説明

硬化性組成物およびそれを用いた画像表示装置

【課題】 紫外線などの活性エネルギー線および空気中の湿分により硬化させることが可能で、柔軟性・高伸び性・耐熱性に優れる硬化性組成物、およびそれより得られる接着剤、特に画像表示装置の空間部充填用接着剤およびそれを用いて製造される画像表示装置の提供。
【解決手段】(a)一般式(1):
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表わされる基を1分子あたり平均して1個以上有する重合体、
(b)一般式(2):
−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y)
で表わされる基を1分子あたり平均して1個以上有する重合体、
(c)分子内にメルカプト基を有する化合物、
を含む硬化性組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化性組成物およびそれを用いた画像表示装置に関する。さらに詳しくは、(メタ)アクリレート基を1分子あたり平均して1個以上有する重合体、加水分解性シリル基を1分子あたり平均して1個以上有する重合体、メルカプト基を含む化合物を必須成分とする硬化性組成物およびそれを塗布硬化させて得られる画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネルディスプレイなどの画像表示装置のモジュール部、またはタッチパネル電極基板部と最上部の透明カバー(PETフィルム、強化ガラス、アクリル板等)との間には、従来エアギャップを設けることで、外からの衝撃で、カバーが割れた場合でも、モジュールに影響が出ないような構造(エアギャップ構造)になっている。また、近年、一部ではディスプレイの視認性向上と耐衝撃性の実現を目的に、光重合性官能基を有するウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどをバインダーポリマーとする光(UV)で硬化可能な光学弾性樹脂硬化性組成物が用いられはじめている。(特許文献1、2)しかし、この樹脂を用いると充填された樹脂の収縮による外部応力によりモジュールに変形が生じる可能性がある。特に液晶モジュールにおいてこの問題は重要で、応力によりモジュール表面の偏光フィルムや液晶を挟んでいるガラス板に負荷がかかると、画面表示ムラなどの異常が現れる。この問題を解決するために高伸び率、高密着力を有する樹脂を使用した画像表示装置が提案されている。(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−077887号公報
【特許文献2】特開2005−055641号公報
【特許文献3】特開2009−186963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、紫外線などの活性エネルギー線および空気中の湿分により速硬化可能で、柔軟性に優れ、かつ高温時においても形状変化などを起こさない硬化性組成物およびそれより得られる接着剤、特に画像表示装置の空間部充填用接着剤およびそれを用いて製造される画像表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の現状に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、(メタ)アクリロイル系基を含有する重合体、加水分解性シリル基を含有する重合体およびメルカプト基を含む化合物を必須成分とする硬化性組成物を使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、(a)一般式(1):
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表わされる基を1分子あたり平均して1個以上有する重合体、
(b)一般式(2):
−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y)
(式中、RおよびRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。RまたはRがそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
で表わされる基を1分子あたり平均して1個以上有する重合体、
(c)分子内にメルカプト基を有する化合物
を含む硬化性組成物に関する。
【0007】
(a)成分および/または(b)成分がビニル系重合体であることが好ましい。
【0008】
(a)成分および/または(b)成分が(メタ)アクリル系重合体であることが好ましい。
【0009】
(a)成分、(b)成分の重合体の分子量分布が1.8未満であることが好ましい。
【0010】
(c)成分の添加量が、(a)成分100重量部に対して、0.1〜10部であることが好ましい。
【0011】
(d)一般式(3):
−OC(O)C(R)=CH (3)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表わされる基を1個以上有する、分子量500以下である化合物を含み、
(d)成分の使用量が組成物中の1〜50重量%であることが好ましい。
【0012】
前記に記載の硬化性組成物を、画像表示モジュールパネルとカバーボードの接着に用い、製造される画像表示装置に関する。
【0013】
前記に記載の硬化性組成物を、タッチパネル用電極基板とカバーボードの接着に用い、製造される画像表示装置に関する。
【0014】
前記の画像表示装置において、接着に用いられる2枚の基材のいずれか一方の基材に前記に記載の硬化性組成物を塗布し、その基材をもう一方の基材と貼り合わせて硬化性組成物を基材一面に展開させてから、硬化させることを特徴とする画像表示装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の硬化性組成物により得られる硬化物は、柔軟性に優れ、高温時における液状化現象が生じないため、接着剤用途に適した効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】組成物の脱泡および送液、塗布を行うための装置の模式的な側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の硬化性組成物について詳述する。
【0018】
<(a)成分>
(a)成分は、一般式(1):
