説明

研磨装置

【課題】 倣いローラによる表面のすれを抑制することができる研磨装置を提供する。
【解決手段】 基準となる一直線上に軸が位置決めされた状態で軸周りに回転している金属管の外表面の一部に研磨部材を接触させるとともにこの研磨部材が接触する箇所と反対側の金属管の箇所を倣いローラに接触させてこの研磨を行う箇所の金属管の軸を一直線上に保持させながらこの研磨部材を金属管の軸方向に移動させて金属管の外表面の研磨を行う。倣いローラが、一直線に平行な軸周りに回転可能に支持され、この倣いローラを揺動可能に支持する揺動部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属管特にステンレス鋼管の外表面を研磨する研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油、ガスなどの流体を搬送するプラント、パイプライン、工場、発電所などの産業施設や、橋梁、建築物、遊具、アミューズメントマシーンなどの構造物に金属管が用いられている。金属管は、直線状のものだけでなく、直線状の管を曲げ加工した管も用いられている。金属管、例えば、ステンレス鋼管を曲げ加工するのに高周波誘導加熱を利用するいわゆる高周波曲げが広く用いられている(例えば特許文献1参照。)。高周波曲げを行う場合、曲げ加工を行うステンレス鋼管の外表面に例えば傷やゴミ、金属付着物があると、ステンレス鋼管に亀裂や割れが生じることがあった。このため、前処理として曲げ加工を行う箇所のステンレス鋼管の外表面を研磨処理して表面の傷やゴミ、金属付着物を除去することが行われている。ステンレス鋼管の外表面を研磨する研磨装置としては、ステンレス鋼管を軸方向に移動させながら研磨を行う装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
この研磨装置では、ステンレス鋼管を軸方向に移動させるために、おおよそステンレス鋼管の倍以上の長さ、例えば、8mのステンレス鋼管の研磨を行う場合には16m以上のスペースが必要になり大型となる。このため、ステンレス鋼管の外表面の研磨を行う研磨部材をステンレス鋼管の軸方向に移動させることにより、ステンレス鋼管の所望の箇所を研磨することができ、ステンレス鋼管を軸方向に移動させる場合に比べて小型化を図れる。すなわち、ステンレス鋼管を回転させつつこのステンレス鋼管の外表面の一部に研磨部材を接触させてステンレス鋼管の外表面を研磨しながら研磨部材をステンレス鋼管の軸方向に移動させることにより、ステンレス鋼管の所望の箇所つまり曲げ加工を行う際に必要な箇所を研磨することができ、小型化を図れる。
【0004】
また、研磨部材をステンレス鋼管の外表面の一方側に接触させると、特にステンレス鋼管の長さが長い場合には、ステンレス鋼管がたわんで研磨を行えない。このため、ステンレス鋼管を挟んだ研磨部材と反対側に倣い機構特に倣いローラを配置して、研磨を行う際のステンレス鋼管のたわみを防止することが提案される。具体的には、ステンレス鋼管の軸と平行に延びる回転軸に円筒状の倣いローラを回転可能に取り付ける。この倣いローラは、研磨部材でステンレス鋼管を研磨する際にステンレス鋼管が押し付けられてステンレス鋼管の位置を維持しつつ、ステンレス鋼管の回転に伴って回転するように形成されている。これにより、研磨部材でステンレス鋼管を研磨する際にステンレス鋼管に作用する力を倣いローラで受けて研磨を行う際のステンレス鋼管のたわみを防止することが可能となる。
【0005】
しかしながら、ステンレス鋼管の外表面を研磨する際に研磨部材をステンレス鋼管の軸方向に移動すると、倣いローラによってステンレス鋼管の外表面がすれることがある。すなわち、研磨部材でステンレス鋼管を研磨する際にステンレス鋼管に作用する力を倣いローラで受けているために、そのステンレス鋼管に作用する力の中心が倣いローラの中央に作用している場合には倣いローラによってステンレス鋼管の外表面がすれることがないが、研磨部材が移動することによってステンレス鋼管に作用する力の中心が倣いローラの中央からずれて特に倣いローラから外れると、倣いローラの端部によってステンレス鋼管の外表面がすれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭38−21462号公報
【特許文献2】特開平5−208351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、倣いローラによる表面のすれを抑制することができる研磨装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明に係る研磨装置は、基準となる一直線上に軸が位置決めされた状態で軸周りに回転している金属管の外表面の一部に研磨部材を接触させるとともにこの研磨部材が接触する箇所と反対側に倣いローラを接触させてこの研磨を行う箇所の金属管の軸を前記一直線上に保持させながらこの研磨部材を金属管の軸方向に移動させて前記金属管の外表面の研磨を行う研磨装置であって、前記倣いローラが、前記一直線に平行な軸周りに回転可能に支持され、この倣いローラを揺動可能に支持する揺動部を設けたことを特徴とする。
【0009】
このように、倣いローラを揺動可能に支持する揺動部を設けたことで、金属管の外表面を研磨する際に研磨部材を金属管の軸方向に移動して研磨部材の研磨による金属管に作用する力の中心が倣いローラの中央からずれて特に倣いローラから外れると、揺動部により倣いローラが揺動するので、倣いローラの端部による金属管の外表面のすれが抑制されることになる。
【0010】
この場合において、倣いローラを、一直線を含む平面に対して対称にそれぞれ2つ配置することができる。このとき、揺動部が、2つの倣いローラを一直線に直交するとともに平面を延びる直線の軸周りに回転させる回転支持部を有することができる。また、倣いローラを一直線に直交するとともに平面を延びる直線方向に移動可能に支持しかつ一直線側に付勢するダンバー部を有することができる。また、この場合において、研磨部材と倣いローラとを、位置決めされた金属管を挟んで金属管の両側に配置することができる。さらに、倣いローラを金属管の軸方向に移動させる倣い移動手段を設け、この倣いローラの移動と研磨部材の金属管の軸方向への移動を同期させて行うようにすることができる。
【0011】
また、この場合において、研磨部材が、回転駆動されるコンタクトホイールと従動ホイールに架け回されて循環しながら金属管の外表面に押し当てて金属管の研磨を行う研磨ベルトであり、研磨ベルトの金属管との接触箇所を、内側にコンタクトホイールが位置されているホイール接触箇所と、コンタクトホイールと従動ホイールとの間のホイール非接触箇所とに切り替える研磨箇所切替手段を設けることができる。
【0012】
また、この場合において、研磨部材を、回転駆動されるコンタクトホイールと従動ホイールに架け回されて循環する研磨ベルトと、円環状のホイール部の外周に研磨材が設けられてなる研磨ホイールとで構成し、これら研磨ベルトと研磨ホイールのどちらか一方を選択して金属管の研磨を行う研磨部材切替手段を設けることができる。
【0013】
