好ましい。
【0127】
塩基性官能基を有する高分子分散剤として、好ましい化学構造を具体的に例示するならば、例えば、ポリイソシアネート化合物、分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物、及び同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を反応させることによって得られるウレタン系高分子分散剤が挙げられる。
【0128】
上述のポリイソシアネート化合物の例としては、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω′−ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート、及びこれらの三量体、水付加物、並びにこれらのポリオール付加物等が挙げられる。
ポリイソシアネートとして好ましいのはジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体である。これらは単独で用いても良く、併用しても良い。
【0129】
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ジイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のジイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
【0130】
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール等、及びこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化されたもの及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
【0131】
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、及びこれらの内2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0132】
ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物を、ジカルボン酸又はその無水物と反応させることにより得られるものか、或いはポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート、等が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
【0133】
ポリエステルグリコールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等)又はそれらの無水物とグリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタメチレングリコール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール;ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール;キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール;N−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン等)とを、重縮合させて得られたもの(例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等)、或いは、前記ジオール類又は炭素数1〜25の1価アルコールを出発物質として用いて得られるポリラクトンジオール又はポリラクトンモノオール(例えばポリカプロラクトングリコール、ポリメチルバレロラクトン)、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエステルグリコールとして最も好ましいのはポリカプロラクトングリコール又は炭素数1〜25のアルコールを出発物質として得られるポリカプロラクトンである。
【0134】
ポリカーボネートグリコールとしては、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等、ポリオレフィングリコールとしてはポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。
【0135】
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は、通常300〜10,000、好ましくは500〜6,000、さらに好ましくは1,000〜4,000である。
【0136】
本発明に用いられる、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を説明する。活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子又はイオウ原子に直接結合している水素原子としては、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級アミノ基の水素原子が好ましい。3級アミノ基は特に限定されない。また、3級アミノ基としては、炭素数1〜4のアルキル基を有するアミノ基、又はヘテロ環構造、より具体的には、イミダゾール環又はトリアゾール環が挙げられる。
【0137】
このような同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を例示するならば、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジプロピルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジプロピル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン等が挙げられる。
【0138】
また、3級アミノ基がN含有ヘテロ環であるものとして、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等のN含有ヘテロ5員環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環、イソキノリン環、等のN含有ヘテロ6員環が挙げられる。これらのN含有ヘテロ環として好ましいものはイミダゾール環又はトリアゾール環である。
【0139】
これらのイミダゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、ヒスチジン、2−アミノイミダゾール、1−(2−アミノエチル)イミダゾール等が挙げられる。また、トリアゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−(2−アミノ−5−クロロフェニル)−3−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジオール、3−アミノ−5−フェニル−1H−1,3,4−トリアゾール、5−アミノ−1,4−ジフェニル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1−ベンジル−1H−2,4−トリアゾール等が挙げられる。
【0140】
なかでも、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールが好ましい。
【0141】
分散剤原料の配合比率は、ポリイソシアネート化合物100重量部に対し、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物が、通常10〜200重量部、好ましくは20〜190重量部、さらに好ましくは30〜180重量部であり、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物は、通常0.2〜25重量部、好ましくは0.3〜24重量部である。
【0142】
塩基性官能基を有する高分子分散剤のゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常1,000〜200,000、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜50,000である。塩基性官能基を有する高分子分散剤の分子量が1,000未満では分散性及び分散安定性が劣る場合があり、200,000を超えると溶解性が低下し分散性が劣ると同時に反応の制御が困難となる可能性がある。
【0143】
ウレタン系高分子分散剤は、公知のポリウレタン樹脂の製造方法に従って製造される。
ウレタン系高分子分散剤を製造する際の溶媒としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等が用いられる。
【0144】
また触媒としては、一般的なウレタン化反応触媒が用いられ、具体的には例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0145】
同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の使用量は、得られる高分子分散剤のアミン価で1〜100mg−KOH/gの範囲となるように制御するのが好ましい。このアミン価はより好ましくは5〜95mg−KOH/gの範囲である。
【0146】
なお、分散剤のアミン価は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表し、次の方法により測定する。
100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/L HCLO酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし、次式によりアミン価を求める。
アミン価[mg−KOH/g]=(561×V)/(W×S)
(但し、W:分散剤試料秤取量 [g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[wt%]を表す。)
【0147】
アミン価が上記範囲より小さいと、分散能力が低下する傾向があり、また、上記範囲を超えると着色樹脂組成物の現像性が低下しやすくなる。
【0148】
なお、以上の反応で得られたウレタン系高分子分散剤分子中にイソシアネート基が残存する場合には、該イソシアネート基をアルコールやアミノ化合物と反応させることにより、分散剤の経時安定性が高くなるので好ましい。
【0149】
(D)光重合開始剤
本発明の着色樹脂組成物は、上記成分に加えて更に(D)光重合開始剤を含有する感光性着色樹脂組成物を提供する。
光重合開始剤(D)は、通常、加速剤及び必要に応じて添加される増感色素等の付加剤との混合物(光重合開始剤系)として用いられる。光重合開始剤系は、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する成分である。
【0150】
光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物;特開2000−56118号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体;特開平10−39503号公報記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体;ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン系化合物;特開2000−80068号公報、特開2006−36750号公報等に記載されているオキシムエステル系化合物等が挙げられる。
【0151】
具体的には、例えば、チタノセン誘導体類としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウム〔2,6−ジ−フルオロ−3−(ピロ−1−イル)−フェニ−1−イル〕等が挙げられる。
【0152】
また、ビイミダゾール誘導体類としては、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
【0153】
また、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−(6''−ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
【0154】
また、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類としては、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0155】
また、α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
【0156】
また、オキシムエステル系誘導体類としては、例えば以下の化合物などが挙げられる。
【0157】
【化34】