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表わされる基((メタ)アクリロイル系基)を1分子あたり1個以上有する重合体である。
(a)成分における(メタ)アクリロイル系基の数は、架橋させるという観点から1分子あたり1個以上である。
【0019】
前記(メタ)アクリロイル系基は、架橋点間分子量を均一かつ大きくする、好ましくは500〜100000にすることでゴム弾性を得るという観点から、重合体の分子末端に存在するのが好ましい。
【0020】
(メタ)アクリロイル系基中のRは、水素原子または炭素数1〜20の有機基を表わし、好ましくは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基である。
【0021】
前記炭素数1〜20の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、ニトリル基などがあげられ、これらは水酸基などの置換基を有していてもよい。
【0022】
前記炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基など、炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基など、炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基などがあげられる。
【0023】
の具体例としては、例えば−H、−CH、−CHCH、−(CHnCH(nは2〜19の整数を表わす)、−C、−CHOH、−CNなどがあげられ、好ましくは−H、−CHである。
【0024】
<(b)成分>
(b)一般式(2):
−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y)
(式中、RおよびRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。RまたはRがそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
で表わされる基を有する重合体である。
【0025】
Yの加水分解性基としては、たとえば、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基があげられる。これらのうちでは、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとくに好ましい。
【0026】
<(a)成分、(b)成分の構造>
(a)成分および(b)成分の主鎖を構成する成分に特に限定はないが、耐熱性の観点からビニル系重合体が好ましく、さらに(メタ)アクリル系重合体が好ましい。
【0027】
ビニル系重合体の原料となるビニル系モノマーには特に限定はなく、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどの(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸およびその塩などの芳香族ビニル系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどのフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレンなどのアルケン類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコールなどがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。なかでも、生成物の物性などの点から、芳香族ビニル系モノマーおよび(メタ)アクリル系重合体の原料である(メタ)アクリル系モノマーが好ましい。さらに耐熱性・耐環境性の観点から(メタ)アクリル系モノマーが好ましい。
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他の前記モノマーと共重合させてもよく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%以上含まれていることが好ましい。
【0028】
(a)成分および(b)成分の分子量分布(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比)には、特に限定はないが、好ましくは1.8未満、より好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.6以下、特に好ましくは1.5以下、特別に好ましくは1.4以下、最も好ましくは1.3以下である。
【0029】
なお、本発明におけるGPC測定の際には、通常は、クロロホルムまたはテトラヒドロフランを移動相として、ポリスチレンゲルカラムを使用し、分子量の値はポリスチレン換算値で求めている。
【0030】
(a)成分および(b)成分の数平均分子量の下限は、好ましくは500、より好ましくは3,000であり、上限は、好ましくは100,000、より好ましくは40,000である。分子量が500未満であると、重合体の本来の特性が発現されにくくなる傾向があり、100,000をこえると、ハンドリングが困難になりやすい傾向がある。
【0031】
(a)成分と(b)成分の重量比は、(a)成分/(b)成分=9/1〜1/9が好ましく、7/3〜3/7がより好ましい。9/1より大きいと高温時に形状変化が生じるため好ましくない。また、1/9未満であると活性エネルギー線による硬化が不十分であるため好ましくない。
【0032】
<(a)成分および(b)成分の製造方法>
(a)成分および(b)成分の製造方法については特に限定はないが、ビニル系重合体である場合は一般に、アニオン重合あるいはラジカル重合によって製造される。中でもモノマーの汎用性あるいは制御の容易さからラジカル重合が好ましい。ラジカル重合の中でも、リビングラジカル重合あるいは連鎖移動剤を用いたラジカル重合によって製造されるのが好ましく、特に前者が好ましい。
【0033】
(重合)
(a)成分および(b)成分の製造に用いられるラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いて、特定の官能基を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル重合法」と、末端などの制御された位置に特定の官能基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類することができる。
【0034】
