移動体用航法装置
【課題】 移動体の高度を安価な構成で且つ精度良く検出する移動体用航法装置を得る。
【解決手段】 気圧高度計5では、気圧を計測し、その計測される気圧に応じて移動体の高度を検出する。気圧高度計校正装置6では、気圧高度計5により検出される移動体の高度を、GPS測位装置1により検出される移動体の高度を基準として校正し、複合航法計算装置7では、GPS測位装置1による測位不可時に気圧高度計校正装置6により校正された移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するようにしたので、GPS測位装置1による測位が不可能になっても、移動体の高度を安価な構成で且つ精度良く検出することができる。
【解決手段】 気圧高度計5では、気圧を計測し、その計測される気圧に応じて移動体の高度を検出する。気圧高度計校正装置6では、気圧高度計5により検出される移動体の高度を、GPS測位装置1により検出される移動体の高度を基準として校正し、複合航法計算装置7では、GPS測位装置1による測位不可時に気圧高度計校正装置6により校正された移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するようにしたので、GPS測位装置1による測位が不可能になっても、移動体の高度を安価な構成で且つ精度良く検出することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車載ナビゲーション装置等に適用される移動体用航法装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載用ナビゲーション装置では、GPS(Global Positioning System)衛星を用いたGPS測位が主流となっている。しかし、高架下や建物内等においては、GPS衛星からの電波を受信することができず、GPS測位が不可能となる場合がある。このような場合でも車の位置をできる限り精度良く予測するために、例えば、速度と進行方位とをセンサにより検出し、それを積算することで位置を推定する自律航法を併せ持つ、複合航法による装置が広まりつつある。
ところで、車は基本的に地表を移動するものであるが、実際には高架上の高速道路と高架下の一般道とか、あるいは駐車場ビルとか言った、水平面では同一位置にあっても高度が異なる別の道を区別する機能が必要とされる。すなわち、GPS測位が不可能な場合でも高度変化を精度良く検出する必要が生じる。
【0003】
これに応じて、第1の従来例として、走行経路を含むデジタル地図を記録装置に備えておき、自律航法による平面内位置からその地図を参照することで高度を得る方式がある。
また、高架上の高速道路と高架下の一般道との区別を付けるために、車が登っているか下っているかを検出することにより、地図の高架上の高速道路と高架下の一般道とのどちらかにマップマッチングさせるという方式がある(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0004】
また、第2の従来例として、航空機用航法装置を基本としたものであるが、慣性航法装置(自律航法の一種)では、車体3軸周りの角速度をレートジャイロにより時々刻々検出し、積分して姿勢を保持し、下式(1)を得て、
ψ´=qsinφsecθ+rcosφsecθ
θ´=qcosφ−rsinφ
φ´=p+qsinφtanθ+rcosφtanθ ・・・(1)
上式(1)より高度方向を含めた速度ベクトルである下式(2)を得る。
VN=Vcosθcosψ
VE=Vcosθsinψ
VU=Vsinθ ・・・(2)
ここで、ψ,θ,φは3−2−1オイラー角、ψ´,θ´,φ´は3−2−1オイラー角の時間微分、p,q,rは車体X,Y,Z軸周りの角速度、Vは速度、VN,VE,VUは水平面内北方向速度,水平面内東方向速度,高度方向速度である。
なお、高度は速度ベクトルの高度方向成分の積分として得られる(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特公平7−76862号公報
【特許文献2】実公平7−5368号公報
【非特許文献1】航空宇宙工学便覧(第2版),日本航空宇宙学会編,丸善,pp.624−629.ISBN 4−621−03740−4,平成4年9月30日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の移動体用航法装置は以上のように構成されているので、第1の従来例では、デジタル地図が充分整備されていない場合、登りと下りとが緩やかな場合、両道路とも登りまたは下りの場合、高度方向に3層以上あり、登りまたは下りが複数道路ある場合等においてはマッチミスを起こしてしまう課題があった。
また、第2の従来例では、数分程度の自律航法でも、高度変化を精度良く検出するには姿勢を相応の精度で保持する必要があり、そのためには高精度のレートジャイロが必要であり、車用としてはコストが掛かり過ぎるなどの課題があった。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、GPS測位が不可能になっても、移動体の高度を安価な構成で且つ精度良く検出する移動体用航法装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る移動体用航法装置は、気圧を計測し、その計測される気圧に応じて移動体の高度を検出する気圧高度検出手段と、GPS測位手段による測位可能時に、GPS測位手段により検出される移動体の高度と気圧高度検出手段により検出される移動体の高度との偏差を検出し、GPS測位手段による測位不可能時に、気圧高度検出手段により検出される移動体の高度をその検出された偏差に基づいて校正する気圧高度校正手段と、GPS測位手段による測位不可能時に気圧高度校正手段により校正された移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算する複合航法計算手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、気圧高度校正手段では、気圧高度検出手段により検出される移動体の高度を、GPS測位手段により検出される移動体の高度を基準として校正し、複合航法計算手段では、GPS測位手段による測位不可時に気圧高度校正手段により校正された移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するようにしたので、GPS測位手段による測位が不可能になっても、移動体の高度を安価な構成で且つ精度良く検出することができる。
これにより、高度を含めた移動体の位置速度を精度良く計算することができ、走行中の道路を確実に特定可能になることから、目的地へのルート選択の誤りを少なくすることができる。また、無理にGPS測位に頼る必要が無くなることから、GPS衛星からの電波状況が悪い場合に、複合航法におけるGPSからの情報棄却判定の確度を向上することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による移動体用航法装置を示す構成図であり、図において、GPS測位装置(GPS測位手段)1は、GPSからの情報を利用して移動体の位置速度(位置および速度)を検出するものである。
速度センサ(速度検出手段)2は、移動体の速度を検出し、ヨーレートセンサ(進行方位角角速度検出手段)3は、移動体の進行方位角角速度、すなわちヨーレートを検出し、自律航法計算装置(自律航法計算手段)4は、速度センサ2により検出された速度およびヨーレートセンサ3により検出されたヨーレートに応じて移動体の位置速度を計算するものである。
【0011】
気圧高度計(気圧高度検出手段)5は、移動体の周囲の気圧を計測し、その計測される気圧に応じて移動体の高度を検出するものである。気圧高度計校正装置(気圧高度校正手段)6は、GPS測位装置1による測位可能時に、GPS測位装置1により検出される移動体の高度と気圧高度計5により検出される移動体の高度とのオフセット(偏差)を検出し、GPS測位装置1による測位不可能時に、気圧高度計5により検出される移動体の高度をその検出されたオフセットに基づいて校正した校正済高度を次段に出力するものである。
複合航法計算装置(複合航法計算手段)7は、GPS測位装置1および自律航法計算装置4による出力を複合して移動体の位置速度を計算すると共に、GPS測位装置1による測位可能時にそのGPS測位装置1による移動体の高度を利用し、GPS測位装置1による測位不可能時に気圧高度計校正装置6により校正された移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するものである。
【0012】
次に動作について説明する。
図1において、GPS測位装置1には、GPSから情報が間欠的に供給され、GPSからの情報が供給される毎に移動体の位置速度を計算し、複合航法計算装置7に出力する。また、自律航法計算装置4は、移動体に設けられた速度センサ2およびヨーレートセンサ3により検出された速度およびヨーレートに応じて移動体の位置速度を計算し、複合航法計算装置7に出力する。複合航法計算装置7は、GPS測位装置1から間欠的に供給される移動体の位置速度を優先的に利用すると共に、GPS測位装置1からの情報が供給されない間は、自律航法計算装置4による出力を利用して移動体の位置速度を計算する。
したがって、移動体が高架下や建物内等に入った場合には、GPS衛星からの電波を受信することができず、GPS測位不可能となるが、GPS測位と自律航法とによる複合航法により、計算される移動体の位置速度の精度を維持することができる。
【0013】
また、GPS測位不可能時の高度検出については以下のとおり改善することができる。
