説明

移動体通信映像配信システム、映像変換サーバ、移動体通信映像配信方法

【課題】長時間の映像コンテンツでも移動体通信システムのテレビ電話移動機で受信して良好に視聴すること。
【解決手段】Webサーバ30a〜30cとテレビ電話移動機40a〜40dとの間に映像変換サーバ10を接続し、この映像変換サーバ10によって、テレビ電話移動機40aで要求された映像コンテンツデータをWebサーバ30aから受信する際に、そのヘッダ情報に不具合がなければ当該映像コンテンツデータを受信し、この受信後に映像コンテンツデータを構成する映像データ及び音声データの各々の再生時刻情報を算出し、これら再生時刻情報をもとに映像データ及び音声データの同期を取った後に、双方をテレビ電話移動機用多重化規格で多重化してテレビ電話移動機40aへ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Webサーバに保存された音声と映像データから成る映像コンテンツを、移動体通信システムのテレビ電話移動機で受信することにより映像を視聴可能とする移動体通信映像配信システム、映像変換サーバ、移動体通信映像配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な用途でWebサーバが利用されているが、中にはWebサーバに映像コンテンツ情報を保存し、この保存情報をテレビ電話機能が搭載された携帯電話機等のテレビ電話移動機がWebサーバにデータを直接取りに行き、パケットデータとする利用方法も一般的になっている。
しかし、テレビ電話移動機で視聴可能な映像コンテンツ情報の長さは数分程度と短いものに限られている。その理由の1つとして、テレビ電話移動機でのパケットデータのバッファリングによる影響が挙げられる。エラーレートが非常に高い無線環境下では通信中にパケットの損失やデータ破壊などが発生する可能性が高く、再送回数も増加するため、端末装置であるテレビ電話移動機側で中断すること無く映像視聴を行うためには、端末装置で多くのパケットデータのバッファリングを行う必要がある。しかし、長時間の映像コンテンツの視聴を行う場合、更に多くバッファリングを行う必要があるため、映像視聴開始までに非現実的な長時間のバッファリング時間を要してしまう事になる。
【0003】
この種の大容量の映像コンテンツ情報を端末装置で受信するシステムとして、特許文献1及び2の技術がある。
特許文献1は、大容量の映像コンテンツデータ(映像コンテンツ情報)を低容量の映像コンテンツデータに変換して、ネットワークを介して送受信する映像コンテンツ変換システムである。更に説明すると、変換センタサーバにおいて、端末装置からのアクセス時に記憶装置に格納された映像コンテンツデータのフォーマットを該端末装置から指定されたフォーマットに変換し、この変換フォーマットにて端末装置へ映像コンテンツデータを配信する。
【特許文献1】特開2003−259330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、サーバにて映像コンテンツ情報のフォーマットを端末装置から指定されたフォーマットに変換することによって、大容量の映像コンテンツ情報を小容量として配信可能としているが、伝送路がインターネット等の有線回線を前提としている。この他、無線回線網であるワイヤレス回線、衛星通信回線などでも実施可能との文言での記載はあるが、移動体通信システムにおける実現内容の開示はない。
【0005】
このことから、前述したように、エラーレートが非常に高い無線環境下での通信中のパケット損失やデータ破壊などで発生する再送に対応することができず、長時間の映像コンテンツを移動体通信システムのテレビ電話移動機で受信して良好に視聴することができないという問題がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、長時間の映像コンテンツでも移動体通信システムのテレビ電話移動機で受信して良好に視聴することができる移動体通信映像配信システム、映像変換サーバ、移動体通信映像配信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1による移動体通信映像配信システムは、Webサーバに保存された音声データ及び映像データから成る映像コンテンツデータを、移動体通信網のテレビ電話機能を搭載した移動通信端末機で受信することにより映像コンテンツを視聴可能とする移動体通信映像配信システムにおいて、前記移動通信端末機からの要求に応じた映像コンテンツが保存された前記Webサーバに通信接続し、このWebサーバから該要求