移動物体検知装置及びその方法
【課題】移動物体の検知処理に関わる負荷を低減可能な移動物体検知装置及びその方法を提供する。
【解決手段】ヒストグラム調整部は、低輝度領域に画素数が偏るヒストグラムについて、その輝度平均値と、この輝度平均値に対する輝度標準偏差とをそれぞれ求め、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との和を、前記輝度の上限値に変換すると共に、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との差を前記輝度の下限値に変換する。そして、前記ヒストグラムにおける前記和と前記差との間のヒストグラムパターン38aを、前記上限値と前記下限値との間でフルスケールに伸張して、前記フルスケールに伸張したヒストグラムパターン38b中で、前記各画素の輝度を前記上限値と前記下限値との間の所定の輝度に変換する。
【解決手段】ヒストグラム調整部は、低輝度領域に画素数が偏るヒストグラムについて、その輝度平均値と、この輝度平均値に対する輝度標準偏差とをそれぞれ求め、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との和を、前記輝度の上限値に変換すると共に、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との差を前記輝度の下限値に変換する。そして、前記ヒストグラムにおける前記和と前記差との間のヒストグラムパターン38aを、前記上限値と前記下限値との間でフルスケールに伸張して、前記フルスケールに伸張したヒストグラムパターン38b中で、前記各画素の輝度を前記上限値と前記下限値との間の所定の輝度に変換する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラが撮影した所定の撮影地点に関する画像フレームに基づいて前記撮影地点での移動物体の存在を検知する移動物体検知装置及びその方法に関し、より詳細には、前記撮影地点への侵入者の侵入を監視する侵入者検知装置として好適な移動物体検知装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、夜間等の人間が行き来しない時間帯におけるオフィスビル等への侵入者の侵入を監視する移動物体検知装置が特許文献1に開示されている。この移動物体検知装置は、所定の撮影地点(例えば、オフィスビルの各フロア内)において、テレビカメラにより撮影された画像フレームについて、その画像フレームを複数の画素から構成されるブロックに分割し、異なる時刻に撮影された2つの画像フレームについて、先に撮影された画像フレームの各ブロックを構成する画素の輝度とその輝度を示す画素数との関係を示すヒストグラムと、前記ブロックに対応する後に撮影された画像フレームの各ブロックにおけるヒストグラムとの差分をブロック毎に求め、求めた各差分値が所定の閾値よりも大きい場合に、前記撮影地点内に何らかの変化(例えば、侵入者の侵入)があったものと判定する。
【0003】
また、前記テレビカメラが夜間の撮影地点を撮影した場合には、前記各画素の輝度が低く、前記画像フレームが全体的に暗い画像となるので、前記移動物体検知装置では、前記ヒストグラムの低輝度領域における1[%]の頻度を示す輝度と、高輝度領域における1[%]の頻度を示す輝度とを求め、求めた各輝度を輝度の下限値及び上限値に変換して前記ヒストグラムのパターン(以下、ヒストグラムパターンともいう。)を前記下限値と前記上限値との間でフルスケールに伸張することで、移動物体の検知精度を改善している。
【0004】
【特許文献1】特開2000−184359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した移動物体検知装置では、画像フレームを複数のブロックに分割し、それぞれのブロックについてヒストグラムを求めているので、撮影地点への侵入者の侵入に対する判定処理や、夜間等に撮影された画像フレームに対するヒストグラムパターンの調整処理が複雑となり、前記移動物体検知装置の処理に関わる負荷が増大するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、移動物体の検知処理に関わる負荷を低減可能な移動物体検知装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カメラが撮影した所定の撮影地点に関する画像フレームに基づいて前記撮影地点での移動物体の存在を検知する移動物体検知装置(移動物体検知方法)において、前記画像フレームを構成する各画素の輝度と、その輝度を示す画素数との関係を示すヒストグラムを調整するヒストグラム調整手段(ヒストグラム調整ステップ)を有し、前記ヒストグラム調整手段(ヒストグラム調整ステップ)は、前記画像フレームを構成する全画素の輝度平均値とこの輝度平均値に対する輝度標準偏差とを求め、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との和を前記輝度の上限値に変換すると共に前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との差を前記輝度の下限値に変換し、前記ヒストグラムにおける前記和と前記差との間のヒストグラムパターンを前記上限値と前記下限値との間でフルスケールに伸張して前記各画素の輝度を前記上限値と前記下限値との間の所定の輝度に変換することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、前記画像フレームの全画素にて構成される前記ヒストグラムのヒストグラムパターンを所望のヒストグラムパターンに変換し、変換した前記ヒストグラムパターンに応じた画像フレームを用いて前記移動物体の検知処理を行うことにより、画像フレームのブロック毎にヒストグラムを調整する従来技術と比較して、前記移動物体の検知処理に関わる負荷を低減することができる。また、前記輝度平均値及び前記輝度標準偏差を用いることにより、前記上限値及び前記下限値への変換が簡単化され、前記移動物体の検出に必要な画像フレームを容易に作成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動物体の検知処理に関わる負荷を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る移動物体検知装置について、カメラの撮影地点における侵入者の侵入を検知する侵入者検知装置に適用した好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る侵入者検知装置(移動物体検知装置)16を適用した侵入者検知システム10のブロック図である。
【0012】
この侵入者検知システム10において、オフィスビルや港湾設備等に配置され、撮影地点(例えば、前記オフィスビルの各フロアや、前記港湾設備の近傍)を所定時刻毎に、あるいは連続的に撮影するカメラ12は、当該撮影地点を撮影したアナログ信号の画像をA/Dコンバータ14に順次出力し、該A/Dコンバータ14は、この画像をデジタル信号の画像フレームに変換して侵入者検知装置16に順次出力する。なお、侵入者検知装置16は、前記撮影地点における監視対象(例えば、前記オフィスビルの各フロアの入口近傍や、前記港湾設備の倉庫の入口近傍)への侵入者の侵入(移動物体の存在)を監視する図示しない監視センター内に配置されている。
【0013】