【0158】
【化35】

【0159】
【化36】

【0160】
【化37】

【0161】
【化38】

【0162】
その他に、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体類;ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体類;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類;p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体類;9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体類;9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体類;ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体類等も挙げられる。
【0163】
これらの光重合開始剤の中では、感度の点からオキシムエステル系誘導体類が特に好ましい。
【0164】
光重合開始剤系成分を構成する加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物又は脂肪族多官能メルカプト化合物等が用いられる。
【0165】
これら光重合開始剤及び加速剤は、それぞれ単独で用いても良く、併用しても良い。
【0166】
具体的な光重合開始剤系成分としては、例えば、「ファインケミカル」(1991年、3月1日号、vol.20、No.4)の第16〜26頁に記載されている、ジアルキルアセトフェノン系、ベンゾイン、チオキサントン誘導体等のほか、特開昭58−403023号公報、特公昭45−37377号公報等に記載されている、ヘキサアリールビイミダゾール系、S−トリハロメチルトリアジン系、特開平4−221958号公報、特開平4−219756号公報等に記載されている、チタノセンとキサンテン色素、アミノ基又はウレタン基を有する付加重合可能なエチレン性飽和二重結合含有化合物を組み合わせた系、等が挙げられる。
【0167】
光重合開始剤系成分には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素を配合させることができる。これら増感色素としては、特開平4−221958号、同4−219756号公報に記載のキサンテン色素、特開平3−239703号、同5−289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、特開平3−239703号、同5−289335号に記載の3−ケトクマリン化合物、特開平6−19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、特開昭47−2528号、同54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、同52−112681号、同58−15503号、同60−88005号、同59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
【0168】
これらの増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいものは、アミノ基及びフェニル基を同一分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。
このうち最も好ましいものは、4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
増感色素もまた1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0169】
(E)単量体
本発明の着色樹脂組成物において単量体は必須の成分ではないが、使用することが好ましい。
【0170】
本発明で用いる単量体としては、エチレン性不飽和基を一個以上有する化合物(以下、エチレン性化合物という)が使用される。具体的には、脂肪族(ポリ)ヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族(ポリ)ヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸と脂肪族ポリヒドロキシ化合物により得られるエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物の、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物と、不飽和カルボン酸とのエステル化反応物;脂肪族ポリヒドロキシ化合物の、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物と、不飽和カルボン酸とのエステル化反応物;カプロラクトン変性多価アルコールと不飽和カルボン酸とのエステル;多価アルコールと多価イソシアナートと不飽和カルボン酸との反応物;スチリル末端化合物;含リン酸不飽和化合物;ポリエポキシと不飽和カルボン酸との付加物、等が挙げられる。
【0171】
これらのうち、脂肪族(ポリ)ヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、具体的には、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロトネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0172】
芳香族(ポリ)ヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
【0173】
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物では無いが代表的な具体例としては、(メタ)アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、(メタ)アクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、(メタ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0174】
その他本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物なども有用である。
【0175】
以上挙げたエチレン性化合物の中で、(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましく、アクリロイル基を有するものがさらに好ましい。特に好ましい化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0176】
これらの(E)単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0177】
(F)溶剤
本発明の着色樹脂組成物は、通常、(A)色材、(B)有機結合剤、(C)分散剤と、必要に応じて配合される(D)光重合開始剤、(E)単量体や後述の(G)その他の成分を溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
【0178】
(F)溶剤としては、着色樹脂組成物を構成する各成分を溶解又は分散させることができるものであって、沸点が100〜300℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜280℃の沸点をもつ溶剤である。
【0179】
このような溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
【0180】