「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマーは確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーをかなり大量に使う必要があり、逆に少量の使用ではこの特定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなるという問題がある。また、フリーラジカル重合であるため、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られないという問題もある。
【0035】
「制御ラジカル重合法」は、さらに、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合を行なうことにより末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる「連鎖移動剤法」と、重合生長末端が停止反応などを起こさずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに、分類することができる。
【0036】
「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処理も含めて経済面で問題がある。また、前記の「一般的なラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られないという問題もある。
【0037】
これらの重合法とは異なり、「リビングラジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御が難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量を自由にコントロールすることができる。
【0038】
したがって、「リビングラジカル重合法」は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、前記特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ましいものである。
【0039】
なお、リビング重合とは、狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。
【0040】
「リビングラジカル重合法」は、近年様々なグループで積極的に研究がなされている。
その例としては、例えばジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、116巻、7943頁に示されるようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュルズ(Macromolecules)、1994年、27巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などがあげられる。
【0041】
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物などを開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する「原子移動ラジカル重合法」は、前記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲンなどを末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としては、さらに好ましい。
【0042】
前記原子移動ラジカル重合法としては、例えばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュルズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁、サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、WO96/30421号パンフレット,WO97/18247号パンフレットあるいはSawamotoら、マクロモレキュルズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁などに記載の方法があげられる。
【0043】
本発明において、これらのうちのどの方法を使用するかには特に制約はないが、基本的には制御ラジカル重合法が利用され、さらに制御の容易さなどからリビングラジカル重合法が好ましく、特に原子移動ラジカル重合法が好ましい。
【0044】
(官能基の導入)
(a)成分を得るために、一般式(1)のような重合性の炭素−炭素二重結合を重合体へ導入する方法としては、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2004−203932号公報段落[0080]〜[0091]記載の方法が挙げられる。これらの方法以外としては、水酸基末端を有する(メタ)アクリル系重合体にイソシアネート基および(1)式のような重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマーを反応させる方法があり、例えば2‐(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどを用いる方法が挙げられる。
【0045】
(b)成分を得るために重合体へ架橋性シリル基を導入する方法としては特に限定がないが、例えば特開2004−210858号公報段落[102]〜[112] 記載の方法が挙げられる。これらの方法の中でも制御がより容易である点から、架橋性シリル基を持つヒドロシラン化合物によるヒドロシリル化反応により、末端アルケニル基を有する重合体のアルケニル基を架橋性シリル基に変換する方法により製造されたものであることが好ましい。
【0046】
<(c)成分>
(c)成分は分子内にメルカプト基を1個以上含む化合物である。メルカプト基を1個以上含んでいれば特に限定はないが、例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、1,2−エタンジチオールなどのアルキルメルカプタン類、3−メルカプトプロピルアルコールなどのメルカプトアルキルアルコール類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシラン類、β−メルカプトプロピオン酸、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)などのβ−メルカプトプロピオン酸誘導体類、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチルオキシ)ブタン、トリス−[(3−メルカプトブチルオキシ)エチル]イソシアヌレートなどのβ−メルカプトブタン酸誘導体類などが挙げられる。また、ポリチオール化合物を用いることも可能である。