侵入者検知装置16は、ヒストグラム調整部(ヒストグラム調整手段)30と識別処理部32とを有する移動物体識別手段18、侵入者識別手段20、領域監視手段22、侵入者予測手段24、侵入者特徴抽出手段26及びカメラ制御部34を有する結果判定手段28から構成される。
【0014】
ヒストグラム調整部30は、順次入力した前記画像フレームをグレースケール変換し(図3A及び図4A参照)、前記画像フレームを構成する全ての画素の輝度と、その輝度を示す画素数との関係を示すヒストグラム(図2A参照)をそれぞれの画像フレームに対して作成し、作成した前記ヒストグラムに対応する前記画像フレームを識別処理部32に出力する。なお、図2Aは、一例として、横軸が0〜255の輝度(階調)であり、縦軸が前記輝度での画素数であるヒストグラムを図示している。また、図3A及び図4Aでは、監視対象としてのT字路40a上を歩行者42a(侵入者)が歩いている様子を図示している。
【0015】
識別処理部32(図1参照)は、順次入力した前記画像フレームの全画素について、前回入力した先の画像フレーム(図3A参照)の画素の輝度と、この画素に対応し且つ現在入力した画像フレーム(図4A参照)の画素の輝度との輝度差を取り(図5A参照)、前記輝度差と所定の閾値との比較に基づいて2値化の画像フレームを作成する(図6A参照)。この場合、識別処理部32は、前記輝度差が前記閾値を上回る画素については白色表示とし、前記輝度差が前記閾値を下回る画素については黒色表示とする。なお、図5Aでは、歩行者42a(図3A及び図4A参照)に対応する表示部分44aが図示され、図6Aでは、該歩行者42aに対応する白色表示の表示部分46aが図示されている。
【0016】
また、識別処理部32(図1参照)では、前記画像フレーム中、隣接する複数の画素が互いに白色表示である場合には、図7Aに示すように、これらの白色表示部分を侵入者等の移動物体を示す1つの表示部分48aとして融合するクラスタリング処理を行った後に、融合した表示部分48aを所定の大きさの枠50aで囲み、この表示部分48a及び枠50aに所定の番号(図示せず)を付与するラベリング処理を行う。さらに、識別処理部32は、A/Dコンバータ14からの現在の画像フレーム(図4A参照)と、枠50aとを侵入者識別手段20にそれぞれ出力する。なお、識別処理部32は、枠50aの作成処理を行わず、前記現在の画像フレームのみを侵入者識別手段20に出力することも可能である。
【0017】
侵入者識別手段20(図1参照)は、入力した前記現在の画像フレーム(図4A参照)に基づいて、移動物体である歩行者42aが前記撮影地点における侵入者を示すものであるか否かを識別し、枠50a、識別結果及び前記現在の画像フレームを領域監視手段22に出力する。この場合、歩行者42aが前記侵入者であるか否かの判断は、例えば、図3Aに示す先の画像フレームでの歩行者42aと、前記現在の画像フレームでの歩行者42aとの差(移動方向及び距離)に基づいて判断する。
【0018】
領域監視手段22は、入力した前記識別結果及び前記現在の画像フレームに基づいて、前記画像フレーム中、監視対象(例えば、T字路40a)への歩行者42aの移動(前記侵入者の侵入)の有無を検出し、枠50a、検出結果及び前記現在の画像フレームを侵入者予測手段24及び侵入者特徴抽出手段26に出力する。
【0019】
侵入者予測手段24は、順次入力した前記検出結果及び前記現在の画像フレームに基づいて、歩行者42aの移動量や移動方向から、今後の歩行者42aの動きを予測し、枠50a、予測結果及び前記現在の画像フレームを結果判定手段28に出力する。
【0020】
侵入者特徴抽出手段26は、順次入力した前記検出結果及び前記現在の画像フレームに基づいて、歩行者42aの移動量や移動方向から、歩行者42a(侵入者)の種別を特定し、枠50a、特定結果及び前記現在の画像フレームを結果判定手段28に出力する。なお、前記種別とは、例えば、前記画像フレーム中に表示される画像の種類(人間、樹木、草等)である。
【0021】
結果判定手段28は、侵入者予測手段24から順次入力した前記予測結果及び前記現在の画像フレームと、侵入者特徴抽出手段26から順次入力した前記特定結果及び前記現在の画像フレームとに基づいて、前記監視対象(T字路40a)に歩行者42a(侵入者)が侵入したことを、侵入者検知装置16が配置された前記監視センターの監視員に対して画面表示又はアラーム発報を行う。この場合、結果判定手段28では、歩行者42aの存在を前記監視員に対して分かりやすく画面表示するために、適宜、枠50aを前記現在の画像フレームの歩行者42aに重畳することも可能である(図8A参照)。なお、図8Aでは、歩行者42aの上半身の一部を枠50aで囲んだ場合を図示している。
【0022】
また、カメラ制御部34は、前記予測結果、前記特定結果及び前記現在の画像フレームとに基づいて、前記撮影地点におけるカメラ12の撮影方向や姿勢を制御する。
【0023】
上記した侵入者検知システム10(図1参照)において、例えば、夜間や、曇り又は雨の日の日中にカメラ12が前記撮影地点を撮影した場合、該カメラ12に入力する光量は、晴れた日の日中の光量よりも少ないので、撮影された画像フレームをヒストグラム調整部30にてグレースケール変換すると全体的に暗い画像となり(図3A及び図4A参照)、そのヒストグラムは、図2Aに示すように、低輝度領域(輝度が0に近い領域)に画素数が偏るヒストグラムパターン38aとなる。
【0024】
この結果、前記ヒストグラムに対応する画像フレームをそのまま用い、識別処理部32(図1参照)にて撮影時刻の異なる2つの画像フレームの差分を取り(図5A参照)、差分した前記画像フレームに対して2値化処理(図6A参照)、クラスタリング処理及びラベリング処理(図7A参照)を行うと、歩行者42a(侵入者)(図3A及び図4A参照)に対応する表示部分46aを2値化の画像フレーム上に鮮明に表示することが困難になると共に、歩行者42aに対する枠50aのサイズも小さくなり(図8A参照)、結果判定手段28での歩行者42a(侵入者)の認識率(検知率)が低下するおそれがある。
【0025】
そこで、侵入者検知装置16では、ヒストグラム調整部30において、夜間や曇り又は雨の日の日中に撮影された画像フレームのヒストグラム(図2A参照)について、図2Bに示すように、前記画像フレームを構成する全画素の輝度の平均値(以下、輝度平均値ともいう。)を前記低輝度領域から高輝度領域(輝度が255に近い領域)側にシフトしたヒストグラムに調整し、調整した前記ヒストグラムに対応する画像フレームを用いて前記侵入者の検知処理を行うようにしている。
【0026】
すなわち、ヒストグラム調整部30は、前記低輝度領域に画素数が偏るヒストグラム(図2A参照)について、その輝度平均値{図2Aに示す(A)}と、この輝度平均値に対する標準偏差(以下、輝度標準偏差ともいう。)とをそれぞれ求め、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との和{図2Aに示す(B)}を、前記輝度の上限値(図2Bに示す255の輝度)に変換すると共に、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との差{図2Aに示す(C)}を前記輝度の下限値(図2Bに示す0の輝度)に変換する。次に、ヒストグラム調整部30は、図2Aのヒストグラムにおける前記和と前記差との間のヒストグラムパターン38aを、図2Bに示す前記上限値(255)と前記下限値(0)との間にフルスケールに伸張して、前記フルスケールに伸張したヒストグラムパターン38b中で、前記各画素の輝度を前記上限値と前記下限値との間の所定の輝度に変換する(図2B参照)。
【0027】
なお、前記フルスケールに伸張するとは、ヒストグラム調整部30内に、例えば、前記差から前記和までの輝度(ヒストグラムパターン38aに対応する輝度)と、前記下限値から前記上限値までの輝度(ヒストグラムパターン38bに対応する輝度)との関係を示すマッピング関数(1次式で表わされる関数)が格納され、このマッピング関数に基づいて、ヒストグラムパターン38aの輝度をヒストグラムパターン38bの輝度に変換することをいう。
【0028】
従って、図2Bに示す調整後のヒストグラムは、図2Aに示す調整前のヒストグラムと比較して、輝度平均値がより高輝度領域にシフトし、この結果、前記調整後のヒストグラムに対応する画像フレーム(図3B及び図4B)は、前記調整前の画像フレーム(図3A及び図4B)と比較して、夜間や曇り又は雨の日の日中に撮影された画像フレームであっても、全体的に明るい画像となり、T字路40b上の歩行者42bを明瞭に認識することができる。
【0029】
なお、前記ヒストグラムの調整前(図2A参照)と、調整後(図2B参照)とについて、画像フレームを構成する全画素数に変化がなければ、図2Aに示す輝度と画素数との積の総和(ヒストグラムパターン38aと横軸とで囲まれた部分の総面積)と、図2Bに示す輝度と画素数との積の総和(ヒストグラムパターン38bと縦軸と横軸とで囲まれた部分の総面積)との間に変化がないことは勿論である。
【0030】
また、ヒストグラム調整部30における前述したヒストグラムの調整処理は、例えば、(1)現在時刻が所定の時間帯(例えば、18時〜翌日の6時)になった場合、(2)前記撮影地点に設けられた図示しない輝度センサからの出力信号のレベルが所定レベル以下である場合、(3)前記ヒストグラムの輝度平均値が所定の閾値(例えば、100)以下である場合に行われる。
【0031】
従って、識別処理部32では、ヒストグラム調整処理を行った画像フレームが入力した際に、この画像フレームに対して上述した差分処理(図5B参照)、2値化処理(図6B参照)、クラスタリング処理及びラベリング処理(図7B参照)を行い、前記ラベリング処理後の画像フレーム中にある枠50bと、前記現在の画像フレーム(図4B参照)とを侵入者識別手段20に出力する。
【0032】
本実施形態に係る侵入者検知装置16を有する侵入者検知システム10の構成は、上述した通りであり、次に、ヒストグラム調整部30でのヒストグラム調整処理を行う場合における侵入者検知装置16での侵入者検知処理について、図1〜図8Bや、図9及び図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0033】
図9は、侵入者検知装置16内での処理を示すフローチャートであり、図10は、移動物体識別手段18内での処理を示すフローチャートである。なお、これらのフローチャートの説明では、必要に応じて、ヒストグラム調整処理を行わない画像フレーム(図3A、図4A、図5A、図6A、図7A及び図8A)も参照しながら説明する。
【0034】
図9のステップS1において、移動物体識別手段18(図1参照)は、カメラ12からA/Dコンバータ14を介して入力した画像フレームより、該画像フレーム内での侵入者を含む移動物体の存在を識別できるような画像処理(移動物体識別処理)を行う。
【0035】
具体的には、先ず、図10のステップS11において、ヒストグラム調整部30は、入力した画像フレーム{図3Aに示す先の画像フレーム及び図4Aに示す現在の画像フレーム}をグレースケール変換する。
【0036】
次に、ヒストグラム調整部30は、画像フレームを構成する全ての画素の輝度と、その輝度を示す画素数との関係を示すヒストグラム(図2A参照)をそれぞれの画像フレームに対して作成する。この場合、前記ヒストグラムは、前記低輝度領域に画素数が偏ったヒストグラムパターン38aになっているので、ヒストグラム調整部30は、前記ヒストグラムについて、輝度平均値が低輝度領域から高輝度領域にシフトしたヒストグラム(図2B参照)に調整する下記のヒストグラム調整処理(ヒストグラム調整ステップ)を行う(ステップS12)。
【0037】
すなわち、ヒストグラム調整部30は、図3A及び図4Aに示す画像フレームのそれぞれのヒストグラム(図2A参照)について、その輝度平均値{図2Aの(A)}と輝度標準偏差とをそれぞれ求め、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との和{図2Aの(B)}を、前記輝度の上限値(図2Bの255)に変換すると共に、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との差{図2Aの(C)}を前記輝度の下限値(図2Bの0)に変換する。さらに、ヒストグラム調整部30は、図2Aに示す前記和と前記差との間のヒストグラムパターン38aを、図2Bに示す前記上限値(255)と前記下限値(0)との間でフルスケールに伸張して、前記フルスケールに伸張したヒストグラムパターン38b中で、前記各画素の輝度を前記上限値と前記下限値との間の所定の輝度に変換する。そして、ヒストグラム調整部30は、上記のヒストグラム調整処理を行った前記各ヒストグラムに対応する各画像フレーム(図3B及び図4B参照)を識別処理部32に出力する。
【0038】
この場合、ヒストグラムパターン38b(図2B参照)は、ヒストグラムパターン38a(図2A参照)と比較して、輝度平均値がより高輝度領域にシフトするので、ヒストグラム調整後のヒストグラムに対応する画像フレーム(図3B及び図4B)は、ヒストグラム調整前の画像フレーム(図3A及び図4A)と比較して、全体的に明るい画像となっている。例えば、図3B及び図4Bの画像フレーム中で、T字路40b上を歩いている歩行者42bの画像は、図3A及び図4Aの画像フレーム中の歩行者42aの画像よりも高輝度であり明瞭に認識することが可能である。
【0039】
次に、識別処理部32(図1参照)は、入力した前記各画像フレーム(図3B及び図4B参照)の全画素について、前記先の画像フレーム(図3B参照)の画素の輝度と、この画素に対応する前記現在の画像フレーム(図4B参照)の画素の輝度との輝度差を取って、前記輝度差を示す画像フレーム(図5B参照)を生成する(ステップS13)。この場合、ヒストグラム調整処理(ステップS12)を予め行った前記画像フレーム(図5B参照)中の表示部分44b(図3B及び図4Bの歩行者42bに対応する表示部分)は、前記ヒストグラム調整処理を行っていない画像フレーム(図5A参照)中の表示部分44a(図3A及び図4Aの歩行者42aに対応する表示部分)と比較して、鮮明に表示されている。
【0040】
また、識別処理部32は、前記差分処理を行った画像フレームについて、前記輝度差が所定の閾値を上回る画素については白色表示とし、前記輝度差が前記閾値を下回る画素については黒色表示とする2値化処理を行う(ステップS14、図6B参照)。この場合も、前記ヒストグラム調整処理(ステップS12)を予め行った2値化処理後の画像フレーム(図6B参照)中の表示部分46b(図3B及び図4Bの歩行者42bや、図5Bの表示部分44bに対応する表示部分)は、前記ヒストグラム調整処理を行っていない2値化処理後の画像フレーム(図6A参照)中の表示部分46a(図3A及び図4Aの歩行者42aや、図5Aの表示部分46aに対応する表示部分)と比較して、鮮明に表示されている。
【0041】
