説明

着色硬化性組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、ならびに固体撮像素子

【課題】着色剤を高濃度で含有しつつも、感度が高く、残渣の発生を防止し、良好なパターンを形成することができる着色硬化性組成物、カラーフィルタおよびその製造方法ならびに固体撮像素子を提供する。
【解決手段】(A)一般式(I)で表され、且つ、波長365nmにおけるモル吸光係数が12,000〜500,000である光重合開始剤と、(B)重合性化合物と、(C)着色剤とを含有する着色硬化性組成物。


〔一般式(I)中、R及びBは各々独立に一価の有機基を表し、Xは一価の置換基を表し、Y及びYは各々独立に水素原子又は一価の置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色硬化性組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、ならびに固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタを作製する方法としては、染色法、印刷法、電着法及び顔料分散法が知られている。
【0003】
このうち顔料分散法は、顔料を種々の感光性組成物に分散させた着色硬化性組成物を用いてフォトリソ法によってカラーフィルタを作製する方法であり、顔料を使用しているために光や熱等に安定であるという利点を有している。また、フォトリソ法によってパターニングするため、位置精度が高く、大画面、高精細カラーディスプレイ用カラーフィルタを作製するのに好適な方法として広く利用されてきた。
【0004】
顔料分散法によりカラーフィルタを作製する場合、ガラス基板上に感光性組成物をスピンコーターやロールコーター等により塗布し乾燥させて塗膜を形成し、該塗膜をパターン露光・現像することによって着色された画素が形成され、この操作を各色ごとに繰り返し行うことでカラーフィルタを得ることができる。上記の顔料分散法としては、アルカリ可溶性樹脂に光重合性モノマーと光重合開始剤とを併用したネガ型感光性組成物が記載されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方近年、固体撮像素子用のカラーフィルタにおいては更なる高精細化と薄膜化が望まれている。例えば、分光特性が維持された薄膜を形成する技術として、着色硬化性組成物の全固形分中における着色剤含有量を増加させ、樹脂によりパターン形成性を改良する技術が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献2や3に記載されているような処方のままさらに着色剤含有量を向上すると、著しく低感度化し、低露光量領域ではパターンが剥離する問題が発生する。更に、色材(着色剤)を高濃度で含有するため、画素間の残渣が発生しやすい。特に、固体撮像素子用カラーフィルタは、CCDなどの固体撮像素子の高集光性、かつ、高色分離性による画質向上のため、カラーフィルタの高着色濃度・薄膜化への要求があることから、上記のごとき低感度や残渣の発生について改善が望まれていた。
【0007】
また、カラーフィルタにおける高い着色濃度を得るために、画素パターン形成に用いる光硬化性組成物中に着色剤を多量に添加すると、例えば、2.5μm以下の微細な画素パターンの形状を忠実に再現するには感度が不足してしまい、全体的にパターンの欠落が多発する傾向がある。
【0008】
このように、主にカラーフィルタに用いられる光硬化性組成物に関しては、着色剤を高濃度で含有した場合であっても、良好なパターン形成性を得る必要があることから、硬化感度が高いことが望まれているのが現状である。硬化感度の向上の観点からは、光硬化性組成物が含有する重合開始剤の添加量を増量する態様が挙げられる。しかし、重合開始剤の添加量を増量すると未硬化部の除去性が低下してしまい、特にパターンサイズが1.5μm以下のベイヤーパターンを形成した際に、着色パターンの非形成領域に著しい残渣が発生するという問題があった。このような、残渣発生の問題を改良するために、例えば、親水性基を有する光硬化性化合物を適用する態様が挙げられるが、この場合には、感度が低下してしまうという問題があった。
【特許文献1】特開平2−199403号公報
【特許文献2】特開2006−276878号公報
【特許文献3】特許第3823579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、着色剤を高濃度で含有する場合であっても、高感度で硬化し、良好なパターン形成性を有し、且つ未硬化部の除去性に優れた着色硬化性組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、良好な形状の着色パターンを有し、該着色パターンの非形成領域における残渣が抑制されたカラーフィルタ、及び該カラーフィルタを高い生産性で製造しうる製造方法、並びに、該カラーフィルタを備えた固体撮像素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、波長365nmにおける吸収効率が高い特定のオキシム光重合開始剤を使用することで、着色剤を高濃度で含有する場合であっても、高感度で硬化し、良好なパターン形成性を有し、且つ未硬化部の除去性に優れるとの知見を得た。
すなわち、前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (A)下記一般式(I)で表され、且つ、波長365nmにおけるモル吸光係数が12,000〜500,000である光重合開始剤と、(B)重合性化合物と、(C)着色剤とを含有する着色硬化性組成物である。
【0011】
【化1】



【0012】
一般式(I)中、R及びBは各々独立に一価の有機基を表し、Xは一価の置換基を表し、Y及びYは各々独立に水素原子又は一価の置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。
【0013】
<2> 前記(A)で表される光重合開始剤が、一般式(II)で表される光重合開始剤であることを特徴とする前記<1>に記載の着色硬化性組成物である。
【0014】
【化2】



【0015】
前記一般式(II)中、R、B及びQは各々独立に一価の有機基を表し、Zは一価の置換基を表し、nは0〜5の整数を表す。
【0016】
<3> 更に、(D)少なくとも1つの不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂を含有することを特徴とする前記<1>または前記<2>に記載の着色硬化性組成物である。
【0017】
<4> 前記(D)で表されるアルカリ可溶性樹脂が、下記一般式(1)〜一般式(3)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造単位と、下記一般式(4)で表される構造単位とを有することを特徴とする前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物である。
【0018】
【化3】



【0019】
【化4】



【0020】
【化5】



【0021】
【化6】



【0022】
前記一般式(1)〜(3)中、A、A、及びAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R21)−を表し、R21は、置換基を有してもよいアルキル基を表す。G、G、及びGは、それぞれ独立に2価の有機基を表す。X及びZは、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表し、R22は置換基を有してもよいアルキル基を表す。Yは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいフェニレン基、又は−N(R23)−を表し、R23は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R〜R20は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。
前記一般式(4)中、Rは、水素あるいは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは、2価の連結基を表す。
【0023】
<5> 前記(B)で表される着色剤の含有量が、着色硬化性組成物の全固形分に対して50質量%以上90質量%以下であることを特徴とする前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物である。
【0024】
<6> 前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物を用いてなる着色パターンを有することを特徴とするカラーフィルタである。
【0025】
<7> 支持体上に、前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物を塗布して着色硬化性組成物層を形成する工程と、
前記着色硬化性組成物層を、マスクを介して露光する工程と、
露光後の前記着色硬化性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程と、
を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0026】
<8> 前記<6>に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、着色剤を高濃度で含有する場合であっても、高感度で硬化し、良好なパターン形成性を有し、且つ未硬化部の除去性に優れた着色硬化性組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、良好な形状の着色パターンを有し、該着色パターンの非形成領域における残渣が抑制されたカラーフィルタ、及び該カラーフィルタを高い生産性で製造しうる製造方法、並びに、該カラーフィルタを備えた固体撮像素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
〔着色硬化性組成物〕
本発明の着色硬化性組成物は、少なくとも(A)下記一般式(I)で表され、且つ、波長365nmにおけるモル吸光係数が12,000〜500,000である光重合開始剤(以下、「特定光重合開始剤」ともいう)と、(B)重合性化合物と、(C)着色剤とを含有する。
【0029】
<(A)特定光重合開始剤>
特定光重合開始剤は、波長365nmにおけるモル吸光係数が
12,000〜500,000であり、下記一般式(I)で表される化合物である。波長365nmにおけるモル吸光係数が12,000〜500,000であることで、着色組成物に高濃度の着色剤を含有していても感度良く(B)重合性化合物を重合することができる。
波長365nmにおけるモル吸光係数は感度の観点から、12,000〜300,000であることが好ましく、13,000〜300,000であることがより好まく、14,000〜200,000であることが特に好ましい。
上記モル吸光係数は、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spectrophotometer)にて、分光分析用酢酸エチル溶媒を用いて0.01g/Lの濃度で測定した値をいう。
【0030】
次に、下記一般式(I)について説明する。
【0031】
【化7】



【0032】
一般式(I)中、R及びBは各々独立に一価の有機基を表し、Xは一価の置換基を表し、Y及びYは各々独立に水素原子又は一価の置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。
【0033】
一般式(I)で表される特定光重合開始剤について詳細に説明する。
Rで表される一価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルキルチオカルボニル基、置換基を有してもよいアリールチオカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノチオカルボニル基等が挙げられる。
【0034】
置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、3−ニトロフェナシル基等が挙げられる。
【0035】
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。
【0036】
置換基を有してもよいアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられる。
【0037】
置換基を有してもよいアルキニル基としては、炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
【0038】
置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基が好ましく、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、デカノイルスルフィニル基、ドデカノイルスルフィニル基、オクタデカノイルスルフィニル基、シアノメチルスルフィニル基、メトキシメチルスルフィニル基等が挙げられる。
【0039】
置換基を有してもよいアリールスルフィニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルフィニル基が好ましく、例えば、フェニルスルフィニル基、1−ナフチルスルフィニル基、2−ナフチルスルフィニル基、2−クロロフェニルスルフィニル基、2−メチルフェニルスルフィニル基、2−メトキシフェニルスルフィニル基、2−ブトキシフェニルスルフィニル基、3−クロロフェニルスルフィニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル基、3−シアノフェニルスルフィニル基、3−ニトロフェニルスルフィニル基、4−フルオロフェニルスルフィニル基、4−シアノフェニルスルフィニル基、4−メトキシフェニルスルフィニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
【0040】
置換基を有してもよいアルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メトキシメチルスルホニル基、パーフルオロアルキルスルホニル基等が挙げられる。
【0041】
置換基を有してもよいアリールスルホニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニル基が好ましく、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0042】
置換基を有してもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0043】
置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0044】
置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0045】
置換基を有してもよいホスフィノイル基としては、総炭素数2〜50のホスフィノイル基が好ましく、例えば、ジメチルホスフィノイル基、ジエチルホスフィノイル基、ジプロピルホスフィノイル基、ジフェニルホスフィノイル基、ジメトキシホスフィノイル基、ジエトキシホスフィノイル基、ジベンゾイルホスフィノイル基、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィノイル基等が挙げられる。
【0046】
置換基を有してもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びリン原子から選択されるヘテロ原子を含む、芳香族或いは脂肪族の複素環基が好ましい。該複素環基としては、例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基等が挙げられる。
【0047】
置換基を有してもよいアルキルチオカルボニル基としては、例えば、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、トリフルオロメチルチオカルボニル基等が挙げられる。
【0048】
置換基を有してもよいアリールチオカルボニル基としては、例えば、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、4−メトキシフェニルチオカルボニル基等が挙げられる。
【0049】
置換基を有してもよいジアルキルアミノカルボニル基としては、例えば、ジメチルアミノカルボニル基、ジメエルアミノカルボニル基、ジプロピルアミノカルボニル基、ジブチルアミノカルボニル基等が挙げられる。
【0050】
置換基を有してもよいジアルキルアミノチオカルボニル基としては、例えば、ジメチルアミノチオカルボニル基、ジプロピルアミノチオカルボニル基、ジブチルアミノチオカルボニル基等が挙げられる。
【0051】
中でも、高感度化の点からは、Rで表される一価の有機基としてはアシル基がより好ましく、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トルイル基が好ましい。
【0052】
前記一般式(I)におけるRで表される一価の有機基の具体例としては、以下に示すものが高感度化の観点から好ましい。
【0053】
【化8】