また、この場合において、金属管の一方の端部を着脱可能に把持してこの金属管の一方の端部の軸を一直線上に位置決めするヘッドストックと、一直線と同軸上に位置決めした状態で金属管の他方の端部を保持するテールストックと、ヘッドストックを一直線を軸として回転させてヘッドストックとテールストックに保持された金属管を軸周りに回転させる回転部とを有する金属管保持回転機構を備え、テールストックが、一直線の方向に移動可能でかつ一直線を軸として回転可能に支持された保持体を有し、保持体の外表面に、一直線と同軸の断面円形でヘッドストック側の端部である先端部にいくにつれて漸次縮径され金属管の他方の端部に接触させたときこの金属管の他方の端部を一直線と同軸上に位置決めして保持する保持部を形成し、保持部の外表面に、一直線の方向に延びる受け部材をこの外表面の周方向に等間隔で3つ以上着脱可能に取り付け、これら受け部材で金属管の他方の端部を保持することができる。
【0014】
前記の研磨装置は、高周波誘導加熱を利用して曲げ加工を行うときの前処理の研磨機として使用できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、倣いローラによる表面のすれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る一例の実施形態の研磨装置を示す平面図である。
【図2】本実施形態の研磨装置の一例を示す側面図である。
【図3】本実施形態の研磨装置に用いられる研磨機構及び倣い機構の一例を示す一部断面正面図である。
【図4】本実施形態の研磨装置に用いられる研磨機構及び倣い機構の一例を示す一部断面正面図である。
【図5】本実施形態の研磨装置に用いられる金属管保持回転機構のテールストックの一例を示す正面図である。
【図6】本実施形態の研磨装置に用いられる倣い機構の一例を示す一部断面平面図である。
【図7】本実施形態の研磨装置に用いられる倣い機構の一例を示す一部断面正面図である。
【図8】本実施形態の研磨装置に用いられる倣い機構の一例を示す側面図である。
【図9】本実施形態の研磨装置に用いられるベルト式研磨部の一例を示す一部断面側面図である。
【図10】本実施形態の研磨装置に用いられる金属管保持回転機構のテールストックの一例を示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る研磨装置の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1〜図5に示すように、本実施形態の一例の研磨装置1は、基準となる一直線上に軸が位置決めされた直線状の断面円形の金属管の外表面を研磨するものである。金属管としては、本実施形態ではステンレス鋼管を用いるが、これに限定されず他の金属管を用いてもよい。本実施形態の研磨装置1は、高周波誘導加熱を利用して曲げ加工を行うときに前処理としてステンレス鋼管の外表面を研磨するのに適しているが、これに限定されるものではない。また、本発明における基準となる一直線(以下、「基準直線A」ということがある。)とは、ステンレス鋼管10を研磨する際にステンレス鋼管10の軸を合わせる直線で任意に設定することができる。
【0018】
本実施形態の研磨装置1は、ステンレス鋼管10を基準直線Aと同軸上に位置決めした状態に保持して軸周りに回転させる金属管保持回転機構2と、ステンレス鋼管10の外表面の一部に研磨部材を接触させてステンレス鋼管10の外表面の研磨を行う研磨機構3と、研磨を行う箇所のステンレス鋼管10の軸を基準直線A上に保持させる倣い機構5とを備えている。これら機構2、3、5は、基台11a、11b、11c及び第1桁11d上に設けられている。
【0019】
基台11a、11b、11cは、基準直線Aに対して平行に延びる矩形筒体状に形成され3つを所定の間隔をおいて互いに平行に配置して形成されている。3つの基台のうち2つの基台(第1基台11a及び第2基台11b)は同じ長さに形成されている。残りの1つの基台(第3基台11c)は、第1基台11a及び第2基台11bよりも短い長さに形成されている。第1基台11aと第2基台11bとは、第1桁11dによって連結され、第2基台11bと第3基台11cとは、第2桁11eによって連結されて、第1基台11a、第2基台11b及び第3基台11cが互いの位置がずれないように連結されている。これら第1基台11a、第2基台11b及び第3基台11cの上面は、略同じ水平面上に位置されている。
【0020】
第1基台11aの上面の第2基台11bとは反対側の端部近傍には、第1基台11aの一方の端部から他方の端部近傍まで延びる第1案内レール12aが設けられている。第1案内レール12aは、断面矩形の両側面の中央部を内側にそれぞれ窪ませた形状に形成されている。第1桁11dの上面の第1基台11a近傍には、第1基台11aすなわち基準直線A方向に第1基台11aの一方の端部から他方の端部近傍まで延びる第1取付部材14cが設けられている。第1取付部材14cは、上面が第1案内レール12aより上方に位置されるように上下方向に長い断面矩形状の棒状に形成されている。第1取付部材14cの上面には、第1案内レール12a側にギヤが形成された第1ラック14aが第1取付部材14cの一方の端部から他方の端部にかけて設けられている。また、第1桁11dの上面の中央と第1基台11a側端部との間の略中央部には、第1基台11aすなわち基準直線A方向に第1基台11aの一方の端部から他方の端部近傍まで延びる断面矩形状の棒状の第2取付部材13cが設けられている。第2取付部材13cの上面には、第1基台11aの一方の端部近傍から他方の端部近傍まで延びる断面矩形状の第1走行レール13aが設けられている。第2取付部材13c及び第1走行レール13aは、第1走行レール13aの上面が第1案内レール12aの上面と略同じ水平面上になるように形成されている。
【0021】
第2基台11bの上面の幅方向の中央部には、第2基台11bの一方の端部から他方の端部近傍まで延びる断面矩形状の棒状の第2走行レール13bが設けられている。
第3基台11cの上面の第2基台11b側端部近傍には、第3基台11cの一方の端部近傍から他方の端部近傍まで延びる第3取付部材14dが設けられている。第3取付部材14dは、上面が第2走行レール13bの上面より上方に位置されるように上下方向に長い断面矩形状の棒状に形成されている。第3取付部材14dの上面には、第2基台11b側にギヤが形成された第2ラック14bが第3基台11cの一方の端部近傍から他方の端部のほぼ近くに延びて設けられている。第3基台11cの上面の第2基台11bとは反対側の端部近傍には、第3基台11cの一方の端部から他方の端部近傍まで延びる第2案内レール12bが設けられている。第2案内レール12bは、第1案内レール12aと略同様に断面矩形の両側面の中央部を内側にそれぞれ窪ませた形状に形成されている。これら第1案内レール12a、第1ラック14a、第1走行レール13a、第2走行レール13b、第2ラック14b及び第2案内レール12bは、互いに平行でかつ基準直線Aに対して略平行に形成されている。
【0022】
金属管保持回転機構2は、図1、図2及び図10に示すように、ステンレス鋼管10の一方の端部を着脱可能に把持してこのステンレス鋼管10の一方の端部の軸を基準直線A上に位置決めするヘッドストック20と、軸を基準直線A上に位置決めした状態でステンレス鋼管10の他方の端部を保持するテールストック21と、ヘッドストック20とテールストック21により保持されたステンレス鋼管10を基準直線Aを軸として回転させる回転部22とを有している。ヘッドストック20と回転部22とは、第1基台11aと第2基台11bの一方の端部側である前端側の間の第1桁11d上に設けられている。テールストック21は、ヘッドストック20に対向して第1基台11aと第2基台11bの他方の端部側である後端部側に配置されている。
【0023】