さらに、識別処理部32は、前記2値化処理を行った画像フレームについて、前記白色表示の表示部分46bを侵入者等を示す1つの表示部分48bとして融合するクラスタリング処理を行った後に、融合した表示部分48bを所定の大きさの枠50bで囲い、表示部分48b及び枠50bに対して所定の番号(図示せず)を付与するラベリング処理を行う(図7B、ステップS15参照)。この場合も、前記ヒストグラム調整処理(ステップS12)を予め行った画像フレーム(図7B参照)中の表示部分48b(図3B及び図4Bの歩行者42bや、図5B及び図6Bの表示部分44b、46bに対応する表示部分)は、前記ヒストグラム調整処理を行っていない画像フレーム(図7A参照)中の表示部分48a(図3A及び図4Aの歩行者42aや、図5A及び図6Aの表示部分44a、46aに対応する表示部分)と比較して、鮮明に表示されている。また、表示部分48bは、表示部分48aよりも大きく表示され、従って、枠50bも、枠50aより大きく表示されている。
【0042】
さらにまた、識別処理部32は、ヒストグラム調整処理(ステップS12)を行った現在の画像フレーム(図4B参照)と、枠50b(図7B参照)とを侵入者識別手段20に出力する。
【0043】
侵入者識別手段20(図1参照)は、入力した前記画像フレーム(図4B参照)について、歩行者42bが前記撮影地点における侵入者であるか否かを識別し、枠50b(図7B参照)、識別結果及び前記画像フレームを領域監視手段22に出力する(図9のステップS2)。領域監視手段22は、入力した前記識別結果及び前記画像フレームに基づいて、当該画像フレーム中、歩行者42bが所定の監視対象(T字路40b)に侵入するか否かを検出し、枠50b、検出結果及び前記画像フレームを侵入者予測手段24及び侵入者特徴抽出手段26に出力する(ステップS3)。
【0044】
侵入者予測手段24は、順次入力した前記検出結果及び前記画像フレームに基づいて、歩行者42bの移動量や移動方向から、今後の歩行者42bの動きを予測し、枠50b、予測結果及び前記画像フレームを結果判定手段28に出力する(ステップS4)。
【0045】
侵入者特徴抽出手段26は、順次入力した前記検出結果及び前記画像フレームに基づいて、歩行者42bの移動量や移動方向から、侵入者である歩行者42bの種別を特定し、枠50b、特定結果及び前記画像フレームを結果判定手段28に出力する(ステップS5)。
【0046】
結果判定手段28は、侵入者予測手段24から順次入力した前記予測結果及び前記画像フレームと、侵入者特徴抽出手段26から順次入力した前記特定結果及び前記画像フレームとに基づいて、前記監視対象(T字路40b)に歩行者42bが侵入者として侵入したことを、侵入者検知装置16が配置された前記監視センターの監視員に対して画面表示又はアラーム発報を行う(ステップS6)。この場合、結果判定手段28では、歩行者42bの存在を前記監視員に対して分かりやすく画面表示するために、適宜、枠50bを前記画像フレームの歩行者42bに重畳することも可能である(図8B参照)。なお、図8Bでは、歩行者42bの略全身を枠50bで囲んだ場合を図示している。
【0047】
また、カメラ制御部34は、前記予測結果、前記特定結果及び前記画像フレームとに基づいて、前記撮影地点におけるカメラ12の撮影方向や姿勢を制御する。
【0048】
このように、本実施形態では、画像フレームの全画素にて構成されるヒストグラムのヒストグラムパターン38aを所望のヒストグラムパターン38bに変換し、変換したヒストグラムパターン38bに応じた画像フレームを用いて歩行者42bの検知処理を行うことにより、画像フレームのブロック毎にヒストグラムパターンを変換する従来技術と比較して、歩行者42bの検知処理に関わる負荷を低減することができる。また、前記輝度平均値及び前記輝度標準偏差を用いることにより、前記上限値及び前記下限値への変換が簡単化され、歩行者42bの検出に必要な画像フレームを容易に作成することができる。
【0049】
本発明に係る移動物体検知装置及びその方法は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施形態に係る侵入者検知装置を有する侵入者検知システムのブロック図である。
【図2】図2Aは、画像フレームのヒストグラムを示し、図2Bは、ヒストグラム調整処理を行ったヒストグラムを示す。
【図3】図3A及び図3Bは、夜間に撮影された先の画像フレームを示す説明図である。
【図4】図4A及び図4Bは、夜間に撮影された現在の画像フレームを示す説明図である。
【図5】図5Aは、図1の識別処理部にて図3A及び図4Aの各画像フレームを差分処理した画像フレームを示す説明図であり、図5Bは、前記識別処理部にて図3B及び図4Bの各画像フレームを差分処理した画像フレームを示す説明図である。
【図6】図6Aは、図5Aの画像フレームに対して2値化処理した画像フレームを示す説明図であり、図6Bは、図5Bの画像フレームに対して2値化処理した画像フレームを示す説明図である。
【図7】図7Aは、図6Aの画像フレームに対してクラスタリング処理及びラベリング処理を行った画像フレームを示す説明図であり、図7Bは、図6Bの画像フレームに対してクラスタリング処理及びラベリング処理を行った画像フレームを示す説明図である。
【図8】図8Aは、図4Aの画像フレームに図7Aに示す表示部分を囲む枠を重畳させた説明図であり、図8Bは、図4Bの画像フレームに図7Bに示す表示部分を囲む枠を重畳させた説明図である。
【図9】図1の侵入者検知装置内での処理を示すフローチャートである。
【図10】図1の移動物体識別手段内での処理を示すフローチャートである
【符号の説明】
【0051】
10…侵入者検知システム 12…カメラ
14…A/Dコンバータ 16…侵入者検知装置
18…移動物体識別手段 20…侵入者識別手段
22…領域監視手段 24…侵入者予測手段
26…侵入者特徴抽出手段 28…結果判定手段
30…ヒストグラム調整部 32…識別処理部
34…カメラ制御部
38a、38b…ヒストグラムパターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラが撮影した所定の撮影地点に関する画像フレームに基づいて前記撮影地点での移動物体の存在を検知する移動物体検知装置及びその方法に関し、より詳細には、前記撮影地点への侵入者の侵入を監視する侵入者検知装置として好適な移動物体検知装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、夜間等の人間が行き来しない時間帯におけるオフィスビル等への侵入者の侵入を監視する移動物体検知装置が特許文献1に開示されている。この移動物体検知装置は、所定の撮影地点(例えば、オフィスビルの各フロア内)において、テレビカメラにより撮影された画像フレームについて、その画像フレームを複数の画素から構成されるブロックに分割し、異なる時刻に撮影された2つの画像フレームについて、先に撮影された画像フレームの各ブロックを構成する画素の輝度とその輝度を示す画素数との関係を示すヒストグラムと、前記ブロックに対応する後に撮影された画像フレームの各ブロックにおけるヒストグラムとの差分をブロック毎に求め、求めた各差分値が所定の閾値よりも大きい場合に、前記撮影地点内に何らかの変化(例えば、侵入者の侵入)があったものと判定する。
【0003】
また、前記テレビカメラが夜間の撮影地点を撮影した場合には、前記各画素の輝度が低く、前記画像フレームが全体的に暗い画像となるので、前記移動物体検知装置では、前記ヒストグラムの低輝度領域における1[%]の頻度を示す輝度と、高輝度領域における1[%]の頻度を示す輝度とを求め、求めた各輝度を輝度の下限値及び上限値に変換して前記ヒストグラムのパターン(以下、ヒストグラムパターンともいう。)を前記下限値と前記上限値との間でフルスケールに伸張することで、移動物体の検知精度を改善している。