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
【0181】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
【0182】
アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
【0183】
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
【0184】
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等:
【0185】
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
【0186】
これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0187】
(フォトリソグラフィー法にてカラーフィルタの画素またはブラックマトリックスを形成する場合の溶剤)
フォトリソグラフィー法にてカラーフィルタの画素またはブラックマトリックスを形成する場合、溶剤としては沸点が100〜200℃(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。
上記溶剤中、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
【0188】
また、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の溶剤を併用してもよい。併用する溶剤として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる着色樹脂組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5重量%〜30重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。
【0189】
また、150℃以上の沸点をもつ溶剤(以下「高沸点溶剤」と称す場合がある。)を併用することも好ましい。このような高沸点溶剤を併用することにより、着色樹脂組成物は乾きにくくなるが、組成物中における顔料の均一な分散状態が、急激な乾燥により破壊されることを防止する効果がある。すなわち、例えばスリットノズル先端における、色材などの析出・固化による異物欠陥の発生を防止する効果がある。このような効果が高い点から、上述の各種溶剤の中でも、特にジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましい。
【0190】
溶剤中の高沸点溶剤の含有割合は、3重量%〜50重量%が好ましく、5重量%〜40重量%がより好ましく、5重量%〜30重量%が特に好ましい。高沸点溶剤の量が少なすぎると、例えばスリットノズル先端で色材などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす可能性があり、また多すぎると組成物の乾燥温度が遅くなり、後述するカラーフィルタ製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことが懸念される。
【0191】
なお沸点150℃以上の高沸点溶剤が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であってもよく、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の高沸点溶剤を別途含有させなくてもかまわない。
好ましい高沸点溶剤として、例えば前述の各種溶剤の中ではジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテート、トリアセチンなどが挙げられる。
【0192】
(インクジェット法にてカラーフィルタの画素を形成する場合の溶剤)
インクジェット法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶剤としては、沸点が、通常130℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上280℃以下のものが適当である。溶剤の沸点が低すぎると、得られる塗膜の均一性が不良になる傾向がある。逆に溶剤の沸点が高すぎると、後述するように、着色樹脂組成物の乾燥抑制の効果は高いが、熱焼成後においても塗膜中に残留溶剤が多く存在し、品質上の不具合を生じたり、真空乾燥などでの乾燥時間が長くなり、タクトタイムを増大させるなどの不具合を生じたりする場合がある。
また、溶剤の蒸気圧は、得られる塗膜の均一性の観点から、通常10mmHg以下、好ましくは5mmHg以下、より好ましくは1mmHg以下のものが使用できる。
【0193】
なお、インクジェット法によるカラーフィルタ製造において、ノズルから発せられるインクは数〜数十pLと非常に微細であるため、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾する前に、溶剤が蒸発してインクが濃縮・乾固する傾向がある。これを回避するためには、着色樹脂組成物に含まれる溶剤の沸点は高い方が好ましく、具体的には、着色樹脂組成物は、沸点180℃以上の溶剤を含むことが好ましい。より好ましくは、着色樹脂組成物は、沸点が200℃以上、特に好ましくは沸点が220℃以上である溶剤を含有する。また、沸点180℃以上である高沸点溶剤は、後述するインク及び/又はカラーフィルタ用着色樹脂組成物に含まれる全溶剤中、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上が最も好ましい。全溶剤中の沸点180℃以上の高沸点溶剤の割合が50重量%未満である場合には、液滴からの溶剤の蒸発防止効果が十分に発揮されない場合もある。
【0194】
沸点180℃以上の高沸点溶剤の好ましい溶剤としては、例えば前述の各種溶剤の中ではジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテート、トリアセチンなどが挙げられる。
【0195】
さらに、後述するインクや着色樹脂組成物の粘度調整や固形分の溶解度調整のためには、沸点が180℃より低い溶剤を一部含有することも効果的である。このような溶剤としては、低粘度で溶解性が高く、低表面張力であるような溶剤が好ましく、エーテル類、エステル類やケトン類などが好ましい。中でも特に、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノールアセテートなどが好ましい。
【0196】
一方、溶剤がアルコール類を含有すると、インクジェット法における吐出安定性が劣化する場合がある。よって、アルコール類は全溶剤中20重量%以下とすることが好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下が特に好ましい。
【0197】
(G)その他の成分
本発明の着色樹脂組成物は、(A)色材、(B)有機結合剤、(C)分散剤と、必要に応じて配合される(D)光重合開始剤、(E)単量体、(F)溶剤の他、さらに必要に応じて、密着向上剤、塗布性向上剤、現像改良剤等を添加することができる。
【0198】
{配合割合}
本発明の着色樹脂組成物において、(A)色材の配合量は、着色樹脂組成物の全固形分中、通常30〜70重量%、好ましくは35〜65重量%である。
(A)色材の配合量が上記範囲未満であると着色性((A)色材が黒色である場合は遮光性)が低下する可能性がある。特に(A)色材として黒色色材を含むブラックマトリックス用着色樹脂組成物の場合、充分な光学濃度の樹脂ブラックマトリックスを形成することが困難となる。逆に、(A)色材の配合量が上記範囲を超えると感度、解像性、現像性等が不充分となる場合があり画像形成が困難となる可能性がある。