回転部22は、ヘッドストック20とテールストック21とにより保持されたステンレス鋼管10を基準直線Aを軸として回転させるもので、その構成は特に限定されない。回転部22は、例えば、2つの第1桁11d上に設けられた載置台22a上に取り付けられた金属管回転用モータ22bと、載置台22a上に基準直線Aを軸として回転可能に支持されているシャフト22cと、金属管回転用モータ22bの回転軸の回転駆動力をシャフト22cに伝達する減速機構等を備えた伝達機構22dとを有している。シャフト22cにヘッドストック20が取り付けられている。
【0024】
ヘッドストック20は、ステンレス鋼管10の一方の端部を着脱可能に把持して基準直線A上にステンレス鋼管10の一方の端部の軸を位置決めするチャックである。チャックとしては、特に限定されず、周知のものを用いることができ、例えば、三つ爪のスクロールチャック20aを用いることができる。
【0025】
テールストック21は、第1案内レール12a及び第2走行レール13b上を走行するテールストック台車23と、テールストック台車23を走行させるテールストック走行駆動部24と、基準直線Aと同軸上に位置決めした状態でステンレス鋼管10の他方の端部を保持する保持体25と、保持体25を基準直線A方向に移動させるとともに回転可能に支持する保持体支持部とを有している。
【0026】
テールストック台車23は、第1案内レール12aの第2走行レール13bとは反対側の端部から第2走行レール13aの第1案内レール12aとは反対側の端部までの長さより例えば若干長い幅の扁平状に形成されている。テールストック台車23の第1案内レール12a上の下部には、第1案内レール12aの略中央部から上部までに係合してテールストック台車23を第1案内レール12aに沿って案内する案内部23aが複数例えば2つ設けられている。また、テールストック台車23の第2走行レール13b上の下部には、第2走行レール13b上を走行するローラ状の走行車輪23bが複数例えば3つ回転可能に設けられている。
【0027】
テールストック走行駆動部24は、テールストック台車23の後部側に設けられている。テールストック走行駆動部24は、走行モータ24aと、第1ラック14aにラックピニオン機構で螺合するピニオンである平歯車24bと、走行モータ24aの回転軸の回転駆動力を平歯車24bに伝達する減速機構を備えた伝達機構24cとを有している。これにより、走行モータ24aが駆動されると走行モータ24aの回転軸の回転駆動力が平歯車24bに伝達されてテールストック台車23が基準直線A方向の任意の方向に走行するようになっている。
【0028】
保持体25は、基準直線Aと同軸上に位置決めした状態でステンレス鋼管10の他方の端部を保持することができればその構造は特に限定されないが、ステンレス鋼管10の他方の端部に接触させてこの端部の軸を基準直線A上に位置決めすべく基準直線Aと同軸の断面円形でヘッドストック20側の端部である先端部にいくにつれて漸次縮径された保持部26が外表面に形成されていることが好ましい。保持部26を有する保持体25の形状は、特に限定されないが、例えば、円錐体状に形成されている。すなわち、保持体25は、例えば、テーパーコーンとして形成されている。テーパーコーンである保持体25は、底面の直径が研磨を行う最大径のステンレス鋼管10の直径より大きな寸法で形成されてなる。保持体25の底面の中央部には、円柱状のロッド部27bが軸受25aを介して互いに軸周りに回転可能に取り付けられている。
【0029】
ロッド部27bは、基準直線Aと同軸上になるようにテールストック台車23に固定されたシリンダ部27aに基準直線A方向に移動可能に支持されている。すなわち、保持体25は、ロッド部27bを介して基準直線Aの方向に移動可能でかつ基準直線Aを軸として回転可能に支持されている。シリンダ部27aとロッド部27bにより保持体支持部であるエアシリンダ27が構成されている。このエアシリンダ27を駆動させてロッド部27bをシリンダ部27aから突出させて保持体25を先端部からステンレス鋼管10の他方の端部内に挿入して保持部26をステンレス鋼管10の他方の端部に接触させることで、保持部26の傾斜によってこの端部の軸が基準直線A上に位置決めされ、この状態が保持されるようになっている。これにより、ステンレス鋼管10の一方の端部をヘッドストック20に把持させ、かつ、他方の端部を保持体25に保持させることで、ステンレス鋼管10は基準直線Aと同軸上に位置決めされた状態となり、この状態のまま金属管回転用モータ22bを駆動すると、ステンレス鋼管10が基準直線Aを軸として回転するようになっている。なお、保持体支持部は、保持体25を基準直線A方向に移動させるとともに回転可能に支持するならば、エアシリンダ27に特に限定されず、エアシリンダ27以外のアクチュエータや他の装置で構成するようにしてもよい。また、図2中、符号19はテールストック台車23のストッパを示している。
【0030】
保持体25(保持部26)の漸次縮径する外表面、すなわち、ステンレス鋼管10の他方の端部が接触するコーン状の外表面に受け部材28を設けて、受け部材28でステンレス鋼管10の端部を位置決めした状態で保持することが好ましい。受け部材28は、ステンレス鋼管10の端部が接触してこの端部を基準直線Aと同軸上に位置決めしこの状態を保持することができれば、形状や個数は特に限定されないが、棒状の受け部材28を用いることが好ましい。
【0031】
受け部材28は、保持体25の軸(基準直線A)方向に延びて保持体25の外表面に取り付けられている。受け部材28の長さは、ステンレス鋼管10の端部が接触し得る部分のみでよいが、保持体25の頂部近傍から底面の縁までに延びる寸法で形成されていることが好ましい。また、受け部材28は、保持体25の外表面にその周方向に等間隔で3つ以上例えば4つ、6つ、8つ好ましくは4つ設けられている。すなわち、受け部材28は、軸方向から保持体25の頂点を目視したとき、放射状に配置されている。受け部材28の断面形状は、正方形状などの矩形状で形成されていることが好ましい。受け部材28は、例えば、ビス等のネジ部材29により着脱可能に保持体25に取り付けられている。受け部材28の材質は、特に限定されず、保持体25と同じでもよいし、保持体25より耐摩耗性に優れたものでもよい。また、受け部材28は、ステンレス鋼管10の端部が接する面が摩耗してステンレス鋼管10の端部を基準直線Aと同軸上に位置決めできなくなったり端部の保持を行えなくなったりしたときに、別の受け部材28に交換してもよいし、受け部材28の断面形状が矩形状に形成されている場合には、別の面でステンレス鋼管10の端部の位置決め及び保持を行うようにしてもよい。
【0032】
研磨機構3は、図1〜図4及び図9に示すように、ステンレス鋼管10の外表面の一部に研磨部材を接触させてステンレス鋼管10の外表面の研磨を行うものであり、第2案内レール12b及び第2走行レール13b上を走行する研磨台車33と、研磨台車33を走行させる研磨走行駆動部34と、ステンレス鋼管10の外表面を研磨する研磨部30とを有している。
【0033】
研磨台車33は、第3基台11cの第2基台11bとは反対側の端部から第2基台11bの第1基台11a側の端部より若干長い箇所までの長さの幅の扁平状に形成されている。研磨台車33の第2案内レール12b上の下部には、第2案内レール12bの略中央部から上部までに係合して研磨台車33を第2案内レール12bに沿って案内する案内部33aが複数例えば2つ設けられている。また、研磨台車33の第2走行レール13b上の下部には、第2走行レール13b上を走行するローラー状の走行車輪33bが複数例えば2つ回転可能に設けられている。
【0034】