まず、気圧高度計5は、移動体の周囲の気圧を計測し、その計測される気圧に応じて移動体の高度を検出する。気圧高度計校正装置6は、GPS測位装置1による測位可能時に、GPS測位装置1により検出される移動体の高度と気圧高度計5により検出される移動体の高度とのオフセットを検出しておき、GPS測位装置1による測位不可能時に、気圧高度計5により検出される移動体の高度をその検出されたオフセットに基づいて校正し、その校正済高度を複合航法計算装置7に出力する。
h(t)=hBaro・Cali(t) ・・・(3)
ここで、h(t)は複合航法計算装置7への高度入力、hBaro・Cali(t)は気圧高度計5の校正済高度である。
複合航法計算装置7は、GPS測位装置1による測位可能時にそのGPS測位装置1による移動体の高度を優先的に利用すると共に、GPS測位装置1による測位不可能時に気圧高度計校正装置6による校正済高度を利用して移動体の位置速度を計算する。
このように、GPS測位不可能時であっても精度良く高度検出し、計算される移動体の位置速度の精度を維持することができる。
【0014】
なお、気圧高度計校正装置6では、GPS測位装置1による測位可能時または測位不可能時に関わらず、気圧高度計5により検出される移動体の高度をオフセットに基づいて校正し、その校正済高度を出力し、その校正済高度の採用または不採用を複合航法計算装置7におけるGPS測位装置1からの移動体の位置速度の供給に応じて決定するようにしても良く、同様な効果を奏する。
また、速度センサ2の代わりに距離センサを、ヨーレートセンサ3の代わりに方位センサを用いて、それら計測値の時間微分を行って、速度およびヨーレートを検出するようにしても良く、同様な効果を奏する。
【0015】
以上のように、この実施の形態1によれば、気圧高度計校正装置6では、気圧高度計5により検出される移動体の高度を、GPS測位装置1により検出される移動体の高度を基準として校正し、複合航法計算装置7では、GPS測位装置1による測位不可時に気圧高度計校正装置6により校正された移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するようにしたので、GPS測位装置1による測位が不可能になっても、移動体の高度を安価な構成で且つ精度良く検出することができる。
これにより、高度を含めた移動体の位置速度を精度良く計算することができ、走行中の道路を確実に特定可能になることから、目的地へのルート選択の誤りを少なくすることができる。また、無理にGPS測位に頼る必要が無くなることから、GPS衛星からの電波状況が悪い場合に、複合航法におけるGPSからの情報棄却判定の確度を向上することができる。
【0016】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2による移動体用航法装置を示す構成図であり、図において、相対高度計算装置(相対高度計算手段)8は、GPS測位装置1により測位された最新時刻からの気圧高度計5により検出される移動体の高度変化を計算するものである。
また、複合航法計算装置(複合航法計算手段)9は、GPS測位装置1および自律航法計算装置4による出力を複合すると共に、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、相対高度計算装置8により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するものである。
その他の構成については、図1と同等である。
【0017】
次に動作について説明する。
図2において、GPS測位装置1による測位は、間欠的に行われ、また、移動体が高架下や建物内等に入った場合には測位不可能になるが、相対高度計算装置8は、GPS測位装置1により測位された最新時刻からの気圧高度計5により検出される移動体の高度変化を計算する。
複合航法計算装置9は、移動体の高度以外については、GPS測位装置1および自律航法計算装置4による出力を複合し、また、移動体の高度については、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、相対高度計算装置8により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算する。
h(t)
=hGPS(tGPS)+[hBaro(t)−hBaro(tGPS)]・・・(4)
ここで、tGPSはGPS測位された最新時刻、hGPS(t)はGPS測位による高度である。
【0018】
以上のように、この実施の形態2によれば、相対高度計算装置8では、GPS測位装置1により測位された最新時刻からの気圧高度計5により検出される移動体の高度変化を計算し、複合航法計算装置9では、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、相対高度計算装置8により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するようにしたので、GPS測位装置1による測位が不可能になっても、移動体の高度を安価な構成で且つ精度良く検出することができる。
【0019】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3による移動体用航法装置を示す構成図であり、図において、気圧高度変化率計(気圧高度変化率検出手段)10は、移動体の周囲の気圧の変化率を計測し、その計測される気圧の変化率に応じて移動体の高度変化率を検出するものである。高度変化率積算計(高度変化率積算手段)11は、GPS測位装置1により測位された最新時刻からの気圧高度変化率計10により検出される高度変化率を積算し、移動体の高度変化を計算するものである。
また、複合航法計算装置(複合航法計算手段)12は、GPS測位装置1および自律航法計算装置4による出力を複合すると共に、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、高度変化率積算計11により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するものである。
その他の構成については、図1と同等である。
【0020】
次に動作について説明する。
図3において、GPS測位装置1による測位は、間欠的に行われ、また、移動体が高架下や建物内等に入った場合には測位不可能になるが、気圧高度変化率計10は、移動体の周囲の気圧の変化率を計測し、その計測される気圧の変化率に応じて移動体の高度変化率を検出する。また、高度変化率積算計11は、GPS測位装置1により測位された最新時刻からの気圧高度変化率計10により検出される高度変化率を積算し、移動体の高度変化を計算する。
複合航法計算装置12は、移動体の高度以外については、GPS測位装置1および自律航法計算装置4による出力を複合し、また、移動体の高度については、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、高度変化率積算計11により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算する。
【数1】
ここで、hBaro(t)´は移動体の高度変化率である。
【0021】
以上のように、この実施の形態3によれば、高度変化率積算計11では、GPS測位装置1により測位された最新時刻からの気圧高度変化率計10により検出される移動体の高度変化を計算し、複合航法計算装置12では、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、高度変化率積算計11により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するようにしたので、GPS測位装置1による測位が不可能になっても、移動体の高度を安価な構成で且つ精度良く検出することができる。
【0022】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4による移動体用航法装置に適用される気圧高度計を示す斜視図であり、図において、容器13は、気密性が高く、壁面に内外の気体流通を行わせるオリフィス14を有し、気圧高度計5を格納するものである。
その他の構成については、図1または図2と同等である。
【0023】
次に動作について説明する。
図4において、上記実施の形態1または上記実施の形態2に示した気圧高度計5を気密性の高い容器13に格納する。容器13の壁面にはオリフィス14が設けられており、気圧高度計5の周囲に過渡的な圧力変動が生じてもオリフィス14を経由してから気圧高度計5に伝達されることから、圧力変動が緩和され、気圧高度計5の高度出力に誤差を生じさせるのを防ぐことができる。
なお、容器13の壁面に、オリフィス14の代わりにスリットまたは多数の小孔を設けても良く、同様な効果を奏する。
また、上記実施の形態3に示した気圧高度変化率計10を容器13に格納しても良く、同様な効果を奏する。
【0024】
図5はこの発明の実施の形態4による移動体用航法装置に適用される気圧高度計の他の例を示す斜視図であり、図において、細管15は、気圧高度計5の周囲気圧検出部分に取り付けられたものである。
このように、容器13の代わりに気圧高度計5の周囲気圧検出部分に細管15を取り付けて周囲気圧検出部分を延長するようにしても良く、同様な効果を奏する。
また、上記実施の形態3に示した気圧高度変化率計10の周囲気圧検出部分に細管15を取り付けても良く、同様な効果を奏する。
【0025】
以上のように、この実施の形態4によれば、気圧高度計5の周囲の変動を伴う圧力を、気密性の高い容器13のオリフィス14または細管15等を経由して気圧高度計5に至らせるようにしたので、気圧高度計5が過渡的な圧力変動を受け難くすることができる。
したがって、トンネルへの出入り等に起因する気圧高度計5の周囲の過渡的な気圧上昇または下降や、エンジンまたはカーステレオ等に起因する気圧高度計5の周囲の空気振動が、気圧高度計5の高度出力に誤差を生じさせるのを防ぐことができる。
【0026】
実施の形態5.