【0199】
本発明の着色樹脂組成物において、(B)有機結合剤の配合量は、着色樹脂組成物の全固形分中、通常5〜80重量%、好ましくは10〜50重量%である。
(B)有機結合剤の配合量が上記範囲よりも少ないと現像性が不足する傾向があり、多いと感度が劣る傾向や、色濃度が不充分となる可能性がある。
【0200】
本発明の着色樹脂組成物において、(C)分散剤の使用割合は(A)色材に対して0.1〜30重量%が好ましく、特に0.5〜25重量%が好ましい。
(C)分散剤の配合量が上記範囲より少ないと、分散安定性が不充分となる場合があり、多いと光学濃度、感度、又は現像性が不充分となる場合がある。
【0201】
本発明の着色樹脂組成物において、(D)光重合開始剤の配合量は、(B)有機結合剤100重量部に対して通常0.1〜50重量部、好ましくは1〜45重量部である。(D)光重合開始剤の配合量が上記範囲未満であると、感度が不充分となる場合があり、また、上記範囲を超えると着色樹脂組成物の成膜性を低下させる傾向がある。
(E)単量体は(B)有機結合剤100重量部に対して通常0〜200重量部、好ましくは3〜180重量部の範囲で用いられる。(E)単量体の使用割合が上記未満であると、架橋密度が不充分となり、得られるパターンの耐久性、耐熱性等に問題が出る場合がある。また、上記範囲を超えると現像性が低下することがある。
また、前述の増感色素の配合量は、(B)有機結合剤100重量部に対して通常0.1〜30重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。増感色素の配合量が上記範囲を超えると、得られるパターンの形状が悪化する可能性がある。
【0202】
なお本発明の着色樹脂組成物は、前述の(F)溶剤を用いて、その固形分濃度が通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%の範囲となるように調液される。
【0203】
{製造方法}
次に本発明の着色樹脂組成物(以下「レジスト」と称することがある。)の製造方法について説明する。
本発明の着色樹脂組成物を製造するに当たり、通常(A)色材は、予めペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて分散処理するのが好ましい。分散処理により(A)色材が微粒子化されるため、レジストの塗布特性が向上する。また、(A)色材として黒色色材を使用した場合は遮光能力の向上に寄与する。
【0204】
分散処理は(A)色材、(C)分散材、及び(F)溶剤と、必要に応じて(B)有機結合剤の一部又は全部を併用した系にて行うことが好ましい。(以下、分散処理に供する混合物、及び該処理にて得られた組成物を「インク」と称することがある。)特に(C)分散剤として高分子分散剤を用いると、得られたインク及びレジストの経時の増粘が抑制される(分散安定性に優れる)ので好ましい。なお、着色樹脂組成物に配合する全成分を含有する液に対して分散処理を行った場合、分散処理時に生じる発熱のため、高反応性の成分が変性する可能性がある。従って、前述した成分を含む系にて分散処理を行うことが好ましい。
【0205】
サンドグラインダーで色材を分散させる場合には、0.1〜8mm程度の径のガラスビーズ又はジルコニアビーズが好ましく用いられる。分散処理条件は、温度は通常、0℃から100℃であり、好ましくは、室温から80℃の範囲である。分散時間は液の組成及び分散処理装置のサイズ等により適正時間が異なるため適宜調節する。レジストの20度鏡面光沢度(JIS Z8741)が100〜200の範囲となるように、インキの光沢を制御するのが分散の目安である。レジストの光沢度が低い場合には、分散処理が十分でなく荒い顔料(色材)粒子が残っていることが多く、現像性、密着性、解像性等が不十分となる可能性がある。また、光沢値が上記範囲を超えるまで分散処理を行うと、顔料が破砕して超微粒子が多数生じるため、却って分散安定性が損なわれる傾向がある。
【0206】
次に、上記分散処理により得られたインキと、レジスト中に含まれる、上記の他の成分を混合し、均一な溶液とする。レジストの製造工程においては、微細なゴミが液中に混じることが多いため、得られたレジストはフィルター等により濾過処理するのが望ましい。
【0207】
[カラーフィルタ]
次に、本発明の着色樹脂組成物を用いたカラーフィルタについて、その製造方法に従って説明する。
本発明のカラーフィルタを製造するには、まず、透明基板上に、本発明の感光性着色樹脂組成物を塗布して乾燥した後、該試料の上にフォトマスクを置き、該フォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化或いは光硬化を行いパターンを形成する。このプロセスにて、通常は、まず樹脂ブラックマトリックスを作製し、次いで赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の画素を形成することにより、カラーフィルタを形成する。
【0208】
{透明基板}
透明基板は、その材質に特に制限はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン等、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン等の熱可塑性プラスチックシート、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂等の熱硬化性プラスチックシート、或いは各種ガラス板等を挙げることができる。特に、耐熱性の点からガラス板、耐熱性プラスチックシートが好ましく用いられる。
【0209】
透明基板には、その表面の接着性等の物性を改良するために、予め、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤やウレタンポリマー等の各種ポリマーの薄膜処理等を行うこともできる。
【0210】
{着色樹脂組成物の塗布及び乾燥}
透明基板への着色樹脂組成物の塗布方法は特に限定されないが、通常、スピナー,ワイヤーバー,フローコーター,ダイコーター,ロールコーター,スプレー等の塗布装置を用いて行われる。
塗布後の乾燥にはホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等を用いることができ、好ましい乾燥条件は40〜150℃、乾燥時間は10秒〜60分の範囲である。
【0211】
塗布、乾燥後の樹脂ブラックマトリックスの膜厚は、通常0.1〜2μm、好ましくは0.1〜1.5μm、さらに好ましくは0.1〜1μmの範囲とするのがよい。なお、本発明のカラーフィルタにおける樹脂ブラックマトリックスは、遮光性の点から膜厚1μmあたりの光学濃度が3.0以上であるのが好ましい。また、(A)色材の分散状態の指標として、ブラックマトリックスの20度鏡面光沢度(JIS Z8741)が100〜200であることが好ましい。
【0212】
{露光及び現像}
露光に用いる光源は、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の照射光の波長のみを使用する場合には光学フィルターを利用することもできる。
【0213】
現像処理に用いる現像液は、未露光部のレジスト膜を溶解させる能力のある液であれば特に制限は受けない。例えばアセトン、塩化メチレン、トリクレン、シクロヘキサノン等の有機溶剤を使用することもできるが、有機溶剤は環境汚染、人体に対する有害性、火災危険性などをもつものが多いため、このような危険性の無いアルカリ現像液を使用するのが好ましい。
【0214】
このようなアルカリ現像液として、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機のアルカリ剤、或いはジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩等の有機のアルカリ剤を含有した水溶液が挙げられる。