研磨走行駆動部34は、例えば、研磨台車33の前方側に設けられている。研磨走行駆動部34は、モータ例えば第1サーボモータ34aと、第1サーボモータ34aの回転軸に取り付けられた駆動プーリ34bと、研磨台車33に回転可能に支持されているシャフト34cに取り付けられ、無端のベルト34dを介して駆動プーリ34bに接続される従動プーリ34eと、シャフト34cに取り付けられ、第2ラック14bにラックピニオン機構で螺合するピニオンである平歯車34fとを有している。これにより、第1サーボモータ34aが駆動されると第1サーボモータ34aの回転軸の回転駆動力が平歯車34fに伝達されて研磨台車33が基準直線A方向の任意の方向に任意の速度で走行するようになっている。
【0035】
研磨部30は、研磨台車33上に基準直線Aに対して直交しかつ水平に延びる直交方向(以下、単に「直交方向」ということがある。)に移動可能に設けられた研磨台35と、研磨台35上に設けられ研磨ベルト31によりステンレス鋼管10の研磨を行うベルト式研磨部と、研磨台35上に設けられ研磨ホイール32によりステンレス鋼管10の研磨を行うホイール式研磨部と、研磨ベルト31又は研磨ホイール32を駆動させて研磨を行う研磨駆動部36とを有している。
【0036】
研磨台35は、略矩形平板状に形成されている。研磨台35の下部の4角近傍には、研磨台車33の上面に設けられた2本の第3案内レール33cに係合する案内部35aがそれぞれ設けられている。2本の第3案内レール33cは、第2案内レール12bと断面が略同じ形状に形成され、直交方向に延び互いに平行で間隔をあけて研磨台車33の上面に設けられている。また、研磨台車33の上面には、研磨台車33に対して研磨台35を第3案内レール33cを介して直交方向に移動させるアクチュエータである両方向低摩擦及び低速作動のエアシリンダ37(商品名:スムースシリンダ)のシリンダ部37aが固定されている。エアシリンダ37のロッド部37bの先端は研磨台35の下面に取り付けられており、シリンダ部37aに対してロッド部37bを直交方向に移動させることにより、研磨台35が直交方向に移動、すなわち、金属管保持回転機構2により保持されたステンレス鋼管10に研磨台35が近づいたり離れたりして任意の位置に位置決めされるようになっている。なお、図4中、符号49はステンレス鋼管10を研磨したときの削りかすがエアシリンダ37や研磨台車33上に飛ぶのを防止するカバーを示している。
【0037】
ベルト式研磨部は、駆動ホイール38aの外周に取り付けられたコンタクトホイール38bと従動ホイール38cとに研磨部材である無端の研磨ベルト31を掛け回し、コンタクトホイール38bの駆動により循環する研磨ベルト31をステンレス鋼管10の外表面に押し当ててステンレス鋼管10の外表面を研磨するものである。ベルト式研磨部は、研磨台35上に立設された状態でボルト等により固定された取付台35bに軸受35cを介して回転可能に支持され、基準直線Aに対して軸が平行で略同一平面上に位置されているシャフト39と、シャフト39に取り付けられた従動プーリ36cと、シャフト39に取り付けられた駆動ホイール38a及び駆動ホイール38aの外周に焼き付けられて取り付けられたコンタクトホイール38bと、コンタクトホイール38bの上方の所定の位置に位置決めされた従動ホイール38cと、コンタクトホイール38bと従動ホイール38cとに掛け回された研磨ベルト31と、シャフト39の上方に延びシャフト39を軸に回転可能に取付台35b及びシャフト39に支持されかつ上方に従動ホイール38cが回転可能に取り付けられている傾動部材40と、傾動部材40を直立に立たせた直立状態から基準直線A方向に傾動させその傾動させた傾動状態を保持するアクチュエータであるエアシリンダ41とを有している。
【0038】
傾動部材40は、正面から見て略h状に形成されている(特に図9参照。)。2つの脚部のうち上方に延びる延出部40cが直線状に連接されている側の脚部40aは、シャフト39を回転可能に支持する箇所の取付台35bに回転可能に支持されている。残りの脚部40bは、シャフト39に対して軸受35dを介して回転可能に支持されている。延出部40cのコンタクトホイール38bの上方には、従動ホイール38cの位置を位置決めするアクチュエータであるシリンダ42のシリンダ部42aが設けられている。このシリンダ42のロッド部42bは、上方に延び、先端部に従動ホイール38cが回転可能に取り付けられている。なお、従動ホイール38cの位置を位置決めするシリンダとして、従動ホイール38cの高さ方向の位置を調節し得るものを用いて、研磨ベルト31のテンションを調節し得るようにしてもよい。
【0039】
エアシリンダ41は、シリンダ部41aが取付台35bに取り付けられ、ロッド部41bの先端が延出部40cに取り付けられている。これにより、エアシリンダ41の駆動によって傾動部材40が直立した直立状態と傾動部材40が基準直線A方向に傾動した傾動状態との2つの状態を選択して切り替えることが可能となっている。すなわち、傾動部材40が直立状態の場合には、研磨ベルト31がステンレス鋼管10に接触する箇所が内側にコンタクトホイール38bが位置されているホイール接触箇所で、傾動部材40が傾動状態の場合には、研磨ベルト31がステンレス鋼管10に接触する箇所がコンタクトホイール38bと従動ホイール38cとの間のホイール非接触箇所となるように構成されている。傾動部材40が直立状態から傾動状態になる角度は、研磨ベルト31のステンレス鋼管10との接触箇所がホイール非接触箇所となるならば特に限定されず任意に設定でき、例えば、15°である。なお、研磨ベルト31のステンレス鋼管10との接触箇所をホイール接触箇所とホイール非接触箇所とに切り替える研磨箇所切替手段を傾動部材40とエアシリンダ41とによって構成したが、これに限定されず、他の装置や構造で研磨箇所切替手段を構成するようにしてもよい。
【0040】
ホイール式研磨部は、研磨部材である研磨ホイール32によりステンレス鋼管10の研磨を行うものである。研磨ホイール32としては、金属管の外表面を研磨するものとして公知のものを用いることができ、ベルト式研磨部のコンタクトホイール38bが取り付けられているシャフト39の外周に同軸上に取り付けられる円環状のホイール部と、ホイール部の外周に設けられた研磨材からなる。研磨材としては、特に限定されず、サンドペーパ片からなるブラシ状のものや砥粒からなる砥粒層のもの等が用いられる。研磨ホイール32は、シャフト39を回転させて研磨材にステンレス鋼管10の外表面を接触させることで、ステンレス鋼管10の外表面が研磨ホイール32で研磨されるようになっている。
【0041】
研磨ホイール32は、シャフト39に着脱可能に取り付けられ、かつ、ステンレス鋼管10の外表面を実際に研磨する研磨材の径が、研磨ホイール32でステンレス鋼管10の外表面を研磨しているときに研磨ベルト31でステンレス鋼管10の外表面を研磨することができない寸法で形成されている。例えば、研磨ホイール32の研磨材の径は、コンタクトホイール38bの径とコンタクトホイール38bの掛け回された研磨ベルト31の厚さとの和よりも大きな寸法で形成されている。よって、研磨ベルト31でステンレス鋼管10の外表面の研磨を行う場合には、シャフト39から研磨ホイール32を取り外し、研磨ホイール32でステンレス鋼管10の外表面の研磨を行う場合には、シャフト39に研磨ホイール32を取り付けることにより、研磨ベルト31と研磨ホイール32のどちらか一方を選択してステンレス鋼管10の研磨を行うことができる。なお、研磨ホイール32をシャフト39に着脱可能に取り付け、かつ、研磨ホイール32の研磨材の径を特定することで研磨部材切替手段を構成したが、研磨部材切替手段は、研磨ベルト31と研磨ホイール32のどちらか一方を選択してステンレス鋼管10の研磨を行うことができればその構成は特に限定されない。