された映像コンテンツデータのヘッダ情報を受信する第1の通信制御手段と、前記受信されたヘッダ情報をチェックすることにより当該ヘッダ情報に不具合がない場合に該当映像コンテンツデータを受信してバッファリングし、不具合がある場合に前記移動通信端末機へ異常を通知して該移動通信端末機との呼接続を切断し、また、前記Webサーバから受信される映像コンテンツデータのデータ量の累積値を管理し、前記Webサーバとの通信が切断状態となった際に、該切断前のデータ量の累積値に基づき、該切断前の映像コンテンツデータに継続するデータの要求を前記Webサーバに対して行う第2の通信制御手段と、前記バッファリングされた映像コンテンツデータのヘッダ情報に含まれるサンプリングレート情報に基づき当該映像コンテンツデータ中の映像データの再生時刻情報を算出すると共に、同映像コンテンツデータ中の音声データの規定の配置時間間隔から当該音声データの再生時刻情報を算出する時刻情報演算手段と、前記映像データ及び前記音声データの再生時刻情報をもとに、当該映像データ及び音声データの同期を取る同期制御手段と、前記同期が取られた映像データ及び音声データを、テレビ電話移動機用多重化規格で多重化して前記移動通信端末機へ送信する多重化制御手段とを有する映像変換サーバを前記移動体通信網に配備したことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、映像変換サーバにおいて、移動通信端末機で要求された映像コンテンツデータをWebサーバから受信する際に、そのヘッダ情報に不具合がなければ当該映像コンテンツデータを受信し、この受信後に映像コンテンツデータを構成する映像データ及び音声データの各々の再生時刻情報を算出し、これら再生時刻情報をもとに映像データ及び音声データの同期を取った後に、双方をテレビ電話移動機用多重化規格で多重化して前記移動通信端末機へ送信するようにした。従って、エラーレートが非常に高い無線環境下であっても、長時間の映像コンテンツを移動体通信システムのテレビ電話移動機で受信して良好に視聴することができる。
【0008】
また、ヘッダ情報に不具合がある場合は移動通信端末機との呼接続を切断するようにしたので、Webサーバからの映像コンテンツデータのダウンロードが適正に行われない、或いは映像コンテンツデータ自体に異常がある場合等に、その不具合を素早く検出して移動通信端末機との呼接続を切断することができ、これによって無駄な通信を行わないようにすることができる。
更に、映像変換サーバが何らかの原因でWebサーバと通信切断状態となっても、その切断前に受信した映像コンテンツデータに継続する映像コンテンツデータをWebサーバから受信することができるので、移動通信端末機へ継続してデータを配信することができる。
【0009】
また、本発明の請求項2による映像変換サーバは、Webサーバに保存された音声データ及び映像データから成る映像コンテンツデータを、移動体通信網を介してテレビ電話機能を搭載した移動通信端末機へ送信し、当該移動通信端末機で映像コンテンツを視聴可能とする映像変換サーバにおいて、前記移動通信端末機からの要求に応じた映像コンテンツが保存された前記Webサーバに通信接続し、このWebサーバから該要求された映像コンテンツデータのヘッダ情報を受信する第1の通信制御手段と、前記受信されたヘッダ情報をチェックすることにより当該ヘッダ情報に不具合がない場合に、該当映像コンテンツデータを受信してバッファリングする第2の通信制御手段と、前記受信された映像コンテンツデータのヘッダ情報に含まれるサンプリングレート情報に基づき当該映像コンテンツデータ中の映像データの再生時刻情報を算出すると共に、当該映像コンテンツデータ中の音声データの規定の配置時間間隔から当該音声データの再生時刻情報を算出する時刻情報演算手段と、前記映像データ及び前記音声データの再生時刻情報をもとに、当該映像データ及び音声データの同期を取る同期制御手段と、前記同期が取られた映像データ及び音声データを、テレビ電話移動機用多重化規格で多重化して前記移動通信端末機へ送信する制御を行う多重化制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、映像変換サーバにおいて、移動通信端末機で要求された映像コンテンツデータをWebサーバから受信する際に、そのヘッダ情報に不具合がなければ当該映像コンテンツデータを受信し、この受信後に映像コンテンツデータを構成する映像データ及び音声データの各々の再生時刻情報を算出し、これら再生時刻情報をもとに映像データ及び音声データの同期を取った後に、双方をテレビ電話移動機用多重化規格で多重化して前記移動通信端末機へ送信するようにした。従って、エラーレートが非常に高い無線環境下であっても、長時間の映像コンテンツを移動体通信システムのテレビ電話移動機で受信して良好に視聴することができる。