(c)成分としては、これらの化合物を単独で用いても良いし、複数を用いることも可能である。
【0047】
(c)成分は(a)成分100重量部に対して、0.1〜10部用いることが好ましい。0.1部以下であると、柔軟な硬化物が得られないため好ましくない、また、10部以上用いると硬化物物性が低下するため好ましくない。より好ましくは0.2〜5部であり、さらに好ましくは0.5〜4部である。
【0048】
<光重合開始剤>
本発明の硬化性組成物には、特に限定されないが、速く硬化させたり、充分な性状の硬化物を得たりするために光重合開始剤を使用することが好ましい。
【0049】
光重合開始剤としては、特に限定はないが、光重合開始剤としては、光ラジカル開始剤、光カチオン開始剤、光アニオン開始剤、近赤外光重合開始剤等が挙げられ、光ラジカル開始剤、光アニオン開始剤が好ましく、光ラジカル開始剤が特に好ましい。
【0050】
光ラジカル開始剤としては、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ジベンゾイル等が挙げられる。
【0051】
これらのうち、α−ヒドロキシケトン化合物(例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等)、フェニルケトン誘導体(例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン等)が好ましい。
【0052】
光カチオン開始剤としては、特開2009−102482に例示されるスルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩などのオニウム塩類が挙げられる。
【0053】
光アニオン開始剤としては、例えば、1,10−ジアミノデカン、4,4’−トリメチレンジピペラジン、カルバメート類及びその誘導体、コバルト−アミン錯体類、アミノオキシイミノ類、アンモニウムボレート類等が挙げられる。
【0054】
近赤外光重合開始剤としては、近赤外光吸収性陽イオン染料等を使用しても構わない。近赤外光吸収性陽イオン染料としては、650〜1500nmの領域の光エネルギーで励起する、例えば特開平3−111402号公報、特開平5−194619号公報等に開示されている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレート陰イオン錯体等を用いるのが好ましく、ホウ素系増感剤を併用することがさらに好ましい。
【0055】
これらの光重合開始剤は、単独、又は2種以上混合して用いても、他の化合物と組み合わせて用いてもよい。
【0056】
他の化合物との組み合わせとしては、具体的には、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンとの組み合わせ、さらにこれにジフェニルヨードニウムクロリド等のヨードニウム塩を組み合わせたもの、メチレンブルー等の色素及びアミンと組み合わせたもの等が挙げられる。
【0057】
なお、前記光重合開始剤を使用する場合、必要により、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、パラターシャリーブチルカテコール等の重合禁止剤類を添加することもできる。
【0058】
光重合開始剤を使用する場合、その添加量は特に制限はないが、硬化性と貯蔵安定性の点から、(a)成分のビニル系重合体100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましい。
【0059】
<硬化触媒>
本発明で使用される(b)成分は、従来公知の各種縮合触媒(硬化触媒、硬化剤と言うこともある)の存在下、あるいは非存在下にシロキサン結合を形成することにより架橋、硬化する。硬化物の性状としては、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作製することができる。
【0060】
このような縮合触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等のジアルキル錫ジカルボキシレート類、例えば、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド等のジアルキル錫アルコキサイド類、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジエチルアセトアセテートなどのジアルキル錫の分子内配位性誘導体類、例えば、ジブチル錫オキサイドやジオクチル錫オキサイド等のジアルキル錫オキサイドと例えば、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、メチルマレエート等のエステル化合物との反応物、ジアルキル錫オキサイド、カルボン酸およびアルコール化合物を反応させて得られる錫化合物、例えば、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジオクチル錫ビストリエトキシシリケート等のジアルキル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、およびこれらジアルキル錫化合物のオキシ誘導体(スタノキサン化合物)等の4価の錫化合物類;例えば、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、フェルザチック酸錫等の2価の錫化合物類、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;例えば、モノブチル錫トリスオクトエートやモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物やモノオクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、イソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジ−イソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉄、カルボン酸チタニウム、カルボン酸鉛、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸カルシウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸バリウム、カルボン酸マンガン、カルボン酸セリウム、カルボン酸ニッケル、カルボン酸コバルト、カルボン酸亜鉛、カルボン酸アルミニウム等のカルボン酸(2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、オレイン酸、ナフテン酸等)金属塩、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジブトキシジルコニウムジアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族第一アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン、エチルステアリルアミン、ブチルステアリルアミン等の脂肪族第二アミン類;トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族第三アミン類;トリアリルアミン、オレイルアミン、などの脂肪族不飽和アミン類;ラウリルアニリン、ステアリルアニリン、トリフェニルアミン等の芳香族アミン類;および、その他のアミン類として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物あるいは混合物のようなアミン系化合物と有機錫化合物との反応物および混合物;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらにはフェルザチック酸等の脂肪酸や有機酸性リン酸エステル化合物等他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
【0061】
酸性触媒の有機酸性リン酸エステル化合物としては、(CHO)−P(=O)(−OH)、(CHO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(C17O)−P(=O)(−OH)、(C17O)−P(=O)(−OH)、(C1021O)−P(=O)(−OH)、(C1021O)−P(=O)(−OH)、(C1327O)−P(=O)(−OH)、(C1327O)−P(=O)(−OH)、(C1633O)−P(=O)(−OH)、(C1633O)−P(=O)(−OH)、(HO−C12O)−P(=O)(−OH)、(HO−C12O)−P(=O)(−OH)、(HO−C16O)−P(=O)(−OH)、(HO−C16O)−P(=O)(−OH)、[(CHOH)(CHOH)O]−P(=O)(−OH)、[(CHOH)(CHOH)O]−P(=O)(−OH)、[(CHOH)(CHOH)CO]−P(=O)(−OH)、[(CHOH)(CHOH)CO]−P(=O)(−OH)などがあげられるが、例示物質に限定されるものではない。
【0062】
これら有機酸類とアミンの併用系は、触媒活性が高くなるため、使用量を減少できる観点でより好ましい。有機酸とアミン併用系の中では、酸性リン酸エステルとアミン、有機カルボン酸とアミン、特に有機酸性リン酸エステルとアミン、脂肪族カルボン酸とアミンの併用系は、触媒活性がより高く、速硬化性の観点で好ましい。詳細は以下に示す。これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0063】
<(d)成分(反応性希釈剤)>
本発明の硬化性組成物には必要に応じて(d)成分として一般式(3)の構造を有する反応性希釈剤を用いることができる。
一般式(3):
−OC(O)C(R)=CH (3)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
本剤を使用することにより、粘度・反応性・接着性・モジュラスなの諸物性を任意に制御することが可能である。
【0064】
一般式(3)の構造を1個以上有する化合物であれば、特に限定はないが、例えば、単官能(メタ)アクリレート類、多官能(メタ)アクリレート類などが挙げられる。単官能(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリレート、1−メトキシエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート 、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性ブチル(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、トリメトキシシリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0065】
多官能アクリレートとしては、1、3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、エチレンオキサイド変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。本発明においてはこれらの化合物を単独で用いても良いし、複数を用いることも可能である。
【0066】
反応性希釈剤の使用量は、硬化性組成物中の1〜50重量%であることが好ましく、 10〜50重量%であることがより好ましい。1%重量未満であると、基材の接着性が充分に得られなくなるため好ましくない。また50重量%より大きいと、硬化収縮が大きくなり、基材変形などが生じるため相応しくない。
【0067】
<その他の添加剤>
本発明に用いられる硬化性組成物においては、目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加しても構わない。例えば、金属石鹸、充填材、微小中空粒子、酸化防止剤、可塑剤、光安定剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、溶剤、難燃剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、などがあげられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0068】
<用途>