【0042】
研磨駆動部36は、シャフト39を回転駆動させて研磨ベルト31又は研磨ホイール32を回転させてステンレス鋼管10の外表面の研磨を行うものである。研磨駆動部36は、研磨駆動モータ36aと、研磨駆動モータ36aの回転軸に取り付けられた駆動プーリ36bと、シャフト39に取り付けられた従動プーリ36cと、駆動プーリ36bと従動プーリ36cとに掛け回された無端のベルト36dと有しており、研磨駆動モータ36aの駆動により駆動プーリ36bが回転してベルト36dを介してシャフト39が回転し、研磨ベルト31又は研磨ホイール32でステンレス鋼管10の外表面が研磨されるようになっている。
【0043】
倣い機構5は、図1、図3、図4及び図6〜図8に示すように、研磨を行う箇所のステンレス鋼管10の軸を基準直線A上に保持させるものである。倣い機構5は、第1案内レール12a及び第1走行レール13a上を走行する倣い台車51と、倣い台車51を走行させる倣い走行駆動部52と、ステンレス鋼管10の軸を基準直線A上に保持させる倣い部50とを有している。
【0044】
倣い台車51は、両側が第1案内レール12aの第1走行レール13aとは反対側の端部及び第1走行レール13aの第1案内レール12aとは反対側の端部よりそれぞれ外側に位置される幅の扁平状に形成されている。倣い台車51の第1案内レール12a上の下部には、第1案内レール12aの窪ませた部分の略下部から上方に係合して倣い台車51を第1案内レール12aに沿って案内する案内部51aが複数例えば2つ設けられている。また、倣い台車51の第1走行レール13a上の下部には、第2走行レール13b上を走行するローラー状の走行車輪51bが複数例えば2つ回転可能に設けられている。
【0045】
倣い走行駆動部52は、例えば、倣い台車51の前方側に設けられている。倣い走行駆動部52は、モータ例えば第2サーボモータ52aと、第2サーボモータ52aの回転軸に連結され第1ラック14aにラックピニオン機構で螺合するピニオンである平歯車52bとを有し(特に図3参照。)、第2サーボモータ52aが駆動されると第2サーボモータ52aの回転軸の回転駆動力が平歯車52bに伝達されて倣い台車51が基準直線A方向の任意の方向に任意の速度で走行するようになっている。
【0046】
倣い部50は、倣い台車51上の支持台53に直交方向に移動可能に設けられた倣い移動手段を構成するスライド体54と、基準直線Aに平行な軸周りに回転可能に支持された倣いローラ4と、倣いローラ4を揺動可能に支持する揺動部72とを有している。
【0047】
倣い台車51上の支持台53は、倣い台車51上に立設され、直交方向に延び互いに間隔をあけた一対の板状の支持片53aを有している。一対の支持片53aは、それぞれ一対の支持片53aの外表面(互いに対向する表面(内表面)と反対側の表面)から直交する方向に延びた補強板53bで支えられた状態で倣い台車51上に取り付けられている。また、一対の支持片53aのそれぞれの外表面の上方には、係合凸部55が設けられている。係合凸部55は、支持片53aの上方であって直交方向に平行に延び、例えば、ローラ状のカムフォロアー55aと直交方向に長い細長で表面の摩擦抵抗が小さい断面矩形状のフラットプレート55bとをそれぞれ複数直交方向に配置して形成されている。これら一対の支持片53aにスライド体54がスライド可能に支持されている。
【0048】
スライド体54は、直交方向に延び互いに間隔をあけた一対の板状のスライド片54aを有している。一対のスライド片54aの内面間の長さは、一対の支持片53aの外表面間の長さより若干長い寸法で形成されている。一対のスライド片54aのそれぞれの内表面の下方には、一対の支持片53aの係合凸部55にそれぞれ係合する係合凹部56がそれぞれ水平方向に延びて形成されている。これにより、一対の支持片53aの係合凸部55に一対のスライド片54aの係合凹部56がそれぞれ係合されて、一対のスライド片54aが支持台53に直交方向にスライド(移動)可能に支持されるようになっている。
【0049】
一対のスライド片54aの基準直線Aとは反対側の端部には、その一対のスライド片54a間の端部を連結するように連結板54bが設けられている。連結板54bの外表面(基準直線Aと反対側の表面)の幅方向の中央部の下方には、間隔をあけた一対のブラケット54cが直交方向に延びて設けられている。一対のブラケット54cの間には、直交方向に延びる回転シャフト57aが設けられている。回転シャフト57aの基準直線Aとは反対側の端部は、一対のブラケット54cより基準直線Aから離れた位置に位置され、この端部にハンドル57bが取り付けられている。回転シャフト57aのもう1つの端部は、一対のスライド片54aの基準直線A側の端部寄りに位置され、一対のスライド片54a間に掛け渡された第1支持体57cに回転可能に支持されている(特に図7参照。)。また、一対のブラケット54cには、回転シャフト57aを回転可能に支持する第2支持体57dが取り付けられている。第1支持体57cと第2支持体57dとには、係合部材57eが掛け渡されている。第1支持体57cと第2支持体57dとの間の回転シャフト57aの外表面は、ネジ溝が設けられてネジ部57fとして形成されている。このネジ部57fに螺合部材57gが螺合されて取り付けられている。螺合部材57gは、ハンドル57bにより回転シャフト57aを回転させたとき、係合部材57eの係合により回転シャフト57aの軸方向に移動するように形成されている。
【0050】
支持台53の支持片53aには、回転シャフト57aが通る孔を有し第1支持体57cと螺合部材57gにそれぞれ当接するストッパ片53cが取り付けられている。ストッパ片53cは、第1支持体57cと螺合部材57gとの間の回転シャフト57aに位置されている。ストッパ片53cは、図7に示すように、第1支持体57cに接しているときが倣い部50すなわち倣いローラ4が基準直線Aから一番離れた待機の待機状態になっている。この待機状態から倣い台車51の支持台53に対してスライド体54を基準直線A側にスライドさせたとき、螺合部材57gがストッパ片53cに当接するまでスライド体54すなわち倣いローラ4が移動するようになっている。この倣いローラ4の移動範囲は、螺合部材57gの回転シャフト57aに対する位置を変えることで調節できるようになっている。
【0051】
また、支持台53には、アクチュエータである両方向低摩擦及び低速作動のエアシリンダ58(商品名:スムースシリンダ)のシリンダ部58aが固定されている。エアシリンダ58のロッド部58bは、直交方向に延び、先端がスライド体54のブラケット54cに取り付けられており、シリンダ部58aに対してロッド部58bを移動させることで、スライド体54が支持台53に対して基準直線Aすなわちステンレス鋼管10に近づいたり離れたりしてスライドし任意の位置に位置決めされるようになっている。これにより、螺合部材57gの回転シャフト57aに対する位置を調節するとともにエアシリンダ58を駆動して倣いローラ4の位置を調節することにより、図3に示すように、大径のステンレス鋼管10でも小径のステンレス鋼管10でも径が異なるステンレス鋼管10に対応することができるように構成されている。
【0052】
