説明

硬化性組成物

本発明は、硬化性組成物に関する。本発明は、優れた加工性及び作業性を示し、且つ硬化し、優れた光抽出効率、クラック耐性、硬度、耐熱衝撃性及び接着性を示し、白濁などを誘発することなく、表面でのべたつきを防止する硬化物を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)、特に発光波長が約250nm〜550nmの青色または紫外線LEDとして、GaN、GaAlN、InGaN及びInAlGaNのようなGaN系の化合物半導体を利用した高輝度製品が得られている。また、赤色及び緑色LEDを青色LEDと組み合わせる技法で高画質のフルカラー画像の形成も可能になっている。例えば、青色LEDまたは紫外線LEDを蛍光体と組み合わせて、白色LEDを製造する技術が知られている。このようなLEDは、LCD(Liquid Crystal Display)のバックライトまたは一般照明用などに需要が拡大されている。
【0003】
LED用封止材として、接着性が高く、力学的な耐久性が優れたエポキシ樹脂が幅広く利用されている。しかし、エポキシ樹脂は、青色ないし紫外線領域の光に対する透過率が低く、また、耐光性が劣化する問題点がある。これにより、例えば、特許文献1〜3などでは、上記のような問題点を改良するための技術を提案している。しかし、上記文献で開示する封止材は、耐光性が十分ではない。
【0004】
低波長領域に対して耐光性が優れた材料として、シリコーン樹脂が知られている。しかし、シリコーン樹脂は、耐熱性が劣化し、硬化後に表面でべたつきが現われる短所がある。また、シリコーン樹脂がLEDの封止材に効果的に適用されるためには、高屈折特性、クラック耐性、表面硬度、接着力及び耐熱衝撃性などの特性が確保される必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開平11−274571号公報
【特許文献2】日本国特開2001−196151号公報
【特許文献3】日本国特開2002−226551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、硬化性組成物を提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(A)下記化学式1の平均組成式で表示される線形オルガノシロキサン化合物と;(B)下記化学式2の平均組成式で表示される架橋型オルガノシロキサン化合物と;(C)下記化学式3で表示される水素シロキサン化合物とを含み、下記一般式1及び2の条件を満足する硬化性組成物:
【0008】
[化学式1]
(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2
[化学式2]
(RSiO1/2(R1011SiO)(R12SiO3/2(SiO4/2
[化学式3]
【化1】

【0009】
[一般式1]
|X(A)−X(B)|<0.4
[一般式2]
|X(B)−X(C)|<0.4
【0010】
上記化学式1〜3で、R〜R12は、それぞれ独立に、アルコキシ、ヒドロキシ基、エポキシ基または1価の炭化水素基を示し、R〜Rのうち1つ以上は、アルケニル基であり、R1〜Rのうち1つ以上は、アリール基であり、R〜R12のうち1つ以上は、アルケニル基であり、R〜R12のうち1つ以上は、アリール基であり、Rは、それぞれ独立に水素、エポキシ基または1価炭化水素基を示し、Rのうち少なくとも1つは、アリール基であり、aは、0〜0.5であり、bは、0.5〜0.98であり、cは、0〜0.2であり、dは、0〜0.1であり、eは、0〜0.5であり、fは、0〜0.3であり、gは、0.3〜0.85であり、hは、0〜0.2であり、nは、1〜10であり、a+b+c+dは、1であり、e+f+g+hは、1であり、(a+b)/(a+b+c+d)は、0.9を超過し、(g+4h/3)/(e+2f)は、2〜5であり、g/(g+h)は、0.85を超過し、上記一般式1及び2で、X(A)は、上記(A)オルガノシロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に対する上記(A)オルガノシロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に結合されたアリール基のモル比を示し、X(B)は、上記(B)オルガノシロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に対する上記(B)オルガノシロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に結合されたアリール基のモル比を示し、X(C)は、上記(C)水素シロキサンに含まれる全体ケイ素原子に対する上記(C)水素シロキサンに含まれる全体ケイ素原子に結合されたアリール基のモル比を示す。
【0011】
以下、本発明の硬化性組成物を詳しく説明する。
本発明の組成物は、(A)シロキサン化合物及び(B)シロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合されたアルケニル基;及び(C)シロキサン化合物に含まれるケイ素に結合された水素原子の反応によって硬化する組成物である。本発明は、優れた加工性と作業性を示し、硬化され、優れたクラック耐性、硬度特性、耐熱衝撃性及び接着性を示し、高温及び/または高湿条件のような苛酷条件でも白濁や、表面のべたつきなどを誘発せず、苛酷条件下でも長期信頼性に優れた硬化性組成物またはその硬化物を提供することができる。
【0012】
本発明の組成物は、上記化学式1の平均組成式で表示される(A)線形オルガノシロキサン化合物を含む。本明細書において、オルガノシロキサン化合物が所定の平均組成式で表示されるというのは、上記化合物が所定の平均組成式で表示される単一のシロキサン化合物成分を含む場合はもちろん、2個以上の成分の混合物である場合、上記各成分の組成の平均が、その所定の平均組成式で表示される場合をも含む。
【0013】
上記化学式1の平均組成式において、R〜Rは、ケイ素原子に直接結合されている置換基であり、それぞれ独立にアルコキシ、ヒドロキシ基、エポキシ基または1価炭化水素基を示すが、少なくとも1つ以上は、アルケニル基であり、また、少なくとも1つ以上は、アリール基を示す。上記1価炭化水素基の例としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアリールアルキル基を挙げることができる。上記アルコキシ基または1価炭化水素基などは、必要に応じて適切な置換基によって置換されてもよい。
【0014】