【0054】
Bで表される一価の有機基としては、フェニル基(但し、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、−OR、−SRもしくは−N(R10)(R11)の1個以上で置換されてもよい。)、炭素数1〜20のアルキル基(但し、アルキル基の炭素数が2〜20の場合、主鎖を構成する炭素原子間に1個以上の酸素原子若しくはS原子を有してもよく、あるいは1個以上のヒドロキシ基で置換されてもよい。)、炭素数1〜20のアルケニル基(但し、アルケニル基の炭素数が2〜20の場合、主鎖を構成する炭素原子間に1個以上の酸素原子若しくはS原子を有してもよく、あるいは1個以上のヒドロキシ基で置換されてもよい。)、炭素数1〜20のアルキニル基(但し、アルキニル基の炭素数が2〜20の場合、主鎖を構成する炭素原子間に1個以上の酸素原子若しくはS原子を有してもよく、あるいは1個以上のヒドロキシ基で置換されてもよい。)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基、ベンゾイル基(但し、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、−OR、−SRもしくは−N(R10)(R11)の1個以上で置換されてもよい。)、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基(但し、アルコキシル基の炭素数が2〜11の場合、該アルコキシル基は主鎖を構成する炭素原子間に1個以上の酸素原子を有してもよく、あるいは1個以上のヒドロキシ基で置換されてもよい。)、フェノキシカルボニル基(但し、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、−ORもしくは−N(R10)(R11)の1個以上で置換されてもよい。)、シアノ基、ニトロ基、−CON(R10)(R11)、炭素数1〜4のハロアルキル基、−S(O)m−R12(但し、R12は炭素数1〜6のアルキル基を示し、mは0〜2の整数である。)、−S(O)m−R13(但し、R13は炭素数6〜12のアリール基を示し、炭素数1〜12のアルキル基で置換されてもよく、mは0−2の整数である。)、炭素数1〜6のアルコキシスルホニル基、炭素数6〜10のアリーロキシスルホニル基、又はジフェニルホスフィノイル基が挙げられる。
【0055】
前記Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、置換された炭素数2〜6のアルキル基{但し、置換基は、ヒドロキシ基、メルカプト基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシル基、炭素数3〜6のアルケニルオキシ基、2−シアノエトキシ基、炭素数4〜7の2−(アルコキシカルボニル)エトキシ基、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基、カルボキシル基もしくは炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基の1個以上からなる。}、主鎖を構成する炭素原子間に1個以上の酸素原子を有する炭素数2〜6のアルキル基、炭素数2〜8のアルカノイル基、−(CHCHO)nH(但し、nは1〜20の整数である。)、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜6のアルケノイル基、シクロヘキシル基、フェニル基(但し、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシル基で置換されてもよい。)、炭素数7〜9のフェニルアルキル基、−Si(R14)r(R15−r(但し、R14は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R15はフェニル基を示し、rは1〜3の整数である。)を表す。
【0056】
前記Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のアルケニル基、シクロヘキシル基、置換された炭素数2〜6のアルキル基{但し、置換基は、ヒドロキシ基、メルカプト基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシル基、炭素数3〜6のアルケニルオキシ基、2−シアノエトキシ基、炭素数4〜7の2−(アルコキシカルボニル)エトキシ基、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基、カルボキシル基もしくは炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基の1個以上からなる。}、主鎖を構成する炭素原子間に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子を有する炭素数2〜12のアルキル基、フェニル基(但し、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシル基で置換されてもよい。)、炭素数7〜9のフェニルアルキル基を表す。
【0057】
X、Y、又はYで表される一価の置換基としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアルキルオキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオカルボニル基、置換基を有してもよいアリールチオカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノチオカルボニル基、カルボン酸基、スルホン酸基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアミノ基、及び、これらを組み合わせてなる置換基、等が挙げられる。
【0058】
中でも、Xで表される一価の置換基としては、感度向上と組成物の経時安定性の観点から、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フェニル基であることが好ましい。Y又はYは、感度向上と組成物の経時安定性の観点から、水素原子、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フェニル基であることが好ましい。
【0059】
X、Y及びYで表される一価の置換基のうちの2つは、互いに結合して環構造を形成してもよい。
【0060】
は0〜4の整数を表し、0〜2が好ましく、1がより好ましい。nが2〜4の整数を表すとき、Xは同じ置換基であっても、異なる置換基であってもよい。
【0061】
一般式(I)におけるカルボニル炭素に連結する部分構造である、下記部分構造(III)の例を以下に挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、下記部分構造(III)におけるX、Y、Y、及びnの詳細は、一般式(I)の説明において既述した通りである。
【0062】
【化9】



【0063】
【化10】



【0064】
【化11】



【0065】
前記特定光重合開始剤は、下記一般式(II)で表される光重合開始剤であることがより好ましい。
【0066】
【化12】



【0067】
一般式(II)中、R、B及びQは各々独立に一価の有機基を表し、Zは一価の置換基を表し、nは0〜5の整数を表す。
【0068】
一般式(II)におけるBは、前記一般式(I)におけるBと同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(II)におけるRは、前記一般式(I)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(II)におけるQは、前記一般式(I)におけるBと同義であり、具体例も同じである。前記Qの好ましい範囲は、炭素数1〜20のアルキル基であり、エチル基が最も好ましい。
【0069】
Zで表される一価の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ジュロリジン基等のジアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基;メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基;フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基、シアノ基等が挙げられる。
【0070】
は0〜5の整数を表し、0〜3が好ましく、0または1がより好ましい。
が2〜5の整数を表すとき、Zは同じ置換基であっても、異なる置換基であってもよい。
【0071】
一般式(II)におけるカルボニル炭素に連結する部分構造である下記部分構造(IV)は、前記した部分構造(III)のより好ましい態様であり、その例としては、部分構造(III)の例として先に挙げた構造のうち、部分構造(IV)の範囲に包含される構造が挙げられる。即ち、下記部分構造(IV)の例としては、部分構造(III)の例として先に挙げた構造のうち以下に示すものが該当するが、これらに限定されるものではない。
なお、下記部分構造(IV)におけるZ、Q及びnの詳細は、一般式(II)の説明において既述した通りである。
【0072】
【化13】



【0073】
【化14】



【0074】
以下に、一般式(I)で表される化合物(特定光重合開始剤)の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
前記一般式(I)で表される化合物は、365nmにおけるモル吸光係数が12,000〜500,000であり、特に、一般式(II)で表される構造とすることでモル吸光係数は高くなる傾向にある。以下に示す具体例は、いずれもモル吸光係数が12,000〜500,000の範囲にある。
【0075】
【化15】



【0076】
【化16】



【0077】
【化17】



【0078】
【化18】



【0079】
【化19】



【0080】
【化20】



【0081】
【化21】



【0082】
【化22】

【0083】
【化23】

【0084】
【化24】



【0085】
【化25】



【0086】
【化26】



【0087】
【化27】



【0088】
【化28】



【0089】
【化29】



【0090】
【化30】



【0091】
【化31】



【0092】
【化32】



【0093】
【化33】



【0094】
【化34】



【0095】
【化35】



【0096】
【化36】



【0097】
【化37】



【0098】
【化38】



【0099】
一般式(I)で表される特定光重合開始剤は、例えば、以下に示す方法により合成することができるが、この方法に限定されるものではない。
【0100】
【化39】

【0101】
上記一般式(I)で表される特定光重合開始剤の合成方法中、B、R、X、Y、Y、及びnの詳細は、一般式(I)の説明において既述した通りである。
より具体的には、例えば、以下に示す方法により合成することができる。
【0102】
−(A)特定光重合開始剤の合成例−
エチルカルバゾールをクロロベンゼンに溶解し、0℃に冷却後、塩化アルミニウムを加える。続いてo―トリルクロリドを40分かけて滴下し、室温に昇温して3時間攪拌する。次に、0℃に冷却後、塩化アルミニウムを加える。4−クロロブチリルクロリドを40分かけて滴下し、室温に昇温して3時間攪拌する。35wt%塩酸水溶液と蒸留水の混合溶液を0℃に冷却し、反応溶液を滴下する。析出した固体を吸引濾過後、蒸留水とメタノールで洗浄し、アセトニトリルで再結晶後、下記構造の化合物Aを得る。
【0103】
【化40】



【0104】
次に、化合物AをTHFに溶解し、4−クロロベンゼンチオールとヨウ化ナトリウムを加え、続いて反応液に水酸化ナトリウムを加えて、2時間還流する。さらに、0℃に冷却後、SM−28を20分かけて滴下し、室温に昇温して2時間攪拌する。次に、0℃に冷却後、亜硝酸イソペンチルを20分かけて滴下し、室温に昇温して3時間攪拌する。反応液をアセトンに希釈し、0℃に冷却した0.1N塩酸水溶液に滴下する。析出した固体を吸引濾過後、蒸留水で洗浄し、アセトニトリルで再結晶し、下記構造の化合物Bを得る。
【0105】
【化41】



【0106】
化合物BをN−メチルピロリドンに溶解し、トリエチルアミンを加える。次に、0℃に冷却後、アセチルクロライドを20分かけて滴下後、室温に昇温して2時間攪拌する。反応液を0℃に冷却した蒸留水に滴下し、析出した固体を吸引濾過後、0℃に冷却したイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥後、(A)特定光重合開始剤を得る。
【0107】
【化42】



【0108】
上記(A)特定光重合開始剤の合成例中、エチルカルバゾール、o―トリルクロリド、4−クロロブチリルクロリドを、所望の特定光重合開始剤の構造になるように変更するほかは同様にして操作することで、前記一般式(I)で表される特定光重合開始剤を得ることができる。
また、得られた特定光重合開始剤の構造はNMRにて同定することができる。
【0109】
一般式(I)で表される特定光重合開始剤は、365nm付近の領域に極大吸収波長を有するものであり、365nmの波長の光に対する吸収効率が高い化合物である。
【0110】
一般式(I)で表される特定光重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0111】
本発明の着色硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、前記(A)特定光重合開始剤以外の公知の光重合開始剤を併用してもよい。
併用可能な光重合開始剤は、光により分解し、後述する重合性化合物の重合を開始、促進する化合物であり、波長300〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。具体的には、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ビイミダゾール系化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物が挙げられる。
公知の光重合開始剤を併用する場合、(A)特定光重合開始剤と公知の光重合開始剤との含有比((A)特定光重合開始剤:公知の光重合開始剤)は、高感度化の観点から、質量比で、80:20〜20:80が好ましく、75:25〜30:70がより好ましく、70:30〜40:60が更に好ましい。
【0112】
一般式(I)で表される特定光重合開始剤の含有量は、高感度化と現像時の残渣低減の観点から、着色硬化性組成物の全固形分中、1〜40質量%であることが好ましく、1.5〜30質量%がより好ましく、2.0〜25質量%が特に好ましい。
【0113】
<(B)重合性化合物>
本発明の着色硬化性組成物は(B)重合性化合物を含有する。
本発明の着色硬化性組成物に用いることができる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0114】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
【0115】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0116】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0117】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0118】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0119】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(α)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0120】
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (α)
(ただし、一般式(α)中、R及びRは、それぞれ、H又はCHを示す。)
【0121】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた着色硬化性組成物を得ることができる。
【0122】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステル(メタ)アクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0123】
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、本発明の着色硬化性組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、本発明の着色硬化性組成物に含有される上記特定光重合開始剤、着色剤(顔料、染料)やその他の成分(例えば、バインダーポリマー等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
【0124】
上記(B)重合性化合物の含有量は、硬化感度と残渣発生のバランスの観点から、本発明の着色硬化性組成物の全固形分中、50〜5質量%であることが好ましく、45〜10質量%がより好ましく、40〜15質量%が更に好ましい。
【0125】
<(C)着色剤>
本発明の着色硬化性組成物は、(C)着色剤を含有する。
本発明の着色硬化性組成物は、短波長の光源である365nmの光源に優れた感度を有する(A)特定光重合開始剤を含有するため、着色剤を高濃度に含有する場合にも高感度に硬化することができる。
【0126】
本発明の着色硬化性組成物において用いられる着色剤は特に限定されるものではなく、従来公知の種々の染料や顔料を1種又は2種以上混合して用いることができ、これらは着色硬化性組成物の用途に応じて適宜選択される。本発明の着色硬化性組成物をカラーフィルタ製造に用いる場合であれば、カラーフィルタの色画素を形成するR、G、B等の有彩色系の着色剤、及びブラックマトリクス形成用に一般に用いられている黒色系の着色剤のいずれをも用いることができる。
【0127】
以下、本発明の着色硬化性組成物に適用しうる着色剤について、カラーフィルタ用途に好適な着色剤を例に詳述する。
有彩色系の顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。また、無機顔料であれ有機顔料であれ、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、なるべく細かいものの使用が好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、上記顔料の平均粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。
【0128】
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0129】
有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメント イエロー 11, 24, 31, 53, 83, 93, 99, 108, 109, 110, 138, 139, 147, 150, 151, 154, 155, 167, 180, 185, 199;
C.I.ピグメント オレンジ36, 38, 43, 71;
C.I.ピグメント レッド81, 105, 122, 149, 150, 155, 171, 175, 176, 177,209, 220, 224, 242, 254, 255, 264, 270;
C.I.ピグメント バイオレット 19, 23, 32, 39;
C.I.ピグメント ブルー 1, 2, 15, 15:1, 15:3, 15:6, 16, 22, 60, 66;
C.I.ピグメント グリーン 7, 36, 37;
C.I.ピグメント ブラウン 25, 28;
C.I.ピグメント ブラック 1, 7;
カーボンブラック等を挙げることができる。
【0130】
本発明では、特に顔料の構造式中に塩基性のN原子をもつものを好ましく用いることができる。これら塩基性のN原子をもつ顔料は着色硬化性組成物中で良好な分散性を示す。その原因については十分解明されていないが、感光性重合成分と顔料との親和性の良さが影響しているものと推定される。
【0131】
本発明において好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し本発明は、これらに限定されるものではない。
【0132】
C.I.ピグメント イエロー 11, 24, 108, 109, 110, 138, 139, 150, 151, 154, 167, 180, 185,
C.I.ピグメント オレンジ36, 71,
C.I.ピグメント レッド 122, 150, 171, 175, 177, 209, 224, 242, 254, 255, 264,
C.I.ピグメント バイオレット 19, 23, 32,
C.I.ピグメント ブルー 15:1, 15:3, 15:6, 16, 22, 60, 66,
C.I.ピグメント ブラック 1
【0133】
これら有機顔料は、単独若しくは色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。上記組合せの具体例を以下に示す。例えば、赤の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独又はそれらの少なくとも一種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料又はペリレン系赤色顔料と、の混合などを用いることができる。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメント レッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメント レッド155、C.I.ピグメント レッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメント レッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメント イエロー139との混合が好ましい。また、黄色顔料の赤色顔料に対する質量比(黄色顔料/赤色顔料)は、5/100〜50/100が好ましい。4/100以下では400nmから500nmの光透過率を抑えることが困難で色純度を上げることが出来ない場合がある。また51/100以上では主吸収波長が短波長よりになり、NTSC目標色相からのずれが大きくなる場合がある。特に、上記質量比としては、10/100〜30/100の範囲が最適である。なお、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
【0134】
また、緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で、又は、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。例えば、このような例としては、C.I.ピグメント グリーン7、36、37とC.I.ピグメント イエロー83、C.I.ピグメント イエロー138、C.I.ピグメント イエロー139、C.I.ピグメント イエロー150、C.I.ピグメント イエロー180又はC.I.ピグメント イエロー185との混合が好ましい。黄色顔料と緑顔料との質量比(黄色顔料/緑顔料)は、5/100〜150/100が好ましい。上記質量比が5/100未満では400nm〜450nmの光透過率を抑えることが困難となり色純度を上げることが出来ない場合がある。また150/100を越えると主吸収波長が長波長よりになりNTSC目標色相からのずれが大きくなる場合がある。上記質量比としては30/100〜120/100の範囲が特に好ましい。
【0135】
青の顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で、若しくはこれとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。例えばC.I.ピグメント ブルー15:6とC.I.ピグメント バイオレット23との混合が好ましい。紫色顔料と青色顔料との質量比(紫色顔料/青色顔料)は、0/100〜30/100が好ましく、より好ましくは10/100以下である。
【0136】
また、ブラックマトリックス用の顔料としては、カーボン、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン単独又は混合が用いられ、カーボンとチタンカーボンとの組合せが好ましい。また、チタンカーボンとカーボンとの質量比(チタンカーボン/カーボン)は、0/100〜60/100の範囲が好ましい。61/100以上では、分散安定性が低下する場合がある。
【0137】
本発明の着色硬化性組成物において、着色剤が染料である場合には、組成物中に均一に溶解した状態の着色組成物を得ることができる。
本発明の着色硬化性組成物に含有される着色剤として使用できる染料は、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用として公知の染料が使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に開示されている色素が使用できる。
【0138】
化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が使用できる。
【0139】
また、水又はアルカリ現像を行うレジスト系の場合、現像により光未照射部のバインダー及び/又は染料を完全に除去するという観点では、酸性染料及び/又はその誘導体が好適に使用できる場合がある。
その他、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、アゾイック染料、分散染料、油溶染料、食品染料、及び/又は、これらの誘導体等も有用に使用することができる。
【0140】
酸性染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有するものであれば特に限定されないが、有機溶剤や現像液に対する溶解性、塩基性化合物との塩形成性、吸光度、組成物中の他の成分との相互作用、耐光性、耐熱性等の必要とされる性能の全てを考慮して選択される。
以下に酸性染料の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。例えば、
acid alizariNviolet N;acid black 1,2,24,48;acid blue 1,7,9,15,18,23,25,27,29,40,45,62,70,74,80,83,86,87,90,92,103,112,113,120,129,138,147,158,171,182,192,243,324:1;acid chrome violet K;acid Fuchsin;acid greeN1,3,5,9,16,25,27,50;acid orange 6,7,8,10,12,50,51,52,56,63,74,95;acid red 1,4,8,14,17,18,26,27,29,31,34,35,37,42,44,50,51,52,57,66,73,80,87,88,91,92,94,97,103,111,114,129,133,134,138,143,145,150,151,158,176,183,198,211,215,216,217,249,252,257,260,266,274;acid violet 6B,7,9,17,19;acid yellow 1,3,7,9,11,17,23,25,29,34,36,42,54,72,73,76,79,98,99,111,112,114,116,184,243;Food Yellow 3;及びこれらの染料の誘導体が挙げられる。
【0141】
この中でも酸性染料としては、acid black 24;acid blue 23,25,29,62,80,86,87,92,138,158,182,243,324:1;acid orange 8,51,56,63,74;acid red 1,4,8,34,37,42,52,57,80,97,114,143,145,151,183,217;acid violet 7;acid yellow 17,25,29,34,42,72,76,99,111,112,114,116,184,243;acidgreeN25等の染料及びこれらの染料の誘導体が好ましい。
また、上記以外の、アゾ系、キサンテン系、フタロシアニン系の酸性染料も好ましく、C.I.Solvent Blue 44、38;C.I.Solvent orange 45;Rhodamine B、Rhodamine 110等の酸性染料及びこれらの染料の誘導体も好ましく用いられる。
【0142】
なかでも、着色剤としては、トリアリルメタン系、アントラキノン系、アゾメチン系、ベンジリデン系、オキソノール系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、アンスラピリドン系から選ばれる着色剤であることが好ましい。
【0143】
本発明の着色硬化性組成物において使用しうる着色剤は、染料、若しくは、平均粒子径r(単位nm)は、20≦r≦300、好ましくは125≦r≦250、特に好ましくは30≦r≦200を満たす顔料が望ましい。このような平均粒子径rの顔料を用いることにより、高コントラスト比であり、かつ高光透過率の赤色及び緑色の画素を得ることができる。ここでいう「平均粒子径」とは、顔料の一次粒子(単微結晶)が集合した二次粒子についての平均粒子径を意味する。
また、本発明において使用しうる顔料の二次粒子の粒子径分布(以下、単に「粒子径分布」という。)は、(平均粒子径±100)nmに入る二次粒子が全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上であることが望ましい。
【0144】
前記した平均粒子径及び粒子径分布を有する顔料は、市販の顔料を、場合により使用される他の顔料(平均粒子径は通常、300nmを越える。)と共に、好ましくは分散剤及び溶媒と混合した顔料混合液として、例えばビーズミル、ロールミル等の粉砕機を用いて、粉砕しつつ混合・分散することにより調製することができる。このようにして得られる顔料は、通常、顔料分散液の形態をとる。
【0145】
本発明の着色硬化性組成物に含有される着色剤の含有量としては、着色硬化性組成物の全固形分中、色価向上と現像時の残渣低減の観点で、50質量%以上90質量%以下であることが好ましく、55質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。
着色剤が少なすぎると、本発明の着色硬化性組成物によりカラーフィルタを作製した際に、適度な色度が得られなくなる傾向がある。一方、多すぎると光硬化が充分に進まず膜としての強度が低下したり、また、アルカリ現像の際の現像ラチチュードが狭くなる傾向があるが、本発明で用いられる(A)特定光重合開始剤は、光吸収効率が高いことから、着色硬化性組成物中に着色剤を高濃度に含有する場合であっても、顕著に感度向上効果が発揮される。
【0146】
−顔料分散剤−
本発明の着色硬化性組成物が(C)着色剤として顔料を含有する場合、該顔料の分散性を向上させる観点から、顔料分散剤を添加することが好ましい。
【0147】
本発明に用いうる顔料分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0148】
高分子分散剤は顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
一方で、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
【0149】
本発明に用いうる顔料分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)、4400、4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。
【0150】
これらの分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、特に、顔料誘導体と高分子分散剤とを組み合わせて使用することが好ましい。
【0151】
本発明の着色硬化性組成物における分散剤の含有量としては、顔料に対して、1〜80質量%であることが好ましく、5〜70質量%がより好ましく、10〜60質量%が更に好ましい。
具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料に対して、5〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲がより好ましい。
また、顔料誘導体を使用する場合であれば、その使用量としては、顔料に対し1〜30質量%の範囲にあることが好ましく、3〜20質量%の範囲にあることがより好ましく、5〜15質量%の範囲にあることが特に好ましい。
【0152】
本発明の着色硬化性組成物において、着色剤としての顔料と分散剤とを用いる場合、硬化感度、色濃度の観点から、着色剤及び分散剤の含有量の総和が、着色硬化性組成物を構成する全固形分に対して30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。
【0153】
<(D)少なくとも1つの不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂>
本発明の着色硬化性組成物は、更に、(D)少なくとも1つの不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂(以下「特定アルカリ可溶性樹脂」ともいう)を含有することが好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、バインダー成分として機能するものであるが、本発明における特定アルカリ可溶性樹脂を含有することで特に露光部の硬化性と未露光部のアルカリ現像性の双方を向上させることができる。
【0154】
本発明で使用される(D)特定アルカリ可溶性樹脂は、その構造において、非画像部除去性などの諸性能を向上させるために、樹脂がアルカリ可溶となるための酸基と、少なくとも1つの不飽和二重結合を有する。その不飽和二重結合を含む構造としては、好ましい具体的な態様として、側鎖に下記部分構造(a)〜部分構造(c)で表される基から選択される少なくとも1種を有するものが挙げられる。アルカリ性水溶液に可溶であり、ネガ型画像記録材料のバインダー樹脂として使用されるこの樹脂は、側鎖に部分構造(a)〜部分構造(c)で表される基から選択される少なくとも1種を有すればよい。当然、このような基を複数種有していてもよく、これらの全てを同時に有していてもよい。
以下、部分構造(a)〜部分構造(c)で表される側鎖について詳細に説明する。
【0155】
【化43】