アルカリ現像液には、必要に応じ、界面活性剤、水溶性の有機溶剤、水酸基又はカルボキシル基を有する低分子化合物等を含有させることもできる。特に、界面活性剤は現像性、解像性、地汚れなどに対して改良効果をもつものが多いため、添加することが好ましい。
【0215】
例えば、現像液に使用される界面活性剤としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウム基、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基を有するアニオン性界面活性剤、ポリアルキレンオキシ基を有するノニオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム基を有するカチオン性界面活性剤等を挙げることができる。
【0216】
現像処理方法については特に制限は無いが、通常10〜50℃、好ましくは15〜45℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法により行われる。
【0217】
上記着色樹脂組成物の塗布、乾燥、露光、及び現像工程により、樹脂ブラックマトリックス及びRGB3色の画素を作製することにより、カラーフィルタが得られる。この際、本発明の着色樹脂組成物は、ブラックマトリックスの形成にも、RGBの画素形成にも用いることができる。
なお、本発明の着色樹脂組成物を用いてカラーフィルタの画素を形成する場合には、非常に高感度、高解像力であるため、ポリビニルアルコール等の酸素遮断層を設けることなしに露光、現像して画像を形成することが可能である。
【0218】
[液晶表示装置(パネル)]
本発明の液晶表示装置は、前記のカラーフィルタを使用して、次の様にして製造することができる。
まず、カラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサーを配置した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成する。次いで、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。
【0219】
配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法やフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは、通常、10〜100nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行った後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調節し得る表面状態に加工される。
【0220】
スペーサーは、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが使用され、通常2〜8μmのものが好適である。カラーフィルタ基板上に、フォトリソグラフィ法によって透明樹脂膜のフォトスペーサー(PS)を形成し、これをスペーサーの代わりに活用することもできる。対向基板としては、通常、アレイ基板が使用され、特にTFT(薄膜トランジスター)基板が好適である。
【0221】
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によって異なるが、通常2〜8μmの範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂などのシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は加熱によって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
【0222】
周辺がシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記の液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶セル内に液晶を注入する。液晶セル内の減圧度は、通常1×10−2〜1×10−7Pa、好ましくは1×10−3〜1×10−6Paである。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は、通常30〜100℃、好ましくは50〜90℃である。減圧時の加温保持は、通常10〜60分間の範囲とされ、その後に液晶中に浸漬される。液晶が注入された液晶セルは、UV硬化樹脂の硬化により、液晶注入口を封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
【0223】
液晶の種類は、特に制限されず、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物など、従来公知の液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶などの何れでもよい。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶、コレステリック液晶などが知られているが、これらの何れであってもよい。
【0224】
[有機ELディスプレイ]
本発明のカラーフィルタを用いて有機ELディスプレイを作成する場合、例えば図1に示すように、まず透明支持基板10上に、着色樹脂組成物により形成されたパターン(すなわち、画素20、及び隣接する画素20の間に設けられた樹脂ブラックマトリックス(図示せず))が形成されてなるカラーフィルタを作製し、該カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって、有機EL素子100を作製することができる。なお、画素20及び樹脂ブラックマトリックスの内、少なくとも一つは本発明の着色樹脂組成物を用いて作製されたものである。有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100を用い、例えば「有機ELディスプレイ」(オーム社,2004年8月20日発光,時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載された方法等にて、有機ELディスプレイを作製することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
【実施例】
【0225】
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0226】
[合成例]
<高分子分散剤溶液の調製>
合成例1
トリレンジイソシアネートの三量体(三菱化学社製「マイテックGP750A」、樹脂固形分50重量%、酢酸ブチル溶液)32gと触媒としてジブチルチンジラウレート0.02gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)47gで希釈溶解した。攪拌下に、これに、片末端がメトキシ基となっている数平均分子量1,000のポリエチレングリコール(日本油脂社製「ユニオックスM−1000」)14.4gと数平均分子量1,000のポリプロピレングリコール(三洋化成工業社製「サンニックスPP−1000」)9.6gとの混合物を滴下した後、70℃でさらに3時間反応させた。次に、N,N−ジメチルアミノ−1,3−プロパンジアミン1gを加え、40℃でさらに1時間反応させた。このようにして得られた塩基性高分子分散剤を含有する溶液のアミン価を中和滴定により求めたところ14mg−KOH/gであった。また、樹脂含有量をドライアップ法(150℃で30分間、ホットプレート上で溶剤を除去し、重量変化量により樹脂濃度を算出)により求めたところ40重量%であった。
【0227】
<有機結合剤の合成>
合成例2
【化39】