図6はこの発明の実施の形態5による移動体用航法装置に適用される気圧高度計を示す斜視図であり、図において、容器16は、壁面に内外の気体流通を行わせる通気孔17を有し、内部に空気振動を速やかに減衰させる空気振動吸収材18が設けられ、その空気振動吸収材18に囲まれるように気圧高度計5を格納するものである。
その他の構成については、図1または図2と同等である。
【0027】
次に動作について説明する。
図6において、上記実施の形態1または上記実施の形態2に示した気圧高度計5を壁面に通気孔17が設けられた容器16に格納する。容器16の内部には空気振動を速やかに減衰させる空気振動吸収材18が設けられており、気圧高度計5の周囲に過渡的な圧力変動が生じても空気振動吸収材18を有する容器16内でその圧力変動が緩和され、気圧高度計5の高度出力に誤差を生じさせるのを防ぐことができる。
また、上記実施の形態3に示した気圧高度変化率計10を容器16に格納しても良く、同様な効果を奏する。
【0028】
図7はこの発明の実施の形態5による移動体用航法装置に適用される気圧高度計の他の例を示す斜視図であり、図において、管19は、空気振動吸収材18が充填され、気圧高度計5の周囲気圧検出部分に取り付けられたものである。
このように、容器16の代わりに気圧高度計5の周囲気圧検出部分に、空気振動吸収材18が充填された管19を取り付けても良く、同様な効果を奏する。
また、気圧高度計5の周囲気圧検出部分に、蛇腹状の表面凹凸を有する管、あるいは迷路状の屈曲を有する管を取り付けて周囲気圧検出部分を延長しても良く、同様な効果を奏する。
さらに、上記実施の形態3に示した気圧高度変化率計10の周囲気圧検出部分に以上示した管を取り付けても良く、同様な効果を奏する。
【0029】
以上のように、この実施の形態5によれば、気圧高度計5の周囲の変動を伴う圧力を、空気振動吸収材18または管で減衰させるようにしたので、気圧高度計5が振動的な圧力変動を受け難くすることができる。
したがって、トンネルへの出入り等に起因する気圧高度計5の周囲の過渡的な気圧上昇または下降や、エンジンまたはカーステレオ等に起因する気圧高度計5の周囲の空気振動が、気圧高度計5の高度出力に誤差を生じさせるのを防ぐことができる。
【0030】
実施の形態6.
図8はこの発明の実施の形態6による移動体用航法装置を示す構成図であり、図において、ローパスフィルター20は、気圧高度計5により検出される移動体の高度に相当する電気的出力を入力し、低周波成分のみ通過させるものである。
その他の構成については、図1または図2と同等である。
【0031】
次に動作について説明する。
図8において、ローパスフィルター20は、上記実施の形態1または上記実施の形態2に示した気圧高度計5により検出される移動体の高度に相当する電気的出力、あるいはその移動体の高度をA/D変換した後の電気的数値出力を入力し、低周波成分のみ通過させる。このことにより、気圧高度計5の周囲の過渡的な気圧上昇または下降や空気振動による振動成分を減衰させた高度トレンド成分を得ることができる。
なお、上記実施の形態3に示した気圧高度変化率計10の後段にローパスフィルター20を設けても良く、同様な効果を奏する。
【0032】
以上のように、この実施の形態6によれば、気圧高度計5の周囲の変動を伴う圧力を、ローパスフィルター20を通過させることで高周波成分の振動を減衰させ、気圧高度計5の出力から振動的な成分を除去した高度トレンド成分を得ることができる。
したがって、トンネルへの出入り等に起因する気圧高度計5の周囲の過渡的な気圧上昇または下降や、エンジンまたはカーステレオ等に起因する気圧高度計5の周囲の空気振動が、気圧高度計5の高度出力に誤差を生じさせるのを防ぐことができる。
【0033】
実施の形態7.
図9はこの発明の実施の形態7による移動体用航法装置を示す構成図であり、図において、時間微分器(高度方向速度計算手段)21は、気圧高度計校正装置6により校正された移動体の高度を時間微分し、高度方向速度を計算するものである。
速度水平方向成分計算装置(速度水平方向成分計算手段)22は、速度センサ2により検出された速度および時間微分器21により計算された高度方向速度に応じて水平方向速度を計算するものである。
なお、自律航法計算装置4は、速度水平方向成分計算装置22による水平方向速度およびヨーレートセンサ3によるヨーレートに応じて移動体の位置速度を計算するものである。
その他の構成については、図1と同等である。
【0034】
次に動作について説明する。
図9において、時間微分器21は、上記実施の形態1に示した気圧高度計校正装置6による校正済高度を時間微分し、高度の変化率である高度方向速度を計算する。
速度水平方向成分計算装置22は、速度センサ2により検出された速度および時間微分器21により計算された高度方向速度に応じて水平方向速度を計算する。
【数2】
ここで、VHは水平方向速度、Vは速度、hBaro・Cali´は校正済高度の変化率である高度方向速度である。
自律航法計算装置4では、速度水平方向成分計算装置22による正確な水平方向速度に応じて移動体の位置速度を計算するので、精度の高い移動体の位置速度を計算することができる。
【0035】
なお、時間微分器21を用いることなく、適当な時間間隔での校正済高度の差分で近似するようにしても良い。
また、この実施の形態7は、実施の形態1に適用したものであり、時間微分器21は、上記実施の形態1に示した気圧高度計校正装置6による校正済高度を時間微分し、高度の変化率である高度方向速度を計算したが、上記実施の形態2または上記実施の形態3に適用しても良い。この場合、上記実施の形態2または上記実施の形態3に示した複合航法計算装置12による、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、相対高度計算装置8または高度変化率積算計11により計算された高度変化を加算した移動体の高度を、時間微分器21により時間微分し、高度の変化率である高度方向速度を計算して速度水平方向成分計算装置22に出力するようにすれば良く、同様な効果を奏する。
【0036】
以上のように、この実施の形態7によれば、水平面内の自律航法計算に、速度センサ2により検出される速度ベクトルの大きさではなく、高度方向速度を減じた水平方向速度を用いることにより、より正確な平面内位置を計算することができる。
【0037】
実施の形態8.