上記アルコキシ基は、炭素数1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4の直鎖状、分岐状または環状アルコキシ基であることができ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基などであることができる。
【0015】
上記アルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4の直鎖状、分岐状または環状アルキル基またはハロゲン化アルキル基であることができ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、3−クロロプロピル基または3、3、3−トリフルオロプロピル基であることができ、より好ましくはメチル基であることができる。
【0016】
また、上記アルケニル基は、炭素数2〜12、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜4のアルケニル基であることができ、好ましくはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基またはヘキセニル基であることができ、より好ましくはビニル基であることができる。
【0017】
また、上記アリール基は、炭素数6〜18、好ましくは炭素数6〜12のアリール基であることができ、好ましくはフェニル基、トリル基、キシリル基及びナフチル基であることができ、さらに好ましくはフェニル基であることができる。
【0018】
また、上記アリールアルキル基は、炭素数6〜19、好ましくは炭素数6〜13のアリールアルキル基であり、好ましくは、ベンジル基またはペネチル基であることができる。
【0019】
上記化学式1で、R〜Rのうち少なくとも1つは、アルケニル基であり、具体的には、上記アルケニル基は、上記シロキサン化合物(A)に含まれている全体ケイ素原子(Si)に対する上記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Ak)のモル比(Ak/Si)が0.02〜0.2、好ましくは0.02〜0.15となる量で存在することができる。上記モル比(Ak/Si)を0.02以上にして、成分(C)との反応性を適切に維持し、未反応成分が硬化物の表面に染み出る現象を防止することができる。また、モル比(Ak/Si)を0.2以下に調節し、硬化物のクラック耐性を優秀に維持することができる。
【0020】
また、上記化学式1で、R〜Rのうち少なくとも1つは、アリール基、好ましくはフェニル基であることができる。これにより、硬化物の屈折率及び硬度特性などを効果的に制御することができる。具体的に、上記アリール基、好ましくは、フェニル基は、シロキサン化合物(A)に含まれる全体ケイ素原子(Si)に対する、上記アリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)が0.3〜1.3、好ましくは0.4〜1.3になる量で存在することができ、さらに好ましくは0.6〜1.3になる量で存在することができる。上記モル比(Ar/Si)を0.3以上に調節し、硬化物の屈折率及び硬度特性を極大化することができ、また、1.3以下に調節し、組成物の粘度などを適切に維持することができる。
【0021】
本発明において上記化学式1の平均組成式でa、b、c及びdは、各シロキサン単位のモル比率を示し、その総計は1であり、aは、0〜0.5であり、bは、0.5〜0.98であり、cは0〜0.2であり、dは、0〜0.1である。本発明では、硬化物のクラック耐性を極大化するために、上記(a+b)/(a+b+c+d)を0.9超過、好ましくは0.95超過の範囲に調節することができる。また、(a+b)/(a+b+c+d)の上限は、例えば、1であることができるる。
【0022】
本発明において上記(A)線形シロキサン化合物は、25℃で粘度が1,000mPa・s〜100,000mPa・s、好ましくは1,000mPa・s〜50,000mPa・sであることができる。この範囲で組成物の硬化前の加工性や作業性と硬化後の硬度特性などを優秀に維持することができる。
【0023】
また、本発明において上記(A)線形シロキサン化合物は、例えば、1,000〜50,000、好ましくは1,000〜30,000の重量平均分子量(M:Weight Average Molecular Weight)を有することができる。(A)シロキサン化合物の重量平均分子量を1,000以上に調節し、粘度が適切に維持され、硬化されて優れた強度及びクラック耐性を有する組成物を提供することができる。また、重量平均分子量を50,000以下に調節し、組成物の粘度を適切に維持し、作業性及び加工性を優秀に維持することができる。本明細書において「重量平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味する。また、特に他に規定しない限り、以下で、分子量という用語は、重量平均分子量を意味する。
【0024】
本発明において上記のような(A)シロキサン化合物としては、下記化学式で表示されるシロキサン化合物を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0025】
(ViMeSiO1/2(MePhSiO2/230
(ViMeSiO1/2(PhSiO2/210(MeSiO2/210
(ViMeSiO1/2(MePhSiO2/220(PhSiO2/210(MeSiO2/220
(ViMeSiO1/2(MePhSiO2/250(MeSiO2/210
(ViMeSiO1/2(MeSiO2/250(PhSiO2/230(PhSiO3/2
(ViMeSiO1/2(ViMeSiO2/2(MeSiO2/230(PhSiO2/230
【0026】
上記Viは、ビニル基を示し、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示す。
【0027】
本発明において、上記のような(A)線形シロキサン化合物は、この分野において公知されている一般的な方式で製造することができる。例えば、上記(A)線形シロキサン化合物は、ハロゲン原子またはアルコキシ基などのような加水分解性基を有するオルガノシランの一種または二種以上を加水分解及び縮合させて製造することができる。上記加水分解及び縮合反応は、例えば、一般的な酸性触媒または塩基触媒の存在下に行われることができる。また、上記加水分解及び縮合に利用されるオルガノシランの例としては、RSiX(4−n)で表示される化合物を挙げることができる。上記Xは、加水分解性基であって、塩素などのハロゲン原子またはアルコキシ基であることができ、nは、0〜3の整数であることができる。また、上記Rは、ケイ素原子に結合された置換基であって、目的するシロキサン化合物の置換基を考慮して適切に選択されることができる。また、線形シロキサン化合物は、環状シロキサン(cyclic siloxane)を塩基性触媒下で開環反応させて製造することもできる。この分野では、上記の方式を含んで、シロキサン化合物を製造することができる多様な方法が知られていて、平均的な技術者は、このような方式を適切に採用し、目的するシロキサン化合物を製造することができる。