【0228】
上記構造のエポキシ化合物(エポキシ当量264)50g、アクリル酸13.65g、3−メトキシブチルアセテート60.5g、トリフェニルホスフィン0.936g、及びパラメトキシフェノール0.032gを温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら90℃で酸価が5mg−KOH/g以下になるまで反応させた。反応には12時間を要し、エポキシアクリレート溶液(2−0)を得た。
【0229】
得られたエポキシアクリレート溶液(2−0)と、トリメチロールプロパン(TMP)、ビフェニルテトラカルボン酸2無水物(BPDA)、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)、及びトリメリット酸無水物(TMA)を表1に示す重量比で、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温して反応させた(ただし、バインダー樹脂溶液(2−2)及び(2−3)の調製にはTMP使用せず。)。樹脂溶液が透明になったところでメトキシブチルアセテートで希釈し、固形分50重量%となるよう調整し、表1に示す固形分酸価のエポキシアクリレート反応液(バインダー樹脂溶液)(2−1)、(2−2)及び(2−3)を得た。
【0230】
合成例3
【化40】

【0231】
上記構造のエポキシ化合物(エポキシ当量264)50g、アクリル酸13.65g、メトキシブチルアセテート60.5g、トリフェニルホスフィン0.936g、及びパラメトキシフェノール0.032gを、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら90℃で酸価が5mg−KOH/g以下になるまで反応させた。反応には12時間を要し、エポキシアクリレート溶液(3−0)を得た。
【0232】
得られたエポキシアクリレート溶液(3−0)と、トリメチロールプロパン(TMP)、ビフェニルテトラカルボン酸2無水物(BPDA)、及びテトラヒドロフタル酸無水物(THPA)を、表1に示す重量比で、合成例2と同様に反応させて(ただし、バインダー樹脂溶液(3−2)の調製にはTMP使用せず。)、表1に示す固形分酸価のエポキシアクリレート反応液(バインダー樹脂溶液)(3−1)及び(3−2)を得た。
【0233】
合成例4
【化41】

【0234】
上記構造のエポキシ化合物(エポキシ当量231)40g、アクリル酸12.7g、メトキシブチルアセテート47.8g、トリフェニルホスフィン1.00g、及びパラメトキシフェノール0.025gを、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら90℃で酸価が5mg−KOH/g以下になるまで反応させた。反応には15時間を要し、エポキシアクリレート溶液(4−0)を得た。
【0235】
得られたエポキシアクリレート溶液(4−0)と、トリメチロールプロパン(TMP)、ビフェニルテトラカルボン酸2無水物(BPDA)、及びテトラヒドロフタル酸無水物(THPA)を、表1に示す重量比で、合成例2と同様に反応させて(ただし、バインダー樹脂溶液(4−2)の調製にはTMP使用せず。)、表1に示す固形分酸価のエポキシアクリレート反応液(バインダー樹脂溶液)(4−1)又は(4−2)を得た。
【0236】
合成例5
【化42】

【0237】
上記構造のエポキシ化合物(エポキシ当量252)40g、アクリル酸11.6g、メトキシブチルアセテート46.5g、トリフェニルホスフィン1.00g、及びパラメトキシフェノール0.025gを、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら95℃で酸価が5mg−KOH/g以下になるまで反応させた。反応には15時間を要し、エポキシアクリレート溶液(5−0)を得た。
【0238】
得られたエポキシアクリレート溶液(5−0)と、ビフェニルテトラカルボン酸2無水物(BPDA)、及びテトラヒドロフタル酸無水物(THPA)を、表1に示す重量比で、合成例2と同様に反応させて、表1に示す固形分酸価のエポキシアクリレート反応液(バインダー樹脂溶液)(5−1)を得た。
【0239】
【表1】