【0011】
また、本発明の請求項3による映像変換サーバは、請求項2において、前記第2の通信制御手段は、前記ヘッダ情報に不具合がある場合、前記移動通信端末機へ異常を通知して該移動通信端末機との呼接続を切断することを特徴とする。
この構成によれば、ヘッダ情報に不具合がある場合は移動通信端末機との呼接続を切断するようにしたので、Webサーバからの映像コンテンツデータのダウンロードが適正に行われない、或いは映像コンテンツデータ自体に異常がある場合等に、その不具合を素早く検出して移動通信端末機との呼接続を切断することができ、これによって無駄な通信を行わないようにすることができる。
【0012】
また、本発明の請求項4による映像変換サーバは、請求項2または3において、前記第2の通信制御手段は、前記Webサーバから受信される映像コンテンツデータのデータ量の累積値を管理し、前記Webサーバとの通信が切断状態となった際に、該切断前のデータ量の累積値に基づき、該切断前の映像コンテンツデータに継続するデータの要求を前記Webサーバに対して行うことを特徴とする。
この構成によれば、映像変換サーバが何らかの原因でWebサーバと通信切断状態となっても、その切断前に受信した映像コンテンツデータに継続する映像コンテンツデータをWebサーバから受信することができるので、移動通信端末機へ継続してデータを配信することができる。
【0013】
また、本発明の請求項5による移動体通信映像配信方法は、Webサーバに保存された音声データ及び映像データから成る映像コンテンツデータを、移動体通信網を介してテレビ電話機能を搭載した移動通信端末機へ送信し、当該移動通信端末機で映像コンテンツを視聴可能とする移動体通信映像配信方法において、前記移動通信端末機からの要求に応じた映像コンテンツが保存された前記Webサーバに通信接続し、このWebサーバから該要求された映像コンテンツデータのヘッダ情報を受信する第1のステップと、前記第1のステップにて受信されたヘッダ情報をチェックすることにより当該ヘッダ情報に不具合がない場合に該当映像コンテンツデータを受信してバッファリングし、不具合がある場合に前記移動通信端末機へ異常を通知して該移動通信端末機との呼接続を切断する第2のステップと、前記第2のステップにて受信される映像コンテンツデータのデータ量の累積値を管理し、前記Webサーバとの通信が切断状態となった際に、該切断前のデータ量の累積値に基づき、該切断前の映像コンテンツデータに継続するデータの要求を前記Webサーバに対して行う第3のステップと、前記第2のステップにて受信された映像コンテンツデータのヘッダ情報に含まれるサンプリングレート情報に基づき当該映像コンテンツデータ中の映像データの再生時刻情報を算出すると共に、同映像コンテンツデータ中の音声データの規定の配置時間間隔から当該音声データの再生時刻情報を算出する第4のステップと、前記映像データ及び前記音声データの再生時刻情報をもとに、当該映像データ及び音声データの同期を取る第5のステップと、前記同期が取られた映像データ及び音声データを、テレビ電話移動機用多重化規格で多重化して前記移動通信端末機へ送信する第6のステップとを含むことを特徴とする。
この方法によれば、上記請求項1と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、長時間の映像コンテンツでも移動体通信システムのテレビ電話移動機で受信して良好に視聴することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。但し、本明細書中の全図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適時省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る移動体通信映像配信システムの構成を示すブロック図である。
図1に示す移動体通信映像配信システム1は、本実施の形態の特徴要素である映像変換サーバ10と、この映像変換サーバ10が接続された移動体通信網20と、この移動体通信網20を介して映像変換サーバ10に接続され、各々が映像コンテンツファイル31a,31b,31cを有する複数のWebサーバ30a,30b,30cと、移動体通信網20を介して通話、電子メールの送受信を行うと共に、Webサーバ30a〜30cとの通信アクセスによって映像コンテンツファイル31a〜31cから映像コンテンツデータを受信する複数のテレビ電話移動機40a,40b,40c,40dとを備えて構成されている。なお、各テレビ電話移動機40a〜40dは、例えばテレビ電話機能が搭載された携帯電話機等の移動通信端末機に該当する。