図10はこの発明の実施の形態8による移動体用航法装置を示す構成図であり、図において、気温センサ(気温検出手段)23は、移動体の周囲の気温を検出するものである。
動圧補正関数計算装置(動圧補正関数計算手段)24は、GPS測位装置1による測位可能時に、GPS測位装置1により検出される移動体の高度が概ね同一高度である場合に、移動体の停止を含む走行中における速度センサ2により検出される速度、気圧高度計5により計測される全圧、および気温センサ23により検出される気温に応じて、気圧高度計5により計測される全圧に含まれる動圧と移動体の速度との対応関係を表す動圧補正関数を計算し、GPS測位装置1による測位不可能時に、速度センサ2により検出される速度、気圧高度計5により計測される全圧、気温センサ23により検出される気温、および動圧補正関数に基づいて、静圧を計算し、その静圧に応じた移動体の高度を気圧高度計校正装置6に出力するものである。
その他の構成については、図1と同等である。
【0038】
次に動作について説明する。
移動体の走行中においては、気圧高度計5の設置場所により大気の静圧ではなく、全圧を検出するのが普通である。気圧高度計5は、検出した圧力を静圧、すなわち気圧と見なし、例えば、JIS W−0201で定められた標準大気の気圧と高度との関係から高度を得る。したがって、静圧ではなく全圧を検出した場合に、動圧分だけの高度誤差を生じることになる。
Ptotal(h,V)
=Pstatic(h)+Pdynamic(h,V) ・・・(7)
ここで、Ptotal(h,V)は高度hで速度V時の全圧、Pstatic(h)は高度h時の静圧、Pdynamic(h,V)は高度hで速度V時の動圧である。
したがって、気圧高度計5により計測される全圧から高度誤差となる動圧分だけ除外した静圧を求めることによって正確な高度を得ることができるが、その手法を以下に説明する。
【0039】
図11はこの発明の実施の形態8による移動体用航法装置による処理手順を示す説明図であり、図11(a)はGPS測位装置1による測位可能時の動圧補正関数の導出法を示したものであり、図11(b)はGPS測位装置1による測位不可能時の静圧に応じた移動体の高度の算出法を示したものである。
まず、気圧高度計5により計測される全圧に含まれる動圧(=全圧−静圧(停止時の全圧))と速度との対応関係を表す動圧補正関数を計算する。
図11(a)において、動圧補正関数計算装置24は、GPS測位装置1による測位可能時に、GPS測位装置1により検出される移動体の高度が概ね同一高度である場合に、移動体の停止を含む走行中における速度センサ2により検出される速度、気圧高度計5により計測される全圧、および気温センサ23により検出される気温に応じて、気圧高度計5により計測される全圧に含まれる動圧と移動体の速度との対応関係を表す動圧補正関数を計算する。
【数3】
ここで、ρは大気密度、f(V)は動圧補正関数、Rは空気の気体定数、Tは気温である。
【0040】
次に、動圧補正関数に基づいて静圧に応じた移動体の高度を計算する。
図11(b)において、動圧補正関数計算装置24は、GPS測位装置1による測位不可能時に、速度センサ2により検出される速度、気圧高度計5により計測される全圧、気温センサ23により検出される気温、および動圧補正関数に基づいて、静圧を計算し、その静圧に応じた移動体の高度を気圧高度計校正装置6に出力する。
【数4】
このように、動圧補正関数を導出し、その動圧補正関数に基づいて、静圧を計算するようにしたので、その静圧からより正確な高度を得ることができる。
【0041】
なお、この実施の形態8では、上記実施の形態1に気温センサ23および動圧補正関数計算装置24を適用したものについて説明したが、上記実施の形態2に適用しても良い。この場合、動圧補正関数計算装置24により計算された静圧に応じた移動体の高度を相対高度計算装置8に出力するようにすれば良く、同様な効果を奏する。
【0042】
以上のように、この実施の形態8によれば、動圧補正関数計算装置24では、GPS測位装置1による測位可能時に動圧補正関数を計算し、GPS測位装置1による測位不可能時に、移動体の速度、計測される全圧、気温およびその動圧補正関数に基づいて、静圧を計算するようにしたので、その静圧からより正確な高度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の実施の形態1による移動体用航法装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2による移動体用航法装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態3による移動体用航法装置を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態4による移動体用航法装置に適用される気圧高度計を示す斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態4による移動体用航法装置に適用される気圧高度計の他の例を示す斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態5による移動体用航法装置に適用される気圧高度計を示す斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態5による移動体用航法装置に適用される気圧高度計の他の例を示す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態6による移動体用航法装置を示す構成図である。
【図9】この発明の実施の形態7による移動体用航法装置を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態8による移動体用航法装置を示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態8による移動体用航法装置による処理手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 GPS測位装置(GPS測位手段)、2 速度センサ(速度検出手段)、3 ヨーレートセンサ(進行方位角角速度検出手段)、4 自律航法計算装置(自律航法計算手段)、5 気圧高度計(気圧高度検出手段)、6 気圧高度計校正装置(気圧高度校正手段)、7,9,12 複合航法計算装置(複合航法計算手段)、8 相対高度計算装置(相対高度計算手段)、10 気圧高度変化率計(気圧高度変化率検出手段)、11 高度変化率積算計(高度変化率積算手段)、13,16 容器、14 オリフィス、15 細管、17 通気孔、18 空気振動吸収材、19 管、20 ローパスフィルター、21 時間微分器(高度方向速度計算手段)、22 速度水平方向成分計算装置(速度水平方向成分計算手段)、23 気温センサ(気温検出手段)、24 動圧補正関数計算装置(動圧補正関数計算手段)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、車載ナビゲーション装置等に適用される移動体用航法装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載用ナビゲーション装置では、GPS(Global Positioning System)衛星を用いたGPS測位が主流となっている。しかし、高架下や建物内等においては、GPS衛星からの電波を受信することができず、GPS測位が不可能となる場合がある。このような場合でも車の位置をできる限り精度良く予測するために、例えば、速度と進行方位とをセンサにより検出し、それを積算することで位置を推定する自律航法を併せ持つ、複合航法による装置が広まりつつある。
ところで、車は基本的に地表を移動するものであるが、実際には高架上の高速道路と高架下の一般道とか、あるいは駐車場ビルとか言った、水平面では同一位置にあっても高度が異なる別の道を区別する機能が必要とされる。すなわち、GPS測位が不可能な場合でも高度変化を精度良く検出する必要が生じる。
【0003】
これに応じて、第1の従来例として、走行経路を含むデジタル地図を記録装置に備えておき、自律航法による平面内位置からその地図を参照することで高度を得る方式がある。
また、高架上の高速道路と高架下の一般道との区別を付けるために、車が登っているか下っているかを検出することにより、地図の高架上の高速道路と高架下の一般道とのどちらかにマップマッチングさせるという方式がある(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0004】
また、第2の従来例として、航空機用航法装置を基本としたものであるが、慣性航法装置(自律航法の一種)では、車体3軸周りの角速度をレートジャイロにより時々刻々検出し、積分して姿勢を保持し、下式(1)を得て、
ψ´=qsinφsecθ+rcosφsecθ
θ´=qcosφ−rsinφ
φ´=p+qsinφtanθ+rcosφtanθ ・・・(1)
上式(1)より高度方向を含めた速度ベクトルである下式(2)を得る。
VN=Vcosθcosψ
VE=Vcosθsinψ
VU=Vsinθ ・・・(2)
ここで、ψ,θ,φは3−2−1オイラー角、ψ´,θ´,φ´は3−2−1オイラー角の時間微分、p,q,rは車体X,Y,Z軸周りの角速度、Vは速度、VN,VE,VUは水平面内北方向速度,水平面内東方向速度,高度方向速度である。
なお、高度は速度ベクトルの高度方向成分の積分として得られる(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特公平7−76862号公報
【特許文献2】実公平7−5368号公報
【非特許文献1】航空宇宙工学便覧(第2版),日本航空宇宙学会編,丸善,pp.624−629.ISBN 4−621−03740−4,平成4年9月30日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の移動体用航法装置は以上のように構成されているので、第1の従来例では、デジタル地図が充分整備されていない場合、登りと下りとが緩やかな場合、両道路とも登りまたは下りの場合、高度方向に3層以上あり、登りまたは下りが複数道路ある場合等においてはマッチミスを起こしてしまう課題があった。