本発明の硬化性組成物は、光硬化性の接着剤として使用することができる。用途は特に限定されないが、例えばLCD・有機EL・プラズマディスプレイ・電子ペーパーなどといった画像表示パネルモジュール用部品の接着、または画像表示パネルモジュールとそれを保護するためのカバーボードとの接着、抵抗膜式タッチパネル用電極基板または静電容量式タッチパネル用電極基板とそれを保護するためのカバーボードとの接着、CD・DVD・BDなどといった光学ディスクの記録再生装置用部品およびその周辺材料の接着、マイクロスピーカー装置用部品およびその周辺材料の接着などに好ましく用いることができる。特に、LCD・有機EL・プラズマディスプレイ・電子ペーパーなどの画像表示モジュールパネルとそれを保護するためのカバーボードとの接着、抵抗膜式タッチパネル用電極基板または静電容量式タッチパネル用電極基板とそれを保護するためのカバーボードとの接着に好ましく用いることができる。
【0069】
カバーボードの素材に特に制限はないが、ある程度の加工性、強度を有し、かつ画像を鮮明に認識する観点から無色透明である素材であることが好ましい。例えば、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)などが挙げられる。これらの中でも、特にガラス、PMMAが透明性の観点から好ましい。
【0070】
<画像表示装置の製造方法>
本発明の画像表示装置は、任意の方法で製造することができる。製造に関しては、大きく分けて、脱泡、塗布、貼り合わせ、硬化の4ステップがある。
【0071】
まず脱泡について説明する。図1の6の容器に4,3を順に取り付けて密閉状態にし、本発明の硬化性組成物を1より6に投入する。3、4、6の素材については特に限定はないが、減圧および加圧への耐久性の観点からステンレス製であることが好ましい。次に硬化性組成物を脱泡するために、7に真空ポンプなどの減圧装置を接続し、容器内を減圧させる。この際、一気に低真空状態(10Pa前後)に到達させると激しく発泡し、7,8のライン内に組成物が混入するため、段階を踏んで減圧を行うことが好ましい。したがって真空ラインの中間にニードルバルブやボールバルブ、三方コックなどの真空度を調節できる設備を導入することが好ましい。また、5の攪拌羽根を回転させれば脱泡が促進されるので、必要に応じて使用してもよい。ただし、回転が速すぎると系内の気体が樹脂に噛み込み、むしろ気泡が発生してしまう可能性があるので1〜100rpm程度の速度で攪拌するのが好ましい。脱泡を行った後、容器内を常圧に戻し、さらに8より加圧空気を送り容器内を加圧状態にする。このときの圧力は組成物の粘度や吐出量・速度に応じて任意に設定可能で、0.1〜0.4MPaであることが好ましい。これにより組成物は9によって11のディスペンスバルブに送られる。
【0072】
塗布に関しては、ディスペンス法や印刷法などが考えられ、ディスペンス法を用いる場合は、例えば図1に模式的に示す設備で実施することができる。10にはエアー供給ラインが接続され、ディスペンスシステムにより吐出量をコントロールしながら組成物を12の基板上に塗布することが可能である。このディスペンスシステムは市販のものを使用することが可能で、例えばPerformsシリーズ、Ultimsシリーズ(EFD社製)、SuperΣシリーズ、ML−808シリーズ(以上、武蔵エンジニアリング社製)、ACCURAシリーズ(岩下エンジニアリング社製)、DPS−800シリーズ(エース技研社製)、TOMシリーズ(トミタエンジニアリング社製)などが挙げられる。そして貼り合わせプロセスおよび展開プロセスにおいて気泡が混入しないよう、塗布するにあたっては任意の塗布パターンを描くことが可能であるが、例えば特開2009‐186959に挙げられている塗布パターンが好ましい。
【0073】
次に、貼り合わせの方法としては、上記の方法で塗布した基材をもう一方の基材に重ね合わせた後、上方の基材の自重で組成物を基材一面に展開する方法や、重ね合わせた後、任意の方法で貼り合わせた基材に荷重を与えて展開速度を上げる方法が好ましい。また、貼り合わせる直前に基材を真空チャンバなどの真空系に投入し、その系で貼り合わせる方法も好ましい。この方法を用いると、貼り合わせ時に気泡が混入してもその気泡の気圧は真空系の気圧と同等であるため、基材が常圧雰囲気に戻されるときに気泡は一気に収縮し、目視では確認できないレベルにまで小さくなるか、組成物中に溶解する。したがって塗布パターンの自由度が向上し、より多様な塗布プロセスを導入することが可能である。この際の真空度は、10−1〜10Paであることが好ましい。10−1Pa未満だと減圧に時間を要しタクトタイムが伸びるので好ましくなく、10Paより大きいと減圧が不十分で気泡が完全に見えなくならない場合があるので好ましくない。また、基材にフレキシビリティがある場合はラミネート法を用いて貼り合わせることも可能である。
【0074】
硬化については、まず光源としては高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどのUV光源を用いた方法が一般的であるが、基材の種類や使用環境に応じて、近紫外LED光源やキセノンランプ、ハロゲンランプ、紫外線レーザーなど任意の光源を用いることが可能である。照射方法としては、コンベア上に貼り合わせ基材を乗せてランプに照射し連続的に製造したり、照射用チャンバに基材を入れてバッチ式で製造したりすることができる。また(b)成分および硬化触媒を使用することで組成物を塗布する際に取り込まれる水分および、貼り合わせ部周囲から取り込まれる水分によって縮合硬化させることが可能である。
【0075】
上記製造方法を用いて、画像表示装置における画像表示部の貼り合わせを行うことができ、具体的には液晶ディスプレイ(LCD)・有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ・プラズマディスプレイ・電子ペーパーなど画像表示パネルモジュールとそれを保護するためのカバーボードとの貼り合せ、抵抗膜式タッチパネル用電極基板または静電容量式タッチパネル用電極基板とそれを保護するためのカバーボードとの貼り合せ、もしくは画像表示パネルモジュールと各種タッチパネル用電極基板との貼り合せなどが可能である。 カバーボードの素材に特に制限はないが、ある程度の加工性、強度を有し、かつ画像を鮮明に認識する観点から無色透明である素材であることが好ましい。例えば、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)などが挙げられる。これらの中でも、特にガラス、PMMAが透明性の観点から好ましい。
【0076】
<画像表示装置>