【0016】
図2に示すように、映像変換サーバ10は、通信制御部11と、サーバ間通信制御部12と、アドレス管理部13と、ファイルヘッダ制御部14と、映像データ制御部15と、時刻情報演算部(時刻情報演算手段)16と、音声映像同期制御部(同期制御手段)17と、音声映像多重化制御部(多重化制御手段)18とを備えて構成されている。
なお、通信制御部11、サーバ間通信制御部12及びアドレス管理部13によって第1の通信制御手段を構成する。ファイルヘッダ制御部14及び映像データ制御部15によって第2の通信制御手段を構成する。
【0017】
Webサーバ30a〜30cは、通信制御部31と、データ管理部32とを備えて構成されている。
テレビ電話移動機40a〜40dは、通信制御部41と、入力制御部42と、テレビ電話制御部43と、画面制御部44とを備えて構成されている。
映像変換サーバ10の通信制御部11は、テレビ電話移動機40a〜40dと通信を行うための制御を行う。
サーバ間通信制御部12は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を利用したWebサーバ30a〜30cとの通信を行うため制御を行う。
アドレス管理部13は、Webサーバ30a〜30cに保存された映像コンテンツファイル31a〜31cのURL(Uniform Resource Locator)と、そのURLに対して割り当てられたID番号を管理する。
【0018】
ファイルヘッダ制御部14は、Webサーバ30a〜30cから映像コンテンツデータをダウンロードしながら当該コンテンツのヘッダ要素をチェックし、テレビ電話移動機40a〜40dへの映像配信が可能である事を確認するための制御を行う。
但し、そのチェックの内容は、図3に一例を示すように、チェック要素として、映像コンテンツのファイルサイズ51と、ビットレート52と、コンテンツ条件53と、トラック情報54と、コーデックタイプ55などが含まれる。
【0019】
また、チェック内容は、ファイルサイズ51は、コンテンツのファイルサイズが40Mbyteを超えていないこと。ビットレート52は、平均ビットレートが64Kbps以下であること。コンテンツ条件53は、第1に、音声のみのコンテンツではない事。第2に、音声トラックの再生時間が1時間を越えていないこと。第3に、画面サイズが176×144であること。第4に、Video(ビデオ)トラックの再生時間が1時間を越えていないこと。第5に、Videoトラックの情報が再生時間順に並んでいること。トラック情報54は、第1に、Text(テキスト)トラックは存在しないこと。第2に、Videoトラックは存在すること。第3に、Audioトラックが1つであること。第4に、Videoトラックが1つであること。コーデックタイプ55は、第1に、Audioのコーデックがテレビ電話移動機でサポート可能なものを利用していること。第2に、Videoのコーデックがテレビ電話移動機でサポート可能なものを利用していること。第3に、Videoトラックのchunkがファイル内に再生時間順に並んでいないことである。
【0020】
映像データ制御部15は、Webサーバ30a〜30cから配信された映像コンテンツデータのダウンロード量を監視し、映像コンテンツデータが全て受信できたか否かを制御する。
時刻情報演算部16は、映像コンテンツデータのデータ部をダウンロードしながら、そのヘッダ情報に含まれるサンプリングレート情報に基づいて情報の再生時刻情報を算出する。
音声映像同期制御部17は、その算出された再生時刻情報に基づき、音声と映像情報の順序性を考慮し、音声と映像情報の時刻同期を行う。
音声映像多重化制御部18は、その同期された音声と映像との情報をテレビ電話移動機用多重化方式に従って同期を取る。
【0021】
Webサーバ30a〜30cの通信制御部31は、一般的に既存するWebブラウザからのHTTP通信要求に基づきデータ通信を行い、データ通信異常などにより一時的に通信ができなくなった場合などでも、クライアントからの要求に基づき、通信できなくなった場所からレジューム機能を利用して再度データの配信を行う等の制御を行う。
データ管理部32は、配信を行うための映像コンテンツファイル31a〜31cを格納して管理を行う。
【0022】