また、第2の従来例では、数分程度の自律航法でも、高度変化を精度良く検出するには姿勢を相応の精度で保持する必要があり、そのためには高精度のレートジャイロが必要であり、車用としてはコストが掛かり過ぎるなどの課題があった。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、GPS測位が不可能になっても、移動体の高度を安価な構成で且つ精度良く検出する移動体用航法装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る移動体用航法装置は、気圧を計測し、その計測される気圧に応じて移動体の高度を検出する気圧高度検出手段と、GPS測位手段による測位可能時に、GPS測位手段により検出される移動体の高度と気圧高度検出手段により検出される移動体の高度との偏差を検出し、GPS測位手段による測位不可能時に、気圧高度検出手段により検出される移動体の高度をその検出された偏差に基づいて校正する気圧高度校正手段と、GPS測位手段による測位不可能時に気圧高度校正手段により校正された移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算する複合航法計算手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、気圧高度校正手段では、気圧高度検出手段により検出される移動体の高度を、GPS測位手段により検出される移動体の高度を基準として校正し、複合航法計算手段では、GPS測位手段による測位不可時に気圧高度校正手段により校正された移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するようにしたので、GPS測位手段による測位が不可能になっても、移動体の高度を安価な構成で且つ精度良く検出することができる。
これにより、高度を含めた移動体の位置速度を精度良く計算することができ、走行中の道路を確実に特定可能になることから、目的地へのルート選択の誤りを少なくすることができる。また、無理にGPS測位に頼る必要が無くなることから、GPS衛星からの電波状況が悪い場合に、複合航法におけるGPSからの情報棄却判定の確度を向上することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による移動体用航法装置を示す構成図であり、図において、GPS測位装置(GPS測位手段)1は、GPSからの情報を利用して移動体の位置速度(位置および速度)を検出するものである。
速度センサ(速度検出手段)2は、移動体の速度を検出し、ヨーレートセンサ(進行方位角角速度検出手段)3は、移動体の進行方位角角速度、すなわちヨーレートを検出し、自律航法計算装置(自律航法計算手段)4は、速度センサ2により検出された速度およびヨーレートセンサ3により検出されたヨーレートに応じて移動体の位置速度を計算するものである。
【0011】
気圧高度計(気圧高度検出手段)5は、移動体の周囲の気圧を計測し、その計測される気圧に応じて移動体の高度を検出するものである。気圧高度計校正装置(気圧高度校正手段)6は、GPS測位装置1による測位可能時に、GPS測位装置1により検出される移動体の高度と気圧高度計5により検出される移動体の高度とのオフセット(偏差)を検出し、GPS測位装置1による測位不可能時に、気圧高度計5により検出される移動体の高度をその検出されたオフセットに基づいて校正した校正済高度を次段に出力するものである。
複合航法計算装置(複合航法計算手段)7は、GPS測位装置1および自律航法計算装置4による出力を複合して移動体の位置速度を計算すると共に、GPS測位装置1による測位可能時にそのGPS測位装置1による移動体の高度を利用し、GPS測位装置1による測位不可能時に気圧高度計校正装置6により校正された移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するものである。
【0012】
次に動作について説明する。
図1において、GPS測位装置1には、GPSから情報が間欠的に供給され、GPSからの情報が供給される毎に移動体の位置速度を計算し、複合航法計算装置7に出力する。また、自律航法計算装置4は、移動体に設けられた速度センサ2およびヨーレートセンサ3により検出された速度およびヨーレートに応じて移動体の位置速度を計算し、複合航法計算装置7に出力する。複合航法計算装置7は、GPS測位装置1から間欠的に供給される移動体の位置速度を優先的に利用すると共に、GPS測位装置1からの情報が供給されない間は、自律航法計算装置4による出力を利用して移動体の位置速度を計算する。
したがって、移動体が高架下や建物内等に入った場合には、GPS衛星からの電波を受信することができず、GPS測位不可能となるが、GPS測位と自律航法とによる複合航法により、計算される移動体の位置速度の精度を維持することができる。
【0013】
また、GPS測位不可能時の高度検出については以下のとおり改善することができる。
まず、気圧高度計5は、移動体の周囲の気圧を計測し、その計測される気圧に応じて移動体の高度を検出する。気圧高度計校正装置6は、GPS測位装置1による測位可能時に、GPS測位装置1により検出される移動体の高度と気圧高度計5により検出される移動体の高度とのオフセットを検出しておき、GPS測位装置1による測位不可能時に、気圧高度計5により検出される移動体の高度をその検出されたオフセットに基づいて校正し、その校正済高度を複合航法計算装置7に出力する。
h(t)=hBaro・Cali(t) ・・・(3)
ここで、h(t)は複合航法計算装置7への高度入力、hBaro・Cali(t)は気圧高度計5の校正済高度である。
複合航法計算装置7は、GPS測位装置1による測位可能時にそのGPS測位装置1による移動体の高度を優先的に利用すると共に、GPS測位装置1による測位不可能時に気圧高度計校正装置6による校正済高度を利用して移動体の位置速度を計算する。
このように、GPS測位不可能時であっても精度良く高度検出し、計算される移動体の位置速度の精度を維持することができる。
【0014】
なお、気圧高度計校正装置6では、GPS測位装置1による測位可能時または測位不可能時に関わらず、気圧高度計5により検出される移動体の高度をオフセットに基づいて校正し、その校正済高度を出力し、その校正済高度の採用または不採用を複合航法計算装置7におけるGPS測位装置1からの移動体の位置速度の供給に応じて決定するようにしても良く、同様な効果を奏する。
また、速度センサ2の代わりに距離センサを、ヨーレートセンサ3の代わりに方位センサを用いて、それら計測値の時間微分を行って、速度およびヨーレートを検出するようにしても良く、同様な効果を奏する。
【0015】
以上のように、この実施の形態1によれば、気圧高度計校正装置6では、気圧高度計5により検出される移動体の高度を、GPS測位装置1により検出される移動体の高度を基準として校正し、複合航法計算装置7では、GPS測位装置1による測位不可時に気圧高度計校正装置6により校正された移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するようにしたので、GPS測位装置1による測位が不可能になっても、移動体の高度を安価な構成で且つ精度良く検出することができる。
これにより、高度を含めた移動体の位置速度を精度良く計算することができ、走行中の道路を確実に特定可能になることから、目的地へのルート選択の誤りを少なくすることができる。また、無理にGPS測位に頼る必要が無くなることから、GPS衛星からの電波状況が悪い場合に、複合航法におけるGPSからの情報棄却判定の確度を向上することができる。
【0016】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2による移動体用航法装置を示す構成図であり、図において、相対高度計算装置(相対高度計算手段)8は、GPS測位装置1により測位された最新時刻からの気圧高度計5により検出される移動体の高度変化を計算するものである。
また、複合航法計算装置(複合航法計算手段)9は、GPS測位装置1および自律航法計算装置4による出力を複合すると共に、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、相対高度計算装置8により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するものである。
その他の構成については、図1と同等である。
【0017】
次に動作について説明する。
図2において、GPS測位装置1による測位は、間欠的に行われ、また、移動体が高架下や建物内等に入った場合には測位不可能になるが、相対高度計算装置8は、GPS測位装置1により測位された最新時刻からの気圧高度計5により検出される移動体の高度変化を計算する。
複合航法計算装置9は、移動体の高度以外については、GPS測位装置1および自律航法計算装置4による出力を複合し、また、移動体の高度については、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、相対高度計算装置8により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算する。
h(t)
=hGPS(tGPS)+[hBaro(t)−hBaro(tGPS)]・・・(4)
ここで、tGPSはGPS測位された最新時刻、hGPS(t)はGPS測位による高度である。
【0018】
以上のように、この実施の形態2によれば、相対高度計算装置8では、GPS測位装置1により測位された最新時刻からの気圧高度計5により検出される移動体の高度変化を計算し、複合航法計算装置9では、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、相対高度計算装置8により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するようにしたので、GPS測位装置1による測位が不可能になっても、移動体の高度を安価な構成で且つ精度良く検出することができる。
【0019】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3による移動体用航法装置を示す構成図であり、図において、気圧高度変化率計(気圧高度変化率検出手段)10は、移動体の周囲の気圧の変化率を計測し、その計測される気圧の変化率に応じて移動体の高度変化率を検出するものである。高度変化率積算計(高度変化率積算手段)11は、GPS測位装置1により測位された最新時刻からの気圧高度変化率計10により検出される高度変化率を積算し、移動体の高度変化を計算するものである。