【0028】
本発明の組成物は、(B)上記化学式2の平均組成式で表示される架橋型オルガノシロキサン化合物を含む。用語「架橋型シロキサン化合物」は、(RSiO1.5)または(SiO)で表示されるシロキサン単位を必ず含むシロキサン化合物を意味し、上記Rは、ヒドロキシ基、エポキシ基または1価炭化水素基である。
【0029】
上記(B)架橋型オルガノシロキサン化合物は、上記化学式2の平均組成式で表示される。上記R〜R12は、ケイ素原子に直接結合した置換基であって、それぞれ独立にアルコキシ、ヒドロキシ、エポキシまたは1価炭化水素基を示すが、少なくとも1つ以上は、アルケニル基を示し、また、少なくとも1つ以上は、アリール基を示す。上記各置換基の具体的な種類は、上記化学式1の場合と同一である。上記化学式2で、R〜R12のうち少なくとも1つは、アルケニル基であり、具体的には、上記アルケニル基は、上記シロキサン化合物(B)に含まれている全体ケイ素原子(Si)に対する上記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Ak)のモル比(Ak/Si)が0.15〜0.35、好ましくは0.15〜0.3になる量で存在する。上記モル比(Ak/Si)を0.15以上に調節し、成分(C)との反応性を適切に維持し、未反応成分が硬化物の表面に染み出る現象を防止することができる。また、上記モル比(Ak/Si)を0.35以下に調節し、硬化物の硬度特性、クラック耐性及び耐熱衝撃性などを優秀に維持することができる。
【0030】
また、上記化学式2で、R〜R12のうち少なくとも1つは、アリール基、好ましくはフェニル基であることができる。これにより、硬化物の屈折率及び硬度特性などを効果的に制御することができる。具体的に、上記アリール基、好ましくはフェニル基は、オルガノシロキサン化合物(B)に含まれる全体ケイ素原子(Si)に対する、上記アリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)が0.35〜1.2、好ましくは0.35〜1.1になる量で存在することができる。上記モル比(Ar/Si)を0.35以上に調節し、硬化物の屈折率及び硬度特性を極大化することができ、また、1.2以下に調節し、組成物の粘度及び耐熱衝撃性などを適切に維持することができる。
【0031】
本発明において上記化学式2の平均組成式でe、f、g及びhは、各シロキサン単位のモル比率を示し、その総計は、1であり、eは、0〜0.5であり、fは、0〜0.3であり、gは、0.3〜0.85であり、hは、0〜0.2である。本発明では、硬化物の強度、クラック耐性及び耐熱衝撃性を極大化するために、上記(g+(4/3)h)/(e+2f)を2〜5、好ましくは2〜4に調節し、g/(g+h)を0.85超過、好ましくは0.9超過の範囲に調節することができる。
また、g/(g+h)の上限は、例えば、1であることができる。
【0032】
本発明において上記(B)架橋型オルガノシロキサン化合物は、25℃での粘度が5,000mPa・s以上、好ましくは10,000mPa・s以上であることができ、これにより、硬化前の加工性と硬化後の硬度特性などを適切に維持することができる。
【0033】
また、上記(B)架橋型オルガノシロキサンは、例えば、1,000〜5,000、好ましくは1,000〜4,000の分子量を有することができる。(B)シロキサン化合物の分子量を1,000以上に調節し、硬化前の成形性や、硬化後の強度を効果的に維持されることができ、分子量を5,000以下に調節し、粘度などの特性を適切に維持することができる。
【0034】
本発明において上記のような(B)シロキサン化合物としては、下記化学式で表示されるシロキサン化合物を使用することができるが、これに限定されるものではない。
(ViMeSiO1/2(PhSiO3/210
(ViMeSiO1/2(MePhSiO2/2(PhSiO3/215
(ViMeSiO1/2(PhSiO2/2)(PhSiO3/2
(ViMeSiO1/2(PhSiO3/2(SiO4/2);
(ViMeSiO1/2(MePhSiO2/2)(PhSiO3/2(SiO4/2);
(ViMeSiO1/2(MeSiO2/2)(MePhSiO2/2(PhSiO2/2)(PhSiO3/219(SiO4/2
【0035】
上記Viは、ビニル基を示し、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示す。
【0036】
本発明において上記(B)架橋型オルガノシロキサン化合物を製造する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、上記(A)シロキサン化合物の場合と同一の方式を適用することができる。
【0037】
本発明において、上記(B)架橋型オルガノシロキサン化合物は、例えば、(A)線形シロキサン化合物100重量部に対して、50重量部〜700重量部、好ましくは50重量部〜500重量部で含まれることができる。本明細書において単位重量部は、重量比率を意味する。上記(B)シロキサン化合物の重量比率を50重量部以上に調節し、硬化物の強度を優秀に維持し、また、700重量部以下に調節し、クラック耐性及び耐熱衝撃性を優秀に維持することができる。
【0038】
本発明の組成物は(C)上記化学式3で表示される水素シロキサン化合物を含む。上記(C)シロキサン化合物は、ケイ素原子と直接結合している水素原子を含む化合物であって、上記水素原子は、(A)及び(B)のシロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基と反応することができる。
【0039】
上記化学式3のシロキサン化合物においてRは、水素、エポキシ基または1価炭化水素基を示し、上記1価炭化水素基の具体的な種類は、前述した通りである。
【0040】