【0156】
部分構造(a)〜部分構造(c)中、R〜R、R10〜R12、R16〜R20は、それぞれ独立に1価の置換基を表す。X、Zは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表し、R22は、水素原子、又は1価の有機基を表す。Yは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいフェニレン基、又は−N(R23)−を表し、R23は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
【0157】
【化44】



【0158】
上記部分構造(a)において、R〜Rはそれぞれ独立に、1価の置換基を表すが、Rとしては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子およびメチル基が好ましい。また、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
【0159】
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表し、R22は、水素原子、又は1価の有機基を表す。ここで、R22は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
【0160】
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
【0161】
【化45】



【0162】
上記部分構造(b)において、R10としては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基が好ましい。R11、R12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
【0163】
ここで、導入し得る置換基としては、部分構造(a)の説明において挙げた基と同様の基が例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいフェニレン基、又は−N(R23)−を表す。R23は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
【0164】
【化46】



【0165】
上記部分構造(c)において、R16〜R20は、それぞれ独立に1価の置換基を表すが、R16〜R20は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
【0166】
導入し得る置換基としては、部分構造(a)の説明において挙げた基と同様の基が例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。R22は、部分構造(a)におけるR22の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
【0167】
また、本発明の着色硬化性組成物で使用される(D)特定アルカリ可溶性樹脂は、その構造において、非画像部除去性などの諸性能を向上させるために酸基を有する。前記(D)特定アルカリ可溶性樹脂は、酸基を有するラジカル重合性化合物を共重合体成分として含むことが好ましい。
【0168】
前記酸基としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、リン酸基、フェノール性水酸基などがあり、特に好ましいものは、カルボン酸基である。これらを1種あるいは1種以上用いることができ、これら共重合成分の好適に使用される含有量は、5〜50モル%であり、特に好ましくは、アルカリ水現像による画像強度ダメージ抑制という観点から、10〜40モル%である。
【0169】
さらに、本発明に係る(D)特定アルカリ可溶性樹脂は、画像強度などの諸性能を向上する目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、前述の特定の官能基を有するラジカル重合性化合物に加えて、更に他のラジカル重合性化合物を共重合体成分として含むことも好ましい態様である。
【0170】
本発明に係る(D)特定アルカリ可溶性樹脂に共重合可能なラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類、アクリロニトリル類、メタクリロニトリル類などから選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。
【0171】
具体的には、例えば、アルキルアクリレート(該アルキル基の炭素原子数は1〜20のものが好ましい)等のアクリル酸エステル類、(具体的には、例えば、ベンジルアクリレート、4−ビフェニルアクリレート、ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、4−t−ブチルフェニルアクリレート、4−クロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、4−シアノベンジルアクリレート、シアノメチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、イソボロニルアクリレート、イソプロピルアクリレート、メチルアクリレート、3,5−ジメチルアダマンチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、ネオペンチルアクリレート、オクチルアクリレート、フェネチルアクリレート、フェニルアクリレート、プロピルアクリレート、トリルアクリレート、アミルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパギルアクリレートなど)、
【0172】
アルキルメタクリレート(該アルキル基の炭素原子は1〜20のものが好ましい)等のメタクリル酸エステル類(例えば、ベンジルメタクリレート、4−ビフェニルメタクリレート、ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、4−t−ブチルフェニルメタクリレート、4−クロロフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、4−シアノフェニルメタクリレート、シアノメチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、メチルメタクリレート、3,5−ジメチルアダマンチルメタクリレート、2−ナフチルメタクリレート、ネオペンチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、フェネチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、プロピルメタクリレート、トリルメタクリレート、アミルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパギルメタクリレートなど、
【0173】
スチレン、アルキルスチレン等のスチレン類(例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロへキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレンなど)、アルコキシスチレン(例えばメトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレンなど)、ハロゲンスチレン(例えばクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレンなど)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0174】
これらラジカル重合性化合物のうち、好適に使用されるのは、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、スチレン類であり、特に好適に使用されるのは、ベンジルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、4−t−ブチルフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、4−シアノフェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、メチルメタクリレート、3,5−ジメチルアダマンチルメタクリレート、2−ナフチルメタクリレート、ネオペンチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、
【0175】
アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、モルホリルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ナフチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−アリルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド、2−ヒドロキシフェニルアクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジイソプロピルアクリルアミド、N、N−ジ−t−ブチルアクリルアミド、N、N−ジシクロヘキシルアクリルアミド、N、N−フェニルアクリルアミド、N、N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド、N、N−ジアリルアクリルアミド、
【0176】
メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、モルホリルメタクリルアミド、ピペリジルメタクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ナフチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−アリルメタクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、2−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、N、N−ジメチルメタクリルアミド、N、N−ジイソプロピルメタクリルアミド、N、N−ジ−t−ブチルメタクリルアミド、N、N−ジシクロヘキシルメタクリルアミド、N、N−フェニルメタクリルアミド、N、N−ジヒドロキシエチルメタクリルアミド、N、N−ジアリルメタクリルアミド、
【0177】
スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、シクロへキシルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレン。
【0178】
これらを1種あるいは2種以上用いることができ、(D)特定アルカリ可溶性樹脂中、これら共重合成分の好適に使用される含有量は、0〜90モル%であり、特に好ましくは、0〜60モル%である。含有量が前記の範囲において十分なパターン形成が得られる。
【0179】
このような高分子化合物を合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合してもよい。
【0180】
このような(D)特定アルカリ可溶性樹脂の具体例としては、以下の例示化合物1〜例示化合物31が挙げられる。
【0181】
【化47】

【0182】
【化48】

【0183】
【化49】

【0184】
【化50】

【0185】
【化51】

【0186】
【化52】

【0187】
【化53】

【0188】
前記(D)特定アルカリ可溶性樹脂は、重合性およびアルカリ現像性の点で、下記一般式(1)〜一般式(3)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造単位と、下記一般式(4)で表される構造単位とを有する樹脂であることが好ましい。
【化54】



【化55】



【化56】



【0189】
【化57】



【0190】
前記一般式(1)〜(3)において、A、A、及びAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R21)−を表し、R21は置換基を有してもよいアルキル基を表す。G、G、及びGは、それぞれ独立に2価の有機基を表す。X及びZは、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表し、R22は置換基を有してもよいアルキル基を表す。Yは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいフェニレン基、又は−N(R23)−を表し、R23は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R1〜R20は、それぞれ独立に1価の置換基を表す。
【0191】
前記一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、1価の置換基を表すが、水素原子、置換基を更に有してもよいアルキル基などが挙げられる。中でも、R、Rは水素原子が好ましく、Rは水素原子、メチル基が好ましい。
前記一般式(1)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、1価の置換基を表すが、Rとしては、水素原子または置換基を更に有してもよいアルキル基などが挙げられる。中でも、水素原子、メチル基、エチル基が好ましい。また、前記一般式(1)におけるR、Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を更に有してもよいアルキル基、置換基を更に有してもよいアリール基、置換基を更に有してもよいアルコキシ基、置換基を更に有してもよいアリールオキシ基、置換基を更に有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を更に有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を更に有してもよいアルキル基、置換基を更に有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、有してもよい置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。
【0192】
前記一般式(1)中、Aは、酸素原子、硫黄原子、又は、−N(R21)−を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。ここで、R21、R22としては、置換基を有してもよいアルキル基が挙げられる。
前記一般式(1)におけるGは、2価の有機基を表すが、置換基を有してもよいアルキレン基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜20の置換基を有してもよいアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有してもよい芳香族基などが挙げられ、中でも、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基が樹脂強度、現像性等の性能上、好ましい。
【0193】
ここで、前記Gにおける置換基としては、水酸基、及び、水酸基以外の水素原子が結合したヘテロ原子を有する置換基(例えば、アミノ基、チオール基及びカルボキシ基等)以外の置換基を好ましく挙げることができる。
【0194】
本発明における一般式(1)で表される構造単位は、Aが酸素原子、硫黄原子又は−N(R21)−であって、Xが酸素原子、硫黄原子又は−N(R22)−であって、Gが置換基を有してもよいアルキレン基であって、R、Rが水素原子であって、Rが水素原子又はメチル基であって、Rが水素原子又はアルキル基であって、R、Rが、それぞれ独立に、水素原子、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基であって、R21、R22がアルキル基であることが好ましい。
【0195】
前記一般式(2)において、R〜Rはそれぞれ独立に、1価の置換基を表すが、水素原子、置換基を更に有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、R、Rは水素原子が好ましく、Rは水素原子、メチル基が好ましい。
前記一般式(2)におけるR10〜R12は、それぞれ独立に1価の置換基を表すが、この置換基としては、具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を更に有してもよいアルキル基、置換基を更に有してもよいアリール基、置換基を更に有してもよいアルコキシ基、置換基を更に有してもよいアリールオキシ基、置換基を更に有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を更に有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を更に有してもよいアルキル基、置換基を更に有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、有してもよい置換基としては、一般式(1)において挙げたものが同様に例示される。
【0196】
前記一般式(2)におけるAは、酸素原子、硫黄原子、又は、−N(R21)−を表し、ここで、R21としては、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
前記一般式(2)におけるGは、2価の有機基を表すが、置換基を有してもよいアルキレン基であることが好ましい。好ましくは、炭素数1〜20の置換基を有してもよいアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有してもよい芳香族基などが挙げられ、中でも、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基が強度、現像性等の性能上、好ましい。
ここで、前記Gにおける置換基としては、水酸基、及び、水酸基以外の水素原子が結合したヘテロ原子を有する置換基(例えば、アミノ基、チオール基及びカルボキシ基等)以外の置換基を好ましく挙げることができる。
前記一般式(2)におけるGが、水酸基以外の水素原子が結合したヘテロ原子を有する置換基を有する場合、後述する開始剤としてオニウム塩化合物を併用することによって、保存安定性が低下する場合がある。
前記一般式(2)におけるYは、酸素原子、硫黄原子、−N(R23)−または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここで、R23としては、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
【0197】
本発明における一般式(2)で表される構造単位は、R10が水素原子又はアルキル基であって、R11、R12がそれぞれ独立に、水素原子、アルコキシカルボニル基、アルキル基又はアリール基であって、R、Rが水素原子であって、Rが水素原子又はメチル基であって、Aが酸素原子、硫黄原子又は−N(R21)−であって、Gが置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基であって、Yが酸素原子、硫黄原子、−N(R23)−または置換基を有してもよいフェニレン基であって、R21、R23が水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基であることが好ましい。
【0198】
前記一般式(3)において、R13〜R15はそれぞれ独立に、1価の置換基を表すが、水素原子、置換基を更に有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、R13、R14は水素原子が好ましく、R15は水素原子、メチル基が好ましい。
前記一般式(3)におけるR16〜R20は、それぞれ独立に1価の置換基を表すが、R16〜R20は、例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を更に有してもよいアルキル基、置換基を更に有してもよいアリール基、置換基を更に有してもよいアルコキシ基、置換基を更に有してもよいアリールオキシ基、置換基を更に有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を更に有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を更に有してもよいアルキル基、置換基を更に有してもよいアリール基が好ましい。導入しうる置換基としては、一般式(1)においてあげたものが例示される。
前記一般式(3)におけるAは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R21)−を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。R21、R22としては、一般式(1)におけるのと同様のものが挙げられる。
【0199】
前記一般式(3)におけるGは、2価の有機基を表すが、置換基を有してもよいアルキレン基が好ましい。好ましくは、炭素数1〜20の置換基を有してもよいアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有してもよい芳香族基などが挙げられ、中でも、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基が強度、現像性等の性能上、好ましい。
ここで、前記Gにおける置換基としては、水酸基、及び、水酸基以外の水素原子が結合したヘテロ原子を有する置換基(例えば、アミノ基、チオール基及びカルボキシ基等)以外の置換基を好ましく挙げることができる。
【0200】
本発明における一般式(3)で表される構造単位は、R13、R14が水素原子であって、R15が水素原子またはメチル基であって、R16〜R20が水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基であって、Aが酸素原子、硫黄原子又は−N(R21)−であって、Zが酸素原子、硫黄原子又は−N(R22)−であって、R21、R22が一般式(1)におけるのと同様のものであって、Gが置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基又は炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基であることが好ましい。
【0201】
本発明における(D)特定アルカリ可溶性樹脂は、ポストベークにおける熱ダレ抑制のため、前記一般式(1)〜(3)で表される構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位を、一般式(4)で表される構造単位の含有率の1.5倍モル以上含有することが好ましい。硬化性の観点より、前記一般式(1)〜(3)で表される構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位を、一般式(4)で表される構造の含有率の2.0倍モル以上含有することがより好ましく、3.0倍モル以上含有することが最も好ましい。
また、硬化性向上及び現像残渣低減の観点から、前記一般式(1)〜(3)で表される構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位を、1分子中に35モル%以上95モル%未満の範囲で含む化合物であることが好ましい。より好ましくは、37〜90モル%である。更に好ましくは40モル%以上85モル%未満の範囲である。中でも、硬化性の観点より、一般式(1)で表される構造単位を40モル%以上85モル%未満含有する樹脂が最も好ましい。
【0202】
前記一般式(1)〜(3)で表される構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位を有する高分子化合物の合成は、特開2003−262958号公報の段落番号[0027]〜[0057]に記載の合成方法に基づいて行なうことができる。中でも、同公報中の合成方法1)によって行うことが好ましい。
【0203】
上記(D)特定アルカリ可溶性樹脂としては、下記合成法(1)又は合成法(2)により得られる樹脂であることが好ましい。
【0204】
合成法(1)
下記一般式(5)で表される化合物を共重合成分の一つとして用いて合成した重合体に、塩基を作用させてプロトンを引き抜き、Lを脱離させ、前記一般式(1)で表される構造を有する所望の高分子化合物を得る方法。
【0205】
【化58】