本発明の硬化性組成物を画像表示パネルモジュールとカバーボードの間の充填用接着剤、およびタッチパネル用電極基板とカバーボードの間の充填用接着剤として用いて製造される画像表示装置の用途に制限はないが、例えば、テレビ、カーナビゲーションシステム、 PDA、携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、電子広告板(デジタルサイネージ)、携帯ゲーム機、音楽再生装置、パソコン、電子書籍(電子ペーパー)用端末装置などのディスプレイ部分に使用することができる。
【実施例】
【0077】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
また、下記実施例中、「数平均分子量」及び「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804およびK-802.5;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
下記実施例中、「平均末端(メタ)アクリロイル基数」は、「重合体1分子当たりに導入された(メタ)アクリロイル基数」であり、H−NMR分析及びGPCにより求められた数平均分子量より算出した。
(ただし、H−NMRはBruker社製ASX−400を使用し、溶媒として重クロロホルムを用いて23℃にて測定した。)
なお、下記実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
【0078】
(製造例1、2):(a)成分(アクリル系重合体)の製造
各原料の使用量を表1に示す。
(1)重合工程
アクリル酸エステル(予め混合されたアクリル酸エステル)を脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅、全アクリル酸エステルの一部(表1では初期仕込みモノマーとして記載)を仕込み、加熱攪拌した。アセトニトリル(表1では重合用アセトニトリルと記載)、開始剤としてジエチル2,5−ジブロモアジペート(DBAE)または2−ブロモブチル酸エチルを添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)を添加し、重合反応を開始した。残りのアクリル酸エステル(表1では追加モノマーとして記載)を逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量を重合用トリアミンとして表1に示す。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。
(2)酸素処理工程
モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で反応容器気相部に酸素‐窒素混合ガスを導入した。内温を約80℃〜約90℃に保ちながらしながら反応液を数時間加熱攪拌して反応液中の重合触媒と酸素を接触させた。アセトニトリル及び未反応のモノマーを減圧脱揮して除去し、重合体を含有する濃縮物を得た。濃縮物は著しく着色していた。
(3)第一粗精製
酢酸ブチルを重合体の希釈溶媒として使用した。重合体100kgに対して100〜150kg程度の酢酸ブチルで(2)の濃縮物を希釈し、ろ過助剤(ラジオライトR900、昭和化学工業製)および/または吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加した。反応容器気相部に酸素‐窒素混合ガスを導入した後、約80℃で数時間加熱攪拌した。不溶な触媒成分をろ過除去した。ろ液は重合触媒残渣によって着色および若干の濁りを有していた。
(4)第二粗精製
ろ液を攪拌機付ステンレス製反応容器に仕込み、吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加した。気相部に酸素−窒素混合ガスを導入して約100℃で数時間加熱攪拌した後、吸着剤等の不溶成分をろ過除去した。ろ液はほとんど無色透明な清澄液であった。ろ液を濃縮し、ほぼ無色透明の重合体を得た。
(5)(メタ)アクリロイル基導入工程
重合体100kgをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)約100kgに溶解し、アクリル酸カリウム(末端Br基に対して約2モル当量)、熱安定剤(H−TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−n−オキシル)、吸着剤(キョーワード700SEN)、を添加し、約70℃で数時間加熱攪拌した。DMACを減圧留去し、重合体濃縮物を重合体100kgに対して約100kgのトルエンで希釈し、ろ過助剤を添加して固形分をろ別し、ろ液を濃縮し、末端にアクリロイル基を有する重合体[P1]、[P2]を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたアクリロイル基数、数平均分子量、分子量分布を併せて表1に示す。
【0079】
(製造例3):(b)成分(アクリル系重合体)の製造
(1)重合工程
製造例1および2の(1)〜(4)の工程に準ずる。
(2)ジエン反応工程
上記濃縮物に1,7−オクタジエン(以下ジエン若しくはオクタジエンと略す)、アセトニトリル(表1ではジエン反応用アセトニトリルと記載)を添加し、トリアミン(表1ではジエン反応用トリアミンと記載)を追加した。内温を約80℃〜約90℃に調節しながら数時間加熱攪拌させて、重合体末端にオクタジエンを反応させた。アセトニトリル及び未反応のオクタジエンを減圧脱揮して除去し、末端にアルケニル基を有する重合体を含有する濃縮物を得た。
(3)粗精製工程
上記濃縮物をトルエンで希釈し、ろ過助剤、吸着剤(キョーワード700SEN:協和化学工業(株)製)、ハイドロタルサイト(キョーワード500SH:協和化学工業(株)製)を添加し、80〜100℃程度に加熱攪拌した後、固形成分をろ別した。ろ液を濃縮し、重合体粗精製物を得た。
(4)高温加熱処理・吸着精製工程
重合体粗精製物、熱安定剤(スミライザーGS:住友化学(株)製)、吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加し、減圧脱揮、加熱攪拌しながら昇温し、約170℃〜約200℃の高温状態で数時間程度加熱攪拌、減圧脱揮を行った。吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)、を追加し、重合体に対して約10重量部のトルエンを添加し、約170℃〜約200℃の高温状態で更に数時間程度加熱攪拌した。
処理液を更にトルエンで希釈し、吸着剤をろ別した。ろ液を濃縮し、両末端にアルケニル基を有する重合体を得た。
(5)シリル化工程