上記(C)シロキサン化合物は、分子鎖の両末端がケイ素原子に結合された水素原子により封止されていて、必要に応じて分子の側鎖に存在するRのうち1つ以上が水素原子であることができる。具体的に、本発明では、上記(C)シロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子(Si)に対するケイ素原子結合水素原子(H)のモル比(H/Si)が0.2〜0.8、好ましくは0.3〜0.75であることができる。上記モル比を0.2以上に調節し、組成物の硬化性を優秀に維持し、また、0.8以下に調節し、クラック耐性及び耐熱衝撃性などを優秀に維持することができる。
【0041】
また、上記化学式3のRのうち少なくとも1つは、アリール基、好ましくはフェニル基であることができる。これにより、硬化物の屈折率及び硬度特性などを効果的に制御することができる。具体的に、上記アリール基、好ましくはフェニル基は、オルガノシロキサン化合物(C)に含まれる全体ケイ素原子(Si)に対する、上記アリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)が0.3〜1、好ましくは0.4〜0.8になる量で存在することができる。上記モル比(Ar/Si)を0.3以上に調節し、硬化物の屈折率及び硬度特性を極大化することができ、また、1以下に調節し、組成物の粘度及び耐クラック性を適切に維持することができる。
【0042】
上記化学式3で、nは、1〜10、好ましくは1〜5であることができ、これにより、硬化物の強度を優秀に維持することができる。
【0043】
本発明において上記(C)シロキサン化合物は、25℃での粘度が500mPa・s以下、好ましくは300mPa・s以下であることができる。(C)シロキサン化合物の粘度を上記のように制御することによって、組成物の加工性及び硬化物の硬度特性などを優秀に維持することができる。
【0044】
また、本発明において上記(C)シロキサン化合物は、例えば、1,000未満、好ましくは800未満の分子量を有することができる。上記(C)シロキサン化合物の分子量が1,000以上なら、硬化物の強度が低下するおそれがある。上記(C)シロキサン化合物の分子量の下限は、特に限定されるものではなく、例えば、250であることができる。
【0045】
本発明において上記のような(C)シロキサン化合物としては、下記化学式で表示されるシロキサン化合物を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
(HMeSiO1/2(MePhSiO2/222
(HMeSiO1/2(PhSiO2/21.5
(HMeSiO1/2(MePhSiO2/21.5(PhSiO2/21.5
(HMeSiO1/2(MeSiO2/22.5(PhSiO2/22.5
(HMeSiO1/2(MeSiO2/22.5(PhSiO2/22.5
(HMeSiO1/2(HMeSiO1/2)(PhSiO2/2
【0047】
上記Viは、ビニル基を示し、Meは、メチル基を示し、Phは、フェニル基を示す。
【0048】
本発明において上記(C)シロキサン化合物を製造する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、上記(A)及び(B)シロキサン化合物と同一の方式を適用することができる。
【0049】
本発明において、(C)シロキサン化合物の含量は、前述した(A)及び(B)のシロキサン化合物に含まれているケイ素原子に結合したアルケニル基全体に対して特定のモル比を満足するように選択されることができる。具体的に、本発明において上記(A)及び(B)シロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基(Ak)全体に対する上記(C)シロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合した水素原子(H)のモル比(H/Ak)が0.8〜1.2、好ましくは0.85〜1.15、さらに好ましくは0.9〜1.1である。上記モル比(H/Ak)の制御を通じて、硬化前に優れた加工性と作業性を示し、硬化されて優れたクラック耐性、硬度特性、耐熱衝撃性及び接着性を示し、苛酷条件での白濁や、表面のべたつきなどを誘発しない組成物を提供することができる。
【0050】
上記(C)シロキサン化合物の含量は、重量比率としては、(A)線形シロキサン化合物100重量部に対して、50重量部〜500重量部、好ましくは50重量部〜400重量部の範囲であることができる。
【0051】
本発明の組成物は、硬化物の屈折率及び硬度特性などの観点から、上記(A)、(B)及び(C)のシロキサン化合物がすべてケイ素原子に結合したアリール基を含み、上記アリール基の好ましい例としては、フェニル基を挙げることができる。また、(A)、(B)及び(C)のシロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子(Si)に対する、(A)、(B)及び(C)のシロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合したアリール基(Ar)全体のモル比(Ar/Si)が、0.3を超過し且つ1.2未満であることができ、より好ましくは、0.4〜1.2である。上記モル比を0.3を超過するようにして、硬化物の硬度及び屈折率特性を優秀に維持することができ、また、1.2未満にして、組成物の粘度特性などを効果的に制御することができる。
【0052】
また、本発明において上記のように(A)、(B)及び(C)のシロキサン化合物は、下記一般式1及び2の条件を満足する。
【0053】
[一般式1]
|X(A)−X(B)|<0.4
[一般式2]
|X(B)−X(C)|<0.4
【0054】
上記一般式1及び2で、X(A)は、上記(A)オルガノシロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に対する上記(A)オルガノシロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に結合されたアリール基のモル比を示し、X(B)は、上記(B)オルガノシロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に対する上記(B)オルガノシロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に結合されたアリール基のモル比を示し、X(C)は、上記(C)水素シロキサンに含まれる全体ケイ素原子に対する上記(C)水素シロキサンに含まれる全体ケイ素原子に結合されたアリール基のモル比を示す。
【0055】
上記一般式1及び2で、|X(A)―X(B)|及び|X(B)―X(C)|は、それぞれX(A)及びX(B)の差の絶対値及びX(B)及びX(C)の差の絶対値を意味し、それぞれは、より好ましくは0.35未満であることができ、また、上記それぞれの下限は、特に限定されるものではない。