スライド体54の連結板54bの幅方向及び高さ方向のそれぞれのほぼ中央部には、シャフト59が貫通する孔54fが設けられている。シャフト59は、特に図6及び図7に示すように、直交方向に軸が延び、基準直線A側(スライド片54a側)の端部がスライド片54aの長手方向(基準直線Aに直交する方向)の略中央部から連結板54b側の任意の位置までの所望の位置に位置決めされ得る長さで形成されている。シャフト59の連結板54bより基準直線Aと反対側の外周には、例えば、2つのナット59aが螺合されており、シャフト59の連結板54bから基準直線A側に突出する長さが調節できるようになっている。
【0053】
スライド体54の一対のスライド片54a間には、主に直交方向に移動する移動体60が設けられている。移動体60は、直交方向に細長で高さ方向に貫通した略矩形筒体状に形成されている。移動体60の直交方向に延びる両側が両側板60aで、基準直線A側が前板60bで、残りが後板60cとしてそれぞれ形成されている。両側板60aの前端部近傍には、一対のスライド片54aにそれぞれ直交方向に案内される一対の車輪61aが両端に取り付けられている第1シャフト62aが通る第1孔がそれぞれ設けられている。また、両側板60aの後端部近傍には、一対のスライド片54aにそれぞれ直交方向に案内される一対の車輪61bが両端に取り付けられている第2シャフト62bが通る第2孔63がそれぞれ設けられている。第2孔63は、高さ方向に長い長孔として形成されて、第2シャフト62bが高さ方向に移動可能になっている。
【0054】
4つの車輪61a、61bの外表面の幅方向の略中央部には、V字状の係合溝61cが周方向全体にそれぞれ形成されている。一対のスライド片54aの高さ方向の中央部には、連結板54bの近くから基準直線A側の端部にかけて延びる略スリット状の係合部54dがそれぞれ設けられている。係合部54dを形成する上壁面及び下壁面は、幅方向のほぼ中央部が突出した断面三角形状の係合突部54eがそれぞれ設けられている。これら係合突部54eに車輪61a、61bの係合溝61cが係合して移動体60及びシャフト59がスライド体54に対して直交方向に移動可能に支持されている。
【0055】
後板60cの略中央部には、シャフト59が通る通り孔が設けられており、この通り孔を通ったシャフト59の端部に係合体64が取り付けられている。係合体64は、第2シャフト62bが内部を通る円環状に形成されている。係合体64の内径は、第2シャフト62bの外径と略同じか若干大きな寸法で形成されている。この係合体64の周面に第2シャフト62bの端部が固定されている。連結板54bと後板60cとの間のシャフト59の外周には、圧縮スプリング65が設けられている。圧縮スプリング65の両端部はそれぞれ座金66を介して連結板54bと後板60cとに当接されて圧縮スプリング65の付勢力によって移動体60が前方(基準直線A側)に付勢されるようになっている。これにより、後述する2つの倣いローラ4を、支持シャフト67の軸すなわち直交方向に延びる直線方向に移動可能に支持し、かつ、基準直線A側に圧縮スプリング65の付勢力により付勢して、ダンバー機能を有するダンバー部が構成される。すなわち、倣いローラ4に力が作用していない場合には、図6及び図7に示すように、ナット59aが連結板54bに当接した状態で圧縮スプリング65の付勢力により倣いローラ4が付勢され、かつ、倣いローラ4に移動体60側への力(圧縮スプリング65の付勢力より強い力)が作用すると、倣いローラ4、後述する回転体68を含む支持シャフト67、移動体60及びナット59aを含むシャフト59が一体となってスライド体54に対してナット59aが連結板54bから離れる方向に圧縮スプリング65の付勢力に抗して移動し、移動後、倣いローラ4に作用する力が解除されると、圧縮スプリング65の付勢力により、ナット59aが連結板54bに当接するように倣いローラ4が移動するようになっている。また、シャフト59に対する2つのナット59aの位置を変えることで、シャフト59の連結板54bから基準直線A側に突出する長さが調節されて、圧縮スプリング65の付勢力の調整つまりダンパー力の調整を行えるようになっている。
【0056】
前板60bの略中央部には、基準直線Aに対して直交する水平方向に延びる直線を軸とする支持シャフト67が取り付けられている。支持シャフト67の外周には、回転支持部の構成要素である略円筒状の回転体68が軸周りに回転可能に取り付けられている。支持シャフト67には、回転体68の支持シャフト67からの離脱を防止する止め部材69が取り付けられている。回転体68には、基準直線Aと平行に軸が延びる回転軸70が取り付けられたブラケット71が固定されている。
【0057】
回転軸70は、倣いローラ4を軸周りに回転可能に支持するものであり、設置する倣いローラ4の数によって個数及び設置位置が任意に決まる。倣いローラ4は、略円筒状のロール状に形成され、その幅(軸方向の長さ)は、研磨を行う箇所のステンレス鋼管10の軸を基準直線A上に保持させることができる範囲から任意に設定される。倣いローラ4の数は、特に限定されないが、ステンレス鋼管10を安定して基準直線A上に保持し得る観点から2つが好ましい。2つの回転軸70及び2つの倣いローラ4は、基準直線Aを含む平面特に水平面に対して対称に配置されていることが好ましい。これにより、2つの倣いローラ4は、回転体68を介して支持シャフト67の軸すなわち直交方向に延びる直線の軸周りに回転可能に支持されて、回転支持部が構成される。
【0058】
また、回転軸70の位置は、2つの回転軸70の軸を結ぶ直線から第1シャフト62aの軸までの最短距離の長さが第1シャフト62aの軸から第2シャフト62bの軸までの長さと略同じか若干長い寸法で形成されていることが好ましい。これにより、ブラケット71を含む回転体68、支持シャフト67及び移動体60は、第1シャフト62aを軸に回転可能、すなわち、倣いローラ4が上下方向に移動可能に構成されている。この倣いローラ4の上下方向の移動は、第2シャフト62bが第2孔63内を上下方向に移動し得る範囲で行われるようになっている。
【0059】
このように、2つの倣いローラ4は、ダンバー部によりが直交方向に延びる直線方向に移動可能で圧縮スプリング65の付勢力により付勢されるとともに、回転支持部により直交方向に延びる直線の軸周りに回転可能に支持され、かつ、上下方向に移動可能に支持されることで、揺動部72が構成される。揺動部72は、この構成に限定されず、他の構成でもよいし、回転支持部のみで構成してもよいし、ダンバー部のみで構成するようにしてもよい。
【0060】
倣いローラ4の外表面(周面)は、軸方向の断面が直線状であってもよいが、図8に示すように、軸方向の断面が略中央部が最も突出している湾曲状に形成されてなることが好ましい。なお、図6中、符号79は支持シャフト67に対する倣いローラ4の回転範囲を制限する回転範囲制限部材を示している。
【0061】
さて、この研磨装置1を用いてステンレス鋼管10の外表面の所望の箇所を研磨する場合について説明する。まず、金属管保持回転機構2によりステンレス鋼管10を基準直線Aと同軸上に位置決めするが、ステンレス鋼管10の長さに応じて走行モータ24aを駆動させてテールストック台車23を保持体25でステンレス鋼管10の他方の端部を保持し得る箇所に走行させて移動させる。移動後、ステンレス鋼管10の一方の端部をヘッドストック20の三つ爪のスクロールチャック20aで把持させる。これにより、ステンレス鋼管10の一方の端部が基準直線Aと同軸上に位置決めされる。位置決め後、テールストック21の保持体25にステンレス鋼管10の他方の端部を対向させてから、エアシリンダ27を駆動させてロッド部27bを突出させ、保持体25を先端部からステンレス鋼管10の他方の端部内に挿入して保持部26をステンレス鋼管10の他方の端部に接触させる。これにより、ステンレス鋼管10の他方の端部は、保持部26の傾斜によって軸が基準直線A上に位置決めされ、保持体25によってこの状態が保持される。よって、ステンレス鋼管10は、ヘッドストック20とテールストック21とにより、基準直線Aと同軸上に位置決めされた状態で保持される。