テレビ電話移動機40a〜40dの通信制御部41は、映像変換サーバ10との通信制御を行う。入力制御部42は、利用者が所望の入力操作を行う。テレビ電話制御部43は、映像変換サーバ10からの映像コンテンツデータを受信する制御を行う。画面制御部44は、その受信された映像コンテンツデータに基づく音声と映像を図示せぬスピーカから出力すると共に画面に表示する制御を行う。
【0023】
次に、このような構成の移動体通信映像配信システム1においてテレビ電話移動機で映像コンテンツを視聴する際の動作を、図4に示すフロー図及び図5に示すシーケンス図を参照して説明する。
まず、図4のステップS1において、ユーザがテレビ電話移動機40aのキーパッド46から、映像変換サーバ10の番号と、視聴したい映像コンテンツに対して割り当てられている番号(上述のURLに対して割り当てられたID番号)とを入力して、テレビ電話接続要求(呼接続要求)の発呼を行ったとする。
【0024】
この発呼によって、図5のステップT1に示すように、呼接続要求の信号が映像変換サーバ10へ送信され、当該テレビ電話移動機40aが映像変換サーバ10に接続される。この接続は、テレビ電話移動機40aの通信制御部41と映像変換サーバ10の通信制御部11との通信制御によって行われる。
この接続時に、映像変換サーバ10においてテレビ電話移動機40aの電話番号によるアドレス確認が行われ、これが完了するとステップT2において、アドレス完了通知がテレビ電話移動機40aへ送信されると共に、ステップT3において、テレビ電話移動機40aへ呼出中の音を通知するための信号が送信される。
【0025】
また、その接続によってテレビ電話移動機40aから映像変換サーバ10へ視聴を行いたい映像コンテンツの番号が送信され、この番号がアドレス管理部13へ通知される。アドレス管理部13では、そのテレビ電話移動機40aにて入力された電話番号に対してアクセスすべきコンテンツのURLの変換が行われ、該当コンテンツが保存されているURLが求められる。
【0026】
そして、ステップT4(図4ではステップS2)において、映像変換サーバ10のサーバ間通信制御部12の制御によって、先に求められたURLのWebサーバ30aに接続が行われ、ステップT5において、映像コンテンツのダウンロードが開始される。即ち、Webサーバ30aから映像コンテンツファイルとそのヘッダ情報が映像変換サーバ10にダウンロードされる。
ここで、図4のステップS3及びS4に示すように、ヘッダ部(ヘッダ情報)の取得が成功しなければ、ステップS5において、テレビ電話移動機40aとの接続呼が非課金で切断される。
【0027】
一方、ヘッダ情報が取得された場合、ステップS6において、ヘッダ情報のチェックが行われる。即ち、映像変換サーバ10において、図5のステップT5に示した映像コンテンツデータのダウンロードと同時に、ステップT6(図4ではステップS6)において、ファイルヘッダ制御部14の制御によって、映像コンテンツデータのヘッダ情報に含まれる要素(例えば図3に示した要素)がチェックされる。
【0028】
このチェックによって、ヘッダ要素に問題(不具合)があると判断された場合、つまり、映像コンテンツデータがテレビ電話移動機40aに対して映像配信を行う場合に問題となるようなデータであれば、当該データについては配信を行わず、テレビ電話移動機40aに対して当該映像コンテンツデータが異常である旨の通知を行い、図4のステップS5において非課金で呼を切断する。
【0029】
一方、ヘッダ要素に問題が無いと判断された場合、映像データ制御部15の制御によって、映像コンテンツのデータ部の取得が開始され、ステップS8において、その取得が成功しなければ、ステップS9において、映像コンテンツのファイルが破損又は存在しないなどのファイル終了となったか否かが判断される。ファイル終了であればステップS5において上記同様に非課金で呼切断が行われ、ファイル終了でなければ、ステップS10において所定回数データの再取得が行われる。この結果、再取得されなければ、ステップS5において上記同様に非課金で呼切断が行われる。再取得されると、ステップS8におけるデータ取得成功時の場合と同様に、次に説明するステップS11〜S13の処理が実行される。
【0030】
つまり、図5のステップT7に示すように、取得された映像コンテンツデータが、ステップT8においてテレビ電話移動機用フォーマットに変換される処理が行われる。
ここで、Webサーバ30aから受信した映像コンテンツデータ自体には音声や映像がどの時間に再生されるかという情報は含まれていない。しかし、テレビ電話移動機40aに対して配信するデータに関しては映像と音声を同期させる必要があるため、一度、映像データ制御部15のバッファに溜まったデータについては音声と映像の各データについて、ステップS11において、時刻情報演算部16により再生時刻情報の付与を行う。