【0056】
本発明では、上記一般式1及び2の条件を満足するようにアリール基の比率を制御することによって、硬化前の組成物を構成する成分の相溶性が優秀に維持され、加工性あるいは作業性に優れていて、且つ、硬化後に、優れた屈折率特性や光透過率特性、及び硬度特性などを示すことができる組成物を提供することができる。
【0057】
本発明の組成物は、ヒドロシリル化触媒をさらに含むことができる。上記ヒドロシリル化触媒は、前述した(A)または(B)のシロキサン化合物に含まれたアルケニル基;及び(C)のシロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合された水素原子の反応を促進するために使用されることができる。使用することができるヒドロシリル化触媒の種類は、特に限定されるものではなく、この分野において公知されている一般的な成分をすべて使用することができる。このような触媒の例としては、白金、パラジウムまたはロジウム系触媒などを挙げることができる。本発明では、触媒効率などを考慮して、白金系触媒を使用することができ、このような触媒の例としては、塩化白金酸、四塩化白金、白金のオレフイン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体または白金のカルボニル錯体などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0058】
本発明において上記ヒドロシリル化触媒の含量は、いわゆる触媒量、すなわち触媒として作用することができる量で含まれる限り、特に限定されない。通常、白金、パラジウムまたはロジウムの原子量を基準にして0.1ppm〜500ppm、好ましくは0.2ppm〜100ppmの量で使用することができる。
【0059】
また、本発明の組成物は、各種基材に対する接着性の追加的な向上の観点から、接着性付与剤をさらに含むことができる。上記接着性付与剤は、組成物または硬化物に自己接着性を改善することができる成分として、特に金属及び有機樹脂に対する自己接着性を改善することができる。
【0060】
本発明において使用することができる接着性付与剤の例としては、ビニル基などのアルケニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ヒドロシリル基(SiH基)、エポキシ基、アルコキシ基、アルコキシシリル基、カルボニル基及びフェニル基よりなる群から選択される1種以上、好ましくは2種以上の官能基を有するシラン;または2〜30、好ましくは4〜20個のケイ素原子を有する環状または直鎖状シロキサンなどの有機ケイ素化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。本発明では、上記のような接着性付与剤の一種または二種以上の混合を使用することができる。
【0061】
上記のような接着性付与剤が本発明の組成物に含まれる場合、その含量は、(A)シロキサン化合物100重量部に対して、0.1重量部〜20重量部であることができるが、上記含量は、目的する接着性改善効果などを考慮して適切に変更されることができる。
【0062】
本発明の組成物は、前述の成分に、さらに、必要に応じて、2−メチル−3−ブチン−2−オル、2−フェニル−3−1−ブチン−2−オル、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3、5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、1、3、5、7−テトラメチル−1、3、5、7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサンまたはエチニルシクロヘキサンなどの反応抑制剤;シリカ、アルミナ、ジルコニアまたはチタニアなどの無機充填剤;エポキシ基及び/またはアルコキシシリル基を有する炭素官能性シラン、その部分加水分解縮合物またはシロキサン化合物;ポリエーテルなどと併用されることができる煙霧状シリカなどの揺変性付与剤;銀、銅またはアルミニウムなどの金属粉末や、各種カーボン素材などのような導電性付与剤;顔料または染料などの色調調整剤などの添加剤を一種または二種以上さらに含むことができる。
【0063】
また、本発明は、前述の硬化性組成物を硬化された状態で含む封止材により封止された半導体素子を有する半導体装置に関する。
【0064】
本発明の組成物で封止されることができる半導体素子の種類としては、ダイオード、トランジスタ、サイリスタ、固体撮像装置、一体式IC及び混成ICに使用された半導体素子などが例示されることができる。さらに、半導体装置としては、ダイオード、トランジスタ、サイリスタ、フォトカフラ、CCD、一体式IC、混成IC、LSI、VLSI及び発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)などが例示されることができる。
【0065】
本発明の1つの例示において、上記半導体装置は、本発明の組成物を硬化された状態で含む封止材で封止された発光素子を含む発光ダイオードであることができる。
【0066】
本発明において使用することができる発光素子の種類は、特に限定されない。例えば、基板上に半導体材料を積層して形成した発光素子を使用することができる。この場合、半導体材料としては、例えば、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaAlNまたはSiCなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、上記基板の例としては、サファイア、スピンネル、SiC、Si、ZnOまたはGaN単結晶などが使用されることができる。
【0067】
また、本発明では、必要に応じて、基板と半導体材料との間にバッファー層を形成することもできる。この際、バッファー層としては、GaNまたはAlNなどが使用されることができる。基板上への半導体材料の積層方法は、特に限定されるものではなく、例えば、MOCVD法、HDVPE法または液相成長法などを使用することができる。また、本発明において発光素子の構造は、例えば、MIS接合、PN接合、PIN接合を有するモノ接合、ヘテロ接合、二重ヘテロ接合などであることができる。また、単一または多重量子井戸構造で上記発光素子を形成することができる。
【0068】