【0062】
次に、ステンレス鋼管10の研磨を行うが、研磨を行う箇所に研磨機構3すなわち研磨台車33が位置されていない場合には、第1サーボモータ34aを駆動させて研磨台車33を走行させて移動させる。この移動は、研磨を研磨ベルト31で行う場合には、シャフト39から研磨ホイール32を取り外し、研磨ベルト31をステンレス鋼管10の研磨を行う箇所に対向させる。また、研磨を研磨ホイール32で行う場合には、シャフト39に研磨ホイール32を取り付け、この研磨ホイール32をステンレス鋼管10の研磨を行う箇所に対向させるように研磨台車33を移動させる。
【0063】
また、倣い機構5すなわち倣い台車51も第2サーボモータ52aを駆動させてステンレス鋼管10の研磨を行う箇所に倣いローラ4が対向するように倣い台車51を走行させて移動させる。移動後、エアシリンダ58を駆動させてロッド部58bの突出長さを短くして、スライド体54すなわち倣いローラ4をステンレス鋼管10の外表面に接触させる。この倣いローラ4の接触は、研磨を行う箇所のステンレス鋼管10の軸が基準直線Aと同軸上に保持されるように行う。
【0064】
研磨台車33の移動及び倣いローラ4をステンレス鋼管10に接触させた後、金属管保持回転機構2の金属管回転用モータ22bを駆動させてステンレス鋼管10を軸周りに所定の回転速度で回転させる。このとき、倣いローラ4は、ステンレス鋼管10の回転に従動して回転する。また、研磨駆動モータ36aを駆動させてシャフト39を回転させ研磨ベルト31を所定の速度で循環させたり研磨ホイール32を所定の速度で回転させる。研磨ベルト31を循環させたまま又は研磨ホイール32を回転させたまま、エアシリンダ37を駆動させて研磨台35をステンレス鋼管10に近づく方向に移動させて研磨ベルト31又は研磨ホイール32をステンレス鋼管10の外表面に接触させ、ステンレス鋼管10の外表面の研磨を行う。このように、研磨ベルト31又は研磨ホイール32の研磨部材でステンレス鋼管10の研磨を行うとき、研磨部材が接触するステンレス鋼管10の外表面の箇所の反対側の箇所に倣いローラ4が接触して、研磨部材によりステンレス鋼管10の外表面を研磨するときに発生する力が倣いローラ4で受け、研磨を行う箇所のステンレス鋼管10が撓むことなく基準直線Aと同軸上に保持されるので、ステンレス鋼管10の外表面の研磨を良好に行える。
【0065】
この研磨を行いながら第1サーボモータ34aを駆動させて研磨台車33を所定の速度でステンレス鋼管10の外表面の研磨を行う側に移動させる。すなわち、研磨部材をステンレス鋼管10の軸方向に所定の速度で移動させて、曲げ加工を行う際に必要な範囲の箇所の研磨を行う。このとき、倣い台車51(倣いローラ4)を研磨台車33(研磨部材)の移動に追従させて移動させることが好ましい。すなわち、研磨部材が移動しても、研磨部材で研磨を行うステンレス鋼管10の箇所の反対側の箇所に倣いローラ4が接触するように、研磨部材の移動に追従させて倣いローラ4を移動させるようにする。例えば、第1サーボモータ34aと第2サーボモータ52aとを同期させて研磨部材の移動と倣いローラ4の移動とを行う。これにより、研磨開始から研磨終了までの操作が全自動で行えるようになる。
【0066】
曲げ加工を行う際に必要な範囲の箇所の研磨を終了したら、エアシリンダ37を駆動させて研磨台35をステンレス鋼管10から離れる方向に移動させてステンレス鋼管10の表面から研磨ベルト31又は研磨ホイール32を離す。そして、ステンレス鋼管10の外表面の他の箇所に研磨を行う箇所がある場合には、第1サーボモータ34a及び第2サーボモータ52aを駆動させて研磨台車33及び倣い台車51を次の研磨を行う箇所に移動させ、前述と同様に研磨を行う。他にも研磨を行う箇所がある場合には同様の動作を繰り返して行うことにより、ステンレス鋼管10の外表面に研磨を行う箇所が複数あっても研磨を良好に行うことができる。したがって、本実施形態の研磨装置1は、ステンレス鋼管10の所望の箇所つまり曲げ加工を行う際に必要な箇所を撓むことなく良好に研磨することができる。
【0067】
この本実施形態の研磨装置1において、2つの倣いローラ4が回転支持部により直交方向に延びる直線の軸周りに回転可能に支持されていることで、ステンレス鋼管10の外表面を研磨する際に研磨ベルト31又は研磨ホイール32の研磨部材をステンレス鋼管10の軸方向に移動して研磨部材の研磨によるステンレス鋼管10に作用する力の中心が倣いローラ4の中央からずれて特に倣いローラ4から外れると、ステンレス鋼管10の回転数、研磨台車33の移動速度に応じて倣いローラ4が支持シャフト67を軸に回転して、倣いローラ4の端部によるステンレス鋼管10の外表面のすれが抑制されることになる。よって、研磨部材がステンレス鋼管10の軸方向に移動することによる倣いローラ4による表面のすれを抑制することができる。また、2つの倣いローラ4がダンバー部により直交方向に延びる直線方向に移動可能で圧縮スプリング65の付勢力により付勢されることで、研磨ベルト31又は研磨ホイール32の研磨部材でステンレス鋼管10の外表面を研磨する際にダンバー部がダンバー機能として作用するので、倣いローラ4の端部によるステンレス鋼管10の外表面のすれを一層抑制することができる。このとき、シャフト59に対する2つのナット59aの位置を変えることで、圧縮スプリング65の付勢力の調整つまりダンパー力の調整を行えるので、倣いローラ4の端部によるステンレス鋼管10の外表面のすれをより一層抑制することができる。さらに、2つの倣いローラ4が上下方向に移動可能に支持されることで、研磨ベルト31又は研磨ホイール32の研磨部材でステンレス鋼管10の外表面を研磨する際に2つの倣いローラ4が上下方向に移動し得るので、倣いローラ4の端部によるステンレス鋼管10の外表面のすれを一層抑制することができる。
【0068】
倣いローラ4を基準直線Aを含む平面特に水平面に対して対称に2つ配置することで、ステンレス鋼管10を基準直線Aと同軸上に安定して保持することができる。また、研磨機構3と倣い機構5とをステンレス鋼管10の両側に配置することで、ステンレス鋼管10を研磨する際に発生する削りかすや粉じんの飛散を水を吹きかけて防止する際に、研磨機構3や倣い機構5を上下方向に配置した場合に比して研磨機構3や倣い機構5に水がかかり難く水の影響を受けにくい。
【0069】
研磨ベルト31でステンレス鋼管10を研磨する際、傾動部材40が直立した直立状態のときは、ステンレス鋼管10の外表面に接触する研磨ベルト31の箇所は、内側にコンタクトホイール38bが位置されているホイール接触箇所である。この場合、研磨ベルト31で研磨を行う際にステンレス鋼管10にはコンタクトホイール38bの加圧力が作用する。この状態から研磨機構3のエアシリンダ41の駆動によって傾動部材40を傾動させて傾動状態にすると、ステンレス鋼管10の外表面に接触する研磨ベルト31の箇所は、コンタクトホイール38bと従動ホイール38cとの間のホイール非接触箇所すなわち内側にコンタクトホイール38bが位置されていないホイール非接触箇所となる。この場合、研磨ベルト31で研磨を行う際にステンレス鋼管10にはコンタクトホイール38bの加圧力が直接作用しない。
【0070】