【0031】
即ち、映像データの場合、時刻情報はヘッダに含まれるサンプリングレートの情報(vop_time_increment_resolution)と、受信したデータのヘッダに含まれる時間情報(modulo_time_baseとvop_time_increment)とを、直前のデータの時刻情報を足し合わせた結果から算出している。つまり、映像データを受信するためのサンプリングレートを順次積算しながらこれを時刻情報として当該映像データに付与している。
【0032】
音声データの場合、ファイル形式上必ず20ms毎にデータが配置されているため、20msを順次積算しながらこれを時刻情報として音声データ毎に付与している。
次に、ステップS12において、音声映像同期制御部17によって、上記のように時刻情報が付与された映像データと音声データの同期を取る。例えば、映像データに1ms毎に増加する時刻情報が付与されているとすると、映像データの20ms毎に1つの音声データを対応付けて同期を取る。
【0033】
そして、ステップS13において、音声映像多重化制御部18によって、その同期が取られた音声と映像データを多重化する。これは、テレビ電話移動機用の音声映像データ多重化の規格であるITU−TH.223プロトコルに沿った形式で多重化を行う。
この多重化されたデータは、ステップS14において、テレビ電話移動機40aへ配信される。即ち、図5のステップT9に示すように、映像・音声多重化データとしてテレビ電話移動機40aへ配信される。この映像・音声多重化データはテレビ電話移動機40aのテレビ電話制御部43の制御によって受信され、画面制御部44の制御によってユーザが視聴可能に表示される。
【0034】
また、映像コンテンツのファイルサイズについては、Webサーバ30aからステップT7のように映像コンテンツデータをダウンロードする際に通知されるため、映像変換サーバ10では、映像データ制御部15にて、そのダウンロードした映像コンテンツのデータ量の累積値を管理し、この値がファイルサイズになったか否かをチェックする事でコンテンツのダウンロードが終了したか否かを判断する。ここで、ダウンロードが終了したと判断されると、この判断以前にバッファリングされて変換された映像・音声多重化データが全てテレビ電話移動機40aへ配信されたタイミングで、ステップT10に示すように、課金で呼が切断される。
【0035】
次に、移動体通信網20のネットワーク装置の一時的故障などにより映像変換サーバ10とWebサーバ30a間の通信セッションが切断となった場合の動作を、図6のフロー図を参照して説明する。
映像変換サーバ10は、上述したようにWebサーバ30aから受信した映像コンテンツデータの量を累積している。そのため、ステップT21に示すように、映像変換サーバ10にて通信セッション切断が起きると、映像データ制御部15は、切断前に取得された映像コンテンツのデータ量の累積値に基づき、ステップT22に示すように、切断前の映像コンテンツデータに継続するデータの要求(Range headerを付与したHTTP GET)を、Webサーバ30aに対して行う。
【0036】
Webサーバ30aでは、ステップT23及びT24に示すように、データ管理部32の制御によって、その要求に基づく継続のデータのファイルサイズ並びに当該データを送信し、これを受信した映像変換サーバ10では、前述と同様にステップT8において継続の映像コンテンツデータをテレビ電話移動機用データに変換し、これをテレビ電話移動機40aへ配信する。
【0037】
このように、本実施の形態の移動体通信映像配信システム1によれば、Webサーバ30a〜30cとテレビ電話移動機40a〜40dとの間に映像変換サーバ10を接続し、この映像変換サーバ10によって、テレビ電話移動機40aで要求された映像コンテンツデータをWebサーバ30aから受信する際に、そのヘッダ情報に不具合がなければ当該映像コンテンツデータを受信し、この受信後に映像コンテンツデータを構成する映像データ及び音声データの各々の再生時刻情報を算出し、これら再生時刻情報をもとに映像データ及び音声データの同期を取った後に、双方をテレビ電話移動機用多重化規格で多重化してテレビ電話移動機40aへ送信するようにした。
【0038】
これによって、エラーレートが非常に高い無線環境下であっても、長時間の映像コンテンツを移動体通信網20のテレビ電話移動機40aで受信して良好に視聴することができる。