【0004】
【特許文献1】特開2000−184359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した移動物体検知装置では、画像フレームを複数のブロックに分割し、それぞれのブロックについてヒストグラムを求めているので、撮影地点への侵入者の侵入に対する判定処理や、夜間等に撮影された画像フレームに対するヒストグラムパターンの調整処理が複雑となり、前記移動物体検知装置の処理に関わる負荷が増大するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、移動物体の検知処理に関わる負荷を低減可能な移動物体検知装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カメラが撮影した所定の撮影地点に関する画像フレームに基づいて前記撮影地点での移動物体の存在を検知する移動物体検知装置(移動物体検知方法)において、前記画像フレームを構成する各画素の輝度と、その輝度を示す画素数との関係を示すヒストグラムを調整するヒストグラム調整手段(ヒストグラム調整ステップ)を有し、前記ヒストグラム調整手段(ヒストグラム調整ステップ)は、前記画像フレームを構成する全画素の輝度平均値とこの輝度平均値に対する輝度標準偏差とを求め、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との和を前記輝度の上限値に変換すると共に前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との差を前記輝度の下限値に変換し、前記ヒストグラムにおける前記和と前記差との間のヒストグラムパターンを前記上限値と前記下限値との間でフルスケールに伸張して前記各画素の輝度を前記上限値と前記下限値との間の所定の輝度に変換することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、前記画像フレームの全画素にて構成される前記ヒストグラムのヒストグラムパターンを所望のヒストグラムパターンに変換し、変換した前記ヒストグラムパターンに応じた画像フレームを用いて前記移動物体の検知処理を行うことにより、画像フレームのブロック毎にヒストグラムを調整する従来技術と比較して、前記移動物体の検知処理に関わる負荷を低減することができる。また、前記輝度平均値及び前記輝度標準偏差を用いることにより、前記上限値及び前記下限値への変換が簡単化され、前記移動物体の検出に必要な画像フレームを容易に作成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動物体の検知処理に関わる負荷を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る移動物体検知装置について、カメラの撮影地点における侵入者の侵入を検知する侵入者検知装置に適用した好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る侵入者検知装置(移動物体検知装置)16を適用した侵入者検知システム10のブロック図である。
【0012】
この侵入者検知システム10において、オフィスビルや港湾設備等に配置され、撮影地点(例えば、前記オフィスビルの各フロアや、前記港湾設備の近傍)を所定時刻毎に、あるいは連続的に撮影するカメラ12は、当該撮影地点を撮影したアナログ信号の画像をA/Dコンバータ14に順次出力し、該A/Dコンバータ14は、この画像をデジタル信号の画像フレームに変換して侵入者検知装置16に順次出力する。なお、侵入者検知装置16は、前記撮影地点における監視対象(例えば、前記オフィスビルの各フロアの入口近傍や、前記港湾設備の倉庫の入口近傍)への侵入者の侵入(移動物体の存在)を監視する図示しない監視センター内に配置されている。
【0013】
侵入者検知装置16は、ヒストグラム調整部(ヒストグラム調整手段)30と識別処理部32とを有する移動物体識別手段18、侵入者識別手段20、領域監視手段22、侵入者予測手段24、侵入者特徴抽出手段26及びカメラ制御部34を有する結果判定手段28から構成される。
【0014】
ヒストグラム調整部30は、順次入力した前記画像フレームをグレースケール変換し(図3A及び図4A参照)、前記画像フレームを構成する全ての画素の輝度と、その輝度を示す画素数との関係を示すヒストグラム(図2A参照)をそれぞれの画像フレームに対して作成し、作成した前記ヒストグラムに対応する前記画像フレームを識別処理部32に出力する。なお、図2Aは、一例として、横軸が0〜255の輝度(階調)であり、縦軸が前記輝度での画素数であるヒストグラムを図示している。また、図3A及び図4Aでは、監視対象としてのT字路40a上を歩行者42a(侵入者)が歩いている様子を図示している。
【0015】
識別処理部32(図1参照)は、順次入力した前記画像フレームの全画素について、前回入力した先の画像フレーム(図3A参照)の画素の輝度と、この画素に対応し且つ現在入力した画像フレーム(図4A参照)の画素の輝度との輝度差を取り(図5A参照)、前記輝度差と所定の閾値との比較に基づいて2値化の画像フレームを作成する(図6A参照)。この場合、識別処理部32は、前記輝度差が前記閾値を上回る画素については白色表示とし、前記輝度差が前記閾値を下回る画素については黒色表示とする。なお、図5Aでは、歩行者42a(図3A及び図4A参照)に対応する表示部分44aが図示され、図6Aでは、該歩行者42aに対応する白色表示の表示部分46aが図示されている。
【0016】
また、識別処理部32(図1参照)では、前記画像フレーム中、隣接する複数の画素が互いに白色表示である場合には、図7Aに示すように、これらの白色表示部分を侵入者等の移動物体を示す1つの表示部分48aとして融合するクラスタリング処理を行った後に、融合した表示部分48aを所定の大きさの枠50aで囲み、この表示部分48a及び枠50aに所定の番号(図示せず)を付与するラベリング処理を行う。さらに、識別処理部32は、A/Dコンバータ14からの現在の画像フレーム(図4A参照)と、枠50aとを侵入者識別手段20にそれぞれ出力する。なお、識別処理部32は、枠50aの作成処理を行わず、前記現在の画像フレームのみを侵入者識別手段20に出力することも可能である。
【0017】
侵入者識別手段20(図1参照)は、入力した前記現在の画像フレーム(図4A参照)に基づいて、移動物体である歩行者42aが前記撮影地点における侵入者を示すものであるか否かを識別し、枠50a、識別結果及び前記現在の画像フレームを領域監視手段22に出力する。この場合、歩行者42aが前記侵入者であるか否かの判断は、例えば、図3Aに示す先の画像フレームでの歩行者42aと、前記現在の画像フレームでの歩行者42aとの差(移動方向及び距離)に基づいて判断する。
【0018】
領域監視手段22は、入力した前記識別結果及び前記現在の画像フレームに基づいて、前記画像フレーム中、監視対象(例えば、T字路40a)への歩行者42aの移動(前記侵入者の侵入)の有無を検出し、枠50a、検出結果及び前記現在の画像フレームを侵入者予測手段24及び侵入者特徴抽出手段26に出力する。
【0019】
侵入者予測手段24は、順次入力した前記検出結果及び前記現在の画像フレームに基づいて、歩行者42aの移動量や移動方向から、今後の歩行者42aの動きを予測し、枠50a、予測結果及び前記現在の画像フレームを結果判定手段28に出力する。