【0240】
<インクの調製>
合成例6
カラー用カーボンブラック(三菱化学社製「MA−8」、平均粒子径24μm、DBP吸油量58ml/100g)100gを2軸ニ−ダ−内で超純水500mlとともに20分混練し、濾過により超純水を除去した。濾過されたカ−ボンブラックに再度超純水を添加して混練し、濾過を4回繰り返し行った。最後に濾過したカ−ボンブラックを乾燥して洗浄したカ−ボンブラックを得た。洗浄したカーボンブラック50重量部、合成例1で調製された塩基性高分子分散剤含有溶液を固形分として10重量部の割合で、かつ固形分濃度が30重量%となるようにカーボンブラック、塩基性高分子分散剤含有溶液及びPGMEAを加えた。分散液の全重量は50gであった。これを攪拌機にて、よく攪拌しプレミキシングを行った。
次に、ペイントシェーカーにより25〜45℃の範囲で6時間分散処理を行った。ビーズは0.5mmφのジルコニアビーズを用い、分散液と同じ重量を加えた。分散終了後(JIS Z8741における20度鏡面光沢度は170)、フィルターによりビーズと分散液を分離して、カーボンブラック分散インクを調製した。
【0241】
[実施例1〜5及び比較例1〜3]
(1)レジストの調合
合成例6で調製したカーボンブラック分散インキを用いて、下記の配合割合となるように各成分を加え、スターラーにより攪拌、溶解させて、ブラックレジストを調製した。
【0242】
〈配合割合〉
合成例6で調製したインク:固形分として50g
合成例2〜5で調製したバインダー樹脂溶液:固形分として30g
光重合性単量体(エチレン性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート):10g
合成例1で調製した塩基性高分子分散剤含有溶液:固形分として5g
光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズCGI242;下記構造式に示す化合物):5g
【化43】

有機溶剤(PGMEA):300g
界面活性剤(住友3M社製「FC−430」フッ素系界面活性剤):レジスト中の濃度が100ppmとなる量
【0243】
(2)レジストの評価
(1)レジストの調合で得られたブラックレジストをスピンコーターにてガラス基板(コーニング社製「7059」)に塗布し、ホットプレートで80℃にて1分間乾燥した。乾燥後のレジストの膜厚を触針式膜厚計(テンコール社製「α−ステップ」)で測定したところ1μmであった。次に、このサンプルをマスクを通して、高圧水銀灯で露光量を変えて露光した。その後、温度25℃で、濃度0.8重量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いて、圧力0.15MPaにてスプレー現像することによりレジストパターンを得た。形成されたレジストパターンについて、感度、解像力及び遮光性を下記の基準で評価し、結果を表2に示した。
【0244】
1.感度
寸法が20μmのマスクパターンを寸法通り形成できる適正露光量(mj/cm)をもって表示した。すなわち、露光量の少ないレジストは低露光量で画像形成が可能であるため高感度であることを示す。
【0245】
2.解像力
寸法が20μmのマスクパターンを忠実に再現する露光量における、解像可能な最小パターン寸法を200倍の倍率で顕微鏡観察し、下記基準で評価した。
最小パターン寸法が10μm以下 : ◎
最小パターン寸法が10μmを超え15μm以下: ○
最小パターン寸法が15μmを超える : ×
【0246】
3.遮光性
画像の光学濃度(OD)をマクベス反射濃度計(コルモルグン社製「TR927」)で測定した。なお、OD値は遮光能力を示す数値であり、数値が大きい程、高遮光性であることを示す。
【0247】
4.残渣
まず上述の実施例及び比較例にて得られたレジストの各々につき、後述の方法にて定めた「未露光部が溶解する時間」を求めた。この「未露光部が溶解する時間」において、レジストが完全に現像除去されているべき部分(未露光部)について詳細観察を行い、下記基準で評価した。
完全に膜がみられない。 ○
白い膜が薄くみられる。 ×
〈未露光部が溶解する時間〉
上記「(2)レジストの評価」におけると同様に、ガラス基板上にブラックレジストを塗布・乾燥し、得られた乾燥塗布膜を、濃度0.8重量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いて、現像液温度25℃、圧力0.15MPaにてスプレー現像した(正確には、乾燥塗布膜を溶解させた。)。基板上の着色樹脂組成物が現像液へ完全に溶解して、基板が露出した時間を、その着色樹脂組成物の「未露光部が溶解する時間」とした。
【0248】
【表2】

【0249】
表2より、本発明の着色樹脂組成物は、(B)有機結合剤として特定の樹脂を用いることにより、感度、解像力、遮光性に優れ、しかも残渣が生じない優れたものであることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0250】
【図1】本発明のカラーフィルタを備えた有機EL素子の一例を示す断面概略図である。
【符号の説明】
【0251】
10 透明支持基板
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
50 透明陽極
51 正孔注入層
52 正孔輸送層
53 発光層
54 電子注入層
55 陰極
100 有機EL素子
500 有機発光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(A)色材、及び(B)有機結合剤を含有する着色樹脂組成物であって、
(B)有機結合剤が、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)と不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物を、多塩基酸無水物(d)と反応させることにより得られる、酸価が10mg−KOH/g以上のアルカリ可溶性不飽和樹脂を含有することを特徴とする着色樹脂組成物。
【化1】

〔上記一般式(1)において、Xは下記一般式(2a)又は(2b)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に、一つ以上のアダマンタン構造を含む。lは、2又は3の整数を示す。
【化2】

(上記一般式(2a)及び(2b)において、R〜R,R13〜R15は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
上記一般式(2a)及び(2b)において、*は、一般式(1)におけるグリシジルオキシ基との結合部位を示す。)〕
【請求項2】
少なくとも(A)色材、及び(B)有機結合剤を含有する着色樹脂組成物であって、
(B)有機結合剤が、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)及び/又は下記一般式(1A)で表されるエポキシ化合物(a’)と、不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物を、多価アルコール(c)と混合した後、多塩基酸無水物(d)と反応させることにより得られる、酸価が10mg−KOH/g以上のアルカリ可溶性不飽和樹脂を含有することを特徴とする着色樹脂組成物。
【化3】