また、映像変換サーバ10によって、Webサーバ30aから受信された映像コンテンツデータのヘッダ情報に不具合がある場合、テレビ電話移動機40aへ異常を通知して当該テレビ電話移動機40aとの呼接続を切断するようにした。
【0039】
これによって、ヘッダ情報に不具合がある場合はテレビ電話移動機40aとの呼接続を切断するようにしたので、Webサーバ30aからの映像コンテンツデータのダウンロードが適正に行われない、或いは映像コンテンツデータ自体に異常がある場合等に、その不具合を素早く検出してテレビ電話移動機40aとの呼接続を切断することができ、これによって無駄な通信を行わないようにすることができる。
【0040】
また、映像変換サーバ10によって、Webサーバ30aから受信される映像コンテンツデータのデータ量の累積値を管理し、Webサーバ30aとの通信が切断状態となった際に、その切断前のデータ量の累積値に基づき、該切断前の映像コンテンツデータに継続するデータの要求をWebサーバ30aに対して行うようにした。
これによって、映像変換サーバ10が何らかの原因でWebサーバ30aと通信切断状態となっても、その切断前に受信した映像コンテンツデータに継続する映像コンテンツデータをWebサーバ30aから受信することができるので、テレビ電話移動機40aへ継続してデータを配信することができる。
これらのように、Webサーバ30a〜30c上に保存された映像コンテンツがテレビ電話移動機40a〜40dで視聴可能となり、映像コンテンツの長さに依存する事なく視聴可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態に係る移動体通信映像配信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】上記移動体通信映像配信システムにおける映像変換サーバ、Webサーバ及びテレビ電話移動機の構成を示すブロック図である。
【図3】上記Webサーバから映像変換サーバへ送信される映像コンテンツデータのヘッダ情報のチェック要素とチェック内容の一例を示す図である。
【図4】上記移動体通信映像配信システムにおいてテレビ電話移動機で映像コンテンツを視聴する際の動作を説明するためのフロー図である。
【図5】上記移動体通信映像配信システムにおいてテレビ電話移動機で映像コンテンツを視聴する際の信号の流れを示すシーケンス図である。
【図6】上記移動体通信映像配信システムにおいて映像変換サーバとWebサーバ間の通信セッションが切断となった場合の信号の流れを示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0042】
1 移動体通信映像配信システム
10 映像変換サーバ
11 通信制御部
12 サーバ間通信制御部
13 アドレス管理部
14 ファイルヘッダ制御部
15 映像データ制御部
16 時刻情報演算部
17 音声映像同期制御部
18 音声映像多重化制御部
20 移動体通信網
30a〜30c Webサーバ
31a〜31c 映像コンテンツファイル
31 通信制御部
32 データ管理部
40a〜40d テレビ電話移動機
41 通信制御部
42 入力制御部
43 テレビ電話制御部
44 画面制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Webサーバに保存された音声データ及び映像データから成る映像コンテンツデータを、移動体通信網のテレビ電話機能を搭載した移動通信端末機で受信することにより映像コンテンツを視聴可能とする移動体通信映像配信システムにおいて、
前記移動通信端末機からの要求に応じた映像コンテンツが保存された前記Webサーバに通信接続し、このWebサーバから該要求された映像コンテンツデータのヘッダ情報を受信する第1の通信制御手段と、
前記受信されたヘッダ情報をチェックすることにより当該ヘッダ情報に不具合がない場合に該当映像コンテンツデータを受信してバッファリングし、不具合がある場合に前記移動通信端末機へ異常を通知して該移動通信端末機との呼接続を切断し、また、前記Webサーバから受信される映像コンテンツデータのデータ量の累積値を管理し、前記Webサーバとの通信が切断状態となった際に、該切断前のデータ量の累積値に基づき、該切断前の映像コンテンツデータに継続するデータの要求を前記Webサーバに対して行う第2の通信制御手段と、
前記バッファリングされた映像コンテンツデータのヘッダ情報に含まれるサンプリングレート情報に基づき当該映像コンテンツデータ中の映像データの再生時刻情報を算出すると共に、同映像コンテンツデータ中の音声データの規定の配置時間間隔から当該音声データの再生時刻情報を算出する時刻情報演算手段と、