【0020】
侵入者特徴抽出手段26は、順次入力した前記検出結果及び前記現在の画像フレームに基づいて、歩行者42aの移動量や移動方向から、歩行者42a(侵入者)の種別を特定し、枠50a、特定結果及び前記現在の画像フレームを結果判定手段28に出力する。なお、前記種別とは、例えば、前記画像フレーム中に表示される画像の種類(人間、樹木、草等)である。
【0021】
結果判定手段28は、侵入者予測手段24から順次入力した前記予測結果及び前記現在の画像フレームと、侵入者特徴抽出手段26から順次入力した前記特定結果及び前記現在の画像フレームとに基づいて、前記監視対象(T字路40a)に歩行者42a(侵入者)が侵入したことを、侵入者検知装置16が配置された前記監視センターの監視員に対して画面表示又はアラーム発報を行う。この場合、結果判定手段28では、歩行者42aの存在を前記監視員に対して分かりやすく画面表示するために、適宜、枠50aを前記現在の画像フレームの歩行者42aに重畳することも可能である(図8A参照)。なお、図8Aでは、歩行者42aの上半身の一部を枠50aで囲んだ場合を図示している。
【0022】
また、カメラ制御部34は、前記予測結果、前記特定結果及び前記現在の画像フレームとに基づいて、前記撮影地点におけるカメラ12の撮影方向や姿勢を制御する。
【0023】
上記した侵入者検知システム10(図1参照)において、例えば、夜間や、曇り又は雨の日の日中にカメラ12が前記撮影地点を撮影した場合、該カメラ12に入力する光量は、晴れた日の日中の光量よりも少ないので、撮影された画像フレームをヒストグラム調整部30にてグレースケール変換すると全体的に暗い画像となり(図3A及び図4A参照)、そのヒストグラムは、図2Aに示すように、低輝度領域(輝度が0に近い領域)に画素数が偏るヒストグラムパターン38aとなる。
【0024】
この結果、前記ヒストグラムに対応する画像フレームをそのまま用い、識別処理部32(図1参照)にて撮影時刻の異なる2つの画像フレームの差分を取り(図5A参照)、差分した前記画像フレームに対して2値化処理(図6A参照)、クラスタリング処理及びラベリング処理(図7A参照)を行うと、歩行者42a(侵入者)(図3A及び図4A参照)に対応する表示部分46aを2値化の画像フレーム上に鮮明に表示することが困難になると共に、歩行者42aに対する枠50aのサイズも小さくなり(図8A参照)、結果判定手段28での歩行者42a(侵入者)の認識率(検知率)が低下するおそれがある。
【0025】
そこで、侵入者検知装置16では、ヒストグラム調整部30において、夜間や曇り又は雨の日の日中に撮影された画像フレームのヒストグラム(図2A参照)について、図2Bに示すように、前記画像フレームを構成する全画素の輝度の平均値(以下、輝度平均値ともいう。)を前記低輝度領域から高輝度領域(輝度が255に近い領域)側にシフトしたヒストグラムに調整し、調整した前記ヒストグラムに対応する画像フレームを用いて前記侵入者の検知処理を行うようにしている。
【0026】
すなわち、ヒストグラム調整部30は、前記低輝度領域に画素数が偏るヒストグラム(図2A参照)について、その輝度平均値{図2Aに示す(A)}と、この輝度平均値に対する標準偏差(以下、輝度標準偏差ともいう。)とをそれぞれ求め、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との和{図2Aに示す(B)}を、前記輝度の上限値(図2Bに示す255の輝度)に変換すると共に、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との差{図2Aに示す(C)}を前記輝度の下限値(図2Bに示す0の輝度)に変換する。次に、ヒストグラム調整部30は、図2Aのヒストグラムにおける前記和と前記差との間のヒストグラムパターン38aを、図2Bに示す前記上限値(255)と前記下限値(0)との間にフルスケールに伸張して、前記フルスケールに伸張したヒストグラムパターン38b中で、前記各画素の輝度を前記上限値と前記下限値との間の所定の輝度に変換する(図2B参照)。
【0027】
なお、前記フルスケールに伸張するとは、ヒストグラム調整部30内に、例えば、前記差から前記和までの輝度(ヒストグラムパターン38aに対応する輝度)と、前記下限値から前記上限値までの輝度(ヒストグラムパターン38bに対応する輝度)との関係を示すマッピング関数(1次式で表わされる関数)が格納され、このマッピング関数に基づいて、ヒストグラムパターン38aの輝度をヒストグラムパターン38bの輝度に変換することをいう。
【0028】
従って、図2Bに示す調整後のヒストグラムは、図2Aに示す調整前のヒストグラムと比較して、輝度平均値がより高輝度領域にシフトし、この結果、前記調整後のヒストグラムに対応する画像フレーム(図3B及び図4B)は、前記調整前の画像フレーム(図3A及び図4B)と比較して、夜間や曇り又は雨の日の日中に撮影された画像フレームであっても、全体的に明るい画像となり、T字路40b上の歩行者42bを明瞭に認識することができる。
【0029】
なお、前記ヒストグラムの調整前(図2A参照)と、調整後(図2B参照)とについて、画像フレームを構成する全画素数に変化がなければ、図2Aに示す輝度と画素数との積の総和(ヒストグラムパターン38aと横軸とで囲まれた部分の総面積)と、図2Bに示す輝度と画素数との積の総和(ヒストグラムパターン38bと縦軸と横軸とで囲まれた部分の総面積)との間に変化がないことは勿論である。
【0030】
また、ヒストグラム調整部30における前述したヒストグラムの調整処理は、例えば、(1)現在時刻が所定の時間帯(例えば、18時〜翌日の6時)になった場合、(2)前記撮影地点に設けられた図示しない輝度センサからの出力信号のレベルが所定レベル以下である場合、(3)前記ヒストグラムの輝度平均値が所定の閾値(例えば、100)以下である場合に行われる。
【0031】
従って、識別処理部32では、ヒストグラム調整処理を行った画像フレームが入力した際に、この画像フレームに対して上述した差分処理(図5B参照)、2値化処理(図6B参照)、クラスタリング処理及びラベリング処理(図7B参照)を行い、前記ラベリング処理後の画像フレーム中にある枠50bと、前記現在の画像フレーム(図4B参照)とを侵入者識別手段20に出力する。
【0032】
本実施形態に係る侵入者検知装置16を有する侵入者検知システム10の構成は、上述した通りであり、次に、ヒストグラム調整部30でのヒストグラム調整処理を行う場合における侵入者検知装置16での侵入者検知処理について、図1〜図8Bや、図9及び図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0033】
図9は、侵入者検知装置16内での処理を示すフローチャートであり、図10は、移動物体識別手段18内での処理を示すフローチャートである。なお、これらのフローチャートの説明では、必要に応じて、ヒストグラム調整処理を行わない画像フレーム(図3A、図4A、図5A、図6A、図7A及び図8A)も参照しながら説明する。
【0034】
図9のステップS1において、移動物体識別手段18(図1参照)は、カメラ12からA/Dコンバータ14を介して入力した画像フレームより、該画像フレーム内での侵入者を含む移動物体の存在を識別できるような画像処理(移動物体識別処理)を行う。
【0035】
具体的には、先ず、図10のステップS11において、ヒストグラム調整部30は、入力した画像フレーム{図3Aに示す先の画像フレーム及び図4Aに示す現在の画像フレーム}をグレースケール変換する。