【0206】
一般式(5)中、Lはアニオン性脱離基を表し、好ましくはハロゲン原子、アルキル又はアリールスルホニルオキシ基等が挙げられる。R〜R、A、G、及びXについては前記一般式(1)における場合と同義である。
脱離反応を生起させるために用いる塩基としては、無機化合物、有機化合物のどちらを使用してもよい。また、この方法の詳細及び好ましい態様については、特開2003−262958号公報の段落番号[0028]〜[0033]に記載されている。
【0207】
好ましい無機化合物塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、有機化合物塩基としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドのような金属アルコキシド、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミンのような有機アミン化合物等が挙げられる。
【0208】
合成法(2)
下記一般式(6)で表される化合物を共重合成分として用いて合成した重合体に対し、塩基処理によって特定官能基に脱離反応を生起させ、Xを除去し、ラジカル反応性基を得る方法。
【0209】
【化59】



【0210】
一般式(6)中、Aは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R27)−を表し、Aは酸素原子、硫黄原子、又は−NR28−を表し、R24、R25、R26、R29、R30、及びR31は、それぞれ独立に水素又は1価の有機基を表し、Xは脱離反応により除去される基を表し、Gは有機連結基を表す。nは、1〜10の整数を表す。
【0211】
本発明においては、中でも、Aは酸素原子であることが好ましい。また、R24はメチル基が好ましく、R25、R26、R29、R30は水素原子が好ましく、R31はメチル基または水素原子が好ましい。更に、Xは、臭素原子が好ましく、Gはエチレン基が好ましい。
【0212】
上記の方法の詳細及び好ましい態様については、特開2003−335814号公報に詳細に記載されている。
【0213】
前記合成法(2)により得られる樹脂としては、特開2003−335814号公報に記載の高分子化合物、具体的には、例えば(i)ポリビニル系高分子化合物、(ii)ポリウレタン系高分子化合物、(iii)ポリウレア系高分子化合物、(iv)ポリ(ウレタン−ウレア)系高分子化合物、(v)ポリエステル系高分子化合物、(vi)ポリアミド系高分子化合物、(vii)アセタール変性ポリビニルアルコール系の高分子化合物、及びこれらの各々の記載から得られる具体的な化合物を好適に挙げることができる。
【0214】
前記一般式(5)で表される化合物の具体例としては、下記化合物(M−1)〜(M−12)を挙げることできるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0215】
【化60】



【0216】
【化61】



【0217】
前記一般式(6)で表される化合物としては、下記化合物(i−1)〜(i−50)を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0218】
【化62】



【0219】
【化63】



【0220】
【化64】



【0221】
【化65】



【0222】
【化66】



【0223】
【化67】



【0224】
本発明における特定アルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(4)で表される構造単位を含有することが好ましい。
【0225】
【化68】



【0226】
前記一般式(4)中、Rは、水素あるいは炭素数1〜6のアルキル基、Rは、2価の連結基である。
前記Rとしては、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
前記Rは2価の連結基であればよいが、例えば炭素数1〜12の置換されていてもよいアルキレン基、−U−R−V−(但し、UおよびVは各々独立に、直接結合または炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Rは各々置換されていてもよいシクロヘキシル環、ベンゼン環またはナフタレン環を表す)、又は−R−X−R−(但し、RおよびRは各々独立に、炭素数1〜10の置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいベンゼン環またはナフタレン環を表し、Xは、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、チオエーテル結合、カーボネート結合、ウレア結合またはイミド結合を表す)などが挙げられ、中でもRが炭素数1〜6の2価の連結基であることが好ましい。
【0227】
本発明における(D)アルカリ可溶性樹脂のうち、前記一般式(1)〜一般式(3)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造単位と、前記一般式(4)で表される構造単位とを有する樹脂の具体的な化合物例としては、下記表に示す例示化合物101〜121を挙げることができる。
【0228】
【化69】

【0229】
【化70】

【0230】
【化71】

【0231】
【化72】

【0232】
【化73】

【0233】
本発明における(D)特定アルカリ可溶性樹脂は、酸価が5.0〜110mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは5.5〜75mgKOH/g、更に好ましくは6.0〜70mgKOH/gの範囲であることが好ましい。酸価が110mgKOH/g以下であれば現像時におけるパターン剥離が抑えられ、また、5.0mgKOH/g以上あればアルカリ現像性が良い。
【0234】
本発明において、(D)特定アルカリ可溶性樹脂の酸価は、例えば、樹脂分子中における酸基の平均含有量から算出することができる。また、(D)特定アルカリ可溶性樹脂を構成する酸基を含有するモノマー単位の含有量を変化させることで所望の酸価を有する樹脂を得ることができる。
【0235】
本発明における(D)特定アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、現像時のパターン剥離抑制と現像性の観点から、30,000〜300,000であることが好ましく、35,000〜250,000であることがより好ましく、40,000〜200,000であることが更に好ましく、45,000〜100,000であることが特に好ましい。
尚、(D)特定アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、例えば、GPCによって測定することができる。
【0236】
本発明の着色硬化性組成物の全固形分中に対する(D)特定アルカリ可溶性樹脂の含有量は、重合性およびアルカリ現像性の点で、0.1〜7.0質量%が好ましいが、パターン剥がれ抑制と現像残渣抑制の両立の観点より、0.3〜6.0質量%がより好ましく、1.0〜5.0質量%がさらに好ましい。
【0237】
本発明の着色硬化性組成物は、更に、必要に応じて、以下に詳述する任意成分を更に含有してもよい。
以下、本発明の着色硬化性組成物が含有しうる任意成分について説明する。
【0238】
−バインダーポリマー−
本発明の着色硬化性組成物においては、皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて更に、前記(D)特定アルカリ可溶性樹脂以外に一般のバインダーポリマーを使用することができる。バインダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0239】
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーや、特開2002−107918に記載される酸基と二重結合を側鎖に有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、低露光適性の点で有利である。
また、欧州特許993966、欧州特許1204000、特開2001−318463等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0240】
本発明の着色硬化性組成物で使用しうるバインダーポリマーの重量平均分子量としては、好ましくは5、000以上であり、更に好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1、000以上であり、更に好ましくは2、000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらのバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
【0241】
本発明で用いうるバインダーポリマーは、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
本発明の着色硬化性組成物において用いうるバインダーポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
【0242】
−増感剤−
本発明の着色硬化性組成物は、ラジカル開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる増感剤としては、前記した(A)特定光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
【0243】
本発明の着色硬化性組成物に用いられる増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、且つ、300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
即ち、例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
【0244】
本発明の着色硬化性組成物における増感剤として、より好ましい例としては、下記一般式(e−1)〜(e−4)で表される化合物が挙げられる。
【0245】
【化74】

【0246】
(式(e−1)中、Aは硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、Lは隣接するA及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。)
【0247】
【化75】

【0248】
(式(e−2)中、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基を表し、−L−による結合を介して連結している。ここでLは−O−又は−S−を表す。また、Wは式(e−1)に示したものと同義である。)
【0249】
【化76】

【0250】
(式(e−3)中、Aは硫黄原子又はNR59を表し、Lは隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。)
【0251】
【化77】

【0252】
(式(e−4)中、A、Aはそれぞれ独立に−S−又は−NR62を表し、R62は置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L、Lはそれぞれ独立に、隣接するA、A及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に一価の非金属原子団を表し、又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。)
【0253】
また、本発明の着色硬化性組成物に含有しうる好ましい増感剤としては、上記増感剤の他、下記一般式(12)で表される化合物、及び後記一般式(13)で表される化合物から選択される少なくとも一種が挙げられる。
これらは一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0254】
【化78】



【0255】
一般式(12)中、R11及びR12は、各々独立に一価の置換基を表し、R13、R14、R15及びR16は、各々独立に水素原子又は一価の置換基を表す。nは0〜5の整数を表し、n’は0〜5の整数を表し、n及びn’が両方とも0となることはない。nが2以上である場合、複数存在するR11はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。n’が2以上である場合、複数存在するR12はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。なお、一般式(12)において二重結合の配置はどちらか一方に限定されているわけではなく、一般式(12)の範囲には幾何異性体も含まれる。
【0256】
一般式(12)で表される化合物としては、波長365nmにおけるモル吸光係数εが500mol−1・L・cm−1以上であることが好ましく、波長365nmにおけるεが3000mol−1・L・cm−1以上であることがより好ましく、波長365nmにおけるεが20000mol−1・L・cm−1以上であることが最も好ましい。前記波長でのモル吸光係数εの値が上記範囲であると、光吸収効率の観点から感度向上効果が高く好ましい。
【0257】
一般式(12)で表される化合物の好ましい具体例を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本明細書においては、化学式は簡略構造式により記載することもあり、特に元素や置換基の明示がない実線等は、炭化水素基を表す。また、下記具体例において、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Buはブチル基を、n−Buはn−ブチル基を、Phはフェニル基を表す。
【0258】
【化79】

【0259】
【化80】

【0260】
【化81】

【0261】
【化82】

【0262】
【化83】

【0263】
【化84】

【0264】
【化85】

【0265】
【化86】

【0266】
【化87】



【0267】
【化88】

【0268】
【化89】

【0269】
【化90】



【0270】
一般式(13)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R23)−を表し、Yは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R23)−を表す。R21、R22、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表し、A、R21、R22、及びR23は、それぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成してもよい。
【0271】
一般式(13)において、R21、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。R21、R22及びR23が一価の非金属原子を表す場合、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換の芳香族複素環残基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子であることが好ましい。
【0272】
一般式(13)で表される化合物は、光重合開始剤の分解効率向上の観点から、Yは酸素原子、又は−N(R23)−が好ましい。R23は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。更に、Yは−N(R23)−であることが最も好ましい。
【0273】
以下、一般式(13)で表される化合物の好ましい具体例(VI1)〜(VI124)を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合の配置はどちらか一方に限定されているわけではなく、一般式(13)の範囲には該2重結合についての幾何異性体も含まれる。
【0274】
【化91】