本発明の一態様において、上記発光素子の発光波長は、例えば、250nm〜550nm、好ましくは300nm〜500nm、より好ましくは330nm〜470nmであることができる。上記発光波長は、主発光ピーク波長を示す。発光素子の発光波長を上記範囲に設定することによって、さらに長い寿命で、エネルギー効率が高く、色再現性が高い白色発光ダイオードを得ることができる。
【0069】
本発明の発光ダイオードは、発光素子、特に発光波長が250nm〜550nmの発光素子を本発明による熱硬化性組成物で封止することによって製造することができる。この場合、発光素子の封止は、本発明による組成物だけで行われることができ、場合によっては、他の封止材と併用して行われることができる。2種の封止材を併用する場合、本発明の組成物を使用した封止後に、その周りを他の封止材で封止することもでき、他の封止材で先に封止した後、その周りを本発明の組成物で封止することもできる。この際、使用されることができる他の封止材としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレア樹脂、イミド樹脂またはガラスなどを挙げることができる。
【0070】
本発明の組成物において発光素子を封止する方法としては、例えば、モールド型鋳型に熱硬化性組成物をあらかじめ注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレームなどを浸漬した後、硬化させる方法、発光素子を挿入した鋳型中に熱硬化性組成物を注入し、硬化する方法などを使用することができる。この際、熱硬化性組成物を注入する方法の例としては、ディスペンサによる注入、トランスファー成形、射出成形などを挙げることができる。また、その他の封止方法としては、熱硬化性組成物を発光素子上に滴下、孔版印刷、スクリーン印刷またはマスクを介して塗布して硬化させる方法、底部に発光素子を配置したコップなどに熱硬化性組成物をディスペンサなどによって注入し、硬化させる方法などが使用されることができる。また、本発明の熱硬化性組成物を、発光素子をリード端子やパッケージに固定するダイボンド材、発光素子上にパッシベーション(passivation)膜、パッケージ基板などとして利用することもできる。
【0071】
上記で、本発明の組成物を硬化させる方法は、特に限定されるものではなく、例えば、60℃〜200℃の温度で10分〜5時間加熱して行うこともでき、必要に応じて、適正温度及び時間での2段階以上の過程を経て段階的な硬化工程を進行することもできる。
【0072】
封止部分の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、砲弾型のレンズ形状、板状または薄膜状などで構成することができる。
【0073】
本発明では、また、従来の公知の方法によって発光ダイオードの追加的な性能向上を図ることができる。性能向上の方法としては、例えば、発光素子の背面に光の反射層または集光層を設置する方法、補色着色部を底部に形成する方法、主発光ピークより短波長の光を吸収する層を発光素子上に設置する方法、発光素子を封止した後、追加に硬質材料でモルディングする方法、発光ダイオードを貫通ホールに挿入して固定する方法、発光素子をフリップチップ接続などによってリード部材などに接続し、基板方向から光を取り出す方法などを挙げることができる。
【0074】
本発明の発光ダイオードは、例えば、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)のバックライト、照明、各種センサー、プリンタ、コピー機などの光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾または各種ライトなどに効果的に適用されることができる。
【発明の効果】
【0075】
本発明の硬化性組成物は、優れた加工性及び作業性を示す。また、本発明の組成物は、優れたクラック耐性、耐熱衝撃性及び接着性を示し、また、高温及び/または高湿条件下での信頼性及び長期信頼性に優れている。さらに、本発明の組成物は、白濁が誘発されず、表面での接着性が適切に調節され、表面でのべたつきを防止することができる硬化物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下、本発明による実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲が下記提示された実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0077】
本実施例においてViは、ビニル基を示し、Phは、フェニル基を示し、Meは、メチル基を示し、Epは、エポキシ基を示す。
【0078】
1.光透過度測定
実施例及び比較例での硬化物の光透過度は、下記の方式で評価した。まず、製造された組成物を約1mm間隔で離隔されている2枚のガラス板の間に注入し、150℃で1時間維持して硬化させ、厚さが1mmの試験片を製造する。その後、常温でUV−VISスペクトロメーター(spectrometer)を使用して450nm波長に対する上記試験片の厚さ方向の光透過率を測定し、下記基準によって評価する。
〈光透過度評価基準〉
○:光透過度が98.5%以上の場合
×:光透過度が98.5%以下の場合
【0079】
2.表面べたつき評価
硬化性組成物をモールドに注入し、150℃で1時間維持して硬化させる。次に、製造された硬化物の表面を手で接触し、下記基準によって表面べたつき特性を評価する。
〈表面べたつき評価基準〉
○:表面べたつきが感じられない場合
△:表面べたつきが若干感じられる場合
×:表面べたつきが激しく感じられる場合
【0080】
3.素子特性評価
ポリフタルアミド(PPA)で製造された5630 LEDパッケージを使用して素子特性を評価する。具体的に、ポリフタルアミドコップ内に硬化性樹脂組成物をディスフェンシングし、60℃で30分間維持した後、さらに150℃で1時間維持して硬化させ、表面実装型LEDを製造する。その後、下記条件で熱衝撃及び高温、高湿条件での長期信頼性を評価する。
【0081】
〈熱衝撃評価条件〉
製造された表面実装型LEDを−40℃で30分間維持し、次に、100℃で30分間維持することを1サイクルにして、上記を10サイクル繰り返す。その後、表面実装型LEDを室温で冷却させた後、LEDの剥離状態を評価し、耐熱衝撃性を評価する(実施例及び比較例当たり総10個の表面実装型LEDを製造し、上記10個のLEDの剥離状態を調査する)。
【0082】
〈高温/高湿条件での長期信頼性〉
製造された表面実装型LEDを85℃の温度及び85%の相対湿度の条件下に維持した状態でLEDに60mAの電流を印加しつつ、100時間動作させる。次に、動作後のLEDの輝度を測定し、初期輝度に対する減少率を計算し、下記の基準によって信頼性を評価する。