また、複合航法計算装置(複合航法計算手段)12は、GPS測位装置1および自律航法計算装置4による出力を複合すると共に、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、高度変化率積算計11により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するものである。
その他の構成については、図1と同等である。
【0020】
次に動作について説明する。
図3において、GPS測位装置1による測位は、間欠的に行われ、また、移動体が高架下や建物内等に入った場合には測位不可能になるが、気圧高度変化率計10は、移動体の周囲の気圧の変化率を計測し、その計測される気圧の変化率に応じて移動体の高度変化率を検出する。また、高度変化率積算計11は、GPS測位装置1により測位された最新時刻からの気圧高度変化率計10により検出される高度変化率を積算し、移動体の高度変化を計算する。
複合航法計算装置12は、移動体の高度以外については、GPS測位装置1および自律航法計算装置4による出力を複合し、また、移動体の高度については、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、高度変化率積算計11により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算する。
【数1】
ここで、hBaro(t)´は移動体の高度変化率である。
【0021】
以上のように、この実施の形態3によれば、高度変化率積算計11では、GPS測位装置1により測位された最新時刻からの気圧高度変化率計10により検出される移動体の高度変化を計算し、複合航法計算装置12では、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、高度変化率積算計11により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算するようにしたので、GPS測位装置1による測位が不可能になっても、移動体の高度を安価な構成で且つ精度良く検出することができる。
【0022】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4による移動体用航法装置に適用される気圧高度計を示す斜視図であり、図において、容器13は、気密性が高く、壁面に内外の気体流通を行わせるオリフィス14を有し、気圧高度計5を格納するものである。
その他の構成については、図1または図2と同等である。
【0023】
次に動作について説明する。
図4において、上記実施の形態1または上記実施の形態2に示した気圧高度計5を気密性の高い容器13に格納する。容器13の壁面にはオリフィス14が設けられており、気圧高度計5の周囲に過渡的な圧力変動が生じてもオリフィス14を経由してから気圧高度計5に伝達されることから、圧力変動が緩和され、気圧高度計5の高度出力に誤差を生じさせるのを防ぐことができる。
なお、容器13の壁面に、オリフィス14の代わりにスリットまたは多数の小孔を設けても良く、同様な効果を奏する。
また、上記実施の形態3に示した気圧高度変化率計10を容器13に格納しても良く、同様な効果を奏する。
【0024】
図5はこの発明の実施の形態4による移動体用航法装置に適用される気圧高度計の他の例を示す斜視図であり、図において、細管15は、気圧高度計5の周囲気圧検出部分に取り付けられたものである。
このように、容器13の代わりに気圧高度計5の周囲気圧検出部分に細管15を取り付けて周囲気圧検出部分を延長するようにしても良く、同様な効果を奏する。
また、上記実施の形態3に示した気圧高度変化率計10の周囲気圧検出部分に細管15を取り付けても良く、同様な効果を奏する。
【0025】
以上のように、この実施の形態4によれば、気圧高度計5の周囲の変動を伴う圧力を、気密性の高い容器13のオリフィス14または細管15等を経由して気圧高度計5に至らせるようにしたので、気圧高度計5が過渡的な圧力変動を受け難くすることができる。
したがって、トンネルへの出入り等に起因する気圧高度計5の周囲の過渡的な気圧上昇または下降や、エンジンまたはカーステレオ等に起因する気圧高度計5の周囲の空気振動が、気圧高度計5の高度出力に誤差を生じさせるのを防ぐことができる。
【0026】
実施の形態5.
図6はこの発明の実施の形態5による移動体用航法装置に適用される気圧高度計を示す斜視図であり、図において、容器16は、壁面に内外の気体流通を行わせる通気孔17を有し、内部に空気振動を速やかに減衰させる空気振動吸収材18が設けられ、その空気振動吸収材18に囲まれるように気圧高度計5を格納するものである。
その他の構成については、図1または図2と同等である。
【0027】
次に動作について説明する。
図6において、上記実施の形態1または上記実施の形態2に示した気圧高度計5を壁面に通気孔17が設けられた容器16に格納する。容器16の内部には空気振動を速やかに減衰させる空気振動吸収材18が設けられており、気圧高度計5の周囲に過渡的な圧力変動が生じても空気振動吸収材18を有する容器16内でその圧力変動が緩和され、気圧高度計5の高度出力に誤差を生じさせるのを防ぐことができる。
また、上記実施の形態3に示した気圧高度変化率計10を容器16に格納しても良く、同様な効果を奏する。
【0028】
図7はこの発明の実施の形態5による移動体用航法装置に適用される気圧高度計の他の例を示す斜視図であり、図において、管19は、空気振動吸収材18が充填され、気圧高度計5の周囲気圧検出部分に取り付けられたものである。
このように、容器16の代わりに気圧高度計5の周囲気圧検出部分に、空気振動吸収材18が充填された管19を取り付けても良く、同様な効果を奏する。
また、気圧高度計5の周囲気圧検出部分に、蛇腹状の表面凹凸を有する管、あるいは迷路状の屈曲を有する管を取り付けて周囲気圧検出部分を延長しても良く、同様な効果を奏する。
さらに、上記実施の形態3に示した気圧高度変化率計10の周囲気圧検出部分に以上示した管を取り付けても良く、同様な効果を奏する。
【0029】
以上のように、この実施の形態5によれば、気圧高度計5の周囲の変動を伴う圧力を、空気振動吸収材18または管で減衰させるようにしたので、気圧高度計5が振動的な圧力変動を受け難くすることができる。
したがって、トンネルへの出入り等に起因する気圧高度計5の周囲の過渡的な気圧上昇または下降や、エンジンまたはカーステレオ等に起因する気圧高度計5の周囲の空気振動が、気圧高度計5の高度出力に誤差を生じさせるのを防ぐことができる。
【0030】
実施の形態6.
図8はこの発明の実施の形態6による移動体用航法装置を示す構成図であり、図において、ローパスフィルター20は、気圧高度計5により検出される移動体の高度に相当する電気的出力を入力し、低周波成分のみ通過させるものである。
その他の構成については、図1または図2と同等である。
【0031】
次に動作について説明する。
図8において、ローパスフィルター20は、上記実施の形態1または上記実施の形態2に示した気圧高度計5により検出される移動体の高度に相当する電気的出力、あるいはその移動体の高度をA/D変換した後の電気的数値出力を入力し、低周波成分のみ通過させる。このことにより、気圧高度計5の周囲の過渡的な気圧上昇または下降や空気振動による振動成分を減衰させた高度トレンド成分を得ることができる。
なお、上記実施の形態3に示した気圧高度変化率計10の後段にローパスフィルター20を設けても良く、同様な効果を奏する。
【0032】
以上のように、この実施の形態6によれば、気圧高度計5の周囲の変動を伴う圧力を、ローパスフィルター20を通過させることで高周波成分の振動を減衰させ、気圧高度計5の出力から振動的な成分を除去した高度トレンド成分を得ることができる。
したがって、トンネルへの出入り等に起因する気圧高度計5の周囲の過渡的な気圧上昇または下降や、エンジンまたはカーステレオ等に起因する気圧高度計5の周囲の空気振動が、気圧高度計5の高度出力に誤差を生じさせるのを防ぐことができる。
【0033】
実施の形態7.
図9はこの発明の実施の形態7による移動体用航法装置を示す構成図であり、図において、時間微分器(高度方向速度計算手段)21は、気圧高度計校正装置6により校正された移動体の高度を時間微分し、高度方向速度を計算するものである。
速度水平方向成分計算装置(速度水平方向成分計算手段)22は、速度センサ2により検出された速度および時間微分器21により計算された高度方向速度に応じて水平方向速度を計算するものである。
なお、自律航法計算装置4は、速度水平方向成分計算装置22による水平方向速度およびヨーレートセンサ3によるヨーレートに応じて移動体の位置速度を計算するものである。
その他の構成については、図1と同等である。
【0034】
次に動作について説明する。
図9において、時間微分器21は、上記実施の形態1に示した気圧高度計校正装置6による校正済高度を時間微分し、高度の変化率である高度方向速度を計算する。
速度水平方向成分計算装置22は、速度センサ2により検出された速度および時間微分器21により計算された高度方向速度に応じて水平方向速度を計算する。
【数2】
ここで、VHは水平方向速度、Vは速度、hBaro・Cali´は校正済高度の変化率である高度方向速度である。
自律航法計算装置4では、速度水平方向成分計算装置22による正確な水平方向速度に応じて移動体の位置速度を計算するので、精度の高い移動体の位置速度を計算することができる。
【0035】
なお、時間微分器21を用いることなく、適当な時間間隔での校正済高度の差分で近似するようにしても良い。
また、この実施の形態7は、実施の形態1に適用したものであり、時間微分器21は、上記実施の形態1に示した気圧高度計校正装置6による校正済高度を時間微分し、高度の変化率である高度方向速度を計算したが、上記実施の形態2または上記実施の形態3に適用しても良い。この場合、上記実施の形態2または上記実施の形態3に示した複合航法計算装置12による、GPS測位装置1により測位された最新時刻の移動体の高度に、相対高度計算装置8または高度変化率積算計11により計算された高度変化を加算した移動体の高度を、時間微分器21により時間微分し、高度の変化率である高度方向速度を計算して速度水平方向成分計算装置22に出力するようにすれば良く、同様な効果を奏する。
【0036】
以上のように、この実施の形態7によれば、水平面内の自律航法計算に、速度センサ2により検出される速度ベクトルの大きさではなく、高度方向速度を減じた水平方向速度を用いることにより、より正確な平面内位置を計算することができる。
【0037】
実施の形態8.