このため、研磨を行うステンレス鋼管10が小径の管や薄肉管である場合には、エアシリンダ41を駆動させて傾動部材40を傾動させて傾動状態にした状態で研磨ベルト31によるステンレス鋼管10の研磨を行うことで、小径の管や薄肉管のステンレス鋼管10の削りすぎを防止することができる。また、小径の管や薄肉管以外のステンレス鋼管10の外表面を研磨する場合には、エアシリンダを駆動させて傾動部材40を直立させて直立状態にした状態で研磨ベルト31によるステンレス鋼管10の研磨を行うことで、コンタクトホイール38bの加圧力が作用した状態でステンレス鋼管10の研磨を行える。したがって、ステンレス鋼管10の種類や材質に応じて研磨ベルト31による研磨箇所を変えられるので、ステンレス鋼管10の種類や材質に応じて削り方を調整できる。
【0071】
ステンレス鋼管10を研磨する研磨部材は、研磨ベルト31と研磨ホイール32のどちらか一方を選択することができるので、ステンレス鋼管10の種類に応じて使い分けたり、研磨部材の耐久性を考慮して使い分けたりすることができる。特に研磨ベルト31のみであると、研磨ベルト31の寿命が短く研磨ベルト31の交換を短期間で行わなければならないが、研磨ベルト31と研磨ホイール32を併用することで研磨部材の交換を短期間で行う必要がなくなるので、生産能力の飛躍的向上が達成できる。
【0072】
また、金属管保持回転機構2において、テールストック21の保持体25(保持部26)の漸次縮径する外表面に受け部材28を設けて、受け部材28でステンレス鋼管10の端部を位置決めした状態で保持することで、ステンレス鋼管10の端部を保持することによる表面の摩擦や摩耗によりステンレス鋼管10の端部を位置決めした状態で保持することができない場合の交換やメンテナンスを、保持体25を交換したり取り外したりする場合に比べて受け部材28の交換や取り外しが簡単であるので、保持体25の交換やメンテナンスを短期間で安価に行える。また、受け部材28を、断面形状が正方形状などの矩形状で形成して2面以上でステンレス鋼管10の端部の保持を行えるようにしたり、受け部材28の取付をビス等のネジ部材により簡単に行えるようにしたりすることで、一層保持体25の交換やメンテナンスを短期間で安価に行える。
【符号の説明】
【0073】
1 研磨装置
2 金属管保持回転機構
3 研磨機構
4 倣いローラ
5 倣い機構
10 ステンレス鋼管(金属管)
20 ヘッドストック
21 テールストック
22 回転部
25 保持体
26 保持部
28 受け部材
31 研磨ベルト
32 研磨ホイール
38b コンタクトホイール
38c 従動ホイール
68 回転体
70 回転軸
72 揺動部
A 基準直線(一直線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準となる一直線上に軸が位置決めされた状態で軸周りに回転する金属管の外表面の一部に研磨部材を接触させるとともにこの研磨部材が接触する箇所と反対側に倣いローラを接触させてこの研磨を行う箇所の金属管の軸を前記一直線上に保持させながらこの研磨部材を金属管の軸方向に移動させて前記金属管の外表面の研磨を行う研磨装置であって、
前記倣いローラが、前記一直線に平行な軸周りに回転可能に支持され、この倣いローラを揺動可能に支持する揺動部を設けたことを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
前記倣いローラは、前記一直線を含む平面に対して対称にそれぞれ2つ配置され、
前記揺動部は、前記2つの倣いローラを前記一直線に直交するとともに前記平面を延びる直線の軸周りに回転させる回転支持部を有する請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記倣いローラは、前記一直線を含む平面に対して対称にそれぞれ2つ配置され、
前記揺動部は、前記倣いローラを前記一直線に直交するとともに前記平面を延びる直線方向に移動可能に支持しかつ前記一直線側に付勢するダンバー部を有する請求項1又は2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記研磨部材と前記倣いローラとは、前記位置決めされた金属管を挟んで金属管の両側に配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記倣いローラを前記金属管の軸方向に移動させる倣い移動手段を設け、この倣いローラの移動と前記研磨部材の前記金属管の軸方向への移動を同期させて行うようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記研磨部材は、回転駆動されるコンタクトホイールと従動ホイールに架け回されて循環しながら前記金属管の外表面に押し当てて前記金属管の研磨を行う研磨ベルトであり、
前記研磨ベルトの前記金属管との接触箇所を、内側に前記コンタクトホイールが位置されているホイール接触箇所と、前記コンタクトホイールと前記従動ホイールとの間のホイール非接触箇所とに切り替える研磨箇所切替手段を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項7】
前記研磨部材は、回転駆動されるコンタクトホイールと従動ホイールに架け回されて循環する研磨ベルトと、円環状のホイール部の外周に研磨材が設けられてなる研磨ホイールとからなり、これら研磨ベルトと研磨ホイールのどちらか一方を選択して前記金属管の研磨を行う研磨部材切替手段を設けた請求項1〜6のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項8】
前記金属管の一方の端部を着脱可能に把持してこの金属管の一方の端部の軸を前記一直線上に位置決めするヘッドストックと、前記一直線と同軸上に位置決めした状態で前記金属管の他方の端部を保持するテールストックと、前記ヘッドストックを前記一直線を軸として回転させて前記ヘッドストックと前記テールストックに保持された前記金属管を軸周りに回転させる回転部とを有する金属管保持回転機構を備え、
前記テールストックは、前記一直線の方向に移動可能でかつ前記一直線を軸として回転可能に支持された保持体を有し、前記保持体の外表面には、前記一直線と同軸の断面円形で前記ヘッドストック側の端部である先端部にいくにつれて漸次縮径され前記金属管の他方の端部に接触させたときこの金属管の他方の端部を前記一直線と同軸上に位置決めして保持する保持部が形成され、前記保持部の外表面に、前記一直線の方向に延びる受け部材をこの外表面の周方向に等間隔で3つ以上着脱可能に取り付け、これら受け部材で前記金属管の他方の端部を保持するようにした請求項1〜7のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の研磨装置が、高周波誘導加熱を利用して曲げ加工を行うときに前処理としてステンレス鋼管の外表面を研磨するのに用いるものであることを特徴とする研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−27955(P2013−27955A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165658(P2011−165658)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000208695)第一高周波工業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】