【0036】
次に、ヒストグラム調整部30は、画像フレームを構成する全ての画素の輝度と、その輝度を示す画素数との関係を示すヒストグラム(図2A参照)をそれぞれの画像フレームに対して作成する。この場合、前記ヒストグラムは、前記低輝度領域に画素数が偏ったヒストグラムパターン38aになっているので、ヒストグラム調整部30は、前記ヒストグラムについて、輝度平均値が低輝度領域から高輝度領域にシフトしたヒストグラム(図2B参照)に調整する下記のヒストグラム調整処理(ヒストグラム調整ステップ)を行う(ステップS12)。
【0037】
すなわち、ヒストグラム調整部30は、図3A及び図4Aに示す画像フレームのそれぞれのヒストグラム(図2A参照)について、その輝度平均値{図2Aの(A)}と輝度標準偏差とをそれぞれ求め、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との和{図2Aの(B)}を、前記輝度の上限値(図2Bの255)に変換すると共に、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との差{図2Aの(C)}を前記輝度の下限値(図2Bの0)に変換する。さらに、ヒストグラム調整部30は、図2Aに示す前記和と前記差との間のヒストグラムパターン38aを、図2Bに示す前記上限値(255)と前記下限値(0)との間でフルスケールに伸張して、前記フルスケールに伸張したヒストグラムパターン38b中で、前記各画素の輝度を前記上限値と前記下限値との間の所定の輝度に変換する。そして、ヒストグラム調整部30は、上記のヒストグラム調整処理を行った前記各ヒストグラムに対応する各画像フレーム(図3B及び図4B参照)を識別処理部32に出力する。
【0038】
この場合、ヒストグラムパターン38b(図2B参照)は、ヒストグラムパターン38a(図2A参照)と比較して、輝度平均値がより高輝度領域にシフトするので、ヒストグラム調整後のヒストグラムに対応する画像フレーム(図3B及び図4B)は、ヒストグラム調整前の画像フレーム(図3A及び図4A)と比較して、全体的に明るい画像となっている。例えば、図3B及び図4Bの画像フレーム中で、T字路40b上を歩いている歩行者42bの画像は、図3A及び図4Aの画像フレーム中の歩行者42aの画像よりも高輝度であり明瞭に認識することが可能である。
【0039】
次に、識別処理部32(図1参照)は、入力した前記各画像フレーム(図3B及び図4B参照)の全画素について、前記先の画像フレーム(図3B参照)の画素の輝度と、この画素に対応する前記現在の画像フレーム(図4B参照)の画素の輝度との輝度差を取って、前記輝度差を示す画像フレーム(図5B参照)を生成する(ステップS13)。この場合、ヒストグラム調整処理(ステップS12)を予め行った前記画像フレーム(図5B参照)中の表示部分44b(図3B及び図4Bの歩行者42bに対応する表示部分)は、前記ヒストグラム調整処理を行っていない画像フレーム(図5A参照)中の表示部分44a(図3A及び図4Aの歩行者42aに対応する表示部分)と比較して、鮮明に表示されている。
【0040】
また、識別処理部32は、前記差分処理を行った画像フレームについて、前記輝度差が所定の閾値を上回る画素については白色表示とし、前記輝度差が前記閾値を下回る画素については黒色表示とする2値化処理を行う(ステップS14、図6B参照)。この場合も、前記ヒストグラム調整処理(ステップS12)を予め行った2値化処理後の画像フレーム(図6B参照)中の表示部分46b(図3B及び図4Bの歩行者42bや、図5Bの表示部分44bに対応する表示部分)は、前記ヒストグラム調整処理を行っていない2値化処理後の画像フレーム(図6A参照)中の表示部分46a(図3A及び図4Aの歩行者42aや、図5Aの表示部分46aに対応する表示部分)と比較して、鮮明に表示されている。
【0041】
さらに、識別処理部32は、前記2値化処理を行った画像フレームについて、前記白色表示の表示部分46bを侵入者等を示す1つの表示部分48bとして融合するクラスタリング処理を行った後に、融合した表示部分48bを所定の大きさの枠50bで囲い、表示部分48b及び枠50bに対して所定の番号(図示せず)を付与するラベリング処理を行う(図7B、ステップS15参照)。この場合も、前記ヒストグラム調整処理(ステップS12)を予め行った画像フレーム(図7B参照)中の表示部分48b(図3B及び図4Bの歩行者42bや、図5B及び図6Bの表示部分44b、46bに対応する表示部分)は、前記ヒストグラム調整処理を行っていない画像フレーム(図7A参照)中の表示部分48a(図3A及び図4Aの歩行者42aや、図5A及び図6Aの表示部分44a、46aに対応する表示部分)と比較して、鮮明に表示されている。また、表示部分48bは、表示部分48aよりも大きく表示され、従って、枠50bも、枠50aより大きく表示されている。
【0042】
さらにまた、識別処理部32は、ヒストグラム調整処理(ステップS12)を行った現在の画像フレーム(図4B参照)と、枠50b(図7B参照)とを侵入者識別手段20に出力する。
【0043】
侵入者識別手段20(図1参照)は、入力した前記画像フレーム(図4B参照)について、歩行者42bが前記撮影地点における侵入者であるか否かを識別し、枠50b(図7B参照)、識別結果及び前記画像フレームを領域監視手段22に出力する(図9のステップS2)。領域監視手段22は、入力した前記識別結果及び前記画像フレームに基づいて、当該画像フレーム中、歩行者42bが所定の監視対象(T字路40b)に侵入するか否かを検出し、枠50b、検出結果及び前記画像フレームを侵入者予測手段24及び侵入者特徴抽出手段26に出力する(ステップS3)。
【0044】
侵入者予測手段24は、順次入力した前記検出結果及び前記画像フレームに基づいて、歩行者42bの移動量や移動方向から、今後の歩行者42bの動きを予測し、枠50b、予測結果及び前記画像フレームを結果判定手段28に出力する(ステップS4)。
【0045】
侵入者特徴抽出手段26は、順次入力した前記検出結果及び前記画像フレームに基づいて、歩行者42bの移動量や移動方向から、侵入者である歩行者42bの種別を特定し、枠50b、特定結果及び前記画像フレームを結果判定手段28に出力する(ステップS5)。
【0046】
結果判定手段28は、侵入者予測手段24から順次入力した前記予測結果及び前記画像フレームと、侵入者特徴抽出手段26から順次入力した前記特定結果及び前記画像フレームとに基づいて、前記監視対象(T字路40b)に歩行者42bが侵入者として侵入したことを、侵入者検知装置16が配置された前記監視センターの監視員に対して画面表示又はアラーム発報を行う(ステップS6)。この場合、結果判定手段28では、歩行者42bの存在を前記監視員に対して分かりやすく画面表示するために、適宜、枠50bを前記画像フレームの歩行者42bに重畳することも可能である(図8B参照)。なお、図8Bでは、歩行者42bの略全身を枠50bで囲んだ場合を図示している。
【0047】
また、カメラ制御部34は、前記予測結果、前記特定結果及び前記画像フレームとに基づいて、前記撮影地点におけるカメラ12の撮影方向や姿勢を制御する。
【0048】