図10はこの発明の実施の形態8による移動体用航法装置を示す構成図であり、図において、気温センサ(気温検出手段)23は、移動体の周囲の気温を検出するものである。
動圧補正関数計算装置(動圧補正関数計算手段)24は、GPS測位装置1による測位可能時に、GPS測位装置1により検出される移動体の高度が概ね同一高度である場合に、移動体の停止を含む走行中における速度センサ2により検出される速度、気圧高度計5により計測される全圧、および気温センサ23により検出される気温に応じて、気圧高度計5により計測される全圧に含まれる動圧と移動体の速度との対応関係を表す動圧補正関数を計算し、GPS測位装置1による測位不可能時に、速度センサ2により検出される速度、気圧高度計5により計測される全圧、気温センサ23により検出される気温、および動圧補正関数に基づいて、静圧を計算し、その静圧に応じた移動体の高度を気圧高度計校正装置6に出力するものである。
その他の構成については、図1と同等である。
【0038】
次に動作について説明する。
移動体の走行中においては、気圧高度計5の設置場所により大気の静圧ではなく、全圧を検出するのが普通である。気圧高度計5は、検出した圧力を静圧、すなわち気圧と見なし、例えば、JIS W−0201で定められた標準大気の気圧と高度との関係から高度を得る。したがって、静圧ではなく全圧を検出した場合に、動圧分だけの高度誤差を生じることになる。
Ptotal(h,V)
=Pstatic(h)+Pdynamic(h,V) ・・・(7)
ここで、Ptotal(h,V)は高度hで速度V時の全圧、Pstatic(h)は高度h時の静圧、Pdynamic(h,V)は高度hで速度V時の動圧である。
したがって、気圧高度計5により計測される全圧から高度誤差となる動圧分だけ除外した静圧を求めることによって正確な高度を得ることができるが、その手法を以下に説明する。
【0039】
図11はこの発明の実施の形態8による移動体用航法装置による処理手順を示す説明図であり、図11(a)はGPS測位装置1による測位可能時の動圧補正関数の導出法を示したものであり、図11(b)はGPS測位装置1による測位不可能時の静圧に応じた移動体の高度の算出法を示したものである。
まず、気圧高度計5により計測される全圧に含まれる動圧(=全圧−静圧(停止時の全圧))と速度との対応関係を表す動圧補正関数を計算する。
図11(a)において、動圧補正関数計算装置24は、GPS測位装置1による測位可能時に、GPS測位装置1により検出される移動体の高度が概ね同一高度である場合に、移動体の停止を含む走行中における速度センサ2により検出される速度、気圧高度計5により計測される全圧、および気温センサ23により検出される気温に応じて、気圧高度計5により計測される全圧に含まれる動圧と移動体の速度との対応関係を表す動圧補正関数を計算する。
【数3】
ここで、ρは大気密度、f(V)は動圧補正関数、Rは空気の気体定数、Tは気温である。
【0040】
次に、動圧補正関数に基づいて静圧に応じた移動体の高度を計算する。
図11(b)において、動圧補正関数計算装置24は、GPS測位装置1による測位不可能時に、速度センサ2により検出される速度、気圧高度計5により計測される全圧、気温センサ23により検出される気温、および動圧補正関数に基づいて、静圧を計算し、その静圧に応じた移動体の高度を気圧高度計校正装置6に出力する。
【数4】
このように、動圧補正関数を導出し、その動圧補正関数に基づいて、静圧を計算するようにしたので、その静圧からより正確な高度を得ることができる。
【0041】
なお、この実施の形態8では、上記実施の形態1に気温センサ23および動圧補正関数計算装置24を適用したものについて説明したが、上記実施の形態2に適用しても良い。この場合、動圧補正関数計算装置24により計算された静圧に応じた移動体の高度を相対高度計算装置8に出力するようにすれば良く、同様な効果を奏する。
【0042】
以上のように、この実施の形態8によれば、動圧補正関数計算装置24では、GPS測位装置1による測位可能時に動圧補正関数を計算し、GPS測位装置1による測位不可能時に、移動体の速度、計測される全圧、気温およびその動圧補正関数に基づいて、静圧を計算するようにしたので、その静圧からより正確な高度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の実施の形態1による移動体用航法装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2による移動体用航法装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態3による移動体用航法装置を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態4による移動体用航法装置に適用される気圧高度計を示す斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態4による移動体用航法装置に適用される気圧高度計の他の例を示す斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態5による移動体用航法装置に適用される気圧高度計を示す斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態5による移動体用航法装置に適用される気圧高度計の他の例を示す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態6による移動体用航法装置を示す構成図である。
【図9】この発明の実施の形態7による移動体用航法装置を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態8による移動体用航法装置を示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態8による移動体用航法装置による処理手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 GPS測位装置(GPS測位手段)、2 速度センサ(速度検出手段)、3 ヨーレートセンサ(進行方位角角速度検出手段)、4 自律航法計算装置(自律航法計算手段)、5 気圧高度計(気圧高度検出手段)、6 気圧高度計校正装置(気圧高度校正手段)、7,9,12 複合航法計算装置(複合航法計算手段)、8 相対高度計算装置(相対高度計算手段)、10 気圧高度変化率計(気圧高度変化率検出手段)、11 高度変化率積算計(高度変化率積算手段)、13,16 容器、14 オリフィス、15 細管、17 通気孔、18 空気振動吸収材、19 管、20 ローパスフィルター、21 時間微分器(高度方向速度計算手段)、22 速度水平方向成分計算装置(速度水平方向成分計算手段)、23 気温センサ(気温検出手段)、24 動圧補正関数計算装置(動圧補正関数計算手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPSからの情報を利用して移動体の位置速度を検出するGPS測位手段と、
上記移動体の速度を検出する速度検出手段と、
上記移動体の進行方位角角速度を検出する進行方位角角速度検出手段と、
上記速度検出手段により検出された速度および上記進行方位角角速度検出手段により検出された進行方位角角速度に応じて上記移動体の位置速度を計算する自律航法計算手段と、
気圧を計測し、その計測される気圧に応じて上記移動体の高度を検出する気圧高度検出手段と、
上記GPS測位手段による測位可能時に、そのGPS測位手段により検出される上記移動体の高度と上記気圧高度検出手段により検出される移動体の高度との偏差を検出し、そのGPS測位手段による測位不可能時に、その気圧高度検出手段により検出される移動体の高度をその検出された偏差に基づいて校正する気圧高度校正手段と、
上記GPS測位手段および上記自律航法計算手段による出力を複合して上記移動体の位置速度を計算すると共に、そのGPS測位手段による測位不可能時に上記気圧高度校正手段により校正された移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算する複合航法計算手段とを備えた移動体用航法装置。
【請求項2】
GPSからの情報を利用して移動体の位置速度を検出するGPS測位手段と、
上記移動体の速度を検出する速度検出手段と、
上記移動体の進行方位角角速度を検出する進行方位角角速度検出手段と、
上記速度検出手段により検出された速度および上記進行方位角角速度検出手段により検出された進行方位角角速度に応じて上記移動体の位置速度を計算する自律航法計算手段と、
気圧を計測し、その計測される気圧に応じて上記移動体の高度を検出する気圧高度検出手段と、
上記GPS測位手段により測位された最新時刻からの上記気圧高度検出手段により検出される上記移動体の高度変化を計算する相対高度計算手段と、
上記GPS測位手段および上記自律航法計算手段による出力を複合すると共に、そのGPS測位手段により測位された最新時刻の移動体の高度に、上記相対高度計算手段により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算する複合航法計算手段とを備えた移動体用航法装置。
【請求項3】
GPSからの情報を利用して移動体の位置速度を検出するGPS測位手段と、
上記移動体の速度を検出する速度検出手段と、