〔上記一般式(1)において、Xは下記一般式(2a)又は(2b)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に、一つ以上のアダマンタン構造を含む。lは、2又は3の整数を示す。
【化4】

(上記一般式(2a)及び(2b)において、R〜R,R13〜R15は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
上記一般式(2a)及び(2b)において、*は、一般式(1)におけるグリシジルオキシ基との結合部位を示す。)〕
【化5】

〔上記一般式(1A)において、X’は下記一般式(3)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に、一つ以上のアダマンタン構造を含む。lは、2又は3の整数を示す。
【化6】

(上記一般式(3)において、R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。Yは、置換基を有していてもよい、アダマンタン構造を含む2価の連結基を示す。
上記一般式(3)において、*は、一般式(1A)におけるグリシジルオキシ基との結合部位を示す。)〕
【請求項3】
多塩基酸無水物(d)が、4塩基酸無水物及び/又は2塩基酸無水物と、3塩基酸無水物とを含有することを特徴とする請求項2に記載の着色樹脂組成物。
【請求項4】
少なくとも(A)色材、及び(B)有機結合剤を含有する着色樹脂組成物であって、
(B)有機結合剤が、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)及び/又は下記一般式(1A)で表されるエポキシ化合物(a’)と、不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物を、多塩基酸無水物(d)と反応させることにより得られる、酸価が10mg−KOH/g以上のアルカリ可溶性不飽和樹脂を含有し、
多塩基酸無水物(d)が、4塩基酸無水物及び/又は2塩基酸無水物と、3塩基酸無水物とを含有することを特徴とする着色樹脂組成物。
【化7】

〔上記一般式(1)において、Xは下記一般式(2a)又は(2b)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に、一つ以上のアダマンタン構造を含む。lは、2又は3の整数を示す。
【化8】

(上記一般式(2a)及び(2b)において、R〜R,R13〜R15は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
上記一般式(2a)及び(2b)において、*は、一般式(1)におけるグリシジルオキシ基との結合部位を示す。)〕
【化9】

〔上記一般式(1A)において、X’は下記一般式(3)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に、一つ以上のアダマンタン構造を含む。lは、2又は3の整数を示す。
【化10】

(上記一般式(3)において、R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。Yは、置換基を有していてもよい、アダマンタン構造を含む2価の連結基を示す。
上記一般式(3)において、*は、一般式(1A)におけるグリシジルオキシ基との結合部位を示す。)〕
【請求項5】
前記一般式(3)におけるYが、下記式(4)又は(5)で表される連結基であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【化11】

〔式(4)、(5)は置換基を有していても良く、*は一般式(3)におけるベンゼン環との結合部位を示す。〕
【請求項6】
前記一般式(2a)又は(2b)で表されるXが、アダマンタン構造を2以上4以下有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項7】
前記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)が、下記一般式(7)で表されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【化12】

〔一般式(7)において、R24,R25は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
一般式(7)に示されるアダマンチル基は置換基を有していても良い。〕
【請求項8】
前記一般式(1A)で表されるエポキシ化合物(a’)が、下記一般式(6)で表されることを特徴とする請求項2ないし7のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【化13】

〔一般式(6)において、R16〜R23は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
一般式(6)に示されるアダマンチル基は置換基を有していても良い。〕
【請求項9】
前記一般式(1)におけるXの分子量が、200以上、1000以下であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項10】
前記一般式(1A)におけるX’の分子量が、200以上、1000以下であることを特徴とする請求項2ないし9のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項11】
前記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(a)のエポキシ当量が、210以上、450以下であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項12】
前記一般式(1A)で表されるエポキシ化合物(a’)のエポキシ当量が、210以上、450以下であることを特徴とする請求項2ないし11のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項13】
多価アルコール(c)が、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、及び1,2,3−プロパントリオールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の多価アルコールであることを特徴とする請求項2、3、5ないし12のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項14】
3塩基酸無水物が、無水トリメリット酸及び/又は無水ヘキサヒドロトリメリット酸である請求項3ないし13のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項15】
前記アルカリ可溶性不飽和樹脂の重量平均分子量が、2,000以上、20,000以下であることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項16】
更に、(C)分散剤を含有することを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項17】
更に、(E)単量体を含有することを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項18】
更に、(D)光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1ないし17のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項19】
(A)色材の含有量が、着色樹脂組成物の全固形分中、30〜70重量%であることを特徴とする請求項1ないし18のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項20】
(A)色材が、黒色色材を含有することを特徴とする請求項1ないし19のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項21】
透明基板上に、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素又はブラックマトリックスを有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項22】
請求項21に記載のカラーフィルタを用いて作製された、液晶表示装置。
【請求項23】
請求項21に記載のカラーフィルタを用いて作製された、有機ELディスプレイ。

【図1】
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【公開番号】特開2008−287246(P2008−287246A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105844(P2008−105844)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】