【0275】
【化92】



【0276】
【化93】



【0277】
【化94】

【0278】
【化95】



【0279】
【化96】



【0280】
【化97】



【0281】
【化98】



【0282】
【化99】



【0283】
【化100】

【0284】
【化101】



【0285】
【化102】



【0286】
【化103】



【0287】
【化104】



【0288】
【化105】



【0289】
【化106】



【0290】
【化107】



【0291】
【化108】



【0292】
本発明の着色硬化性組成物中における増感剤の含有量は、深部への光吸収効率と開始分解効率の観点から、固形分換算で、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0293】
−共増感剤−
本発明の着色硬化性組成物は、更に共増感剤を含有することも好ましい。
本発明において共増感剤は、(A)特定光重合開始剤や増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、或いは、酸素による(B)重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
【0294】
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
【0295】
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
【0296】
また、共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)等が挙げられる。
【0297】
これら共増感剤の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、本発明の着色硬化性組成物の全固形分の質量に対し、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、1〜25質量%の範囲がより好ましく、0.5〜20質量%の範囲が更に好ましい。
【0298】
また、本発明の着色硬化性組成物は、共増感剤として、チオール化合物を含有することが好ましい。
本発明の着色硬化性組成物に含有しうるチオール化合物としては、下記一般式(14)で表される化合物が好ましい。
【0299】
【化109】



【0300】
一般式(14)中、Xは、硫黄原子、酸素原子又は−N(R43)−を表し、R43は、水素原子炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜13のアリール基を表す。R41及びR42は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、アセチル基、又はカルボキシル基を表し、また、R41、R42及びこれらに隣接する二重結合形成炭素原子を併せてベンゼン環を形成してもよく、R41及びR42に隣接した炭素原子が形成している二重結合は、水素添加されていてもよい。
【0301】
また、チオール化合物としては、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報に記載のチオール化合物に記載の化合物が挙げられる。
【0302】
更に、本発明の着色硬化性組成物に好適なチオール化合物は、下記一般式(15)で表されるものであることが好ましい。
【0303】
【化110】



【0304】
一般式(15)中、Rは、アルキル基、又はアリール基を表し、Aは、N=C−Nと共にヘテロ環を形成する原子団を表す。
【0305】
一般式(15)において、Rは、アルキル基、又はアリール基を表す。
前記アルキル基としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を挙げることができ、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基等を挙げることができる。
【0306】
前記アリール基としては、単環構造のものに加え、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものなどを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基等を挙げることができ、これらの中では、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0307】
これらのアルキル基やアリール基は、更に置換基を有していてもよく、導入しうる置換基としては、炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素原子数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基、炭素原子数2〜20のアルキニル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基、炭素原子数7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基、炭素原子数1〜20のカルバモイルオキシ基、炭素原子数1〜20のカルボンアミド基、炭素原子数1〜20のスルホンアミド基、炭素原子数1〜20のカルバモイル基、スルファモイル基、炭素原子数1〜20の置換スルファモイル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数1〜20のN−アシルスルファモイル基、炭素原子数1〜20のN−スルファモイルカルバモイル基、炭素原子数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素原子数6〜20のアリールスルホニル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基、アミノ基、炭素原子数1〜20の置換アミノ基、炭素原子数1〜20のイミノ基、炭素原子数3〜20のアンモニオ基、カルボキシル基、スルホ基、オキシ基、メルカプト基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基、炭素原子数6〜20のアリールスルフィニル基、炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、炭素原子数6〜20のアリールチオ基、炭素原子数1〜20のウレイド基、炭素原子数2〜20のヘテロ環基、炭素原子数1〜20のアシル基、スルファモイルアミノ基、炭素原子数1〜2の置換スルファモイルアミノ基、炭素原子数2〜20のシリル基、イソシアネート基、イソシアニド基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、オニウム基等が挙げられる。
【0308】
また、一般式(15)において、Aは、N=C−Nと共にヘテロ環を形成する原子団を表す。
この原子団を構成する原子としては、炭素原子、窒素原子、水素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられる。
なお、AとN=C−Nとで形成されるヘテロ環は、更に置換基を有していてもよく、導入しうる置換基としては、上記アルキル基やアリール基に導入可能な置換基と同様のものが挙げられる。
【0309】
また、本発明の着色硬化性組成物に好適なチオール化合物としては、下記一般式(16)又は一般式(17)で表されるものがより好ましい。
【0310】
【化111】



【0311】
一般式(16)中、Rは、アリール基を表し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、又はアリール基を表す。
【0312】
一般式(17)中、Rは、アルキル基、又はアリール基を表し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、又はアリール基を表す。
【0313】
一般式(16)及び(17)におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
【0314】
一般式(16)及び(17)におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、フェネチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロピルオキシ基、アリロキシエトキシエトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0315】
一般式(16)及び(17)におけるアルキル基の例および好ましい範囲は、一般式(15)のRで表されるアルキル基の場合と同じである。
また、一般式(16)及び(17)におけるアリール基の例および好ましい範囲は、一般式(15)のRで表されるアリール基の場合と同じである。
【0316】
一般式(16)及び(17)における各基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、一般式(15)のRで表されるアルキル基やアリール基に導入可能な置換基として挙げられているものと同様である。
【0317】
一般式(16)及び(17)中、Xは、水素原子であることが、PGMEA溶解性の観点でより好ましい。
一般式(16)中、Rは、フェニル基であることが、感度とPGMEA溶解性の観点で最も好ましい。
一般式(17)中、Rは、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基であることが、感度とPGMEA溶解性の観点でより好ましい。
【0318】
一般式(16)及び(17)の中でも、PGMEA溶解性の観点で、一般式(17)で表される化合物が最も好ましい。
【0319】
以下、本発明に用いうるチオール化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本明細書においては、化学式は簡略構造式により記載することもあり、特に元素や置換基の明示がない実線等は、炭化水素基を表す。また、下記具体例において、Meはメチル基を表す。
【0320】
【化112】

【0321】
【化113】

【0322】
【化114】

【0323】
これらチオール化合物のPGMEA溶媒に対する溶解度は、塗膜均一性の観点から20g/L以上であることが好ましく、より好ましくは20g/L以上〜50g/L以下であり、更に好ましくは20g/L以上〜40g/L以下である。
【0324】
−溶解度測定方法−
本明細書において、チオール化合物の溶解度は、以下のように定義する
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶媒5mLに特定チオール化合物を加え、25℃で1時間攪拌したときに特定チオール化合物が完全に溶解する最大量を溶解度とした。
【0325】
これらのチオール化合物は、J.Appl.Chem.,34、2203−2207(1961)に記載の方法で合成することができる。
【0326】
チオール化合物は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
チオール化合物を併用する場合、前記した一般式のいずれかで表される化合物のみを2種以上併用してもよいし、異なる一般式で表される化合物を併用してもよい(例えば、一般式(16)で表される化合物から選択される化合物と、一般式(17)で表される化合物から選択される化合物とを併用する態様がある。)。
【0327】
本発明の着色硬化性組成物がチオール化合物を含有する場合、その含有量としては、重合成長速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、光重合性組成物の全固形分の質量に対し、0.5〜30質量%の範囲が好ましく、1〜25質量%の範囲がより好ましく、3〜20質量%の範囲が更に好ましい。
【0328】
−重合禁止剤−
本発明の着色硬化性組成物においては、光重合性組成物の製造中或いは保存中において、(B)重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
【0329】
熱重合防止剤の添加量は、本発明の着色硬化性組成物の全固形分に対し約0.01〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5〜約10質量%が好ましい。
【0330】
−密着向上剤−
本発明の着色硬化性組成物においては、支持体などの硬質表面との密着性を向上させるために、密着向上剤を添加することができる。密着向上剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
【0331】
シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビスアリルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、フェニルトリメトキシシラン、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、(アクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
中でも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。
【0332】
密着向上剤の添加量は、本発明の着色硬化性組成物の全固形分中0.5〜30質量%が好ましく、0.7〜20質量%がより好ましい。
【0333】
−希釈剤−
本発明の着色硬化性組成物は、希釈剤として、種々の有機溶剤を用いてもよい。
ここで使用する有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。有機溶剤に対する固形分の濃度は、2〜60質量%であることが好ましい。
【0334】
−その他の添加剤−
更に、本発明の着色硬化性組成物に対しては、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤、感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、重合性化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
【0335】
<カラーフィルタ及びその製造方法>
次に、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、支持体上に、本発明の着色硬化性組成物を用いてなる着色パターンを有することを特徴とする。
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)を通じて詳述する。
【0336】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、支持体上に、本発明の着色硬化性組成物を塗布して着色硬化性組成物層を形成する工程(以下、適宜「着色硬化性組成物層形成工程」と略称する。)と、前記着色硬化性組成物層を、マスクを介して露光する工程(以下、適宜「露光工程」と略称する。)と、露光後の前記着色硬化性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程(以下、適宜「現像工程」と略称する。)とを含むことを特徴とする。
【0337】
具体的には、本発明の着色硬化性組成物を、直接又は他の層を介して支持体(基板)上に塗布して、着色硬化性組成物層を形成し(着色硬化性組成物層形成工程)、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ(露光工程)、現像液で現像することによって(現像工程)、各色(3色或いは4色)の画素からなるパターン状皮膜を形成し、本発明のカラーフィルタを製造することができる。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法における各工程について説明する。
【0338】
〔着色硬化性組成物層形成工程〕
着色硬化性組成物層形成工程では、支持体上に、本発明の着色硬化性組成物を塗布して着色硬化性組成物層を形成する。
【0339】
本工程に用いうる支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0340】
支持体上への本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
【0341】
本発明の着色硬化性組成物の塗布膜厚としては、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmが更に好ましい。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する際には、本発明の着色硬化性組成物の塗布膜厚としては、解像度と現像性の観点から、0.35μm〜1.5μmが好ましく、0.40μm〜1.0μmがより好ましい。
【0342】
支持体上に塗布された着色硬化性組成物は、通常、70℃〜110℃で2分〜4分程度の条件下で乾燥され、着色硬化性組成物層が形成される。
【0343】
〔露光工程〕
露光工程では、前記着色硬化性組成物層形成工程において形成された着色硬化性組成物層を、マスクを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、i線等の紫外線が好ましく用いられ、高圧水銀灯がより好まれる。照射強度は5mJ/cm〜1500mJ/cmが好ましく10mJ/cm〜1000mJ/cmがより好ましく、10mJ/cm〜800mJ/cmが最も好ましい。
【0344】
〔現像工程〕
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
【0345】
現像液に用いるアルカリとしては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7− ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物を濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
【0346】
なお、本発明のカラーフィルタの製造方法においては、上述した、着色硬化性組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0347】
以上説明した、着色硬化性組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により硬化工程)を所望の色相数だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタが作製される。
【0348】
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色硬化性組成物を用いているため、形成された着色パターンが支持体基板との高い密着性を示し、硬化した組成物は耐現像性に優れるため、露光感度に優れ、露光部の基板との密着性が良好であり、かつ、所望の断面形状を与える高解像度のパターンを形成することができる。従って、液晶表示素子やCCD等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS等に好適である。つまり、本発明のカラーフィルタは、固体撮像素子に適用されることが好ましい。
本発明のカラーフィルタは、例えば、CCDを構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
【0349】
<固体撮像素子>
本発明のカラーフィルタは、液晶表示素子やCCD等の固体撮像素子に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS等に好適である。本発明のカラーフィルタは、例えば、CCDを構成する各着色パターンの受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
【実施例】
【0350】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。本発明の精神を逸脱することなく部分や要素に多くの再構築、改変、置換を行うことが可能である。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」、「wt%」は質量基準である。
【0351】
<(A)特定光重合開始剤の合成>
(合成例1:特定光重合開始剤である特定化合物1の合成)
エチルカルバゾール(100.0g、0.512mol)をクロロベンゼン260mlに溶解し、0℃に冷却後、塩化アルミニウム(70.3g、0.527mol)を加えた。続いてo―トリルクロリド(81.5g、0.527mol)を40分かけて滴下し、室温に昇温して3時間攪拌した。次に、0℃に冷却後、塩化アルミニウム(75.1g、0.563mol)を加えた。4−クロロブチリルクロリド(79.4g、0.563mol)を40分かけて滴下し、室温に昇温して3時間攪拌した。35wt%塩酸水溶液156mlと蒸留水392mlの混合溶液を0℃に冷却し、反応溶液を滴下する。析出した固体を吸引濾過後、蒸留水とメタノールで洗浄し、アセトニトリルで再結晶後、下記構造の化合物A(収量164.4g、収率77%)を得た。
【0352】
【化115】