上記移動体の進行方位角角速度を検出する進行方位角角速度検出手段と、
上記速度検出手段により検出された速度および上記進行方位角角速度検出手段により検出された進行方位角角速度に応じて上記移動体の位置速度を計算する自律航法計算手段と、
上記移動体の気圧の変化率を計測し、その計測される気圧の変化率に応じて上記移動体の高度変化率を検出する気圧高度変化率検出手段と、
上記GPS測位手段により測位された最新時刻からの上記気圧高度変化率検出手段により検出される高度変化率を積算し、上記移動体の高度変化を計算する高度変化率積算手段と、
上記GPS測位手段および上記自律航法計算手段による出力を複合すると共に、そのGPS測位手段により測位された最新時刻の移動体の高度に、上記高度変化率積算手段により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算する複合航法計算手段とを備えた移動体用航法装置。
【請求項4】
気密性が高く、壁面にオリフィスまたはスリットまたは多数の小孔を有し、気圧高度検出手段を格納する容器を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の移動体用航法装置。
【請求項5】
内部に空気振動吸収材が設けられ、気圧高度検出手段を格納する容器を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の移動体用航法装置。
【請求項6】
気圧高度検出手段により検出される移動体の高度に相当する電気的出力を入力し、低周波成分のみ通過させるローパスフィルターを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の移動体用航法装置。
【請求項7】
気圧高度校正手段により校正された移動体の高度に応じて高度方向速度を計算する高度方向速度計算手段と、
速度検出手段により検出された速度および上記高度方向速度計算手段により計算された高度方向速度に応じて水平方向速度を計算する速度水平方向成分計算手段とを備え、
自律航法計算手段は、
上記速度水平方向成分計算手段による水平方向速度および進行方位角角速度検出手段による進行方位角角速度に応じて上記移動体の位置速度を計算することを特徴とする請求項1記載の移動体用航法装置。
【請求項8】
移動体の周囲の気温を検出する気温検出手段と、
GPS測位手段による測位可能時に、そのGPS測位手段により検出される移動体の高度が概ね同一高度である場合に、その移動体の停止を含む走行中における速度検出手段により検出される速度、気圧高度検出手段により計測される全圧、および上記気温検出手段により検出される気温に応じて、その気圧高度検出手段により計測される全圧に含まれる動圧と移動体の速度との対応関係を表す動圧補正関数を計算し、
そのGPS測位手段による測位不可能時に、その速度検出手段により検出される速度、その気圧高度検出手段により計測される全圧、その気温検出手段により検出される気温、およびその動圧補正関数に基づいて、静圧を計算し、その静圧に応じた移動体の高度を気圧高度校正手段に出力する動圧補正関数計算手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の移動体用航法装置。
【請求項1】
GPSからの情報を利用して移動体の位置速度を検出するGPS測位手段と、
上記移動体の速度を検出する速度検出手段と、
上記移動体の進行方位角角速度を検出する進行方位角角速度検出手段と、
上記速度検出手段により検出された速度および上記進行方位角角速度検出手段により検出された進行方位角角速度に応じて上記移動体の位置速度を計算する自律航法計算手段と、
気圧を計測し、その計測される気圧に応じて上記移動体の高度を検出する気圧高度検出手段と、
上記GPS測位手段による測位可能時に、そのGPS測位手段により検出される上記移動体の高度と上記気圧高度検出手段により検出される移動体の高度との偏差を検出し、そのGPS測位手段による測位不可能時に、その気圧高度検出手段により検出される移動体の高度をその検出された偏差に基づいて校正する気圧高度校正手段と、
上記GPS測位手段および上記自律航法計算手段による出力を複合して上記移動体の位置速度を計算すると共に、そのGPS測位手段による測位不可能時に上記気圧高度校正手段により校正された移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算する複合航法計算手段とを備えた移動体用航法装置。
【請求項2】
GPSからの情報を利用して移動体の位置速度を検出するGPS測位手段と、
上記移動体の速度を検出する速度検出手段と、
上記移動体の進行方位角角速度を検出する進行方位角角速度検出手段と、
上記速度検出手段により検出された速度および上記進行方位角角速度検出手段により検出された進行方位角角速度に応じて上記移動体の位置速度を計算する自律航法計算手段と、
気圧を計測し、その計測される気圧に応じて上記移動体の高度を検出する気圧高度検出手段と、
上記GPS測位手段により測位された最新時刻からの上記気圧高度検出手段により検出される上記移動体の高度変化を計算する相対高度計算手段と、
上記GPS測位手段および上記自律航法計算手段による出力を複合すると共に、そのGPS測位手段により測位された最新時刻の移動体の高度に、上記相対高度計算手段により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算する複合航法計算手段とを備えた移動体用航法装置。
【請求項3】
GPSからの情報を利用して移動体の位置速度を検出するGPS測位手段と、
上記移動体の速度を検出する速度検出手段と、
上記移動体の進行方位角角速度を検出する進行方位角角速度検出手段と、
上記速度検出手段により検出された速度および上記進行方位角角速度検出手段により検出された進行方位角角速度に応じて上記移動体の位置速度を計算する自律航法計算手段と、
上記移動体の気圧の変化率を計測し、その計測される気圧の変化率に応じて上記移動体の高度変化率を検出する気圧高度変化率検出手段と、
上記GPS測位手段により測位された最新時刻からの上記気圧高度変化率検出手段により検出される高度変化率を積算し、上記移動体の高度変化を計算する高度変化率積算手段と、
上記GPS測位手段および上記自律航法計算手段による出力を複合すると共に、そのGPS測位手段により測位された最新時刻の移動体の高度に、上記高度変化率積算手段により計算された高度変化を加算した移動体の高度を利用して移動体の位置速度を計算する複合航法計算手段とを備えた移動体用航法装置。
【請求項4】
気密性が高く、壁面にオリフィスまたはスリットまたは多数の小孔を有し、気圧高度検出手段を格納する容器を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の移動体用航法装置。
【請求項5】
内部に空気振動吸収材が設けられ、気圧高度検出手段を格納する容器を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の移動体用航法装置。
【請求項6】
気圧高度検出手段により検出される移動体の高度に相当する電気的出力を入力し、低周波成分のみ通過させるローパスフィルターを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の移動体用航法装置。
【請求項7】
気圧高度校正手段により校正された移動体の高度に応じて高度方向速度を計算する高度方向速度計算手段と、
速度検出手段により検出された速度および上記高度方向速度計算手段により計算された高度方向速度に応じて水平方向速度を計算する速度水平方向成分計算手段とを備え、
自律航法計算手段は、
上記速度水平方向成分計算手段による水平方向速度および進行方位角角速度検出手段による進行方位角角速度に応じて上記移動体の位置速度を計算することを特徴とする請求項1記載の移動体用航法装置。
【請求項8】
移動体の周囲の気温を検出する気温検出手段と、
GPS測位手段による測位可能時に、そのGPS測位手段により検出される移動体の高度が概ね同一高度である場合に、その移動体の停止を含む走行中における速度検出手段により検出される速度、気圧高度検出手段により計測される全圧、および上記気温検出手段により検出される気温に応じて、その気圧高度検出手段により計測される全圧に含まれる動圧と移動体の速度との対応関係を表す動圧補正関数を計算し、
そのGPS測位手段による測位不可能時に、その速度検出手段により検出される速度、その気圧高度検出手段により計測される全圧、その気温検出手段により検出される気温、およびその動圧補正関数に基づいて、静圧を計算し、その静圧に応じた移動体の高度を気圧高度校正手段に出力する動圧補正関数計算手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の移動体用航法装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−214993(P2006−214993A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30817(P2005−30817)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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