〈評価基準〉
○:初期輝度に対して輝度が10%以下に減少した場合
×:初期輝度に対して輝度が10%以上に減少した場合
【0083】
実施例1
公知の方式で製造されたもので、それぞれ下記化学式で表示される線形オルガノシロキサン化合物(化学式1、(a+b)/(a+b+c+d)=1)100g、架橋型オルガノシロキサン化合物(化学式2、(g+4h/3)/(e+2f)=2、g/(g+h)=1)300g及び水素シロキサン化合物(下記化学式3)98.0gを混合し、また、下記化学式4で表示される接着性付与剤10.4gを配合した。次に、上記混合物にPt(0)の含量が20ppmになる量で触媒(Platinum(0)−1、3−divinyl−1、1、3、3−tetramethyldisiloxane)を配合し、均一に混合及び脱泡し、硬化性組成物を製造した(上記一般式1及び2の|X(A)−X(B)|及び|X(B)−X(C)|がそれぞれ0.4未満)。
【0084】
[化学式1]
[ViMeSiO1/2[MeSiO2/2[PhSiO2/210[PhMeSiO2/2
[化学式2]
[ViMeSiO2/2][PhMeSiO2/2][PhSiO3/214[ViMeSiO1/2
[化学式3]
[HMeSiO1/2[PhSiO2/2
[化学式4]
[ViMeSiO1/2[EpSiO3/2[PhMeSiO2/210
【0085】
実施例2
上記化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、架橋型シロキサン化合物として、下記化学式5で表示されるシロキサン化合物((g+4h/3)/(e+2f)=3、g/(g+h)=1)300g、上記化学式4で表示される接着性付与剤10.0g、上記化学式3で表示される水素シロキサン化合物115.0gを使用したことを除いて、実施例1と同一の方式で硬化性組成物を製造した(上記一般式1及び2の|X(A)−X(B)|及び|X(B)−X(C)|がそれぞれ0.4未満)。
【0086】
[化学式5]
[PhSiO3/212[ViMeSiO1/2
【0087】
実施例3
上記化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、架橋型シロキサン化合物として、下記化学式6で表示されるシロキサン化合物((g+4h/3)/(e+2f)=4、g/(g+h)=1)300g、上記化学式4で表示される接着性付与剤10.0g、上記化学式3で表示される水素シロキサン化合物94.0gを使用したことを除いて、実施例1と同一の方式で硬化性組成物を製造した(上記一般式1及び2の|X(A)−X(B)|及び|X(B)−X(C)|がそれぞれ0.4未満)。
【0088】
[化学式6]
[PhSiO3/216[ViMeSiO1/2
【0089】
実施例4
上記化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、架橋型シロキサン化合物として、下記化学式7で表示されるシロキサン化合物((g+4h/3)/(e+2f)=5、g/(g+h)=1)300g、上記化学式4で表示される接着性付与剤10.0g、上記化学式3で表示される水素シロキサン化合物79.0gを使用したことを除いて、実施例1と同一の方式で硬化性組成物を製造した(上記一般式1及び2の|X(A)−X(B)|及び|X(B)−X(C)|がそれぞれ0.4未満)。
【0090】
[化学式7]
[PhSiO3/215[ViMeSiO1/2
【0091】
比較例1
上記化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、架橋型シロキサン化合物として、下記化学式8で表示されるシロキサン化合物((g+4h/3)/(e+2f)=1、g/(g+h)=1)300g、上記化学式4で表示される接着性付与剤10.0g、上記化学式3で表示される水素シロキサン化合物115.0gを使用したことを除いて、実施例1と同一の方式で硬化性組成物を製造した(上記一般式1及び2の|X(A)−X(B)|及び|X(B)−X(C)|がそれぞれ0.4未満)。
【0092】
[化学式8]
[ViMeSiO2/2[PhMeSiO2/2[PhSiO3/210[ViMeSiO1/2
【0093】
比較例2
上記化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、架橋型シロキサン化合物として、下記化学式9で表示されるシロキサン化合物((g+4h/3)/(e+2f)=約5.3、g/(g+h)=0.8)300g、上記化学式4で表示される接着性付与剤10.0g、上記化学式3で表示されるシロキサン化合物88.0gを使用したことを除いて、実施例1と同一の方式で硬化性組成物を製造した(上記一般式1及び2の|X(A)−X(B)|及び|X(B)−X(C)|がそれぞれ0.4未満)。
【0094】
[化学式9]
[SiO4/2[MeSiO3/2][PhSiO3/2[ViMeSiO1/2
【0095】
比較例3
上記化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、架橋型シロキサン化合物として、下記化学式10に表示されるシロキサン化合物((g+4h/3)/(e+2f)=2、g/(g+h)=1)300g、上記化学式4に表示される接着性付与剤10.0g、上記化学式3に表示されるシロキサン化合物118.0gを使用したことを除いて、実施例1と同一の方式で硬化性組成物を製造した(上記一般式1の|X(A)−X(B)|が0.4であり、|X(B)−X(C)|は0.4未満)。
【0096】
[化学式10]
[ViMeSiO2/2][PhMeSiO2/2][MeSiO3/2[PhSiO3/2[ViMeSiO1/2
【0097】
比較例4
上記化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、上記化学式2の架橋型オルガノシロキサン化合物300g、上記化学式4の接着性付与剤10.0g及び下記化学式11で表示される水素シロキサン化合物80.0gを使用したことを除いて、実施例1と同一の方式で硬化性組成物を製造した(上記一般式1の|X(A)−X(B)|が0.4未満であり、|X(B)−X(C)|は0.4)。
【0098】
[化学式11]
[HMeSiO1/2[PhMeSiO2/2
【0099】
上記製造された硬化性組成物に対する評価結果を下記表1にまとめて記載した。
【0100】
【表1】

【0101】
上記表1から確認されるように、本発明の実施例の硬化性組成物は、硬化後に優れた光透過率を示し、且つ表面でのべたつきが誘発されなかった。また、実施例の組成物は、耐熱衝撃性及び高温/高湿条件下の長期信頼性試験において優れた結果を示した。