前記映像データ及び前記音声データの再生時刻情報をもとに、当該映像データ及び音声データの同期を取る同期制御手段と、
前記同期が取られた映像データ及び音声データを、テレビ電話移動機用多重化規格で多重化して前記移動通信端末機へ送信する多重化制御手段と
を有する映像変換サーバを前記移動体通信網に配備したことを特徴とする移動体通信映像配信システム。
【請求項2】
Webサーバに保存された音声データ及び映像データから成る映像コンテンツデータを、移動体通信網を介してテレビ電話機能を搭載した移動通信端末機へ送信し、当該移動通信端末機で映像コンテンツを視聴可能とする映像変換サーバにおいて、
前記移動通信端末機からの要求に応じた映像コンテンツが保存された前記Webサーバに通信接続し、このWebサーバから該要求された映像コンテンツデータのヘッダ情報を受信する第1の通信制御手段と、
前記受信されたヘッダ情報をチェックすることにより当該ヘッダ情報に不具合がない場合に、該当映像コンテンツデータを受信してバッファリングする第2の通信制御手段と、
前記受信された映像コンテンツデータのヘッダ情報に含まれるサンプリングレート情報に基づき当該映像コンテンツデータ中の映像データの再生時刻情報を算出すると共に、当該映像コンテンツデータ中の音声データの規定の配置時間間隔から当該音声データの再生時刻情報を算出する時刻情報演算手段と、
前記映像データ及び前記音声データの再生時刻情報をもとに、当該映像データ及び音声データの同期を取る同期制御手段と、
前記同期が取られた映像データ及び音声データを、テレビ電話移動機用多重化規格で多重化して前記移動通信端末機へ送信する制御を行う多重化制御手段と
を備えたことを特徴とする映像変換サーバ。
【請求項3】
前記第2の通信制御手段は、前記ヘッダ情報に不具合がある場合、前記移動通信端末機へ異常を通知して該移動通信端末機との呼接続を切断する
ことを特徴とする請求項2に記載の映像変換サーバ。
【請求項4】
前記第2の通信制御手段は、前記Webサーバから受信される映像コンテンツデータのデータ量の累積値を管理し、前記Webサーバとの通信が切断状態となった際に、該切断前のデータ量の累積値に基づき、該切断前の映像コンテンツデータに継続するデータの要求を前記Webサーバに対して行う
ことを特徴とする請求項2または3に記載の映像変換サーバ。
【請求項5】
Webサーバに保存された音声データ及び映像データから成る映像コンテンツデータを、移動体通信網を介してテレビ電話機能を搭載した移動通信端末機へ送信し、当該移動通信端末機で映像コンテンツを視聴可能とする移動体通信映像配信方法において、
前記移動通信端末機からの要求に応じた映像コンテンツが保存された前記Webサーバに通信接続し、このWebサーバから該要求された映像コンテンツデータのヘッダ情報を受信する第1のステップと、
前記第1のステップにて受信されたヘッダ情報をチェックすることにより当該ヘッダ情報に不具合がない場合に該当映像コンテンツデータを受信してバッファリングし、不具合がある場合に前記移動通信端末機へ異常を通知して該移動通信端末機との呼接続を切断する第2のステップと、
前記第2のステップにて受信される映像コンテンツデータのデータ量の累積値を管理し、前記Webサーバとの通信が切断状態となった際に、該切断前のデータ量の累積値に基づき、該切断前の映像コンテンツデータに継続するデータの要求を前記Webサーバに対して行う第3のステップと、
前記第2のステップにて受信された映像コンテンツデータのヘッダ情報に含まれるサンプリングレート情報に基づき当該映像コンテンツデータ中の映像データの再生時刻情報を算出すると共に、同映像コンテンツデータ中の音声データの規定の配置時間間隔から当該音声データの再生時刻情報を算出する第4のステップと、
前記映像データ及び前記音声データの再生時刻情報をもとに、当該映像データ及び音声データの同期を取る第5のステップと、
前記同期が取られた映像データ及び音声データを、テレビ電話移動機用多重化規格で多重化して前記移動通信端末機へ送信する第6のステップと
を含むことを特徴とする移動体通信映像配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−325114(P2007−325114A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154999(P2006−154999)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】