【0353】
化合物A(20.0g、47.9mmol)をTHF64mlに溶解し、4−クロロベンゼンチオール(7.27g、50.2mmol)とヨウ化ナトリウム(0.7g、4.79mmol)を加えた。続いて反応液に水酸化ナトリウム(2.0g、50.2mmol)を加え、2時間還流した。次に、0℃に冷却後、SM−28(11.1g、57.4mmol)を20分かけて滴下し、室温に昇温して2時間攪拌する。次に、0℃に冷却後、亜硝酸イソペンチル(6.73g、57.4mmol)を20分かけて滴下し、室温に昇温して3時間攪拌した。反応液をアセトン120mlに希釈し、0℃に冷却した0.1N塩酸水溶液に滴下した。析出した固体を吸引濾過後、蒸留水で洗浄した。続いてアセトニトリルで再結晶し、下記構造の化合物B(収量17.0g、収率64%)を得た。
【0354】
【化116】



【0355】
化合物B(18.0g、32.4mmol)を90mlのN−メチルピロリドンに溶解し、トリエチルアミン(3.94g、38.9mmol)を加えた。次に、0℃に冷却後、アセチルクロライド(3.05g、38.9mmol)を20分かけて滴下後、室温に昇温して2時間攪拌した。反応液を0℃に冷却した蒸留水150mlに滴下し、析出した固体を吸引濾過後、0℃に冷却したイソプロピルアルコール200mlで洗浄し、乾燥後、特定化合物1(収量19.5g、収率99%)を得た。
【0356】
【化117】



【0357】
また、得られた特定化合物1の構造はNMRにて同定した。
(1H−NMR 400MHz CDCl3):8.86(s,1H),8.60(s,1H),8.31(d,1H,J=8.0Hz),8.81(d,1H,J=8.0Hz),7.51−7.24(m.10H),7.36(q,2H,7.4Hz),3.24−3.13(m,4H),2.36(s,3H),2.21(s,3H),1.50(t,3H,7.4Hz)。
【0358】
(合成例2:特定光重合開始剤である特定化合物2の合成)
オキシム体(17.6g、32.4mmol)を90mlのN−メチルピロリドンに溶解し、トリエチルアミン(3.94g、38.9mmol)を加えた。次に、0℃に冷却後、アセチルクロライド(3.05g、38.9mmol)を20分かけて滴下後、室温に昇温して2時間攪拌した。反応液を0℃に冷却した蒸留水150mlに滴下し、析出した固体を吸引濾過後、0℃に冷却したイソプロピルアルコール200mlで洗浄し、乾燥後、特定化合物2(収量17.5g、収率92%)を得た。
【0359】
【化118】



【0360】
(合成例3:特定光重合開始剤である特定化合物3の合成)
化合物C(18.0g、41.2mmol)を90mlのN−メチルピロリドンに溶解し、トリエチルアミン(4.59g、45.3mmol)を加えた。次に、0℃に冷却後、アセチルクロライド(3.56g、45.3mmol)を20分かけて滴下後、室温に昇温して2時間攪拌した。反応液を0℃に冷却した蒸留水150mlに滴下し、析出した固体を吸引濾過後、0℃に冷却したイソプロピルアルコール200mlで洗浄し、乾燥後、特定化合物3(収量18.7g、収率95%)を得た。
【0361】
【化119】



【0362】
(合成例4:比較化合物4の合成)
下記構造のオキシム化合物E(17.7g、32.4mmol)を90mlのN−メチルピロリドンに溶解し、トリエチルアミン(3.94g、38.9mmol)を加えた。次に、0℃に冷却後、アセチルクロライド(3.05g、38.9mmol)を20分かけて滴下後、室温に昇温して2時間攪拌した。反応液を0℃に冷却した蒸留水150mlに滴下し、析出した固体を吸引濾過後、0℃に冷却したイソプロピルアルコール200mlで洗浄し、乾燥後、比較化合物4(収量17.5g、収率92%)を得た。
【0363】
【化120】



【0364】
得られた比較化合物4の構造はNMRにて同定した。
H−NMR 400MHz CDCl):8.05(d,1H,J=8.8Hz),7.78(d,1H,J=8.8Hz),7.47(d,1H,J=8.0Hz),7.42−7.26(m,10H),3.19-3.08(m,4H),2.35(s,3H),2.17(s,3H)
【0365】
上記のようにして得られた特定光重合開始剤(特定化合物1〜3)と比較化合物1〜4およびこれらの365nmにおけるモル吸収係数の値を下記一覧に示す。
【0366】
【化121】

【0367】
また、前記合成例1〜4と同様の合成方法で下記特定化合物4〜特定化合物6を合成した。
【0368】
【化122】

【0369】
得られた特定化合物1〜6および比較化合物1〜4の365nmにおけるモル吸光係数は、Varian社製Carry−5 spectrophotometerで、分光分析用酢酸エチル溶媒を用いて、0.01g/Lの濃度で測定した。なお、比較化合物1〜3の構造は下記構造で表される。
【0370】
【化123】



【0371】
〔実施例1−1〕
<1.着色硬化性組成物A−1の調製>
着色硬化性組成物として、着色剤(顔料)を含有するネガ型の着色硬化性組成物A−1を調製し、これを用いて実施例1−1のカラーフィルタを作製した。
【0372】
1−1.顔料分散液(P1)の調製
顔料としてC.I.ピグメント グリーン36とC.I.ピグメント イエロー219との30/70(質量比)混合物40質量部、分散剤としてBYK2001(Disperbyk :ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%)10質量部(固形分換算約4.51質量部)、及び溶媒として3−エトキシプロピオン酸エチル150質量部からなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、顔料分散液(P1)を調製した。
【0373】
得られた顔料分散液(P1)について、顔料の平均粒径を動的光散乱法により測定したところ、200nmであった。
【0374】
1−2.着色硬化性組成物A−1(塗布液)の調製
下記組成A−1の成分を混合して溶解し着色硬化性組成物A−1を調製した。
【0375】
−組成A−1−
・顔料分散液(P1) 700質量部
・アルカリ可溶性樹脂(前記例示化合物(101)) 100質量部
・多官能性単量体 60質量部
〔ペンタエリスリトールトリアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレートとの3:7の混合物〕
・特定光重合開始剤:前記特定化合物1 60質量部
・溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 1000質量部
・界面活性剤(商品名:テトラニック150R1、BASF社) 1質量部
・γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 5質量部
【0376】
<2.カラーフィルタの作製>
2−1.感光性組成物層の形成
上記により得られた顔料を含有する着色硬化性組成物A−1をレジスト溶液として、550mm×650mmのガラス基板に下記条件でスリット塗布した後、10分間そのままの状態に保持し、真空乾燥とプレベーク(prebake)(100℃80秒)を施して感光性組成物塗膜(感光性組成物層)を形成した。
【0377】
(スリット塗布条件)
塗布ヘッド先端の開口部の間隙:50μm
塗布速度:100mm/秒
基板と塗布ヘッドとのクリヤランス:150μm
塗布厚(乾燥厚):2μm
塗布温度:23℃
【0378】
2−2.露光、現像
その後、2.5kWの超高圧水銀灯を用いて、感光性組成物層をパターン状に露光した。露光後の感光性組成物層の全面を、有機系現像液(商品名:CD、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の10%水溶液で被い、60秒間静止した。
【0379】
2−3.加熱処理
その後、感光性組成物層上に純水をシャワー状に噴射して現像液を洗い流し、次いで、220℃のオーブンにて1時間加熱した(ポストベーク)。これにより、ガラス基板上に着色パターンを有するカラーフィルタを得た。
【0380】
<3.性能評価>
着色硬化性組成物A−1の保存安定性及び露光感度、着色硬化性組成物を用いてガラス基板上に着色パターンを形成した際の現像性、及び、得られた着色パターンの基板密着性及びパターン断面形状について、下記のようにして評価した。結果を表1に示す。
【0381】
3−1.着色硬化性組成物の保存安定性
着色硬化性組成物A−1を室温で1ケ月保存した後、異物の析出度合いを下記判定基準に従って目視により評価した。
(判定基準)
○:析出は認められなかった。
△:僅かに析出が認められた。
×:析出が認められた。
【0382】
3−2.着色硬化性組成物の露光感度
着色硬化性組成物A−1を、ガラス基板上にスピンコート塗布後、乾燥して膜厚1.0μmの塗膜を形成した。スピンコート条件は、300rpmで5秒の後、800rpmで20秒とし、乾燥条件は100℃で80秒とした。次に、得られた塗膜を、線幅2.0μmのテスト用のフォトマスクを用い、超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)により、10mJ/cm〜1600mJ/cmの種々の露光量で露光した。次に、60%CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)現像液を使用して、露光後の塗膜を、25℃、60秒間の条件で現像した。その後、流水で20秒間リンスした後、スプレー乾燥しパターニングを完了した。
露光感度の評価は、露光工程において光が照射された領域の現像後の膜厚が、露光前の膜厚100%に対して95%以上であった最小の露光量を露光必要量として評価した。露光必要量の値が小さいほど感度が高いことを示す。結果を表1に示す。
【0383】
3−3.現像性、パターン断面形状
「2−3.加熱処理」においてポストベークを行った後の基板表面及び断面形状を、光学顕微鏡及びSEM写真観察により通常の方法で確認することにより、現像性、及びパターン断面形状の評価を行った。評価方法の詳細は以下の通りである。
【0384】
−現像性−
露光工程において、光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無を観察し、現像性を評価した。結果を下記表1に示す。
(判定基準)
○:未露光部には、残渣がまったく確認されなかった
△:未露光部に、残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった
×:未露光部に、残渣が著しく確認された
【0385】
−パターン断面形状−
形成されたパターンの断面形状を観察して評価した。パターンの断面形状は順テーパーが最も好ましく、矩形が次に好ましい。逆テーパーは好ましくない。結果を下記表1に示す。
【0386】
〔実施例1−2〜1−23、比較例1−1〜1−8〕
実施例1−1において、着色硬化性組成物A−1の調製に用いた組成A−1において、特定化合物1(特定光重合開始剤)60質量部を下記表1〜2に示される各化合物及び量に代え、実施例1−12〜1−23については、更に、増感剤及び/又は共増感剤を下記表1〜2に示される種類及び量で加えた以外は、すべて実施例1−1と同様にして、実施例用の着色硬化性組成物A−2〜A−23及び比較例用の着色硬化性組成物A’−1〜A’−8を調製し、実施例1−2〜1−20、および比較例1−1〜1−8のカラーフィルタを得た。更に、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0387】
【表1】

【0388】
【表2】

【0389】
表1、および表2中に示される、増感剤A1〜A3、共増感剤F1〜F3は、以下に示す化合物である。なお、表4〜9においても同様である。
【0390】
【化124】