【0102】
特に、本発明の一般式1及び2の条件を同時に満足しない比較例3及び4の場合、熱衝撃特性及び信頼性はもちろん、光透過度特性が大きく劣化することを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記化学式1の平均組成式で表示される線形オルガノシロキサン化合物;
(B)下記化学式2の平均組成式で表示される架橋型オルガノシロキサン化合物;及び
(C)下記化学式3で表示される水素シロキサン化合物とを含み、
下記一般式1及び2の条件を満足する硬化性組成物:
[化学式1]
(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2
[化学式2]
(RSiO1/2(R1011SiO)(R12SiO3/2(SiO4/2
[化学式3]
【化1】

[一般式1]
|X(A)−X(B)|<0.4
[一般式2]
|X(B)−X(C)|<0.4
上記化学式1〜3で、R〜R12は、それぞれ独立に、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エポキシ基または1価の炭化水素基を示し、R〜Rのうち1つ以上は、アルケニル基であり、R1〜Rのうち1つ以上は、アリール基であり、R〜R12のうち1つ以上は、アルケニル基であり、R〜R12のうち1つ以上は、アリール基であり、Rは、それぞれ独立に水素、エポキシ基または1価炭化水素基を示し、Rのうち少なくとも1つは、アリール基であり、aは、0〜0.5であり、bは、0.5〜0.98であり、cは、0〜0.2であり、dは、0〜0.1であり、eは、0〜0.5であり、fは、0〜0.3であり、gは、0.3〜0.85であり、hは、0〜0.2であり、nは、1〜10であり、a+b+c+dは、1であり、e+f+g+hは、1であり、(a+b)/(a+b+c+d)は、0.9を超過し、(g+4h/3)/(e+2f)は、2〜5であり、g/(g+h)は、0.85を超過し、上記一般式1及び2で、X(A)は、上記(A)オルガノシロキサン化合物に含まれている全体ケイ素原子に対する上記(A)オルガノシロキサン化合物に含まれている全体ケイ素原子に結合されたアリール基のモル比を示し、X(B)は、上記(B)オルガノシロキサン化合物に含まれている全体ケイ素原子に対する上記(B)オルガノシロキサン化合物に含まれている全体ケイ素原子に結合されたアリール基のモル比を示し、X(C)は、上記(C)水素シロキサンに含まれている全体ケイ素原子に対する上記(C)水素シロキサンに含まれている全体ケイ素原子に結合されたアリール基のモル比を示す。
【請求項2】
上記(A)オルガノシロキサン化合物は、上記(A)シロキサン化合物に含まれている全体ケイ素原子に対するケイ素原子に結合されたアルケニル基のモル比が0.02〜0.2である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
上記(a+b)/(a+b+c+d)は、0.95を超過する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
上記(A)オルガノシロキサン化合物は、重量平均分子量が1,000〜50,000である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
上記(B)オルガノシロキサン化合物は、上記(B)シロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に対するケイ素原子に結合されたアルケニル基のモル比が0.15〜0.35である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
上記(g+4h/3)/(e+2f)は、2〜4である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
上記g/(g+h)は、0.9を超過する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
上記(B)オルガノシロキサン化合物は、重量平均分子量が1,000〜5,000である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
上記(B)オルガノシロキサン化合物は、(A)オルガノシロキサン化合物100重量部に対して、50重量部〜700重量部で含まれる、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
上記(C)水素シロキサン化合物は、上記(C)水素シロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に対するケイ素原子に結合された水素原子のモル比が0.2〜0.8である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
上記(C)水素シロキサン化合物は、重量平均分子量が1,000未満である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
上記(C)水素シロキサン化合物は、(A)線形シロキサン化合物100重量部に対して、50重量部〜500重量部で含まれる、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
上記(A)、(B)及び(C)のシロキサン化合物に含まれるすべてのケイ素原子に対する(A)、(B)及び(C)のシロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合されたアリール基のモル比が0.3を超過し且つ1.2未満である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物を硬化された状態で含む封止材によって封止された発光素子を含む発光ダイオード。
【請求項15】
請求項14に記載の発光ダイオードをバックライトユニットとして含む液晶表示装置。

【公表番号】特表2013−518144(P2013−518144A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549952(P2012−549952)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【国際出願番号】PCT/KR2011/000523
【国際公開番号】WO2011/090364
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】