このように、本実施形態では、画像フレームの全画素にて構成されるヒストグラムのヒストグラムパターン38aを所望のヒストグラムパターン38bに変換し、変換したヒストグラムパターン38bに応じた画像フレームを用いて歩行者42bの検知処理を行うことにより、画像フレームのブロック毎にヒストグラムパターンを変換する従来技術と比較して、歩行者42bの検知処理に関わる負荷を低減することができる。また、前記輝度平均値及び前記輝度標準偏差を用いることにより、前記上限値及び前記下限値への変換が簡単化され、歩行者42bの検出に必要な画像フレームを容易に作成することができる。
【0049】
本発明に係る移動物体検知装置及びその方法は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施形態に係る侵入者検知装置を有する侵入者検知システムのブロック図である。
【図2】図2Aは、画像フレームのヒストグラムを示し、図2Bは、ヒストグラム調整処理を行ったヒストグラムを示す。
【図3】図3A及び図3Bは、夜間に撮影された先の画像フレームを示す説明図である。
【図4】図4A及び図4Bは、夜間に撮影された現在の画像フレームを示す説明図である。
【図5】図5Aは、図1の識別処理部にて図3A及び図4Aの各画像フレームを差分処理した画像フレームを示す説明図であり、図5Bは、前記識別処理部にて図3B及び図4Bの各画像フレームを差分処理した画像フレームを示す説明図である。
【図6】図6Aは、図5Aの画像フレームに対して2値化処理した画像フレームを示す説明図であり、図6Bは、図5Bの画像フレームに対して2値化処理した画像フレームを示す説明図である。
【図7】図7Aは、図6Aの画像フレームに対してクラスタリング処理及びラベリング処理を行った画像フレームを示す説明図であり、図7Bは、図6Bの画像フレームに対してクラスタリング処理及びラベリング処理を行った画像フレームを示す説明図である。
【図8】図8Aは、図4Aの画像フレームに図7Aに示す表示部分を囲む枠を重畳させた説明図であり、図8Bは、図4Bの画像フレームに図7Bに示す表示部分を囲む枠を重畳させた説明図である。
【図9】図1の侵入者検知装置内での処理を示すフローチャートである。
【図10】図1の移動物体識別手段内での処理を示すフローチャートである
【符号の説明】
【0051】
10…侵入者検知システム 12…カメラ
14…A/Dコンバータ 16…侵入者検知装置
18…移動物体識別手段 20…侵入者識別手段
22…領域監視手段 24…侵入者予測手段
26…侵入者特徴抽出手段 28…結果判定手段
30…ヒストグラム調整部 32…識別処理部
34…カメラ制御部
38a、38b…ヒストグラムパターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラが撮影した所定の撮影地点に関する画像フレームに基づいて前記撮影地点での移動物体の存在を検知する移動物体検知装置において、
前記画像フレームを構成する各画素の輝度と、その輝度を示す画素数との関係を示すヒストグラムを調整するヒストグラム調整手段を有し、
前記ヒストグラム調整手段は、
前記画像フレームを構成する全画素の輝度平均値と、この輝度平均値に対する輝度標準偏差とを求め、
前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との和を前記輝度の上限値に変換すると共に、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との差を前記輝度の下限値に変換し、
前記ヒストグラムにおける前記和と前記差との間のヒストグラムパターンを前記上限値と前記下限値との間でフルスケールに伸張して、前記各画素の輝度を前記上限値と前記下限値との間の所定の輝度に変換する
ことを特徴とする移動物体検知装置。
【請求項2】
カメラが撮影した所定の撮影地点に関する画像フレームに基づいて前記撮影地点での移動物体の存在を検知する移動物体検知方法において、
前記画像フレームを構成する各画素の輝度と、その輝度を示す画素数との関係を示すヒストグラムを調整するヒストグラム調整ステップを有し、
前記ヒストグラム調整ステップでは、
前記画像フレームを構成する全画素の輝度平均値と、この輝度平均値に対する輝度標準偏差とを求め、
前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との和を前記輝度の上限値に変換すると共に、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との差を前記輝度の下限値に変換し、
前記ヒストグラムにおける前記和と前記差との間のヒストグラムパターンを前記上限値と前記下限値との間でフルスケールに伸張して、前記各画素の輝度を前記上限値と前記下限値との間の所定の輝度に変換する
ことを特徴とする移動物体検知方法。
【請求項1】
カメラが撮影した所定の撮影地点に関する画像フレームに基づいて前記撮影地点での移動物体の存在を検知する移動物体検知装置において、
前記画像フレームを構成する各画素の輝度と、その輝度を示す画素数との関係を示すヒストグラムを調整するヒストグラム調整手段を有し、
前記ヒストグラム調整手段は、
前記画像フレームを構成する全画素の輝度平均値と、この輝度平均値に対する輝度標準偏差とを求め、
前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との和を前記輝度の上限値に変換すると共に、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との差を前記輝度の下限値に変換し、
前記ヒストグラムにおける前記和と前記差との間のヒストグラムパターンを前記上限値と前記下限値との間でフルスケールに伸張して、前記各画素の輝度を前記上限値と前記下限値との間の所定の輝度に変換する
ことを特徴とする移動物体検知装置。
【請求項2】
カメラが撮影した所定の撮影地点に関する画像フレームに基づいて前記撮影地点での移動物体の存在を検知する移動物体検知方法において、
前記画像フレームを構成する各画素の輝度と、その輝度を示す画素数との関係を示すヒストグラムを調整するヒストグラム調整ステップを有し、
前記ヒストグラム調整ステップでは、
前記画像フレームを構成する全画素の輝度平均値と、この輝度平均値に対する輝度標準偏差とを求め、
前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との和を前記輝度の上限値に変換すると共に、前記輝度平均値と前記輝度標準偏差との差を前記輝度の下限値に変換し、
前記ヒストグラムにおける前記和と前記差との間のヒストグラムパターンを前記上限値と前記下限値との間でフルスケールに伸張して、前記各画素の輝度を前記上限値と前記下限値との間の所定の輝度に変換する
ことを特徴とする移動物体検知方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−251721(P2007−251721A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73984(P2006−73984)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【出願人】(596038892)ジェイ・アール・シーエンジニアリング株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【出願人】(596038892)ジェイ・アール・シーエンジニアリング株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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