【0391】
表1および表2の結果から、特定光重合開始剤(特定化合物1〜6)を含有する各実施例の着色硬化性組成物は、露光感度が高く、カラーフィルタの着色パターンを形成に用いた際の現像性(現像残渣の発生抑制)、及びパターン断面形状のいずれにも優れていることが判る。また、各実施例の着色硬化性組成物は、保存安定性(経時安定性)に優れたものであることが判る。
【0392】
〔実施例2−1〕
<1.レジスト液の調製>
下記組成の成分を混合して溶解し、レジスト液を調製した。
−レジスト液の組成−
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)19.20質量部
・乳酸エチル 36.67質量部
・樹脂 30.51質量部
〔メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシ
エチル共重合体(モル比=60/22/18)の40%PGMEA溶液〕
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合性化合物) 12.20質量部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) 0.0061質量部
・フッ素系界面活性剤 0.83質量部
〔F−475、大日本インキ化学工業(株)製〕
・光重合開始剤 0.586質量部
〔TAZ−107(トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤、みどり化学社製〕
【0393】
<2.下塗り層付シリコンウエハー基板の作製>
6inchシリコンウエハーをオーブン中で200℃のもと30分加熱処理した。次いで、このシリコンウエハー上に前記レジスト液を乾燥膜厚が2μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハー基板を得た。
【0394】
<3.着色硬化性組成物B−1の調製>
下記組成B−1の化合物を混合して溶解し、着色剤(染料)を含有する着色硬化性組成物B−1を調製した。
【0395】
−組成B−1−
・シクロヘキサノン 80質量部
・着色剤 C.I.Acid Blue 108 7.5質量部
・着色剤 C.I.ソルベントイエロー162 2.5質量部
・多官能性単量体
〔ペンタエリスリトールトリアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレートとの3:7の混合物〕 3.0質量部
・アルカリ可溶性樹脂(前記例示化合物(101)) 4.5質量部
・特定化合物1〔特定光重合開始剤〕 2.5質量部
【0396】
<4.着色硬化性組成物B−1(塗布液)の保存安定性評価(経時安定性)>
着色硬化性組成物B−1を室温で1ヶ月保存した後、異物の析出度合いを下記判定基準に従って目視により評価した。結果を下記表4に示す。
(判定基準)
○:析出は認められなかった。
△:僅かに析出が認められた。
×:析出が認められた。
【0397】
<5.着色硬化性組成物B−1によるカラーフィルタの作製及び評価>
前記3−B.で調製した着色硬化性組成物B−1を、前記2.で得られた下塗り層付シリコンウエハー基板の下塗り層上に塗布し、光感光性の塗布膜を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が0.9μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長でパターンが2μm四方のIslandパターンマスクを通して10〜1600mJ/cmの露光量で照射した。
その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハー基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行ない、シリコンウエハー基板上に着色パターンを形成した。
【0398】
着色パターンが形成されたシリコンウエハー基板を真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハー基板を回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥した。
以上のようにして、基板上に着色パターンが形成されたカラーフィルタを得た。
【0399】
−露光感度−
露光工程において光が照射された領域の現像後の膜厚が、露光前の膜厚100%に対して95%以上であった最小の露光量を露光必要量として評価した。露光必要量の値が小さいほど感度が高いことを示す。またその際の、測長SEM「S−9260A」(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて、着色パターンのサイズを測定した。パターンサイズAが2μmに近いほど、硬化性が充分で感度が良好であることを示す。
測定評価の結果を下記表4に示す。
【0400】
−現像残渣の確認−
測長SEM(日立S−9260S)を用い、露光量7000J/cmのときの1.5μm角の正方形ピクセルパターンのピクセルの周辺部、およびピクセル間を観察し、何らかの付着物や溶け残り、すなわち現像残渣の発生具合を観察した。
観察した結果を、程度の良い方から順に(すなわち、残渣の発生が抑制されている方から順に)、Type−A、Type−B、及びType−Cの3段階に分類して評価した。分類の方法を表3及び図1に示す。また、評価結果を下記表4に示す。
上記Type−A、Type−B、及びType−Cのうち、Type−A、Type−Bが許容範囲(実用上問題ない)であり、Type−Aであることが好ましい。
【0401】
【表3】



【0402】
〔実施例2−2〜2−25、比較例2−1〜2−4、2−6〜2−8〕
実施例2−1において、着色硬化性組成物B−1の調製に用いた組成B−1中の特定化合物1(特定光重合開始剤)2.5質量部を下記表4および表5に示される各化合物及び量に代え、更に実施例2−12〜実施例2−25については、下記表4および表5に示される増感剤及び共増感剤を下記表4および表5に示される種類及び量で加えた以外は、すべて実施例2−1と同様にして、実施例用の着色硬化性組成物B−2〜B−22及び比較例用の着色硬化性組成物B’3−1〜B’3−4,B’3−6〜B’3−8を調製し、実施例2−2〜2−25、比較例2−1〜2−4、2−6〜2−8のカラーフィルタを得た。更に、実施例2−1と同様の評価を行った。結果を表4、表5に示す。
【0403】
〔実施例3−1〕
下記組成C−1の化合物を混合して溶解し、着色剤(顔料)を含有する着色硬化性組成物C−1を調製した。
【0404】
−組成C−1−
・3−エトキシプロピオン酸エチル〔溶剤〕 17.9質量部
・着色剤 C.I.PigmentRed 254の顔料分散液
〔固形分:15%、固形分中の顔料含有率:60%〕 26.7質量部
・着色剤 C.I.PigmentYellow 139の顔料分散液
〔固形分:15%、固形分中の顔料含有率:60%〕 17.8質量部
・多官能性単量体 3.5質量部
〔ペンタエリスリトールトリアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレートとの3:7の混合物〕
・特定化合物1〔特定光重合開始剤〕 0.5質量部
・アルカリ可溶性樹脂(前記例示化合物(101) 2.0質量部
【0405】
<着色硬化性組成物C−1(塗布液)の保存安定性評価>
着色硬化性組成物B−1を前記着色硬化性組成物C−1に代えたほかは実施例2−1と同様にして、着色硬化性組成物C−1(塗布液)の保存安定性を評価した。結果を表6に示す。
【0406】
<着色硬化性組成物C−1によるカラーフィルタの作製及び評価>
着色硬化性組成物B−1を前記着色硬化性組成物C−1に代えたほかは実施例2−1と同様にして実施例3−1のカラーフィルタを作製し、実施例2−1と同様の評価を行なった。結果を下記表6に示す。
【0407】
〔実施例3−2〜3−23、比較例3−1〜3−4、3−6〜3−8〕
実施例3−1において、着色硬化性組成物C−1の調製に用いた組成C−1中の特定化合物1(特定光重合開始剤)2.5質量部を下記表6および表7に示される各化合物及び量に代え、更に実施例3−12〜実施例3−23については、下記表6および表7に示される増感剤及び共増感剤を下記表6および表7に示される種類及び量で加えた以外は、すべて実施例3−1と同様にして、実施例用の着色硬化性組成物C−2〜C−20及び比較例用の着色硬化性組成物C’3−1〜C’3−4、C’3−6〜C’3−8を調製し、実施例3−2〜3−23、比較例3−1〜3−4、3−6〜3−8のカラーフィルタを得た。更に、実施例3−1と同様の評価を行った。結果を表6および表7に示す。
【0408】
〔実施例4−1〕
下記組成D−1の化合物を混合して溶解し、着色剤(顔料)を含有する着色硬化性組成物D−1を調製した。
【0409】
−組成D−1(高顔料濃度)−
・3−エトキシプロピオン酸エチル〔溶剤〕 17.9質量部
・着色剤 C.I.PigmentRed 254の顔料分散液
〔固形分:15%、固形分中の顔料含有率:60%〕 33.34質量部
・着色剤 C.I.PigmentYellow 139の顔料分散液
〔固形分:15%、固形分中の顔料含有率:60%〕 22.23質量部
・多官能性単量体 2.5質量部
・特定化合物1〔特定光重合開始剤〕 0.5質量部
・アルカリ可溶性樹脂(前記例示化合物(101) 2.0質量部
【0410】
<着色硬化性組成物D−1(塗布液)の保存安定性評価>
着色硬化性組成物B−1を前記着色硬化性組成物D−1に代えたほかは実施例2−1と同様にして、着色硬化性組成物D−1(塗布液)の保存安定性を評価した。結果を表8に示す。
【0411】
<着色硬化性組成物D−1によるカラーフィルタの作製及び評価>
着色硬化性組成物B−1を前記着色硬化性組成物D−1に代えたほかは実施例2−1と同様にして実施例4−1のカラーフィルタを作製し、実施例2−1と同様の評価を行なった。結果を下記表8に示す。
【0412】
〔実施例4−2〜4−23、比較例4−1〜4−4、4−6〜4−8〕
実施例4−1において、着色硬化性組成物D−1の調製に用いた組成D−1中の特定化合物1(特定光重合開始剤)2.5質量部を下記表8および表9に示される各化合物及び量に代え、更に実施例4−12〜実施例4−23については、下記表8および表9に示される増感剤及び共増感剤を下記表8および表9に示される種類及び量で加えた以外は、すべて実施例4−1と同様にして、実施例用の着色硬化性組成物D−2〜D−20及び比較例用の着色硬化性組成物D’3−1〜D’3−4、D’3−6〜D’3−8を調製し、実施例4−2〜4−23、比較例4−1〜4−4、4−6〜4−8のカラーフィルタを得た。更に、実施例4−1と同様の評価を行った。結果を表8および表9に示す。
【0413】
【表4】

【0414】
【表5】

【0415】
【表6】

【0416】
【表7】

【0417】
【表8】

【0418】
【表9】

【0419】
表4〜9の結果から、特定光重合開始剤(特定化合物1〜6)を含有する各実施例の着色硬化性組成物は、露光感度が高く、カラーフィルタの着色パターンを形成に用いた際の現像残渣の発生も抑制されており、得られた着色パターンのパターン断面形状も優れていることが判る。また、これらの着色硬化性組成物は、保存安定性(経時安定性)に優れたものであることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0420】
【図1】本実施例において、現像残渣の発生具合の分類を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(I)で表され、且つ、波長365nmにおけるモル吸光係数が12,000〜500,000である光重合開始剤と、(B)重合性化合物と、(C)着色剤とを含有する着色硬化性組成物。
【化1】


〔一般式(I)中、R及びBは各々独立に一価の有機基を表し、Xは一価の置換基を表し、Y及びYは各々独立に水素原子又は一価の置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。〕
【請求項2】
前記(A)で表される光重合開始剤が、一般式(II)で表される光重合開始剤であることを特徴とする請求項1に記載の着色硬化性組成物。
【化2】



〔一般式(II)中、R、B及びQは各々独立に一価の有機基を表し、Zは、一価の置換基を表し、nは0〜5の整数を表す。〕
【請求項3】
更に、(D)少なくとも1つの不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の着色硬化性組成物。
【請求項4】
前記(D)で表されるアルカリ可溶性樹脂が、下記一般式(1)〜一般式(3)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造単位と、下記一般式(4)で表される構造単位とを有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【化3】



【化4】



【化5】



【化6】



〔前記一般式(1)〜(3)中、A、A、及びAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R21)−を表し、R21は、置換基を有してもよいアルキル基を表す。G、G、及びGは、それぞれ独立に2価の有機基を表す。X及びZは、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表し、R22は置換基を有してもよいアルキル基を表す。Yは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいフェニレン基、又は−N(R23)−を表し、R23は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R〜R20は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。
前記一般式(4)中、Rは、水素あるいは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは、2価の連結基を表す。〕
【請求項5】
前記(C)着色剤の含有量が、着色硬化性組成物の全固形分に対して、50質量%以上90質量%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を用いてなる着色パターンを有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項7】
支持体上に、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を塗布して着色硬化性組成物層を形成する工程と、
前記着色硬化性組成物層を、マスクを介して露光する工程と、
露光後の前記着色硬化性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程と、
を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項8】
請求項6に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子。

【図1】
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【公開番号】特開2009−134289(P2009−134289A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282018(P2008−282018)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】