上記方法により得られた重合体、メチルジメトキシシラン(DMS)、オルト蟻酸メチル(MOF)、白金触媒[ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒のイソプロパノール溶液:以下白金触媒という]を所定量混合し、約100℃に加熱攪拌した。1時間程度加熱攪拌後、未反応のDMS等の揮発分を減圧留去し、両末端にメトキシシリル基を有する重合体[P3]を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたシリル基数、分子量、分子量分布を併せて表2に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
(実施例1)
(a)成分として、製造例1、2で得られた重合体[P1]を30部、[P2]を30部、(b)成分として、製造例3で得られた重合体[P3]40部、(c)成分としてn−ドデシルメルカプタン(NDM 和光純薬製)0.5部、その他、イソボロニルアクリレート(商品名;IBXA、大阪有機化学製)15部、ジシクロペンタニルメタクリレート(商品名;FA−513M、日立化成製)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名;DAROCUR1173、BASF製)1部、トリメトキシビニルシラン(商品名;A171、モメンティブ製)4部、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(商品名;AP−8、大八化学製)0.3部、ジアザビシクロウンデセン(DBU)(ナカライテスク製)0.03部を加え、2Lのプラネタリーミキサー(井上製作所製)で2時間混練して、硬化性組成物を得た。
【0083】
(実施例2〜3、比較例1〜4)
表3に示す配合比で、実施例1同様の方法で硬化性組成物を得た。実施例2のPEMPはペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(SC有機化学製)、実施例3のTEA−1000は、ポリブタジエンアクリレート(日本曹達製)である。
【0084】
次に、得られた組成物をUV照射装置(FUSION製Light Hammer6)にて6000mJ/cmの積算光量の紫外線を照射し、硬化させた。得られた硬化物の硬度、および伸びを以下の条件で測定した。硬度はA型硬度計(高分子計器製)を用いて、JISK6253の方法に準拠して測定した。伸びはSTEREOGRAPH W2(島津製作所製)を用いて、JISK6251の方法に準拠して測定した。
【0085】
【表3】

【0086】
各物性の測定の結果、各実施例の硬化性組成物より得られる硬化物は、比較例1の硬化物よりも硬度が低く、高伸びを有することが明らかとなった。また、各硬化物を90℃の高温装置内に硬化物を24時間静置したところ、各実施例の硬化性組成物より得られる硬化物は形状を保持したままであったが、比較例2の硬化物は高温状態で液状化し形状を保持していなかった。
【符号の説明】
【0087】
1 漏斗
2 安全弁
3 クランプ
4 ふた
5 攪拌羽根
6 密閉容器
7 真空ライン
8 加圧ライン
9 送液用チューブ
10 ディスペンサー用エアー供給ライン
11 ディスペンスバルブ
12 基板
13 ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)一般式(1):
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表わされる基を1分子あたり平均して1個以上有する重合体、
(b)一般式(2):
−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y)
(式中、RおよびRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。RまたはRがそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
で表わされる基を1分子あたり平均して1個以上有する重合体、
(c)分子内にメルカプト基を有する化合物、
を含む硬化性組成物。
【請求項2】
(a)成分および/または(b)成分がビニル系重合体である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
(a)成分および/または(b)成分が(メタ)アクリル系重合体である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
(a)成分、(b)成分の重合体の分子量分布が1.8未満である、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項5】
(c)成分の添加量が、(a)成分100重量部に対して、0.1〜10部である請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項6】
(d)一般式(3):
−OC(O)C(R)=CH (3)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表わされる基を1個以上有する、分子量500以下である化合物を含み、
(d)成分の使用量が組成物中の1〜50重量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物を、画像表示モジュールパネルとカバーボードの接着に用い、製造される画像表示装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物を、タッチパネル用電極基板とカバーボードの接着に用い、製造される画像表示装置。
【請求項9】
請求項7または8の画像表示装置において、接着に用いられる2枚の基材のいずれか一方の基材に請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物を塗布し、その基材をもう一方の基材と貼り合わせて硬化性組成物を基材一面に展開させてから、硬化させることを特徴とする画像表示装置の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−184323(P2012−184323A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48182(P2011−48182)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】